説明

脱穀装置

【課題】シーブ上への藁屑の落下を抑制できず、回収した穀粒への藁屑の混入や選別負荷の増加という課題がある。
【解決手段】脱穀室12の後部下側に扱網18より漏下しない被処理物を排出する排出口35を設ける。排出口35の前側部分は扱網18よりも目合の大きい前側漏下部36に、前側漏下部36の後側は該前側漏下部36よりも目合の大きい後側漏下部37を形成し、後側漏下部37の後側に落下部38を形成する。排出口35の下方の部位には、前側ふるい線64Aを並設した前側ふるい部60を設け、前記前側ふるい部60の後側には、後側ふるい線64Bを左右方向に所定間隔を置いて複数並設した後側ふるい部61を設け、前記前側ふるい部60の前側ふるい線64Aの終端は前記後側ふるい部61の後側ふるい線64Bの始端上方に位置させたことを特徴とする脱穀装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀稈供給搬送装置によって搬送された穀稈を脱穀する扱胴の下側に扱網を設けて脱穀室を形成し、穀稈供給搬送装置の設置側とは反対側の脱穀室の後部側方には、脱穀室と排塵連通口により連通する排塵処理胴を有する排塵処理装置を設け、扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通口を形成した排塵連通部に形成し、前記扱網の存在しない脱穀室の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部に形成した脱穀装置は、公知である(特許文献1)。
また、従来、揺動選別棚のシーブの前後両側に夫々ふるい線を設けた構成は、公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237194号公報
【特許文献2】特開2003−88232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち、前者のものは、穀稈中に刺さり込んだ刺さり粒を落下・回収する刺さり粒回収部を設けているが、多く発生した藁屑がそのまま、シーブ上に落下し、選別の負荷を増加させるという課題がある。
前記公知例のうち、後者のものは、シーブへの被処理物の引き渡しをするためにふるい線を設けているので、シーブ上に藁屑が落下するのを防止できず、回収した穀粒への藁屑の混入や選別負荷の増加という課題がある。
本願は、刺さり粒回収部を設けた構成でありながら、選別の負荷を軽減させ、選別精度および選別効率を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、穀稈供給搬送装置13によって搬送中の穀稈を脱穀する扱胴11の下側に扱網18を設けて脱穀室12を形成し、前記扱網18の下方に、シーブ25を有し前後方向に往復揺動する揺動選別棚22を設け、該揺動選別棚22の下方には一番コンベア27および二番コンベア28を設け、前記脱穀室12の後部における穀稈供給搬送装置13の設置側とは反対側の部位には、排塵処理胴31を有する排塵処理装置30を排塵連通口33を介して連通させ、前記脱穀室12の後部における前記排塵連通口33よりも後側の部位に前記扱胴11の後部を延長して臨ませて、当該脱穀室12の後端部に刺さり粒回収部Sを形成し、前記脱穀室12の後部下側には、前記扱網18より漏下しない被処理物および前記刺さり粒回収部Sから落下する穀粒を排出する排出口35を設け、該排出口35の前側部分は前記扱網18よりも目合の大きい前側漏下部36に形成し、前記前側漏下部36の後側に該前側漏下部36よりも目合の大きい後側漏下部37を形成し、該後側漏下部37の後側に落下部38を形成して構成し、前記揺動選別棚22における排出口35の下方の部位には、後端部側を自由端とする前側ふるい線64Aを左右方向に所定間隔を置いて複数並設した前側ふるい部60を設け、前記前側ふるい部60の後側には、後端部側を自由端とする後側ふるい線64Bを左右方向に所定間隔を置いて複数並設した後側ふるい部61を設け、前記前側ふるい部60の前側ふるい線64Aの終端は前記後側ふるい部61の後側ふるい線64Bの始端上方に位置させたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、穀稈供給搬送装置13により搬送された穀稈は脱穀室12内に供給され、回転する扱胴11により脱穀され、刺さり粒回収部Sで脱穀済みの穀稈に入り込んでいる刺さり粒を排出口35から落下させ、この際、排出口35から落下する藁屑を揺動選別棚22と一体揺動する前側ふるい部60により受け止めて、藁屑と穀粒とを分離させてシーブ25上への藁屑の落下を抑制しつつ、後側ふるい部61に引継き、後側ふるい部61で更に藁屑と穀粒とを分離させてシーブ25上への藁屑の落下を防止する。
請求項2記載の発明は、前記揺動選別棚22のシーブ25の下方に選別網45を設け、該揺動選別棚22における前記一番コンベア27と二番コンベア28との間の選別網45の下方の部位には被処理物を一番コンベア27側へ流下案内する一番棚先部材65を設け、前記前側ふるい部60の前端は、前記選別網45の後端よりも前側に位置させると共に、前記前側ふるい部60の後端は前記一番棚先部材65の延長線より後方に位置させたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、排出口35から落下する藁屑は前側ふるい部60が受け止めて後側へ移送してシーブ25上の落下を防止し、シーブ25から落下した穀粒は選別網45により更に選別されて一番コンベア27に回収され、一番コンベア27と二番コンベア28との間のシーブ25から落下した穀粒は一番棚先部材一番棚先部材65により一番コンベア27に誘導される。
このとき、一番コンベア27と二番コンベア28の間の上方のシーブ25上には、前側ふるい部60と後側ふるい部61が設けられているので、シーブ25上の藁屑の落下を抑制する。
また、唐箕19からの選別風が一番棚先部材65により案内されてシーブ25および前側ふるい部60と後側ふるい部61から上方に吹き抜け、藁屑から穀粒を分離させる。
請求項3記載の発明は、前記シーブ25は傾斜角度を調節自在とし、該シーブ25の傾斜角度調節に連動させて前側ふるい部60と後側ふるい部61の傾斜角度を変更する構成としたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、排出口35からの被処理物の落下量が少ないと、シーブ25を寝かせて隙間を小さくし、このシーブ25の傾斜に合わせて前側ふるい部60と後側ふるい部61の傾斜角度も緩く連動させ、排出口35からの被処理物の落下量が増加すると、シーブ25を起立させて隙間を大きくし、前側ふるい部60と後側ふるい部61の傾斜を立ち上げる。
請求項4記載の発明は、前記前側ふるい部60および後側ふるい部61は、夫々長短長さの相違する前側ふるい線64Aおよび後側ふるい線64Bを交互に配列したことを特徴とする脱穀装置としたものであり、前側ふるい部60および後側ふるい部61の長短の前側ふるい線64Aおよび後側ふるい線64Bが落下した藁屑に接触して揺動し、穀粒を分離させる。
請求項5記載の発明は、前記後側ふるい部61は、その終端を、前記シーブ25の後側に設けたストローラック26の上方に位置させると共に、前記ストローラック26の上縁よりも後上がりに急傾斜させたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、排出口35の下方から落下する藁屑を前側ふるい部60が受け止めて後側の後側ふるい部61へ移送し、後側ふるい部61はこの藁屑をストローラック26へ引継ぐ。
請求項6記載の発明は、前記後側ふるい部61の取付部62には前記唐箕19からの送風を上方へ案内する送風案内プレート85を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、前側ふるい部60が受け止めて後側の後側ふるい部61へ引き継ぐ藁屑に、唐箕19からの選別風を送風案内プレート85により吹き上げるように案内して、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、脱穀室12の刺さり粒回収部Sで刺さり粒を回収でき、排出口35からの藁屑がシーブ25へ落下することを前側ふるい部60により防止するので、選別性能を低下させない。
したがって、脱穀室12の負荷の軽減と刺さり粒回収と揺動選別棚22に選別負荷の軽減とを両立させることができる。
請求項2記載の発明では、排出口35から落下する藁屑を前側ふるい部60により効率よく受け止めて脱穀室12の負荷の軽減と選別負荷の軽減とを図ることができ、また、一番棚先部材65により唐箕19からの選別風をシーブ25と前側ふるい部60と後側ふるい部61に上方に吹き抜けるように案内でき、一層、藁屑から穀粒を分離させることができる。
請求項3記載の発明では、ストローラック26と前側ふるい部60および後側ふるい部61の傾斜角度を変更調節できるので、最適な作業状態で作業を行うことができる。
請求項4記載の発明では、前側ふるい部60および後側ふるい部61の藁屑と穀粒との分離性能を向上させることができる。
請求項5記載の発明では、前側ふるい部60および後側ふるい部61とストローラック26の藁屑と穀粒との分離性能を向上させることができ、藁屑の排出性能も向上させられるので、脱穀負荷を軽減することができる。
請求項6記載の発明では、唐箕19からの選別風を有効利用でき、選別効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】脱穀装置の縦断側面図。
【図3】同平面図。
【図4】同一部側面図。
【図5】揺動選別棚の側面図。
【図6】ふるい部の平面図。
【図7】ふるい部の他の実施例の平面図。
【図8】ふるい部の他の実施例の背面図。
【図9】ふるい部の他の実施例の平面図。
【図10】ふるい部の他の実施例の平面図。
【図11】ふるい部の他の実施例の平面図。
【図12】ふるい部の他の実施例の平面図。
【図13】後側ふるい部の他の実施例の側面図。
【図14】後側ふるい部の他の実施例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、6はグレンタンク5の前側に設けた操縦部である。
前記脱穀装置3は、上部に扱歯10を有する扱胴11を略水平に軸装した脱穀室12を設ける。脱穀室12の一側には前記刈取部4により刈り取った穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置13の供給搬送チェン14を設けている。なお、理解を容易にするため、便宜的に前後左右等の方向を示して以下説明するが、これにより構成が限定されるものではない。
扱胴11は脱穀装置3の前板16と脱穀室後板17に軸装し、扱胴11の主として下方側は扱網18により包囲している。扱網18の下方には唐箕19の唐箕ケーシング20を設ける。前記脱穀室12の下方には前記唐箕19の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室21を形成し、風選室21内には、唐箕19の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚22により構成した揺動選別装置23を設ける。
【0009】
揺動選別装置23の構成は任意であるが、一例を示すと、前記揺動選別棚22の始端部(前端部)を唐箕ケーシング20の上方に位置させて移送棚部24に形成する。各移送棚部24の上面には、突起や凹凸を設けて揺動選別棚22の移送方向下手側に扱網18からの落下物を移送するように構成する。
移送棚部24の移送方向下手側にはシーブ25を設ける。シーブ25は前側のグレンシーブ25Aと後側のチャフシーブ25Bにより構成している。
シーブ25は、穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。グレンシーブ25Aは、薄い平板形状に形成し、移送方向の下手側(後側)が高くなるように傾斜させて設ける。チャフシーブ25Bは傾斜角度調節自在に構成している。
チャフシーブ25Bの移送方向の下手側(後側)にはストローラック26を設ける。揺動選別棚22の下方には一番コンベア27を設け、一番コンベア27の後側には二番コンベア28を設ける。
【0010】
前記穀稈供給搬送装置13の設置側とは反対側の扱胴11の後部(終端側)側方には、排塵処理装置30を設ける。排塵処理装置30は、扱胴11の軸心と略平行な排塵処理胴31を軸装し、脱穀室12の後部に設けた排塵連通口33(図2、図3)により脱穀室12と連通させて構成する。排塵処理胴31の始端部は中板34に軸装し、中板34と脱穀室後板17との間に扱網18より落下しない藁屑を含む被処理物を排出する排出口35を設ける。
排出口35の前側部分は扱網18よりも目合の大きい前側漏下部36に形成し、前側漏下部36の後側には前記前側漏下部36よりも目合の大きい後側漏下部37に形成し、後側漏下部37の後側に落下部38を形成し、落下部38には落下ガイド39を設けている。
前記前側漏下部36は、前記排塵連通口33と並ぶ位置に設け、前側漏下部36は排出口35に至った扱網18より落下しない排藁の落下の際の抵抗となって、排出口35からそのまま下方に落下排出させずに、排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行するのを補助し、揺動選別装置23の負荷を軽減させて、選別効率を向上させる。
【0011】
即ち、排出口35を開放構成とすると、排出口35に至った扱網18より落下しない排藁等の被処理物がそのまま下方に落下して排塵処理装置30への移行効率が低下するが、扱網18より落下しない被処理物のうちの更に前側漏下部36から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
40,41は仕切板である。
前記排塵処理装置30の前側には、二番コンベア28により回収された二番物を処理する二番処理装置42を設ける。
二番処理装置42の二番処理胴44は、排塵処理胴31と同心状に配置する。二番処理胴44は、穀稈供給搬送装置13の搬送方向と反対に揺動選別棚22の始端部側上方に向けて被処理物を搬送するように構成すると共に、扱網18の側方に位置している。
46は吸引排塵ファン、47は吸引排塵ファン46のケーシングである。
しかして、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通部Hに形成し、排塵連通部H内に前記排塵連通口33を形成する。
扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部Sに形成する。前記排塵連通部Hおよび刺さり粒回収部S内には前記扱胴11の後部を延長して臨ませる。
【0012】
前記排塵連通部H内の前記扱胴11の扱歯10は、扱網18の上方の扱胴11の扱歯10よりも扱胴11の軸心方向の間隔を狭く(密)して設ける。
そのため、排塵連通口33への被処理物の移行を円滑に効率よく行える。
また、排塵連通部Hと刺さり粒回収部Sの間に、縦の仕切板41を設ける。
仕切板41は、高速作業時の被処理物が増加しても、排塵処理装置30への移行を促進し、刺さり粒回収部Sへの被処理物の流れ込みを抑制し、四番ロス発生を軽減させる。
しかして、揺動選別棚20上には、前後二列の前後側ふるい部60、61を並設する。
そのため、ジャンプラック無しで、選別性能を向上させられる。
前側ふるい部60および後側ふるい部61は、夫々の前側取付部62Aと後側取付部62Bとを揺動選別棚22の側板63に夫々取付ける。夫々の前側取付部62Aと後側取付部62Bには、後方に突出する前側ふるい線64Aおよび後側ふるい線64Bを左右方向に所定間隔を置いて複数並設する。
前記前側ふるい部60と後側ふるい部61は、前側ふるい部60の終端部の下方に、後側ふるい部61の始端部を位置させ、前後にオーバーラップさせる。
そのため、シーブ25上の藁屑の落下を防ぎ、選別性能を向上させられる。
【0013】
前記前側ふるい部60は、その前端を前記脱穀室12の終端下方に位置させる。
そのため、脱穀室12の排出口35から落下する藁屑を前側ふるい部60が受け止めて、後方に移送し、シーブ25上に藁屑が落下するのを防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、前記前側ふるい部60は、前記排出口35の後側漏下部37の後側部分の下方に位置させる。
そのため、排塵連通口33の後側漏下部37および落下部38から落下する藁屑を前側ふるい部60が受け止めて、後方に移送し、シーブ25上に藁屑が落下するのを防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、前記前側ふるい部60の前端は、前記揺動選別棚22のシーブ25の下方に設けた選別網45の後端とと同じか前寄りに位置させる。
そのため、一番コンベア27への藁屑の落下を防止して、選別性能を向上させられる。
【0014】
また、前記前側ふるい部60は、揺動選別棚22に設けた一番棚先部材65の上方に設ける。
そのため、前側ふるい部60には、一番棚先部材65に案内された唐箕19からの選別風が強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
66Aは取付部、66Bは弾性案内部材である。
この場合、揺動選別棚22の取付角度を、やや後傾とし、揺動選別棚22全体が後下がりにすると、唐箕ケーシング20および唐箕19の径を大きくすることができ、唐箕19の風力を上げ、選別を良好にする。
また、前記前側ふるい部60の前端は、前記排出口35のうち目合の大きくなった後側漏下部37の下方に位置させる。
排出口35では穀粒および藁屑が落下し、排出口35のうち目合の大きくなった後側漏下部37では藁屑の落下量が増加する傾向にあるが、後側漏下部37の下方に前側ふるい部60の前端を位置させているので、シーブ25への藁屑の落下を抑制する。
【0015】
前記後側ふるい部61の前端は、前記一番棚先部材65の延長線よりも前側から後方の間に位置する構成とする。
そのため、前側ふるい部60上の藁屑が後側ふるい部61に引き継がれるとき、後側ふるい部61の前端付近の前後側の部分に、選別風を一番棚先部材65により案内させられ、前側ふるい部60と後側ふるい部61との引継を良好にする。
前記シーブ25は傾斜角度を調節自在とし、シーブ25の傾斜角度調節に連動させて前側ふるい部60と後側ふるい部61の傾斜を変更する構成とする。
即ち、シーブ25を起立させて、シーブ25の間隔を広げると、前側ふるい部60と後側ふるい部61の傾斜は後上がりの急傾斜になる。
そのため、穀粒と藁屑が混ざることを抑制した作業状態に応じた最適状態で選別できる。
前記シーブ25および前側ふるい部60と後側ふるい部61の傾斜調節機構の構成は任意であるが、一例を示すと、前記シーブ25の上部および前側ふるい部60と後側ふるい部61の取付部62の上部を軸70により回転自在に取付け、前記シーブ25の下部および前側ふるい部60と後側ふるい部61の取付部62の下部に軸71を設け、軸71を誘導溝72に移動自在に挿通する。
【0016】
各シーブ25の下部および前側ふるい部60と後側ふるい部61の取付部62の軸71は連動板73に取付け、連動板73と何れかの軸71とにアーム74を取付ける。アーム74の上部は軸71により回動自在に取付け、アーム74の下部には図示は省略するが操作伝達部材(ワイヤ・ロッド等)を接続する。
また、前側ふるい部60と後側ふるい部61は、独立して傾斜角度を調節しうるようにしてもよい。
したがって、前側ふるい部60と後側ふるい部61との傾斜を、例えば、前側ふるい部60を緩く、後側ふるい部61を急傾斜にする等の独立した傾斜角度を調節したり、あるいは、前側ふるい部60の傾斜と後側ふるい部61の傾斜を、一方を急にしつつ他方を緩くするなどの、互いを反対に調節する場合もある。
このようにすることで、作業条件に対する適応範囲を広げ、脱穀選別性能を向上させられる。
【0017】
前記前側ふるい部60および後側ふるい部61は、左右方向の取付部62A、62Bにふるい線64A,64Bの基部を取付けて構成し、この前側ふるい部60のふるい線64Aと後側ふるい部61のふるい線64Bとは、長短長さの相違するものを交互に配列する。
そのため、前側ふるい部60および後側ふるい部61の長短のふるい線64の揺動により藁屑と穀粒との選別を良好にする。
この場合、前側ふるい部60のふるい線64Aのうちの長いふるい線64Lと短いふるい線64Sのうちの短いふるい線64Sは、揺動選別棚22の選別網45の終端から前記一番棚先部材65の終端までの長さにすると、一番コンベア27への藁屑の落下を防止して、選別性能を向上させられる。
また、後側ふるい部61の前端は、前記一番棚先部材65の終端付近にすると、二番コンベア28への藁屑の落下を防止して、選別性能を向上させられる。
図7は、前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例であり、長短長さの相違するふるい線64L、64Sを交互に配列すると共に、前側ふるい部60と後側ふるい部61の長いふるい線64Lと短いふるい線64Sとの位置をずらせて取付ける。
【0018】
また、前側ふるい部60と後側ふるい部61の長さの長いふるい線64Lと長さの短いふるい線64Sとの傾斜角度を相違させると、長いふるい線64Lと短いふるい線64Sによる藁屑を支持する高さに高低差を発生させ、穀粒との分離を促進させる。
例えば、長いふるい線64Lの傾斜は急とし、短いふるい線64Sは長ふるい線64Lに比し緩い傾斜とする。
また、反対に、長いふるい線64Lの傾斜に対して短いふるい線64Sの傾斜を急傾斜にすることもある。
また、図8は、前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例であり、前側ふるい部60および後側ふるい部61の起立角度(傾斜角度)を、排塵処理装置30側を高く、穀稈供給搬送装置13側にいたるに従い順次次第に低く構成する。
そのため、排塵処理装置30側の処理物を、穀稈供給搬送装置13側へ送ると共に、穀稈供給搬送装置13側を低くすることにより、穀稈供給搬送装置13側の被処理物の移送に対する前側ふるい部60と後側ふるい部61の抵抗を減少させて、処理効率を向上させている。
【0019】
また、図9は、前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例であり、前側ふるい部60および後側ふるい部61の起立角度(傾斜角度)を、穀稈供給搬送装置13を高く、排塵処理装置30側にいたるに従い順次次第に低く構成する。
そのため、穀稈供給搬送装置13側の多い処理物を、排塵処理装置30側へ送り、被処理物の左右均一にする。
また、図10は、前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例であり、前側ふるい部60および後側ふるい部61の起立角度(傾斜角度)を、略扱胴11中心から排塵処理装置30側を高くしている。
そのため、排塵処理装置30側の処理物を、穀稈供給搬送装置13側へ送り、穀稈供給搬送装置13側の被処理物の移送に対する前側ふるい部60と後側ふるい部61の抵抗を減少させて、処理効率を向上させている。
【0020】
また、図11は、前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例であり、排塵処理装置30側の前側ふるい部60と後側ふるい部61を起立させている。
また、図12は、前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例であり、扱胴11中心と排塵処理装置30側との間の前側ふるい部60と後側ふるい部61を起立させている。
また、前側ふるい部60を後側ふるい部61よりも立ち上げると、前側で穀粒を落とし、後側の後側ふるい部61で移送を促進させられる。
また、後側ふるい部61を前側ふるい部60よりも立ち上げると、前側での停滞を防ぎ、後方の後側ふるい部61で穀粒の分離を促進させられる。
また、後側ふるい部61は、その終端を、揺動選別棚22のストローラック26の上方に重ねるよう配置する。
そのため、シーブ25上への藁屑の落下を防ぎ、選別性能を向上させられる。
【0021】
また、後側ふるい部61は、ストローラック26よりも立ち上げる。
そのため、後側ふるい部61とストローラック26との上下間隔を広くし、ストローラック26上での藁屑の停滞を防ぐ。
後側ふるい部61のふるい線64Bの終端と揺動選別棚22の終端に機体前後方向で、一定の距離を開けた構成とする(図4)。
後側ふるい部61のふるい線64Bの隙間からシーブ25上に藁屑が落下した場合、藁屑はシーブ25上をつたい、揺動選別棚22の終端まで搬送されるが、ストローラック26をつたい機外に排出される際に、ストローラック26の終端上方にふるい線64Bが被っていないので、スムーズに機外に排出される。
しかして、前記一番棚先部材65の下方で一番コンベア27と二番コンベア28との間にセカンドファン80を設け、前記ストローラック26の基部の取付部81にセカンドファン80の送風を案内する送風案内プレート82を設ける。
そのため、セカンドファン80からの送風をシーブ25の上方に吹き抜けるように案内し、吸引排塵ファン46へ誘導するので、後側ふるい部61での藁屑と穀粒との分離を促進させられる。
【0022】
この場合、ストローラック26の送風案内プレート82は、セカンドファン80からの送風を吸引排塵ファン46へ誘導するように構成すれば良く、セカンドファン80の送風口83の延長線より後方に送風案内プレート82を設けると、吸引排塵ファン46への送風の誘導を確実にし、ストローラック26と後側ふるい部61とによる藁屑と穀粒との分離を、一層、促進させられる。
前記送風案内プレート82の下部は、後側へ屈曲させた屈曲部84に形成する。
そのため、唐箕19からの選別風を掬い、ストローラック26の前側下方部分の選別風の抜けを比較的抑制し、ストローラック26の前側部分での穀粒回収効率を向上させ、穀粒の機外への飛散を抑制でき、三番ロスを減少させる。
また、前記後側ふるい部61の取付板部取付部62には、唐箕19からの送風を案内する送風案内プレート85を設ける。
そのため、唐箕19からの送風を後側ふるい部61付近で立ち上げて上方に吹き抜けるように案内するので、後側ふるい部61での藁屑と穀粒との分離を促進させられる。
【0023】
(実施例の作用)
走行装置2により走行し、刈取部4で刈り取った穀稈は穀稈供給搬送装置13の供給搬送チェン14により搬送されて、脱穀室12に供給され、脱穀室12の扱胴11で脱穀される。
脱穀された脱穀物は、扱網18より揺動選別棚22上に落下し、揺動選別棚22の揺動と唐箕19からの送風により選別され、穀粒は揺動選別棚22の選別網から一番コンベア28に回収され、一番コンベア28により回収された穀粒はグレンタンク5に貯留される。
また、二番コンベア28に回収された二番物は二番還元装置(図示省略)により二番処理装置42に還元され、二番処理装置42の二番処理胴44により再処理されて揺動選別棚22の始端部に拡散排出される。
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は排塵連通口33から排塵処理装置30に入って処理される。
また、揺動選別棚22上の処理物は風選室21で風選され、揺動選別棚22より落下しない処理物のうち藁屑・塵埃は吸引排塵ファン42により機外に吸引排出される。
【0024】
また、脱穀室12で脱穀された脱穀物のうち、扱網18より落下しない脱穀物の一部は、脱穀室12の終端の排出口35に至る。排出口35の前側部分には縦桟36を並設して複数の排出孔37を形成しているので、縦桟36により排出口35に至った扱網18より落下しない被処理物の全てがそのまま下方に落下せず、扱網18より落下しない被処理物のうちの小さい被処理物だけを排出孔37から揺動選別装置23に落下させ、揺動選別装置23の負荷を減少させる。
また、扱網18より落下しない被処理物のうちの更に排出孔37から落下しない大きな被処理物は排塵連通口33から排塵処理装置30へ移行させ、排塵処理装置30への移行効率を向上させ、全体として、選別精度および選別効率を向上させる。
しかして、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの前側部分は排塵連通部Hに形成し、排塵連通部H内に排塵連通口33を形成し、扱網18の存在しない脱穀室12の終端側の部分のうちの後側部分は刺さり粒回収部Sに形成し、排塵連通部Hおよび刺さり粒回収部S内にまで扱胴11の後部を延長して臨ませ、排塵連通部H内の扱胴11の扱歯10は、扱網18の上方の扱胴11の扱歯10よりも扱胴11の軸心方向の間隔を狭くして設けているので、排塵連通口33への被処理物の移行を円滑に効率よく行うことができる。
【0025】
また、排塵連通部Hと刺さり粒回収部Sの間に、縦の仕切板41を設けているので、高速作業時の被処理物が増加しても、排塵処理装置30への移行を促進し、刺さり粒回収部Sへの被処理物の流れ込みを抑制し、四番ロス発生を軽減させる。
しかして、揺動選別棚20上には、前後二列の前側ふるい部60と後側ふるい部61を並設しているので、ジャンプラック無しで、選別性能を向上させられる。
即ち、従来、揺動選別棚22の側板63の上端より所定間隔を置いた上方にラックを設けていたが、このラックでは、ラックとシーブ25の上面との間の間隔から藁屑がシーブ25上に落下し、シーブ25の各フィン間の隙間から落下し、選別精度が低下するが、本願では、シーブ25の上に、前後二列の前側ふるい部60と後側ふるい部61を並設しているので、シーブ25上への藁屑の落下を抑制し、選別効率を向上させられる。
【0026】
即ち、従来は、排出口35を後向きに開口させ、藁屑を排出口35の後方に落下させていたが、本願では、排出口35を下向きに開口させて藁屑を下方に落下させて、排出口35における藁屑の詰まりを解消させつつ、揺動選別棚22のシーブ25上への藁屑の落下を防止して、揺動選別棚22の選別性能の低下を回避し、全体として、脱穀および選別の性能を向上させている。
前側ふるい部60および後側ふるい部61は、取付部62を揺動選別棚22の側板63に取付け、取付部62に後方に突出するふるい線64を所定間隔を置いて複数並設して構成しているので、排出口35と揺動選別棚22との上下間隔の狭い部分でも、藁屑を支持して後方に移送する前側ふるい部60および後側ふるい部61のうち前側ふるい部60を設けられる。
この場合、前側ふるい部60の前端は、脱穀室12の終端下方に位置させているので、脱穀室12の排出口35から落下する藁屑を前側ふるい部60が受け止めて、後方に移送し、シーブ25上に藁屑が落下するのを防ぎ、選別性能を向上させられる。
【0027】
前側ふるい部60の終端部の下方に、後側ふるい部61の始端部を位置させて、前後にオーバーラップさせているので、排出口35から落下する藁屑を前側ふるい部60から後側ふるい部61へ引き継いで移送し、シーブ25上への藁屑の落下を防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、前側ふるい部60は、排出口35の後側漏下部37の後側部分の下方に位置させているので、排出口35の後側漏下部37および落下部38から落下する藁屑を前側ふるい部60が受け止めて、後方に移送し、シーブ25上に藁屑が落下するのを防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、前側ふるい部60の前端は、揺動選別棚22のシーブ25の下方に設けた選別網45の後端とと同じか前寄りに位置させているので、一番コンベア27への藁屑の落下を防止して、選別性能を向上させられる。
【0028】
また、前側ふるい部60は、揺動選別棚22に設けた一番棚先部材65の上方に設けているので、前側ふるい部60には、一番棚先部材65に案内された唐箕19からの選別風が強く吹き抜け、藁屑と穀粒との分離を促進させる。
この場合、揺動選別棚22の取付角度を、やや後傾とし、揺動選別棚22全体が後下がりにすると、唐箕ケーシング20および唐箕19の径を大きくすることができ、唐箕19の風力を上げ、選別を良好にする。
また、前側ふるい部60の前端は、排出口35のうち目合の大きくなった後側漏下部37の下方に位置させているので、排出口35では穀粒および藁屑が落下し、排出口35のうち目合の大きくなった後側漏下部37では藁屑の落下量が増加する傾向にあるが、後側漏下部37の下方に位置する前側ふるい部60がシーブ25上への藁屑の落下を抑制する。
【0029】
後側ふるい部61の前端は、一番棚先部材65の傾斜を延長させた延長線の前後近傍に位置する構成としているので、前側ふるい部60上の藁屑が後側ふるい部61に引き継がれるとき、後側ふるい部61の前端付近に、一番棚先部材65により案内させれた選別風が吹き上がり、前側ふるい部60と後側ふるい部61との引継を良好にする。
シーブ25は傾斜角度を調節自在とし、シーブ25の傾斜角度調節に連動させて前側ふるい部60と後側ふるい部61の傾斜を変更する構成としているので、作業状態に応じた最適状態で選別できる。
操作伝達部材を操作すると、アーム74が軸71を中心に回動し、アーム74は連動板73を前後に移動させ、連動板73の前後移動によりシーブ25および前側ふるい部60と後側ふるい部61の傾斜を調節する。
【0030】
この場合、図示は省略するが、前側ふるい部60と後側ふるい部61は、夫々、別の連動板73に取付け、各連動板73にアーム74を取付けると、前側ふるい部60と後側ふるい部61とを独立して傾斜角度を調節することができ、作業条件に対する適応範囲を広げ、脱穀選別性能を向上させられる。
前側ふるい部60および後側ふるい部61は、左右方向の取付部62A、62Bにふるい線64A、64Bの基部を取付けて構成し、この前側ふるい部60のふるい線64Aと後側ふるい部61のふるい線64Bとは、長短長さの相違するものを交互に配列しているので、前側ふるい部60および後側ふるい部61の長短のふるい線64L、64Sの揺動により藁屑と穀粒との選別を良好にする。
この場合、前側ふるい部60の長いふるい線64Lと短いふるい線64Sのうちの短いふるい線64Sは、揺動選別棚22の選別網45の終端から一番棚先部材65の終端までの長さにすると、一番コンベア27への藁屑の落下を防止して、選別性能を向上させられる。
【0031】
また、後側ふるい部61の前端は、一番棚先部材65の終端付近にすると、二番コンベア28への藁屑の落下を防止して、選別性能を向上させられる。
図7の前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例では、長短長さの相違するふるい線64を交互に配列すると共に、前側ふるい部60と後側ふるい部61の長いふるい線64と短いふるい線64との位置をずらせて取付けているので、図6の実施例に比し、長尺の藁屑と短尺の藁屑の分離性能を向上させられる。
また、前側ふるい部60と後側ふるい部61の長さの長いふるい線64Lと長さの短いふるい線64Sとの傾斜角度を相違させているので、長いふるい線64Lと短いふるい線64Sによる藁屑を支持する高さに高低差が発生し、穀粒との分離を促進させる。
図8の前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例では、前側ふるい部60および後側ふるい部61の起立角度(傾斜角度)を、排塵処理装置30側を高く、穀稈供給搬送装置13側にいたるに従い順次次第に低く構成しているので、排塵処理装置30側の処理物を、穀稈供給搬送装置13側へ送ると共に、穀稈供給搬送装置13側を低くすることにより、穀稈供給搬送装置13側の被処理物の移送に対する前側ふるい部60と後側ふるい部61の抵抗を減少させて、処理効率を向上させている。
【0032】
図9の前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例では、前側ふるい部60および後側ふるい部61の起立角度(傾斜角度)を、穀稈供給搬送装置13を高く、排塵処理装置30側にいたるに従い順次次第に低く構成しているので、穀稈供給搬送装置13側の多い処理物を、排塵処理装置30側へ送り、被処理物の左右均一にする。
図10の前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例では、前側ふるい部60および後側ふるい部61の起立角度(傾斜角度)を、略扱胴11中心から排塵処理装置30側を高くしているので、排塵処理装置30側の処理物を、穀稈供給搬送装置13側へ送り、穀稈供給搬送装置13側の被処理物の移送に対する前側ふるい部60と後側ふるい部61の抵抗を減少させて、処理効率を向上させている。
図11の前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例では、排塵処理装置30側の前側ふるい部60と後側ふるい部61を起立させているので、排塵処理装置30から落下する藁屑が揺動選別棚22の前側から移送されてきた被処理物に混入することを防止することができる。
【0033】
図12の前側ふるい部60および後側ふるい部61の他の実施例では、扱胴11中心と排塵処理装置30側との間の前側ふるい部60と後側ふるい部61を起立させているので、
揺動選別棚22上の被処理物が多い場合の選別性能を向上させられる。
後側ふるい部61の終端は、揺動選別棚22のストローラック26の上方に重ねるよう配置しているので、シーブ25上への藁屑の落下を防ぎ、選別性能を向上させられる。
また、後側ふるい部61は、ストローラック26よりも立ち上げているので、後側ふるい部61とストローラック26との上下間隔を広くし、ストローラック26上での藁屑の停滞を防げる。
後側ふるい部61のふるい線64Bの終端と揺動選別棚22の終端に機体前後方向で、一定の距離を開けた構成としているので、後側ふるい部61のふるい線64Bの隙間からシーブ25上に藁屑が落下した場合、藁屑はシーブ25上をつたい、揺動選別棚22の終端まで搬送されるが、ストローラック26をつたい機外に排出される際に、ストローラック26の終端上方にふるい線64Bが被らず、スムーズに機外に排出される。
【0034】
しかして、一番棚先部材65の下方で一番コンベア27と二番コンベア28との間にセカンドファン80を設け、ストローラック26の基部の取付部81にセカンドファン80の送風を案内する送風案内プレート82を設けているので、セカンドファン80からの送風をシーブ25の上方に吹き抜けるように案内し、吸引排塵ファン46へ誘導するので、後側ふるい部61での藁屑と穀粒との分離を促進させる。
この場合、ストローラック26の送風案内プレート82は、セカンドファン80の送風口83の延長線より後方に設けているので、吸引排塵ファン46への送風の誘導を確実にし、ストローラック26と後側ふるい部61とによる藁屑と穀粒との分離を、一層、促進させられる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0035】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部、5…グレンタンク、6…操縦部、11…扱胴、12…脱穀室、13…穀稈供給搬送装置、14…供給搬送チェン、16…前板、17…脱穀室後板、18…扱網、19…唐箕、20…唐箕ケーシング、21…風選室、22…揺動選別棚、23…揺動選別装置、24…移送棚部、25…シーブ、26…ストローラック、27…一番コンベア、28…二番コンベア、30…排塵処理装置、31…排塵処理胴、33…排塵連通口、35…排出口、36…前側漏下部、37…後側漏下部37、38…落下部、42…二番処理装置、44…二番処理胴、45…選別網、46…吸引排塵ファン、60…前側ふるい部、61…後側ふるい部、62…取付部、63…側板、64…ふるい線、65…一番棚先部材、80…セカンドファン、81…取付部、82…送風案内プレート、83…送風口、84…屈曲部、85…送風案内プレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈供給搬送装置(13)によって搬送中の穀稈を脱穀する扱胴(11)の下側に扱網(18)を設けて脱穀室(12)を形成し、前記扱網(18)の下方に、シーブ(25)を有し前後方向に往復揺動する揺動選別棚(22)を設け、該揺動選別棚(22)の下方には一番コンベア(27)および二番コンベア(28)を設け、前記脱穀室(12)の後部における穀稈供給搬送装置(13)の設置側とは反対側の部位には、排塵処理胴(31)を有する排塵処理装置(30)を排塵連通口(33)を介して連通させ、前記脱穀室(12)の後部における前記排塵連通口(33)よりも後側の部位に前記扱胴(11)の後部を延長して臨ませて、当該脱穀室(12)の後端部に刺さり粒回収部(S)を形成し、前記脱穀室(12)の後部下側には、前記扱網(18)より漏下しない被処理物および前記刺さり粒回収部(S)から落下する穀粒を排出する排出口(35)を設け、該排出口(35)の前側部分は前記扱網(18)よりも目合の大きい前側漏下部(36)に形成し、前記前側漏下部(36)の後側に該前側漏下部(36)よりも目合の大きい後側漏下部(37)を形成し、該後側漏下部(37)の後側に落下部(38)を形成して構成し、前記揺動選別棚(22)における排出口(35)の下方の部位には、後端部側を自由端とする前側ふるい線(64A)を左右方向に所定間隔を置いて複数並設した前側ふるい部(60)を設け、前記前側ふるい部(60)の後側には、後端部側を自由端とする後側ふるい線(64B)を左右方向に所定間隔を置いて複数並設した後側ふるい部(61)を設け、前記前側ふるい部(60)の前側ふるい線(64A)の終端は前記後側ふるい部(61)の後側ふるい線(64B)の始端上方に位置させたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
請求項1において、前記揺動選別棚(22)のシーブ(25)の下方に選別網(45)を設け、該揺動選別棚(22)における前記一番コンベア(27)と二番コンベア(28)との間の選別網(45)の下方の部位には被処理物を一番コンベア(27)側へ流下案内する一番棚先部材(65)を設け、前記前側ふるい部(60)の前端は、前記選別網(45)の後端よりも前側に位置させると共に、前記前側ふるい部(60)の後端は前記一番棚先部材(65)の延長線より後方に位置させたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記シーブ(25)は傾斜角度を調節自在とし、該シーブ(25)の傾斜角度調節に連動させて前側ふるい部(60)と後側ふるい部(61)の傾斜角度を変更する構成としたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記前側ふるい部(60)および後側ふるい部(61)は、夫々長短長さの相違する前側ふるい線(64A)および後側ふるい線(64B)を交互に配列したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記後側ふるい部(61)は、その終端を、前記シーブ(25)の後側に設けたストローラック(26)の上方に位置させると共に、前記ストローラック(26)の上縁よりも後上がりに急傾斜させたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5において、前記後側ふるい部(61)の取付部(62)には前記唐箕(19)からの送風を上方へ案内する送風案内プレート(85)を設けたことを特徴とする脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−42676(P2013−42676A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180611(P2011−180611)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】