説明

膜エレメント装填方法および分離膜モジュール

【課題】膜エレメントを圧力容器内に装填する際の作業性を向上させることができる方法を提供する。
【解決手段】分離膜を含む膜エレメント2を筒状の圧力容器7内に装填する際に、まず、圧力容器7内で膜エレメント2が潤滑性のボード4Aに乗せられるように膜エレメント2を圧力容器7内に挿入する。ついで、ボード4Aを圧力容器7の内周面7a上に滑らせながら膜エレメント2を圧力容器7の軸方向に移動させる。この方法によれば、ボード4Aにより圧力容器7内で膜エレメント2を容易に移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の圧力容器内に膜エレメントを装填する方法、およびこの方法により得られる分離膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば海水淡水化処理や超純水の製造などに用いられる分離膜モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。この分離膜モジュールでは、一般的に、筒状の圧力容器内に複数本の膜エレメントが一列に装填される。そして、分離膜モジュールの一方の端部から圧力容器内に原水が供給されると、その原水が膜エレメントの分離膜によって透過水と濃縮水とに分離され、それらが分離膜モジュールの他方の端部から別々に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−220104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は外径が8インチの膜エレメントが主流であったが、近年では外径が16〜24インチと大型の膜エレメントが開発されてきている。しかしながら、このような大型の膜エレメントは重量が従来と比べて格段に大きいために、膜エレメントを圧力容器内に装填したり圧力容器から取り出したりすることが困難である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、膜エレメントを圧力容器内に装填する際の作業性を向上させることができる方法を提供するとともに、この方法により得られる分離膜モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、分離膜を含む膜エレメントを筒状の圧力容器内に装填する方法であって、前記圧力容器内で前記膜エレメントが潤滑性のボードに乗せられるように前記膜エレメントを前記圧力容器内に挿入し、前記ボードを前記圧力容器の内周面上に滑らせながら前記膜エレメントを前記圧力容器の軸方向に移動させる、膜エレメント装填方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、筒状の圧力容器と、前記圧力容器内に装填された、分離膜を含む膜エレメントと、前記膜エレメントと前記圧力容器の内周面との間に配置された、前記膜エレメントを乗せた状態で前記圧力容器の内周面上を摺動可能な潤滑性のボードと、を備える、分離膜モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記の装填方法によれば、ボードにより圧力容器内で膜エレメントを容易に移動させることができるため、膜エレメントを圧力容器内に装填する際の作業性を向上させることができる。また、圧力容器から膜エレメントを取り出す際には、装填時に使用したボードを同じように使用して膜エレメントを容易に移動させることができるため、膜エレメントを圧力容器から取り出す際の作業性をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分離膜モジュールの正面断面図
【図2】図1のII−II線に沿った側面断面図
【図3】膜エレメントの一例であるスパイラル型膜エレメントの構成図
【図4】(a)〜(d)はボードの断面形状のパターンを示す図
【図5】第1実施形態において圧力容器内に膜エレメントを装填する途中の状態を示す図
【図6】本発明の第2実施形態において圧力容器内に膜エレメントを装填した後の状態を示す図
【図7】(a)は第2実施形態に用いられるボードの平面図、(b)は同ボードの正面図
【図8】シール部材の双方の先端部の拡大図
【図9】本発明の第3実施形態において圧力容器内に膜エレメントを装填した後の状態を示す図
【図10】(a)は第3実施形態に用いられるボードの平面図、(b)は同ボードの正面断面図
【図11】変形例のボードの平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0011】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る分離膜モジュール1を示す。この分離膜モジュール1は、ベッセルと呼ばれる筒状の圧力容器7と、圧力容器7内に装填された複数本の膜エレメント2とを備えている。
【0012】
圧力容器7の両端には、円盤状のキャップ8,9が取り付けられている。一方(図1では左側)のキャップ8には、原水を圧力容器7内に供給するための供給管81が中心からずれた位置に設けられている。他方(図1では右側)のキャップ9には、透過水を取り出すための第1排出管91が中心に設けられており、濃縮水を取り出すための第2排出管92が中心からずれた位置に設けられている。すなわち、圧力容器7内には、一方のキャップ8から他方のキャップ9に向かう原水の流れが形成される。なお、供給管81および第2排出管92は、圧力容器7に設けられていてもよい。
【0013】
本実施形態では、膜エレメント2として、スパイラル型の逆浸透膜エレメントが用いられている。ただし、膜エレメント2は、例えばスパイラル型の限外濾過膜エレメントであってもよいし、その他の円筒形エレメントであってもよい。
【0014】
各膜エレメント2は、集水管として機能する中心管21と、中心管21の回りに巻き回された積層体22と、積層体22を挟んで配置された一対の端部材3と、積層体22を取り囲む外装材28とを有している。一対の端部材3は、積層体22がテレスコピック状に伸張することを防止する役割も果たす。
【0015】
本実施形態では、一対の端部材3のうちの上流側の端部材3に、シール部材として、膜エレメント2と圧力容器7の内周面7aとの隙間を原水の上流側の圧力を利用してシールする断面略U字状のパッキン5が装着されている。また、本実施形態では、各端部材3が中心管21にそれらの端面が略一致するように固定されていて、隣り合う膜エレメント2同士が連結器61によって連結されたときに端部材3同士が密着するようになっている。なお、最上流側に位置する膜エレメント2の中心管21にはプラグ62が取り付けられ、最下流側に位置する膜エレメント2の中心管21は第2の連結器63によって第1排出管91と連結される。
【0016】
図3に示すように、各膜エレメント2の中心管21には、内部に濾過水を流入させる複数の導入孔が形成されている。
【0017】
積層体22は、巻き回される方向が一方の対辺方向となる矩形状をなしており、透過水流路材24の両面に分離膜23が重ね合わされた膜リーフと、原水流路材25とを含む。膜リーフは、一方向に開口する袋状となるように分離膜23同士が3辺で接合された構成を有しており、その開口が中心管21の導入孔と連通している。透過水流路材24は、例えば樹脂からなる網であり、互いに接合される分離膜同士の間に透過水を流すための流路を形成する。原水流路材25は、例えば樹脂からなる網(透過水流路材24よりも網目の大きな網)であり、巻き回される膜リーフの周回部分同士の間に原水を流すための流路を形成する。
【0018】
分離膜23を構成する材料としては、低圧化に優れた芳香族ポリアミド系、透過性に優れたポリビニルアルコール系、ナノフィルトレーション膜に好適なスルホン化ポリエーテルスルホン系などが挙げられる。
【0019】
図1に戻って、一対の端部材3は、相互に同一の形状を有している。具体的に、各端部材3は、中心管21の端部に外側から嵌合する内側筒部31と、内側筒部31を離間しながら取り囲む、内側筒部31と同心の外側筒部32とを有している。内側筒部31と外側筒部32は、放射状に配置された複数のリブ(図示せず)によって互いに連結されている。リブ同士の間の空間は、端部材3を貫通して原水を流通させる流通口を構成する。
【0020】
外側筒部32の外周面には、全周に亘って径方向外側に開口する環状溝35が形成されており、この環状溝35内にパッキン5が配置されている。また、外側筒部32には、外装材28を保持するための段差が形成されている。このため、外装材28は、一対の端部材3に挟持される。
【0021】
ただし、一対の端部材3は、必ずしも相互に同一の形状を有している必要はなく、例えば、下流側の端部材3には環状溝35が形成されていなくてもよい。あるいは、パッキン5が下流側の端部材3のみに装着されていて、上流側の端部材3には環状溝35が形成されていなくてもよい。
【0022】
さらに、本実施形態では、各膜エレメント2と圧力容器7の内周面7aとの間に潤滑性のボード4Aが配置されている。このボード4Aは、膜エレメント2を乗せた状態で圧力容器7の内周面7a上を摺動可能なものである。
【0023】
ボード4Aは、例えばポリプロピレン(PP)などの自己潤滑性のある樹脂で構成されていてもよい。あるいは、ボード4Aは、基材に自己潤滑性のある樹脂がコーティングされたものであってもよい。そのような樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン、ポリエチレン、ポリアセタール、ナイロンなどが挙げられる。
【0024】
ボード4Aは、外装材28を支持するように配置される。本実施形態では、ボード4Aは、扁平な矩形板状をなしており、図2に示すように圧力容器7の内周面7aに沿って湾曲した状態に維持されている。ボード4Aの長さは、外装材28の軸長と同じかそれよりも僅かに短い程度であることが好ましい。ボード4Aの幅は、円筒状となるように外装材28の周長と一致していてもよいが、外装材28の下側部分を覆うように外装材28の周長の1/3〜1/2であることが好ましい。また、ボード4Aは、圧力容器7の内径と外装材28の外径との差と略等しいまたはそれよりも僅かに小さい厚さを有している。
【0025】
図4(a)に示すように、ボード4Aにおける圧力容器7の内周面7aに接触する摺動面4aは、フラットであってもよい。ただし、圧力容器7の内周面7aに対する摩擦係数を低減させるという観点からは、摺動面4aには凹凸が形成されていることが好ましい。例えば、摺動面4aは、図4(b)に示すように半球状の突起を有する形状であってもよいし、図4(c)に示すように三角形状の突起を有する形状であってもよいし、図4(d)に示すように四角形状の突起を有する形状であってもよい。
【0026】
次に、図5を参照して、ボード4Aを使用して膜エレメント2を圧力容器7内に装填する方法を説明する。
【0027】
まず、膜エレメント2に下方に当該膜エレメント2を下方から包むようにボード4Aを配置した状態で、より詳しくは、外装材28の下側部分に密着するようにボード4Aを湾曲させた状態で、膜エレメント2を圧力容器7内に挿入する。これにより、圧力容器7内で膜エレメント2がボード4Aに乗せられる。
【0028】
ついで、ボード4Aを圧力容器7の内周面7a上に滑らせながら膜エレメント2を圧力容器7の軸方向に移動させて、膜エレメント2を正規の位置に配置する。
【0029】
このような方法で膜エレメント2を圧力容器7内に装填すれば、ボード4Aにより圧力容器7内で膜エレメント2を容易に移動させることができるため、膜エレメント2を圧力容器7内に装填する際の作業性を向上させることができる。また、メンテナンス時などに圧力容器7から膜エレメント2を取り出す際には、装填時に使用したボード4Aを同じように使用して膜エレメント2を容易に移動させることができるため、膜エレメント2を圧力容器7から取り出す際の作業性をも向上させることができる。
【0030】
なお、膜エレメント2は必ずしも一対の端部材3を有している必要はなく、例えば、積層体22および外装材28が中心管21の全長に亘って設けられていてもよい。
【0031】
(第2実施形態)
次に、図6ならびに図7(a)および(b)を参照して、本発明の第2実施形態に係る分離膜モジュールを説明する。なお、第2実施形態の分離膜モジュールは、第1実施形態の分離膜モジュール1と比べて使用するボードが異なるだけであるので、以下ではボードについてのみを説明する。この点は、後述する第3実施形態でも同様である。また、本実施形態では、図6での原水の流れ方向が図1と同様に左から右であることを前提とするが、図6での原水の流れ方向は図1とは逆に右から左であってもよい。
【0032】
本実施形態では、膜エレメント2と圧力容器7の内周面7aとの間に、第1ボード4Bと第2ボード4Cの2種類の潤滑性のボードが配置されている。第1ボード4Bおよび第2ボード4Cは、各膜エレメント2の一対の端部材3のそれぞれを支持するように配置される。
【0033】
具体的には、第2ボード4Cは、最下流側に位置する膜エレメント2における下流側の端部材3に対応して配置され、第1ボード4Bは、それ以外の膜エレメント2の端部材3に対応して配置される。なお、第1ボード4Bは、隣り合う膜エレメント2の互いに対向する端部材3の双方を支持し得る大きさを有しており、隣り合う膜エレメント2で共有される。
【0034】
第1ボード4Bおよび第2ボード4Cは、第1実施形態のボード4Aと同様の材料で構成され、扁平な矩形板状をなしている。第1ボード4Bおよび第2ボード4Cの幅は、円筒状となるように端部材3の周長と一致していてもよいが、端部材3の下側部分を覆うように端部材3の周長の1/3〜1/2であることが好ましい。また、第1ボード4Bおよび第2ボード4Cは、圧力容器7の内径と端部材3の外径との差と略等しい厚さを有している。
【0035】
第1ボード4Bには、例えばゴムからなる棒状のシール部材42が取り付けられている。すなわち、第1ボード4Bおよびシール部材42は、本発明のシーリングボードを構成する。シール部材42は、第1ボード4Bと別に作製された後に第1ボード4Bに接合されてもよいが、第1ボード4Bと一体的に成型することも可能である。
【0036】
第1ボード4Bは、より詳しくは、各膜エレメント2における上流側の端部材3の真下に位置する主部41aと、主部41aから膜エレメント2の端面を超えて外側に延びる外側張り出し部41bと、主部41aから内側に延びる内側張り出し部41cとからなる。上述したシール部材42は、主部41aに固定される。
【0037】
外側張り出し部41bの長さは、端部材3の厚さよりも十分に大きく設定されている。これにより、第1ボード4Bは、上述したように、各膜エレメント2における上流側の端部材3だけでなく、この膜エレメント2に隣接する膜エレメント2における下流側の端部材3をも支持できる。
【0038】
さらに、本実施形態では、外装材28を支持するための台座部43が内側張り出し部41cに設けられている。台座部43は、第1ボード4Bと一体的に成型されてもよいし、第1ボード4Bと別に作製された後に第1ボード4Bに接合されてもよい。なお、台座部43は、外側張り出し部41bに設けられていてもよい。
【0039】
上述したシール部材42は、各膜エレメント2における上流側の端部材3の環状溝35に嵌め込まれることによって、膜エレメント2と圧力容器7の内周面との隙間をシール可能なリング状となる。
【0040】
シール部材42の双方の先端部42a,42bは、圧力容器7の軸方向に互いに重合可能な形状に形成されていることが好ましい。これを実現するには、例えば、図8に示すように先端部42a,42b同士が係合可能となるようにそれらを軸方向の反対側から削って、互いに重合する薄肉部42c,42dを形成すればよい。ただし、薄肉部42c,42dの合計の厚さは、削っていないところの厚さと同じかよれよりも大きいことが好ましい。
【0041】
一方、第2ボード4Cには、当該第2ボード4Cの全幅に亘って端部材3の環状溝35に嵌り込む突条部49のみが設けられている。
【0042】
次に、第1ボード4Bおよび第2ボード4Cを使用して膜エレメント2を圧力容器7内に装填する方法を説明する。なお、以下では、一例として図6の左側から右側に向かって最下流側に位置する膜エレメント2を最初に装填する方法を説明するが、図6の右側から左側に向かって最上流側に位置する膜エレメント2を最初に装填することも可能である。
【0043】
まず、最下流側に位置する膜エレメント2の下流側の端部材3の下方に当該端部材3を下方から包むように第2ボード4Cを配置するとともに、上流側の端部材3の下方に当該端部材3を下方から包むように第1ボード4Bを配置する。また、第1ボード4Bに取り付けられたシール部材42を端部材3の環状溝35に嵌め込んでリング状にする。その状態で、膜エレメント2を第2ボード4C側から圧力容器7内に挿入する。これにより、圧力容器7内で膜エレメント2が第2ボード4Cおよび第1ボード4Bに乗せられる。
【0044】
次に、最下流側に位置する膜エレメント2(以下、「第1の膜エレメント2」という。)に隣接する膜エレメント2(以下、「第2の膜エレメント2」という。)の下流側の端部材3を、既に圧力容器7内に挿入された、圧力容器7の内周面7aに沿って湾曲した状態の第1ボード4Bに乗せる。また、先ほどと同様にして、上流側の端部材3の下方に第1ボード4Bを配置する。そして、第2ボード4Cおよび第1ボード4Bを圧力容器7の内周面7a上に滑らせながら第1の膜エレメント2を圧力容器7の軸方向に移動させるとともに、第2の膜エレメント2を圧力容器7内に挿入する。
【0045】
上記の作業を繰り返すことにより、全ての膜エレメント2を圧力容器7内に装填することができる。なお、隣り合う膜エレメント2を圧力容器7の外側で連結し、それらの互いに対向する端部材3の双方を同時に第1ボード4Bで包み込むようにしてもよい。
【0046】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、膜エレメント2を圧力容器7内に装填する際の作業性および膜エレメント2を圧力容器7から取り出す際の作業性の双方を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、棒状のシール部材42が採用されている。例えば、図1に示すような当初からリング状のパッキン5では、パッキン5を環状溝35よりも径の大きな部分を通過させる必要があるため、パッキン5の装着にかなりの労力を要する。これに対し、棒状のシール部材42であれば、シール部材42を環状溝35に沿って曲げるだけで簡単に装着することができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、外側張り出し部41bが膜エレメント2の端面を超えて延びているので、上流側の膜エレメント2を取り出せば、外側張り出し部41bが露出する。このため、膜エレメント2の取り出し時には、外側張り出し部41bの先端を掴んで膜エレメント2を引き出すことができ、膜エレメント2を圧力容器7から取り出す際の作業性をさらに向上させることができる。
【0049】
さらには、内側張り出し部41cには台座部43が設けられているので、外側張り出し部41bを引っ張る際に台座部43が端部材3に係合する役割を果たす。
【0050】
(第3実施形態)
次に、図9ならびに図10(a)および(b)を参照して、本発明の第3実施形態に係る分離膜モジュールを説明する。本実施形態では、第1ボード41Bの代わりに、形状が少し変わっただけの第3ボード4Dが用いられている。本実施形態のその他の構成は、第2実施形態と同様である。
【0051】
具体的に、第3ボード4Dでは、外側張り出し部41bが、先端を掴んで持ち上げることができるように十分長く、かつ、先端に向かって先細りとなる形状に形成されている。また、外側張り出し部41bの先端には、指をかけるための穴44が形成されている。
【0052】
このような構成であれば、外側張り出し部41bの先端を掴んで膜エレメント2を引き出す際に、外側張り出し部41bの先端に容易に力をかけることができる。
【0053】
(その他の実施形態)
前記第2および第3実施形態では、第1ボード4Bまたは第3ボード4Dにシール部材42が1つだけ取り付けられていたが、図11に示すように、シール部材42は、隣り合う膜エレメント2の互いに対向する双方の端部材3の環状溝35に嵌り込むように、第1ボード4Bまたは第3ボード4Dに2つ取り付けられていてもよい。このようになっていれば、連結器61(図1参照)を用いなくても第1ボード4Bまたは第3ボード4Dによって隣り合う膜エレメント2同士を連結することが可能になる。
【0054】
また、圧力容器7内に装填される膜エレメント2の本数は必ずしも複数本である必要はなく、1本であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 分離膜モジュール
2 膜エレメント
3 端部材
35 環状溝
4A〜4D ボード
41a 主部
41b 外側張り出し部
42 シール部材
42a,42b 先端部
44 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離膜を含む膜エレメントを筒状の圧力容器内に装填する方法であって、
前記圧力容器内で前記膜エレメントが潤滑性のボードに乗せられるように前記膜エレメントを前記圧力容器内に挿入し、前記ボードを前記圧力容器の内周面上に滑らせながら前記膜エレメントを前記圧力容器の軸方向に移動させる、膜エレメント装填方法。
【請求項2】
前記膜エレメントは、前記分離膜を取り囲む外装材を含み、
前記ボードは、前記外装材を支持するように配置される、請求項1に記載の膜エレメント装填方法。
【請求項3】
前記膜エレメントは、前記分離膜を挟んで配置された一対の端部材を含み、
前記ボードは、前記一対の端部材のそれぞれを支持するように配置される、請求項1に記載の膜エレメント装填方法。
【請求項4】
前記一対の端部材のうちの少なくとも一方の端部材の外周面には、全周に亘って径方向外側に開口する環状溝が形成されており、
前記ボードは、当該ボードに前記環状溝に嵌め込まれることによってリング状となる棒状のシール部材が取り付けられたシーリングボードを含む、請求項3に記載の膜エレメント装填方法。
【請求項5】
前記シール部材の双方の先端部は、前記圧力容器の軸方向に互いに重合可能な形状に形成されている、請求項4に記載の膜エレメント装填方法。
【請求項6】
前記シーリングボードは、前記端部材の真下に位置する部分から前記膜エレメントの端面を超えて延びる張り出し部を有している、請求項4または5に記載の膜エレメント装填方法。
【請求項7】
前記張り出し部の先端には、指をかけるための穴が形成されている、請求項6に記載の膜エレメント装填方法。
【請求項8】
筒状の圧力容器と、
前記圧力容器内に装填された、分離膜を含む膜エレメントと、
前記膜エレメントと前記圧力容器の内周面との間に配置された、前記膜エレメントを乗せた状態で前記圧力容器の内周面上を摺動可能な潤滑性のボードと、
を備える、分離膜モジュール。
【請求項9】
前記膜エレメントは、前記分離膜を取り囲む外装材を含み、
前記ボードは、前記外装材を支持するように配置される、請求項8に記載の分離膜モジュール。
【請求項10】
前記膜エレメントは、前記分離膜を挟んで配置された一対の端部材を含み、
前記ボードは、前記一対の端部材のそれぞれを支持するように配置される、請求項8に記載の分離膜モジュール。
【請求項11】
前記一対の端部材のうちの少なくとも一方の端部材の外周面には、全周に亘って径方向外側に開口する環状溝が形成されており、
前記ボードは、当該ボードに前記環状溝に嵌め込まれることによってリング状となる棒状のシール部材が取り付けられたシーリングボードを含む、請求項10に記載の分離膜モジュール。
【請求項12】
前記シール部材の双方の先端部は、前記圧力容器の軸方向に互いに重合可能な形状に形成されている、請求項11に記載の分離膜モジュール。
【請求項13】
前記シーリングボードは、前記端部材の真下に位置する部分から前記膜エレメントの端面を超えて延びる張り出し部を有している、請求項11または12に記載の分離膜モジュール。
【請求項14】
前記張り出し部の先端には、指をかけるための穴が形成されている、請求項13に記載の分離膜モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−170827(P2012−170827A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31748(P2011−31748)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】