説明

脱酸素水の製造方法とその装置

【課題】 高い脱酸素効率が得られ、低溶存酸素の処理水の需要変動に容易に対応可能で、窒素ガスの使用量の低減も可能であり、また構成が簡単で小型化が容易に達成できる、脱酸素水の製造方法とその装置の提供。
【解決手段】 水槽上部に気液接触筒を接続した構成の対向流型の処理塔を1機または2機以上用い、第1塔の水槽に自吸式気液混合装置を配置して第2塔を出た窒素ガスを第1塔に貯水する処理水に拡散させる構成を採用すること、また第2塔を出た窒素ガスを第1塔水槽上部又は気液接触筒途中あるいはその両方から吸引し自吸式散気装置へ導入すること、処理水を次段処理塔の気液接触筒上部より導入するととも自段の気液接触筒上部に再導入することで、脱酸素効率をよりいっそう向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、窒素ガスを用いて水中の溶存酸素を除去する脱酸素方法に係り、水槽上部に気液接触筒を接続した構成の対向流型の処理塔を2機以上用い、第1塔の水槽に自吸式気液混合装置を配置して窒素ガスと処理水を適宜循環させることにより、脱酸素効率の向上と窒素ガス量の削減、さらには処理水の流量変動にも安定稼働を実現した脱酸素水の製造方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶存酸素を除去した脱酸素水の製造方法としては、溶存酸素を含む水に窒素ガスを吹き込み、気液接触面の気体を窒素ガスのみにして、溶存酸素を水中から気相に拡散させて除去する方法と装置が実用化されている。
【0003】
また、窒素脱気塔の上部ノズルから被処理水が散水され、塔内のネットリング等の充填物内を流れながら、同塔の下部のノズルから供給される窒素ガスと気液接触をする対向流型の脱気装置も提案されている。
【0004】
また、窒素と水とを乱流混合するスタティックミキサーで脱酸素し、次いで気液分離ラインで気液分離して窒素と酸素を系外へ排出すると共に、脱酸素処理水を導出する構成の脱気装置が提案されている。
【0005】
さらに、インペラーの回転で発生する負圧作用によって気体を連続的に液体中に吸入させ、またインペラーの渦流と剪断力とにより微細気泡を多量に発生させ、気体を液体中に効率よく溶解あるいは反応させる気液接触槽を用い、これを上下方向に多段に組み合せて、液体を最上槽から順次下槽にオーバーフローさせて最下槽で回収し、気体は最下槽から順次インペラーの回転力で上層させて最上槽から回収する構成の気液接触装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61-51596
【特許文献2】特開平5-269305
【特許文献3】特開2003-47950
【特許文献4】特開2001-129304
【特許文献5】特開平11-137989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
単に処理水に窒素を導入するだけでは脱酸素効率は向上しないため、水中で撹拌などを行う必要があるが、高い脱酸素効率の向上が望めない。そこで、気液接触を積極的に行わせるために窒素と水とを乱流混合するスタティックミキサー等を用いるが、処理量の増大や溶存酸素の著しい低減には、窒素の消費量が増大したり、スタティックミキサーを多段配置する必要が有り、また、最終段には気液分離手段が必要で装置の複雑、大型化が避けられない。
【0008】
対向流型は、脱酸素効率の向上には気液接触を増やす必要があり、処理筒を長くするか、多段配置するなどの装置の大型化が問題となり、充填材等の併用も有効であるが、ガス圧力損失や処理時間の増大などが懸念される。また、多段の水槽間でオーバーフローを繰り返す水中対向流型の構成では、液体に気体を高効率で反応させることが可能であるが、オーバーフロー水位の管理制御が困難となる他、常に定量操業が不可欠となる。
【0009】
この発明は、脱酸素水の製造に際し、高い脱酸素効率が得られ、低溶存酸素の処理水の需要変動に容易に対応可能であり、特に窒素ガスの使用量の低減が可能であり、また装置として、構成が簡単で小型化が容易に達成できる、脱酸素水の製造方法とその装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、構成が簡単で小型化が可能な装置で、高い脱酸素効率と窒素ガスの使用量の低減が達成できる脱酸素方法を目的に鋭意検討した結果、水槽上部に気液接触筒を接続した構成の対向流型の処理塔を1機または2機以上用い、第1塔の水槽に自吸式気液混合装置を配置して第2塔を出た窒素ガスを第1塔に貯水する処理水に拡散させる構成を採用することにより、脱酸素効率を大きく向上させるとともに窒素ガス量の削減が可能であり、さらには第1塔での脱酸素処理量が大きく増大して処理水の流量変動にも安定稼働を実現できることを知見した。
【0011】
また、発明者らは、上記構成において、第2塔を出た窒素ガスを第1塔に貯水する処理水に拡散させるとともに同水槽上部又は気液接触筒途中あるいはその両方から吸引して同様に処理水に拡散することで、脱酸素効率をいっそう向上させることができ、さらに、気液接触後の処理水を次段処理塔の気液接触筒上部より導入するととも自段の気液接触筒上部に再導入することで、脱酸素効率をよりいっそう向上させることができることを知見し、この発明を完成した。
【0012】
すなわち、この発明は、
(a)水槽上部に上昇窒素ガスと落下水の向流接触を行う気液接触筒を接続した構成の処理塔を有し、
(b)処理原水を、処理塔の気液接触筒上部より導入落下させて同水槽内に貯水する水処理工程と、
(c)窒素ガスを、処理塔の水槽上部より導入して気液接触筒上部より導出し、これを前記水槽に設けた自吸式散気装置により当該水槽の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程と、を有することを特徴とする脱酸素水の製造方法である。
【0013】
また、この発明は、
(a’)水槽上部に上昇窒素ガスと落下水の向流接触を行う気液接触筒を接続した構成の処理塔を複数段有し、
(b’)処理原水を、第1処理塔の気液接触筒上部より導入落下させて同水槽内に貯水し、これを次段処理塔の気液接触筒上部より導入して気液接触を繰り返す水処理工程と、
(c’)窒素ガスを、最終段処理塔の水槽上部より導入して気液接触筒上部より導出し、これを上流段処理塔の水槽に設けた自吸式散気装置により当該水槽の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程と、を有することを特徴とする脱酸素水の製造方法である。
【0014】
さらに、この発明は、上記構成のおいて、
(b’’)処理原水を、第1処理塔の気液接触筒上部より導入落下させて同水槽内に貯水し、これを次段処理塔の気液接触筒上部より導入するとともに自段の気液接触筒上部に再導入して気液接触を繰り返す水処理工程、
(c’’)窒素ガスを、最終段処理塔の水槽上部より導入して気液接触筒上部より導出するとともに上流段処理塔の水槽上部又は気液接触筒途中あるいはその両方からも吸引導出し、これを同上流段処理塔の水槽に設けた自吸式散気装置により当該水槽の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程、を採用することができる。
【0015】
また、この発明は、水槽上部に気液接触筒を接続した構成の処理塔からなり、処理塔の気液接触筒上部に窒素ガス排気管、処理原水導入配管と水槽からの処理水循環導入管を有し、処理塔水槽はその上部に窒素ガスの導入管と窒素ガスの処理水内への自吸式散気装置からなる拡散装置及び処理水導出手段とを備えたことを特徴とする脱酸素水の製造装置である。
【0016】
さらに、この発明は、水槽上部に気液接触筒を接続した構成の複数の処理塔からなり、第1処理塔の気液接触筒上部に窒素ガス排気管、処理原水導入配管と第1処理塔の水槽からの処理水循環導入管を有し、第1処理塔の水槽は次段処理塔の気液接触筒上部より導出される窒素ガスの導入管と窒素ガスの処理水内への自吸式散気装置からなる拡散装置及び処理水導出手段を備え、処理筒が2以上の場合の中簡段処理塔は第1処理塔と同じ構成を有し、最終段処理塔の気液接触筒上部には窒素ガス排気管と第1処理塔の水槽からの処理水循環導入管を有し、最終段処理塔の水槽には窒素ガス導入管と処理水導出手段を備えたことを特徴とする脱酸素水の製造装置である。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、例えば静止型の気液接触筒と水槽の処理水中に窒素ガスを拡散する装置として自吸式散気装置を備えることにより、双方の保有する性能により機能が補完され気液接触効率が向上する効果が得られる。また、この発明は、前記脱酸素性能を向上することが可能であるため、気液接触筒の高さを比較的低くでき、装置の小型化が達成できる。
【0018】
この発明による装置構成を採用することで、気液接触筒を通過した余剰の窒素ガスを再利用もしくは一部の循環使用により窒素ガスの消費量を低減することができランニングコストを低減させる効果を奏する。
【0019】
この発明は、気液接触筒を水槽上部に接続し、筒を液中に延長することによって気液分離の空間を設置することができ、槽内を2室に仕切り、筒内では気液接触充填層などを通過した気液が槽内に流入し滞留して、滞留時間内に気体が分離される構成となる。従って、水の流量に変動が生じても筒内水深が保持可能な構造のため、処理水の気液分離時間を充分確保でき、変動に対し安定な運転を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明による脱酸素水の製造装置の構成を示す回路説明図である。
【図2】この発明による脱酸素水の製造装置の他の構成を示す回路説明図である。
【図3】この発明による脱酸素水の製造装置に用いる自吸式散気装置の構成を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明における処理塔は、水槽上部に上昇窒素ガスと落下水の向流接触を行う気液接触筒を接続した構成である。例えば図1に示すごとく、第1処理塔1並び第2処理塔20には、水槽2,21上部に気液接触筒3,22を接続してあり、気液接触筒3,23内には、気液接触手段4,23が内蔵されている。
【0022】
気液接触手段4,23としては、公知の通路部材、充填材、回転翼(駆動型、無駆動型)、混合装置などを適宜採用できる。板材やパイプ材で通路形成した通路部材は気体液体を適宜蛇行や逆送させたり、同様にパイプ材やメッシュ材を密に組み合せた充填材も気液接触回数、距離を増やすものであり、回転翼はこれを固定して多段に積むとスワールを起こさせることができ、またベアリング支持した複数のプロペラは同相、逆相回転可能に配置することで気液接触を増大させることができ、さらにこれを駆動することもできる。
【0023】
処理原水は、第1処理塔1の気液接触筒3上部に設けた水導入管10より筒内に散水され、気液接触手段4内を落下して水槽2内に貯水される。第1処理塔1の水槽2よりポンプ11で送り出された第1段処理水は、配管12を介して次段の第2処理塔20の気液接触筒22上部に設けた導入管13より筒内に散水され、気液接触手段23内を落下して水槽21内に貯水される。処理塔が3段以上ある場合は、上記の送給経路による気液接触が繰り返されることになる。水槽21内の脱酸素した処理水は、需要に応じてポンプ14で処理水配管15へ送給される。
【0024】
窒素ガスは、第2処理塔20の水槽21上部に設けたガス導入管30より導入して気液接触筒22の気液接触手段23内を上昇させて頂部配管31より排気し、外部配管32と内部配管33を介して、上流段の第1処理塔1の水槽2内に設けた拡散装置に送られる。
【0025】
ここではモーター6で駆動される自吸式散気装置5により、第2処理塔20からの窒素ガスを貯水する処理水内に拡散させる。水槽2内の処理水内から離脱した窒素ガスは気液接触筒3の気液接触手段4内を上昇して頂部排気口34より排気される。処理塔が3段以上ある場合は、窒素ガスは水槽内の処理水への上記拡散と気液接触筒内の上昇による気液接触が繰り返されることになる。
【0026】
窒素ガスの拡散装置としては、図3に示す自吸式散気装置の回転羽根式ほか、公知のいずれの構成の拡散装置も適宜採用できる。前記自吸式散気装置5は、水槽内に水平配置される軸部5aは、その外周面にスリット状の吹き出し口5bが設けられて、同外周面に沿って回転する羽根5cを設けることで、軸部5aの先端開口部にガス導入管を近接配置して、羽根5cの回転で窒素ガスが吸い出されて吹き出し口5bより液内に撹拌され、液中にガスを十分に拡散させることができる。
【0027】
上記構成の第1処理塔1と第2処理塔20において、処理原水は第1処理塔1の気液接触筒3上部よりに導入されて同水槽2内に落下し、第1水槽2から第2処理塔20の気液接触筒22上部より導入されて第2水槽21内に入り、第2水槽21より処理水として導出され、窒素ガスは最終段である第2水槽21上部より導入されて気液接触筒22上部から導出され、上流側の第1水槽2の処理水内に自吸式散気装置5で拡散可能に導入され、同気液接触3筒上部から排気される間、気液接触筒3,22内で気液接触手段4,23を介して窒素ガスと水との向流接触が繰り返され、窒素ガスの第1水槽2の処理水内での拡散が行われる。
【0028】
この発明において、上記構成の第1処理塔1のみでも水処理工程と気液接触を繰り返す窒素処理工程が実施でき、脱酸素水を製造できることは上述の説明から明らかである。
【0029】
また、この複数の処理塔を用いる発明において、処理原水を、第1処理塔1の気液接触筒3上部より導入落下させて同水槽2内に貯水し、これを次段処理塔20の気液接触筒22上部より導入するとともに第1段の気液接触筒3上部に再導入して気液接触を繰り返す水処理工程を採用することができる。
【0030】
窒素ガスを、最終段処理塔20の水槽21上部より導入して気液接触筒22上部より導出し、これを上流段処理塔1の水槽2の処理水内に拡散導入するとともに、同水槽2上部又は気液接触筒3途中あるいはその両方からも吸引して水槽2の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程を採用することができる。さらには、上記の水処理工程と同時に行うことも可能である。
【0031】
この発明において、処理塔の段数と、各処理塔の気液接触筒内に配置する気液接触手段の段数を0から複数に適宜選定し組み合せることが可能である。
【実施例】
【0032】
実施例1
図1に示す脱酸素水の製造装置を用いて、気液接触手段4,23にラッシヒリング材を用いた充填層を採用した。水温19℃、溶存酸素濃度が8.6mg/Lの処理原水を3m3/hrの流量で第
1処理塔1の気液接触筒3へ導入した。ここを落下して貯水された処理水はポンプ11で第2処理塔20の気液接触筒22上部に送り込んだ。
【0033】
また、窒素ガスは、第2処理塔20の水槽21上部に0.6Nm3/hrの流量で送り込み、第2処理塔20の気液接触筒22を出て、0.4kW、1800rpmのモーターで駆動される図3に示す自吸式散気装置5で第1処理塔1の水槽3内の処理水中に拡散させ、気液接触筒3へ上昇させた。
【0034】
上記操業条件で脱酸素水の製造を実施したところ、溶存酸素濃度が8.6mg/Lの処理原水
より、同0.83mg/Lの処理水を3m3/hrの流量で得ることができた。(実施例1a)
【0035】
ここで第1処理塔1のみの1段階処理を実施(実施例1b)したところ、同1.58mg/Lの
処理水を3m3/hrの流量で得ることができた。ちなみに、1段目の自吸式散気装置5を作動させない2段階処理(比較例)では、同2.49mg/Lの処理水を3m3/hrの流量であった。こ
の比較例において、この発明の実施例1b程度の脱酸素率を達成するには、気液接触手段4,23を多段に積層したり、処理塔をさらに増やす必要があり、実施例1aのレベルには到底達し得ないことが分かる。
【0036】
実施例2
図2に示す脱酸素水の製造装置は、前述の図1の基本構成を採用し、さらに、第1処理塔1の気液接触筒3の下端は延長筒7を有し、水槽2内へ延伸、浸漬しており、気液接触筒3上部に窒素ガスの頂部排気口34、処理原水導入配管10と第1処理塔の水槽からの処理水循環導入管17を有する構成であり、ポンプ11で送り出された処理水は、配管12を介して導入管13より、第2処理塔20の気液接触筒22上部に、また、バルブ16を介して上記循環導入管17へと送られる。
【0037】
また、第1処理塔の水槽2は第2処理塔20の気液接触筒22上部より導出される窒素ガスの導入管として、先の窒素ガスを処理水内への拡散する自吸式散気装置5の他、水槽2上部にバルブ35を介して窒素ガスの吸引管36を備え、さらに、気液接触筒3上部にバルブ37を介して窒素ガスの吸引管38を備えており、バルブ35,37を開いた際には、水槽2上部と気液接触筒3上部から吸引された窒素ガスが、気液接触筒22上部より導出される窒素ガスとともに自吸式散気装置5へ導入され、処理水中に拡散される。
【0038】
図2の構成の脱酸素水の製造装置において、実施例1の操業条件で、さらに第1処理塔の水槽2上部にバルブ35を開いて吸引管36より、1.2Nm3/hrの流量で窒素ガスを吸引して脱酸素水の製造を行ったところ、溶存酸素濃度が8.6mg/Lの処理原水より、同0.67mg/L
の処理水を3m3/hrの流量で得ることができた。
【0039】
実施例3
図2の構成の脱酸素水の製造装置において、実施例1の操業条件で、さらに第1処理塔の気液接触筒3上部にバルブ37を開いて吸引管38より、1.2Nm3/hrの流量で窒素ガスを吸引して脱酸素水の製造を行ったところ、溶存酸素濃度が8.6mg/Lの処理原水より、同0.64
mg/Lの処理水を3m3/hrの流量で得ることができた。
【0040】
実施例4
図2の構成の脱酸素水の製造装置において、実施例1の操業条件で、さらに第1処理塔の水槽2上部にバルブ35を開いて吸引管36より、0.6Nm3/hrの流量で窒素ガスを吸引し、第1処理塔の気液接触筒3上部にバルブ37を開いて吸引管38より、0.6Nm3/hrの流量で窒素ガスを吸引して脱酸素水の製造を行ったところ、溶存酸素濃度が8.6mg/Lの処理原水よ
り、同0.63mg/Lの処理水を3m3/hrの流量で得ることができた。
【0041】
実施例5
実施例4の操業条件で、さらに、バルブ16を開いて第2処理塔20の気液接触筒22上部に循環導入管17より3m3/hrの流量で第1処理塔の処理水を導入して脱酸素水の製造を行ったところ、溶存酸素濃度が8.6mg/Lの処理原水より、同0.46mg/Lの処理水を3m3/hrの流量
で得ることができた。
【0042】
実施例6
実施例5の操業条件で、窒素ガスの導入量を半分の0.3Nm3/hrの流量で窒素ガスを導入して脱酸素水の製造を行ったところ、溶存酸素濃度が8.6mg/Lの処理原水より、同0.81mg
/Lの処理水を3m3/hrの流量で得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、実施例に明らかなように、静止型の気液接触筒と水槽を組合せ、水槽の処理水中に窒素ガスを拡散して気液接触を行う簡単な構成の装置であり、気液接触効率が向上することから装置の小型化が可能となるほか、気液分離時間を充分確保できるため処理水の需要が変動しても安定的な運転が可能であり、また、窒素ガスの消費量を低減することも可能であることから、脱酸素水製造装置の使用用途を大きく拡大することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 第1処理塔
2,21 水槽
3,22 気液接触筒
4,23 気液接触手段
5 自吸式散気装置
5a 軸部
5b 吹き出し口
5c 羽根
6 モーター
7 延長筒
10 水導入配管
11,14 ポンプ
12 配管
13 導入管
15 処理水配管
16 バルブ
17 循環導入管
20 第2処理塔
30 ガス導入管
31 頂部配管
32 外部配管
33 内部配管
34 頂部排気口
35,37 バルブ
36,38吸引管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽上部に上昇窒素ガスと落下水の向流接触を行う気液接触筒を接続した構成の処理塔を有し、処理原水を、処理塔の気液接触筒上部より導入落下させて同水槽内に貯水する水処理工程と、窒素ガスを、処理塔の水槽上部より導入して気液接触筒上部より導出し、これを前記水槽に設けられた自吸式散気装置により当該水槽の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程と、を有する脱酸素水の製造方法。
【請求項2】
水槽上部に上昇窒素ガスと落下水の向流接触を行う気液接触筒を接続した構成の処理塔を複数段有し、処理原水を、第1処理塔の気液接触筒上部より導入落下させて同水槽内に貯水し、これを次段処理塔の気液接触筒上部より導入して気液接触を繰り返す水処理工程と、窒素ガスを、最終段処理塔の水槽上部より導入して気液接触筒上部より導出し、これを上流段処理塔の水槽に設けられた自吸式散気装置により当該水槽の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程と、を有する脱酸素水の製造方法。
【請求項3】
水槽上部に上昇窒素ガスと落下水の向流接触を行う気液接触筒を接続した構成の処理塔を複数段有し、処理原水を、第1処理塔の気液接触筒上部より導入落下させて同水槽内に貯水し、これを次段処理塔の気液接触筒上部より導入して気液接触を繰り返す水処理工程と、窒素ガスを、最終段処理塔の水槽上部より導入して気液接触筒上部より導出するとともに上流段処理塔の水槽上部又は気液接触筒途中あるいはその両方からも吸引導出し、これを同上流段処理塔の水槽に設けられた自吸式散気装置により当該水槽の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程と、を有する脱酸素水の製造方法。
【請求項4】
水槽上部に上昇窒素ガスと落下水の向流接触を行う気液接触筒を接続した構成の処理塔を複数段有し、処理原水を、第1処理塔の気液接触筒上部より導入落下させて同水槽内に貯水し、これを次段処理塔の気液接触筒上部より導入するとともに自段の気液接触筒上部に再導入して気液接触を繰り返す水処理工程と、窒素ガスを、最終段処理塔の水槽上部より導入して気液接触筒上部より導出し、これを上流段処理塔の水槽に設けられた自吸式散気装置により当該水槽の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程と、を有する脱酸素水の製造方法。
【請求項5】
水槽上部に上昇窒素ガスと落下水の向流接触を行う気液接触筒を接続した構成の処理塔を複数段有し、処理原水を、第1処理塔の気液接触筒上部より導入落下させて同水槽内に貯水し、これを次段処理塔の気液接触筒上部より導入するとともに自段の気液接触筒上部に再導入して気液接触を繰り返す水処理工程と、窒素ガスを、最終段処理塔の水槽上部より導入して気液接触筒上部より導出するとともに上流段処理塔の水槽上部又は気液接触筒途中あるいはその両方からも吸引導出し、これを同上流段処理塔の水槽に設けられた自吸式散気装置により当該水槽の処理水内に拡散導入して気液接触を繰り返す窒素処理工程と、を有する脱酸素水の製造方法。
【請求項6】
処理塔の気液接触筒下端が水槽内の水に浸漬可能に延伸配置されている請求項1〜5のいずれかに記載の脱酸素水の製造方法。
【請求項7】
気液接触筒内に充填材を有する請求項1〜5のいずれかに記載の脱酸素水の製造方法。
【請求項8】
気液接触筒内に回転翼を有する請求項1〜5のいずれかに記載の脱酸素水の製造方法。
【請求項9】
気液接触筒内に通路部材を有する請求項1〜5のいずれかに記載の脱酸素水の製造方法。
【請求項10】
水槽上部に気液接触筒を接続した構成の処理塔からなり、処理塔の気液接触筒上部に窒素ガス排気管、処理原水導入配管と水槽からの処理水循環導入管を有し、処理塔水槽はその上部に窒素ガスの導入管と窒素ガスの処理水内への自吸式散気装置からなる拡散装置及び処理水導出手段とを備えた脱酸素水の製造装置。
【請求項11】
水槽上部に気液接触筒を接続した構成の複数の処理塔からなり、第1処理塔の気液接触筒上部に窒素ガス排気管、処理原水導入配管と第1処理塔の水槽からの処理水循環導入管を有し、第1処理塔の水槽は次段処理塔の気液接触筒上部より導出される窒素ガスの導入管と窒素ガスの処理水内への自吸式散気装置からなる拡散装置及び処理水導出手段を備え、処理筒が2以上の場合の中間段処理塔は第1処理塔と同じ構成を有し、最終段処理塔の気液接触筒上部には窒素ガス排気管と第1処理塔の水槽からの処理水循環導入管を有し、最終段処理塔の水槽には窒素ガス導入管と処理水導出手段を備えた脱酸素水の製造装置。
【請求項12】
処理塔の気液接触筒下端が水槽内の水に浸漬可能に延伸配置されている請求項11又は請求項12に記載の脱酸素水の製造装置。
【請求項13】
気液接触筒内に充填材を有する請求項11又は請求項12に記載の脱酸素水の製造装置。
【請求項14】
気液接触筒内に回転翼を有する請求項11又は請求項12に記載の脱酸素水の製造装置。
【請求項15】
気液接触筒内に通路部材を有する請求項11又は請求項12に記載の脱酸素水の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−106943(P2009−106943A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8945(P2009−8945)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【分割の表示】特願2003−333568(P2003−333568)の分割
【原出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願人】(593012181)東洋紡エンジニアリング株式会社 (20)
【Fターム(参考)】