説明

脱穀機

【課題】 選別室の後方に燃料タンクを配置した脱穀機において、燃料タンクの着脱を容易にする。
【解決手段】 左右の選別室側枠14間に構成される選別室7と、選別室7の後方に配置される燃料タンク15とを備えた脱穀機1において、燃料タンク15の一側部から延出する筒状の給油口15bを、選別室側枠14に形成される貫通孔を介して選別室側枠14の外方に突出させるにあたり、選別室側枠14の貫通孔形成部分を別体のカバー体16で構成すると共に、該カバー体16を着脱自在とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインなどの脱穀機に関し、特に、選別室の後方に燃料タンクを配置した脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
選別室の後方に燃料タンクを配置した脱穀機が知られている。例えば、特許文献1に記載されるコンバインでは、左右選別室側枠間の後部空間に燃料タンクを配置すると共に、燃料タンクの一側部から延出する筒状の給油口を、選別室側枠に形成される貫通孔を介して選別室側枠の外方に突出させている。このような構成によれば、機体側部の低い位置に給油口を設けることができるので、燃料タンクに対する給油作業が容易になるという利点がある。
【特許文献1】特開平11−178421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、燃料タンクは、点検、修理、交換などに際し、機体からの着脱が要求される場合がある。しかしながら、特許文献1に記載されるコンバインでは、燃料タンクの一側部から延出する筒状の給油口が選別室側枠を貫通しているため、給油口が選別室側枠に引っ掛かり、燃料タンクを容易に着脱できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、機体フレームに立設される左右一対の選別室側枠と、左右の選別室側枠間に構成される選別室と、選別室の後方に配置される燃料タンクとを備えた脱穀機において、前記燃料タンクの一側部から延出する筒状の給油口を、選別室側枠に形成される貫通孔を介して選別室側枠の外方に突出させるにあたり、選別室側枠の貫通孔形成部分を別体のカバー体で構成すると共に、該カバー体を着脱自在としたことを特徴とする。このようにすると、選別室側枠の貫通孔形成部分が着脱自在なカバー体で構成されるので、カバー体を外すことにより、選別室側枠に対する給油口の引っ掛かりを解除し、燃料タンクを容易に着脱することが可能になる。
また、前記カバー体は、前端部及び上端部が選別室側枠に取付けられ、かつ、下端部が機体フレームに取付けられることを特徴とする。このようにすると、カバー体を強固に支持できるだけでなく、カバー体を利用して選別室側枠の支持強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図5において、1はコンバインに搭載された脱穀機であって、該脱穀機1は、扱胴(図示せず)を内装する扱室2と、扱室2に沿って茎稈を搬送する脱穀フィードチェン3と、脱穀済みの茎稈を後処理部(例えば、排藁を細断するカッター)4まで搬送する排藁搬送装置5と、扱室2から引き継いだ処理物を単粒化する処理室6と、扱室2や処理室6から漏下した処理物を選別する選別室7と、選別室7に内装され、処理物を揺動選別する揺動選別体8と、該揺動選別体8の前方で選別風を起風する圧風ファン9と、一番物を回収する一番ラセン10と、二番物を回収する二番ラセン11と、揺動選別体8の終端部上方に設けられる排塵ファン12とを備えて構成されている。
【0006】
選別室7の左右両側方は、機体フレーム13に立設される左右一対の選別室側枠(側板)14で覆われる。また、選別室7の後方は、後処理部4によって覆われるが、本実施形態の後処理部4は、一側端部を回動支点として開閉自在に構成されているので、後処理部4の開操作によって選別室7の後方を開放させることができる。
【0007】
本発明の実施形態に係る脱穀機1では、左右選別室側枠14間の後部空間に燃料タンク15が配置されている。具体的には、機体フレーム13の後端部に凹部13aを形成し、該凹部13aに燃料タンク15の底部を落とし込むと共に、燃料タンク15から突出する複数の取付部15aを機体フレーム13に対してボルト止めすることにより、燃料タンク15が機体フレーム13の後端部上で固定される。
【0008】
燃料タンク15は、一側部(左側面部)から斜め上方に延出する筒状の給油口15bを備えている。この給油口15bは、選別室側枠14に形成される貫通孔を介して、選別室側枠14の外方に突出される。このようにすると、機体側部の低い位置に給油口15bを設けることができるので、燃料タンク15に対する給油作業が容易になる。
【0009】
燃料タンク15は、点検、修理、交換などに際し、機体からの着脱が要求される場合があるが、上記のように燃料タンク15の給油口15bが選別室側枠14を貫通していると、給油口15bが選別室側枠14に引っ掛かり、燃料タンク15を容易に着脱できない可能性がある。
【0010】
そこで、本発明の実施形態に係る脱穀機1では、燃料タンク15の一側部から延出する筒状の給油口15bを、選別室側枠14に形成される貫通孔を介して選別室側枠14の外方に突出させるにあたり、選別室側枠14の貫通孔形成部分を別体のカバー体16で構成すると共に、該カバー体16を着脱自在とした。このようにすると、カバー体16を外すことにより、選別室側枠14に対する給油口15bの引っ掛かりを解除できるので、燃料タンク15を容易に着脱することが可能になる。
【0011】
具体的に説明すると、カバー体16は、給油口15bの貫通孔16aを有するプレート状の部材である。本実施形態では、貫通孔16aを給油口15bよりも十分に大きくして給油口15bに対するカバー体16の抜き差しを容易にすると共に、貫通孔16aと給油口15bの隙間をゴムシートなどの可撓性部材17で塞ぐことにより、塵埃の侵入を防止している。
【0012】
また、カバー体16の端縁部には、フランジ部16bが曲げ形成されており、このフランジ部16bが選別室側枠14及び機体フレーム13に対して着脱自在に取付けられる。具体的には、カバー体16の前端部及び上端部に形成されるフランジ部16bを、選別室側枠14に形成されるフランジ部14aにボルト固定すると共に、カバー体16の下端部に形成されるフランジ部16bを、機体フレーム13にボルト固定している。このようにすると、カバー体16を強固に支持できるだけでなく、カバー体16を利用して選別室側枠14の支持強度を高めることができる。
【0013】
次に、燃料タンク15の取り外し手順について、図3〜図5を参照して説明する。
図3に示すように、燃料タンク15を取り外す場合は、まず、カバー体16を取り外す。カバー体16の取り外しは、フランジ部16bのボルトを外した後、給油口15bから引き抜くことにより行われる。
次に、燃料タンク15の機体フレーム13に対する取り付けを外した後、図4に示すように、機体フレーム13の凹部13aから出るまで燃料タンク15を持ち上げる。
その後、図5に示すように、燃料タンク15を後方に引き出すと、燃料タンク15の取り外しが完了する。
【0014】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、左右の選別室側枠14間に構成される選別室7と、選別室7の後方に配置される燃料タンク15とを備えた脱穀機1において、燃料タンク15の一側部から延出する筒状の給油口15bを、選別室側枠14に形成される貫通孔を介して選別室側枠14の外方に突出させるにあたり、選別室側枠14の貫通孔形成部分を別体のカバー体16で構成すると共に、該カバー体16を着脱自在としたので、カバー体16を外すことにより、選別室側枠14に対する給油口15bの引っ掛かりを解除し、燃料タンク15を容易に着脱することが可能になる。
【0015】
また、カバー体16は、前端部及び上端部が選別室側枠14に取付けられ、かつ、下端部が機体フレーム13に取付けられるので、カバー体16を強固に支持できるだけでなく、カバー体16を利用して選別室側枠14の支持強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインに搭載された脱穀機の背面図である。
【図2】コンバインに搭載された脱穀機の側面図である。
【図3】カバー体を外した状態を示す脱穀機の側面図である。
【図4】燃料タンクを持ち上げた状態を示す脱穀機の側面図である。
【図5】燃料タンクを取り出した状態を示す脱穀機の側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 脱穀機
2 扱室
7 選別室
13 機体フレーム
13a 凹部
14 選別室側枠
15 燃料タンク
15b 給油口
16 カバー体
16a 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームに立設される左右一対の選別室側枠と、左右の選別室側枠間に構成される選別室と、選別室の後方に配置される燃料タンクとを備えた脱穀機において、
前記燃料タンクの一側部から延出する筒状の給油口を、選別室側枠に形成される貫通孔を介して選別室側枠の外方に突出させるにあたり、選別室側枠の貫通孔形成部分を別体のカバー体で構成すると共に、該カバー体を着脱自在としたことを特徴とする脱穀機。
【請求項2】
前記カバー体は、前端部及び上端部が選別室側枠に取付けられ、かつ、下端部が機体フレームに取付けられることを特徴とする請求項1記載の脱穀機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−74946(P2007−74946A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264839(P2005−264839)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】