説明

脱水装置

【課題】本発明の目的は、水分離膜ユニットに不具合が生じた場合でも安定して運転することができ、被処理流体を所定の濃度まで確実に脱水することが可能な脱水装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、被処理流体から水を分離する脱水装置1であって、水を分離する前の被処理流体を貯留する第1のタンク2と、水を分離した後の被処理流体が流入する第2のタンク3と、被処理流体から水を分離するための分離膜を有し、第1のタンク2と第2のタンク3との間において被処理流体の流れ方向に沿って並列に配設された複数の膜容器ユニット101,・・・,110とを備え、被処理流体が、第1のタンク2と第2のタンク3との間を往復するように構成され、被処理流体が、複数の膜容器ユニット101,・・・,110を複数回通過するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水との共沸組成を持つエタノールと水との混合物(被処理流体)を脱水する脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油燃料を代替する燃料源としてエタノールが注目されている。しかしながら、エタノールを燃料として採用するためには、トウモロコシ等のバイオ原料から得た粗製物を蒸留精製し、少なくとも99.5wt%以上の濃度に脱水しなければならない。
【0003】
従来、脱水の方法としては、水分離膜を用いたパーベーパレーション法(PV法)によって被処理流体から水を分離する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の脱水装置においては、複数の水分離膜がシェル部の内部において直列になるように配置されている。この脱水装置では、水を含む被処理流体が、直列配置された水分離膜を順次通過し、これにより、水が被処理流体から分離されるようになっている。
【0004】
図7は、従来の脱水装置の全体を示した模式図である。
図7に示すように、脱水装置31は、被処理流体(粗エタノール水溶液)が供給される第1のタンク32と、脱水処理後の製品エタノールが流入する第2のタンク33と、被処理流体を第1のタンク2から第2のタンク3へ流すためのライン34と、第1のタンク2と第2のタンク3との間に配置された複数の水分離膜ユニット35A,35B,35C,35D,・・・,35Jと、被処理流体から分離された水が流入する第3のタンク36とを備えている。
【0005】
図7に示すように、複数の水分離膜ユニット35A,35B,35C,35D,・・・,35Jは、直列に接続されており、各水分離膜ユニット35A,35B,35C,35D,・・・,35Jの間には、熱交換器37A,37B,37C,37D,・・・,37Jがそれぞれ配置されている。また、複数の水分離膜ユニット35A,35B,35C,35D,・・・,35Jのそれぞれには、水分離膜ユニット35A,35B,35C,35D,・・・,35Jを迂回するためのバイパスライン38A,38B,38C,38D,・・・,38Jがそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−115596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の図7や特許文献1の従来の構成において、第1の問題点は、水分離膜ユニットが直列に配置されていることである。
例えば、水分離膜ユニットが直列に配置されていると、水分離膜ユニットのうち上流側の水分離膜ユニットで不具合が生じた場合、その影響が下流側の水分離膜ユニットまで波及することになる。つまり、上流側の水分離膜ユニットで不具合が生じると、脱水装置全体を停止してメンテナンスを行わなければならず、脱水装置の安定運転ができないという問題があった。また、バイパスラインを設けることで脱水装置の運転は継続できるが、水分離膜ユニットを通過する回数が少なくなり、所定の濃度まで脱水できない可能性もある。
【0008】
また、第2の問題点としては、図7や特許文献1のような水分離膜を用いる構成では、被処理流体の流速によって水の分離性能が大きく変化してしまうことである。
【0009】
図8は、水分離膜を透過した物質(水及びエタノール)の透過量に対する水の透過量の比を示している。
図8に示すように、流速が約0.6m/sでは水の透過量の比が約1になっているが、被処理流体の流速が小さくなるほど、水分離膜を透過した物質における水の透過量の割合が小さくなる。このように、水分離膜を用いる場合、被処理流体の流速が小さい場合には、水分離膜における水の透過量の割合が小さくなり、水の分離性能が低下することになる。
【0010】
また、被処理流体の流速が小さいと、水分離膜の近傍で濃度分極が生じるという問題もある。濃度分極とは、水分離膜の近傍で発生する現象であり、水分離膜に透過されない溶質(ここでは、水)が水分離膜に垂直な方向に濃度の勾配を作る現象である。
【0011】
図9は、濃度分極が発生した場合と濃度分極が発生していない場合とを示しており、(a)は被処理流体の流速が小さい場合であり、(b)は被処理流体の流速が大きい場合を示している。
図9(a)の(1)のグラフに示すように、被処理流体の流速が小さいと、水分離膜の近傍ほど水の濃度が低く、水分離膜に対して垂直な方向(断面方向)に水分離膜から離れるほど水の濃度が高くなる。このような濃度分極が生じる結果、図9(a)の(2)のグラフに示すように、被処理流体の流れ方向に水の濃度の変化を見ると、水の濃度がほとんど小さくならず、水の分離性能に問題があることがわかる。
一方、図9(b)の(1)に示すように、被処理流体の流速が十分にある場合、水分離膜において水が透過し、濃度分極が発生しない。その結果、図9(b)の(2)のグラフに示すように、被処理流体の流れ方向に水の濃度の変化を見ると、水の濃度が徐々に小さくなっており、十分な水の分離性能が得られることになる。
【0012】
このように、水分離膜を用いる構成では、被処理流体の流速が小さくなる場合には十分な水の分離性能が得られないため、被処理流体を所定の濃度まで脱水できない可能性がある。したがって、水分離膜を用いる構成において、被処理流体を所定の濃度まで確実に脱水するための何らかの対策が必要となる。
【0013】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、水分離膜ユニットに不具合が生じた場合でも安定して運転することができ、被処理流体を所定の濃度まで確実に脱水することが可能な脱水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、被処理流体から水を分離する脱水装置であって、水を分離する前の前記被処理流体を貯留する第1のタンクと、水を分離した後の前記被処理流体が流入する第2のタンクと、前記被処理流体から水を分離するための分離膜を有し、前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間において前記被処理流体の流れ方向に沿って並列に配設された複数の膜容器ユニットとを備え、前記被処理流体が、前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間を往復するように構成され、前記被処理流体が、前記複数の膜容器ユニットを複数回通過するようになっている。
【0015】
また、本発明の別の態様によれば、前記被処理流体を前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間で往復させる第1のラインを備え、前記複数の膜容器ユニットが、前記第1のラインにおいて並列に配設され、前記被処理流体が、前記第1のライン上の前記複数の膜容器ユニットを通って前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れ、前記第1のタンク内の前記被処理流体が空になった後に、前記被処理流体が、前記第1のライン上の前記複数の膜容器ユニットを通って前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流れるようになっている。
【0016】
また、本発明の別の態様によれば、前記被処理流体を前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流すための第1のラインと、前記被処理流体を前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流すための第2のラインとを備え、前記複数の膜容器ユニットが、前記第1のラインにおいて並列に配設され、前記被処理流体が、前記第1のライン上の前記複数の膜容器ユニットを通って前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れ、前記第1のタンク内の前記被処理流体が空になった後に、前記被処理流体が、前記第2のラインを通って前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流れるようになっている。
【0017】
また、本発明の別の態様によれば、前記被処理流体を前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流すための第1のラインと、前記被処理流体を前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流すための第2のラインとを備え、前記複数の膜容器ユニットが、前記第1のラインにおいて並列に配設された第1のユニット群と、前記第2のラインにおいて並列に配設された第2のユニット群とに分割され、前記被処理流体が、前記第1のライン上の前記第1のユニット群を通って前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れ、前記第1のタンク内の前記被処理流体が空になった後に、前記被処理流体が、前記第2のライン上の前記第2のユニット群を通って前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流れるようになっている。
【0018】
また、本発明の別の態様によれば、前記被処理流体を前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流すための第1のラインと、前記被処理流体を前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流すための第2のラインと、前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間に配置され、前記第1のラインと前記第2のラインとの両方に接続された少なくとも1つの中間タンクとを備え、前記第1のラインが、前記中間タンクを間に挟むように複数の第1流体ラインに分割されるとともに、前記第2のラインが、前記中間タンクを間に挟むように複数の第2流体ラインに分割され、前記複数の膜容器ユニットが、前記第1流体ライン及び前記第2流体ラインの総数と同じ数のユニット群に分割され、前記複数の膜容器ユニットの各ユニット群は、前記第1及び第2流体ラインのそれぞれにおいて並列に配設され、前記被処理流体が、前記第1のライン上の各ユニット群と前記中間タンクとを順次通過して前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れ、前記被処理流体が、前記第2のライン上の各ユニット群と前記中間タンクとを順次通過して前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流れるようになっており、前記第2のラインは、少なくとも1つのバイパスラインを備え、該バイパスラインは、前記第2のライン上のユニット群のうち1つ以上のユニット群を迂回して前記被処理流体を前記中間タンク又は前記第1のタンクへ戻すようになっている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る脱水装置によれば、複数の膜容器ユニットが並列に配設されているので、水分離膜ユニットで不具合が生じた場合、脱水装置全体を停止せずに、不具合が生じた水分離膜ユニットのみをメンテナンス及び交換を行うことができる。したがって、脱水装置の安定運転が可能となる。
【0020】
また、複数の膜容器ユニットを並列に配置した場合は、被処理流体の流速が低下し、膜容器ユニットにおける水の分離性能が低下する可能性もあるが、被処理流体を第1のタンクと第2のタンクとの間で往復させて、被処理流体を膜容器ユニットに繰り返し通過させることによって、被処理流体を所定の濃度まで確実に脱水することができる。
【0021】
また、本発明に係る脱水装置によれば、第2のラインが、少なくとも1つのバイパスラインを備え、該バイパスラインが、第2のライン上のユニット群のうち1つ以上のユニット群を迂回して被処理流体を中間タンク又は第1のタンクへ戻すようになっているので、被処理流体を膜容器ユニットに通過させる回数を適宜変更することができ、被処理流体の濃度を細かく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る脱水装置の全体を示した模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る脱水装置を用いて粗エタノール水溶液の脱水を行った場合のエタノール濃度の推移を試算した図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る脱水装置の全体を示した模式図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る脱水装置の全体を示した模式図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る脱水装置の全体を示した模式図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る脱水装置の全体を示した模式図である。
【図7】従来の脱水装置の全体を示した模式図である。
【図8】水分離膜を透過した物質(水及びエタノール)の透過量に対する水の透過量の比を示した図である。
【図9】(a)は、被処理流体の流速が小さいために濃度分極が発生した場合を示した図であり、(b)は、被処理流体の流速が大きいために濃度分極が発生していない場合を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る脱水装置を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る脱水装置の全体を示した模式図である。
【0024】
本実施形態に係る脱水装置1は、被処理流体として、粗エタノール水溶液を脱水するものである。この粗エタノール水溶液の濃度としては、エタノール濃度約91wt%を想定している。脱水装置1は、有機成分としてエタノールを含む粗エタノールを処理し、最終的には、エタノール濃度が99.5wt%〜99.8wt%の範囲の製品エタノール(無水エタノール)を精製するものである。
【0025】
図1に示すように、脱水装置1は、被処理流体(粗エタノール水溶液)が供給される第1のタンク2と、脱水処理後の製品エタノールが流入する第2のタンク3と、被処理流体を第1のタンク2と第2のタンク3との間で往復させる第1のライン41と、第1のライン41に配設された複数(本実施形態では、10個)の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110と、被処理流体から分離された水が流入する第3のタンク4と、脱水装置1の全体の動作を制御するための制御手段5とを備えている。
【0026】
図1に示すように、第1のタンク2には、第1のエタノール濃度計2aが設けられており、第2のタンク3には、第2のエタノール濃度計3aが設けられている。第1のエタノール濃度計2a及び第2のエタノール濃度計3aは、制御手段5に接続されており、第1のエタノール濃度計2a及び第2のエタノール濃度計3aの検出信号が、制御手段5に送信されるようになっている。
【0027】
図1に示すように、第1のライン41は、第1のタンク2の近傍の位置に配置された第1のポンプ61と、第2のタンク3の近傍の位置に配置された第2のポンプ62とを備えている。第1のポンプ61及び第2のポンプ62は、制御手段5に接続されている。第1のポンプ61は、制御手段5の制御に基づいて第1のタンク2内の被処理流体を第2のタンク3に向かって流すようになっている。第2のポンプ62もまた、制御手段5の制御に基づいて第2のタンク3内の被処理流体を第1のタンク2に向かって流すようになっている。
このような構成から、被処理流体が、第1のタンク2と第2のタンク3の間で第1のライン41を往復するようになっている。
【0028】
図1に示すように、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、第1のライン41上において並列に配設されている。各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110の第1のタンク2側の部分には、第1の開閉弁201,202,203,204,・・・,210が設けられている。また、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110の第2のタンク3側の部分には、第2の開閉弁301,302,303,304,・・・,310が設けられている。
図1に示すように、第1の開閉弁201,202,203,204,・・・,210及び第2の開閉弁301,302,303,304,・・・,310は、制御手段5に接続されており、制御手段5の制御に基づいて開閉動作を行うようになっている。
【0029】
各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、後述する膜容器(図示せず)を備えており、供給側が液相で透過側が気相となるパーベパレーション法によって水を分離するものである。ここで、水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110の膜容器においては、被処理流体の流路を供給側と呼び、膜容器の外側を透過側と呼ぶ。
【0030】
本実施形態において、膜容器は、チューブラー型の水分離膜を複数組み込んだものや、あるいはモノリス型の水分離膜からなり、円柱状に形成されている。膜容器の材質としては、無機材でナノオーダー又はそれより小さい孔径が精密に制御された微細孔多孔膜を用いることができる。微細孔多孔膜は、小分子ガスを通し、大分子ガスを排除する分子ふるい効果を発現し、その透過係数は、温度上昇とともに増加する活性化拡散の挙動を示す。微細孔多孔膜の例としては、炭素膜、シリカ膜、ゼオライト膜が挙げられる。
【0031】
また、特許第2808479号記載の無機水分離膜も適用可能である。該特許第2808479号の無機水分離膜は、無機多孔体の細孔内に、エトキシ基又はメトキシ基を含むアルコキシシランの加水分解を経て得られたシリカゲルを担持することによって得られる耐酸性複合分離膜である。なお、無機水分離膜が担持される多孔質基材としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニアのようなセラミック基材が一般的であり、筒型形状であって、長手方向に複数の断面円形の流路(内管)を持つものが好適である。無機水分離膜は、このような内管の内部壁を被覆するように形成される。
【0032】
また、水分離膜としては、無機水分離膜以外に、ポリビニルアルコール膜、ポリイミド膜、ポリアミド膜といった有機膜を用いることもできる。なお、膜容器の材質やサイズ、流路の直径及び数等は、使用目的に応じて当業者が適宜選択することができる。
【0033】
膜容器における脱水処理は、減圧装置(図示)を用いて行われ、膜容器の透過側を減圧装置で減圧することによって、膜容器の流路を通過する被処理流体の中の水が水蒸気となって透過側に引き抜かれる。
図1に示すように、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、蒸気弁401,・・・,410を介して第3のタンク4に接続されており、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4に流入するようになっている。
【0034】
図1に示すように、第1のライン41には、第1のポンプ61と複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110との間に第1の熱交換器71が配設されている。また、第1のライン41には、第2のポンプ62と複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110との間に第2の熱交換器72が配設されている。第1の熱交換器71及び第2の熱交換器72は、水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に流入する被処理流体の温度を加熱し、被処理流体の温度低下を防止するものである。
【0035】
図1に示すように、第1のライン41には、第1のポンプ61及び第1の熱交換器71を迂回するための第1のバイパス管81が設けられている。この第1のバイパス管81の両端部と第1のライン41とは、分岐弁(図示せず)を介して接続されている。
また、第1のライン41には、第2のポンプ62及び第2の熱交換器72を迂回するための第2のバイパス管82が設けられている。この第2のバイパス管82の両端部と第1のライン41とは、分岐弁(図示せず)を介して接続されている。
なお、分岐弁は、制御手段5に接続されており、制御手段5の制御に基づいて開閉動作を行うようになっている。
【0036】
図1に示すように、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、膜容器の不具合を検出するための検出器101a,・・・,110aを備えている。
検出器101a,・・・,110aは、膜容器の状態を連続監視し、オンラインで不具合を検出するようになっている。例えば、膜容器の閉塞などで透過量が低下した場合、検出器101a,・・・,110aは、供給側の出口温度の低下が小さいことを検出する。また、膜容器に不具合が生じて透過量が増加した場合、検出器101a,・・・,110aは、透過側の温度低下が大きくなったことを検出する。また、検出器101a,・・・,110aは、透過量の変動によって、供給側の出口濃度が変動したことも検出するようになっている。
【0037】
図1に示すように、検出器101a,・・・,110aは、制御手段5に接続されており、検出器101a,・・・,110aの検出信号は、制御手段5に送信されるようになっている。制御手段5は、膜容器に不具合が生じたことを示す検出信号を受信すると、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に対応する第1の開閉弁201,202,203,204,・・・,210及び第2の開閉弁301,302,303,304,・・・,310の両方を閉めるように制御する。このような構成により、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110だけをメンテナンス及び交換することが可能となる。
【0038】
次に、本実施形態に係る脱水装置1の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0039】
図1に示すように、まず、第1のタンク2には、被処理流体(粗エタノール水溶液)が供給される。この被処理流体の供給は、間欠的に行われ、第1のタンク2が満量になった時点で一旦終了する。
次に、制御手段5は、第1のライン41と第1のバイパス管81との間の分岐弁を制御し、被処理流体が、第1のライン41を流れるようにする。その後、第1のポンプ61によって、被処理流体が第1のタンク2から第2のタンク3へ向かって流される。
第1のライン41を流れる被処理流体は、第1の熱交換器71によって加熱され、並列に配置された複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に流れる。この際、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4に流入する。
次に、制御手段5は、第1のライン41と第2のバイパス管82との間の分岐弁を制御し、被処理流体が、第2のバイパス管82を流れるようにする。そして、第2のバイパス管82を通過した被処理流体は、第2のタンク3に流れることになる。
【0040】
第1のタンク2内の全ての被処理流体が第2のタンク3に流れた後、制御手段5は、第2のタンク3の第2のエタノール濃度計3aによって測定された濃度を受信する。そして、第2のエタノール濃度計3aによって測定された濃度が所定の濃度に達していない場合には、制御手段5は、以下のように被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ流すように制御する。
まず、制御手段5は、第1のライン41と第2のバイパスライン82との間の分岐弁を制御し、被処理流体が、第1のライン41を流れるようにする。そして、第2のポンプ62によって、被処理流体が第2のタンク3から第1のタンク2へ向かって流される。
第1のライン41を流れる被処理流体は、第2の熱交換器72によって加熱され、並列に配置された複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に流れる。この際、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4に流入する。
次に、制御手段5は、第1のライン41と第1のバイパス管81との間の分岐弁を制御し、被処理流体が、第1のバイパス管81を流れるようにする。そして、第1のバイパス管81を通過した被処理流体は、第1のタンク2に流れることになる。
その後、第2のタンク3内の全ての被処理流体が第1のタンク2に流れた後、制御手段5は、第1のタンク2の第1のエタノール濃度計2aによって測定された濃度を受信する。そして、制御手段5は、第1のエタノール濃度計2aによって測定された濃度が所定の濃度に達しているかを検知する。濃度が所定の濃度に達してない場合には、制御手段5は、再び、被処理流体を第1のタンク2から第2のタンク3へ流すように制御する。
以上のような動作を、被処理流体が所定の濃度に達するまで繰り返し行う。そして、最終的に所定の濃度に達した被処理流体は、製品エタノールとして第2のタンク3から回収される。
【0041】
図2は、本発明の第1実施形態に係る脱水装置1を用いて粗エタノール水溶液の脱水を行った場合のエタノール濃度の推移を試算した図である。
図2の横軸の「段数」は、被処理流体を複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に通した回数に対応している。例えば、段数1とは、本実施形態では、被処理流体が第1のタンク2から第2のタンク3へ1回流れた時点を示し、段数2とは、被処理流体が第2のタンク3で折り返して再び第1のタンク2まで流れた時点を示している。
図2に示すように、本実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110を通過するごとにエタノール濃度が上昇し、製品エタノールの所定の濃度に近づいていくことがわかる。
【0042】
本発明の第1実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、第1のライン41上において並列に配設されているので、水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110で不具合が生じた場合、脱水装置1全体を停止せずに、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110のみをメンテナンス及び交換を行うことができる。したがって、脱水装置1の安定運転が可能となる。
【0043】
また、例えば、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110を並列に配置した構成では、従来の直列に配置した構成で使用されているポンプをそのまま使用すると、被処理流体の流速が低下し、水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110における水の分離性能が低下する可能性がある。また、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110を並列に配置した構成において第1のポンプ61や第2のポンプ62の容量を大きくして被処理流体の流速を上げたとしても、従来の直列に配置した構成に比べて、被処理流体が膜容器に接触する時間が小さくなるため、被処理流体を所定の濃度まで確実に脱水できない可能性もある。
本発明の第1実施形態に係る脱水装置1は、このような問題を解決するものであり、被処理流体を第1のタンク2と第2のタンク3との間で往復させて、被処理流体を水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に繰り返し通過させることによって、被処理流体を所定の濃度まで確実に脱水することができる。
【0044】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る脱水装置1を、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る脱水装置の全体を示した模式図である。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0045】
この第2実施形態においては、図3に示すように、脱水装置1は、被処理流体を第1のタンク2から第2のタンク3へ流すための第1のライン41と、被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ流すための第2のライン42とを備えている。
【0046】
図3に示すように、第1のライン41は、第1のタンク2の近傍の位置に配置された第1のポンプ61を備え、第2のライン42は、第2のタンク3の近傍の位置に配置された第2のポンプ62を備えている。
第1のポンプ61及び第2のポンプ62は、制御手段5に接続されている。第1のポンプ61は、制御手段5の制御に基づいて第1のタンク2内の被処理流体を第2のタンク3に向かって流すようになっている。第2のポンプ62もまた、制御手段5の制御に基づいて第2のタンク3内の被処理流体を第1のタンク2に向かって流すようになっている。
【0047】
図3に示すように、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、第1のライン41上において並列に配設されている。また、第1のライン41には、第1のポンプ61と複数の水分離膜ユニッ101,102,103,104,・・・,110との間に第1の熱交換器71が配設されている。
一方、本実施形態において、第2のライン42は、水分離膜ユニットや熱交換器を配設しておらず、第2のライン42は、被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ戻す専用のラインとなっている。
【0048】
なお、図3において図示を省略しているが、上述の第1実施形態と同様に、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、膜容器の不具合を検出するための検出器を備えている。
検出器は、制御手段5に接続されており、検出器の検出信号は、制御手段5に送信されるようになっている。制御手段5は、膜容器に不具合が生じたことを示す検出信号を受信すると、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に対応する第1の開閉弁201,202,203,204,・・・,210及び第2の開閉弁301,302,303,304,・・・,310の両方を閉めるように制御する。このような構成により、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110だけをメンテナンス及び交換することが可能となる。
【0049】
次に、本実施形態に係る脱水装置1の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0050】
図3に示すように、まず、第1のタンク2には、被処理流体(粗エタノール水溶液)が供給される。この被処理流体の供給は、間欠的に行われ、第1のタンク2が満量になった時点で一旦終了する。
その後、第1のポンプ61によって、被処理流体が第1のタンク2から第2のタンク3へ向かって流される。
第1のライン41を流れる被処理流体は、第1の熱交換器71によって加熱され、並列に配置された複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に流れる。この際、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4に流入する。
そして、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110を通過した被処理流体は、第2のタンク3に流れることになる。
【0051】
第1のタンク2内の被処理流体が、全て第2のタンク3に流れた後、制御手段5は、第2のタンク3の第2のエタノール濃度計3aによって測定された濃度を受信する。
そして、第2のエタノール濃度計3aによって測定された濃度が所定の濃度に達していない場合には、制御手段5は、第2のポンプ62を制御する。これにより、被処理流体は、第2のライン42を通って第2のタンク3から第1のタンク2へ向かって流れることになる。
その後、第2のタンク3内の全ての被処理流体が第1のタンク2に流れた後、制御手段5は、再び、被処理流体を第1のタンク2から第2のタンク3へ流すように制御する。
以上のような動作を、被処理流体が所定の濃度に達するまで繰り返し行う。そして、最終的に所定の濃度に達した被処理流体は、製品エタノールとして第2のタンク3から回収される。
【0052】
本発明の第2実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、第1のライン41上において並列に配設されているので、水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110で不具合が生じた場合、脱水装置1全体を停止せずに、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110のみをメンテナンス及び交換を行うことができる。したがって、脱水装置1の安定運転が可能となる。
【0053】
また、本発明の第2実施形態に係る脱水装置1によれば、被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ戻すための第2のライン42を備えているので、被処理流体を水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に繰り返し通過させることによって、被処理流体を所定の濃度まで確実に脱水することができる。
また、本発明の第2実施形態に係る脱水装置1によれば、第1のライン41と第2のライン42の2つのラインを設けることで被処理流体の流れが一方向となるので、装置の構成をより簡略化することができる。また、第1のタンク2の被処理流体が流れ終わる前に、第2のライン42を用いて被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ向かって流せるので、1つのラインだけで被処理流体を往復させる構成に比べて第2のタンク3の容量を小さくすることができる。
【0054】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る脱水装置1を、図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の第3実施形態に係る脱水装置1の全体を示した模式図である。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0055】
この第3実施形態においては、図4に示すように、脱水装置1は、被処理流体を第1のタンク2から第2のタンク3へ流すための第1のライン41と、被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ流すための第2のライン42とを備えている。
【0056】
図4に示すように、第1のライン41は、第1のタンク2の近傍の位置に配置された第1のポンプ61を備え、第2のライン42は、第2のタンク3の近傍の位置に配置された第2のポンプ62を備えている。
第1のポンプ61及び第2のポンプ62は、制御手段5に接続されている。第1のポンプ61は、制御手段5の制御に基づいて第1のタンク2内の被処理流体を第2のタンク3に向かって流すようになっている。第2のポンプ62もまた、制御手段5の制御に基づいて第2のタンク3内の被処理流体を第1のタンク2に向かって流すようになっている。
【0057】
図4に示すように、本実施形態においては、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110が、第1のユニット群101,102,・・・,105と、第2のユニット群106,107,・・・,110とに分割されている。そして、第1のユニット群101,102,・・・,105が、第1のライン41において並列に配設され、第2のユニット群106,107,・・・,110が、第2のライン42において並列に配設されている。
【0058】
図4に示すように、第1のライン41には、第1のポンプ61と第1のユニット群101,102,・・・,105との間に第1の熱交換器71が配設されている。一方、第2のライン42には、第2のポンプ62と第2のユニット群106,107,・・・,110との間に第2の熱交換器72が配設されている。
【0059】
なお、図4において図示を省略しているが、上述の第1実施形態と同様に、各水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110は、膜容器の不具合を検出するための検出器を備えている。
検出器は、制御手段5に接続されており、検出器の検出信号は、制御手段5に送信されるようになっている。制御手段5は、膜容器に不具合が生じたことを示す検出信号を受信すると、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に対応する第1の開閉弁201,202,203,204,・・・,210及び第2の開閉弁301,302,303,304,・・・,310の両方を閉めるように制御する。このような構成により、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110だけをメンテナンス及び交換することが可能となる。
【0060】
次に、本実施形態に係る脱水装置1の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0061】
図4に示すように、まず、第1のタンク2には、被処理流体(粗エタノール水溶液)が供給される。この被処理流体の供給は、間欠的に行われ、第1のタンク2が満量になった時点で一旦終了する。
その後、第1のポンプ61によって、被処理流体が第1のタンク2から第2のタンク3へ向かって流される。
第1のライン41を流れる被処理流体は、第1の熱交換器71によって加熱され、並列に配置された第1のユニット群101,102,・・・,105に流れる。この際、第1のユニット群101,102,・・・,105において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4に流入する。
そして、第1のユニット群101,102,・・・,105を通過した被処理流体は、第2のタンク3に流れることになる。
【0062】
第1のタンク2内の全ての被処理流体が第2のタンク3に流れた後、制御手段5は、第2のタンク3の第2のエタノール濃度計3aによって測定された濃度を受信する。
そして、第2のエタノール濃度計3aによって測定された濃度が所定の濃度に達していない場合には、制御手段5は、第2のポンプ62を制御する。これにより、被処理流体は、第2のライン42を通って第2のタンク3から第1のタンク2へ向かって流れることになる。
第2のライン42を流れる被処理流体は、第2の熱交換器72によって加熱され、並列に配置された第2のユニット群106,107,・・・,110に流れる。この際、第2のユニット群106,107,・・・,110において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4に流入する。
そして、第2のユニット群106,107,・・・,110を通過した被処理流体は、第1のタンク2に流れることになる。
以上のような動作を、被処理流体が所定の濃度に達するまで繰り返し行う。そして、最終的に所定の濃度に達した被処理流体は、製品エタノールとして第2のタンク3から回収される。
【0063】
本発明の第3実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110が、第1のユニット群101,102,・・・,105と、第2のユニット群106,107,・・・,110とに分割され、第1のユニット群101,102,・・・,105が、第1のライン41において並列に配設され、第2のユニット群106,107,・・・,110が、第2のライン42において並列に配設されているので、水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110で不具合が生じた場合、脱水装置1全体を停止せずに、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110のみをメンテナンス及び交換を行うことができる。したがって、脱水装置1の安定運転が可能となる。
【0064】
また、本発明の第2実施形態に係る脱水装置1によれば、被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ戻すための第2のライン42を備えているので、被処理流体を水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110に繰り返し通過させることによって、被処理流体を所定の濃度まで確実に脱水することができる。
また、本発明の第2実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,110を2つのユニット群に分割しているので、被処理流体の流速の低下が抑制され、膜容器において水の分離性能の低下を抑えることができる。
【0065】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態に係る脱水装置1を、図面を参照しながら説明する。図5は、本発明の第4実施形態に係る脱水装置1の全体を示した模式図である。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0066】
この第4実施形態においては、図5に示すように、脱水装置1は、第1のタンク2と第2のタンク3との間に配置された中間タンク9を備えている。中間タンク9は、被処理流体を第1のタンク2から第2のタンク3へ流すための第1のライン41と、被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ流すための第2のライン42との両方に接続されている。
図5に示すように、第1のライン41は、被処理流体を第1のタンク2から中間タンク9へ流すための上流側流体ライン41Aと、被処理流体を中間タンク9から第2のタンク3へ流すための下流側流体ライン41Bとから構成されている。
また、第2のライン42は、被処理流体を第2のタンク3から中間タンク9へ流すための上流側流体ライン42Aと、被処理流体を中間タンク9から第1のタンク2へ流すための下流側流体ライン42Bとから構成されている。
なお、図5には、1つの中間タンク9を設置した実施形態が示されているが、中間タンクを2つ以上設置してもよい。中間タンクを2つ以上設置した場合には、それぞれの中間タンクの間に水分離膜ユニットを並列に設置できる。
【0067】
図5に示すように、第1のライン41の上流側流体ライン41Aは、第1のタンク2の近傍の位置に配置された第1のポンプ61を備え、第1のライン41の下流側流体ライン41Bは、中間タンク9の近傍の位置に配置された第2のポンプ62を備えている。
また、第2のライン42の上流側流体ライン42Aは、第2のタンク3の近傍の位置に配置された第3のポンプ63を備え、第2のライン42の下流側流体ライン42Bは、中間タンク9の近傍の位置に配置された第4のポンプ64を備えている。
【0068】
この第4実施形態においては、図5に示すように、脱水装置1は、20個の水分離膜ユニット101,・・・,120を備えている。複数の水分離膜ユニット101,・・・,120は、第1のユニット群101,102,・・・,105と、第2のユニット群106,107,・・・,110と、第3のユニット群111,112,・・・,115と、第4のユニット群116,117,・・・,120とに分割されている。
【0069】
図5に示すように、第1のユニット群101,102,・・・,105が、第1のライン41の上流側流体ライン41Aにおいて並列に配設され、第2のユニット群106,107,・・・,110が、第1のライン41の下流側流体ライン41Bにおいて並列に配設されている。
また、第3のユニット群111,112,・・・,115が、第2のライン42の下流側流体ライン42Bにおいて並列に配設され、第4のユニット群116,117,・・・,120が、第2のライン42の上流側流体ライン42Aにおいて並列に配設されている。
【0070】
図5に示すように、第1のライン41の上流側流体ライン41Aには、第1のポンプ61と第1のユニット群101,102,・・・,105との間に第1の熱交換器71が配設されている。また、第1のライン41の下流側流体ライン41Bには、第2のポンプ62と第2のユニット群106,107,・・・,110との間に第2の熱交換器72が配設されている。
また、第2のライン42の上流側流体ライン42Aには、第3のポンプ63と第4のユニット群116,117,・・・,120との間に第3の熱交換器73が配設されている。また、第2のライン42の下流側流体ライン42Bには、第4のポンプ64と第3のユニット群111,112,・・・,115との間に第4の熱交換器74が配設されている。
【0071】
図5に示すように、脱水装置1は、被処理流体から分離された水が流入する第3のタンク4A及び第4のタンク4Bを備えている。
図5に示すように、第1のユニット群101,102,・・・,105及び第3のユニット群111,112,・・・,115は、蒸気弁を介して第3のタンク4Aに接続されており、第1のユニット群101,102,・・・,105及び第3のユニット群111,112,・・・,115において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4Aに流入するようになっている。
また、第2のユニット群106,107,・・・,110及び第4のユニット群116,117,・・・,120は、蒸気弁を介して第4のタンク4Bに接続されており、第2のユニット群106,107,・・・,110及び第4のユニット群116,117,・・・,120において引き抜かれた水蒸気は、第4のタンク4Bに流入するようになっている。
【0072】
この第4実施形態においては、図5に示すように、第2のライン42は、バイパスライン10を備えている。バイパスライン10は、第2のライン42の上流側流体ライン42Aに分岐弁(図示せず)を介して連結されている。
図5に示すように、バイパスライン10は、第2のライン42の上流側流体ライン42Aと第1のタンク2とを接続するものである。バイパスライン10は、第3のユニット群111,112,・・・,115及び第4のユニット群116,117,・・・,120の2つのユニット群を迂回して、第2のタンク3から流れた被処理流体を直接第1のタンク2へ流すようになっている。
なお、本実施形態では、中間タンクが1つであるため、バイパスライン10を第2のライン42上の2つのユニット群を迂回するように設けている。一方、中間タンクを複数設けた場合には、バイパスラインは、第2のライン42上の1つ以上のユニット群を迂回して中間タンクに接続するように設けることができる。
【0073】
なお、図5において図示を省略しているが、上述の第1実施形態と同様に、脱水装置1は、脱水装置1の全体の動作を制御するための制御手段を備えている。制御手段は、第1ないし第4のポンプ61,62,63,64と、第1の開閉弁201,・・・,220と、第2の開閉弁301,・・・,320とを制御するようになっている。
また、図示を省略しているが、各水分離膜ユニット101,・・・,120は、膜容器の不具合を検出するための検出器を備えており、検出器は、制御手段に接続されている。制御手段は、膜容器に不具合が生じたことを示す検出信号を受信すると、不具合が生じた水分離膜ユニット101,・・・,120に対応する第1の開閉弁201・・・,220及び第2の開閉弁301,・・・,320の両方を閉めるように制御する。このような構成により、不具合が生じた水分離膜ユニット101,・・・,120だけをメンテナンス及び交換することが可能となる。
【0074】
次に、本実施形態に係る脱水装置1の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0075】
まず、第1のタンク2には、被処理流体(粗エタノール水溶液)が供給される。この被処理流体の供給は、連続的に行われる。
図5に示すように、その後、第1のポンプ61によって、被処理流体が第1のタンク2から中間タンク9に向かって流される。
第1のライン41の上流側流体ライン41Aを流れる被処理流体は、第1の熱交換器71によって加熱され、並列に配置された第1のユニット群101,102,・・・,105に流れる。この際、第1のユニット群101,102,・・・,105において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4Aに流入する。
そして、第1のユニット群101,102,・・・,105を通過した被処理流体は、中間タンク9に流れることになる。
【0076】
次に、第2のポンプ62によって、被処理流体が中間タンク9から第2のタンク3に向かって流される。
第1のライン41の下流側流体ライン41Bを流れる被処理流体は、第2の熱交換器72によって加熱され、並列に配置された第2のユニット群106,107,・・・,110に流れる。この際、第2のユニット群106,107,・・・,110において引き抜かれた水蒸気は、第4のタンク4Bに流入する。
そして、第2のユニット群106,107,・・・,110を通過した被処理流体は、第2のタンク3に流れることになる。
【0077】
次に、制御手段は、第2のタンク3の第2のエタノール濃度計(図示せず)によって測定された濃度を受信する。そして、第2のエタノール濃度計によって測定された濃度が所定の濃度に達していない場合には、制御手段は、第3のポンプ63を制御する。ここで、例えば、制御手段が、現在の濃度に基づいて各ユニット群を何回通過すれば所定の濃度に到達するかを判定する。現在の濃度に基づいて2つのユニット群(第3及び第4のユニット群111,・・・,120)を迂回してもよいと判定した場合、制御手段は、バイパスライン10と第2のライン42の上流側流体ライン42Aとの間の分岐弁を制御し、被処理流体が、バイパスライン10を流れるようにする。そうでない場合は、制御手段は、被処理流体が第2のライン42の上流側流体ライン42Aを流れるようにする。以下は、被処理流体が第2のライン42の上流側流体ライン42Aを流れる場合の動作である。
第2のライン42の上流側流体ライン42Aを流れる被処理流体は、第3の熱交換器73によって加熱され、並列に配置された第4のユニット群116,117,・・・,120に流れる。この際、第4のユニット群116,117,・・・,120において引き抜かれた水蒸気は、第4のタンク4Bに流入する。
そして、第4のユニット群116,117,・・・,120を通過した被処理流体は、中間タンク9に流れることになる。
【0078】
次に、第4のポンプ64によって、被処理流体が中間タンク9から第1のタンク2に向かって流される。
第2のライン42の下流側流体ライン42Bを流れる被処理流体は、第4の熱交換器74によって加熱され、並列に配置された第3のユニット群111,112,・・・,115に流れる。この際、第3のユニット群111,112,・・・,115において引き抜かれた水蒸気は、第3のタンク4Aに流入する。
そして、第3のユニット群111,112,・・・,115を通過した被処理流体は、第1のタンク2に流れることになる。
以上のような動作を、被処理流体が所定の濃度に達するまで繰り返し行う。そして、最終的に所定の濃度に達した被処理流体は、製品エタノールとして第2のタンク3から回収される。
【0079】
本発明の第4実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,・・・,120は、第1のユニット群101,102,・・・,105と、第2のユニット群106,107,・・・,110と、第3のユニット群111,112,・・・,115と、第4のユニット群116,117,・・・,120とに分割され、第1のユニット群101,102,・・・,105が、第1のライン41の上流側流体ライン41Aにおいて並列に配設され、第2のユニット群106,107,・・・,110が、第1のライン41の下流側流体ライン41Bにおいて並列に配設され、第3のユニット群111,112,・・・,115が、第2のライン42の下流側流体ライン42Bにおいて並列に配設され、第4のユニット群116,117,・・・,120が、第2のライン42の上流側流体ライン42Aにおいて並列に配設されているので、水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,120で不具合が生じた場合、脱水装置1全体を停止せずに、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,120のみをメンテナンス及び交換を行うことができる。したがって、脱水装置1の安定運転が可能となる。
【0080】
また、本発明の第4実施形態に係る脱水装置1によれば、第2のライン42は、バイパスライン10を備え、バイパスライン10は、第3のユニット群111,112,・・・,115及び第4のユニット群116,117,・・・,120の2つのユニット群を迂回して、第2のタンク3から流れた被処理流体を直接第1のタンク2へ流すようになっているので、被処理流体を膜容器ユニットに通過させる回数を適宜変更することができ、被処理流体の濃度を細かく調整することができる。
【0081】
また、本発明の第4実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,・・・,120を4つのユニット群に分割しているので、被処理流体の流速の低下が抑制され、膜容器において水の分離性能の低下を抑えることができる。
また、本発明の第4実施形態に係る脱水装置1によれば、脱水装置1は、第1のタンク2と第2のタンク3との間に配置された中間タンク9を備えている。これにより、被処理流体を中間タンク9でも貯留できるので、被処理流体を第1のタンク2に連続して供給して脱水装置1全体の運転を行うことができる。
本発明の第4実施形態に係る脱水装置1によれば、原料のエタノール水溶液を脱水装置1に連続的に供給し、製品エタノールを連続的に回収することができる。
【0082】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態に係る脱水装置1を、図面を参照しながら説明する。図6は、本発明の第5実施形態に係る脱水装置1の全体を示した模式図である。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の部分については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0083】
この第5実施形態においては、図6に示すように、脱水装置1は、第1のタンク2と第2のタンク3との間に第1の中間タンク9A及び第2の中間タンク9Bを備えている。第1の中間タンク9A及び第2の中間タンク9Bは、被処理流体を第1のタンク2から第2のタンク3へ流すための第1のライン41と、被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ流すための第2のライン42との両方に接続されている。また、第1の中間タンク9A及び第2の中間タンク9Bは、被処理流体のエタノール濃度を測定するためのエタノール濃度計(図示せず)を備えている。
【0084】
図6に示すように、第1のライン41は、被処理流体を第1のタンク2から第1の中間タンク9Aへ流すための上流側流体ライン41Aと、被処理流体を第1の中間タンク9Aから第2の中間タンク9Bへ流すための中間流体ライン41Bと、被処理流体を第2の中間タンク9Bから第2のタンク3へ流すための下流側流体ライン41Cとから構成されている。
【0085】
また、第2のライン42は、被処理流体を第2のタンク3から第2の中間タンク9Bへ流すための上流側流体ライン42Aと、被処理流体を第2の中間タンク9Bから第1の中間タンク9Aへ流すための中間流体ライン42Bと、被処理流体を第1の中間タンク9Aから第1のタンク2へ流すための下流側流体ライン42Cとから構成されている。
なお、図6には、2つの中間タンク(第1の中間タンク9A及び第2の中間タンク9B)を設置した実施形態が示されているが、中間タンクを3つ以上設置してもよい。中間タンクを3つ以上設置した場合には、それぞれの中間タンクの間に水分離膜ユニットを並列に設置できる。
【0086】
図6に示すように、第1のライン41の上流側流体ライン41Aは、第1のタンク2の近傍の位置に配置された第1のポンプ61を備え、第1のライン41の中間流体ライン41Bは、第1の中間タンク9Aの近傍の位置に配置された第2のポンプ62を備え、第1のライン41の下流側流体ライン41Cは、第2の中間タンク9Bの近傍の位置に配置された第2のポンプ63を備えている。
【0087】
また、第2のライン42の上流側流体ライン42Aは、第2のタンク3の近傍の位置に配置された第4のポンプ64を備え、第2のライン42の中間流体ライン42Bは、第2の中間タンク9Bの近傍の位置に配置された第5のポンプ65を備え、第2のライン42の下流側流体ライン42Cは、第1の中間タンク9Aの近傍の位置に配置された第6のポンプ66を備えている。
【0088】
この第5実施形態においては、図6に示すように、脱水装置1は、30個の水分離膜ユニット101,・・・,130を備えている。複数の水分離膜ユニット101,・・・,130は、第1のユニット群101,102,・・・,105と、第2のユニット群106,107,・・・,110と、第3のユニット群111,112,・・・,115と、第4のユニット群116,117,・・・,120と、第5のユニット群121,122,・・・,125と、第6のユニット群126,127,・・・,130とに分割されている。
【0089】
図6に示すように、第1のユニット群101,102,・・・,105が、第1のライン41の上流側流体ライン41Aにおいて並列に配設され、第2のユニット群106,107,・・・,110が、第1のライン41の中間流体ライン41Bにおいて並列に配設され、第3のユニット群111,107,・・・,115が、第1のライン41の下流側流体ライン41Cにおいて並列に配設されている。
また、第4のユニット群116,117,・・・,120が、第2のライン42の下流側流体ライン42Cにおいて並列に配設され、第5のユニット群121,122,・・・,125が、第2のライン42の中間流体ライン42Bにおいて並列に配設され、第6のユニット群126,127,・・・,130が、第2のライン42の上流側流体ライン42Aにおいて並列に配設されている。
【0090】
図6に示すように、第1のライン41の上流側流体ライン41Aには、第1のポンプ61と第1のユニット群101,102,・・・,105との間に第1の熱交換器71が配設されている。また、第1のライン41の中間流体ライン41Bには、第2のポンプ62と第2のユニット群106,107,・・・,110との間に第2の熱交換器72が配設されている。また、第1のライン41の下流側流体ライン41Cには、第3のポンプ63と第3のユニット群111,112,・・・,115との間に第3の熱交換器73が配設されている。
また、第2のライン42の上流側流体ライン42Aには、第3のポンプ63と第6のユニット群126,127,・・・,130との間に第4の熱交換器74が配設されている。また、第2のライン42の中間流体ライン42Bには、第5のポンプ65と第5のユニット群121,122,・・・,125との間に第5の熱交換器75が配設されている。また、第2のライン42の下流側流体ライン42Cには、第6のポンプ66と第4のユニット群116,117,・・・,120との間に第6の熱交換器76が配設されている。
【0091】
この第5実施形態においては、図6に示すように、第2のライン42は、第1のバイパスライン11と、第2のバイパスライン12とを備えている。
第1のバイパスライン11は、第2のライン42の中間流体ライン42Bに分岐弁(図示せず)を介して連結されている。図6に示すように、第1のバイパスライン11は、第2のライン42の中間流体ライン42Bと第1のタンク2とを接続するものである。第1のバイパスライン11は、第4のユニット群116,117,・・・,120及び第5のユニット群121,122,・・・,125の2つのユニット群を迂回して、第2の中間タンク9Bから流れた被処理流体を直接第1のタンク2へ流すようになっている。
第2のバイパスライン12は、第2のライン42の上流側流体ライン42Aに分岐弁(図示せず)を介して連結されている。図6に示すように、第2のバイパスライン12は、第2のライン42の上流側流体ライン42Aと第1の中間タンク9Aとを接続するものである。第2のバイパスライン12は、第5のユニット群121,122,・・・,125及び第6のユニット群126,127,・・・,130の2つのユニット群を迂回して、第2のタンク3から流れた被処理流体を直接第1の中間タンク9Aへ流すようになっている。
なお、本実施形態では、第1及び第2のバイパスライン11,12が、第2のライン42上の2つのユニット群を迂回するようになっているが、中間タンクを複数設けた場合には、バイパスラインは、第2のライン42上の1つ以上のユニット群を迂回して中間タンクに接続するように設けることができる。
【0092】
さらに、図6において図示を省略しているが、上述の第4実施形態と同様に、脱水装置1は、被処理流体から分離された水が流入する複数のタンクを備えている。各水分離膜ユニット101,・・・,130は、これら複数のタンクに接続されており、各水分離膜ユニット101,・・・,130において引き抜かれた水蒸気は、これらのタンクに流入するようになっている。
【0093】
さらに、図6において図示を省略しているが、上述の第1実施形態と同様に、脱水装置1は、脱水装置1の全体の動作を制御するための制御手段を備えている。制御手段は、第1ないし第6のポンプ61,62,63,64,65,66と、第1の開閉弁201,・・・,230と、第2の開閉弁301,・・・,330とを制御するようになっている。
また、図示を省略しているが、各水分離膜ユニット101,・・・,130は、膜容器の不具合を検出するための検出器を備えており、検出器は、制御手段に接続されている。制御手段は、膜容器に不具合が生じたことを示す検出信号を受信すると、不具合が生じた水分離膜ユニット101,・・・,130に対応する第1の開閉弁201・・・,230及び第2の開閉弁301,・・・,330の両方を閉めるように制御する。このような構成により、不具合が生じた水分離膜ユニット101,・・・,130だけをメンテナンス及び交換することが可能となる。
【0094】
次に、本実施形態に係る脱水装置1の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0095】
まず、第1のタンク2には、被処理流体(粗エタノール水溶液)が供給される。この被処理流体の供給は、連続的に行われる。
図6に示すように、その後、第1のポンプ61によって、被処理流体が第1のタンク2から第1の中間タンク9Aに向かって流される。
第1のライン41の上流側流体ライン41Aを流れる被処理流体は、第1の熱交換器71によって加熱され、並列に配置された第1のユニット群101,102,・・・,105に流れる。そして、第1のユニット群101,102,・・・,105を通過した被処理流体は、第1の中間タンク9Aに流れることになる。
【0096】
次に、第2のポンプ62によって、被処理流体が第1の中間タンク9Aから第2の中間タンク9Bに向かって流される。
第1のライン41の中間流体ライン41Bを流れる被処理流体は、第2の熱交換器72によって加熱され、並列に配置された第2のユニット群106,107,・・・,110に流れる。そして、第2のユニット群106,107,・・・,110を通過した被処理流体は第2の中間タンク9Bに流れることになる。
【0097】
次に、第3のポンプ63によって、被処理流体が第2の中間タンク9Bから第2のタンク3に向かって流される。
第1のライン41の下流側流体ライン41Cを流れる被処理流体は、第3の熱交換器73によって加熱され、並列に配置された第3のユニット群111,112,・・・,115に流れる。そして、第3のユニット群111,112,・・・,115を通過した被処理流体は第2のタンク3に流れることになる。
【0098】
次に、制御手段は、第2のタンク3の第2のエタノール濃度計(図示せず)によって測定された濃度を受信する。そして、第2のエタノール濃度計によって測定された濃度が所定の濃度に達していない場合には、制御手段は、第4のポンプ64を制御する。ここで、例えば、制御手段が、現在の濃度に基づいて各ユニット群を何回通過すれば所定の濃度に到達するかを判定する。現在の濃度に基づいて2つのユニット群(第5及び第6のユニット群121,・・・,130)を迂回してもよいと判定した場合、制御手段は、第2のバイパスライン12と第2のライン42の上流側流体ライン42Aとの間の分岐弁を制御し、被処理流体が、第2のバイパスライン12を流れるようにする。そうでない場合は、制御手段は、被処理流体が第2のライン42の上流側流体ライン42Aを流れるようにする。以下は、被処理流体が第2のライン42の上流側流体ライン42Aを流れる場合の動作である。
第2のライン42の上流側流体ライン42Aを流れる被処理流体は、第4の熱交換器74によって加熱され、並列に配置された第6のユニット群126,127,・・・,130に流れる。そして、第6のユニット群126,127,・・・,130を通過した被処理流体は、第2の中間タンク9Bに流れることになる。
【0099】
次に、制御手段は、第2の中間タンク9Bの第2のエタノール濃度計によって測定された濃度を受信し、その後、第5のポンプ65を制御する。ここで、制御手段が、現在の濃度に基づいて各ユニット群を何回通過すれば所定の濃度に到達するかを判定する。現在の濃度に基づいて2つのユニット群(第4及び第5のユニット群116,・・・,125)を迂回してもよいと判定した場合、制御手段は、第1のバイパスライン11と第2のライン42の中間流体ライン42Bとの間の分岐弁を制御し、被処理流体が、第1のバイパスライン11を流れるようにする。そうでない場合は、制御手段は、被処理流体が第2のライン42の中間流体ライン42Bを流れるようにする。以下は、被処理流体が第2のライン42の中間流体ライン42Bを流れる場合の動作である。
第2のライン42の中間流体ライン42Bを流れる被処理流体は、第5の熱交換器75によって加熱され、並列に配置された第5のユニット群121,122,・・・,125に流れる。そして、第5のユニット群121,122,・・・,125を通過した被処理流体は、第1の中間タンク9Aに流れることになる。
【0100】
次に、第6のポンプ66によって、被処理流体が第1の中間タンク9Aから第1のタンク2に向かって流される。
第2のライン42の下流側流体ライン42Cを流れる被処理流体は、第6の熱交換器76によって加熱され、並列に配置された第4のユニット群116,117,・・・,120に流れる。そして、第4のユニット群116,117,・・・,120を通過した被処理流体は、第1のタンク2に流れることになる。
以上のような動作を、被処理流体が所定の濃度に達するまで繰り返し行う。そして、最終的に所定の濃度に達した被処理流体は、製品エタノールとして第2のタンク3から回収される。
【0101】
本発明の第5実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,・・・,130は、第1のユニット群101,102,・・・,105と、第2のユニット群106,107,・・・,110と、第3のユニット群111,112,・・・,115と、第4のユニット群116,117,・・・,120と、第5のユニット群121,122,・・・,125と、第6のユニット群126,127,・・・,130とに分割され、第1のユニット群101,102,・・・,105が、第1のライン41の上流側流体ライン41Aにおいて並列に配設され、第2のユニット群106,107,・・・,110が、第1のライン41の中間流体ライン41Bにおいて並列に配設され、第3のユニット群111,107,・・・,115が、第1のライン41の下流側流体ライン41Cにおいて並列に配設され、第4のユニット群116,117,・・・,120が、第2のライン42の下流側流体ライン42Cにおいて並列に配設され、第5のユニット群121,122,・・・,125が、第2のライン42の中間流体ライン42Bにおいて並列に配設され、第6のユニット群126,127,・・・,130が、第2のライン42の上流側流体ライン42Aにおいて並列に配設されているので、水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,130で不具合が生じた場合、脱水装置1全体を停止せずに、不具合が生じた水分離膜ユニット101,102,103,104,・・・,130のみをメンテナンス及び交換を行うことができる。したがって、脱水装置1の安定運転が可能となる。
【0102】
また、本発明の第5実施形態に係る脱水装置1によれば、第2のライン42は、第1のバイパスライン11と、第2のバイパスライン12とを備え、第1のバイパスライン11は、第4のユニット群116,117,・・・,120及び第5のユニット群121,122,・・・,125の2つのユニット群を迂回して、第2の中間タンク4Bから流れた被処理流体を直接第1のタンク2へ流すようになっており、第2のバイパスライン12は、第5のユニット群121,122,・・・,125及び第6のユニット群126,127,・・・,130の2つのユニット群を迂回して、第2のタンク3から流れた被処理流体を直接第1の中間タンク4Aへ流すようになっているので、被処理流体を膜容器ユニットに通過させる回数を適宜変更することができ、被処理流体の濃度を細かく調整することができる。
【0103】
また、本発明の第5実施形態に係る脱水装置1によれば、複数の水分離膜ユニット101,・・・,130を6つのユニット群に分割しているので、被処理流体の流速の低下が抑制され、膜容器において水の分離性能の低下を抑えることができる。
また、本発明の第5実施形態に係る脱水装置1によれば、脱水装置1は、第1のタンク2と第2のタンク3との間に第1の中間タンク9A及び第2の中間タンク9Bを備えている。これにより、被処理流体を第1の中間タンク9A及び第2の中間タンク9Bでも貯留できるので、被処理流体を第1のタンク2に連続して供給して脱水装置1全体の運転を行うことができる。
本発明の第5実施形態に係る脱水装置1によれば、原料のエタノール水溶液を脱水装置1に連続的に供給し、製品エタノールを連続的に回収することができる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0105】
第1ないし第3実施形態では、10個の水分離膜ユニットを使用し、第4実施形態では、20個の水分離膜ユニットを使用し、第5実施形態では、30個の水分離膜ユニットを使用しているが、この数に限定されず、水分離膜ユニットの数は被処理流体の流量などに合わせて適宜変更してよい。
【0106】
第4及び第5実施形態では、流体ラインごとに熱交換器を設置しているが、被処理流体の温度変化が小さい場合には、全ての流体ラインに熱交換器を設置する必要はない。
【0107】
第5実施形態では、第1のバイパスライン11及び第2のバイパスライン12は、水分離膜ユニットの2つのユニット群を迂回するように設けられているが、このようなバイパスラインだけに限定されず、3つのユニット群を迂回して被処理流体を第2のタンク3から第1のタンク2へ直接流すようなバイパスラインを設けてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 脱水装置
2 第1のタンク
3 第2のタンク
2a,3a エタノール濃度計
4 第3のタンク
5 制御手段
9,9A,9B 中間タンク
10,11,12 バイパスライン
41 第1のライン
42 第2のライン
41A,41B,41C 第1のラインの流体ライン(第1流体ライン)
42A,42B,42C 第2のラインの流体ライン(第2流体ライン)
61,62,63,64,65,66 ポンプ
71,72,73,74,75,76 熱交換器
81,82 バイパス管
101,・・・,130 水分離膜ユニット(膜容器ユニット)
101a,・・・,110a 検出器
201,・・・,230 第1の開閉弁
301,・・・,330 第2の開閉弁



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理流体から水を分離する脱水装置であって、
水を分離する前の前記被処理流体を貯留する第1のタンクと、
水を分離した後の前記被処理流体が流入する第2のタンクと、
前記被処理流体から水を分離するための分離膜を有し、前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間において前記被処理流体の流れ方向に沿って並列に配設された複数の膜容器ユニットとを備え、
前記被処理流体が、前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間を往復するように構成され、前記被処理流体が、前記複数の膜容器ユニットを複数回通過するようになっていることを特徴とする脱水装置。
【請求項2】
前記被処理流体を前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間で往復させる第1のラインを備え、
前記複数の膜容器ユニットが、前記第1のラインにおいて並列に配設され、
前記被処理流体が、前記第1のライン上の前記複数の膜容器ユニットを通って前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れ、前記第1のタンク内の前記被処理流体が空になった後に、前記被処理流体が、前記第1のライン上の前記複数の膜容器ユニットを通って前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流れるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の脱水装置。
【請求項3】
前記被処理流体を前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流すための第1のラインと、
前記被処理流体を前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流すための第2のラインとを備え、
前記複数の膜容器ユニットが、前記第1のラインにおいて並列に配設され、
前記被処理流体が、前記第1のライン上の前記複数の膜容器ユニットを通って前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れ、前記第1のタンク内の前記被処理流体が空になった後に、前記被処理流体が、前記第2のラインを通って前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流れるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の脱水装置。
【請求項4】
前記被処理流体を前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流すための第1のラインと、
前記被処理流体を前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流すための第2のラインとを備え、
前記複数の膜容器ユニットが、前記第1のラインにおいて並列に配設された第1のユニット群と、前記第2のラインにおいて並列に配設された第2のユニット群とに分割され、
前記被処理流体が、前記第1のライン上の前記第1のユニット群を通って前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れ、前記第1のタンク内の前記被処理流体が空になった後に、前記被処理流体が、前記第2のライン上の前記第2のユニット群を通って前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流れるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の脱水装置。
【請求項5】
前記被処理流体を前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流すための第1のラインと、
前記被処理流体を前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流すための第2のラインと、
前記第1のタンクと前記第2のタンクとの間に配置され、前記第1のラインと前記第2のラインとの両方に接続された少なくとも1つの中間タンクとを備え、
前記第1のラインが、前記中間タンクを間に挟むように複数の第1流体ラインに分割されるとともに、前記第2のラインが、前記中間タンクを間に挟むように複数の第2流体ラインに分割され、
前記複数の膜容器ユニットが、前記第1流体ライン及び前記第2流体ラインの総数と同じ数のユニット群に分割され、前記複数の膜容器ユニットの各ユニット群は、前記第1及び第2流体ラインのそれぞれにおいて並列に配設され、
前記被処理流体が、前記第1のライン上の各ユニット群と前記中間タンクとを順次通過して前記第1のタンクから前記第2のタンクへ流れ、前記被処理流体が、前記第2のライン上の各ユニット群と前記中間タンクとを順次通過して前記第2のタンクから前記第1のタンクへ流れるようになっており、
前記第2のラインは、少なくとも1つのバイパスラインを備え、該バイパスラインは、前記第2のライン上のユニット群のうち1つ以上のユニット群を迂回して前記被処理流体を前記中間タンク又は前記第1のタンクへ戻すようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−55833(P2012−55833A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201860(P2010−201860)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】