説明

腰ベルト

【課題】伸縮性が極めて高く、装着した状態でスポーツをしたり家事を行ったりするのに好適な腰ベルトを提供する。
【解決手段】腰ベルト1は、長尺な帯状のベルト本体2と、そのベルト本体2を丸めた状態で保持するための面ファスナー3とによって構成されている。そして、ベルト本体2は、約5.0倍に発泡させた発泡クロロプレンゴムからなるコア部材5の表層に、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維とを混繊させて平編みし表面に起毛処理を施した織布からなる表層部材4を、クロロプレンゴム系のバインダーによって貼り合わせることによって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰痛の予防、治療等の目的で腰部に捲回させて着用する腰ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
腰痛を予防したり治療したりするための方法として、腰部の外周にその動きを制限するための長尺な帯状の腰ベルトを巻き付ける方法が知られている。かかる腰ベルトとしては、従来は、もっぱら伸縮性を有さないものが用いられていたが、近年では、特許文献1の如く、長尺なゴムシートを利用した伸縮性を有するものも開発されている。
【0003】
【特許文献1】実開平05−24017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、天然ゴムや合成ゴムからなるゴムシートを利用した従来の腰ベルトは、いずれも、ベルト本体の伸縮性が不十分であり、きつく締め付けた場合には腰部を完全に固定することが可能であるものの、腰痛予防のために装着した状態でスポーツをしたり家事を行ったりするには不向きであった。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の腰ベルトが有する問題点を解消し、伸縮性がきわめて高く、装着した状態でスポーツをしたり家事を行ったりするのに好適な腰ベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、帯状のベルト本体とそのベルト本体を丸めた状態で保持するための係着部材とからなる腰ベルトであって、前記ベルト本体が、発泡クロロプレンゴムの表面に、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維とからなる織布を貼り合わせたものであることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記ベルト本体に、多数の通気孔が散点状に穿設されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、前記係着部材が、先端をフック状に形成した多数の突起体を植設した面ファスナーからなるものであるとともに、前記織布の表面が、起毛処理されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された腰ベルトは、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維とからなる織布を発泡クロロプレンゴムの表面に貼り合わせることによってベルト本体が形成されているため、面内のどの方向に対しても伸縮性がきわめて高く、装着した状態でスポーツをしたり家事を行ったりするのに好適であり、高いフィット感を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載された腰ベルトは、ベルト本体に多数の通気孔が穿設されているため、装着した状態でスポーツや家事をする場合の通気性がきわめて良好である。加えて、製造時には、穿設する通気孔の大きさを変化させることによって、伸縮性を容易に調整することが可能である。
【0011】
請求項3に記載された腰ベルトは、係着部材が面ファスナーによって構成されているとともに、織布の表面が起毛処理されているため、腰部の周りに捲回させた状態で保持する際における織布に対する係着部材の係着力が高く、位置ずれを起こしにくい。また、長期間使用した場合でも、織布に対する係着部材の係着力が低下しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の腰ベルトの一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
[腰ベルトの構成]
図1は、腰ベルトの表面および裏面を示したものである。腰ベルト1は、帯状のベルト本体2と、そのベルト本体2を丸めた状態で保持するための係着部材として機能する面ファスナー3とによって構成されている。
【0014】
ベルト本体2は、約170mmの幅で約1,000mmの長さを有する長尺な帯状に形成されている。また、図2は、ベルト本体2の断面を示したものであり、ベルト本体2は、コア部材5の表層に表層部材4を貼り合わせた二層構造を有している。コア部材5は、約5.0倍に発泡させた発泡クロロプレンゴムによって形成されており、約4.0mmの厚みを有している。一方、表層部材4は、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維とを混繊させて平編みし、表面に起毛処理を施すことによって形成されており、約0.5mmの厚みを有している。また、表層部材4におけるナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維との混合比(重量比)は、約95:5に調整されている。当該表層部材4は、クロロプレンゴム系の樹脂からなるバインダーによって、コア部材5の表面に接着されている。
【0015】
また、ベルト本体2の四隅は、R状に面取りされた状態になっており、左右および上下の外周に、ナイロンによって形成された一定幅のテーピング生地8が縫い付けられており、ベルト本体2の外周縁際を覆った状態になっている。さらに、ベルト本体2の裏側の略中央には、使い捨てカイロ等を入れておくためのポケット6が形成されている。当該ポケット6は、ポリエステル繊維からなる厚さ約0.5mmの長方形状の織布によって形成されており、下縁が上記したテーピング生地8とともにコア部材5の裏面に縫い付けられており、側縁は、左右に配置された帯状のストリップとともに、コア部材5の裏面に縫い付けられている。
【0016】
一方、ベルト本体2の右端縁の裏面には、係着部材として機能する面ファスナー3が固着されている。当該面ファスナー3は、先端をフック状に形成した多数の突起体を織布に植設したものであり、コア部材5を内側にするようにベルト本体2を丸めた際に、表層部材4に対して剥離自在に係着させることができるようになっている。なお、このような面ファスナーとしては、たとえば、クラレ社製マジックテープ(登録商標)等を好適に用いることができる。当該面ファスナー3は、表層部材4、コア部材5と同一の幅を有しており、約100mmの長さを有している。そして、上下左右の周縁際が、コア部材5の裏面に縫い付けられた状態になっている。加えて、ベルト本体2の左右には、直径約4.0mmの円形の通気孔が、30個ずつ、上下5列の千鳥格子状に規則正しく穿設されている。
【0017】
[腰ベルトの作用・効果]
上記の如く構成された腰ベルト1は、裏面中央のポケット6を腰骨の上側辺りに位置させるようにして腰部の周囲に捲回させ、面ファスナー3を表層部材4に係着(当着)させることによって装着する。そのように腰部に装着された腰ベルト1は、表層部材4、コア部材5とも高い伸縮性を有しているため、腰部が捻られた場合でも、その動きに柔軟に追随して伸縮する。
【0018】
腰ベルト1は、上記の如く、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維とからなる織布を発泡クロロプレンゴムの表面に貼り合わせることによってベルト本体2が形成されているため、面内のどの方向に対しても伸縮性がきわめて高く、装着した状態でスポーツをしたり家事を行ったりするのに好適であり、高いフィット感を提供することができる。
【0019】
また、腰ベルト1は、多数の通気孔7,7・・が散点状に穿設されているため、装着した状態でスポーツや家事をする場合の通気性がきわめて良好である。加えて、製造時には、穿設する通気孔7,7・・の大きさを変化させることによって、伸縮性を容易に調整することが可能である。
【0020】
さらに、腰ベルト1は、面ファスナー3によって係着部材が構成されているとともに、表層部材4の表面が起毛処理されているため、腰部の周りに捲回させた状態で保持する際における表層部材4に対する係着部材の係着力が高く、位置ずれを起こしにくい。また、長期間使用した場合でも、表層部材4に対する係着部材の係着力が低下しない。
【0021】
[腰ベルトの変更例]
なお、本発明に係る腰ベルトの構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、ベルト本体や係着部材等の素材、形状、構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0022】
たとえば、コア部材は、上記実施形態の如く、クロロプレンゴムを約5.0倍に発泡させたものに限定されず、クロロプレンゴムの発泡倍率を、3.0倍以上7.0倍以下の範囲内で必要に応じて適宜変更することができる。また、ベルト本体は、上記実施形態の如く、ゴム系のバインダーによってコア部材の表面に表層部材を接着したものに限定されず、バインダーの材質を、必要に応じて適宜変更することができる。なお、ゴム系のバインダーを使用した場合には、ベルト本体が大変形を繰り返した場合でも、表層部材がコア部材の表面から剥がれにくい、というメリットがある。
【0023】
さらに、係着部材は、上記実施形態の如く、面ファスナーによって構成されたものに限定されず、ベルト本体の片端縁に固着されたボタンとベルト本体の他端縁に穿設されたスリットとによって構成されたもの等に変更することも可能である。加えて、表層部材は、上記実施形態の如く、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維との混合比(重量比)を95:5に調整したものに限定されず、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維との混合比を70:30〜98:2の範囲内で必要に応じて適宜変更することができる。なお、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維との混合比を上記70:30〜98:2の範囲内に調整した場合には、上記実施形態の場合と同様に、コア部材とともにきわめて高い伸縮性を発現させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】腰ベルトを示す説明図である(aは正面図であり、bは背面図である)。
【図2】ベルト本体の断面の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1・・腰ベルト
2・・ベルト本体
3・・面ファスナー(係着部材)
7・・通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のベルト本体とそのベルト本体を丸めた状態で保持するための係着部材とからなる腰ベルトであって、
前記ベルト本体が、発泡クロロプレンゴムの表面に、ナイロン繊維とポリウレタン弾性繊維とからなる織布を貼り合わせたものであることを特徴とする腰ベルト。
【請求項2】
前記ベルト本体に、多数の通気孔が散点状に穿設されていることを特徴とする請求項1に記載の腰ベルト。
【請求項3】
前記係着部材が、先端をフック状に形成した多数の突起体を植設した面ファスナーからなるものであるとともに、前記織布の表面が、起毛処理されていることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の腰ベルト。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−75283(P2010−75283A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244579(P2008−244579)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(508287633)有限会社 ユニパル (1)
【Fターム(参考)】