脳室開窓術レザバー
【課題】流体漏れしないように組み立てて患者の体内の装置に安全に取り付けできる脳室開窓術レザバーを提供すること。
【解決手段】脳室開窓術レザバー装置であって、内部レザバーウエルを画定する上部開口及び下部開口を有するベースと、開口した底部を有するキャップを含む。この装置はさらに、キャップの一部の中に配置された第1の部分とキャップの開口した底部を越えて遠位方向に延出した第2の部分を有するフランジ部材を含む。第2の部分は、ベースの内部レザバーウエルに取り外し可能に結合するように適合されている。第2の部分はまた、内部レザバーウエルの構造と協働してフランジ部材とベースを互いに固定するように適合されたスナップフィット要素を含む。シール部材が、内部レザバーウエルとフランジ部材との間に配置され、ベースとフランジ部材との流体漏れを防止している。
【解決手段】脳室開窓術レザバー装置であって、内部レザバーウエルを画定する上部開口及び下部開口を有するベースと、開口した底部を有するキャップを含む。この装置はさらに、キャップの一部の中に配置された第1の部分とキャップの開口した底部を越えて遠位方向に延出した第2の部分を有するフランジ部材を含む。第2の部分は、ベースの内部レザバーウエルに取り外し可能に結合するように適合されている。第2の部分はまた、内部レザバーウエルの構造と協働してフランジ部材とベースを互いに固定するように適合されたスナップフィット要素を含む。シール部材が、内部レザバーウエルとフランジ部材との間に配置され、ベースとフランジ部材との流体漏れを防止している。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、外科的に移植する弁に関連し、詳細には、脳の脳室から脳脊髄液を排出するように適合された再密閉可能な組立体を構成できる弁に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
水頭症では、患者が体内の自然経路内を流れる脳脊髄液を調節できない。脳脊髄液(CSF)は、脳室系で生成され、通常は体内の静脈系で吸収される。水頭症の患者の場合は、脳脊髄液がこのようには吸収されず、その代わりに患者の脳の脳室に蓄積される。治療しないで放置すると、脳脊髄液の量が増大して患者の頭蓋内圧力が上昇し、脳組織が圧迫されたり、脳への血液の流れが阻害されたりするなどの重篤な症状が起こることがある。
【0003】
従来の水頭症の治療では、過剰な脳脊髄液を脳室から排出して、腹部や血管系などの患者の体の別の部分に脳脊髄液を案内する。通常はシャント弁を含む排出システムを用いて脳脊髄液の移送を行う場合が多い。シャント弁を取り付けるために、通常は頭皮に切開部を形成し、頭蓋に小さな孔を開ける。近位カテーテルすなわち脳室カテーテルを患者の脳の脳室腔に取り付け、遠位カテーテルすなわち排出カテーテルを、患者の体内の過剰な脳脊髄液が送られる部分に取り付ける。多くの場合、このようなシャント弁と共に脳室開窓術(ventriculostomy)レザバーを用いて、蓄積された脳脊髄液の可能な限り脳室に近いサンプリングに便利な位置を提供する。このような脳室開窓術レザバーは、脳脊髄液のサンプリングを容易にするべく、導管を移植する前に頭蓋を貫通した骨孔に配置することができる。
【0004】
従来の脳室開窓術レザバーは通常、カテーテルコネクタを有する金属製ベース、一体的に上方に延出した円筒壁部、及びその壁部と一体に形成されその壁部の上に延在するフランジ部を含む。金属製ベースの上端部を閉止して、その金属ベースと共に内部レザバーが画定するために、通常はシリコーンエラストマー材料からなるキャップが設けられる。
【0005】
このような既知の脳室開窓術レザバーのキャップ及びベースは、通常は移植する前に分離する。外科医が、骨孔を頭蓋に穿孔した後、カテーテルをベースの下端部のコネクタに取り付け、ベースの位置を合わせ、次いでキャップを取り付ける。
【0006】
従来の脳室開窓術レザバーの1つの問題点は、種々の構成要素の操作が困難であり、そしてこれらの構成要素を流体が漏れないように組み立てて患者の体内の別の装置に安全に取り付けるのが困難なことである。後述の説明から明らかになるであろうが、本発明は、これらの問題点を解消し、他の関連する利点を提供する。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は、水頭症の治療に有用な脳室開窓術レザバー装置を提供する。脳室開窓術レザバー装置は、内部レザバーウエルを画定する上部開口及び下部開口を有するベースと、開口した底部を有するキャップを含む。この装置はさらに、キャップの一部の中に配置された第1の部分とキャップの開口した底部を越えて遠位方向に延出した第2の部分を有するフランジ部材を含む。第2の部分は、ベースの内部レザバーウエルに取り外し可能に結合するように適合されている。この取り外し可能な結合を容易にするべく、フランジ部材にスナップフィット要素が形成されている。このスナップフィット要素は、ベースの相補的な構造に協働してフランジ部材とベースを互いに固定するように適合されている。この装置はまた、内部レザバーウエルとフランジ部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材も含む。シール部材は、ベースとフランジ部材が取り外し可能に結合された時にそのベースとフランジとの間の流体漏れを防止するように適合されている。
【0008】
固定とシール機能の両方を果たす連結部材を備えた従来のレザバーとは異なり、本発明は、スナップフィット要素とシール部材を別々に含む。スナップフィット要素は特に、ベースとフランジを安全かつ取り外し可能に結合するべく適合され、シール部材は、特に流体漏れを防止するように適合されている。例えば、シール部材は、ベースとフランジとの間の領域に適合するようにスナップフィット要素よりも柔軟な材料から形成することができる。
【0009】
本発明の一態様では、スナップフィット要素は、フランジ部材に形成された突出構造を含み、この突出構造が内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に結合可能である。例えば、突出構造をフランジ部材の外面に形成し、相補的な凹部をベースに形成することができる。次いで、フランジ部材を内部レザバーウエル内に配置してフランジ部材とベースを結合する。代替の実施形態では、突出構造をベースに形成し、相補的な構造をフランジ部材に形成することができる。
【0010】
本発明の別の態様では、スナップフィット要素は、フランジ部材の凹部に配置されるスプリットリングを含み、このスプリットリングが、内部レザバーウエルに形成された相補的な構造と結合するように適合されている。スプリットリングは、フランジ部材とベースを組み立てる際に圧縮できる大きさ及び構造を有する。完全に組み立てられると、スプリットリングが凹部内に整合して拡張し、その凹部内に受容される。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、スナップフィット要素は、それぞれが凹部に結合可能な複数の固定フィンガーの形態をとることができる。例えば、ベースは、それぞれが第1の端部に突出構造を有する複数の固定フィンガーを含み、フランジ部材は、それらの複数の固定フィンガーに結合するように適合された相補的な結合凹部を含むことができる。
【0012】
本発明の別の態様では、ベースは、上部及び下部を有する出口内腔を含むことができる。本発明のスナップフィット要素は、出口内腔とフランジ部材との間に形成することができる。例えば、出口内腔は、フランジ部材の受容部と結合するように適合されたバーブを含むことができる。
【0013】
本発明のシール部材は、一態様では、ベースの内面のシール凹部内及び/またはフランジ部材の外面のシール凹部内に配置することができる。別の態様では、この装置は、シールを複数のシール凹部内のそれぞれに配置することができる。
【0014】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の説明を読めばより完全に理解できるであろう。
【0015】
概略すると、本発明は、レザバー領域及びそのレザバー領域の上に配置できるキャップを有する脳室開窓術レザバー装置を提供する。スナップ結合及びシール部材によってレザバー領域にキャップを接続することで、液漏れしない取り外し可能な接続が達成される。ある態様では、スナップ結合は、レザバー領域とキャップが確実に接続されるように非弾性の実質的に硬質な材料間でなされ、シールは、流体の密閉性を高めるためにより柔軟な材料から形成されている。
【0016】
図1に、キャップ12及びベース14を含む組み立てられた脳室開窓術レザバー装置10が例示されている。キャップとベースは、後述するように互いに接続することができる。組み立てられた装置は、キャップ12を介してサンプリング器具を挿入してサンプリング可能な内部レザバーウエルを密閉している。
【0017】
図2A‐図2Cに、図1に示された装置10の構造が示されている。図示されているように、キャップ12は、閉じた上部及び開口した底部を含む。入口内腔16が、キャップ12の内部を通り、開口した底部を介して内部レザバーウエル20に至っている。別の実施形態(不図示)では、キャップの底部を閉じた底部とし、入口内腔16を内部レザバーウエル20に直接つなぐことができる。
【0018】
ベース14は、脳室開窓術レザバー装置が組み立てられるとキャップ12の下側に位置する内部レザバーウエル20を画定する。図示されているように、ベース14は、開口した上部、側壁13、及び細い下部チューブ17を含む漏斗状の形状とすることができる。側壁13は、フランジ要素22に取り外し可能に結合でき、内部レザバーウエル20を取り囲む表面を画定することができる。下部チューブ17は、流体をレザバーから別の部位または他の移植された装置に排出するように適合された出口内腔18を画定している。例えば、下部チューブ17は、カテーテル35(図1)に接続することができ、カテーテルとの接続を容易にするバーブ36などの構造を含むことができる。
【0019】
ベース14は、移植されてからも形状を維持することができ、キャップ12などのより柔軟な材料から形成された装置の部分を支持できるように、実質的に硬質の材料から形成することができる。ベースの実質的に硬質の材料特性及びキャップのより柔軟な材料特性から、外科処置中にこれらを効率的かつ効果的に互いに結合させるのが困難である。従って、一実施形態では、実質的に硬質のフランジ部材を結合部材として用いてキャップ12とベース14を互いに結合する。この実施形態では、柔軟なキャップを硬質のフランジ部材22の上部24に固着し、フランジ部材22の下部26を硬質のベース14に取り外し可能に結合する。従って、キャップとフランジ部材を結合することにより、キャップ/フランジ組立体27をベース14に安全かつ取り外し可能に結合することができる。
【0020】
例示的な実施形態では、図2A‐図2Cに例示されているように、フランジ部材22は、環状で実質的に水平面にあるリングの形態である上部24を有する。フランジ部材下部26が、フランジ部材22の上部24に一体的に取り付けられている。フランジ部材の下部26は、上部24に対して実質的に垂直な平面にある環状リングの形態である。フランジ部材22の上部24は、キャップに一致するように適合されている。当業者であれば、様々な方法でフランジをキャップ12に結合することができ、この結合を固着または取り外し可能にできることを理解できよう。しかしながら、例示的な実施形態では、フランジ部材22の上部24はキャップ12に形成された凹部33内に受容されている。上部24は、締まり嵌めによって凹部33内に維持することができる。または、他の方法(例えば、接着剤や超音波溶接など)を用いて、上部24を凹部33に固定することができる。加えて、上部24及び/または凹部33の内壁が、フランジ部材のキャップへの固定を強化する表面構造を有することができる。
【0021】
上記したように、フランジ部材は、キャップ12とベース14を結合する連結部材として機能する。これは、フランジ部材22の下部26をベース14に取り外し可能に結合して達成することができる。一実施形態では、スナップフィット部材を用いて、フランジ部材22の下部26とベース14を安全かつ取り外し可能に結合することができる。様々なスナップフィット要素が考えられるが、このようなスナップフィット要素は、通常はフランジ部材及びベースに設けられた対向した相補的な結合構造を含むという特徴を有する。本発明は、ベース及びフランジ部材に一体的に形成されたスナップフィット要素、並びにフランジ部材及びベースとは別個であるがそれぞれに結合可能なスナップフィット要素を用いることも含む。
【0022】
図2A‐図2Cに示されている一実施形態では、スナップフィット要素28は、フランジ部材22の外面に設けられた突出構造30とベース14の内面に設けられた相補的な凹部31を含む。この実施形態では、フランジ部材22の下部26をベース内に挿入し、突出構造30が凹部31に達するまでフランジ部材の下部26をやや圧縮または変形させて押し込み、フランジ/キャプ組立体27をベースに固定することができる。この時点で、フランジ部材の下部26は、元の寸法に戻り、突出構造30が凹部31内に受容される。当業者であれば、図3に示されているように、突出構造の位置と相補的な凹部の位置を逆、すなわち突出構造30をベース14に設け、相補的な凹部31をフランジ部材の下部26に設けることができることを理解できよう。さらに、突出構造30は連続的にしても良いし、複数の別個の構造の形態にしても良い。
【0023】
スナップフィット要素28に加えて、シール32を用いてフランジ部材とベースの結合を強化すると共に、フランジ部材とベースの間の流体漏れを防止することができる。シール32は、フランジ部材22とベース14との間に配置するのが好ましい。一実施形態では、シール32は、ベース14の内面とフランジ部材22の外面との間に配置する。脳室開窓術レザバーを組み立てた時にフランジとベースとの間の空間にシールが十分に適合するように、シールはエラストマーなどの柔軟な材料から形成することができる。
【0024】
シール32は、フランジ22またはベース14に形成することができるシール凹部34に配置することができる。シール凹部34は、フランジ/キャップ組立体27をベース14に結合する時にシールが移動するのを防止する。加えて、シール凹部34から突出しているのがシール32の一部だけであるため、フランジ部材をベースに挿入する時にシール32による組立体に対する抵抗は僅かである。
【0025】
一実施形態では、シール32は、ベース14とフランジ部材22との間に配置されるOリングの形態である。例えば、図2A‐図2Cに示されているシール32は、フランジ部材22とベース14との間の空間に適合する断面が円形のOリングとすることができる。当業者であれば、シールの断面を、例えば長方形、三角形、または不規則な形状などの様々な他の形状にできることを理解できよう。図示されているように、シール32の全体の形状はリングにすることができ、リングの直径は、ベース14及び/またはフランジ部材22の直径に一致させることができる。一実施形態では、シールの直径は、シールがベース14の周りで伸長するようにベースの直径よりも僅かに小さくすることができる。
【0026】
図4A及び図4Bに、図2A‐図3を用いて説明した突出構造/相補的凹部のスナップフィット構造と共に、またはその代わりに用いることができる代替のスナップフィット結合が例示されている。図示されているように、スナップフィット要素は、フランジ22をベース14に結合するスプリットリング40を用いている。スプリットリング40は、スロット42内に配置され、そのスプリットリングの一部は、図4A及び図4Bに例示されているようにフランジ部材22に形成されたスロット42の外周を越えて延在するような大きさ及び形状である。スロット42の外周を越えて延在するスプリットリング40の部分は、ベースに形成された相補的な凹部48内に受容されるように適合されている。
【0027】
スプリットリングは、概ね円形であって、一部分に沿って開口44を有し、これによりスプリットリングを圧縮して直径を小さくすることができる。加えて、スプリットリングは、圧縮力が解除された時にスプリットリングが元の構造及び直径に戻るように弾性材料または形状記憶材料から形成すべきである。使用する際は、スロット42の外周を越えて延在するスプリットリングの部分を、フランジ部材をベース内に挿入する時に圧縮する。スプリットリングがベースの凹部48に整合したら、スプリットリングに対する圧縮力を解除してスプリットリングを拡張させ、凹部48を塞ぐようにする。従って、スプリットリング40は、フランジ/キャップ組立体をベースに固定する働きをする。
【0028】
代替の実施形態では、スプリットリングは、凹部内にスナップフィットするのではなくフランジ部材22の隆起部の周りにスナップフィットする。例えば、図5に、ベース14の内面に形成された隆起部50を含む脳室開窓術レザバー装置10が例示されている。スプリットリング40’が、フランジ部材22の外面に形成された溝43内に受容されている。溝43とスプリットリング40’の相対的な寸法は、装置10の組み立ての際にスプリットリング40’が溝43内に維持され、かつベース12との固定を強化するように十分に突出する寸法にする。
【0029】
ベース14をキャップ/フランジ部材組立体に結合するには、フランジ部材22の下部26をベース14内に挿入する。フランジ部材を挿入する時に、スプリットリング40’が隆起部50に達すると圧縮される。スプリットリング40’が隆起部50を通過すると、スプリットリングが拡張し、これによりフランジ部材22とベース14がスナップフィット結合する。さらに別の態様では、隆起部50と凹部48の両方を用いてスプリットリングをベース14内に保持することができる。
【0030】
スナップフィット構造のさらに別の態様では、連続リング(不図示)と相補的な構造を用いることができる。例えば、スプリットリング40及び40’に類似しているが開口44のないリングを用いてスナップフィット結合を達成することができる。このようなリングを用いてキャップ/フランジ部材を組み立てるには、フランジ部材をベース内に挿入する。フランジ部材のリングが相補的な構造(例えば、隆起部)に達すると、ベース及び/またはフランジ部材が僅かに変形してリングが隆起部を通過し、その隆起部の後側の位置でスナップフィットする。連続リングを凹部と共に用いることができるが、フランジ部材の連続リングがベースの凹部内にスナップフィットするには同様にベースの僅かな変形が必要である。
【0031】
当業者であれば、スプリットリングまたは連続リングの位置を様々に変更できることを理解できよう。例えば、スプリットリングまたは連続リングは、フランジ部材22の内部の代わりにベース14内に配置することができる。このような構成では、対応する隆起部または凹部の位置をフランジ部材22の側壁にすることができる。
【0032】
スナップフィット構造の別の実施態様では、フランジ部材22の底面54によって画定された内部レザバーウエル20の底部と下部チューブ17の上部との間でスナップフィットが構成される。図6A及び図6Bに示されているように、フランジ部材の下部は、内部レザバーウエルの底部に亘って延在し、底面54で内部レザバーウエルの底部を取り囲んでいる。底面54は、連続した面にしても良いし、図6A及び図6Bに示されているように複数の別個の部材から形成しても良い。
【0033】
さらに図6A及び図6Bに示されているように、ベース14は、その側壁13の内部を上方に延びた下部チューブ17を含む。下部チューブ17の上部は、スナップフィット係合を補助するバーブ58などの表面構造を含む。加えて、フランジ部材22の底面54の内側部分に係合タブ56が形成されている。係合タブ56は、フランジ/キャップ組立体とベースとのスナップフィット係合を強化するように下部チューブのバーブ58と相補的である。
【0034】
図6A及び図6Bに、流体漏れを防止するためにベース14の内面とフランジ部材22の外面との間に配置できるシール32が例示されている。これに加えて或いは別法として、シールは、フランジ部材22の底面54とベース14との間に配置することができる。
【0035】
装置10を組み立てるには、キャップ/フランジ組立体27をベース14の側壁の中に挿入し、下部チューブ17のバーブがフランジ部材の受容部54にスナップフィットするまで押し込む。下部チューブ17及び/または底面54は組み立ての際にある程度の変形が可能であることを理解されたい。
【0036】
スナップフィット構造のさらに別の実施形態では、ベース14に形成されたスナップフィットフィンガー60がフランジ部材22の凹部62内または隆起部(不図示)の後側にスナップフィットすることができる。図7A及び図7Bに例示されているこの実施形態では、スナップフィットフィンガー60がベース14の外面から延出し、フランジ部材22の外面に結合するように構成されている。スナップフィットフィンガー60は、互いに平行な複数の細長い部材を含むことができ、これらの細長い部材はそれぞれ、その上部に突出部64などの結合構造を有する。加えて、フランジ部材22の外面は、突出部64を受容するように適合された相補的な凹部62を含む。装置を組み立てる場合、スナップフィットフィンガーがフランジ部材22を取り囲み、凹部62内にスナップフィットする。この実施形態はまた、図7Bに示されているようにフランジ部材22の内面とベース14の側壁13の外面との間に配置されるシール32を含むこともできる。
【0037】
当業者であれば、上記した例示的なスナップフィット構造は、移植後に装置が誤って外れないようにベースとキャップ/フランジ組立体を互いに固定できることを理解できよう。例えば、キャップ/フランジ組立体は、組み立てた装置を分離するのに約0.5ポンド(約0.23kg)、別の態様では約1ポンド(約0.45kg)より大きい力を必要とするようにベースに結合することができる。さらに別の態様では、組み立てた装置を分離するのに必要な力は、約1ポンド〜10ポンド(約0.45kg〜約4.5kg)、より好ましくは1ポンド〜5ポンド(約0.45kg〜約2.3kg)の範囲である。
【0038】
上記したように、シールとスナップフィット要素は異なった材料から形成することができる。例えば、シールの材料には、装置のより硬質な部分間の流体漏れを防止するのに適した生体適合性の弾性材料が好ましい。シールの形成に用いることができる例示的な材料は、限定するものではないが、シリコーンゴム、フルオロポリマー、及びポリウレタンを挙げることができる。ある態様では、シールの形成に用いる材料は、約25〜90の範囲のショアAデュロメータ硬さを有する材料を含むことができる。
【0039】
ベース及びフランジ部材の形成に用いる実質的に硬質な材料には、スナップフィットできる十分な柔軟性を維持し、かつ移植に耐える十分な強度を有する様々な生体適合性材料が含まれ得る。ベース及びフランジ部材を形成するための例示的な材料には、ナイロン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ABS、ポリカーボネート、及びステンレス鋼が含まれる。ベース、フランジ部材、及び/またはスナップフィット要素の形成に同じ材料または異なった材料を用いることができるが、選択する材料はシール32よりも硬い材料が好ましい。
【0040】
当業者であれば、上記した実施形態から本発明のさらなる特徴及び利点が明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除き、上記した特定の説明及び図面に限定されるものではない。ここに開示した全ての刊行物及び参照文献は言及することを以ってそれらの内容の全てを本明細書の一部とする。
【0041】
〔実施の態様〕
(1)脳室開窓術レザバー装置であって、
内部レザバーウエルを画定する上部開口及び下部開口を有するベースと、
開口した底部を有するキャップと、
前記キャップの部分に配置された第1の部分、前記キャップの前記開口した底部を越えて遠位側に延びた第2の部分を有するフランジ部材であって、前記ベースの前記内部レザバーウエルに取り外し可能に結合するように適合されており、前記フランジ部材の前記第2の部分が、前記内部レザバーウエルの構造と協働して前記フランジ部材と前記ベースを互いに固定するように適合されたスナップフィット要素を含む、前記フランジ部材と、
前記内部レザバーウエルと前記フランジ部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材であって、前記ベースと前記フランジ部材が取り外し可能に結合された時に前記ベースと前記フランジ部材との間の流体漏れを防止するように適合された、前記シール部材と、を含む、装置。
(2)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記ベース及び前記フランジ部材よりも柔軟な弾性材料から形成されている、装置。
(3)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が実質的に硬質である、装置。
(4)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第2の部分のスナップフィット要素が、前記内部レザバーウエルの内面の構造と協働するように適合されている、装置。
(5)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記キャップが弾性材料から形成され、前記フランジ部材が非弾性部材から形成されている、装置。
【0042】
(6)実施態様(5)に記載の装置であって、
前記キャップが柔軟性を有し、前記フランジ部材が実質的に硬質である、装置。
(7)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記キャップが、シリコーン、ポリウレタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料から形成されている、装置。
(8)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材が、ナイロン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ABS、ポリカーボネート、ステンレス鋼、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料から形成されている、装置。
(9)実施態様(1)に記載の装置であって、
複数のシール部材を含む、装置。
(10)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記シール部材がOリングである、装置。
【0043】
(11)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記内部レザバーウエルの内面と前記フランジ部材の外面との間に配置されている、装置。
(12)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記フランジ部材に形成された突出構造を含み、この突出構造が前記内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に係合可能である、装置。
(13)実施態様(12)に記載の装置であって、
前記突出構造が前記フランジ部材の外面に形成されている、装置。
(14)実施態様(13)に記載の装置であって、
前記突出構造が前記フランジ部材と一体である、装置。
(15)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記フランジ部材に形成された凹部を含み、その凹部が前記内部レザバーウエルの内面に形成された相補的な構造に結合可能である、装置。
【0044】
(16)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記フランジ部材の凹部に配置されたスプリットリングを含み、そのスプリットリングが、前記内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に結合するように適合されている、装置。
(17)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が凹部内に配置されたスプリットリングである、装置。
(18)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第1の部分が前記キャップに固着されている、装置。
(19)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材と前記ベースを分離するのに少なくとも1ポンド(0.45kg)の力が必要である、装置。
(20)実施態様(1)に記載の装置であって、
取り外し可能に結合した前記フランジの下部を前記ベースから分離するのに必要な力が1ポンド〜5ポンド(0.45kg〜2.3kg)の範囲である、装置。
【0045】
(21)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第2の部分が前記内部レザバーウエルの内側に位置する、装置。
(22)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が、それぞれが前記スナップフィット要素に結合可能な複数の固定フィンガーを含む、装置。
(23)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記ベースが、それぞれが第1の端部に突出部を有する複数の固定フィンガーを含み、前記フランジ部材の前記スナップフィット要素が、前記複数の固定フィンガーと結合するように適合された相補的な結合凹部を含む、装置。
(24)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が、前記ベースの外面から延出した第1の部分を含み、その第1の部分が、前記フランジ部材の外面に配置された前記スナップフィット要素に結合するように適合された少なくとも1つの固定フィンガーを含む、装置。
(25)実施態様(24)に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記内部レザバーウエルの外面と前記フランジ部材の内面との間に配置されている、装置。
【0046】
(26)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記ベースが、カテーテルと接続できるように適合された下部及び上部を含む出口内腔を含む、装置。
(27)実施態様(26)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記出口内腔の前記上部の構造と協働するように適合された、装置。
(28)実施態様(27)に記載の装置であって、
前記出口内腔が、前記フランジの前記第2の部分に結合するように適合されたバーブを含む、装置。
(29)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記キャップが導入溝を含む、装置。
(30)脳室開窓術レザバー装置であって、
上部フランジ部分、下部フランジ部分、及びそれらの部分の間に延在する側壁を有するフランジ部材によって形成されたレザバーであって、前記側壁が内部レザバーウエルを画定している、前記レザバーと、
閉じた上面、開口した底部、及び導入溝を有するキャップであって、その一部に前記上部フランジ部分が固着されている、前記キャップと、
前記フランジ部材に結合するように適合された第1の端部及びカテーテルに接続できるように適合された第2の端部を有する取り外し可能な連結部材であって、前記連結部材の前記第1の端部が、前記フランジ部材の構造と協働して前記連結部材を前記フランジ部材に固定するように適合された少なくとも1つのスナップフィット要素を含む、前記連結部材と、
前記レザバーと前記連結部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材であって、前記フランジ部材と前記連結部材との間の流体漏れを防止するように適合された、前記シール部材と、を含む、装置。
【0047】
(31)実施態様(30)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記レザバーの外面に取り外し可能に結合するように適合されている、装置。
(32)実施態様(30)に記載の装置であって、
前記キャップが弾性材料から形成され、前記フランジ部材が非弾性材料から形成されている、装置。
(33)実施態様(30)に記載の装置であって、
前記シール部材がOリングである、装置。
(34)実施態様(30)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記連結部材の複数の固定フィンガーのそれぞれに形成されている、装置。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の脳室開窓術レザバー装置の一実施形態の側面図。
【図2A】図1の脳室開窓術レザバー装置の断面図である。
【図2B】分解された状態の図1の脳室開窓術レザバー装置の断面図である。
【図2C】分解された状態の図1の脳室開窓術レザバー装置の部分破断図である。
【図3】本発明の脳室開窓術レザバー装置の別の実施形態の断面図である。
【図4A】本発明の脳室開窓術レザバー装置のさらに別の実施形態の断面図である。
【図4B】図4Aの脳室開窓術レザバーの部分破断図である。
【図5】本発明の脳室開窓術レザバー装置のさらに別の実施形態の断面図である。
【図6A】本発明の脳室開窓術レザバー装置の代替の実施形態の断面図である。
【図6B】分解された状態で示されている図6Aの脳室開窓術レザバー装置の断面図である。
【図7A】本発明の脳室開窓術レザバー装置の別の実施形態の断面図である。
【図7B】図7Aの脳室開窓術レザバー装置の斜視図である。
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、外科的に移植する弁に関連し、詳細には、脳の脳室から脳脊髄液を排出するように適合された再密閉可能な組立体を構成できる弁に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
水頭症では、患者が体内の自然経路内を流れる脳脊髄液を調節できない。脳脊髄液(CSF)は、脳室系で生成され、通常は体内の静脈系で吸収される。水頭症の患者の場合は、脳脊髄液がこのようには吸収されず、その代わりに患者の脳の脳室に蓄積される。治療しないで放置すると、脳脊髄液の量が増大して患者の頭蓋内圧力が上昇し、脳組織が圧迫されたり、脳への血液の流れが阻害されたりするなどの重篤な症状が起こることがある。
【0003】
従来の水頭症の治療では、過剰な脳脊髄液を脳室から排出して、腹部や血管系などの患者の体の別の部分に脳脊髄液を案内する。通常はシャント弁を含む排出システムを用いて脳脊髄液の移送を行う場合が多い。シャント弁を取り付けるために、通常は頭皮に切開部を形成し、頭蓋に小さな孔を開ける。近位カテーテルすなわち脳室カテーテルを患者の脳の脳室腔に取り付け、遠位カテーテルすなわち排出カテーテルを、患者の体内の過剰な脳脊髄液が送られる部分に取り付ける。多くの場合、このようなシャント弁と共に脳室開窓術(ventriculostomy)レザバーを用いて、蓄積された脳脊髄液の可能な限り脳室に近いサンプリングに便利な位置を提供する。このような脳室開窓術レザバーは、脳脊髄液のサンプリングを容易にするべく、導管を移植する前に頭蓋を貫通した骨孔に配置することができる。
【0004】
従来の脳室開窓術レザバーは通常、カテーテルコネクタを有する金属製ベース、一体的に上方に延出した円筒壁部、及びその壁部と一体に形成されその壁部の上に延在するフランジ部を含む。金属製ベースの上端部を閉止して、その金属ベースと共に内部レザバーが画定するために、通常はシリコーンエラストマー材料からなるキャップが設けられる。
【0005】
このような既知の脳室開窓術レザバーのキャップ及びベースは、通常は移植する前に分離する。外科医が、骨孔を頭蓋に穿孔した後、カテーテルをベースの下端部のコネクタに取り付け、ベースの位置を合わせ、次いでキャップを取り付ける。
【0006】
従来の脳室開窓術レザバーの1つの問題点は、種々の構成要素の操作が困難であり、そしてこれらの構成要素を流体が漏れないように組み立てて患者の体内の別の装置に安全に取り付けるのが困難なことである。後述の説明から明らかになるであろうが、本発明は、これらの問題点を解消し、他の関連する利点を提供する。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は、水頭症の治療に有用な脳室開窓術レザバー装置を提供する。脳室開窓術レザバー装置は、内部レザバーウエルを画定する上部開口及び下部開口を有するベースと、開口した底部を有するキャップを含む。この装置はさらに、キャップの一部の中に配置された第1の部分とキャップの開口した底部を越えて遠位方向に延出した第2の部分を有するフランジ部材を含む。第2の部分は、ベースの内部レザバーウエルに取り外し可能に結合するように適合されている。この取り外し可能な結合を容易にするべく、フランジ部材にスナップフィット要素が形成されている。このスナップフィット要素は、ベースの相補的な構造に協働してフランジ部材とベースを互いに固定するように適合されている。この装置はまた、内部レザバーウエルとフランジ部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材も含む。シール部材は、ベースとフランジ部材が取り外し可能に結合された時にそのベースとフランジとの間の流体漏れを防止するように適合されている。
【0008】
固定とシール機能の両方を果たす連結部材を備えた従来のレザバーとは異なり、本発明は、スナップフィット要素とシール部材を別々に含む。スナップフィット要素は特に、ベースとフランジを安全かつ取り外し可能に結合するべく適合され、シール部材は、特に流体漏れを防止するように適合されている。例えば、シール部材は、ベースとフランジとの間の領域に適合するようにスナップフィット要素よりも柔軟な材料から形成することができる。
【0009】
本発明の一態様では、スナップフィット要素は、フランジ部材に形成された突出構造を含み、この突出構造が内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に結合可能である。例えば、突出構造をフランジ部材の外面に形成し、相補的な凹部をベースに形成することができる。次いで、フランジ部材を内部レザバーウエル内に配置してフランジ部材とベースを結合する。代替の実施形態では、突出構造をベースに形成し、相補的な構造をフランジ部材に形成することができる。
【0010】
本発明の別の態様では、スナップフィット要素は、フランジ部材の凹部に配置されるスプリットリングを含み、このスプリットリングが、内部レザバーウエルに形成された相補的な構造と結合するように適合されている。スプリットリングは、フランジ部材とベースを組み立てる際に圧縮できる大きさ及び構造を有する。完全に組み立てられると、スプリットリングが凹部内に整合して拡張し、その凹部内に受容される。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、スナップフィット要素は、それぞれが凹部に結合可能な複数の固定フィンガーの形態をとることができる。例えば、ベースは、それぞれが第1の端部に突出構造を有する複数の固定フィンガーを含み、フランジ部材は、それらの複数の固定フィンガーに結合するように適合された相補的な結合凹部を含むことができる。
【0012】
本発明の別の態様では、ベースは、上部及び下部を有する出口内腔を含むことができる。本発明のスナップフィット要素は、出口内腔とフランジ部材との間に形成することができる。例えば、出口内腔は、フランジ部材の受容部と結合するように適合されたバーブを含むことができる。
【0013】
本発明のシール部材は、一態様では、ベースの内面のシール凹部内及び/またはフランジ部材の外面のシール凹部内に配置することができる。別の態様では、この装置は、シールを複数のシール凹部内のそれぞれに配置することができる。
【0014】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の説明を読めばより完全に理解できるであろう。
【0015】
概略すると、本発明は、レザバー領域及びそのレザバー領域の上に配置できるキャップを有する脳室開窓術レザバー装置を提供する。スナップ結合及びシール部材によってレザバー領域にキャップを接続することで、液漏れしない取り外し可能な接続が達成される。ある態様では、スナップ結合は、レザバー領域とキャップが確実に接続されるように非弾性の実質的に硬質な材料間でなされ、シールは、流体の密閉性を高めるためにより柔軟な材料から形成されている。
【0016】
図1に、キャップ12及びベース14を含む組み立てられた脳室開窓術レザバー装置10が例示されている。キャップとベースは、後述するように互いに接続することができる。組み立てられた装置は、キャップ12を介してサンプリング器具を挿入してサンプリング可能な内部レザバーウエルを密閉している。
【0017】
図2A‐図2Cに、図1に示された装置10の構造が示されている。図示されているように、キャップ12は、閉じた上部及び開口した底部を含む。入口内腔16が、キャップ12の内部を通り、開口した底部を介して内部レザバーウエル20に至っている。別の実施形態(不図示)では、キャップの底部を閉じた底部とし、入口内腔16を内部レザバーウエル20に直接つなぐことができる。
【0018】
ベース14は、脳室開窓術レザバー装置が組み立てられるとキャップ12の下側に位置する内部レザバーウエル20を画定する。図示されているように、ベース14は、開口した上部、側壁13、及び細い下部チューブ17を含む漏斗状の形状とすることができる。側壁13は、フランジ要素22に取り外し可能に結合でき、内部レザバーウエル20を取り囲む表面を画定することができる。下部チューブ17は、流体をレザバーから別の部位または他の移植された装置に排出するように適合された出口内腔18を画定している。例えば、下部チューブ17は、カテーテル35(図1)に接続することができ、カテーテルとの接続を容易にするバーブ36などの構造を含むことができる。
【0019】
ベース14は、移植されてからも形状を維持することができ、キャップ12などのより柔軟な材料から形成された装置の部分を支持できるように、実質的に硬質の材料から形成することができる。ベースの実質的に硬質の材料特性及びキャップのより柔軟な材料特性から、外科処置中にこれらを効率的かつ効果的に互いに結合させるのが困難である。従って、一実施形態では、実質的に硬質のフランジ部材を結合部材として用いてキャップ12とベース14を互いに結合する。この実施形態では、柔軟なキャップを硬質のフランジ部材22の上部24に固着し、フランジ部材22の下部26を硬質のベース14に取り外し可能に結合する。従って、キャップとフランジ部材を結合することにより、キャップ/フランジ組立体27をベース14に安全かつ取り外し可能に結合することができる。
【0020】
例示的な実施形態では、図2A‐図2Cに例示されているように、フランジ部材22は、環状で実質的に水平面にあるリングの形態である上部24を有する。フランジ部材下部26が、フランジ部材22の上部24に一体的に取り付けられている。フランジ部材の下部26は、上部24に対して実質的に垂直な平面にある環状リングの形態である。フランジ部材22の上部24は、キャップに一致するように適合されている。当業者であれば、様々な方法でフランジをキャップ12に結合することができ、この結合を固着または取り外し可能にできることを理解できよう。しかしながら、例示的な実施形態では、フランジ部材22の上部24はキャップ12に形成された凹部33内に受容されている。上部24は、締まり嵌めによって凹部33内に維持することができる。または、他の方法(例えば、接着剤や超音波溶接など)を用いて、上部24を凹部33に固定することができる。加えて、上部24及び/または凹部33の内壁が、フランジ部材のキャップへの固定を強化する表面構造を有することができる。
【0021】
上記したように、フランジ部材は、キャップ12とベース14を結合する連結部材として機能する。これは、フランジ部材22の下部26をベース14に取り外し可能に結合して達成することができる。一実施形態では、スナップフィット部材を用いて、フランジ部材22の下部26とベース14を安全かつ取り外し可能に結合することができる。様々なスナップフィット要素が考えられるが、このようなスナップフィット要素は、通常はフランジ部材及びベースに設けられた対向した相補的な結合構造を含むという特徴を有する。本発明は、ベース及びフランジ部材に一体的に形成されたスナップフィット要素、並びにフランジ部材及びベースとは別個であるがそれぞれに結合可能なスナップフィット要素を用いることも含む。
【0022】
図2A‐図2Cに示されている一実施形態では、スナップフィット要素28は、フランジ部材22の外面に設けられた突出構造30とベース14の内面に設けられた相補的な凹部31を含む。この実施形態では、フランジ部材22の下部26をベース内に挿入し、突出構造30が凹部31に達するまでフランジ部材の下部26をやや圧縮または変形させて押し込み、フランジ/キャプ組立体27をベースに固定することができる。この時点で、フランジ部材の下部26は、元の寸法に戻り、突出構造30が凹部31内に受容される。当業者であれば、図3に示されているように、突出構造の位置と相補的な凹部の位置を逆、すなわち突出構造30をベース14に設け、相補的な凹部31をフランジ部材の下部26に設けることができることを理解できよう。さらに、突出構造30は連続的にしても良いし、複数の別個の構造の形態にしても良い。
【0023】
スナップフィット要素28に加えて、シール32を用いてフランジ部材とベースの結合を強化すると共に、フランジ部材とベースの間の流体漏れを防止することができる。シール32は、フランジ部材22とベース14との間に配置するのが好ましい。一実施形態では、シール32は、ベース14の内面とフランジ部材22の外面との間に配置する。脳室開窓術レザバーを組み立てた時にフランジとベースとの間の空間にシールが十分に適合するように、シールはエラストマーなどの柔軟な材料から形成することができる。
【0024】
シール32は、フランジ22またはベース14に形成することができるシール凹部34に配置することができる。シール凹部34は、フランジ/キャップ組立体27をベース14に結合する時にシールが移動するのを防止する。加えて、シール凹部34から突出しているのがシール32の一部だけであるため、フランジ部材をベースに挿入する時にシール32による組立体に対する抵抗は僅かである。
【0025】
一実施形態では、シール32は、ベース14とフランジ部材22との間に配置されるOリングの形態である。例えば、図2A‐図2Cに示されているシール32は、フランジ部材22とベース14との間の空間に適合する断面が円形のOリングとすることができる。当業者であれば、シールの断面を、例えば長方形、三角形、または不規則な形状などの様々な他の形状にできることを理解できよう。図示されているように、シール32の全体の形状はリングにすることができ、リングの直径は、ベース14及び/またはフランジ部材22の直径に一致させることができる。一実施形態では、シールの直径は、シールがベース14の周りで伸長するようにベースの直径よりも僅かに小さくすることができる。
【0026】
図4A及び図4Bに、図2A‐図3を用いて説明した突出構造/相補的凹部のスナップフィット構造と共に、またはその代わりに用いることができる代替のスナップフィット結合が例示されている。図示されているように、スナップフィット要素は、フランジ22をベース14に結合するスプリットリング40を用いている。スプリットリング40は、スロット42内に配置され、そのスプリットリングの一部は、図4A及び図4Bに例示されているようにフランジ部材22に形成されたスロット42の外周を越えて延在するような大きさ及び形状である。スロット42の外周を越えて延在するスプリットリング40の部分は、ベースに形成された相補的な凹部48内に受容されるように適合されている。
【0027】
スプリットリングは、概ね円形であって、一部分に沿って開口44を有し、これによりスプリットリングを圧縮して直径を小さくすることができる。加えて、スプリットリングは、圧縮力が解除された時にスプリットリングが元の構造及び直径に戻るように弾性材料または形状記憶材料から形成すべきである。使用する際は、スロット42の外周を越えて延在するスプリットリングの部分を、フランジ部材をベース内に挿入する時に圧縮する。スプリットリングがベースの凹部48に整合したら、スプリットリングに対する圧縮力を解除してスプリットリングを拡張させ、凹部48を塞ぐようにする。従って、スプリットリング40は、フランジ/キャップ組立体をベースに固定する働きをする。
【0028】
代替の実施形態では、スプリットリングは、凹部内にスナップフィットするのではなくフランジ部材22の隆起部の周りにスナップフィットする。例えば、図5に、ベース14の内面に形成された隆起部50を含む脳室開窓術レザバー装置10が例示されている。スプリットリング40’が、フランジ部材22の外面に形成された溝43内に受容されている。溝43とスプリットリング40’の相対的な寸法は、装置10の組み立ての際にスプリットリング40’が溝43内に維持され、かつベース12との固定を強化するように十分に突出する寸法にする。
【0029】
ベース14をキャップ/フランジ部材組立体に結合するには、フランジ部材22の下部26をベース14内に挿入する。フランジ部材を挿入する時に、スプリットリング40’が隆起部50に達すると圧縮される。スプリットリング40’が隆起部50を通過すると、スプリットリングが拡張し、これによりフランジ部材22とベース14がスナップフィット結合する。さらに別の態様では、隆起部50と凹部48の両方を用いてスプリットリングをベース14内に保持することができる。
【0030】
スナップフィット構造のさらに別の態様では、連続リング(不図示)と相補的な構造を用いることができる。例えば、スプリットリング40及び40’に類似しているが開口44のないリングを用いてスナップフィット結合を達成することができる。このようなリングを用いてキャップ/フランジ部材を組み立てるには、フランジ部材をベース内に挿入する。フランジ部材のリングが相補的な構造(例えば、隆起部)に達すると、ベース及び/またはフランジ部材が僅かに変形してリングが隆起部を通過し、その隆起部の後側の位置でスナップフィットする。連続リングを凹部と共に用いることができるが、フランジ部材の連続リングがベースの凹部内にスナップフィットするには同様にベースの僅かな変形が必要である。
【0031】
当業者であれば、スプリットリングまたは連続リングの位置を様々に変更できることを理解できよう。例えば、スプリットリングまたは連続リングは、フランジ部材22の内部の代わりにベース14内に配置することができる。このような構成では、対応する隆起部または凹部の位置をフランジ部材22の側壁にすることができる。
【0032】
スナップフィット構造の別の実施態様では、フランジ部材22の底面54によって画定された内部レザバーウエル20の底部と下部チューブ17の上部との間でスナップフィットが構成される。図6A及び図6Bに示されているように、フランジ部材の下部は、内部レザバーウエルの底部に亘って延在し、底面54で内部レザバーウエルの底部を取り囲んでいる。底面54は、連続した面にしても良いし、図6A及び図6Bに示されているように複数の別個の部材から形成しても良い。
【0033】
さらに図6A及び図6Bに示されているように、ベース14は、その側壁13の内部を上方に延びた下部チューブ17を含む。下部チューブ17の上部は、スナップフィット係合を補助するバーブ58などの表面構造を含む。加えて、フランジ部材22の底面54の内側部分に係合タブ56が形成されている。係合タブ56は、フランジ/キャップ組立体とベースとのスナップフィット係合を強化するように下部チューブのバーブ58と相補的である。
【0034】
図6A及び図6Bに、流体漏れを防止するためにベース14の内面とフランジ部材22の外面との間に配置できるシール32が例示されている。これに加えて或いは別法として、シールは、フランジ部材22の底面54とベース14との間に配置することができる。
【0035】
装置10を組み立てるには、キャップ/フランジ組立体27をベース14の側壁の中に挿入し、下部チューブ17のバーブがフランジ部材の受容部54にスナップフィットするまで押し込む。下部チューブ17及び/または底面54は組み立ての際にある程度の変形が可能であることを理解されたい。
【0036】
スナップフィット構造のさらに別の実施形態では、ベース14に形成されたスナップフィットフィンガー60がフランジ部材22の凹部62内または隆起部(不図示)の後側にスナップフィットすることができる。図7A及び図7Bに例示されているこの実施形態では、スナップフィットフィンガー60がベース14の外面から延出し、フランジ部材22の外面に結合するように構成されている。スナップフィットフィンガー60は、互いに平行な複数の細長い部材を含むことができ、これらの細長い部材はそれぞれ、その上部に突出部64などの結合構造を有する。加えて、フランジ部材22の外面は、突出部64を受容するように適合された相補的な凹部62を含む。装置を組み立てる場合、スナップフィットフィンガーがフランジ部材22を取り囲み、凹部62内にスナップフィットする。この実施形態はまた、図7Bに示されているようにフランジ部材22の内面とベース14の側壁13の外面との間に配置されるシール32を含むこともできる。
【0037】
当業者であれば、上記した例示的なスナップフィット構造は、移植後に装置が誤って外れないようにベースとキャップ/フランジ組立体を互いに固定できることを理解できよう。例えば、キャップ/フランジ組立体は、組み立てた装置を分離するのに約0.5ポンド(約0.23kg)、別の態様では約1ポンド(約0.45kg)より大きい力を必要とするようにベースに結合することができる。さらに別の態様では、組み立てた装置を分離するのに必要な力は、約1ポンド〜10ポンド(約0.45kg〜約4.5kg)、より好ましくは1ポンド〜5ポンド(約0.45kg〜約2.3kg)の範囲である。
【0038】
上記したように、シールとスナップフィット要素は異なった材料から形成することができる。例えば、シールの材料には、装置のより硬質な部分間の流体漏れを防止するのに適した生体適合性の弾性材料が好ましい。シールの形成に用いることができる例示的な材料は、限定するものではないが、シリコーンゴム、フルオロポリマー、及びポリウレタンを挙げることができる。ある態様では、シールの形成に用いる材料は、約25〜90の範囲のショアAデュロメータ硬さを有する材料を含むことができる。
【0039】
ベース及びフランジ部材の形成に用いる実質的に硬質な材料には、スナップフィットできる十分な柔軟性を維持し、かつ移植に耐える十分な強度を有する様々な生体適合性材料が含まれ得る。ベース及びフランジ部材を形成するための例示的な材料には、ナイロン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ABS、ポリカーボネート、及びステンレス鋼が含まれる。ベース、フランジ部材、及び/またはスナップフィット要素の形成に同じ材料または異なった材料を用いることができるが、選択する材料はシール32よりも硬い材料が好ましい。
【0040】
当業者であれば、上記した実施形態から本発明のさらなる特徴及び利点が明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除き、上記した特定の説明及び図面に限定されるものではない。ここに開示した全ての刊行物及び参照文献は言及することを以ってそれらの内容の全てを本明細書の一部とする。
【0041】
〔実施の態様〕
(1)脳室開窓術レザバー装置であって、
内部レザバーウエルを画定する上部開口及び下部開口を有するベースと、
開口した底部を有するキャップと、
前記キャップの部分に配置された第1の部分、前記キャップの前記開口した底部を越えて遠位側に延びた第2の部分を有するフランジ部材であって、前記ベースの前記内部レザバーウエルに取り外し可能に結合するように適合されており、前記フランジ部材の前記第2の部分が、前記内部レザバーウエルの構造と協働して前記フランジ部材と前記ベースを互いに固定するように適合されたスナップフィット要素を含む、前記フランジ部材と、
前記内部レザバーウエルと前記フランジ部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材であって、前記ベースと前記フランジ部材が取り外し可能に結合された時に前記ベースと前記フランジ部材との間の流体漏れを防止するように適合された、前記シール部材と、を含む、装置。
(2)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記ベース及び前記フランジ部材よりも柔軟な弾性材料から形成されている、装置。
(3)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が実質的に硬質である、装置。
(4)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第2の部分のスナップフィット要素が、前記内部レザバーウエルの内面の構造と協働するように適合されている、装置。
(5)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記キャップが弾性材料から形成され、前記フランジ部材が非弾性部材から形成されている、装置。
【0042】
(6)実施態様(5)に記載の装置であって、
前記キャップが柔軟性を有し、前記フランジ部材が実質的に硬質である、装置。
(7)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記キャップが、シリコーン、ポリウレタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料から形成されている、装置。
(8)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材が、ナイロン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ABS、ポリカーボネート、ステンレス鋼、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料から形成されている、装置。
(9)実施態様(1)に記載の装置であって、
複数のシール部材を含む、装置。
(10)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記シール部材がOリングである、装置。
【0043】
(11)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記内部レザバーウエルの内面と前記フランジ部材の外面との間に配置されている、装置。
(12)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記フランジ部材に形成された突出構造を含み、この突出構造が前記内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に係合可能である、装置。
(13)実施態様(12)に記載の装置であって、
前記突出構造が前記フランジ部材の外面に形成されている、装置。
(14)実施態様(13)に記載の装置であって、
前記突出構造が前記フランジ部材と一体である、装置。
(15)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記フランジ部材に形成された凹部を含み、その凹部が前記内部レザバーウエルの内面に形成された相補的な構造に結合可能である、装置。
【0044】
(16)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記フランジ部材の凹部に配置されたスプリットリングを含み、そのスプリットリングが、前記内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に結合するように適合されている、装置。
(17)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が凹部内に配置されたスプリットリングである、装置。
(18)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第1の部分が前記キャップに固着されている、装置。
(19)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材と前記ベースを分離するのに少なくとも1ポンド(0.45kg)の力が必要である、装置。
(20)実施態様(1)に記載の装置であって、
取り外し可能に結合した前記フランジの下部を前記ベースから分離するのに必要な力が1ポンド〜5ポンド(0.45kg〜2.3kg)の範囲である、装置。
【0045】
(21)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第2の部分が前記内部レザバーウエルの内側に位置する、装置。
(22)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が、それぞれが前記スナップフィット要素に結合可能な複数の固定フィンガーを含む、装置。
(23)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記ベースが、それぞれが第1の端部に突出部を有する複数の固定フィンガーを含み、前記フランジ部材の前記スナップフィット要素が、前記複数の固定フィンガーと結合するように適合された相補的な結合凹部を含む、装置。
(24)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が、前記ベースの外面から延出した第1の部分を含み、その第1の部分が、前記フランジ部材の外面に配置された前記スナップフィット要素に結合するように適合された少なくとも1つの固定フィンガーを含む、装置。
(25)実施態様(24)に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記内部レザバーウエルの外面と前記フランジ部材の内面との間に配置されている、装置。
【0046】
(26)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記ベースが、カテーテルと接続できるように適合された下部及び上部を含む出口内腔を含む、装置。
(27)実施態様(26)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記出口内腔の前記上部の構造と協働するように適合された、装置。
(28)実施態様(27)に記載の装置であって、
前記出口内腔が、前記フランジの前記第2の部分に結合するように適合されたバーブを含む、装置。
(29)実施態様(1)に記載の装置であって、
前記キャップが導入溝を含む、装置。
(30)脳室開窓術レザバー装置であって、
上部フランジ部分、下部フランジ部分、及びそれらの部分の間に延在する側壁を有するフランジ部材によって形成されたレザバーであって、前記側壁が内部レザバーウエルを画定している、前記レザバーと、
閉じた上面、開口した底部、及び導入溝を有するキャップであって、その一部に前記上部フランジ部分が固着されている、前記キャップと、
前記フランジ部材に結合するように適合された第1の端部及びカテーテルに接続できるように適合された第2の端部を有する取り外し可能な連結部材であって、前記連結部材の前記第1の端部が、前記フランジ部材の構造と協働して前記連結部材を前記フランジ部材に固定するように適合された少なくとも1つのスナップフィット要素を含む、前記連結部材と、
前記レザバーと前記連結部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材であって、前記フランジ部材と前記連結部材との間の流体漏れを防止するように適合された、前記シール部材と、を含む、装置。
【0047】
(31)実施態様(30)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記レザバーの外面に取り外し可能に結合するように適合されている、装置。
(32)実施態様(30)に記載の装置であって、
前記キャップが弾性材料から形成され、前記フランジ部材が非弾性材料から形成されている、装置。
(33)実施態様(30)に記載の装置であって、
前記シール部材がOリングである、装置。
(34)実施態様(30)に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記連結部材の複数の固定フィンガーのそれぞれに形成されている、装置。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の脳室開窓術レザバー装置の一実施形態の側面図。
【図2A】図1の脳室開窓術レザバー装置の断面図である。
【図2B】分解された状態の図1の脳室開窓術レザバー装置の断面図である。
【図2C】分解された状態の図1の脳室開窓術レザバー装置の部分破断図である。
【図3】本発明の脳室開窓術レザバー装置の別の実施形態の断面図である。
【図4A】本発明の脳室開窓術レザバー装置のさらに別の実施形態の断面図である。
【図4B】図4Aの脳室開窓術レザバーの部分破断図である。
【図5】本発明の脳室開窓術レザバー装置のさらに別の実施形態の断面図である。
【図6A】本発明の脳室開窓術レザバー装置の代替の実施形態の断面図である。
【図6B】分解された状態で示されている図6Aの脳室開窓術レザバー装置の断面図である。
【図7A】本発明の脳室開窓術レザバー装置の別の実施形態の断面図である。
【図7B】図7Aの脳室開窓術レザバー装置の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳室開窓術レザバー装置であって、
内部レザバーウエルを画定する上部開口、及び、下部開口を有する、ベースと、
開口した底部を有するキャップと、
前記キャップの部分に配置された第1の部分、および、前記キャップの前記開口した底部を越えて遠位側に延びた第2の部分を有するフランジ部材であって、前記ベースの前記内部レザバーウエルに取り外し可能に結合するように適合されており、前記フランジ部材の前記第2の部分が、前記内部レザバーウエルの構造と協働して前記フランジ部材と前記ベースを互いに固定するように適合されたスナップフィット要素を含む、前記フランジ部材と、
前記内部レザバーウエルと前記フランジ部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材であって、前記ベースと前記フランジ部材が取り外し可能に結合された時に前記ベースと前記フランジ部材との間の流体漏れを防止するように適合された、前記シール部材と、を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記ベース及び前記フランジ部材よりも柔軟な弾性材料から形成されている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が実質的に硬質である、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第2の部分のスナップフィット要素が、前記内部レザバーウエルの内面の構造と協働するように適合されている、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記キャップが弾性材料から形成され、前記フランジ部材が非弾性部材から形成されている、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記キャップが柔軟性を有し、前記フランジ部材が実質的に硬質である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記キャップが、シリコーン、ポリウレタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料から形成されている、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材が、ナイロン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ABS、ポリカーボネート、ステンレス鋼、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料から形成されている、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
複数のシール部材を含む、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記シール部材がOリングである、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記内部レザバーウエルの内面と前記フランジ部材の外面との間に配置されている、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記フランジ部材に形成された突出構造を含み、この突出構造が前記内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に係合可能である、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記突出構造が前記フランジ部材の外面に形成されている、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記突出構造が前記フランジ部材と一体である、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記フランジ部材に形成された凹部を含み、その凹部が前記内部レザバーウエルの内面に形成された相補的な構造に結合可能である、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記フランジ部材の凹部に配置されたスプリットリングを含み、そのスプリットリングが、前記内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に結合するように適合されている、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が凹部内に配置されたスプリットリングである、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第1の部分が前記キャップに固着されている、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材と前記ベースを分離するのに少なくとも1ポンド(0.45kg)の力が必要である、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置であって、
取り外し可能に結合した前記フランジの下部を前記ベースから分離するのに必要な力が1ポンド〜5ポンド(0.45kg〜2.3kg)の範囲である、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第2の部分が前記内部レザバーウエルの内側に位置する、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が、それぞれが前記スナップフィット要素に結合可能な複数の固定フィンガーを含む、装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置であって、
前記ベースが、それぞれが第1の端部に突出部を有する複数の固定フィンガーを含み、前記フランジ部材の前記スナップフィット要素が、前記複数の固定フィンガーと結合するように適合された相補的な結合凹部を含む、装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が、前記ベースの外面から延出した第1の部分を含み、その第1の部分が、前記フランジ部材の外面に配置された前記スナップフィット要素に結合するように適合された少なくとも1つの固定フィンガーを含む、装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記内部レザバーウエルの外面と前記フランジ部材の内面との間に配置されている、装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置であって、
前記ベースが、カテーテルと接続できるように適合された下部及び上部を含む出口内腔を含む、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記出口内腔の前記上部の構造と協働するように適合された、装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置であって、
前記出口内腔が、前記フランジの前記第2の部分に結合するように適合されたバーブを含む、装置。
【請求項29】
請求項1に記載の装置であって、
前記キャップが導入溝を含む、装置。
【請求項30】
脳室開窓術レザバー装置であって、
上部フランジ部分、下部フランジ部分、及びそれらの部分の間に延在する側壁を有するフランジ部材によって形成されたレザバーであって、前記側壁が内部レザバーウエルを画定している、前記レザバーと、
閉じた上面、開口した底部、及び導入溝を有するキャップであって、その一部に前記上部フランジ部分が固着されている、前記キャップと、
前記フランジ部材に結合するように適合された第1の端部及びカテーテルに接続できるように適合された第2の端部を有する取り外し可能な連結部材であって、前記連結部材の前記第1の端部が、前記フランジ部材の構造と協働して前記連結部材を前記フランジ部材に固定するように適合された少なくとも1つのスナップフィット要素を含む、前記連結部材と、
前記レザバーと前記連結部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材であって、前記フランジ部材と前記連結部材との間の流体漏れを防止するように適合された、前記シール部材と、を含む、装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記レザバーの外面に取り外し可能に結合するように適合されている、装置。
【請求項32】
請求項30に記載の装置であって、
前記キャップが弾性材料から形成され、前記フランジ部材が非弾性材料から形成されている、装置。
【請求項33】
請求項30に記載の装置であって、
前記シール部材がOリングである、装置。
【請求項34】
請求項30に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記連結部材の複数の固定フィンガーのそれぞれに形成されている、装置。
【請求項1】
脳室開窓術レザバー装置であって、
内部レザバーウエルを画定する上部開口、及び、下部開口を有する、ベースと、
開口した底部を有するキャップと、
前記キャップの部分に配置された第1の部分、および、前記キャップの前記開口した底部を越えて遠位側に延びた第2の部分を有するフランジ部材であって、前記ベースの前記内部レザバーウエルに取り外し可能に結合するように適合されており、前記フランジ部材の前記第2の部分が、前記内部レザバーウエルの構造と協働して前記フランジ部材と前記ベースを互いに固定するように適合されたスナップフィット要素を含む、前記フランジ部材と、
前記内部レザバーウエルと前記フランジ部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材であって、前記ベースと前記フランジ部材が取り外し可能に結合された時に前記ベースと前記フランジ部材との間の流体漏れを防止するように適合された、前記シール部材と、を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記ベース及び前記フランジ部材よりも柔軟な弾性材料から形成されている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が実質的に硬質である、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第2の部分のスナップフィット要素が、前記内部レザバーウエルの内面の構造と協働するように適合されている、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記キャップが弾性材料から形成され、前記フランジ部材が非弾性部材から形成されている、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記キャップが柔軟性を有し、前記フランジ部材が実質的に硬質である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記キャップが、シリコーン、ポリウレタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料から形成されている、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材が、ナイロン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ABS、ポリカーボネート、ステンレス鋼、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料から形成されている、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
複数のシール部材を含む、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記シール部材がOリングである、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記内部レザバーウエルの内面と前記フランジ部材の外面との間に配置されている、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記フランジ部材に形成された突出構造を含み、この突出構造が前記内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に係合可能である、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記突出構造が前記フランジ部材の外面に形成されている、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記突出構造が前記フランジ部材と一体である、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記フランジ部材に形成された凹部を含み、その凹部が前記内部レザバーウエルの内面に形成された相補的な構造に結合可能である、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記フランジ部材の凹部に配置されたスプリットリングを含み、そのスプリットリングが、前記内部レザバーウエルに形成された相補的な構造に結合するように適合されている、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が凹部内に配置されたスプリットリングである、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第1の部分が前記キャップに固着されている、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材と前記ベースを分離するのに少なくとも1ポンド(0.45kg)の力が必要である、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置であって、
取り外し可能に結合した前記フランジの下部を前記ベースから分離するのに必要な力が1ポンド〜5ポンド(0.45kg〜2.3kg)の範囲である、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置であって、
前記フランジ部材の前記第2の部分が前記内部レザバーウエルの内側に位置する、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が、それぞれが前記スナップフィット要素に結合可能な複数の固定フィンガーを含む、装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置であって、
前記ベースが、それぞれが第1の端部に突出部を有する複数の固定フィンガーを含み、前記フランジ部材の前記スナップフィット要素が、前記複数の固定フィンガーと結合するように適合された相補的な結合凹部を含む、装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置であって、
前記内部レザバーウエルの前記構造が、前記ベースの外面から延出した第1の部分を含み、その第1の部分が、前記フランジ部材の外面に配置された前記スナップフィット要素に結合するように適合された少なくとも1つの固定フィンガーを含む、装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、
前記シール部材が、前記内部レザバーウエルの外面と前記フランジ部材の内面との間に配置されている、装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置であって、
前記ベースが、カテーテルと接続できるように適合された下部及び上部を含む出口内腔を含む、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記出口内腔の前記上部の構造と協働するように適合された、装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置であって、
前記出口内腔が、前記フランジの前記第2の部分に結合するように適合されたバーブを含む、装置。
【請求項29】
請求項1に記載の装置であって、
前記キャップが導入溝を含む、装置。
【請求項30】
脳室開窓術レザバー装置であって、
上部フランジ部分、下部フランジ部分、及びそれらの部分の間に延在する側壁を有するフランジ部材によって形成されたレザバーであって、前記側壁が内部レザバーウエルを画定している、前記レザバーと、
閉じた上面、開口した底部、及び導入溝を有するキャップであって、その一部に前記上部フランジ部分が固着されている、前記キャップと、
前記フランジ部材に結合するように適合された第1の端部及びカテーテルに接続できるように適合された第2の端部を有する取り外し可能な連結部材であって、前記連結部材の前記第1の端部が、前記フランジ部材の構造と協働して前記連結部材を前記フランジ部材に固定するように適合された少なくとも1つのスナップフィット要素を含む、前記連結部材と、
前記レザバーと前記連結部材との間に配置された少なくとも1つのシール部材であって、前記フランジ部材と前記連結部材との間の流体漏れを防止するように適合された、前記シール部材と、を含む、装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が前記レザバーの外面に取り外し可能に結合するように適合されている、装置。
【請求項32】
請求項30に記載の装置であって、
前記キャップが弾性材料から形成され、前記フランジ部材が非弾性材料から形成されている、装置。
【請求項33】
請求項30に記載の装置であって、
前記シール部材がOリングである、装置。
【請求項34】
請求項30に記載の装置であって、
前記スナップフィット要素が、前記連結部材の複数の固定フィンガーのそれぞれに形成されている、装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公開番号】特開2006−142032(P2006−142032A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−336072(P2005−336072)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(500140415)コドマン・アンド・シャートレフ・インコーポレイテッド (34)
【氏名又は名称原語表記】Codman & Shurtleff, Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham, Massachusetts 02767−0350, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336072(P2005−336072)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(500140415)コドマン・アンド・シャートレフ・インコーポレイテッド (34)
【氏名又は名称原語表記】Codman & Shurtleff, Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham, Massachusetts 02767−0350, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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