脱穀装置
【課題】脱穀室内に多量の穀稈が供給されたときでも、この脱穀室の移送終端部の脱穀排出口から多量の藁屑、稈切、及びこれらに混入した穀粒等が排出されて三番口飛散粒が多くなり、穀粒ロスが発生するのを防止する。
【解決手段】揺動選別装置（５）における前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上側に上移送棚（９ｃ）を設け、上移送棚（９ｃ）の移送終端側に複数の上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）を設ける。また、脱穀室網（２ｂ）の下端部位置よりも上移送棚（９ｃ）の移送終端部を下側に位置させて設け、前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部と上移送棚（９ｃ）の下側面との間に脱穀処理物を通過させることのできる所定間隔の隙間（Ｌ１）を設ける。
【解決手段】揺動選別装置（５）における前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上側に上移送棚（９ｃ）を設け、上移送棚（９ｃ）の移送終端側に複数の上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）を設ける。また、脱穀室網（２ｂ）の下端部位置よりも上移送棚（９ｃ）の移送終端部を下側に位置させて設け、前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部と上移送棚（９ｃ）の下側面との間に脱穀処理物を通過させることのできる所定間隔の隙間（Ｌ１）を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、脱穀室で脱穀処理された脱穀処理物を受けて揺動移送しながら揺動選別する揺動選別装置等を設けた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１に示すように、脱穀室から脱穀処理物の供給を受け、揺動移送しながら揺動選別する選別室内に設ける揺動選別装置は、移送始端部側から、移送棚と、複数の後チャフシーブと、複数の後ストローラックと、複数の前チャフシーブと、複数の前ストローラックとを設け、前記前チャフシーブの下方部に選別網を設けた構成である。この揺動選別装置により、脱穀処理物を揺動移送しながら穀粒を揺動選別する。
【特許文献１】特開２００６−１７４７６２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
脱穀室内で脱穀処理された脱穀処理物が多量であると、この脱穀室の移送終端部まで移送されることがあり、これにより、この脱穀処理物中の多量の藁屑及び稈切等が、この脱穀室の移送終端部から、揺動選別装置の複数の後ストローラック上へ供給されると、この後ストローラック上で詰りが発生し、この揺動選別装置で確実に揺動移送選別ができないことがあったが、この発明により、この問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、請求項１に記載の発明は、脱穀室（２）から漏下した脱穀処理物を揺動選別する揺動選別装置（５）に、揺動移送上手側から、移送棚（８ａ）と複数の前チャフシーブ（８ｂ）と複数の後チャフシーブ（８ｃ）と複数の後下ストローラック（８ｄ）とを設けると共に、前記後チャフシーブ（８ｃ）の下方に揺動選別網（６ｄ）を設け、前記前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上側に上移送棚（９ｃ）を設け、該上移送棚（９ｃ）の移送終端側に複数の上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）を設け、前記上移送棚（９ｃ）の移送始端部を、脱穀室（２）内に設けた中板（１ｅ）よりも後側において揺動選別装置（５）に取り付け、該脱穀室（２）に張設した脱穀室網（２ｂ）の下端部位置よりも上移送棚（９ｃ）の移送終端部を下側に位置させて設け、前記前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部と前記上移送棚（９ｃ）の下側面との間に脱穀処理物を通過させることのできる所定間隔の隙間（Ｌ１）を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【０００５】
請求項２に記載の発明は、前記上移送棚（９ｃ）に設けた上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）の下側面を、前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部に対して、移送上手側が低く移送下手側が高くなるように所定角度（θ１）傾斜させて設けたことを特徴とする請求項１に記載の脱穀装置としたものである。
【発明の効果】
【０００６】
請求項１に記載の発明によると、揺動選別装置５の上側においては、上移送棚９ｃと上短ストローラック９ｄと上長ストローラック９ｅとによって脱穀処理物が揺動移送選別されることにより、脱穀室２から多量の脱穀処理物が漏下しても、この上移送棚９ｃから上短ストローラック９ｄ及び上長ストローラック９ｅに亘る選別部と、前チャフシーブ８ｂから後チャフシーブ８ｃに亘る選別部とに分担されて揺動選別されるため、詰りの発生を防止して、揺動選別状態を良好に維持することができる。
【０００７】
又、脱穀室２下部に張設した脱穀室網２ｂの下端部位置よりも、上移送棚９ｃの移送終端部を下側に位置させて設けたことにより、機体の全高を低くすることができる。
更に、前チャフシーブ８ｂ及び後チャフシーブ８ｃの上端部と上移送棚９ｃの下側面との間に設けた所定間隔の隙間Ｌ１によって脱穀処理物を通過させることができ、揺動選別装置５における脱穀処理物の後方への移送を良好に行なわせることができる。
【０００８】
請求項２に記載の発明においては、脱穀室２の移送終端部から排出される長藁等も確実に移送されて選別の妨げになりにくく、選別性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
脱穀装置１の脱穀室２内には、回転自在な扱胴軸２ａに多種類で多数の扱歯３ａを外周部へ植設した扱胴３を軸支している。該扱胴３の該各扱歯３ａで脱穀室２内へ供給された穀稈は脱穀され、脱穀室網２ｂから漏下し、下部に設けた揺動選別する揺動選別装置５上へ供給され、この揺動選別装置５により、脱穀処理物は、穀粒と、藁屑、稈切、及び塵埃等とに選別され、選別済み穀粒は機外へ排出される。又、藁屑、稈切、及び塵埃等も機外へ排出される。該脱穀装置１の該揺動選別装置５を主に図示して説明する。
【００１０】
前記脱穀装置１は、図１〜図５で示すように、左・右側板１ａ、１ｂと、前・後側板１ｃ、１ｄと、該後側板１ｄの前方部には、中板１ｅとを設けて略箱形状に形成している。この箱体の前方上部には、扱胴カバー２ｃを設け、この扱胴カバー２ｃの後方部には、後天井板２ｄを設け、又、箱体の下部には、枠体の土台１ｆを設けている。該箱体内の上部には、脱穀室２を設けている。該前側板１ｃには、穀稈を該脱穀室２内へ供給する供給口１ｈを設け、該左側板１ａには、該脱穀室２内へ供給された穀稈が通過する通過口１ｊを設けている。
【００１１】
前記脱穀室２内には、図１〜図５で示すように、回転自在に扱胴軸２ａを軸支して設け、この扱胴軸２ａには、外周部に多種類で多数の扱歯３ａを植設した扱胴３を軸支している。この扱胴３の該各扱歯３ａの回転外周の下部側には、脱穀室網２ｂを張設し、この脱穀室網２ｂから脱穀室２内で脱穀された脱穀処理物が漏下する。又、該脱穀室２の移送終端部には、脱穀処理物の漏下しなかった、主として藁屑、稈切、及びごく少量の穀粒等が排出される脱穀排出口２ｅを設けている。
【００１２】
前記脱穀室２の下側の選別室５ａには、図１〜図５で示すように、該脱穀室２の脱穀室網２ｂ、及び脱穀排出口２ｅから供給される脱穀処理物の供給を受けて、揺動移送しながら揺動選別する揺動選別装置５を設けている。
【００１３】
前記揺動選別装置５には、左・右揺動側板６ａ、６ｂを設け、この左・右揺動側板６ａ、６ｂの前部には、底板６ｃを設け、この底板６ｃの後側には、揺動選別網６ｄを設け、この揺動選別網６ｄの後方部には、なにも設けない構成である。該左・右揺動側板６ａ、６ｂの前部左右両側には、揺動回転駆動する揺動駆動装置７ａと、後部左右両側には、揺動案内する揺動案内装置７ｂとを設けている。
【００１４】
前記揺動選別装置５の左・右揺動側板６ａ、６ｂ間の前部の移送始端側から順次山形状の移送棚８ａと、前後方向に所定間隔で前方下部から後方上部へ所定角度で傾斜する複数の逆へ字形状の前チャフシーブ８ｂと、前後方向に所定間隔で前方下部から後方上部へ所定角度で傾斜し、この傾斜角度を調節自在で、揺動選別済み物の漏下量を調節する、複数の逆へ字形状の後チャフシーブ８ｃと、左右方向に所定間隔で前後方向の上部を鋸歯状に形成した複数の後下ストローラック８ｄと、該各後チャフシーブ８ｃの下方部に揺動選別網６ｄとを設けている。該移動棚８ａの移送終端の左右両側と、該左・右揺動側板６ａ、６ｂとには、内側へ傾斜する左・右寄板８ｅ、８ｆを設けている。
【００１５】
前記各前チャフシーブ８ｂと、各後チャフシーブ８ｃとの上部で、左右両側には、図１〜図５で示すように、左・右支持板９ａ、９ｂを設け、この左・右支持板９ａ、９ｂの上側面には、上移送棚９ｃを設け、この上移送棚９ｃの上側面には、左右方向に所定間隔で、前後方向の上部を鋸刃状に形成した複数の上短ストローラック９ｄと、上長ストローラック９ｅとを交互に設けている。
【００１６】
前記上移送棚９ｃの移送始端部は、脱穀室２内に設けた中板１ｅより、後方部（Ｌ２）に位置させて、前チャフシーブ８ｂの上側端との隙間を広くして設け、揺動選別装置５と一体に形成して設けている。該脱穀室２に張設した該脱穀室網２ｂの下端部位置より、該上移送棚９ｃの移送終端部を下部に位置させて設けると共に、前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部と、該上移送棚９ｃの下側面との間には、脱穀処理物を移送する所定隙間（Ｌ１）を設けた構成である。
【００１７】
前記脱穀室２から脱穀処理物の供給を受けて、揺動移送中に揺動選別する、選別室５ａ内に設けた揺動選別装置５は、上下に二分割して、下側部は移送始端部から順次設けた移送棚８ａと、各前チャフシーブ８ｂと、各後チャフシーブ８ｃと、各後下ストローラック８ｄと、揺動選別網６ｄとを設けて、揺動移送選別する。又、上側部は、上移送棚９ｃと、各上短ストローラック９ｄと、各上長ストローラック９ｅとを設けて、揺動移送選別することにより、多量の脱穀処理物が供給されたときであっても、二分割されて供給されることにより、詰り発生を防止して、揺動移送選別ができなくなることを防止できる。又、該脱穀室２に張設した脱穀室網２ｂの下端部位置より、該上移送棚９ｃの移送終端部を下部に位置させて設けたことにより、機体の全高を低くすることができる。又、該前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部と、該上移送棚９ｃの下側面との間には、所定間隔（Ｌ１）を設け、これらの上下部より、揺動選別済み物が漏下することにより、脱穀処理物の濾過面積の向上を図ることができる。
【００１８】
前記揺動選別装置５に設けた上移送棚９ｃの移送終端部側には、各上短ストローラック９ｄ、各上長ストローラック９ｅとを、左右方向に所定間隔で交互に設け、これら各上短ストローラック９ｄ、各上長ストローラック９ｅの下側面は、下側の前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部に対して、移送終端部に向けて、所定角度（θ１）に上昇傾斜させて設けたことにより、揺動移送選別する穀粒の漏下の向上を図ることができる。
【００１９】
前記揺動選別装置５の上移送棚９ｃに設けた各上短ストローラック９ｄ、及び各上長ストローラック９ｅの下側面は、図１〜図５で示すように、下側の各前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部に対して、移送終端部に向けて、所定角度（θ１）に上昇傾斜させて設けている。これにより、各上短・上長ストローラック９ｄ、９ｅと、各前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃとの間隔は、移送終端部ほど広くして設けている。
【００２０】
前記上移送棚９ｃに設けた各上短ストローラック９ｄ、及び各上長ストローラック９ｅの下側面は、下側の各前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部に対して、移送終端部に向けて、所定角度（θ１）に上昇傾斜させて設けたことにより、脱穀室２の移送終端部の脱穀排出口２ｅより、排出される長藁等も確実に後方上部へ移送されて機外へ排出される。又、選別のさまたげになることがなく、揺動選別性能の向上を図ることができる。
【００２１】
図５で示すように、前記揺動選別装置５に設けた各前チャフシーブ８ｂの前後方向の取付ピッチ（Ｈ１）より、各後チャフシーブ８ｃの前後方向の取付ピッチ（Ｈ２）を所定幅広くして設け、又、最終部の複数個間（Ｌ３）に設けた該各後チャフシーブ８ｃの前後方向の取付ピッチ（Ｈ３）を前側の取付ピッチ（Ｈ２）より、所定巾広くして設けている。（Ｈ３）＞（Ｈ２）＞（Ｈ１）としている。
【００２２】
これにより、前記移送棚８ａの後側の各前チャフシーブ８ｂの取付ピッチ（Ｈ１）より、この各前チャフシーブ８ｂの後側の各後チャフシーブ８ｃの取付ピッチ（Ｈ２）を広くして設け、又、最終部の複数個の該後チャフシーブ８ｃの取付ピッチ（Ｈ３）を一番広くし設けたことにより、揺動選別網６ｄの前部で濾過物の内容を適正に分離しつつ移送終端部へ向けて移送することにより、確実な揺動選別ができる。更に、揺動選別装置５の前部下側に設けた送風ファン１０の送風ファン羽根１０ａから発生する起風が該後チャフシーブ８ｃの移送終端部の通過が良好となり、一番選別性能の向上を図ることができる。
【００２３】
前記揺動選別装置５の移送終端部の複数個間（Ｌ３）に取付ピッチ（Ｈ３）で設ける各後チャフシーブ８ｃの前端部の該後チャフシーブ８ｃの上端部は、図５で示すように、上側に設けた上長ストローラック９ｅの後端部より、所定寸法（Ｌ４）後方部に位置させて設けている。又、上長ストローラック９ｅの後端部は、揺動選別網６ｄの後端と略同じ位置して設けている。
【００２４】
これにより、前記脱穀排出口２ｅから排出される脱穀処理物内には、粗大な藁屑、小枝梗付着粒、及び穀粒等が上側の上移送棚９ｃ、各上端・上長ストローラック９ｄ、９ｅ上へ排出され、これらにより、揺動移送選別され、更に、上長ストローラックの移送終端部から取付ピッチの広い取付ピッチ（Ｈ３）の各後チャフシーブ８ｃ上へ供給され、これら各後チャフシーブ８ｃ上を揺動移送されて、再度揺動移送選別され、穀粒、及び小枝梗付着粒が漏下される。粗大藁屑等は、更に後方部へ移送され、後側の各後下ストローラック８ｄに引継ぎされ、更に後方部へ移送され、機外へ排出されることにより、又、該上長ストローラック９ｅの後端部と、揺動選別網６ｄの後端部とは、略同じ位置としたことにより、藁屑等は、揺動移送中に集められて機外へ排出され、小枝梗付着粒は還元されて再脱穀処理されることにより、三番飛散粒が減少して、穀粒ロスの減少を図ることができる。藁屑、及び粗大藁屑は機外へ排出されることにより、二番還元量を図ることにより、高能率化が可能になる。
【００２５】
前記上長ストローラック９ｅの移送終端と、揺動選別装置５の移送終端部の上側で、詳細は後述する吸引ファン１１に内装する吸引ファン羽根１１ａで外気を吸入する吸入口１１ｂとは、図１で示すように、所定寸法（Ｌ５）に近接させて設けている。
【００２６】
これにより、長藁は前記吸引ファン１１で確実に吸引されると共に、穀粒は吸引されることなく、各後チャフシーブ８ｃ上へ供給されて、揺動移送選別される。
前記脱穀装置１の脱穀室２右側の右側板１ｂには、図４で示すように、扱胴軸２ａの略中心位置近傍部から左下内側に所定角度で傾斜する案内板１２ａを設け、この案内板１２ａの下側に位置する揺動選別装置５の上側のストローラックは、短い上短ストローラック９ｄを複数個を装着している。
【００２７】
これにより、前記案内板１２ａは、穀稈の穂先側であり、揺動選別装置５の右側は細かい藁屑が多く、又、上方を案内板１２ａが覆うことで導かれる処理物も少ないことにより、上短ストローラック９ｄでよく、軽量化、及び穀粒等はすみやかに下側の後チャフシーブ８ｃへ供給することができ、揺動選別性能の向上を図ることができる。
【００２８】
前記揺動選別装置５の上短ストローラック９ｄ、９ｄ間、及び該上短ストローラック９ｄと、上長ストローラック９ｅ間との取付間隔（Ｌ６）は、図３で示すように、後下ストローラック８ｄ、８ｄ間の取付間隔（Ｌ７）より広くして設けるか、又は略同じにして設けている。
【００２９】
これにより、前記上短ストローラック９ｄ、９ｄ間、及び該上短・上長ストローラック９ｄ、９ｅ間の取付間隔（Ｌ６）は、後下ストローラック８ｄ、８ｄ間の取付間隔（Ｌ７）より、広くして設けたことにより、長藁の漏下を防止でき、又、穀粒、及び稈切の漏下を増加することにより、三番飛散穀粒の防止ができる。
【００３０】
前記揺動選別装置５の上部の上長ストローラック９ｅの移送終端部は、図５で示すように、後下ストローラック８ｄの移送始端部とは、上下に重合しないように設けると共に、後チャフシーブ８ｃの移送終端部に設けた複数の取付ピッチ（Ｈ３）の広巾で装着した、この後チャフシーブ８ｃとも上下に重合しないように設けている。
【００３１】
これにより、前記後チャフシーブ８ｃの移送終端部に取付ピッチ（Ｈ３）の広巾で装着した、この複数の後チャフシーブ８ｃ、及び後下ストローラック８ｄの移送始端部と、上長ストローラック９ｅの移送終端部とは、上下に重合しないように設けたことにより、長藁等は確実に吸引ファン１１の吸引ファン羽根１１ａにより、吸引されて機外へ排出されることにより、一番穀粒に藁屑の混入が防止できる。又、後方部の該後チャフシーブ８ｃ部より吹き上げられる藁屑等が、該上長ストローラック９ｅに引っ掛かることを防止できる。
【００３２】
前記揺動選別装置５の上長ストローラック９ｅの前後方向の全長（Ｌ８）は、図５で示すように、下側の後下ストローラック８ｄの前後方向の全長（Ｌ９）より、所定寸法長して設けている。
【００３３】
これにより、前記上長ストローラック９ｅの前後方向の全長を長くして、吸引ファン１１の吸塵口１１ｂへ近接させて設けたことにより、長藁等の詰りを防止することができる。
【００３４】
前記脱穀室２内に設けた中板１ｅには、図１で示すように、この中板１ｅの後側面で、脱穀室網２ｂと略同じ高さ位置には、ゴム材等の弾性部材等よりなる、シール部材１２を設けている。
【００３５】
これにより、前記脱穀室２の脱穀排出口２ｅから排出される脱穀排出物は、中板１ｅに引っ掛かることを防止できる。
前記揺動選別装置５の上移送棚９ｃの上側面には、図３で示すように、複数のガイド板１３ａを前方左側から、後方右側へ向けて所定角度に傾斜されて設けると共に、扱胴３の中心位置より、左右両側に所定間隔を設けて装着し、更に、後方に向かうほど穂先方向に向かうように傾斜させている。又、移送棚８ａの上側面には、複数の寄せ板１３ｂを前方右側から、後方左側へ向けて所定角度に傾斜させて設けている。
【００３６】
これにより、脱穀済みの排稈には、前記揺動選別装置５に設けた各ガイド板１３ａと各寄せ板１３ｂとにより、持ち上げて支持することにより、扱胴３の各扱歯３ａが作用することにより、ささり粒の除去を容易に行うことができる。
【００３７】
前記揺動選別装置５の揺動駆動装置７ａと、揺動案内装置７ｂとにより、この揺動選別装置５は、図１、及び図２で示すように、左右方向の両振り方式であり、又、左右方向の略中間部の前チャフシーブ８ｂは、略左右方向に直線的に移動する構成である。
【００３８】
前記揺動駆動装置７ａは、前後両側に揺動アーム１４を設け、この各揺動アーム１４に揺動棚駆動軸１４ａを設けて、揺動カム１４ｂを軸支している。又、揺動案内装置７ａは、左右両側に案内レール１５ａを設け、この各案内レール１５ａ内を支持軸１５ｂの左右両側に軸支して設けたローラ１５ｂが回転移動する。
【００３９】
前記揺動案内装置７ｂの案内レール１５ａは、図１、及び図５で示すように、後上部へ所定角度（θ２）に上り傾斜状態に設けている。
これにより、前記揺動選別装置５の揺動移動は、両振り方式としたことにより、直線運動になり、これにより、ささり粒の防止、及び四番ロスの防止を図ることができる。
【００４０】
前記揺動選別装置５の後チャフシーブ８ｃには、図１、図２、及び図５で示すように、回動アーム８ｈを設け、この回動アーム８ｈと脱穀装置５の右後部に設けた開度調節レバー１６とは、ワイヤー１６ａを設けて接続し、この開度調節レバー１６の回動操作により、該後チャフシーブ８ｃの開閉状態を調節する構成である。
【００４１】
前記送風ファン１０の後側には、図１で示すように、一番選別室１７を設け、この一番選別室１７には、一番受樋１７ａを設け、この一番受樋１７ａ内には、一番移送螺旋１７ｂを回転自在に軸支して設けると共に、この一番移送螺旋１７ｂの右端部の外側には、脱穀済みで選別済みの一番口穀粒を機外へ排出する一番揚送螺旋１８ａを回転自在に軸支内装した一番揚送筒１８を設けている。
【００４２】
前記一番選別室１７の後側には、図１で示すように、二番選別室１９を設け、この二番選別室１９には、二番受樋１９ａを設け、この二番受樋１９ａ内には、二番移送螺旋１９ｂを回転自在に軸支して設けると共に、この二番移送螺旋１９ｂの右側の外側には、二番物を脱穀室２内へ還元移送する二番揚送螺旋２０ａを回転自在に軸支内装した二番還元筒２０を設けている。
【図面の簡単な説明】
【００４３】
【図１】脱穀装置の全体側断面図
【図２】脱穀装置の全体正面図
【図３】脱穀装置の全体平断面図
【図４】脱穀装置の全体正断面図
【図５】揺動選別装置の全体側断面図
【符号の説明】
【００４４】
１ａ 中板
２ 脱穀室
２ｂ 脱穀室網
３ 扱胴
５ 揺動選別装置
５ａ 選別室
６ａ 揺動選別網
８ａ 移送棚
８ｂ 前チャフシーブ
８ｃ 後チャフシーブ
８ｄ 後下ストローラック
９ｃ 上移送棚
９ｄ 上短ストローラック
９ｅ 上長ストローラック
Ｌ１ 所定隙間
θ１ 所定角度
【技術分野】
【０００１】
この発明は、脱穀室で脱穀処理された脱穀処理物を受けて揺動移送しながら揺動選別する揺動選別装置等を設けた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１に示すように、脱穀室から脱穀処理物の供給を受け、揺動移送しながら揺動選別する選別室内に設ける揺動選別装置は、移送始端部側から、移送棚と、複数の後チャフシーブと、複数の後ストローラックと、複数の前チャフシーブと、複数の前ストローラックとを設け、前記前チャフシーブの下方部に選別網を設けた構成である。この揺動選別装置により、脱穀処理物を揺動移送しながら穀粒を揺動選別する。
【特許文献１】特開２００６−１７４７６２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
脱穀室内で脱穀処理された脱穀処理物が多量であると、この脱穀室の移送終端部まで移送されることがあり、これにより、この脱穀処理物中の多量の藁屑及び稈切等が、この脱穀室の移送終端部から、揺動選別装置の複数の後ストローラック上へ供給されると、この後ストローラック上で詰りが発生し、この揺動選別装置で確実に揺動移送選別ができないことがあったが、この発明により、この問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、請求項１に記載の発明は、脱穀室（２）から漏下した脱穀処理物を揺動選別する揺動選別装置（５）に、揺動移送上手側から、移送棚（８ａ）と複数の前チャフシーブ（８ｂ）と複数の後チャフシーブ（８ｃ）と複数の後下ストローラック（８ｄ）とを設けると共に、前記後チャフシーブ（８ｃ）の下方に揺動選別網（６ｄ）を設け、前記前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上側に上移送棚（９ｃ）を設け、該上移送棚（９ｃ）の移送終端側に複数の上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）を設け、前記上移送棚（９ｃ）の移送始端部を、脱穀室（２）内に設けた中板（１ｅ）よりも後側において揺動選別装置（５）に取り付け、該脱穀室（２）に張設した脱穀室網（２ｂ）の下端部位置よりも上移送棚（９ｃ）の移送終端部を下側に位置させて設け、前記前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部と前記上移送棚（９ｃ）の下側面との間に脱穀処理物を通過させることのできる所定間隔の隙間（Ｌ１）を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【０００５】
請求項２に記載の発明は、前記上移送棚（９ｃ）に設けた上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）の下側面を、前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部に対して、移送上手側が低く移送下手側が高くなるように所定角度（θ１）傾斜させて設けたことを特徴とする請求項１に記載の脱穀装置としたものである。
【発明の効果】
【０００６】
請求項１に記載の発明によると、揺動選別装置５の上側においては、上移送棚９ｃと上短ストローラック９ｄと上長ストローラック９ｅとによって脱穀処理物が揺動移送選別されることにより、脱穀室２から多量の脱穀処理物が漏下しても、この上移送棚９ｃから上短ストローラック９ｄ及び上長ストローラック９ｅに亘る選別部と、前チャフシーブ８ｂから後チャフシーブ８ｃに亘る選別部とに分担されて揺動選別されるため、詰りの発生を防止して、揺動選別状態を良好に維持することができる。
【０００７】
又、脱穀室２下部に張設した脱穀室網２ｂの下端部位置よりも、上移送棚９ｃの移送終端部を下側に位置させて設けたことにより、機体の全高を低くすることができる。
更に、前チャフシーブ８ｂ及び後チャフシーブ８ｃの上端部と上移送棚９ｃの下側面との間に設けた所定間隔の隙間Ｌ１によって脱穀処理物を通過させることができ、揺動選別装置５における脱穀処理物の後方への移送を良好に行なわせることができる。
【０００８】
請求項２に記載の発明においては、脱穀室２の移送終端部から排出される長藁等も確実に移送されて選別の妨げになりにくく、選別性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
脱穀装置１の脱穀室２内には、回転自在な扱胴軸２ａに多種類で多数の扱歯３ａを外周部へ植設した扱胴３を軸支している。該扱胴３の該各扱歯３ａで脱穀室２内へ供給された穀稈は脱穀され、脱穀室網２ｂから漏下し、下部に設けた揺動選別する揺動選別装置５上へ供給され、この揺動選別装置５により、脱穀処理物は、穀粒と、藁屑、稈切、及び塵埃等とに選別され、選別済み穀粒は機外へ排出される。又、藁屑、稈切、及び塵埃等も機外へ排出される。該脱穀装置１の該揺動選別装置５を主に図示して説明する。
【００１０】
前記脱穀装置１は、図１〜図５で示すように、左・右側板１ａ、１ｂと、前・後側板１ｃ、１ｄと、該後側板１ｄの前方部には、中板１ｅとを設けて略箱形状に形成している。この箱体の前方上部には、扱胴カバー２ｃを設け、この扱胴カバー２ｃの後方部には、後天井板２ｄを設け、又、箱体の下部には、枠体の土台１ｆを設けている。該箱体内の上部には、脱穀室２を設けている。該前側板１ｃには、穀稈を該脱穀室２内へ供給する供給口１ｈを設け、該左側板１ａには、該脱穀室２内へ供給された穀稈が通過する通過口１ｊを設けている。
【００１１】
前記脱穀室２内には、図１〜図５で示すように、回転自在に扱胴軸２ａを軸支して設け、この扱胴軸２ａには、外周部に多種類で多数の扱歯３ａを植設した扱胴３を軸支している。この扱胴３の該各扱歯３ａの回転外周の下部側には、脱穀室網２ｂを張設し、この脱穀室網２ｂから脱穀室２内で脱穀された脱穀処理物が漏下する。又、該脱穀室２の移送終端部には、脱穀処理物の漏下しなかった、主として藁屑、稈切、及びごく少量の穀粒等が排出される脱穀排出口２ｅを設けている。
【００１２】
前記脱穀室２の下側の選別室５ａには、図１〜図５で示すように、該脱穀室２の脱穀室網２ｂ、及び脱穀排出口２ｅから供給される脱穀処理物の供給を受けて、揺動移送しながら揺動選別する揺動選別装置５を設けている。
【００１３】
前記揺動選別装置５には、左・右揺動側板６ａ、６ｂを設け、この左・右揺動側板６ａ、６ｂの前部には、底板６ｃを設け、この底板６ｃの後側には、揺動選別網６ｄを設け、この揺動選別網６ｄの後方部には、なにも設けない構成である。該左・右揺動側板６ａ、６ｂの前部左右両側には、揺動回転駆動する揺動駆動装置７ａと、後部左右両側には、揺動案内する揺動案内装置７ｂとを設けている。
【００１４】
前記揺動選別装置５の左・右揺動側板６ａ、６ｂ間の前部の移送始端側から順次山形状の移送棚８ａと、前後方向に所定間隔で前方下部から後方上部へ所定角度で傾斜する複数の逆へ字形状の前チャフシーブ８ｂと、前後方向に所定間隔で前方下部から後方上部へ所定角度で傾斜し、この傾斜角度を調節自在で、揺動選別済み物の漏下量を調節する、複数の逆へ字形状の後チャフシーブ８ｃと、左右方向に所定間隔で前後方向の上部を鋸歯状に形成した複数の後下ストローラック８ｄと、該各後チャフシーブ８ｃの下方部に揺動選別網６ｄとを設けている。該移動棚８ａの移送終端の左右両側と、該左・右揺動側板６ａ、６ｂとには、内側へ傾斜する左・右寄板８ｅ、８ｆを設けている。
【００１５】
前記各前チャフシーブ８ｂと、各後チャフシーブ８ｃとの上部で、左右両側には、図１〜図５で示すように、左・右支持板９ａ、９ｂを設け、この左・右支持板９ａ、９ｂの上側面には、上移送棚９ｃを設け、この上移送棚９ｃの上側面には、左右方向に所定間隔で、前後方向の上部を鋸刃状に形成した複数の上短ストローラック９ｄと、上長ストローラック９ｅとを交互に設けている。
【００１６】
前記上移送棚９ｃの移送始端部は、脱穀室２内に設けた中板１ｅより、後方部（Ｌ２）に位置させて、前チャフシーブ８ｂの上側端との隙間を広くして設け、揺動選別装置５と一体に形成して設けている。該脱穀室２に張設した該脱穀室網２ｂの下端部位置より、該上移送棚９ｃの移送終端部を下部に位置させて設けると共に、前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部と、該上移送棚９ｃの下側面との間には、脱穀処理物を移送する所定隙間（Ｌ１）を設けた構成である。
【００１７】
前記脱穀室２から脱穀処理物の供給を受けて、揺動移送中に揺動選別する、選別室５ａ内に設けた揺動選別装置５は、上下に二分割して、下側部は移送始端部から順次設けた移送棚８ａと、各前チャフシーブ８ｂと、各後チャフシーブ８ｃと、各後下ストローラック８ｄと、揺動選別網６ｄとを設けて、揺動移送選別する。又、上側部は、上移送棚９ｃと、各上短ストローラック９ｄと、各上長ストローラック９ｅとを設けて、揺動移送選別することにより、多量の脱穀処理物が供給されたときであっても、二分割されて供給されることにより、詰り発生を防止して、揺動移送選別ができなくなることを防止できる。又、該脱穀室２に張設した脱穀室網２ｂの下端部位置より、該上移送棚９ｃの移送終端部を下部に位置させて設けたことにより、機体の全高を低くすることができる。又、該前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部と、該上移送棚９ｃの下側面との間には、所定間隔（Ｌ１）を設け、これらの上下部より、揺動選別済み物が漏下することにより、脱穀処理物の濾過面積の向上を図ることができる。
【００１８】
前記揺動選別装置５に設けた上移送棚９ｃの移送終端部側には、各上短ストローラック９ｄ、各上長ストローラック９ｅとを、左右方向に所定間隔で交互に設け、これら各上短ストローラック９ｄ、各上長ストローラック９ｅの下側面は、下側の前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部に対して、移送終端部に向けて、所定角度（θ１）に上昇傾斜させて設けたことにより、揺動移送選別する穀粒の漏下の向上を図ることができる。
【００１９】
前記揺動選別装置５の上移送棚９ｃに設けた各上短ストローラック９ｄ、及び各上長ストローラック９ｅの下側面は、図１〜図５で示すように、下側の各前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部に対して、移送終端部に向けて、所定角度（θ１）に上昇傾斜させて設けている。これにより、各上短・上長ストローラック９ｄ、９ｅと、各前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃとの間隔は、移送終端部ほど広くして設けている。
【００２０】
前記上移送棚９ｃに設けた各上短ストローラック９ｄ、及び各上長ストローラック９ｅの下側面は、下側の各前・後チャフシーブ８ｂ、８ｃの上端部に対して、移送終端部に向けて、所定角度（θ１）に上昇傾斜させて設けたことにより、脱穀室２の移送終端部の脱穀排出口２ｅより、排出される長藁等も確実に後方上部へ移送されて機外へ排出される。又、選別のさまたげになることがなく、揺動選別性能の向上を図ることができる。
【００２１】
図５で示すように、前記揺動選別装置５に設けた各前チャフシーブ８ｂの前後方向の取付ピッチ（Ｈ１）より、各後チャフシーブ８ｃの前後方向の取付ピッチ（Ｈ２）を所定幅広くして設け、又、最終部の複数個間（Ｌ３）に設けた該各後チャフシーブ８ｃの前後方向の取付ピッチ（Ｈ３）を前側の取付ピッチ（Ｈ２）より、所定巾広くして設けている。（Ｈ３）＞（Ｈ２）＞（Ｈ１）としている。
【００２２】
これにより、前記移送棚８ａの後側の各前チャフシーブ８ｂの取付ピッチ（Ｈ１）より、この各前チャフシーブ８ｂの後側の各後チャフシーブ８ｃの取付ピッチ（Ｈ２）を広くして設け、又、最終部の複数個の該後チャフシーブ８ｃの取付ピッチ（Ｈ３）を一番広くし設けたことにより、揺動選別網６ｄの前部で濾過物の内容を適正に分離しつつ移送終端部へ向けて移送することにより、確実な揺動選別ができる。更に、揺動選別装置５の前部下側に設けた送風ファン１０の送風ファン羽根１０ａから発生する起風が該後チャフシーブ８ｃの移送終端部の通過が良好となり、一番選別性能の向上を図ることができる。
【００２３】
前記揺動選別装置５の移送終端部の複数個間（Ｌ３）に取付ピッチ（Ｈ３）で設ける各後チャフシーブ８ｃの前端部の該後チャフシーブ８ｃの上端部は、図５で示すように、上側に設けた上長ストローラック９ｅの後端部より、所定寸法（Ｌ４）後方部に位置させて設けている。又、上長ストローラック９ｅの後端部は、揺動選別網６ｄの後端と略同じ位置して設けている。
【００２４】
これにより、前記脱穀排出口２ｅから排出される脱穀処理物内には、粗大な藁屑、小枝梗付着粒、及び穀粒等が上側の上移送棚９ｃ、各上端・上長ストローラック９ｄ、９ｅ上へ排出され、これらにより、揺動移送選別され、更に、上長ストローラックの移送終端部から取付ピッチの広い取付ピッチ（Ｈ３）の各後チャフシーブ８ｃ上へ供給され、これら各後チャフシーブ８ｃ上を揺動移送されて、再度揺動移送選別され、穀粒、及び小枝梗付着粒が漏下される。粗大藁屑等は、更に後方部へ移送され、後側の各後下ストローラック８ｄに引継ぎされ、更に後方部へ移送され、機外へ排出されることにより、又、該上長ストローラック９ｅの後端部と、揺動選別網６ｄの後端部とは、略同じ位置としたことにより、藁屑等は、揺動移送中に集められて機外へ排出され、小枝梗付着粒は還元されて再脱穀処理されることにより、三番飛散粒が減少して、穀粒ロスの減少を図ることができる。藁屑、及び粗大藁屑は機外へ排出されることにより、二番還元量を図ることにより、高能率化が可能になる。
【００２５】
前記上長ストローラック９ｅの移送終端と、揺動選別装置５の移送終端部の上側で、詳細は後述する吸引ファン１１に内装する吸引ファン羽根１１ａで外気を吸入する吸入口１１ｂとは、図１で示すように、所定寸法（Ｌ５）に近接させて設けている。
【００２６】
これにより、長藁は前記吸引ファン１１で確実に吸引されると共に、穀粒は吸引されることなく、各後チャフシーブ８ｃ上へ供給されて、揺動移送選別される。
前記脱穀装置１の脱穀室２右側の右側板１ｂには、図４で示すように、扱胴軸２ａの略中心位置近傍部から左下内側に所定角度で傾斜する案内板１２ａを設け、この案内板１２ａの下側に位置する揺動選別装置５の上側のストローラックは、短い上短ストローラック９ｄを複数個を装着している。
【００２７】
これにより、前記案内板１２ａは、穀稈の穂先側であり、揺動選別装置５の右側は細かい藁屑が多く、又、上方を案内板１２ａが覆うことで導かれる処理物も少ないことにより、上短ストローラック９ｄでよく、軽量化、及び穀粒等はすみやかに下側の後チャフシーブ８ｃへ供給することができ、揺動選別性能の向上を図ることができる。
【００２８】
前記揺動選別装置５の上短ストローラック９ｄ、９ｄ間、及び該上短ストローラック９ｄと、上長ストローラック９ｅ間との取付間隔（Ｌ６）は、図３で示すように、後下ストローラック８ｄ、８ｄ間の取付間隔（Ｌ７）より広くして設けるか、又は略同じにして設けている。
【００２９】
これにより、前記上短ストローラック９ｄ、９ｄ間、及び該上短・上長ストローラック９ｄ、９ｅ間の取付間隔（Ｌ６）は、後下ストローラック８ｄ、８ｄ間の取付間隔（Ｌ７）より、広くして設けたことにより、長藁の漏下を防止でき、又、穀粒、及び稈切の漏下を増加することにより、三番飛散穀粒の防止ができる。
【００３０】
前記揺動選別装置５の上部の上長ストローラック９ｅの移送終端部は、図５で示すように、後下ストローラック８ｄの移送始端部とは、上下に重合しないように設けると共に、後チャフシーブ８ｃの移送終端部に設けた複数の取付ピッチ（Ｈ３）の広巾で装着した、この後チャフシーブ８ｃとも上下に重合しないように設けている。
【００３１】
これにより、前記後チャフシーブ８ｃの移送終端部に取付ピッチ（Ｈ３）の広巾で装着した、この複数の後チャフシーブ８ｃ、及び後下ストローラック８ｄの移送始端部と、上長ストローラック９ｅの移送終端部とは、上下に重合しないように設けたことにより、長藁等は確実に吸引ファン１１の吸引ファン羽根１１ａにより、吸引されて機外へ排出されることにより、一番穀粒に藁屑の混入が防止できる。又、後方部の該後チャフシーブ８ｃ部より吹き上げられる藁屑等が、該上長ストローラック９ｅに引っ掛かることを防止できる。
【００３２】
前記揺動選別装置５の上長ストローラック９ｅの前後方向の全長（Ｌ８）は、図５で示すように、下側の後下ストローラック８ｄの前後方向の全長（Ｌ９）より、所定寸法長して設けている。
【００３３】
これにより、前記上長ストローラック９ｅの前後方向の全長を長くして、吸引ファン１１の吸塵口１１ｂへ近接させて設けたことにより、長藁等の詰りを防止することができる。
【００３４】
前記脱穀室２内に設けた中板１ｅには、図１で示すように、この中板１ｅの後側面で、脱穀室網２ｂと略同じ高さ位置には、ゴム材等の弾性部材等よりなる、シール部材１２を設けている。
【００３５】
これにより、前記脱穀室２の脱穀排出口２ｅから排出される脱穀排出物は、中板１ｅに引っ掛かることを防止できる。
前記揺動選別装置５の上移送棚９ｃの上側面には、図３で示すように、複数のガイド板１３ａを前方左側から、後方右側へ向けて所定角度に傾斜されて設けると共に、扱胴３の中心位置より、左右両側に所定間隔を設けて装着し、更に、後方に向かうほど穂先方向に向かうように傾斜させている。又、移送棚８ａの上側面には、複数の寄せ板１３ｂを前方右側から、後方左側へ向けて所定角度に傾斜させて設けている。
【００３６】
これにより、脱穀済みの排稈には、前記揺動選別装置５に設けた各ガイド板１３ａと各寄せ板１３ｂとにより、持ち上げて支持することにより、扱胴３の各扱歯３ａが作用することにより、ささり粒の除去を容易に行うことができる。
【００３７】
前記揺動選別装置５の揺動駆動装置７ａと、揺動案内装置７ｂとにより、この揺動選別装置５は、図１、及び図２で示すように、左右方向の両振り方式であり、又、左右方向の略中間部の前チャフシーブ８ｂは、略左右方向に直線的に移動する構成である。
【００３８】
前記揺動駆動装置７ａは、前後両側に揺動アーム１４を設け、この各揺動アーム１４に揺動棚駆動軸１４ａを設けて、揺動カム１４ｂを軸支している。又、揺動案内装置７ａは、左右両側に案内レール１５ａを設け、この各案内レール１５ａ内を支持軸１５ｂの左右両側に軸支して設けたローラ１５ｂが回転移動する。
【００３９】
前記揺動案内装置７ｂの案内レール１５ａは、図１、及び図５で示すように、後上部へ所定角度（θ２）に上り傾斜状態に設けている。
これにより、前記揺動選別装置５の揺動移動は、両振り方式としたことにより、直線運動になり、これにより、ささり粒の防止、及び四番ロスの防止を図ることができる。
【００４０】
前記揺動選別装置５の後チャフシーブ８ｃには、図１、図２、及び図５で示すように、回動アーム８ｈを設け、この回動アーム８ｈと脱穀装置５の右後部に設けた開度調節レバー１６とは、ワイヤー１６ａを設けて接続し、この開度調節レバー１６の回動操作により、該後チャフシーブ８ｃの開閉状態を調節する構成である。
【００４１】
前記送風ファン１０の後側には、図１で示すように、一番選別室１７を設け、この一番選別室１７には、一番受樋１７ａを設け、この一番受樋１７ａ内には、一番移送螺旋１７ｂを回転自在に軸支して設けると共に、この一番移送螺旋１７ｂの右端部の外側には、脱穀済みで選別済みの一番口穀粒を機外へ排出する一番揚送螺旋１８ａを回転自在に軸支内装した一番揚送筒１８を設けている。
【００４２】
前記一番選別室１７の後側には、図１で示すように、二番選別室１９を設け、この二番選別室１９には、二番受樋１９ａを設け、この二番受樋１９ａ内には、二番移送螺旋１９ｂを回転自在に軸支して設けると共に、この二番移送螺旋１９ｂの右側の外側には、二番物を脱穀室２内へ還元移送する二番揚送螺旋２０ａを回転自在に軸支内装した二番還元筒２０を設けている。
【図面の簡単な説明】
【００４３】
【図１】脱穀装置の全体側断面図
【図２】脱穀装置の全体正面図
【図３】脱穀装置の全体平断面図
【図４】脱穀装置の全体正断面図
【図５】揺動選別装置の全体側断面図
【符号の説明】
【００４４】
１ａ 中板
２ 脱穀室
２ｂ 脱穀室網
３ 扱胴
５ 揺動選別装置
５ａ 選別室
６ａ 揺動選別網
８ａ 移送棚
８ｂ 前チャフシーブ
８ｃ 後チャフシーブ
８ｄ 後下ストローラック
９ｃ 上移送棚
９ｄ 上短ストローラック
９ｅ 上長ストローラック
Ｌ１ 所定隙間
θ１ 所定角度
【特許請求の範囲】
【請求項１】
脱穀室（２）から漏下した脱穀処理物を揺動選別する揺動選別装置（５）に、揺動移送上手側から、移送棚（８ａ）と複数の前チャフシーブ（８ｂ）と複数の後チャフシーブ（８ｃ）と複数の後下ストローラック（８ｄ）とを設けると共に、前記後チャフシーブ（８ｃ）の下方に揺動選別網（６ｄ）を設け、前記前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上側に上移送棚（９ｃ）を設け、該上移送棚（９ｃ）の移送終端側に複数の上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）を設け、前記上移送棚（９ｃ）の移送始端部を、脱穀室（２）内に設けた中板（１ｅ）よりも後側において揺動選別装置（５）に取り付け、該脱穀室（２）に張設した脱穀室網（２ｂ）の下端部位置よりも上移送棚（９ｃ）の移送終端部を下側に位置させて設け、前記前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部と前記上移送棚（９ｃ）の下側面との間に脱穀処理物を通過させることのできる所定間隔の隙間（Ｌ１）を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項２】
前記上移送棚（９ｃ）に設けた上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）の下側面を、前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部に対して、移送上手側が低く移送下手側が高くなるように所定角度（θ１）傾斜させて設けたことを特徴とする請求項１に記載の脱穀装置。
【請求項１】
脱穀室（２）から漏下した脱穀処理物を揺動選別する揺動選別装置（５）に、揺動移送上手側から、移送棚（８ａ）と複数の前チャフシーブ（８ｂ）と複数の後チャフシーブ（８ｃ）と複数の後下ストローラック（８ｄ）とを設けると共に、前記後チャフシーブ（８ｃ）の下方に揺動選別網（６ｄ）を設け、前記前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上側に上移送棚（９ｃ）を設け、該上移送棚（９ｃ）の移送終端側に複数の上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）を設け、前記上移送棚（９ｃ）の移送始端部を、脱穀室（２）内に設けた中板（１ｅ）よりも後側において揺動選別装置（５）に取り付け、該脱穀室（２）に張設した脱穀室網（２ｂ）の下端部位置よりも上移送棚（９ｃ）の移送終端部を下側に位置させて設け、前記前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部と前記上移送棚（９ｃ）の下側面との間に脱穀処理物を通過させることのできる所定間隔の隙間（Ｌ１）を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項２】
前記上移送棚（９ｃ）に設けた上短ストローラック（９ｄ）及び上長ストローラック（９ｅ）の下側面を、前チャフシーブ（８ｂ）及び後チャフシーブ（８ｃ）の上端部に対して、移送上手側が低く移送下手側が高くなるように所定角度（θ１）傾斜させて設けたことを特徴とする請求項１に記載の脱穀装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−８６２４４（Ｐ２００８−８６２４４Ａ）
【公開日】平成２０年４月１７日（２００８．４．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２７００７２（Ｐ２００６−２７００７２）
【出願日】平成１８年９月２９日（２００６．９．２９）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年４月１７日（２００８．４．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年９月２９日（２００６．９．２９）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
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