説明

脱臭エアフィルター及びその製法

【課題】通気抵抗が小さく、かつ、脱臭性能が高い脱臭エアフィルターを提供する。
【解決手段】全体がプリーツ型であって、不織繊維を切断せずに形成された多数の通気小孔2を有し、かつ、吸着剤3を含浸付着させた不織布4を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭エアフィルター及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば空気調和機や集塵フィルター等に用いられる脱臭エアフィルターとして、不織布に吸着剤を固着したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、通気抵抗が大きかった。そこで、機械方式で多数の小孔を打抜形成していた。しかし、製造が面倒であるとともに、製造コストが高いという欠点があった。さらに、製造工程に於て上記打抜形成時に粉塵が発生するという問題があった。
【特許文献1】特開2003−70891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、通気抵抗が大きい点である。また、製造が面倒であるとともに、製造コストが高い点である。さらに、製造工程に於て粉塵が発生する点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る脱臭エアフィルターは、全体がプリーツ型であって、不織繊維を切断せずに形成された多数の通気小孔を有し、かつ、吸着剤を含浸付着させた不織布を有するものである。また、本発明に係る脱臭エアフィルターの製法は、メッシュ受材にて受けながら、帯状不織素材を送りつつ、高圧水を噴射させて、不織繊維を切断することなく多数の通気小孔を形成する第1工程と、次に、吸着剤を混合した液が入った液槽内へ通し、又は、吸着剤を混合した液を吹き付けて、上記吸着剤を付加する第2工程と、次に、乾燥させると共に、山谷交互に形成するプリーツ加工を行う第3工程と、を具備する方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の脱臭エアフィルターによれば、通気抵抗が小さく、かつ、脱臭性能が高い。また、本発明の脱臭エアフィルターの製法によれば、容易にかつ低コストで脱臭エアフィルターを製造することができる。さらに、粉塵の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1・図2は、本発明の第1の実施の形態の使用状態の一例を示す。すなわち、脱臭エアフィルターFの周囲に、全体形状を保持するとともに補強するためのフレーム部材Rが固着されている。さらに、脱臭エアフィルターFの表て面F1 及び裏面F2 に、脱臭エアフィルターFのプリーツ形状を保持するとともに補強するための熱融着樹脂Mが直線状に塗布されている。
【0008】
脱臭エアフィルターFは、全体がプリーツ型であって、不織繊維1(図5参照)を切断せずに形成された多数の通気小孔2を有する不織布4から成る。不織布4の材質は、例えば、レーヨン、パルプ等の天然繊維、又は、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン等の化学繊維、又は、これらのうち複数の混合したものである。
【0009】
通気小孔2が、例えば、1インチ当り4個以上20個以下に設定される。通気小孔2が、1インチ当り4個未満の場合、脱臭性能が劣る。通気小孔2が、1インチ当たり20個を超える場合、通気抵抗が大きい。
【0010】
不織布4に吸着剤3が含浸付着されている。吸着剤3は、例えば、粉末状の活性炭、粉末状のゼオライト、又は、それらの両方等から成る。
【0011】
次に、第1の実施の形態の脱臭エアフィルターFの製法について説明する。図3〜図6に示すように、金属製又は樹脂製メッシュ受材5にて受けながら、上述の不織布4の材質から成る帯状不織素材6を送りつつ、ノズル7から高圧水8を噴射させて、不織繊維1を切断することなく多数の通気小孔2を形成する第1工程を具備する。
【0012】
第1工程に於て、複数枚(例えば3枚)の帯状不織素材6を積層状として高圧水8を噴射させて、上述のように通気小孔2を形成した後、プレスする方法が好ましい。この場合、不織布4(図2参照)が、複数枚の帯状不織素材6から成ると言える。なお、図6では、上ローラ9及び下ローラ10にてプレスしている。
【0013】
次に、図6右方へ送りつつ連続的に、又は、一旦ロール状に巻取って後に、ロールから繰出して、図7に示すように、吸着剤3を混合した液11が入った液槽12内へ通して(ディッピング加工)、吸着剤3を付加する第2工程を具備する。ディッピング加工に代えて、図8に示すように、吸着剤3を混合した液11を吹き付けて(吹付け加工)、吸着剤3を付加する第2工程を具備するも良い。
【0014】
次に、図示省略するが、乾燥させると共に、山谷交互に形成するプリーツ加工(ひだ折り加工)を行う第3工程を具備する。また、第3工程に於て、上述の第1工程及び第2工程を行った帯状不織素材6を切断する。第3工程に於ける乾燥、プリーツ加工、切断は、順序を問わない。
【0015】
図9は、第2の実施の形態を示す。不織布4に集塵フィルター13が積層されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0016】
第2の実施の形態の脱臭エアフィルターFの製法は、第1の実施の形態の製法のプリーツ加工より前に、不織布4に集塵フィルター13を接着する。その他の製法は、第1の実施の形態と同様である。
【0017】
図10は、第3の実施の形態を示す。不織布4に抗菌不織布14が積層されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0018】
第3の実施の形態の脱臭エアフィルターFの製法は、第1の実施の形態の製法のプリーツ加工より前に、抗菌不織布14を接着する。その他の製法は、第1の実施の形態と同様である。
【0019】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、通気小孔2の形状及び個数は、図5に例示したものに限定されない。また、集塵フィルター13が通気小孔を有するも良い。また、抗菌不織布14が通気小孔を有するも良い。
【0020】
以上のように、本発明は、全体がプリーツ型であって、不織繊維1を切断せずに形成された多数の通気小孔2を有し、かつ、吸着剤3を含浸付着させた不織布4を有するので、通気抵抗が小さく、かつ、脱臭性能が高い。
【0021】
また、メッシュ受材5にて受けながら、帯状不織素材6を送りつつ、高圧水8を噴射させて、不織繊維1を切断することなく多数の通気小孔2を形成する第1工程と、次に、吸着剤3を混合した液11が入った液槽12内へ通し、又は、吸着剤3を混合した液11を吹き付けて、吸着剤3を付加する第2工程と、次に、乾燥させると共に、山谷交互に形成するプリーツ加工を行う第3工程と、を具備するので、通気抵抗が小さく、かつ、脱臭性能が高い脱臭エアフィルターFを製造することができる。また、本発明の脱臭エアフィルターの製法によれば、容易にかつ低コストで脱臭エアフィルターFを製造することができる。さらに、(機械的にではなく)高圧水で通気小孔2を形成するので、製造工程に於いて粉塵が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態の使用状態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の要部拡大図であって、(A)は図1のX−X断面の要部拡大図であり、(B)は図1のY−Y断面の要部拡大図である。
【図3】製造方法を説明する斜視図である。
【図4】製造方法を説明する断面図である。
【図5】帯状不織素材の平面図である。
【図6】第1工程を説明する簡略図である。
【図7】ディッピング加工を示す簡略図である。
【図8】吹付け加工を示す簡略図である。
【図9】第2の実施の形態を示す断面図である。
【図10】第3の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 不織繊維
2 通気小孔
3 吸着剤
4 不織布
5 メッシュ受材
6 帯状不織素材
8 高圧水
11 液
12 液槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体がプリーツ型であって、不織繊維(1)を切断せずに形成された多数の通気小孔(2)を有し、かつ、吸着剤(3)を含浸付着させた不織布(4)を有することを特徴とする脱臭エアフィルター。
【請求項2】
メッシュ受材(5)にて受けながら、帯状不織素材(6)を送りつつ、高圧水(8)を噴射させて、不織繊維(1)を切断することなく多数の通気小孔(2)を形成する第1工程と、
次に、吸着剤(3)を混合した液(11)が入った液槽(12)内へ通し、又は、吸着剤(3)を混合した液(11)を吹き付けて、上記吸着剤(3)を付加する第2工程と、
次に、乾燥させると共に、山谷交互に形成するプリーツ加工を行う第3工程と、を具備することを特徴とする脱臭エアフィルターの製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−264335(P2008−264335A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113813(P2007−113813)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(594167211)フロンティア産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】