説明

脱臭装置および脱臭方法

【課題】総合的にメンテナンス性を向上し得るようにする。
【解決手段】少なくとも臭気成分を含むガスGを通す光触媒フィルタ2と、光触媒フィルタ2の片面に向けて光を照射する光源3とを備えている。ガスGに汚れ成分が同伴される場合に、光触媒フィルタ2の風上側に、汚れ成分を捕集するための捕集用フィルタ18が、選択的に備えられる。そして、光触媒フィルタ2、捕集用フィルタ18、光源3のうちの少なくとも1つに対してメンテナンスを行うためのメンテナンス手段を設けるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光触媒を用いた脱臭装置および脱臭方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、大型ショッピングモールなどの大規模商業施設や、オフィスビルや、マンションなどの集合住宅には、換気設備が設けられている。このような換気設備から排出される排ガスには臭気成分を含むものが多く存在している。例えば、大規模商業施設に設けられたレストランなどの厨房設備からの排ガスには、各種の調理臭などの臭気成分が含まれている。
【0003】
そして、近年の環境意識の高まりに応じて、このような臭気成分を含むガスを、脱臭装置を用いて脱臭してから大気へ放出することが普及しつつある。
【0004】
このような用途に用いられる脱臭装置には、活性炭などを用いた吸着式のものや、中和剤を用いた中和式のものや、微生物を利用したバイオ式のものや、光触媒を用いた光触媒式のものなどの、各種のものが存在しているが、これらの技術にはそれぞれ一長一短があるため、それぞれ並存しているのが現状である。
【0005】
このうち、光触媒式の脱臭装置は、脱臭効率が高く、設備の簡易化や小型化が図り易く、また、ランニングコストが低いので、近年、注目を集めている。
【0006】
光触媒式の脱臭装置は、要するに、セラミック多孔体の表面に光触媒となる酸化チタン(Ti○2)の粉末を焼き付け固定して成る光触媒フィルタに、光源からの光(主に紫外線)を当てることにより、この光触媒フィルタを通過したガス中に含まれる有機性の臭気成分を光触媒反応(酸化・還元反応)によって、水と二酸化炭素とに分解して除去するようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−230806号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した光触媒式の脱臭装置には、以下のような問題があった。
【0009】
即ち、例えば、上記した厨房設備からの排ガスには、各種の臭気成分の他に、または、臭気成分の1つとして、油脂ミストなどの汚れ成分(油汚れなど)が含まれている場合があり、このような油脂ミストなどの汚れ成分が光触媒フィルタの表面に付着して固着すると、脱臭性能が低下してしまうため、光触媒フィルタから汚れ成分を除去する必要が生じる。
【0010】
光触媒フィルタに固着した汚れ成分を除去する手段としては、従来、脱臭装置から光触媒フィルタを取り外して、脱臭装置の外部へ運び、中性洗剤を主成分とする洗浄液中に一定時間浸漬した後、光触媒フィルタを水ですすぎ洗いし、更に、一定時間天日干し(陽光処理)して乾燥させ、乾燥後に再び脱臭装置へ組み込むという一連の再生作業が必要となるため、光触媒フィルタのメンテナンスには手間と時間とコストとを要していた。
【0011】
また、上記したような光触媒フィルタのメンテナンス中は、脱臭装置の運転を停止するか、状況によっては、代わりの光触媒フィルタを取り付けて運転するなどの必要があった。更に、メンテナンスのために脱臭装置から取り外した光触媒フィルタを落下するなどした場合、高価な光触媒フィルタを破損或いは損傷させてしまうおそれがあるため、光触媒フィルタの取り扱いには充分な注意が必要であった。
【0012】
このような光触媒フィルタへの汚れ成分の固着は、主に、光触媒フィルタの風上側の面や、光源からの光が照射される面とは反対側の面などに生じることになる。
【0013】
そこで、光触媒フィルタの風上側に捕集用フィルタを設置して、捕集用フィルタで予め汚れ成分を捕集し得るようにすることが考えられるが、このようにしても、汚れ成分が光触媒フィルタに全く到達しないようにするのは困難であり、また、補修用フィルタについても、汚れ成分が付着するので、付着した汚れ成分を除去するための補修用フィルタのメンテナンスが必要になる。
【0014】
更に、上記した光源は、構造上、光触媒フィルタよって覆い隠されることになるため、少なくとも光触媒フィルタを取り外さないと、光源の玉切れ状態を確認することができなかった。
【0015】
そこで、この発明は、上記の点に鑑み、脱臭装置のメンテナンス性を総合的に向上して、より使い易いものにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明は、少なくとも臭気成分を含むガスを通す光触媒フィルタと、該光触媒フィルタの片面へ向けて光を照射する光源とを備えると共に、前記ガスに汚れ成分が同伴される場合に、光触媒フィルタの風上側に、汚れ成分を捕集するための捕集用フィルタが、選択的に備えられて、光触媒反応によってガスに含まれる臭気成分を脱臭し得るようにした脱臭装置において、前記光触媒フィルタ、捕集用フィルタ、光源のうちの少なくとも1つに対してメンテナンスを行うためのメンテナンス手段を設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項2の発明は、前記メンテナンス手段として、光触媒フィルタの光を照射する面とは反対側の面に汚れ成分が固着した場合に、汚れ成分が固着した面が光源側へ向くよう光触媒フィルタを表裏反転させて取り付けることが可能な両面取付部を備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項3の発明は、前記メンテナンス手段として、光触媒フィルタを表裏反転可能な反転機構を備えたことを特徴としている。
【0019】
請求項4の発明は、前記メンテナンス手段として、捕集フィルタに付着した汚れ成分を、洗浄によって除去可能な捕集フィルタ洗浄装置を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項5の発明は、前記捕集用フィルタが、前記光触媒フィルタに対し間隔を有して設置されたことを特徴としている。
【0021】
請求項6の発明は、前記メンテナンス手段として、光源の玉切れを感知し得るようにする玉切れ感知部を備えたことを特徴とすることを特徴としている。
【0022】
請求項7の発明は、少なくとも臭気成分を含むガスを光触媒フィルタに通すと共に、光触媒フィルタの片面に光源からの光を照射することにより、ガスに含まれる臭気成分を光触媒反応によって脱臭する脱臭方法において、光触媒フィルタの光を照射する面とは反対側の面に汚れ成分が固着した場合に、汚れ成分が固着した面が光源側へ向くように、光触媒フィルタを表裏反転することにより、光触媒反応を利用して、脱臭と共に、光触媒フィルタに固着した汚れ成分を分解除去させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、少なくとも臭気成分を含むガスを光触媒フィルタに通すと共に光触媒フィルタの片面に光源からの光を照射することにより、光触媒反応(酸化・還元反応)によって効率良くガスに含まれる臭気成分を脱臭することができる。また、光触媒フィルタの風上側に捕集用フィルタを備えた場合には、ガスに同伴される汚れ成分を捕集用フィルタで予め捕集することができるようになるため、光触媒フィルタへ到達する汚れ成分の量を大幅に低減することができ、光触媒フィルタへの汚れ成分の固着を軽減することができる。そして、メンテナンス手段を設けることによって、光触媒フィルタ、捕集用フィルタ、光源のうちの少なくとも1つに対するメンテナンスを容易化することができるようになる。
【0024】
請求項2の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、メンテナンス手段として両面取付部を備えることにより、光触媒フィルタの光を照射する面とは反対側の面に汚れ成分が固着した場合に、汚れ成分が固着した面が光源側へ向くよう光触媒フィルタを表裏反転させて両面取付部に取り付けることで、光触媒反応を利用して、脱臭と共に、光触媒フィルタに固着した汚れ成分を分解除去させる(自己再生する)ことができるようになる。これにより、光触媒フィルタに対する洗浄作業などをなくすことが可能となる。
【0025】
請求項3の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、メンテナンス手段として反転機構を備えることにより、簡単且つ確実に光触媒フィルタを表裏反転させることができるようになると共に、反転作業中に、光触媒フィルタを落下などによって破損したり損傷したりする事故を防止することができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、メンテナンス手段として捕集フィルタ洗浄装置を備えることによって、脱臭装置の内部で捕集フィルタに付着した汚れ成分を洗浄除去することができるようになるので、脱臭装置から捕集フィルタを取り外して外部で洗浄するなどの手間をなくすことが可能となる。
【0027】
請求項5の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、捕集用フィルタを、光触媒フィルタに対し間隔を有して設置したことにより、捕集用フィルタ洗浄装置で捕集用フィルタを洗浄する際に、洗浄液が光触媒フィルタにかかって悪影響を及ぼすのを回避することができる。
【0028】
請求項6の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、メンテナンス手段として玉切れ感知部を備えることによって、光源の玉切れを作業員に感知させることができるようになる。これにより、光源の玉切れによって、脱臭が行われないまま、或いは、脱臭機能が低下したまま、脱臭装置が運転されるのを回避することが可能となる。
【0029】
請求項7の発明によれば、上記構成によって、請求項2と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明における脱臭装置の原理を示す図(脱臭モジュールの上面図)である。
【図2】この発明における脱臭装置の全体を示す平断面図である。
【図3】図2のA−A矢視方向に沿った側断面図である。
【図4】図2に設けられた脱臭モジュールの内部構造を示す斜視図である。
【図5】図4の脱臭モジュールに光触媒フィルタ等が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】図5の脱臭モジュールに捕集フィルタを取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図7】実施例1のメンテナンス手段(両面取付部)を示す図(脱臭モジュールの上面図)である。
【図8】実施例2に係る光触媒ユニットの分解斜視図である。
【図9】図8の光触媒ユニットを備えた脱臭モジュールの分解斜視図である。
【図10】図9の脱臭モジュールに捕集フィルタを取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図11】図10の脱臭モジュールに捕集フィルタを取り付けた状態を示す分解斜視図である。
【図12】実施例3に係るメンテナンス手段(反転機構)を示す脱臭モジュールの正面図である。
【図13】光触媒ユニットを反転する状態を示す図12の側面図である。
【図14】図13の部分拡大図である。
【図15】図14の上面図である。
【図16】反転前の光触媒ユニットの上面図である。
【図17】実施例4に係るメンテナンス手段(捕集フィルタ洗浄装置)を示す脱臭装置の平面図である。
【図18】図17の側面図である。
【図19】図17の捕集フィルタ洗浄装置における洗浄用ノズル部分の側面図である。
【図20】図19の水受皿における排水口周辺の部分拡大図である。
【図21】図17の捕集フィルタ洗浄装置における洗浄液生成装置周辺部分の系統図である。
【図22】図17の変形例を示す平面図である。
【図23】実施例5に係るメンテナンス手段(玉切れ感知部)を示す脱臭モジュールの正面図である。
【図24】図23を側方から見た概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この発明にかかる脱臭装置は、例えば、大型ショッピングモールなどの大規模商業施設や、オフィスビルや、マンションなどの集合住宅などの換気設備に対して設けられるものである。但し、臭気成分を含むガスが通される設備であれば、上記した以外の各種施設の換気設備や、または、換気設備以外の排気設備などに対して上記脱臭装置を取り付けることが可能である。
【0032】
以下、上記した脱臭装置の原理や概要などについて説明する。
【0033】
(脱臭装置の原理について)
図1は、脱臭装置1の原理を示す図である。
【0034】
この脱臭装置1は、少なくとも臭気成分を含むガスGを通す光触媒フィルタ2と、この光触媒フィルタ2の片面へ向けて光を照射する光源3とを備えている。
【0035】
そして、少なくとも臭気成分を含むガスG(未処理ガスG1)を光触媒フィルタ2に通すと共に光触媒フィルタ2の片面に光源3からの光を照射することにより、光触媒反応(酸化・還元反応)によってガスGに含まれる臭気成分を脱臭し得るようにする。
【0036】
このようにすることにより、効率良くガスGに含まれる臭気成分を脱臭することができる。なお、光触媒フィルタ2を通って臭気成分を脱臭されたガスG(脱臭ガスG2)は、その後、大気へ放出される。
【0037】
ここで、上記の補足説明をすると、光触媒フィルタ2は、ガスGが通過可能なセラミック多孔体の表面や内部に、光触媒となる酸化チタン(Ti○2)の粉末を焼き付け固定したものなどとされる。なお、光触媒フィルタ2には、光触媒以外にも、臭気成分の種類に応じて、銀などの他の触媒成分を適宜担持させることが可能である。また、光触媒反応によって、臭気成分は、水と二酸化炭素とに分解される。
【0038】
また、光源3には、紫外線を発光するものや、紫外線を含む光を発光するものなどが使用される。光源3には、例えば、紫外線管(蛍光管タイプのもの)や、紫外線ランプ(電球タイプのもの)や、紫外線発光ダイオードなどの各種のものを使用することができる。
【0039】
(脱臭装置1の全体構成)
図2は上記した脱臭装置1の全体構成を示す平断面図、図3はその側断面図(A−A断面)である。上記した脱臭装置1は、例えば、図2、図3に示すように、ガスG(未処理ガスG1)の入口部5と、ガスG(脱臭ガスG2)の出口部6とを有する脱臭装置函体7と、この脱臭装置函体7の内部を入口部5側の空間と、出口部6側の空間とに仕切る仕切り8とを有するものとされる。
【0040】
そして、この仕切り8の部分に、上記した光触媒フィルタ2と光源3とが設置される(図2、図3には図示せず)。
【0041】
ここで、上記の補足説明をすると、上記した脱臭装置函体7は、中空の筺状のケーシングとされる。この場合には、天井壁7aおよび底面壁7bと、一対の側壁7c,7dと、正面壁7eおよび背面壁7fとを有する直方体状または立方体状の建屋とされている。但し、脱臭装置函体7の形状や大きさなどについては、脱臭装置1の処理能力や設置場所の状況などに応じて適宜変更することができる。
【0042】
そして、未処理ガスG1の入口部5は、正面壁7eの中央に形成され、脱臭ガスG2の出口部6は、背面壁7fの中央に形成されている。
【0043】
更に、脱臭装置函体7の側壁7c,7dには、それぞれ、メンテナンス用の開口部7g,7hが形成されている。この開口部7g,7hには開閉扉9が開閉可能に設けられている。
【0044】
また、上記した仕切り8は、隔壁状のものとされている。この隔壁状の仕切り8は、正面壁7eおよび背面壁7fに対して平行に設けても良いが、この場合には、表面積(処理面積)を増やすために、側壁7c,7dと平行に対向配置された一対の処理面部8a,8bと、この一対の処理面部8a,8bの入口部5側の辺部間を連結して閉止する手前面部8cと、一対の処理面部8a,8bの出口部6側の辺部と、側壁7c,7dの出口部6近傍との間をそれぞれ接続するなどにより閉止する一対の奥面部8dとを備えたものとされている。
【0045】
上記により、脱臭装置函体7の内部には、各処理面部8a,8bと、各側壁7c、側壁7dとの間に、入口部5と連通するガス流路11a,11bがそれぞれ形成される。
【0046】
この場合、手前面部8cは、入口部5とほぼ対向して配置されることにより、入口部5から入った未処理ガスG1の流速を低下させると共に未処理ガスG1をガス流路11a,11bに分配可能な整流板としての機能を有するものとされる。また、奥面部8dは、ガス流路11a,11b内の未処理ガスG1の流れを止めて光触媒フィルタ2へ均等に分配可能な整流板としての機能を有するものされる。
【0047】
また、上記した手前面部8cと一対の奥面部8dとは、天井壁7aと底面壁7bとの間に垂直に架設されると共に、正面壁7eおよび背面壁7fと平行に配置される。また、上記した開閉扉9は、各処理面部8a,8bとほぼ対向する位置に設けられる。
【0048】
なお、上記した処理面部8a,8bは、必ずしも互いに平行に配置する必要はなく、非平行状態に配置することもできる。例えば、処理面部8a,8bは、上方から見てほぼV字状(入口部5の側に開いたV字状、或いは、出口部6の側に開いたV字状)に配置したり、V字を二つ連ねたほぼW字状に配置したり(例えば、図17参照)、または、その他の形状に配置するなどして、処理面積の更なる向上を図ることなどが可能である。これらの場合には、上記した手前面部8cと一対の奥面部8dとの少なくとも一方は、設けないようにしたり、或いは、狭幅化したり、或いは、設置位置や設置個数を変えたり増やしたりすることができる。
【0049】
(光触媒フィルタ2および光源3の配置)
図1に示すように、上記した光触媒フィルタ2は、光源3を挟むように一対設けられる。そして、図2、図3の場合、例えば、仕切り8の両面に対して一対の光触媒フィルタ2をそれぞれ設置すると共に、仕切り8の内部に光源3を設置する構成とすることができる。
【0050】
このようなサンドイッチ状の構造とすることにより、光源3からの光は、一対の光触媒フィルタ2の内側の面(風上側の光触媒フィルタ2の風下側の面、および、風下側の光触媒フィルタ2の風上側の面)に対して直接照射されることになる。
【0051】
そして、光触媒フィルタ2および光源3をこのように配置することにより、ガスGの脱臭を二段階に行わせて、脱臭効率を高めると共に、装置の小型化を図ることができるようになる。
【0052】
(脱臭モジュールについて)
そして、上記した光触媒フィルタ2および光源3は、仕切り8に対して直接取り付けることができるが、図1に示すようにモジュール化して(脱臭モジュール15)、図2、図3に示すように、仕切り8に間接的に取り付けるようにすることもできる。
【0053】
上記した脱臭モジュール15は、光源3と、光源3を挟むように一対配置された光触媒フィルタ2とを、脱臭モジュール本体となる枠体16(モジュール枠、図4参照)に取り付けることにより、単体で光触媒反応による脱臭を行い得るようにしたものである。
【0054】
この脱臭モジュール15は、高い脱臭効率が得られると共に、コストが低く抑えられ、しかも、取り扱いが容易となるような、大きさおよび形状に設計されて、定型化または規格化される。この場合には、脱臭モジュール15は、例えば、長さLと幅Wとがそれぞれ650mm、厚さTが90mmの大きさを有する矩形状のものとされている。
【0055】
そして、この脱臭モジュール15が、上記した仕切り8に対して着脱可能に取り付けられる。即ち、上記した脱臭モジュール15は、上記した仕切り8の各処理面部8a,8bに対し、単数または複数取り付けられる。この場合、脱臭モジュール15は、各処理面部8a,8bに対し、横方向に例えば3個、上下方向に例えば3個、合計9個を碁盤目状に設置するようにしている。但し、脱臭モジュール15の大きさおよび形状、仕切り8に対する設置個数や配置などはこれに限るものではない。
【0056】
一方、上記した仕切り8の各処理面部8a,8bには、上記した脱臭モジュール15を着脱可能に支持固定する棚枠部材21が備えられる。この棚枠部材21は、脱臭モジュール15を嵌め込んで取り付け固定することができるものとされる。この棚枠部材21は、脱臭装置函体7の天井壁7aと底面壁7bとの間に垂直に架設される。また、上記した手前面部8cや奥面部8dは、棚枠部材21の両側辺部にそれぞれ接続される。
【0057】
上記した脱臭モジュール15の枠体16は、図4に示すように、上下方向へ延びる一対の側枠部16a,16bと、横方向へ延びる一対の下枠部16cおよび上枠部16dとを有する矩形状のものとされている。
【0058】
光源3には、横方向へ延びる紫外線管が、一対の側枠部16a,16bの間に、上下方向に間隔を有して1本または複数本(この場合には5本)設置される。但し、光源3の設置本数についてはこれに限るものではない。
【0059】
枠体16の一対の側枠部16a,16bには、光源3用のソケットが収容設置される。また、下枠部16cまたは上枠部16dには、光源3用の安定器が収容設置される。
【0060】
また、図5に示すように、光触媒フィルタ2には、均一な厚さの矩形板状のものが用いられる。この場合、光触媒フィルタ2は、光源3からの光を最も効率的に利用できる厚さ、即ち、内奥部にまで光が浸透することにより、厚み全域に亘って光触媒反応を生じさせることができるような厚さのものとするのが好ましい。また、光触媒フィルタ2は、割れや破損などが発生し難い厚さを有する必要もある。そのため、光触媒フィルタ2は、光源3からの光が反対側の面にぎりぎり到達し得る程度の、比較的厚手(厚さ20mm程度)のものとされている。
【0061】
枠体16の各面に取り付けられる光触媒フィルタ2は、一枚で枠体16とほぼ同じ大きさとなるものや、或いは、複数枚を組み合わせて枠体16とほぼ同じ大きさになるものなどを使用することができる。この場合には、製造コストや取り扱い容易性などを考慮して、横方向に例えば2枚、上下方向に例えば2枚、合計4枚の複数の光触媒フィルタ2を碁盤目状に配置したものが使用されている。但し、光触媒フィルタ2の大きさや厚さや設置枚数や配置などは上記に限るものではない。
【0062】
(捕集用フィルタについて)
ガスGに、油脂ミストなどの汚れ成分(油汚れなど)が同伴される場合に、光触媒フィルタ2の風上側に、図6に示すような、汚れ成分を捕集するための捕集用フィルタ18を、選択的に備えることができる。
【0063】
この場合、捕集用フィルタ18には、汚れ成分としての油脂ミスト(油の細かい飛沫)を捕集可能なグリスフィルタが用いられる。
【0064】
上記した捕集用フィルタ18は、例えば、繊維状のアルミニウムを布状に織って成るフィルタ本体18aを備えて、未処理ガスG1中に含まれる油脂ミストを多量に捕集可能なものとされる。このフィルタ本体18aには、その外周部に対して、未処理ガスG1によって腐食されない金属でできた枠部材18bを取り付けたり、或いは、片面や両面に対して、上記と同様の金属でできたパンチングプレートやエキスパンドメタルなどの面材や、中桟部材などを取り付けたりすることによって、保形性や取り扱い性を向上させることができる。
【0065】
なお、ガスGに油脂ミストなどの汚れ成分が同伴されない場合や、脱臭装置1が設けられる換気設備や排気設備などの上流側に、油脂ミストなどの汚れ成分をほぼ完全に除去することが可能な除去設備を有している場合などには、捕集用フィルタ18は特に備える必要がない。
【0066】
そして、このように、光触媒フィルタ2の風上側に捕集用フィルタ18を備えることにより、ガスGに同伴される汚れ成分を捕集用フィルタ18で予め捕集することができるようになり、その分、光触媒フィルタ2へ到達する汚れ成分の量を大幅に低減して、光触媒フィルタ2への汚れ成分の固着を軽減することが可能となる。
【0067】
(脱臭装置1の作動について)
上記構成の脱臭装置1は、以下のように作動する。
【0068】
即ち、脱臭装置1の入口部5から脱臭装置函体7の内部へ入った未処理ガスG1は、仕切り8の手前面部8cに当たって流速を落とされると共に2分割され、手前面部8cに沿って流れると共に側壁7c,7dに当たって90度向きを変えられた後、各ガス流路11a,11b内へ入り、ガス流路11a,11b内を処理面部8a,8bに沿って奥側へと流される。
【0069】
そして、ガス流路11a,11bを流れる全ての未処理ガスG1は、奥面部8dに達すると後続の未処理ガスG1とぶつかって乱流化され、この乱流がガス流路11a,11b全体に拡散されて、処理面部8a,8bに設けられた各脱臭モジュール15をほぼ均等な状態で通過し、各脱臭モジュール15で光触媒反応によって脱臭ガスG2に変えられた後、脱臭装置函体7の仕切り8よりも風下側の空間へ入り、出口部6を通して外部へ排出される。
【0070】
この際、未処理ガスG1は、脱臭モジュール15の風上側に設けられた捕集用フィルタ18を通過することにより、未処理ガスG1に同伴される油脂ミストなどの汚れ成分が大部分捕集され、光源3により照らされた、風上側4枚、風下側4枚の計8枚の光触媒フィルタ2を通過することにより、臭気成分が分解・除去されて脱臭され、上記したように脱臭ガスG2に変えられる。
【0071】
なお、以上は、以下の各実施例においてほぼ共通の事項である。
【0072】
そして、このような構成の脱臭装置1に対し、上記した光触媒フィルタ2、捕集用フィルタ18、光源3のうちの少なくとも1つに対してメンテナンスを行うためのメンテナンス手段(またはメンテナンス装置)を設けるようにする。
【0073】
以下、各実施例により、上記メンテナンス手段について説明する。
【実施例1】
【0074】
図1〜図7は、実施例1にかかる脱臭装置1を示すものである。
【0075】
この実施例では、上記メンテナンス手段として、図7に示すように、光触媒フィルタ2の光を照射する面とは反対側の面に汚れ成分が固着した場合(汚れ固着部K)に、汚れ成分が固着した面が光源3側へ向くよう光触媒フィルタ2を表裏反転させて取り付けることが可能な両面取付部22を備えるようにする。
【0076】
この実施例の場合には、脱臭モジュール15に対して、4枚の光触媒フィルタ2を一枚ずつ着脱および表裏反転可能な両面取付部22を備えるようにしている。このように、光触媒フィルタ2を一枚ずつ着脱および表裏反転可能とすることにより、仮に、光触媒フィルタ2が破損した場合に、破損した光触媒フィルタ2のみを取り外して交換することが可能となる。
【0077】
なお、両面取付部22は、少なくとも、風上側の光触媒フィルタ2に対して設ければ良いが、この場合には、風上側と風下側との両方の光触媒フィルタ2に対して両面取付部22を設けるようにしている。
【0078】
そのために、まず、光触媒フィルタ2は、表裏反転しても同様に取り付けられるよう、即ち、両面取付部22となるよう、両面がほぼ同じ形状に構成される(両面同形状部材)。
【0079】
そして、上記に加え、または、上記の代わりに、図4、図5に示すように、脱臭モジュール15の枠体16(の両面)に対して、光触媒フィルタ2を容易に着脱および表裏反転できるようにする両面取付部22を設けるようにする。この場合、両面取付部22は、光触媒フィルタ2をスライドさせて着脱および表裏反転し得るものとされる(両面取付用スライド保持部)。
【0080】
そのために、まず、単数または複数枚の光触媒フィルタ2における、上記枠体16に沿った縁部(外縁部)を取り付け可能な外縁部取付部23を設ける。
【0081】
この外縁部取付部23は、枠体16の上枠部16dに対して上側から取り付けられた下向きコ字状(またはC字状)の上縁部係止部材23aと、枠体16の下枠部16cに対して下側から取り付けられた上向きコ字状(またはC字状)の下縁部係止部材23bとを備えている。更に、枠体16の一対の側枠部16a,16bに対して側方から着脱可能に取り付けられた一対の箱状のカバー部材23c,23dとを備えることもできる。この箱状のカバー部材23c,23dは、側枠部16a,16b側の面に、枠体16に対して外嵌可能な開口部を有している。
【0082】
この上縁部係止部材23a、下縁部係止部材23b、カバー部材23c,23dは、それぞれ、枠体16の厚みと、光触媒フィルタ2二枚分の厚みとの和と同じかそれよりも若干広い幅寸法を有するものとされる。
【0083】
これにより、上枠部16dの両側面と、上縁部係止部材23aの下方へ延びる両腕部周辺との間に、(上側に位置する)光触媒フィルタ2の上縁部を収容すると共に係止保持可能で横方向へスライド可能な一対の上縁部係止部24aが形成される。
【0084】
また、下枠部16cの両側面と、下縁部係止部材23bの上方へ延びる両腕部の周辺との間に、(下側に位置する)光触媒フィルタ2の下縁部を収容して係止保持可能で横方向へスライド可能な一対の下縁部係止部24bが形成される。
【0085】
更に、側枠部16a,16bの両側面と、カバー部材23c,23dとの間に、光触媒フィルタ2の外側縁部を収容すると共に係止保持可能な一対の側縁部係止部が形成される。
【0086】
そして、上記した上縁部係止部24aと下縁部係止部24bとが、光触媒フィルタ2の対応する上縁部と下縁部とを側方へ向けてスライドおよび取り外し可能に案内するガイド溝となり、カバー部材23c,23dが、光触媒フィルタ2の外側縁部を押さえる側縁部押さえとなる。これにより、外縁部取付部23は、箱状のカバー部材23c,23dを取り外して、上縁部係止部24aおよび下縁部係止部24bによるガイド溝に沿って光触媒フィルタ2を横方向へ引き出すことにより、反転して取り付けることが可能な両面取付部22(両面取付用スライド保持部)となる。なお、カバー部材23c,23dについては、場合により省略することも可能である。
【0087】
更に、光触媒フィルタ2が複数枚設けられる場合には、枠体16に対して、枠体16の開口内に位置する光触媒フィルタ2の縁部(内縁部)を着脱および反転可能な内縁部取付部26を設ける。
【0088】
この内縁部取付部26は、複数の光触媒フィルタ2の互いに隣接する縁部(内縁部)どうしを両面側から同時に挟着して固定可能なインナ部材26a(内面側取付部材)とアウタ部材26b(外面側取付部材)とを有する中桟部材とされる。
【0089】
そして、インナ部材26aが枠体16に固定され、アウタ部材26bがインナ部材26aに固定されることにより、光触媒フィルタ2をアウタ部材26bとインナ部材26aとの間に挟着した状態で、枠体16に固定し得るものとされる。
【0090】
インナ部材26aと、アウタ部材26bとは、それぞれ、縦桟部材27a,27bと横桟部材28a,28bとを、光触媒フィルタ2の配置に応じた形状に組み合わせたものとされる。この場合には、4枚の光触媒フィルタ2が碁盤目状に配置されているので、インナ部材26aと、アウタ部材26bとは、4枚の光触媒フィルタ2の内縁部の配置に合わせて、それぞれ、1本の縦桟部材27a,27bと、1本の横桟部材28a,28bとを、その中間部で交差させて溶着接合した十字状のものとされている。但し、インナ部材26aおよびアウタ部材26bの形状や構成は、これに限るものではない。
【0091】
そして、縦桟部材27a,27bおよび横桟部材28a,28bは、それぞれ、幅中央部に凹溝状部M1,N1を有し、幅両側部にフランジ状段差部M2,N2を有するハット型断面のものとされている。
【0092】
そして、インナ部材26aおよびアウタ部材26bは、それぞれ、縦桟部材27a,27bおよび横桟部材28a,28bの凹溝状部M1,N1どうしを、必要な締め込み代を有して互いに向かい合わせることにより、互いのフランジ状段差部M2,N2の間に、光触媒フィルタ2の内縁部を挟着固定可能な縁部挟着部29が形成されるようにしている。この縁部挟着部29により、内縁部取付部26と光触媒フィルタ2の内縁部との間に隙間がなくなり、ガスGのリークが防止される。即ち、縁部挟着部29は、内縁部に対するリーク防止手段として機能する。なお、上記により、隣接する光触媒フィルタ2の縁部間は、フランジ状段差部M2,N2の溝幅と等しい間隔に離間設置される。
【0093】
更に、インナ部材26aの縦桟部材27aや横桟部材28aの両端部は、枠体16と重複するよう延長され、この延長部分が、ネジなどの締結固定具を用いて枠体16に締結固定される。この締結固定により、外縁部取付部23と光触媒フィルタ2の外縁部との間に隙間がなくなり、ガスGのリークが防止される。即ち、上記した締結固定具は、外縁部に対するリーク防止手段として機能する。
【0094】
また、インナ部材26aと、アウタ部材26bとの間には、ネジなどの締結固定具31を用いて締結固定可能なネジ孔27dおよびネジ挿通孔27eが設けられる。なお、ネジ孔27dは、ネジ挿通孔として、ナットなどの締結固定部材を用いるようにすることもできる。
【0095】
この場合には、縦桟部材27a,27bは、横桟部材28a,28bよりも相対的に広幅に形成されており、上記したネジ孔27dやネジ挿通孔27eは、広幅とされた縦桟部材27a,27bに単数または複数設けられている。但し、横桟部材28a,28bを縦桟部材27a,27bよりも相対的に広幅となるようにして、ネジ孔27dやネジ挿通孔27eを設けるようにしても良い。
【0096】
そして、横桟部材28a,28bの縁部挟着部29は、ネジなどの締結固定具31を緩めることにより、上下に位置する光触媒フィルタ2の互いに隣接する下縁部と上縁部とを側方へ向けてスライドおよび取り出し可能に案内するガイド溝となる。これにより、内縁部取付部26は、ガイド溝に沿って光触媒フィルタ2を横方向へ引き出すことにより、反転して取り付け可能な両面取付部22(両面取付用スライド保持部)となる。
【0097】
(捕集用フィルタ18について)
この実施例の場合、上記した捕集用フィルタ18は、図6、図7に示すように、脱臭モジュール15の風上側の面に対し、直接、着脱可能に取り付けられている。これにより、捕集用フィルタ18は、風上側の光触媒フィルタ2に対し、僅少な間隔を有して隣接配置(または密接配置)されることとなる。
【0098】
この場合、捕集用フィルタ18は、脱臭モジュール15の風上側の面とほぼ同じ形状(ほぼ矩形状)、および、ほぼ同じか若干小さい大きさを有するものとされる。この場合、捕集用フィルタ18は、3〜5mm(中央部で最大7mm)程度の厚さを有するものとされる。但し、捕集用フィルタ18の形状、大きさおよび厚みはこれに限るものではない。
【0099】
この捕集用フィルタ18は、脱臭モジュール15の枠体16における、風上側の面の縁部にほぼ沿ってほぼ矩形状に設けられた4本の縁部保持部材34の内側に嵌め込まれて保持される。この縁部保持部材34は、上記した上縁部係止部材23a、下縁部係止部材23b、カバー部材23c,23dに対して取り付けられる。
【0100】
また、捕集用フィルタ18は、固定部材によって縁部保持部材34に固定される。上記した固定部材として、縁部保持部材34に、捕集用フィルタ18の縁部を係止保持可能な係止部34aを設けることができる。或いは、縁部保持部材34そのものを係止部34aとすることができる。また、固定部材として、縁部保持部材34や、枠体16の縁部保持部材34以外の部分に、回動ロック34bを設けることができる。なお、上記した係止部34aや回動ロック34bの設置個数や配置は、図に示すものに限らず、適宜組み合わせて設けることができる。
【0101】
(作用)以下、この実施例の作用について説明する。
【0102】
まず、「脱臭モジュール15に対する光触媒フィルタ2の取り付け」について説明する。
【0103】
枠体16に4枚の光触媒フィルタ2を取り付けるには、まず、インナ部材26aが取り付けられた枠体16を水平に寝かせた状態にして、2枚の光触媒フィルタ2,2の上端部を上縁部係止部24aに差し込み、その下端部をインナ部材26aの横桟部28aのフランジ状段差部N2の上に載せると共に、この2枚の光触媒フィルタ2,2の一方の側端部を、インナ部材26aの縦桟部材27aのフランジ状段差部M2の上に載せる。同様に、残りの2枚の光触媒フィルタ2,2の下端部を下縁部係止部24bに差し込み、その上端部をインナ部材26aの横桟部28aのフランジ状段差部N2の上に載せると共に、この2枚の光触媒フィルタ2,2の一方の側端部を、インナ部材26aの縦桟部材27aのフランジ状段差部M2の上に載せる。
【0104】
つぎに、アウタ部材26bを、インナ部材26aと重なるように4枚の光触媒フィルタ2の上へ載せて位置決めした後、ネジなどの締結固定具31をアウタ部材26bに設けたネジ挿通孔27eを通してインナ部材26aのネジ孔27dへねじ込む。すると、アウタ部材26bの縦桟部材27bのフランジ状段差部M2が、4枚の光触媒フィルタ2の内側縁部を外方から押圧すると共に、アウタ部材26bの横桟部材28bのフランジ状段差部N2が、上側の2枚の光触媒フィルタ2,2の下縁部を外方から押圧し、下側の2枚の光触媒フィルタ2,2の上縁部を外方から押圧するため、4枚の光触媒フィルタ2は枠体16に挟着状態で固定される。
【0105】
この場合、締結固定具31による締結力をやや弱めた状態にすると、上側の2枚の光触媒フィルタ2,2は、上縁部係止部24aと、インナ部材26aおよびアウタ部材26bのフランジ状段差部N2間の縁部挟着部29とに上下縁部を案内されつつ横方向へ移動できるようになり、枠体16に対して横方向へスライドさせることによる取り外し、および、反転させての取り付けが可能になる。
【0106】
また同様に、下側の2枚の光触媒フィルタ2,2も、下縁部係止部24bと、インナ部材26aおよびアウタ部材26bのフランジ状段差部N2間の縁部挟着部29とに上下縁部を案内されつつ横方向へ移動できるようになり、枠体16に対して横方向方向へスライドさせることによる取り外し、および、反転させての取り付けが可能となる。
【0107】
ここで、上記したように、光源3からの光(紫外線)は、光触媒フィルタ2の光源3側の面(内面)に対して直接照射されている。そして、光触媒フィルタ2の内奥部にまで光触媒反応が得られるように、光触媒フィルタ2を比較的厚手のものとしている。そのため、光源3からの光は、光触媒フィルタ2の外面側へ、ほとんど届くことがない。
【0108】
一方、例えば、レストランの厨房施設等から排出される未処理ガスG1には、臭気成分でもある油脂ミストなどの汚れ成分を多量に含んでいるものが多い。このような油脂ミストは、光触媒反応によっても分解除去にある程度の時間を要する汚れ成分である。
【0109】
そのため、上記したように脱臭モジュール15の風上側に捕集用フィルタ18を設けて、捕集用フィルタ18で予め大部分の油脂ミストを捕集させるようにしているが、捕集用フィルタ18によって完全に油脂ミストを除去することは難しい。
【0110】
よって、捕集用フィルタ18で捕集されなかった残余の油脂ミストは、主に未処理ガスG1に最初に接する光触媒フィルタ2の外面側に付着することになる。
【0111】
そのため、このような未処理ガスG1の脱臭処理を行うと、風上側4枚の光触媒フィルタ2の外面側に付着した油脂ミストに対する分解処理量が付着量に追従できず、かかる油脂ミストが、徐々に光触媒フィルタ2の外面側に蓄積されて汚れ固着部Kが生じる固着現象を起こす。このような固着現象が起きると、光触媒フィルタ2と臭気成分との接触面積が徐々に減少して行くため、光触媒フィルタ2の脱臭効率が漸減することになる。このため、固着現象がある程度進んだ光触媒フィルタ2は、再生して、脱臭効率を当初のレベルに戻す(再生する)必要がある。
【0112】
そこで、「光触媒フィルタ2の再生」について説明する。
【0113】
光触媒フィルタ2を再生するには、脱臭装置函体7の側壁7c,7dに設けられた開閉扉9を開き、開口部7g,7hを通して脱臭装置函体7の内部から脱臭モジュール15を外部へ取り出す。そして、この脱臭モジュール15から捕集用フィルタ18を取り外し、捕集用フィルタ18が取り外された脱臭モジュール15から風上側の光触媒フィルタ2を取り出すようにする。
【0114】
そのために、まず、脱臭モジュール15の左右のカバー部材23c,23dを取り外して、光触媒フィルタ2の外側縁部を開放した後、風上側の締結固定具31を緩めて、汚れ固着部Kが生じた風上側の4枚の光触媒フィルタ2を、上縁部係止部24a、下縁部係止部24b、縁部挟着部29に沿い横方向へスライドさせて、脱臭モジュール15の外へ取り出す。
【0115】
つぎに、図7に示すように、取り出した光触媒フィルタ2の表裏を反転して、汚れ固着部Kが生じた面を光源3の有る内面側へ向けた状態にし、この光触媒フィルタ2を上縁部係止部24a、下縁部係止部24b、縁部挟着部29に沿い横方向へスライドさせて、脱臭モジュール15に差し込んで行く。
【0116】
そして、光触媒フィルタ2の側縁部が、アウタ部材26bとインナ部材26aとのフランジ状段差部M2間に位置決めされたら、締結固定具31を充分にねじ込んで、4枚の光触媒フィルタ2を枠体16に固定し、カバー部材23c,23dを枠体16に取り付け、脱臭モジュール15を元の状態に組み立てる。
【0117】
そして、脱臭装置1を運転すると、光触媒フィルタ2の汚れ固着部Kが生じた面に、光源3からの光が直接且つ充分に当てられ、汚れ固着部Kは次第に分解除去され、光触媒フィルタ2が再生される。この光触媒フィルタ2の再生は、脱臭装置1の通常の脱臭運転、即ち、未処理ガスG1の脱臭運転の最中に同時に行われる。なお、このような光触媒フィルタ2の再生は、一般的に1年に1回程度行なえば良い。
【0118】
以上は、脱臭モジュール15の風上側に位置する4枚の光触媒フィルタ2の再生の手順であるが、風下側の4枚の光触媒フィルタ2についても、汚れ固着部Kが生じた場合には、同様の方法でこの光触媒フィルタ2の再生を行うことができる。
【0119】
以上のように、この光触媒フィルタ2の再生手段では、光触媒フィルタ2の汚れ固着部Kが発生した面を、光源3に向くように表裏反転するだけで良く、従来のように、光触媒フィルタ2を、洗浄液中に浸漬したり、すすぎ洗いをしたり、天日干ししたりする必要がないので、光触媒フィルタ2の再生に、多くの時間とコストをかける必要をなくすことができる。
【0120】
また、油脂ミストなどの汚れ成分を多量に捕集した捕集用フィルタ18についても、機能を回復させる必要が生じるが、この捕集用フィルタ18は、汚れ成分の付着状況によって適宜中性洗剤等で浸漬洗浄することにより、光触媒フィルタ2と比べて簡単に機能回復することができる。この捕集用フィルタ18の機能回復は、一般的に、年に2回程度、定期的に行なえば良い。なお、捕集用フィルタ18のみを機能回復させる場合には、脱臭装置1から脱臭モジュール15を取り外す必要はなく、捕集用フィルタ18のみを脱臭モジュール15から取り外して脱臭装置1の外に取り出せば良い。
【0121】
なお、光源3についても、一般的に、2年に1度程度、定期的に交換することが必要となるが、この光源3の交換は、例えば、脱臭モジュール15の風上側から、捕集用フィルタ18と、光触媒フィルタ2と、インナ部材26a及びアウタ部材26bとを取り外すことによって行うことができる。
【実施例2】
【0122】
つぎに、この発明の実施例2について、図8〜図11を参照しつつ説明する。なお、上記実施例1と同一の構成については、同一の符号を付すことによって、説明を省略する。
【0123】
この実施例では、上記実施例1と同様に、上記メンテナンス手段として、光触媒フィルタ2の光を照射する面とは反対側の面に汚れ成分が固着した場合(汚れ固着部K)に、汚れ成分が固着した面が光源3側へ向くよう光触媒フィルタ2を表裏反転させて取り付けることが可能な両面取付部22(図7参照)を備えるようにする。
【0124】
ただし、上記した実施例1では、脱臭モジュール15に対して、一枚または複数枚の光触媒フィルタ2を一枚ずつ別個に着脱および表裏反転できるようにした両面取付部22としているのに対し、この実施例では、脱臭モジュール15に対して、複数枚の光触媒フィルタ2を同時に着脱および反転できるようにした両面取付部22を備えている点が異なっている。
【0125】
そのために、この脱臭モジュール15では、図8に示すように、複数枚の光触媒フィルタ2を一体化した光触媒ユニット41を備えるようにしている。なお、少なくとも風上側の光触媒フィルタ2のみ光触媒ユニット41とすれば良いが、この場合には、風上側と風下側との両方の光触媒フィルタ2を光触媒ユニット41としている。
【0126】
上記した光触媒ユニット41は、複数枚の光触媒フィルタ2を同一平面上に碁盤目状に配置して一体化したものである。この場合、光触媒ユニット41は、横方向に例えば2枚、上下方向に例えば2枚、合計4枚を備えるようにしている。但し、光触媒ユニット41における光触媒フィルタ2の設置枚数や配置については、これに限るものではない。
【0127】
この光触媒ユニット41は、複数枚(この場合には4枚)の光触媒フィルタ2と、矩形状の外枠部材42と、インナ部材43aおよびアウタ部材43bを有する中桟部材とによって主に構成されると共に、インナ部材43aとアウタ部材43bとの間に光触媒フィルタ2を挟着固定するためのネジ44aおよびナット44bなどからなる締結固定具を用いて組み立てられるようになっている。
【0128】
上記した外枠部材42は、C字状の断面を有して、その内周面に、光触媒フィルタ2の外側縁部を差し込み可能な凹溝状部42aが全周に亘って形成されたものとなっており、互いに一定間隔をおいて規則正しく平面状に並べられた4枚の光触媒フィルタ2が、その外側縁部を凹溝状部42aに差し込んだ状態で、この外枠部材42内に係止保持できるようになっている。
【0129】
中桟部材を構成するインナ部材43aとアウタ部材43bとは、例えば、実施例1のインナ部材26aやアウタ部材26bなどとほぼ同一の形状に形成されているため、同一または均等な部分については、同じ符号を付すことによってその説明を省略する。
【0130】
そして、上記した光触媒ユニット41は、ネジ44aおよびナット44bの位置の違いはあるものの、表裏両面ともほぼ同一形状に形成されることにより(両面同形状部材)、どちらの面も枠体16へ向けて取り付けられる両面取付部22とされている。
【0131】
そして、上記に加え、または、上記に代えて、図9に示すように、脱臭モジュール15の枠体16(の両面)に対して、光触媒フィルタ2(この場合には、光触媒ユニット41)を容易に着脱および表裏反転できるようにするための両面取付部22を設ける。この場合、両面取付部22は、枠体16に対して光触媒ユニット41を嵌合・離脱することにより容易に表裏反転および着脱し得るようなものとされている(両面取付用嵌合部)。
【0132】
なお、脱臭モジュール15の枠体16については、上記した実施例1とほぼ同様の形状および構成を備えているため、同一または均等な部分については、同じ符号を付すことによってその説明を省略する。
【0133】
この実施例の両面取付部22は、枠体16の内周縁部に凹設形成された、光触媒ユニット41を嵌め込んで係止保持するための段差状をした光触媒嵌合部45(両面取付用嵌合部)を備えている。この光触媒嵌合部45は、枠体16の外面に対して光触媒ユニット41を面一に嵌め込むために、光触媒ユニット41の厚みとほぼ等しい段差量を有するものとされる。この光触媒嵌合部45は、少なくとも枠体16の風上側に設けられていれば良いが、この場合には、風上側と風下側との両方に設けられている。
【0134】
また、枠体16には、両面取付部22の一部として、または、両面取付部22を補助するものとして、光触媒嵌合部45に嵌め込まれた光触媒ユニット41を固定および解除するための固定部が設けられる。この固定部は、枠体16と光触媒ユニット41との間の隙間をなくしてガスGのリークを防止するための、リーク防止手段としても機能する。
【0135】
この場合、固定部は、枠体16の上枠部16dと下枠部16cとの横方向の中間部における、光触媒嵌合部45よりも内側の位置に対して、ネジなどの光触媒固定具46を用いて光触媒ユニット41を固定するためのネジ穴47aを有する固定用部材47とされている。これに対し、光触媒ユニット41の縦桟部27a,27bの上下端部近傍には、ネジ穴47aと合致する位置に、ネジなどの光触媒固定具46を挿通するためのネジ挿通孔47bが設けられている。
【0136】
そして、表裏両面がほぼ同一形状に形成された光触媒ユニット41と、枠体16に設けられた光触媒嵌合部45と、光触媒嵌合部45に光触媒ユニット41を固定するためのネジ穴47aおよびネジなどの光触媒固定具46との少なくとも1つ以上によって、光触媒ユニット41の着脱および表裏反転を行うことができる両面取付部22が構成される。
【0137】
なお、光触媒ユニット41の固定は、ネジなどの光触媒固定具46を用いる代わりに、捕集用フィルタ18に対する係止部34aや回動ロック34bなどと同様の固定部材を用いるようにしても良い。
【0138】
また、光触媒ユニット41の光触媒嵌合部45からの取り出しのために、特に図示しないが、光触媒ユニット41に指挿入穴や取手などの手掛部を設けるようにする。或いは、枠体16に設けたボタンを加圧することにより、図示しないプッシュロッドによって、光触媒ユニット41が光触媒嵌合部45から飛び出されるようにしても良い。
【0139】
更に、この実施例では、捕集用フィルタ18は、図10、図11に示すように、実施例1と同様、枠体16の風上側に直接取り付けるものとされているが、これに限るものではなく、実施例1も含めて後述の実施例のようにすることもできる。
【0140】
(作用)以下、この実施例の作用について説明する。
【0141】
「光触媒ユニット41を組み立てる場合」の作動は、以下の通りである。
【0142】
まず、横に寝かせた状態の外枠部材42の内側にインナ部材43aとアウタ部材43bとの一方(以下、インナ部材43aとして説明する)を配置する。そして、この外枠部材42の内部に、4枚の光触媒フィルタ2を配置して、これらの光触媒フィルタ2を、外枠部材42とインナ部材43aとに対して位置決めする。
【0143】
即ち、4枚の光触媒フィルタ2の外周側の縁部(外縁部)を外枠部材42の凹溝状部42aに差し込んだ後、外枠部材42の開口内に位置する光触媒フィルタ2の縁部(内縁部)を、インナ部材43aフランジ状段差部M2,N2に当接係止させることにより、隣接する内縁部間にインナ部材43aの凹溝状部M1,N1と等しい隙間ができるように調整する。
【0144】
つぎに、アウタ部材43bを、外枠部材42内に位置するインナ部材43aの一方に重ねるように配置して、ネジ44aを、アウタ部材43bのネジ挿通孔27eからインナ部材43aのネジ孔27dへ差し込んだ後、インナ部材43aの裏側に位置決めされたナット44bにねじ込んで行く。そして、2本のネジ44aを2つのナット44bに充分にねじ込むことにより、面状に並べられた4枚の光触媒フィルタ2は、光触媒ユニット41として一体的に取り扱うことが可能なものとなる。
【0145】
つぎに、「光触媒ユニット41を、脱臭モジュール本体を構成する枠体16に着脱する場合」の作動について説明する。
【0146】
まず、光触媒ユニット41を脱臭モジュール15に取り付けるには、上記した光触媒ユニット41を、枠体16の光触媒嵌合部45へ嵌め込む。そして、光触媒ユニット41の外面側からネジ挿通孔47bを通して枠体16に設けられた固定用部材47のネジ穴47aへ2本のネジなどの光触媒固定具46をねじ込む。これにより、光触媒ユニット41が脱臭モジュール15に締結固定される。
【0147】
反対に、光触媒ユニット41を脱臭モジュール15から取り外すには、上記とは反対の手順で、2本のネジなどの光触媒固定具46を枠体16の固定用部材47から取り外して、光触媒ユニット41を枠体16の光触媒嵌合部45から取り出すようにする。
【0148】
このように、この脱臭モジュール15では、面状に並べられた複数の光触媒フィルタ2を一体として取り扱うことができる光触媒ユニット41を形成し、かつ、この光触媒ユニット41を表裏何れの向きでも使用できる形状としているので、光触媒フィルタ2の再生が必要になった場合に、4枚の光触媒フィルタ2の表裏反転を一度に、かつ、簡単に行うことができ、光触媒フィルタ2を再生するための作業の容易化を図ることができる。また、この脱臭モジュール15では、光触媒ユニット41の枠体16に対する着脱も、2本の光触媒固定具46の取り付けと取り外しとを行い、光触媒ユニット41を枠体16の光触媒嵌合部45に嵌め込んだり、光触媒嵌合部45から取り出したりすれば良いだけであるので、容易に行うことができる。
【0149】
さらに、この脱臭モジュール15では、光触媒フィルタ2を再生するための作業が、光触媒ユニット41の裏返しを行うだけで良く、かつ、光触媒ユニット41の裏返し作業も簡単であるため、風上側の光触媒フィルタ2の再生を行う場合には、この作業を、脱臭モジュール15を仕切り8の棚枠部材21に取り付けたままなすことができ、上記実施例1の脱臭モジュール15の場合に比べて、大幅な作業の簡単化を達成することができる。なお、このことは、光源3を交換する場合も同様である。
【0150】
したがって、このような脱臭モジュール15を備えた脱臭装置1においては、光触媒フィルタ2を再生するための作業を極めて容易に行うことができる。
【0151】
(効果)上記実施例1およびこの実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0152】
即ち、メンテナンス手段として両面取付部22を備えることにより、光触媒フィルタ2の光を照射する面とは反対側の面に汚れ成分が固着した場合に、汚れ成分が固着した面が光源3側へ向くよう光触媒フィルタ2を表裏反転させて両面取付部22に取り付けることで、光触媒反応を利用して、脱臭と共に、光触媒フィルタ2に固着した汚れ成分を分解除去させる(自己再生する)ことができるようになる。これにより、光触媒フィルタ2に対する洗浄作業などをなくすことが可能となる。
【0153】
しかも、この実施例によれば、両面取付部22は、複数枚の光触媒フィルタ2を一度に反転して取り付けることができる。そのため、光触媒フィルタ2の反転作業の工数を削減すると共に反転作業を容易化して、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【実施例3】
【0154】
図12〜図16は、この発明の実施例3を示すものである。この実施例は、光触媒ユニット41を備えた上記実施例2と同様の構成を備えたものとされている。なお、実施例2と同一または同等の構成については、同一の符号を付すことによって、説明を省略する。
【0155】
この実施例では、上記メンテナンス手段として、光触媒フィルタ2を表裏反転可能な反転機構51を備えるようにする。
【0156】
この反転機構51は、作業員の手動による光触媒フィルタ2の反転動作を補助するものとしても良いし、或いは、駆動装置を備えて、光触媒フィルタ2を自動的に反転し得るものとしても良い。この場合には、前者としている。
【0157】
そして、反転機構51は、上記した両面取付部22と連携させて設けるようにしても良いし、両面取付部22とは独立させて設けるようにしても良い。この場合には、両面取付部22に対して独立して設けるようにしている。この反転機構51は、脱臭装置1の内部や、仕切り8や、脱臭モジュール15などに対して設けることができる。この場合には、図12、図13に示すように、脱臭モジュール15における、枠体16と光触媒フィルタ2(この場合には、光触媒ユニット41)との間に設けるようにしている。
【0158】
より具体的には、上記した反転機構51は、光触媒ユニット41の上部における幅中央位置に対して1箇所設けられるようにしている。なお、上記した反転機構51は、光触媒ユニット41の側部における上下方向中央位置に対して1箇所設けるようにすることもできる。このように、反転機構51の設置位置を変えることにより、光触媒ユニット41の反転方向などを変えることができる。
【0159】
そして、この反転機構51は、枠体16と光触媒ユニット41とを回転可能に連結する連結部材52を主に備えたものとされる。これに対し、枠体16と光触媒ユニット41とには、図14、図15に示すように、連結部材52を取り付けるための連結用孔部53a,53bが、(枠体16に光触媒ユニット41を取り付けた際に)互いに近接する位置に設けられる。
【0160】
連結部材52は、軸部52aの両端に軸部52aよりも径の大きい抜止部52b,52cを有する軸状係止部材とされている。そして、連結部材52の軸部52aが上記した連結用孔部53a,53bに挿通配置され、抜止部52b,52cによって軸部52aが抜けないように係止される。
【0161】
この軸部52aは、枠体16から光触媒ユニット41を取り出す際のガイドとなる着脱方向ガイド部52a1と、枠体16の外部で光触媒ユニット41を反転させる際の反転中心となる反転中心部52a2とを有するものとされる。
【0162】
着脱方向ガイド部52a1は、主に下方へ向けて延びるものとされ、反転中心部52a2は、着脱方向ガイド部52a1の下端部から光触媒ユニット41の面外方向へ向けて延びるものとされる。そのために、軸部52aの途中には、必要に応じて、軸部52aを屈曲変形させることにより、軸部52aを着脱方向ガイド部52a1や反転中心部52a2に変形可能な関節部52a3などを設けることができる。或いは、特に図示しないが、軸部52aを着脱方向ガイド部52a1や反転中心部52a2を同時に備えた屈曲形状や曲線状のものとすることもできる。
【0163】
抜止部52b,52cは、少なくとも一方が、軸部52aに対して着脱し得るものとにする。この場合には、例えば、下端側の抜止部52cを軸部52aに対してネジ込みにより着脱できるようにしている。そのために、軸部52aの下端と下端側の抜止部52cとの間には螺着部が設けられる。
【0164】
また、上記した連結用孔部53a,53bは、枠体16側が長孔とされ(連結用孔部53a)、光触媒ユニット41側が丸孔とされる(連結用孔部53b)。
【0165】
図16に示すように、光触媒ユニット41側の連結用孔部53b(丸孔)は、光触媒ユニット41の厚さ中心に位置する縦桟部27a,27bの凹溝状部M1を避けるように、表裏どちらかの側に片寄せて設けられる。
【0166】
また、枠体16側の連結用孔部53a(長孔)は、光触媒ユニット41を表裏反転する際に生じる軸部52aの傾きおよび位置ズレや、光触媒ユニット41の反転の前後における枠体16側の連結用孔部53bの変位を考慮して、光触媒ユニット41の厚さ方向の長さが設定される。
【0167】
なお、連結部材52は、上記したような軸状連結部材とする代わりに、両端に結び目を設けた紐部材などによる紐状係止部材などとしても良い。
【0168】
また、捕集用フィルタ18は、実施例1および実施例2に示したように脱臭モジュール15に直接取り付けられても良いし、後述の実施例のように脱臭モジュール15とは別に設けられるようにしても良い。
【0169】
(作用)以下、この実施例の作用について説明する。
【0170】
この実施例によれば、メンテナンス手段として反転機構51を備えることにより、簡単且つ確実に光触媒フィルタ2を表裏反転させることができるようになると共に、反転作業中に、光触媒フィルタ2を落下するなどによって破損したり損傷したりする事故を防止することができる。
【0171】
より具体的には、光触媒ユニット41を反転させる場合には、まず、枠体16と光触媒ユニット41との両面取付部22による取り付け状態を解除できるようにする。即ち、光触媒ユニット41の前に捕集用フィルタ18が有る場合には、捕集用フィルタ18を取り外し、光触媒ユニット41が固定部によって固定されている場合には、固定部を取り外す。つぎに、反転機構51の連結部材52を構成する軸部52aの着脱方向ガイド部52a1および反転中心部52a2に沿って光触媒ユニット41を枠体16の外部へ取り出し、更に、光触媒ユニット41を、枠体16の外部で、反転中心部52a2を中心として反転させる。その後、光触媒ユニット41を軸部52aに沿って反転中心部52a2から着脱方向ガイド部52a1へと移動しつつ、枠体16の両面取付部22にて取り付け、固定する。以上により、簡単に光触媒ユニット41が反転される。捕集用フィルタ18が脱臭モジュール15に直接取り付けられる場合には、更に捕集用フィルタ18を取り付ける。
【0172】
このように、反転機構51を、連結部材52を用いたものとすることにより、最も簡単な構成で光触媒ユニット41を簡単確実に反転させることができる。
【0173】
なお、反転機構51は、上記の他に、例えば、脱臭装置1の内部や、仕切り8の部分に設けたマニピュレータとしたり、脱臭モジュール15に設けた反転ガイドや反転用アームなどとしたりすることができる。
【実施例4】
【0174】
図17〜図21は、この発明の実施例4を示すものである。この実施例は、上記した各実施例に対して適用することが可能である。なお、上記した各実施例と同一または同等の構成については、同一の符号を付すことによって、説明を省略する。
【0175】
この実施例では、(a)上記メンテナンス手段として、捕集用フィルタ18に付着した汚れ成分を、洗浄によって除去可能な捕集用フィルタ洗浄装置61を備えるようにしている。
【0176】
図17,図18に示すように、捕集用フィルタ洗浄装置61は、捕集用フィルタ18の風上側の面を洗浄するものとして設けられる。
【0177】
捕集用フィルタ洗浄装置61は、実施例1および実施例2に示したように脱臭モジュール15に直接取り付けられた捕集用フィルタ18に対して設けることもできるが、好ましくは、脱臭モジュール15とは別に設けられた捕集用フィルタ18に対して設けるようにする。
【0178】
即ち、(b)捕集用フィルタ18が、光触媒フィルタ2に対し間隔を有して設置(離間配置)されるようにする。
【0179】
そのために、脱臭装置1に対し、脱臭装置函体7の内部を、入口部5側の空間と、脱臭モジュール15を有する仕切り8が設けられた側の空間とに仕切る仕切壁62を設け、この仕切壁62に対して捕集用フィルタ18を取り付けるようにする。
【0180】
この捕集用フィルタ18の仕切壁62は、各脱臭モジュール15に対して取り付けられている上記した捕集用フィルタ18をそのまま組み合わせて仕切壁状としたものとしても良いし、新たに仕切壁状に作成したものなどとしても良い。この場合には、前者としている。上記捕集用フィルタ18の仕切壁62は、例えば、仕切壁62を構成する骨組みに複数枚の捕集用フィルタ18を取り付けたものなどとされる。
【0181】
捕集用フィルタ18の仕切壁62は、脱臭モジュール15が設置される仕切り8に対して、洗浄による影響を与えないよう風上側に必要最小限だけ離した位置に設けられる。或いは、捕集用フィルタ18の仕切壁62は、脱臭装置函体7の入口部5に可能な限り近付けた位置に設けられる。或いは、捕集用フィルタ18の仕切壁62は、これらの中間位置に設けられる。
【0182】
なお、捕集用フィルタ18の仕切壁62を設けた場合には、各脱臭モジュール15に取り付けられる捕集用フィルタ18は、省略することができる。
【0183】
そして、図19に示すように、捕集用フィルタ18の仕切壁62は、脱臭装置函体7の底面壁7bに設けられた水受皿63の上部に台座部64を介して取り付けられる。上記した水受皿63は、捕集用フィルタ18の仕切壁62の厚みよりも広い幅寸法を有して、脱臭装置函体7の底面壁7bと捕集用フィルタ18の仕切壁62の底辺との間に、両側壁7c、7dの間を結ぶように配設される。水受皿63には、所要の排水勾配が設けられる。そして、排水勾配の最も低い位置には、図20に示すように、水受皿63で受けた洗浄液や水などを外部へ排出するための排水口66aおよび排水管66bが設けられる。
【0184】
また、図19に示すように、台座部64の上側には、捕集用フィルタ18の仕切壁62に沿って流下する洗浄液または水の流れを横方向へ変更することによって、水受皿63での水はねを防止し得るようにするための、水はね防止用ガイド部64aが設けられる。この水はね防止用ガイド部64aは、捕集用フィルタ18の表面よりも面外方向へ突出すると共に、下り勾配に傾斜した傾斜面を有するものなどとされる。
【0185】
そして、捕集用フィルタ洗浄装置61として、捕集用フィルタ18の風上側に、捕集用フィルタ18へ向けて洗浄液や、すすぎ洗い用の水や、泡立用(或いは更に乾燥用)の空気などを噴射可能な洗浄用ノズル67aを設ける。例えば、洗浄用ノズル67aは、各捕集用フィルタ18に対して1個ずつ設けるようにする。但し、捕集用フィルタ18に対する洗浄用ノズル67aの設置個数は、これに限るものではない。
【0186】
また、これらの洗浄用ノズル67aへ洗浄液や水や空気を供給するための洗浄用配管67を設ける。この洗浄用配管67は、風下側の部分に洗浄用ノズル67aを有するものとされる。この場合には、各洗浄用ノズル67aを横方向へ結ぶように横方向へ延びる洗浄用配管67を上下方向に対して複数本平行に配設するようにしている。但し、洗浄用配管67は、各洗浄用ノズル67aを上下方向へ結ぶように上下横方向へ延びる洗浄用配管67を横方向に対して複数本平行に設けるようにしても良い。或いは、1本の洗浄用配管67を横方向または上下方向に蛇行させながら、各洗浄用ノズル67aの間を結ぶように配設しても良い。或いは、洗浄用配管67は、上記以外の取り回しとしても良い。
【0187】
そして、図21に示すように、上記した洗浄用配管67の上流側には、捕集用フィルタ洗浄装置61の一部を構成する造泡器68および洗浄液生成装置71が備えられる。この造泡器68には、洗浄液生成装置71に接続される洗浄液供給管72と、外部の水供給源に接続された水供給管73と、外部の圧縮空気供給源に接続された圧縮空気供給管74とが接続されている。水供給管73と圧縮空気供給管74とには、それぞれ調整弁73a,74aが設けられる。
【0188】
また、上記した洗浄液生成装置71は、洗浄剤原液を貯留する原液タンク75と、原液タンク75からの洗浄剤原液と、外部からの水とを希釈混合する混合器76と、混合器76で希釈混合されてできた所要濃度の洗浄液を貯留する洗浄液タンク77と、洗浄液タンク77からの洗浄液を造泡器68へ送給するポンプ78とを備えている。洗浄液には、例えば中性洗剤などが用いられる。洗浄液タンク77は、好ましくは、1回分の洗浄に必要な量の洗浄液を貯留できる程度の容量を有するものとする。なお、洗浄液タンク77には、オーバーフローバルブ77aを備えたオーバーフロー管77bと、ドレンバルブ77cを備えたドレン管77dとが設けられる。
【0189】
オーバーフロー管77bは、洗浄液タンク77の上部と、洗浄液供給管72におけるポンプ78の吐出側で且つ造泡器68の入口側の位置に接続される。また、ドレン管77dは洗浄液タンク77の底部に設けられる。上記した洗浄液生成装置71や造泡器68は、洗浄装置収容ボックス79に収容された状態で、洗浄装置収容ボックス79ごと脱臭装置函体7の外側部分または内側部分に取り付けられる。なお、洗浄装置収容ボックス79を脱臭装置函体7の内側部分(内部)に設ける場合には、捕集用フィルタ洗浄装置61のための専用の制御装置は、脱臭装置1を操作および制御するための制御装置とは別に、脱臭装置函体7の外側部分に設けるようにする。
【0190】
この制御装置は、上記したポンプ78や調整弁73a,74aなどを制御することによって、捕集用フィルタ洗浄装置61を作動させるものである。捕集用フィルタ洗浄装置61は、例えば、図示しないタイマーなどによって自動的に一定時間ごとまたは一定期間おきに作動されるようにすることができる。或いは、脱臭装置1の起動停止スイッチと連動させて、例えば、脱臭装置1の運転を停止した時に一定時間自動的に作動されるようにすることができる。或いは、手動操作を行うこともできるようにしても良い。
【0191】
(作用効果)以下、この実施例の作用効果について説明する。
【0192】
この実施例によれば、メンテナンス手段として捕集用フィルタ洗浄装置61を備えることによって、脱臭装置1の内部で捕集用フィルタ18に付着した汚れ成分を洗浄除去することができるようになるので、脱臭装置1から捕集用フィルタ18を取り外して外部で洗浄するなどの手間をなくすことが可能となる。
【0193】
より具体的には、捕集用フィルタ18の洗浄は、捕集用フィルタ18へ向けて洗浄用ノズル67aから洗浄液を噴射することによって捕集用フィルタ18を洗浄液で洗浄し、つぎに、水を噴射することによって捕集用フィルタ18を水ですすぎ洗いする、という手順で行われる。更に必要な場合には、圧縮空気供給管74の圧縮空気を洗浄用ノズル67aから噴射することなどによって捕集用フィルタ18を乾燥させるようにしても良い。なお、乾燥については、別に乾燥用ノズルを設けても良いし、自然乾燥としても良いし、ヒータやその他の乾燥装置を設けるようにしても良いし、或いは、未処理ガスG1を通すことによって乾燥させるようにしても良い。
【0194】
そして、洗浄液は、以下のようにして、捕集用フィルタ18へ噴射される。
【0195】
即ち、原液タンク75からの洗浄剤原液と、外部からの水とが混合器76で希釈混合されて所要濃度の洗浄液とされ、この洗浄液が洗浄液タンク77に貯留される。好ましくは、洗浄液は、洗浄を行う都度、必要量だけ作るようにする。洗浄液を多く作りすぎた場合には、オーバーフローバルブ77aを開いてオーバーフロー管77bから造泡器68へバイパスさせるようにする。つぎに、洗浄液タンク77の洗浄液は、ポンプ78によって造泡器68へ送られ、造泡器68で、水供給管73からの水と、圧縮空気供給管74からの圧縮空気とによって泡立てられる。最後に、造泡器68で泡立てられた洗浄液は、水や圧縮空気の圧力を利用して洗浄用配管67へ送られ、洗浄用ノズル67aから捕集用フィルタ18へと噴射される(洗浄工程)。
【0196】
そして、一定時間、または、浄液タンクの洗浄液がなくなるまで、泡状の洗浄液が捕集用フィルタ18へ噴射されたら、ポンプ78を停止し、圧縮空気供給管74からの圧縮空気を停止して、水供給管73からの水を洗浄用配管67を介して洗浄用ノズル67aから捕集用フィルタ18へと噴射させ、捕集用フィルタ18をすすぎ洗いする(すすぎ洗い工程)。
【0197】
この際、捕集用フィルタ18へ噴射された洗浄液や水は、水受皿63に集められ、排水口66aおよび排水管66bから外部へ排出される。この際、捕集用フィルタ18の仕切壁62の台座部64に設けられた水はね防止用ガイド部64aにより、水受皿63の部分での水はねが防止され、脱臭装置函体7内に洗浄液や水が飛び散るのが抑えられる。
【0198】
そして、捕集用フィルタ18が充分にすすぎ洗いされたら、水供給管73からの水を停止する。必要な場合には更に、捕集用フィルタ18を乾燥させる(乾燥工程)。この捕集用フィルタ18の乾燥は、例えば、圧縮空気供給管74からの圧縮空気を、洗浄用配管67を介して洗浄用ノズル67aから捕集用フィルタ18へ向けて噴射させることによって行う。なお、洗浄用ノズル67aからの圧縮空気の量が不足するような場合には、洗浄用ノズル67aとは別に乾燥用ノズルなどを設けるようにしても良い。或いは、圧縮空気を用いる代わりに、自然乾燥としても、ヒータやその他の乾燥装置を用いた乾燥としても、或いは、未処理ガスG1による乾燥としても良い。
【0199】
なお、洗浄液タンク77の洗浄液が余った場合には、余った洗浄液は、ドレンバルブ77cを開いてドレン管77dから外部へ排出させるようにする。
【0200】
以上により、捕集用フィルタ18から汚れ成分が効率的に除去される。
【0201】
また、捕集用フィルタ18を、光触媒フィルタ2に対し間隔を有して設置したことにより、捕集用フィルタ洗浄装置61で捕集用フィルタ18を洗浄する際に、洗浄液が光触媒フィルタ2に掛かって悪影響を及ぼすのを回避することができる。
【0202】
また、上記した間隔により、捕集用フィルタ18を通過した汚れ成分の全てが直ちに光触媒フィルタ2に付着するようなことがなくなるので、光触媒フィルタ2に対する汚れ成分の付着量を減らすことができる。これによって、光触媒フィルタ2の機能低下を遅らせたり、光触媒フィルタ2に対する再生回数を減らしたりすることが可能となる。なお、この場合、捕集用フィルタ18を通過した汚れ成分の多くは、光触媒フィルタ2に到達する前に、両者間の通路部分に付着することになるが、全体としては極く少量であるため問題ない。これに対し、実施例1や実施例2などのように、光触媒フィルタ2の直前に捕集用フィルタ18を設置した場合、上記通路部分には捕集用フィルタ18で汚れ成分を捕集する前のガスGが通されることになるので、上記通路部分に対しより多くの汚れ成分が付着することになる。よって、全体として、上記通路部分への汚れ成分の付着量も減らすことができる。
【0203】
しかも、上記間隔により、捕集用フィルタ18や捕集用フィルタ洗浄装置61に邪魔されることなく、光触媒フィルタ2のメンテナンスを行うことができる。例えば、捕集用フィルタ18を取り外すことなく光触媒フィルタ2のメンテナンスを行うことや、捕集用フィルタ18の洗浄中に光触媒フィルタ2のメンテナンスを同時に行うことなどができるようになる。更に、光触媒フィルタ2やその周辺の設計自由度が上がるので、例えば、仕切り8を開閉できる構造とすることなども可能となる。
【0204】
また、この実施例では、捕集用フィルタ18の仕切壁62は、脱臭装置函体7の正面壁7eおよび背面壁7fと平行なものとして説明したが、捕集用フィルタ18の仕切壁62の形状はこれに限るものではない。例えば、変形例として、図22に示すように、捕集用フィルタ18の仕切壁62をジグザグ状などに配置することができる。これにより、捕集用フィルタ18の設置面積を増やして、汚れ成分に対する捕集効率を向上し、しかも、ガスGが通過する際の圧力損失を減らすことなどが可能となる。
【0205】
また、洗浄用ノズル67aの向きを、ジグザグ状に設置された捕集用フィルタ18の各面の方向へ向けるようにすることにより、洗浄液が光触媒フィルタ2へ直接届き難くなるので、光触媒フィルタ2と捕集用フィルタ18とをより近付けることが可能となる。
【実施例5】
【0206】
図23、図24は、この発明の実施例5を示すものである。この実施例は、上記した各実施例に対して適用することが可能である。なお、上記した実施例と同一または同等の構成については、同一の符号を付すことによって、説明を省略する。
【0207】
この実施例では、上記メンテナンス手段として、光源3の玉切れを感知し得るようにする玉切れ感知部81を備えるようにする。
【0208】
この場合、玉切れ感知部81は、光触媒ユニット41の縦桟部材27bにおける、各光源3と対向する位置にそれぞれ形成された覗き孔82などとする。そして、各覗き孔82には、アクリルなどの透明樹脂製の導光板83をそれぞれ取り付けることができる。
【0209】
(作用効果)以下のこの実施例の作用効果について説明する。
【0210】
この実施例によれば、メンテナンス手段として玉切れ感知部81を備えることによって、光源3の玉切れを作業員に感知させることができるようになる。これにより、玉切れ後直ちに光源3を交換することが可能となる。以って、光源3の玉切れによって、脱臭が行われないまま、或いは、脱臭機能が低下したまま、脱臭装置1が運転されるのを回避することが可能となる。
【0211】
玉切れ感知部81として、光触媒ユニット41の縦桟部における、各光源3と対向する位置にそれぞれ覗き孔82を形成することにより、どの光源3が玉切れしているのかを、ひと目で感知することができるようになる。また、光触媒ユニット41の縦桟部に覗き孔82を形成することにより、光触媒フィルタ2に対して覗き孔82を設ける必要などを無くすことができ、光触媒フィルタ2の面積減少を防止することが可能となる。
【0212】
なお、この覗き孔82は、捕集用フィルタ18が光触媒フィルタ2から離間して設けられている場合に特に有効である。
【0213】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0214】
1 脱臭装置
2 光触媒フィルタ
3 光源
7 脱臭装置函体
8 仕切り
15 脱臭モジュール
18 捕集用フィルタ
22 両面取付部(メンテナンス手段)
23 外縁部取付部
26 内縁部取付部
26a インナ部材
26b アウタ部材
41 光触媒ユニット
42 外枠部材
43a インナ部材
43b アウタ部材
45 光触媒嵌合部
46 光触媒固定具
47a ネジ穴
51 反転機構(メンテナンス手段)
52 連結部材
61 捕集用フィルタ洗浄装置(メンテナンス手段)
62 仕切壁
63 水受皿
67a 洗浄用ノズル
68 造泡器
71 洗浄液生成装置
79 洗浄装置収容ボックス
81 玉切れ感知部(メンテナンス手段)
82 覗き孔
83 導光板
G ガス
G1 未処理ガス
G2 脱臭ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも臭気成分を含むガスを通す光触媒フィルタと、
該光触媒フィルタの片面に向けて光を照射する光源とを備えると共に、
前記ガスに汚れ成分が同伴される場合に、光触媒フィルタの風上側に、汚れ成分を捕集するための捕集用フィルタが、選択的に備えられて、
光触媒反応によってガスに含まれる臭気成分を脱臭し得るようにした脱臭装置において、
前記光触媒フィルタ、捕集用フィルタ、光源のうちの少なくとも1つに対してメンテナンスを行うためのメンテナンス手段を設けたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記メンテナンス手段として、光触媒フィルタの光を照射する面とは反対側の面に汚れ成分が固着した場合に、汚れ成分が固着した面が光源側へ向くよう光触媒フィルタを表裏反転させて取り付けることが可能な両面取付部を備えたことを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記メンテナンス手段として、光触媒フィルタを表裏反転可能な反転機構を備えたことを特徴とする請求項2記載の脱臭装置。
【請求項4】
前記メンテナンス手段として、捕集用フィルタに付着した汚れ成分を、洗浄によって除去可能な捕集用フィルタ洗浄装置を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の脱臭装置。
【請求項5】
前記捕集用フィルタが、前記光触媒フィルタに対し間隔を有して設置されたことを特徴とする請求項4記載の脱臭装置。
【請求項6】
前記メンテナンス手段として、光源の玉切れを感知し得るようにする玉切れ感知部を備えたことを特徴とすることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の脱臭装置。
【請求項7】
少なくとも臭気成分を含むガスを光触媒フィルタに通すと共に、光触媒フィルタの片面に光源からの光を照射することにより、ガスに含まれる臭気成分を光触媒反応によって脱臭する脱臭方法において、
光触媒フィルタの光を照射する面とは反対側の面に汚れ成分が固着した場合に、
汚れ成分が固着した面が光源側へ向くように、光触媒フィルタを表裏反転することにより、光触媒反応を利用して、脱臭と共に、光触媒フィルタに固着した汚れ成分を分解除去させることを特徴とする脱臭方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−50979(P2012−50979A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171510(P2011−171510)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(502046696)東洋興商株式会社 (1)
【Fターム(参考)】