説明

脱硝制御方法及びそれに使用される触媒反応塔

【課題】アンモニアの過剰注入を抑制しつつ、NOx量が急激に変動した場合でも煙突出口NOx濃度を規制値以下に抑えることが可能な脱硝制御方法及びそれに使用される触媒反応塔を提供する。
【解決手段】プラント設備から排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)の分解処理が行われる触媒反応塔15に注入されるアンモニア量の制御を行うことにより、排ガスを排出する煙突出口における煙突出口NOx濃度を低減する脱硝制御方法において、触媒反応塔15内のリークアンモニアの濃度を測定するためのアンモニア濃度計24を触媒反応塔15に設置すると共に、煙突出口におけるNOx濃度を測定するためのNOx濃度計を煙突に設置し、触媒反応塔15内のリークアンモニア濃度が煙突出口におけるNOx濃度に応じて算出される値となるように、触媒反応塔15に注入されるアンモニア量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント設備から排出される排ガス中のNOx濃度を低減するための脱硝制御方法及びそれに使用される触媒反応塔に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみなどの廃棄物の処理を行う廃棄物処理設備には、溶融炉や焼却炉などの廃棄物処理炉から排出される排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を除去してNOx濃度を規制値以下とするための排ガス処理設備が備えられている。排ガス処理設備では、排ガス中にアンモニア(NH)を注入してNOxと化学反応させることにより、NOxを窒素と水に分解してNOx濃度を低減させることが行われる。その際、過剰にアンモニアを注入すると、リークアンモニアとして外部に排出され問題となる一方、アンモニア注入量が不足すると、排ガス中のNOx濃度が規制値を超えて問題となる。
【0003】
そのため、処理すべきNOx量に見合った適正なアンモニア量を注入するための脱硝制御方法が種々提案されている。例えば、特許文献1では、脱硝触媒装置(触媒反応塔)入口のNOx濃度が脱硝触媒装置を通過する排ガス量に比例することから、排ガス量に基づいて求めたNOxの分解に必要な量のアンモニアを吹込んで煙突出口NOx濃度を制御する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、処理前のNOx流量と目標とするNOx流量との偏差量に対応した偏差NOx流量を求める工程と、処理後のNOx濃度と目標とするNOx濃度との偏差量に対応したNOx濃度補正量を求める工程と、脱硝設備での実績の脱硝率と目標とする脱硝率との偏差量に対応した脱硝率補正量を求める工程と、処理後の排ガス中のアンモニア濃度と目標とするアンモニア濃度との偏差量に対応したアンモニア濃度補正量を求める工程と、NOx濃度補正量、脱硝率補正量、アンモニア濃度補正量の内少なくとも1つの補正量に基づいて偏差NOx流量を補正した補正NO流量を求める工程と、補正NOx流量に基づいて吹込みアンモニア流量目標値を求めて処理前排ガスに注入するアンモニア流量を制御する工程とを備えた脱硝制御方法が開示されている。
【0005】
さらにまた、特許文献3では、脱硝反応槽(触媒反応塔)の出側に設置したNOx分析計により得られる排ガス中のNOx濃度に基づいて、脱硝反応槽中のアンモニア量が常にアンモニア吸着能力の最大値以内に保持されるように、アンモニアの注入量をON−OFF制御する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−164725号公報
【特許文献2】特開2005−169331号公報
【特許文献3】特開昭55−1858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の制御方法では、脱硝プロセスにおける時間遅れ(数分〜数十分)を考慮していないため、NOx濃度の急激な変動に追随できず制御精度が悪いという問題がある。
一方、特許文献2の制御方法は、脱硝プロセス内の遅れ時間を考慮するむだ時間補正部を備えているが、その効果について開示されていないうえ、制御系が複雑であるという問題がある。
また、特許文献3の制御方法は、吸着アンモニアがバッファとなり脱硝プロセスにおける時間遅れを考慮する必要はないが、NOx濃度が設定値まで上昇した際に電磁弁を開いてアンモニアを注入し、所定時間経過後、電磁弁を閉じるようにしているため、吸着アンモニア量が低下したときにNOx濃度が急激に変動した場合、NOx濃度の急激な変動を処理できず、NOx濃度のピークが規制値を超えるおそれがある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、アンモニアの過剰注入を抑制しつつ、NOx量が急激に変動した場合でも煙突出口NOx濃度を規制値以下に抑えることが可能な脱硝制御方法及びそれに使用される触媒反応塔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、排ガスを排出する煙突出口における窒素酸化物(NOx)濃度のピークが触媒反応塔内に残存する残存アンモニア量に依存することを発見した。図5(A)は従来の排ガス処理設備における触媒反応塔入口及び煙突出口におけるNOx濃度の時刻歴変化、図5(B)はその際のアンモニア吹込量及び触媒反応塔内に残存する残存アンモニア量の時刻歴変化を示したものである。ここで、触媒反応塔内に残存する残存アンモニア量は、(アンモニア吹込量(kg/h)−アンモニア消費量(kg/h))の積算値である。同図より、触媒反応塔内にアンモニアが充分残存していると、煙突出口NOx濃度が低くなりピークが発生しないという知見が得られた。
【0010】
本発明は上記知見に基づくものであり、第1の発明は、プラント設備から排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)の分解処理が行われる触媒反応塔に注入されるアンモニア量の制御を行うことにより、前記排ガスを排出する煙突出口における煙突出口NOx濃度を低減する脱硝制御方法において、
前記触媒反応塔内のリークアンモニアの濃度を測定するためのアンモニア濃度計を該触媒反応塔に設置すると共に、前記煙突出口におけるNOx濃度を測定するためのNOx濃度計を該煙突に設置し、前記触媒反応塔内のリークアンモニア濃度が前記煙突出口におけるNOx濃度に応じて算出される値となるように、前記触媒反応塔に注入されるアンモニア量を制御することを特徴としている。
ここで、「リークアンモニア」とは、触媒反応塔内に配置された触媒に吸着せず、触媒反応塔内で浮遊している余剰アンモニアのことである。
【0011】
触媒反応塔内に残存する残存アンモニア量が、触媒反応塔入口におけるNOx量の最大変動分を処理(NOxを窒素と水に分解してNOx濃度を低減)できる範囲にあれば、NOx量の急激な変動に対して触媒反応塔内の残存アンモニアで処理することができる。
触媒反応塔内に残存する残存アンモニア量は、触媒反応塔内に注入したアンモニア量から、NOxと反応したアンモニア量を減じた分、増減するが、触媒反応塔内の触媒に吸着したアンモニア量とリークアンモニア量の和となる。アンモニア濃度計でリークアンモニアが検出される場合は、アンモニア濃度計より上流側に設置された触媒には、アンモニアが最大吸着量まで吸着していることを示している。
【0012】
第1の発明では、アンモニアがNOxと反応して、触媒に吸着したアンモニア量が減少すると、リークアンモニアが新たに触媒に吸着するため、リークアンモニア濃度が低下するので、触媒反応塔内のリークアンモニア濃度が煙突出口におけるNOx濃度に応じて算出される値となるようにアンモニア注入量を制御することにより、触媒反応塔内に残存する残存アンモニア量を間接的に制御する。
【0013】
また、第1の発明に係る脱硝制御方法では、前記排ガスの流出方向に間隙をあけて多段配置された複数の触媒層を備える前記触媒反応塔の出口に最も近い位置に配置された前記触媒層Aとその1つ手前に配置された前記触媒層Bとの間の間隙に存在するリークアンモニアの濃度、及び/又は前記触媒層Bとその1つ手前に配置された前記触媒層Cとの間の間隙に存在するリークアンモニアの濃度を、前記アンモニア濃度計によって測定することを好適とする。
【0014】
当該構成では、最終段の触媒層の直前までに殆どのNOxを分解処理し、分解処理されていないNOxを最終段の触媒層で分解処理することを意図している。最終段の触媒層の直前に存在するリークアンモニアは最終段の触媒層に吸着するので、触媒反応塔の出口からリークアンモニアが排出されるおそれはない。即ち、当該構成では、最終段の触媒層をバッファ(緩衝領域)として機能させることにより、NOx濃度の低減とリークアンモニアの抑制を図っている。
【0015】
また、第2の発明は、上記脱硝制御方法に使用される触媒反応塔であって、
前記排ガスの流出方向に間隙をあけて多段配置された複数の触媒層を有し、前記排ガスの出口に最も近い位置に配置された前記触媒層Aとその1つ手前に配置された前記触媒層Bとの間の間隙に存在するリークアンモニアの濃度、及び/又は前記触媒層Bとその1つ手前に配置された前記触媒層Cとの間の間隙に存在するリークアンモニアの濃度を測定するアンモニア濃度計を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、触媒反応塔内のリークアンモニア濃度が煙突出口におけるNOx濃度に応じて算出される値となるように、触媒反応塔に注入されるアンモニア量を制御するので、NOx量が急激に変動した場合でも常に適切な量のアンモニアが触媒反応塔内に注入される。その結果、アンモニアの過剰注入を抑制しつつ、煙突出口NOx濃度を常に規制値以下に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】排ガス処理設備の構成の一例を示す模式図である。
【図2】触媒反応塔の模式図である。
【図3】レーザーガス分析計の詳細図である。
【図4】脱硝制御装置のブロック図である。
【図5】(A)は従来の排ガス処理設備における触媒反応塔入口及び煙突出口におけるNOx濃度、(B)はその際のアンモニア吹込量及び触媒反応塔内に残存する残存アンモニア量それぞれの時刻歴変化を示した試験結果のグラフである。
【図6】煙突出口におけるNOx濃度と触媒反応塔内のリークアンモニア濃度の設定値との関係の一例を示すグラフである。
【図7】触媒反応塔内のリークアンモニア濃度の設定値及び煙突出口におけるNOx濃度の各時刻歴変化の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態に付き説明し、本発明の理解に供する。
【0019】
図1は、プラント設備の一例である廃棄物処理設備に備えられている排ガス処理設備の一例を示した模式図である。溶融炉や焼却炉などの廃棄物処理炉(図示省略)から排出された排ガスは、ボイラ11に送られて熱回収された後、排ガス温度調節器12で所定温度まで冷却され、濾過式集塵器13で除塵される。除塵された排ガスは、誘引通風機14により触媒反応塔15に送られ、触媒反応塔15において脱硝された後、煙突16から排出される。なお、煙突16にはNOx濃度計46が設置されており、排ガス中のNOx濃度が常に測定されている。
【0020】
触媒反応塔15では、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)が、触媒反応塔15の内部に配置された触媒層に吸着したアンモニア(NH)と反応して窒素と水に分解する。
誘引通風機14と触媒反応塔15との間に設けられた排ガス管路17にはアンモニア管路21の終端が接続されており、アンモニア管路21の始端に備えられたアンモニア供給装置18からアンモニア管路21を介して送給されたアンモニアは、排ガス管路17内に吹込まれることにより触媒反応塔15内に注入される。
また、アンモニア管路21の経路上には制御弁20が設けられており、後述する(図4に示す)脱硝制御装置25によって制御弁20の開閉度を制御することにより、アンモニアの注入量が調節される。
【0021】
図2に触媒反応塔15の模式図を示す。触媒反応塔15は、入口30及び出口31が縮幅した筒体32と、筒体32の内部に配置された複数の触媒層33、34、35とから概略構成されている。各触媒層33、34、35は筒体32の横断面とほぼ同じ大きさとされ、排ガスの流出方向に間隙36、37をあけて多段配置(本実施の形態では3段配置)されている。各触媒層33、34、35を構成する触媒は、例えばTを主成分とし、活性成分であるV、Wなどが添加されたものが使用できる。
【0022】
本発明の一実施の形態に係る脱硝制御方法では、触媒反応塔15内のリークアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計24として高応答性を有するレーザー式ガス分析計が好適である。
レーザー式ガス分析計は発光装置22と受光装置23とを有し、触媒反応塔15の出口31に最も近い位置に配置された触媒層35とその1つ手前に配置された触媒層34との間に設けられた間隙37に存在するリークアンモニアの濃度を測定できるように設置されている。具体的には、間隙37を囲繞する筒体32の側面部38(筒体32の中心軸を挟んで対称となる位置)に、発光装置22と受光装置23がそれぞれ取り付けられている。発光装置22から放射されたレーザー光は間隙37を横断し、受光装置23で受光される。
【0023】
図3にアンモニア濃度計24の詳細を示す。発光装置22は、触媒反応塔15の側面部38から筒体32内に一端部が挿入された円筒状の筐体42と、筐体42の他端部(自由端部)に取り付けられた発光ボックス40とを備えている。
【0024】
発光ボックス40には、レーザー素子(図示省略)、レーザーを温度制御するペルチェ(図示省略)などが内蔵されている。
また、筐体42の周面部には、計装エアを筐体42内に導入するためのパージ導入口45が設けられている。計装エアはレンズの結露防止やダスト付着防止などのために必要なエアであって、オイルやミストを含まないエアが使用される。
【0025】
受光装置23は、筐体43の自由端部に発光ボックス40ではなく受光ボックス41が取り付けられている点が発光装置22と異なっているが、他の構成は発光装置22と同様である。受光ボックス41には、レーザー光を受光するフォトダイオード(図示省略)などが内蔵されている。
【0026】
このレーザー式ガス分析計は、ガスサンプリング装置が不要なため、メンテナンスが殆ど必要なく、高速応答が可能である。また、測定成分の吸収波長に合った近赤外半導体レーザーを使用しているため、他ガスの干渉による影響を殆ど受けない。
【0027】
次に、本実施の形態に係る脱硝制御方法に使用される脱硝制御装置25について説明する。
脱硝制御装置25は、触媒反応塔15に設置したアンモニア濃度計24、煙突16に設置したNOx濃度計46、並びにアンモニア管路21上に設置したアンモニア流量計19の出力に基づいてアンモニア吹込量を算出して制御弁20の開閉度を制御することにより、煙突出口における煙突出口NOx濃度を低減する。図4に脱硝制御装置25のブロック図を示す。
【0028】
アンモニア流量算出部26では、アンモニア管路21上に設置したアンモニア流量計19の出力に基づいてアンモニア供給装置18から供給されるアンモニア流量を算出する。
【0029】
アンモニア濃度算出部27では、触媒反応塔15に設置したアンモニア濃度計24の出力に基づいて、触媒反応塔15内のリークアンモニア濃度を算出する。
【0030】
NOx濃度算出部47では、煙突16に設置したNOx濃度計46の出力に基づいて、煙突16出口におけるNOx濃度を算出する。そして、リークアンモニア濃度設定部48及びアンモニア吹込強制停止部49に算出値を出力する。
【0031】
リークアンモニア濃度設定部48では、煙突16出口におけるNOx濃度に応じて触媒反応塔15内のリークアンモニア濃度の設定値を算出する。触媒反応塔15内のリークアンモニア濃度が一定となるように制御した場合、煙突16出口においてNOxが検出される場合がある。また、触媒反応塔15からアンモニアがリークすることが無いようにする必要がある。そのため、リークアンモニア濃度設定部48では、例えば図6に示すような、煙突16出口におけるNOx濃度と触媒反応塔15内のリークアンモニア濃度の設定値との関係に基づいて、リークアンモニア濃度の設定値を算出する。
具体的には、NOx濃度が5ppm超以上30ppm以下の場合は、リークアンモニア濃度を5ppmに設定する。また、NOx濃度が5ppm以下の場合は、リークアンモニア濃度を0ppmに設定すると共に、NOx濃度が30ppm超の場合は、リークアンモニア濃度をNOx濃度の1/2に設定する。なお、この例では、煙突16出口におけるNOx濃度の上限値を50ppm、通常範囲を10〜30ppmとしている。
【0032】
アンモニア吹込量算出部28では、リークアンモニア濃度設定部48によって算出されたリークアンモニア濃度の設定値と、アンモニア濃度算出部27によって算出されたリークアンモニア濃度との偏差に比例するアンモニア吹込量の目標値を算出する。
【0033】
アンモニア流量調節部29では、アンモニア流量算出部26により得られたアンモニア吹込量(アンモニア流量)の測定値と、アンモニア吹込量算出部28によって算出されたアンモニア吹込量の目標値との偏差に比例する制御信号を出力し、制御弁20の開閉度を制御する。
【0034】
一方、アンモニア吹込強制停止部49では、煙突16出口におけるNOx濃度が5ppm以下の場合、アンモニア吹込強制停止信号を切替部50に出力する。また、アンモニア吹込強制停止信号を出力した後、煙突16出口におけるNOx濃度が10ppm以上になった場合、アンモニア吹込再開信号を切替部50に出力する。
【0035】
切替部50は、アンモニア流量調節部29と制御弁50との間に設けられている。アンモニア吹込強制停止信号を切替部50が受信した場合は、制御弁20が閉止され、アンモニア吹込再開信号を切替部50が受信した場合は、アンモニア流量調節部29の出力に応じて制御弁20の開閉度が制御される。従って、制御弁20が一旦閉止されると、煙突16出口におけるNOx濃度が5〜10ppmの範囲にある場合、アンモニア流量調節部29は出力しているが、アンモニア吹込量はゼロである。
【0036】
図7は、本実施の形態に係る脱硝制御方法を実施した際における触媒反応塔15内のリークアンモニア濃度の設定値及び煙突16出口におけるNOx濃度の各時刻歴変化の一例を示したものである。この例では、0〜t時の間はNOx濃度が5〜30ppmの範囲にあるため、リークアンモニア濃度は5ppmに設定されていたが、t時においてNOx濃度が5ppm以下となったため、リークアンモニア濃度は0ppmに設定された。その後、t時においてNOx濃度が10ppm以上となったため、リークアンモニア濃度が5ppmに設定され、さらにt時においてNOx濃度が30ppm以上となったため、リークアンモニア濃度はNOx濃度の1/2に設定に設定された。その後、t時においてNOx濃度が30ppm未満となったため、リークアンモニア濃度は5ppmに設定された。
【0037】
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、触媒反応塔内にアンモニア濃度計を1基設置したが、さらに1つ手前の触媒層間にアンモニア濃度計を設置してもよい。また、上記実施の形態では、触媒反応塔内の触媒層は3段としているが、2段でも良いし、或いは4段以上でも良い。さらにまた、アンモニア流量制御は、制御弁に限るものではなく、例えば定量ポンプ等のアンモニア吹込量を制御できる機器であれば良い。
【符号の説明】
【0038】
11:ボイラ、12:排ガス温度調節器、13:濾過式集塵器、14:誘引通風機、15:触媒反応塔、16:煙突、17:排ガス管路、18:アンモニア供給装置、19:アンモニア流量計、20:制御弁、21:アンモニア管路、22:発光装置、23:受光装置、24:アンモニア濃度計、25:脱硝制御装置、26:アンモニア流量算出部、27:アンモニア濃度算出部、28:アンモニア吹込量算出部、29:アンモニア流量調節部、30:入口、31:出口、32:筒体、33、34、35:触媒層、36、37:間隙、38:側面部、40:発光ボックス、41:受光ボックス、42、43:筐体、45:パージ導入口、46:NOx濃度計、47:NOx濃度算出部、48:リークアンモニア濃度設定部、49:アンモニア吹込強制停止部、50:切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント設備から排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)の分解処理が行われる触媒反応塔に注入されるアンモニア量の制御を行うことにより、前記排ガスを排出する煙突出口における煙突出口NOx濃度を低減する脱硝制御方法において、
前記触媒反応塔内のリークアンモニアの濃度を測定するためのアンモニア濃度計を該触媒反応塔に設置すると共に、前記煙突出口におけるNOx濃度を測定するためのNOx濃度計を該煙突に設置し、前記触媒反応塔内のリークアンモニア濃度が前記煙突出口におけるNOx濃度に応じて算出される値となるように、前記触媒反応塔に注入されるアンモニア量を制御することを特徴とする脱硝制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の脱硝制御方法において、前記排ガスの流出方向に間隙をあけて多段配置された複数の触媒層を備える前記触媒反応塔の出口に最も近い位置に配置された前記触媒層Aとその1つ手前に配置された前記触媒層Bとの間の間隙に存在するリークアンモニアの濃度、及び/又は前記触媒層Bとその1つ手前に配置された前記触媒層Cとの間の間隙に存在するリークアンモニアの濃度を、前記アンモニア濃度計によって測定することを特徴とする脱硝制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の脱硝制御方法に使用される触媒反応塔であって、
前記排ガスの流出方向に間隙をあけて多段配置された複数の触媒層を有し、前記排ガスの出口に最も近い位置に配置された前記触媒層Aとその1つ手前に配置された前記触媒層Bとの間の間隙に存在するリークアンモニアの濃度、及び/又は前記触媒層Bとその1つ手前に配置された前記触媒層Cとの間の間隙に存在するリークアンモニアの濃度を測定するアンモニア濃度計を備えていることを特徴とする触媒反応塔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−192345(P2012−192345A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58402(P2011−58402)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】