説明

腫瘍細胞固定化細胞

本発明は、腫瘍細胞を固定化でき、CD10タンパク質を発現でき、少なくとも1つのMDRを発現できる単離細胞、及び抗腫瘍化合物のスクリーニングのための本細胞の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビボ(in vivo)及びインビトロ(in vitro)において腫瘍細胞を固定する新規な型の細胞、及び抗腫瘍作用で化合物のスクリーニングする際の当該細胞の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍細胞を死滅させることができる多くの細胞毒分子が、製薬産業により確認されている。
【0003】
それでも、腫瘍治療においては、分子の有効性は耐性現象により低減することがわかっている。この抗腫瘍剤に対する耐性は、長年抗癌処置の成功に対する大きな障壁である。
【0004】
複数の細胞事象は耐性因子として提供されている。これらには、流出メカニズム(例えば、MDRチャネルを介して;マルチドラッグ耐性)、抗腫瘍剤の不活性化(例えば、抗ピリミジン(antipyrimidic)剤、抗メタボリック剤等)、抗腫瘍剤の標的の変異(例えば、p53の変異、bcl−2の過剰発現によるもの等)がある。
【0005】
腫瘍幹細胞が、固形腫瘍において存在することも提示されている。当該腫瘍幹細胞は、抗癌処置に対してより耐性があり、耐性及び再発現象の原因であると考えられる(Dean et al. (2005) Nature Rev. Cancer 5:275-284)。
【0006】
今日までに、腫瘍細胞にとって外因の耐性因子は他に存在しない。
【0007】
ここで本発明者等は、腫瘍細胞を固定及び保護し、腫瘍の処置に対する耐性の原因の1つとなる新規な型の細胞を単離することに成功した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、腫瘍細胞を固定でき、且つCD10タンパク質を発現する単離細胞に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、HL60細胞と接触したホスピセル(hospicell)(CD34+骨髄肝細胞の分化により得られる)の、インキュベーション4時間後の光学顕微鏡画像(倍率20)である。
【図2】図2は、HL60細胞と接触したホスピセル(CD34+骨髄肝細胞の分化により得られる)の、インキュベーション36時間後の光学顕微鏡画像(倍率20)である。
【図3】図3は、卵巣癌に罹患する患者の腹水のホスピセルの、HL60を液に添加後の光学顕微鏡画像(倍率20)である。
【図4】図4は、ホスピセルに対するMDA細胞接着の電子顕微鏡画像である。
【図5】図5は、HL60細胞の、アラシチン(aracytin)(AraC)又はダウノルビシン(DNR)への感度に対する固定化細胞の影響を示すグラフである。
【図6】図6は、固定化細胞(「ホスピセル」)の、アラシチン(aracytin)(AraC)又はダウノルビシン(DNR)への感度に対する固定化細胞の影響を示すグラフである。
【図7】図7は、固定化細胞の、抗腫瘍治療において使用される様々な既知の剤への感度を示すグラフである。
【図8】図8は、GPFを発現するOVCAR3細胞により放射される蛍光量を示す(Y軸、不定単位)。当該細胞を、ホスピセルと共に(第一カラム)、単独で(第二カラム)、GFPを発現しないOVCAR3細胞と共に(第三カラム)、線維芽細胞と共に(第四カラム)、又はHBMECと共に(第五カラム)、カルボプラチン及び/又はパクリタキセルの存在下又は不存在下で、培養したものを示す。
【図9】図9は、GPFを発現するOVCAR3細胞により放射される蛍光量を示す(Y軸、不定単位)。該細胞を、ホスピセルと共に(第一カラム)、単独で(第二カラム)、トランスウェルシステムにおいてホスピセルと共に(第三カラム)、カルボプラチン及び/又はパクリタキセルの存在下又は不存在下で、培養したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
腫瘍細胞を固定化できる本細胞は、発明者等に「ホスピセル(Hospicell)」と呼ばており、本明細書中で「固定化細胞」又は「保護細胞」とも呼ばれる。
【0011】
本発明による単離細胞の、腫瘍細胞を固定化する能力は、当業者に周知の多数の技術によって実証することができる。即ち、方法で記載することができ、ここで(i)発明の細胞を容器の壁に固定化する、(ii)腫瘍細胞発現蛍光タンパク質をベッセル中に添加する、(iii)ベッセルを洗浄する、及び(iv)ベッセルから放射される蛍光を測定し、本発明の細胞が固定されているが腫瘍細胞が添加されない壁のコントロールベッセルによる放射と比較する。腫瘍細胞固定化能力は、試験細胞で測定される蛍光の値が、コントロールベッセルの細胞のものより大きい場合に証明される。かかる方法は、以下の実施例で例示する。実施例4及び図1〜3において例示するように、光学又は電気顕微鏡による直接観察を使用する方法で記述することもでき、ここで、本発明の細胞と接触する膜中の腫瘍細胞クラスターを観察する。
【0012】
本発明の細胞は、例えば白血病細胞、乳癌細胞又は卵巣癌細胞等の腫瘍細胞を固定化できる。これらの細胞は、通常サイズが大きく(腫瘍細胞の大きさの約50倍である)、好ましくは、最大200個の腫瘍細胞を同時に固定化できる。
【0013】
「CD10タンパク質」(酵素の国際分類を参照:E.C. 3.4.24.11)は、ネプリライシン、中性エンドペプチダーゼ24.11、又はコモン急性リンパ芽球性白血病抗原(CALLA)の名称でも知られる。これは、膜メタロプロテアーゼであり、30アミノ酸未満のポリペプチドを、塩基性残基の間で優先的に切断する。主に腎臓の、わずかな正常又は悪性のリンパ球前駆細胞、及びいくつかの上皮細胞の表面に存在するものとして記載されている。これは、Shipp et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:4819-4823及び、UniProtKBデータベースの文献P08473に、明確に記載されている。例として、CD10タンパク質を配列番号1として示す。
【0014】
CD10タンパク質の発現は、そのmRNA又はそのRNA前駆体の検出によるか、タンパク質それ自身の検出により決定することができる。CD10のmRNA、又はその前駆体の検出は、当業者に周知の様々な技術、例えばRT−PCR等により実施できる。タンパク質それ自身の検出も、当業者に周知の様々な技術により実施できる。好ましくは、タンパク質それ自身の検出には、例えばフローサイトメトリー、免疫組織化学又は免疫細胞化学等の技術で使用できる、抗体等のCD10の特異的リガンドを使用する。
【0015】
好ましくは、CD10タンパク質の発現レベルは、解剖病理学(anatomopathology)の従来技術により、ペルオキシダーゼ標識抗CD10抗体を用いるパラフィンに含まれるサンプルで評価される場合、その分野の解剖病理学者が強いと考える程度である。
【0016】
本発明の好ましい実施態様によれば、細胞は、上記の細胞はMDRタンパク質を発現する。
【0017】
「MDRタンパク質」なる表現は、少なくとも1つの薬物の能動輸送に影響を及ぼす膜タンパク質のことを言い、それを発現する細胞に多剤耐性を提供できる。MDRタンパク質は特に、Stavrovskaya (1999) Biochemistry (Moscow) 65:95-106 で報告されている。好ましくは、MDRタンパク質は、ABC型タンパク質であり、それを発現する細胞の細胞質から細胞外培地に薬物を輸送する。ABCタンパク質は、ATP結合カセット(ABC)と呼ばれる、少なくとも1つのアデノシン三リン酸(ATP)結合モチーフを含んでなり、当業者に周知である。ABC型タンパク質は特に、Dean et al. (2001) J. Lipid Res. 42:1007-1017 and Szakacs et al. (2006) Nature Reviews Drug Discovery 5:219-234 で報告されている。より好ましくは、ABC型のMDRタンパク質は、サブファミリーABCB、ABCC及びABCGのタンパク質から選択される。
【0018】
好ましくは、MDRタンパク質は、LRPタンパク質(肺耐性タンパク質、別名メジャーボルトタンパク質(Major Vault Protein)(MVP))、MDR1タンパク質(多剤耐性1、別名ABC1、又は糖タンパク質P(Pgp))、MRP1タンパク質(多剤耐性関連タンパク質1、別名ABCC1)、MRP2タンパク質(別名ABCC2)、MRP3タンパク質(別名ABCC3)、MRP5タンパク質(別名ABCC5)、及びMXRタンパク質(ミトキサロン耐性タンパク質、別名ABCG2又は乳癌耐性タンパク質(BCRP))からなる群から選択される。より好ましくは、MDRタンパク質は、LRPタンパク質、MDR1タンパク質、MRP1タンパク質、及びMXRタンパク質からなる群から選択される。特に好ましくは、上記の細胞は、LRPタンパク質及びMDR1タンパク質を同時に発現する。さらにより好ましくは、上記の細胞は、LRPタンパク質、MDR1タンパク質、MRP1タンパク質及びMXRタンパク質を同時に発現する。
【0019】
LRPタンパク質は特に、配列番号2で表される。
MDR1タンパク質は特に、配列番号3で表される。
MXRタンパク質は特に、配列番号4で表される。
MRP1タンパク質は特に、配列番号5で表される。
【0020】
MDRタンパク質の発現は、そのmRNA又はそのRNA前駆体の検出によるか、タンパク質それ自身の検出により決定することができる。MDRのmRNA、又はその前駆体の検出は、当業者に周知の様々な技術、例えばRT−PCR等により実施できる。タンパク質それ自身の検出も、当業者に周知の様々な技術により実施できる。好ましくは、タンパク質それ自身の検出には、例えばフローサイトメトリー、免疫組織化学又は免疫細胞化学等の技術で使用できる、抗体等のMDRの特異的リガンドを使用する。
【0021】
フローサイトメトリーで測定する場合、MDRタンパク質の発現レベルは、以下に従って評価することができる。
(i)MDRタンパク質を対象とする抗体を用いて、本発明の細胞について測定される平均蛍光強度を決定すること;
(ii)(i)と同じ条件下で、MDRを対象とする抗体と同じアイソタイプであるが、本発明の細胞のいずれの抗原も認識しないコントロール抗体を用いて、本発明の細胞について測定される平均蛍光強度及び蛍光標準偏差を決定すること;
(iii)(i)で決定される平均蛍光強度と(ii)で決定されるものを関連付けること;
(iv)(iii)で決定した比率に、Kolmorogov−Smirnov検定を適用すること。
【0022】
Kolmorogov−Smirnov検定では、当業者に周知であり、0〜1まで変化し、2つの分布(ここでは、(i)及び(ii)で測定される平均蛍光強度)の差異を測定できる、通常Dと表される値が得られる。D=0の場合2つの分布は重なり合い、D=1の場合2つの分布は完全に分離する。2つの分布は、D値が0.15以上、好ましくは0.2以上の場合、有意に区別できると考えられる。例として、Legrand et al. (2001) Blood 97:502-508では、Kolmorogov−Smirnov検定の、Pgpタンパク質の発現の評価への適用について報告している。
【0023】
従って、上記の通りに、Kolmorogov−Smirnov検定を用いて測定する場合、本発明の細胞によるMDRタンパク質の発現レベルは、好ましくは0.15超、より好ましくは0.2超である。
【0024】
好ましくは、本発明の細胞による平均発現レベルは、Kolmorogov−Smirnov検定を用いて上記の通りに得られ、
MDR1は0.34、
MRP1は0.57、
MRP2は0.28、
MRP3は0.41、
MXRは0.70、及び/又は
LRPは0.78である。
【0025】
より好ましくは、通常MDRタンパク質を発現しないが同じ型である細胞にとって通常毒性である大量の薬物と、当該細胞を接触させる場合、MDRタンパク質の発現レベルは、かかるタンパク質が提供できる薬物への耐性をそのタンパク質を発現する細胞に有効に提供する程度である。すなわち本明細書においてこれは、耐性を提供する有効な発現レベルとして述べるのに好ましい。
【0026】
好ましくは、上記の単離細胞は、それが発現するMDRタンパク質の1又は複数の複製を、それが固定する腫瘍細胞へ、特にトロゴサイトーシスにより運搬できる。
【0027】
「トロゴサイトーシス」は、ある細胞から別の細胞への分子運搬現象のことを言い、特にJoly & Hudrisier (2003) Nature Immunol. 4:815で報告されている。
【0028】
MDRタンパク質の、本発明の単離細胞から、腫瘍細胞への運搬は、当業者に周知の様々な手法で実証できる。例として、本発明の細胞と接触させる前後に、腫瘍細胞により発現されるMDRタンパク質の免疫検出を行うことができる。
【0029】
好ましくは、上記の単離細胞は、以下のマーかを発現しない:サイトケラチン及びEMA(上皮性膜抗原)(上皮細胞系列特異的)、ビメチン(間葉細胞系列特異的)、CD45(造血細胞、例えば顆粒球、単球並びにB及びTリンパ球等のマーカー)、CD20(Bリンパ球特異的)、CD3(Tリンパ球特異的)、CD68(マクロファージ及び組織球特異的)、CD34(骨髄幹細胞特異的)、S100タンパク質(メラノサイト特異的)、ミエロペルオキシダーゼ(多核系列特異的)。
【0030】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記の単離細胞は、偽足及び/又は糸状仮足を呈する可能性がある。
【0031】
「偽足」又は「糸状仮足」は、細胞膜の膨出のことを言う。偽足は、例えば、共焦点、光学又は電子顕微鏡により見ることができる。
【0032】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、上記の単離細胞は、
骨髄の幹細胞又は単核形成細胞の分化物;又は
癌に罹患する患者の浸出液由来の細胞、
に由来する。
【0033】
好ましくは、本明細書で理解されるように、骨髄幹細胞は、CD34+マーカー及び/又はCD133+マーカーの発現により特徴付けられる。
【0034】
「浸出液」は、通常何も含有しない腔又は組織に蓄積する生体液として解される。例としては、例えば卵巣又は膵臓癌に罹患する患者由来の腹水、又は例えば乳癌に罹患する患者の胸水等が挙げられる。
【0035】
好ましくは、上記の単離細胞は、個体から採取される癌細胞由来のものではない。
【0036】
別の好ましい本発明の実施態様によれば、上記の単離細胞は固定化されている。
【0037】
上記の単離細胞を、当業者に既知の任意の技術で固定化できる。例としては、限定を意図するものではないが、SV40ウイルスT抗原の使用、アデノウイルス2ゲノムのEIA領域の使用、例えばc−myc又はHa−ras等の癌遺伝子の使用、又はヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTRT)又は内因性hTRT遺伝子を活性化する配列の使用が挙げられる。
【0038】
本発明の好ましい実施態様によれば、固定化は、SV40ウイルスT抗原を用いて行う。
【0039】
好ましくは、上記の単離細胞は、ブダペスト条約に基づき、2006年6月20日、CNCMに番号I−3627で寄託された細胞培養物由来である。
【0040】
腫瘍細胞固定化細胞の獲得
本発明は、腫瘍細胞を固定化できる細胞を得るための方法にも関し、当該方法は以下のステップ、
a)骨髄単核形成細胞又は骨髄幹細胞を、細胞分化に適する所定の期間及び培地において培養するステップ;
b)前記培養した細胞が骨髄単核形成細胞である場合、ステップa)において培養した細胞由来の単球を任意に除去するステップ;
c)ステップa)及び、任意にステップb)で得た細胞を、腫瘍細胞と共にインキュベートし、未固定の腫瘍細胞を除去し、及び腫瘍細胞が固定された細胞を回収するステップ、
からなるステップを含んでなる。
【0041】
骨髄単核形成細胞は、特にフィコール密度勾配遠心分離により骨髄から単離できる。ステップa)におけるその培養前に、骨髄単核形成細胞由来の単球を任意に除去できる。骨髄幹細胞、特にCD34+及び/又はCD133+に関しては、例えば抗−CD34又は抗−CD133抗体を用いる免疫固定法により単離できる。
【0042】
ステップa)で使用できる、当業者に周知で、増殖及び分化の因子を含む、骨髄の幹細胞又は単核形成細胞用の培養培地がある。好ましくはこの培養は、事前に0.2%ゼラチンで被覆したボトルの中で行う。例としては、限定する意図はないが、培地MV2、HEM(HEPESバッファ化イーグル培地、DMEM(ダルベッコの修正イーグル培地、GMEM(イーグル培地のグラスゴー修正)、F−12等が挙げられる。好ましくは培地MV2(ECBM MV2、Promocell, Heidelberg, Germany)を使用してもよい。増殖因子は、限定する意図はないが、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EDF)、インスリン様増殖因子(IGF)、脈管内皮増殖因子(VEGF)、形質転換増殖因子(TGF−β)、幹細胞増殖因子(SCGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、又はその誘導体から選択でき、好ましくはこれらの因子の組み合わせを使用してもよい。細胞代謝が要請される培養培地補助物、例えばアミノ酸、アスコルビン酸等のビタミン、鉱物、及びトランスフェリン及びその誘導体等のタンパク質を任意に添加できる。培養培地は、ウシ胎児血清、トリ血清又はウマ血清を含有してもよい。培養培地はまた、酵母、細菌又は真菌等の汚染を回避するために、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン及びその誘導体等の抗生物質を含有してもよい。好ましくは、培養後約6日目に、非接着細胞を除去し、当該細胞を同じ培地で再インキュベーションする。
【0043】
その後細胞を、所望の細胞に含まれる内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞及びその他の細胞に分化するまで、好ましくは約4週間培養した。
【0044】
ステップc)において、ステップa)で培養した細胞を、腫瘍細胞と共にインキュベートする。このステップは、通常はステップa)で培養された接着細胞を回収し、好適な培地、例えばRPMI又はDMEM培地中で懸濁した腫瘍細胞と共にインキュベートすることにより行う。使用される腫瘍細胞は、任意の型の腫瘍細胞でよい。本発明の好ましい実施態様によれば、腫瘍細胞はHL60細胞(ヒト赤白血病系列)である。培養細胞及び腫瘍細胞の培養のインキュベーション時間は、約30分から約4時間の間で変動し、好ましくは約2時間である。インキュベーション温度は、好ましくは37℃である。
【0045】
ステップc)において、通常は培養培地(任意に同じ培地、例えばRPMI培地)で、又は当業者に周知の任意の種類の洗浄溶液でリンスすることにより、未固定の腫瘍細胞を除去する。
【0046】
腫瘍脂肪が固定された細胞を、その後、好ましくは、3000rmから6000rpmの非常に短時間の遠心分離により回収する。
【0047】
続く任意のステップにおいて、腫瘍細胞を、酵素的又は非酵素的な処置(トリプシン、Accutase(登録商標)又はEDTA 2 mMでの処置、その後、勢い良く攪拌しながら、PBS等のバッファで洗浄を繰り返す)により、残存腫瘍細胞が固定される細胞により形成される凝集体から剥離する。
【0048】
例として、ステップb)において、又はステップa)の前に、単球を除去するため、単核形成細胞を、ペトリ皿等の固体支持体に分散させるか、上記の好適な培地中、固体支持体(例えばゼラチン被覆プレート)上で培養する。約15〜30分のインキュベーション後、支持体に接着した単球と、まだ接着していない細胞を回収する。
【0049】
任意に、回収細胞が注目の固定化細胞であることを確認するため、これらを、腫瘍細胞、好ましくはHL60細胞(106 HL60細胞/2×105 接着細胞)と共にインキュベートし、固定された腫瘍細胞の、固定化細胞に対する能力を観察する。
【0050】
本発明はまた、腫瘍細胞を固定できる細胞を得るための方法であって、以下のステップ、
a)癌に罹患する患者の腹水又は胸水から採取される細胞を培養するステップ;
b)ステップa)で培養した細胞から、単球を任意に除去するステップ;
c)ステップa)又はb)で得た細胞を、腫瘍細胞と共にインキュベーションし、未固定の腫瘍細胞を除去し、及び腫瘍細胞が固定された細胞を回収するステップ;又は
d)ステップa)又はb)で得た細胞を固体支持体に置き、当該支持体に最も速く接着する細胞を回収するステップ、
を含んでなる方法に関する。
【0051】
好ましくは、ステップa)で培養前に、浸出液由来の細胞を単離する。さらに好ましくは、ステップa)で培養する前に、浸出液由来の細胞には単球がない。
【0052】
さらに、ステップa)において、使用される培養培地は、当業者に既知の任意の細胞培養培地でもよい。例としては、MV2、RPMI、イスコブ(Iscove)のMDM又はDMEMが挙げられる。培養培地は任意に、例えば上記の増殖因子、例えばアミノ酸等の細胞代謝に必要な補助栄養物、アスコルビン酸等のビタミン、鉱物、及びトランスフェリン及びその誘導体等のタンパク質が挙げられる。培養培地は、ウシ胎児血清、トリ血清又はウマ血清を任意に含有してもよい。培養培地はまた、酵母、細菌又は真菌等の汚染を回避するために、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン及びその誘導体等の抗生物質を含有してもよい。この条件下で、最も早くて培養の初日に固定化細胞が見られる(1〜4日)。
【0053】
ステップb)及びc)、ならびにステップa)の前の単球の除去は、骨髄単核形成細胞又は骨髄肝細胞で記載される通りに実施してもよい。
【0054】
好ましくは、ステップd)において、前述の単球を含まない細胞を固体支持体に置く。当該支持体に固定された細胞を、好ましくはAccutase(商標)で処置し、支持体から最も速く剥離した細胞を回収する。好ましくは、5分以内に剥離した細胞を回収する。
【0055】
細胞を固定する支持体としては、当業者に周知の任意の固体支持体を使用できる。固体支持体の例としては、ガラス、プラスティック、金属、樹脂又は細胞を固定化できるその他の好適な固体支持体が挙げられる。「固体支持体」なる用語は、半固体支持体と考えられる物質も含有する。固体支持体は、任意の好適な状態、例えばビーズ又は微粒子、管、ペトリ皿、顕微鏡スライド等での使用ができる。
【0056】
任意に、回収細胞が、注目の固定化細胞であることを確認するために、これらを、腫瘍細胞、好ましくはHL60細胞(106 HL60細胞/2×105 接着細胞)と共にインキュベートし、固定された腫瘍細胞の、固定化細胞に対する能力を観察する。
【0057】
任意に、上記方法の終点で、得られた細胞を、特に上記の通りに不死化できる。
【0058】
本発明はまた、上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞に関する。
【0059】
上記の単離細胞から作製される、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞由来の細胞培養物は、本発明の一部を形成する。
【0060】
スクリーニング
本発明は、上記の単離細胞、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞の、抗腫瘍化合物のスクリーニングのための使用に関する。
【0061】
ここで「抗腫瘍化合物」は、腫瘍の進行を回避及び/又は低速化できる任意の化合物と解される。特に、抗腫瘍化合物は、腫瘍細胞の死を、直接的又は間接的に、誘導又は促進する化合物である。より具体的には、本発明による抗腫瘍化合物が、インビボにおける腫瘍細胞を保護する細胞の死を、誘導又は促進させることができる。
【0062】
即ち、本発明は抗腫瘍化合物のスクリーニングの方法に関し、ここで
上記の単離細胞、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞は、スクリーニングする化合物を接触させ;
スクリーニングする化合物と接触させる細胞の細胞増殖及び細胞死を決定し;
スクリーニングする化合物と接触していない同じ細胞と比較して、当該化合物が接触した細胞の細胞増殖の減少又は細胞死の増加を誘導する化合物を選択する。
【0063】
有利なことには、本方法によりスクリーニングされた化合物は、本発明による細胞を特異的に標的とする。
【0064】
本発明はまた、抗腫瘍化合物のスクリーニングの方法に関し、ここで、
上記の単離細胞、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞と、腫瘍細胞の共培養物を、スクリーニングする化合物と接触させ;
スクリーニングする化合物と接触させた共培養物の腫瘍細胞の、細胞増殖及び細胞死を決定し;
スクリーニングする化合物と接触していない、上記の単離細胞、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞との共培養物における腫瘍細胞と比較して、共培養物の腫瘍細胞の、細胞増殖の減少又は細胞死の増加を誘導する化合物を選択する。
【0065】
有利なことには、本方法は、本発明の細胞により提供される抗腫瘍剤への耐性が障壁となる抗腫瘍作用を有する化合物のセレクションが可能である。
【0066】
本発明はまた、抗腫瘍化合物のスクリーニングの方法に関し、ここで、
スクリーニングする化合物を、上記の単離細胞、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞、及び腫瘍細胞と接触させ;
上記の単離細胞、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞により固定される腫瘍細胞量を決定し;
スクリーニングされる化合物の不存在下で、上記の単離細胞、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞により固定される腫瘍細胞の量と比較して、上記の単離細胞、又は上記の方法の1つにより得られる可能性のある細胞により固定される腫瘍細胞の量の低減を誘導する化合物を選択する。
【0067】
この方法により、本発明の細胞による腫瘍細胞の固定化、及びその結果本発明の細胞により腫瘍細胞に提供される保護を阻害する化合物のセレクションが有利に可能となる。従ってこれらの化合物は、抗腫瘍化合物に対する腫瘍細胞の感度を上昇させる。
【0068】
「細胞死」は、アポトーシス、壊死、又は細胞死を誘導するその他の任意のメカニズムと解される。好ましい実施態様によれば、アポトーシスにより細胞死を誘導する候補化合物の能力を決定する。当業者に周知の任意の技術は、細胞死を測定するために使用することができる。以下の技術は、例として挙げることができるが、限定する意図はない。アネキシンVでの標識、トリパンブルーの使用、ヨウ化プロピジウムの使用、TUNEL(トランスフェラーゼdUTPニックエンド標識)アッセイ、DNA分解の産物の評価付け、カスパーゼの測定(定量的評価付けと活性による評価)等がある。
【0069】
上記スクリーニング方法において、使用される腫瘍細胞は、任意の腫瘍細胞であってよい。このましい実施態様によれば、腫瘍細胞は、HL60(ヒト赤白血病系列)又はMDA−MB−231細胞(ヒト乳癌系列)又は、患者自身の細胞(例えば卵巣癌)である。
【0070】
スクリーニングされる化合物は、化学療法剤として既に確認されているか、開発又は特徴づけの過程であるかに関係なく、天然又は合成由来の任意の化合物があり得る。それは、複数の同定済み、又は未同定分子の混合物でもよく、例えば動物又は植物起源の抽出物でもよい。
【0071】
本発明による細胞は、一般的な抗腫瘍治療に有効な候補化合物を見つける従来の方法を最適化するため、ハイスループットスクリーニングプロトコル(HTS)で行う。
【0072】
さらに、本発明の細胞は、癌に罹患する各個体への最も適切な治療を提供するために、所与の個体のための抗腫瘍治療の候補化合物の有効性を試験するために使用してもよい。これに関して、候補化合物として1パネルの化学療法剤を、患者自身から採取した腫瘍細胞と共に、本発明の固定化細胞の存在下で試験することには利点がある。
【0073】
特定の実施態様によれば、スクリーニング試験で使用する固定化細胞は、患者自身から採取する。
【0074】
診断
本発明は、インビトロでの癌の診断のための方法に関し、ここで当該方法は、腫瘍を含む疑いのある組織由来のサンプルにおける、上記の単離細胞の存在を決定し、上記の単離細胞の存在が腫瘍の存在の指標となる方法である。
【0075】
実際、発明者等により示されたように、組織における本発明による細胞の存在は、一般的に近傍に腫瘍細胞が存在することを意味する。
【0076】
以下の実施例及び図は、本発明の範囲を逸脱することなくそれを例示するものである。
【実施例1】
【0077】
実施例1:骨髄肝細胞から得るホスピセル
CD34+細胞を、正常(又は病気の)骨髄サンプルから、Ficoll-400での密度勾配遠心分離により単離した。当該単離細胞を、0.2%ゼラチンで被覆した培養ボトルに分散させ、アンホテリシンB 50 ng/ml、ゲンタマイシン 50 μg/ml、アスコルビン酸 1 μg/ml、ヒト線維芽細胞増殖因子(h−FGF) 10 ng/ml、ヒト上皮増殖因子(h−EGF) 5 ng/ml、Long R3 IGF−1(インスリン様増殖因子) 20 ng/ml、ヒト脈管内皮細胞増殖因子(h−VEDF) 10 ng/ml及び5%のウシ胎児血清を補った、MV2培地(ECBM MV2、Promocell, Heidelberg, Germany)で培養した。
【0078】
培養から6日後、非接着細胞を除去し、同じ組成(上記の通り)の新鮮な選択培地で、接着細胞をさらに3週間培養した。
【0079】
得られた接着細胞を、RPMIで洗浄し、その後Accutase(登録商標)で急速にインキュベーションすることにより剥離させた。剥離した細胞を、RPMIで洗浄し、その後、以下のいずれか一方を行う。
グルタミン及び抗生物質含有のRPMIに再懸濁させ、その後赤白血病由来の不死化HL60細胞と共にインキュベーションした。4℃で120分穏やかに攪拌しながらインキュベーションした後、細胞懸濁物を6000rpmで数秒遠心分離すると(「遠心分離パルス(centrifugation pulse)」)、HL60細胞を固定したホスピセルが遠心分離ペレットあった。管の底にある細胞は、培養培地(RPMI+ウシ胎児血清+グルタミン+抗生物質)に再懸濁し、0.2%ゼラチンで被覆したプレート上に播種した。
又は、ゼラチンで被覆され、ウシ胎児血清、グルタミン及び抗生物質を含有するRPMI培地を含む6ウェルプレートに置いた。細胞インキュベーターでインキュベーション後、赤白血病由来の不死化HL60細胞をウェルに添加した。
【0080】
細胞インキュベーターでインキュベーション後、細胞をRPMIで洗浄し、その後Accutase(登録商標)を添加した。5分以内に剥離した細胞は、HL60細胞を固定する細胞であり、10分及び15分以内に剥離した細胞は、HL60細胞を固定していない細胞である。5分以内に剥離した細胞を回収し、ゼラチンで被覆した別の6ウェルプレートに播種した。HL60細胞をウェルの1つに添加し、インキュベーション後、細胞を洗浄し、HL60細胞固定化の操作を繰り返した。最終的に、ウェルにAccutase(登録商標)を添加し、5分以内に剥離した細胞を回収し、完全RPMI培地で培養した。これらの条件下で得られた細胞が、本発明の細胞又は「ホスピセル」である。
【実施例2】
【0081】
実施例2:卵巣癌に罹患する患者の腹水から得られるホスピセル
卵巣癌に罹患する患者の腹水を、生検体套管針を用いて採取した。腹水の単核形成細胞は、フィコール密度勾配遠心分離で単離した。単離した単核形成細胞を培養プレートのウェルに播種した。30分インキュベーションした後、プラスティックに接着する単球と、接着していない細胞を回収し、ゼラチン被覆培養プレートに置いた。その後ホスピセルを実施例1に従って単離した。
【0082】
ウシ胎児血清、グルタミン及び抗生物質で富化したRPMIに懸濁させた腹水に存在する細胞の小クラスターを、ゼラチン被覆培養プレートに置くことにより、腹水から直接的にホスピセルを得ることもできる。
【0083】
あるいは、ホスピセルは、段階IIIの卵巣癌に罹患する患者から得た腹水に存在する細胞凝集体から得た。簡単に言うと、細胞ペレットを得るために腹水を遠心分離した。細胞ペレットを、フィコール密度勾配遠心分離により、リンパ球及び赤血球を含まない状態にし、その後ホスピセルの凝集体及び卵巣癌細胞を、希釈により分離した。その後、トリプシン消化によりホスピセルを卵巣癌細胞から剥離させた。
【実施例3】
【0084】
実施例3:ホスピセルの表現型特徴
以下の従来的な膜マーカーの、ホスピセルによる発現を、免疫組織化学により観察することはできなかった。サイトケラチン(抗体KL1、Beckman Coulter)、EMA (抗体 E29, Dako) (上皮細胞系列特異的)、ビメンチン(抗体 V9, Beckman Coulter) (間葉細胞系列特異的)、CD45(抗体 2b11及びPD7/26, Dako) (造血細胞特異的)、CD20(抗体 L26, Dako) (Bリンパ球特異的)、CD3 (抗体 SP7, Neomarkers) (Tリンパ球特異的)、CD68 (抗体 KP1及びPG−M1, Dako) (マクロファージ及び組織球特異的)、CD34(抗体 OBend10, Dako) (血液肝細胞特異的)、S100タンパク質(ポリクローナル抗体, Dako) (メラノサイト特異的)、ミエロペルオキシダーゼ(ポリクローナル抗体, Dako) (多核系列特異的)がある。
【0085】
ただし、CD9タンパク質(抗体56C6, Novocastra)及びCD10タンパク質(Novocastra)は、ポジティブであることがわかった。
【0086】
簡単に言うと、免疫組織化学は、4μmの薄さのパラフィン組織で行う。抗体とのインキュベーションの前に、EDTAバッファ(pH8)中で加熱することによる抗原を予備的に回収する技術が用いられる。適切に希釈した抗体を、30分インキュベートし、その後ストレプトアビジン−ビオチン複合体を用いて明らかにする。その後、その切片をヘマトキシリンで対比染色する。この技術全体は、Autostainer システム(Dako)で自動的に実施できる。
【実施例4】
【0087】
実施例4:癌細胞のホスピセルへの固定化の実証
a)骨髄肝細胞から得られたホスピセルに対して
実施例1のプロトコルに従って得たホスピセルを、HL60赤白血病細胞の存在下、RPMI培地で培養した。
【0088】
HL60細胞はホスピセルに接着し、培養培地中に細胞クラスター形成する。4時間後、固定化細胞が4〜8細胞を固定するのを観察した(図1)。36時間後、悪性細胞の小結節が、ホスピセルの周囲に形成された(図2)。
【0089】
b)卵巣癌に罹患する患者の腹水に存在するホスピセルに対して
卵巣癌に罹患する患者の腹水を、生検体套管針を用いて採取した。ウシ胎児血清、グルタミン及び抗生物質で富化したRPMIに懸濁させた腹水に存在する細胞の小クラスターを、ゼラチン被覆培養プレートに置くことにより、腹水から直接的にホスピセルを得ることもできる。腫瘍細胞を固定した腹水に既に存在する固定化細胞の細胞クラスターを、光学顕微鏡を用いて観察した。
【0090】
液の一部を、HL60細胞の存在下、ウシ胎児血清、グルタミンを富化したRPMIで1日培養した。図3は、細胞を固定するように、卵巣癌細胞と添加したHL60細胞を固定する結合部を示す。
【0091】
さらに、腹水の細胞凝集体から得たホスピセルは、光学顕微鏡で特定の構造を示す。実際にこれらの細胞は、「細胞糸」の一種をである長い偽足を作り出す。さらに、卵巣癌細胞とホスピセルとの相互作用は、共焦点顕微鏡により見ることができる。ここで、ホスピセルは、同時に複数の癌細胞と相互作用を確立できる大きさサイズの細胞として現れ、言わば癌細胞のハンモックを提供する。
【0092】
さらに、卵巣癌に罹患する患者の腹膜生検体で行われる、CD10マーカーを用いる免疫組織化学的実験から、癌性細胞凝集体周囲にホスピセルが存在し、そのホスピセルが凝集体周囲にスレッド(thread)を形成することを示した。
【0093】
最終的に、電気顕微鏡により腹水の細胞凝集体の分析から、これらが癌細胞と相互作用するホスピセルを形成することが示される(図4)。癌細胞との相互作用の可能性を高める偽足をホスピセルが作り出すことを観察できた。ホスピセル及び癌細胞のプリモカルチャー(primoculture)を行う、より正確な観察から、2つの細胞型の間に、膜融合の同じ(punctual)領域が示された。
【実施例5】
【0094】
実施例5:ホスピセルとHL60細胞又はMDA−MB 231細胞との相互作用
発明者等は、ホスピセルと腫瘍細胞との相互作用に基づく、作用メカニズムの実証を試みた。
【0095】
a)HL60の固定化に関与するタンパク質
HL60細胞を、6つの異なる条件下、RPMI培地でインキュベートした。
HL60細胞単独(コントロール)
HL60細胞+抗アレスチン抗体(コントロール抗体)
HL60細胞+RGD(Arg−Gly−Asp、インテグリンコンセンサス配列、これはインテグリン依存性接着を部分的に阻止する)
HL60細胞+抗CD11a抗体
HL60細胞+抗CD49d抗体
HL60細胞+抗CD11a抗体+抗CD49d抗体
HL60細胞+抗CD11a抗体+抗CD49d抗体+RGD
【0096】
各条件について、HL60細胞を別々に、且つ同じ量ずつ、完全RPMI培地を含有する6つの異なるウェルに入れ、支持体に接着させる細胞を固定した。腫瘍細胞とホスピセルの比率は、5/1であった。37℃で24時間インキュベーションした後、接着しなかったHL60細胞を除去し、計数した。その後、ホスピセルに接着したHL60細胞の割合を、各条件で計算した。
【0097】
この結果から、事前に、HL60細胞を、抗CD11a又は抗CD49d抗体と、又はRGDとインキュベーションすることは、HL60細胞のホスピセルへの接着を部分的にブロックしたことが示される。ブロックは、HL60細胞を、抗CD11a抗体及び抗CD49d抗体と同時にインキュベーションした場合により大きくなる。これらの結果は、CD11a及びCD49dインテグリンが、HL60細胞とホスピセルとの間の接着に関与することを示す。
【0098】
b)MDAの固定化に関与するタンパク質
ローダミンで標識したMDA−MB 231細胞を、3つの異なる条件下、完全RPMI培地でインキュベートした。
MDA細胞単独(コントロール)
MDA細胞+抗SDF1抗体;SDF1は、CXCR4のリガンドであり、骨髄で乳癌転移の形成を促進するサイトカインである)
MDA細胞+抗CXCR4抗体
【0099】
各条件のMDA細胞を、別々に、同じ量で(1ホスピセル当たり5つの癌細胞)、RPMI培地と支持体に接着させるホスピセルを含有する3つの異なるウェルに入れた。4℃で2時間インキュベーションした後に、接着しなかったMDA細胞を除去し、プレートフルオリメーター(plate fluorimeter)(Victor fluorimeter)を用いて蛍光を測定することにより、各条件でホスピセルに接着した細胞量を決定した。
【0100】
この結果から、事前に、MDA細胞を、抗CXCR4抗体とインキュベーションすることにより、コントロールと比較して顕著な接着の低減が誘導されることが示される。
【0101】
これらの結果は、CXCR4が、MDA腫瘍細胞の表面でインテグリンの発現を調整し、インテグリンが、腫瘍細胞を本発明の細胞に固定するのに役立つ可能性があることを示す。
【実施例6】
【0102】
実施例6:化学療法で使用される剤に対抗するHL60細胞への、ホスピセルの保護的効果
アラシチン(AraC)又はダウノルビシン(DNR)への暴露後に、ホスピセルに固定されたHL60細胞の増殖
RPMI培地中でホスピセルと共に培養されたHL60細胞を、アラシチン(AraC)又はダウノルビシン(DNR)で5日間処理した。
【0103】
処理後5日目に、薬物を除去し、細胞を再び新鮮な培地で培養した。
生きているHL60細胞の数は、画像解析システムを用いる実験で測定した。
【0104】
結果からは、AraC又はDNRで処置すると、遊離のHL60細胞は死に、ホスピセルに固定すると、これらはもはや検出不能であることが示される。ただし、処置の終了後は、遊離のHL60細胞は増殖しなかったが、ホスピセル上の生きているHL60細胞は同一であることに留意する。細胞のこの「再増殖(regrowth)」効果は、ダウノルビシンよりもアラシチンを用いた場合のほうが大きく、この違いはホスピセルに対するダウノルビシンの毒性に関連する。
【0105】
これらの結果は、AraC及びDNRでの処置の後、遊離のHL60細胞は死ぬが、固定化細胞に結合した細胞は、生存し続けることも、処置の終了後に増殖することもあると示す。
【0106】
生細胞の評価の例を、図5及び6に示す。
【実施例7】
【0107】
実施例7:抗腫瘍化学療法において使用される様々な既知の剤に対するホスピセルの感度
不死化ホスピセル(M16)を、アドリブラスチン(adriblastin)、ブレオマイシン、デチセン(deticene)、フルオロウラシル、ナベルビン、タキソテール又はロイスタチンを添加したRPMI培地中で、1〜3日インキュベーションした。
【0108】
その後、この細胞をAccutase(登録商標)で検出し、アポトーシスにおける細胞の数をアネキシンVで検出した。その後、アポトーシス細胞の割合を、フローサイトメトリーで検出した(図7)。
【0109】
結果から、ホスピセルは多数の薬物の作用に対する感度が不良であることが示された。
【実施例8】
【0110】
実施例8:ホスピセルとOVCAR3細胞との相互作用
その後、ホスピセルと癌細胞との相互作用の特異性を、卵巣癌系列OVCAR3(Manetta et al. (1988) Eur. J. Gynaecol. Oncol. 9:222-7)の細胞を用いて実証した。プリモカルチャー由来のホスピセルと、GFP発現OVCAR細胞(緑色蛍光タンパク質)との間における接着アッセイを行った。選択されたネガティブコントロールは、微小環境細胞として文献に記載される細胞型、つまり線維芽細胞及び骨髄内皮細胞(HBMEC)を表す。OVCAR3細胞の接着から、ホスピセル−OVCAR3細胞の特異的接着をこれらの中で区別できるように、GFPを発現しないOVCAR3細胞も使用した。
【0111】
GFP発現OVCAR細胞は、De Vos et al. (2003) Human Gene Ther. 10:1727-1739に記載の、VSV−Gタンパク質を輸送し、主にGFPコード配列を含むRPVウイルス(Ross River Virus)由来のトランスフェリンにより得た。OVCAR3細胞を、形質移入の24時間前に直径35 mmの培養皿に広げた。その後、細胞を100:1で多様に感染させたウイルスで形質移入し、そのウイルス溶液の力価は、Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037に記載のNIH3細胞で決定した。形質移入の48時間後、GFPの発現を、FACScan装置(Becton Dickinson)でのフローサイトメトリーにより確認した。
【0112】
接着アッセイを以下の通りに実施した。0.2%ゼラチンを含有する96ウェル細胞培養皿を、70%コンフルエンスで、ホスピセルで被覆した。その後、GFP発現OVCAR細胞を、200 μlの無血清培地中1ウェル当たり5.104細胞で播種し、37℃で2時間接着させた。PBS穏やかに洗浄することにより非接着細胞を除去し、その後、細胞の接着量を、Wallac Flite fluorimeter (560 nmで測定)を用いて、各ウェルの蛍光を測定することにより決定した。各条件について、平均細胞密度及び標準偏差を、6ウェルについて得たデータから計算した。実験4回繰り返した。
【0113】
得られた結果は、ホスピセルの接着は、癌細胞に特異的であることを示す。さらに、OVCAR3細胞は、それ自身同士での有意な接着は示さず、腹水凝集体の形成におけるホスピセルの役割を補強することがわかる。最終的に、OVCAR3へのホスピセルの接着は、細胞骨格に関連する活性接着を示す、ワートマニンにより阻害される。
【0114】
第二に、発明者等は、ホスピセルが、化学療法抵抗性をそれが結合する細胞に与える程度について調べた。
【0115】
簡単に言うと、ホスピセルを60%のコンフルエンスで培養した。その後、2.104 のGFP発現OVCAR3細胞を、ホスピセルと共に24時間共培養し、その後、化学療法剤(カルボプラチン22.2 μM及びパクリタキセル1.4 μM)と接触させた。化学療法の効果を、Skehan et al. (1990) J. Natl. Cancer Inst. 82:1107-1112に記載のスルホローダミンB(SRB)で、比色定量アッセイを用いて決定した。SRBのピンク色を、540 nmでの吸収を測定することにより定量化した。各条件について、平均細胞密度及び標準偏差を、6つウェルについて得たデータから計算した。実験は3回繰り返した。
【0116】
ホスピセルとOVCAR3細胞との共培養は、耐性プロファイルにおいて、使用する治療剤によって、OVCAR3細胞単独と比較して2.2〜2.5倍異なる化学療法抵抗性をもたらした(図8)。
【0117】
さらに、他の細胞型(線維芽細胞、HBMEC)との共培養は、全く保護作用をもたらさなかった(図8)。
【0118】
最後に、ホスピセルとOVCAR3細胞の培養培地を自由に循環させることができるが、ホスピセルとOVCAR3との接触は排除される(トランスウェル系)共培養実験から、細胞間における直接的接触は、化学療法耐性の獲得に必要であり、化学療法耐性は、全く可溶性因子を介さないことを示す(図9)。
【実施例9】
【0119】
実施例9:ホスピセルによるMDRタンパク質の発現
MDR1タンパク質は、とりわけ腫瘍細胞におけるパクリタキセルへの化学療法耐性の獲得に関与することが知られている。結果的に、その後MDRタンパク質の発現が調べられる。
【0120】
ホスピセル内にMDRタンパク質をコードするmRNAの発現を、初めにRT−PCRにより確認した。次に、当該タンパク質の発現レベルを免疫蛍光法及びフローサイトメトリーにより分析した。
【0121】
免疫蛍光法については、ホスピセルを、6ウェルプレート(Nunc)中のガラスのカバースライド上に、10%FCSを添加いたRPMI培地中8.104細胞/ウェルの密度で置いた。48時間後、48時間かけて細胞を血清から分離した。その後、ホスピセルを3%パラホルムアルデヒドで固定し、PBS中の0.1% Triton X-100に浸漬させた。その後、ホスピセルを、MDRタンパク質を対象とする一次抗体と共に、PBS−SAB−Triton 1% 混合物中、4℃で一晩インキュベートした。その後、ビオチン化二次抗体、及びフルオレセイン(Molecular Probes)を結合させたストレプトアビジンを、一次抗体を標識するために使用した。MRP1、MRP2、MRP3及びLRPを対象とする抗体は、Alexisより購入した。MDR1を対象とする抗体は、Immunotechより購入した。その後、Axiophot蛍光顕微鏡(Zeiss)でホスピセルを観察し、Princetonカメラを用いてその画像を撮影した。
【0122】
フローサイトメトリーについては、MDRタンパク質の発現を、EPICS Altra フローサイトメトリー装置(Beckman Coulter)で、Intraprep permeabilization kit (Beckman-Coulter)を用いてその製品指示書に従い、上記と同じ抗体を用いて決定した。
【0123】
免疫蛍光法の結果から、ホスピセルによるMDR1、LRP及びMXRの発現が示される。さらに、フローサイトメトリーのデータは、MDR1、MRP1、MRP2、MRP3、MXR及びLRPタンパク質が、ホスピセルにより発現されることを示し(表1)、特にMDR1及びLRPタンパク質の発現レベルが高く、このいずれもが、カルボプラチン及びパクリタキセル耐性に関与することが知られている。発現レベルは、抗MDR抗体を用いて測定された平均蛍光強度と、抗MDRと同じアイソタイプの抗体であるがホスピセルに対する特性性を持たない抗体の存在下で測定されたものと関連させることにより決定され、その後、Kolmorogov-Smirnov検定を適用する(Legrand et al. (2001) Blood 97:502-508)。
【0124】
【表1】

【0125】
これらの観察は、フローサイトメトリーによる、ホスピセルにより発現されるMDRタンパク質の機能性を決定することにより完了させた。
【0126】
この機能性は、ローダミンをプローブとして使用するMDR1タンパク質のために確立された。さらに、プローブの輸送は、シクロスポリン(MDR1タンパク質阻害因子)により阻害された。LRP及びMXRタンパク質の機能性を確認することもできた。
【0127】
ホスピセルにより提供される化学療法耐性におけるMDRタンパク質の役割を、カルボプラチン及びパクリタキセルの存在下、ホスピセルとOVCAR3細胞の上記共培養実験を繰り返し、培養培地にベラパミル(1.4 μM)をMDR1タンパク質阻害因子として添加することにより確認した。
【0128】
この阻害因子の添加は、ホスピセルにより提供される、OVCAR3細胞に対する化学療法耐性を劇的に低減し、この耐性におけるMDRタンパク質の関与を実証した。
【0129】
さらに、ホスピセルの存在下又は不存在下で培養した、OVCAR3細胞によるMDR1タンパク質の発現は、フローサイトメトリーにより決定した。
【0130】
得られた結果は、OVCAR3細胞によって、MDR1タンパク質の存在を示す。結果的に、MDRタンパク質の、ホスピセルと腫瘍細胞との間の輸送は可能である。さらに、その輸送はまた、腫瘍細胞におけるこれらのタンパク質の翻訳の活性化よりむしろ、ホスピセルからの能動輸送を示す、タンパク質翻訳阻害因子(シクロヘキシミジンA)の存在下で行われる。
【0131】
最後に、発明者等は、ホスピセルが膜断片を、これらが相互作用する腫瘍細胞へ輸送できること示すことができた。
【0132】
このために、発明者等は、Poupot et al. (2003) J. Immunol. 171:2517-2523に記載の、トロゴサイトーシスの評価アッセイを修正した。
【0133】
簡単に言うと、ホスピセル又はOVCAR3細胞を、緑色親油性フルオロフォアPKH67で、その製品の指示書に従って染色した。その後、染色細胞を非染色細胞と共に、0分、3分及び3時間、共培養した。共培養は、10%FCSを添加した120 μlの完全RPMI1640培地中、6 x 105 細胞の終濃度で、U形底の96ウェル培養プレート中で行った。その後、細胞間の接触を促進するために、培養プレートを700rpmで1時間遠心分離し、その後、37℃、5%CO2含有の湿環境に1時間そのまま置いた。細胞を、0.5 mM EDTAを添加したPBSで2回洗浄し、DIVAソフトウェアを具備するLSRII(BD Biosciences)を用いるフローサイトメトリーにより分析した。
【0134】
0、3分、又は3時間のインキュベーションでの、未標識細胞のPKH67の平均蛍光強度(mfi)の比較から、共培養に従う連続的な増加が示される。従って、癌細胞は共培養後に蛍光の増強を示し(211〜3660 mfi)、これは、癌細胞がホスピセル由来の膜断片を獲得したことを示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD10タンパク質及び少なくとも1つのMDRタンパク質を発現する、腫瘍細胞を固定できる単離細胞。
【請求項2】
前記MDRタンパク質が、LRPタンパク質(肺耐性タンパク質(Lung Resistance Protein))、MDR1タンパク質、MRP1タンパク質、MRP2タンパク質、MRP3タンパク質、MRP5タンパク質及びMXRタンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の単離細胞。
【請求項3】
偽足を呈する可能性のある、又は呈する、請求項1又は2に記載の単離細胞。
【請求項4】
骨髄の、幹細胞又は単核形成細胞の分化物;又は
癌に罹患する患者の浸出液の細胞、
由来の、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離細胞。
【請求項5】
不死化された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離細胞。
【請求項6】
ブダペスト条約に基づき、2006年6月20日、CNCMに番号I−3627で寄託された細胞培養物由来の、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離細胞。
【請求項7】
腫瘍細胞を固定できる細胞を得るための方法であって、以下の、
a)骨髄単核形成細胞又は骨髄幹細胞を、細胞分化に適する所定の期間及び培地において培養するステップ;
b)前記培養した細胞が骨髄単核形成細胞である場合、ステップa)において培養した細胞由来の単球を任意に除去するステップ;
c)ステップa)及び、任意にステップb)で得た細胞を、腫瘍細胞と共にインキュベートし、未固定の腫瘍細胞を除去し、及び腫瘍細胞が固定された細胞を回収するステップ、
からなるステップを含んでなる方法。
【請求項8】
腫瘍細胞を固定できる細胞を得るための方法であって、以下の、
a)癌に罹患する患者の腹水又は胸水から採取される細胞を培養するステップ;
b)ステップa)で培養した細胞から、単球を任意に除去するステップ;
c)ステップb)で得た細胞を、腫瘍細胞と共にインキュベートし、未固定の腫瘍細胞を除去し、及び腫瘍細胞が固定された細胞を回収するステップ;又は
d)ステップb)で得た細胞を固体支持体に置き、当該支持体に最も速く接着する細胞を回収するステップ、
からなる方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法により得られる可能性がある細胞。
【請求項10】
抗腫瘍化合物のスクリーニングにおける、請求項1〜6又は9のいずれか1項に記載の細胞の使用。
【請求項11】
抗腫瘍化合物のスクリーニングのための方法であって、ここで、
請求項1〜6又は9のいずれか1項に記載の細胞を、スクリーニングする化合物と接触させ;
前記スクリーニングする化合物と接触させた細胞の、細胞増殖及び細胞死を決定し;
前記スクリーニングする化合物と接触していない同じ細胞と比較して、当該化合物が接触した細胞の、細胞増殖の減少又は細胞死の増加を誘導する化合物を選択する、方法。
【請求項12】
抗腫瘍化合物のスクリーニングのための方法であって、ここで、
請求項1〜6及び9のいずれか1項に記載の細胞、及び腫瘍細胞の共培養物を、スクリーニングする化合物と接触させ;
前記スクリーニングする化合物と接触させた共培養物の腫瘍細胞の、細胞増殖及び細胞死を決定し;
前記スクリーニングする化合物と接触していない、請求項1〜6及び9のいずれか1項に記載の細胞との共培養物中の腫瘍細胞と比較して、共培養物の腫瘍細胞の、細胞増殖の減少又は細胞死の増加を誘導する化合物を選択する、方法。
【請求項13】
抗腫瘍化合物のスクリーニングのための方法であって、ここで、
スクリーニングする化合物を、請求項1〜6及び9のいずれか1項に記載の細胞、及び腫瘍細胞と接触させ;
請求項1〜6及び9のいずれか1項に記載の細胞により固定される腫瘍細胞の量を決定し;
スクリーニングされる化合物の不存在下で請求項1〜6及び9のいずれか1項に記載の細胞により固定される腫瘍細胞量と比較して、請求項1〜6及び9のいずれか1項に記載の細胞により固定される腫瘍細胞量の低減を誘導する化合物を選択する、方法。
【請求項14】
腫瘍を含む疑いのある組織由来のサンプルにおける、請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離細胞の存在を決定する、インビトロ(in vitro)における癌の診断方法であって、当該単離細胞の存在が腫瘍の存在の指標となる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−531150(P2010−531150A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514072(P2010−514072)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051188
【国際公開番号】WO2009/007618
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(504317743)ユニベルシテ ピエール エ マリー キュリー(パリ シズエム) (18)
【Fターム(参考)】