説明

脳疾患及び状態の予防及び治療のための組成物及び方法

虚血性脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、軽度認知機能障害(MCI)、慢性脳虚血及びパーキンソン病等の脳疾患又は状態を予防又は治療するための、ダイコンソウ(Geum japonicum)植物の化合物、抽出物、及び活性画分、並びに方法が開示される。本明細書に記載される本化合物は、開示される方法において有用な薬学的組成物及び薬物へ配合されることが可能である。薬学的製剤及び薬物を調製するための化合物及び抽出物の使用もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2009年6月12日に出願された米国特許仮出願第61/186,709号、及び2009年6月17日に出願された米国特許仮出願第61/187,905号の優先権を主張し、その内容全体は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、哺乳類における脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、慢性脳虚血、及びパーキンソン病を治療する薬学的組成物及び方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、新しい側副血管を成長させることによって、及び神経再生を誘発することによって、虚血脳への脳血流を実質的に改善するための薬学的組成物及び方法に関する。回復した血液供給に伴い改善した脳微小環境及び向上した神経新生効能両方は、神経の再生を刺激し、死滅した神経細胞を置換する場合がある。このように、本組成物及び方法は、ヒトの脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、慢性脳虚血、及びパーキンソン病の治療に有用であり、これらの神経変性疾患に起因して失われた機能のうちのいくつかを回復する場合がある。
【背景技術】
【0003】
一態様において、本発明は、脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、慢性脳虚血及びパーキンソン病の治療のためのダイコンソウ(Geum japonicum)の有機抽出物(OEGJ)に関する。本発明者らはOEGJが複数の機能を発揮できることを発見した:(1)管様構造を形成する血管内皮細胞の分化を有意に促進し、かつ脳虚血を実質的に是正し、神経の微小環境を改善することになる、脳への不十分な血液供給の物理的な再構成を刺激する、(2)虚血及びストレスからのリスクにある神経を保護することになる、神経細胞の生存を向上する、(3)損傷又は失われた神経の置換のために、インビトロでの幹細胞の神経発生分化及びインビボでの神経再生を誘発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、慢性脳虚血、及びパーキンソン病は、重篤な脳血管関連及び加齢に関係する変性疾患である。これらの疾患の根本的病理に対応する効果的な治療は、(i)脳内の新しい側副血管の実質的な成長による虚血脳への血流の再構成、及び(ii)消失した神経細胞を置換することによる神経の再生、の2つの目標を含むべきである。したがって、一実施形態によれば、OEGJは、脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、慢性脳虚血、及びパーキンソン病を効果的に治療することができ、影響を受けた脳領域が、例えば、会話、身体活動、記憶、並びに認識及び学習能力等、その失われた機能のうちのいくつかを取り戻すことを助けることができる。別の実施形態において、OEGJは、リスクがある又はストレスに曝されている神経の生存を向上させることができる。別の実施形態において、OEGJは、脳卒中、アルツハイマー病、神経性認知症、慢性脳虚血、及びパーキンソン病の進行を抑制することができる。別の実施形態において、OEGJは、高リスク集団の脳卒中、アルツハイマー病、神経性認知症、慢性脳虚血、及びパーキンソン病を予防することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本開示は、哺乳類対象において変性神経疾患又は状態を予防又は治療するための方法を提供し、該方法は、それを必要としている対象に、ダイコンソウの有機抽出物の有効量を投与することを含む。一実施形態において、変性神経疾患又は状態は、虚血性脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、軽度認知機能障害(MCI)、慢性脳虚血、及びパーキンソン病から成る群より選択される。一実施形態において、投与は、ダイコンソウの抽出物が投与されなかった対照に比較して、虚血性脳卒中を有する対象の脳血液かん流又は神経再生を向上させる。一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、虚血脳の血管新生を誘発し、それによって、血液かん流を向上させる。一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、神経再生を刺激する。一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、ダイコンソウの抽出物を用いて治療されなかった対象に比較して、脳虚血梗塞領域の大きさを減少させる。
【0006】
一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、1日につき、対象の体重1キログラム当たり、抽出物の約0.001mg〜約1000mgの範囲の量で投与される。一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、薬学的に許容される担体を含む、服用量単位形態で投与される。一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、経口投与される。一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注入により投与される。
【0007】
一実施形態において、抽出物は、ダイコンソウの低級アルキルアルコール抽出物である。一実施形態において、低級アルキルアルコールは1〜6個の炭素原子を有する。一実施形態において、低級アルキルアルコールはエタノールである。一実施形態において、対象はヒトである。
【0008】
一態様において、本開示は、ダイコンソウの有機抽出物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含む、哺乳類対象の変性神経疾患又は状態を治療するための薬学的組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1はOEGJがヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の分化を誘発したことを示す。(a)分化を全く示さないベヒクル処理細胞。(b)増殖促進効果を示すOEGJ(50μg/ml)処理細胞。(c)伸長表現型を示すOEGJ(100μg/ml)処理細胞。細胞のうちのいくつかは管様構造を形成した。(d)OEGJ(200μg/ml)処理細胞。全ての細胞は伸長した管様構造に良好に分化した。
【0010】
【図2】図2は幹細胞の神経分化の誘発を示す。OEGJ又はOEGJから分離された活性画分は、インビトロで間充織幹細胞(MSC)の神経分化を誘発した。(a)活性画分/OEGJで2日処理した、平坦、不規則、及び非対称細胞のように見える未分化のMCS形態を示す顕微鏡写真。(b)位相差顕微鏡の下で、細胞は、より凝縮、より屈折し、分岐を有する星様になった。(c)4〜6日間MSCの処理後、MSCは、小細胞体及び神経突起様の突起出現部分を有する神経細胞様細胞に分化した。(d)MSCの神経分化を示す拡大顕微鏡写真。
【0011】
【図3】図3はOEGJ治療によって誘発された増加した脳血流の超音波ドップラー速度の実証を示す。(a)BCAL5週間後のベヒクル処置ラットの脳血流速度。(b)BCAL5週間後のOEGJ処置ラットの脳血流速度。脳血流量は、OEGJ処置ラットのほうが有意に高いことが示された。
【0012】
【図4】図4はOEGJ治療後の虚血性脳卒中脳において誘発された血管新生/新生血管形成を示す。(sht)OEGJ治療動物の海馬の領域周辺で、有意により多い血管(丸で囲まれた部分)が観察された。(shc)これに対して、ベヒクル治療ラットの海馬領域周辺で、より少ない血管が観察された(丸で囲まれた部分)。(sct)OEGJ治療ラットの前頭葉の皮質の領域で、より多くの血管が観察された(丸で囲まれた部分)。(scc)ベヒクル治療動物の同じ領域で、より少ない血管が発見された(丸で囲まれた部分)。
【0013】
【図5】図5は虚血性脳卒中脳において誘発された神経再生を示す。(Ctrl−h)ベヒクル治療ラットの海馬領域において、陽性の緑の蛍光信号(ネスチンの免疫組織化学染色)はほとんど全く観察されなかった。(Treat−h)OEGJ治療動物の海馬の領域において、神経再生を示す、神経の形状を有するいくつかのネスチン陽性の緑の蛍光信号(円)及び陰性に染色された核が検出された。(Ctrl−c)ベヒクル治療ラットの前頭葉の皮質領域において、ネスチン陽性の緑の蛍光信号はほとんど全く検出されなかった。(Treat−c)OEGJ治療ラットの前頭葉の皮質領域において、いくつかのネスチン陽性の緑の蛍光信号(円)が特定された。
【0014】
【図6】図6は超音波ドップラー速度を使用する脳血流量の測定を示す。(A)2VOの30日後のベヒクル治療ラットの脳血流速度。(B)2VOの30日後のOEGJ治療ラットの脳血流速度。脳血流量は、OEGJ治療ラットのほうが有意に高いことが示された。
【0015】
【図7】図7はSAMP10マウスにおける空間学習及び記憶能力の水迷路評価を示す。訓練試験は、1ヶ月のOEGJ治療後30日目に実行された。図中のそれぞれの点は、4回の訓練の平均を表す。動物は、1日4回、5日間訓練された。OEGJ治療マウスは、ベヒクル治療マウスに比較して、有意に短い逃避潜時を示すことが発見された(P<0.001)。不可視逃避台を発見する際に費やされる時間には、有意の群効果が存在した。カラムは平均±SD(n=30)を示す。
【0016】
【図8】図8はSAMP10マウスの脳前頭葉皮質及び海馬の領域における血管密度の測定結果を示す。(a)OEGJ治療マウスの代表的脳海馬領域は、(b)のベヒクル治療の領域よりも、有意に多い血管を示す(P<0.01)。(c)OEGJ治療マウスの脳前頭葉皮質の領域は、ベヒクル治療マウス(d)の領域に比較して、より多い血管(丸で囲まれた部分)が観察された(P<0.05)。(e)OEGJ治療マウスにおいて、脳海馬全体は比較的健全で、密集し、濃密な顆粒神経細胞層を示す。(f)これに対して、ベヒクル治療マウスにおいて、顆粒神経細胞層はルーズで多孔質であった。
【0017】
【図9】図9はSAMP10マウスにおけるOEGJ誘発神経細胞再生を示す。(sath)Ki67特異抗体によって、OEGJ治療マウスの脳の免疫組織化学的に染色された薄片は、海馬領域におけるKi67陽性染色顆粒ニューロンを(丸印)を示した。(sach)ベヒクル治療マウスの海馬領域には、Ki67陽性染色された顆粒神経細胞はほとんど全く発見されなかった。(satc)OEGJ治療マウスの前頭葉の皮質領域には、いくつかのKi67陽性染色された神経細胞(円)が観察された。(sacc)これに対して、ベヒクル治療マウスの前頭葉の皮質領域には、Ki67陽性染色された神経細胞はほとんど発見されなかった。
【0018】
【図10】図10はAPPマウスにおける空間学習及び記憶能力の水迷路評価を示す。動物は、1日3回、4日間訓練された。5日目に、マウスは探索試験の対象となった。(Ctr)はベヒクル治療マウスを示す。治療はOEGJ治療。(a)ベヒクル治療動物(Ctr)は、OEGJ治療マウス(treated)に比較して、不可視逃避台を発見する際に有意に長い潜時を示した(P<0.01)。長くなった逃避潜時は、OEGJの経口投与(480mg/kg/日、1ヶ月間)によって有意に短縮された(P<0.01)。(b)探索試験は、最後の訓練試験直後の5日目に行われた。訓練試験中に逃避台が位置されていた場所の標的象限において費やされた時間に関して、有意の群効果が存在した。逃避台横断の回数は、対照治療(Ctr)の回数に比較して、OEGJ治療マウス(Treated)で有意に高かった(P<0.01)。(c)OEGJ治療マウス(Treated)は、訓練された逃避台象限において水泳時間の約40%を費やした。これに対して、対照治療群(Ctr)のマウスは、訓練された逃避台象限において水泳時間の約26%を費やし、OEGJ治療マウスの時間よりも有意に短い(P<0.01)。
【0019】
【図11】図11はAPPマウスの新生血管形成の測定結果を示す。(act)ベヒクル治療マウスの血管(41.7±8/HPF)(acc、円)に比較して、有意に多い(〜78.5±19/HPF)血管を示すOEGJ治療マウスの前頭葉の皮質の典型的画像。(aht)より多くの血管(79.8±23/HPF)を示すOEGJ治療マウスの海馬領域の典型図。(ahc)これに対して、ベヒクル治療のマウスの海馬領域において、より少ない血管(39.7±8.2/HPF)が観察された(円)。
【0020】
【図12】図12はAPPマウスの海馬の組織学的評価を示す。(a)及び(b)OEGJ治療APPマウスの両方の脳半球の海馬の水平方向の断面図。(c)及び(d)ベヒクル治療動物の両方の脳半球の海馬の水平方向の断面図。ベヒクル治療マウス(c及びd)の海馬のCA領域(矢印)の錐体細胞層は、OEGJ治療動物に比較して、有意に薄層化した(a及びbの矢印)。ベヒクル治療マウス(c及びd)のDG顆粒神経細胞層(矢印)の内側縁周辺の多数の歯状回(DG)顆粒神経細胞は、損傷し、死滅していることが発見された。これに対して、OEGJ治療マウス(a及びb)のDG顆粒神経細胞層は健全な状態のままである。(d)ベヒクル治療動物のうちのいくつかにおいて、海馬は縮小し、DG領域全体が部分的に失われた。
【0021】
【図13】図13はAPPマウスの神経再生を示す。(acc)Ki67特異抗体を用いてベヒクル治療マウスの脳を免疫組織化学的に染色した薄片は、前頭葉の皮質領域において、少数のKi67陽性染色された神経細胞(円)を示す。(atc)OEGJ治療マウスの前頭葉の皮質領域において、有意により多くのKi67陽性染色された神経細胞(円)が検出された。(ach)ベヒクル治療マウスの海馬領域において、少数のKi67陽性染色された顆粒神経細胞(円)が観察された。(ath)これに対して、OEGJ治療マウスの海馬領域において、より多くのKi67陽性染色された顆粒神経細胞(円)が検出された。
【0022】
【図14】図14は2VOラットの慢性虚血脳における脳血流の超音波ドップラー評価の結果を示す。縦軸に周波数、横軸に時間を表す。各信号は、1つの心周期に対応する。(A)OEGJ治療動物の基底動脈(上側)及び基底動脈(下側)から記録されたドップラー効果信号を示すリアルタイムの2次元画像。(B)ベヒクル治療動物の基底動脈(上側)及び基底動脈から記録されたドップラー効果信号(下側)を示すリアルタイムの2次元画像。
【0023】
【図15】図15は2VOラットの慢性虚血脳のOEGJ誘発新生血管形成を示す。VO6週間後及びOEGJ治療2週間後の前頭葉(a)及び海馬(c)の水平方向のセクション。2VO6週間後及びベヒクル治療2週間後の前頭葉(b)及び海馬(d)のセクション。OEGJ治療動物の前頭葉の皮質領域(a)及び海馬周辺(c)において有意により多くの血管(円)が観察されることが発見された。これに対して、ベヒクル治療動物の類似領域(b及びd)においてより少ない血管(円)が観察された。
【0024】
【図16】図16は2VOラットの慢性虚血脳のOEGJ誘発神経再生を示す。(ich)ベヒクル治療ラットの海馬領域における顆粒神経細胞層は、Ki67陽性染色された顆粒神経細胞を全く示さない。(ith)OEGJ治療ラットの海馬領域の顆粒神経細胞層において、顆粒神経細胞(円)のいくつかのKi67陽性染色された核が観察され、OEGJが神経再生を誘発したことを示す。(icc)ベヒクル治療ラットの前頭葉の皮質領域は、Ki67陽性染色された神経細胞様細胞を全く示さなかった。(itc)OEGJ治療ラットの前頭葉の皮質領域において観察された神経細胞様細胞の丸で囲まれたKi67陽性染色された核が存在し、OEGJが皮質において神経再生を誘発したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、概して、ダイコンソウ(Geum japonicum)の生物活性物質に関する。具体的には、本開示は、脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、軽度認知機能障害、慢性脳虚血、及びパーキンソン病を含む、変性神経状態を予防又は治療するための医薬品及び栄養補助食品に関する。本明細書に記載される本化合物は、開示される方法において有用な薬学的組成物及び薬物に配合することができる。また、薬学的製剤及び薬物を調製するための化合物及び抽出物の使用も提供される。
【0026】
本発明の十分な理解を提供するために、本発明の特定の態様、様式、実施形態、変形、及び特徴は、様々なレベルにおいて以下に詳しく記載することを理解されたい。文脈において特記されない限り、以下の用語は、全体にわたり以下に記載するように使用される。
【0027】
本明細書で使用する場合、対象への薬剤又は薬の「投与」は、その意図する機能を実施するように、化合物を対象に導入又は送達する任意の経路を含む。投与は、経口、鼻腔内、非経口(静注、筋肉内、腹腔内、又は皮下)、経直腸、又は局所的を含む、任意の適切な経路によって実行することができる。投与は、自己投与及び他者による投与を含む。また、記載される医学的状態の治療又は防止の多様な様式は、「実質的」を意味することを意図し、これは、完全のみならず完全に満たない治療又は予防を含み、何らかの生物学的又は医学的に関連した結果が達成されることを理解されたい。
【0028】
本明細書で使用する場合、組成物の「有効量」又は「薬学的に有効量」又は「治療的に有効量」という用語は、所望の治療及び/又は予防効果を達成する十分な量、例えば、治療されている疾患に関連する症状の予防又は緩和をもたらす量である。対象に投与される本発明の組成物の量は、疾患の種類及び重篤度、並びに個人の特徴、例えば健康状態、年齢、性別、体重、及び薬物耐性に依存するであろう。また、疾患の程度、重篤度及び種類にも依存するであろう。当業者は、これらの要素及び他の要素に応じて適切な投薬量を決定することが可能であろう。本発明の組成物は、1つ以上の追加の治療化合物と組み合わせて投与することもできる。
【0029】
本発明において使用される「OEGJ」という略語は、限定することなく、以下に説明する有機溶剤による植物ダイコンソウ(Geum japonicum)の抽出物を意味する。
【0030】
本明細書に使用される場合、「疾患」又は「医学的状態」という用語は、交換可能に使用され、治療及び/又は予防が望ましい1つ以上の身体的及び/又は精神的症状として示される任意の状態又は疾病を含むが、これらに限定されず、以前に及び新しく特定される疾病及び他の疾患を含む。例えば、医学的状態は、脳卒中、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は慢性脳虚血の場合がある。
【0031】
本明細書に使用される場合、「対象」という用語は、ヒト等の哺乳類を指すが、ペット(例えば、イヌ、ネコ等)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ等)、及び実験用動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモット等)の動物にすることもできる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「治療する」又は「治療」又は「緩和」という用語は、治療療法及び予防又は防止対策の両方を指し、その目的は、標的の病態又は疾患を予防又は抑制(軽減)することである。対象は、本発明の方法に従う治療薬を受容後に、対象が特定の疾患又は状態の1つ以上の兆候及び症状の観察可能及び/又は測定可能な減少又は不在を示す場合に、疾患に対して成功裏に「治療された」ことになる。
【0033】
本明細書で使用される場合、疾患又は状態の「予防」又は「予防する」とは、統計サンプルにおいて、未処置の対照サンプルに対して処置されたサンプルにおける疾患又は状態の発生を減少させる、あるいは未処置の対照サンプルに対して疾患又は状態の1つ以上の症状の発現を遅延又は重篤度を軽減させる化合物を指す。
【0034】
本発明の組成物
本発明は、ダイコンソウ(Geum japonicum)、キンミズヒキ(別名:Agrimonia pilosa Ledeb.(バラ科))、及びタイム又はレモンタイム(Thymus mongolicus Ronn(シソ科))を含む、多様な植物からの抽出物及び化合物、並びにそのような化合物の誘導体を用いて、多様な疾病又は医学的状態を治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物は、ダイコンソウ(Geum japonicum)、キンミズヒキ(Agrimonia pilosa Ledeb.(バラ科))、レモンタイム(Thymus mongolicus Ronn(シソ科))の植物全体、抽出物、例えば、有機抽出物である。特定の実施形態において、化合物は、ダイコンソウのメタノール/エタノール抽出物又はその活性画分である。いくつかの実施形態において、化合物は、ダイコンソウの抽出物の画分である。
【0035】
本発明は、ダイコンソウを含む多様な植物からの薬物及び/又は抽出物及び化合物、並びにそのような化合物の誘導体を用いて、多様な疾病又は医学的状態を治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施形態において、薬物は抽出物、例えば、ダイコンソウの有機抽出物である。特定の実施形態において、薬物はダイコンソウのメタノール/エタノール抽出物又はその活性画分である。
【0036】
ダイコンソウから有機抽出物を調製するための方法が提供される。本方法は、C1−C4アルコールから成る群より選択されるアルコールで、ダイコンソウの乾燥植物全体を抽出するステップ(a)を含む。このステップは、室温で、3〜6回、典型的には5回、繰り返される場合がある。ステップ(a)を実施する前に、植物材料は、粉末又は小片に切断される場合がある。C1−C4のアルコールとして、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、及びter−ブタノールが挙げられる。典型的に、アルコールは、抽出される乾燥ダイコンソウ量の質量で1〜10倍加えられる。
【0037】
本方法は、ステップ(a)から得られた抽出物を乾燥粉末に乾燥させるステップ(b)と、続いてステップ(b)から得られた粉末をC6アルカン、EtOAc、及びC1−C4アルコールから成る群より選択されるアルコールで抽出するステップ(c)と、をさらに含んでもよい。C6アルカンとして、例えば、シクロへキサン、n−へキサン、及びネオへキサン等を含む、6個の炭素原子を有する環状及び非環状アルカンが挙げられる。C1‐C4のアルコールとして、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、及びter−ブタノールが挙げられる。使用される有機溶媒の量は典型的に、さらに抽出される粉末の量又は小片の質量の1〜10倍である。
【0038】
上記の方法はまた、その中の任意の不溶性粉末を除去するために抽出物を濾過することを含む場合がある。乾燥させるステップは、減圧下で、室温より高い温度、例えば50℃又は電気スプレイで完了される場合がある。
【0039】
OEGJを精製するために、本方法はさらに、粉末をクロマトグラフィーカラムに適用するステップと、カラムをC1- C4アルコールからなる群から選択されるアルコールの濃度が増大するとの水溶液で溶出するステップを含んでもよい。例えば、セファデックス(Sephadexg)又は逆相カラムが使用される場合がある。使用されるアルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、及びter−ブタノールから成る群より選択された任意の1つの場合がある。
【0040】
NMR分析によって、OEGJは典型的に、ゲミンA、B、C、D、E及びFを含むタンニン、並びに2−ヒドロキシオレアノール酸、2−ヒドロキシウルソール酸、2,19−ジヒドロキシ−ウルソール酸、2−α,19−α−ジヒドロキシ−3−オキソ−12−ウルセン−28−oic酸、ウルソール酸、ピメリン酸、マスリニン酸、オイスカフ酸、トルメント酸、トルメント酸の28−β−D−グルコシドを含むトリテルペンを主に含有する。
【0041】
一実施形態において、本発明の抽出物、画分及び化合物は、天然植物原料から、水及び/又は有機溶媒を使用して、抽出によって得られ、以下の段階を含む。
1.水及び/又は有機溶媒を植物原料に加え、全体を処置、例えば浸漬/浸出、超音波、又はマイクロ波にさらすことによる、抽出。
2.石油エーテル、ヘキサン又はクロロフォルムタイプの溶媒を使用した抽出段階の前又は後の脱脂。
3.任意の、酢酸エチル又はエチルエーテルタイプの有機溶剤によって回収される抽出物の追加抽出。
4.任意の、得られた粗抽出物の濃縮、及び、所望される場合は、その凍結乾燥。
【0042】
一態様によれば、達成することが可能な濃縮を考慮して、粗抽出物は、クロマトグラフィーによる精製段階の対象となる場合がある。一実施形態において、遠心分配クロマトグラフィー(CPC)が使用される。本技法は、A.P.FOUCAULT,Ed.,Centrifugal Partition Chromatography,Chromatographic Science Series,Marcel Dekker Inc.,1995, 68,又はW.D.CONWAY,Ed.,Countercurrent Chromatography apparatus theory and applications,VCH Publishers Inc.,1990によって具体的に記述される。CPCは、2つ以上の溶媒又は溶液の混合によって調整される2つの非混和性液相の間の溶質の分配に基づく。2相のうちの1相は、遠心力によって固定状態に保たれる。溶媒、それらの割合及び選択される流量は、CPCカラム内の固定相の安定性及び実際の圧力の両方に密接に依存する。
【0043】
したがって、当業者は、所望の精製抽出物の性質に応じて、最適な溶媒(単数又は複数)を選択することになる。これらの異なる抽出物、すなわち粗抽出物又は濃縮抽出物もまた、本発明の範囲内に該当する。追加の分離段階の実行は、1つ以上の化合物を富化したこれらの抽出物の分離を可能にする。これらの分離は、粗抽出物から濃縮された画分又は粗抽出物自体に対して、求められる分離に適切な比率に従い、適当な溶媒の混合物を使用することによって実行することができる。
【0044】
脳卒中の予防又は治療のための方法及び組成物
脳卒中は、脳に酸素及び栄養分を運搬する血管が、血栓又は何らかの他の物質によって閉塞する(虚血性脳卒中)、又は破裂する(出血性脳卒中)かのいずれかの場合に発生する。虚血性脳卒中が発生すると、脳への血液供給が中断され、したがって、脳細胞が生存し機能するために必要なブドウ糖及び酸素が脳細胞に与えられなくなる。この結果、影響を受けた領域内の脳細胞は、適切に機能することができず、つまり、それらが制御する身体の部分が機能することができない。もたらされる障害は、脳細胞の血液が欠乏する時間に依存する。脳細胞の血液がさらに長い時間欠乏すると、脳細胞は死滅し、いくつかの機能が決定的に失われる場合がある。死んだ脳細胞が自然に再生できないので、深刻な脳卒中の壊滅的な影響は、しばしば永続的である。
【0045】
虚血性脳卒中は、最も一般的な種類の脳卒中で、全ての脳卒中の約85%を占める。これは、凝血(血栓)が形成され、脳の部分に血液をもたらす動脈の中の血流を閉塞すると発生する。虚血性脳卒中はさらに、血栓性脳卒中及び塞栓性脳卒中に分類される。凝血が脳の動脈内で形成されると、血栓性脳卒中と呼ばれる。これらは、夜間又は早朝に発生することが多い。別の際立った特徴は、これらはその前に、一過性脳虚血発作(TIA)又は「警告脳卒中」が発生することが多いことである。TIAは、脳卒中の同じ症状を有するが、1時間以内に消散し、脳卒中症状はそれよりはるかに長く続く。塞栓性脳卒中は、塞栓、つまり、他の場所で発生した、動脈血流の中の移動する粒子又は破片による動脈の閉塞を意味する。塞栓は最も一般的には心臓、特に心房細動で発生するが、動脈樹の他の場所で発生する場合がある。
【0046】
脳卒中の特定の治療として、凝血を破壊する薬(血栓溶解薬)、血液が凝血しないようにする薬(抗血小板薬及び抗凝固薬)、及び手術を挙げることができる。多数の脳卒中医療施設では、凝血を溶解し、動脈の閉塞を解消するために、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)が使用される。しかしながら、急性脳卒中におけるtPAの使用は、賛否両論がある。tPAは脳及び他の場所で出血を発生させる可能性があるため、出血しやすい患者には投与されるべきではない。有効かつ安全であるためには、tPAは、虚血性脳卒中の開始の3時間以内に開始されなければならない。3時間後、脳の損傷のほとんどは回復不能であり、出血のリスクは薬の可能な利点を上回る。しかしながら、脳卒中が開始した時点を正確に判断することは困難な場合がある。このため、tPAは、脳卒中を起こした少数の人にしか使用することができない。血栓溶解剤を使用できない場合、ほとんどの人は、別の虚血脳卒中のリスクを削減することができるアスピリン(抗血小板薬)が投与される。抗血小板薬は、血小板が凝集し、虚血性脳卒中の一般的な原因である、凝血を形成する可能性を少なくする。しかしながら、抗血小板薬は、出血のリスクを高める。
【0047】
脳卒中の後、脳内の神経細胞は、死滅神経細胞、生存神経細胞、及び長期間にわたってゆっくり縮小し、劣化する静止神経細胞の3つの群に分けることができる。神経細胞は再生不可能であり、したがって、永久的な組織の損傷又は死滅が発生する前に静止神経細胞を救うことが必要不可欠であることは既知である。何が神経細胞の劣化及び死滅の病理学的原因かという疑問が生じる。脳卒中患者における神経細胞の活動の低下の原因は、個別の神経細胞の機能の継続及び生存に必要な脳血流の減少の結果であるかもしれないという証拠が増えている。興味深いことに、脳に供給する主要な動脈が閉塞すると、全く症状がない、又は小規模の脳卒中だけを有する場合がある一方で、大規模の虚血性脳卒中を有する場合があることが観察されてきた。1つの可能な説明は、余分の接続を提供する、他の動脈の間の側副動脈にある。人によっては、生まれつき、1つの動脈が閉塞した時に脳卒中から保護する可能性がある側副動脈が、他の人より多い。一方、生まれつき側副動脈が他の人より少ないので、1つの動脈が閉塞すると、影響のある領域への血液供給が十分ではない場合がある。このため、新しい側副動脈の成長を促進し、脳内の血液かん流を増加することができる治療は、虚血性脳卒中のための効果的な治療を提供することが期待される。
【0048】
本発明者らは、OEGJが虚血脳に対する血液かん流を回復することができるだけでなく、ストレスを受けた神経細胞の生存可能性を高めることを発見した。本組成物は、間充織幹細胞の分化及び神経再生も誘発した。いくつかの実施形態において、OEGJを用いた1ヶ月又は2ヶ月の処置は、虚血性脳卒中の動物モデル及びヒトの脳卒中患者において有意の治療効果を誘発した。したがって、OEGJは、虚血性脳卒中を効果的に治療及び予防する方法において有用であり、脳卒中後のリハビリテーションにおいて有用である。
【0049】
一態様において、OEGJ由来の天然化合物の集合体を含む、虚血性脳卒中を治療するための薬学的組成物が提供される。OEGJは、新しい側副血管の成長を促進し、神経細胞枯死から保護し、リスクにある神経細胞を救い、神経細胞の再生を促進することによって、虚血脳の血液かん流を促進し、虚血性脳卒中の治療において潜在的に有利な治療効果を示した。
【0050】
本発明者らはさらに、抽出物が、虚血及びストレスから保護することによって神経細胞の生存を高めるだけでなく、インビトロで血管内皮細胞の増殖及び分化を促進し(図1)、虚血脳の血液かん流の回復を助けることも発見した。さらに、本発明者らは、本抽出物から得られる活性画分がインビトロで間充織幹細胞(MSC)の神経分化も誘発することができること(図2)を発見した。
【0051】
一態様によれば、本発明は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される化合物、組成物、活性画分又は抽出物の有効量を投与することを含む、脳卒中又は脳卒中合併症を治療又は予防する方法を提供する。抽出物によって改善される、脳卒中又は脳卒中合併症の効果は、増加した微小循環、マイクロ凝血の消失、及び脳への改善された血液かん流のうちの1つ以上とすることができる。一実施形態において、脳卒中の予防又は治療のための方法は、それを必要としている哺乳類に、ダイコンソウを含む多様な植物からの薬物、活性画分、及び/又は抽出物及び化合物、並びにそのような化合物の誘導体を投与することを含む。
【0052】
別の態様において、脳卒中の治療又は予防のための薬物は、1つ以上の賦形剤、担体、又は充填剤を含有する薬学的組成物の一部である。一実施形態において、薬学的組成物は、単位服用量形態に組み込まれる。単位服用量形態は、それを必要としている対象に投与されると、脳内の微小循環を改善する(例えば、増加した微小循環、マイクロ血栓の消失、及び改善された血液かん流)際に有効である。
【0053】
本発明の多様な実施形態において、本発明の薬物(抽出物、画分、及び化合物)の効果、及びその投与が対象の脳卒中の治療又は予防を示すかを判定するために、適切なインビトロ又はインビボの分析が実施される。いくつかの実施形態において、脳卒中のインビボモデルは、対象における薬の効果を評価するために使用される。
【0054】
認知症の防止又は治療のための方法及び組成物
認知症は、脳の進行性かつ回復不可能な疾患で、脳細胞の退化が思考能力及び記憶を低下させる。最も一般的な種類の認知症として、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VD)、レビー小体認知症、前頭側頭型認知症、及び軽度認知機能障害(MCI)が挙げられる。ADは最も一般的な種類の認知症で、全ての認知症例の60〜80%の根本原因である。AD脳においては、アミロイド斑が明確に視認可能である(Selkoe,1991)。アミロイド斑は、神経細胞の外側及び周囲に見られ、ほとんどが、神経細胞の成長、生存、及び損傷後の修復に必要なアミロイド前駆体タンパク質(APP)と呼ばれるより大型のタンパクからの断片である、アミロイドベータ(Aβ)タンパク質の不溶性沈着によって形成される(Glenner GG及びWong CW,1984)。ADの特徴は、大脳皮質及び海馬における神経細胞及びシナプスの広範囲にわたる消失である。正常な脳に比較すると、AD脳は、大脳皮質及び海馬の極度の縮小を示す。大脳皮質及び海馬を神経支配する、コリン作動性の前脳基底部神経細胞は、認知及び記憶において重要な役割を果たす。ADの早期段階において、最も一般的に認識される症状は、記憶喪失、特に短期記憶の喪失である。これらの2つの領域のコリン作動性神経細胞の初期萎縮が、軽度認知機能障害(MCI)をもたらし、これらの結果として起こる退化がADをもたらすことが示唆されてきた。MCIは、加齢に起因する通常の物忘れと認知症の発症との間の段階である。
【0055】
血管性認知症(VD)は通常、脳の特定部分への血液の供給における中断によって生じる。血管性認知症はまた、脳内の血管が狭窄し、脳のこれらの区分への血流の量を削減すると発生する可能性がある。血管系と呼ばれる血管網は、脳に酸素を供給する。血管系に閉塞が存在すると、又は病変すると、血液は脳に到達することが阻止される。この結果、脳内の細胞が死滅し、認知症の症状につながるが、これは、損傷した脳の領域に応じて、個体間で異なる。ADに次いで、血管性認知症は、認知症の第2位の形態で、全症例の20%までを占める。
【0056】
認知症の症状として、言語、記憶、知覚、感情行動又は人格、及び認知スキル(計算、抽象的思考、又は判断等)を含む、精神機能の多数の領域に伴う困難が挙げられる。認知症の初期症状として、身の回りの物体の名前が分からない等の言語障害、物品を誤った場所に置く、よく知っている道で迷う、人格の変化及び社交術の喪失、以前は楽しんでいた物事に興味を失う等を挙げることができる。認知症が進行すると、症状はより明らかになり、自活する能力を妨げる。
【0057】
研究は、ADの発症における有意因子として、脳血管の病変を指摘している(de la Torre,2004;Bell及びZlokovic,2009)。様々な疫学研究から報告されたADの危険因子として、鬱血性心不全、心筋梗塞、心不整脈、高血圧症、心房性細動、アテローム性動脈硬化症、加齢、虚血性脳卒中、頭部外傷、及び一過性脳虚血発作が挙げられ、全ては血管に関係し、脳かん流を減少させる。慢性脳低かん流(CBH)がADの危険因子であることが示唆されている。CBHはMCIの要因、及びADのより後期段階の最も有効な予測因子として発見された(de la Torre,2006)。障害が起きた、又は高齢の個人において、CBHは、神経変性状態を発生させて認知症を引き起こす、海馬及び頭頂領域等の特定の脳領域内の細胞内レベルに進行性代謝変化につながる。ADは主に血管疾患であるという概念を支援する上で、大網のAD患者の脳への直接の移動が特に患者の機能状態の自覚的及び他覚的改善をあった報告された(Goldsmith et al.,2003)。それまでの研究は、正常な大網を動物及びヒトの脳に直接配置した後は、両方の大脳半球への脳血流が有意に増加したことを示す(Goldsmith et al.,1990)。大網からの血流は、血管が垂直かつ脳内深くに貫通した後、大網と脳の界面を通じて成長した無数の血管を通じて、脳内にかん流した(Goldsmith,2001)。したがって、大網転位後にAD患者に見られた改善は、脳血流の増加に起因する可能性が高い。
【0058】
本発明者らは、OEGJを含む本発明の組成物は、神経細胞の生体微小環境を実質的に改善することになる、脳への不十分な血液供給の物理的再構成を有意に促進し、虚血及びストレスの損傷から神経細胞を保護する、細胞生存を向上し、神経細胞再生に変換される可能性がある、インビトロでの間充織幹細胞(MSC)の神経細胞分化を誘発することを発見した。OEGJの血管及び神経細胞の有益な効果及び認知症の病態生理学に基づいて、OEGJは、脳への血液供給を増加し、神経細胞の生存及び神経再生を向上させ、したがって、AD及びVD対象の学習及び記憶を改善することができる。
【0059】
一態様によれば、本発明は、その必要のある対象において、本明細書に記載される化合物、組成物、活性画分、又は抽出物の有効量を対象に投与することを含む、アルツハイマー病を含む認知症を治療又は予防する方法を提供する。改善されるアルツハイマー病又はその症状の効果は、海馬及び新皮質領域のAPP−陽性染色;大脳皮質、脳梁、海馬におけるtau−2染色の増加;脳梁、帯状回(cingulate gyms)、視床、大脳皮質における反応性ミクログリア及び星状細胞;大脳皮質及び脳梁におけるTNF−α及びNF−κBの表現増加;側脳室周囲及び脳梁内のミクログリアの増殖の増加;側脳室及びCA1海馬の壁内のコンゴーレッドAの沈着;円蓋、前海馬、及びCA1海馬における病変、及び記憶低下のうちの1つ以上とすることができる。これらの病理学的及び炎症の兆候及び症状は、ヒトにおけるアルツハイマー病の特徴である。一態様において、アルツハイマー病の予防又は治療のための方法は、それを必要とする哺乳類に、ダイコンソウを含む多様な植物からの薬物、活性画分、及び/又は抽出物及び組成物、並びにそのような組成物の誘導体を投与することを含む。
【0060】
本発明の多様な実施形態において、本発明の薬物(抽出物、画分、及び化合物)の効果、及びその投与によって、対象においてアルツハイマー病の治療又は予防が示されるかを判定するために、適切なインビトロ又はインビボの分析が実施される。
【0061】
パーキンソン病の予防又は治療のための方法及び組成物
パーキンソン病(PD)は、主に黒質と呼ばれる領域である、中枢神経系の大脳基底核に影響を与える神経変性疾患である(Lees et al.,2009)。黒質内の神経細胞は通常、神経伝達物質ドーパミンを生成し、大脳基底核の最大構成要素である、線条体に伝える。PDの顕著な特徴である、黒質におけるドーパミンに反応する神経細胞の消失は、線条体におけるドーパミンの不十分な供給につながり、筋肉の運動を調整する大脳基底核内の神経回路の活動の変化をもたらす。この結果、PD患者において運動に影響が及ぶ。PD患者に見られる特徴的な症状として、四肢の震え、筋肉硬直、運動の欠落又は運動の開始及び維持における速度の低下、並びに姿勢の不安定性が挙げられる。PDは進行性疾患であるので、症状は経時的に悪化する(Halliday及びMcCann,2010)。
【0062】
また、PD患者、特にPDが進行した患者においては、認知障害、行動及び会話障害等の二次的症状も発生する場合がある(Leverenz et al.,2009)。認知症等の認知障害は、疾病が進行すると大多数の患者を苦しめる(Leverenz et al.,2009)。PDの認知障害は、疾病の早期におけるわずかな実行機能不全から、進行期における認知症まで異なる。PDに罹患した人は、認知症を発症するリスクが6倍に増加する。複数の研究は、PDにおける認知症の罹患率が、28%〜44%に到達する可能性があることを示している(Mayeux et al.,1992;Aarsland et al.,1996;Hobson及びMeara,2004)。加齢、脳卒中、動脈硬化に起因する黒質の血液供給の乱れは、この領域におけるドーパミンに反応する神経細胞から、酸素及び栄養分の十分な供給を奪い、最終的に細胞死滅につながる。
【0063】
一態様によれば、本発明は、その必要のある対象において、本明細書に記載される化合物、組成物、活性画分、又は抽出物の有効量を対象に投与することを含む、パーキンソン病を治療又は予防する方法を提供する。改善されるパーキンソン病又はその症状の影響は、硬直、震え、運動速度の低下、平衡感覚の低下、及びドーパミンに反応する神経細胞の消失のうちの1つ以上とすることができる。一態様において、パーキンソン病の予防又は治療のための方法は、それを必要とする哺乳類に、ダイコンソウを含む多様な植物からの薬物、活性画分、及び/又は抽出物及び組成物、並びにそのような組成物の誘導体を投与することを含む。別の態様において、パーキンソン病の治療又は予防のための薬物は、1つ以上の、賦形剤、担体、又は充填剤を含有する薬学的組成物の一部である。一実施形態において、薬学的組成物は、単位服用量形態に組み込まれる。単位服用量形態は、対象に投与される時、それを必要とする対象に投与されると、硬直、震え、運動速度の低下、平衡感覚の低下、及びドーパミンに反応する神経細胞の消失を改善する上で有効である。
【0064】
本発明の多様な実施形態において、本発明の薬物(抽出物、画分、及び化合物)の効果、及びその投与によって、対象におけるパーキンソン病の治療又は予防が示されるかを判定するために、適切なインビトロ又はインビボの分析が実施される。いくつかの実施形態において、パーキンソン病のインビトロモデルは、対象における薬物の効果を評価するために使用される。
【0065】
慢性脳虚血の防止又は治療のための方法及び組成物
脳血流とは、任意の指定の時間の脳への血液供給を言う。脳への血液供給の突然の中断が脳卒中につながることは既知である。一方、慢性脳低かん流とも呼ばれる、慢性脳虚血は、脳血流の削減は軽度であるが、持続性であり、脳組織の代謝要求を満たすには低すぎる状態を言う。脳組織が虚血になると、脳細胞の損傷、最終的に死滅を生じる、虚血の滝と呼ばれる生化学的な滝反応が起こる。
【0066】
加齢は、慢性脳虚血をもたらす一般的な因子と考えられる。加齢とともに、有意の機能的及び構造的異常は、ヒトの血管に発生する。最も一般的な加齢に伴う血管の変化は、壁の逐次的肥厚、硬化、並びに血管の管腔の狭窄である。全体的な因果関係は、影響を受けた脳領域への漸進的な削減又はさらには完全な中断である。脳血流は、加齢とともに有意に毎年の減少を示すことが報告されている(Frackowiak et al.,1980;Buijs et al.,1998)。さらに最新の研究によると、高齢対象における総脳血流平均は、健康な若年対象よりも約1/3低い(Spilt et al.,2005)。慢性脳虚血はまた、多数の病態生理学的因子にも結び付けられる。脳虚血のいくつかの可能な原因として、心不全、動脈硬化を伴う又はアミロイド斑を伴う脳動脈の狭窄、内皮依存性血管拡張反応の低下、及び脳小血管疾病が挙げられる(Spilt et al.,2005)。慢性脳虚血の症状として、頭痛、めまい、高血圧、発作、及び神経障害が挙げられる。
【0067】
神経変性疾患に加えて、脳虚血は、新生児の脳低酸素虚血に起因するほとんどの神経病理学の基礎となる基本的な病原機構としても特定されている。脳低酸素虚血は、ほとんどの場合、胎盤の血流及びガス交換における中断の結果として発生する。周産期の間に発生する低酸素虚血脳の損傷は、小児における重度の長期的神経障害の最も一般的に認識される原因のうちの1つである(Perlman,1997)。脳虚血は、神経変性疾患の重大な誘因として特定されているので、脳血流の改善は、症状を緩和し、関連障害の発病を遅延させることが予測される。
【0068】
本発明者らは、OEGJ処置が、脳の虚血領域への血液供給及び神経細胞の生体微小環境を実質的に改善することを発見した。より重要な点として、本発明者らはさらに、ヒトの慢性脳虚血を治療する際にOEGJの特筆すべき有用性を実証した。一実施形態において、OEGJ(2〜3g/日)を用いた2〜4週間の処置は、患者の兆候をほぼ治癒することができる。
【0069】
薬学的組成物の調製及び投与量
本発明の多様な実施形態において、本発明の薬物(抽出物、画分及び化合物)の効果、及びその投与が、対象における罹患した疾病又は医学的状態の治療を示すかを判定するために適切なインビトロ又はインビボの分析が行われる。これらの分析の例は、特定の疾患又は医療に関連して、上記に記載される。
【0070】
典型的に、治療又は予防効果を達成するために十分である、本発明の組成物の有効量は、1日につき体重1キログラムあたり約0.000001mgから1日につき体重1キログラムあたり約10,000mgの範囲である。投与量は、1日につき体重1キログラムあたり約0.0001mgから1日につき体重1キログラムあたり約2000mgの範囲であることが好適である。例示的な治療法は、毎日1回、又は1週間に1回、又は1ヶ月に1回の投与を課す。本薬物は、通常複数回投与される。単一投与間の間隔は、毎日、毎週、毎月、又は毎年とすることができる。別の方法として、本薬物は、徐放性製剤として投与することができ、その場合、頻度を少なくして投与することが必要である。投与量及び頻度は、対象における薬物の半減期に応じて異なる。投与の投与量及び頻度は、治療が予防又は治療であるかに応じて異なる。予防用途において、比較的低投与量が長期間にわたって、比較的低頻度の間隔で投与される。対象の中には、一生治療を受け続ける場合がある。治療の用途において、疾病の進行が軽減又は終結するまで、さらに好ましくは対象が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで、時には、比較的高投与量が比較的短い間隔で必要である。その後、患者に予防養生法を投与することができる。
【0071】
毒性。好適には、本明細書に記載の薬物の有効量(例えば、投与量)は、対象に実質的な毒性を生じさせることなく、治療的利益を提供する。本明細書に記載される薬剤の毒性は、細胞培養又は実験動物における標準の製薬手順によって、例えば、LD50(母集団の50%に対する致死量)又はLD100(母集団の100%に対する致死量)を判定することによって判定することができる。毒性と治療効果の用量比は、治療指数である。これらの細胞培養分析及び動物研究から得られたデータは、ヒトでの使用に有毒でない投与量の範囲を策定する際に使用することができる。本明細書に記載される薬剤の投与量は、好適に、毒性がほとんど又は全く無い有効量を含む、血中濃度の範囲内にある。投与量は、採用される投与量形態及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で異なることができる。正確な製剤、投与経路、及び投与量は、それぞれの医師が対象の状態を鑑みて選択することができる。例えば、Fingl et al.,In:The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ch.1(1975)を参照されたい。
【0072】
本発明の方法によれば、薬剤は、投与に好適な薬学的組成物中に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、対象に投与するために好適な形態において、精製された、又は実質的に精製されたダイコンソウの抽出物、及び薬学的に許容された担体を含む場合がある。他の実施形態において、薬学的組成物は、投与される特定の組成物によって、並びに組成物を投与するために使用される特定の方法によって、部分的に決定される、薬学的に許容される担体を含む場合がある。したがって、組成物を投与するために、広範囲の好適な薬学的組成物の製剤がある(例えば、Remington's、Pharmaceutical Science,Mack Publishing Co.,Easton PA 18thed., 1990を参照)。薬学的組成物は概して、無菌の、実質的に等張、及び米国食品医薬品局の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)の基準に全面的に準拠して調製される。
【0073】
「薬学的に許容される」、「生理学的に耐性のある」という用語、及びその文法的変形は、これらの用語が組成物、担体、希釈剤、及び試薬を指す場合、交換可能に使用され、材料が、組成物の投与を禁止する程度にまで、望ましくない生理学的効果を生成することなく、対象に又は対象上に投与することが可能であることを表す。例えば、「薬学的に許容される賦形剤」は、概して安全、非毒性、及び望ましい薬学的組成物を調製する際に有用な賦形剤を意味し、家畜への使用並びにヒトの製薬学的使用のために許容できる賦形剤を含む。そのような賦形剤は、固体、液体、半固形、又はエアロゾル組成物の場合、気体とすることができる。当業者は、本発明の特定の薬品又は組成物の投与の適切なタイミング、順番、及び投与量を決定することは全く問題ないであろう。
【0074】
そのような担体又は希釈剤の好適な例は、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%のヒト血清アルブミンを含むが、これらに限定されない。また、リポソーム及び固定油等の非水性賦形剤が使用される場合もある。薬学的に有効な物質のためのそのような媒体及び化合物の使用は、当技術分野では公知である。任意の従来の媒体又は化合物が薬剤と混合できない場合を除き、組成物におけるその使用が考慮される。また、補足活性化合物も組成物に組み込むことができる。
【0075】
本発明の薬学的組成物は、その意図した投与経路に適応するように調製される。本発明の組成物は、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、筋肉内経路又は吸入剤として、投与することができる。薬物は、任意に、多様な疾患を治療する上で少なくとも部分的に有効である他の薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0076】
非経口、内皮又は皮下の適用のために使用される溶剤又は懸濁剤は、以下の化学成分を含むことができる:無菌希釈剤、例えば注入用の水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコロール、グリセリン、ポリピレングリコロール、又は他の合成溶媒;抗菌化合物、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート化化合物、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸、クエン酸、又はリン酢酸、及び等張性の調節のための化合物、例えば塩化ナトリウム又はブドウ糖。ペーハーは、塩酸又は水酸化ナトリウム等の酸又は塩基を用いて調節することができる。非経口薬品は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器又は複数投与量薬ビンに封入することができる。
【0077】
注入可能な使用に好適な薬学的組成物は、無菌注入可能水溶液又は分散液の即時調製のための無菌水性溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌粉末を含む。静脈内投与の場合、好適な担体として、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parisippany、NJ)、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合、組成物は無菌でなくてはならず、容易な注射針通過が存在する程度まで流動性を持つべきである。製造及び保存の状況下で安定していなければならず、細菌及び菌類等の微生物の汚染活動から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール、等)、及びその好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒とすることができる。適切な流動性は、例えば、レシチン等の被膜剤の使用によって、分散の場合には必要な粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の活動の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等の多様な抗菌薬及び抗真菌薬によって達成することができる。多くの場合、本組成物中には、等張化合物、例えば、糖、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコール類、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注入可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる化合物、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン、を組成物中に誘導することによって、もたらすことができる。
【0078】
無菌の注入可能な溶液は、上記に列挙された成分の1つ又は組み合わせを有する適切な溶媒に、必要量の薬剤を組み込むことによって調製することができ、必要に応じて、続いて濾過滅菌される。概して、分散液は、塩基性分散媒及び上記に列挙された中から必要な他の成分を含有する無菌の賦形剤に結合剤を組み込むことによって調製される。無菌の注入可能な溶液の調製のための無菌の粉末の場合、調製方法は、有効成分に加えて、その以前に無菌濾過された溶液からの任意の望ましい追加成分の粉末を得る、真空乾燥及びフリーズドライである。本発明の薬物は、有効成分の持続的又はパルス放出を可能にするような様式等で調製することができる蓄積注射又は埋込み製剤の形態で投与することができる。
【0079】
経口組成物は、概して、不活性の希釈剤又は食用の担体を含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入、又は錠剤に圧縮することができる。経口治療投与の目的の場合、結合剤は賦形剤を用いて組み込み、錠剤、トローチ剤又はカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物はまた、マウスウォッシュとして使用される流体担体を使用して調製することもでき、流体担体の化合物は経口適用され、すすいで吐く、又は飲み下される。薬学的に親和性の結合化合物、及び/又は補助材料は、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤等は、以下の成分、又は類似の性質の化合物のうちのいずれかを含有することができる:結合剤、例えば微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチン;賦形剤、例えばデンプン又はラクトース;崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル又はデンプン;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はステロテス;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味化合物、例えばスクロース又はサッカリン;あるいは風味化合物、例えばペパーミント、サルチル酸メチル又はオレンジ香味料。
【0080】
一実施形態において、薬物は、埋込み及びマイクロカプセル化送達システムを含む、放出制御製剤等、身体からの急速な排出から薬物を保護する担体を用いて調製される。エチレンビニル酢酸塩、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸等の生分解性、生体適合ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調整のための方法は、当業者には明らかであろう。材料は、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals, Inc.から購入することもできる。また、リポソーム懸濁液(ウィルス抗原に対する単クローン抗体を用いて感染した細胞を標的とするリポソームを含む)も、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、当業者に既知の方法、例えば、米国特許第4,522,811号に記載の方法に従って調製することができる。
【0081】
実施例
本技術は以下の例によってさらに説明するが、決して限定として解釈されてはならない。
【0082】
実施例1−ダイコンソウからの活性抽出物の分離
以下の実施例に開示される実験のために、抽出物が植物ダイコンソウから得られた。植物は、7月に中国の江西省廬山で採集され、乾燥され(50kg)、室温で3日間、2回、80%エタノール(500L)を用いて浸出した。抽出物は混合され、吹き付け乾燥して、固形残さ(5kg)を得た。固形残さは、10倍の容量のH2Oで懸濁し、続いて、10倍の容量のヘキサン及びクロロホルムで2回分配した。次に、70%エタノール(10倍の容量)を使用して、残りを2回回収した。エタノール可溶性成分をろ過し、吹き付け乾燥して、粉末画分を得た。
【0083】
間充織幹細胞の神経分化。血管新生を促進し、幹細胞の神経細胞分化を誘発するための二重作用を示す化合物の組成を特定するために、植物成分をスクリーニングするためのバイオアッセイに誘導される分離戦略が使用された。予想される二重作用の誘発のための植物抽出物のスクリーニング中、ダイコンソウの有機抽出物(OEGJ)が特定された。OEGJは、低濃度で増殖を有意に向上させることができることが発見された。より高い濃度では、抽出物は、インビトロでヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の分化(図1)及びインビトロでの間充織幹細胞の神経分化(図2)を誘発した。抽出物(200μg/ml)が間充織幹細胞培養に加えられると、抽出物を用いた処置3日後に、ほぼ〜10%の非対称及び不規則形状のラット骨髄派生MSCが、高密度の、屈折した分岐細胞に分化するように誘発されることが発見された。さらに、これらの屈折した分岐細胞は、抽出物を用いた処置8日後に、高密度小細胞体及び複数/長い樹状突起様伸張を有する神経細胞様細胞に分化した。このように、OEGJは、神経分化系統に沿ってMSCを準備する能力を有する。したがって、脳卒中、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、血管性認知症の損傷した神経細胞を置換するように、神経再生を促進することができる。
【0084】
生物統計学。全ての形態学的データは、盲検的に収集された。結果は、各心臓から得られた平均測定値から計算された平均値±SDとして示される。2つの測定値の間の比較のための統計的有意は、対になっていない両側スチューデントt検定を使用して決定された。P<0.05の値は有意であると見なされた。
【0085】
実施例2−虚血性脳卒中を治療する際のOEGJの効果
実施例において使用された全ての治験実施計画は、U.S. National Institutes of Health発行のGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsを遵守し、Zhangjiang Hightech parkのAnimal Experimental Ethical Committeeによって承認された。
【0086】
虚血性脳卒中及び治療実施計画の動物モデル。虚血性脳卒中は、以前に使用された方法に従って、手術によってSDラットに誘発された(Mayzel−Oreg et al.,2004;Steiner et al.,1980)。簡潔に述べると、頸動脈分岐部周囲の総頸動脈(CCA)、内頸動脈(ICA)、及び外頸動脈(ECA)は、首の右側の正中切開を通して露出された。CCAは、頸動脈分岐部に近接して結紮された。〜1000の微小球(80−150μM)を含有する生理食塩水(0.5ml)が、頸動脈分岐部に向いているECAに挿入された注射器によって注入された。注射部位に遠位のECAの結紮及びCCA結紮の除去後、注入された微小球は、ICAに入り、脳に複数の梗塞虚血性脳卒中をもたらした。手術の1日後、動物の神経状態は、Benderson et alによって開発された神経評価システムに従って評価された(Benderson et al.,1986)。次いで、ラットは、各群のラットが全体的に類似の評価を持つように、割り当てられた評価にしたがって2つの群に分けられた。試験群(n=12)は、OEGJを用いて4週間(経口投与、体重1kgあたり、480mgのOEGJ(水中))処置された。ベヒクル処置群の同数の動物(n=16)は、同量の水が経口投与された。ベヒクル処置の対照群のラットの数が多い理由は、ベヒクル処置の対照群の死亡率が高いためである。
【0087】
外科的に誘発された脳卒中の後、ベヒクル処置の対照ラット及びOEGJ処置を受けたラットの両方は、運動及び神経能力が評価された。例えば、成体動物は、外科的に誘発された脳卒中を経験した後、一連の標準タスクにわたって試験された。OEGJ処置の動物における改善は、強さ、平衡、敏捷性、及び微細運動技能を試験した、試験範囲にわたる向上した能力を含むとともに、損傷した組織のより良好な回復を含んだ。
【0088】
基底動脈の血流の超音波ドップラー速度評価。問題のある動脈からの血流速度(BFV)は、結紮後の実験中に、超音波ドップラー速度を使用して測定された。脳の流量速度の超音波測定は、脳卒中発症後に、血流供給の再配分に関する情報を提供することを助ける。右CCA内のBFVのパーセント減少は、外科的塞栓症後6時間で、対照の20〜53%であることが発見された。BFVは、神経細胞損傷の領域を除き、手術の1週間後に回復する傾向を見せた。これらの結果は、神経細胞損傷が流速と相関しないことを示唆した。新しい側副血管の成長の誘発による虚血脳への血流の増加は、脳卒中の実質的な治療のための最も重要な段階のうちの1つであるため、したがって、本研究において、我々は、両側総頸動脈の永久的な結紮による脳虚血ラットモデルを使用した。SDラットにおける両側頸動脈結紮(BCAL)が研究された。外科処置の1週間以内の死亡率は約20%であった。生存した12匹は、試験群(n=6)及び対照群(n=6)に分けられた。試験群のラットは、5週間、OEGJ(480mg/kg)を経口投与され、ベヒクル処置の対照群は、同様に水が投与された。
【0089】
実験ラットの基底動脈のBFVが研究された。基底動脈のBFV測定だけを考慮するのは、この血管が両側頸動脈閉塞性疾患の側副経路に最も関与するということを根拠とする。基底動脈のBFVは、OEGJ処置中の5週目に東芝製超音波スキャナの12MHzリニアプローブを用いて測定された。3回の繰り返し測定の平均が、動脈のBFVとして採用された。頭蓋側副循環の存在は、病理組織学的研究によって確認された。通常、両側頸動脈は脳への60%の血流量に寄与する、BCALに起因して削減された血流量を補償するために、全身的血圧は、超音波ドップラー速度によって判定されるように、脳への正常な基底血液量の約30%多い血液を送り出すために、正常血圧の25%有意に増加することが発見された(図3)。これに対して、OEGJ処置群のラットにおいて、血圧が正常に保たれただけでなく、血流量も脳への正常な基底血液量の約90%増加し、これは、脳への正常な総血液量の76%を占める(図3)。OEGJの血管膨張効果の可能性を排除するため、OEGJの5週間の処置後、OEGJの投与は終了された。血流量は、OEGJ処置の終了2週間後に再び判定された。OEGJ処置中の5週目に得られた結果に類似した結果が得られ、OEGJ処置が、脳内の新しい側副血管の成長を誘発し、動脈又は微細血管の周辺抵抗を削減することになるので、脳への有意により多い血流量が血圧を上昇させることなく達成されることを示唆した。
【0090】
脳卒中脳におけるOEGJ誘発新生血管形成。手術後7週間で犠牲にされた脳卒中ラットから脳が除去され、ホルマリン固定され、パラフィンに包埋された。薄片(5μmの厚さ)が各スライドから切断され、H&E染色で染色された。血管密度は、組織片サンプル上で、高倍率視野(HPF)(40x)の下で光顕微鏡を使用して前頭葉の皮質内及び海馬領域周辺の血管の数を計測することによって、決定された。各片の血管全てを計測するために、前頭葉又は海馬内の6つの無作為で重複していないHPFが検査された。各HPFの血管数を平均化して、HPFあたりの血管数として表された。血管計測は、盲検様式で2人の研究者によって実施された。OEGJ処置ラットにおいて、血管数は、前頭葉の皮質の領域において51.16±16/HPF及び海馬の領域周辺で61.66±21/HPFであることが発見された(図4)。これに対して、ベヒクル処置ラットにおいて、血管数は、前頭葉の皮質の領域において約34.2±12/HPF及び海馬の領域周辺で38.5±7.5/HPFであった(図4)。
【0091】
神経細胞の再生。薄片(5μm)が各スライドから切断され、Ki67及びネスチンに対する特異抗体を用いて、免疫組織化学的に染色された。Ki−67タンパク質は、増殖に対する細胞マーカで、細胞増殖に厳密に関連する。中間期の間、Ki−67抗体は、細胞核内部だけで検出されるが、有糸分裂においては、タンパク質のほとんどは、染色体の表面に移動する。Ki−67タンパク質は、細胞サイクルの全ての活性段階(G1、S、G2、及び有糸分裂)中存在するが、休眠細胞(G0)からは不在である。ネスチンは、胚中枢神経系前駆細胞の200〜220kDaの主要中間径繊維(IF)である。ネスチンは、急速成長の間の神経上皮性幹細胞用マーカである。いくつかの神経細胞の軸索伸長の間、ネスチンは、成長円錐に局所化し、成長円錐誘導の役割を果たすことができる。したがって、脳内の神経再生のマーカとして、Ki67及びネスチンを使用した。薄片の顕微鏡検査時、複数の梗塞領域が、前頭葉、海馬、側頭葉及び頭頂葉等、脳全体を通じて発見された。また、OEGJ処置は、新しい脳側副血管の成長を刺激する(図4)だけでなく、Ki67及びネスチンの免疫組織化学染色によって示されるように、前頭葉及び頭頂葉の皮質内並びに海馬内の神経再生を誘発することも発見された(図5)。これに対して、未処置の対照脳では、脳の新しい側副血管の有意な成長は全く特定されず(図4)、新しい神経細胞の再生も特定されなかった(図5)。まとめると、これらの観察は、OEGJが虚血脳内の新しい側副血管の実質的な成長を刺激するだけでなく、死滅した神経細胞を置換する影響を受けた脳の多数の領域の神経再生を誘発することを暗示する。
【0092】
虚血性脳卒中の実質的な治療のための最も重要な段階は、神経細胞が生存し、機能するように、微小環境を回復する血液供給の再構成、及び死滅した神経細胞を置換する神経細胞の再生である。これらの結果は、OEGJがこれらの2つの要件を満たすこと、したがって、虚血性脳卒中の治療のために使用できることを実証する。
【0093】
実施例3−OEGJを用いた重度のヒト虚血性脳卒中患者の治療
OEGJによって向上された血管上皮細胞の分化及び虚血脳内の新しい側副血管の実質的な成長、及びインビトロでのMSCのOEGJ誘発神経細胞分化及び動物モデルにおける実質的な治療効果からの上記のかなり可能性のある結果に基づいて、脳卒中動物モデルにおいて観察されたOEGJ媒介の実質的な治療効果が臨床条件において成功して使用できるかどうかの可能性は、慈悲治療に基づいて脳卒中患者において試験された。我々の予備臨床試験は、家族の全面的理解及び書面による同意を得て虚血性脳卒中患者(2人の女性患者及び2人の男性患者)で実施された。
【0094】
台湾の1人の女性患者は、治療の約2年前に重度の虚血性脳卒中があり、言語能力の完全な喪失、歩行又は直立不可能、自分で食べること、腕又は脚を動かす等のほとんど全ての他の身体能力の喪失を示した。認知障害は重度で、非常に簡単な言語又は動作であっても理解すること及び家族又は身の回りの物体を認識することが不可能であったので、ほぼ植物患者に近い状態であった。しかしながら、2ヶ月間のOEGJ処置(経口投与、2グラム/日)の間、この患者の言語能力、家族の名前及び関係を覚える能力、並びに身体能力のうちのいくつかは、徐々に回復した。さらにまた、治療は視力を有意に改善し、電子麻雀ゲームを学習すること、及び電話をかけること等、認知能力のうちのいくつかを回復した。
【0095】
上海の別の女性患者は、治療の約2年前に最初の脳発作を起こし、自分自身及び家族の身元を覚えることに問題がある等、有意の認知障害があった。また、身体活動の身体障害がなく急速することが不可能、又は多動性があった。集中することが不可能な状態で、容易に注意散漫になった。OEGJ処置の約8ヶ月前に、別の脳発作を起こした後、言語及び全ての身体能力を完全に失った。事象に対する積極的反応を全て失い、診察時には、筋肉硬直、深く大きい褥瘡性潰瘍(直径16cm及び深さ10cm)、及び重度の不眠症を伴う完全な植物患者状態であった。興味深いことに、2ヶ月間のOEGJ処置(経口投与、2グラム/日)は、患者の深い褥瘡を完全に治癒し、不眠症を正常な睡眠パターンに実質的に回復し、通常及び複雑なコミュニケーションのための言語能力、並びに家族の名前及び関係を分かる際の能力を顕著に回復した。患者の身体能力及び視力の有意な改善も報告された。
【0096】
北京の別の男性患者は、処置の約6ヶ月前に脳発作を起こした。脳発作が起こる約6ヶ月前に、この患者には、頭痛、目まい、午後に仕事又は筆記に集中することが不可能等の脳虚血の警告症状が既にあった。脳卒中後、脳発作の急性段階から回復したが、言語表現の困難、頭痛、及び脳の梗塞領域の部分に痛みを訴えた。身体的には、早歩きすることができず、さもないと、身体の安定性を失うことになった。仕事又は筆記に集中できなくなった。OEGJ(2g/毎日、経口投与)を用いた2ヶ月の処置後、血圧は正常に戻り、脳梗塞の部分の痛みの感覚は消失し、顔色はより健康になった。最も重要な点は、1日中、仕事又は筆記に再び集中できるようになり、脳発作前より改善した。身体的には、良好な身体の安定及び平衡を保ちながらはや歩きできるようになった。完全に正常に見える。
【0097】
実施例4−OEGJが脳血流を促進。
我々の予備研究及び他の研究者の研究(Farkas et al.,2007)は、前脳の慢性虚血は、ヒトのAD、VD、及び他の認知障害の主要原因のうちの1つである可能性を示唆している。CBFを促進する際のOEGJの有益な使用性を探求するために、学習及び記憶の障害、並びに認知障害の症状を有するヒトの慢性脳虚血に似る、永久的な両側総頸動脈閉塞(2VO)によって前脳、海馬及び脳の他の葉に慢性虚血のあるラットモデルを使用した。
【0098】
体重250〜300gのオスのSprague−Dawley(SD)ラットが使用された。研究は、National Regulations of Experimental Animal Administrationに従って実施され、全ての動物実験は、張江高科技園区の実験動物管理委員会によって承認された。慢性両側閉塞2VO(n=12)の場合、左及び右両方の総頸動脈は、麻酔下で頸部正中切開によって露出され、次いで、6−0ナイロン縫合糸によってそれぞれ結紮され、マイクロ剪刀によって切断された。傷はその後縫合糸を用いて閉じられた。麻酔から回復後、実験動物は、食べ物及び水への自由なアクセスが許可された。
【0099】
OEGJ処置群のラット(n=6)は、1日目から30日目まで、OEGJ懸濁液(480mg/kg/日、水中)が毎日胃内に投与された。ベヒクル処置群の動物(n=6)は、同等期間、同等量の水を毎日投与された。ラットは、1ヶ月間処置された後に分析された。脳血流の変化は、東芝製Aplio XG超音波によって測定された。
【0100】
総脳血流量は、PLT−1202Sリニアアレイトランスデューサを装備する東芝製Aplio XG超音波を使用して、実験動物の基底動脈を測定することによって評価された。角度補正時間平均の流量速度及び血管の断面領域が測定された。ラットの2VO後、脳への血液供給は主に基底動脈に依存し、これは通常、脳への全血液供給のほぼ40%を供給する。結果は、偽手術を受けたラットの血流量は約13.81±4.21ml/分であったが、ベヒクル処置ラットにおいては、2VOへの補償機構に起因して16.23±4.17ml/分に達した(図6)。興味深いことに、OEGJ処置動物のBFVは、26.60±11.10ml/分まで増加し、これは、全脳血流量の正常レベルの約85%である(図6)。さらに、ベヒクル処置動物の血圧は平均で約154mmHgで、これは、偽手術を受けた動物の血圧(約125mmHg)よりも高い。これに対して、OEGJ処置動物の血圧は平均で135mmHgで、これは、ベヒクル処置ラットの血圧よりも有意に低いが、偽手術を受けたラットのレベルよりもわずかに高く、OEGJ処置に起因して、脳動脈の周辺抵抗を削減した脳側副血管形成又は血管膨張を示唆する。OEGJの血管膨張効果の可能性を排除するため、OEGJ処置2週間後にこれらの実験動物のBFVを再び測定した。同様な結果が得られた。つまり、OEGJ処置の終了2週間後、BFVは、OEGJ処置ラットの2週間前の最後の測定の値に類似したままで、血圧は約128mmHgであった。ベヒクル処置ラットにおいて、BFV及び血圧の両方は、2週間前の最後の測定の値にほぼ同じであった。結論として、2VOに起因する脳への有意に減少した血液供給は、OEGJ処置によって回復した。理論によって制限されることを所望することなく、基本的なメカニズムはおそらく、脳の動脈の抵抗性を削減した、虚血脳内の向上した側副血管形成に起因するもので、これは、さらに同じ脳サンプルの組織学的研究(血管の計測)によって確認された。
【0101】
実施例5−アルツハイマー病動物モデルにおけるOEGJ誘発治療効果
この実施例では、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の突然変異遺伝子を持つ遺伝子導入マウス、及び老化促進マウス(SAM)という、広範に使用されるAD動物モデルに対するOEGJの効果が試験された。APPマウスは、繊維アミロイド斑及びAD様脳病理を発症し、ADを研究するための価値ある動物モデルを提供する。APPマウスは加齢に伴い、空間的学習及び記憶における障害を示す。タケダ及びその同僚によって開発されたSAMマウス(Takeda et al.,1991)は、急速な加齢の特徴を示す。これらは、学習及び記憶に早期異常を発症する。これらは、海馬機能の異常に関係する。SAMマウスは、ADで見られる早期障害の病態生理学を試験する優れたモデルと思われる。
【0102】
全ての研究は、National Regulations of Experimental Animal Administrationに従って実施され、全ての動物実験は、張江高科技園区の実験動物管理委員会によって承認された。APP及びSAM両方のマウス(6ヶ月齢)は、OEGJ処置群(APP,n=15及びSAM,n=15)及びベヒクル処置群(APP,n=14及びSAM,n=14)に無作為に分けられた。OEGJ処置群のマウスは、30日間、OEGJ懸濁液(480mg/kg/日、水中)が毎日胃内に投与された。ベヒクル処置群の動物には、毎日同量の水が投与された。
【0103】
SAMP10マウスの学習及び記憶におけるOEGJ誘発改善。OEGJ又はベヒクル処置1ヵ月後、OEGJ処置群及びベヒクル処置群の両方において、これらの空間学習及び記憶能力を評価するために、モリス水迷路(1.8M)が使用された。動物は、4日間、1日5回訓練された。逃避潜時とも呼ばれる、不可視逃避台を発見する前に費やされた時間が記録された。5日目、逃避台が除去され、マウスは、逃避台の場所の記憶が評価される、探索試験の対象となった。典型的に、ターゲット象限(逃避台が以前に配置されていた場所)で費やした時間が、逃避台の場所に対するマウスの記憶の強さを評価するために使用された。以前の逃避台の場所からの平均水泳距離及び逃避台の正確な場所の横断数が、記録された。OEGJ処置SAMマウスは、ベヒクル処置マウスに比較して有意に短い逃避潜時を示した(図7、P<0.001)。
【0104】
脳血流(CBF)の超音波ドップラー速度評価。実験動物のCBFは、4週間のOEGJ処置後に東芝製超音波スキャナの12MHzリニアプローブを用いて研究された。OEGJの血管膨張効果の可能性を排除するため、4週間のOEGJ処置後、CBFは、OEGJ処置の2週間後に判定された。3回繰り返された測定の平均がCBFとして採用された。頭蓋側副循環の存在は、病理組織学的研究によって確認された。OEGJ処置マウスのCBFは、ベヒクル処置のマウスのCBFよりも平均15%高いことが発見された。この結果は、OEGJ処置が、脳への有意により多い血流が達成されるように、細動脈又は微細血管の周辺抵抗を削減する、マウスの脳の新しい側副血管の成長を誘発することを示唆し、これは、組織学研究によってさらに確認された。
【0105】
SAMP10マウス脳の新生血管形成の測定。組織学的検査によって、OEGJ処置マウスの脳の平均質量は、ベヒクル処置された対照マウスの質量よりも14.6±4.8%重いことが明らかになった(P<0.01)。CBF測定後に犠牲にされたSAMマウスから脳が除去され、ホルマリン固定され、パラフィンに包埋された。薄片(5μm)が各スライドから切断され、H&E染色で染色された。組織片上の血管密度は、高倍率視野(HPF)(40x)の下で光顕微鏡を使用して前頭葉の皮質内及び海馬領域周辺の血管の数を計測することによって、判定された。各片の血管全てを計測するために、前頭葉又は海馬内の6つの無作為で重複していないHPFが使用された。各HPFの血管数を平均して、HPFあたりの血管数として表された。血管計測は、盲検様式で2人の研究者によって実施された。
【0106】
ベヒクル処置SAMP10マウスにおいて、血管数は、前頭葉の皮質の領域において82.3±15.6/HPF及び海馬の領域周辺で52.0±21/HPFであることが発見された(図8)。これに対して、OEGJ処置マウスにおいて、血管数は、前頭葉の皮質の領域において約91.0±16.3/HPF及び海馬の領域周辺で72.0±15.6/HPFであった(図8)。OEGJ処置マウスの海馬の顆粒神経細胞層は、相対的に健全で、密集し、濃密な態を示した。これに対して、対照マウスの顆粒神経細胞層は、ルーズで、多孔質であった(図8)。
【0107】
神経再生。薄片(5μm)が各スライドから切断され、Ki67に対する特異抗体を用いて、免疫組織化学的に染色された。薄片の顕微鏡検査時に、OEGJ処置は、脳皮質及び海馬の領域において新しい血管の成長を向上させるだけでなく、これらの領域の神経再生を誘発することも発見された(図9)。これに対して、未処理の対照脳では、脳の新しい側副血管の有意な成長は全く特定されず、新しい神経細胞の再生も特定されなかった(図9)。新しく再生された神経細胞様細胞は、Ki67に対する特異抗体で陽性に染色され(図9)、新しく再生された神経細胞であることを示す。
【0108】
まとめると、これらの観察は、OEGJが、改善されたCBFとなる、SAMマウスの脳の新しい側副血管の成長の実質的な成長を刺激するだけでなく、水迷路探索試験における能力を実質的に改善することを助けることができる、学習及び認知能力をつかさどる前頭葉の皮質及び海馬領域の神経再生を誘発することも実証する。
【0109】
APPマウスの学習及び記憶におけるOEGJ誘発改善。OEGJ処置群及び対照処置群の両方において、これらの空間学習及び記憶能力を評価するために、モリス水迷路(1.8M)が使用された。処置前に、水迷路試験において、両方の群の間で、不可視逃避台に対する逃避潜時には差が全く検出されなかった。6ヶ月齢のAPPマウスは、OEGJ処置群(n=15)及びベヒクル処置群(n=14)に無作為に分けられた。OEGJ処置群のマウスは、30日間、OEGJ懸濁液(480mg/kg/日、水中)が毎日胃内に投与された。ベヒクル処置群の動物には、毎日同量の水が投与された。OEGJ処置の4週間後、APPマウスは、4日間1日3回、水迷路で訓練された。逃避潜時とも呼ばれる、不可視逃避台を発見するまでに費やされた時間が記録された。訓練コースの1日後、マウスは、逃避台が除去され、逃避台の場所の記憶が評価される、探索試験の対象となった。典型的に、ターゲット象限(逃避台が以前に配置されていた場所)で費やした時間が、逃避台の場所に対するマウスの記憶の強さを評価するために使用された。以前の逃避台場所からの平均水泳距離及び逃避台の正確な場所の横断回数が、記録された。ベヒクル処置動物は、OEGJ処置マウスの能力に比較して、不可視逃避台を発見する際に有意により長い潜時を見せることが発見された(図10)(P<0.01)。ベヒクル処置のマウスにおいて長くなった逃避潜時は、OEGJ(480mg/kg/日、1ヶ月間)処置によって有意に短縮することができた(P<0.01)。探索試験は、最後の訓練試験日後5日目に実行された。逃避台が訓練試験中に配置されていた場所のターゲット象限において費やされた時間に関して、有意の群効果が存在することが発見された(図10)。OEGJ処置APPマウスは、ベヒクル処置マウスが見せたよりも有意に高い逃避台横断回数を見せた(図10)(P<0.01)。OEGJ処置マウスは、訓練された逃避台象限内で水泳時間のほぼ40%を費やし、これは機会の確率(25%)よりも有意に高い(図10)。これに対して、ベヒクル処置群のマウスは、訓練された逃避台象限内で水泳時間の約26%を費やし、これは、機会の確率(25%)に類似し、OEGJ処置マウスの時間よりも有意に短い(図10)(P<0.01)。
【0110】
脳血流(CBF)の超音波評価。APPマウスのCBFは、OEGJ処置2週間後に東芝製超音波スキャナの12MHzリニアプローブを用いて研究された。OEGJ処置のAPPマウスのCBFは、ベヒクル処置の対照マウスのCBFよりも平均14.8%高く、OEGJ処置が、APPマウスの脳内の新しい側副血管の成長を誘発し、動脈又は微細血管の周辺抵抗を削減するので、脳へより多くの血流が得られることが発見された。
【0111】
脳の新生血管形成の測定。CBF測定後に犠牲にされたAPPマウスから脳が除去され、質量が計測された。OEGJ処置のマウスの脳の平均質量は、ベヒクル処置のマウスの質量よりも15.3±3.93%重いことが発見された(P<0.01)。脳は、次いで、ホルマリン固定され、パラフィンに埋め込まれた。薄片(5μm)が各スライドから切断され、H&E染色で染色された。組織片上の血管密度は、高倍率視野(HPF)(40x)の下で光顕微鏡を使用して前頭葉の皮質内及び海馬領域周辺の血管の数を計測することによって、判定された。各片の血管全てを計測するために、前頭葉又は海馬内の6つの無作為で重複していないHPFが使用された。各HPFの血管数を平均化して、HPFあたりの血管数として表された。血管計測は、盲検様式で2人の研究者によって実施された。
【0112】
OEGJ処置マウスにおいて、血管数は、前頭葉の皮質の領域において78.5±19/HPF及び海馬の領域周辺で79.8±23/HPFであることが発見された(図11)。これに対して、ベヒクル処置マウスにおいて、血管数は、前頭葉の皮質の領域において約41.7±8/HPF及び海馬の領域周辺で39.7±8.2/HPFであった(図11)。
【0113】
神経再生。顕微鏡検査はまた、ベヒクル処置の対照APPマウスの海馬の全てのCA領域の錐体細胞層は、OEGJ処置された動物の錐体細胞層に比較してはるかに薄い状態を示すことも実証した(図12)。ベヒクル処置の対照マウスのDG顆粒神経細胞層の内側縁周辺の多数の歯状回(DG)顆粒神経細胞は、変形し、死滅していることが発見された(図11及び12)。これに対して、OEGJ処置マウスのDG顆粒神経細胞層は、健全なままで、DG顆粒神経細胞層の内側縁周辺の死滅したDG顆粒神経細胞ははるかに少数であった(図11及び12)。さらに、ベヒクル処置のAPPマウスの海馬は、収縮し、対照処置の動物のうちのいくつかにおいて、DG領域の一部が消失した(図12)。これに対して、OEGJ処置動物では、消失したDG領域は全く発見されなかった(図12)。
【0114】
薄片は、Ki67に対する特異抗体で免疫組織化学的に染色された。OEGJ処置は、皮質及び海馬の領域の新しい側副血管の成長を向上させるだけでなく、皮質、海馬の神経再生を誘発することが示された(図13)。これに対して、未処置の対照脳では、脳の新しい側副血管の有意な成長は全く特定されず、新しい神経細胞の再生も特定されなかった(図13)。新しく再生された神経細胞様細胞は、Ki67に対する特異抗体で陽性に染色され、これらが新しく再生された神経細胞であることを示す(図13)。
【0115】
アスパルチルプロテアーゼβ部位アミロイド前駆体タンパク質開裂酵素1(BACE1)は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)を、AD斑の主要成分である、アミロイドβ(Aβ)ペプチドへ処理することを開始する。RT−PCR分析は、対照処置マウスのBACE1mRNAレベルが、OEGJ処置動物のレベルよりも高いことを実証した(P<0.01)。ベヒクル処置動物のAβタンパク質発現は、OEGJ処置マウスの発現より高かった(P<0.01)。BACE1mRNAレベル及びAβは、OEGJ処置によってAPPマウスの海馬において削減された。我々の組織学的分析はまた、コンゴレッド染色によって可視化される、アミロイド斑が、OEGJ処置SAM及びAPPマウスでは、ベヒクル処置動物のアミロイド斑よりも少ないことを実証した(P<0.05)。結果は、APPマウスの脳におけるBACE1表現及びAβ生成の抑制は、APPマウスにおいて発見された認知障害を改善する際に、OEGJの効果の基礎となる場合があることを示唆した。
【0116】
まとめると、これらの観察は、OEGJが、有意に改善されたCBFをもたらすSAM及びAPPマウスの脳の新しい側副血管の成長の実質的な成長を刺激するだけでなく、水迷路探索試験において有意に改善された能力につながる、学習及び認知能力をつかさどる皮質及び海馬領域の神経再生を誘発することを暗示する。このように、本発明の組成物は、ADの治療に有用である。
【0117】
実施例6−血管性認知症におけるOEGJの治療効果
血管性認知症(VD)は、主な種類の老人性認知症のうちの1つである。最新の研究は、前脳及び海馬の慢性虚血がVDの主要原因のうちの1つである可能性を示唆した。したがって、言語及び記憶障害を有するヒトのVDに類似する、永久的な両側総頸動脈閉塞(2VO)による前脳の慢性虚血を有する動物モデルを使用した。体重300〜350gのオスのSprague−Dawley(SD)ラットが使用された。2VOの手技は前述された。試験群のラット(n=6)は、OEGJ懸濁液(480mg/kg/日、水中)を4週間胃内投与された。ベヒクル処置群の動物(n=6)は、同等量の水を同等期間毎日投与された。
【0118】
OEGJ処置ラットの脳の平均質量は、対照処置ラットの質量よりも9.3±2.3%重いことが発見された(P<0.05)。2VOモデル及びOEGJの治療効果の形態学的結果を評価するために、2VOの6週間後、組織学的分析が実施された。永久的2VO後の初期段階では、ラットの影響は、運動の低下、後足の歩行障害、歩行失調、又はクロールと回転に及んだ。しかしながら、手術1週間後、実験用ラットは、ほぼ回復し、明らかな運動障害は全く見られなかった。前脳の薄片の組織学的検査は、脳の慢性虚血後、複数の脳虚血病変、海馬及び皮質の神経の進行性変性が存在したことを実証した。前頭葉及び海馬の皮質内の血管密度は、必要に応じて測定された。毛細血管の平均数を定量化するために、それぞれ50μmの間隔でパラフィン包埋組織ブロックから切断された6片(5μm)が分析された。OEGJ処置脳の平均毛細血管密度は、対照処置の密度よりも有意に高いことが発見された(P<0.005)。
【0119】
結論として、永久的2VOによって誘発された慢性脳虚血は、学習及び記憶能力の低下を含む、進行性かつ持続的損傷を脳にもたらし、ヒトの血管性認知症の病理学的進展を模倣することができる。本発明の組成物は、側副血管形成を通して、虚血脳への血液供給を回復し、損傷した神経細胞を置換する神経再生を刺激することができ、したがって、認知症の動物モデル及びヒトにおいて有効な治療効果によって確認されるように、血管性認知症における有益な治療効果を提供することができる。
【0120】
実施例7−AD及び血管性認知症患者(ヒト)におけるOEGJの治療効果
本発明の組成物の治療効果は、認知症患者において臨床条件で試験された。我々の予備臨床試験は、家族の全面的理解及び書面による同意を得て2人の男性AD患者で実行された。1人の患者(82歳)は、短期記憶喪失、知覚機能低下、情緒的行動、自分及び家族の名前及び関係の記憶障害、よく知っている道で迷う、失神(1〜2回/月)、妄想障害、及び認知機能障害(計算、抽象思考、及び判断等)を含む、治療の約1年前に精神機能の多数の領域に障害を示し始めた(表1)。別の患者(78歳)は、治療の約6ヶ月前に、言語障害、うつ状態、及び視覚低下を示し始めた。また、この患者の症状は、診断時に、言語の喪失、歩行能力の喪失、失禁、自活不能、及び重度のうつ状態も含んだ(表2)。しかしながら、OEGJ(経口投与、2グラム/日)を用いた1週間の治療後、両方の患者は、症状の有意の改善を報告した。治療は、自分自身及び家族の名前及び関係を思い出す能力を回復させ、患者の認知能力を有意に改善した(表1及び2)。さらに、82歳の患者は、1ヶ月の治療後、失神及び妄想障害から完全に回復した(表1)。76歳患者は、治療の4日後に失禁から完全に回復した。視覚の喪失、言語能力、人とのコミュニケーション、歩行能力、及びうつ状態は、1ヶ月の治療後徐々に回復した。治療の2ヵ月後、この76歳の患者は完全に正常に見える(表2)。
【0121】
血管性認知症(VD)のヒトの患者におけるOEGJの治療効果が確認された。我々の予備臨床試験は、家族の全面的理解及び書面による同意を得て2人の女性血管性認知症患者で実行された。1人の患者(86歳)は、治療の約1年半前の重度の脳卒中発作後、精神及び身体機能の多数の領域に障害を示していた。患者は、言語能力を完全に失い、自分で食べること、歩くこと、立つこと、さらには笑うこと等のほとんど全ての身体能力を失った。植物患者状態であった(表3)。別の患者(82歳)も2回の脳卒中発作後、言語及び全ての身体能力を完全に失った。この患者は、診断時に高血圧及び重度の褥瘡性潰瘍のある完全な植物状態であった(表4)。
【0122】
しかしながら、両方の患者において、OEGJ抽出物(経口投与、2グラム/日)による2ヶ月の治療で、言語能力、家族の名前及び関係を思い出す能力、並びに身体能力のうちのいくつかが回復した(表3及び4)。さらに、86歳の患者では、この治療で、コンピュータで麻雀ゲームを遊ぶ、及び電話をかける等の認知能力のいくつかも回復した(表3)。高血圧及び睡眠障害は、82歳の患者の場合、治療後1週間で有意に改善した(表4)。
【表1】

1=全くなし、2=軽度、3=中度、4=重度、5=極めて重度
【表2】

1=全くなし、2=軽度、3=中度、4=重度、5=極めて重度
【表3】

1=全くなし、2=軽度、3=中度、4=重度、5=極めて重度
【表4】

1=全くなし、2=軽度、3=中度、4=重度、5=極めて重度
【0123】
実施例8−慢性脳虚血のラットモデルにおけるQEGJ処置誘発改善。
ラット慢性脳虚血モデル及び処置の治療プロトコル。我々の事前研究は、前脳における慢性的と持続的な脳虚血が、ヒトの神経変性疾患及び他の認知能力の主な原因の1つである可能性を示唆した。慢性脳虚血におけるOEGJの有益な使用性を探求するために、頭痛並びに学習及び記憶の障害を有するヒトの慢性脳虚血に似る、永久的な両側総頸動脈閉塞(2VO)によって前脳、海馬及び脳の他の葉に慢性虚血のあるラットモデルを使用した。
【0124】
体重250〜300gのオスのSprague−Dawley(SD)ラットが使用された。研究は、National Regulations of Experimental Animal Administrationに従って実施され、全ての動物実験は、張江高科技園区の実験動物管理委員会によって承認された。慢性2VO(n=11)の場合、左及び右両方の総頸動脈は、麻酔下で頸部正中切開によって露出され、次いで、6−0ナイロン縫合糸によって結紮され、マイクロ剪刀によって切断された。傷はその後縫合糸を用いて閉じられた。手術を受けたが、2VOのないラット(n=5)は、偽の手術対照として用いられた。麻酔から回復後、実験動物は、食べ物及び水の自由な摂取が許可された。
【0125】
OEGJ処置群のラット(n=5)は、4週間、OEGJ懸濁液(480mg/kg/日、水中)が毎日胃内に投与された。ベヒクル処置群の動物(n=6)には、毎日同量の水が投与された。ラットは、処置4週間後に分析された。
【0126】
脳血流のドップラー超音波評価。総脳血流量は、PLT−1202Sリニアアレイトランスデューサを装備する東芝製Aplio XG超音波を使用して、実験動物の頭蓋外の基底動脈を測定することによって評価された。永久的な2VOの後、ラットの脳への血液供給は、通常、脳への全血液量の約40%を供給する、両側共通の椎動脈‐基底動脈に優位に依存する。我々の結果は、偽の手術を受けたラットの基底動脈の血流量は約12.4±3.5ml/分であったが、ベヒクル処置の対照では、2VOに対する補償機構に起因して16.04±6.4ml/分に到達し、これは、脳への正常な全血液量の52%に及ぶことを示した。興味深いことに、OEGJ処置動物における基底動脈の血流量は、26.8±12.80ml/分まで増加し、これは、正常レベルの脳血流量全体のほぼ86%である(図14)。
【0127】
慢性虚血脳における新生血管形成及び神経再生の測定。ラットが脳血流の測定後に犠牲にされた後、OEGJ処置ラットの脳の質量は、ベヒクル処置の対照ラットの脳よりも8.3〜11.2%重いことが発見された(P<0.01)。パラフィン薄片(5μm)が各スライドから切断され、H&E染色で染色された。薄片上の血管密度は、高倍率視野(HPF)(40x)の下で光顕微鏡を使用して前頭葉の皮質内及び海馬領域周辺の血管の数を計測することによって、判定された。それぞれ30μmの間隔でパラフィン包埋組織から切断された6つの片(5μm)が分析された。各片の前頭葉又は海馬内の6つの無作為で重複していないHPFが、盲検様式で2人の研究者によって検査された。
【0128】
OEGJ処置ラットにおいて、平均毛細血管密度は、前頭葉の皮質の領域において63.3±21.1/HPF(図15)及び海馬の領域周辺で53.6±15.2/HPFであることが発見された。これに対して、ベヒクル処置ラットにおいて、血管数は、前頭葉の皮質の領域において約47.7±11.8/HPF(図15)及び海馬の領域周辺で39.5±12.3/HPFであった。要約すると、OEGJ処置は、虚血脳において、ベヒクル処置の血管よりも約25〜35%多い新しい血管の成長をもたらす(P<0.005)。
【0129】
慢性虚血脳のOEGJ誘発神経再生を可視化するために、免疫組織化学が使用された。結果は、ベヒクル処置ラットの海馬領域の顆粒神経細胞層において、Ki67陽性染色された顆粒神経細胞をほぼ全く示さなかった(図16)。これに対して、顆粒神経細胞の多数のKi67陽性染色された顆粒核が、OEGJ処置ラットの海馬領域の顆粒神経細胞層に観察され、OEGJ処置が神経再生を誘発したことを示す。さらに、ベヒクル処置ラットの前頭葉の皮質領域において、Ki67陽性染色された神経細胞様細胞はほとんど観察されなかった。しかしながら、神経細胞様細胞の多数のKi67陽性染色された核は、OEGJ処置ラットの前頭葉の皮質に検出され、OEGJが皮質の神経再生を誘発したことを示す(図16)。
【0130】
結論として、永久的な2VOによってラットに誘発された慢性脳虚血は、進行性脳虚血及び脳に持続的障害をもたらし、これは、ヒトの慢性脳虚血の病理学的進展を模倣するために使用することができる。本発明の組成物は、側副血管形成を通して虚血脳への血液供給を回復することができ、したがって、慢性脳虚血の有益な治療を提供することができる。
【0131】
実施例9−右頸動脈ラットモデルの部分結紮によって誘発された慢性脳虚血におけるOEGJの治療効果
体重250〜300gのオスのSprague−Dawley(SD)ラットが使用された。研究は、National Regulations of Experimental Animal Administrationに従って実施され、全ての動物実験は、張江高科技園区の実験動物管理委員会によって承認された。慢性軽度脳虚血を生じさせるために、右総頸動脈は、麻酔下で、頸部正中切開によって露出され、次いで、動脈は、6−0ナイロン縫合糸によって部分的に結紮(60%)され、マイクロ剪刀によって切断された。傷はその後縫合糸を用いて閉じられた。手術を受けたが、結紮のないラット(n=6)は、偽の手術対照として用いられた。麻酔から回復後、実験動物は、食べ物及び水への自由なアクセスが許可された。
【0132】
OEGJ処置群のラット(n=6)は、4週間、OEGJ懸濁液(480mg/kg/日、水中)が毎日胃内に投与された。ベヒクル処置群の動物(n=6)には、毎日同量の水が投与された。ラットは、処置4週間後に分析された。右頸動脈の部分的結紮(60%)後、ベヒクル処置ラットの平均血圧は、約140mmHgに上昇し、脳血流量合計はほぼ37ml/分であった。OEGJ(480mg/kg)処置の1ヵ月後、OEGJ処置動物の平均血圧は、約13%減少し、正常血圧レベル(121mmHg)に類似し、脳血液量合計は、有意に増加(50〜60ml/分)して、虚血脳への十分な血液供給を維持した。対照的に、ベヒクル処置動物において、脳血流は、約35〜40ml/分未満で、血圧は、約130〜150mmHgで高いままであった。要約すると、OEGJ処置は、可能性として、軽度の慢性虚血脳において新しい側副血管の成長を促進することによって、慢性脳虚血を是正することができる。
【0133】
実施例10−慢性脳虚血患者におけるOEGJの有効な治療
インビトロでの血管内皮細胞の毛細血管様管構造へのOEGJ誘発分化(図1)及び動物モデルにおける虚血脳への血液供給の回復(図14、15)からの結果に基づいて、OEGJの治療効果は、慈悲治療に基づいて同意を得て慢性脳虚血患者において臨床条件で試験された。
【0134】
カナダ人の男性患者(66歳)は、検査時までに何年間も軽度の脳虚血があった。この患者は、特に水泳中又は頭を後にそらした時に、重度の頭痛、衰弱及びめまいに頻繁に悩まされてきた。症状は、酸素療法によって緩和することができた。次いで、3週間、OEGJ(3g/毎日、経口投与)を用いて治療された。何年間も苦しんできた慢性脳虚血の全ての症状が完全に消失したことが発見された。頭痛、めまい、及び衰弱等の脳虚血の症状は、処置後3年間、再発していない。OEGJ処置を受けて以来、酸素療法を必要としなくなっている。
【0135】
別のマレーシア人の女性患者は、何年間も慢性脳虚血があり、疾病の症状は短時間で重度に発症した。頭痛、めまい、衰弱の症状を何年間も訴え、記憶喪失、判断力の低下、注意散漫、運動協調性の低下に苦しんでいた。何年にもわたる病院内の治療後、状態は急速に悪化し、失神、会話困難又は言葉不明瞭、幻聴及び幻覚、並びに人格変化の症状が発現した。最初は2週間OEGJ(2g/毎日)を用いて治療され、目覚しい改善、特に、会話、頭痛、及びめまいにおける改善が観察された。もう4週間、治療を継続し、会話困難、失神、幻聴及び幻覚、運動協調性低下、並びに頭痛の症状の発現を含む、ほとんどの症状が有意に改善された。身体的には、良好な身体の安定性及び平衡性を保ちながら、早歩きすることができる。この患者は完全に正常に見える。
【0136】
実施例11−パーキンソン病の治療におけるOEGJの効果
血管内皮細胞の分化を向上させる際のOEGJのかなり期待できる結果(図1)に基づいて、脳血液かん流(図3、6、14)及びネオ血管新生(図4、8、11、15)の、インビトロでの間充織幹細胞の神経分化(図2)及び脳卒中、AD、及び慢性脳虚血における神経再生(図5、9、12、16)を誘発する際、OEGJは、慈悲治療に基づいて、PD患者において試験された。我々の予備臨床試験は、家族の全面的理解及び書面による同意を得て2人の男性PD患者で実行された。
【0137】
香港出身の56歳の男性は、治療の3年前にPDと診断された。早期段階にあり、手足の震え、筋肉硬直、身体運動速度の低下、姿勢の不安定さ、さらにはいくつかの身体運動の喪失等の運動障害があった。治療前、この患者の症状は、認知障害及びわずかな言語障害を発症していた。震えを軽減するが、短時間しか作用しない、L‐ドーパ、ドーパ脱炭酸酵素阻害剤を何年間か服用してきた。薬の効果が切れると、彼の全身(特に腹部)の筋肉は非常に硬直状態になるので、直立することができず、背中を曲げざるをえない。また、筋肉痛、腹痛、運動開始の困難、歩行中に突然止まることを訴えた。時には、彼は1時間に1.5メートルを歩くことができなかった。重度の便秘及び胃不全麻痺があった。しかしながら、OEGJ治療後、運動を開始するのが難しい原因となる彼の、通常処方される薬の服用が遅れた場合であっても、正常に動きまわることができる。また、OEGJを服用後は、空腹感を覚え、睡眠を催した。また、患者の便秘及び胃不全も改善され、毎日又は2日毎に排便した。また、パニック発作及び短期記憶喪失、及び公共の場所へ行くことに困難性を訴え、これは、パーキンソン認知症と呼ばれる状態であり、疾病の後期にあることを示していた。OEGJ(2g/日)で治療した2週間後、移動の際に安心感及び自信を感じるようになった。
【0138】
北京の別の78歳の患者は、20年間以上PDと診断され、30年間以腕に震えがあった。56歳の患者と同様な症状及び治療を経験したが、より重度であった。OEGJ治療の服用後、筋肉の痛みは実質的に緩和され、腹痛はもう起こらなくなった。OEGJ治療(経口投与、2g/日)の1週間後、両方の患者は、筋肉の硬直及び胃不全麻痺まひを含む、症状の有意の改善を報告した。治療が消化管の機能を回復したので、食べ物がより迅速に消化され、食欲が回復した。また、治療は、便秘及び腹痛も緩和し、認知能力が徐々に回復した。56歳の患者の言語能力も有意に改善した。
【0139】
特定の実施形態が例示され記載されてきたが、以下の請求項に定義されるように、その広範な態様における技術から逸脱することなく、当業者に従って変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【0140】
本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。当業者には明らかであるように、多数の変更及び変形は、その精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本開示の範囲内で機能的に同等な方法及び装置は、本明細書に列挙されるものに加えて、前述の記載から当業者には明らかであろう。そのような変更及び変形は、添付の請求項の範囲内に収まることが意図される。本開示は、添付の請求項の条項、並びに、そのような請求項の権利が与えられる同等物の全範囲によってのみ限定される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物系に限定されず、いうまでもなく変えることができることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記述する目的のためであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0141】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の条件において記載される場合、当業者は、したがって、本開示もまたマーカッシュ群の任意の個別のメンバー又はメンバーのサブグループの条件において記載されることを認識するだろう。
【0142】
当業者によって理解されるように、任意かつ全ての目的のために、特に書面の記載を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲は、任意かつ全ての可能な部分的範囲及びその部分的範囲の組み合わせを網羅する。いずれの列挙される範囲も、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分等に分けられる同じ範囲に分けられることを十分に説明し、可能であるとして容易に認識することができる。非制限的例として、本明細書に検討される各範囲は、小さい3分の1、中間の3分の1、大きい3分の1等に容易に分けることができる。当業者によってこれも理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「超える」、「未満」等の全ての言語は、記載の数字を含み、上記に検討されるような詳細範囲にその後分割することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲はそれぞれ個別のメンバーを含む。このため、例えば、1〜3単位を有する群は、1、2、又は3単位を有する群を指す。同様に、1〜5単位を有する群は、1、2、3、4、又は5単位を有するグループを指す、等となる。
【0143】
本明細書において多様な態様及び実施形態が開示されてきたが、当業者には他の態様及び実施形態が明らかであろう。本明細書に開示される多様な態様及び実施形態は、説明の目的のためであって、限定を意図せず、真の範囲及び精神は添付の請求項によって提示される。

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【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類対象の変性神経疾患又は状態を予防又は治療するための方法であって、それを必要としている対象に、ダイコンソウの有機抽出物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記変性神経疾患又は状態が、虚血性脳卒中、アルツハイマー病、血管性認知症、軽度認知機能障害(MCI)、慢性脳虚血、及びパーキンソン病から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与が、ダイコンソウの前記抽出物が投与されなかった対照に比較して、虚血性脳卒中を有する対象において脳血液かん流又は神経再生を向上させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ダイコンソウの前記抽出物は、虚血脳の血管新生を誘発し、それによって血液かん流を向上させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ダイコンソウの前記抽出物が、1日につき対象の体重1キログラムあたり、約0.001mg〜約10gの範囲の量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ダイコンソウの前記抽出物が、薬学的に許容される担体を含む服用量単位形態で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ダイコンソウの前記抽出物が、神経再生を刺激する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ダイコンソウの前記抽出物が、ダイコンソウの前記抽出物が投与されなかった対照に比較して、脳虚血梗塞領域の大きさを減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ダイコンソウの前記抽出物が、経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ダイコンソウの前記抽出物が、皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注入によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記抽出物が、ダイコンソウの低級アルキルアルコール抽出物である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記低級アルキルアルコールが、1〜6個の炭素原子を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記低級アルキルアルコールが、エタノールである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ダイコンソウの有機抽出物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含む、哺乳類対象において変性神経疾患又は状態を治療するための薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−529487(P2012−529487A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514552(P2012−514552)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001418
【国際公開番号】WO2010/143063
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511300536)ジェネレックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】