説明

腐食監視装置

【課題】水系の腐食傾向を迅速かつ精度良く定量的に監視することができる腐食監視装置において、腐食が全面腐食によるものか、局部腐食によるものかを目視的に判断し、前記腐食監視装置のデータが妥当か否かを判断できる腐食監視装置を提供する。
【解決手段】カラム1は、カラム軸心方向を上下方向として設置され、下側のエンド部材2の管継手11から試験流体が導入される。この試験流体は、径方向貫通孔10、貫通孔7を介してカラム1内に流入し、極細金属ワイヤ4と接触した後、上側のエンド部材の貫通孔7、径方向貫通孔10及び管継手11を介してカラム1外に流出する。この監視装置において、カラム1に肉眼観察できる覗き部位1bを設け、カラム1内の微細金属ワイヤの腐食状況を観察することによって全面腐食か、局部腐食かを判断することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラの復水系や、冷却水系、工場で使用される有機溶媒等の液相系、或いは気相系といった流体系のプロセス配管等の腐食状況を監視するための装置に係り、詳しくは、電気抵抗法を利用して流体系の腐食傾向を監視するようにした腐食監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
I. ボイラからの蒸気を冷却器に導入して凝縮させ、この凝縮水をテストピースと接触させてテストピースを腐食させ、この腐食状況に基づいてボイラの復水系の腐食状況を監視する装置として、特開平8−28803号に記載のものがある。
【0003】
同号では、冷却器として水冷式冷却器を用い、またテストピースとして板状片を用いている。この板状のテストピースは、透明なカラム内に配置され、その腐食状況をカラム外から肉眼で観察する。
【0004】
また、腐食による重量の減量度を測定することによっても腐食状況を監視することができる。
II. 腐食の被試験材料と同材質の線状体を腐食性流体中に配置し、この線状体の電気抵抗を測定して腐食をモニタすることが特開平5−118204号に記載されている。
【特許文献1】特開平8−28803号
【特許文献2】特開平5−118204号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
i)テストピースとして板状片を用い、その腐食状況を肉眼観察する場合、肉眼で観察し得る程の腐食が生じるまで日数がかかり、迅速な腐食状況監視を行うことができない。また、観察者の個人差もあり、精度のよい定量的な腐食データを取得しにくい。
【0006】
また、テストピース重量減量分から腐食速度を算出しようとする場合も、テストピースそのものの重量に対してテストピース重量減量分が腐食速度を正確に算出するに足る量の腐食が生じるまで1週間程度を要する。特に試験水が小流量、高純度である場合にこの傾向が大きい。
【0007】
ii)線状体を試験水と接触させてその電気抵抗変化を検出する場合、試験水が線状体全体に略々均等に接触するようにすることが必要である。仮に、試験水が線状体の一部に強く接触すると、局部的にエロージョンが進行してしまい、腐食測定データの精度が低下する。
【0008】
上記の従来技術の課題を解決するために、先に本出願人は以下の特許出願を行なった(特願2006-311817)
カラムの内部に腐食試験材が設置され、該カラム内に試験流体が流通される腐食監視装置において、該腐食試験材として極細金属ワイヤを備えると共に、該極細金属ワイヤの電気抵抗を測定する手段を備えており、該カラムの一端部に、該極細金属ワイヤの一端側を支持すると共に、前記試験流体を該極細金属ワイヤと非接触状態にてカラム内に導入する導入部を輸したエンド部材が設けられていることを特徴とする腐食監視装置。
【0009】
この発明により、従来の課題が大幅に解決されたが、腐食が局部腐食(孔食)の場合、算出された腐食速度が実際の腐食速度よりも大きくなって妥当性を欠くという新たな課題が見つかった。
【0010】
この場合、孔食が起きたかどうかは微細金属ワイヤの腐食状況を観察すれば、判断可能であるが、上記の先の出願では、例えばガラス管などに微細金属ワイヤを配設したものであるので、目視しにくく、ワイヤを取り出して顕微鏡などで調べる必要があった。
【0011】
本発明は、上記のあらたな課題に鑑み、冷却水系やボイラ復水系等の水系やその他の液相系、或いは気相系といった流体系の腐食傾向を迅速かつ精度良く定量的に監視することができる腐食監視装置であって、かつ微細金属ワイヤを目視することができる覗き部位を設けることにより、腐食形態が全面腐食か、局部腐食かを判断することができる腐食監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(請求項1)の腐食監視装置は、カラムの内部に腐食試験材が設置され、該カラム内に試験流体が流通される腐食監視装置において、該腐食試験材として極細金属ワイヤを備えると共に、該極細金属ワイヤの電気抵抗を測定する手段を備えており、該カラムの一端部に、該極細金属ワイヤの一端側を支持すると共に、前記試験流体を該極細金属ワイヤと非接触状態にてカラム内に導入する導入部を有したエンド部材が設けられており、かつカラムに、前記金属ワイヤの少なくとも一部が拡大して見える覗き部位を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の腐食監視装置は、請求項1において、前記エンド部材が、前記極細金属ワイヤが挿通されると共に前記試験流体が流通される孔を有しており、前記極細ワイヤは、該孔内に配置される部位及びカラム内における該エンド部材直近部位が被覆材で被覆されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の腐食監視装置は、請求項1において、前記エンド部材が、前記極細金属ワイヤが挿通された極細金属ワイヤ支持孔と、カラム内に試験流通を導入するための試験流体流通孔とが別個に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4の腐食監視装置は、請求項1において、前記覗き部位には、拡大レンズが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の腐食監視装置によれば、試験流体を極細金属ワイヤと接触させ、極細金属ワイヤの電気抵抗を測定し、電気抵抗の変化から極細金属ワイヤの腐食状況を検知する。そのため、定量的なデータを個人差なく短時間に得ることができる。また、極細金属ワイヤは板状片に比べて微小な重量変化量を捉えることができるので、腐食傾向の変化を迅速に検知することができる。
【0017】
また、試験流体が極細金属ワイヤと直に接触しないようにエンド部材を介してカラム内に試験流体を導入するので、試験流体が極細金属ワイヤに局部的に強く当ることがなく、極細金属ワイヤの局部的なエロージョンを防止し、精度の高い腐食速度データを得ることができ、正確な腐食状況の判定をすることができる。
【0018】
加えて、微細金属ワイヤの少なくとも一部が拡大して目視できる覗き部位を設けてあるので、試験中でも、ワイヤの性状変化が目視できる上に、全面腐食か局部腐食かを直ちに感得することができ、得られたデータが妥当なものかどうかを判断できる。
【0019】
請求項2の腐食監視装置によれば、極細金属ワイヤの端部のエロージョンが被覆材によって防止される。
【0020】
請求項3の腐食監視装置によれば、試験流体が極細金属ワイヤと全く接触することなくカラム内に導入されるので、極細金属ワイヤの端部のエロージョンが防止される。
【0021】
請求項4の腐食監視装置によれば、極細金属ワイヤを収納するカラムに、前記極細金属ワイヤの少なくとも一部が覗き部位を通して外部から目視でき、しかも前記覗き部位には、拡大レンズが設けられているので、別途拡大鏡などを用意する必要がなく、容易に全面腐食か局部腐食かを判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は本発明の腐食監視装置の
断面図、第2図は第1図の一部の拡大図である。
【0023】
細長い円筒形のカラム1の両端にエンド部材2がユニオンナット3によって固定されている。カラム1内に金属よりなる極細金属ワイヤ4が挿通され、この極細金属ワイヤ4の両端がそれぞれエンド部材2によって保持されている。なお、カラム1の両端外周部は鍔状に拡径しており、環状の係止用パッキン5が該鍔状拡径部とユニオンナット3との間に介在されている。
【0024】
エンド部材2は、略円柱形であり、先端側の外周に設けられた雄ネジ2a(第2図)に対し前記ユニオンナット3が締め込まれている。エンド部材2の先端面とカラム1の端面との間にはOリング6が介在されている。
【0025】
エンド部材2の軸心位置には、カラム1の内孔1aと同軸に貫通孔7が設けられている。
【0026】
エンド部材2の後端側には、該貫通孔7と同軸の雄ネジ穴7aが設けられ、オシネと通称されるロックボルト8が螺着されている。このロックボルト8の軸心を貫通する細孔8
aに極細金属ワイヤ4が挿通され、該極細金属ワイヤ4の端部が外部に引き出されている。
【0027】
第2図に明瞭に示される通り、極細金属ワイヤ4のうちエンド部材2の貫通孔7及びロックボトル8の細孔8aに挿通される部分とその直近部分にあっては、極細金属ワイヤ4の外周面に被覆材9による被覆が施されている。被覆材としては試験流体が極細金属ワイヤに直接接触するのを防止できるものであれば特に限定されず、例えば、フッ素樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
【0028】
なお、エンド部材が導電体の場合は、被覆材は絶縁体である必要がある。この場合にはフッ素樹脂等の絶縁性合成樹脂を用いることが好ましい。
【0029】
貫通孔7の内径は、この被覆材9の被覆厚を含めた極細金属ワイヤ4の全体の直径よりも大であり、極細金属ワイヤ4の外周面と貫通孔7の内周面との間に試験流体が流通可能となっている。
【0030】
エンド部材2には、貫通孔7と直角に交わるように径方向貫通孔10が設けられている。エンド部材2の外周面には、径方向貫通孔10との同軸に雌ネジ穴10aが設けられ、管継手11が螺着されている。
【0031】
このカラム1は、カラム1内に気泡が溜まらないようにするために、好ましくはカラム軸心方向を上下方向として設置され、下側のエンド部材2の管継手11から試験流体が導入される。この試験流体は、径方向貫通孔10、貫通孔7を介してカラム1内に流入し、極細金属ワイヤ4と接触した後、上側のエンド部材の貫通孔7、径方向貫通孔10及び管継手11を介してカラム1外に排出する。
【0032】
極細金属ワイヤ4は腐食監視対象である部材と同種の素材のものを用いる。例えば、鉄製(炭素鋼など)の配管を腐食監視対象とする場合には鉄ワイヤを用いる。同様に銅製の熱交換チューブ管を腐食監視対象とする場合には銅ワイヤを用いる。
【0033】
鉄ワイヤとしては直径が0.02〜1.0mm特に0.02〜0.2mmであり、長さが1〜100cmのものが好ましい。
【0034】
銅ワイヤとしては直径が0.01〜0.1mm特に0.01〜0.05mmであり、長さが1〜100cmのものが好ましい。
【0035】
直径が大きくなると電気抵抗が著しく低くなり計測感度が非常に下がるので直径が小さい方が好ましい。
【0036】
カラム1には、微細金属ワイヤの少なくとも一部が外部より肉眼観察可能なように、覗き部位が設けられている。この覗き部位は、カラム材料の一面を平坦化処理し、そこに、ワイヤが拡大して観察できるように拡大レンズを張付けるか、平坦化処理の替わりに、カラム1中心線にそって、半円形に抉り出して凹面を設けたものである。
【0037】
図1では、カラム1の上部だけに覗き部位が設けてあるが、カラム1の中心線と並行に上から下まで連続的、または断続的に設けてもよい。
【0038】
本発明の腐食監視装置においては、微細金属ワイヤと試験流体との接触は均一になるように工夫されているため、任意の場所の微細金属ワイヤが目視できる位置に覗き部位を設けることができる。
【0039】
以下、冷却水を試験流体(以下試験水と呼ぶ)とした場合の第1、2図に示す腐食監視装置の操作について説明する。
【0040】
冷却水の一部を系から分枝してカラム1に通水しながら極細金属ワイヤ4の両端間の電気抵抗をテスター等で検出し、電気抵抗から極細金属ワイヤ4の腐食速度を算出する。極細金属ワイヤ4の腐食が進行するほど、テスターの検出電気抵抗が増加するので、この電気抵抗から極細金属ワイヤ4の腐食速度を定量的にかつ迅速に算出することができる。また、テスターの電気抵抗データは送信したり、A/D変換してコンピュータ等に記憶させることが容易である。
【0041】
この極細金属ワイヤ4は、断面積が小さいので腐食による断面積の減少による電気抵抗
の変化量が大きい。また腐食による重量変化が微小であっても、変化量の全重量に対する割合が大きい。従って復水の水系の腐食傾向を迅速に判定することができる。
【0042】
このとき、カラム1に設けた覗き部位から微細金属ワイヤの腐食状況を目視観察し、全面的に腐食が進んでいるようであれば全面腐食と判断し、局部的しか腐食していないときには局部腐食と判断する。
【0043】
局部腐食の場合には、先の腐食速度は系の実態を表していない可能性が大なので、試験を中止する。
【0044】
全面腐食の時には先の腐食速度は正しい姿を表していると考えられるので、その結果に応じて、水系の処理を行なうことができる。
【0045】
すなわち、この極細金属ワイヤ4の電気抵抗から検出される腐食速度は略定常状態であるが、水質が変動して腐食傾向になると腐食速度がそれまでの値から逸脱して高くなる、このときに水系が腐食傾向になったものと判定し、冷却水系などの水系に何らかの防食手段を施す。例えば、冷却水系への防食剤添加量を増加させる。なお腐食速度は温度、pH,DO等の影響を受け若干変動するので、1日程度連続試験した結果の平均を取ることが望ましい。
【0046】
極細金属ワイヤの長さは1〜100cmが好ましい。1cm未満では所望の計測感度が発現せず、また100cmを超えると計測器への固定の作業が困難となる。
【0047】
一般に0.1Ω以下の電気抵抗を精度良く測定することは難しいので、極細金属ワイヤは電気抵抗が0.1Ωより大きくなるようにワイヤ径とワイヤ長さを調整するのが好ましい。さらに電気抵抗の経時変化をより正確に捉えるために電気抵抗値が1Ωより大きくなるようにワイヤ径とワイヤ長さを調整することで、電気抵抗の経時変化をより正確に測定することができる。
【0048】
電気抵抗から極細金属ワイヤの腐食速度を以下のようにして求めることができる。まず測定する期間の開始時と終了時の電気抵抗に相当するワイヤ重量を次の(1)〜(3)式からそれぞれ算出し、次にワイヤ重量の減量分(腐食量に相当)を経過時間で除することで腐食速度に換算できる。
【0049】
R=ρ・L/S ・・・(1)
M=S・L・m ・・・(2)
(1)、(2)式より、
M=ρ・L2・m/R ・・・(3)
なお、R:電気抵抗(Ω)、ρ:比抵抗(Ω・m)、L:ワイヤ長さ(m)、S:ワイヤ断面積(m2)、m:ワイヤ素材の密度(kg/m3)、M:ワイヤ重量(kg)である。
【0050】
この実施の形態では、径方向貫通孔10から貫通孔7に水が導入されるが、極細金属ワイヤ4のうち貫通孔7内及び下側エンド部材2の直近部位に位置する部分には、被覆材9による被覆が施されており、試験水が極細金属ワイヤ4に直接には接触しない。そのため、極細金属ワイヤ4のうちこの貫通孔7及びその直近の部位に局部的なエロージョンを生じることはない。試験水は、極細金属ワイヤ4のうちカラム1の両端部を除いた部分においてのみ該極細金属ワイヤ4と接触する。このカラム1の両端部から離れた部位では、試験水は一様な上昇流を形成しており、試験水が極細金属ワイヤ4に均等に接触するので、腐食は極細金属ワイヤ4の全体で一様に進行する。このため、この実施の形態によると精度の高い腐食試験データを得ることが可能である。
【0051】
上記実施の形態では、径方向貫通孔11を貫通孔7と交わらせているが、第3図の実施の形態のように、貫通孔7と別個の通水孔13を設け、管継手12からの試験水を該通水孔13のみを介してカラム1内に導入するようにしてもよい。第3図のその他の構成は第2図と同一であり、同一記号は同一部分を示している。
【0052】
なお、この通水孔13は、エンド部材2の側周面から求心方向に延在し、そこから直角に曲がり、エンド部材2の軸心方向と平行方向に延在してエンド部材2の先端面に達するようにL字形に設けられている。
【0053】
ただし、通水孔13はこれに限定されるものではなく、直線状に延在するものや、く字形に延在するものであってもよい。
【0054】
上記の腐食監視装置の好適な条件等について次に説明する。
【0055】
カラム1は、内部に通す極細金属ワイヤが目視観察できるよう、透明素材であることが好ましい。
【0056】
対象となる試験水の温度が20〜80℃(とりわけ40〜60℃)に調整されるように設定するのが好ましい。30℃以上であれば腐食速度が十分に速く、迅速に腐食状況を検知することができるので好ましい。同様の理由で40℃以上であればさらに好ましい。また80℃を超えると機器の材質が限られてくる(耐熱性である必要がある)ので好ましくない。また60℃を超える温度では機器が高温になるため作業員の作業における安全性確保の観点から好ましくない。
【0057】
カラム1の材質としては、ガラスが好ましい。カラムの内径は好ましくは0.5〜50mm、より好ましくは1〜5mmである。
【0058】
カラム内の流速は、20〜100mL/cm2・min、とりわけ40〜80mL/cm2・minが好ましい。
【0059】
以下に実施例を掲げて、本発明を更に説明する。
【実施例】
【0060】
以下の水質を有する模擬冷却水を用いて、第1、2図の腐食監視装置による腐食監視試験を行なった。この試験水に腐食防止剤として、リン酸ナトリウムを60mg-PO4/l添加した。
【0061】
pH 8.5、電気伝導率 65mS/m、Mアルカリ度 120mg-CaCO3/l、カルシウム硬度 120mg-CaCO3/l、マグネシウム硬度 60mg-CaCO3/l、塩化物イオン 85mg-Cl/l、硫酸イオン 60mg-SO4/l、シリカ 40mg-SiO2/l、平均水温 20℃、溶存酸素 8.5mg/l。
【0062】
第1、2図に示す腐食監視装置において、極細金属ワイヤ4として直径0.1mm、長さ400mmの純度99.5重量%の鉄製ワイヤ(比抵抗値1.0×10−7[Ω・m])を用いた。
【0063】
カラム1としては、内径3mm、外径12mm、長さ320mmのガラス管を用いた。
カラム1の微細金属ワイヤが見える面を6mmの幅で長さ方向に250mmにわたって平坦透明に削り、そこに別途作成した透明プラスチック製の凹面を有する拡大レンズをはめ込んだ。
【0064】
極細金属ワイヤ4の両端にはポリテトラフルオロエチレンの被覆を施した。この被覆が施されておらず、カラム1内において水に露出している部分の極細金属ワイヤ長さは310mmである。
【0065】
この試験水を前記腐食監視装置のカラム1内に流速70ml/cm2/minとして供給した。
【0066】
この条件で電気抵抗の測定を12時間行ない、12時間後の測定結果に基づく腐食速度を計算すると、その値は320mddとなった。
【0067】
しかし、この腐食監視装置の覗き部位から微細金属ワイヤの状態を観察すると、ワイヤ表面にいくつもの孔食が肉眼で観察された。従って、この場合、前記の高い腐食速度は妥当な値を示していないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態に係る腐食監視装置の断面図である。
【図2】図1の一部の拡大図である。
【図3】別の実施の形態に係る腐食監視装置の一部の拡大図である。
【符号の説明】
【0069】
1 カラム
1a 覗き部位
2 エンド部材
3 ユニオンナット
4 極細金属ワイヤ
7 貫通孔
9 被覆材
10 径方向貫通孔
13 通水孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラムの内部に腐食試験材が設置され、該カラム内に試験流体が流通される腐食監視装置において、
該腐食試験材として極細金属ワイヤを備えると共に、該極細金属ワイヤの電気抵抗を測定する手段を備えており、
該カラムの一端部に、該極細金属ワイヤの一端側を支持すると共に、前記試験流体を該極細金属ワイヤと非接触状態にてカラム内に導入する導入部を有したエンド部材が設けられており、かつ該カラムに、前記金属ワイヤの少なくとも一部が拡大して見える覗き部位を設けたことを特徴とする腐食監視装置。
【請求項2】
請求項1において、前記エンド部材は、前記極細金属ワイヤが挿通されると共に前記試験流体が流通される孔を有しており、
前記極細ワイヤは、該孔内に配置される部位及びカラム内における該エンド部材直近部位が被覆材で被覆されていることを特徴とする腐食監視装置。
【請求項3】
請求項1において、前記エンド部材は、前記極細金属ワイヤが挿通された極細金属ワイヤ支持孔と、カラム内に試験流通を導入するための試験流体流通孔とが別個に設けられていることを特徴とする腐食監視装置。
【請求項4】
請求項1において、前記覗き部位は、拡大レンズが設けられていることを特徴とする腐食監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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