脳卒中によって生じる血管新生の増強剤およびその使用
本発明は、患者において血管新生を刺激または増強する方法に関し、これは、前記患者に、治療有効量のエンドレペリンタンパク質を投与する工程(前記エンドレペリンタンパク質は、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログのアミノ酸配列を有する);および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。本発明は、血管新生を増強させるための組成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願は、現在は放棄されている、2008年12月31日に出願された、米国仮特許出願第60/204,064号の米国特許法第119(e)条下の優先権の利益を主張し、この出願のその全体が、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、脳卒中および血管新生の分野に関する。より具体的には、本発明は、脳卒中によって生じる血管新生の増強剤およびその使用に関する。
【0003】
関連技術分野の説明
脳卒中からの脳の回復は、患部への血液供給の回復(血管新生)およびニューロンの回復(神経新生)を含む複雑なシステムである。血管新生のために、内皮細胞の増殖が、早くも12〜24時間で起こり得る。その後、これらの新たに生成された細胞は、血管内皮細胞成長因子(VEGF)および血小板由来成長因子(PDGF)などの多くの内皮細胞マイトジェンに応答して虚血脳領域の方へと遊走し、そして3〜7日後には梗塞周辺皮質において新たな血管を形成する。その後、血管新生は、少なくとも21日間続く。重要なことには、げっ歯類において脳卒中後の血管新生を増加させる薬物であるナイアスパンは、脳卒中からの機能的な回復を改善し、このことは、脳卒中後の脳の血管新生の増強により、脳卒中の予後は改善され得ることを示唆する。さらに、脳の血管新生は、血液脳関門の形成、ニューロングリア環境への包埋、異なるマトリックスレセプター発現、および発生後の血管新生が比較的に難しいことを含む、脳の脈管構造の独特な特性に因り、脳以外の血管新生とは異なっている。
【0004】
Ohab et al. (1)は、げっ歯類において、脳卒中後に遊走する未成熟のニューロン(神経芽細胞)が、必然的に修復的な血管新生と神経新生とを連関させる「神経血管微小環境」において、再構築中の血管と会合することを実証した。新たに産生された脈管構造は種々の成長因子の産生によって神経新生を促進し、そしてこれは、新生ニューロンのための足場として作用し、梗塞組織の方へと新生ニューロンが遊走することを可能とするようである。ニューロンおよび内皮細胞の成熟に加えて、神経血管微小環境は、血管新生中に分泌されそして活発に再構築される細胞外マトリックス(ECM)を含み、この細胞外マトリックスは、細胞の遊走および血管の形態形成を可能にする。このような細胞外マトリックス成分の1つであるパールカンは、神経血管微小環境にとって必須である。マウスにおいて、パールカンの欠損により重度に神経新生が損なわれ、これは、神経新生の支持のためにパールカンが提供する、神経新生性因子の捕捉がなされない事に因る。
【0005】
脳卒中の最中および脳卒中後のマトリックス再構築は、損傷および修復後の脳修復の重要な部分であり、このことはさらに、パールカンの重要性を指摘する。脳卒中においては、死に行く炎症細胞および浸潤性の炎症細胞が、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を放出し、これは、血液脳関門を撹乱しそして細胞外マトリックスをタンパク質分解的にプロセシングする。細胞外マトリックスの初期のプロセシングおよび分解が、主たる脳卒中の悪影響として考えられるが、マトリックスタンパク質分解の1つの影響は、生物活性なマトリックスフラグメントの生成である。実際に、多くのマトリックス成分が、そのC末端領域において生物活性なマトリックスフラグメントを有し、これは、中枢神経系以外では血管新生を阻害し得ることが知られている(2−3)。パールカンは、脳卒中後に最も感受性が高くそして急速にプロセシングされるマトリックス成分であるという特徴を有する。パールカンのタンパク質分解は、非ヒト霊長類において中大脳動脈の閉塞から2時間以内に起こり、そして少なくとも7日間持続する。
【0006】
パールカンは、5つのドメインから構成され、その各々が、他のタンパク質に対する配列相同性を有する。ドメインV(DVまたはエンドレペリン)として知られるパールカンのC末端フラグメントは、3つのラミニン球状(LG)ドメインからなり、これは各々が2つの上皮成長因子(EG)様ドメインによって隔てられている。ドメインVおよびそのLG3フラグメントは、通常、ヒトの尿、血液および脳脊髄液プロテオームに見られる。ドメインVは、α2β1インテグリンのα2サブユニットに結合することによって、遊走および毛細血管の形態形成を含む、脳以外の内皮細胞のいくつかの血管新生機能を阻害する。ドメインVとα2β1との相互作用は、血管新生促進性のコラーゲンとα2β1との相互作用とは異なり、逆の結果をもたらすようである。ドメインVは、脳以外の起源のいくつかの内皮細胞型においては、抗血管新生性として特徴付けられている(4−5)。
【0007】
これにも関わらず、先行技術では、血管新生増強剤が、不十分である。本発明は、当技術分野におけるこの昔から現存する必要性を充足する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ドメインVが、脳の血管新生、および神経血管微小環境における内皮細胞とニューロンとの間の相互作用を増強することを示す。ドメインVは、α5β1インテグリンと相互作用し、α5β1インテグリンの細胞内分布に影響を及ぼし、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮する。これらの観察は、ドメインVと抗血管新生性のα2β1インテグリンの脳内皮細胞発現の欠如と一致し、そして、脳の血管新生は、脳以外の血管新生とは異なって調節され得るという概念と一致する。それ故、本発明は、パールカンの増加しかつ持続したタンパク質分解によって脳卒中後に生成したドメインVが、脳卒中後の血管新生を刺激し、脳卒中後の神経新生および定方向の神経芽細胞の遊走に必要な神経血管微小環境の形成を育成し、そしてその結果として前記ドメインVが、脳の自己修復機序の一成分であり、治療的に活用することができ、脳卒中からの回復を改善することを示す。
【0009】
本発明の1つの態様において、患者における血管新生を刺激または増強する方法が提供され、これは、前記患者に、治療有効量のエンドレペリンタンパク質を投与する工程、ここで前記エンドレペリンタンパク質は、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログのアミノ酸配列を有する;および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。
【0010】
本発明の別の関連した態様において、患者における血管新生を刺激または増強する方法が提供され、これは、前記患者に、治療有効量のエンドスタチンタンパク質、またはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを投与する工程;および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。
【0011】
本発明の別の態様において、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。
【0012】
本発明の別の態様において、エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物の方法が提供される。
【0013】
添付の図面は、前記に列挙した本発明の特徴、利点および目的が明瞭となるように、そして詳細に理解できるようにするために本明細書に含まれている。これらの図面は明細書の一部を形成する。しかしながら、添付の図面は本発明の好ましい態様を説明するものであり、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではないことを注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1A〜1Bは、脳卒中が、脳内ドメインVレベルの増加を引き起こすことを示す。Harlan Sprague Dawleyラットに、エンドセリン−1の定位的注入を行ない、中大脳動脈(MCAo)を閉塞させた。ラットに、ケタミンおよびキシラジンを用いて麻酔をかけ、そして頭蓋を曝した後、十字縫合に対して前方+0.9mm、外側に+3.4mm、そして硬膜表面から8.5mmの深さの定位座標で左に小さな穴をドリルで開けた後、3mlのエンドセリン−1(1mg/ml、American Peptide Company, CA)を注入した。図1A:脳卒中から7日後の同じ単一ラットからの脳卒中を起こした(2)および脳卒中を起こしていない(1)大脳半球に由来するドメインVおよびGAPDH(ローディングする対照)についての代表的なウェスタンブロット。脳卒中を起こした大脳半球は、GAPDHに対して正規化しそして図1Bの(DVが示されている)吸光度測定法を介して分析したところ、脳卒中を起こしていない半球よりも、多くの(p<0.0001)ドメインV(85kDaバンド)およびそのLG3(26kDaバンド)成分(p<0.001)を含んでいた。
【図1B】図1A〜1Bは、脳卒中が、脳内ドメインVレベルの増加を引き起こすことを示す。Harlan Sprague Dawleyラットに、エンドセリン−1の定位的注入を行ない、中大脳動脈(MCAo)を閉塞させた。ラットに、ケタミンおよびキシラジンを用いて麻酔をかけ、そして頭蓋を曝した後、十字縫合に対して前方+0.9mm、外側に+3.4mm、そして硬膜表面から8.5mmの深さの定位座標で左に小さな穴をドリルで開けた後、3mlのエンドセリン−1(1mg/ml、American Peptide Company, CA)を注入した。図1A:脳卒中から7日後の同じ単一ラットからの脳卒中を起こした(2)および脳卒中を起こしていない(1)大脳半球に由来するドメインVおよびGAPDH(ローディングする対照)についての代表的なウェスタンブロット。脳卒中を起こした大脳半球は、GAPDHに対して正規化しそして図1Bの(DVが示されている)吸光度測定法を介して分析したところ、脳卒中を起こしていない半球よりも、多くの(p<0.0001)ドメインV(85kDaバンド)およびそのLG3(26kDaバンド)成分(p<0.001)を含んでいた。
【図2A】図2A〜2Bは、ドメインVが、脳内皮細胞毛細血管の形成を増強することを示す。図2A:細胞インキュベーター(NuAire, Plymouth, MN)中の、10%ウシ胎児血清、ヘパリン10mg/ml、および酸性FGF50ng/mlを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で慣用的に増殖および継代したラット脳内皮細胞(8)を、30分間かけて、マトリゲルでコーティングしたウェル(ドメインV±機能遮断a5b1抗体(10mg/ml)とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)に加えた。図2B:9時間後、ドメインVで処置した細胞は、対照よりも多くの(**p<0.0001)細管を形成し、これは次いで、抗a5b1抗体によって有意に遮断された(*p<0.001、DVによる処置と比較)。エラーバー=標準偏差、n=3回の実験、HPF=高倍率視野。
【図2B】図2A〜2Bは、ドメインVが、脳内皮細胞毛細血管の形成を増強することを示す。図2A:細胞インキュベーター(NuAire, Plymouth, MN)中の、10%ウシ胎児血清、ヘパリン10mg/ml、および酸性FGF50ng/mlを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で慣用的に増殖および継代したラット脳内皮細胞(8)を、30分間かけて、マトリゲルでコーティングしたウェル(ドメインV±機能遮断a5b1抗体(10mg/ml)とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)に加えた。図2B:9時間後、ドメインVで処置した細胞は、対照よりも多くの(**p<0.0001)細管を形成し、これは次いで、抗a5b1抗体によって有意に遮断された(*p<0.001、DVによる処置と比較)。エラーバー=標準偏差、n=3回の実験、HPF=高倍率視野。
【図3】図3は、ドメインVが、脳内皮細胞毛細血管の形成およびニューロンとの相互作用を刺激することを示す。ラット脳内皮細胞(赤色、抗フォン・ヴィルブランド因子抗体を用いて染色、Dako)を、小脳顆粒ニューロン(緑色、抗TUJ1抗体を用いて染色、Dako)の層に加え、そしてその後、ドメインV(300nM)またはビヒクル対照で処置した。対照においては、内皮細胞は、ニューロンから離れて、別個の島を形成するが、一方、ドメインVによる処置は、ニューロン付近に毛細血管を形成した。
【図4】図4は、ドメインVが、α5β1インテグリンの再分布を引き起こすことを示す。ラミニン上の脳内皮細胞を、ドメインV(300nM)またはビヒクル対照を用いて2時間かけて処置した。その後、細胞を固定し、そしてα5β1インテグリン(緑色)およびDAPI核対比染色(青色)について免疫染色し、そして共焦点顕微鏡によって可視化した。ドメインVによる処置により、血管新生内皮細胞において一般的に見られる細胞表面突起へのα5β1の再分布がもたらされた。
【図5】図5は、ドメインVが、脳内皮細胞の接着を支持することを示す。脳内皮細胞(α5β1機能遮断抗体とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)を、1%BSAまたはドメインVでコーティングしたウェルに加え、その後、固定し、染色し、そしてOD560での分光測定を行なった。有意により多い(#、p<0.001)脳内皮細胞が、BSAよりもドメインVに接着し、これは次いで、a5b1機能遮断抗体の添加によって有意に(*、p<0.001)阻害された。n=3。エラーバー=標準偏差。
【図6A】図6A〜6Bは、周産期の動脈性虚血性脳卒中(PAS)後のドメインVによる処置により、脳の表面および脳卒中の境界域の脈管構造が増加することを示す。7日齢のラットにおいて一過性の中大脳動脈閉塞を、エンドセリン−1の定位的注入を介して誘導した。その後、動物は、脳卒中から24時間後および72時間後に、0.5mg/kgの滅菌ろ過したドメインVまたはPBSビヒクル対照の腹腔内注入を受けた。脳卒中から5日後に、動物の脳を取り出し、そして脳卒中を起こした脳表面の脈管構造を画像撮影し、その後、凍結組織切片のフォン・ヴィルブランドによる免疫組織化学を行なって、境界域の脈管構造を分析した。ドメインVによる処置により、脳表面の血管過多、および脳卒中の境界域の脈管構造の有意な(p<0.001)増加がもたらされた。
【図6B】図6A〜6Bは、周産期の動脈性虚血性脳卒中(PAS)後のドメインVによる処置により、脳の表面および脳卒中の境界域の脈管構造が増加することを示す。7日齢のラットにおいて一過性の中大脳動脈閉塞を、エンドセリン−1の定位的注入を介して誘導した。その後、動物は、脳卒中から24時間後および72時間後に、0.5mg/kgの滅菌ろ過したドメインVまたはPBSビヒクル対照の腹腔内注入を受けた。脳卒中から5日後に、動物の脳を取り出し、そして脳卒中を起こした脳表面の脈管構造を画像撮影し、その後、凍結組織切片のフォン・ヴィルブランドによる免疫組織化学を行なって、境界域の脈管構造を分析した。ドメインVによる処置により、脳表面の血管過多、および脳卒中の境界域の脈管構造の有意な(p<0.001)増加がもたらされた。
【図7】図7は、投与したドメインVが、免疫組織化学によって脳卒中および梗塞周辺組織に局在することを示す。ドメインVまたはPBSビヒクル対照で処置した脳卒中を起こした動物由来の凍結組織切片を、フォン・ヴィルブランド因子およびHISエピトープに対して向けられた抗体を用いた免疫組織化学を介して処理して、それぞれ血管および投与したドメインVを可視化した。脳卒中を起こした組織および脳卒中の梗塞周辺の脳組織において、ドメインVが豊富であった。ここでドメインVは、血管周囲の分布域に蓄積した。これに対し、ドメインVは、同じドメインVで処置した動物の対応する脳卒中を起こしていない反対側の脳組織には全く検出されず、このことは、ドメインVが、脳卒中を起こした組織および梗塞周辺の脳組織へと特異的に向かうことを示唆する。
【図8】図8は、投与したドメインVが、ウェスタンイムノブロットによって脳卒中の脳組織に局在することを示す。PBSまたはドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした同側(I)の脳組織または対応する反対側(C)の脳卒中を起こしていない組織の溶解液を、ドメインVに対する抗体(内因性および投与したDVを検出する)、HISに対する抗体(投与したドメインVのみを検出する)およびGAPDHタンパク質ローディング対照に対する抗体を用いてのウェスタンブロットによって分析した。85kDaのバンドが抗ドメインVおよび抗HISについて示されている。PBS(p<0.001)およびドメインV(p<0.00001)で処置した動物の両方において(後者の方が、外的に投与したドメインVに因りさらにより多くのドメインVが検出された)、GAPDHローディング対照に対して正規化した場合、反対側の組織と比較して脳卒中を起こした組織において、有意により多くのドメインVが検出された。抗HIS抗体によって検出される投与したドメインVは、ドメインVで処置された動物の脳卒中を起こした皮質に由来する溶解液中にのみ検出することができた。
【図9A】図9A〜9Bは、ドメインVによる処置により、梗塞周辺脳組織において新生ニューロンの数が増加することを示す。図9A:凍結組織切片を、新生ニューロンのマーカーであるダブルコルチンについて免疫染色し、そしてPBSおよびドメインVで処置した動物の梗塞周辺脳組織における1つの高倍率視野(HPF、1匹の動物あたり20画像)あたりのダブルコルチン陽性なピクセルの平均%を、Adobe Photoshopを用いて定量した。有意により多くのダブルコルチンのピクセルを、ドメインVで処置された動物において検出した(*=p<0.0001)。図9B:抗HIS抗体(赤色)を用いて検出される密接に会合した投与ドメインVを有する、梗塞周辺血管と密接に会合したいくつかの異なるダブルコルチン(緑色)陽性ニューロンを示すドメインV処置動物の免疫組織化学。細胞核を、DAPI(青色)を用いて対比染色する。
【図9B】図9A〜9Bは、ドメインVによる処置により、梗塞周辺脳組織において新生ニューロンの数が増加することを示す。図9A:凍結組織切片を、新生ニューロンのマーカーであるダブルコルチンについて免疫染色し、そしてPBSおよびドメインVで処置した動物の梗塞周辺脳組織における1つの高倍率視野(HPF、1匹の動物あたり20画像)あたりのダブルコルチン陽性なピクセルの平均%を、Adobe Photoshopを用いて定量した。有意により多くのダブルコルチンのピクセルを、ドメインVで処置された動物において検出した(*=p<0.0001)。図9B:抗HIS抗体(赤色)を用いて検出される密接に会合した投与ドメインVを有する、梗塞周辺血管と密接に会合したいくつかの異なるダブルコルチン(緑色)陽性ニューロンを示すドメインV処置動物の免疫組織化学。細胞核を、DAPI(青色)を用いて対比染色する。
【図10】図10は、ドメインVが、皮質ニューロンの遊走を増強することを示す。胎生15日齢のC57Bl6マウスの皮質ニューロン(100nMまたは200nMのドメインVとの30分間のプレインキュベーションを含むまたは含まない)を、改変ボイデンチャンバーの上のウェル(3×103個/ウェル)に加え、そしてI型コラーゲンでコーティングされたポリカーボネート膜を横切って8時間かけて(37℃で)、何も含まないか(遊走対照)または神経成長因子(NGF、1ウェルあたり4nM)を含む下のウェルに向けて遊走させた。各々の条件についてN=3。ドメインVのプレインキュベーションは、有意にそして用量依存的に、皮質ニューロンの遊走を増強させ、このことは、前記ドメインVが、ニューロンに対して直接的で潜在的な治療効果を有し得ることを示唆する。*=p<0.001、**=p<0.0001。バーは標準誤差である。
【図11】図11は、ドメインVが、エンドセリン−1動物脳卒中モデルにおいて機能的/運動的予後を改善することを示す。脳卒中を起こした動物または偽の手術対照を、直径20cm×高さ35cmの透明な円柱に3分間入れて、肢の優先性およびいずれかの前肢で体重を支えるその能力を試験した(6)。動物が後足で立ち、環境を探索するようになると、両足の着地の回数、病変と同側(右)の足の着地の回数、および病変とは反対側(左)の足の着地の回数を計測する。足の接触をビデオテープに撮り、そして後で分析した。同側の肢の使用率を、同側接触/(同側の接触+反対側の接触)×100の式を使用して計算した。1つの処置群あたりN=5匹、*p<0.05、**p<0.001、脳卒中を起こしたドメインVで処置したものと、脳卒中を起こしたPBSで処置したものとを比較。脳卒中後の3日目以降から、偽の対照とドメインVで処置した脳卒中を起こした動物との間の統計学的な差異はなかった。ドメインVで処置した動物を、脳卒中後の1、3、5、7日目に0.5mg/kgで処置した。
【図12A】図12A〜12Bは、BDNFに対するドメインVの効果を示す。図12A:24時間の経過におよぶ、脳内皮細胞+/−ドメインV+/−α5β1抗体(α5リガンド結合ドメインに対して作られた)+/−SNAKA51(α5β1活性化抗体)に由来する馴化培地のBDNFのELISA。これは、ドメインV(**p=0.0025)、α5β1抗体(*p=0.0001)およびSNAKA51(#p=0.0007)全てにより、BDNFレベルが有意に増加することを実証する。α5β1抗体およびドメインVの同時添加により基線のBDNF放出レベルが得られ、一方、SNAKA51およびドメインVにより、BDNFレベルがさらに増加するが、この増加は統計学的に有意ではなかった(p=0.06)。図12B:脳卒中後3日目および7日目におけるPBSビヒクル対照またはドメインVで処置した動物における、同側脳卒中脳組織の代表的なBDNFウェスタンブロット。図12C:PBS処置動物の対応する日と比較した場合の、ドメインV処置による脳卒中後3日目および7日目における脳卒中後のBDNFレベルの有意な増加(*p=0.006、**p=0.0001)を実証する、BDNFウェスタンブロットの定量、3回の別々のウェスタンブロットからの平均値±標準誤差が示されている。
【図12B】図12A〜12Bは、BDNFに対するドメインVの効果を示す。図12A:24時間の経過におよぶ、脳内皮細胞+/−ドメインV+/−α5β1抗体(α5リガンド結合ドメインに対して作られた)+/−SNAKA51(α5β1活性化抗体)に由来する馴化培地のBDNFのELISA。これは、ドメインV(**p=0.0025)、α5β1抗体(*p=0.0001)およびSNAKA51(#p=0.0007)が全てにより、BDNFレベルが有意に増加することを実証する。α5β1抗体およびドメインVの同時添加により基線のBDNF放出レベルが得られ、一方、SNAKA51およびドメインVにより、BDNFレベルがさらに増加するが、この増加は統計学的に有意ではなかった(p=0.06)。図12B:脳卒中後3日目および7日目におけるPBSビヒクル対照またはドメインVで処置した動物における、同側脳卒中脳組織の代表的なBDNFウェスタンブロット。図12C:PBS処置動物の対応する日と比較した場合の、ドメインV処置による脳卒中後3日目および7日目における脳卒中後のBDNFレベルの有意な増加(*p=0.006、**p=0.0001)を実証する、BDNFウェスタンブロットの定量、3回の別々のウェスタンブロットからの平均値±標準誤差が示されている。
【図12C】図12A〜12Bは、BDNFに対するドメインVの効果を示す。図12A:24時間の経過におよぶ、脳内皮細胞+/−ドメインV+/−α5β1抗体(α5リガンド結合ドメインに対して作られた)+/−SNAKA51(α5β1活性化抗体)に由来する馴化培地のBDNFのELISA。これは、ドメインV(**p=0.0025)、α5β1抗体(*p=0.0001)およびSNAKA51(#p=0.0007)が全てにより、BDNFレベルが有意に増加することを実証する。α5β1抗体およびドメインVの同時添加により基線のBDNF放出レベルが得られ、一方、SNAKA51およびドメインVにより、BDNFレベルがさらに増加するが、この増加は統計学的に有意ではなかった(p=0.06)。図12B:脳卒中後3日目および7日目におけるPBSビヒクル対照またはドメインVで処置した動物における、同側脳卒中脳組織の代表的なBDNFウェスタンブロット。図12C:PBS処置動物の対応する日と比較した場合の、ドメインV処置による脳卒中後3日目および7日目における脳卒中後のBDNFレベルの有意な増加(*p=0.006、**p=0.0001)を実証する、BDNFウェスタンブロットの定量、3回の別々のウェスタンブロットからの平均値±標準誤差が示されている。
【図13A】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13B】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13C】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13D】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13E】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13F】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13G】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13H】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図14A】図14A〜14Bは、C57細胞におけるDVの細胞増殖活性に対するα2β1の効果を示す。図14A:細胞培地対照と比較したところ、DVにより、マウス脳内皮細胞の増殖が増加し、これは、VEGF中和抗体またはα5β1インテグリン機能遮断抗体の添加によって遮断され得る。図14B:細胞にα2β1インテグリンを添加すると、細胞の増殖は、増加するよりもむしろ抑制される。バーは、平均値+/−標準偏差である(図14B)。**p<0.01。##p<0.01。
【図14B】図14A〜14Bは、C57細胞におけるDVの細胞増殖活性に対するα2β1の効果を示す。図14A:細胞培地対照と比較したところ、DVにより、マウス脳内皮細胞の増殖が増加し、これは、VEGF中和抗体またはα5β1インテグリン機能遮断抗体の添加によって遮断され得る。図14B:細胞にα2β1インテグリンを添加すると、細胞の増殖は、増加させるよりもむしろ抑制される。バーは、平均値+/−標準偏差である(図14B)。**p<0.01。##p<0.01。
【図15A】図15A〜15Bは、Balb/c(図15A)およびC57Bl6(図15B)系のマウスにおける血管間空間に対するDVの効果を示す。図15A:DVの非存在下(0時間の対照)および存在下(8時間および24時間)において測定した、BALB/c系における[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースのR組織値。[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースの両方についての3つの実験群間の差異は、領域中の差異の影響を可能とさせた後に偶然に期待されるであろうものよりも大きくない(*P>0.05;2要因の分散分析)。各々の群についてn=4。平均値±SEM。図15B:C57Bl6系におけるDVの非存在下(0時間の対照)および存在下(2時間)において測定した、[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースのR組織値。[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースの両方についての実験群間の差異は、領域中の差異の影響を可能とさせた後に偶然に期待されるであろうものよりも大きくない(*P>0.05;2要因の分散分析)。各々の群についてn=5。平均値±SEM。
【図15B】図15A〜15Bは、Balb/c(図15A)およびC57Bl6(図15B)系のマウスにおける血管間空間に対するDVの効果を示す。図15A:DVの非存在下(0時間の対照)および存在下(8時間および24時間)において測定した、BALB/c系における[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースのR組織値。[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースの両方についての3つの実験群間の差異は、領域中の差異の影響を可能とさせた後に偶然に期待されるであろうものよりも大きくない(*P>0.05;2要因の分散分析)。各々の群についてn=4。平均値±SEM。図15B:C57Bl6系におけるDVの非存在下(0時間の対照)および存在下(2時間)において測定した、[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースのR組織値。[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースの両方についての実験群間の差異は、領域中の差異の影響を可能とさせた後に偶然に期待されるであろうものよりも大きくない(*P>0.05;2要因の分散分析)。各々の群についてn=5。平均値±SEM。[発明の詳細な説明]
【0015】
特許請求の範囲および/または明細書中の「含む」という用語と共に使用されている場合の「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語の使用は、「1つの
(one)」を意味し得るが、しかしそれはまた「1つ以上」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは1つより多くの」の意味とも一致する。本発明のいくつかの態様は、本発明の1つ以上の要素、方法の工程、および/または方法からなり得るか、または本質的にそれからなり得る。本明細書に記載した任意の方法または組成物を、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物に対して実行することができると考えられる。
【0016】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢の一方のみを指すかまたは選択肢は互いに排他的であると特記されていない限り、開示物が、選択肢の一方のみおよび「および/または」を指す定義を支持していても、「および/または」を意味するために使用される。
【0017】
本発明は、患者における血管新生を刺激または増強する方法を提供し、これは、前記患者に、治療有効量のエンドレペリンタンパク質を投与する工程(前記エンドレペリンタンパク質は、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログのアミノ酸配列を有する);および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。好ましくは、パールカンのドメインVのフラグメントは、パールカンのドメインVに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を有する。パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを、当業者によって容易に決定できるような任意の有用な方法によって投与し得る。さらに、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを、患者の体重あたり約0.1mg/kgから約10mg/kgの量で投与し得る。典型的には、投与により、ニューロン内の脳内皮細胞毛細血管形成、および/または脳内皮細胞中の血管新生促進性α5β1インテグリンの発現増加が起こる。
【0018】
本発明はまた、患者における血管新生を刺激または増強する方法を提供し、前記患者に、治療有効量のエンドスタチンタンパク質、またはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを投与する工程;および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。好ましくは、エンドスタチンのフラグメントは、エンドスタチンに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を有する。一般的に、当業者は、有用なフラグメントまたは誘導体を容易に誘導することができるだろう。エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを、当業者によって容易に決定できるような任意の有用な方法によって投与し得る。一般的に、エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを、患者の体重あたり約0.1mg/kgから約10mg/kgの量で投与し得る。投与により、ニューロン内の脳内皮細胞毛細血管形成が起こる。
【0019】
本発明はまた、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン化合物、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物も提供する。
【0020】
本発明はまた、エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン化合物、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明はまた、エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0022】
本明細書において開示した組成物を、単独でまたは別の薬物もしくは化合物と組み合わせてのいずれかで投与し得る。このような薬物または化合物を、本明細書において開示した組成物と同時にまたは連続的に投与し得る。組成物との共投与の効果は、処置される疾病に対して少なくとも最小限の薬理学的または治療的な効果を及ぼすことが知られる、通常必要とされる薬物または化合物の用量を下げることである。
【0023】
本明細書において記載した組成物および薬物または化合物を、独立して、全身的にまたは局所的にのいずれかで、当技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、皮下、静脈内、非経口、腹腔内、皮内、筋肉内、局所的、腸内、直腸内、鼻腔内、頬側内、膣内、または吸入スプレーによって、薬物ポンプによって、または経皮パッチもしくはインプラント内に含ませて投与し得る。本明細書に記載した組成物の投与製剤は、投与法に適した従来の無毒性で生理学的にまたは薬学的に許容可能な担体もしくはビヒクルを含み得る。
【0024】
本明細書において記載した組成物および薬物または化合物を、独立的に1回以上投与し、治療効果を達成、維持または改善してもよい。用量を決定すること、あるいは組成物および薬物もしくは化合物のいずれかまたは両方の適切な投与量が、単回投与量または複数回投与量を含むかどうかを決定することは十分に当業者の技能範囲内である。
【0025】
当技術分野においては周知のように、任意の特定の患者に対して生じるそのこのような組成物の具体的な用量レベルは、使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、排泄速度、薬物併用、および療法を受ける特定の疾病の重篤度を含む、多種多様な因子に依存する。投与責任者が、個々の対象のための適切な用量を決定する。さらに、ヒトへの投与のために、調製物は、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような無菌性、発熱物質非含有性、全般的な安全性および純度基準を満たすべきである。
【0026】
患者または対象への本発明の組成物の投与は、組成物中および/または併用療法の態様における成分の毒性(存在する場合)を考慮に入れて、脳血管疾病または疾患の処置に使用される療法の投与のための一般的なプロトコールに従う。処置サイクルを、必要に応じて繰り返すことが考えられる。また、種々の標準療法並びに手術的介入も、記載の療法と組み合わせて適用し得ることが考えられる。
【0027】
当業者には公知のように、本明細書に記載の組成物を、公知の任意の薬理学的に許容可能な担体と共に投与し得る。さらに、前記組成物を、皮下、鼻腔内または粘膜などの公知の任意の投与経路を介して投与することができる。さらに、投与しようとする組成物の用量を、当業者には公知であるような実験を実施することによって決定することができる。
【0028】
以下の実施例は、本発明の種々の態様を説明する目的で示され、いずれにしても本発明を制限する意味はない。当業者は、目的を実施しそして記載の結論および利点を得るように本発明を上手に適応させること、並びに、本明細書に固有のそのような目的、結論および利点を容易に理解するだろう。特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神内に包含される本明細書における変更および他の使用が、当業者には考えられるだろう。
【0029】
実施例1
内皮細胞
ヒト臍静脈(HUVEC)および脳微小血管内皮細胞を、それぞれLonza(Basel, Switzerland)およびCell Systems(Kirkland, WA)から購入し、そして業者の指示通りに継代した。マウスおよびラットの脳微小血管内皮細胞は、Jane Welsh, Texas A&M Universityによって提供され、そして記載(5)の通りに継代した。
【0030】
実施例2
ドメインVおよびエンドスタチン
ヒトエンドスタチンを、Cell Sciences, Inc.(Canton, MA)およびSigma Chemical(St. Louis, MO)から購入した。ドメインV(DV)を、ベクターpSecTag2A(Invitrogen, Carlsbad, CA)にクローニングし、そしてトランスフェクションされた293FT(ATCC, Manassas, VA)細胞から、そのC末端6×HisタグおよびNi−ATAアガロースビーズ(Qiagen, Valencia, CA)カラムクロマトグラフィーを介して精製した。透析したDV(PBSに対して)の純度を、抗DV抗体(R&D systems, Minneapolis, MN)および抗his抗体(EMD Chemicals, Gibbstown, NJ)を用いてのSDS−PAGEおよびウェスタンブロットを介して確認した。以前に実証された抗血管新生性濃度のDV(250nM)およびエンドスタチン(600ng/ml)および熱で失活させた対照(100℃で30分間)を用いての30分間の前処置を、全ての実験について使用した。全ての記載した実験について、N=15である(5つの別々の実験、各々の条件は3重に実施した)。Sigmastatソフトウェアパッケージを用いてのスチューデント独立t検定によって、全ての実験についての統計学的有意性(p<0.05)を決定した。
【0031】
実施例3
エンドセリン−1による中大脳動脈in vivo脳卒中モデル
Harlan Sprague Dawleyラット(n=10)に、エンドセリン−1(American Peptide Company, Sunnyvale, CA)またはPBS注入を用いて中大脳動脈閉塞の定位的手術を行なった。ラットを、手術から3日後または7日後に絶ち、そして脳組織をドメインVおよびGAPDHウェスタンイムノブロット分析のために処理した。
【0032】
実施例4
In vitroにおける血管新生アッセイ
マトリゲル実験を、記載(7)の通りに実施した。12〜18時間後、細胞を撮影し、そして細管形成をAdobe Photoshop CSを用いて定量した(細管のピクセル/高倍率視野、1つの条件につき10箇所の領域)。細胞の遊走を、製造業者の指示に従って、改変ボイデンチャンバー(NeuroProbe, Gaithersburg, MD)を用いて評価した。I型コラーゲンでコーティングされたポリカーボネート膜を横切って、無血清培地+/−3%ウシ胎児血清の方へと向かう遊走を、6〜8時間後に評価した。MTS溶液と共にVEGF20ng/mlを含む無血清培地(Promega, Madison, WI)中で製造業者の指示に従って48時間後に増殖を評価した。
【0033】
実施例5
ニューロン−脳内皮細胞の共培養細管形成アッセイ
生後8日目のラットから単離した大脳顆粒ニューロンを、ラミニン(Invitrogen)でプレコーティングしたチャンバースライドに加え、そして一晩増殖させた。その後、脳内皮細胞を一晩かけて加え、その後、無血清培地中で2〜6時間かけて実験的な処置を行なった。固定した細胞を、共焦点顕微鏡(Zeiss, New York, NY)のために抗フォン・ヴィルブランド因子抗体(Dako, Denmark)または抗TUJ1抗体(Neuromics, Edina, MN)および適切な蛍光色素でタグ化した二次抗体(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)を用いて免疫染色した。
【0034】
実施例6
結果
ピークの梗塞周囲の血管新生は、3〜7日後に始まるので、同じ動物に由来する、脳卒中を起こしたおよび脳卒中を起こしていない対照の大脳半球を、ドメインVレベルについて、脳卒中から3日後および7日後にウェスタンイムノブロットによって調べた(各時点についてn=5)。脳卒中の誘発から3日後に、脳卒中を起こした大脳半球におけるドメインVの530%±20%(標準偏差)の増加を、GAPDHローディング対照に対して正規化しそして光学密度測定法(ImageJ, NIHソフトウェア)によって定量して実証した(スチューデント独立t検定によってp<0.001)(図1A〜1B)。
【0035】
DVが脳の血管新生に影響を及ぼす能力、およびこの過程におけるa5b1インテグリンの関与を、in vitroにおける毛細血管アッセイを使用して調べた。ラット脳微小血管内皮細胞(50,000個の細胞/ウェル、Jane Welsh, Texas A&Mによって提供)(8)を、マトリゲル(毛細血管形成を刺激する血管基底膜に似た物質、25ml/ウェル、BD Biosciences)でコーティングされた24ウェルプレートのウェルに加えた(DV(200nM)±機能的遮断α5β1抗体(10mg/ml、図2A)とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)。9時間後、DVで処置した脳内皮細胞は、非処置対照と比較して有意により多くの毛細血管を形成した(p<0.0001)。この効果は、次いで、抗α5β1抗体によって有意に遮断された(p<0.001、DV処置のみと比較して、図2B)。抗α5β1遮断抗体のみを用いての前処置では、細管形成は有意な影響を受けなかった(p=0.3)。
【0036】
次に、DVが脳内皮細胞とニューロンとの間の相互作用、すなわち神経血管微小環境に影響を及ぼし得るかどうかを決定するために、生後8日目のラット大脳(これにより95%を超える純粋な新生顆粒ニューロンの培養(10)が得られた)から得た一次ニューロンの層に脳内皮細胞を加えた、脳内皮細胞顆粒ニューロン共培養アッセイを開発した。。ニューロン(5×104個の細胞/ウェル)を、ラミニンでプレコーティングした8つのチャンバーウェルスライドに加え、そして37℃で一晩増殖させた。次の日、脳内皮細胞を加え(3×104個の細胞/ウェル)、そして一晩増殖させ、その後、無血清培地中で6時間かけてDVを用いて処置した。このアッセイにおいて、脳内皮細胞は、急速に(2〜3時間以内に)ニューロンから離れ、別個の内皮細胞島を形成する。DVによる処置により、ニューロン内で劇的な脳内皮細胞の毛細血管形成が行なわれた(図3)。
【0037】
ドメインVが脳内皮細胞における血管新生促進性α5β1インテグリンの発現に影響を及ぼすかどうかを実証するために、処置していないおよびドメインVに曝した培養ラット脳内皮細胞におけるa5b1インテグリンの細胞内局在を、免疫細胞化学および共焦点顕微鏡を介して分析した。図4は、DVによる処置により、細胞質内における散在から、一般的に血管新生性内皮細胞に見られる細胞表面突起へとα5β1インテグリンの再分布が行なわれたことを示す。
【0038】
ドメインVがα5β1インテグリンを介して脳内皮細胞接着を支持し得るかどうかを決定するために、細胞接着アッセイを、1%BSA(接着対照)またはドメインV(40μg/ml)でコーティングしそして細胞を加えた(α5β1機能遮断抗体(10μg/ml)のプレインキュベーションを含むまたは含まない)ウェルを用いて行なった。図5は、ドメインVが、BSAよりも有意により多くの脳内皮細胞接着を支持し(p<0.001)、そしてα5β1機能遮断抗体が、DVへの脳内皮細胞の接着を有意に(p<0.001)阻害したことを実証し、このことは、DVが、α5β1インテグリンにより媒介される脳内皮細胞接着を支持し得るという可能性を示唆する。
【0039】
これらの結果は、脳内ドメインVが、脳卒中後に増加し、そしてニューロン環境における血管新生、および脳内皮細胞とニューロンとの間の相互作用の両方を増強することを実証する。さらに、これらの効果は、α5β1インテグリンとの相互作用を必要とする。重要なことには、これらの結果は、パールカンの生物活性フラグメント(DV)を生成することによって脳卒中後に脳が自己修復し、そして、この脳修復機序を治療的に活用することができるという見解を支持する。
【0040】
実施例7
脳血管新生および神経血管微小環境の形成に対するDVの効果
in vitroにおける脳血管新生におけるドメインVの役割を実証するために、マトリゲル毛細血管アッセイ、細胞遊走アッセイ、および細胞増殖アッセイを含む血管新生アッセイを、微小血管脳内皮細胞およびヒト組換えドメインVを用いて実施する。ニューロン−脳内皮細胞の共培養毛細血管アッセイを使用して、より脳に似た環境における毛細血管形成に対するドメインVの効果を研究し、並びに、神経血管微小環境の形成を研究する。前記の研究は、in vitroにおける焦点性虚血をモデリングするために、酸素およびグルコースを欠乏させた環境(OGD)中で実施する。DVは、有意に、そして用量依存的に、正常な条件およびOGD条件の両方において、脳血管新生、並びにニューロンと内皮細胞との相互作用を増強するだろう。
【0041】
実施例8
DVのクローニングおよび精製
ドメインVを、pSecTag2Aベクター(Invitrogen)にクローニングし、これによりDVのC末端に6×Hisタグを付加した。プラスミドを、リポフェクトアミン(Invitrogen)を介して293FT(ATCC, Manassas, VA)細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション後、無血清の馴化培地(細胞の分泌したDVを含む)を回収し、そしてDVを、Ni−ATAアガロースビーズカラムクロマトグラフィーを介して4℃で精製した。溶出したDVを、1×PBSに対して透析し、そして、ブリリアントブルーGコロイド液を用いて染色したSDS−PAGE(DVC)を介して、並びに抗DV抗体(示されている)および抗His抗体を用いてのウェスタンブロット分析(DVWB)によって、純度について評価した。DVを、Quick Start Bradford Dye試薬を用いて定量した。
【0042】
実施例9
内皮細胞増殖に対するDVの効果
内皮細胞の増殖は、血管新生における重要な初期の工程である。内皮細胞に対するドメインVの増殖効果を評価するために、マウスおよびラットの両方に由来する微小血管脳内皮細胞を、種特異的な差異を除外するためと、in vivoにおける脳卒中モデルにおけるラットの使用に対応するための両方のために使用する。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC、Lonza, Basel, Switzerland)を対照として使用し、そしてヒト脳微小血管内皮細胞(Cell Systems, Kirkland, WA)を使用して、ドメインVの効果が、ヒトにも適用可能であり得るかどうかを決定する。増殖アッセイについて、細胞を、トリプシン0.25%(Invitrogen)を用いて収集し、20ng/mlのVEGFを含む無血清培地中のビヒクル対照または種々の濃度のDV(1〜450nMの濃度を、全てのin vitroにおける血管新生実験について使用)懸濁液を用いて30分間かけて前処置し、そしてその後、5×103個の細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに加える。その後、細胞を、正常な増殖条件下において48時間かけてインキュベーションする。その後、MTS溶液を、1時間かけて加え(20ml/ウェル)、その後、プレート解読機で490nmにおける吸光度を解読する。
【0043】
実施例10
内皮細胞遊走に対するDVの効果の決定
血管新生性の内皮細胞が増殖するにつれて、それらは、血管を要求する組織によって放出されるケモアトラクタントに応答して、新たな血液の供給を必要とする組織領域へと向かって遊走し始める。DVが内皮細胞の遊走に影響を及ぼし得るかどうかを評価するために、細胞を収集し、そして改変ボイデンチャンバー(NeuroProbe, Gaithersburg, MD)の上のチャンバーにローディングし(37℃で種々のDV懸濁液濃度を有する適切な無血清培地中での30分間のプレインキュベーションを含むまたは含まない)、そしてI型コラーゲン、ラミニンまたはフィブロネクチンでコーティングされたポリカーボネート膜を横切って、37℃の下のチャンバー中の無血清培地+/−3%FBSに向けて6〜8時間かけて遊走させる。重要なことには、これらの細胞外マトリックスは、それぞれ、脳内皮細胞の中性の、抗血管新生性のおよび血管新生促進性の基質を示し(11)、そしてその使用により、DVの作用がECM特異的であるかどうかを決定することが可能となる。その後、膜(遊走細胞を含む)をアセトンで固定し、そして細胞をクリスタルバイオレット(Sigma)で染色し、そして顕微鏡下で計測する。さらに、DVが、VEGF、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)および塩基性FGF(bFGF)を含む種々のケモアトラクタントへの方への遊走に異なって影響を及ぼすのうかどうかを決定する。
【0044】
実施例11
内皮細胞のマトリゲルによって誘発される細管形成に対するDVの効果の決定
一旦、内皮細胞が、新たな血液供給を要求する目的の組織ターゲットに到達すると、細胞は毛細血管形態形成を受けて、新たな血管を作る。マトリゲル細管形成アッセイは、in vitroにおいて内皮細胞毛細血管形態形成を研究するための十分に確立された技術である(12)。この目的を達成するために、これらのアッセイを前記したように実施(種々のDV濃度と内皮細胞とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)する。細胞を種々の時点で観察し、その後、12〜18時間後に4%パラホルムアルデヒド中で固定する。標準的な画像取得ソフトウェアを使用して、倒立顕微鏡に取り付けたCCDカメラを用いて画像を獲得する。細管形成を、Adobe Photoshop CSを用いて定量する(細管のピクセル/顕微鏡視野、1つの条件あたり10箇所の視野)。
【0045】
実施例12
共培養液中における内皮細胞の細管形成およびニューロンとの相互作用に対するDVの効果の決定
マトリゲルよりも脳に似た環境において脳内皮細胞毛細血管形成をドメインVがモデュレーションする能力を調査するために、大脳顆粒ニューロンと脳内皮細胞からなる共培養アッセイシステムを開発した。生後8日目のラット大脳を、それが脳内皮細胞と相互作用する新生ニューロンの容易に入手可能でかつ豊富な入手源であることからニューロン入手源として選択した(13)。ラミニンに加えて、ニューロンを、コラーゲンIまたはフィブロネクチンでプレコーティングしたウェルに加えて、内皮細胞細管形成に対する各々の基底にある基質の相対的な重要性を決定する。内皮細胞細管形成の程度に対する種々の濃度のドメインVの効果を、種々のインキュベーション期間(1、3、6、9時間)について決定する。細管形成に対するドメインVの用量依存的な増強作用を、実証する。
【0046】
本明細書におけるデータは、ドメインVの非存在下においては脳内皮細胞はニューロンから離れるが、一方でドメインVは、ニューロン間の毛細血管形成を促進することを示唆する。それ故、毛細血管の形成の研究に加えて、この共培養系は、内皮細胞とニューロンとECMとの間の動的相互作用に対するDVの効果を調べることを可能とする。第一に、共焦点顕微鏡を使用して、抗フォン・ヴィルブランド因子、抗TUJ1、抗α5β1、タイトジャンクションタンパク質のクローディン−5および抗ECM成分(フィブロネクチン、ラミニンおよびIV型コラーゲンを含む)について免疫染色された固定細胞のZ-stack画像を回収することによって、脳内皮細胞とニューロンと周辺のECMとの間の3次元相互作用に対する種々の時点におけるドメインVの効果を調べる。これらの研究において、DVが、周辺のECMに関連してα5β1インテグリンの内皮細胞における分布に影響を及ぼすかどうか、並びに、DVが、クローディン−5の発現および細胞内分布における変化によって測定されるような内皮細胞同型相互作用の変化、および内皮細胞−ニューロンの近さの変化によって測定されるような異型ニューロン相互作用の変化を決定するのかどうかを示す。
【0047】
生細胞用顕微鏡(CCDカメラおよびMetamorph画像解析ソフトウェアを含むPCに接続された電動ステージ、および加熱型CO2ステージを有するNikon顕微鏡)を使用して、長時間にわたり、それぞれdiIおよびdiOで蛍光標識されたニューロンおよび内皮細胞(14)の相互作用(DV療法を含むまたは含まない)を画像撮影する。ドメインVの処置は、脳内皮細胞とニューロンとの間の可視的な物理的接触を増加させ、従って、脳卒中の回復中の神経血管微小環境の形成を促進および増強する。内皮細胞−ニューロンの接触を、1時間あたり1つの顕微鏡視野あたりの可視的な内皮細胞−ニューロンの接触数として定量する。個々の内皮細胞が1時間あたりにニューロンと接触する程度も定量する。
【0048】
最後に、ニューロンまたはその分泌されるECM/成長因子の存在が、DVの毛細血管促進作用にとって必要であるかどうかを決定するために、いくつかの実験においてニューロンを、非酵素的分離溶液であるCellstripperを用いて除去し、ニューロンにより分泌されるマトリックスをウェルの底に残し(ECM抗体によって確認される)、その後、脳内皮細胞の添加±DV処置を行なう。他の実験においては、ニューロン馴化培地を、ラミニン上に培養された内皮細胞に加える。データは、内皮細胞細管形成にとってニューロン−内皮細胞の相互作用が必要であることを示す。
【0049】
実施例13
DVのin vitroアッセイにおける酸素−グルコース欠乏(OGD)の効果
in vitro虚血モデル(15)におけるドメインVの効果を、低酸素チャンバー中の低グルコース培地(1g/L)中の前記の血管新生アッセイを使用して示す。各アッセイについて、低グルコース培地±DV中の培養液を、95%N2/5%CO2を1時間流した低酸素チャンバー中に入れ、その後、各血管新生アッセイについて前記した実験持続時間かけてチャンバーに封をする。OGDのみで、脳内皮細胞血管新生が増加し、そしてこれはさらにDVによって増強される。
【0050】
実施例14
脳内皮細胞におけるa5b1インテグリンおよびDVの血管新生促進作用
DVの血管新生促進作用にα5β1が必要であることは、α5β1の遮断および/またはα5β1の減少が、ドメインVの血管新生促進作用を軽減または阻害することを意味する。それ故、遊走、増殖および細管形成アッセイにおける、DVで処置および非処置の脳内皮細胞に対する、それぞれ、機能的遮断抗体およびIgG対照(Millipore、10〜20mg/ml、細胞と共にプレインキュベーション)を用いてのa5b1インテグリンの機能的阻害の効果、並びに、siRNA(Accellの予め設計されたsiRNA、Dharmacon, Chicago, IL)を用いてのα5β1レベルの減少の効果を示す。a5b1ノックダウンは、ウェスタンブロットを介して確認される。
【0051】
実施例15
内皮細胞のa5b1の表面局在化に対するDVの効果の決定
DVへの曝露に応答した脳内皮細胞のα5β1インテグリンの表面局在化を直接測定するために、Milner et al. (15)の方法を使用して、CellQuest(Becton-Dickinson)ModFit LT(Verity)ソフトウェアを含むBecton-Dickinson FACSCalibur機器を使用したフローサイトメトリーのために、プラスチックまたは種々の基質(ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチンまたは固定したDV、4℃で一晩かけてウェルに40mg/mlで加える)(DVへの曝露を含むまたは含まない)上で増殖させた細胞を調製する。
【0052】
実施例16
DVとα5β1インテグリンとの相互作用およびDVによるα5β1インテグリンの活性化の決定
DVがa5b1インテグリンと結合しそして活性化し、その結果、RGDフィブロネクチン/α5β1結合モチーフを介してフィブロネクチンに対する脳内皮細胞の親和性が増加する。固定したフィブロネクチンへの脳内皮細胞の接着増加に対するDVの効果、および、RGD配列GRGDS(配列番号1)vs対照ペプチドSDGRG(配列番号2)を示す。
【0053】
細胞接着アッセイを、DV(40μg/ml)、フィブロネクチン(10μg/ml)、GRGDSもしくはSDGRGペプチド(0.1μg/ml)、または1%BSAでコーティングしたウェルにおいて前記した通りに行なった。DVへの細胞接着がα5β1依存性であることを示すために、α5β1の機能または発現が阻害される接着研究を実施する。細胞を、製造業者の指示に従ってα5β1siRNAで処置し、そしてα5β1ノックダウン効率を、ウェスタンイムノブロットを介して確認する。あるいは、細胞を、接着アッセイ前に抗α5β1遮断抗体と共にプレインキュベーションする。α5β1の機能または発現の阻害により、DVへの脳内皮細胞の接着が減少または阻害されることを示す。DVによりフィブロネクチンへの脳内皮細胞の接着が増強し、そしてGRGDSペプチドおよびα5β1siRNA処置により、固定したドメインVへの脳内皮細胞の接着が阻害され、そして添加したDVにより、フィブロネクチンおよびGRGDSへの脳内皮細胞の接着が増強されることを示す。
【0054】
実施例17
脳卒中によって生じるDV
DVを脳卒中後に投与し、そして脳卒中の病態および機能的回復に対するその効果を示す。脳卒中後の血管新生は、神経血管微小環境の形成のようにin vivoにおける脳卒中においてDV投与後に増加し、そしてラットにおける病的および機能的脳卒中の予後が、改善する。DV療法は、動物において十分に耐容性がある。
【0055】
実施例18
エンドセリン−1によるin vivoにおける脳卒中モデルおよびDV療法
Harlan Sprague Dawleyラットに、前記したようにエンドセリン−1(またはPBS偽対照)によって誘発される中大脳動脈閉塞(MCAo)を行なう。血流中断を、レーザードプラ流速測定計(BPM2モデル, Vasamedics Inc, St. Paul, MN)を使用して確認する(16)(49)。MCAoから24時間後、動物を無作為に2つの群に分け、一方には、腹腔内(I.P.)注入によって2〜6mg/kgのろ過したDV(公開(7)されているように腫瘍血管新生を阻害するに十分な量)の注入を施し(処置群)、そして一方には2週間におよび2日間毎にビヒクル対照を施す。また、MCAoから24時間後に開始して、ラットに、毎日(14日間)、新たに合成されたDNAを標識するためのブロモデオキシウリジン(BrdU;100mg/kg;Sigma)の腹腔内注入を施し、回復中のラット脳における新生ニューロンを同定する。
【0056】
実施例19
脳卒中組織の免疫組織化学およびウェスタンイムノブロット
ラットにおける脳卒中後の血管新生および神経血管微小環境の形成±DV療法を評価するために、脳卒中を起こした動物および偽の脳卒中を起こした動物からの新鮮な脳組織を液体窒素中で凍結する。血管新生の免疫組織化学について、Microm HM 550クライオスタット(Walldorf, Germany)を用いて得えた脳卒中を起こした大脳半球の凍結切片を、血管抗原すなわちCD31およびフォン・ヴィルブランド因子に対する抗体(Dako)を用いてプローブする。BrdU+ニューロンと血管との相互作用の程度を評価し、そしてAdobe Photoshop CSを用いて定量する。さらに、脳卒中の組織による注入DVの取り込みおよび分布を、DVの6×HISタグに対する抗体(EMD)を用いて示す。非処置の脳卒中を起こした動物と比較して、DV療法により、脳卒中を起こした脳組織周辺において、血管が増加、すなわちCD31および/またはフォン・ヴィルブランド陽性細胞が増加し、これはまた、α5β1インテグリン発現が増加し、およびこれらの血管とBrdU+ニューロンとの間の相互作用が増加しているであろう。投与したDVは脳卒中部位に局在し、そしてその結果、梗塞サイズが縮小する。
【0057】
実施例20
脳卒中によって誘発される脳性麻痺のためのパールカンドメインV療法
胎児期または新生児期の間に起こる脳血管事象である、周産期の虚血性脳卒中(PAS)は、乳児脳性麻痺の主要な原因である。残念なことに、PASは、典型的には遡及的に診断され、すなわち傷害が起こった後に、そして組織プラスミノーゲンアクチベーターなどの伝統的な脳卒中の療法には遅すぎる時期に診断される。それ故、成功裏の脳性麻痺療法は、脳の自己修復機序を活用すべきである。残念なことに、脳の自己修復は十分に解明されていないが、血管再建(血管新生)および神経再増殖(神経新生)の神経血管微小環境において起こるようである。これらの両方の過程には、結果が未知である、プロテアーゼによって駆動される細胞外マトリックス(ECM)の再構築が関与する。脳卒中後の脳血管新生および神経血管微小環境の形成は、一部には、ECMであるパールカンの生物活性フラグメントの生成によって刺激され、そして、この自己修復機序を、PASによって誘発される脳性麻痺療法のために活用する。脳卒中は、急速にパールカン(これは、研究されている最もプロテアーゼに対して感受性の高いECM成分である)の生物活性フラグメントを生成し、そしてパールカンは、血管新生および神経新生の両方に必要とされる。さらに、パールカンフラグメントであるドメインV(DV、またエンドレペリンとしても知られる)は、α2β1インテグリンを通して脳以外の系においては血管新生を阻害することができる。
【0058】
本発明は、DVが、脳卒中後に脳においてアップレギュレーションされ、そして意外なことに、in vitroおよびin vivoにおいて脳卒中後に、おそらく脳内皮細胞におけるα2β1インテグリンの不在のために、脳の血管新生を増強することを示す。DVは、血管新生促進性のα5β1インテグリンを通して脳内皮細胞においてその効果を発揮し、そしてニューロンと内皮細胞との間の相互作用を増強する。まとめると、これらの結果は、脳がDV産生を通して自己修復することができ、そしてこれを治療的に活用することができることを示唆する。
【0059】
PASのためのDV療法の有用性を実証するために、エンドセリン−1を使用して、7日齢のラットにおいて一過性の中大脳動脈閉塞(MCAo)脳卒中を誘発した。その後、動物に、脳卒中から24時間後および72時間後に、0.5mg/kgの無菌DVまたはPBSビヒクル対照の腹腔内注入をほどこした。ピークの境界域の(脳卒中組織のすぐ周辺の領域)血管新生が3〜7日後に始まるので、脳卒中を起こした脳の脈管構造を、脳卒中の5日後に調べた。DVで処置した動物には脳卒中皮質の表面上に血管過多が存在したが、これは反対側の皮質またはPBSで処置した脳卒中を起こした動物においては明白ではなかった(図6A〜6B)。さらに、これらの脳の凍結組織切片を血管マーカーであるフォン・ヴィルブランド因子で免疫染色すると、PBSで処置した対照と比較して、DV処置動物においては脳卒中の境界域の脈管構造の有意な増加が明らかとなった(図6A〜6B)。まとめると、これらの結果は、DVが、PAS後の血管新生を増加させ得ることを示唆する。
【0060】
実施例21
投与したDVは、脳卒中および梗塞周辺組織に局在化する
脳組織を免疫組織化学によって分析して、投与したDV(組換えDVのc末端上のHISエピトープタグ)並びに血管(フォン・ヴィルブランド因子)を検出して、投与したDVが、脳卒中を起こした脳組織において検出され得るかどうか、そしてそれがどこに局在化し得るかを決定した。図7は、投与したDVが、脳卒中を起こした脳組織に豊富に見られ、そして梗塞周辺皮質においてはより少ない程度で見られたが、同じ動物の反対側の脳卒中を起こしていない皮質には見られなかったことを実証する。さらに、投与したDVの実質的に全てが、梗塞周辺皮質の血管周辺分布域に蓄積し、そしてより少ない程度で脳卒中組織に蓄積し、これは、in vivoにおけるその脳血管促進効果および活性化固形腫瘍の血管周囲にターゲティングするその能力と一致する。重要なことには、このことは、DVが、少なくとも反管腔側の血管周囲領域に限り、以前として不明である機序を介して血液脳関門を通過することができ、そこでアストロサイトおよびニューロンなどの他の細胞型に曝されそして効果を発揮することができることを示唆する。図8は、それぞれPBSおよびDVで処置した脳卒中を起こした動物の、脳卒中を起こした皮質および反対側の皮質から得た、溶解液のウェスタンブロット分析による類似の結果を実証する。
【0061】
実施例22
投与したDVは、脳卒中および梗塞周辺組織に局在する
DV療法が、梗塞脳組織のすぐ近くに隣接する脳領域として定義された、梗塞周辺脳組織中を遊走する神経芽細胞の程度に影響を及ぼし得るか、そしてこれにより新たなニューロンを用いての、脳卒中を起こした脳組織の再増殖に影響を及ぼし得るかどうかを決定するために、PBSおよびDVで処置した脳卒中を起こした動物からの脳切片のダブルコルチン免疫組織化学を使用し(図9A)、そしてそれぞれの脳卒中梗塞周辺組織における高倍率視野(HPF、1匹の動物あたりn=20の画像)あたりのダブルコルチンのピクセル平均数を定量した。DV処置動物におけるダブルコルチン陽性ピクセルの有意な増加を認めた。さらに、DVは神経血管微小環境の形成を育成するという仮定に一致するように思われることに、有意に(p<0.001)より高い比率の同定されたダブルコルチン陽性細胞を、梗塞周辺脳組織におけるPBS処置対照(60%+/−3%)と比較してDV処置動物(90%+/−5%、1匹の動物あたりn=20の画像)において、フォン・ヴィルブランド抗体またはHIS抗体に対する抗体によって同定したところ(図9B)、血管のすぐ近くに認めた。
【0062】
実施例23
DVは、in vitroにおいて皮質ニューロンの遊走を増強する
前記の結果によって示唆されるように、脳内皮細胞に対する効果を通して神経血管微小環境の形成を育成することによって、DVは、神経保護性であり得、神経新生および神経遊走を増強し得る。さらに、DVが、血液脳関門を通過するならば、それはまたニューロンに対して直接的な作用を有し得る。DVが、脳卒中に対するその治療能力と一致し得る、直接的な神経作用を有し得るかどうかを決定した。この目的を達成するために、胎生15日齢のC57Bl6マウスからのマウス一次皮質ニューロンを、特に髄膜を除去することに注意を払いながら一次細胞単離のための慣用的な無菌的な解剖技術を使用して単離して、そしてin vitroにおける遊走アッセイを、これらの細胞を用いて実施した。
【0063】
使用前に、ニューロンの同一性を、TUJ−1免疫細胞化学を用いて確認した。改変ボイデンチャンバー(NeuroProbe, Gaithersburg, MD)の上のチャンバーにニューロン(3×103個/ウェル)をローディングし(37℃での100nMまたは200nMのDV懸濁液を含む適切な無血清培地中での30分間のプレインキュベーションを含むまたは含まない)、そしてその後、I型コラーゲンでコーティングしたポリカーボネート膜を横切って8時間かけて37℃で、ケモアトラクタントである神経成長因子(NGF、下の1つのウェルあたり4nM)に向けて遊走させた。その後、膜(遊走細胞を含む)をアセトンで固定し、そして細胞をクリスタルバイオレット(Sigma)で染色し、そして顕微鏡下で計測した。図10は、DV処置により、有意に、そして用量依存的に、NGFに向けての皮質ニューロン遊走が増強した(両方のDV濃度についてp<0.0001)ことを実証することによって、DVが皮質ニューロン遊走を増強することを示し、DVは、ニューロンに対して直接的で治療的な効果を有し得ることを示唆する。
【0064】
DV療法は、機能上の脳卒中の予後を改善する
図11は、脳卒中後の3日目以降に、偽対照とドメインVで処置した脳卒中を起こした動物との間に統計学的な差異が全くなかったことを示す。ドメインV処置動物を、脳卒中後1、3、5、7日目に0.5mg/kgを用いて処置した。
【0065】
実施例24
ドメインVは、BDNFの遊離を誘発する
本明細書におけるin vivoでの結果は、DVによる処置が、神経血管脳修復を助け、これは、一部には、脳由来神経栄養因子(BDNF)などの神経血管促進因子のDVにより誘発される遊離に起因し得ることを示唆する。図12Aは、24時間後、DVにより、有意に(**p=0.0025)脳微小血管内皮細胞によるBDNFの遊離が増強することを実証する。同様に、脳卒中後のDVによる処置により、PBS処置対照と比較して、脳卒中から3日後および7日後に脳卒中を起こした脳のBDNFレベルが有意に増加した(図12B〜12C)。さらに、一次単離ラットアストロサイトまたは皮質ニューロンへのDVの添加によるBDNFレベルに対する効果は全く見られず、このことは、in vivoにおける脳BDNFレベルに対するDVの効果は、主に、脳内皮細胞により媒介される効果であり得ることを示唆する。
【0066】
実施例25
ドメインVは、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮する
脳微小血管内皮細胞は、以前に同定されたDVレセプターα2β1インテグリンを発現しないので、脳内皮細胞に対するDVの血管新生促進作用は、α2β1の不在および別個の血管新生促進性DVレセプターの存在の両方に起因し得る。α5β1は、血管の発達にとって非常に重要であり、そして脳卒中後の脳の血管新生を促進するが、それ以外では、低酸素症後に脳内皮細胞において再発現されるまでは成熟脳においてはダウンレギュレーションされている。血管新生促進成長因子のアンジオポエチン1の単量体変異体は、α5β1インテグリンに結合し、そしてα5β1インテグリンを介して血管の安定化を促進し、このことは、血管新生および血管再構築におけるこのレセプターの重要性をさらに強調する。
【0067】
α5β1インテグリンの特異的活性化が、BDNFレベルに影響を及ぼし得るかどうかが初めて決定された。図12Aは、a5リガンド結合ドメインを特異的に認識するα5β1抗体を用いての細胞の処置により、単独で、BDNFの遊離が増加することができたことを実証する。さらに、リガンド結合ドメインの外の領域に結合し、これによりα5β1がリガンドに結合するように刺激することによってα5β1インテグリンを活性化する抗体であるSNAKA51により、BDNFレベルが有意に増加した(p=0.0007)。興味深いことに、α5β1抗体とDVとの同時添加はBDNFの遊離を阻害したが、DVとSNAKA51との同時添加はBDNFレベルをさらに増加させた(p=0.06)。これは、DVが、α5リガンド結合ドメインに結合することによってBDNFの遊離を増加させるという仮定と一致する。
【0068】
DVへの脳微小血管内皮細胞の接着が、α5β1に依存し得るかどうかを、α5リガンド結合ドメインに対して作られたα5β1抗体が、固定したDVへのその接着を防ぎ得ることを実証することによって調べた(図12A)。組換えα5β1インテグリンを用いてのELISAによって、DVが、α5β1に用量依存的に約30nMのKDで結合することが実証された(図13B)。DVの血管新生促進作用とα5β1とをさらに関連づけるために、DVに向かう脳内皮細胞の遊走が、フィブロネクチン−GSTおよび可溶性α5β1−GSTの両方によって阻害され得ることが実証された(図13C)。さらに、α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)は、in vitroにおいて脳内皮細胞細管形成に対するDVの効果を有意に(p=0.001)阻害することができた(図13D〜13E)。
【0069】
DVが、脳内皮細胞によるα5β1の発現を増加させることによって一部には脳血管新生を増加させるかどうかに対処するために、8時間かけてのコンフルエントな脳内皮細胞単層のDVによる処置は、完全なα5β1タンパク質レベルを維持したが、これはさもなければ無血清対照条件においては有意に消失した(図13F)。さらに、プラスチック上で増殖させた脳内皮細胞のDVによる処置により、α5β1インテグリンは表面/葉状仮足へと有意に再分布したが(図13G)、アストロサイトまたは一次皮質ニューロンにおけるα5β1の表面発現は全く影響を受けなかった。最後に、DVがin vivoにおいてもα5β1インテグリンレベルに影響を及ぼし得るかどうかを決定するために、脳卒中後3日目の動物+/−DV処置の脳卒中を起こした半球および反対側の半球からの脳溶解液のウェスタンブロット分析を実施し(図13H)、そしてDVで処置した動物の脳卒中を起こした脳組織において有意により多いα5β1インテグリンを観察した(p=0.00004、定量は示していない)。まとめると、これらの結果は、DVがα5β1インテグリンに結合し、α5β1インテグリンの発現に影響を及ぼし、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示唆する。
【0070】
α2β1インテグリンは、DVの細胞増殖活性を逆転させる
C57マウス脳内皮細胞へのα2β1インテグリンの添加は、ドメインVの細胞増殖活性を逆転させる。DVは、α2β1インテグリン(抗血管新生性レセプター)およびα5β1インテグリン(血管新生促進性レセプター)の両方を発現する大半の内皮細胞において抗血管新生性であるので、DVは、α5β1インテグリン(Kdは160nM)を超えるα2β1インテグリン(Kdは約30nM)に対するその増加した親和性に因りこれらの細胞において抗血管新生性であると考えられた。α2β1インテグリンを、通常はこのレセプターを発現しないマウス脳微小血管内皮細胞にトランスフェクションした。これは、C末端RFP融合タンパク質(Texas A&M University Biomedical Engineering)を含むα2−サブユニットインテグリンをコードする配列を含むプラスミドベクター(pEGFP−N2, Clontech)を用いてのトランスフェクションによって達成され、空のベクターを、対照として使用した。細胞を、抗生物質を全く含まない培地中で24時間の間に回復させた。倒立蛍光顕微鏡を使用して24時間後にトランスフェクション効率を評価した。細胞増殖を、製造業者の指示に従ってMTS溶液(Promega, Madison, WI)を含む無血清培地中で48時間後に評価した。DVにより、細胞培地対照と比較して、マウス脳内皮細胞の増殖は増加し、これは、VEGF中和抗体またはα5β1インテグリン機能遮断抗体の添加によって遮断され得る(図14A)。α2β1インテグリンの細胞への添加により、細胞の増殖は増加するよりもむしろ抑制され、このことは、α2β1インテグリンのマウス脳内皮細胞への添加は、DVを、増殖性から抗増殖性へと変換することを実証する。バーは、平均値+/−標準偏差である(図14B)。**p<0.01。##p<0.01。
【0071】
A5へのDVの結合の動態
結合アッセイを、記載(17)のように光学バイオセンサー(IAsys; Affinity Sensors, UK)を使用して実施した。簡潔に言うと、センサーの表面上の、アクセプターと称されるA5ドメインに共有結合させるために、表面上に存在するカルボン酸基を、0.1MのN−ヒドロキシスクシンイミドと0.4MのN−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(Pierce)の1:1混合物の注入によって活性化した。その後、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に溶解したアクセプターを、応答プラトーに到達するまで活性化表面に結合させた。残留活性基を、100μLの1Mのトリス−HCl(pH8.5)の注入によって遮断した。
【0072】
固定したA5を有するキュベットを、10分間かけて25℃の結合緩衝液(150mM NaCl、25mMトリス−HCl、pH=7.4および1mM MnCl2)を用いて予備刺激した。結合緩衝液中に溶解した遊離DV相互作用物を含む100μLの試料をキュベットに加え、その後、会合相を記録した。続いて、試料を取り除き、分析物の含まれていない緩衝液をキュベットに加え、そして解離相を記録した。各アッセイの後、キュベットの表面を、100mMグリシン(pH=4)を用いて簡潔に洗浄し、その後、結合緩衝液を用いて平衡化することによって再生した。再生サイクル中に表面に結合した分析物の完全な除去に注意を払い、そして基線値に等しい応答に到達するまで洗浄を続けた。
【0073】
結合アッセイのために、8.0×10−8Mから4.0×10−7Mの範囲の濃度で遊離DVを加えた。バイオセンサーからのデータを、記載(18)のようにグローバルフィッティング法によって分析した。各アッセイについて、会合速度定数(kon)および解離速度定数(koff)を得、そして平衡解離定数(Kd)値を、koff/konの比から計算した。さらに、8.0×10−7(DVの最高濃度の2倍)のモル濃度におけるウシ血清アルブミン(BSA)の対照結合も実施した。表1に示したように、DVは、α5β1インテグリンに結合する。
【0074】
【表1】
【0075】
これらの研究は、細胞外マトリックス由来の血管新生阻害剤であるパールカンDVは、脳卒中で損傷された脳において安定かつ慢性的に生成されることを実証する。極めて意外なことに、投与したDVは、in vitroおよびin vivoにおいて脳の血管新生を阻害するのではなくむしろ増強する。DVは、それぞれラットおよびマウスのエンドセリン−1および直列型同側CCA&MCA脳卒中モデルにおいて、脳卒中および梗塞周辺脳組織に向かい、少なくとも一部には増強されたBDNF遊離に因り神経血管微小環境の形成を増強し、そして最終的には基線の脳卒中前のレベルにまで機能的運動的予後を改善する。最後に、DVは、α5β1インテグリンを介して、α2β1インテグリンの非存在下において脳内皮細胞の血管新生を増強する。
【0076】
ニューロン、アストロサイトおよび内皮細胞によって合成および分泌されるパールカンは(後者の場合にはVEGF165によって誘発される)、脳卒中後に最も感受性が高くそして急速にプロセシングされるマトリックス成分であるという特徴を有する。カテプシンLによるパールカンのタンパク質分解は、非ヒト霊長類において中大脳動脈の閉塞から2時間以内に起こり、そして数日間持続する。脳卒中後の数日間におよぶパールカンの持続的なプロセシングは、脳損傷後のニューロンおよびアストロサイトにおけるパールカンの産生の増加を実証する研究と一致する。本研究においては、急速なパールカンDVレベルの増加が見られ、これは7日間の経過をかけて上昇したレベルで次第にプラトーに達し、この時間的なパターンは、非ヒトの霊長類の脳卒中後のパールカンのタンパク質分解プロファイルとよく相関している。
【0077】
抗血管新生性細胞外マトリックスフラグメントが脳血管新生を促進する能力は、内皮異質性の概念に起因し得、異なる血管床の内皮細胞は(この場合には脳vs脳以外)、血管調節因子に対して異なって応答する。この異なった応答は、それぞれの微小環境の差異、発現されるレセプターの差異、例えばα2β1インテグリンの存在もしくは不在、またはシグナル伝達成分の差異に起因し得る。さらに、XVIII型コラーゲン由来の血管新生阻害剤のエンドスタチンは、分化した胚幹細胞から派生した未成熟内皮細胞において血管新生を促進し、このことは、血管新生性脳内皮が、未成熟な内皮のように機能または挙動する可能性をもたらす。実際に、新たな血管新生性の脳内皮は、脳低酸素症後に、成熟したインテグリンレセプターから、発達性のインテグリン発現へ、特にα5β1インテグリンへと戻る、インテグリンレセプターのスイッチを受ける。
【0078】
α5β1インテグリンの脳卒中後の増強された発現はまた、DVが、脳卒中および梗塞周辺皮質脈管構造へと向かう能力を説明し得、これはちょうど、α2β1を発現している腫瘍脈管構造がin vivoにおいてDVのターゲティングを支持するのと同じである。さらに、脳卒中のほぼ直後のパールカンのタンパク質分解およびDVの生成は、インテグリンレセプタースイッチのトリガーの一部として作用し得る。これは、DVにより、in vitroにおける脳内皮細胞上のa5b1インテグリンの発現総量、および脳卒中後の脳組織のα5β1インテグリンレベルが増加したという観察によって支持される。
【0079】
本発明はまた、DVが、BDNFの遊離を刺激することを示す。BDNFは、血管新生促進性かつ神経保護性の両方であり、そして神経の遊走および神経幹細胞の複製を刺激する。BDNFは、ラットにおける脳卒中後のリハビリテーションによって誘導される回復にとって必須である。
【0080】
局所脳虚血は、血液脳関門の破壊を引き起こし、これは微小血管完全性の消失および血管外空間への血漿構成成分の漏出として顕現する。さらに、透過性の早期上昇の予防は、損傷の予後にとって有益であり得る。nDVは、この機能を実施し得、そしておそらくさらにはこの時間枠内で関門の機能を改善し、従って損傷度を低減させ得る。興味深いことに、血管細胞外マトリックスを破壊し、そして急性の脳卒中の血管漏出の直接的な原因となる同じタンパク質分解過程もまた、DVを生成し、このことは、脳卒中によって誘発される血管マトリックスのタンパク質分解は、完全に有害ではないことを示唆する。8時間後の後続のDVによって誘発される透過性は、酸素送達のための定常状態の迅速な再確立に寄与する早期の血管再構築における役割を示し得る。特に、DVによって誘発される微小血管透過性増加の後に、脳卒中モデルに見られる24〜48時間後の第二相の関門漏出が起こり、このことはさらにこの可能性に説得力を与える。
【0081】
実施例26
DVは、in vivoにおいて血液脳関門の透過性に有意に影響を及ぼさない
DVは、in vitroにおいて脳内皮細胞におけるTEERを減少させ得ることが実証されたので(血液脳関門の透過性がすでにマイナスに影響を受けている場合の脳卒中後の潜在的に懸念される作用である)、DVが、in vivoにおいて血液脳関門の透過性に対して任意の作用を及ぼしたかどうかを決定した。
【0082】
材料および方法
[3H]マンニトール(14.2Ci/mmol)および[14C]スクロース(412mCi/mmol)をMoravek Biochemicals(USA)から購入した。残りの化学品は、Sigma Chemical Company(UK)から購入した。マウスは、Harlan, UKから購入した。
【0083】
全ての実験は、Animals Scientific Procedures Act(1986, UK)のガイドライン内で実施した。成体雄BALB/c(27.3±0.3g)およびC57Bl6(27.9±0.6g)マウスを麻酔し(腹腔内にメデトミジン塩酸塩(2mg/kg)およびケタミン(150mg/kg))、そしてヘパリン処置し(100U、腹腔内)、そしてin situにおける脳灌流技術を、Sanderson et al., 2007によって記載のように、心臓の左心室へのカニューレ挿入および右心房の切開によって実施した。人工血漿は、[3H]マンニトール(35.2nM;182Da;半径=3.6Å)および[14C]スクロース(1.1mM;342Da;半径4.6Å)を含み、そして灌流は10分間であった。その後、動物を断頭し、そして脳領域(前頭皮質、後頭皮質、尾状核、海馬、視床下部、視床、小脳、脳橋)を液体シンチレーション計測のために採取した。組織放射能の量を、人工血漿中におけるその比率として表現し、そしてR組織%と称した(ml.100g−1)。マウスの別々の群に、PBSビヒクルに溶解したDV(1mg/kg)を投与し、そしてin situにおける脳灌流手順を、注入から2、8および24時間後に実施した。これらの実験群を、ビヒクルのみを受けた動物と比較した。脳(前方中央の回)水分含量に対するDVの効果も、試験した時点において調べた。2要因の分散分析または1要因の分散分析を、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアパッケージ(GraphPad Software Inc.)を使用してデータに適用した。
【0084】
マウスにおける血管空間に対するDVの効果
BALB/c系においては、[14C]スクロースおよび[3H]マンニトールによって測定した全ての脳領域における血管空間は、DV(1mg/kg、図15A)の腹腔内注入の8時間後または24時間後に有意に影響を受けなかった。さらに、脳の水分含量は0時間目において73.3±1.3%であり、そしてDV(1mg/kg)の腹腔内注入によって8時間後(64.6±3.4%)または24時間後(72.8±2.9%)に有意に影響を受けなかった(1要因の分散分析)。C57Bl6系においては、[14C]スクロースおよび[3H]マンニトールによって測定した全ての脳領域における血管空間は、DV(1mg/kg、図15B)の腹腔内注入から2時間後に有意に影響を受けなかった。
【0085】
以下の参考文献を本明細書において引用する。
【表2】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願は、現在は放棄されている、2008年12月31日に出願された、米国仮特許出願第60/204,064号の米国特許法第119(e)条下の優先権の利益を主張し、この出願のその全体が、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、脳卒中および血管新生の分野に関する。より具体的には、本発明は、脳卒中によって生じる血管新生の増強剤およびその使用に関する。
【0003】
関連技術分野の説明
脳卒中からの脳の回復は、患部への血液供給の回復(血管新生)およびニューロンの回復(神経新生)を含む複雑なシステムである。血管新生のために、内皮細胞の増殖が、早くも12〜24時間で起こり得る。その後、これらの新たに生成された細胞は、血管内皮細胞成長因子(VEGF)および血小板由来成長因子(PDGF)などの多くの内皮細胞マイトジェンに応答して虚血脳領域の方へと遊走し、そして3〜7日後には梗塞周辺皮質において新たな血管を形成する。その後、血管新生は、少なくとも21日間続く。重要なことには、げっ歯類において脳卒中後の血管新生を増加させる薬物であるナイアスパンは、脳卒中からの機能的な回復を改善し、このことは、脳卒中後の脳の血管新生の増強により、脳卒中の予後は改善され得ることを示唆する。さらに、脳の血管新生は、血液脳関門の形成、ニューロングリア環境への包埋、異なるマトリックスレセプター発現、および発生後の血管新生が比較的に難しいことを含む、脳の脈管構造の独特な特性に因り、脳以外の血管新生とは異なっている。
【0004】
Ohab et al. (1)は、げっ歯類において、脳卒中後に遊走する未成熟のニューロン(神経芽細胞)が、必然的に修復的な血管新生と神経新生とを連関させる「神経血管微小環境」において、再構築中の血管と会合することを実証した。新たに産生された脈管構造は種々の成長因子の産生によって神経新生を促進し、そしてこれは、新生ニューロンのための足場として作用し、梗塞組織の方へと新生ニューロンが遊走することを可能とするようである。ニューロンおよび内皮細胞の成熟に加えて、神経血管微小環境は、血管新生中に分泌されそして活発に再構築される細胞外マトリックス(ECM)を含み、この細胞外マトリックスは、細胞の遊走および血管の形態形成を可能にする。このような細胞外マトリックス成分の1つであるパールカンは、神経血管微小環境にとって必須である。マウスにおいて、パールカンの欠損により重度に神経新生が損なわれ、これは、神経新生の支持のためにパールカンが提供する、神経新生性因子の捕捉がなされない事に因る。
【0005】
脳卒中の最中および脳卒中後のマトリックス再構築は、損傷および修復後の脳修復の重要な部分であり、このことはさらに、パールカンの重要性を指摘する。脳卒中においては、死に行く炎症細胞および浸潤性の炎症細胞が、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を放出し、これは、血液脳関門を撹乱しそして細胞外マトリックスをタンパク質分解的にプロセシングする。細胞外マトリックスの初期のプロセシングおよび分解が、主たる脳卒中の悪影響として考えられるが、マトリックスタンパク質分解の1つの影響は、生物活性なマトリックスフラグメントの生成である。実際に、多くのマトリックス成分が、そのC末端領域において生物活性なマトリックスフラグメントを有し、これは、中枢神経系以外では血管新生を阻害し得ることが知られている(2−3)。パールカンは、脳卒中後に最も感受性が高くそして急速にプロセシングされるマトリックス成分であるという特徴を有する。パールカンのタンパク質分解は、非ヒト霊長類において中大脳動脈の閉塞から2時間以内に起こり、そして少なくとも7日間持続する。
【0006】
パールカンは、5つのドメインから構成され、その各々が、他のタンパク質に対する配列相同性を有する。ドメインV(DVまたはエンドレペリン)として知られるパールカンのC末端フラグメントは、3つのラミニン球状(LG)ドメインからなり、これは各々が2つの上皮成長因子(EG)様ドメインによって隔てられている。ドメインVおよびそのLG3フラグメントは、通常、ヒトの尿、血液および脳脊髄液プロテオームに見られる。ドメインVは、α2β1インテグリンのα2サブユニットに結合することによって、遊走および毛細血管の形態形成を含む、脳以外の内皮細胞のいくつかの血管新生機能を阻害する。ドメインVとα2β1との相互作用は、血管新生促進性のコラーゲンとα2β1との相互作用とは異なり、逆の結果をもたらすようである。ドメインVは、脳以外の起源のいくつかの内皮細胞型においては、抗血管新生性として特徴付けられている(4−5)。
【0007】
これにも関わらず、先行技術では、血管新生増強剤が、不十分である。本発明は、当技術分野におけるこの昔から現存する必要性を充足する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ドメインVが、脳の血管新生、および神経血管微小環境における内皮細胞とニューロンとの間の相互作用を増強することを示す。ドメインVは、α5β1インテグリンと相互作用し、α5β1インテグリンの細胞内分布に影響を及ぼし、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮する。これらの観察は、ドメインVと抗血管新生性のα2β1インテグリンの脳内皮細胞発現の欠如と一致し、そして、脳の血管新生は、脳以外の血管新生とは異なって調節され得るという概念と一致する。それ故、本発明は、パールカンの増加しかつ持続したタンパク質分解によって脳卒中後に生成したドメインVが、脳卒中後の血管新生を刺激し、脳卒中後の神経新生および定方向の神経芽細胞の遊走に必要な神経血管微小環境の形成を育成し、そしてその結果として前記ドメインVが、脳の自己修復機序の一成分であり、治療的に活用することができ、脳卒中からの回復を改善することを示す。
【0009】
本発明の1つの態様において、患者における血管新生を刺激または増強する方法が提供され、これは、前記患者に、治療有効量のエンドレペリンタンパク質を投与する工程、ここで前記エンドレペリンタンパク質は、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログのアミノ酸配列を有する;および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。
【0010】
本発明の別の関連した態様において、患者における血管新生を刺激または増強する方法が提供され、これは、前記患者に、治療有効量のエンドスタチンタンパク質、またはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを投与する工程;および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。
【0011】
本発明の別の態様において、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。
【0012】
本発明の別の態様において、エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物の方法が提供される。
【0013】
添付の図面は、前記に列挙した本発明の特徴、利点および目的が明瞭となるように、そして詳細に理解できるようにするために本明細書に含まれている。これらの図面は明細書の一部を形成する。しかしながら、添付の図面は本発明の好ましい態様を説明するものであり、本発明の範囲を制限するものと考えるべきではないことを注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1A〜1Bは、脳卒中が、脳内ドメインVレベルの増加を引き起こすことを示す。Harlan Sprague Dawleyラットに、エンドセリン−1の定位的注入を行ない、中大脳動脈(MCAo)を閉塞させた。ラットに、ケタミンおよびキシラジンを用いて麻酔をかけ、そして頭蓋を曝した後、十字縫合に対して前方+0.9mm、外側に+3.4mm、そして硬膜表面から8.5mmの深さの定位座標で左に小さな穴をドリルで開けた後、3mlのエンドセリン−1(1mg/ml、American Peptide Company, CA)を注入した。図1A:脳卒中から7日後の同じ単一ラットからの脳卒中を起こした(2)および脳卒中を起こしていない(1)大脳半球に由来するドメインVおよびGAPDH(ローディングする対照)についての代表的なウェスタンブロット。脳卒中を起こした大脳半球は、GAPDHに対して正規化しそして図1Bの(DVが示されている)吸光度測定法を介して分析したところ、脳卒中を起こしていない半球よりも、多くの(p<0.0001)ドメインV(85kDaバンド)およびそのLG3(26kDaバンド)成分(p<0.001)を含んでいた。
【図1B】図1A〜1Bは、脳卒中が、脳内ドメインVレベルの増加を引き起こすことを示す。Harlan Sprague Dawleyラットに、エンドセリン−1の定位的注入を行ない、中大脳動脈(MCAo)を閉塞させた。ラットに、ケタミンおよびキシラジンを用いて麻酔をかけ、そして頭蓋を曝した後、十字縫合に対して前方+0.9mm、外側に+3.4mm、そして硬膜表面から8.5mmの深さの定位座標で左に小さな穴をドリルで開けた後、3mlのエンドセリン−1(1mg/ml、American Peptide Company, CA)を注入した。図1A:脳卒中から7日後の同じ単一ラットからの脳卒中を起こした(2)および脳卒中を起こしていない(1)大脳半球に由来するドメインVおよびGAPDH(ローディングする対照)についての代表的なウェスタンブロット。脳卒中を起こした大脳半球は、GAPDHに対して正規化しそして図1Bの(DVが示されている)吸光度測定法を介して分析したところ、脳卒中を起こしていない半球よりも、多くの(p<0.0001)ドメインV(85kDaバンド)およびそのLG3(26kDaバンド)成分(p<0.001)を含んでいた。
【図2A】図2A〜2Bは、ドメインVが、脳内皮細胞毛細血管の形成を増強することを示す。図2A:細胞インキュベーター(NuAire, Plymouth, MN)中の、10%ウシ胎児血清、ヘパリン10mg/ml、および酸性FGF50ng/mlを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で慣用的に増殖および継代したラット脳内皮細胞(8)を、30分間かけて、マトリゲルでコーティングしたウェル(ドメインV±機能遮断a5b1抗体(10mg/ml)とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)に加えた。図2B:9時間後、ドメインVで処置した細胞は、対照よりも多くの(**p<0.0001)細管を形成し、これは次いで、抗a5b1抗体によって有意に遮断された(*p<0.001、DVによる処置と比較)。エラーバー=標準偏差、n=3回の実験、HPF=高倍率視野。
【図2B】図2A〜2Bは、ドメインVが、脳内皮細胞毛細血管の形成を増強することを示す。図2A:細胞インキュベーター(NuAire, Plymouth, MN)中の、10%ウシ胎児血清、ヘパリン10mg/ml、および酸性FGF50ng/mlを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で慣用的に増殖および継代したラット脳内皮細胞(8)を、30分間かけて、マトリゲルでコーティングしたウェル(ドメインV±機能遮断a5b1抗体(10mg/ml)とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)に加えた。図2B:9時間後、ドメインVで処置した細胞は、対照よりも多くの(**p<0.0001)細管を形成し、これは次いで、抗a5b1抗体によって有意に遮断された(*p<0.001、DVによる処置と比較)。エラーバー=標準偏差、n=3回の実験、HPF=高倍率視野。
【図3】図3は、ドメインVが、脳内皮細胞毛細血管の形成およびニューロンとの相互作用を刺激することを示す。ラット脳内皮細胞(赤色、抗フォン・ヴィルブランド因子抗体を用いて染色、Dako)を、小脳顆粒ニューロン(緑色、抗TUJ1抗体を用いて染色、Dako)の層に加え、そしてその後、ドメインV(300nM)またはビヒクル対照で処置した。対照においては、内皮細胞は、ニューロンから離れて、別個の島を形成するが、一方、ドメインVによる処置は、ニューロン付近に毛細血管を形成した。
【図4】図4は、ドメインVが、α5β1インテグリンの再分布を引き起こすことを示す。ラミニン上の脳内皮細胞を、ドメインV(300nM)またはビヒクル対照を用いて2時間かけて処置した。その後、細胞を固定し、そしてα5β1インテグリン(緑色)およびDAPI核対比染色(青色)について免疫染色し、そして共焦点顕微鏡によって可視化した。ドメインVによる処置により、血管新生内皮細胞において一般的に見られる細胞表面突起へのα5β1の再分布がもたらされた。
【図5】図5は、ドメインVが、脳内皮細胞の接着を支持することを示す。脳内皮細胞(α5β1機能遮断抗体とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)を、1%BSAまたはドメインVでコーティングしたウェルに加え、その後、固定し、染色し、そしてOD560での分光測定を行なった。有意により多い(#、p<0.001)脳内皮細胞が、BSAよりもドメインVに接着し、これは次いで、a5b1機能遮断抗体の添加によって有意に(*、p<0.001)阻害された。n=3。エラーバー=標準偏差。
【図6A】図6A〜6Bは、周産期の動脈性虚血性脳卒中(PAS)後のドメインVによる処置により、脳の表面および脳卒中の境界域の脈管構造が増加することを示す。7日齢のラットにおいて一過性の中大脳動脈閉塞を、エンドセリン−1の定位的注入を介して誘導した。その後、動物は、脳卒中から24時間後および72時間後に、0.5mg/kgの滅菌ろ過したドメインVまたはPBSビヒクル対照の腹腔内注入を受けた。脳卒中から5日後に、動物の脳を取り出し、そして脳卒中を起こした脳表面の脈管構造を画像撮影し、その後、凍結組織切片のフォン・ヴィルブランドによる免疫組織化学を行なって、境界域の脈管構造を分析した。ドメインVによる処置により、脳表面の血管過多、および脳卒中の境界域の脈管構造の有意な(p<0.001)増加がもたらされた。
【図6B】図6A〜6Bは、周産期の動脈性虚血性脳卒中(PAS)後のドメインVによる処置により、脳の表面および脳卒中の境界域の脈管構造が増加することを示す。7日齢のラットにおいて一過性の中大脳動脈閉塞を、エンドセリン−1の定位的注入を介して誘導した。その後、動物は、脳卒中から24時間後および72時間後に、0.5mg/kgの滅菌ろ過したドメインVまたはPBSビヒクル対照の腹腔内注入を受けた。脳卒中から5日後に、動物の脳を取り出し、そして脳卒中を起こした脳表面の脈管構造を画像撮影し、その後、凍結組織切片のフォン・ヴィルブランドによる免疫組織化学を行なって、境界域の脈管構造を分析した。ドメインVによる処置により、脳表面の血管過多、および脳卒中の境界域の脈管構造の有意な(p<0.001)増加がもたらされた。
【図7】図7は、投与したドメインVが、免疫組織化学によって脳卒中および梗塞周辺組織に局在することを示す。ドメインVまたはPBSビヒクル対照で処置した脳卒中を起こした動物由来の凍結組織切片を、フォン・ヴィルブランド因子およびHISエピトープに対して向けられた抗体を用いた免疫組織化学を介して処理して、それぞれ血管および投与したドメインVを可視化した。脳卒中を起こした組織および脳卒中の梗塞周辺の脳組織において、ドメインVが豊富であった。ここでドメインVは、血管周囲の分布域に蓄積した。これに対し、ドメインVは、同じドメインVで処置した動物の対応する脳卒中を起こしていない反対側の脳組織には全く検出されず、このことは、ドメインVが、脳卒中を起こした組織および梗塞周辺の脳組織へと特異的に向かうことを示唆する。
【図8】図8は、投与したドメインVが、ウェスタンイムノブロットによって脳卒中の脳組織に局在することを示す。PBSまたはドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした同側(I)の脳組織または対応する反対側(C)の脳卒中を起こしていない組織の溶解液を、ドメインVに対する抗体(内因性および投与したDVを検出する)、HISに対する抗体(投与したドメインVのみを検出する)およびGAPDHタンパク質ローディング対照に対する抗体を用いてのウェスタンブロットによって分析した。85kDaのバンドが抗ドメインVおよび抗HISについて示されている。PBS(p<0.001)およびドメインV(p<0.00001)で処置した動物の両方において(後者の方が、外的に投与したドメインVに因りさらにより多くのドメインVが検出された)、GAPDHローディング対照に対して正規化した場合、反対側の組織と比較して脳卒中を起こした組織において、有意により多くのドメインVが検出された。抗HIS抗体によって検出される投与したドメインVは、ドメインVで処置された動物の脳卒中を起こした皮質に由来する溶解液中にのみ検出することができた。
【図9A】図9A〜9Bは、ドメインVによる処置により、梗塞周辺脳組織において新生ニューロンの数が増加することを示す。図9A:凍結組織切片を、新生ニューロンのマーカーであるダブルコルチンについて免疫染色し、そしてPBSおよびドメインVで処置した動物の梗塞周辺脳組織における1つの高倍率視野(HPF、1匹の動物あたり20画像)あたりのダブルコルチン陽性なピクセルの平均%を、Adobe Photoshopを用いて定量した。有意により多くのダブルコルチンのピクセルを、ドメインVで処置された動物において検出した(*=p<0.0001)。図9B:抗HIS抗体(赤色)を用いて検出される密接に会合した投与ドメインVを有する、梗塞周辺血管と密接に会合したいくつかの異なるダブルコルチン(緑色)陽性ニューロンを示すドメインV処置動物の免疫組織化学。細胞核を、DAPI(青色)を用いて対比染色する。
【図9B】図9A〜9Bは、ドメインVによる処置により、梗塞周辺脳組織において新生ニューロンの数が増加することを示す。図9A:凍結組織切片を、新生ニューロンのマーカーであるダブルコルチンについて免疫染色し、そしてPBSおよびドメインVで処置した動物の梗塞周辺脳組織における1つの高倍率視野(HPF、1匹の動物あたり20画像)あたりのダブルコルチン陽性なピクセルの平均%を、Adobe Photoshopを用いて定量した。有意により多くのダブルコルチンのピクセルを、ドメインVで処置された動物において検出した(*=p<0.0001)。図9B:抗HIS抗体(赤色)を用いて検出される密接に会合した投与ドメインVを有する、梗塞周辺血管と密接に会合したいくつかの異なるダブルコルチン(緑色)陽性ニューロンを示すドメインV処置動物の免疫組織化学。細胞核を、DAPI(青色)を用いて対比染色する。
【図10】図10は、ドメインVが、皮質ニューロンの遊走を増強することを示す。胎生15日齢のC57Bl6マウスの皮質ニューロン(100nMまたは200nMのドメインVとの30分間のプレインキュベーションを含むまたは含まない)を、改変ボイデンチャンバーの上のウェル(3×103個/ウェル)に加え、そしてI型コラーゲンでコーティングされたポリカーボネート膜を横切って8時間かけて(37℃で)、何も含まないか(遊走対照)または神経成長因子(NGF、1ウェルあたり4nM)を含む下のウェルに向けて遊走させた。各々の条件についてN=3。ドメインVのプレインキュベーションは、有意にそして用量依存的に、皮質ニューロンの遊走を増強させ、このことは、前記ドメインVが、ニューロンに対して直接的で潜在的な治療効果を有し得ることを示唆する。*=p<0.001、**=p<0.0001。バーは標準誤差である。
【図11】図11は、ドメインVが、エンドセリン−1動物脳卒中モデルにおいて機能的/運動的予後を改善することを示す。脳卒中を起こした動物または偽の手術対照を、直径20cm×高さ35cmの透明な円柱に3分間入れて、肢の優先性およびいずれかの前肢で体重を支えるその能力を試験した(6)。動物が後足で立ち、環境を探索するようになると、両足の着地の回数、病変と同側(右)の足の着地の回数、および病変とは反対側(左)の足の着地の回数を計測する。足の接触をビデオテープに撮り、そして後で分析した。同側の肢の使用率を、同側接触/(同側の接触+反対側の接触)×100の式を使用して計算した。1つの処置群あたりN=5匹、*p<0.05、**p<0.001、脳卒中を起こしたドメインVで処置したものと、脳卒中を起こしたPBSで処置したものとを比較。脳卒中後の3日目以降から、偽の対照とドメインVで処置した脳卒中を起こした動物との間の統計学的な差異はなかった。ドメインVで処置した動物を、脳卒中後の1、3、5、7日目に0.5mg/kgで処置した。
【図12A】図12A〜12Bは、BDNFに対するドメインVの効果を示す。図12A:24時間の経過におよぶ、脳内皮細胞+/−ドメインV+/−α5β1抗体(α5リガンド結合ドメインに対して作られた)+/−SNAKA51(α5β1活性化抗体)に由来する馴化培地のBDNFのELISA。これは、ドメインV(**p=0.0025)、α5β1抗体(*p=0.0001)およびSNAKA51(#p=0.0007)全てにより、BDNFレベルが有意に増加することを実証する。α5β1抗体およびドメインVの同時添加により基線のBDNF放出レベルが得られ、一方、SNAKA51およびドメインVにより、BDNFレベルがさらに増加するが、この増加は統計学的に有意ではなかった(p=0.06)。図12B:脳卒中後3日目および7日目におけるPBSビヒクル対照またはドメインVで処置した動物における、同側脳卒中脳組織の代表的なBDNFウェスタンブロット。図12C:PBS処置動物の対応する日と比較した場合の、ドメインV処置による脳卒中後3日目および7日目における脳卒中後のBDNFレベルの有意な増加(*p=0.006、**p=0.0001)を実証する、BDNFウェスタンブロットの定量、3回の別々のウェスタンブロットからの平均値±標準誤差が示されている。
【図12B】図12A〜12Bは、BDNFに対するドメインVの効果を示す。図12A:24時間の経過におよぶ、脳内皮細胞+/−ドメインV+/−α5β1抗体(α5リガンド結合ドメインに対して作られた)+/−SNAKA51(α5β1活性化抗体)に由来する馴化培地のBDNFのELISA。これは、ドメインV(**p=0.0025)、α5β1抗体(*p=0.0001)およびSNAKA51(#p=0.0007)が全てにより、BDNFレベルが有意に増加することを実証する。α5β1抗体およびドメインVの同時添加により基線のBDNF放出レベルが得られ、一方、SNAKA51およびドメインVにより、BDNFレベルがさらに増加するが、この増加は統計学的に有意ではなかった(p=0.06)。図12B:脳卒中後3日目および7日目におけるPBSビヒクル対照またはドメインVで処置した動物における、同側脳卒中脳組織の代表的なBDNFウェスタンブロット。図12C:PBS処置動物の対応する日と比較した場合の、ドメインV処置による脳卒中後3日目および7日目における脳卒中後のBDNFレベルの有意な増加(*p=0.006、**p=0.0001)を実証する、BDNFウェスタンブロットの定量、3回の別々のウェスタンブロットからの平均値±標準誤差が示されている。
【図12C】図12A〜12Bは、BDNFに対するドメインVの効果を示す。図12A:24時間の経過におよぶ、脳内皮細胞+/−ドメインV+/−α5β1抗体(α5リガンド結合ドメインに対して作られた)+/−SNAKA51(α5β1活性化抗体)に由来する馴化培地のBDNFのELISA。これは、ドメインV(**p=0.0025)、α5β1抗体(*p=0.0001)およびSNAKA51(#p=0.0007)が全てにより、BDNFレベルが有意に増加することを実証する。α5β1抗体およびドメインVの同時添加により基線のBDNF放出レベルが得られ、一方、SNAKA51およびドメインVにより、BDNFレベルがさらに増加するが、この増加は統計学的に有意ではなかった(p=0.06)。図12B:脳卒中後3日目および7日目におけるPBSビヒクル対照またはドメインVで処置した動物における、同側脳卒中脳組織の代表的なBDNFウェスタンブロット。図12C:PBS処置動物の対応する日と比較した場合の、ドメインV処置による脳卒中後3日目および7日目における脳卒中後のBDNFレベルの有意な増加(*p=0.006、**p=0.0001)を実証する、BDNFウェスタンブロットの定量、3回の別々のウェスタンブロットからの平均値±標準誤差が示されている。
【図13A】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13B】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13C】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13D】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13E】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13F】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13G】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図13H】図13A〜13Hは、ドメインVが、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示す。図13A;固定したBSA(陰性対照)またはドメインV+/−α5β1機能遮断抗体(10mg/ml)に対する代表的な脳内皮細胞接着アッセイの定量であって、これは、ドメインVが、BSAと比較して有意により多くの細胞接着を支持し(**p<0.00005)、これはα5β1機能遮断抗体によって有意に(*p=0.0007)阻害され得ることを実証する。図13B:α5β1−DV ELISAは、ドメインVが、用量依存的に、約30nMのKdで、固定したα5β1インテグリンに結合することを実証する。Tween20陰性対照も、示されている。図13C:3%ウシ胎児血清(対照)またはDV+/−α5β11−GSTまたはフィブロネクチン−GST(陰性対照(ケモアトラクタントを全く含まない)に対して正規化されている)に向かって遊走する細胞の定量であって、これは、ドメインVが、3%血清と同じくらいに強力なケモアトラクタントであり、これはα5β1−GST(*p=0.02)またはフィブロネクチン−GST(**p=0.01)によって有意に阻害され得ることを実証し、エラーバーは標準偏差である。図13D:12時間後のマトリゲル上の脳内皮細胞、+/−ドメインV+/−α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)の代表的な画像であって、これは、CRRETAWACが、DVによる細管様構造形成の増強を阻害することを実証する。図13E:(図13D)におけるマトリゲル細管実験の定量であって、これは、細管様構造の形成を有意に(*p=0.0003)増強したドメインVが、CRRETAWACによって有意に(**p=0.001)阻害されたことを実証する。図13F:8時間にわたり+/−ドメインVを用いた、血清を欠乏させたコンフルエントな脳内皮細胞の代表的なa5b1のウェスタンブロット(GAPDHローディング対照を含む)であって、これは、全細胞のα5β1レベルが、対照においては8時間かけて消失するが、一方、ドメインVは、α5β1レベルを維持することを実証する。図13G:脳内皮細胞のa5b1免疫細胞化学であって、これは、ドメインVへの曝露が、α5β1の局在を、均一な細胞内分布から表面/葉状仮足へとシフトさせることを実証する。図13H:PBSでおよびドメインVで処置した動物に由来する脳卒中を起こした(I)および反対側(C)の脳卒中後の3日目の脳組織の代表的なウェスタンブロット(対応するGAPDHローディング対照を含む)であって、これは、ドメインVでの処置による、脳卒中を起こした全体の脳内α5β1レベルの有意な増加を実証する。
【図14A】図14A〜14Bは、C57細胞におけるDVの細胞増殖活性に対するα2β1の効果を示す。図14A:細胞培地対照と比較したところ、DVにより、マウス脳内皮細胞の増殖が増加し、これは、VEGF中和抗体またはα5β1インテグリン機能遮断抗体の添加によって遮断され得る。図14B:細胞にα2β1インテグリンを添加すると、細胞の増殖は、増加するよりもむしろ抑制される。バーは、平均値+/−標準偏差である(図14B)。**p<0.01。##p<0.01。
【図14B】図14A〜14Bは、C57細胞におけるDVの細胞増殖活性に対するα2β1の効果を示す。図14A:細胞培地対照と比較したところ、DVにより、マウス脳内皮細胞の増殖が増加し、これは、VEGF中和抗体またはα5β1インテグリン機能遮断抗体の添加によって遮断され得る。図14B:細胞にα2β1インテグリンを添加すると、細胞の増殖は、増加させるよりもむしろ抑制される。バーは、平均値+/−標準偏差である(図14B)。**p<0.01。##p<0.01。
【図15A】図15A〜15Bは、Balb/c(図15A)およびC57Bl6(図15B)系のマウスにおける血管間空間に対するDVの効果を示す。図15A:DVの非存在下(0時間の対照)および存在下(8時間および24時間)において測定した、BALB/c系における[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースのR組織値。[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースの両方についての3つの実験群間の差異は、領域中の差異の影響を可能とさせた後に偶然に期待されるであろうものよりも大きくない(*P>0.05;2要因の分散分析)。各々の群についてn=4。平均値±SEM。図15B:C57Bl6系におけるDVの非存在下(0時間の対照)および存在下(2時間)において測定した、[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースのR組織値。[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースの両方についての実験群間の差異は、領域中の差異の影響を可能とさせた後に偶然に期待されるであろうものよりも大きくない(*P>0.05;2要因の分散分析)。各々の群についてn=5。平均値±SEM。
【図15B】図15A〜15Bは、Balb/c(図15A)およびC57Bl6(図15B)系のマウスにおける血管間空間に対するDVの効果を示す。図15A:DVの非存在下(0時間の対照)および存在下(8時間および24時間)において測定した、BALB/c系における[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースのR組織値。[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースの両方についての3つの実験群間の差異は、領域中の差異の影響を可能とさせた後に偶然に期待されるであろうものよりも大きくない(*P>0.05;2要因の分散分析)。各々の群についてn=4。平均値±SEM。図15B:C57Bl6系におけるDVの非存在下(0時間の対照)および存在下(2時間)において測定した、[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースのR組織値。[3H]マンニトールおよび[14C]スクロースの両方についての実験群間の差異は、領域中の差異の影響を可能とさせた後に偶然に期待されるであろうものよりも大きくない(*P>0.05;2要因の分散分析)。各々の群についてn=5。平均値±SEM。[発明の詳細な説明]
【0015】
特許請求の範囲および/または明細書中の「含む」という用語と共に使用されている場合の「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語の使用は、「1つの
(one)」を意味し得るが、しかしそれはまた「1つ以上」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは1つより多くの」の意味とも一致する。本発明のいくつかの態様は、本発明の1つ以上の要素、方法の工程、および/または方法からなり得るか、または本質的にそれからなり得る。本明細書に記載した任意の方法または組成物を、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物に対して実行することができると考えられる。
【0016】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢の一方のみを指すかまたは選択肢は互いに排他的であると特記されていない限り、開示物が、選択肢の一方のみおよび「および/または」を指す定義を支持していても、「および/または」を意味するために使用される。
【0017】
本発明は、患者における血管新生を刺激または増強する方法を提供し、これは、前記患者に、治療有効量のエンドレペリンタンパク質を投与する工程(前記エンドレペリンタンパク質は、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログのアミノ酸配列を有する);および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。好ましくは、パールカンのドメインVのフラグメントは、パールカンのドメインVに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を有する。パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを、当業者によって容易に決定できるような任意の有用な方法によって投与し得る。さらに、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを、患者の体重あたり約0.1mg/kgから約10mg/kgの量で投与し得る。典型的には、投与により、ニューロン内の脳内皮細胞毛細血管形成、および/または脳内皮細胞中の血管新生促進性α5β1インテグリンの発現増加が起こる。
【0018】
本発明はまた、患者における血管新生を刺激または増強する方法を提供し、前記患者に、治療有効量のエンドスタチンタンパク質、またはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを投与する工程;および血管の生成を刺激または増強する工程を含む。好ましくは、エンドスタチンのフラグメントは、エンドスタチンに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を有する。一般的に、当業者は、有用なフラグメントまたは誘導体を容易に誘導することができるだろう。エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを、当業者によって容易に決定できるような任意の有用な方法によって投与し得る。一般的に、エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを、患者の体重あたり約0.1mg/kgから約10mg/kgの量で投与し得る。投与により、ニューロン内の脳内皮細胞毛細血管形成が起こる。
【0019】
本発明はまた、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン化合物、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物も提供する。
【0020】
本発明はまた、エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン化合物、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明はまた、エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0022】
本明細書において開示した組成物を、単独でまたは別の薬物もしくは化合物と組み合わせてのいずれかで投与し得る。このような薬物または化合物を、本明細書において開示した組成物と同時にまたは連続的に投与し得る。組成物との共投与の効果は、処置される疾病に対して少なくとも最小限の薬理学的または治療的な効果を及ぼすことが知られる、通常必要とされる薬物または化合物の用量を下げることである。
【0023】
本明細書において記載した組成物および薬物または化合物を、独立して、全身的にまたは局所的にのいずれかで、当技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、皮下、静脈内、非経口、腹腔内、皮内、筋肉内、局所的、腸内、直腸内、鼻腔内、頬側内、膣内、または吸入スプレーによって、薬物ポンプによって、または経皮パッチもしくはインプラント内に含ませて投与し得る。本明細書に記載した組成物の投与製剤は、投与法に適した従来の無毒性で生理学的にまたは薬学的に許容可能な担体もしくはビヒクルを含み得る。
【0024】
本明細書において記載した組成物および薬物または化合物を、独立的に1回以上投与し、治療効果を達成、維持または改善してもよい。用量を決定すること、あるいは組成物および薬物もしくは化合物のいずれかまたは両方の適切な投与量が、単回投与量または複数回投与量を含むかどうかを決定することは十分に当業者の技能範囲内である。
【0025】
当技術分野においては周知のように、任意の特定の患者に対して生じるそのこのような組成物の具体的な用量レベルは、使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、排泄速度、薬物併用、および療法を受ける特定の疾病の重篤度を含む、多種多様な因子に依存する。投与責任者が、個々の対象のための適切な用量を決定する。さらに、ヒトへの投与のために、調製物は、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような無菌性、発熱物質非含有性、全般的な安全性および純度基準を満たすべきである。
【0026】
患者または対象への本発明の組成物の投与は、組成物中および/または併用療法の態様における成分の毒性(存在する場合)を考慮に入れて、脳血管疾病または疾患の処置に使用される療法の投与のための一般的なプロトコールに従う。処置サイクルを、必要に応じて繰り返すことが考えられる。また、種々の標準療法並びに手術的介入も、記載の療法と組み合わせて適用し得ることが考えられる。
【0027】
当業者には公知のように、本明細書に記載の組成物を、公知の任意の薬理学的に許容可能な担体と共に投与し得る。さらに、前記組成物を、皮下、鼻腔内または粘膜などの公知の任意の投与経路を介して投与することができる。さらに、投与しようとする組成物の用量を、当業者には公知であるような実験を実施することによって決定することができる。
【0028】
以下の実施例は、本発明の種々の態様を説明する目的で示され、いずれにしても本発明を制限する意味はない。当業者は、目的を実施しそして記載の結論および利点を得るように本発明を上手に適応させること、並びに、本明細書に固有のそのような目的、結論および利点を容易に理解するだろう。特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神内に包含される本明細書における変更および他の使用が、当業者には考えられるだろう。
【0029】
実施例1
内皮細胞
ヒト臍静脈(HUVEC)および脳微小血管内皮細胞を、それぞれLonza(Basel, Switzerland)およびCell Systems(Kirkland, WA)から購入し、そして業者の指示通りに継代した。マウスおよびラットの脳微小血管内皮細胞は、Jane Welsh, Texas A&M Universityによって提供され、そして記載(5)の通りに継代した。
【0030】
実施例2
ドメインVおよびエンドスタチン
ヒトエンドスタチンを、Cell Sciences, Inc.(Canton, MA)およびSigma Chemical(St. Louis, MO)から購入した。ドメインV(DV)を、ベクターpSecTag2A(Invitrogen, Carlsbad, CA)にクローニングし、そしてトランスフェクションされた293FT(ATCC, Manassas, VA)細胞から、そのC末端6×HisタグおよびNi−ATAアガロースビーズ(Qiagen, Valencia, CA)カラムクロマトグラフィーを介して精製した。透析したDV(PBSに対して)の純度を、抗DV抗体(R&D systems, Minneapolis, MN)および抗his抗体(EMD Chemicals, Gibbstown, NJ)を用いてのSDS−PAGEおよびウェスタンブロットを介して確認した。以前に実証された抗血管新生性濃度のDV(250nM)およびエンドスタチン(600ng/ml)および熱で失活させた対照(100℃で30分間)を用いての30分間の前処置を、全ての実験について使用した。全ての記載した実験について、N=15である(5つの別々の実験、各々の条件は3重に実施した)。Sigmastatソフトウェアパッケージを用いてのスチューデント独立t検定によって、全ての実験についての統計学的有意性(p<0.05)を決定した。
【0031】
実施例3
エンドセリン−1による中大脳動脈in vivo脳卒中モデル
Harlan Sprague Dawleyラット(n=10)に、エンドセリン−1(American Peptide Company, Sunnyvale, CA)またはPBS注入を用いて中大脳動脈閉塞の定位的手術を行なった。ラットを、手術から3日後または7日後に絶ち、そして脳組織をドメインVおよびGAPDHウェスタンイムノブロット分析のために処理した。
【0032】
実施例4
In vitroにおける血管新生アッセイ
マトリゲル実験を、記載(7)の通りに実施した。12〜18時間後、細胞を撮影し、そして細管形成をAdobe Photoshop CSを用いて定量した(細管のピクセル/高倍率視野、1つの条件につき10箇所の領域)。細胞の遊走を、製造業者の指示に従って、改変ボイデンチャンバー(NeuroProbe, Gaithersburg, MD)を用いて評価した。I型コラーゲンでコーティングされたポリカーボネート膜を横切って、無血清培地+/−3%ウシ胎児血清の方へと向かう遊走を、6〜8時間後に評価した。MTS溶液と共にVEGF20ng/mlを含む無血清培地(Promega, Madison, WI)中で製造業者の指示に従って48時間後に増殖を評価した。
【0033】
実施例5
ニューロン−脳内皮細胞の共培養細管形成アッセイ
生後8日目のラットから単離した大脳顆粒ニューロンを、ラミニン(Invitrogen)でプレコーティングしたチャンバースライドに加え、そして一晩増殖させた。その後、脳内皮細胞を一晩かけて加え、その後、無血清培地中で2〜6時間かけて実験的な処置を行なった。固定した細胞を、共焦点顕微鏡(Zeiss, New York, NY)のために抗フォン・ヴィルブランド因子抗体(Dako, Denmark)または抗TUJ1抗体(Neuromics, Edina, MN)および適切な蛍光色素でタグ化した二次抗体(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)を用いて免疫染色した。
【0034】
実施例6
結果
ピークの梗塞周囲の血管新生は、3〜7日後に始まるので、同じ動物に由来する、脳卒中を起こしたおよび脳卒中を起こしていない対照の大脳半球を、ドメインVレベルについて、脳卒中から3日後および7日後にウェスタンイムノブロットによって調べた(各時点についてn=5)。脳卒中の誘発から3日後に、脳卒中を起こした大脳半球におけるドメインVの530%±20%(標準偏差)の増加を、GAPDHローディング対照に対して正規化しそして光学密度測定法(ImageJ, NIHソフトウェア)によって定量して実証した(スチューデント独立t検定によってp<0.001)(図1A〜1B)。
【0035】
DVが脳の血管新生に影響を及ぼす能力、およびこの過程におけるa5b1インテグリンの関与を、in vitroにおける毛細血管アッセイを使用して調べた。ラット脳微小血管内皮細胞(50,000個の細胞/ウェル、Jane Welsh, Texas A&Mによって提供)(8)を、マトリゲル(毛細血管形成を刺激する血管基底膜に似た物質、25ml/ウェル、BD Biosciences)でコーティングされた24ウェルプレートのウェルに加えた(DV(200nM)±機能的遮断α5β1抗体(10mg/ml、図2A)とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)。9時間後、DVで処置した脳内皮細胞は、非処置対照と比較して有意により多くの毛細血管を形成した(p<0.0001)。この効果は、次いで、抗α5β1抗体によって有意に遮断された(p<0.001、DV処置のみと比較して、図2B)。抗α5β1遮断抗体のみを用いての前処置では、細管形成は有意な影響を受けなかった(p=0.3)。
【0036】
次に、DVが脳内皮細胞とニューロンとの間の相互作用、すなわち神経血管微小環境に影響を及ぼし得るかどうかを決定するために、生後8日目のラット大脳(これにより95%を超える純粋な新生顆粒ニューロンの培養(10)が得られた)から得た一次ニューロンの層に脳内皮細胞を加えた、脳内皮細胞顆粒ニューロン共培養アッセイを開発した。。ニューロン(5×104個の細胞/ウェル)を、ラミニンでプレコーティングした8つのチャンバーウェルスライドに加え、そして37℃で一晩増殖させた。次の日、脳内皮細胞を加え(3×104個の細胞/ウェル)、そして一晩増殖させ、その後、無血清培地中で6時間かけてDVを用いて処置した。このアッセイにおいて、脳内皮細胞は、急速に(2〜3時間以内に)ニューロンから離れ、別個の内皮細胞島を形成する。DVによる処置により、ニューロン内で劇的な脳内皮細胞の毛細血管形成が行なわれた(図3)。
【0037】
ドメインVが脳内皮細胞における血管新生促進性α5β1インテグリンの発現に影響を及ぼすかどうかを実証するために、処置していないおよびドメインVに曝した培養ラット脳内皮細胞におけるa5b1インテグリンの細胞内局在を、免疫細胞化学および共焦点顕微鏡を介して分析した。図4は、DVによる処置により、細胞質内における散在から、一般的に血管新生性内皮細胞に見られる細胞表面突起へとα5β1インテグリンの再分布が行なわれたことを示す。
【0038】
ドメインVがα5β1インテグリンを介して脳内皮細胞接着を支持し得るかどうかを決定するために、細胞接着アッセイを、1%BSA(接着対照)またはドメインV(40μg/ml)でコーティングしそして細胞を加えた(α5β1機能遮断抗体(10μg/ml)のプレインキュベーションを含むまたは含まない)ウェルを用いて行なった。図5は、ドメインVが、BSAよりも有意により多くの脳内皮細胞接着を支持し(p<0.001)、そしてα5β1機能遮断抗体が、DVへの脳内皮細胞の接着を有意に(p<0.001)阻害したことを実証し、このことは、DVが、α5β1インテグリンにより媒介される脳内皮細胞接着を支持し得るという可能性を示唆する。
【0039】
これらの結果は、脳内ドメインVが、脳卒中後に増加し、そしてニューロン環境における血管新生、および脳内皮細胞とニューロンとの間の相互作用の両方を増強することを実証する。さらに、これらの効果は、α5β1インテグリンとの相互作用を必要とする。重要なことには、これらの結果は、パールカンの生物活性フラグメント(DV)を生成することによって脳卒中後に脳が自己修復し、そして、この脳修復機序を治療的に活用することができるという見解を支持する。
【0040】
実施例7
脳血管新生および神経血管微小環境の形成に対するDVの効果
in vitroにおける脳血管新生におけるドメインVの役割を実証するために、マトリゲル毛細血管アッセイ、細胞遊走アッセイ、および細胞増殖アッセイを含む血管新生アッセイを、微小血管脳内皮細胞およびヒト組換えドメインVを用いて実施する。ニューロン−脳内皮細胞の共培養毛細血管アッセイを使用して、より脳に似た環境における毛細血管形成に対するドメインVの効果を研究し、並びに、神経血管微小環境の形成を研究する。前記の研究は、in vitroにおける焦点性虚血をモデリングするために、酸素およびグルコースを欠乏させた環境(OGD)中で実施する。DVは、有意に、そして用量依存的に、正常な条件およびOGD条件の両方において、脳血管新生、並びにニューロンと内皮細胞との相互作用を増強するだろう。
【0041】
実施例8
DVのクローニングおよび精製
ドメインVを、pSecTag2Aベクター(Invitrogen)にクローニングし、これによりDVのC末端に6×Hisタグを付加した。プラスミドを、リポフェクトアミン(Invitrogen)を介して293FT(ATCC, Manassas, VA)細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション後、無血清の馴化培地(細胞の分泌したDVを含む)を回収し、そしてDVを、Ni−ATAアガロースビーズカラムクロマトグラフィーを介して4℃で精製した。溶出したDVを、1×PBSに対して透析し、そして、ブリリアントブルーGコロイド液を用いて染色したSDS−PAGE(DVC)を介して、並びに抗DV抗体(示されている)および抗His抗体を用いてのウェスタンブロット分析(DVWB)によって、純度について評価した。DVを、Quick Start Bradford Dye試薬を用いて定量した。
【0042】
実施例9
内皮細胞増殖に対するDVの効果
内皮細胞の増殖は、血管新生における重要な初期の工程である。内皮細胞に対するドメインVの増殖効果を評価するために、マウスおよびラットの両方に由来する微小血管脳内皮細胞を、種特異的な差異を除外するためと、in vivoにおける脳卒中モデルにおけるラットの使用に対応するための両方のために使用する。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC、Lonza, Basel, Switzerland)を対照として使用し、そしてヒト脳微小血管内皮細胞(Cell Systems, Kirkland, WA)を使用して、ドメインVの効果が、ヒトにも適用可能であり得るかどうかを決定する。増殖アッセイについて、細胞を、トリプシン0.25%(Invitrogen)を用いて収集し、20ng/mlのVEGFを含む無血清培地中のビヒクル対照または種々の濃度のDV(1〜450nMの濃度を、全てのin vitroにおける血管新生実験について使用)懸濁液を用いて30分間かけて前処置し、そしてその後、5×103個の細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに加える。その後、細胞を、正常な増殖条件下において48時間かけてインキュベーションする。その後、MTS溶液を、1時間かけて加え(20ml/ウェル)、その後、プレート解読機で490nmにおける吸光度を解読する。
【0043】
実施例10
内皮細胞遊走に対するDVの効果の決定
血管新生性の内皮細胞が増殖するにつれて、それらは、血管を要求する組織によって放出されるケモアトラクタントに応答して、新たな血液の供給を必要とする組織領域へと向かって遊走し始める。DVが内皮細胞の遊走に影響を及ぼし得るかどうかを評価するために、細胞を収集し、そして改変ボイデンチャンバー(NeuroProbe, Gaithersburg, MD)の上のチャンバーにローディングし(37℃で種々のDV懸濁液濃度を有する適切な無血清培地中での30分間のプレインキュベーションを含むまたは含まない)、そしてI型コラーゲン、ラミニンまたはフィブロネクチンでコーティングされたポリカーボネート膜を横切って、37℃の下のチャンバー中の無血清培地+/−3%FBSに向けて6〜8時間かけて遊走させる。重要なことには、これらの細胞外マトリックスは、それぞれ、脳内皮細胞の中性の、抗血管新生性のおよび血管新生促進性の基質を示し(11)、そしてその使用により、DVの作用がECM特異的であるかどうかを決定することが可能となる。その後、膜(遊走細胞を含む)をアセトンで固定し、そして細胞をクリスタルバイオレット(Sigma)で染色し、そして顕微鏡下で計測する。さらに、DVが、VEGF、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)および塩基性FGF(bFGF)を含む種々のケモアトラクタントへの方への遊走に異なって影響を及ぼすのうかどうかを決定する。
【0044】
実施例11
内皮細胞のマトリゲルによって誘発される細管形成に対するDVの効果の決定
一旦、内皮細胞が、新たな血液供給を要求する目的の組織ターゲットに到達すると、細胞は毛細血管形態形成を受けて、新たな血管を作る。マトリゲル細管形成アッセイは、in vitroにおいて内皮細胞毛細血管形態形成を研究するための十分に確立された技術である(12)。この目的を達成するために、これらのアッセイを前記したように実施(種々のDV濃度と内皮細胞とのプレインキュベーションを含むまたは含まない)する。細胞を種々の時点で観察し、その後、12〜18時間後に4%パラホルムアルデヒド中で固定する。標準的な画像取得ソフトウェアを使用して、倒立顕微鏡に取り付けたCCDカメラを用いて画像を獲得する。細管形成を、Adobe Photoshop CSを用いて定量する(細管のピクセル/顕微鏡視野、1つの条件あたり10箇所の視野)。
【0045】
実施例12
共培養液中における内皮細胞の細管形成およびニューロンとの相互作用に対するDVの効果の決定
マトリゲルよりも脳に似た環境において脳内皮細胞毛細血管形成をドメインVがモデュレーションする能力を調査するために、大脳顆粒ニューロンと脳内皮細胞からなる共培養アッセイシステムを開発した。生後8日目のラット大脳を、それが脳内皮細胞と相互作用する新生ニューロンの容易に入手可能でかつ豊富な入手源であることからニューロン入手源として選択した(13)。ラミニンに加えて、ニューロンを、コラーゲンIまたはフィブロネクチンでプレコーティングしたウェルに加えて、内皮細胞細管形成に対する各々の基底にある基質の相対的な重要性を決定する。内皮細胞細管形成の程度に対する種々の濃度のドメインVの効果を、種々のインキュベーション期間(1、3、6、9時間)について決定する。細管形成に対するドメインVの用量依存的な増強作用を、実証する。
【0046】
本明細書におけるデータは、ドメインVの非存在下においては脳内皮細胞はニューロンから離れるが、一方でドメインVは、ニューロン間の毛細血管形成を促進することを示唆する。それ故、毛細血管の形成の研究に加えて、この共培養系は、内皮細胞とニューロンとECMとの間の動的相互作用に対するDVの効果を調べることを可能とする。第一に、共焦点顕微鏡を使用して、抗フォン・ヴィルブランド因子、抗TUJ1、抗α5β1、タイトジャンクションタンパク質のクローディン−5および抗ECM成分(フィブロネクチン、ラミニンおよびIV型コラーゲンを含む)について免疫染色された固定細胞のZ-stack画像を回収することによって、脳内皮細胞とニューロンと周辺のECMとの間の3次元相互作用に対する種々の時点におけるドメインVの効果を調べる。これらの研究において、DVが、周辺のECMに関連してα5β1インテグリンの内皮細胞における分布に影響を及ぼすかどうか、並びに、DVが、クローディン−5の発現および細胞内分布における変化によって測定されるような内皮細胞同型相互作用の変化、および内皮細胞−ニューロンの近さの変化によって測定されるような異型ニューロン相互作用の変化を決定するのかどうかを示す。
【0047】
生細胞用顕微鏡(CCDカメラおよびMetamorph画像解析ソフトウェアを含むPCに接続された電動ステージ、および加熱型CO2ステージを有するNikon顕微鏡)を使用して、長時間にわたり、それぞれdiIおよびdiOで蛍光標識されたニューロンおよび内皮細胞(14)の相互作用(DV療法を含むまたは含まない)を画像撮影する。ドメインVの処置は、脳内皮細胞とニューロンとの間の可視的な物理的接触を増加させ、従って、脳卒中の回復中の神経血管微小環境の形成を促進および増強する。内皮細胞−ニューロンの接触を、1時間あたり1つの顕微鏡視野あたりの可視的な内皮細胞−ニューロンの接触数として定量する。個々の内皮細胞が1時間あたりにニューロンと接触する程度も定量する。
【0048】
最後に、ニューロンまたはその分泌されるECM/成長因子の存在が、DVの毛細血管促進作用にとって必要であるかどうかを決定するために、いくつかの実験においてニューロンを、非酵素的分離溶液であるCellstripperを用いて除去し、ニューロンにより分泌されるマトリックスをウェルの底に残し(ECM抗体によって確認される)、その後、脳内皮細胞の添加±DV処置を行なう。他の実験においては、ニューロン馴化培地を、ラミニン上に培養された内皮細胞に加える。データは、内皮細胞細管形成にとってニューロン−内皮細胞の相互作用が必要であることを示す。
【0049】
実施例13
DVのin vitroアッセイにおける酸素−グルコース欠乏(OGD)の効果
in vitro虚血モデル(15)におけるドメインVの効果を、低酸素チャンバー中の低グルコース培地(1g/L)中の前記の血管新生アッセイを使用して示す。各アッセイについて、低グルコース培地±DV中の培養液を、95%N2/5%CO2を1時間流した低酸素チャンバー中に入れ、その後、各血管新生アッセイについて前記した実験持続時間かけてチャンバーに封をする。OGDのみで、脳内皮細胞血管新生が増加し、そしてこれはさらにDVによって増強される。
【0050】
実施例14
脳内皮細胞におけるa5b1インテグリンおよびDVの血管新生促進作用
DVの血管新生促進作用にα5β1が必要であることは、α5β1の遮断および/またはα5β1の減少が、ドメインVの血管新生促進作用を軽減または阻害することを意味する。それ故、遊走、増殖および細管形成アッセイにおける、DVで処置および非処置の脳内皮細胞に対する、それぞれ、機能的遮断抗体およびIgG対照(Millipore、10〜20mg/ml、細胞と共にプレインキュベーション)を用いてのa5b1インテグリンの機能的阻害の効果、並びに、siRNA(Accellの予め設計されたsiRNA、Dharmacon, Chicago, IL)を用いてのα5β1レベルの減少の効果を示す。a5b1ノックダウンは、ウェスタンブロットを介して確認される。
【0051】
実施例15
内皮細胞のa5b1の表面局在化に対するDVの効果の決定
DVへの曝露に応答した脳内皮細胞のα5β1インテグリンの表面局在化を直接測定するために、Milner et al. (15)の方法を使用して、CellQuest(Becton-Dickinson)ModFit LT(Verity)ソフトウェアを含むBecton-Dickinson FACSCalibur機器を使用したフローサイトメトリーのために、プラスチックまたは種々の基質(ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチンまたは固定したDV、4℃で一晩かけてウェルに40mg/mlで加える)(DVへの曝露を含むまたは含まない)上で増殖させた細胞を調製する。
【0052】
実施例16
DVとα5β1インテグリンとの相互作用およびDVによるα5β1インテグリンの活性化の決定
DVがa5b1インテグリンと結合しそして活性化し、その結果、RGDフィブロネクチン/α5β1結合モチーフを介してフィブロネクチンに対する脳内皮細胞の親和性が増加する。固定したフィブロネクチンへの脳内皮細胞の接着増加に対するDVの効果、および、RGD配列GRGDS(配列番号1)vs対照ペプチドSDGRG(配列番号2)を示す。
【0053】
細胞接着アッセイを、DV(40μg/ml)、フィブロネクチン(10μg/ml)、GRGDSもしくはSDGRGペプチド(0.1μg/ml)、または1%BSAでコーティングしたウェルにおいて前記した通りに行なった。DVへの細胞接着がα5β1依存性であることを示すために、α5β1の機能または発現が阻害される接着研究を実施する。細胞を、製造業者の指示に従ってα5β1siRNAで処置し、そしてα5β1ノックダウン効率を、ウェスタンイムノブロットを介して確認する。あるいは、細胞を、接着アッセイ前に抗α5β1遮断抗体と共にプレインキュベーションする。α5β1の機能または発現の阻害により、DVへの脳内皮細胞の接着が減少または阻害されることを示す。DVによりフィブロネクチンへの脳内皮細胞の接着が増強し、そしてGRGDSペプチドおよびα5β1siRNA処置により、固定したドメインVへの脳内皮細胞の接着が阻害され、そして添加したDVにより、フィブロネクチンおよびGRGDSへの脳内皮細胞の接着が増強されることを示す。
【0054】
実施例17
脳卒中によって生じるDV
DVを脳卒中後に投与し、そして脳卒中の病態および機能的回復に対するその効果を示す。脳卒中後の血管新生は、神経血管微小環境の形成のようにin vivoにおける脳卒中においてDV投与後に増加し、そしてラットにおける病的および機能的脳卒中の予後が、改善する。DV療法は、動物において十分に耐容性がある。
【0055】
実施例18
エンドセリン−1によるin vivoにおける脳卒中モデルおよびDV療法
Harlan Sprague Dawleyラットに、前記したようにエンドセリン−1(またはPBS偽対照)によって誘発される中大脳動脈閉塞(MCAo)を行なう。血流中断を、レーザードプラ流速測定計(BPM2モデル, Vasamedics Inc, St. Paul, MN)を使用して確認する(16)(49)。MCAoから24時間後、動物を無作為に2つの群に分け、一方には、腹腔内(I.P.)注入によって2〜6mg/kgのろ過したDV(公開(7)されているように腫瘍血管新生を阻害するに十分な量)の注入を施し(処置群)、そして一方には2週間におよび2日間毎にビヒクル対照を施す。また、MCAoから24時間後に開始して、ラットに、毎日(14日間)、新たに合成されたDNAを標識するためのブロモデオキシウリジン(BrdU;100mg/kg;Sigma)の腹腔内注入を施し、回復中のラット脳における新生ニューロンを同定する。
【0056】
実施例19
脳卒中組織の免疫組織化学およびウェスタンイムノブロット
ラットにおける脳卒中後の血管新生および神経血管微小環境の形成±DV療法を評価するために、脳卒中を起こした動物および偽の脳卒中を起こした動物からの新鮮な脳組織を液体窒素中で凍結する。血管新生の免疫組織化学について、Microm HM 550クライオスタット(Walldorf, Germany)を用いて得えた脳卒中を起こした大脳半球の凍結切片を、血管抗原すなわちCD31およびフォン・ヴィルブランド因子に対する抗体(Dako)を用いてプローブする。BrdU+ニューロンと血管との相互作用の程度を評価し、そしてAdobe Photoshop CSを用いて定量する。さらに、脳卒中の組織による注入DVの取り込みおよび分布を、DVの6×HISタグに対する抗体(EMD)を用いて示す。非処置の脳卒中を起こした動物と比較して、DV療法により、脳卒中を起こした脳組織周辺において、血管が増加、すなわちCD31および/またはフォン・ヴィルブランド陽性細胞が増加し、これはまた、α5β1インテグリン発現が増加し、およびこれらの血管とBrdU+ニューロンとの間の相互作用が増加しているであろう。投与したDVは脳卒中部位に局在し、そしてその結果、梗塞サイズが縮小する。
【0057】
実施例20
脳卒中によって誘発される脳性麻痺のためのパールカンドメインV療法
胎児期または新生児期の間に起こる脳血管事象である、周産期の虚血性脳卒中(PAS)は、乳児脳性麻痺の主要な原因である。残念なことに、PASは、典型的には遡及的に診断され、すなわち傷害が起こった後に、そして組織プラスミノーゲンアクチベーターなどの伝統的な脳卒中の療法には遅すぎる時期に診断される。それ故、成功裏の脳性麻痺療法は、脳の自己修復機序を活用すべきである。残念なことに、脳の自己修復は十分に解明されていないが、血管再建(血管新生)および神経再増殖(神経新生)の神経血管微小環境において起こるようである。これらの両方の過程には、結果が未知である、プロテアーゼによって駆動される細胞外マトリックス(ECM)の再構築が関与する。脳卒中後の脳血管新生および神経血管微小環境の形成は、一部には、ECMであるパールカンの生物活性フラグメントの生成によって刺激され、そして、この自己修復機序を、PASによって誘発される脳性麻痺療法のために活用する。脳卒中は、急速にパールカン(これは、研究されている最もプロテアーゼに対して感受性の高いECM成分である)の生物活性フラグメントを生成し、そしてパールカンは、血管新生および神経新生の両方に必要とされる。さらに、パールカンフラグメントであるドメインV(DV、またエンドレペリンとしても知られる)は、α2β1インテグリンを通して脳以外の系においては血管新生を阻害することができる。
【0058】
本発明は、DVが、脳卒中後に脳においてアップレギュレーションされ、そして意外なことに、in vitroおよびin vivoにおいて脳卒中後に、おそらく脳内皮細胞におけるα2β1インテグリンの不在のために、脳の血管新生を増強することを示す。DVは、血管新生促進性のα5β1インテグリンを通して脳内皮細胞においてその効果を発揮し、そしてニューロンと内皮細胞との間の相互作用を増強する。まとめると、これらの結果は、脳がDV産生を通して自己修復することができ、そしてこれを治療的に活用することができることを示唆する。
【0059】
PASのためのDV療法の有用性を実証するために、エンドセリン−1を使用して、7日齢のラットにおいて一過性の中大脳動脈閉塞(MCAo)脳卒中を誘発した。その後、動物に、脳卒中から24時間後および72時間後に、0.5mg/kgの無菌DVまたはPBSビヒクル対照の腹腔内注入をほどこした。ピークの境界域の(脳卒中組織のすぐ周辺の領域)血管新生が3〜7日後に始まるので、脳卒中を起こした脳の脈管構造を、脳卒中の5日後に調べた。DVで処置した動物には脳卒中皮質の表面上に血管過多が存在したが、これは反対側の皮質またはPBSで処置した脳卒中を起こした動物においては明白ではなかった(図6A〜6B)。さらに、これらの脳の凍結組織切片を血管マーカーであるフォン・ヴィルブランド因子で免疫染色すると、PBSで処置した対照と比較して、DV処置動物においては脳卒中の境界域の脈管構造の有意な増加が明らかとなった(図6A〜6B)。まとめると、これらの結果は、DVが、PAS後の血管新生を増加させ得ることを示唆する。
【0060】
実施例21
投与したDVは、脳卒中および梗塞周辺組織に局在化する
脳組織を免疫組織化学によって分析して、投与したDV(組換えDVのc末端上のHISエピトープタグ)並びに血管(フォン・ヴィルブランド因子)を検出して、投与したDVが、脳卒中を起こした脳組織において検出され得るかどうか、そしてそれがどこに局在化し得るかを決定した。図7は、投与したDVが、脳卒中を起こした脳組織に豊富に見られ、そして梗塞周辺皮質においてはより少ない程度で見られたが、同じ動物の反対側の脳卒中を起こしていない皮質には見られなかったことを実証する。さらに、投与したDVの実質的に全てが、梗塞周辺皮質の血管周辺分布域に蓄積し、そしてより少ない程度で脳卒中組織に蓄積し、これは、in vivoにおけるその脳血管促進効果および活性化固形腫瘍の血管周囲にターゲティングするその能力と一致する。重要なことには、このことは、DVが、少なくとも反管腔側の血管周囲領域に限り、以前として不明である機序を介して血液脳関門を通過することができ、そこでアストロサイトおよびニューロンなどの他の細胞型に曝されそして効果を発揮することができることを示唆する。図8は、それぞれPBSおよびDVで処置した脳卒中を起こした動物の、脳卒中を起こした皮質および反対側の皮質から得た、溶解液のウェスタンブロット分析による類似の結果を実証する。
【0061】
実施例22
投与したDVは、脳卒中および梗塞周辺組織に局在する
DV療法が、梗塞脳組織のすぐ近くに隣接する脳領域として定義された、梗塞周辺脳組織中を遊走する神経芽細胞の程度に影響を及ぼし得るか、そしてこれにより新たなニューロンを用いての、脳卒中を起こした脳組織の再増殖に影響を及ぼし得るかどうかを決定するために、PBSおよびDVで処置した脳卒中を起こした動物からの脳切片のダブルコルチン免疫組織化学を使用し(図9A)、そしてそれぞれの脳卒中梗塞周辺組織における高倍率視野(HPF、1匹の動物あたりn=20の画像)あたりのダブルコルチンのピクセル平均数を定量した。DV処置動物におけるダブルコルチン陽性ピクセルの有意な増加を認めた。さらに、DVは神経血管微小環境の形成を育成するという仮定に一致するように思われることに、有意に(p<0.001)より高い比率の同定されたダブルコルチン陽性細胞を、梗塞周辺脳組織におけるPBS処置対照(60%+/−3%)と比較してDV処置動物(90%+/−5%、1匹の動物あたりn=20の画像)において、フォン・ヴィルブランド抗体またはHIS抗体に対する抗体によって同定したところ(図9B)、血管のすぐ近くに認めた。
【0062】
実施例23
DVは、in vitroにおいて皮質ニューロンの遊走を増強する
前記の結果によって示唆されるように、脳内皮細胞に対する効果を通して神経血管微小環境の形成を育成することによって、DVは、神経保護性であり得、神経新生および神経遊走を増強し得る。さらに、DVが、血液脳関門を通過するならば、それはまたニューロンに対して直接的な作用を有し得る。DVが、脳卒中に対するその治療能力と一致し得る、直接的な神経作用を有し得るかどうかを決定した。この目的を達成するために、胎生15日齢のC57Bl6マウスからのマウス一次皮質ニューロンを、特に髄膜を除去することに注意を払いながら一次細胞単離のための慣用的な無菌的な解剖技術を使用して単離して、そしてin vitroにおける遊走アッセイを、これらの細胞を用いて実施した。
【0063】
使用前に、ニューロンの同一性を、TUJ−1免疫細胞化学を用いて確認した。改変ボイデンチャンバー(NeuroProbe, Gaithersburg, MD)の上のチャンバーにニューロン(3×103個/ウェル)をローディングし(37℃での100nMまたは200nMのDV懸濁液を含む適切な無血清培地中での30分間のプレインキュベーションを含むまたは含まない)、そしてその後、I型コラーゲンでコーティングしたポリカーボネート膜を横切って8時間かけて37℃で、ケモアトラクタントである神経成長因子(NGF、下の1つのウェルあたり4nM)に向けて遊走させた。その後、膜(遊走細胞を含む)をアセトンで固定し、そして細胞をクリスタルバイオレット(Sigma)で染色し、そして顕微鏡下で計測した。図10は、DV処置により、有意に、そして用量依存的に、NGFに向けての皮質ニューロン遊走が増強した(両方のDV濃度についてp<0.0001)ことを実証することによって、DVが皮質ニューロン遊走を増強することを示し、DVは、ニューロンに対して直接的で治療的な効果を有し得ることを示唆する。
【0064】
DV療法は、機能上の脳卒中の予後を改善する
図11は、脳卒中後の3日目以降に、偽対照とドメインVで処置した脳卒中を起こした動物との間に統計学的な差異が全くなかったことを示す。ドメインV処置動物を、脳卒中後1、3、5、7日目に0.5mg/kgを用いて処置した。
【0065】
実施例24
ドメインVは、BDNFの遊離を誘発する
本明細書におけるin vivoでの結果は、DVによる処置が、神経血管脳修復を助け、これは、一部には、脳由来神経栄養因子(BDNF)などの神経血管促進因子のDVにより誘発される遊離に起因し得ることを示唆する。図12Aは、24時間後、DVにより、有意に(**p=0.0025)脳微小血管内皮細胞によるBDNFの遊離が増強することを実証する。同様に、脳卒中後のDVによる処置により、PBS処置対照と比較して、脳卒中から3日後および7日後に脳卒中を起こした脳のBDNFレベルが有意に増加した(図12B〜12C)。さらに、一次単離ラットアストロサイトまたは皮質ニューロンへのDVの添加によるBDNFレベルに対する効果は全く見られず、このことは、in vivoにおける脳BDNFレベルに対するDVの効果は、主に、脳内皮細胞により媒介される効果であり得ることを示唆する。
【0066】
実施例25
ドメインVは、α5β1インテグリンと相互作用し、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮する
脳微小血管内皮細胞は、以前に同定されたDVレセプターα2β1インテグリンを発現しないので、脳内皮細胞に対するDVの血管新生促進作用は、α2β1の不在および別個の血管新生促進性DVレセプターの存在の両方に起因し得る。α5β1は、血管の発達にとって非常に重要であり、そして脳卒中後の脳の血管新生を促進するが、それ以外では、低酸素症後に脳内皮細胞において再発現されるまでは成熟脳においてはダウンレギュレーションされている。血管新生促進成長因子のアンジオポエチン1の単量体変異体は、α5β1インテグリンに結合し、そしてα5β1インテグリンを介して血管の安定化を促進し、このことは、血管新生および血管再構築におけるこのレセプターの重要性をさらに強調する。
【0067】
α5β1インテグリンの特異的活性化が、BDNFレベルに影響を及ぼし得るかどうかが初めて決定された。図12Aは、a5リガンド結合ドメインを特異的に認識するα5β1抗体を用いての細胞の処置により、単独で、BDNFの遊離が増加することができたことを実証する。さらに、リガンド結合ドメインの外の領域に結合し、これによりα5β1がリガンドに結合するように刺激することによってα5β1インテグリンを活性化する抗体であるSNAKA51により、BDNFレベルが有意に増加した(p=0.0007)。興味深いことに、α5β1抗体とDVとの同時添加はBDNFの遊離を阻害したが、DVとSNAKA51との同時添加はBDNFレベルをさらに増加させた(p=0.06)。これは、DVが、α5リガンド結合ドメインに結合することによってBDNFの遊離を増加させるという仮定と一致する。
【0068】
DVへの脳微小血管内皮細胞の接着が、α5β1に依存し得るかどうかを、α5リガンド結合ドメインに対して作られたα5β1抗体が、固定したDVへのその接着を防ぎ得ることを実証することによって調べた(図12A)。組換えα5β1インテグリンを用いてのELISAによって、DVが、α5β1に用量依存的に約30nMのKDで結合することが実証された(図13B)。DVの血管新生促進作用とα5β1とをさらに関連づけるために、DVに向かう脳内皮細胞の遊走が、フィブロネクチン−GSTおよび可溶性α5β1−GSTの両方によって阻害され得ることが実証された(図13C)。さらに、α5β1特異的結合ペプチドCRRETAWAC(配列番号3)は、in vitroにおいて脳内皮細胞細管形成に対するDVの効果を有意に(p=0.001)阻害することができた(図13D〜13E)。
【0069】
DVが、脳内皮細胞によるα5β1の発現を増加させることによって一部には脳血管新生を増加させるかどうかに対処するために、8時間かけてのコンフルエントな脳内皮細胞単層のDVによる処置は、完全なα5β1タンパク質レベルを維持したが、これはさもなければ無血清対照条件においては有意に消失した(図13F)。さらに、プラスチック上で増殖させた脳内皮細胞のDVによる処置により、α5β1インテグリンは表面/葉状仮足へと有意に再分布したが(図13G)、アストロサイトまたは一次皮質ニューロンにおけるα5β1の表面発現は全く影響を受けなかった。最後に、DVがin vivoにおいてもα5β1インテグリンレベルに影響を及ぼし得るかどうかを決定するために、脳卒中後3日目の動物+/−DV処置の脳卒中を起こした半球および反対側の半球からの脳溶解液のウェスタンブロット分析を実施し(図13H)、そしてDVで処置した動物の脳卒中を起こした脳組織において有意により多いα5β1インテグリンを観察した(p=0.00004、定量は示していない)。まとめると、これらの結果は、DVがα5β1インテグリンに結合し、α5β1インテグリンの発現に影響を及ぼし、そしてα5β1インテグリンを介してその血管新生促進作用を発揮することを示唆する。
【0070】
α2β1インテグリンは、DVの細胞増殖活性を逆転させる
C57マウス脳内皮細胞へのα2β1インテグリンの添加は、ドメインVの細胞増殖活性を逆転させる。DVは、α2β1インテグリン(抗血管新生性レセプター)およびα5β1インテグリン(血管新生促進性レセプター)の両方を発現する大半の内皮細胞において抗血管新生性であるので、DVは、α5β1インテグリン(Kdは160nM)を超えるα2β1インテグリン(Kdは約30nM)に対するその増加した親和性に因りこれらの細胞において抗血管新生性であると考えられた。α2β1インテグリンを、通常はこのレセプターを発現しないマウス脳微小血管内皮細胞にトランスフェクションした。これは、C末端RFP融合タンパク質(Texas A&M University Biomedical Engineering)を含むα2−サブユニットインテグリンをコードする配列を含むプラスミドベクター(pEGFP−N2, Clontech)を用いてのトランスフェクションによって達成され、空のベクターを、対照として使用した。細胞を、抗生物質を全く含まない培地中で24時間の間に回復させた。倒立蛍光顕微鏡を使用して24時間後にトランスフェクション効率を評価した。細胞増殖を、製造業者の指示に従ってMTS溶液(Promega, Madison, WI)を含む無血清培地中で48時間後に評価した。DVにより、細胞培地対照と比較して、マウス脳内皮細胞の増殖は増加し、これは、VEGF中和抗体またはα5β1インテグリン機能遮断抗体の添加によって遮断され得る(図14A)。α2β1インテグリンの細胞への添加により、細胞の増殖は増加するよりもむしろ抑制され、このことは、α2β1インテグリンのマウス脳内皮細胞への添加は、DVを、増殖性から抗増殖性へと変換することを実証する。バーは、平均値+/−標準偏差である(図14B)。**p<0.01。##p<0.01。
【0071】
A5へのDVの結合の動態
結合アッセイを、記載(17)のように光学バイオセンサー(IAsys; Affinity Sensors, UK)を使用して実施した。簡潔に言うと、センサーの表面上の、アクセプターと称されるA5ドメインに共有結合させるために、表面上に存在するカルボン酸基を、0.1MのN−ヒドロキシスクシンイミドと0.4MのN−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(Pierce)の1:1混合物の注入によって活性化した。その後、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に溶解したアクセプターを、応答プラトーに到達するまで活性化表面に結合させた。残留活性基を、100μLの1Mのトリス−HCl(pH8.5)の注入によって遮断した。
【0072】
固定したA5を有するキュベットを、10分間かけて25℃の結合緩衝液(150mM NaCl、25mMトリス−HCl、pH=7.4および1mM MnCl2)を用いて予備刺激した。結合緩衝液中に溶解した遊離DV相互作用物を含む100μLの試料をキュベットに加え、その後、会合相を記録した。続いて、試料を取り除き、分析物の含まれていない緩衝液をキュベットに加え、そして解離相を記録した。各アッセイの後、キュベットの表面を、100mMグリシン(pH=4)を用いて簡潔に洗浄し、その後、結合緩衝液を用いて平衡化することによって再生した。再生サイクル中に表面に結合した分析物の完全な除去に注意を払い、そして基線値に等しい応答に到達するまで洗浄を続けた。
【0073】
結合アッセイのために、8.0×10−8Mから4.0×10−7Mの範囲の濃度で遊離DVを加えた。バイオセンサーからのデータを、記載(18)のようにグローバルフィッティング法によって分析した。各アッセイについて、会合速度定数(kon)および解離速度定数(koff)を得、そして平衡解離定数(Kd)値を、koff/konの比から計算した。さらに、8.0×10−7(DVの最高濃度の2倍)のモル濃度におけるウシ血清アルブミン(BSA)の対照結合も実施した。表1に示したように、DVは、α5β1インテグリンに結合する。
【0074】
【表1】
【0075】
これらの研究は、細胞外マトリックス由来の血管新生阻害剤であるパールカンDVは、脳卒中で損傷された脳において安定かつ慢性的に生成されることを実証する。極めて意外なことに、投与したDVは、in vitroおよびin vivoにおいて脳の血管新生を阻害するのではなくむしろ増強する。DVは、それぞれラットおよびマウスのエンドセリン−1および直列型同側CCA&MCA脳卒中モデルにおいて、脳卒中および梗塞周辺脳組織に向かい、少なくとも一部には増強されたBDNF遊離に因り神経血管微小環境の形成を増強し、そして最終的には基線の脳卒中前のレベルにまで機能的運動的予後を改善する。最後に、DVは、α5β1インテグリンを介して、α2β1インテグリンの非存在下において脳内皮細胞の血管新生を増強する。
【0076】
ニューロン、アストロサイトおよび内皮細胞によって合成および分泌されるパールカンは(後者の場合にはVEGF165によって誘発される)、脳卒中後に最も感受性が高くそして急速にプロセシングされるマトリックス成分であるという特徴を有する。カテプシンLによるパールカンのタンパク質分解は、非ヒト霊長類において中大脳動脈の閉塞から2時間以内に起こり、そして数日間持続する。脳卒中後の数日間におよぶパールカンの持続的なプロセシングは、脳損傷後のニューロンおよびアストロサイトにおけるパールカンの産生の増加を実証する研究と一致する。本研究においては、急速なパールカンDVレベルの増加が見られ、これは7日間の経過をかけて上昇したレベルで次第にプラトーに達し、この時間的なパターンは、非ヒトの霊長類の脳卒中後のパールカンのタンパク質分解プロファイルとよく相関している。
【0077】
抗血管新生性細胞外マトリックスフラグメントが脳血管新生を促進する能力は、内皮異質性の概念に起因し得、異なる血管床の内皮細胞は(この場合には脳vs脳以外)、血管調節因子に対して異なって応答する。この異なった応答は、それぞれの微小環境の差異、発現されるレセプターの差異、例えばα2β1インテグリンの存在もしくは不在、またはシグナル伝達成分の差異に起因し得る。さらに、XVIII型コラーゲン由来の血管新生阻害剤のエンドスタチンは、分化した胚幹細胞から派生した未成熟内皮細胞において血管新生を促進し、このことは、血管新生性脳内皮が、未成熟な内皮のように機能または挙動する可能性をもたらす。実際に、新たな血管新生性の脳内皮は、脳低酸素症後に、成熟したインテグリンレセプターから、発達性のインテグリン発現へ、特にα5β1インテグリンへと戻る、インテグリンレセプターのスイッチを受ける。
【0078】
α5β1インテグリンの脳卒中後の増強された発現はまた、DVが、脳卒中および梗塞周辺皮質脈管構造へと向かう能力を説明し得、これはちょうど、α2β1を発現している腫瘍脈管構造がin vivoにおいてDVのターゲティングを支持するのと同じである。さらに、脳卒中のほぼ直後のパールカンのタンパク質分解およびDVの生成は、インテグリンレセプタースイッチのトリガーの一部として作用し得る。これは、DVにより、in vitroにおける脳内皮細胞上のa5b1インテグリンの発現総量、および脳卒中後の脳組織のα5β1インテグリンレベルが増加したという観察によって支持される。
【0079】
本発明はまた、DVが、BDNFの遊離を刺激することを示す。BDNFは、血管新生促進性かつ神経保護性の両方であり、そして神経の遊走および神経幹細胞の複製を刺激する。BDNFは、ラットにおける脳卒中後のリハビリテーションによって誘導される回復にとって必須である。
【0080】
局所脳虚血は、血液脳関門の破壊を引き起こし、これは微小血管完全性の消失および血管外空間への血漿構成成分の漏出として顕現する。さらに、透過性の早期上昇の予防は、損傷の予後にとって有益であり得る。nDVは、この機能を実施し得、そしておそらくさらにはこの時間枠内で関門の機能を改善し、従って損傷度を低減させ得る。興味深いことに、血管細胞外マトリックスを破壊し、そして急性の脳卒中の血管漏出の直接的な原因となる同じタンパク質分解過程もまた、DVを生成し、このことは、脳卒中によって誘発される血管マトリックスのタンパク質分解は、完全に有害ではないことを示唆する。8時間後の後続のDVによって誘発される透過性は、酸素送達のための定常状態の迅速な再確立に寄与する早期の血管再構築における役割を示し得る。特に、DVによって誘発される微小血管透過性増加の後に、脳卒中モデルに見られる24〜48時間後の第二相の関門漏出が起こり、このことはさらにこの可能性に説得力を与える。
【0081】
実施例26
DVは、in vivoにおいて血液脳関門の透過性に有意に影響を及ぼさない
DVは、in vitroにおいて脳内皮細胞におけるTEERを減少させ得ることが実証されたので(血液脳関門の透過性がすでにマイナスに影響を受けている場合の脳卒中後の潜在的に懸念される作用である)、DVが、in vivoにおいて血液脳関門の透過性に対して任意の作用を及ぼしたかどうかを決定した。
【0082】
材料および方法
[3H]マンニトール(14.2Ci/mmol)および[14C]スクロース(412mCi/mmol)をMoravek Biochemicals(USA)から購入した。残りの化学品は、Sigma Chemical Company(UK)から購入した。マウスは、Harlan, UKから購入した。
【0083】
全ての実験は、Animals Scientific Procedures Act(1986, UK)のガイドライン内で実施した。成体雄BALB/c(27.3±0.3g)およびC57Bl6(27.9±0.6g)マウスを麻酔し(腹腔内にメデトミジン塩酸塩(2mg/kg)およびケタミン(150mg/kg))、そしてヘパリン処置し(100U、腹腔内)、そしてin situにおける脳灌流技術を、Sanderson et al., 2007によって記載のように、心臓の左心室へのカニューレ挿入および右心房の切開によって実施した。人工血漿は、[3H]マンニトール(35.2nM;182Da;半径=3.6Å)および[14C]スクロース(1.1mM;342Da;半径4.6Å)を含み、そして灌流は10分間であった。その後、動物を断頭し、そして脳領域(前頭皮質、後頭皮質、尾状核、海馬、視床下部、視床、小脳、脳橋)を液体シンチレーション計測のために採取した。組織放射能の量を、人工血漿中におけるその比率として表現し、そしてR組織%と称した(ml.100g−1)。マウスの別々の群に、PBSビヒクルに溶解したDV(1mg/kg)を投与し、そしてin situにおける脳灌流手順を、注入から2、8および24時間後に実施した。これらの実験群を、ビヒクルのみを受けた動物と比較した。脳(前方中央の回)水分含量に対するDVの効果も、試験した時点において調べた。2要因の分散分析または1要因の分散分析を、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアパッケージ(GraphPad Software Inc.)を使用してデータに適用した。
【0084】
マウスにおける血管空間に対するDVの効果
BALB/c系においては、[14C]スクロースおよび[3H]マンニトールによって測定した全ての脳領域における血管空間は、DV(1mg/kg、図15A)の腹腔内注入の8時間後または24時間後に有意に影響を受けなかった。さらに、脳の水分含量は0時間目において73.3±1.3%であり、そしてDV(1mg/kg)の腹腔内注入によって8時間後(64.6±3.4%)または24時間後(72.8±2.9%)に有意に影響を受けなかった(1要因の分散分析)。C57Bl6系においては、[14C]スクロースおよび[3H]マンニトールによって測定した全ての脳領域における血管空間は、DV(1mg/kg、図15B)の腹腔内注入から2時間後に有意に影響を受けなかった。
【0085】
以下の参考文献を本明細書において引用する。
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における血管新生を刺激または増強する方法であって、
前記患者に、治療有効量のエンドレペリンタンパク質を投与する工程、ここで前記エンドレペリンタンパク質は、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログのアミノ酸配列を有する;および
血管の生成を刺激または増強する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約75%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項4】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項5】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項6】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項7】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記のパールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログが、経口投与される、請求項1の方法。
【請求項9】
前記のパールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログが、患者の体重あたり約0.1mg/kgから約10mg/kgの量で投与される、請求項1の方法。
【請求項10】
前記投与により、ニューロン内の脳内皮細胞毛細血管形成が起こる、請求項1の方法。
【請求項11】
前記投与により、脳内皮細胞における血管新生促進性α5β1インテグリンの発現の増加が起こる、請求項1の方法。
【請求項12】
患者における血管新生を刺激または増強する方法であって、前記患者に、治療有効量のエンドスタチンタンパク質、またはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを投与する工程;および
血管の生成を刺激または増強する工程
を含む、方法。
【請求項13】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項14】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約75%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項15】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項16】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項17】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項18】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項19】
前記のエンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログが経口投与される、請求項12の方法。
【請求項20】
前記のエンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログが、患者の体重あたり約0.1mg/kgから約10mg/kgの量で投与される、請求項12の方法。
【請求項21】
前記投与により、ニューロン内の脳内皮細胞毛細血管形成が起こる、請求項12の方法。
【請求項22】
パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン化合物、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項23】
エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン化合物、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項1】
患者における血管新生を刺激または増強する方法であって、
前記患者に、治療有効量のエンドレペリンタンパク質を投与する工程、ここで前記エンドレペリンタンパク質は、パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログのアミノ酸配列を有する;および
血管の生成を刺激または増強する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約75%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項4】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項5】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項6】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項7】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記のパールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログが、経口投与される、請求項1の方法。
【請求項9】
前記のパールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログが、患者の体重あたり約0.1mg/kgから約10mg/kgの量で投与される、請求項1の方法。
【請求項10】
前記投与により、ニューロン内の脳内皮細胞毛細血管形成が起こる、請求項1の方法。
【請求項11】
前記投与により、脳内皮細胞における血管新生促進性α5β1インテグリンの発現の増加が起こる、請求項1の方法。
【請求項12】
患者における血管新生を刺激または増強する方法であって、前記患者に、治療有効量のエンドスタチンタンパク質、またはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログを投与する工程;および
血管の生成を刺激または増強する工程
を含む、方法。
【請求項13】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約70%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項14】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約75%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項15】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項16】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約85%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項17】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項18】
前記フラグメントが、パールカンのドメインVの配列に対して約95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項12の方法。
【請求項19】
前記のエンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログが経口投与される、請求項12の方法。
【請求項20】
前記のエンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログが、患者の体重あたり約0.1mg/kgから約10mg/kgの量で投与される、請求項12の方法。
【請求項21】
前記投与により、ニューロン内の脳内皮細胞毛細血管形成が起こる、請求項12の方法。
【請求項22】
パールカンのドメインVまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン化合物、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項23】
エンドスタチンまたはそのフラグメントまたはその誘導体、アナログ、スタチン化合物、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【公表番号】特表2012−514036(P2012−514036A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544419(P2011−544419)
【出願日】平成21年12月31日(2009.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/006758
【国際公開番号】WO2010/077364
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500507397)ザ・テキサス・エー・アンド・エム・ユニバーシテイ・システム (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月31日(2009.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/006758
【国際公開番号】WO2010/077364
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500507397)ザ・テキサス・エー・アンド・エム・ユニバーシテイ・システム (4)
【Fターム(参考)】
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