説明

脳内用シャントガイド及び脳内用シャントシステム

【課題】 水頭症の治療のためにシャントガイドの内側に脳内シャントチューブを収納して脳室まで挿入する際に、シャントガイドの現在位置と脳室までの距離を確認して、安全かつ簡便に挿入できるようにする。
【解決手段】 脳内シャントチューブを内側に収納する内径の中空孔を有する筒状部分を含むようにシャントガイドが形成され、シャントガイドの筒状部分の先端側に、少なくとも1つの投光窓と、これから間隔をおいた少なくとも1つの受光窓とが設けられ、投光窓から光が投光され、受光窓から受光された光の強度を示す信号を処理してシャントガイドから脳室ないし脳室内脈絡叢までの距離を判定しモニタリングするための操作部が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳内用シャントガイド及び脳内用シャントシステムに関し、より詳細には、水頭症患者の治療として使用される脳内シャントチューブを安全かつ簡便に挿入するための脳内用シャントガイド及び脳内用シャントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水頭症は、静脈洞における体液吸収力低下により、脳室内で生じる体液(脳髄液)と静脈洞の脳髄液吸収とのバランスが崩れるため、脳室内に脳髄液が過剰に蓄積して脳室内容積が増加し、脳組織を萎縮させてしまう症状であり、老若男女を問わず起こり得る。頭蓋骨内で脳髄液が過剰に蓄積されるため、脳が圧縮され、頭痛、めまい、嘔吐のような症状が現れ、さらに進行すれば、脳そのものに損傷を起こす危険性もある。
【0003】
水頭症の治療として、現在では外科的治療が主流になっている。これは、脳室内に蓄積される過剰な脳髄液を脳頭蓋外に送り出すというもので、その手段の一つとして、脳室−腹腔内に脳髄液を送るバイパス手術がある。このバイパス手術には脳内用シャントが使用される。典型的な脳内用シャントは、図1(a)に示されるように、全体的に中空で柔軟性に富んだ細い流路をなすシャントチューブで形成されており、脳内シャントチューブ1、腹腔側シャントチューブ2、それらの中間に設けられた流量調整弁3、目詰まり防止用チャンバ4等を備える中間シャントチューブ5とからなる。脳内シャントチューブ1は、脳室内の脳髄液を脳頭蓋骨外まで送るための流路であり、先端部に髄液吸引口が形成され、脳髄液の吸収が容易かつスムーズに行われるようにされている。流量調整弁3、目詰まり防止用チャンバ4を通った髄液は、腹腔側シャントチューブ2を経て、腹腔内に放出される。脳室腹腔シャント手術を行う際に、頭部と腹部にシャント挿入用の穴を作る必要がある。頭部における頭蓋骨の穴は脳内シャントチューブ1を先端側から脳室まで挿入し流量調整弁3を配置するためであり、腹部における腹膜の穴は腹腔側シャントチューブを先端側から腹部の髄液排出部位まで挿入するためのものである。頭部と腹部との穴の間のシャントチューブの部分は中空の金属管内に挿通された状態で皮膚下の脂肪層中を通される。脳内シャントチューブ1、中間シャントチューブ5、腹腔側シャントチューブ2は一体的に形成することもできるが、挿入、設置の操作等の便宜上別体として形成して相互に接続し一体化する形態がとられる。
【0004】
図1(b)は脳内シャントチューブ1の配置状態を示しており、脳内シャントチューブ1の先端が脳室内に達している。このように脳内シャントチューブ1を脳室内に達するまで挿入するために、例えば、脳内シャントチューブ1内に棒状のシャントガイドを入れ、一体的に挿入した後に棒状のシャントガイドを抜き取る方法や、シャントガイドの抜き差しにより脳内シャントチューブ1を差し込むための溝を作り、その溝に沿って脳内シャントチューブ1を挿入する方法が用いられている。
【0005】
脳室内には繊維状の組織である脈絡叢があり、脳内シャントチューブ1の先端部が脈絡叢に近い位置に置かれると、脳内シャントチューブ1の先端部が早い段階で脈絡叢に絡む確率が高くなる。脳内シャントチューブ1が脈絡叢や脳組織で詰まった場合、実際的には脳内シャントチューブ1を交換せざるを得ないことになる。しかしながら、脳内シャントチューブ1は脳組織と接触しているため、再度交換を行うことは、さらに脳組織を破壊し、患者に高いリスクを負わせることにもなる。また、手術時に、脳組織、脳室膜が萎縮して硬化し、挿入される脳内シャントチューブ1の方向の脳室膜に対する進入角度が小さいと、脳室膜を貫通せず、脳内シャンチューブ1の先端部が脳室内に達しないという場合がある。このようなことから、シャント手術を行う上で、脳内シャントチューブ1の先端部を正確に脳室内の適切な位置に達するように挿入することが特に重要である。
【0006】
脳内シャントチューブの挿入の際に、手術前に撮影されたMRI、CT等の画像を見ながら、術者が脳内シャントチューブを脳内に進めることが従来行われており、術者の経験やコツに頼って行われるのが実状であった。この場合、脳内シャントチューブがどのような経路を辿って設置されたのか不明であるため、設置完了後の超音波CTやMRI画像の撮影をするまで、実際の脳室における脳内シャントチューブの先端部の位置はわからないものであった。
【0007】
脳内シャントチューブの先端部の到達経路を確認しながら挿入を行い、手術の安全性を高めることについて次の特許文献に開示されている。
【特許文献1】特開平6−277275号公報
【特許文献2】特開平1−146545号公報 特許文献1には、開口部を形成した末端部を有するシャントガイド内に、この末端部に当接する肩部を有する管状部材を位置させ、画像ファイバの先端が管状部材の末端部及びシャントの開口部を越えて突出するようにしてシャントガイドの先端を脳室内に設置し、術者が画像ファイバによって伝送された脳の画像をモニター上で見ながら、シャントの挿入を行えるようにすることが記載されている。
【0008】
このように画像ファイバを備えた装置で脳の画像を見ながらシャントの挿入を行う場合に、シャントガイドの先端が脳室に到達後、脳室内にあるシャントガイドの周辺の脳組織及び脈絡叢の間の距離関係は、モニター上の画像を見て判断することになり、距離関係が正確には把握できないということや、装置が高価であり、シャントガイドをディスポーザブル化することが困難であった。
【0009】
特許文献2には、シースに着脱自在にテレスコープを挿入し、テレスコープのチャンネルに超音波吸引装置のような処置具に挿通してシースを頭部に挿入し、脳内の血腫、腫傷等の傷害部分の治療の際に、リアルタイムで治療状況を観察できるようにした脳手術装置について記載されているが、これは脳内シャントチューブを脳内に挿入し設置するものではなく、また、術者は治療するためにシースを頭部に挿入する際に傷害部分からのシースの距離関係を正確に確認することができないものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の脳内用シャントにおいて、手術前に撮影されたMRI、CT等の画像を見ながら、術者が脳内シャントチューブの挿入するものでは、脳と脳内シャントチューブとのリアルタイムの関係を見るのではないため、脳内シャントチューブの正確な設置が必ずしもなされず、術者の経験、コツによるところが大きかった。また、画像ファイバを備えた装置で脳の画像を見ながらシャントの挿入を行う場合にも、脳室内にあるシャントガイドの周辺の脳組織及び脈絡叢の間の距離関係が正確に把握できるわけではなかった。脳内シャントチューブの先端部を正確に脳室内に達しなかった場合には、再度挿入し直したり、脳内シャントチューブが脈絡叢や脳組織で詰まるために交換する必要性が生じ得る。これを避けるために、脳内シャントチューブを挿入する際に、その現在位置と脳室までの距離情報を得ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前述の課題を解決すべくなしたものであり、本発明による脳内用シャントガイドは、脳室内の過剰髄液を排出するためのシャントチューブのうち脳内シャントチューブを収納して脳室内に挿入するためのシャントガイドであって、該シャントガイドは頭外から脳室内に達する長さを有し脳内シャントチューブを内側に収納する内径の中空孔を有するように形成された筒状部分を含み、該筒状部分の先端側端面及び/または先端部近傍の側面に、少なくとも1つの投光窓と、該少なくとも1つの投光窓から間隔をおいた少なくとも1つの受光窓とが設けられ、前記投光窓からは発光素子の光または発光素子から導光体で導かれた光が投光され、前記受光窓から受け入れられた光が直接または導光体を介して受光素子に受光され、前記投光窓から投光され周囲の媒質で散乱され受光窓から受け入れられ受光素子により検出された光の強度を示す信号を処理してシャントガイドから脳室及び/または脳室内脈絡叢までの距離を判定しモニタリングするための操作部が備えられるようにしたものである。
【0012】
前記脳内シャントチューブの先端が曲面状に閉塞されていて先端近傍の側面に開口が形成され、前記シャントガイドの先端が前記シャントチューブの先端の曲面形状と合わせた曲面形状になっていて、前記シャントガイドと内側に収納された前記脳内シャントチューブとを合わせたものの先端が全体として滑らかな一連の曲面形状にしてもよい。
【0013】
前記脳内シャントチューブの後方の部分の周囲に凸部が形成され、これに対応する前記シャントガイドの内面に周状に凹部が形成され、シャントガイドの挿入の際に脳内シャントチューブが後方にずれるのを防止するようにしてもよい。
【0014】
前記シャントガイドの筒状部分が縦軸方向の面で分割された複数の部分を合わせて構成され、前記脳内シャントチューブを収納したシャントガイドの先端部を脳室内の位置に挿入し設置した後に、シャントガイドの各部分を縦軸方向に除去できるようにしてもよい。
【0015】
前記シャントガイドの後端側に把持部が設けられるようにしてもよい。
【0016】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内の縦軸方向に、前記投光窓及び受光窓から前記操作部に向かう導光体及び/または配線が配設されるようにしてもよい。
【0017】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内に、前記シャントガイド先端側端面から後端側まで貫通する縦軸方向の孔が形成され、該縦軸方向の孔内に前記シャントガイドの先端側端面から突出及び後退可能な先端ニードルと前記シャントガイドの筒状部分の先端側端面から出没させるように操作するための先端ニードル用ワイヤとが配置されるようにしてもよい。
【0018】
また、本発明による脳内用シャントシステムは、脳室内の過剰髄液を排出するためのシャントチューブのうち脳内シャントチューブを収納して脳室内に挿入するためのシャントガイドと操作部とからなる脳内シャントシステムであって、前記シャントガイドは、
頭外から脳室内に達する長さを有し脳内シャントチューブを内側に収納する内径の中空孔を有するように形成された筒状部分を含み、該筒状部分の先端側端面及び/または先端部近傍の側面に、少なくとも1つの投光窓と、該少なくとも1つの投光窓から間隔をおいた少なくとも1つの受光窓とが設けられ、前記投光窓からは発光素子の光または発光素子から導光体で導かれた光が投光され、前記受光窓から受け入れられた光が直接または導光体を介して受光素子に受光され、前記投光窓から投光され周囲の媒質で散乱され受光窓から受け入れられ受光素子により検出された光の強度を示す信号を前記操作部に送出するように構成され、前記操作部は、前記シャントガイドから受け取った光の強度を示す信号を処理して前記シャントガイドから脳室及び/または脳室内脈絡叢までの距離を判定するための信号処理回路と、該信号処理回路により判定された脳内でのシャントガイドの距離をモニタリングするためのモニター部とを有するように構成されているものである。
【0019】
前記脳内シャントチューブの先端が曲面状に閉塞されていて先端近傍の側面に開口が形成され、前記シャントガイドの先端が前記シャントチューブの先端の曲面形状と合わせた曲面形状になっていて、前記シャントガイドと内側に収納された前記脳内シャントチューブとを合わせたものの先端が全体として滑らかな一連の曲面形状になるようにしてもよい。
【0020】
前記脳内シャントチューブの後方の部分の周囲に凸部が形成され、これに対応する前記シャントガイドの内面に周状に凹部が形成され、シャントガイドの挿入の際に脳内シャントチューブが後方にずれるのを防止するようにしてもよい。
【0021】
前記シャントガイドの筒状部分が縦軸方向の面で分割された複数の部分を合わせて構成され、前記脳内シャントチューブを収納したシャントガイドの先端部を脳室内の位置に挿入し設置した後に、シャントガイドの各部分を縦軸方向に除去できるようにしてもよい。
【0022】
前記シャントガイドの後端側に把持部が設けられるようにしてもよい。
【0023】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内の縦軸方向に、前記投光窓及び受光窓から前記操作部に向かう導光体及び/または配線が配設されるようにしてもよい。
【0024】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内に、前記シャントガイド先端側端面から後端側まで貫通する縦軸方向の孔が形成され、該縦軸方向の孔内に前記シャントガイドの先端側端面から突出及び後退可能な先端ニードルと前記シャントガイドの筒状部分の先端側端面から出没させるように操作するための先端ニードル用ワイヤとが配置されるようにしてもよい。
【0025】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内の縦軸方向に、前記シャントガイドの先端側端面から後端側に達する洗浄液を流通させるための液体供給路及び液体排出路が形成され、前記操作部において前記シャントガイドへの洗浄液の供給及び回収を行う流体系制御装置が備えられるようにしてもよい。
【0026】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内の縦軸方向に、前記シャントガイドの先端側端面から後端側に達するイメージ用光ファイバを設け、操作部において該イメージ用光ファイバにより伝送された画像をモニターできるようにしてもよい。
【0027】
前記イメージ用光ファイバとともに、さらに照明用光ファイバを併設し、画像取得のための照明光を供給できるようにしてもよい。
【0028】
前記シャントガイドと前記操作部とがコネクタにより取り外し可能に接合されていてもよい。
【0029】
また、本発明の脳内用シャントガイドは、脳室内の過剰髄液を排出するためのシャントチューブのうち脳内シャントチューブを収納して脳室内に挿入するためのシャントガイドであって、該シャントガイドは頭外から脳室内に達する長さを有し脳内シャントチューブを内側に収納する内径の中空孔を有するように形成された筒状部分を含み、該筒状部分の先端側端面及び/または先端部近傍の側面に、少なくとも1つの超音波発信素子と、該少なくとも1つの超音波発信源から間隔をおいた少なくとも1つの超音波受信素子とが設けられ、前記超音波発信素子から発せられた超音波が周囲の媒質で散乱された後超音波受信素子で受信されて生ずる信号を処理してシャントガイドから脳室及び/または脳室内脈絡叢までの距離を判定しモニタリングするための操作部が備えられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるシャントガイドは、内側に脳内シャントチューブを収納して脳室内に挿入するものであって、脳内シャントチューブが目標位置に達するまでに脳内シャントチューブに脳組織や脈絡叢が絡むことが避けられ、また、脳室までの距離、脳室内での脈絡叢までの距離を術中にモニターでリアルタイムに確認することができるので、シャントガイドの挿入を安全かつ確実に行うことができ、シャントガイドの再挿入、交換の必要性が格段に減ぜられ、患者の術後のQOL(Quality Of Life)の向上に寄与する。
【0031】
シャントガイドの先端から出没可能な先端ニードル用ワイヤを設けることにより、シャントガイドの先端が脳室内に入り込み易くすることができ、また、シャントガイドの先端に達するイメージ用光ファイバを併設してシャントガイド近傍の状況をモニターにより把握できるようにすることにより、シャントガイドの挿入及び脳内シャントチューブの設置がより確実に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明では、脳内シャントチューブを脳室内に挿入する術中に、リアルタイムにシャントチューブの位置と脳室までの距離及び脳室内におけるシャントチューブの先端部の位置を計測する。本発明では、この位置計測を行い脳内シャントチューブを脳室内に安全かつ正確に挿入するための方策として、脳内シャントチューブを筒状のシャントガイド内に入れて一体的に挿入する形態をとる。そのため、脳室内への挿入の際の脳内シャントチューブの位置はシャントガイドの位置でもある。
【実施例】
【0033】
図2(a)は本発明による脳内用シャントガイドを概観的に示している。シャントガイド10は筒状部分11と、その後端側に付設された把持部12とからなり、筒状部分11の内側の縦軸方向の孔内に脳内シャントチューブ1を収納して脳室内に挿入する際のガイドをなすとともに、脳内シャントチューブ1を設置するまで脳組織や脳室内組織に接触しないようにするものであり、その後端から内側に脳内シャントチューブ1が挿入された状態で示されている。把持部12はシャントガイド10が挿入されて筒状部分11の先端が脳室内に達した時に脳外にとどまる位置になるように十分にシャントガイド10の後端側に設けられる。
【0034】
シャントガイド10の筒状部分11の先端部側に投光窓13と受光窓14が形成され。投光窓13は距離計測のための光を放出する部分であり、この位置に発光素子を配置しシャントガイド10の筒状部分11の壁厚内に設けた配線に接続するか、発光素子をシャントガイド10の後端部側以降(把持部12を含む)に設けて投光窓13との間を光ファイバで導光するようにしてもよい。受光窓14は投光窓13から放出され脳内で散乱してきた光を受光する部分であり、この位置に受光素子を配置して壁厚内に設けられた配線に接続されるか、シャントガイド10の後端部以降に設けられた受光素子との間を光ファイバで導光するようにしてもよい。投光窓13及び受光窓14は、それぞれ少なくとも1つ以上設けられ、図2(a)ではシャントガイド10の筒状部分11の先端部側の側面位置に設けられているが、端面側に設けてもよい。
【0035】
シャントガイド10の壁厚内には、その縦方向に、洗浄用液体の流路や先端ニードル用ワイヤ18を通す孔が形成される。先端ニードル用ワイヤ18はシャントガイド10の先端部が脳室に達した際にシャントガイド10から先端ニードル用ワイヤ18を突出させ、脳室壁に突き刺すようにして、シャントガイド10の先端部を脳室内に入り易くするように操作するためのものである。
【0036】
シャントガイド10の後端部側に設けられた把持部12は術中に脳内シャントチューブ1が内側に収納された状態でシャントガイド10を把持するためのものであるが、発光素子、受光素子からの配線あるいは光ファイバがこの部分を貫通するようにして配設され、さらに洗浄用液体の流路が貫通するようにするようにしてもよい。配線または光ファイバ、洗浄用液体の流路はシャントガイド10に付設される操作部に結合される。操作部にはシャントガイド10の投光窓13に光を放出させるように発光素子に電源からの電流を供給し、受光窓14から受け入れた光を受光素子により電気信号に変換し、それにより光の強度を検出し、それに基づいて脳室壁までの距離、脈絡叢までの距離を判定し、モニターするための制御装置が備えられるとともに、洗浄用液体の供給及び排出を行う流体系装置が備えられる。
【0037】
シャントガイド10の筒状部分11の壁厚内には、さらにその縦軸方向に、先端側端面から後端側まで貫通する孔内にイメージ用光ファイバ(図示せず)を通してシャントガイド10の先端部近辺の状況を操作部側に付設されるモニターで見られるようにすることができる。この場合シャントガイド10の先端側での照明としては、投光窓13からの光を用いることができるが、別にイメージ用光ファイバのための光源としての照明用光ファイバを備えるようにしてもよい。
【0038】
脳内シャントチューブ1の先端部が脳室内の適切な箇所に設置された後に、シャントガイド10を取り去る必要があり、そのためシャントガイド10は分割型として形成する。図2(b)は、シャントガイド10を構成する2つの半片10A及び10Bと、脳内シャントチューブ1とを一体化する以前の状態を斜視図で示しているが、投光窓13、受光窓14、先端ニードル用ワイヤ18等は図示していない。脳内シャントチューブ1の先端は曲面状に閉塞されており、先端近傍の側面側に脳室内の髄液を通過させる多孔状の開口6が形成されている。シャントガイド10A及び10Bの先端も、後述するように、脳内シャンチューブ1の先端と合わせて全体的に曲面をなすような形状になっている。
【0039】
図2(c)は、シャントガイド10の半片10Aと10Bとを合わせてシャントガイド10とした時の先端側から見た図であり、内側の脳内シャントチューブ1は図示していない。半片10A及び10Bの筒状部分11を形成する部分は、円筒体を縦に割ったそれぞれの半分の形状であり、それぞれの縦方向の端面には、半片10Aと10Bとを合わせた時に保持するためのさね状の凸部及び対応する凹部が形成されている。さね状の凸部及び凹部は筒状部分11の全長にわたって形成され、一方の半片10Aを他方の半片10Bに対して縦軸方向に後退させられるようにする必要がある。シャントガイド10の半片10A及び10Bの側方端面のさね状凸部及び凹部の嵌め合い状態は、シャントガイド10を一体化するのに十分な程度で、かつ一方の半片10Aを、他方の半片10Bからずらして引き抜ける程度のものとすることが重要である。
【0040】
シャントガイド10の先端側端面には、洗浄用液体の排出口15、吸引口16や先端ニードルの通口17が設けられ、さらに、この端面にシャントガイド10の先端側端面に投光窓13、受光窓14を設けた場合として示してある。
【0041】
脳内シャントチューブ1を収納したシャントガイド10を脳室内の目標位置に設置した後に、シャントガイド10の各半片10A、10Bを逐次脳外に引き出して除去するが、一方の半片10Bを除去した状態が図2(d)に示される。シャントガイド10の筒状部11の内径と脳内シャントチューブ1の外径とはできるだけ近い大きさにして、シャントガイド10の設置後にシャントガイド10を引き抜くことができる程度の密着度にすることが重要である。
【0042】
図2(e)は、シャントガイド10の先端の部分及び後端の部分を拡大して断面で示している。脳内シャントチューブ1の先端側は曲面状に閉塞されていて、開口は先端近傍の側面にある。周囲のシャントガイド10の先端も脳内シャントチューブ1の先端に合わせた曲面状になっている。脳内シャントチューブ1とシャントガイド10とを合わせた先端の形状が全体として一連の滑らかな曲面形状になるようにすることにより、シャントガイド10の脳内への挿入が円滑になされ、脳組織に傷をつけることが防止される。また、脳内シャントチューブ1の内側は脳室内への設置後に髄液の流れる流路になるが、脳内への設置の際には、この流路の空間を埋める棒状部材20を挿入しておき、シャントガイド10、脳内シャントチューブ1、棒状部材20を一体的にして挿入することにより、脳内への設置後にシャントガイド10を引き抜く操作が容易になされる。
【0043】
脳内シャントチューブ1とシャントガイド10とを合わせた先端の形状が全体として一連の滑らかな曲面形状になるのは理想的であるが、実際には両者に若干の前後のずれが生じることが考えられる。ただし、脳内シャントチューブ1の方が先方側に若干出るようにずれるのは挿入の際に特に問題はないが、脳内シャントチューブ1の方が後方にずれると挿入の際に脳組織が引っかかるというような支障が生じ得るので好ましくない。そのため、脳内シャントチューブ1が後方にずれないようにするため、図2(e)に示されるように、脳内シャントチューブ1の後方の部分の外周に凸部7を形成し、対応するシャントガイド10の内周側に、凸部7が緩く嵌合する凹部19を形成し、凸部7の後部が凹部19の後部に当接するようにする。この凸部7及び凸部19は、シャントガイド10の挿入の際に脳内シャントチューブ1が後方にずれるのを防止するが、脳内シャントチューブ1の設置後にシャントガイド10を引き抜く際に支障にならない程度に低く形成し、凹部19の前方の部分は図示のように緩い傾斜面とするのがよい。
【0044】
シャントガイド10の筒状部分11の壁厚内には、投光窓13に連なる配線または光ファイバの通路、受光窓14に連なる配線または光ファイバの通路、先端ニードルとその操作用のワイヤ18の通路、洗浄用液体の供給路及び排出路、さらにはイメージ用光ファイバや照明用光ファイバが設けられるのであるが、限られた壁厚内にこれらの通路を設ける必要がある。
【0045】
シャントガイド10の内側に脳内シャントチューブ1を収納するための孔はシャントガイド10の外形と同軸である必要はなく、偏心していてもよい。図2(f)には、シャントガイド10の外形に対して内側の脳内シャントチューブ1の収納される孔が偏心している場合について、先端端面側から見た図を示している。図2(f)では、シャントガイド10の把持部、分割の境界面は省略している。内側の孔が偏心していて、壁厚が大きくなっている箇所に投光窓13、受光窓14や通路を配置することにより、設計上の余裕ができる。あるいは、図示しないが、シャントガイド10の外形を断面が円形でなく、楕円形とすることによっても、壁厚部の大きい部分が形成され、投光窓13、受光窓14や通路の設計上有利になる。
【0046】
また、シャントガイド10を分割型とする例として2分割型のものを例示したが、3分割型以上の形態とするようにしてもよい。
【0047】
シャントガイド10は、ディスポーザブルとするものでは、医療用で使用されるポリエチレン、シリコン等の樹脂で形成され、再使用型のものでは、手術用具に使用されるチタン、ステンレス等の金属で形成される。筒状部分11の外径は最大で5mm程度、シャントチューブを設置するための内径は3mm程度であり、長さは脳室まで届く距離として、20cm程度である。投光窓13及び受光窓14の寸法は0.1〜0.3mm程度とする。シャントガイド10を分割型とした場合の接合端面における凸部7及び凹部19による嵌め合いの機密性を高めるために、シャントガイド10構成部分の外周をDLC(ダイアモンド状カーボン)やマグネタイトのようなコーティング材で覆うのがよい。このようなコーティング材によりシャントガイド10の挿入の際に脳組織に対して滑りをよくすることができ、脳組織の損傷が抑えられる。
【0048】
シャントガイド10が脳内に挿入される状態で、投光窓13から放出された光が浸透対象物に当たり、光吸収散乱を受けた後受光窓14に達して受光される。その際、投光窓13と受光窓14との間の距離が大きければ、それだけ投光窓13から離れた位置で散乱されて受光窓14に達することになり、受光窓14に達する光としてみれば、光の浸透度、伝搬する深さが増すことになる。光の浸透度は、光源の波長及び浸透対象物の光吸収散乱特性に依存するが、一般的に投光窓13と受光窓14との間の距離の等倍程度と考えられている。実際の血液を使用した実験では、投光窓13・受光窓14間距離の3倍程度は伝搬していることが計測されている。投光窓13・受光窓14間距離を4mmとした場合、脳内での光の浸透する深さは4〜10mm程度になる。光の浸透する深さを大きくするには、投光窓13・受光窓14間距離を大きくする。シャントガイド10の先端面に投光窓13及び受光窓14を設ける場合には、シャントガイド10の径が限度になるが、シャントガイド10の先端部の側面に投光窓13及び受光窓14を設ければ、さらに投光窓13・受光窓14間距離を大きくできる。
【0049】
脳室と脳組織とでは、光の吸収・散乱特性が異なる。シャントガイド10の筒状部分11の先端部が頭部表面から脳室に向かって挿入されていく際に、光の浸透する深さの範囲内にあるのが脳組織だけの場合、脳組織と脳室との場合、脳室だけの場合では、対象物媒質内を伝搬して受光部に受光される光の強度が異なる。この受光される光の強度は投光窓13・受光窓14から脳室壁までの距離に応じて変化するものとなる。このことからすれば、シャントガイド10を脳内に挿入し始めてから、脳室壁に接近し、さらに脳室内に入る過程でのシャントガイド10における受光窓14からの受光強度をモニターすることにより、シャントガイド10から脳室壁までの距離、さらには脳室内での脈絡叢までの距離が計測できる。シャントガイド10の先端部に設ける投光窓13及び受光窓14は、少なくとも各1つあれば、この距離の計測が可能であるが、投光窓13及び受光窓14のいずれか、あるいは両方を複数設け、投光窓13・受光窓14間距離が異なるようにすることにより、異なる深度の光が受光されることになる。すなわち、間隔の異なる投光窓13−受光窓14の対を複数とすることにより、近距離用及び遠距離用として異なる深度の光の強度の応答が得られ、この異なる深度の光の強度の応答を総合して距離の判定を行い、距離の計測をより正確に行うことができる。
【0050】
計測された距離のモニターとしては、表示装置における数値により目視し易くするか、発音体により音ないし音声で告知する形をとれば、術中にそれほどモニターに気をそらすことがない。
【0051】
シャントガイド10は、内側に脳内シャントチューブ1を収納する縦軸方向の孔を有する筒状部分11と後端側に設けられた把持部12とから構成されており、洗浄液供給・排出のための流体系がなければ、シャントガイド10単体として構成し、投光窓13に光を供給する光源、受光窓14から受け入れた光を検出した信号を処理し距離を表示するための処理回路や電源等を把持部12や筒状部分11に収納する形にしてもよい。
【0052】
シャントガイド10に洗浄液の供給・排出のための流体系を備え、受光窓14から受け入れた信号の処理の結果をより詳細に表示するモニターを備え、さらにはイメージ用光ファイバを備えて脳室内の状況を画像でモニターできるようにするには、把持部12にこれらの要素を全て内蔵できないので、把持部12を通る配線を介して外部の操作部に結合することになる。その場合、外部の操作部とシャントガイド10とは電気的な接続、流体系の接続、光ファイバの接続等を行うコネクタ部において接続され、取り外すことができるようにする。このようにシャントガイド10と外部の操作部とをコネクタ部において接離可能にし、シャントガイド10と操作部とが脳内シャントシステムとして構成される。このようなシャントシステムにおいては、シャントガイド側には配線、光結合用の光ファイバ、洗浄液の流露以外の処理回路、電源等の要素を操作部側に備えることにより、シャントガイド10をディスポーザブルにし、あるいは再使用のために洗浄・消毒が容易にできるようになる。
【0053】
本発明による脳内用シャントガイドを用いて水頭症の治療を行う場合に、図2(b)に示される2分割型のシャントガイド10の2つの半片10Aと10Bとの間に脳内シャントチューブ1を挟む関係にして半片10Aと10Bとを合わせ、両者の側方端面のさね状凸部、凹部の嵌合により結合させる。その際、脳内シャントチューブ1の先端側と、周囲のシャントガイド10の先端とが、全体として一連の滑らかな曲面形状になるように位置を合わせる。
【0054】
また、シャントガイド10の筒状部分11の内径と脳内シャントチューブ1の外径とはできるだけ近い大きさにして、シャントガイド10の設置後にシャントガイド10を引き抜くことができる程度の密着度にし、シャントガイドの半片10A及び10Bの側方端面のさね状凸部及び凹部の嵌合い状態も、シャントガイド10を一体化するのに十分な程度で、かつ一方の半片10Aを、他方の半片10Bからずらして引き抜ける程度のものとしておくのが、設置及び取り外しの面から望ましい。
【0055】
このようにシャントガイド10の内側に脳内シャントチューブ1を収納した状態で、操作部側での距離計測用回路系や洗浄液供給排出の流体系を動作可能にして、シャントガイド10の先端側を頭部の傷から脳室に向けて挿入していく。脳内シャントチューブ1の先端側端面はシャントガイド10の先端側端面と一致した面内にあり、その間には実質的に隙間がなく、脳内シャントチューブ1の側面はシャントガイド10で全て覆われているため、シャントガイド10の脳室内への到達までに、脳内シャントチューブ1に脳組織や脈絡叢の部分が付着し、絡まることは避けられる。
【0056】
図3(a)はシャントガイド10先端が脳室に到達する前の状態、図3(b)は脳室内に到達した状態を示している。斜線部分は距離の計測領域である。術者は、操作部側のモニターによる表示、音声等により脳室からの距離、脳室内での脈絡叢からの距離を確認しながらシャントガイド10の挿入を行うことができる。また、シャントガイド10にイメージ用光ファイバを備えてものでは、距離の計測とともに、シャントガイド10先端近傍の脳内の状況がモニター画面により確認でき、より確実にシャントガイド10の挿入が行える。
【0057】
以上は、脳室から、あるいは脳室内の脈絡叢からのシャントガイド10の距離計測のために投光窓13から発せられた光を受光窓14から受け入れ、光の強度を検出するという手段を用いた脳内用シャントガイドについて説明したが、距離の計測のためには、光による手段のほかに、超音波による手段を用いることもできる。その場合には、シャントガイド10の筒状部分11の先端側端面または先端部近傍の側面に、間隔をおいて少なくとも1つ以上の超音波発信素子と少なくとも1つ以上の超音波受信素子とを配置し、それらの駆動用の配線、受信素子からの信号を伝送する配線、信号の処理回路等を備えるようにする。距離計測の原理は、光の検出の場合とほぼ同様になると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の脳内用シャントガイド及び脳内用シャントシステムは、前述したように、水頭症の治療のために、脳内シャントチューブを脳室内に安全にかつ簡便に挿入するものであるが、このような医療機器として使用されるほかに、家畜の水頭症の治療のために脳内シャントチューブを安全かつ簡便に挿入するものとして使用する獣医用機器としても同様に利用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(a)シャントチューブの構成を概略的に示す図である。
【0060】
(b)脳内シャントチューブの配置状態を示す図である。
【図2】(a)本発明による脳内用シャントガイド (b)シャントガイドを構成する2つの半片と、脳内シャントチューブとを一体化する以前の状態を示した斜視図である。
【0061】
(c)シャントガイドの一方の半片と他方の半片とを合わせてシャントガイドとした時の先端側から見た図である。
【0062】
(d)シャントガイドの一方の半片を脳外に引き出して除去した状態を示す図である。
【0063】
(e)シャントガイドと内側の脳内シャントチューブの先端及び後端側の部分を拡大して断面で示した図である。
【0064】
(f)シャントガイドの外形に対して内側の脳内シャントチューブの収納される孔が偏心している場合について先端端面側から見た図である。
【図3】(a)シャントガイドを挿入し先端部が脳室に達する以前の状態を示す図である。
【0065】
(b)シャントガイドを挿入し先端部が脳室内に達した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 脳内シャントチューブ
2 腹腔側シャントチューブ
3 流量調整弁
4 目詰まり防止用チャンバ
5 中間シャントチューブ
6 開口
7 凸部
10 シャントガイド
10A 半片
10B 半片
11 筒状部分
12 把持部
13 投光窓
14 受光窓
15 排出口
16 吸引口
17 通口
18 先端ニードル用ワイヤ
19 凹部
20 棒状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳室内の過剰髄液を排出するためのシャントチューブのうち脳内シャントチューブを収納して脳室内に挿入するためのシャントガイドであって、
該シャントガイドは頭外から脳室内に達する長さを有し脳内シャントチューブを内側に収納する内径の中空孔を有するように形成された筒状部分を含み、
該筒状部分の先端側端面及び/または先端部近傍の側面に、少なくとも1つの投光窓と、該少なくとも1つの投光窓から間隔をおいた少なくとも1つの受光窓とが設けられ、
前記投光窓からは発光素子の光または発光素子から導光体で導かれた光が投光され、
前記受光窓から受け入れられた光が直接または導光体を介して受光素子に受光され、
前記投光窓から投光され周囲の媒質で散乱され受光窓から受け入れられ受光素子により検出された光の強度を示す信号を処理してシャントガイドから脳室及び/または脳室内脈絡叢までの距離を判定しモニタリングするための操作部が備えられている
ことを特徴とする脳内用シャントガイド。
【請求項2】
前記シャントガイドの筒状部分が縦軸方向の面で分割された複数の部分を合わせて構成され、前記脳内シャントチューブを収納したシャントガイドの先端部を脳室内の位置に挿入し設置した後に、シャントガイドの各部分を逐次縦軸方向に除去できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の脳内用シャントガイド。
【請求項3】
前記脳内シャントチューブの先端が曲面状に閉塞されていて先端近傍の側面に開口が形成され、前記シャントガイドの先端が前記脳内シャントチューブの先端の曲面形状と合わせた曲面形状になっていて、前記シャントガイドと内側に収納された前記脳内シャントチューブとを合わせたものの先端が全体として滑らかな一連の曲面形状になることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の脳内用シャントガイド。
【請求項4】
前記脳内シャントチューブの後方の部分の周囲に凸部が形成され、これに対応する前記シャントガイドの内面に周状に凹部が形成され、シャントガイドの挿入の際に脳内シャントチューブが後方にずれるのを防止するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脳内用シャントガイド。
【請求項5】
前記シャントガイドの後端側に把持部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の脳内用シャントガイド。
【請求項6】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内の縦軸方向に、前記投光窓及び受光窓から前記操作部に向かう導光体及び/または配線が配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の脳内用シャントガイド。
【請求項7】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内に、前記シャントガイド先端側端面から後端側まで貫通する縦軸方向の孔が形成され、該縦軸方向の孔内に前記シャントガイドの先端側端面から突出及び後退可能な先端ニードルと前記シャントガイドの筒状部分の先端側端面から出没させるように操作するための先端ニードル用ワイヤとが配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の脳内用シャントガイド。
【請求項8】
脳室内の過剰髄液を排出するためのシャントチューブのうち脳内シャントチューブを収納して脳室内に挿入するためのシャントガイドと、外部の操作部とからなる脳内シャントシステムであって、
前記シャントガイドは、
頭外から脳室内に達する長さを有し脳内シャントチューブを内側に収納する内径の中空孔を有するように形成された筒状部分を含み、
該筒状部分の先端側端面及び/または先端部近傍の側面に、少なくとも1つの投光窓と、該少なくとも1つの投光窓から間隔をおいた少なくとも1つの受光窓とが設けられ、
前記投光窓からは発光素子の光または発光素子から導光体で導かれた光が投光され、
前記受光窓から受け入れられた光が直接または導光体を介して受光素子に受光され、
前記投光窓から投光され周囲の媒質で散乱され受光窓から受け入れられ受光素子により検出された光の強度を示す信号を前記操作部に送出する
ように構成され、
前記操作部は、
前記シャントガイドから受け取った光の強度を示す信号を処理して前記シャントガイドから脳室及び/または脳室内脈絡叢までの距離を判定するための信号処理回路と、該信号処理回路により判定された脳内でのシャントガイドの距離をモニタリングするためのモニター部とを有する
ように構成されていることを特徴とする脳内用シャントシステム。
【請求項9】
前記シャントガイドの筒状部分が縦軸方向の面で分割された複数の部分を合わせて構成され、前記脳内シャントチューブを収納したシャントガイドの先端部を脳室内の位置に挿入し設置した後に、シャントガイドの各部分を逐次縦軸方向に除去できるようにしたことを特徴とする請求項8に記載の脳内用シャントシステム。
【請求項10】
前記脳内シャントチューブの先端が曲面状に閉塞されていて先端近傍の側面に開口が形成され、前記シャントガイドの先端が前記脳内シャントチューブの先端の曲面形状と合わせた曲面形状になっていて、前記シャントガイドと内側に収納された前記脳内シャントチューブとを合わせたものの先端が全体として滑らかな一連の曲面形状になることを特徴とする請求項8または9のいずれかに記載の脳内用シャントシステム。
【請求項11】
前記脳内シャントチューブの後方の部分の周囲に凸部が形成され、これに対応する前記シャントガイドの内面に周状に凹部が形成され、シャントガイドの挿入の際に脳内シャントチューブが後方にずれるのを防止するようにしたことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の脳内用シャントシステム。
【請求項12】
前記シャントガイドの後端側に把持部が設けられていることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の脳内シャントシステム。
【請求項13】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内の縦軸方向に、前記投光窓及び受光窓から前記操作部に向かう導光体及び/または配線が配設されていることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の脳内用シャントシステム。
【請求項14】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内に、前記シャントガイド先端側端面から後端側まで貫通する縦軸方向の孔が形成され、該縦軸方向の孔内に前記シャントガイドの先端側端面から突出及び後退可能な先端ニードルと前記シャントガイドの筒状部分の先端側端面から出没させるように操作するための先端ニードル用ワイヤとが配置されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の脳内用シャントシステム。
【請求項15】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内の縦軸方向に、前記シャントガイドの先端側端面から後端側に達する洗浄液を流通させるための液体供給路及び液体排出路が形成され、前記操作部において前記シャントガイドへの洗浄液の供給及び回収を行う流体系制御装置が備えられていることを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の脳内用シャントシステム。
【請求項16】
前記シャントガイドの筒状部分の壁厚内の縦軸方向に、前記シャントガイドの先端側端面から後端側に達するイメージ用光ファイバを設け、操作部において該イメージ用光ファイバにより伝送された画像をモニターできるようにしたことを特徴とする請求項8〜15のいずれかに記載の脳内用シャントガイド。
【請求項17】
前記イメージ用光ファイバとともに、さらに照明用光ファイバを併設し、画像取得のための照明光を供給できるようにしたことを特徴とする請求項16に記載の脳内用シャントガイド。
【請求項18】
前記シャントガイドと前記操作部とがコネクタにより取り外し可能に接合されてなることを特徴とする請求項8〜17のいずれかに記載の脳内用シャントガイド。
【請求項19】
脳室内の過剰髄液を排出するためのシャントチューブのうち脳内シャントチューブを収納して脳室内に挿入するためのシャントガイドであって、
該シャントガイドは頭外から脳室内に達する長さを有し脳内シャントチューブを内側に収納する内径の中空孔を有するように形成された筒状部分を含み、
該筒状部分の先端側端面及び/または先端部近傍の側面に、少なくとも1つの超音波発信素子と、該少なくとも1つの超音波発信源から間隔をおいた少なくとも1つの超音波受信素子とが設けられ、
前記超音波発信素子から発せられた超音波が周囲の媒質で散乱された後超音波受信素子で受信されて生ずる信号を処理してシャントガイドから脳室及び/または脳室内脈絡叢までの距離を判定しモニタリングするための操作部が備えられている
ことを特徴とする脳内用シャントガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−105322(P2007−105322A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300796(P2005−300796)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】