説明

膜厚測定方法

【課題】 バンプのような微小面積の領域において形成された薄膜の膜厚を簡易に精度良く測定する方法を提供する。
【解決手段】 Au薄膜5を透過してAu薄膜5下層のNiバンプ4に対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線6を照射する第1ステップと、前記電子線照射によって、バンプ4から放射されるバンプ材料の特性X線、並びにAu薄膜5から放射されるAuの特性X線を検出すると共に、両特性X線の強度比を測定する第2ステップと、評価用第1薄膜を透過して評価用バンプに電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射したときに取得された、バンプ材料及びAuの特性X線の強度比と評価用第1薄膜の膜厚値との関係を示す情報である第1検量線、並びに、第2ステップで測定された前記バンプ材料及びAuの特性X線の強度比からAu薄膜5の膜厚値を導出する第3ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜厚測定方法に関し、特に、バンプ(突起電極)等の微小面積の領域内における膜厚測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置の小型化に伴い、高密度の実装方式が不可欠となっている。従来、半導体チップ(半導体装置)の高密度実装の方法として、TCP(Tape Carrier Package)、COF(Chip On Film)、COG(Chip On Glass)等がある。これらは、半導体チップの電極パッド上にバンプと称される突起状電極を形成し、該バンプを介して、熱圧着やACF(Anisotropy Conductive Film)を用いて半導体チップをフィルム基板やガラス基板に実装する方法である。このようなバンプを形成する手法として、メッキ法が広く使われている。
【0003】
メッキ法には電解メッキ法と無電解メッキ法があるが、従来は電解Auメッキを用いる方法が広く使われてきた。
【0004】
一方、無電解メッキ法は、電解メッキ法と比較して、バリアメタル層及びメッキ工程時の電極の形成に必要なスパッタリング工程、突起電極のパターン形成に必要なフォト工程、パターン形成時に使用したレジストやメッキ工程時に使用したバリアメタルの除去に必要なエッチング工程等を省略できる。このように、工程数を削減することができるため、納期を短縮できるとともに、製造コストを抑制する効果もある。
【0005】
かかる無電界メッキ法を用いたバンプ形成方法の一例としては、無電解メッキ法で電極パッド上にNiバンプを形成した後、当該Niバンプ表面に無電解メッキ法でAuなどの薄膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ここで、実装品質を安定化させるためには、バンプの高さ(厚さ)を測定し、当該高さを一定範囲内の値に留めることが必要となる。金属薄膜の膜厚を測定する方法としては、電子顕微鏡、蛍光X線分析、シート抵抗を測定する方法などが挙げられる。しかし電子顕微鏡による直接観察は試料の準備に時間がかかり、破壊検査であるため製品を直接測定できないという問題がある。また蛍光X線やシート抵抗を用いる方法はバンプのような微小なメッキでの測定は困難である。
【0007】
そこで、従来、金属バンプの膜厚を測定する方法として、電子線により試料表面を走査し、そこから発生する特性X線強度を測定することによって、膜厚を測定する方法が提示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0008】
特許文献2に記載の方法は、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)と成分分析装置を用いて、予め膜厚が既知の材料を用いて特性X線を把握し、これと膜厚が未知の材料における特性X線とを比較して未知の材料の膜厚を算出する方法である。
【0009】
また、特許文献3に記載の方法は、基板上に被着された薄膜上を電子ビームプローブで走査し、薄膜を透過して該基板に到達した電子により該基板を構成する物質から発生する特性X線強度を測定し、予め求められた「該薄膜の膜厚と特性X線強度の関係」から該薄膜の膜厚を求める方法である。
【0010】
【特許文献1】特開2001−237267号公報
【特許文献2】特開平9−145344号公報
【特許文献3】特開平2−266208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献2及び3の方法は、予め特性X線強度と膜厚の関係を取得しておくとともに、X線検出器によって検出された特性X線強度をその関係に当てはめることで膜厚を導出する方法である。
【0012】
しかし、これらの方法の場合、予め特性X線強度と膜厚の関係を取得した際に照射した電子線の電子量と、測定時に照射された電子線の電子量との間に大きな相違があった場合には、予め取得していた特性X線強度と膜厚の関係に導出された膜厚値と実際の膜厚値との間に大きな誤差が生じる。すなわち、上記従来方法の場合には、照射される電子線の電子量の変動の影響を受けやすいという問題がある。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑み、バンプのような微小面積の領域において形成された薄膜の膜厚を簡易に精度良く測定する方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る膜厚測定方法は、所定のバンプ材料で構成されたバンプの直上層に当該バンプとは異なる第1薄膜材料で形成された第1薄膜の膜厚測定方法であって、前記第1薄膜を透過して当該第1薄膜下層の前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射する第1ステップと、前記第1ステップに係る電子線照射によって、前記バンプから放射される前記バンプ材料の特性X線、並びに前記第1薄膜から放射される前記第1薄膜材料の特性X線を検出すると共に、両特性X線の強度比を測定する第2ステップと、前記バンプ材料で構成される評価用バンプの直上層に前記第1薄膜材料で構成される評価用第1薄膜をその膜厚値を変更して複数形成された各第1評価用素子に対して、前記評価用第1薄膜を透過して前記評価用バンプに電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射したときに取得された、前記バンプ材料及び前記第1薄膜材料の特性X線の強度比と前記評価用第1薄膜の膜厚値との関係を示す情報である第1検量線、並びに、前記第2ステップで測定された前記バンプ材料及び前記第1薄膜材料の特性X線の強度比、から前記第1薄膜の膜厚値を導出する第3ステップとを有することを第1の特徴とする。
【0015】
本発明に係る膜厚測定方法の上記第1の特徴によれば、予め第1検量線を取得しておくことで、当該第1薄膜を透過して下層のバンプにも電子が侵入し得る条件下で設定された加速電圧の下で電子線を照射してバンプから放射されるバンプ材料の特性X線強度及び第1薄膜から放射される第1薄膜材料の特性X線強度を同時に測定し、これらの強度比と第1検量線から簡易な演算によって第1薄膜の膜厚を導出することができる。
【0016】
そして、この予め取得している第1検量線は、電子線照射によって検出された第1薄膜材料及びバンプ材料の特性X線の強度比と第1薄膜材料の膜厚との関係である。照射された電子線の電子量に変動が生じた場合であっても、当該電子線照射によって放射される各材料の特性X線強度は、何れも電子量が多いと強度が増加する方向に変動し、電子量が少ないと強度が減少する方向に変動するため、これらの比である強度比は電子量の変動の影響をほとんど受けない。従って、かかる強度比と膜厚の関係で規定された第1検量線を用いて測定対象たる膜厚を導出することにより、電子量の変動の影響が抑制され、高精度の膜厚値を導出することができる。また、予め第1検量線に関する情報の取得さえしておけば、X線検出器から得られる各材料の特性X線強度に基づいて簡易な演算処理を行うのみで膜厚値の導出が可能である。すなわち、本発明方法によれば、簡易な方法により、電子線の電子量の変動の影響を最小限に抑制し、精度良く膜厚値を測定することができる。
【0017】
特に、本発明に係る膜厚測定方法の場合、予め第1薄膜の膜厚の値そのものは不明であってもその値の範囲が既知であるような場合には、当該膜厚範囲から前記第1ステップに係る照射処理にける加速電圧の値、すなわち、前記第1薄膜を透過して当該第1薄膜下層の前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の値を容易に認識することができるため、効率的に膜厚値の測定を行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る膜厚測定方法は、所定のバンプ材料で構成されたバンプの直上層に当該バンプとは異なる薄膜材料で構成された多層からなる薄膜の膜厚測定方法であって、前記バンプの直上層に前記バンプ材料とは異なる第1薄膜材料で形成された第1薄膜の更に直上層に前記バンプ材料並びに前記第1薄膜材料とは異なる第2薄膜材料で形成された第2薄膜を透過して前記第1薄膜に対して電子が侵入し得ると共に、前記第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得ない範囲内の加速電圧の下で電子線を照射する第1ステップと、前記第1ステップに係る電子線照射によって、前記第1薄膜から放射される前記第1薄膜材料の特性X線、並びに前記第2薄膜から放射される前記第2薄膜材料の特性X線を検出すると共に、両特性X線の強度比を測定する第2ステップと、前記バンプ材料で構成される評価用バンプの直上層に前記第1薄膜材料で構成される評価用第1薄膜を有すると共に、前記評価用第1薄膜の直上層に前記第2薄膜材料で構成される評価用第2薄膜を有し、前記評価用第1薄膜並びに前記評価用第2薄膜の膜厚値を変更して複数形成された各第2評価用素子に対して、前記評価用第2薄膜を透過して前記評価用第1薄膜に対して電子が侵入し得ると共に、前記評価用第1薄膜を透過して前記評価用バンプに対して電子が侵入し得ない範囲内の加速電圧の下で電子線を照射したときに、取得された前記第1薄膜材料及び前記第2薄膜材料の特性X線の強度比と前記評価用第2薄膜の膜厚値との関係を示す情報である第2検量線、並びに、前記第2ステップで測定された前記第1薄膜材料及び前記第2薄膜材料の特性X線の強度比、から前記第2薄膜の膜厚値を導出する第3ステップと、を有することを第2の特徴とする。
【0019】
本発明に係る膜厚測定方法の上記第2の特徴によれば、バンプの上層に異なる材料からなる複数の薄膜、すなわちバンプ直上層に形成される第1薄膜及びその直上層に形成される第2薄膜を有する場合においても、予め第2検量線を取得しておくことで、当該第2薄膜を透過して第1薄膜にも電子が侵入し得ると共に、当該第1薄膜を透過してバンプに対しては電子が侵入し得ない条件下で設定された加速電圧の下で電子線を照射して、第1薄膜バンプから放射される第1薄膜材料の特性X線強度及び第2薄膜から放射される第2薄膜材料の特性X線強度を同時に測定し、これらの強度比と第2検量線から簡易な演算によって第2薄膜の膜厚を導出することができる。
【0020】
そして、第1の特徴の場合と同様、予め取得している第2検量線は、電子線照射によって検出された第1薄膜材料及び第2薄膜材料の特性X線の強度比と第2膜厚材料の膜厚との関係である。照射された電子線の電子量に変動が生じた場合であっても、当該電子線照射によって放射される各材料の特性X線強度は、何れも電子量が多いと強度が増加する方向に変動し、電子量が少ないと強度が減少する方向に変動するため、これらの比である強度比は電子量の変動の影響をほとんど受けない。従って、かかる強度比と膜厚の関係で規定された第2検量線を用いて測定対象たる膜厚を導出することにより、電子量の変動の影響が抑制され、高精度の膜厚値を導出することができる。また、予め第2検量線に関する情報を取得しておけば、X線検出器から得られる各材料の特性X線強度に基づいて簡易な演算処理を行うのみで膜厚値の導出が可能である。すなわち、本発明方法によれば、簡易な方法により、電子線の電子量の変動の影響を最小限に抑制し、精度良く第2薄膜の膜厚値を測定することができる。
【0021】
そして、本特徴においても、第1の特徴の場合と同様、予め第2薄膜の膜厚の値そのものは不明であってもその値の範囲が既知であるような場合には、当該膜厚範囲から前記第4ステップに係る照射処理にける加速電圧の値、すなわち、前記第2薄膜を透過して前記第1薄膜に対して電子が侵入し得ると共に、前記第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得ない範囲内の加速電圧の値を容易に認識することができるため、効率的に膜厚値の測定を行うことが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る膜厚測定方法は、所定のバンプ材料で構成されたバンプの直上層に当該バンプとは異なる薄膜材料で構成された多層からなる薄膜の膜厚測定方法であって、前記バンプの直上層に前記バンプ材料とは異なる第1薄膜材料で形成された第1薄膜の更に直上層に前記バンプ材料並びに前記第1薄膜材料とは異なる第2薄膜材料で形成された第2薄膜及び前記第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射する第4ステップと、前記第4ステップに係る電子線照射によって、前記バンプから放射される前記バンプ材料の特性X線、並びに前記第1薄膜から放射される前記第1薄膜材料の特性X線を検出すると共に、両特性X線の強度比を測定する第5ステップと、前記各第2評価用素子に対して前記評価用第2薄膜及び前記評価用第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射したときに、取得された前記バンプ材料及び前記第1薄膜材料の特性X線の強度比と前記評価用第1薄膜及び前記評価用第2薄膜の各膜厚値との関係を示す情報である第3検量線、所定の方法で取得或いは認識された前記第2薄膜の膜厚値、並びに前記第5ステップで測定された前記バンプ材料及び前記第1薄膜材料の特性X線の強度比から前記第1薄膜の膜厚値を導出する第6ステップと、を有することを第3の特徴とする。
【0023】
本発明に係る膜厚測定方法の上記第3の特徴によれば、バンプの上層に異なる材料からなる複数の薄膜、すなわちバンプ直上層に形成される第1薄膜及びその直上層に形成される第2薄膜を有する場合においても、予め第2薄膜の膜厚が既知である場合には、第3検量線を取得しておくことで、第2薄膜及びて第1薄膜を透過してバンプに電子が侵入し得る条件下で設定された加速電圧の下で電子線を照射して、バンプから放射されるバンプ材料の特性X線強度及び第1薄膜から放射される第1薄膜材料の特性X線強度を同時に測定し、これらの強度比と、第2薄膜の膜厚、及び第3検量線から簡易な演算によって第1薄膜の膜厚を導出することができる。
【0024】
そして、第1及び第2の特徴の場合と同様、予め取得している第3検量線は、電子線照射によって検出されたバンプ材料及び第1薄膜材料の特性X線の強度比と第1薄膜材料及び第2膜厚材料の膜厚との関係である。照射された電子線の電子量に変動が生じた場合であっても、当該電子線照射によって放射される各材料の特性X線強度は、何れも電子量が多いと強度が増加する方向に変動し、電子量が少ないと強度が減少する方向に変動するため、これらの比である強度比は電子量の変動の影響をほとんど受けない。従って、かかる強度比と膜厚の関係で規定された第3検量線を用いて測定対象たる膜厚を導出することにより、電子量の変動の影響が抑制され、高精度の膜厚値を導出することができる。また、予め第2薄膜の膜厚及び第3検量線に関する情報を取得しておけば、X線検出器から得られる各材料の特性X線強度に基づいて簡易な演算処理を行うのみで膜厚値の導出が可能である。すなわち、本発明方法によれば、簡易な方法により、電子線の電子量の変動の影響を最小限に抑制し、精度良く第1薄膜の膜厚値を測定することができる。
【0025】
そして、第1及び第2の特徴の場合と同様、予め第1薄膜の膜厚の値そのものは不明であってもその値の範囲が既知であるような場合には、当該膜厚範囲から前記第4ステップに係る照射処理にける加速電圧の値、すなわち、前記第2薄膜及び前記第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の値を容易に認識することができるため、効率的に膜厚値の測定を行うことが可能となる。
【0026】
また、本発明に係る膜厚測定方法は、上記第3の特徴に加えて、前記第6ステップが、上記第2の特徴に係る本発明の膜厚測定方法の前記第3ステップによって導出された前記第2薄膜の膜厚値を用いて前記第1薄膜の膜厚値の導出を行うステップであることを第4の特徴とする。
【0027】
本発明に係る膜厚測定方法の上記第4の特徴によれば、バンプの上層に異なる材料からなる複数の薄膜、すなわちバンプ直上層に形成される第1薄膜及びその直上層に形成される第2薄膜を有する場合においても、第2検量線及び第3検量線を取得しておき、所定の条件下で電子線を照射して放射される特性X線の強度比を測定して、当該測定結果と各検量線の情報を用いて簡易な演算を行うのみで、第1薄膜並びに第2薄膜の膜厚を導出することができる。そして、第1〜第3の特徴と同様、強度比に基づいて膜厚を導出する方法であるため、照射される電子量の変動の影響をほとんど受けず、精度良く第1薄膜及び第2薄膜の膜厚値を測定することができる。
【0028】
そして、第1薄膜及び第2薄膜の膜厚の値そのものは不明であってもその値の範囲が既知であるような場合には、当該膜厚範囲から前記第1及び第4ステップに係る照射処理にける加速電圧の値、すなわち、前記第2薄膜を透過して前記第1薄膜に対して電子が侵入し得ると共に、前記第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得ない範囲内の加速電圧、並びに、前記第2薄膜及び前記第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の値を容易に認識することができるため、効率的に膜厚値の測定を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の構成によれば、バンプのような微小面積の領域において形成された薄膜の膜厚を簡易に精度良く測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下において、本発明に係る膜厚測定方法(以下、適宜「本発明方法」と称する)の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0031】
[第1実施形態]
本発明方法の第1実施形態(以下、適宜「本実施形態」と称する)につき、以下の図1〜図3の各図を参照して説明する。
【0032】
図1は、本実施形態における本発明方法の概要を説明するための概略構成図である。半導体チップ1の表面に、Al系合金等からなる電極パッド2が形成され、その上層に保護膜3および無電解Niメッキバンプ4(以下、適宜「Niバンプ4」と記載)が形成される。Niバンプ4は高さ5〜20μm程度であり、その表面には、無電解メッキ法により厚さ0.05〜1.2μm程度のAuメッキ層5(以下、適宜「Au薄膜5」と記載。第1薄膜に相当)が施されている。
【0033】
X線検出器8は、電子線6を照射した際に放出される特性X線7のエネルギ量と強度を検出する。電子線6の侵入深さは、電子線出力手段(不図示)の加速電圧を変化させることにより調整することができる。X線検出器8が検出する特性X線のエネルギ量や強度は、電子線6の侵入深さに応じて変化する。すなわち、電子線出力手段からの加速電圧に応じてX線検出器8が検出する特性X線のエネルギ量や強度が変化するところ、X線検出器8によって検出された特性X線のエネルギ量や強度によって、電子線出力手段の加速電圧を認識することが可能となる。
【0034】
図2は、本実施形態における本発明方法の概略手順を示すフローチャートである。まず、電子線を照射した際にAu薄膜5を透過してAu薄膜5下層のNiバンプ4に対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧を選択する(ステップ#1)。具体的には、Au膜厚が0.05〜0.1μm程度の場合は10〜15keV程度とし、0.1〜0.3μm程度の場合15〜20keV程度とし、0.3〜0.7μm程度の場合20〜25keV程度とし、また0.7〜1.2μm程度の場合は25〜30keV程度とすることが望ましい。なお、前記のAu膜厚の範囲は、Au薄膜5形成時の目標膜厚がどの範囲内に含まれるかを基準に選択することができる。すなわち、Au薄膜5の正確な膜厚値は不明であっても、ある程度の膜厚値の範囲内が分かっている場合には、どの範囲内に属しているかによって電子線出力手段の加速電圧を選択すると良い。また、Au薄膜5の膜厚の範囲内も不明である場合には、上記各印加電圧の範囲内の何れかの印加電圧を一義的に選択するものとして良い。
【0035】
次に、ステップ#1で選択した加速電圧の下で電子線出力手段から電子線6をNiバンプ4に照射する(ステップ#2)。
【0036】
次に、X線検出器8を確認し、Auの特性X線のみならず、その下層に形成されているNiの特性X線についても検出されたかどうかを確認する(ステップ#3)。検出されていなければ(ステップ#3においてNo)、加速電圧を所定電圧だけ上昇させ(ステップ#1へ戻る)、再度電子線の照射を行う(ステップ#2)。そして、Au及びNiの特性X線がX線検出器8によって検出されるまで実行する。
【0037】
一方、X線検出器8において、Ni及びAuの特性X線が検出されていれば(ステップ#3においてYes)、下記に示す「第1検量線」とステップ#3で測定された実際のAu及びNiの特性X線強度の強度比(以下、「Au/Ni特性強度比」と記載)からAu膜厚値を導出する(ステップ#4)。
【0038】
ここで、第1検量線とは、予め、Niで構成される評価用バンプの直上層に評価用Au薄膜をその膜厚を変更して複数形成した第1評価用素子に対して、所定の加速電圧の下で電子線を照射して各加速電圧毎に取得したAu/Ni特性強度比と評価用Au薄膜との関係を指す。この第1検量線を取得するに際しては、第1評価用素子に対して電子線を照射する際の加速電圧を異ならせて各加速電圧毎に第1検量線を予め取得しておいても良い。加速電圧毎に第1検量線が取得されている場合には、ステップ#4において、ステップ#1で選択された加速電圧に最も近い加速電圧の下で取得された第1検量線と、ステップ#3で測定された実際のAu及びNiの特性X線強度の強度比からAu膜厚値を導出することができる。
【0039】
通常、前記のように、Au薄膜5の膜厚値そのものは未知であるものの膜厚値の範囲については予め認識できている場合においては、前記において列挙した加速電圧の中から選択した一の加速電圧の下で電子線の照射を行うことにより、X線検出器8によってAu及びNiの特性X線が検出できるため、加速電圧を変更して複数回電子線の照射処理を実行する必要はない。
【0040】
ステップ#4では、ステップ#3で測定された両特性X線強度からAu/Ni特性強度比を算出し、当該算出された強度比に対応するAu膜厚値を第1検量線から導出する。なお、第1検量線としては、同一のバンプ材料(本実施形態の場合はNi)で構成される評価用バンプの直上層に、同一の薄膜材料(本実施形態の場合はAu)で構成される評価用薄膜が形成された評価用素子を用い、評価用薄膜の膜厚を適宜変更しながら、電子線を評価用素子に照射した場合の評価用薄膜の膜厚とAu/Ni特性強度比の関係を予め取得したものを利用することができる。
【0041】
図3は、20keVの加速電圧の下で測定された第1検量線を示すグラフである。検量線は、同一加速電圧の下で複数回測定を行って得られたデータを所定の近似方法によって近似することで導出したものを用いても良いし、多数の測定を行って得られた純粋なデータを用いるものとしても良い。図3では、直線近似して得られた第1検量線が示されている。図3の場合、傾きが約0.023であるため、下記(数1)によってAu膜厚を算出することができる。
【0042】
(数1)
Au膜厚〔μm〕=0.023×(Au/Ni特性強度比)
【0043】
なお、各加速電圧の下での第1検量線に関する情報は、X線検出器8内外の記憶手段に記録されており、X線検出器8によってAuの特性X線強度及びNiの特性X線強度が検出された時点で、所定の演算処理手段によって記憶手段から第1検量線に関する情報が読み出されるとともに自動的にAu膜厚が算出される構成とすることができる。
【0044】
このように、本発明方法によれば、バンプの直上層に形成された薄膜の膜厚を測定するに際し、測定対象薄膜を透過して下層のバンプにも電子が侵入し得る条件下で設定された加速電圧の下で電子線を照射し、薄膜を構成する物質から発生する複数の特性X線強度を同時に測定し、これらの強度比と予め取得している第1検量線から簡易な演算によって膜厚測定対象薄膜の膜厚を導出することができる。
【0045】
そして、予め取得している第1検量線は、複数種類の材料の特性X線強度の強度比とバンプ直上層に形成された薄膜の膜厚との関係である。電子線6の電子量に変動が生じた場合であっても、当該電子線照射によって放射される各材料の特性X線強度は、何れも電子量が多いと強度が増加する方向に変動し、電子量が少ないと強度が減少する方向に変動するため、これらの比である強度比は電子量の変動の影響をほとんど受けない。従って、かかる強度比と膜厚の関係で規定された第1検量線を用いて測定対象たる膜厚を導出することにより、電子量の変動の影響が抑制され、高精度の膜厚値を導出することができる。また、予め第1検量線に関する情報を取得しておけば、X線検出器から得られる各材料の特性X線強度に基づいて簡易な演算処理を行うのみで膜厚値の導出が可能である。すなわち、本発明方法によれば、簡易な方法により、電子線の電子量の変動の影響を最小限に抑制し、精度良く膜厚値を測定することができる。
【0046】
[第2実施形態]
本発明方法の第2実施形態(以下、適宜「本実施形態」と称する)につき、以下の図4〜図6の各図を参照して説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態と比較して、金属バンプ上層に形成された薄膜の構成が異なるのみであり、他は第1実施形態と同一である。
【0047】
図4は、本実施形態における本発明方法の概要を説明するための概略構成図である。半導体チップ1の表面に、Al系合金等からなる電極パッド2が形成され、その上層に保護膜3および無電解Niメッキバンプ4(Niバンプ4)が形成される。無電解Niバンプ4は高さ5〜20μmであり、その表面には、無電解メッキ法により厚さ0.1〜0.3μmのPdメッキ層9(以下、「Pd薄膜9」と記載)が施され、さらにその表面には、無電解メッキ法により厚さ0.05〜0.3μm程度のAuメッキ層5(Au薄膜5)が施されている。
【0048】
図5は、本実施形態における本発明方法の概略手順を示すフローチャートである。まず、Au薄膜5を透過してPd薄膜9に対して電子が侵入し得ると共に、Pd薄膜9を透過してNiバンプ4に対して電子が侵入し得ない範囲内の加速電圧を選択する(ステップ#11)。なお、ステップ#11において選択する加速電圧の大きさは、ステップ#1と同様、バンプ形成時のAu薄膜5及びPd薄膜9の目標膜厚の範囲内に応じて選択すれば良い(例えば15keV)。また、Au薄膜5及びPd薄膜9の膜厚値の範囲が未知である場合には、第1実施形態と同様に、任意の加速電圧を一義的に選択するものとして良い。
【0049】
次に、ステップ#11で選択した加速電圧の下で電子線出力手段から電子線6をNiバンプ4に照射する(ステップ#12)。
【0050】
次に、X線検出器8を確認し、Auの特性X線のみならず、その下層に形成されているPdの特性X線についても検出されたかどうかを確認する(ステップ#13)。検出されていなければ(ステップ#13においてNo)、加速電圧を所定電圧だけ上昇させ(ステップ#11へ戻る)、再度電子線の照射を行う(ステップ#12)。そして、Au及びPdの特性X線がX線検出器8によって検出されるまで実行する。
【0051】
一方、X線検出器8において、Au及びPdの特性X線が検出されていれば(ステップ#13においてYes)、下記に示す「第2検量線」とステップ#13で測定された実際のAu及びNiの特性X線強度の強度比(以下、「Au/Pd特性強度比」と記載)からAu膜厚値を導出する(ステップ#14)。
【0052】
ここで、第2検量線とは、予め、Niで構成される評価用バンプの直上層に評価用Pd薄膜を有すると共に更にその直上層に評価用Au薄膜を有し、これらの評価用Pd薄膜及び評価用Au薄膜の膜厚値を変更して複数形成した第2評価用素子に対して、所定の加速電圧の下で電子線を照射して各加速電圧毎に取得したAu/Pd特性強度比と評価用Au薄膜との関係を指す。この第2検量線を取得するに際しては、第2評価用素子に対して電子線を照射する際の加速電圧を異ならせて各加速電圧毎に第2検量線を予め取得しておいても良い。加速電圧毎に第2検量線が取得されている場合には、ステップ#14において、ステップ#11で選択された加速電圧に最も近い加速電圧の下で取得された第2検量線と、ステップ#13で測定された実際のAu及びNiの特性X線強度の強度比からAu膜厚値を導出することができる。
【0053】
本実施形態においても、予めAu薄膜5及びPd薄膜9の膜厚値そのものは未知であるものの膜厚値の範囲については予め認識できている場合においては、選択した一の加速電圧の下で電子線の照射を行うことにより、X線検出器8によってAu及びPdの特性X線が検出できるため、加速電圧を変更して複数回電子線の照射処理を実行する必要はない。
【0054】
すなわち、ステップ#14では、X線検出器8によって検出されたAu及びPdの特性X線強度からAu/Pd特性強度比を算出し、当該算出された強度比に対応するAu膜厚値を第2検量線から導出する。
【0055】
図6は、15keVの加速電圧の下で測定された第2検量線を示すグラフである。検量線は、同一加速電圧の下で複数回測定を行って得られたデータを所定の近似方法によって近似することで導出したものを用いても良いし、多数の測定を行って得られた純粋なデータを用いるものとしても良い。図6では、直線近似して得られた第2検量線が示されている。図3の場合、傾きが約0.011であるため、下記(数2)によってAu膜厚を算出することができる。
【0056】
(数2)
Au膜厚〔μm〕=0.011×(Au/Pd特性強度比)
【0057】
次に、Au薄膜5及びPd薄膜9を透過してNiバンプ4に対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧を選択する(ステップ#15)。この場合も、ステップ#11と同様、バンプ形成時のAu薄膜並びにPd薄膜の目標膜厚の範囲内に応じて選択すれば良い(例えば20keV)。なお、本ステップ#15で選択される加速電圧は、少なくともステップ#11で選択された加速電圧より高電圧となる。また、Au薄膜5及びPd薄膜9の膜厚値の範囲が未知である場合には、ステップ#11で選択された加速電圧より高い任意の加速電圧を一義的に選択するものとして良い。
【0058】
次に、ステップ#15で選択した加速電圧の下で電子線出力手段から電子線6をNiバンプ4に照射する(ステップ#16)。
【0059】
次に、X線検出器8を確認し、少なくともPdの特性X線及びその下層のNiの特性X線が検出されたかどうかを確認する(ステップ#17)。検出されていなければ(ステップ#17においてNo)、加速電圧を所定電圧だけ上昇させ(ステップ#15へ戻る)、再度電子線の照射を行う(ステップ#16)。そして、少なくともPd及びNiの特性X線がX線検出器8によって検出されるまで実行する。
【0060】
一方、X線検出器8において、Pd及びNiの特性X線が検出されていれば(ステップ#17においてYes)、下記に示す「第3検量線」、ステップ#14で導出されたAu膜厚値、及びステップ#17で測定された実際のPd及びNiの特性X線強度の強度比(以下、「Pd/Ni特性強度比」と記載)からPd膜厚値を導出する(ステップ#18)。
【0061】
ここで、第3検量線とは、予め前記第2評価用素子に対して、所定の加速電圧の下で電子線を照射して各加速電圧毎に取得したPd/Ni特性強度比と評価用Au薄膜及び評価用Pd薄膜との関係を指す。この第3検量線を取得するに際しては、第2評価用素子に対して電子線を照射する際の加速電圧を異ならせて各加速電圧毎に第3検量線を予め取得しておいても良い。加速電圧毎に第3検量線が取得されている場合には、ステップ#18において、ステップ#15で選択された加速電圧に最も近い加速電圧の下で取得された第2検量線、ステップ#14で導出されたAu薄膜値、及びステップ#17で測定された実際のAu及びNiの特性X線強度の強度比からPd膜厚値を導出する(ステップ#18)。
【0062】
図7は、20keVの加速電圧の下で測定された第3検量線を示すグラフであり、Pd膜厚が0.1μm、並びに0.3μmの場合が図示されている。検量線は、同一Pd膜厚条件下、同一加速電圧の下で複数回測定を行って得られたデータを所定の近似方法によって近似することで導出したものを用いても良いし、多数の測定を行って得られた純粋なデータを用いるものとしても良い。
【0063】
図7の場合、Pd膜厚を同一にした条件下で、Au膜厚が厚くなるにつれPd/Ni特性強度比が低下する。図7に示されたグラフより、Au膜厚、Pd膜厚、並びにPd/Ni特性強度比の関係が下記(数3)のように近似できる。
【0064】
(数3)
Pd/Ni特性強度比=20×Pd膜厚〔μm〕×exp(−5×Au膜厚〔μm〕)
【0065】
すなわち、(数3)より下記(数4)が導かれる。
【0066】
【数4】

【0067】
従って、ステップ#14で導出されたAu膜厚値、及びステップ#17で検出されたPd及びNiの特性X線強度比から、例えば上記(数4)のような関係式を用いてPd膜厚を導出することができる。
【0068】
すなわち、本実施形態のように、Niバンプ4の上層に、異なる材料で構成された複数の薄膜層(Pd薄膜9及びAu薄膜5)が形成されている場合においても、異なる材料で構成された上下に連続する2層に対して電子線を照射して前記連続する2層夫々から放射される各物質の特性X線の強度比をX線検出器によって確認するとともに、予め取得された、これら2層を構成する各物質の特性X線の強度比と上層を構成する膜厚の関係から、上層を構成する膜の膜厚を容易に導出することができる。
【0069】
従って、第1実施形態と同様、本実施形態においても、複数の層からなる金属薄膜を、上層の薄膜を透過して下層の薄膜にも電子が侵入し得る条件下で設定された加速電圧の下で電子線を照射し、薄膜を構成する物質から発生する複数の特性X線強度を同時に測定し、これらの強度比と予め取得している検量線(第2検量線、第3検量線)から簡易な演算によって測定対象たる金属薄膜の膜厚を導出することができる。そして、予め取得している検量線は、複数種類の材料の特性X線強度の強度比と測定対象の薄膜の膜厚との関係であるため、電子線の電子量に変動が生じた場合であっても、当該電子線照射によって放射される各材料の特性X線強度は、何れも電子量が多いと強度が増加する方向に変動し、電子量が少ないと強度が減少する方向に変動するため、これらの比である強度比は電子量の変動の影響をほとんど受けない。従って、かかる強度比と膜厚の関係で規定された検量線を用いて測定対象たる膜厚を導出することにより、電子量の変動の影響が抑制され、高精度の膜厚値を導出することができる。また、予め検量線に関する情報を取得しておけば、X線検出器から得られる各材料の特性X線強度に基づいて簡易な演算処理を行うのみで膜厚値の導出が可能であるため、簡易な方法により、電子線の電子量の変動の影響を最小限に抑制し、精度良く膜厚値を測定することができる。
【0070】
なお、本実施形態において、Au膜厚が既知である場合には、ステップ#11〜#14を省略し、ステップ#15〜#18のみを行うことで、Pd膜厚を導出するものとして良い。
【0071】
また、上述した各実施形態において、バンプに用いられる材料、並びに金属薄膜を構成する材料は一例であり、これらに限定されるものではない。すなわち、バンプの上層に1層の金属薄膜が形成される場合には、バンプ材料とその上層の金属薄膜とが異なる材料で構成されていれば良く、また、バンプの上層に複数層の金属薄膜が形成される場合には、バンプ材料と、各金属薄膜の材料が異なる材料で構成されていれば良い。更に、上述した各数式は、ある条件下で測定した結果を近似することで求められた関係式であり、各検量線から導かれる関係式は上記の各数式に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明方法の第1実施形態の概要を説明するための概略構成図
【図2】本発明方法の第1実施形態の概略手順を示すフローチャート
【図3】20keVの加速電圧の下でのAu膜厚とAu/Niの特性X線強度比の関係を示すグラフ
【図4】本発明方法の第2実施形態の概要を説明するための概略構成図
【図5】本発明方法の第2実施形態の概略手順を示すフローチャート
【図6】15keVの加速電圧の下でのAu膜厚とAu/Pdの特性X線強度比の関係を示すグラフ
【図7】15keVの加速電圧の下でのAu膜厚とPd/Niの特性X線強度比の関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0073】
1: 半導体チップ
2: 電極パッド
3: 保護膜
4: Niバンプ
5: Auメッキ層
6: 電子線
7: 特性X線
8: X線検出器
9: Pdメッキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のバンプ材料で構成されたバンプの直上層に当該バンプとは異なる第1薄膜材料で形成された第1薄膜の膜厚測定方法であって、
前記第1薄膜を透過して当該第1薄膜下層の前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射する第1ステップと、
前記第1ステップに係る電子線照射によって、前記バンプから放射される前記バンプ材料の特性X線、並びに前記第1薄膜から放射される前記第1薄膜材料の特性X線を検出すると共に、両特性X線の強度比を測定する第2ステップと、
前記バンプ材料で構成される評価用バンプの直上層に前記第1薄膜材料で構成される評価用第1薄膜をその膜厚値を変更して複数形成された各第1評価用素子に対して、前記評価用第1薄膜を透過して前記評価用バンプに電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射したときに取得された、前記バンプ材料及び前記第1薄膜材料の特性X線の強度比と前記評価用第1薄膜の膜厚値との関係を示す情報である第1検量線、並びに、前記第2ステップで測定された前記バンプ材料及び前記第1薄膜材料の特性X線の強度比、から前記第1薄膜の膜厚値を導出する第3ステップと、を有することを特徴とする膜厚測定方法。
【請求項2】
所定のバンプ材料で構成されたバンプの直上層に当該バンプとは異なる薄膜材料で構成された多層からなる薄膜の膜厚測定方法であって、
前記バンプの直上層に前記バンプ材料とは異なる第1薄膜材料で形成された第1薄膜の更に直上層に前記バンプ材料並びに前記第1薄膜材料とは異なる第2薄膜材料で形成された第2薄膜を透過して前記第1薄膜に対して電子が侵入し得ると共に、前記第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得ない範囲内の加速電圧の下で電子線を照射する第1ステップと、
前記第1ステップに係る電子線照射によって、前記第1薄膜から放射される前記第1薄膜材料の特性X線、並びに前記第2薄膜から放射される前記第2薄膜材料の特性X線を検出すると共に、両特性X線の強度比を測定する第2ステップと、
前記バンプ材料で構成される評価用バンプの直上層に前記第1薄膜材料で構成される評価用第1薄膜を有すると共に、前記評価用第1薄膜の直上層に前記第2薄膜材料で構成される評価用第2薄膜を有し、前記評価用第1薄膜並びに前記評価用第2薄膜の膜厚値を変更して複数形成された各第2評価用素子に対して、前記評価用第2薄膜を透過して前記評価用第1薄膜に対して電子が侵入し得ると共に、前記評価用第1薄膜を透過して前記評価用バンプに対して電子が侵入し得ない範囲内の加速電圧の下で電子線を照射したときに、取得された前記第1薄膜材料及び前記第2薄膜材料の特性X線の強度比と前記評価用第2薄膜の膜厚値との関係を示す情報である第2検量線、並びに、前記第2ステップで測定された前記第1薄膜材料及び前記第2薄膜材料の特性X線の強度比、から前記第2薄膜の膜厚値を導出する第3ステップと、を有することを特徴とする膜厚測定方法。
【請求項3】
所定のバンプ材料で構成されたバンプの直上層に当該バンプとは異なる薄膜材料で構成された多層からなる薄膜の膜厚測定方法であって、
前記バンプの直上層に前記バンプ材料とは異なる第1薄膜材料で形成された第1薄膜の更に直上層に前記バンプ材料並びに前記第1薄膜材料とは異なる第2薄膜材料で形成された第2薄膜及び前記第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射する第4ステップと、
前記第7ステップに係る電子線照射によって、前記バンプから放射される前記バンプ材料の特性X線、並びに前記第1薄膜から放射される前記第1薄膜材料の特性X線を検出すると共に、両特性X線の強度比を測定する第5ステップと、
前記各第2評価用素子に対して前記評価用第2薄膜及び前記評価用第1薄膜を透過して前記バンプに対して電子が侵入し得る範囲内の加速電圧の下で電子線を照射したときに、取得された前記バンプ材料及び前記第1薄膜材料の特性X線の強度比と前記評価用第1薄膜及び前記評価用第2薄膜の各膜厚値との関係を示す情報である第3検量線、所定の方法で取得或いは認識された前記第2薄膜の膜厚値、並びに前記第5ステップで測定された前記バンプ材料及び前記第1薄膜材料の特性X線の強度比から前記第1薄膜の膜厚値を導出する第6ステップと、を有することを特徴とする膜厚測定方法。
【請求項4】
前記第6ステップが、請求項2に記載の前記第3ステップによって導出された前記第2薄膜の膜厚値を用いて前記第1薄膜の膜厚値の導出を行うステップであることを特徴とする請求項3に記載の膜厚測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−109246(P2009−109246A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279636(P2007−279636)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】