説明

脳疾患の予防または治療用組成物

本発明は、神経細胞の死滅抑制及び/または神経細胞の生成を促進させて、神経・精神疾患、特に脳疾患を予防または治療することができて、認知機能を改善することができる組成物に関し、スタニオカルシン2を有効成分として含む神経性疾患、特に脳疾患の予防または治療用組成物及び認知機能の改善のための組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳神経疾患の予防または治療用組成物及び認知機能の改善のための組成物に関し、より詳細には、スタニオカルシン2を有効成分として含む神経性疾患、特に脳疾患の予防または治療用組成物及び認知機能の改善のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
統計庁で2007年7月発表した大韓民国老齢人口の比率をみると、大韓民国は、2000年65歳以上の人口が占める比重が7.3%であって、高齢化社会に入り、2007年は9.3%であって、5年前に比べて2.0%が高くなった。このような趨勢なら、大韓民国の老齢化指数(0〜14歳人口100名当たり65歳以上の比率)は2050年429になり、世界平均(82)の5倍に至って、全世界的に最も高いと見込まれた。また、このような高齢化の影響で、大韓民国の80歳以上超高齢人口の比重は、2005年には1.4%と世界平均(1.3%)とほぼ等しいが、2050年には14.5%に高くなって、先進国(9.4%)水準を大きく上回ると見込まれた。このような変化によって、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病及び筋萎縮性側索硬化症のような退行性脳神経疾患や脳卒中(特に、虚血性脳卒中)のような虚血または再潅流による神経細胞の損傷による疾患などが死亡の主な原因とされている実情である。
【0003】
脳卒中は、脳血管が破れるか塞がれて、結果的に局所脳組織の機能異常をもたらす脳血管疾患であって、普段中風ともいい、大韓民国では死亡原因の先頭を走っている。脳卒中は、脳のどの部位でも生じ得て、よって、身体のほぼ全ての機能に障害を起こすことができる。医学的に脳卒中は、大きく、脳の血管が塞がれて特定部位の血液循環が悪くなって現れる‘虚血性脳卒中’と、脳出血による‘出血性脳卒中’とに分類できて、その中、成人病の原因と知られた高血圧、動脈硬化症と密接な連関性のある虚血性脳卒中の発生比率がさらに高い。
【0004】
虚血性脳卒中は、首部分にある頚動脈、椎骨脳底動脈から脳内の細い動脈に至るまで、どこでも血管が塞がれると発病し、これにより、その血管が支配していた脳組織が死んでしまう現象、即ち‘脳梗塞(infarction)’が発生するようになる。一応発生した脳梗塞部位は、その機能を生き返らせることはできず、これにより、脳梗塞による中枢神経系障害は、回復できず永久的に残るようになる。そのため、脳卒中治療において最も重要なことは、脳卒中発病危険因子と知られた高血圧、糖尿病、高脂血症などの予防法と共に、脳虚血そのものに対する予防である。また、脳卒中発病により脳梗塞がきた時、脳浮腫を減少させて、虚血状態の所は、適宜循環されるようにし、二次的な脳損傷を減らすことにその焦点をおいている。
【0005】
現在、神経細胞の保護のために使用している物質としては、興奮性アミノ酸拮抗剤であるガングリオシド(ganglioside)、ニモディピン(Nimodipine)、GABA亢進剤であるクロメチアゾール(clomethiazole)などがあり、硫酸マグネシウムとグリシン拮抗剤及びピラセタム(piracetam)は、現在大規模臨床研究が進行中である。しかし、現在試みられている神経細胞保護剤は、虚血進行過程のそれぞれ別の段階に作用する製剤であって、このような各過程に同時に作用する複合療法の開発が必要であるが、副作用と薬物相互干渉の問題を解決しなければならない課題を抱えている。
【0006】
また、虚血性脳卒中の症状は、特別な予後無しに急に訪れるため、脳虚血発病当時に投与される薬物を通じて治療を期待するよりは、持続的な虚血予防と虚血後の神経細胞のアポトーシスの抑制のための機能性食品の摂取がさらに効果的であると判断されている。
【0007】
米国特許第6,245,757号は、虚血による細胞損傷を治療する用途としてのプロゲスチン(progestin)を開示しており、米国特許第6,380,193号は、ポリ(アデノシン5’−ジホスホ−リボース)ポリメラーゼ抑制剤を含む脳卒中治療用組成物を開示している。また、米国特許第6,288,041号は、シアル酸誘導体を含む脳卒中治療用組成物を開示しており、米国特許第5,580,866号は、1,4−チアゼピンを有効成分として含む脳卒中治療用組成物を開示している。
【0008】
パーキンソン病(Parkinson's disease, PD)は、運動及び認知障害を起こす退行性脳神経疾患であって、1817年James Parkinsonにより最初に報告された。この疾患の発病率は、米国において、人口10万名当たり100〜150名程度であって、約75万〜100万名の患者が報告されており、毎年6万余名が新たに診断される趨勢であって、韓国でも人口の老齢化によってその発病率及び有病率が増加し続けると予想される。組織病理学的には、黒質(substantia nigra)に位置するドーパミン神経細胞の消失が特徴的に表れて、その神経線維の投射部位である尾状核(caudate nucleus)と被殻(putamen)のドーパミンが減少して特徴的な振戦(tremor)、運動遅延(bradykinesia)、硬直(rigidity)、姿勢の障害(disturbance of posture)など、運動及び認知機能障害が現れる。
【0009】
パーキンソン病に使用される主な治療薬物は、脳で足りなくなったドーパミンの機能を補充する薬剤またはその他、神経細胞の破壊を予防あるいは遅延させようとする目的やその他の鬱病などの付随的な症状を調節するための薬物治療などがある。代表的な薬物として、ドーパミン前駆物質であるレボドパ(levodopa, L-dopa)成分のマドパー(Madopar)、ドーパミン受容体アゴニスト(agonist)成分のブロミジン(bromidine)、リスリド(lisuride)、そして抗アセチルコリン性薬物であるアルタン(artane)、コジェンティン(cogentin)などの多様な神経薬理学的報償性治療法が開発されている。この中、ドーパミンの前駆体であるレボドパは、足りない脳内ドーパミンの濃度を補充させることにより、パーキンソン病の症状を改善させるに最も効果的に使用されているが、3〜5年以上長期間投与すると、薬物効果時間が段々短くなるか(wearing-off)、薬物の効果に対する運動調節機能の変動が激しくなる現象(on-off現象)、異常運動症(diskinesia)などの副作用が現れる(Freed et. al., N. Engl. J. Med. 327:1549-55(1992))。
【0010】
その他にも、パーキンソン病の外科的治療法として、視床破壊術(thalamotomy)と淡蒼球破壊術(pallidotomy)、深部脳刺激術(deep brain stimulation)、神経細胞移植術(Neuronal cell transplantation)などが行われている。しかしながら、治療効果の持続期間が患者によって大きい差を示し、稀に手術による小声症(hypophonia)、構音障害(dysarthria;吃音症)、記憶力減衰などの副作用を伴う(Ondo et. al., Neurology 50:266-270 (1998); Shannon et. al., Neurology 50:434-438(1998))。
【0011】
アルツハイマー病に対する最近の治療基調は、大脳皮質(cerebral cortex)と海馬(hippocampus)において機能損傷されたコリン性シグナリング及び伝達(cholinergic signaling and transmission)によりアルツハイマー病が由来するという可能性に中心をおいている(Bartus et al., Science. 217(4558): 408-14(1982));及び Coyle et al., Science. 219(4589):1184-90(1983))。このような脳の領域は、記憶及び知能と連結されているため、脳のこれらの部分の機能的な欠陥は、記憶及び判断に対する確実な損傷を与えて、知的能力を失わせる。神経信号伝達(neuronal signaling)に損傷が生じる正確な過程が論争対象になってはいるが、老人性プラーク(senile plaque)及び神経原線維濃縮体(neurofibrillary tangle: NFT)が病理学的に主現象と思われる。アミロイドβ(Aβ)の蓄積による老人性プラークは、この病の最も大きい特徴であって、アルツハイマー病は、死後剖検により確診が可能である(Khachaturian, Arch. Neurol. 42(11):1097-105(1985))。
【0012】
アルツハイマー病の場合、コリン性神経伝達の損傷を抑制できるようにアセチルコリンの量を増加させるか、アセチルコリンが長期間存在できるようにするか、あるいは神経細胞の伝達にアセチルコリンがさらに効果的に作用するようにする薬物と治療法が提示されており、アルツハイマー病患者のアセチルコリン活性度を高める種々の化合物が使用されている。現在最も効果的な接近方法は、シナプスでアセチルコリンを速く分解し、神経信号伝達を邪魔するアセチルコリンエステラーゼの活性を抑制する方法である。実際、このような阻害剤(例えば、tacrine, donepezil, galantamine及びrivastigmine)は、現在FDAで認めたアルツハイマー病治療薬物として市場で流通されている。多い場合、前記薬物は、病の進行を緩和するに有効であるが、完治にはよく適用されていない。
【0013】
ある化合物は、神経の一般的な健康状態を改善して、年をとっていくことによる細胞の機能を正常的に維持するに目的をおいている。例えば、NGFとエストロゲンのような幾つかの薬物は、神経の退化を遅らせる神経保護役割をして、抗酸化剤のような他の薬物は、細胞の酸化を減少させて、正常的な老化の結果で現れる有害な細胞の損傷の増加を減少させる。アミロイドβペプチドが蓄積される程度が多いと、アルツハイマー病が酷くなるが、神経炎空間(neuritic space)にアミロイドβの蓄積を下げると、アルツハイマー病の進行を遅らせることができると思われている。アミロイド前駆体蛋白質(Amyloid precursor protein: APP)がα-, β-, γ-セクレターゼのような細胞内の蛋白質分解酵素との組み合わせにより多様な形態に進行されると思われる。しかしながら、アミロイドβの形成過程が実際科学的に完全に究明されていないため、アミロイドβの形成を調節することはまだ不可能である。
【0014】
アミロイドβの蓄積が神経信号伝達に異常を与える過程は明確ではない。APPが変に切断されてアミロイドβが多く生成され、神経炎に蓄積されると、プラーク形成が誘発される。したがって、このような切断反応に関与する他の多様な要因(例えば、炎症反応など)は、タウ(tau)蛋白質のリン酸化を増加させて、NFTと対螺旋フィラメント(paired helical filament: PHF)の蓄積を増加させ、結局神経の損傷を増加させる。このような要因の全てが神経の機能障害を誘発し、究極的にアルツハイマー型の痴呆に進行を加速させる。
【0015】
たとえアルツハイマー病の影響を減らすための治療方法に対する開発がたくさん進行されているが、現在としては、一時的な症状の改善を提供するに留まっている。結論的に、現在アルツハイマー病の治療は、病の進行過程を戻らせるのではなく、病の症状を改善するに焦点をおいている。病の生物学的な知識についてはより多く知っているが、臨床への適用結果は、まだ成功的ではない。
【0016】
米国特許第5,532,219号は、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどを含むアルツハイマー病治療用組成物を開示しており、米国特許第5,506,097号は、パラ−アミノジフェニルメタンスルホニルフルオリドまたはエベラクトンAを含むアルツハイマー病治療用組成物を開示しており、米国特許第6,136,861号は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタンを含むアルツハイマー病治療用組成物を開示している。
【0017】
一方、ストレスは、現代社会人にとって重要な健康上の問題と台頭されていて、大韓民国20歳以上の成人の場合、1/3以上が日頃からたくさんのストレスを受けており、10代の場合、男性より女性が、そして年齢が高いほどさらに多いストレスを感じている。ストレスは、個人の性格、趣味、解消法、周辺環境、統制能力などによってその強度が異なっているが、大部分鬱病を伴う。鬱病は、ストレスによっても発病する精神疾患であって、自殺のような極端的な結果を示したりもして、高い再発率と共に、速い患者発生率のため、非常に重要な疾患と認識されている。鬱病の原因は、アドレナリン、ドーパミンまたはセロトニンなどのような脳神経伝達物質の障害と明かされており、海馬部位の萎縮及び成人神経生成の抑制などの脳損傷も伴う。代表的な鬱病治療剤の一つである三環系抗鬱剤(tricyclic antidepressant: TCA)は、副作用が大きいという短所を有している。特に、アミトリプチリンなどは、国内で広範囲に処方されているが、多様な副作用など、たくさんの問題点を有している。80年代米国で選択的セロトニン遮断剤(selective serotonin re-uptake inhibitor: SSRI)であるフルオキセチン(fluoxetine)が開発されて、TCAの副作用を克服し薬物順応度を大きく高めて、治療失敗率を下げることができ、1996年度世界20代販売医薬品の7位になるほどであった。しかしながら、SSRIは、効果の側面で、TCAと比較しあまり差がなく、また、薬物相互干渉が深刻であるという問題点がある。
【0018】
また、ストレスによる神経系撹乱は持続的に誘発されて、現在の治療方法は、鬱病薬剤処方後、再発防止のための措置が特にないため、投与薬物の含量を低めて持続的に投与する水準に留まっている。したがって、ストレスによる神経細胞アポトーシスや神経伝達物質体系の矯正に優れた効果のある物質の開発が重要である。また、ストレスによる鬱病の治療のために治療機関を訪問することを忌避したり、ストレスによりセロトニン神経系撹乱と脳損傷などが誘発したりされることなどに対して看過する傾向も多くて、実際ストレス性鬱病治療機能を有する機能性食品の必要性は非常に大きい。
【0019】
既に世界の国々では、神経退行性疾患の予防と治療剤の開発に心血を注いでおり、その代表的な例として、米国特許第6,020,127号は、人間の染色体5q13で神経性アポトーシス抑制蛋白質をエンコーディングする遺伝子を開示しており、米国特許第6,288,089号は、ドーパミンニューロンのアポトーシスを抑制して、神経退行性疾患を治療することができるピリジルイミダゾールを開示している。
【0020】
このような多様な原因による脳損傷メカニズムを類似に再現する試験方法が幾つか提示されているが、その一つが脳虚血−再潅流方法である。この方法による脳細胞損傷メカニズムは、大きく二つに要約できる。その一つは、脳血管再潅流後、グルタメート(glutamate)が過度に増加して、カルシウムイオンチャンネルが開放されるにつれて、過度なカルシウムイオンが神経細胞内に流入されて神経細胞が死ぬという‘興奮性細胞毒性(excitotoxicity)説’がある(Hagberg, H. et al., Ment Retard Dev Disabil Res Rev. 8(1):30-38(2002))。また他の仮設は、再潅流時に誘発される自由ラジカルによる細胞内酵素系統の破壊に起因するという‘酸化性ストレス説’がある(Chan. PH., J Cereb Blood Flow Metab. 21(1):2-14(2001))。研究によると、興奮性細胞毒性と酸素ラジカルによる神経細胞の死滅は、別々発生するものではなく、互いに同伴して発生し、これらが神経細胞死に直接的に作用すると知られている(Won, MH. et al., Brain Res. 836:70-78(1999))。最近は、細胞の死滅が現れる四日頃に主に誘導される炎症媒介体やサイトカインなどのような物質に関心が集中されている。このようなサイトカインと炎症媒介体は、マイクログリア(microglia)から分泌されるか、死んでいく細胞から分泌されて、細胞の死滅を増加させると知られている(Basu, A. et al., J Neurosci. 22:6071-6082(2002))。
【0021】
脳損傷メカニズムと関連したまた他の実験方法は、脳細胞の興奮性アミノ酸(kainic acid, NMDA, quisulate, AMPA, glutamateなど)による興奮毒性は神経細胞死を招来し、脳機能の障害を誘発して、痙攣、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、脊髄損傷などのような様々な脳疾患を起こす重要な因子という事実に着眼し、興奮性アミノ酸であるカイニン酸を脳室内に注入する方法である。カイニン酸を全身あるいは中枢神経系に投与すると、てんかん発作が増加して、オピオイドペプチド(opioid peptide)を合成させるプロダイノルフィン(prodynorphin)またはプロエンケファリン(proenkephalin)mRNAの濃度が海馬で増加される。前記カイニン酸は、海馬組織でc-fosとc-jun転写調節因子の発現を増加させて(Kaminska, B. et al., Acta Biochim Pol. 44:781-789(1997))、また、IL−1のようなサイトカイン遺伝子と炎症反応に関与するiNOS(inducible nitric oxide synthase)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX-2)遺伝子の発現を増加させると報告された(Kunz, T. and Oliw, EH., Eur J Neurosci. 13:569-575(2001))。白いマウスを利用したカイニン酸によるMAPK信号伝達研究において、RK1/2、p38、JNK蛋白質のリン酸化が海馬組織で増加されることが報告されたが、カイニン酸誘導MAPKの発現は、細胞生存や死滅において、下位経路にあるたくさんの遺伝子発現を誘導する重要な指標になる(Mielke, K et al., Neuroscience. 91:471-483(1999))。
【0022】
本明細書全体にかけて多数の特許文献及び論文が参照されて、その引用が表示されている。引用された特許文献及び論文の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明者は、神経細胞の死滅抑制及び/または神経細胞の生成を促進させて、神経疾患、特に脳疾患を予防または治療することができ、認知機能を改善することができる物質を発掘するために鋭意研究した結果、スタニオカルシン2が上述の神経関連活性を示すことを確認し、本発明を完成した。
【0024】
したがって、本発明の目的は、スタニオカルシン2を有効成分として含む脳疾患の予防または治療用組成物を提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、スタニオカルシン2を有効成分として含む認知機能の改善のための組成物を提供することにある。
【0026】
本発明のまた他の目的は、脳疾患の予防または治療方法を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、認知機能の改善方法を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の一様態によると、本発明は、スタニオカルシン2を有効成分として含む脳疾患の予防または治療用組成物を提供する。
【0030】
本発明の他の様態によると、本発明は、スタニオカルシン2を有効成分として含む認知機能の改善のための組成物を提供する。
【0031】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、薬剤学的有効量のスタニオカルシン2を含む薬剤学的組成物を患者(subject)に投与する段階を含む脳疾患の予防または治療方法を提供する。
【0032】
本発明の他の様態によると、本発明は、薬剤学的有効量のスタニオカルシン2を含む薬剤学的組成物を患者(subject)に投与する段階を含む認知機能の改善方法を提供する。
【0033】
本発明者は、神経細胞の死滅抑制及び/または神経細胞の生成を促進させて、神経疾患、特に脳疾患を予防または治療することができ、認知機能を改善することができる物質を発掘するために鋭意研究した結果、スタニオカルシン2が上述の神経関連活性を示すことを確認した。
【0034】
本発明の組成物において有効成分として利用されるスタニオカルシン2は、スタニオカルシン1と異なって、その役割がほとんど究明されておらず、生物学的に異なる役割をすると予想されている(Derek A. JELLINEK et al., Biochemical J., 350:453-461(2000))。
【0035】
スタニオカルシン(Stanniocalcin)は、スタニウス魚類の小体と呼ばれる硬骨魚類の腎臓から発見された内分泌腺により分泌するようになる同型二重体(homodimeric)糖蛋白質ホルモンである(Wagner, G., Biochemistry and Molecular Biology of Fishes, eds. Hochachka and Mommsen, Elsevier Science, Amersterdam, 2(21):419-434( 1993))。人間のスタニオカルシンは、最近発見された(Chang et al., Mol. Cell. Endocrinol. 112:241-247(1995) and Olsen et al. WO 95/24411)。スタニオカルシン2(STC2)は、スタニオカルシン1(STC1)と異なって、その役割がほとんど究明されておらず、生物学的に異なる役割をすると予想されている(Derek A. JELLINEK et al., Biochemical J., 350:453-461(2000))。スタニオカルシン2は、STC1と約34%の相同性を有すると発表された(Chang, A.C.M. et al., Mol. Cell. Endocrinol., 141:95-99(1998))。STC2は、哺乳動物組織、例えば、膵臓、骨格筋及び小腸などで広く発現される。STC2の機能は、確実に究明されていないが、カルシウム及びホスフェートの代謝に関与すると予測されている。
【0036】
本発明の最も大きい特徴は、STC2が神経細胞の死滅を抑制して、神経細胞の生成を促進させるという新しい用途である。
【0037】
このようなスタニオカルシン2を含む本発明の組成物は、神経性疾患、特に、脳疾患の予防または治療に優れた効能を示す。このような本発明の作用は、大体神経細胞の保護作用を通じて現れる。本明細書において用語‘神経細胞’は、中枢神経系、脳、脳幹、脊髄、中枢神経系と末梢神経系の接合部分などの構造をなすニューロン、神経支持細胞、グリア、シューマン細胞などを含む。本明細書において用語‘神経細胞の保護’は、神経性インサルト(neurologic insult)を軽減または改善(amelioration)する作用、または神経性インサルトにより損傷を受けた神経細胞の保護または回復させる作用を意味する。また、本明細書において用語‘神経性インサルト’は、多様な原因(例えば、代謝性原因、毒性原因、神経毒性原因及び化学的原因など)により招来される神経細胞または神経組織の損傷を意味する。
【0038】
本発明の組成物が適用できる疾患の具体的な例は、神経退行性疾患、虚血または再潅流による疾患及び精神疾患などを含むが、これに限定されるものではない。より具体的には、アルツハイマー病、ハンチントン疾病、パーキンソン病及び筋萎縮性側索硬化症のような神経退行性疾患;脳卒中(特に、虚血性脳卒中)のような虚血または再潅流による神経細胞の損傷による疾患;そして精神分裂症、鬱病、躁鬱病及び心的外傷後ストレス障害のような精神疾患などの予防または治療に利用できる。
【0039】
下記の実施例から分かるように、本発明のスタニオカルシン2は、神経細胞のアポトーシスによる死滅を大きく抑制する。例えば、神経細胞のアポトーシスを誘導する神経毒性物質であるカイニン酸による神経細胞の死滅を大きく抑制する。
【0040】
本発明のスタニオカルシン2は、認知機能(cognitive function)の改善にも優れた効能を示す。好ましくは、本発明のスタニオカルシン2は、上記の神経性疾患に伴う認知機能の悪化を改善するか予防するに優れた効能を示す。また、本発明のスタニオカルシン2は、正常人の認知機能の改善にも優れた効能を示すことができる。
【0041】
一方、記憶の形成と蓄積を維持する最も重要部位は、脳の海馬である。海馬は、神経が密集した地域であって、新しい神経細胞の生成が活発に起こりつつ、互いに電気的な刺激を取り交わして、学習と記憶に対する機能を担当している。本発明のスタニオカルシン2は、特に、海馬の奥側に位置した歯状回の顆粒細胞層の下側の顆粒細胞下層で神経細胞の生成を促進した。海馬における神経生成を伴わない場合、代表的抗鬱剤であるイミプラミンの効果も伴わなかったという結果に鑑みて、海馬歯状回顆粒細胞層の神経細胞生成は、ストレス改善に連関性を示す。また、抗鬱剤成分のパロキセチンが海馬歯状回顆粒細胞層の神経細胞生成を促進する機能を示すと明かされた点に鑑みて、スタニオカルシン2も同様に、抗鬱病の治療剤に活用されることが好ましい。
【0042】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のスタニオカルシン2が発揮する認知機能の改善は、学習能力及び/または記憶能力の改善である。
【0043】
本明細書において、用語‘予防’は、疾患または疾病を保有していると診断されたことはないが、このような疾患または疾病にかかり易い傾向がある動物において、疾患または疾病の発生を抑制することを意味する。本明細書において、用語‘治療’は、(a)疾患または疾病の発展の抑制;(b)疾患または疾病の軽減;及び(c)疾患または疾患の除去を意味する。
【0044】
本明細書において用語‘スタニオカルシン2’は、特に言及しない限り、ヒトスタニオカルシン2を意味し、好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列を有するものである。
【0045】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物は、薬剤学的組成物または食品組成物である。
【0046】
本発明の組成物が薬剤学的組成物である場合、本発明の組成物は、(a)スタニオカルシン2の薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む。
【0047】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、炭水化物類化合物(例えば、ラクトース、アミロース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、セルロースなど)、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物性オイル(例えば、玉蜀黍油、綿の種子油、豆油、オリーブ油、ココナッツ油)、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むが、これらに限定されるものではない。適した薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0048】
本発明の薬剤学的組成物は、経口または非経口で投与でき、非経口投与の場合、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入及び脳室内注入などで投与できる。
【0049】
本発明の薬剤学的組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因により様々であって、普通に熟練した医者は、所望の治療または予防に効果的な投与量を容易に決定及び処方することができる。例えば、本発明の薬剤学的組成物の1日投与量は、0.0001〜100mg/kgである。
【0050】
本発明の薬剤学的組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/または賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造するか、または多用量容器内に入れて製造できる。ここで剤形は、オイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液形態であるか、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤形態であってもよく、分散剤または安定化剤をさらに含むことができる。
【0051】
本発明の組成物は、食品組成物として開発できる。本発明の食品組成物は、食品製造時に通常的に添加される成分を含むが、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤及び香味剤を含む。上述の炭水化物の例は、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖など)、二糖類(マルトース、スクロース、オリゴ糖など)、及び多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような通常的な糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。香味剤として、天然香味剤[ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど)]及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を使用することができる。
【0052】
例えば、ドリンク剤に製造される場合は、本発明のスタニオカルシン2の他に、クエン酸、液状果糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、りんご酸、果汁、トチュウ抽出液、棗抽出液、甘草抽出液などをさらに含むことができる。食品に対する容易な接近性を考慮すると、本発明の食品は、神経性疾患の治療または予防、及び認知機能の改善に非常に有用である。
【発明の効果】
【0053】
本発明の特徴及び利点を要約すると、以下のようである:
(i)本発明は、スタニオカルシン2を有効成分として含む神経性疾患、特に、脳疾患の予防または治療用組成物及び認知機能の改善のための組成物を提供する。
(ii)本発明で有効成分として利用されるスタニオカルシン2は、神経細胞のアポトーシスを抑制するだけではなく、驚くごとに、神経細胞の生成を促進する活性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明で利用されたスタニオカルシン2(Stanniocalcin 2: STC2)がマウス海馬のアンモン角3区域(Cornu Ammonis 3: CA3)で神経細胞の死滅を抑制することを示す結果写真である。図1のパネルAとパネルCは、カイニン酸(Kainic acid: KA)単独処置群であり、パネルBとDは、KA及びSTC2併用処置群であって、これを比較したものである。パネルAにおいて、CA1、CA2そしてCA3は、それぞれ海馬のアンモン角(Cornu Ammonis: CA)1区域、アンモン角2区域、そしてアンモン角3区域を示して、DGは、歯状回(dentate gyrus: DG)を示す。パネルCにおいて、三つの黒い矢印は、神経細胞が死滅される部分を表示している。パネルBとDにおいて、STC2により神経細胞死滅が抑制されたことを確認することができる。
【図2】マウスの海馬に位置した顆粒細胞下層(subgranular zone: SGZ)における神経細胞増殖に対するスタニオカルシン2(Stanniocalcin 2: STC2)の影響を免疫組織化学法(Immunohistochemistry)によってチミジン類似体ブロモデオキシウリジン(Bromodeoxyuridine: BrdU)に類似分裂後、神経細胞(postmitotic neurons)のゲノムを染色した実験結果である。黒い矢印は、ブロモデオキシウリジン−免疫陽性細胞(BrdU−immunopositive cells)を示し、パネルAとC(対照群)よりパネルBとD(STC2処理群)から、ブロモデオキシウリジン−免疫陽性細胞が海馬の顆粒細胞下層で増加したことを確認することができる。
【図3】図2の実験を相対定量して比較したグラフである。Controlは、STC2未投与群である対照群を意味し、STC2は、スタニオカルシン2投与群である。対照群と比較し、STC2投与群でブロモデオキシウリジン−免疫陽性細胞が海馬の顆粒細胞下層で有意に増加したことを確認することができる。
【図4】pUC-narK Met-hSTC2により形質転換された大腸菌Top10F'細胞を破砕した後、遠心分離して回収した沈殿物をSDS-PAGEで分析した写真であって、33kDaでhSTC2に該当するバンドを確認することができる。
【図5】精製されたhSTC2のSDS-PAGE結果である。33 kDaの精製されたhSTC2バンドを確認することができる。
【図6】精製されたhSTC2のSDS-PAGE結果である。33 kDaの精製されたhSTC2バンドを確認することができる。レーン1は、蛋白質大きさマーカーであり、レーン2は、精製されたhSTC2である。
【図7】マウスに対するY-maze行動実験の結果であって、hSTC2投与群の場合、KA単独投与群より場所記憶能力を示す単位が有意に増加したことを確認することができる(p<0.05)。
【図8】マウスに対する水探索行動実験(Water finding test)の結果であって、hSTC2投与群の場合、KA単独投与群より、水を飲むまでかかる時間が有意に減少し、学習記憶能力の水準が高いことを確認することができる(p<0.05)。
【図9】マウスに対する強制水泳行動実験(Forced swim test)の結果であって、hSTC2投与群の場合、生理食塩水を投与した対照群より不動行動時間が有意に減少し、鬱関連行動改善に有効であることを確認することができる(p<0.05)。
【図10】マウス対する一過性局所虚血モデルにおいて、hSTC2投与群の脳損傷程度が生理食塩水を投与した対照群より有意に減少し、脳梗塞容量と神経学的欠損を減少させる効果があることを確認することができる(p<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【実施例】
【0056】
材料及び方法
1.スタニオカルシン2(Stanniocalcin 2: STC2)の製造
HEF(Human embryonic fibroblast)からゲノムDNAを得た。これをBamHI(Takara, Japan)で切断した後、鋳型(template)として使用し、スタニオカルシン2をコーディングする四つのエキソンDNA切片を得るためのPCRを行った。それぞれのエキソンDAN切片を連結するために、連結部位一部の19個塩基が互いに塩基対(base pairing)をなすようにプライマーを設計して、全てのPCRには、PrimeSTARTM HS DNA重合酵素(Takara, Japan)を使用した。スタニオカルシン2のエキソン1, 2, 3及び4を増幅するための第1PCR方法は、以下のようである。BamHI(Takara, Japan)で切断したゲノムDNAを鋳型として共通使用して、hSTC2 1Uプライマー(Bioneer, Korea)とhSTC2 2Dプライマー対を利用してPCR(30サイクル; 98℃ 10秒, 55℃ 5秒, 72℃ 30秒)を行った後、169 bpのエキソン1を増幅獲得した。同一な方法によりhSTC2 3UとhSTC2 4Dプライマー対を利用して163 bpのエキソン2を、hSTC2 5UとhSTC2 6Dプライマー対を利用して231 bpのエキソン3を、そしてhSTC 7UとhSTC2 8Dプライマー対を利用して420 bpのエキソン4を得た。
【0057】
第2PCRでは、上記述べた方法で獲得したエキソン1(169 bp)、エキソン2(163 bp)、エキソン3(231 bp)とエキソン4(420 bp)を鋳型として使用し、EcoRI(Takara, Japan)切断部位(GAATTC)が含まれたhSTC2 1UとKpnI切断部位(GGTACC)が含まれたhSTC2 8Dプライマー対を入れて、再びPCR(30サイクル; 98℃ 10秒, 55℃ 5分, 72℃ 1分)を行って、926 bpのスタニオカルシン2を得た。
【0058】
上記方法により得たスタニオカルシン2をコーディングするDNAとpUC-18(Amersham Pharmacia Biotech, Swiss)をEcoRIとKpnI(Takara, Japan)で切断した後、T4 DNAリガーゼ(Takara, Japan)で連結させた後、Top10F'菌株に形質転換させた。以後37℃で15時間培養した後、3個のコロニーを任意選定して培養し、アルカリライシス法によりプラスミドを得た後、1%アガロースゲルで電気泳動して大きさを確認し、塩基配列を分析(Solgent,韓国)することにより、所望のプラスミドを選択した(pUC-hSTC2)。
【0059】
その後、narKプロモーターとシグナル配列が除去されたMet-スタニオカルシン2を連結させるPCRを行って、連結部位の18個塩基が互いに塩基対をなして連結されるようにした。第1PCR方法は、以下のようである。pNKmutプラスミド(-10突然変異されたnarKプロモーターを含む、(株)リゼロン)を鋳型として、OY-17とr-narK Dプライマー対を利用してPCR(30サイクル; 98℃ 10秒, 55℃ 5秒, 72℃ 25秒)を行って、350 bpのnarKプロモーターを得た。前記pUC-hSTC2を鋳型として、hSTC2 9UとhSTC2 8Dプライマー対を利用してPCR(30サイクル; 98℃ 10秒, 55℃ 5秒, 72℃ 55秒)を行い、863 bpのシグナル配列が除去されたMet-スタニオカルシン2を得た。
【0060】
第2PCRでは、前記述べた方法により獲得したnarKプロモーター(350 bp)とMet-スタニオカルシン2(420 bp)を鋳型として使用し、EcoRI切断部位(GAATTC)が含まれたOY-17とKpnI切断部位(GGTACC)が含まれたhSTC2 8Dプライマー対を入れて、再びPCR(30サイクル; 98℃ 10秒, 55℃ 5分, 72℃ 1分)を行って、1195 bpの切片(narKプロモーターとシグナル配列が除去されたMet-スタニオカルシン2を含む切片)を得た。1195 bpの切片(narKプロモーターとシグナル配列が除去されたMet-スタニオカルシン2を含む切片)とpUC-rrnB(pUC18プラスミドにrrnBターミネーター挿入、(株)リゼロン)をEcoRIとKpnIで切断して、T4 DNAリガーゼで連結させた後、Top10F'菌株に形質転換させた。その後、37℃で15時間培養した後、3個のコロニーを任意選定して培養し、アルカリライシス方法によりプラスミドを得た後、1%アガロースゲルで電気泳動し、大きさを確認して塩基配列を分析することにより、所望のプラスミドを選択した(pUC-narK Met-hSTC2)。
【0061】
【表1】

【0062】
pUC-narK Met-hSTC2により形質転換された大腸菌Top10F'細胞10gを200mlの5mM EDTA溶液に懸濁させた後、超音波で細胞破砕した後、これを10,000gで30分間遠心分離して沈殿物を回収した。回収された沈殿物を懸濁して、これをSDS-PAGEで分析した。図4から分かるように、33kDaでhSTC2に該当するバンドを観察することができた。また、SDS-PAGE上の33kDa部位のバンドを溶出して37℃で16時間トリプシン(Promega, 米国)で切断して、MALDI-TOF(Applied Biosystems, 米国)で分析し、データをMS-Fitサーチ(Protein Prospector)結果、hSTC2であることを確認することができた。
【0063】
前記遠心分離沈殿物に蒸留水200mlを入れて、0.5% TritonX 100濃度になるように100% TritonX 100原液1mlを入れて常温で30分間攪拌した後、これを10,000gで30分間遠心分離して沈殿物を回収した。これに蒸留水200mlを入れて常温で30分間攪拌した後、これを10,000gで30分間遠心分離して沈殿物を回収した。これに溶液(50mM Tris pH 8.0, 6M Urea, 10mM 2-Mercaptoethanol)200mlを入れて常温で90分間攪拌した後、これを10,000gで40分間遠心分離して上澄み液を回収した。
【0064】
前記上澄み液に蒸留水200mlを入れて希釈した後、希釈液を緩衝液(20mM Tris, 1mM EDTA)で予め平衡させたDEAE-セファロースカラム(GE Healthcare)に通過させながらゲルに吸着させた後、再び緩衝液(20mM Tris, 1mM EDTA)を通過させて洗浄した。その後、緩衝液(20mM Tris, 1mM EDTA, 300mM NaCl)を通過させてゲルに吸着されていた蛋白質を溶出させた。前記溶出液を緩衝液(20mM NaH2PO4, 1mM EDTA, pH 7.0)で予め平衡させたSuperdex 200(GE Healthcare)でゲルろ過クロマトグラフィーした。溶出された画分を15% SDS-PAGE(図5)して、hSTC2純度が90%以上になる画分のみを収集した。最終的に精製されたhSTC2(純度95%以上)(図6)を標準蛋白質(BSA: Bovine Serum Albumin)と分光光度計(Molecular Device社、Spectra MAX 190)を使用して波長595nmでBradford Assayで測定した結果、蛋白質定量値は、0.125mg/mlであった。最終的に精製されたhSTC2を以後の実験に利用した。
【0065】
2.スタニオカルシン2(Stanniocalcin2: STC2)脳室内注射(I.C.V)濃度決定
生理食塩水(PBS)に溶かしたhSTC2(100ng/5μl)5μlをICRマウス(大韓バイオリンク、韓国)の脳室内注射(Intracerebroventricular Injection: I.C.V)をした。
【0066】
3.ブロモデオキシウリジン(Bromodeoxyuridine: BrdU)腹腔投与
23-25gの4週齢雄性ICRマウス(大韓バイオリンク、韓国)にブロモデオキシウリジン(Bromodeoxyuridine: BrdU, Sigma)を50mg/kgで腹腔投与した。
【0067】
4.ブロモデオキシウリジン(Bromodeoxyuridine: BrdU)染色
23-25gの4週齢雄性マウス(大韓バイオリンク、韓国)に、hSTC2を脳室内注射した後、BrdUを腹腔投与した。投与24時間後、実験動物を4%パラホルムアルデヒド灌流液(paraformaldehyde preperfusion solution)を利用して灌流固定した。固定の終わった動物は、迅速に脳を摘出した後、同一固定液に4時間後固定した(postfixation)後、30%スクロース溶液で24時間洗浄した後、凍結組織包埋剤(optimum cutting temperature compound: OCT compound, Fisher)を利用して冷却した。この後、冷凍薄切機で40μm厚の組織切片を製作して凍結防止剤(cryoprotectant)溶液に入れた後、-20℃に保管してBrdU染色をした。実験は二日にかけて進行されて、一日目の実験過程は、凍結防止剤溶液に浸しておいた脳組織をアクリルプレートウェルに入れて、50mMリン酸緩衝液(Phosphate Buffer: PB)で5分ずつ3回洗浄した後、0.5%トリトンX−100で20分間処理した後、50mMリン酸緩衝液で5分間ずつ3回洗浄した後、ホルムアミド(100%)と4X SSC(sodium citrate solution)を利用して、最終濃度ホルムアミド50% + 2X SSCにした溶液をガラス筒に2mlずつ入れて、組織を移して65℃振とう恒温水槽で2時間保管した。その後、2X SSCで5分間2回洗浄した後、37℃で30分間振とう恒温水槽で予備加温した2N HCl(PBS 9.6ml + HCl原液2ml)に移した後、25℃ 10分間0.1 Mナトリウムホウ酸塩(pH 8.5)で振りながら中和させた。この後、50mM PBで5分間ずつ3回洗浄後、1時間、1% BSA(Bovine Serum Albumin) + 10%馬血清(horse serum)で培養した後、抗−BrdU抗体(Roche)を利用して4℃で12時間免疫組織化学染色を行った。翌日、脳組織を50mM PBで5分間ずつ3回洗浄した後、1時間、50mM PB + 0.5% BSAにbiotinがコンジュゲーションされた2次抗体であるヤギ抗-マウスIgG(1:200, Vector)と1時間反応させた後、50mM PBで5分間ずつ3回洗浄した。その後、1時間ABC(avidin−biotin complex)試薬(1:200)(Vector)に反応させた後、50mM PBで5分間ずつ3回洗浄した後、ジアミノベンジジン(diaminobenzidine: DAB)を基質として発色させた。発色の終わった組織は、クレシルバイオレット(cresyl violet)に約2分間染色後、通常的な方法により脱水、透明化した後、ポリマウント(polymount)で封入した。
【0068】
5.免疫組織化学法(Immunohistochemistry)
23-25gの4週齢雄性マウスにカイニン酸(Kainic acid, Tocoris, 0.1μg/5μl) 5μlまたはカイニン酸とhSTC2の混合溶液((カイニン酸0.1μg + hSTC2 100ng)/5μl) 5μlを脳室内注射(I.C.V)して、投与24時間後、実験動物を、4%パラホルムアルデヒド灌流液を利用して灌流固定した。固定の終わった動物は、迅速に脳を摘出した後、同一固定液に4時間後固定した後、30%スクロース溶液で24時間洗浄した後、OCT化合物を利用して冷却した。この後、冷凍薄切機で40μm厚の組織切片を製作して凍結防止剤溶液に入れた後、-20℃に保管後、免疫組織化学法を行った。一日目の実験過程は、脳組織を凍結防止剤溶液から取り出して、50mM PBで5分間ずつ3回洗浄した。その後、3% H2O2(in 50mM PB)で内因性過酸化酵素(endogenous peroxidase)を除去するために10分間処理した後、50mM PB + 1% BSA + 0.2%トリトンX−100で30分間処理した。その後、1時間50mM PB + 0.5% BSA + 3%正常血清で培養した後、50mM PBで10分間洗浄した後、抗−OX−42単一クローン抗体を利用して免疫組織化学染色を行った。翌日、脳組織を50mM PBで5分間ずつ3回洗浄した後、1時間、50mM PB + 0.5% BSAで2次抗体であるヤギ抗-マウスIgG(1:200)と1時間反応した後、50mM PBで5分間ずつ3回洗浄した。その後、1時間ABC試薬(1:200)に反応させた後、50mM PBSで5分間ずつ3回洗浄した後、DABを基質として発色させた。発色の終わった組織は、通常的な方法により脱水、透明化した後、ポリマウントで封入した。
【0069】
6. BV2小膠細胞の培養
マウス小膠細胞株であるBV2(Cho dong-hyup、コーネル大学神経科学科)は、2 mM L−グルタミン、100ユニット/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、10%熱-不活性化牛胎児血清(FBS)が含まれたDMEM(Dulbeco's Modified Eagle's Medium)培地(GIBCO BRL, USA)を使用して37℃, 5% CO2状態で培養した。培養細胞が底面積の90%程度になるように育つと、継代培養を行って、対数成長期の細胞を実験に使用した。
【0070】
7.薬物の処置
小膠細胞(microglia)活性を防ぐために、hSTC2を最終濃度が10nMになるように処理した。小膠細胞活性剤として、LPS(lipopolysaccharide)の最終濃度が200ng/mlになるように処理した。
【0071】
8. 酸化窒素(Nitric oxide: NO)の濃度測定
酸化窒素(Nitric oxide: NO)の生成は、亜硝酸塩(nitrite: NO2-)の濃度を測定して算定した。亜硝酸塩の濃度は、グリース試薬(Griess reagent: 1%スルファニルアミド0.1%ナフチル−エチレンジアミンジ水和塩化物/2.5% H3PO4)を利用して比色分析法(colorimetric assay)で測定した。
【0072】
9.マウスのY-maze行動実験(Y-maze test)
23-25gの4週齢雄性ICRマウス(大韓バイオリンク、韓国)を無作為にそれぞれ五匹ずつ対照群と実験群の二つのグループに分けて、対照群にはカイニン酸(Kainic acid, Tocoris, 0.1μg/5μl) 5μlを、実験群にはカイニン酸とhSTC2の混合溶液((カイニン酸0.1μg + hSTC2 100ng)/5μl) 5μlを脳室内注射(I.C.V)して、投与24時間後、認知機能行動実験であるY-maze行動実験を行った。Y-maze装置は、40(横) x 12(縦) x 30(高)cmの三つのアーム(arm)からなっており、実験時の照度は、20±5 luxで行った。Y-mazeを構成する三つのアームを任意にそれぞれA, B及びCと名づけた後、一つのアームの通路の一番奥側に、実験するマウスの頭部分が向かうように入れた後、8分間自由に通路を動き回るようにして、その移動経路を観察した。マウスの後ろ脚まで一つのアームの通路に入ると、そのアームを通過したと見なした。このようにマウスが通過するアームを順に書いた後、順次的に3個ずつ括って、マウスが通った経路(アーム)が全部異なると、1点の点数を付与した。例えば、マウスがABCACの順にアームを通過したならば、ABC, BCA及びCACの順に括って、2点を与える方式である。記憶力点数(%)は、総点数を(総通過回数−2)で割って、これを再び百分率で換算して計算した。
【0073】
10.マウスの水探索行動実験(Water finding test)
23-25gの4週齢雄性ICRマウス(大韓バイオリンク、韓国)を無作為にそれぞれ五匹ずつ対照群と実験群の二つのグループに分けて、対照群にはカイニン酸(0.1μg/5μl)5μlを、実験群にはカイニン酸とhSTC2の混合溶液((カイニン酸0.1μg + hSTC2 100ng)/5μl)5μlを脳室内注射(I.C.V)して、投与24時間後、潜在学習を予測する水探索行動実験を行った。装置は、30(横)x 50(縦) x 20(高)cm大きさの箱であって、底面は、15個の10x10 cmの間に分けて、一側壁面に10x10cmのドアを設けて、中に水筒を設けた。一日目に一側の端にカイニン酸単独またはカイニン酸とSTC2投与マウスを入れた後、水を探し出して飲むように学習させた。学習させた後、水の供給を24時間中断した。二日目に再び装置に入れて、水を探し出して飲むまでかかる時間(drinking latency, sec)を測定した。
【0074】
11.マウスの強制水泳行動実験
23-25gの4週齢雄性ICRマウス(大韓バイオリンク、韓国)を無作為にそれぞれ五匹ずつ対照群と実験群の二つのグループに分けて、対照群には生理食塩水を、実験群にはhSTC2(100ng)/5μl)5μlを脳室内注射(I.C.V)した。24時間後、2時間拘束ストレスを加えた。ストレスを加えた後、25±2℃の水が満たされている円筒水槽(直径10cm, 高さ20cm)に入れて、6分間強制水泳させた。2分が経ってから計算して、後の4分間にかけて顔を水面上に出したまま静かに水に浮んでいる不動姿勢を取った時間を測定した。不動行動は、無気力感(helplessness)を意味すると知られている。
【0075】
12.一過性大脳局所虚血(Transient Focal Cerebral Ischemia)及び一過性中大脳動脈閉塞(middle cerebral artery occlusion: MCAO)で引き起こされた脳損傷に及ぼす影響
雄性成体C57BL/6Jマウス(3ヶ月齢, 25-30g, 大韓バイオリンク,韓国)10匹を、チレタミン(Tiletamine)、ゾラゼパム(Zoletile)とキシラジンヒドロクロライド(8mg/kg)を腹腔内注射して麻酔した後、stereotaxic装置(Havard Apparatus)に固定して、皮膚を中央線に沿って切開し、bregmaの後方に0.2mm、側方に1.2mm地点に穴を開けて、2.5mm深さに脳注入器(Havard Apparatus)を挿入した。脳注入器は、歯科用セメントで固定した。三日後、マウスを、顔面マスクを使用して、2%イソフルラン(Tocoris)と共に窒素と酸素混合気体(70%/30%)で麻酔して、体温は、ヒーティングパッド及びランプで37±0.5℃を維持した。このように処理したマウスを無作為にそれぞれ五匹ずつ実験群と対照群の二つのグループに分けた後、脳注入器を通じて、実験群にはhSTC2(100ng/5μl)5μlを、そして対照群には同じ容量の生理食塩水を脳室内注射(I.C.V)し、正中頸部を切開して外頸動脈を露出した後、熱処理で先端を鈍くした9.0mm長の5-0手術用ナイロン縫合糸(Ethicon, Edinburg, UK)を、外頸動脈を通じて内頸動脈に挿入して、中大脳動脈血流を遮断し、60分後にナイロンを除去して血流を回復させた。局所大脳虚血後、24時間目にマウスを犠牲させて脳を摘出した。摘出した脳は、脳マトリックス(Havard Apparatus)を利用して、前頭部から1mm厚に切って、冠状切片化した。それぞれの切片を2% TTC(2,3,5-triphenyltetrazolium chloride)に浸して37℃で15分間培養して染色し、スキャナー(Hewlett-Packard)を利用して1200dpiでスキャンをした後、ImagePro-Plusソフトウェア(Media Cybernetics)で分析した。
【0076】
実験結果
カイニン酸(Kainic acid: KA)誘導性神経細胞死滅においてスタニオカルシン2(Stanniocalcin 2: STC2)が及ぼす影響
本研究では、KAによる海馬CA3領域のピラミッド神経細胞死滅(具体的には、神経細胞のアポトーシス)がSTC2により抑制されるかどうかを確認した。カイニン酸とhSTC2の混合溶液((カイニン酸0.1μg + hSTC2 100ng)/5μl)5μlを23-25gの雄性ICRマウスの脳室内に注入して、24時間後に脳を摘出した。切片した脳組織をクレシルバイオレットで染色してCA3海馬領域の神経細胞死滅を観察した。実験結果、KA単独処置群からCA3海馬領域のピラミッド神経細胞が死滅したことを確認したが、KAとSTC2併用処置群では、神経細胞死滅が抑制された(図1)。本研究結果、STC2がグルタミン過活性神経毒性に保護効果があることが分かる。
【0077】
スタニオカルシン2(Stanniocalcin 2: STC2)が神経細胞生成に及ぼす影響
神経細胞の分化が終わった後にも脳の一部領域では、神経元細胞が分裂して分化すると知られており、これを神経細胞の形成過程(neurogenesis)という。神経細胞の形成過程は、脳の領域の中、記憶と認知機能を担当する海馬の歯状回(dentate gyrus: DG)の顆粒細胞層(granular cell layer: GCL)下の顆粒細胞下層(subgranular zone: SGZ)で起こり、これは、学習などにより増加すると知られている。
【0078】
STC2(10nM)を23−25gの雄性ICRマウスの脳室内に注入して、ブロモデオキシウリジン(Bromodeoxyuridine: BrdU)(100mg/kg)を腹腔投与した。24時間後、脳を摘出した後、BrdU免疫組織化学法を行った。実験結果、STC2投与群において、対照群と比較し、有意にブロモデオキシウリジン−免疫陽性細胞(BrdU−immunopositive cells)が海馬のSGZで増加した(図2及び3)。
【0079】
本研究結果、STC2が神経細胞の形成を促進する作用をすることが分かる。
【0080】
スタニオカルシン2がカイニン酸を投与したマウスのY-maze行動実験(Y-maze test)に及ぼす影響
本実験は、齧歯類の基本的な特性の中、探索と好奇心を応用して場所記憶能力を検査する実験である。KA(Kainic acid)単独投与群の場合、記憶力点数が42.5 ± 5.4%であった。hSTC2とKAを同時に投与した場合は、記憶力点数が61.3±6.3%であって、KAにより減少された記憶力点数がhSTC2により大きく増加されることが分かる(図7)。
【0081】
スタニオカルシン2がカイニン酸を投与したマウスの水探索行動実験(Water finding test)に及ぼす影響
本実験は、学習、場所記憶及び作業記憶が評価できる検査である。学習及び記憶力の水準が高い場合、水を飲むまでかかる時間(drinking latency)が相対的に短い。hSTC2投与群(67±25sec)の場合、KA単独投与群(143±34sec)と比較し、水を飲むまでかかる時間が有意に減少した(p<0.05)(図8)。
【0082】
スタニオカルシン2がマウスの強制水泳行動実験(Forced swim test)に及ぼす影響
本検査は、鬱病動物モデルとして広く使用されるモデルであって、鬱病関連行動を観察して評価するに使用する。不動行動時間(immobile time)が長いほど、無気力感(helplessness)が大きいと評価する。hSTC2投与群(71±15sec)の場合、対照群(113±21sec)と比較し、不動行動時間が有意に減少した(p<0.05)(図9)。
【0083】
スタニオカルシン2がマウスの一過性大脳局所虚血(Transient Focal Cerebral Ischemia)及び一過性中大脳動脈閉塞(middle cerebral artery occlusion: MCAO)で引き起こされた脳損傷に及ぼす影響
本実験は、マウスの一過性局所虚血モデルにおいて、hSTC2の投与が脳梗塞容量と神経学的欠損を減少させる効果があるかどうかを調べるための実験である。hSTC2の神経保護効果を確認しようとした。脳梗塞の大きさは、hSTC2を投与した群(23.8±4.2)において、対照群(42.2±3.4%)より有意に減少した(p<0.05)(図10)。
【0084】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタニオカルシン2を有効成分として含む脳疾患の予防または治療用組成物。
【請求項2】
スタニオカルシン2を有効成分として含む認知機能の改善のための組成物。
【請求項3】
前記組成物は、薬剤学的組成物または食品組成物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、神経細胞の保護作用をすることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記神経細胞の保護作用は、神経細胞のアポトーシスを抑制してなることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、神経細胞の生成を促進することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記脳疾患は、神経退行性疾患、虚血または再潅流による疾患及び精神疾患から構成された群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記精神疾患は、鬱病または躁鬱病であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記認知機能は、学習能力、記憶能力または集中力であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
薬剤学的有効量のスタニオカルシン2を含む薬剤学的組成物を患者(subject)に投与する段階を含む脳疾患の予防または治療方法。
【請求項11】
薬剤学的有効量のスタニオカルシン2を含む薬剤学的組成物を患者(subject)に投与する段階を含む認知機能の改善方法。
【請求項12】
前記組成物は、薬剤学的組成物または食品組成物であることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物は、神経細胞の保護作用をすることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記神経細胞の保護作用は、神経細胞のアポトーシスを抑制してなることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物は、神経細胞の生成を促進することを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項16】
前記脳疾患は、神経退行性疾患、虚血または再潅流による疾患及び精神疾患から構成された群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記精神疾患は、鬱病または躁鬱病であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記認知機能は、学習能力、記憶能力または集中力であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−510923(P2011−510923A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544227(P2010−544227)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000364
【国際公開番号】WO2009/093864
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(510203614)レジェロン インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】REGERON,INC.
【住所又は居所原語表記】B−403 BIC,Hi−Tech Venture Town,198−53 Hupyung−Dong,Chuncheon−si,Gangwon−do 200−161,Republic of Korea
【Fターム(参考)】