説明

腫瘍増殖および転移を調節するための方法

【課題】腫瘍の増殖または転移を調節するための方法および薬学的組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の方法は、より大きな全体的効力(例えば、相乗作用を達成するかまたは拮抗作用を避ける)などの利点を提供し、そして望ましい場合、使用される1種以上の個々の薬剤の量を減少させ、副作用を同時に減少させ得る。さらに、処置される腫瘍は、所与の抗癌剤に対して最適に応答性ではない場合、本発明の併用療法の使用は、それにもかかわらず、効果的な処置を提供し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2000年12月22日に出願され、「Methods For Modulating Tumor Growth and Metastasis」と題された、米国仮出願第60/258,195号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、腫瘍学および改善された化学療法レジメンの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
本明細書中で言及される各文献および公開された特許文書の開示は、その全体が、本明細書中において参考として援用される。
【0004】
癌発生の間の細胞形質転換は、細胞増殖調節の正常なパターンにおける複数の変更に関わる。発癌のプロセスにおける最初の事象は、いくつかの方法(例えば、増幅、変異、染色体再編成)による癌遺伝子の活性化、ならびに多くの場合、抗癌遺伝子機能の除去を含む。大部分の悪性腫瘍および処置不可能な腫瘍において、細胞増殖に対する正常な拘束は完全に失われる。なぜなら、形質転換された細胞が、それらの原発性部位から逃れ、そして身体の他の部位に転移するからである。いくつかの腫瘍の増強した増殖および浸潤性の特性についての1つの理由は、蓄積的効果を有する、癌遺伝子における変異の数の増加の獲得であり得る(Bearら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7495−7499,(1989))。
【0005】
あるいは、生物の成長および細胞機能に必要とされる正常な細胞シグナル伝達経路を介して癌遺伝子が機能する範囲において(McCormick、Nature 363:15−16,1993)において概説される)、たとえ、シグナル伝達経路の変異のみでは癌を引き起こさないかもしれないとしても、癌遺伝子シグナル伝達経路におけるさらなる変化は、悪性腫瘍に寄与し得る(Gilksら、Mol.Cell Biol.13:1759−1768,(1993))。
【0006】
いくつかの異なるクラスのタンパク質が、形質転換に関係する細胞分裂特性および形態学における異なる型の変化をもたらすことに関与することが公知である。これらの変化は、以下のように要約され得る:最初に、連続的な細胞周期の促進(不朽化);第2に、増殖阻害性シグナルおよび細胞アポトーシスシグナルに対する応答の喪失;および第3に、浸潤性特性を増強する細胞の形態学的再構築。
【0007】
Natinal Cancer Instituteは、米国のみにおいて、3人のうち1人が、寿命の間に、癌に襲われると推定している。さらに、癌にかかった約50%〜60%の人々が、最終的に、その病気で亡くなる。この疾患の広範な発症は、悪性疾患の処置のための改善された抗癌レジメンについての必要性を強調する。
【0008】
現在観測される幅広い種々の癌に起因して、身体内の癌を破壊するために多くの抗ガン剤が開発されている。これらの化合物は、正常な健常な細胞を乱さないままにしながら、悪性細胞を破壊するかまたは悪性細胞の増殖を阻害する目的で癌患者に投与される。抗癌剤は、作用の機構に基づいて分類される。1つの型の化学療法剤は、金属配位錯体と呼ばれる。この型の化学療法剤は、主に、細胞の核内において鎖間DNA架橋を形成し、それによって、細胞複製を妨げると考えられている。結果として、腫瘍増殖は、最初に抑制され、次いで、逆転される。別の型の化学療法剤は、アルキル化剤と呼ばれる。これらの化合物は、分裂する癌細胞のDNA中に外因性の組成物または分子を挿入することによって機能する。これらの外因性部分の結果として、癌細胞の正常な機能が破壊され、増殖が妨げられる。別の型の化学療法剤は、抗新生物剤である。この型の薬剤は、癌細胞の増殖および拡散を妨げるか、死滅させるか、または遮断する。なお他の型の抗癌剤としては、非ステロイド性アロマスターゼ(aromastase)インヒビター、二官能性アルキル化剤などが挙げられる。
【0009】
不運なことに、有害な副作用が、これらの薬剤の各々に付随する。例えば、フルオロウラシル(抗新生物剤として一般的に使用される)は、正常な皮膚の膨張または赤色化、黒色またはタール状の便、尿中の血液、胸痛、錯乱、下痢、息切れ、および嗜眠状態を引き起こす。フルオロウラシルの投与はまた、発熱、悪寒、咳、咽喉炎、腰痛、口のただれ、悪心、嘔吐、疼痛および/または排尿困難に関係している。タキサン投与は、少し挙げると、失神、拍動異常、高血圧および静脈血栓症のような心臓血管事象;骨髄抑制;好中球減少症;貧血;末梢神経障害、関節痛/筋肉痛;悪心/嘔吐および脱毛症に関係している。
【0010】
コンブレタスタチン(combretastatin)は、別のクラスの抗癌剤である。コンブレタスタチンは、アフリカの木のコンブレタムカフラン(combretum caffrum)(Combretaceae)の幹から単離されており、ミクロチューブリンアセンブリの強力なインヒビターである。コンブレタスタチンA−4(CA−4)は、US National Cancer Institute(NCI)のマウスL1210およびP338リンパ性白血病細胞株に対して有意に活性である。さらに、CA−4は、チューブリンに結合するコルヒチンの強力なインヒビターとして、Combretum caffrumから単離された別の化合物である、コンブレタスタチンA−1(CA−1)と競合することが見出された。CA−4はまた、特定の細胞株の増殖を強力に遅らせ(ED50<0.01(g/ml))、強力な抗有糸分裂剤である。米国特許第4,996,237号を参照のこと。さらに、CA−4とCA−1との両方についての作用の「抗脈管」機構が最近発見されている。コンブレタスタチンの可溶性が非常に限定されるので、可溶性を増大させるために、従って、CA−4およびCA−1の効力を増加させるために、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩およびコンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩(本明細書中、以後、それぞれ、「CA4P」および「CA1P」)のようなプロドラッグが開発されている。特に、コンブレタスタチンA−4二ナトリウム塩またはコンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩の投与が、腫瘍脈管系への血流の広範囲な閉鎖を引き起こし、二次的な腫瘍細胞死を導くことを、多くの研究が示している。CA−4の毒性の副作用もまた報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、患者への暴露およびこのような薬剤に関連する望ましくない副作用を最小化する優れた効果的な抗癌治療を提供する必要性が、当該分野に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、薬剤の組み合わせを使用する、腫瘍の増殖または転移を調節するための効果的な治療方法を提供する。本発明の方法は、より大きな全体的効力(例えば、相乗作用を達成するかまたは拮抗作用を避ける)などの利点を提供し、そして望ましい場合、使用される1種以上の個々の薬剤の量を減少させ、副作用を同時に減少させ得る。さらに、処置される腫瘍は、所与の抗癌剤に対して最適に応答性ではない場合、本発明の併用療法の使用は、それにもかかわらず、効果的な処置を提供し得る。したがって、本発明は、以下を提供する。
腫瘍の増殖または転移を調節する必要のある動物において、腫瘍の増殖または転移を調節する方法であって、有効量の少なくとも1つの抗癌剤およびコンブレタスタチンA−4化合物を連続投与または同時投与する工程を包含する、方法。
腫瘍の増殖または転移を調節する必要のある動物において、腫瘍の増殖または転移を調節する方法であって、有効量のコンブレタスタチンA−4化合物および少なくとも1つの抗癌剤を投与する工程を包含し、ここで、該コンブレタスタチンA−4化合物は、時間依存性有効腫瘍濃度の該抗癌剤を提供するように、該腫瘍への血流を調節するのに十分な該抗癌剤の投与と関連した時間に投与される、方法。
前記少なくとも1つの抗癌剤が、アルキル化剤、二官能性アルキル化剤、非ステロイドアロマターゼインヒビター、免疫療法剤、ニトロソ尿素化合物、代謝拮抗物質、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂インヒビター、放射線、トポイソメラーゼIインヒビター、および抗エストロゲンからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
前記少なくとも1つの抗癌剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、放射線、CPT−11、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、エポチロン、ゲムシタビン、UFT、ハーセプチン、シトキサン、ダカルバキシン、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、アナストロゾールおよびエキセムスタン、カルムスチン、ロムスチン、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、トポテカン、ルプロン、メガス、ロイコボリン、イレッサ、フラボピリドール、免疫療法剤、ZD6474、SU6668、ならびにバルスポダールからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
前記抗癌剤が、「ピーク腫瘍濃度剤」であり、前記コンブレタスタチンA4化合物と同時に投与されるかまたは近い時間に投与される、項目2に記載の方法。
前記ピーク腫瘍濃度剤が、シトキサン、マイトマイシンC、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチンからなる群より選択される、項目5に記載の方法。
前記抗癌剤が、持続性曝露剤であり、前記コンブレタスタチンA4化合物の投与後に投与される、項目2に記載の方法。
前記持続性曝露剤が、タキサン、エトポシド、リン酸エトポシド、イムノトキシン、およびエポチロンからなる群より選択される、項目7に記載の方法。
前記抗癌剤が、AUC剤であり、該AUC剤が、前記コンブレタスタチンA4化合物の投与前に投与される、項目2に記載の方法。
10 前記AUC剤が、アドリアマイシン、CTP−11、およびトポテカンからなる群より選択される、項目9に記載の方法。
11 前記コンブレタスタチンA4化合物が、コンブレタスタチンA−4二ナトリウム塩であり、前記ピーク腫瘍濃度剤がシスプラチンである、項目6に記載の方法。
12 前記コンブレタスタチンA4化合物が、コンブレタスタチンA−4二ナトリウム塩であり、前記ピーク腫瘍濃度剤がカルボプラチンである、項目6に記載の方法。
13 前記コンブレタスタチンA4化合物が、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩であり、前記AUC剤がCPT−11である、項目10に記載の方法。
14 前記コンブレタスタチンA4化合物が、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩であり、前記持続性曝露剤がパクリタキセルである、項目8に記載の方法。
15 前記コンブレタスタチンA4二ナトリウム塩が、パクリタキセルの少なくとも3時間前に投与される、項目14に記載の方法。
16 腫瘍の増殖または転移を調節する必要のある動物において、腫瘍の増殖または転移を調節する方法であって、有効量の少なくとも1つの抗癌剤およびコンブレタスタチンA−1化合物を連続投与または同時投与する工程を包含する、方法。
17 腫瘍の増殖または転移を調節する必要のある動物において、腫瘍の増殖または転移を調節する方法であって、有効量のコンブレタスタチンA−1化合物および少なくとも1つの抗癌剤を投与する工程を包含し、ここで、該コンブレタスタチンA−1化合物は、時間依存性有効腫瘍濃度の該抗癌剤を提供するように、該腫瘍への血流を調節するのに十分な該抗癌剤の投与と関連した時間に投与される、方法。
18 前記少なくとも1つの抗癌剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、放射線、CPT−11、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、エポチロン、ゲムシタビン、UFT、ハーセプチン、シトキサン、ダカルバキシン、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、アナストロゾールおよびエキセムスタン、カルムスチン、ロムスチン、メトトレキセート、マイトマイシンC、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、トポテカン、ルプロン、メガス、ロイコボリン、イレッサ、フラボピリドール、免疫療法剤、ZD6474、SU6668、ならびにバルスポダールからなる群より選択される、項目16に記載の方法。
19 前記コンブレタスタチンA−1化合物が、コンブレタスタチンA−1二ナトリウム塩であり、前記抗癌剤がカルボプラチンである、項目17に記載の方法。
20 前記コンブレタスタチンA−1化合物が、コンブレタスタチンA−1二ナトリウム塩であり、前記抗癌剤がシスプラチンである、項目17に記載の方法。
21 前記コンブレタスタチンA−1化合物が、コンブレタスタチンA−1二ナトリウム塩であり、前記免疫療法剤が、BR96−sfv−PE40である、項目17に記載の方法。
22腫瘍の増殖または転移を調節する必要のある動物において、腫瘍の増殖または転移を調節するための薬学的組成物であって、薬学的に受容可能なキャリア中に、有効量の少なくとも1つの抗癌剤およびコンブレタスタチンA−4化合物を含有する、薬学的組成物。
23 前記少なくとも1つの抗癌剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、放射線、CPT−11、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、エポチロン、ゲムシタビン、UFT、ハーセプチン、シトキサン、ダカルバキシン、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、アナストロゾールおよびエキセムスタン、カルムスチン、ロムスチン、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン、マイトマイシンC、フルダラビン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、トポテカン、ルプロン、メガス、ロイコボリン、イレッサ、フラボピリドール、免疫療法剤、ZD6474、SU6668、ならびにバルスポダールからなる群より選択される、項目22に記載の薬学的組成物。
24 前記コンブレタスタチンA−4化合物がコンブレタスタチンA−4二ナトリウム塩である、項目23に記載の薬学的組成物。
25 前記少なくとも1つの抗癌剤が、シトキサン、マイトマイシンC、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチンからなる群より選択される、項目23に記載の薬学的組成物。
26 前記少なくとも1つの抗癌剤が、シトキサン、マイトマイシンC、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチンからなる群より選択される、項目24に記載の薬学的組成物。
27 前記少なくとも1つの抗癌剤が、タキサン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、リン酸エトポシド、およびエポチロンからなる群より選択される、項目23に記載の薬学的組成物。
28 前記少なくとも1つの抗癌剤が、タキサン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、リン酸エトポシド、およびエポチロンからなる群より選択される、項目24に記載の薬学的組成物。
29 前記少なくとも1つの抗癌剤が、アドリアマイシン、CTP−11、およびトポテカンからなる群より選択される、項目23に記載の薬学的組成物。
30 前記少なくとも1つの抗癌剤が、アドリアマイシン、CTP−11、およびトポテカンからなる群より選択される、項目24に記載の薬学的組成物。
31 前記抗癌剤が、シスプラチンである、項目23に記載の薬学的組成物。
32 前記抗癌剤が、シスプラチンである、項目24に記載の薬学的組成物。
33 前記抗癌剤が、カルボプラチンである、項目23に記載の薬学的組成物。
34 前記抗癌剤が、カルボプラチンである、項目24に記載の薬学的組成物。
35 前記抗癌剤が、CPT−11である、項目23に記載の薬学的組成物。
36 前記抗癌剤が、CPT−11である、項目24に記載の薬学的組成物。
37 前記抗癌剤が、パクリタキセルである、項目23に記載の薬学的組成物。
38 前記抗癌剤が、パクリタキセルである、項目24に記載の薬学的組成物。
39 前記免疫療法剤が、BR96−sfv−PE40である、項目23に記載の薬学的組成物。
40 前記免疫療法剤が、BR96−sfv−PE40である、項目24に記載の薬学的組成物。
41 腫瘍の増殖または転移を調節する必要のある動物において、腫瘍の増殖または転移を調節するための薬学的組成物であって、薬学的に受容可能なキャリア中に、有効量の少なくとも1つの抗癌剤およびコンブレタスタチンA−1化合物を含有する、薬学的組成物。
42 前記少なくとも1つの抗癌剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、放射線、CPT−11、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、エポチロン、ゲムシタビン、UFT、ハーセプチン、シトキサン、タキサン、ダカルバキシン、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、アナストロゾールおよびエキセムスタン、カルムスチン、ロムスチン、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、トポテカン、ルプロン、メガス、ロイコボリン、イレッサ、マイトマイシンC、フラボピリドール、ZD6474、SU6668、免疫療法剤、ならびにバルスポダールからなる群より選択される、項目41に記載の薬学的組成物。
43 前記コンブレタスタチンA−1化合物がコンブレタスタチンA−1二ナトリウム塩である、項目42に記載の薬学的組成物。
44 前記少なくとも1つの抗癌剤が、シトキサン、マイトマイシンC、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチンからなる群より選択される、項目42に記載の薬学的組成物。
45 前記少なくとも1つの抗癌剤が、シトキサン、マイトマイシンC、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチンからなる群より選択される、項目43に記載の薬学的組成物。
46 前記少なくとも1つの抗癌剤が、タキサン、エトポシド、リン酸エトポシド、およびエポチロンからなる群より選択される、項目42に記載の薬学的組成物。
47 前記少なくとも1つの抗癌剤が、タキサン、エトポシド、リン酸エトポシド、およびエポチロンからなる群より選択される、項目43に記載の薬学的組成物。
48 前記少なくとも1つの抗癌剤が、アドリアマイシン、CTP−11、およびトポテカンからなる群より選択される、項目42に記載の薬学的組成物。
49 前記少なくとも1つの抗癌剤が、アドリアマイシン、CTP−11、およびトポテカンからなる群より選択される、項目43に記載の薬学的組成物。
50 前記抗癌剤が、シスプラチンである、項目42に記載の薬学的組成物。
51 前記抗癌剤が、シスプラチンである、項目43に記載の薬学的組成物。
52 前記抗癌剤が、カルボプラチンである、項目42に記載の薬学的組成物。
53 前記抗癌剤が、カルボプラチンである、項目43に記載の薬学的組成物。
54 前記抗癌剤が、CPT−11である、項目42に記載の薬学的組成物。
55 前記抗癌剤が、CPT−11である、項目43に記載の薬学的組成物。
56 前記抗癌剤が、パクリタキセルである、項目42に記載の薬学的組成物。
57 前記抗癌剤が、パクリタキセルである、項目43に記載の薬学的組成物。
58 前記抗癌剤が、BR96−sfv−PE40である、項目42に記載の薬学的組成物。
59 前記抗癌剤が、BR96−sfv−PE40である、項目43に記載の薬学的組成物。
【0013】
特に、本発明は、腫瘍の増殖または転移を調節する必要がある動物(特に、ヒト)において、腫瘍の増殖または転移を調節するための方法を提供し、この方法は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物および少なくとも1種の他の抗癌剤の、その有効量での連続的投与または同時投与を含む。好ましいこのような薬剤は、さらに以下に記載される。本発明の方法は、上記利点を提供し得る。
【0014】
さらに、本発明は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物および他の抗癌剤を投与する特定の順序が、インビボで、組み合わせの全体的な効力を増強し得ることを見出した。抗脈管剤としてのコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物は、腫瘍組織に対する血流を調節する。時間依存性有効腫瘍濃度の他の抗癌剤を提供するために、腫瘍への血流を調節するためのコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与の時間を調節することによって、組み合わせの全体的な効力が増強される。
【0015】
任意の作用の分子理論によって束縛されることを望まないが、特定の抗癌剤は、比較的高い腫瘍濃度で最も効果的であるが、腫瘍組織から迅速に取り除かれる。このような薬剤に対して、本発明は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物および他の抗癌剤の同時投与が、組み合わせの効果を増強することを見出した。同時投与は、他の抗癌剤が腫瘍組織においてピーク濃度まで迅速に蓄積することを可能にしながら、なお、腫瘍組織を取り除く脈管系がコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物によって破壊されるので、この薬剤を「捕捉」することを
可能にする。このような薬剤は、本明細書中において、「ピーク腫瘍濃度薬剤」と呼ばれる。従って、ピーク腫瘍濃度薬剤は、好ましくは、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物と同時に、または密接に時間的に近接して投与される。
【0016】
例えば、他の薬剤は、高い濃度で存在する必要はないが、全細胞周期の比較的短い期間の間、効果的である。このような薬剤がタンパク質に結合し、腫瘍組織と接触したままである場合に経時にわたって不活性になり得るので、従って、これらは、薬剤の連続的供給が腫瘍に達する条件下で最も効率的である。これらの場合における併用療法の効力の増強は、抗癌剤およびコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物を、連続的に、他の薬剤の前に、1つの薬剤の作用を可能にするのに十分な投与間の遅延とともに、投与することによって得られ得る。従って、このような抗癌剤が、最初に投与され、続いて、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与の前の遅延があり、抗癌剤は、化合物の作用を可能にする十分な持続期間にわたって、腫瘍組織に達し、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の引き続く投与が、腫瘍組織にさらに損傷を与える。
【0017】
コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物が最初に投与され、続いて、抗癌剤の投与の前に腫瘍への血流を再開させる遅延がある場合、腫瘍は、最初に、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物によって弱められ、続いて、抗癌剤により腫瘍にさらに損傷が与えられる。この後者の場合、抗癌剤の腫瘍濃度の持続時間は、ピーク濃度よりも有意である。コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の最初の投与による腫瘍脈管系への損傷は、必要とされる相対的に低い濃度の抗癌剤が、一旦血流が再開した場合に、腫瘍組織に達することを妨げない。このような薬剤は、本明細書中において、「持続時間暴露薬剤」と呼ばれる。従って、持続時間暴露薬剤およびコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物は、好ましくは、最初のコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与、続く抗癌剤の投与、あるいはその逆のいずれかで、連続的に投与される。但し、十分な遅延が、組み合わせを増強するために投与の間で可能にされる。コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与の後の抗癌剤の投与が、持続時間暴露薬剤について最も好ましい。
【0018】
本発明の方法のなおさらなる実施形態において、特定の薬剤は、より長い持続時間にわたって腫瘍組織において比較的高い濃度で存在する場合に最も効果的である(すなわち、濃度対時間のプロットの「曲線下面積(AUC)」を最大にする)。最初にこのような薬剤を投与し、続いて、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与の前の遅延があるので、抗癌剤の作用が可能になり、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の引き続く投与が、さらに腫瘍組織を弱める。このような薬剤について、最初の抗癌剤の投与は、腫瘍脈管系の早発な損傷を避け、そして十分な濃度の抗癌剤が腫瘍に到達することを可能にする。このような薬剤は、本明細書中において、「高AUC薬剤」と呼ばれる。従って、高AUC薬剤およびコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物は、好ましくは、連続的に投与され、高AUC薬剤の投与が、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与に先立つ。但し、十分な遅延は、組み合わせを増強するために投与間で可能にされる。
【0019】
従って、本発明は、さらなる実施形態として、腫瘍の増殖または転移の調節が必要な動物(特に、ヒト)において、腫瘍の増殖または転移を調節するための方法を提供し、この方法は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物および少なくとも1種の抗癌剤を、その有効量で投与することを包含し、ここで、このコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物は、この抗癌剤の時間依存性有効腫瘍濃度を提供するために、この腫瘍に対する血流を調節するのに十分な、抗癌剤の投与に対する時間で投与される。本発明の方法は、使用される組み合わせの全体的な効力の増強を可能にする。
【0020】
用語「時間依存性有効腫瘍濃度」は、本明細書中において使用される場合、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物および他の抗癌剤の組み合わせの作用を増強する、経時にわたる(すなわち、投与からこの薬剤が身体から取り除かれるまでの)腫瘍組織における他の抗癌剤の濃度を示す。従って、この組み合わせが他の点で拮抗性である場合、「増強」は、拮抗性の結果なしでの組み合わせの使用を示し得る。「増強」はまた、組み合わせの全体的な効力の予期しない改善(例えば、相乗作用)を達成することを示し得る。
【0021】
コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物および少なくとも1種の抗癌剤の同時投与が企図される場合、本発明はまた、少なくとも1種の抗癌剤およびコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物を含む薬学的組成物を提供する。例えば、1つの局面において、抗癌剤および/またはコンブレタスタチンA−4化合物もしくはコンブレタスタチンA−1化合物は、個々の薬剤について治療用量未満で存在し得、この薬剤は、組み合わせにおいて有効であり、そして効力を維持しながら減少した副作用を提供する。あるいは、各薬剤は、個々の薬剤について、Physician’s Desk Referenceに見出される用量のような、より高い用量で提供され得る。
【0022】
コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物および抗癌剤の同時投与または連続的投与が企図される場合、本発明は、さらに、薬学的キットを提供する。本発明の例示的なキットは、少なくとも1種の抗癌剤を含む第1薬学的組成物およびコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物を含む第2薬学的組成物を、パッケージ中に一緒に含む。抗癌剤および/またはコンブレタスタチンA−4化合物もしくはコンブレタスタチンA−1化合物は、例えば、個々の薬剤について治療用量未満で存在し得、この薬剤は、組み合わせにおいて有効であり、そして効力を維持しながら減少した副作用を提供する。あるいは、各薬剤は、この薬剤について、Physician’s Desk Referenceに見出される用量のような、より高い用量で提供され得る。
【0023】
以下の定義は、本発明の理解を容易にするために提供される。
【0024】
本明細書中において使用される場合、用語「コンブレタスタチンA−4化合物」は、コンブレタスタチンA−4、これらのプロドラッグ(好ましくは、リン酸塩プロドラッグ)およびこれらの誘導体、ならびにこれらの化合物の塩のうちの少なくとも1つを示す。このような化合物としては、コンブレタスタチンA−4、およびコンブレタスタチンA−4リン酸塩によって例示されるコンブレタスタチンA−4の種々のプロドラッグおよびこれらの塩(特に、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法における使用に企図される好ましいコンブレタスタチンA−4化合物は、WO00/48606;WO99/35150;米国特許第5,561,122号;米国特許第4,996,237号;米国仮出願番号60/232,568(John J,Venitによって、2000年9月14日に出願され、「Combretastatin A−4 phosphate Mono− and Di−Amino Acid Salt Prodrugs」と題され、この米国仮出願番号60/233,568は、式Iの化合物:
【0025】
【化1】

(ここで、ORおよびORのうちの一方が、−OQHであり、そして他方がヒドロキシルまたは−OQHであり、Qが、少なくとも2つの窒素原子を含むアミノ酸であり、ここで、これらの窒素原子のうち1つが、プロトンとともに、第4級アンモニウムカチオンQH+を形成し、好ましくは、ここで、ORおよびORのうちの一方が、ヒドロキシルであり、そして他方が−OQHであり、ここで、Qが、L−ヒスチジンである)を開示する);ならびに米国仮出願番号60/251,921(Mandar V.Daliらによって、2000年12月7日に出願され、「Combretastatin A−4 Phosphate Prodrug Mono− and Di−Organic Amine Salts」と題され、この米国仮出願番号60/251,921は、上記式Iに示される構造を有する化合物を開示し、ここで、ORおよびORのうちの一方が、−OQHであり、そして他方がヒドロキシルまたは−OQHであり;そしてQが、少なくとも1個の窒素原子を含む有機アミンであり、この窒素原子が、プロトンとともに、第4級アンモニウムカチオンQHを形成し、好ましくは、ここで、ORおよびORのうちの一方が、ヒドロキシルであり、そして他方が−OQHであり、Qが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「TRIS」)である。上に言及するように、これらの文書のそれぞれは、その全体が、本明細書中において参考として援用される。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語コンブレタスタチンA−1化合物は、少なくとも1つのコンブレタスタチンA−1、そのプロドラッグ(好ましくは、ホスフェートプロドラッグ)、および誘導体、ならびにこれらの化合物の塩を示す。コンブレタスタチンA−1は、米国特許第5,409,953号(Pettitら)に記載され、以下の一般構造を有する:
【0027】
【化2】

本明細書中で使用される場合、用語「調節する」、「調節すること(調節している)」、または「調節」とは、特定のプロセスが、生じる速度を変化させるか、特定のプロセスを阻害するか、特定のプロセスを逆転するか、および/または特定のプロセスの開始を妨げることをいう。従って、その特定のプロセスが、腫瘍増殖または腫瘍転移である場合、用語「調節」としては、腫瘍増殖および/または腫瘍転移が生じる速度を減少させるか;腫瘍増殖および/または腫瘍転移を阻害するか;腫瘍増殖および/または腫瘍転移を逆転する(腫瘍退縮および/または腫瘍根絶を含む)か、ならびに/あるいは腫瘍増殖および/または腫瘍転移を妨げることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語「抗癌剤」は、腫瘍増殖または腫瘍転移を調節し得る化合物または電磁放射腺(特に、X線)を示す。このような薬剤をコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物とともに使用することを言及する場合、この用語は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物以外の薬剤をいう。他に示されない限り、この用語は,1つ、または1つを超えるこのような薬剤を含み得る。従って、用語「抗癌剤」は、本発明の方法および組成物における1以上の化合物および/または電磁放射線の使用を包含する。1種類を超える抗癌剤が使用される場合、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与の相対的時間は、所望される場合、1種類または1種類を超える抗癌剤の時間依存性有効腫瘍濃度を提供するように選択され得る。
【0029】
上記に説明されるように、多くの型の抗癌剤は、本発明の組成物または方法における適用を有する抗癌剤の例示である。このようなクラスの抗癌剤、およびそれらの好ましい作用機構は、以下に示される。
【0030】
1.アルキル化剤:ヌクレオチドにアルキル基を供与する化合物。アルキル化DNAは、それ自体複製できず、細胞増殖が停止する。このような化合物の例としては、ブスルファン、配位金属錯体(例えば、カルボプラチン、オキサリプラチン、およびシスプラチン)、シクロホスファミド(シトキサン(cytoxan))、ダカルバキシン(dacarbaxine)、イホスファミド、メクロレタミン(ムスタジェン(mustargen))、およびメルファランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
2.二官能性アルキル化剤:2つの不安定メタンスルホネート基(これらは、4つの炭素アルキル鎖の反対の末端に結合している)を有する化合物。メタンスルホネート基は、癌細胞のDNAと相互作用して、損傷を引き起こし、それらの複製を妨げる。このような化合物の例としては、クロラムブシルおよびメルファランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
3.非ステロイド系アロマターゼインヒビター:エストロゲン生成に関与する酵素であるアロマターゼを阻害する化合物。従って、アロマターゼのブロックは、エストロゲンの生成の防止を生じる。このような化合物の例としては、アナストロゾールおよびエキセムスタン(exemstane)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
4.免疫療法剤:悪性疾患と関連するタンパク質を生成する癌細胞を標的とする抗体または抗体フラグメント。例示的な免疫療法剤としては、HER2またはHER2/neu(これは、乳癌の約25%〜30%に多数存在する)を標的とするHerceptin;およびB細胞リンパ腫のアポトーシスを誘発する抗CD20が挙げられる。さらなる免疫療法剤としては、免疫毒素が挙げられ、ここでリシン、ジフテリア毒素およびシュードモナス毒素のような毒素分子は、種痘特異的抗原を認識する抗体と結合体化される。結合体化は、生化学的にまたは組換えDNA法により達成され得る。
【0034】
5.ニトロソ尿素化合物:DNA修復に必要な酵素を阻害する。これら薬剤は、脳に移動可能であるので、脳腫瘍、ならびに非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、および悪性黒色腫を処置するために使用される。ニトロソ尿素の例としては、カルムスチンおよびロムスチンが挙げられる。
【0035】
6.代謝拮抗物質:DNAおよびリボ核酸(RNA)伸長を妨害する薬物のクラス。これら薬剤は、相特異的(S期)であり、慢性白血病、ならびに乳房、卵巣および胃腸管の腫瘍を処置するために使用される。代謝拮抗物質の例としては、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ゲムシタビン(GEMZAR)、シタラビン(Ara−C)およびフルダラビンが挙げられる。
【0036】
7.抗腫瘍性抗生物質:抗菌活性および細胞傷害活性を有する化合物。このような化合物はまた、酵素および有糸分裂を化学的に阻害するかまたは細胞膜を改変することにより、DNAを妨害し得る。例としては、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、およびイダルビシンが挙げられるが、特に限定されない。
【0037】
8.有糸分裂インヒビター:有糸分裂を阻害し得る化合物(例えば、チューブリン結合化合物)または細胞の再生に必要なタンパク質合成を妨げる酵素を阻害する化合物。有糸分裂インヒビターの例としては、パクリタキセルおよびドセタキセルのようなタキサン、エポチロン、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンが挙げられる。
【0038】
9.放射線療法:外からの供給源(例えば、光線)または低放射活性供給源の移植のいずれかから送達されるX線またはγ線が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
10.トポイソメラーゼIインヒビター:トポイソメラーゼ活性を妨害し、それによりDNA複製を阻害する薬剤。このような薬剤としては、CPT−11およびトポテカンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
11.ホルモン療法:抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、GnRHアゴニスト(例えば、Lupron)、およびプロゲスチン薬剤(例えば、メガス(Megace))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
当然のことながら、多種多様の機構を介して機能する他の型の抗癌剤は、本発明の薬学的組成物および方法において適用される。さらなるこのような薬剤としては、例えば、ロイコボリン、キナーゼインヒビター(例えば、IressaおよびFlavopiridol)、従来の化学療法剤のアナログ(例えば、タキサンアナログおよびエポチロンアナログ)、抗脈管形成剤(例えば、マトリクスメタロプロテイナーゼインヒビター)、および他のVEGFインヒビター(例えば、ZD6474およびSU6668)が挙げられる。レチノイド(例えば、Targretin)はまた、本発明の薬学的組成物および方法において使用され得る。ファルネシルトランスフェラーゼ活性を妨げるシグナル伝達インヒビターおよび化学療法耐性モジュレーター(例えば、Valspodar)もまた、使用され得る。モノクローナル抗体(例えば、C225抗体および抗VEGFr抗体)もまた、使用され得る。
【0042】
本明細書中で使用される場合、句、化合物または薬学的組成物の「有効量」とは、動物(特に、ヒト)における腫瘍増殖または腫瘍転移(腫瘍増殖または腫瘍サイズを減少させることまたは投与前のいずれの腫瘍形成もない動物における腫瘍増殖の形成を防止すること(すなわち、予防投与)が挙げられるが、これらに限定されない)を調節するに十分な量をいう。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「プロドラッグ」とは、インビボで活性薬物が生じるように代謝的に変換される薬物の前駆体形態をいう。従って、例えば、本発明に従って動物に投与されるコンブレタスタチンA−4ホスフェートプロドラッグ塩またはコンブレタスタチンA−1ホスフェートプロドラッグ塩は、代謝的に活性を受け、例えば、解離および身体中の内因性非特異的ホスファターゼに曝された後に、コンブレタスタチンA−4またはコンブレタスタチンA−1をインビボで再生する。
【0044】
上記で説明されるように、本発明は、例えば、本発明の薬学的組成物を使用して腫瘍増殖または腫瘍転移を調節する方法とともに、本発明の薬学的組成物を使用して、腫瘍(特に固形腫瘍)の増殖または転移を調節する薬学的組成物に関する。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「腫瘍」、「腫瘍増殖」、または「腫瘍転移」は、交換可能に使用され得、細胞の制御されない進行性の増加から生じ、生理学的機能に役立たない組織の異常な増殖をいう。固形腫瘍は、悪性(例えば、転移する傾向があり、生命を脅かす)または良性であり得る。本発明の方法に従って処置または予防され得る固形腫瘍の例としては、肉腫および癌腫が挙げられ、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、結腸直腸癌、胃癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌腫、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、肝臓転移、胆管癌、絨毛上皮癌、精上皮腫、胎生期癌、甲状腺癌腫(例えば、未分化甲状腺癌(anaplastic thyroid cancer))、ウィルムス腫瘍、頚部の癌、精巣腫瘍、肺癌腫(例えば、小細胞肺癌腫および非小細胞肺癌腫)、膀胱癌腫、上皮細胞癌腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫。
【0046】
さらに、異常増殖性変化(例えば、化生および形成異常)を含む腫瘍は、上皮組織(例えば、頸部、食道および肺における組織)において、本発明の薬学的組成物または方法を用いて処置または予防され得る。従って、本発明は、新生物または癌への進行に先立って生じることが既知か、または新生物または癌への進行に先立って生じることが疑われる状態の処置を提供する。ここで、特に、過形成、化生、または最も好ましくは、形成異常からなる非新生物細胞増殖が生じる(このような異常増殖状態の総説については、RobbinsおよびAngell,1976,Basic Pathology,第2版,W.B.Saunders Co.,Philadelphia,pp.68〜79を参照のこと)。過形成は、構造または機能の有意な変化なくして、組織または器官中の細胞数が増加することを含む制御された細胞増殖の形態である。例えば、子宮内膜過形成は、しばしば、子宮内膜癌に先立って生じる。化生は、成体細胞または十分に分化した細胞が、別の型の成体細胞に取って代わる、制御された細胞増殖の形態である。化生は、上皮組織細胞または結合組織細胞において生じ得る。異型の化生は、いくらか無秩序に化生の上皮細胞を含む。形成異常は、頻繁に、癌の前兆であり、主に上皮で形成され、個々の細胞の均質性および細胞の構成的配向の喪失を含む、非新生物細胞増殖の最も無秩序な形態である。形成異常細胞は、しばしば、異常に大きく、核が濃く染色され、多態性を示す。形成異常は、特徴的に、慢性刺激または炎症が存在する場所で生じ、しばしば、頸部、呼吸経路、口腔、および胆嚢で見出される。このような障害の総説については、Fishmanら,1985,Medicine,第2版,J.B.Lippincott Co.,Philadelphiaを参照のこと。
【0047】
良性でありかつ本発明の方法に従って処置または予防され得る腫瘍の他の例としては、動静脈(AV)先天異常(特に、頭蓋内部位および筋細胞膜(myoleoma)における動静脈先天異常)が挙げられる。
【0048】
句「ピーク腫瘍濃度薬剤(Peak Tumor Concentration Agent)」とは、高腫瘍濃度で最も有効であるが、腫瘍組織から迅速に排出される抗癌剤をいう。このような薬剤は、好ましくは、本発明に従って、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与と同時またはこれら化合物の投与の時間的近辺(例えば、臨床的にありそうな、特に1時間以内)に投与される。例示的なピーク腫瘍濃度薬剤としては、アルキル化剤(例えば、シトキサンおよびマイトマイシンC)、および金属配位錯体(例えば、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書中で使用される場合、句「持続性曝露剤(Duration Exposure Agent)」は、相対的に低腫瘍濃度で有効であり得るが、最も有効であるには、特定の腫瘍組織曝露時間を要する薬剤をいう。このような薬剤は、十分な遅延が投与間で生じて、組み合わせを増強するのであれば、好ましくは、本発明に従って、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物を使用して任意の順番で連続的に投与される。本発明の方法の好ましい実施形態において、持続性曝露剤は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与後に投与される。例示的な持続性曝露剤としては、パクリタキセルおよびドセタキセルのようなタキサン、エトポシド、リン酸エトポシド、免疫毒素およびエポチロンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書中で使用される場合、句「高AUC薬剤」とは、腫瘍組織中に長期間高濃度で存在する場合に最も高い有効性を示す薬剤をいう。このような薬剤は、好ましくは、本発明に従って、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物と連続して投与される。ここで、高AUC薬剤は、十分な遅延が投与間で生じて、組み合わせを増強するのであれば、最初に投与され、続いて、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物が投与される。例示的な高AUC薬剤は、アドリアマイシン、CPT−11(イリノテカン)およびトポテカンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
1つの好ましい実施形態において、白金ベースの抗癌剤(シスプラチンまたはカルボプラチンが挙げられる)のようなピーク腫瘍濃度薬剤は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物(例えば、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩またはコンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩)と本質的に同時に投与される。
【0052】
なお別の好ましい実施形態において、持続性曝露剤(免疫毒素およびタキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルが挙げられる)は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の後に投与される。持続性曝露剤の前にコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物を投与すると、腫瘍組織が持続性曝露剤に曝される時間が延びる。
【0053】
さらなる好ましい実施形態において、高AUC薬剤(例えば、CPT−11)は、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物(例えば、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩またはコンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩)の投与の前に投与される。このような薬剤は、好ましくは、例えば、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与の24時間以内(例えば、投与前2〜24時間以内、投与前3〜24時間以内、投与前6〜24時間以内、投与前8〜24時間以内、または投与前12〜24時間以内)に投与され得る。
【0054】
驚くべきことに、上記のもののような組み合わせは、組み合わせの効力を増強し、上記の利点を提供し得る。例えば、本発明の方法は、臨床医が、コンブレタスタチンA−4化合物もしくはコンブレタスタチンA−1化合物(例えば、これら化合物のリン酸二ナトリウム塩)および/または抗癌剤を、単一薬剤について使用され得る投薬量より有意に低い投薬量にて投与することを可能にする。本発明に従う、抗癌剤およびコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の投与に適切な好ましい投薬量は、本明細書中以下に記載される。
【0055】
同時にまたは連続的に投与されるか否かにかかわらず、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物および少なくとも1種類の抗癌剤は、腫瘍増殖または腫瘍転移の調節(特に、本明細書中に記載の癌の処置)に有効な、任意の量にてまたは任意の投与経路により投与され得る。表現「化学療法的に有効な量」とは、本明細書中で使用される場合、所望の抗癌効果を提供するに十分な量の本発明の化合物をいう。必要とされる正確な量は、被験体毎に、化学療法化合物などの投与の様式毎などに変化する。
【0056】
本発明はさらに、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物、および少なくとも1種類の選択された抗癌剤の両方を含む化学療法薬学的組成物、ならびに本発明の方法におけるその使用を提供する。あるいは、本発明の方法は、活性成分として上記の化合物の1つを、薬学的に受容可能なキャリア媒体または補助剤と組み合わせて含む化学療法薬学的組成物を使用して実施され得る。従って、このような実施形態において、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物(例えば、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩またはコンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩)、および抗癌剤(例えば、シスプラチン)が処方され、別々に投与される。
【0057】
(発明の詳細な説明)
本発明に従い、癌の治療に関して改善された化学療法のレジメンが、提供される。この改善された化学療法レジメンは、副作用を低下し得、かつ新生物疾患の処置の効力を増強し得る。
【0058】
South African tree Combretum caffrum由来のコンブレタスタチンA−4(CA−4)は、チューブリンの重合の強力なインヒビターとして1980年代に最初に同定された。CA−4は、チューブリン上のコルヒチン結合部位またはその近縁の部位に高親和性で結合する。インビトロでの研究は、CA−4が、培養物中の多様な範囲の腫瘍細胞型に対する強力な細胞障害性薬剤であることを明白に実証した。最近、コンブレタスタチンA−4はまた、さらなる「抗脈管」の作用機構を有することが示された。多くの研究は、CA4Pが、腫瘍脈管系への血流の完全な閉鎖を引き起こし、第2の腫瘍細胞死を導くことを示した。いくつかの器官(例えば、脾臓、皮膚、骨格筋、および脳)への血流は、阻害され得るが、正常な組織への血流は、一般的にコンブレタスタチンA−4によって、腫瘍よりも非常に弱く影響される。CA4Pの作用のこの新規の「非細胞障害性」様式を考慮すると、癌の処置のためのCA4Pの新規の抗脈管作用の利用において多大な利益がある。最近、頻繁な用量のレジメンを用いた、CA4Pに関する単一薬剤の効力が、報告された。他の報告は、いくつかの場合において、大きい腫瘍が、小さい腫瘍よりCA4P治療に対してより反応性であり得ることを示唆した。
【0059】
コンブレタスタチンA−1およびそのプロドラッグ(CA1P)もまた、チューブリン重合の強力なインヒビターである。CA1Pもまた、腫瘍脈管への血流の閉鎖を引き起こすことが示された。
【0060】
(薬学的組成物)
上に示すように、例えば、本方法は、コンブレタスタチンA−4化合物もしくはコンブレタスタチンA−1化合物および抗癌剤の両方を含む単一の薬学的組成物を用いて(投与が同時にされる場合)か、またはコンブレタスタチンA−4化合物もしくはコンブレタスタチンA−1化合物および抗癌剤を別々に含む2つ以上の薬学的組成物を用いて(投与が同時または連続的にされる場合)実施され得る。そのような薬学的組成物は、とりわけ、少なくとも1つの抗癌剤および/またはコンブレタスタチンA−4化合物もしくはコンブレタスタチンA−1化合物(例えば、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩もしくはコンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩および薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。句「薬学的に受容可能」とは、ヒトに投与した場合、生理学的に耐性であり、好ましくはアレルギーまたは類似の不適当な反応(例えば、胃の不調、めまいなど)を生じない分子実体および組成物をいう。
【0061】
好ましくは、本明細書中に使用される場合、用語「薬学的に受容可能」とは、動物、より好ましくはヒトにおける使用について連邦政府もしくは州政府の監督官庁によって認可されているか、または米国薬局方もしくは他の一般的に認識される薬局方に列挙されていることを意味する。用語「キャリア」とは、例えば、本発明の活性薬剤と共に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、補助薬剤またはビヒクルをいう。そのような薬学的キャリアは、滅菌の液体(例えば、水および石油起源、動物起源、植物起源または合成起源の油(例えば、落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など)であり得る。水または水性生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液は、好ましくは、キャリアとして(特に注射可能な溶液のために)用いられる。適切な薬学的キャリアは、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載される。
【0062】
本発明の薬学的組成物は、任意の適切な経路(例えば、注射、経口、肺経由、鼻経由または他の投与形態)によって投与され得る。一般的に、本発明の範囲内にあることが企図される薬学的組成物は、とりわけ、薬学的に受容可能な希釈剤、保存料、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、および/またはキャリアを含む。そのような組成物は、種々の内容物(例えば、Tris−HCl、アセテート、ホスフェート)、pHおよびイオン強度の希釈剤;添加物(例えば、界面活性剤および可溶化剤(例えば、Tween 80、Polysorbate 80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存料(例えば、Thimersol、ベンジルアルコール)およびバルキング(bulking)物質(例えば、ラクトース、マンニトール));高分子化合物(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸など)の粒子状調製物またはリポソームへのこの物質の組み込みが挙げられ得る。そのような組成物は、本発明の薬学的組成物の物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、およびインビボでのクリアランス速度に影響を与え得る。例えば、Remington’s Phamaceutical Sciences,第18版(1990、Mack Publishing Co.、Easton、PA 18042)1435〜1712頁(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。本発明の薬学的組成物は、例えば、液体形態で調製され得るか、または乾燥粉末剤(例えば、凍結乾燥された形態)であり得る。そのような組成物を投与する特定の方法は、以下に記載される。
【0063】
(腫瘍増殖または転移を調節するための方法)
上で説明されるように、本発明は、腫瘍増殖および転移を調節するための方法に関連し、この方法は、とりわけ、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物(例えば、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩またはコンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩)、および少なくとも1つの抗癌剤を投与する工程を包含する。本発明の薬剤は、別々に投与され得るか(例えば、別々に処方および投与される)、または本発明の薬学的組成物として組み合わせて投与され得る。投与は、任意の適切な経路(例えば、非経口的、経粘膜的(例えば、経口的、鼻経由、または直腸経由)、または経皮的に)によって達成され得る。好ましくは、投与は、非経口的(例えば、静脈内注射)である。投与の代替的手段としてはまた、小動脈内投与、筋肉内投与、皮膚内投与、皮下投与、腹腔内投与、心室内投与および頭蓋内投与、または処置される腫瘍もしくはその腫瘍周辺の組織への注射が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物(例えば、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩またはコンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩)および抗癌剤は、小胞中(例えば、リポソーム中で[Langer、Science 249:1527−1533(1990);Treatら、Liposomes in the Therapy of Infections Disease and Cancer、Lopez−BeresteinおよびFidler(編)、Liss:New York,pp.317−327を参照のこと。一般的には、同書を参照のこと])を含む、上記のような任意の適切な薬学的処方物として用いられ得る。好ましくは、本発明の薬剤を含むリポソームの投与は、非経口的(例えば、静脈内注射を経由する)であるが、その投与としては、非限定的に、小動脈内投与、筋肉内投与、皮膚内投与、皮下投与、腹腔内投与、心室内投与および頭蓋内投与、または処置される腫瘍もしくはその腫瘍周辺の組織への注射が挙げられ得る。
【0065】
なお別の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、制御放出系(例えば、静脈内注入、移植可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を用いる)で送達され得る。特定の実施形態において、ポンプが、用いられ得る[Langer、前出;Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwaldら、Surgery 88:507(1980);Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと]。別の実施形態において、高分子物質が用いられ得る[Medical Applications of Controlled Release,LangerおよびWise(編)、CRC Press:Boca Raton,Florida(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance、SmolenおよびBall(編)、Wiley:New York(1984);RangerおよびPeppas、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983)を参照のこと;Levyら、Science 228:190(1985);D
uringら、Ann.Neurol.25:351(1989);Howardら、J
.Neurosurg.71:105(1989);も参照のこと]。なお別の実施形態において、制御放出系は、動物の標的組織に隣接して配置され得、従って全身用量の一部のみが必要とされる[例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、前出、vol.2、pp.115〜138(1984)を参照のこと]。特に、制御放出デバイスは、動物の、不適切な免疫活性部位または腫瘍の隣接部に導入され得る。他の制御放出系は、Langer[Science 249:1527〜1533(1990)]による概説において議論される。以下の表Iは、本発明の方法における使用のための好ましい化学療法の組み合わせおよび例示的投薬量を示す。「コンブレタスタチンA−4」が示される場合、好ましくは、コンブレタスタチンA−4、コンブレタスタチンA−1またはコンブレタスタチンA−4もしくはコンブレタスタチンA−1のいずれかのリン酸プロドラッグ塩(すなわち、例えば、CA4PまたはCA1P)が用いられる。
【0066】
【表1】



上記の表Iにおいて、「5FU」は、5−フルオロウラシルを示し、「ロイコボリン」は、ロイコボリンカルシウムとして用いられ得、「UFT」は、1:4モル分率のテガフル(tegafur):ウラシルであり、「エポチロン」とは、好ましくは、WO99/02514またはWO00/50423(これら両方は、その全体が、本明細書中に参考として援用される)に記載される化合物である。
【0067】
表Iは、コンブレタスタチンA−4化合物もしくはコンブレタスタチンA−1化合物および本発明の特定の抗癌剤の例示的投薬範囲を提供するが、本発明の薬学的組成物を処方する場合、臨床医は、処置される患者の状態によって理由付けらるような好ましい投薬量を用い得る。例えば、好ましくは、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物は、処置が必要とされる間にわたり、3週間毎に、30mg/m〜70mg/mの範囲の投薬量で、投与され得る。シスプラチンについての3週間毎に投与される好ましい投薬量は、75〜120mg/mである。カルボプラチンについての好ましい投薬量は、200〜600mg/mの範囲または0.5〜8mg/ml×分のAUCであり、最も好ましくは、4〜6mg/ml×分のAUCである。用いられる方法が放射線を使用する場合、好ましい投与量は、200〜6000cGYの範囲内である。CPT−11についての好ましい投薬量は、週に1回で、100〜125mg/mの範囲である。パクリタクセルについての好ましい投薬量は、21日毎に130〜225mg/mである。ゲムシタビン(gemcitabine)についての毎週投与される好ましい投薬量は、80〜1500mg/mの範囲内である。ロイコボリン投与と組み合わせた場合、好ましくは、UFTは、1日あたり300〜400mg/mの範囲内で用いられる。好ましくは、ロイコボリンは、10〜600mg/mで毎週投与される。Br96−sFv−PE40イムノトキシンの好ましい用量は、420mg/mである。免疫増強療法においてコンブレタスタチンA4およびそのプロドラッグと組み合わせたBR96−sFv−PE40イムノトキシンの使用は、米国仮出願番号第60/258,283号(2000年12月26日出願)(この開示全体は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0068】
特定の癌は、コンブレタスタチンA−4またはコンブレタスタチンA−1および複数の抗癌剤により効果的に処置され得る。そのような3種または4種の組み合わせは、より強力な効力を提供し得る。そのような3種および4種の組み合わせが用いられる場合、上に示される投薬量が、用いられ得る。従って、上記の表Iのような他の組み合わせとしては、(1)ミトザントロンおよびプレドニゾン、(2)ドキソルビシンおよびタキサン;または(3)ハーセプチンおよびタキサンと組み合わせた「コンブレタスタチンA−4またはコンブレタスタチンA−1」が挙げられ得る。任意の上記の組み合わせにおいて、5−FUは、UFTと置き換えられ得る。
【0069】
本発明の方法または組成物を使用する場合、臨床的設定における腫瘍増殖または転移の調節に用いられる他の薬剤(例えば、制吐剤)もまた、所望されるように投与され得る。
【0070】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提供される。これらは、いかなる様式においても、本発明を限定することを意図しない。
【0071】
以下のプロトコールは、実施例Iおよび実施例IIの実施を容易にするために提供される。
【0072】
(薬物投与)
げっ歯類への投与のために、CA4Pを、通常の生理食塩水(0.9% NaCl)中に溶解した。パクリタキセルを、エタノールおよびCremophor(登録商標)の50/50の混合物に溶解し、そして4℃で保存した;パクリタキセルの最終希釈物を、NaCl 0.9%を用いて薬物投与の直前に得た。沈殿を防ぐために、パクリタキセルの新しい調製物を用いた。CPT−11を、通常の生理食塩水に溶解した。注射した全ての化合物の容量は、0.01ml/マウス1g、および0.005ml/ラット1gであった。
(インビボでの抗腫瘍試験)
以下の腫瘍モデルを用いた:A2780ヒト卵巣癌、マウス線維肉腫M5076およびM5076/ddp(シスプラチンおよびカルボプラチンに耐性)。
【0073】
Balb/c nu/nuヌードマウスにおいて、ヒト腫瘍を維持した。C57BL/6マウスにおいて、M5076およびM5076ddpを維持した。ドナーマウスから得られた腫瘍フラグメントを用いて、皮下移植片として、適切なマウス系統に腫瘍を伝播させた。
【0074】
示されるマウスの宿主系統において、以下の腫瘍を継代させた:C57B1/6マウスにおける、マウスM5076線維肉腫(M5076);ヌードマウスにおける、ヒトA2780卵巣癌。腫瘍継代は、マウス腫瘍については隔週で行い、そしてヒト腫瘍株については、約2〜3週間ごとに行った。有効性試験に関して、M5076腫瘍およびM5076ddp腫瘍を、(C57B1/6×DBA/2)F1ハイブリッドマウスに移植し、そしてヒト腫瘍を、ヌードマウスに移植した。有効性試験のための全ての腫瘍インプラントは、皮下(sc)であった。
【0075】
有意な応答の検出に必要とされる、必要数の動物を実験開始時にプールし、そして各々に、腫瘍フラグメント(約50mg)の皮下インプラントを、13ゲージ外套針を用いて与えた。初期段階の腫瘍の処置のために、種々の処置群および対照群への分配の前に、これらの動物を再びプールした。進行段階の疾患を有する動物の処置のために、所定サイズの窓(この範囲より外の腫瘍は排除した)に腫瘍を成長させ、そして動物を、種々の処置群および対照群に均等に分配した。各々の動物の処置は、固体の体重に基づいた。処置した動物を、毒性/死亡率に関する処置について毎日検査した。各々の動物群を、処置の開始前に計量し(Wt1)、そして最後の処置投与後に再び計量した(Wt2)。体重の差異(Wt2−Wt1)は、処置関連毒性の尺度を提供する。
【0076】
腫瘍が所定の「標的」サイズ(1gm)に達するまで、1週間に2回、カリパスでの腫瘍の測定によって腫瘍応答を決定した。腫瘍重量(mg)を、次式から見積もった:
腫瘍重量=(長さ×幅)÷2
最大耐性用量(MTD)(過剰毒性(例えば、1つよりも多くの死)が発生する用量レベルの直下として定義される)において、抗腫瘍活性を評価した。このMTDは頻繁に、ODに等価であった。死が発生した場合、死亡日を記録した。腫瘍が標的サイズに達する前に死亡する処置マウスは、薬物毒性によって死亡したと考慮した。標的サイズよりも小さい腫瘍を生じて死亡した対照マウスはなかった。薬物毒性によって引き起こされた1つよりも多くの死を有する処置群は、過剰に毒性の処置を施されていたと考慮し、そしてそれらのデータは、化合物の抗腫瘍有効性の評価に含まなかった。
【0077】
腫瘍成長遅延(T−C値)によって、腫瘍応答終点を表した。腫瘍成長遅延は、処置された腫瘍が所定の標的サイズに達するのに要する時間(日数)(T)の、対照群のそれ(C)と比較した場合の差異として定義される。
【0078】
腫瘍細胞の死を見積もるために、腫瘍体積倍増時間を、次式を用いて最初に決定した:
TVDT=対照腫瘍が標的サイズに達するための時間(日数)の中央値−対照腫瘍が標的サイズの半分に達するための時間(日数)の中央値、および、Log細胞死=T−C÷(3.32×TVDT)
Gehanの一般化Wilcoxon試験を用いて、データの統計学的評価を行った。(実施例I)
コンブレタスタチン(combretastatin)A−4リン酸二ナトリウム塩(二重の作用機構を有する試薬)を、ピーク濃度試薬(シスプラチンおよびカルボプラチン)を用いて、インビボでの抗腫瘍活性について評価した。腫瘍保有マウスに、単一の試薬として10日間、毎日投与した場合、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩は、シスプラチン耐性M5076DDPマウス線維肉腫に対する有意な抗腫瘍活性を示し、1.1log細胞死を生じた。図1を参照のこと。
【0079】
化学療法試行と組み合わせて、シスプラチンおよびカルボプラチンの両方を用いて、治療的相乗効果を観察した。腫瘍灌流研究において、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩は、マウス(67%阻害)およびラット(87%阻害)におけるA2780ヒト卵巣腫瘍異種移植片における腫瘍血流を有意に阻害した。
【0080】
コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩の治療的可能性のよりよい評価のために、研究を行ってCA4Pの薬理学の3つの側面を評価した:[1]単一試薬としての抗腫瘍有効性、[2]シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセルまたはCPT−11と組み合わせての抗腫瘍有効性、および[3]腫瘍血流への効果。
(結果)
(シスプラチン耐性scM5076DDP腫瘍モデルに対する単一試薬効力)
M5076DDPは、発達したシスプラチンに対する耐性およびカルボプラチンに対する交差耐性を有する、マウス線維肉腫である。病期のM5076DDP腫瘍を有するマウスのコンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩での、毎日10回(月曜〜金曜)スケジュールを用いての処置は、中程度であるが、有意な抗腫瘍効果を生じた。適切な用量(150mg/kg/inj)で、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩は、1.1logの細胞死(LCK)を生じた。相対的に、適切なスケジュール(4日間毎に3用量;Q4D×3)の単一試薬シスプラチン投与は、7.5mg/kg/injのMTDで0.8LCKを生じた(図1)。
(化学療法と白金薬物との組み合わせ)
進行段階の(300mg)sc M5076DDP腫瘍の処置において、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩をシスプラチンと組み合わせた場合(同時に投与される)、治療共調作用を得た。単一試薬シスプラチンは、その最大耐性用量(MTD)である7.5mg/kg/inj(q4d×3)で0.8LCKを生じた。相対的に、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩(250mg/kg/inj)+シスプラチン(5mg/kg/inj)の最大耐性の組み合わせは、2.0LCKを生じた(図2A)。この組み合わせが、処置後に腫瘍の顕著な減少を生じたが、一方、単一試薬シスプラチンは生じなかった(図1)ことは興味深いことである。この相乗的な組み合わせレジメンの別の注目すべき局面は、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩が実質的にシスプラチンの別の不活性(低)用量の効果を改善する能力である(図2B)。
【0081】
(カルボプラチン(CPt)対sc M5076との組み合わせ)
コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩はまた、カルボプラチンと組み合わせて使用した場合、巨大なsc M5076腫瘍(H300mg)に対し、相乗的な抗腫瘍活性を生じた。この感受性の腫瘍モデルにおいて、カルボプラチンは、そのMTDである90mg/kg/inj(iv、q4d×3)で1.4LCKを生じたが、腫瘍後退を伴わなかった。相対的に、最前の組み合わせは、顕著な腫瘍減少を伴った2.0LCKを生じた(図3A)。コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩+カルボプラチンの組み合わせレジメンによって誘発された腫瘍応答の2つの重要な局面は、[1]治療共調作用に必要とされる、最適なコンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩用量(<90mg/kg/inj)は、その薬剤単独でのMTD(>250mg/kg/inj)よりも有意に低かった(図3B);[2]最適な抗腫瘍効果を生ずるために必要とされる、カルボプラチン用量(単一試薬として投与される場合、90mg/kg/inj)は、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩と組み合わせて使用される場合、大きく減少された(図3B)。
【0082】
(時期調査(カルボプラチン+CA4P))
図4に示されるデータは、カルボプラチン(「CB−pt」)およびCA4Pが、好ましくは、およそ同時に投与されることを示す。最も好ましくは、カルボプラチンは、CA4P直前に投与される。このグラフに示される腫瘍モデルは、M5076ddp(M5076マウス繊維肉腫の白金耐性改変体)である。
【0083】
(腫瘍灌流におけるCA4Pの効果)
コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩の腫瘍灌流における効果を、エバンズブルー色素取込アッセイを使用して研究した。sc A2780ヒト卵巣癌を有するマウスまたはラットに、コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩のiv用量を投与した。1時間後、エバンズブルーを、iv注射した。腫瘍中に蓄積されたエバンズブルーの量は、腫瘍を通る血流に比例した。この技術を使用して、CA4Pが、マウスおよびラットの両方において、腫瘍への血流を劇的に阻害し、最適な用量で、それぞれ、67%および87%の腫瘍血流の減少を引き起こすことを示した(図5Aおよび図5B)。
【0084】
(化学療法とCPT−11との組み合わせ)
組み合わせ化学療法研究を、CPT−11とコンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩との組み合わせ処置の抗腫瘍活性を評価するために行った。種々の投薬スケジュールを、2つの試薬を実質的に同時に(5分あけて)投与することから、CPT−11をCA4Pの3時間または24時間前に投与することの範囲で、本発明に従って使用した。そのMTDで、CPT−11は、3.3LCKを生じた。2つの試薬の同時投与または3時間離れた投与は、CPT−11単独と同等の結果を生じた。しかし、CPT−11をCA4Pの24時間前に投与した場合、増大した抗腫瘍効果が得られ(図6)、本発明の好ましい実施形態を立証した。
【0085】
(カルボプラチンとの組み合わせにおける、最小の有効用量−薬物速度論定量)
コンブレタスタチンA−4は、本明細書中に示されるように、シスプラチンおよびカルボプラチンとの強い治療相乗作用を立証した。これらの前記の組み合わせ研究において使用されたコンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩(CA4P)の用量は、一般に、100−250mg/kg(200〜750mg/m)の間であった。現在のヒト薬物速度論データは、好ましいCA4P用量が、かなり低い(約50〜60mg/m)ことを示す。従って、適度のカルボプラチン耐性マウス線維肉腫M5076/DDPにおけるカルボプラチンとの組み合わせ治療に必要とされる最小のCA4P用量を決定するために研究を行った。単一試薬活性を有しないCA4Pの用量および処置レジメン(iv、q4d×3)を使用することにより、12.5〜25mg/mの低用量のCA4Pは、一定範囲の用量レベルで投与されたカルボプラチンの抗腫瘍活性を増大するに十分であることが立証された。図7A、図7Bおよび図7Cを参照のこと。
【0086】
(コンブレタスタチンA−4リン酸二ナトリウム塩(CA4P)とパクリタキセルとの組み合わせについての適切な処置スケジュールの決定)
本発明は、例えば、コンブレタスタチンA−4化合物(例えば、パクリタキセルとCA4P、またはパクリタキセルおよびカルボプラチンとCA4P)の投与を企図する。適切な処置スケジュール(すなわち、順序(sequence)または順序(order))を決定するために、多数の研究を行い、その中で、2つの試薬(CA4Pおよびパクリタキセル)を投与した。この考慮は、以下の2つの理由で、この組み合わせについて特に重要であると判断された:1)CA4Pは、チューブリンの解重合剤(depolymerizer)であるが、パクリタキセルは、チューブリンの重合剤(polymerizer)であり、従って、チューブリンレベルでの相互作用に対して潜在的であり得る;および2)CA4Pは、腫瘍および腫瘍状の増殖状態におけるパクリタキセルの局所的な微量の薬物速度論に影響する、腫瘍血流を阻害する。16/c 乳腺癌モデルでの初期研究において、2つの試薬の同時投与は、このモデルにおける組み合わせ(図8)の総合的効力に逆に影響し得ることを示唆したが、一方で、薬物投与中の間隔が、組み合わせの効力を回復させた。続いて、最適な順序(sequence)および薬物投与中の最適な間隔をさらに定義するために2つの他の研究をヒト卵巣癌モデルA2780において行った。
【0087】
パクリタキセルをCA4Pと同時に、またはCA4Pの前に投与することの効果を評価するために、初期研究を行った。結果は、2つの試薬の同時投与が、このモデルにおける総合的な評価に対して有害であることを示した(図9)。2つの試薬の投与間の3時間の間隔は、組み合わせの全体的な効力を回復しなかったが、全体的な効力は、24時間の間隔で回復した。
【0088】
パクリタキセルの前にCA4Pを投与する効果を評価するために、さらなる研究を行った。この結果は、2つの試薬の処置の間の3時間の間隔を許容することは、ネガティブな相互作用を避けるために十分であることを立証した(図10)。
【0089】
(化学療法の免疫毒素との組み合わせ)
CA4Pの免疫毒素BR96−sFv−PE40との組み合わせ投与の効力を評価する研究をまた行った。免疫毒素の構築は、Siegallら(1994)J.of Immunology 152:2377〜2384において記載される。
【0090】
1.5×10野生型結腸癌細胞(BN7005−H1D2)を、各々5匹のラットの5つの群に0日目に肝臓内接種した。BR96−sFv−PE40は、BR96モノクローナル抗体とシュードモナス毒素PE40との免疫結合体である。BR96は、結腸癌BN7005ラット腫瘍におけるLewis y抗原を認識する。この免疫毒素を、9日目、12日目、14日目、16日目、19日目、21日目、および23日目に、示されるように2つの異なる用量レベル(それぞれ、125μg/kgまたは150μg/kg)で接種した。コンブレタスタチンA4−リン酸プロドラッグを、免疫毒素と同じ日に投与する場合、7日目、8日目、9日目、12日目、13日目、14日目、14日目、16日目、19日目、および20日目に、免疫毒素投与の4〜6時間前に腹腔内(ip)投与した。ラット全てを、28日目に開腹し、そして肝腫瘍サイズをキャリパーで測定し、そして腫瘍容量を計測した。
【0091】
図11に示すように、治療群と処置されていないコントロールとの間には有意な差異があった。このスチューデントt試験の結果もまた図に示す。組み合わせ処置と、CA4P単独または免疫毒素単独との間の差異もまた、有意であった(それぞれ、p=0.002およびp=0.006)。28日目で処置を中止した場合、その腫瘍は、全ての群において、その後急速に増殖した。これらのデータは、CA4Pおよび免疫毒素の組み合わせて投与する場合の効力を立証した。
【0092】
(実施例II)
(コンブレタスタチンA−1Pとの組み合わせ化学療法)
コンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩(二重の作用機構を有する試薬)を、ピーク濃度試薬(カルボプラチンおよびシスプラチン)とのインビボでの抗腫瘍活性について評価した。腫瘍を有するマウスに単一試薬として10日間毎日投与した場合、コンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩は、シスプラチン耐性M5076DDPマウス繊維肉腫に対して適度な抗腫瘍活性を立証した。
【0093】
化学療法試行と組み合わせて、シスプラチンおよびカルボプラチンの両方による治療共調作用を観察した。腫瘍灌流研究において、コンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩は、マウスにおけるA2780ヒト卵巣腫瘍異種移植片およびN87胃癌腫瘍異種移植片での腫瘍血流を顕著に阻害した。
【0094】
コンブレタスタチンA−1リン酸二ナトリウム塩の治療可能性をより良く評価するために、CA4Pの薬理学の以下の3つの局面を評価するために、研究を行った:[1]単一試薬としての抗腫瘍効力、[2]シスプラチンおよびカルボプラチンの組み合わせにおける抗腫瘍効力、ならびに[3]腫瘍血流に対する影響。
【0095】
(結果)
(N87胃癌異種移植片およびA2780卵巣癌異種移植片に対する単一試薬効力)
CA1Pは、ヌードマウス中のヒト腫瘍異種移植片においてCA4Pにより観察された灌流血流阻害と同等の灌流血流阻害を立証したが、5〜10倍以上強力であった。さらに、CA1Pは、ヒト腫瘍異種移植片モデル(N87ヒト胃癌およびA2780卵巣癌を含む)において、改善された単一試薬活性を立証した。A2780において、CA1Pは、150mg/kg(ip)でのCA4Pについての1.1LCKと比較して、そのMTDである9mg/kg(ip、qld×8)で、2.1LCKを達成した。図12を参照のこと。
【0096】
(化学療法のカルボプラチンおよびシスプラチンとの組み合わせ)
図13に示すように、化学療法の組み合わせは、CA1Pが、CA4Pについて観察されたのと同様の様式で、カルボプラチンの抗腫瘍活性を増大させることを立証した。相乗的な抗腫瘍活性もまた立証された。有利に、相乗的な増加に必要とされる最小の有効用量は、CA4P(25〜50mg/kg)と比較した場合、CA1P(4−8mg/kg)についてかなり低かった。さらに、CA1Pをカルボプラチンと組み合わせて投与した場合、完全な応答(腫瘍の消失)を生じる相乗的な抗腫瘍活性が観察された。いずれかの試薬を単独で投与した場合、この応答は観察されなかった。図14を参照のこと。
【0097】
さらなる研究において、CA1Pをシスプラチンと組み合わせて、CaNT乳癌モデルIに投与した。図15において示されるように、シスプラチンとCA1Pとの組み合わせ投与は、相乗的に作用して、腫瘍サイズを減少させた。
【0098】
(結論)
上記の結果は、抗癌剤とコンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物との種々の組み合わせについての相乗作用を迅速に立証した。従って、抗癌剤を有効に使用して、このような薬物に対する耐性をに事前発達させている腫瘍増殖または腫瘍の転移を調節し得る。さらに、本発明は、臨床家が、より低用量の抗癌剤を適切な投与スケジュールで投与し得る、癌の処置のための方法を開発し、これによって、効力を維持しつつ、不必要な副作用を減少させる。
【0099】
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態による範囲に限定されない。実際に、本明細書中に記載されるものに加え、本発明の種々の改変は、明細書および前述の添付図から、当業者に明らかになる。このような改変は、添付の請求の範囲内に含まれることが意図される。例えば、他のコンブレタスタチンまたは他の抗血管薬でさえ、コンブレタスタチンA−4化合物またはコンブレタスタチンA−1化合物の代わりに、本発明において使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、中程度に白金耐性なM5076DDPマウス線維肉腫中に、単一で投与されたシスプラチンおよびコンブレタスタチンのA−4リン酸水素二ナトリウム塩(CA4P)の抗腫瘍活性のグラフである。処置開始時に、腫瘍は、300mgの段階にまでなった(stage)。シスプラチンは、静脈内(iv)に4日毎に3用量(Q4D×3)で投与された。CA4Pは、10日間にわたり毎日(月曜日から金曜日まで)、静脈内に与えられた。
【図2】図2(A)は、M5076DDP腫瘍モデルにおいて、CA4Pおよびピーク腫瘍濃度の薬剤(シスプラチン)の組み合わせで観察された治療的相乗作用のグラフである。薬物処置は、静脈内で、4日毎に3用量であった。薬物の組み合わせは、同時に投与された。(B)は、CA4Pが、他の場合には非活性な用量のシスプラチン(3mg/kg/注射)の抗腫瘍活性を十分に増強したことを示すグラフである。
【図3】図3(A)は、M5076マウス線維肉腫モデルにおいて、CA4Pおよびピーク腫瘍濃度の薬剤(カルボプラチン)の組み合わせで観察された治療的相乗作用のグラフである。薬物処置は、腹腔内(ip)で、4日毎に3用量であった。薬物の組み合わせは、腹腔内に(混合されて)同時に投与された。(B)は、CA4Pが、3つの異なる用量レベルで(90〜250mg/kg/注射)で、カルボプラチンの抗腫瘍活性を十分に改善したことを示すグラフである。
【図4】図4は、log細胞殺傷での抗腫瘍活性を示すグラフであり、このグラフは、CA4Pおよびカルボプラチンが、実質的に、同時に投与されるべきであることを示す。
【図5】図5は、ヌードマウス(A)またはヌードラット(B)中で増殖したsc A2780ヒト卵巣癌における、CA4Pによる腫瘍の血流の阻害のグラフである。
【図6】図6は、ヒト卵巣癌細胞(A2780)における、組み合わせた高AUC剤(CPT−11)およびCA4P化学療法の抗腫瘍効果を示すグラフである。CPT−11は、コンブレタスタチン化合物の投与の3〜24時間前に投与される。
【図7】図7は、M5076/DDP腫瘍における、低用量のCA4Pによるカルボプラチンの抗腫瘍効力の増強である。パネルA〜Cは、種々の用量のCA4Pと、各々90mg/m、60mg/m、40mg/mのカルボプラチンとの組み合わせについての結果を示す。
【図8】図8は、16/cマウス乳癌に対するCA4Pおよびパクリタキセルの組み合わせ化学療法を示す。
【図9】図9は、A2780ヒト卵巣癌に対するCA4Pおよびパクリタキセルの組み合わせ化学療法を示す。これらの薬剤の同時投与は、このモデルにおいて、拮抗作用をする。
【図10】図10は、A2780ヒト卵巣癌に対するCA4Pおよびパクリタキセルの組み合わせ化学療法を示す。処置の間の3時間の間隔は、負の相互作用を排除する。
【図11】図11は、同種異系のBrown−Norwayラット宿主における結腸癌の異種移植片モデルにおいて、イムノトキシンBR96−sFv−PE40とコンブレタスタチンA4Pの組み合わせ投与が、相乗作用的に腫瘍サイズを減少するように作用することを示す棒グラフである。
【図12】図12Aおよび図12Bは、コンブレタスタチンA−1Pが、ヌードマウスにおいてヒト腫瘍異種移植片中の血流を、コンブレタスタチン A−4Pについて観察された様式と同等の様式で阻害することを示す一対のグラフである。図12A:N87胃癌異種移植片モデル、図12B:A2780卵巣癌異種移植片モデル。
【図13】図13A〜図13Dは、M5076線維肉腫の異種移植片モデルに対するコンブレタスタチンA−1Pおよびカルボプラチン単独ならびに組み合わせの投与に応答した、腫瘍サイズ減少の用量応答性の曲線を示す一連のグラフである。コンブレタスタチンA−1Pおよびカルボプラチンの組み合わせ投与は、相乗作用的に作用して腫瘍サイズを減少させた。
【図14】図14は、コンブレタスタチンA−1Pおよびカルボプラチンの組み合わせ投与が、相乗作用的抗腫瘍効果を生じ、単一薬剤の治療においては観察されない完全な応答(腫瘍の消滅)を生じることを示すグラフである。
【図15】図15は、CBAマウスにおけるCaNT乳房腫瘍モデルにおいて、シスプラチンおよびコンブレタスタチンA1Pの組み合わせ投与が、腫瘍サイズを減少させるように相乗作用的に作用することを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−102350(P2009−102350A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315096(P2008−315096)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【分割の表示】特願2002−557211(P2002−557211)の分割
【原出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(503106926)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (4)
【出願人】(503224792)オキシジーン, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】