説明

膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法

【課題】多量のバラスト処理水を短時間にバラストタンクへ供給できるバラスト水処理用膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法の提供。
【解決手段】膜と原水流路と処理水流路とを備えた膜カートリッジ1を2以上並設し、2以上の膜カートリッジ1に第1マニホールド2、第2マニホールド3を共通に備え、第1マニホールド2は原水流路と直接接続して連通する第1の流路を備え、第2マニホールド3は原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、処理水流路と連通する第2の流路とを備えてなり、膜処理の際、第1マニホールド2の第1の流路から原水流路にバラスト原水を供給することによりろ過して膜処理水を得、次いで、膜洗浄の際に、第1マニホールド2の第1の流路又は第2マニホールド3の第1の流路から原水流路にバラスト原水を供給することにより膜表面を洗浄し、洗浄排液を前記第2マニホールド3の第1の流路又は第1マニホールド2の第1の流路に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法に関し、詳しくは、多量のバラスト処理水を短時間にバラストタンクに供給できる膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原油等を輸送する貨物用船舶には、航行時の船体の安定性を保つためにバラストタンクが設けられている。通常、原油等が積載されていないときには、バラストタンク内をバラスト水で満たし、原油等を積み込む際にバラスト水を排出することにより、船体の浮力を調整し、船体を安定化させている。
【0003】
このようにバラスト水は、船舶の安全な航行のために必要な水であり、通常、荷役を行う港湾のバラスト原水が利用される。その量は、世界的にみると年間100億トンを超えるといわれている。
【0004】
ところで、バラスト水中には、それを取水した港湾に生息する微生物や、小型・大型生物の卵が混入しており、船舶の移動に伴い、これら微生物や、小型・大型生物の卵が同時に異国に運ばれることになる。
【0005】
従って、もともとその海域には生息していなかった生物種が、既存生物種に取って代わるといった生態系の破壊が深刻化している。
【0006】
このような背景の中、国際海事機関(IMO)の外交会議において、バラスト水処理装置等に係る定期的検査の受検義務が採択され、2009年以降の建造船から適用されている。
【0007】
また、船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための条約(以下、条約という)により、バラスト水の排出基準は、バラスト水の排出時に外洋に存在する微生物数の100分の1程度まで殺菌あるいは除菌されていることが要求されている。
【0008】
バラスト水中の微生物を殺菌する技術としては、オゾン殺菌技術(特許文献1)が知られている。またオゾン使用量を削減する観点から、本出願人は、膜処理技術も提案している(特許文献2)。膜処理に用いられる膜は、一般に、分離対象となる微生物の大きさを考慮して、精密ろ過膜や限外ろ過膜が用いられている。膜のタイプとしては、平膜(特許文献3)やスパイラル膜(特許文献4)などが知られているが、いずれのタイプであっても、膜処理の場合には、膜の目詰まりが発生し、膜面積当たりの処理量(フラックス)が低下する問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US2003/0015481
【特許文献2】特開2007−268379号公報
【特許文献3】特許第3160609号公報
【特許文献4】特開2000−271454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
バラストタンクの容量は、船舶の規模にもよるが、大型の船舶の場合、たとえば10,000〜50,000mと膨大である。にもかかわらず、そのタンクに大量のバラスト水を充填するのに、1日程度の時間で行わなければならないというバラスト特有の課題がある。船舶が積み荷を降ろして再出港するまでの時間が限られているからである。
【0011】
しかるに、従来の膜処理方法では、通常、加圧循環方式が採用されている。この加圧循環方式は、原水を加圧して、膜間に供給し、膜間を通過する際に、ろ過水と濃縮水に分離し、濃縮液は、再度原水側に戻し、原水と共に循環する方式である。この方式では、原水から濃縮液が分離される分だけ、原水から分離されるろ過水の量が減少することは避けられない。このため、短時間に大量のろ過水を得ようとする上では問題が残る。
【0012】
そこで、本発明の課題は、多量のバラスト処理水を短時間にバラストタンクへ供給できる膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法を提供することにある。
【0013】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0015】
(請求項1)
内部に膜と原水流路と処理水流路とを備えた膜カートリッジを2以上並設し、該2以上の膜カートリッジの一端に第1マニホールドを共通に備えると共に他端に第2マニホールドを共通に備え、
前記第1マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路を備え、
前記第2マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、前記膜カートリッジの各々の前記処理水流路と連通する第2の流路とを備えてなり、
膜処理の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することによりろ過して膜処理水を得、
次いで、膜洗浄の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路又は前記第2のマニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することにより膜表面を洗浄し、洗浄排液を前記第2マニホールドの前記第1の流路又は前記第1マニホールドの前記第1の流路に排出することを特徴とする膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【0016】
(請求項2)
内部に膜と原水流路と処理水流路とを備えた膜カートリッジを2以上並設し、該2以上の膜カートリッジの一端に第1マニホールドを共通に備えると共に他端に第2マニホールドを共通に備え、
前記第1マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、前記膜カートリッジの各々の前記処理水流路と連通する第2の流路とを備え、
前記第2マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路を備えてなり、
膜処理の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することによりろ過して膜処理水を得、
次いで、膜洗浄の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路又は前記第2のマニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することにより膜表面を洗浄し、洗浄排液を前記第2マニホールドの前記第1の流路又は前記第1マニホールドの前記第1の流路に排出することを特徴とする膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【0017】
(請求項3)
内部に膜と原水流路と処理水流路とを備えた膜カートリッジを2以上並設し、該2以上の膜カートリッジの一端に第1マニホールドを共通に備えると共に他端に第2マニホールドを共通に備え、
前記第1マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、前記膜カートリッジの各々の前記処理水流路と連通する第2の流路とを備え、
前記第2マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、前記膜カートリッジの各々の前記処理水流路と連通する第2の流路とを備えてなり、
膜処理の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することによりろ過して膜処理水を得、
次いで、膜洗浄の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路又は前記第2のマニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することにより膜表面を洗浄し、洗浄排液を前記第2マニホールドの前記第1の流路又は前記第1マニホールドの前記第1の流路に排出することを特徴とする膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【0018】
(請求項4)
前記膜処理の際、デッドエンド方式による全量ろ過を行うことを特徴とする請求項1、2又は3記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【0019】
(請求項5)
前記膜洗浄の際、前記原水流路に供給されたバラスト原水の膜面平行流によって膜表面を洗浄することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【0020】
(請求項6)
前記膜洗浄の際、膜処理水を得ることなく前記膜面平行流によって膜表面を洗浄することを特徴とする請求項5記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【0021】
(請求項7)
前記膜洗浄の際、前記膜面平行流によって膜表面を洗浄すると共に膜処理水を得ることを特徴とする請求項5記載の膜カートリッジを用いた水の処理方法。
【0022】
(請求項8)
前記膜処理と前記膜洗浄の切り替えを、タイマーによって行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、多量のバラスト処理水を短時間にバラストタンクへ供給できる膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る膜カートリッジを用いたバラスト水処理設備の一例を示す図
【図2】膜カートリッジの要部断面図
【図3】水処理設備の他の例を示す図
【図4】マニホールド構造の斜視図
【図5】マニホールド構造の第1態様を示す断面図
【図6】膜カートリッジの並設における本発明と従来例の比較図
【図7】マニホールド構造の第2態様を示す断面図
【図8】マニホールド構造の第3態様を示す断面図
【図9】膜ユニット集合体を備えたバラスト水処理設備の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明に係るバラスト水処理用膜カートリッジを用いたバラスト水の処理設備の一例を示す図である。
【0027】
バラスト原水10は、バラストポンプ11によって汲み上げられ、膜カートリッジ1に供給される。12はバラスト原水吸込み管、13はバラスト原水吸込み管12に設けられる開閉弁である。
【0028】
膜カートリッジ1は、該膜カートリッジ1が備えるバラスト原水入口203、処理水出口305及び洗浄排液出口303を介して、バラスト原水吸込み管12、処理水管17及び放流管14にそれぞれ接続されている。18は処理水管17に設けられる開閉弁、15は、放流管14に設けられる開閉弁である。バラストポンプ11及び開閉弁13、15、18は、制御装置19に接続されており、制御装置19により、バラストポンプ11のポンプ流量調整、及び、開閉弁13の開閉が制御可能とされる。
【0029】
本発明において、バラスト原水は、船舶バラスト水として従来使用されてきた水であればよく、海水がおもに使用される。
【0030】
また、本態様では、1本の膜カートリッジを用いているが、膜カートリッジは、バラストタンクへ1日で処理水を満水にするために必要な本数を並列に設置して備えることが好ましく、これについては後述する。
【0031】
膜カートリッジ1に供給されたバラスト原水は膜処理され、生じた処理水は処理水管17を介してバラストタンク16に供給される。
【0032】
また、膜カートリッジ1は、放流管14を介して、洗浄排液を例えば海へ放流する。
【0033】
図2を参照して、膜カートリッジの一例について説明する。
【0034】
図2は、膜カートリッジの要部断面図である。
【0035】
膜カートリッジ1は、バラスト処理水集水管100と該集水管100の外周に巻回された1以上の封筒状膜(スパイラル膜)101からなるスパイラル膜モジュールを内部に装填している。前記集水管100の内部は、各々の封筒状膜101の封筒体内部と連通している。
【0036】
また、該集水管100の外周に巻回された複数の封筒状膜101の各々の封筒体内部には、膜を封筒状に張設すると共に、処理水(透過水)を該集水管100に移送するための支持体102を設けることができる。
【0037】
原水流路103は、スパイラル膜の外部で、該集水管100と膜カートリッジ1の内面に形成される。
【0038】
また、集水管100は、処理水出口305を介して処理水管17に接続され、原水流路103は、バラスト原水入口203を介してバラスト原水吸込み管12に接続されると共に、洗浄排液出口303を介して放流管14に接続されている。
【0039】
以上の構成を有する設備において、バラストポンプ11を作動させて、バラスト原水を汲み上げ、膜カートリッジ1に供給する。
【0040】
本発明において、膜カートリッジによる膜処理では、デッドエンド方式による全量ろ過が行われる。
【0041】
この方式は、放流管14に設けられた開閉弁15を閉じ、処理水管17の開閉弁18を開けて、バラストポンプ11を始動して、バラスト原水を膜カートリッジ1のバラスト原水入口203に供給して、その全量を膜処理することによって行われる。膜処理によって生じた処理水は、処理水出口305から、処理水管17に送られ、バラストタンク16に供給される。
【0042】
デッドエンド方式で全量ろ過する場合においては、膜ろ過による圧力損失が100〜200kPaであることが望ましいため、バラスト原水圧は実際の揚程+100〜200kPaとなるように調節することが好ましい。バラスト原水圧がこの値より低い場合は、十分なフラックスが得られず、この値より高い場合は、スパイラル膜にかかる圧力負荷が大きく、膜が損傷する恐れがある。
【0043】
従来の加圧循環方式の膜処理では、バラスト原水は、処理水と濃縮水に分離され、その比率が処理水10:濃縮水90程度の低負荷運転が行われている。これに対して、デッドエンド方式で全量ろ過した場合は、処理水と濃縮水の比率が100:0であり、処理速度が通常運転時の10倍程度にまで向上する。
【0044】
従って、この方式では、バラスト原水の処理が高速であり、短時間でバラストタンク16に大量のバラスト水を充填することが可能となる。
【0045】
しかし、デッドエンド方式は、この様にバラスト水処理が高速であるが故に、膜表面の付着物質による目詰まりを起こし易く、フラックス低下が早い。長期の連続運転を行った場合は、目詰まりによって液が滞留し、膜への負荷が大きくなり、膜を損傷する恐れもある。
【0046】
従来は、この様な問題を有するが故に、スパイラル膜カートリッジによる膜処理において、本発明の様な全量ろ過は、用いられていなかった。
【0047】
それにも拘らず、本発明において、デッドエンド方式による全量ろ過が好ましく適用される理由は、本発明者が、バラスト水処理においては、漲水は通常1日程度で完了するため、長期の連続運転が要求されない点、更に、スパイラル膜カートリッジであれば、以下に説明する膜面平行流による洗浄を適用できる点を見出したためである。
【0048】
本発明では、バラスト水の漲水時において、前述の全量ろ過と交互に、膜面平行流により膜表面の洗浄(この洗浄を本発明では、クロスフロー方式による膜洗浄といい、単に方式を指称する場合は、クロスフロー方式という場合がある)を行う。
【0049】
前記膜面平行流とは、膜を透過する液流ではなく、原水流路103中において、封筒状膜101の表面に対して略平行な状態で、封筒状膜101の表面に沿う方向に流れる液流である。
【0050】
このクロスフロー方式は、放流管14に設けられた開閉弁15を開けて、バラスト原水を膜カートリッジ1のバラスト原水入口203に供給して、洗浄排液出口303から排出させる。膜カートリッジ1内に供給されたバラスト原水は、スパイラル膜面と平行な流れによって、膜表面の付着物質を剥離させる。排出された付着物質を含むバラスト原水(洗浄排液)は、洗浄排液出口303から放流管14を介して例えば海へ放流されてもよいし、あるいはその洗浄排液をバラスト原水側(バラスト原水入口203)に戻して洗浄排液を濃縮液として循環させてもよい。
【0051】
次に、図3を参照して、クロスフロー方式による膜洗浄の他の態様について説明する。
【0052】
図3は、本発明に係るバラスト水処理用膜カートリッジを用いたバラスト水の処理設備の他の例を示す図である。
【0053】
図が示すバラスト水の処理設備において、12aは洗浄用バラスト原水吸込み管であり、膜カートリッジ1が備える洗浄排液出口303に接続されている。13aは、洗浄用バラスト原水吸込み管12aに設けられた開閉弁である。
【0054】
また、14aは放流管(洗浄排液放流管)であり、膜カートリッジ1が備えるバラスト原水入口203と開閉弁13との間に接続されている。15aは、該放流管14aに設けられた開閉弁である。バラストポンプ11及び開閉弁13、13a、15a、18は、制御装置19に接続されており、制御装置19により、バラストポンプ11のポンプ流量調整、及び、開閉弁13、13a、15a、18の開閉が制御可能とされる。
【0055】
上記構成を有するバラスト水の処理設備において、膜洗浄時に、開閉弁13を閉じ、開閉弁13a及び15aを開いて、バラスト原水を洗浄排液排出口303から導入し、バラスト原水入口203から排出する。
【0056】
これにより、膜処理時とは逆方向の膜面平行流による膜洗浄を行うことができる。該膜面平行流は、膜処理時と同方向の膜面平行流と比較して、膜表面に付着した付着物質の剥離作用がより強いため、より高い膜洗浄効果を得ることができる。
【0057】
本発明において、クロスフロー方式で膜洗浄する際のバラスト原水圧は、実際の揚程と同等の範囲でよく、デッドエンド方式による全量ろ過の場合と比べると、低い圧力でよい。
【0058】
また、本発明において、クロスフロー方式による膜洗浄の際には、処理水管17の開閉弁18を開放して、膜洗浄と共にバラスト原水をろ過して処理水を得てもよいし、反対に、開閉弁18を閉鎖して、処理水を得ないようにしてもよい。
【0059】
つまり、本発明では、全量ろ過により、膜面に付着物質が付着してフラックスが低下するが、膜面平行流による膜洗浄により、付着物質が膜面から剥離・除去されるため、膜洗浄を行っている間に処理水を得る場合にも、フラックスが回復し、膜処理水を効率的に得ることが可能となる。そのため、バラストタンクへのバラスト水供給時間を大幅に短縮できる効果を発揮する。
【0060】
一方、処理水を得ないようにした場合は、付着物質を膜方向に押圧する力が更に低減するため、膜面平行流の形成が更に促され、洗浄の効率が飛躍的に向上し、洗浄を短時間で完了することが可能となる。従って、全量ろ過に割り当てる時間を増加させることができるため、バラストタンクへのバラスト水供給時間を大幅に短縮できる効果に繋がる。
【0061】
膜洗浄と全量ろ過の切り替えのタイミングの制御は、例えば全量ろ過時にフラックスを測定し、該フラックスが特定値(最小フラックス)を下回る前に、膜洗浄に切り替えることが好ましい。
【0062】
前記最小フラックスは、適宜設定でき、好ましくは初期フラックスの80〜95%、より好ましくは初期フラックスの85〜90%である。
【0063】
本発明者の実験によると、全量ろ過時に、フラックスが初期フラックスの80%まで低下する時間は、3〜4時間である。
【0064】
また、膜洗浄の時間は、適宜設定でき、好ましくは3分〜30分、より好ましくは5分〜15分程度で十分なフラックスが回復する。
【0065】
従って、上記時間に基づいて、タイマー制御によって、膜洗浄と全量ろ過の切り替えのタイミングを制御することも可能である。好ましくは全量ろ過を0.5〜3時間行って、膜洗浄を1〜10分行うことであり、より好ましくは、全量ろ過を1〜2時間行って、膜洗浄を3〜6分行うことであり、更に好ましくは全量ろ過を1時間行って、膜洗浄を6分行うことである。タイマー制御には、制御装置19が用いられ、具体的には、例えば、図1の態様では、全量ろ過時は、開閉弁15を閉じると共に、開閉弁18を開き、膜洗浄時は、開閉弁15を開くと共に、処理水を得る/得ないに応じて開閉弁18を開く/閉じるように制御し、あるいは、図3の態様では、全量ろ過時は、開閉弁13a及び15aを閉じると共に、開閉弁13及び18を開き、膜洗浄時は、開閉弁13a及び15aを開いて、開閉弁13を閉じると共に、処理水を得る/得ないに応じて開閉弁18を開く/閉じるように制御することができる。このとき、必要に応じて、バラストポンプ11の流量の調整が行われてもよい。
【0066】
以上の構成を有するバラスト水処理用膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法によって、多量のバラスト処理水を短時間にバラストタンクへ供給できる。
【0067】
さらに、本発明者は、上記の構成を有するバラスト水の処理設備における圧力損失の低減について検討を行った。特に、全量ろ過時においては、バラスト原水が膜を透過する際の圧力損失が大きいため、ポンプへの負荷が大きく、ポンプ動力のコスト上昇や、ポンプ寿命が低下する等の問題を生じる。これに対して、ポンプを多数設置して対応した場合は、設置スペースや設置コストの増加を招く。膜の目開きを大きくして対応するにしても、除去すべき微生物のサイズから限界がある。
【0068】
そこで、本発明者は、圧力損失が、バラスト原水の膜透過圧だけでなく、膜カートリッジに接続される配管によっても生じることに着目した。
【0069】
つまり、配管を用いた場合には、流体力学上、配管長さ、配管の曲がり、配管径の拡大・縮小などによって圧力損失が生じる。特に、膜カートリッジを複数本備える場合は、膜カートリッジの数に応じて配管の数も増加し、圧力損失を増加させる。
【0070】
そこで、本発明者は、配管による圧力損失の軽減について鋭意検討し、以下に詳述する特有のマニホールド構造によって膜カートリッジを連結して膜ユニットを構成することにより、圧力損失の低減が可能であることを見出した。
【0071】
図4は、マニホールド構造の第1態様を示す斜視図、図5はマニホールド構造の第1態様を示す断面図である。
【0072】
本態様では、6本の膜カートリッジ1を並設して膜ユニット4が形成されている。本発明において、膜カートリッジ1は2以上並設されればよく、その数は限定されるわけではないが、好ましくは3〜20本の範囲であり、より好ましくは4〜15本であり、さらに好ましくは5〜10本である。
【0073】
また、本態様では、膜カートリッジ1の一端(図面上左側)に第1マニホールド2を備え、他端に第2マニホールド3を備える。
【0074】
第1マニホールド2は、直方体状のマニホールド本体200内にバラスト原水室201を有し、該バラスト原水室201は、取水されたバラスト原水を導入する開口であるバラスト原水導入口202を備える。
【0075】
またバラスト原水室201は、前記膜カートリッジ1のバラスト原水入口203と連通し、バラスト原水流路103にバラスト原水を送液可能とされる。
【0076】
第1マニホールド2と膜カートリッジ1の接続手法は着脱可能であれば、特に限定されず、たとえば螺合手法などが採用され、図5の例では、螺合とOリングによる密封を採用している。螺合は直接螺合する態様でも、補助部材を用いて螺合する態様でもよい。
【0077】
バラスト原水室201とバラスト原水流路103の接続は格別限定されないが、直接接続すると圧力損失を減少できて好ましい。例えば図示のようにバラスト原水入口203がバラスト原水室201の側壁に設けられた開口に連通する場合には、その開口に向けてバラスト原水流路103を連通させる態様が好ましい。
【0078】
前記第2マニホールド3は、直方体状のマニホールド本体300内に洗浄排液室301と処理水室302を備える。洗浄排液室301と処理水室302は図示のように併設されることが好ましく、より好ましくは膜カートリッジ1に接して洗浄排液室301を配置し、膜カートリッジ1から遠い側に処理水室302を配置する態様が挙げられる。
【0079】
洗浄排液室301は、膜カートリッジ1の洗浄排液出口303と連通しており、バラスト原水流路103から送られる洗浄排液を導入可能とされる。
【0080】
第2マニホールド3と膜カートリッジ1の接続は着脱可能であれば、特に限定されず、たとえば螺合手法などが採用され、図5の例では、螺合とOリングによる密封を採用している。螺合は直接螺合する態様でも、補助部材を用いて螺合する態様でもよい。
【0081】
また、洗浄排液室301は、洗浄排液室301内の洗浄排液を外部に排出するための洗浄排液排出口304を側壁に備える。
【0082】
処理水室302は、バラスト処理水集水管100からの処理水出口305と連通しており、更に、処理水室302内に導入された処理水をバラストタンク(図示せず)へ移送するための処理水排出口306を備える。
【0083】
処理水室302は、洗浄排液を外部に排出するための排出口307を設けることができる。この場合、前記洗浄排液排出口304に洗浄排液排出管308を設け、その洗浄排液排出管308を排出口307に連結することにより、洗浄排液室301内の洗浄排液を外部に排出できる。
【0084】
なお、図示の例では、洗浄排液排出口304を洗浄排液室301の側壁に備えているが、洗浄排液室301の上壁又は下壁に設けることもでき、その場合には、排出口307及び洗浄排液排出管308を設ける必要はない。
【0085】
本発明では、上述した特有のマニホールド構造によって、複数の膜カートリッジを処理ライン上に並列に設置してユニット化して、圧力損失の低減を図った(図6(a))。
【0086】
例えば特開2005−270810に開示されているような、ヘッダー管に対して複数の膜カートリッジを、それぞれ配管によって連結した場合(図6(b))と比較して、配管の数が大幅に削減される。例えば、6本の膜カートリッジを本発明のマニホールド構造によって連結した場合は、配管の数が1/6に削減される。
【0087】
従って、配管を用いた場合に生じる、流体力学上、配管長さ、配管の曲がり、配管径の拡大・縮小などによって発生する圧力損失が大幅に削減され、原水ポンプの動力を抑えることが可能となり、ランニングコストを下げることができる。
【0088】
ところで、好ましいマニホールド構造は、上記に限定されず、図7及び図8に示す態様であってもよい。
【0089】
図7は、マニホールド構造の第2態様を示す断面図である。
【0090】
第2態様において、第1マニホールド2は、直方体状のマニホールド本体200内にバラスト原水室201と処理水室204を備える。バラスト原水室201と処理水室204は図示のように併設されることが好ましく、より好ましくは膜カートリッジ1に接してバラスト原水室201を配置し、膜カートリッジ1から遠い側に処理水室204を配置する態様が挙げられる。
【0091】
バラスト原水室201は、取水されたバラスト原水を導入する開口であるバラスト原水導入口202を備える。
【0092】
また、バラスト原水室201は、前記膜カートリッジ1のバラスト原水入口203と連通し、バラスト原水流路103にバラスト原水を送液可能とされる。
【0093】
第1マニホールド2と膜カートリッジ1の接続手法は着脱可能であれば、特に限定されず、たとえば螺合手法などが採用され、図示の例では、螺合とOリングによる密封を採用している。螺合は直接螺合する態様でも、補助部材を用いて螺合する態様でもよい。
【0094】
バラスト原水室201とバラスト原水流路103の接続は格別限定されないが、直接接続すると圧力損失を減少できて好ましい。例えば図示のようにバラスト原水入口203がバラスト原水室201の側壁に設けられた開口に連通する場合には、その開口に向けてバラスト原水流路103を連通させる態様が好ましい。
【0095】
処理水室204は、バラスト処理水集水管100から処理水を導入可能な処理水導入口205と、処理水室204内の処理水をバラストタンク(図示せず)へ移送するための処理水排出口206を備える。
【0096】
処理水室204は、バラスト原水をバラスト原水室201に導入するための導入口207を設けることができる。この場合、前記バラスト原水導入口202にバラスト原水導入管208を設け、そのバラスト原水導入管208を導入口207に連結することにより、バラスト原水をバラスト原水室201に導入できる。
【0097】
なお、図示の例では、バラスト原水導入口202をバラスト原水室201の側壁に備えているが、バラスト原水室201の上壁又は下壁に設けることもでき、その場合には、導入口207を設ける必要はない。
【0098】
前記第2マニホールド3は、直方体状のマニホールド本体300内に洗浄排液室301を備える。
【0099】
洗浄排液室301は、膜カートリッジ1の洗浄排液出口303と連通しており、バラスト原水流路103から送られる洗浄排液を導入可能に設けられている。
【0100】
第2マニホールド3と膜カートリッジ1の接続は着脱可能であれば、特に限定されず、たとえば螺合手法などが採用され、図示の例では、螺合とOリングによる密封を採用している。螺合は直接螺合する態様でも、補助部材を用いて螺合する態様でもよい。
【0101】
また、洗浄排液室301は、洗浄排液室301内の洗浄排液を外部に排出するための洗浄排液排出口304を側壁に備える。
【0102】
図8は、マニホールド構造の第3態様を示す断面図である。
【0103】
第3態様において、第1マニホールド2は、直方体状のマニホールド本体200内にバラスト原水室201と第1の処理水室204を備える。バラスト原水室201と第1の処理水室204は図示のように併設されることが好ましく、より好ましくは膜カートリッジ1に接してバラスト原水室201を配置し、膜カートリッジ1から遠い側に第1の処理水室204を配置する態様が挙げられる。
【0104】
バラスト原水室201は、取水されたバラスト原水を導入する開口であるバラスト原水導入口202を備える。
【0105】
また、バラスト原水室201は、前記膜カートリッジ1のバラスト原水入口203と連通し、バラスト原水流路103にバラスト原水を送液可能とされる。
【0106】
第1マニホールド2と膜カートリッジ1の接続手法は着脱可能であれば、特に限定されず、たとえば螺合手法などが採用され、図示の例では、螺合とOリングによる密封を採用している。螺合は直接螺合する態様でも、補助部材を用いて螺合する態様でもよい。
【0107】
バラスト原水室201とバラスト原水流路103の接続は格別限定されないが、直接接続すると圧力損失を減少できて好ましい。例えば図示のようにバラスト原水入口203がバラスト原水室201の側壁に設けられた開口に連通する場合には、その開口に向けてバラスト原水流路103を連通させる態様が好ましい。
【0108】
第1の処理水室204は、バラスト処理水集水管100から処理水を導入可能な処理水導入口205と、第1の処理水室204内の処理水をバラストタンク(図示せず)へ移送するための処理水排出口206を備える。
【0109】
第1の処理水室204は、バラスト原水をバラスト原水室201に導入するための導入口207を設けることができる。この場合、前記バラスト原水導入口202にバラスト原水導入管208を設け、そのバラスト原水導入管208を導入口207に連結することにより、バラスト原水をバラスト原水室201に導入できる。
【0110】
なお、図示の例では、バラスト原水導入口202をバラスト原水室201の側壁に備えているが、バラスト原水室201の上壁又は下壁に設けることもでき、その場合には、導入口207を設ける必要はない。
【0111】
前記第2マニホールド3は、直方体状のマニホールド本体300内に洗浄排液室301と第2の処理水室302を備える。洗浄排液室301と第2の処理水室302は図示のように併設されることが好ましく、より好ましくは膜カートリッジ1に接して洗浄排液室301を配置し、膜カートリッジ1から遠い側に第2の処理水室302を配置する態様が挙げられる。
【0112】
洗浄排液室301は、膜カートリッジ1の洗浄排液出口303と連通しており、バラスト原水流路103から送られる洗浄排液を導入可能とされる。
【0113】
第2マニホールド3と膜カートリッジ1の接続は着脱可能であれば、特に限定されず、たとえば螺合手法などが採用され、図示の例では、螺合とOリングによる密封を採用している。螺合は直接螺合する態様でも、補助部材を用いて螺合する態様でもよい。
【0114】
また、洗浄排液室301は、洗浄排液室301内の洗浄排液を外部に排出するための洗浄排液排出口304を側壁に備える。
【0115】
第2の処理水室302は、バラスト処理水集水管100から処理水を導入可能な処理水出口305と、第2の処理水室302内の処理水をバラストタンク(図示せず)へ移送するための処理水排出口306を備える。
【0116】
第2の処理水室302は、洗浄排液を外部に排出するための排出口307を設けることができる。この場合、前記洗浄排液排出口304に洗浄排液排出管308を設け、その洗浄排液排出管308を排出口307に連結することにより、洗浄排液室301内の洗浄排液を外部に排出できる。
【0117】
なお、図示の例では、洗浄排液排出口304を洗浄排液室301の側壁に備えているが、洗浄排液室301の上壁又は下壁に設けることもでき、その場合には、排出口307及び洗浄排液排出管308を設ける必要はない。
【0118】
上記第3態様によれば、第1マニホールド2及び第2マニホールド3を同一の部品とすることが可能であり、装置の成形が容易である。
【0119】
ところで、本発明において、膜カートリッジは、バラストタンクへ1日で処理水を満水にするために必要な本数を並列に設置して備えることが好ましい。
【0120】
処理時間T(Day)の間に、バラストタンクへ処理水を満水にするために必要な膜カートリッジの本数nは、バラストタンク容量をQ(m)、1本の膜カートリッジあたりの膜面積をS(m)、初期フラックス(透過流束)をF(m/Day)、処理時間をT(Day)とした場合、以下の式で表せる。
n=α・Q/(S・F・T)
【0121】
従って、1日で処理水を満水にする場合は、以下の式で表せる。
n=α・Q/(S・F
【0122】
αは、全量ろ過時におけるフラックス低下に起因する処理量の低下、及び、膜洗浄時における処理量の低下を補正する係数で、通常1.05〜1.30の範囲である。
【0123】
例えば、1本の膜カートリッジの膜面積が、38mのものを使用し、初期フラックスが、1.5m/Dのものを使用する。バラストタンクの容量が20000mの場合、1日で処理水を供給する場合には膜カートリッジは約370〜460本必要である。
【0124】
この様に、バラスト水処理の場合は、大量の膜カートリッジを並列に設置する必要がある。従来の配管によるマニホールド構造で並設した場合は、配管による圧力損失が大きいため、更に圧力損失を増大させる全量ろ過を適用する上で課題が残されていた。
【0125】
これに対して、上述した特有のマニホールド構造によって削減される圧力損失は、削減された配管の数に応じて莫大なものとなり、圧力損失の大きい全量ろ過を、より実用的に施行することが可能となる。
【0126】
さらに、上述した特有のマニホールド構造を用いた場合は、以下に説明する膜ユニット集合体を形成することで、更なる圧力損失が図られる。
【0127】
図9は、膜ユニット集合体を備えたバラスト水の処理設備の一例を示す図である。
【0128】
5は膜ユニット集合体であり、複数の膜ユニット4を棚段状に組み込んで構成されている。ここでは、膜ユニット4は、図4に示した態様のものを用いている。
【0129】
各々の膜ユニット4は、直方体状のマニホールドの下側面を膜ユニット載置部位に当接させて棚段状に載置されている。また、各々の膜ユニット4において、膜カートリッジ1は、両端をマニホールドに支持された状態で存在している。
【0130】
前記膜ユニット載置部位は、L字型等のアングルによって形成した骨格であってもよいし、他の膜ユニットが有するマニホールドの上側面であってもよい。
【0131】
このように、膜ユニット集合体を形成することにより、多数の膜ユニットを密集させることが可能となり、各々の膜ユニットを集水管と結ぶための配管が短いものでよいため、配管による圧力損失が更に低減する。
【0132】
なお、以上に説明した圧力損失の低減効果は、全量ろ過時のみではなく、膜洗浄時においても得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0133】
1:膜カートリッジ
100:バラスト処理水集水管
101:封筒状膜(スパイラル膜)
102:支持体
103:バラスト原水流路
203:バラスト原水入口
303:洗浄排液出口
305:処理水出口
2:第1マニホールド
201:バラスト原水室
202:バラスト原水導入口
204:処理水室
205:処理水導入口
206:処理水排出口
207:導入口
208:バラスト原水導入管
3:第2マニホールド
301:洗浄排液室
302:処理水室
304:洗浄排液排出口
306:処理水排出口
307:排出口
4:膜ユニット
5:膜ユニット集合体
10:バラスト原水
11:バラストポンプ
12:バラスト原水吸込み管
13:開閉弁
14:放流管
15:開閉弁
16:バラストタンク
17:処理水管
18:開閉弁
19:制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に膜と原水流路と処理水流路とを備えた膜カートリッジを2以上並設し、該2以上の膜カートリッジの一端に第1マニホールドを共通に備えると共に他端に第2マニホールドを共通に備え、
前記第1マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路を備え、
前記第2マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、前記膜カートリッジの各々の前記処理水流路と連通する第2の流路とを備えてなり、
膜処理の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することによりろ過して膜処理水を得、
次いで、膜洗浄の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路又は前記第2のマニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することにより膜表面を洗浄し、洗浄排液を前記第2マニホールドの前記第1の流路又は前記第1マニホールドの前記第1の流路に排出することを特徴とする膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【請求項2】
内部に膜と原水流路と処理水流路とを備えた膜カートリッジを2以上並設し、該2以上の膜カートリッジの一端に第1マニホールドを共通に備えると共に他端に第2マニホールドを共通に備え、
前記第1マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、前記膜カートリッジの各々の前記処理水流路と連通する第2の流路とを備え、
前記第2マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路を備えてなり、
膜処理の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することによりろ過して膜処理水を得、
次いで、膜洗浄の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路又は前記第2のマニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することにより膜表面を洗浄し、洗浄排液を前記第2マニホールドの前記第1の流路又は前記第1マニホールドの前記第1の流路に排出することを特徴とする膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【請求項3】
内部に膜と原水流路と処理水流路とを備えた膜カートリッジを2以上並設し、該2以上の膜カートリッジの一端に第1マニホールドを共通に備えると共に他端に第2マニホールドを共通に備え、
前記第1マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、前記膜カートリッジの各々の前記処理水流路と連通する第2の流路とを備え、
前記第2マニホールドは、マニホールド本体内に前記膜カートリッジの各々の前記原水流路と直接接続して連通する第1の流路と、前記膜カートリッジの各々の前記処理水流路と連通する第2の流路とを備えてなり、
膜処理の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することによりろ過して膜処理水を得、
次いで、膜洗浄の際に、前記第1マニホールドの前記第1の流路又は前記第2のマニホールドの前記第1の流路から前記膜カートリッジの各々の前記原水流路にバラスト原水を供給することにより膜表面を洗浄し、洗浄排液を前記第2マニホールドの前記第1の流路又は前記第1マニホールドの前記第1の流路に排出することを特徴とする膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【請求項4】
前記膜処理の際、デッドエンド方式による全量ろ過を行うことを特徴とする請求項1、2又は3記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【請求項5】
前記膜洗浄の際、前記原水流路に供給されたバラスト原水の膜面平行流によって膜表面を洗浄することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【請求項6】
前記膜洗浄の際、膜処理水を得ることなく前記膜面平行流によって膜表面を洗浄することを特徴とする請求項5記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【請求項7】
前記膜洗浄の際、前記膜面平行流によって膜表面を洗浄すると共に膜処理水を得ることを特徴とする請求項5記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。
【請求項8】
前記膜処理と前記膜洗浄の切り替えを、タイマーによって行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の膜カートリッジを用いたバラスト水の処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−143761(P2012−143761A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98218(P2012−98218)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2010−550773(P2010−550773)の分割
【原出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(503442592)株式会社ユアサメンブレンシステム (28)
【Fターム(参考)】