説明

腱障害の治療のための経皮的NO産生剤

本発明は、有効量のグリセリルトリニトレートを含む組成物を罹患腱に局所的に投与する工程を含む、治療の必要のある哺乳動物における腱障害の治療方法であって、前記グリセリルトリニトレートが所定の期間に亘り連続的に放出され、前記投与工程が罹患腱の機能を改善する期間に亘る治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年10月17日に出願された米国仮特許出願第60/512,070号の優先権の利益を享受し、その開示はここに参考として完全に取り込まれる。
【0002】
本発明は、局所的グリセリルトリニトレートを使用する慢性過用性腱障害の治療に関する。
【背景技術】
【0003】
過用性腱障害
伸筋腱炎(「テニス肘」または横部上顆炎)は、横上腕骨上顆に対する結合部での手首伸筋の変性過用性腱障害である。この疾患を管理することに普遍的に成功している治療は存在していない。伸筋腱炎は、テニスプレーヤーに限られない。この疾患の危険のある人々は、手首の屈曲及び伸長を含む反復上肢活動を実施する者を含む。これは、例えば大工、塗装工、生産労働者、並びにラケットスポーツ、ゴルフ、及びスローイングスポーツの参加者のような、多くの職業に従事する労働者を含む。
【0004】
テニス肘は、手首を伸長する腱の過用によって生ずる。これは、肘の結合部位での腱の損傷を生ずる。腱の損傷を導く細胞現象は未知である。テニス肘に罹患した人々の90%は、肘の外側(横部)の骨の突起部(上顆)上及びその周辺で痛みを生ずる。この痛みは、物を持ち上げること、ビンを閉めること、ゴルフやテニスをすること、及び塗装や釘を打つことのような繰り返しの動きといった活動によって、通常悪化することとなる。慢性の場合、書きもの及び首を振ることでも痛みは存在し、多くの人々が休息して「痛っ!」と述べることとなる。
【0005】
テニス肘に加えて、過用と関連する他の一般的な変性腱障害は、非着生性アキレス腱障害、及び廻旋腱板腱障害を含む(Khan等, Sports Med, 1999. 27(6): 393-408)。非着生性アキレス腱障害は、特にランナーの間で存在し(Clement等, Physician Sprotsmed., 1981. 9(5): 47-58; Williams等, Sports Med, 1993. 16: 216-220)、棘上筋腱障害のような廻旋腱板腱障害は、頭を上げている労働者(例えば塗装工)及びスローイングアスリートに多い(Brukner等, Sports Med., 1983. 2(2): 391-405; Hawkins等, Clinics in Sports Med., 1983. 2(2): 391-405)。
【0006】
腱障害のための手術ではない治療は多数存在するが、その多くは治療上の効力が分かっておらず、慢性腱障害の管理で普遍的に有効なものは存在しない(Khan等, 上記参照; Boyer等, J Shoulder Elbow Surg, 1999. 8: 481-491;及びKrabak等, Am J Sports Med, 2003. 13(2): 102-105)。腱障害の手術ではない管理は、相対的な急速、ストレッチ、及び抹消の腱の荷重に焦点を当てた段階的なストレッチ運動プログラムからなるリハビリを含む(Khan等., Boyer等., 及びKrabak等., 上記参照;及びAlfredson等., Am J Sports Med, 1998. 26(3): 360-366; Niesen-Vertommen等., Clin J Sports Med, 1992. 2: 109-113)。ある場合には、関節で腱に対して掛かる力を減少する点で、補強材が有用であって良い。伸長をブロックするための添え木は、腱を休ませることが可能であり有用であろう。経口抗炎症性の医薬もある場合に有用であり、コルチコステロイド注射は、患者がリハビリ運動を実施することができる場合に、痛みの改善の点で有用であろう。
【0007】
相対的な急速は、変性腱障害においてアポトーシスにおけるストレス活性化プロテインキナーゼの役割に関する最近の研究によって示唆されているように、腱のリハビリの必須な態様であって良い(Yuan等, J Orthop Res, 2002. 20: 1372-1379, 22; Arnoczky等, J Orthop Res, 2002. 20: 947-952)。治癒を与える腱の不荷重は、アキレス腱障害の治療のための主張されており(Akizuki等., Br J Sports Med, 2001. 35: 329-334)、肘での伸筋腱障害の治療として前腕逆荷重補強材を使用して良い(Rivenburgh等., Clin Sports Med, 1992. 11: 645-65925)。コルチコステロイド注射は議論の余地を残しており、それらが治療上の効果をより短期間で生じるという証拠はほとんど存在しない(Nirschl等., Am J Sports Med, 2003. 31(2): 189-195; Blair等, J Bone Joint Surg, 1996, 78-A(11): 1685-1689)。
【0008】
一酸化窒素及び傷の治癒
一酸化窒素(NO)は、一酸化窒素合成酵素の3種のアイソマー、誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)、上皮細胞で元々見出されたアイソマー(eNOS)、及び脳組織とニューロン細胞で元々見出されたアイソマー(bNOS)によって生産される。NOは、免疫応答及び敗血症ショックの間で、マクロファージ、好中球、リンパ細胞、抹消血単球のような炎症性細胞によって大量に生産される。軟骨においても、一酸化窒素合成構造の誘導性形態が存在する(Murrell, G. A. C.等., 1994, International, Business Communications 3rd Symposium on Nitric Oxide; Palmer等., Biochem. Biophys. Res. Comm. 1993; 193: 398-405; Stadler等, J. Immunol 1991; 147: 3915-20)。
【0009】
傷の治癒は、炎症性細胞、次いで線維芽細胞の傷の部位への補充を含み、そこでコラーゲン及び他の結合組織エレメントが沈着する。次いでコラーゲン繊維は段階的に、元となる結合組織を模倣して再整列する(例えば、腱、靭帯、皮膚)。局所的なNOの付与が、線維芽細胞におけるコラーゲン合成の刺激を含んでも良いメカニズムを介して動物モデルにおける裂傷と皮膚の傷を治療するのに有効に使用されている。NOは、培養中のヒトの腱の線維芽細胞によるコラーゲン合成を調節することが見出されている。NOに対する内因性の前駆体である、一酸化窒素合成酵素の全ての3種のアイソマーは、腱の治癒(Lin等., Inflamm Res. 2001; 50(10): 515-22; Lin等., J Orthop Res. 2001; 19(1): 136-42)及び裂傷の修復(Zhu等., J Bone Mineral Res, 2001. 16(3): 535-540)の間で誘導される。NOのプロドラッグであるグリセリルトリニトレート(Moncada等., Oharmacol Rev, 1991. 43: 109-142)もまた、急性棘上筋腱炎における短期的な痛みの改善において効力を示している(Fung等., Am J Cardiol, 1993. 72: 9C-15C)。一酸化窒素(NO)に対する内因的な前駆体である一酸化窒素合成酵素は、腱の治癒(Lin等., Inflamm Res. 2001; 50(10): 515-22; Lin等, J Orthop Res. 2001; 19(1): 136-42)及び裂傷の修復(Zhu等., J Bone Mineral Res, 2001. 16(3): 535-540)の間で誘導される。
【0010】
Murrell等に対する米国特許第6,190,704号は、NOまたはNO酸性剤の投与による傷の治癒の調節を更に記載している。NOは、哺乳動物において軟組織または腱における傷の治癒の早期のインヒビターとして機能することが示されており、損傷組織の直近の範囲ナで損傷組織中でNOの濃度を増大する薬剤の投与は、例えば外科手術または外傷の後に傷の治癒を促進した。逆に言うと、傷の部位でNOの濃度を減少する試薬の投与は、傷の治癒を阻害した。後者は、関節線維症、デュプュイトラン拘縮、腹膜癒着、有痛性肩拘縮症、強皮症、またはケロイド形成のような、過剰な傷の治癒が有害で病理的である疾患に有用である。
【非特許文献1】Khan等, Sports Med, 1999. 27(6): 393-408
【非特許文献2】Clement等, Physician Sprotsmed., 1981. 9(5): 47-58
【非特許文献3】Williams等, Sports Med, 1993. 16: 216-220
【非特許文献4】Brukner等, Sports Med., 1983. 2(2): 391-405
【非特許文献5】Hawkins等, Clinics in Sports Med., 1983. 2(2): 391-405
【非特許文献6】Boyer等, J Shoulder Elbow Surg, 1999. 8: 481-491
【非特許文献7】Krabak等, Am J Sports Med, 2003. 13(2): 102-105
【非特許文献8】Alfredson等., Am J Sports Med, 1998. 26(3): 360-366
【非特許文献9】Niesen-Vertommen等., Clin J Sports Med, 1992. 2: 109-113
【非特許文献10】Yuan等, J Orthop Res, 2002. 20: 1372-1379, 22
【非特許文献11】Arnoczky等, J Orthop Res, 2002. 20: 947-952
【非特許文献12】Akizuki等., Br J Sports Med, 2001. 35: 329-334
【非特許文献13】Rivenburgh等., Clin Sports Med, 1992. 11: 645-65925
【非特許文献14】Nirschl等., Am J Sports Med, 2003. 31(2): 189-195
【非特許文献15】Blair等, J Bone Joint Surg, 1996, 78-A(11): 1685-1689
【非特許文献16】Murrell, G. A. C.等., 1994, International, Business Communications 3rd Symposium on Nitric Oxide
【非特許文献17】Palmer等., Biochem. Biophys. Res. Comm. 1993; 193: 398-405
【非特許文献18】Stadler等, J. Immunol 1991; 147: 3915-20
【非特許文献19】Lin等., Inflamm Res. 2001; 50(10): 515-22
【非特許文献20】Lin等., J Orthop Res. 2001; 19(1): 136-42
【非特許文献21】Zhu等., J Bone Mineral Res, 2001. 16(3): 535-540
【非特許文献22】Moncada等., Oharmacol Rev, 1991. 43: 109-142
【非特許文献23】Fung等., Am J Cardiol, 1993. 72: 9C-15C
【非特許文献24】Lin等., Inflamm Res. 2001; 50(10): 515-22
【特許文献1】Murrell等に対する米国特許第6,190,704号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、心臓血管での使用のために市販されている(Nitro-Dur(登録商標), Schering-Plough)ものの約1/4である低濃度を使用して、腱障害と関連する痛みを含む腱障害の治療のための、局所的NOドナーであるグリセリルトリニトレートの予期せぬ利益を記載する。ここで参照される従来技術のいずれも、腱障害の治療のためのこの特定化された量で経皮パッチを介してグリセリルトリニトレートの治療上の投与を記載してはいない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、グリセリルトリニトレートまたは別のNO産生剤を含む組成物を、罹患した腱に経皮的に投与することによる、腱障害の治療方法を提供する。
【0013】
一つの実施態様では、グリセリルトリニトレートは、約1.25mgのグリセリルトリニトレートまたは他のNO産生剤を含む経皮パッチを介して投与される。
【0014】
更なる実施態様では、前記パッチは、例えば24時間ごとに周期的に取り替えられる。
【0015】
急性または慢性のいずれかの腱障害は、本発明の方法によって治療されるために企図されるが、一つの実施態様では、前記腱障害は、アキレス腱障害、棘上筋腱障害(廻旋腱板腱障害、インピンジメント症候群、肩峰下滑液包炎とも称される)、または肘での伸筋腱障害(テニス肘)である。
【0016】
別の実施態様では、前記腱障害は、膝蓋腱障害(跳躍者膝)、四頭腱障害、股関節内転筋腱障害、肘の一般的な屈筋腱障害、または四肢の腱障害である。
【0017】
本発明はまた、罹患腱に対してグリセリルトリニトレートまたは別のNO産生剤を経皮的に投与することによる、腱障害によって生じた痛みの緩和方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、罹患腱に対してグリセリルトリニトレートまたは別のNO産生剤を経皮的に投与すること、及び腱不荷重、支持帯若しくは補強材、長期的な日々のストレッチ、または段階的な運動のストレッチプログラム、あるいはそれらの組合せを制限することなく含むリハビリ摂生を提供することによる、腱障害の治療のための併用治療を提供する。リハビリ治療は、患者がNO産生剤で治療される期間の全部または一部で提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、経皮パッチを介して有効量のグリセリルトリニトレートまたは他のNO産生化合物を投与することを含む、腱障害、特に慢性腱障害の予期せぬ治療を提供する。前記パッチは、罹患腱の近傍で皮膚に直接配置され、罹患腱での力と機能的な測定結果を改良し、及び/または痛みを緩和するための十分な期間に亘り周期的に取り替えられる。本発明は、アンギナの治療のために市販され支持されているグリセリルトリニトレートの量の約4分の1を含む経皮パッチを使用して、3種の異なる慢性過用性腱障害を治療することを例証する。
【0020】
定義
グリセリルトリニトレートは、1,2,3-トリニトログリセリン、1,2,3-プロパントリオールトリニトレート、またはニトログリセリン、CAS No. 55-63-0(GTN)を指す。
【0021】
本発明の方法における使用を企図したグリセリルトリニトレートに加えた他のNO産生剤は、ナトリウムニトロプルシド、N-(エトキシカルボニル)-3-(モルホリニル)シンドノンイミン(モルシドミア);3-モルホリノシンドノンイミン(SIN−1);1,2,3,4-オキサトリアゾリウム、5-アミノ-3-(3,4-ジ-クロロフェニル)-クロリド(GEA3162);1,2,3,4-オキサトリアゾリウム、5-アミノ-3-(3-クロロ-2-メチル-フェニル)クロリド(GEA5024);1,2,3,4-オキサトリアゾリウム、3-(3-クロロ-2-メチルフェニル)-5-[[[シアノメチルアミノ]カルボニル]アミノ]-ヒドロキシド内塩(GEA5583);S-ニトロソ-N-アセチル-D,L-ペニシルアミン(SNAP);1-[(4',5'-ビス(カルボキシメトキシ)-2'-ニトロフェニル)メトキシ]-2-オキソ-3,3,ジエチル-1-トリアゼン二カリウム塩(CNO−4);及び[1-(4',5'-ビス(カルボイメトキシ)-2'-ニトロフェニル)メトキシ]-2-オキソ-3,3-ジエチル-1-トリアジンジアセトキシメチルエステル(CNO−5)を含み、これらの全てがAlexis Corp(San Diego, Calif)から入手可能である。更なる化合物としては、ジエチルアミン-NO(DEA/NO)、IPA-NO、スペリニン-NO(SPER/NO)、スルフィト-NO(SULFI/NO)、OXI/NO、及びDETA/NOが含まれる。
【0022】
ここで使用される用語「罹患腱」は、痛みまたは感度によって特徴付けられ、方法の段落にここで記載されているような当業者による腱障害の診断の主題である腱を指す。前記診断は、例えば問題に関する履歴を得ること、及び患者を精査することといった臨床上の方法により通常実施でき、例えば超音波またはMRIによる軟組織画像処理研究によって補助されて良い。前記腱障害は、急性または慢性の腱障害であることができ、「急性」は一般的に、数日から数週間の症状の継続期間を意味し、「慢性」は一般的に、数ヶ月から数年の症状の継続期間を意味する。
【0023】
用語「約」及び「およそ」は一般的に、測定の性質または正確性を考慮して、測定された量に関する誤差の許容可能な度合いを意味する。典型的に、例示的な誤差の度合いは、与えられた値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。別法として、特に生物学的システムでは、用語「約」及び「およそ」は、与えられた値の絶対等級のオーダーの範囲内、好ましくは10または5倍以内、より好ましくは2倍以内である値を意味して良い。ここで与えられる数値の量は、他に記載がなければおよその概数であり、用語「約」または「およそ」は、明らかに記載されていない場合付与できることを意味する。
【0024】
「治療の必要のある」「被験者」または「患者」または「哺乳動物」は、伸筋腱障害(テニス肘)、アキレス腱障害、棘上筋腱障害(廻旋腱板)、膝蓋腱障害、四頭腱障害、股関節内転筋腱障害、肘の一般的な屈筋腱障害(ゴルフ肘)、及び四肢の腱障害を制限することなく含む、急性または慢性の腱障害に罹患したまたは罹患しつつある動物である。前記動物は、とりわけ哺乳動物、好ましくはげっ歯類または霊長類、最も好ましくはヒトである。
【0025】
用語「治療」または「処置」は、例えば腱障害といった疾患の症状を示す被験者における疾患または疾病の離間における治療上の介入を意味する。本発明の文脈では、これらの症状は、罹患腱における痛みまたは感度、制限された動作の範囲または痛みなく罹患腱に関する力を発揮する能力、休息時、活動時、及び/または夜間の罹患腱の痛みを含むことができるが、これらに制限されない。
【0026】
ここで使用される用語「機能の改善」は、整形外科研究機関-肘強度試験システム(Orthopaedic Research Institute - Ankle Strength Testing System (ORI-ASTS))、及び握力計、及びテニス肘試験システム(ORI−TETS)を制限することなく含む、当該技術分野で通常の方法によって測定される、罹患腱での力の測定結果の有意な増大を意味する。これらの試験は、平均全稼動の増大を測定し、罹患腱についての握力計を用いた力の測定の増大を測定する。
【0027】
用語「機能の改善」はまた、機能的な測定結果の有意な増大を意味する。機能は、非着生性アキレス腱障害についての10回跳躍試験(新たに評価されたVISA-Aアキレス腱スケールにおける試験と同様)、伸筋腱障害についてのORI-TETS平均ピーク力及び平均全稼動、並びに外転および内廻旋における肩の受動的稼動範囲、並びにない廻旋における肩のインピンジメント、及び棘上筋腱障害について掌握型握力計によって測定される回転と強度(これらに制限されない)によって測定できる。跳躍は、押すことを通じたアキレス腱荷重、及び走ること及びジャンプで使用されるような着地を含む;手首の伸筋腱ピーク力及び全稼動は、修飾椅子立ち上がり試験(ORI-TETS)で測定される。機能的な結果の増大はまた、本発明の方法によって試験される被験者が、日々の生活の活動で無症状となることを指す。
【0028】
用語「痛みの軽減」は、例えばMann-Whitneyランクサム試験を使用するように測定された痛みのスコアで格付けして改善された患者を意味する。本発明の文脈では、これはまた、罹患腱または関節での感度の減少、罹患腱または関節での夜間の痛みの減少、及び罹患腱または関節での活動に伴う痛みの減少のような、主観的な測定感覚を指す。
【0029】
用語「製薬的に許容可能」は、ヒトに投与した際に、生理学的に寛容であり、胃の逆流、めまい等のようなアレルギー性または同様な不適当な反応を典型的に生じないといった、「一般的に安全と考慮される」分子的部分及び組成物を指す。好ましくは、ここで使用される用語「製薬的に許容可能」は、国家または州政府の管轄官庁によって承認されていること、または動物、とりわけヒトにおける使用のための、米国薬局方または他の一般的に認識されている薬局方に掲載されていることを意味する。用語「キャリア」は、希釈液、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指し、それと共に前記化合物が投与される。そのような製薬キャリアは、鉱物、動物、植物、または合成起源のものを含む水及びオイルのような滅菌液、例えばピーナッツオイル、ダイズオイル、鉱物オイル、ゴマオイル等であることができる。水または水溶液、生理食塩水溶液、及び水性デキストロース、及びグリセロール溶液が、キャリアとして、特に注射可能な溶液のために好ましく使用される。適切な製薬キャリアは、E.W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。
【0030】
薬剤投与の文脈における用語「連続的な」または「連続的に」は、特定の投与期間に亘り投与される一定の事前に決定された量の薬剤を指す。投与期間は、一連の投与量形態の一つが患者の投与される期間である。従って、投与摂生は、一連の各投与量形態の投与のための別個の投与期間からなるであろう。かくして例えば、一連の第一の投与量形態は、24時間続けて患者により装着されて良い。一例として、ここで使用される連続投与は、12-24週にわたる期間で24時間続けて、経皮パッチにより24時間中被験者に1.25mgのグリセリルトリニトレートの送達を指す。この文脈では、前述の経皮パッチの連続投与は、24時間ごとにパッチを取り替えることを必要とする。
【0031】
用語「相対的放出速度」、「流動速度」、または「送達速度」は、例えば被験者の皮膚を通じた血流中への経皮的送達システムといった、単位時間当たり放出される薬剤の量から決定される。平均相対的放出速度は、例えば薬剤のμg/時として表され、または各種のサイズの皮膚領域を覆う送達システムを比較する際には、薬剤のμg/cm/時として表される。例えば24時間の期間に亘り1.25mgのグリセリルトリニトレートを放出する経皮的送達システムは、約52.1μg/時の相対的放出速度を有すると解される。本発明の目的のため、相対的放出速度は、特定の投与間隔内でのいずれかの特定の時点の間で変化してよく、それ故この用語は、特定の投与間隔の間での全体の放出速度をのみを反映する。
【0032】
製剤及び投与
経皮的投与量形態:経皮的投与量形態は、グリセリルトリニトレート、及び上述のNOドナーを制限することなく含む多くの各種の活性な治療上有効な薬剤を送達するための簡便な投与量形態である。経皮的投与量形態は、活性剤の定期的な放出または持続放出のために特に有用である。
【0033】
経皮的投与量形態は、経皮的投与量製品及び経皮的投与量組成物に分類されて良い。最も一般的な経皮的投与量製品は、接着性マトリックスシステムに流体貯蔵庫または薬剤のいずれかを使用する、拡散型経皮的システム(経皮パッチ)である。経皮的投与量組成物は、局所用ゲル、ローション、軟膏、経粘膜システム及び装置、並びにイオン療法的(電気的拡散)送達システムを含むが、これらに制限されない。好ましくは、本発明の方法のために、経皮的投与量形態は経皮パッチである。経皮的投与量形態は、グリセリルトリニトレートの定期的な放出または持続放出のために、本発明の投与量摂生で使用される。
【0034】
本発明に従って使用される経皮パッチは好ましくは、グリセリルトリニトレートに不浸透性の製薬的に許容可能な材料で形成された裏材層を含む。前記裏材層は好ましくは、グリセリルトリニトレートのための保護カバーとして機能し、支持機能をも提供して良い。裏材層を形成するのに適した材料の例は、高密度及び低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリド、ポリウレタン、ポリエステル、例えばポリ(エチレンフタラレート)のフィルム、金属ホイル、上述の適切なポリマーフィルムの金属ホイルラミネート、貯蔵庫の成分がその物性のため繊維を浸透できなければ織物繊維等である。好ましくは裏剤層のために使用される材料は、アルミニウムホイルのような金属ホイルを使用する上述のポリマーフィルムのラミネートである。裏材層は、所望の保護及び支持機能を提供するためにいずれかの適切な厚みを有することができる。前記適切な厚みは、約10から約200ミクロンの範囲であろう。所望の材料及び厚みは、当業者に明らかであろう。
【0035】
特定の好ましい実施態様では、本発明に従って使用される経皮的投与量形態は、薬理学的または生物学的に許容可能なポリマーマトリックス層を含む。一般的に、ポリマーマトリックスを形成するために使用されるポリマーは、医薬が制御された速度で通過できる薄壁またはコーティングを形成することが可能なものである。ポリマーマトリックスに封入するための例示的な材料の非制限的なリストとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコーン、ラバー、ラバー様合成ホモ、コ、またはブロックポリマー、ポリアクリルエステル及びそのコポリマー、ポリウレタン、ポリイソブチレン、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロリド、ビニルクロリド-ビニルアセテートコポリマー、ポリメタクリレートポリマー(ヒドロゲル)、ポリビニリデンクロリド、ポリ(エチレンテレフタレート)、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、エチレン-ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリシロキサン-ポリメタクリレートコポリマーのようなシリコーンコポリマーを含むシリコーン、セルロースポリマー(例えばエチルセルロース及びセルロースエステル)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、及びそれらの混合物が含まれる。ポリマーマトリックス層への封入のための例示的な材料は、一般的なポリジメチルシロキサン構造のシリコーンエラストマー(例えばシリコーンポリマー)である。好ましいシリコーンポリマーは架橋しており、製薬的または生物学的に許容可能である。ポリマーマトリックス層への封入のための他の好ましい材料は以下のものを含む:適切なパーオキシド触媒を使用して架橋できるジメチル及び/またはジメチルビニルシロキサン単位を有する架橋可能なコポリマーであるシリコーンポリマー。更に、スチレンと1,3-ジエンに基づくブロックコポリマー(特に直鎖状スチレン-イソプレン-ブロックコポリマー、またはスチレン-ブタジエン-ブロックコポリマー)、ポリイソブチレン、アクリレート及び/またはメタクリレートに基づくポリマーからなるポリマーが好ましい。
【0036】
ポリマーマトリックス層は任意に、製薬的に許容可能な架橋剤を含んで良い。適切な架橋剤は、例えばテトラプロポキシシランを含む。本発明の方法に従って使用される好ましい経皮的送達システムは、所望の期間の投与のために患者の皮膚に投与量形態を貼り付けるための接着層を含む。投与量形態の接着層が所望の期間の接着を提供しないのであれば、例えば接着テープ、例えば外科用テープで患者の皮膚に投与量形態を貼り付けることにより、皮膚と投与量形態との間での接触を維持することができる。
【0037】
接着層は好ましくは、投与量形態と製薬的に適合可能、好ましくは低アレルギー性な当該技術分野で既知のいずれかの接着剤の使用を含み、例えばポリアクリル接着性ポリマー、アクリレートコポリマー(例えばポリアクリレート)、及びポリイソブチレン接着性ポリマーを含む。本発明の他の好ましい実施態様では、接着剤は低アレルギー性であり、感圧性接触接着剤である。
【0038】
本発明によって使用可能な経皮的投与量形態は、任意に浸透促進剤を含んで良い。新と嘘s苦心財は、患者の皮膚または粘膜を通じて血流への、NO産生剤、例えばグリセリルトリニトレートの浸透及び/または吸収を促進する化合物である。浸透促進剤の非制限的なリストは、ポリエチレングリコール、界面活性剤等を含む。
【0039】
別法として、グリセリルトリニトレートのような活性剤の浸透は、例えば閉塞包帯で、患者の所望の部位への適用後に、投与量形態を閉塞することによって促進されて良い。親等はまた、例えばクリッピング、シェービング、または脱毛剤の使用によって、適切な部位から毛髪を除去することによって促進されて良い。別の浸透促進剤は熱である。浸透は、他のものの中で、経皮的投与量形態を皮膚または粘膜に適用する期間の少なくとも一部の間で、適切な部位で赤外線ランプのような放射性加熱形態の使用によって促進できると解される。電気療法手段の使用のような活性剤の浸透を促進する他の手段も、本発明の範囲内にあると企図される。
【0040】
例えばグリセリルトリニトレートといった活性剤は、薬剤貯蔵庫、薬剤マトリックス、または薬剤/接着層中で、装置内に含まれても良い。このパッチの領域、及び単位領域当たりの活性剤の量は、当業者が容易に決定できるように制限投与量を決定する。
【0041】
特定の好ましい経皮的送達システムは更に、貯蔵庫またはマトリックス中に軟化剤を含む。適切な軟化剤は、高級アルコール、例えばドデカノール、ウンデカノール、オクタノール、アルコール成分がポリエトキシル化アルコールであっても良いカルボン酸のエステル、ジカルボン酸のジエステル、例えばジ-n-ブチルアジペート、及びトリグリセリド、特にカプリル酸/カプロン酸若しくはココナッツオイルの中程度の鎖のトリグリセリドを含む。適切な軟化剤の更なる例は、例えば多価アルコール、例えばグリセロール及び1,2-プロパンジオール、並びにポリエチレングリコールによってエステル化できるレブリン酸及びカプリル酸のような軟化剤である。
【0042】
経皮的投与量システムは、Carraraに対する米国特許第6,231,885号;Burtonに対する米国特許第5,948,233号;Gertnerに対する米国特許第5,324,521号;及びShah等に対する米国特許第5,310,559号に更に記載されている。
【0043】
市販品の経皮的グリセリルトリニトレート投与量形態は、Deponit(登録商標)(Schwarz)、Minitran(登録商標)、Nitro-Dur(登録商標)(Schering-Plough)、Percutol(登録商標)(Dominion)、Transiderm-Nitro(登録商標)(Novartis)、及びTrintek(登録商標)(Goldschield)を含む。例えば、Nitro-Dur(登録商標)パッチは、皮膚との接触を通じて連続的な制御放出を提供する経皮的注入システムである。連続的な投与を提供するために、樹脂性架橋剤と接着したアクリルベースのポリマー中に、5、10、15、20、30、及び40mgの各種の濃度でニトログリセリンを含む。パッチの領域に依存して放出速度は直線的であり、適用パッチのcm当たり、1時間につき約0.02mgを送達する。かくして5mgのパッチは0.1mg/時を送達する。各単位は、紙製のポリエチレンホイルのパンチで密封されている。
【0044】
グリセリルトリニトレートを含むパッチは更に、Barnhartに対する米国特許第5,762,952号;Kochinke等に対する米国特許第5,613,958号;Govilに対する米国特許第5,252,165号;及びGale等に対する米国特許第4,615,699号に記載されており、それらはここで参考として取り込まれる。
【0045】
リポソーム:別の実施態様では、経皮的投与はリポソームによって達成される。資質二重層ベシクルは閉じており、流体充填微視的球状体は、極性(親水性)部分と非極性(親油性)部分を有する個々の分子から特に形成される。親水性部分は、ホスファト、グリセリルホスファト、カルボキシ、スルファト、アミノ、ヒドロキシ、コリン、、または他の極性基を含んで良い。親油性基の例は、飽和または不飽和の炭化水素、例えばアルキル、アルケニル、または他の脂質基である。ステロール(たとえばコレステロール)及び他の製薬的に許容可能なアジュバント(アルファ-トコフェロールのような抗酸化剤を含む)もまた、ベシクル安定性を改良し、他の所望の特徴を与えるために含まれてよい。
【0046】
路歩ソームは、これらの二重層ベシクルの集合体であり、原則的に脂肪酸鎖からなる二つの疎水性尾部を含むリン脂質分子からなる。水に曝された際に、これらの分子は、膜の中央に会合した各層における分子の親油性末端と、二重膜の内側及び外側表面のそれぞれを形成する反対の極性末端を有する球状の二重層膜を形成するように自発的に整列する。かくして、膜の各側は親水性表面を提供し、膜の内側は親油性媒体を含む。これらの膜は、内部水性空間を囲む、タマネギの層と異ならない態様で、水の薄層によって分離された一連の同心円の球状膜に整列して良い。これらの多層ベシクル(MLV)は、剪断力の適用で単層ベシクル(UV)に変換できる。
【0047】
リポソーム、または非水和プロリポソームは、経皮パッチを介して投与できる(Chung等., J Control Release 1999; 62(1-2): 73-9; Vora等., J Control Release 1998; 54(2): 149-65)。更にCantor等に対する米国特許第6,312,715号が参照され、それは感圧接着性ポリマー状ミクロスフェアを含む薬剤送達組成物を記載している。
【0048】
他の局所投与量形態:更に本発明は、当該技術分野で既知のいずれかの局所用投与量形態の使用を企図している。そのような投与量形態は、局所用溶液、懸濁物、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル等を含む。そのような投与量形態の調製は当該技術分野で既知であり、数多くの既知の賦形剤を使用して製剤化できる(例えばRemington's Pharmaceutical Science, 第17版, Gennaro A. R編, 第18版, Mack Publishing Company, Easton, PA, 1990, Ch. 87: Martin's Physical Pharmacy, Martin, Lippincott Wiliams & Wilkins; 第4版, 1993; Martindale, The Extra Pharmacopoeia, J E F Reynolds Royal Pharmaceutical Society; The U.S. Pharmacopoeia)。
【0049】
そのような製薬的に許容可能な賦形剤は、ポリマー、オイル、液体キャリア、界面活性剤、緩衝剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、着色料、及び脱臭剤を含む。
【0050】
そのような局所用製剤に適した製薬的に許容可能なポリマーの例は、アクリルポリマー;セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、またはヒドロキシプロピルセルロース;天然ポリマー、例えばアルギナート、トラガカント、ペクチン、キサンタン、及びシトサンを含むが、それらに制限されない。
【0051】
そのように有用である適切な製薬的に許容可能なオイルの例は、鉱物オイル、シリコーンオイル、脂肪酸、アルコール、及びグリコールを含むが、それらに制限されない。
【0052】
適切な製薬的に許容可能な液体キャリアの例は、水、アルコールまたはグリコール、例えばエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、及びポリエチレングリコール、またはそれらの混合物を含むが、それらに制限されず、任意にひどく性アニオン性、カチオン性、または非イオン性界面活性剤、及び無機または有機緩衝剤で、偽多形体が溶解または分散している。
【0053】
製薬的に許容可能な防腐剤の適切な例は、溶媒のような各種の抗菌性及び抗真菌性薬剤、例えばエタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、第四級アンモニウム塩、及びパラベン(例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等)を含むが、それらに制限されない。
【0054】
製薬的に許容可能な安定化剤及び抗酸化剤の適切な例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオウレア、トコフェロール、及びブチルヒドロキシアニゾールを含むが、それらに制限されない。
【0055】
製薬的に許容可能な保湿剤の適切な例は、グリセリン、ソルビトール、ウレア、及びポリエチレングリコールを含むが、それらに制限されない。
【0056】
製薬的に許容可能な皮膚軟化剤の適切な例は、鉱物オイル、イソプロピルミリステート、及びイソプロピルパルミテートを含むが、それらに制限されない。
【0057】
本発明の局所用製剤における染料及び脱臭剤の使用は多くの因子に依存し、その最も重要なものは、製薬製剤を使用する集団に感覚器官的に許容可能であることである。
【0058】
併用治療
本発明の方法で使用される投与量形態は、単独で投与されて良く、または例えばアセトアミノフェン、イブプロフェン、またはアセチルサリチル酸のような非ステロイド系抗炎症性薬剤(NSAID)を含む、鎮痛剤または抗炎症剤のような他の活性剤と組み合わせて投与されても良い。一つより多い活性剤との併用治療のためには、前記活性剤が別個の投与量製剤に存在する場合、前記活性剤は同時に投与でき、または別個の時差で投与できる。所望の効果を達成するために上述の他の活性剤と併用する場合、投与量は調節されて良い。別法として、これらの各種の活性剤の単位投与量形態は独立に最適化され、相乗的な結果を達成するように併用され、その場合それぞれの活性剤が単独で使用されたならば得られたであろうよりも大きく、病理状態が軽減される。
【0059】
本発明に係る一酸化窒素ドナー、例えばグリセリルトリニトレートの投与量は、当業者によってケースバイケースの基準で、患者ごとに決定できるが、経皮パッチは約1.5mgの活性成分含有量を超えないであろう。一つの実施態様では、経皮パッチは、約0.25mgから約1.5mgを含むであろう。別の実施態様では、経皮パッチは、約0.5mgから約1.25mgを含むであろう。好ましい実施態様では、経皮パッチは、約1.25mgのNOドナーを含む。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、1.25mg/時での局所の一酸化窒素ドナーであるグリセリルトリニトレートが、3種の一般的な慢性過用性腱障害において、3ヶ月及び6ヶ月で、痛みの緩和、力の測定値、機能的な測定値、及び患者の結果において効力を臨床的に示したことを説明する。
本発明の実施を示すこの実施例は、例示のみとして解されるべきであり、本発明の範囲または添付の特許請求の範囲を制限するものではない。当業者は、特許請求の範囲及びこの明細書に従って多くの形態で本発明が実施できることを予測するであろう。
【0061】
方法
患者:3種の臨床試験は、制度化された倫理委員会によって承認された。特定の腱障害の臨床上の診断を有する患者を、新聞広告及び私的な診察室を通じて集めた。全ての被験者は、18歳を超えており、インフォームドコンセントの記載を受けた。
【0062】
非着生性アキレス腱障害の試験では、研究に参加した40人の男性と25人の女性の65人の患者(84のアキレス腱)が存在し、平均年齢は49歳(24歳から77歳の範囲)であり、研究前の症状の平均継続期間は16ヶ月(4ヶ月から147ヶ月の範囲)であった。伸筋腱疾患の試験では、42人の男性と44人の女性の86人の患者(95の肘)が存在し、平均年齢は46歳(30歳から74歳の範囲)であり、症状の平均継続期間は17ヶ月(3ヶ月から232ヶ月の範囲)であった。棘上筋腱疾患の試験では、24人の男性と29人の女性の53人の患者(57の肩)が存在し、平均年齢は52歳(25歳から79歳の範囲)であり、症状の平均継続期間は14ヶ月(4ヶ月から96ヶ月)であった。全ての試験では、年齢、性別、罹患した左右、症状のひどさ、または症状の継続期間に関して、グループ間で有意な差異は存在しなかった。
【0063】
診断:各試験に含まれる患者についての診断基準は以下の通りであった:1)慢性の非着生性アキレス腱障害の診断は、アキレス腱痛の隠れた開始、踵骨の突起部から2ないし6センチメートルの領域に位置する敏感な小節、及び側部腱断裂を排除した超音波実験に基づいた;2)肘での慢性伸筋腱障害の診断は、横部の肘痛の隠れた開始、横部の上腕骨上顆及び伸筋手首短腱に位置する敏感性、抵抗する手首または第三中手指節関節伸長での横部肘の痛み、及び側部権断裂を排除する超音波実験に基づいた;3)慢性棘上筋腱疾患の診断は、用性のインピンジメントの兆候(内部または外部廻旋)、棘上筋試験での痛み、及び棘上筋腱での側部断裂のない磁気共鳴イメージング(MRI)高シグナル強度に基づいた。
【0064】
患者が以下の事項に該当する場合は排除した:3ヶ月未満の継続期間の腱障害、現在妊娠中、罹患肢または腱に対する外科手術の経験、同側の肢関節の脱臼、遠位の神経学的兆候、直近三ヶ月の局所的コルチコステロイド注射、硝酸塩投薬またはバイアグラ(登録商標)のようなホスホジエステラーゼインヒビターの現在の使用、変形性関節症以外の関節症の家族の病歴、またはセロネガティブ関節症の外部関節の特徴。
【0065】
3種の臨床試験について、各慢性腱障害の臨床的診断を有する患者を、新聞広告及び私的な診察室を通じて集め、ランダムに二つのグループに分けた。一方のグループに、腱のリハビリを実施して、活性経皮パッチ(Nitro-Dur(登録商標)グリセリルトリニトレートパッチ、Schering-Plough, Australiaの5mg/24時間の4分の1)を使用し、他方のグループに、腱のリハビリと、プラシーボ経皮パッチ(Nitro-Dur(登録商標)を示すパッチの4分の1)を使用した。活性なパッチとプラシーボのパッチは、互いに識別不能とした。経皮パッチの実装と、それらの患者への分配を管理する、設備内のシニア薬剤師によって、ランダム処理をコントロールした。患者と臨床上の試験者の両者が、どちらのグループに患者が存在するかに関して秘密にされた(即ち二重盲)。
【0066】
経皮パッチは配置される場合そのままであり、患者は適用前に4分の1にパッチを切断する必要はなかった。患者はまた、パラセタモール錠剤(500mg)の提供を受け、経験したいずれかの頭痛について排除するためにそれらを使用するように指示された。
【0067】
患者は、初期の訪問でパッチの適用について指示された。彼らは、投与摂生が、罹患腱に近い皮膚領域に毎日適用される経皮パッチの4分の1であることに同意した。前記パッチは24時間in situで放置され、次いで新しい4分の1のパッチと置換された。適用の部位は、最大の腱の感受性の部位に亘るように示された(アキレス腱の踵骨突出部から2から6センチメートルの領域;横部上腕上顆の直ぐ遠部;及び肩峰の全内部の面の直ぐ遠部)。患者は、適用部位の刺激を最小化するために努力して6ヶ月の研究期間で各新しいパッチの適用のこのポイントの周囲のパッチ適用部位を回転するように支持された。
【0068】
所期の臨床上の評価では、全ての患者が、腱の特定のリハビリプログラムの実施に同意した。このプログラムの目的は、腱障害のための現在の非外科的な管理を包含するものであり、以下の摂生を含んだ。アキレス腱についてのリハビリは以下のものであった:(a)早期の段階での深刻化する運動からの休息(特に歩行、走行、及び跳躍のような反復的な体重荷重性の運動)、(b)1-1.5センチメートルのかかと上げの使用、(c)腓腹筋及びヒラメ筋の筋構成の長期的な毎日の静的なストレッチ、並びに(d)不定のふくらはぎ筋肉のストレッチプログラム(Alfredson等., Am J Sports Med, 1998. 26(3): 360-366)。伸筋手首橈側短腱についてのリハビリは以下のものであった:(a)早期の段階での深刻化する運動からの休息(特に強く握る行為、並びに繰り返しの前腕及び手首の動き)、(b)前腕抗力装具の早期の連続的な使用、(c)手首伸筋筋構造の長期的な毎日の静的ストレッチ、並びに(d)最初に等軸の運動を使用し、同心及び不定のタイプの等軸運動に進行する筋肉ストレッチプログラム(Brukner等, Clinics in Sports Med., 1983. 2(2): 391-405; Gellman等., Orthopaedic Clinics of North America, 1992. 23(1): 75-82)。棘上筋及び廻旋腱板腱については、リハビリは以下のものであった:(a)深刻化する運動からの早期の休息(特に重いものの運搬、頭を上げていること、及び後ろ向きの活動)、(b)日常範囲の移動運動、及び後部肩嚢と胸筋のストレッチ、並びに(c)肩甲骨の屈折運動での筋肉ストレッチ、閉じた動的連鎖異性的運動で、段階的に開いた動的連鎖異性的抵抗運動に進行する運動(Krabak等, Am J Sports Med, 2003. 13(2): 102-105)。
【0069】
更に、採取の訪問と全ての後の訪問で、患者は、活動時、休息時、及び夜間の腱の痛みのひどさを格付けするための口頭で述べるスケール(0-4;なし、穏やか、中程度のひどさ、重篤)を使用して、腱の特定の症状の評価を完結することが必要とされた。この口頭で述べるアンケートは、臨床上の変化に関与する痛みのモニターの信頼できる測定として評価されており(L'insalata等., JBJS, 1997. 79-A(5): 738-748)、これらの3種の患者の格付けスコアは、試験の測定結果として使用された。
【0070】
測定結果:単一の試験者が全ての患者を評価し、臨床試験の測定結果に関する情報を記録した。全ての臨床的評価を、同一のフォーマットで0、2、6、12、及び24週目で繰り返した。頭痛、パラセタモールの使用、並びにパッチの適用及び腱のリハビリプログラムに関する合併症の記録もまた、これらのスケジュールに達するたびに行なった。いずれかの2回の測定でコンプライアンスを得られない場合、患者を試験から排除した。
【0071】
アキレス腱障害の試験については、測定結果は以下の通りであった:(a)4段階のスケールを使用して評価される、アキレス腱感受性の度合い(0-3:なし、穏やか、中度、重篤な感受性)、(b)片足でのその場の10回の跳躍試験の後の患者に応じたアナログの痛みのスコア(0-10段階)(Krabak等., 上記参照; Yuan等., J Orthop Res, 2002. 20: 1372-1379)、(c)押さえつける踏み台装置を使用する、足首柔軟性平均ピーク力の測定(ニュートン単位)(The Orthopaedic Research Institute - Ankle Strength Testing System;ORI-ASTS)(Paoloni等., Foot and Ankle International 2002; 23(2): 312-323)、並びに(d)ORI-ASTSを使用する全足首柔軟作業の測定(20秒当たりのニュートン単位)。この正確で信頼できる押さえつけた踏み台試験は、踏み台に固定した足で患者を座らせることを含み、繰り返しの足首の腹側と背側の柔軟性の20秒間の努力を実施することを患者に要求した。踏み台を荷重セルに連結し、LabView 5.1生体機械的ソフトウェアを使用して、コンピューターハードドライブに読み取りを直接貯蔵した(National Instruments, California, U.S.A.)。
【0072】
伸筋の腱障害の試験については、測定結果は以下の通りであった:(a)4段階のスケールを使用して、局所的な上顆及び近位の一般的な伸筋腱の感受性のレベルを評価すること(0-3:なし、穏やか、中度、重篤な感受性)、(b)十分に伸びた肘での押さえつけた第三指の中手指節関節伸長の手で握る握力計での測定(ニュートン単位)、修飾した椅子立ち上がり試験を使用する、伸筋腱平均ピーク力の測定(ニュートン単位)(The Orthopaedic Research Institute - Tennis Elbow Testing System:ORI-TETS)(Paoloni等., J Shoulder Elbow Surg, 2003, 印刷中)、並びに(d)ORI-TETSを使用する全作業の測定(10秒当たりのニュートン単位)。この修飾椅子立ち上がり試験は、伸筋腱障害の患者を試験するために信頼性と正当性を示しており、90度に固定化された肘で実施され、垂直に配向されたハンドボードを、手のひらで下側で握り締め、最大10秒間の努力で上向きに引っ張った。ハンドボード荷重セルに一連に連結し、LabView 5.1生体機械的ソフトウェアを使用して、コンピューターハードドライブに読み取りを直接貯蔵した(National Instruments, California, U.S.A.)。
【0073】
棘上筋腱障害の試験については、測定結果は以下の通りであった:(a)前下方の肩峰下の感受性の評価(0-3:感受性なし、穏やか、中度、重篤)、(b)外転、前方柔軟性、外部廻旋(度)、内部廻旋(手を背中に回す;第七頚椎からのセンチメートル)の動きの視覚的に評価された受動的な肩の範囲(Hayes等., Aust J Physio, 2001. 47: p.289-294)、(c)「エンプティーキャン」ポジション(十分な内部廻旋での肩甲骨板における90度の外転)(Takeda等., Am J Sports Med, 2002. 30(3): 374-381)、内転、外部廻旋、内部廻旋、及び肩甲下筋のプッシュオフにおける筋力の手で握る握力計測定(ニュートン単位)(Hayes等, J Shoulder Elbow Surgery, 2002. 11(1): p.33-39)、並びに(d)内部回転(Hawkins試験)(Hawkins等., Clinics in Sports Med., 1983. 2(2): 391-405)、及び外部廻旋(0-1:陰性または陽性)におけるインピンジメント試験。
【0074】
グループ間の差異を比較するためにMann-Whitneyランクサム試験を使用し、グループ内の差異を比較するためにWilcoxonサインランク試験を使用して、Sigmastat 2.0統計ソフトウェア(Jandel Scientific, California, U.S.A.)で測定結果を分析した。有意のレベルをp=0.05で規定した。24週目で患者が報告した症状の結果のキースクエア分析を実施した。効果のサイズの見積もりを、平均zスコアを分割によって計算し、24週目での全ての測定結果から計算し、サンプルサイズの平方根により、痛みに対するパッチの前効果の一般的な測定、腱の力及び機能を得た(Rosenthal and Robin, Meta-analytic procedures. 1979, San Francisco: Jossey-Bass. 132-135)。
【0075】
結果
全ての3種の試験についての臨床試験の測定結果の分析は、データが普通には分布しないことを決定した。Mann-Whitneyランクサム分析により、個々の特定の腱障害について、グリセリルトリニトレートグループをプラシーボグループと比較した。有意な結果は表1に要約されている。
【0076】
痛み:非着生性アキレス腱障害の試験における痛みの測定結果は、プラシーボグループと比較されるグリセリルトリニトレートグループは、12週目(p=0.02)と24週目(p=0.03)で活動に伴うアキレス腱痛の有意な減少を有し(図1a)、12週目(p=0.04)で夜間の痛みにおける有意な減少を有することが示された。伸筋腱疾患の試験における痛みの測定結果は、グリセリルトリニトレートグループはまた、プラシーボグループと比較した場合、2週目で活動に伴う肘痛の有意な減少を示した(p=0.01)(図1b)。棘上筋腱障害の試験における痛みの測定結果も同様に、プラシーボグループと比較したグリセリルトリニトレートグループが、24週目(p=0.01)で活動に伴う肩痛の有意な減少を有し(図1c)、12週目(p=0.03)及び24週目(p=0.01)で夜間の痛みの有意な減少を有し、12週目(p=0.04)及び24週目(p=0.03)で休息時の痛みの有意な減少を有することを示した。
【0077】
臨床試験におけるグループ間の腱の感受性を比較するMann-Whitneyランクサム試験は、グリセリルトリニトレートグループにおいて、12週目(p=0.02)で有意に弱いアキレス腱の感受性を示し、6週目(p=0.02)と12週目(p=0.02)で有意に弱い横部の上顆感受性を示した。
【0078】
【表1】

【0079】
力の結果:力の測定結果については、非着生性アキレス腱障害の試験におけるプラシーボグループと比較したグリセリルトリニトレートグループが、24週目(p=0.04)でベースラインからORI-ASTS測定平均足底柔軟性全稼動において有意な増大を有し、伸筋腱障害の試験では、24週目(p=0.03)でORI-TETS測定平均ピーク力の有意な増大を示し、24週目(p=0.03)でORI-TETS平均全稼動の有意な増大を示した(図2b)。棘上筋腱障害の試験では、グリセリルトリニトレートグループは、6週目(p=0.01)、12週目(p=0.001)、及び24週目(p=0.001)で有意に増大した棘上筋力を有し、12週目(p=0.01)及び24週目(p=0.004)で有意に増大した外部廻旋力を有し、12週目(p=0.01)及び24週目(p=0.01)で有意に増大した内部廻旋力を有し、2週目(p=0.01)、12週目(p=0.02)、及び24週目(p=0.01)で有意に増大した肩甲下筋力を有し、並びに12週目(p=0.01)及び24週目(p=0.04)で有意に増大した内転力を有した。
【0080】
機能的結果:非着生性アキレス腱障害の試験では、プラシーボグループと比較したグリセリルトリニトレートグループもまた、機能的な測定結果に関して、24週目(p=0.005)で10回の跳躍の後痛みのスコアの有意な減少を有し(図3a)、棘上筋腱障害の試験では、24週目(p=0.02)で内部廻旋におけるインピンジメントの有意な減少を有し(図3b)、12週目(p=0.03)及び24週目(p=0.02)で受動的な肩の稼動外転範囲の有意な増大を有し(図3c)、24週目(p=0.04)で肩の稼動内部廻旋範囲の有意な増大を有した。
【0081】
アキレス腱障害の試験では、24週目で患者が報告した結果は、グリセリルトリニトレートグループにおける患者の78%が、プラシーボグループにおいて49%の優秀性の患者範囲と比較して、試験の過程で優れた改良を有することを示した(日々の生活の活動に伴う無症状)(図4a)。伸筋腱疾患の試験では、24週目で患者が報告した結果は、グリセリルトリニトレートグループの81%の患者が、プラシーボグループにおいて60%の優秀性の患者範囲と比較して、試験の過程で優れた改良を有することを示した(図4b)。棘上筋腱疾患の試験では、24週目で患者が報告した結果は、グリセリルトリニトレートグループの46%の患者が、プラシーボグループにおける24%の優秀性の患者範囲と比較して、試験の過程で優れた改良を有することを示した(図4c)。二つのグループ間の結果を比較するキースクエア分析により、グリセリルトリニトレートグループは、すべての3種の臨床試験において24週目で日々の生活の活動に伴う無症状の有意に増大した変化(p=0.001)を有することが明らかとなった(アキレス腱障害の試験:p=0.001、治療の必要のある数(NNT)=3.4)(伸筋腱障害の試験:p=0.005、NNT=4.8)(棘上筋腱障害の試験:p=0.007、NNT=4.5)。
【0082】
3種の臨床試験における24週目での効果のサイズの見積もりは、アキレス腱障害の治療におけるグリセリルトリニトレートについて0.14(95%CI0.09-0.19)、肘での伸筋腱疾患の治療におけるグリセリルトリニトレートについて0.12(95%CI0.06-0.19)、及び棘上筋腱疾患の治療におけるグリセリルトリニトレートについて0.26(95%CI0.19-0.32)であった。
【0083】
臨床試験では、グリセリルトリニトレートグループにおける患者の大多数が、副作用として頭痛を経験した(表2)が、棘上筋腱障害の試験のみでは、頭痛に罹患した日数の有意な増大が存在した(p=0.001)。アキレス腱障害の試験(p=0.001)及び棘上筋腱障害の試験(p=0.001)についてのグリセリルトリニトレートグループにおける頭痛の治療のために必要とされたパラセタモールの全量の有意な増大が存在した。
【0084】
3種の臨床試験の範囲内で、脱落率または試験完成率のグループ間での有意な差異は存在しなかった(表2)。主に頭痛の副作用または適用部位の発疹のため、臨床試験が不継続であった患者は、全て局所的なグリセリルトリニトレートを受けていた。
【0085】
【表2】

【0086】
議論
これらの3種のランダム化した二重盲のプラシーボコントロール臨床試験は、慢性の腱障害の治療として使用される1.25mg/24時の局所的なグリセリルトリニトレートの適用が、腱のリハビリ単独と比較した場合、活動時の有意に減少した腱の痛み、有意に減少した腱の感受性、有意に改良された機能的な測定値、及び有意に改良された患者の結果を生じ得ることを示す。
【0087】
臨床試験の終了時に、プラシーボグループより21-29%多いグリセリルトリニトレート処理グループの患者が、日々の生活の活動時に無症状であり、その特定の腱で優れていると格付けされた。これらの結果から、陽性の結果を得るために処理が必要である患者の数(NNT)が計算できる。局所的なグリセリルトリニトレート治療で治療された3.4の慢性アキレス腱障害の患者、4.8の伸筋腱障害の患者、及び4.5の棘上筋腱障害の患者ごとについて一人の患者が、プラシーボ治療では生じないであろう24週目での優れた結果を有するであろう。
【0088】
3種の臨床試験について24週目での平均見積もり効果のサイズは0.12-0.26の範囲であり、それは二項式効果のサイズが示すものに同等であり、または12-26%の患者の成功率の変化と同等である(Rosenthal及びRobin, 上記参照)。この効果のサイズの範囲は、局所的なグリセリルトリニトレート治療で記載された患者の格付けの結果における21-29%の改善に匹敵する。非常に異なる供給源(患者の格付けした結果対全ての試験の測定結果)から計算されたこれらの緊密に関連するパラレルな結果は、慢性腱障害の治療における局所的グリセリルトリニトレートの効果の見積もりのサイズを見かけで定量化する。3種の臨床試験から得られる全ての結果が緊密に関連しているようである一方、腱に対する局所的グリセリルトリニトレートの効果を測定するための個々の測定結果は、より詳しい分析を必要とする。
【0089】
臨床試験の範囲内で、活動に伴う腱の痛みの測定結果は、全ての3種の試験においてグリセリルトリニトレートグループで有意に改善されたが、改善のタイミングは、伸筋腱障害における早期から、非着生性アキレス腱障害及び棘上筋腱障害における後期まで変化した。この理由は、横部上腕上顆と伸筋手首短腱の直ぐ皮下の位置によるものであるかもしれない。アキレス腱もまた皮下であるという事実も存在するが、それは体型において不規則である(特に腱の中央または横の側面のいずれかに対するパッチの適用の何らかの変数を伴う)。
【0090】
24週目と比較した0週目でのグループ間の平均値の分析により、試験についてのグリセリルトリニトレートグループの患者の格付けした痛みのスコア(活動時、夜間、及び休息時)は65%の平均値(64-67%の範囲)まで減少した一方、試験についてのプラシーボグループのスコアは、30%の平均値(27-33%の範囲)まで減少した(図4a−c)。これらの結果は、局所的なグリセリルトリニトレートが、慢性の腱障害において痛み緩和効果を有することを示唆するが、前記効果は特定の腱の部位の間でタイミングが異なるようである。この効果の考えうるメカニズムは、局所的血管拡張による部位に対する血液供給量の増大、サブスタンスPのような局所的炎症調節剤または生体活性タンパク質のクリアランスの増大、または腱の痛みの調節を導くと思わせるニューロン構造、新生血管形成、若しくはアポトーシスに対する局所的効果を含む。
【0091】
3種全ての臨床試験を通じて、Orthopaedic Research Institute - Ankle Strength Testing System (ORI-ASTS)及びTennis Elbow Testing System (ORI-TETS)での24週での段階でのグリセリルトリニトレートグループにおける力の測定結果の有意な増大が存在し、平均全稼動の増大を示し、廻旋手首腱についての全ての握力計抵抗力が有意な増大を示した。これらの測定結果は、特定の慢性件疾患を有する患者を試験する優れた格付け間信頼性及び正当性を示している(Paoloni等., 及びHayes等., 上記参照)。24週目と比較した0週目でのグループ間平均値の分析により、試験についてのグリセリルトリニトレートグループの力の測定結果が37%の平均値(33-38%の範囲)まで増大することを示した一方で、試験についてのプラシーボグループのスコアは16%の平均値(11-20%の範囲)まで増大した。これらの結果は、局所的グリセリルトリニトレートが、慢性腱障害における力の測定値を増大する腱に対する効果を有することを示唆する。これは、恐らくコラーゲン合成を増大しリモデリングする腱の代謝または線維芽細胞に対する直接効果(Witte等, Nitric Oxide: Biology and Chemistry 2000; 4(6): 572-582; Thornton等., Biochem Biophys Res Comms 1998; 246: 654-9)、あるいは恐らく痛みの調節による間接効果であろう。
【0092】
グリセリルトリニトレートグループでは、機能的な測定結果は、3種全ての臨床試験におけるプラシーボグループに対して、24週目で有意に増大した。これらの機能的試験は、非着生性アキレス腱障害についての10回の跳躍試験(新たに評価されたVISA-Aアキレス腱スケールにおける試験と同様)(Robinson等., Br J Sports Med, 2001. 35: 355-341)、伸筋腱障害についてのORI-TETS平均ピーク力及び平均全稼動、並びに外転及び内部廻旋における肩の受動的な稼動範囲、並びに棘上筋腱障害についての内部廻旋における肩のインピンジメントを含んだ。これらの測定の全てが、以下のものを含む腱の重要な機能的特徴を反映する:跳躍は、アキレス腱の押された際の荷重、並びに走行及び跳躍で使用される着地を含んだ;手首伸筋腱のピーク力及び全稼動は、修飾椅子立ち上がり試験(ORI-TETS)で測定され、重い目的物を持ち上げる際に観察される;外典における肩の稼動範囲は、頭を上げる活動についての棘上筋の機能を利用する際に観察され、内部廻旋における肩のインピンジメントは、上棘筋腱障害を有する患者における肩の痛みの共通な原因であり、廻旋手首腱障害及び機能不全の「悪循環」を永続させる(Brukner等, 上記参照)。これらの結果は、グリセリルトリニトレートが腱の機能を調節し、これもまた腱に対する直接または間接効果を通じて達成されることを示すが、痛みの減少と力の増大の両者の結果の相関関係は、動きのコントロールの増大を示唆する。
【0093】
腱の感受性の臨床評価により、アキレス腱障害及び肘の腱障害の臨床試験の両者における12週目でのグリセリルトリニトレートグループにおいて有意な減少が明らかとなった。棘上筋腱障害の試験では有意な差異は存在しなかった。これらの結果は、深い棘上筋腱に対してアキレス腱及び伸筋手首橈側短腱の皮下の性質によるであろう。感受性の減少は、力と機能の測定値におけるいずれかの有意な改善に先行する(そして力の生産の増大を可能にする腱における構造的な変化の前に、痛みの調節の明示を表すであろう)。
【0094】
臨床試験の過程で不継続であった患者の数は臨床試験患者の4-6%の範囲であり、これらの患者は全てトリニトレートグループに属し、頭痛または適用部位の発疹の副作用を認識したため不継続とした。一人の患者は再起性の顔面紅潮のため不継続とし、それは医薬の不継続に可逆的であった。この患者は2型糖尿病であり、この副作用は細動脈拡張によって引きこされたと解された(表2)。
【0095】
グリセリルトリニトレートグループについての試験終了率は81-88%の範囲であり、プラシーボグループでは91-94%の範囲であった。終了または脱落のグループ間での割合に関しては、グループ間で有意な差異は存在しなかった。不継続であった患者をこの分析から排除すると、試験の終了率は4%未満まで異なった。両グループに関する高い終了率は、エントリー前の臨床試験についての必要条件の説明、頻繁な評価のための訪問、医薬の比較的低い副作用プロフィール、または臨床試験に入る患者の人格によるものであろう。
【0096】
頭痛は最も頻繁な副作用であり、グリセリルトリニトレートグループでは53-76%の範囲の患者が経験し、頭痛の平均日数は5-6日の範囲であり、頭痛の日数の中央値は3-4日の範囲であった。グリセリルトリニトレートグループにおける頭痛の72%が、試験の最初の二週間以内で発症した。これらの臨床試験で頭痛を経験した患者のパーセンテージは、5mg/24時間の投与量について16-68%との文献に報告されたものより高かった(Mahapatra等., Angiology, 1987. 38(4): 277-286; DeMilliano等., Am J Cardiol, 1991. 68(9): 857-862; 及びRenganathan等., Spinal cord, 1997. 35(2): 99-103)。特にこの臨床試験で使用された投与量摂生は、1.25mg-2.5mg/24時間という連続的な低投与量であったため、上記の理由は理解するのが困難であるが、合併症をチェックする頭痛の日記を終了することが患者に必要であったため、患者が副作用の患者報告をやりすぎたためであろう。プラシーボグループでも、患者の33-58%の範囲が頭痛の高頻度の発症を報告しており、頭痛の平均日数は4-7日の範囲であり、頭痛の日数の中央値は0-3日の範囲であった。
【0097】
臨床試験での患者は、可能性のある頭痛の排除目的の使用のためのパラセタノール(Tylenol(登録商標))を提供された。グリセリルトリニトレートグループでは、全パラセタモール使用量は138-237錠の範囲であり、平均7-14錠であり、中央値は2-10錠であった。プラシーボグループでは、全パラセタモール使用量は69-250錠の範囲であり、平均3-10錠であり、中央値は0錠であった。棘上筋腱障害の試験で経験された報告された頭痛頻度と頭痛の平均数では、有意なグループ間の差異が存在したが、他の臨床試験では存在しなかった。更に、アキレス腱障害と棘上筋腱障害の試験において使用されるパラセタモールの全数のグループ間の有意な差異も存在した。棘上筋腱障害の試験における高頻度の頭痛は、伸筋腱障害またはアキレス腱障害の試験のいずれかもよりも、心臓及び脳脊髄の循環の両者に近いグリセリルトリニトレートパッチの適用部位のためであり、恐らくより大きい全身性及び局所の血管拡張を導く。棘上筋腱障害の試験における高頻度の頭痛の存在にも関わらず、パラセタモールの使用は、他の臨床試験のいずれかよりも低かった。一般的に、グリセリルトリニトレートグループは、プラシーボグループよりも重篤な頭痛を経験しており、それはそれぞれの臨床試験において1-2人の患者が副作用のため不継続とされ、パラセタモールのプラシーボグループの使用の中央値は0であったことからも明らかであった。
【0098】
局所的なグリセリルトリニトレートの別の一般的な副作用は適用部位の発疹であり、グリセリルトリニトレートグループでは、発疹を経験した患者の数は8-21%の範囲であった。これは、7-12%の範囲のプラシーボグループにおける割合と匹敵した。5mg/24時のグリセリルトリニトレートの投与量についての文献での報告は、患者の16-38%で発疹が生じたことを記載しており(Mahaparta等., 上記参照; Riley等., Clinical Therapeutics, 1992. 14: 438-445; 及びKapoor等., Clinical Therapeutics, 1985. 7(6): 674-679)、これらの副作用頻度は、これらの臨床試験で報告されたものと匹敵する。全部で5人の患者がこの副作用により不継続としたことから明らかなように、プラシーボグループと比較してグリセリルトリニトレートグループにおいてより重篤な発疹が存在した。
【0099】
報告された他の副作用は以下のものを含む:事前に存在していた耳鳴りの増大、同側の腋下の発汗の増大、及び不安感。これらのいずれも重篤ではなく、全てが臨床試験の結論で医薬の不継続について可逆的であった。副作用を経験しないグリセリルトリニトレートグループの患者の数は30-44%の範囲であり、プラシーボグループでは33-59%の範囲であった。
【0100】
腱のリハビリと局所的なグリセリルトリニトレート投与を調べるこれらの臨床試験により、慢性過用性腱障害の治療で腱のリハビリを単独で使用した場合に対して、患者の格付け痛みスコアの改善、腱の力の測定値の増大、機能的測定値の改善、及び患者の結果の改善が示された。1.25mg/24時のグリセリルトリニトレートのような局所的なNOドナーは、ヒトにおける治療状の使用の長い歴史を有し(Murrell等, Lancet, 1879: p.80-81, 113-115, 151-152, 225-227)、不可逆的な効果を有する既知の副作用のプロフィールを有し、ここで特定の慢性過用性腱障害において6ヶ月で、痛み、力の測定値、機能的ナ測定値、及び患者の結果の調節において効力を臨床的に示した。これらの研究は、経皮的なグリセリルトリニトレートが、哺乳動物、特にヒトにおける特定の過用性腱障害に有効であることを確立している。
【0101】
本発明は、ここに記載された特定の実施態様によってその範囲において制限されるべきではない。実際に、ここに記載された態様に加えて、本発明の各種の改変が、上述の記載及び添付の図面から当業者に明らかであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲内に存在するものと企図される。
【0102】
全ての値は概数であり、記載のために提供されていると更に解されるべきである。
【0103】
本願を通じて引用された患者、患者の適用、方法、及び文献は、ここに参考として全体的に取り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1a】図1aは、活動に伴うアキレス腱痛に対する、リハビリプラス1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=41)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=43)を表す。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05)。
【図1b】図1bは、伸筋腱障害における活動に伴う横肘痛に対する、リハビリプラス1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=41)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=43)を表す。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05)。
【図1c】図1cは、棘上筋腱障害における活動に伴う肩痛に対する、リハビリプラス1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=28)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=29)を表す。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05)。
【図2a】図2aは、ORI−ASTS測定足根関節後の平均全稼動(アキレス腱痛)に対する、リハビリプラス1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=41)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=43)を表す。これらの結果は、0週目での平均全稼動における有意な差異が存在するベースラインからの増大として表される。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05)。
【図2b】図2bは、ORI−ASTS測定平均全稼動(テニス肘)に対する、リハビリプラス1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=47)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=48)を表す。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05)。
【図2c】図2cは、握力計測定棘上筋力(棘上筋腱障害)に対する、リハビリプラス1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=28)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=29)を表す。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05、**P<0.01)。
【図3a】図3aは、10回の跳躍試験の後の痛みのスコア(アキレス腱炎)に対する、リハビリプラス1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=41)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=43)を表す。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05、**P<0.01)。
【図3b】図3bは、内廻旋における肩のインピンジメントに対する、1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=28)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=29)を表す。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05)。
【図3c】図3cは、受動的な肩の外転稼動範囲に対する、1.25mg/日の経皮パッチによるグリセリルトリニトレートの効果(GTN,n=28)対リハビリ単独の効果(プラシーボ、n=29)を表す。グループ間の統計的に有意な差異は星印で示される(P<0.05)。
【図4a】図4aは、グリセリルトリニトレートグループ(GTN1.25mg/日のパッチ,n=41)とプラシーボパッチグループ(n=43)の間の平均グループ化測定結果における差異のパーセンテージを示す。アキレス腱障害の臨床試験におけるグループ化測定結果についての平均のグループ間の比較である。
【図4b】図4bは、グリセリルトリニトレートグループ(GTN1.25mg/日のパッチ,n=47)とプラシーボパッチグループ(n=48)の間の平均グループ化測定結果における差異のパーセンテージを示す。伸筋腱障害の臨床試験におけるグループ化測定結果についての平均のグループ間の比較である。
【図4c】図4cは、グリセリルトリニトレートグループ(GTN1.25mg/日のパッチ,n=28)とプラシーボパッチグループ(n=29)の間の平均グループ化測定結果における差異のパーセンテージを示す。棘上筋腱障害の臨床試験におけるグループ化測定結果についての平均のグループ間の比較である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のグリセリルトリニトレートを含む組成物を罹患腱に局所的に投与する工程を含む、治療の必要のある哺乳動物における腱障害の治療方法であって、前記グリセリルトリニトレートが所定の期間に亘り連続的に放出され、前記投与工程が罹患腱の機能を改善する期間に亘る治療方法。
【請求項2】
前記腱障害が慢性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記腱障害が急性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記腱障害が肘での伸筋腱障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記腱障害がアキレス腱障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記腱障害が棘上筋腱障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記腱障害が膝蓋腱障害、四頭腱障害、股関節内転筋腱障害、肘の一般的な屈筋腱障害、または四肢の腱障害からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
約1から約24週間に亘りグリセリルトリニトレートを連続的に投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
約12から約24週間に亘りグリセリルトリニトレートを連続的に投与する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記局所的投与が経皮パッチによる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記経皮パッチが約1.25mgのグリセリルトリニトレートを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定期間が約24時間である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記改良された機能が平均ピーク力及び平均全稼動の改善である、または前記哺乳動物が日々の生活の活動で無症状である、あるいはそれらの組み合わせである、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記改良された機能が平均足裏柔軟性全稼動力の増大である、または前記哺乳動物が日々の生活の活動で無症状である、あるいはそれらの組み合わせである、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記改良された機能が外部廻旋力の増大、肩甲下筋力の増大、内転力の増大、内部肩廻旋範囲の増大、受動的な肩内転稼動範囲の増大、内部廻旋におけるインピンジメントの減少であり、または前記哺乳動物が日々の生活の活動で無症状であり、あるいはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
哺乳動物にグリセリルトリニトレートを投与する期間の少なくとも一部の間で、休息、腱の不荷重、支持帯、補強材、日々の長期的な静的ストレッチ、または偏った腱の荷重を含む段階的なストレッチ運動プログラム、あるいはそれらの組み合わせの少なくとも一つを含む、非外科的なリハビリ摂生で哺乳動物を治療する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
有効量のグリセリルトリニトレートを含む組成物を罹患腱に局所的に投与する工程を含む、治療の必要のある哺乳動物における腱障害により生ずる痛みの緩和方法であって、前記グリセリルトリニトレートが所定の期間に亘り放出され、前記投与工程が罹患腱の機能を改善する期間に亘る治療方法。
【請求項19】
前記腱障害が慢性である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記腱障害が急性である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記腱障害が肘での伸筋腱障害である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記腱障害がアキレス腱障害である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記腱障害が棘上筋腱障害である、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記哺乳動物がヒトである、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記腱障害が膝蓋腱障害、四頭腱障害、股関節内転筋腱障害、肘の一般的な屈筋腱障害、または四肢の腱障害からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
約1から約24週間に亘りグリセリルトリニトレートを連続的に投与する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
約2から約24週間に亘りグリセリルトリニトレートを連続的に投与する工程を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
約12から約24週間に亘りグリセリルトリニトレートを連続的に投与する工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記局所的投与が経皮パッチによる、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記経皮パッチが約1.25mgのグリセリルトリニトレートを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記所定期間が約24時間である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記痛みの緩和が活動に伴う肘の痛みの減少または肘の感受性の減少、あるいはそれらの組み合わせである、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記痛みの緩和が活動に伴うアキレス腱痛の減少または夜間の痛みの減少、アキレス腱の感受性の減少、あるいはそれらの組み合わせである、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記痛みの緩和が活動に伴う肩痛の減少または夜間の痛みの減少、休息時の痛みの減少、肩の感受性の減少、あるいはそれらの組み合わせである、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
哺乳動物にグリセリルトリニトレートで治療する期間の少なくとも一部の間で、休息、腱の不荷重、支持帯または補強材、日々の長期的な静的ストレッチ、または偏った腱の荷重を含む段階的なストレッチ運動プログラム、またはそれらの組み合わせの少なくとも一つを含む、非外科的なリハビリ摂生により前記哺乳動物をさらに治療する工程を含む、請求項18に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2007−509065(P2007−509065A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535438(P2006−535438)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034530
【国際公開番号】WO2005/037347
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(505261335)ニューヨーク ソサエティ フォー ザ ラプチャード アンド クリップルド メインティニング ザ ホスピタル フォー スペシャル サージェリー (2)
【Fターム(参考)】