説明

腎機能低下リスクの評価方法

【課題】腎機能低下リスクの評価方法及び装置の提供
【解決手段】糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価するための、尿中のアンジオテンシノーゲン濃度の測定方法、及び糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価するための、尿中のアンジオテンシノーゲン濃度の測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎機能低下リスクの評価方法及び装置に関する。
【0002】
末期腎不全へと進行してゆく慢性腎疾患(CKD)は、国際的にも重要な健康上の問題である。さらに最近、CKDが独立した心血管系の危険因子であることも明らかとなっている。CKD患者において、レニン−アンジオテンシン系の主要な生理活性因子であるアンジオテンシンIIが、慢性進行性に腎機能低下が進んで末期腎不全に至る原因の病態である腎線維化の進行に重要な役割をはたしていることが、知られている。アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)やアンジオテンシンIIレセプターブロッカー(ARB)のようなアンジオテンシンII抑制薬は、降圧効果に加えて、腎臓保護を有することが示されている。
【0003】
アンジオテンシンIIは、まずレニンの作用によってアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIが形成され、次いでアンジオテンシン変換酵素によってアンジオテンシンIIが生じる。循環血中には肝臓由来のアンジオテンシノーゲンが豊富に存在し、レニンによって血中アンジオテンシンII量は制御されている。しかし、近年、アンジオテンシンIIの臓器特異的産生が、腎臓や心臓といったいくつかの臓器において認められ、それが様々な病態に関与していることが明らかとなってきた。このアンジオテンシンIIの臓器特異的な局所産生は、循環血中のアンジオテンシンII量には関連しないと考えられている。腎臓におけるアンジオテンシンIIの腎組織内および腎間質液中の濃度は、血中濃度から考えられる量に比べてはるかに高いことが示されている。そして、最近のいくつかの研究は、腎内アンジオテンシンIIの多くが腎臓内で局所的に発現したアンジオテンシノーゲンに由来することを明らかにしている。また、高血圧やCKD患者の腎臓ではアンジオテンシノーゲン、レニン、アンジオテンシン変換酵素といったレニンーアンジオテンシン系因子の発現亢進が示されている。
【0004】
腎内のレニン−アンジオテンシン系の活性、特に腎内アンジオテンシンIIの増加が、慢性腎不全の進行原因である腎線維化の進行度に関連することが、ラット及びヒトにおける慢性進行性腎疾患において明らかにされている。以前に尿中アンジオテンシンII量が腎内アンジオテンシンII活性のマーカーとして提案されたが、その後の研究では、尿中アンジオテンシンII量が腎内アンジオテンシンII活性を十分に反映することは支持されていない。現在のところは、患者において直接に腎内アンジオテンシンII活性を測定することが困難であることから、依然として腎内アンジオテンシンII活性を評価する臨床的指標は、何ら提供されていない。
【0005】
アンジオテンシノーゲンはレニンの唯一の基質であり、ヒト及びラットのアンジオテンシノーゲンのレベルはレニンのKm値に近いことが知られている。したがって、基質であるアンジオテンシノーゲン、また、酵素であるレニンのいずれかの変化がレニン−アンジオテンシン系の活性に影響すると考えられる。いくつかのインビトロでの研究は、肝細胞、心筋細胞及び近位尿細管細胞におけるアンジオテンシノーゲン発現が、アンジオテンシンIIによって誘導されることを明らかにしている。最近、Koboriらは、アンジオテンシンIIの持続投与で惹起した高血圧ラットにおいて、尿中アンジオテンシノーゲン量が腎内のアンジオテンシノーゲン及びアンジオテンシンII量と相関することを報告している。また、全身的にヒトレニンを、そして腎臓においてヒトアンジオテンシノーゲンを発現する二重トランスジェニックマウスでは、進行性高血圧が生じることが示された。
【0006】
本発明者らは、すでに尿中アンジオテンシノーゲン量が腎内アンジオテンシンII活性のマーカーとして用いることができることを示した(特願2005−107326)。この目的のために、CKD患者において尿中アンジオテンシノーゲンを測定したところ、尿中アンジオテンシノーゲン量は、腎内アンジオテンシンII活性の亢進に起因した腎線維化によって生ずる腎機能低下の程度に相関して増加していることが見出された。
【0007】
しかし、尿中アンジオテンシノーゲン量が、CKD患者において、将来の腎機能低下の進行のリスクの指標になるか否か、は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、腎機能低下リスクの評価方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、予想外にも、尿中アンジオテンシノーゲン値が腎機能低下の進行(糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性)に有意に関与する独立した因子であることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
したがって、本発明は、下記:
糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価するための、尿中のアンジオテンシノーゲン濃度の測定方法、
糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価するための、尿中のアンジオテンシノーゲン濃度の測定装置、
尿中のアンジオテンシノーゲン濃度を測定し、得られた尿中のアンジオテンシノーゲン濃度から、糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価することを特徴とする、腎機能低下リスクの評価方法、
尿中のアンジオテンシノーゲン濃度を測定する手段、得られた尿中のアンジオテンシノーゲン濃度から、糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価する手段を含む、腎機能低下リスクの評価装置、
に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
尿中のアンジオテンシノーゲン濃度は、たとえば、サンプル中のアンジオテンシノーゲンを過量のヒトレニンによってアンジオテンシンIに変え、そのアンジオテンシンIをラジオイムノアッセイによって定量し、尿中クレアチニン(Cre)1g当たりのアンジオテンシンI当量として算出することができる。
【0012】
アンジオテンシンIの定量方法は、従来公知の方法、たとえば、生物化学実験法30、蛋白質分解酵素Iに記載の酵素免疫測定法にしたがって行うことができる(鶴大典ら編、学会出版センター、1993年)。また、ヒトレニンは、たとえば、Suzukiらの方法に従って調製することができる(Suzuki F et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 267, 577-580, 2000)。より具体的には、ヒトプロレニンcDNAを含むpSVD発現ベクターをリン酸カルシウム法にてCHO/dhfr−細胞に導入してヒトプロレニンを産生させ、得られたプロレニンを5μg/mLのトリプシンで25℃、10分間インキュベーションし、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリドで反応を停止し、プロレニンをレニンに変換することができる。
【実施例1】
【0013】
患者及びサンプリング
ACEIやARBを服用していない80人のCKD患者を対象にした。患者の年齢は、18〜94歳(平均52歳)であり、46%が女性であった。推定糸球体濾過率(eGFR)は、5〜111mL/min(平均54mL/min)であった。eGFRは、体表面積補正したGFRを成人ではよく反映するとの評価を得ている、Cockcroft-Gaultの式を用いて算出した(Cockcroft DW et al, Prediction of creatinine clearance from serum creatinine. Nephron. 1976;16:31-41)。背景となる腎臓病は、IgA腎症(n=17)、糖尿病性腎症(n=14)、ループス腎炎(n=8)、膜性腎症(n=4)、微小変化群(n=3)、腎硬化症(n=3)、紫斑病性腎炎(n=3)、非IgA腎症(n=3)、慢性間質性腎炎(n=3)、膜性増殖性糸球体腎炎(n=2)、巣状分節性糸球体硬化症(n=1)及び腎生検データの無い慢性腎不全(n=19)であった。
【0014】
予備研究において、尿中アンジオテンシノーゲンのレベルは、室温で一晩保存した尿サンプル中でほぼ半分に減少することが分かった。また、循環血中のレニン−アンジオテンシン系因子のレベルは、姿勢の変換によって影響されることも知られていた。そこで、入院中のCKD患者の早朝床上安静で採血した血液サンプル、及び起床後に採取した新鮮な尿サンプルを用い、血漿及び尿中のレニン−アンジオテンシン系因子のレベルを測定した。血漿レニン活性、血漿及び尿中アンジオテンシノーゲン、アンジオテンシンII及びアルドステロンを測定するために、血液及び新鮮尿サンプルを4mMのEDTAを含むチューブに入れ、遠心して血漿、尿上清を分離した後、測定時まで−70℃で保存した。尿中IV型コラーゲン及び24時間尿蛋白レベルは定法によって測定した。尿中アンジオテンシノーゲン、アンジオテンシンII、アルドステロン及びIV型コラーゲンレベルは、尿中クレアチニン1g(gCre)当たりの値として算出した。観察開始時における血中や尿中のレニン−アンジオテンシン系因子及び腎機能との相関、ならびに、それらと平均12ヶ月、最大36ヶ月間の観察期間におけるeGFR低下又は血液透析の必要性との関連性を解析した。28人の患者においては、ロサルタン25mg/日の投与14日後にも血漿及び尿サンプルを採取した。なお、観察開始時において数人の患者ではすでにeGFRが低値であったことから、本研究においては25mg/日という低用量のロサルタン投与の効果について検討した。なお、試験プロトコールは浜松医科大学の倫理委員会の承認を得ている。
【0015】
アンジオテンシノーゲンの測定
125mM EDTA、1mMカプトプリル及び50mMフェニルメチルスルホニルフルオリド含有0.2M PBSで200倍に希釈した血漿サンプル、及び10倍に希釈した尿サンプルを150pMリコンビナントヒトレニンと一緒に37℃で18時間インキュベーションした。リコンビナントヒトレニンは、プロレニンの活性化を25℃で10分間の5μg/mLトリプシンで行い、そしてトリプシンの作用を1mMフェニルメチルスルホニルフルオリドで停止したことを除き、Suzukiらの方法にしたがって調製した(Suzuki F et al., The dominant role of the prosegment of prorenin in determining the rate of activation by acid or trypsin; studies with molecular chimeras. Biochem Biophys Res Commun. 2000;267:577-80)。この反応混合物を30mgフロリジル(Sigma-Aldrich Japan)と混合し、10分間インキュベーションし、遠心し、超純水で2回洗浄し、そして0.5N HClを含むアセトンで溶出した。次に、アンジオテンシンIのレベルをラジオイムノアッセイによって測定した。アンジオテンシノーゲンレベルは、レニン処理サンプル中のアンジオテンシンI値から未処理サンプル中のアンジオテンシンI値を引くことによってアンジオテンシンI当量(AI Eq)として表した。予備実験において、これらのサンプルにおけるアンジオテンシンIの生成量は、37℃で150pMヒトレニンでの18時間インキュベーション後にプラトーに達することを確認している。ゼロ値と識別されて測定可能な最小値として定義される標準曲線の感度は、23pmol AI Eq/Lであった。実験内及び実験間のアンジオテンシノーゲンの測定値の変動係数は、血漿サンプルで9.5%及び13.2%、尿サンプルで11.6%及び13.7%であった。
【0016】
統計学的解析
相関分析及び重回帰分析を行い、各パラメーターの相関を評価した。重回帰分析においては多重共線性の影響を少なくするために、平均残差平方和が最小になるように独立変数の選択において配慮した。尿中のアンジオテンシノーゲン、アンジオテンシンII、アルドステロン、IV型コラーゲン及び蛋白量の分布は正規分布ではないことから、これらのデータは、常用対数変換後に解析した。観察期間におけるeGFR低下又は血液透析導入の必要性のリスクの解析は、カプラン−マイヤー法とログランク検定(log-rank test)、ならびに、そのリスクのハザード比と95%信頼区間をコックス比例ハザード回帰分析によって解析した。ロサルタン投与前後のパラメーター変化は、それらの測定値の分布にしたがって対応のあるt検定又はウイルコクソン符号付順位検定によって検討した。0.05未満のP値を統計学的に有意とした。統計学的解析をStatViewソフトウェア(マッキントッシュ用バージョン5.0)を用いて行った。
【0017】
CKD患者での尿アンジオテンシノーゲンに関連する因子
ACEIやARBを服用していないCKD患者80例における観察開始時の尿中アンジオテンシノーゲンと、eGFR、血中及び尿中のレニンーアンジオテンシン系因子、尿蛋白、尿中IV型コラーゲン、収縮期および拡張期血圧との相関係数を表1に示した。
【0018】
【表1】

【0019】
尿中アンジオテンシノーゲン、アンジオテンシンII、アルドステロン、IV型コラーゲン及び蛋白のレベルは対数変換した値を解析に用いた。表中の略語は下記のとおりである。eGFR:推定糸球体濾過率、Col IV:IV型コラーゲン、AII:アンジオテンシンII、Ald:アルドステロン、Ao:アンジオテンシノーゲン。
【0020】
表1に示すように、尿中アンジオテンシノーゲンはeGFRとは負に相関し(r=−0.74、図1)、そして尿中IV型コラーゲン(r=0.78)、尿蛋白(r=0.60)、収縮期血圧(r=0.54)、尿中アンジオテンシンII(r=0.44)及び拡張期血圧(r=0.34)とは正に相関した。血漿レニン活性、血漿アンジオテンシノーゲン(図1)、血漿アンジオテンシンII、血漿アルドステロン及び尿中アルトステロンと、尿中アンジオテンシノーゲンとの相関はみられなかった。さらに重回帰分析によって、尿中アンジオテンシノーゲン量は、eGFRが低く(P<0.0001)、尿蛋白(P<0.0001)や尿中IV型コラーゲン(P=0.002)が多い患者で増加していることが明らかとなった(表2)。
【0021】
【表2】

【0022】
表2の重回帰式の調整した寄与率:R=0.753、P<0.0001。対数変換した値を尿中アンジオテンシノーゲン、蛋白、IV型コラーゲン及びアンジオテンシンII値の解析に適用した。略語の意味は、表1と同様である。
【0023】
腎機能の悪化に関係する因子
コックス比例ハザード回帰分析によって解析したCKD患者80例での観察期間における腎機能低下(eGFR低下あるいは血液透析導入の必要性)のリスクのハザード比と95%信頼区間を表3に示す。
【0024】
【表3】

【0025】
表3のハザード比は、eGFRについては10mL/minの増加に対する、尿中アンジオテンシノーゲン、尿中IV型コラーゲン、尿蛋白、尿中アンジオテンシンIIについては各々の対数値で1の増加に対する、血圧については10mmHgの増加に対するハザード比である。補正ハザード比は示した他の因子すべてで補正したものである。未補正の解析では、観察開始時のeGFR、尿中アンジオテンシノーゲン、尿中IV型コラーゲン、尿蛋白、収縮期血圧が腎機能低下に有意な関連を有する因子となるが、各因子で補正した後の解析では、尿中アンジオテンシノーゲンのみが、eGFR、尿中IV型コラーゲン、尿蛋白、尿中アンジオテンシンII、及び収縮期血圧及び拡張期血圧の調整後においても、ハザード比3.20[95%信頼区間;1.18−8.70]、P=0.023で腎機能低下に関連する有意な独立した因子であることが明らかとなった。表3中の略語の意味は、表1と同様である。
【0026】
観察開始時の尿中アンジオテンシノーゲンレベルによって2群に分けられた患者群間におけるeGFR低下がないあるいは血液透析への導入がなされていない割合の推移をカプラン・マイヤー法によって検討したところ、そのような腎機能低下が起こらない割合は、観察開始時の尿中アンジオテンシノーゲンレベルが1.0nmol AI Eq/g Cre未満の患者は、尿中アンジオテンシノーゲンレベルが1.0nmol AI Eq/g Cre以上の患者よりも有意に高値であった(P=0.009、図2)。
【0027】
上記の結果から、観察開始時の尿中アンジオテンシノーゲンは、
CKD患者のなかでも、腎疾患の活動性が強くて腎内アンジオテンシンII活性が亢進しており、その結果、腎線維化が進むためにeGFRが低下し、尿蛋白と尿中IV型コラーゲンの排泄が多い患者ほど増加しており、かつ、この亢進した腎内のアンジオテンシンIIは腎臓局所でアンジオテンシノーゲンの発現誘導を引き起こして腎内レニンーアンジオテンシン系のさらなる活性化を促すという悪循環によって、腎機能の進行性の低下をもたらすものと考えられる。
【0028】
ロサルタン投与の効果
ロサルタン25mg/日を投与14日後、尿中アンジオテンシノーゲン(P=0.001)、尿蛋白(P<0.0001)、尿中IV型コラーゲン(P=0.018)、血漿アンジオテンシノーゲン(P=0.014)、及び収縮期血圧(P=0.009)が有意に減少したが、血漿レニン活性(P=0.001)及び血漿アンジオテンシンII(P=0.010)は増加した(表4)。尿中アンジオテンシンII、尿中及び血漿アルドステロン、eGFR及び拡張期血圧に有意な変化は認められなかった。
【0029】
【表4】

【0030】
アンジオテンシノーゲンレベルは、レニン処理したサンプル中のアンジオテンシンIレベルから未処理サンプル中のアンジオテンシンIレベルを引くことによってアンジオテンシンI当量(AI Eq)として表した。尿中アンジオテンシノーゲン、アンジオテンシンII、アルドステロン及びIV型コラーゲンレベルは、尿中クレアチニン1g(gCre)当たりの濃度で示した。略語の意味は、表1と同様である。
【0031】
上記の結果より、CKD患者において、
(1)尿中アンジオテンシノーゲンは、血中のレニンーアンジオテンシン系活性とは無関係に、eGFRが低い患者ほど、また、尿蛋白と尿中IV型コラーゲンの排泄量が多い患者ほど高い、
(2)尿中アンジオテンシノーゲンは、腎機能低下の進行リスクにその対数値の1増加あたり補正ハザード比;3.20 [95%信頼区間;1.18 − 8.70]で関連する因子であり、尿アンジオテンシノーゲンレベルの増加に関連してeGFRの低下又は血液透析の必要性のリスクが増大する、
(3)ロサルタンの投与によって、血漿レニン活性及び血漿アンジオテンシンIIレベルが上昇するにもかかわらず、尿アンジオテンシノーゲンレベルは、減少する、
ことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
尿アンジオテンシノーゲンのレベルは、CKD患者において進行性の腎機能低下のリスクを評価し、リスクを有する患者を事前に同定するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】尿中アンジオテンシノーゲンとeGFR(A)、及び尿中アンジオテンシノーゲンと血漿アンジオテンシノーゲン(B)の散布図である。 図中の略語は下記のとおりである。Ao:アンジオテンシノーゲン、eGFR:推定糸球体濾過率、AI Eq:アンジオテンシンI当量、gCre:1gの尿クレアチニン、r:相関係数
【図2】観察対照群における腎不全事象(eGFR低下又は血液透析の必要性)のカプラン・マイヤー生存曲線である。x軸は、時間(月)であり、y軸は、イベントフリー生存率である。患者を観察開始時の尿中アンジオテンシノーゲンレベルにしたがって2つの群に分けた。第1群は、尿中アンジオテンシノーゲンレベルが1.0nmol AI Eq/g Cre未満であり、第2群は、尿中アンジオテンシノーゲンレベルが1.0nmol AI Eq/g Cre以上である。 図中の略語は下記のとおりである。eGFR:推定糸球体濾過率、Ao:アンジオテンシノーゲン、AI Eq:アンジオテンシンI当量、gCre:1gの尿クレアチニン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価するための、尿中のアンジオテンシノーゲン濃度の測定方法。
【請求項2】
糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価するための、尿中のアンジオテンシノーゲン濃度の測定装置。
【請求項3】
尿中のアンジオテンシノーゲン濃度を測定し、得られた尿中のアンジオテンシノーゲン濃度から、糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価することを特徴とする、腎機能低下リスクの評価方法。
【請求項4】
尿中のアンジオテンシノーゲン濃度を測定する手段、得られた尿中のアンジオテンシノーゲン濃度から、糸球体濾過率の低下及び/又は血液透析の必要性のリスクを評価する手段を含む、腎機能低下リスクの評価装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−327921(P2007−327921A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161433(P2006−161433)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月10日 インターネットアドレス「https://endai.umin.ac.jp/cgi−open−bin/hanyou/lookup/detail.cgi?parm=a00018−00025&cond=%27A00018−00025−20197%27&&」に発表
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マッキントッシュ
【出願人】(802000020)財団法人浜松科学技術研究振興会 (63)
【Fターム(参考)】