説明

脱臭装置

【課題】スパイラル状のフィンを持つ脱臭装置にて、通路を狭くすることなく脱臭能力を上げ、多量の水蒸気を含んだガスを脱臭するような場合でも十分対応できる、脱臭装置を提供すること。
【解決手段】発生したガスを脱臭する触媒成分を表面に担持させたフィン7をパイプ15にスパイラル状に巻いたフィンユニット8と、フィンユニット8を加熱するシーズヒータ12と、発生ガスの流入口9と流出口10以外は密閉されるケース11によって構成すると共に、フィン7は2条巻きにて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気を含んだ臭気の強いガスでも十分脱臭できる、脱臭能力が高く圧力損失の低い脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の脱臭装置として、生ごみ処理機に取付けられた従来の脱臭装置を図4、図5を用いて説明する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4に示すように、生ごみ処理機本体1は、生ごみ収納容器2と生ごみ加熱手段3と、生ごみを攪拌・粉砕する攪拌手段4と、生ごみ収納容器2から連通した脱臭装置5と吸引手段6から成っている。また図5において脱臭装置5は、加熱されて臭気を酸化分解させ脱臭する触媒成分を表面に担持させた耐食性の優れたステンレス製のフィン7と、そのフィン7をパイプにスパイラル状に巻いたフィンユニット8と、パイプの内側に配し、フィンユニット8を加熱し、発生ガスの流入口9と流出口10以外は密閉され脱臭装置を形成するケース11にろう付けしたシーズヒータ12より構成され、ケース11の周囲を断熱材13で覆っている。
【0004】
ここでフィン7は、触媒成分が水蒸気を含んだガス内で長期使用しても剥がれないよる安定して定着させるために、黒化処理を施しているが、ステンレス製であるため高温加熱(約1000℃)する必要がある。また、触媒成分を塗布し、再度高温(約600℃)にて焼付けしている。
【0005】
上記の様な従来の脱臭装置において動作を説明すると、生ごみ処理機本体1の生ごみ収納容器2に投入された生ごみは、生ごみ加熱手段3と攪拌手段4によって、加熱、粉砕され乾燥していく。このとき生ごみ収納容器2から発生した蒸気を含む臭気ガスは、吸引手段6によって流入口9より脱臭装置5内に流入し、シーズヒータ12によって加熱されたスパイラル状のフィン7によって構成されたフィンユニット8を通過する間に、加熱され酸化分解し脱臭される。脱臭された後は流出口10より吸引手段6を経て排気される。
【0006】
この時、フィン7の温度は400℃〜600℃になり、常に触媒成分が活性化するように、シーズヒータ12の温度を設定してある。
【0007】
また、脱臭装置のケース11は流入口9、流出口10以外は密閉されており、シーズヒータ12の固定もろう付けで行われているので、脱臭前の臭気が漏れることはなく、臭気の強いガスの脱臭も可能である。
【特許文献1】特開2003−010642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
脱臭装置の脱臭力は、触媒が担持されている表面積と、通過速度によって決まってくる。しかしながら、脱臭力を上げるために表面積を増やそうとすると、従来のパイプにスパイラル状に巻いたフィンユニット8とのフィン7の枚数を増加する必要があり、フィン7間のピッチが狭い、すなわち通路が狭い状態になっていた。ここで酸化分解させて脱臭するには触媒担持成分を活性化温度(400℃〜600℃)に領域内に加熱手段する為、多量の水蒸気を含んだガスを脱臭するような場合では、蒸気の体積膨張が大きく、たとえ脱臭装置に強制的に吸引する吸引手段6を設けていても、十分な通路を得られず逆流してしまっていた。また、逆流防止に吸引手段6の能力を上げると、通過速度が速くなってしまい酸化脱臭反応が落ちてしまう上に、フィン7の温度も低下してしまい、脱臭装置5の脱臭能力自体が下がってしまっていた。
【0009】
よって、スパイラル状のフィン7を持つ脱臭装置5は、脱臭能力を上げようとフィン7枚数を増加し脱臭面積を上げると、必然的に吸引能力も上げる必要があり、その結果脱臭能力は向上しないというジレンマを抱えていた。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するもので、スパイラル状のフィンを持つ脱臭装置にて、通路を狭くすることなく脱臭能力を上げ、多量の水蒸気を含んだガスを脱臭するような場合でも十分対応できる、脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の脱臭装置は、発生したガスを脱臭する触媒成分を表面に担持させた触媒フィンをパイプにスパイラル状に巻いたフィンユニットと、前記フィンユニットを加熱する加熱手段と、発生ガスの流入口と流出口以外は密閉される脱臭装置本体によって構成され、前記触媒フィンは少なくとも2条の複数巻きにて構成したもので、触媒フィンが2条以上の複数巻きで形成されているので、通路面積は確保されたまま、触媒が担持されている表面積は2倍に以上に増加できるので、飛躍的に脱臭能力を上げ、且つ多量の水蒸気を含んだ臭気ガスを脱臭するような場合でも逆流しないスパイラル状の触媒フィンを持つ脱臭装置を提供できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の脱臭装置によれば、触媒フィンが2条以上の複数巻きで形成されているので、通路面積は確保されたまま、触媒が担持されている表面積を2倍に以上に増加できるので、スパイラル状の触媒フィンを持つ脱臭装置でも飛躍的に脱臭能力を上げ、且つ多量の水蒸気を含んだ臭気ガスを脱臭するような場合でも逆流しない脱臭装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、発生したガスを脱臭する触媒成分を表面に担持させた触媒フィンをパイプにスパイラル状に巻いたフィンユニットと、前記フィンユニットを加熱する加熱手段と、発生ガスの流入口と流出口以外は密閉される脱臭装置本体によって構成され、前記触媒フィンは少なくとも2条の複数巻きにて構成した。
【0014】
よってフィンが2条以上の複数巻きで形成されているので、通路面積は確保されたまま、触媒が担持されている表面積は2倍に以上に増加できるので、飛躍的に脱臭能力を上げ、且つ多量の水蒸気を含んだ臭気ガスを脱臭するような場合でも逆流しないスパイラル状のフィンを持つ脱臭装置を提供できる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明において、触媒フィンの上流側面のみ触媒成分を表面に担持させたので、触媒成分の担持量を1条フィン時と同様にして、高価な触媒成分使用量が2倍になるのを避けると経済的である。また水蒸気を含んだ臭気ガスは、吸引によってフィンの上流側に沿ってスパイラル状フィンを通過するので、より接触度の高い面のみ担持されており、脱臭効率がよく脱臭効果も第1発明の2〜3割減を維持できる。
【0016】
またフィンが2条以上となることで、熱交換面が増加し、臭気ガスの温度自体も高くなり、酸化反応しやすい状態となっている事も、脱臭効率向上に効果がある。
【0017】
第3の発明は、特に第1又は2の発明において、複数に巻いた触媒フィンの少なくとも1条のみ、ケースとタイトしたので、複数上のフィンをケースとタイトすることによりケースとの摩擦面が数倍増加し、フィンを挿入し辛くなり生産性が落ちるのを防ぐ事ができる。また従来通りフィン1条のみケースとタイトしているので、スパイラルのショートパスによる脱臭不足もない。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、生ごみ処理機に取付けられた本発明の第1の実施の形態における脱臭装置の側断面図である。生ごみ処理機構成は、従来例と同じであり、図4にて簡単に構成を説明し、動作は省略する。
【0020】
図4において本体1は、生ごみ収納容器2と生ごみ加熱手段3と、生ごみを攪拌・粉砕する攪拌手段4と、生ごみ収納容器2から連通した脱臭装置5と吸引手段6から成っている。脱臭装置5は図1に示されるように、加熱されて臭気を酸化分解させ脱臭する触媒成分を表面に担持させた耐食性の優れたステンレス製のフィン7と、そのフィン7をパイプ15にスパイラル状に巻いたフィンユニット8と、パイプ15の内側に配し、フィンユニット8を加熱し、発生ガスの流入口9と流出口10以外は密閉され脱臭装置を形成するケース11にろう付けしたシーズヒータ12より構成され、ケース11の周囲を断熱材13で覆っている。ここで、フィン7は、それぞれ独立した流路を確保する2条巻きにて形成されている。
【0021】
また、フィン7は、触媒成分が水蒸気を含んだガス内で長期使用しても剥がれないよる安定して定着させるために、黒化処理を施しているが、ステンレス製であるため高温加熱(約1000℃)する必要がある。また、触媒成分を塗布し、再度高温(約600℃)にて焼付けしている。
【0022】
上記の様な実施の形態1の脱臭装置5において動作を説明すると、密閉された脱臭装置5のケース11に流入した臭気ガスは、シーズヒータ12によって加熱されたスパイラル状のフィン7によって構成されたフィンユニット8を通過する間に、加熱され酸化分解し脱臭される。この時、フィン7の温度は400℃〜600℃になり、常に触媒成分が活性化するように、シーズヒータ12の温度を設定してある。
【0023】
また、脱臭装置のケース11は流入口9、流出口10以外は密閉されており、シーズヒータ12の固定もろう付けで行われているので、脱臭前の臭気が漏れることはなく臭気の強いガスの脱臭装置5にも採用可能である。
【0024】
ここで、フィン7が2条巻きで形成されているので、通路面積は確保されたまま、触媒が担持されている表面積は2倍に増加できる。
【0025】
よって、飛躍的に脱臭能力を上げ、且つ多量の水蒸気を含んだガスを脱臭するような場合でも逆流しないスパイラル状のフィン7を持つ脱臭装置5を提供できる。
【0026】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施の形態における脱臭装置の側断面図である。他の構成は、同符号を付し説明し、動作は省略する。
【0027】
図2において、フィン7の上流側面14のみ触媒成分を表面に担持させたので、触媒成分の担持量を1条フィン時と同様にして、高価な触媒成分使用量が2倍になるのを避けると経済的である。また水蒸気を含んだ臭気ガスは、吸引手段6によってフィン7の上流側面14に沿ってスパイラル状のフィンユニット8を通過するので、より接触度の高い面のみ担持されており、脱臭効率がよく脱臭効果も第1発明の2〜3割減を維持できる。
【0028】
またフィン7が2条となることで、熱交換面が増加し、臭気ガスの温度自体も高くなり、酸化反応しやすい状態となっている事も、脱臭効率向上に効果がある。
【0029】
(実施の形態3)
図3は本発明の第3の実施の形態における脱臭装置の側断面図である。他の構成は、同符号を付し説明し、動作は省略する。
【0030】
図3において、複数に巻いたフィン7の少なくとも1条のみ、ケース11とタイトしたので、複数上のフィン7をケース11とタイトすることによりケース11との摩擦面が数倍増加し、フィン7を挿入し辛くなり生産性が落ちるのを防ぐ事ができる。また従来通りフィン7を1条のみケース11とタイトしているので、スパイラル状のフィンユニット8の経路でショートパスによる脱臭不足もない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明にかかる脱臭装置は、触媒フィンが2条以上の複数巻きで形成されているので、通路面積は確保されたまま、触媒が担持されている表面積を2倍に以上に増加できるので、スパイラル状の触媒フィンを持つ脱臭装置でも飛躍的に脱臭能力を上げ、且つ多量の水蒸気を含んだ臭気ガスの脱臭が可能となるので、生ごみ処理機等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1の脱臭装置の側断面図
【図2】本発明の実施の形態2の脱臭装置の側断面図
【図3】本発明の実施の形態3の脱臭装置の側断面拡大図
【図4】従来例の生ごみ処理機の側断面図
【図5】従来例の脱臭装置の側断面図
【符号の説明】
【0033】
5 脱臭装置
7 フィン(触媒フィン)
8 フィンユニット
9 流入口
10 流出口
11 ケース
12 シーズヒータ(加熱手段)
14 上流側面
15 パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生したガスを脱臭する触媒成分を表面に担持させた触媒フィンをパイプにスパイラル状に巻いたフィンユニットと、前記フィンユニットを加熱する加熱手段と、発生ガスの流入口と流出口以外は密閉されるケースによって構成され、前記触媒フィンは少なくとも2条の複数巻きにて構成した脱臭装置。
【請求項2】
触媒フィンの上流側面のみ触媒成分を表面に担持させた請求項1記載の脱臭装置。
【請求項3】
複数に巻いた触媒フィンの少なくとも1条のみ、ケースとタイトした請求項1または2記載の脱臭装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−57999(P2010−57999A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223119(P2008−223119)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】