説明

膜拡散を測定するシステム、キットおよび方法

膜(190)を通した化合物の拡散を測定するシステムは、通常、複数の外側に延在する中空突出部(155)を有する第1のベース(150)と、第1のベースに留められ、複数の中空突出部と係合するよう構成された複数の窪みテーパ開口部(115)を有する第2のベース(110)との間に保持された膜(190)を含む。かかるシステムを用いて膜拡散を測定する方法が含まれる。システム構成要素はまたキット形態でも提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
経皮デリバリー可能な薬剤組成物の開発には、一般的に、数多くの薬剤組成物を評価するスクリーニングおよび改良プロセスが含まれる。一般的に、組成物には、1種類以上の薬剤と、対象とする膜(例えば、皮膚)を通した薬剤の拡散を増大する1種類以上の化合物(賦形剤またはエンハンサーとして一般的に知られている)が含まれる。数百種類の有用な賦形剤が公知であり、ある薬剤について特定の賦形剤を選択するには、多くの膜拡散測定を要する大規模なスクリーニングプロセスを伴う。
【0002】
膜拡散を測定する一般的なシステムは、膜(例えば、皮膚)により分離された2つのチャンバを有している。一般的に、一方のチャンバには、試験する薬剤組成物(例えば、溶液または経皮パッチとして)が含まれ、他方のチャンバには、血清に代表される受容体(recipient)溶液が含まれる。薬剤組成物と受容体溶液はそれぞれ、膜の逆の表面と接触する。受容溶液中の薬剤の濃度が周期的に測定され、膜を通る薬剤の拡散速度が求められる。正確な膜拡散測定を行うためには、薬剤組成物と、受容溶液と、膜との間の空隙を排除するのが一般的に重要である。
【0003】
2つのチャンバタイプの広く用いられている市販のシステムとしては、ウッシング(Ussing)チャンバ、フランツセル、インラインセルおよび水平セルが挙げられる。多くのかかるデバイスは、個々の測定が可能なだけであり、かつ/または操作に比較的広い面積の膜を必要とする。
【0004】
単一の膜を用いて平行して複数の拡散測定を行うことのできるシステムが報告されている。基本的に、かかるシステムは、別個の2つのチャンバタイプのセルの膜として夫々機能する複数の別個の領域に膜を分割するものである。かかるシステムにおいては、通常、セルが互いに実質的に隔離されたまま(すなわち、一方のセルの中身が他方のセルに入らない)であることが重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
業界では、膜材料を効率よく用いながら、大量の処方を即時にスクリーニングするのに有用なシステムおよび方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、
第1および第2の対向する表面と、第1の表面から外側に延在している複数の中空突出部であって、開口部のあるテーパ先端部と、突出部内に配置された開口部と連続した各キャビティとを有する中空突出部とを有する第1のベースと、
第1および第2の対向する表面を有し、第1の表面が、複数の中空突出部と係合するよう構成され、第2のベース中へ延在している各キャビティと連続した、複数の窪みテーパ開口部を有する、第2のベースと、
窪みテーパ開口部と中空突出部の先端に接触する膜と、
を含み、第1のベースが第1のファスニング手段により第2のベースに留められており、a)中空突出部内の各キャビティは第1のベースを通して延在して、第1のベースの第2の表面に開口部を形成し、またはb)第2のベース内の各キャビティは第2のベースを通して延在して、第2のベースの第2の表面に開口部を形成し、またはc)中空突出部内の各キャビティは第1のベースを通して延在して、第1のベースの第2の表面に開口部を形成し、第2のベース内の各キャビティは第2のベースを通して延在して、第2のベースの第2の表面に開口部を形成する、
膜を通して化合物の拡散を測定するシステムを提供する。
【0007】
ある実施形態において、本システムは、中空突出部が通過できるよう構成された穿孔部を有する保持プレートを更に含み、保持プレートが第2のファスニング手段により第1のベースに留められており、膜が第1のベースと保持プレートの間に配置されている。
【0008】
他の態様において、本発明は、
本発明によるシステムを提供する工程と、
第1のベースの少なくとも1つのキャビティ中に第1の流体組成物を配置する工程と、
第2のベースの少なくとも1つのキャビティ中に化合物を含む第2の流体組成物を配置する工程と、
第1の流体組成物の化合物含量を分析する工程と、
を含み、第1および第2のベースのキャビティが膜を介して流体連通している、膜を通した化合物の拡散を測定する方法を提供する。
【0009】
他の態様において、本発明は、
第1および第2の対向する表面と、第1の表面から外側に延在している複数の中空突出部であって、開口部のあるテーパ先端部と、突出部内に配置された開口部と連続した各キャビティとを有する中空突出部とを有する第1のベースと、
第1および第2の対向する表面を有し、第1の表面が、複数の中空突出部と係合するよう構成され、第2のベース中へ延在している各キャビティと連続した、複数の窪みテーパ開口部を有する、第2のベースと、
第1のベースを第2のベースに留める手段と、
を含み、a)中空突出部内の各キャビティは第1のベースを通して延在して、第1のベースの第2の表面に開口部を形成し、またはb)第2のベース内の各キャビティは第2のベースを通して延在して、第2のベースの第2の表面に開口部を形成し、またはc)中空突出部内の各キャビティは第1のベースを通して延在して、第1のベースの第2の表面に開口部を形成し、第2のベース内の各キャビティは第2のベースを通して延在して、第2のベースの第2の表面に開口部を形成する、膜を保持する、キットの形態にあるシステムを提供する。
【0010】
一実施形態において、キットは、中空突出部が通過できるよう構成された穿孔部を有する保持プレートと、第2のベースに保持プレートを留める手段とを更に含む。
【0011】
本明細書において、
「膜拡散」とは、膜を通る化合物の拡散速度のことを指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照すると、膜を保持する例証のシステム100は、第1および第2の対向する表面152および154をそれぞれ有する第1のベース150を含む。複数の中空突出部155は、第1の表面152から外側に延在しており、各中空突出部155は、開口部165に外側壁157とテーパ先端160とを有している。各中空突出部155は、中に配置された開口部165と連続したキャビティ170を有している。
【0013】
各キャビティ170は1つ以上の側部175を有している。一実施形態において、各キャビティ170は夫々下部180を有している。下部180の深さは同一でも異なっていてもよい。他の実施形態において、側部175は第1のベース150に延在しており、任意で、第1のベース150を通って第2の表面154まで延在して通路185を形成している。
【0014】
第2のベース110は、夫々、第1および第2の対向する表面112および114を有している。第1の表面112は、テーパ先端160と係合するよう構成された複数の窪みテーパ開口部115を有している。各窪みテーパ開口部115は、第2のベース110へ延在しているキャビティ120と連続している。各キャビティ120は1つ以上の側部125を有している。一実施形態において、各キャビティ120は夫々下部130を有している。他の実施形態において、側部125は第2のベース110に延在しており、任意で、第2のベース110を通って第2の表面114まで延在して通路135を形成している。
【0015】
一般的な使用において、膜190は、第1のベース150と第2のベース110の間に配置されて、第1のベース150と第2のベース110は、ネジ195(孔196を通過して、ネジ孔197と係合する)により示されるファスニング手段により併せて留められ、中空突出部155が、その間に固定された膜190により窪みテーパ開口部115と係合する。
【0016】
一実施形態において、システム100は、各中空突出部155の少なくとも一部(例えば、先端160の一部)が通過できるよう構成された穿孔部108を有する任意の保持プレート106を更に含む。例えば、穿孔部108は、中空突出部155が穿孔部108を同時に通過できるような十分な間隔および形状としてよい。あるいは、穿孔部108は、例えば、テーパ先端160の一部のみが穿孔部108を通って延在し、中空突出部155は穿孔部108を同時に通過しないような十分な間隔および形状としてよい。保持プレート106は、保持プレート106の孔116を通過して、第2のベース110のネジ孔118と係合する、ネジ119で示される第2のファスニング手段により第2のベース110に留められている。
【0017】
一般に、任意の保持プレートを膜のいずれかの側に配置して、第1ベースまたは第2のベースのいずれかに留めてもよい。保持プレートは、膜の形状および完全性を維持するのを補助し、また、第1のベースを第2のベース−膜−保持プレートサブアセンブリから外し、膜の位置を変化させたり、かつ/または第2のベースのキャビティに液体を充填する必要なしに、再度留める(例えば、第1のベースのキャビティ内に含まれる液体の分析を促す)ことを可能とする。
【0018】
図2を参照すると、例証のシステム200は、第1および第2の対向する表面252および254をそれぞれ有する第1のベース250を含む。テーパ先端260からなる複数の中空突出部255は、第1の表面252から外側に延在しており、各テーパ先端260は中に開口部265を有している。各テーパ先端260は、中に配置された開口部265と連続したキャビティ270を有している。
【0019】
各キャビティ270は1つ以上の側部275を有している。一実施形態において、各キャビティ270は夫々下部280を有している。他の実施形態において、側部275は第1のベース250に延在しており、第1のベース154を通って第2の表面254まで延在して通路285を形成している。
【0020】
第2のベース210は、夫々、第1および第2の対向する表面212および214を有している。第1の表面212は、テーパ先端260と係合するよう構成された複数の窪みテーパ開口部215を有している。各窪みテーパ開口部215は、第2のベース210へ延在しているキャビティ220と連続している。各キャビティ220は1つ以上の側部225を有している。一実施形態において、各キャビティ220は夫々下部230を有している。他の実施形態において、側部225は第2のベース210に延在しており、第2のベース210を通って第2の表面214まで延在して通路235を形成している。
【0021】
一般的な使用において、膜290は、第1のベース250と第2のベース210の間に配置されて、第1のベース250と第2のベース210は、ネジ295(孔296を通過して、ネジ孔297と係合する)により示されるファスニング手段により併せて留められている。
【0022】
第1および第2のベースおよび保持プレートは、例えば、金属、ガラス、セラミック、プラスチックおよびこれらの組み合わせをはじめとする任意の材料で作成してよく、不透明、透明および/または半透明であってもよい。第1および第2のベースは、任意の形状(例えば、ブロックまたはプレート)および/または厚さであってよい。
【0023】
本発明によるシステムは、2つ以上の任意の数の中空突出部を(例えば、2、12、24、32、64、96または256以上の中空突出部)有していてよい。中空突出部は、夫々、例えば、円柱、プリズムまたは円錐形状をはじめとする任意の形状を有していてよい。中空突出部は任意の、一般的にはベースと略等しい高さを有していてよい。各中空突出部は、テーパ先端を有している。その形状は、テーパ先端の最外端部に向かって狭くなっていさえすれば任意の形状であってよい。
【0024】
テーパ先端は任意の断面プロフィールを有していてよい。テーパ先端中の開口部は、例えば、円柱形や多角形のような任意の形状を有していてよい。開口部の面積は、例えば、0.01、0.05、0.1、0.5を超える、または1平方センチメートルを超える、またはこれ以上の任意のサイズであってよい。
【0025】
中空突出部のキャビティおよび/または第1および第2のベースは任意の形状および/または深さであってよく、その下部は任意の形状(例えば、平坦および/または丸型)であってよい。
【0026】
図3を参照すると、1つ以上のテーパ先端324の断面プロフィールは弓形部分340を含んでいる。図4を参照すると、1つ以上のテーパ先端424の断面プロフィールは傾斜部分440を含んでいる。ある実施形態において、先端の断面プロフィールは傾斜部分と弓形部分とを含んでいる。
【0027】
同様に、窪みテーパ開口部は、夫々、任意の形状を有していてよいが、一般的には、先端および窪みテーパ開口部がその間にある膜と係合するときに膜に気密封止を形成するために、係合するテーパ先端を補う形状となるように選択される。このように、図3に示す通り、窪みテーパ開口部315の断面プロフィールは、弓形部分345を含んでいてもよい。同様に、図4に示す通り、窪みテーパ開口部415の断面プロフィールは、傾斜部分445を含んでいてもよい。ある実施形態において、先端の断面プロフィールは傾斜部分と弓形部分との両方を含んでいてもよい。
【0028】
図3および4に示す通り、テーパ先端は、夫々、その間にある膜390または490を固定する窪みテーパ開口部と係合するよう構成されている。
【0029】
一般的に、窪みテーパ開口部およびテーパ先端の正確な形状は重要ではないが、本発明によるシステムを組み立てるときは、膜の穿孔を防止するために、窪みテーパ開口部の深さは、1、0.5、0.3、0.2未満さらに0.1センチメートル未満に、テーパの平均角度は周囲表面から45、30未満さらに20度未満に制限してもよい。
【0030】
本発明に用いるファスニング手段(例えば、第1および第2のベースを留めるための手段、保持プレートを第2のベースに留める手段、カバーリング手段を第2のベースに留めるための手段および/またはカバープレートを第1のベースに留めるための手段)は取り外し可能であっても取り外し不可能であってもよい。有用なファスニング手段としては、機械、接着および引力(例えば、磁気、重力)手段が挙げられる。取り外し可能なファスニング手段としては、例えば、ネジ、除去可能な接着剤、クランプ、ステープル、クリップ、釘、ピン、フック・アンド・ループファスナー、重り、マッシュルームタイプメカニカルファスナー、スナップおよびこれらの組み合わせが挙げられる。取り外し不可能なファスニング手段としては、例えば、除去不可能な接着剤、リベット、溶接、ロッキングスナップコネクタ、はんだ継手およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
第1のベースと第2のベースの間に膜を位置決めしている間、膜は、一般的に、平滑化(例えば、手により)されて、適所に固定する(例えば、保持プレートをベースに留める、または2つのベースを併せて留めることにより)前に皺が取り去られる。
【0032】
好適な膜は、例えば、合成ポリマー膜(例えば、酢酸セルロースシート、エチルセルロース、リン脂質、コレステロールおよび鉱油を含有するポリマー膜、ポリ(エチレングリコール)ブロックセグメントを含有するポリウレタンポリマー、ポリ(スチレン)に組み込まれた合成ゼオライト、シリコーンゴム、交互の親水性および親油性シートを含有するラミネートポリマーシート、有機液体を充填したろ紙または膜、ならびに培養細胞膜)、ヘアレスマウススキン、スネークスキン、ピッグスキンおよび移植用皮膚をはじめとする薄く柔らかく曲がりやすいシートであるのが一般的である。浸透試験において哺乳動物の皮膚の代替として有用な好適な合成膜に関する更なる詳細については、例えば、ホークら(Houk et al.)、「皮膚浸透調査のための膜モデル(Membrane Models for Skin Penetration Studies)」、ケミカルレビュー(Chemical Reviews)(1988年)、第88巻(3)、455−472ページ、およびハタナカら(Hatanaka et al.)、「ドラッグの皮膚浸透の予測II、皮膚代替物としての複合体膜の開発(Prediction of Skin Permeability of Drugs. II. Development of Composite Membrane as a Skin Alternative)」、製薬インターナショナルジャーナル(International Journal of Pharmaceutics)(1992年)、第79巻、21−28ページに記載されている。
【0033】
本発明によるシステムは任意の配向で用いてよい。しかしながら、組み立てを促すためには、ベースを水平に配向して、キャビティを充填しシステムを組み立てるのが有用である。
【0034】
一般的な使用において、第1または第2のベースの一方は、評価される1種類以上の化合物(例えば、薬剤、賦形剤、染料、化学試薬およびこれらの混合物、栄養剤、ビタミン、コスモシューティカル(cosmoceuticals))を含む複数の組成物を含有する処方プレートとして、他方は受容プレートとして用いられる。例えば、第2のベースは処方プレートであり、第1のベースは受容プレート、またはこの逆である。
【0035】
図5に示す例証のシステム500において、膜590は、処方プレート510に対して位置決めされて、処方プレート510の窪みテーパ開口部515(図示せず)をカバーする。穿孔部508を有する保持プレート506は、保持プレート506の孔517を通過して、処方プレート510のネジ孔518(図示せず)と係合されて、ネジ519により処方プレート510に留められ、これによってサブアセンブリ502が形成される。サブアセンブリ502は、処方プレート510の孔594を通過して、受容プレート550のネジ孔596と係合するネジ595により受容プレート550に留められる。本実施形態において、サブアセンブリ502は、膜590に触れずに、受容プレート550に繰り返し留めたり外したりすることができ有利である。
【0036】
膜590は、一般的に、平滑化(例えば、手により)されて、保持プレート506を処方プレート510に留める前に皺が取り去られる。評価される組成物(図示せず)は、処方プレート510の通路535に配置され、これはテープ537によりカバーされて、取扱いを促し、かつ/または蒸発を減少させる。テープ537は、例えば、カバープレートのようなその他のカバーリング手段と交換してもよい。
【0037】
受容プレート550の中空突出部555にあるキャビティ570に受容液体(例えば、血清またはその合成版、図示せず)を充填する。誤った膜拡散速度につながる可能性のある、組み立て中の空隙の形成を排除するのを補助するために、キャビティ570に受容液体を、受容液体の表面張力が許す最大点まで過充填してもよい。処方プレート510および受容プレート550を併せて留めて、テーパ先端560が窪みテーパ開口部515と係合して、その間にある膜590を固定する。このプロセスの間、膜590は、一般的に、テーパ先端560の開口部570を通して伸張され、テーパ先端560と窪みテーパ開口部515の間で圧縮されて、気密封止が確実になされて、近接するセル間のクロストークの可能性を減少、より一般的には、排除する。中空突出部555の細長い本体部分556は、セルから漏れる液体を重力により無害に流して、例えば、中空突出部555が上方に垂直に延在するようにシステムを配向するとき、クロストークの防止を更に補助する。
【0038】
本発明によるシステムは、キャビティ570が受容プレート550を通して延在している場合に存在する、例えば、図5に、テープ537および/またはカバープレート578により示される、1つ以上のカバーリング手段を更に含んでいてもよい。好適なカバーリング手段としては、例えば、フィルム、シーリングマット、プレート、ストッパーおよびこれらの組み合わせが挙げられる。カバーリング手段は、例えば、一体型カバーリング手段(例えば、フィルム、テープまたはカバープレート)または非一体型カバーリング手段(例えば、複数のフィルム、テープ、ストッパ、ゴム隔膜またはこれらの組み合わせ)としてよい。
【0039】
図6に示す他の例証のシステム600において、処方プレート650はテーパ先端660からなる中空突出部を有している。通路685(図示せず)は、処方プレート650を通して延在しており、テーパ先端660に開口部665を形成する。受容プレート610は、テーパ先端660と係合するよう構成された窪みテーパ開口部615を有している。キャビティ620は窪みテーパ開口部615と連続している。受容プレート610は、孔617を通過して、ネジ孔618と係合する保持ブラケット672およびネジ662により処方プレート650に留められて、テーパ先端660は窪みテーパ開口部615と係合して、その間にある膜690を固定する。キャビティ620の内容物の光学的な検出ができるよう、受容プレート610は光学的に透明であり、保持ブラケット672は適切な間隔および位置合せの穿孔部629を有している。
【0040】
光学的な検出方法としては、例えば、目視検査、分光法、光学スキャナ、ならびにビデオおよび写真による方法(デジタル写真による方法を含む)が挙げられる。
【0041】
本発明によるシステムは、様々な公知の収集、自動分配装置および/または自動サンプリング装置と組み合わせて用いてよい。かかる装置としては、例えば、ウィスコンシン州ミドルトンのギルソン社(Gilson, Inc., Middleton, Wisconsin)より市販されているような液体ハンドリングロボット、および例えば、スイス、ラッパースヴィルのヴィードマンプラスチックステクノロジーAG(Weidmann Plastics Technology AG, Rapperswil, Switzerland)より入手可能なウェルプレート(例えば、24、96または384ウェルの)が例示される。
【0042】
本発明によるシステムは、組み立てて、またはキット形態(すなわち、組み立ててない、または部分的に組み立てた)で膜有り、または膜無しで提供してもよい。
【0043】
本発明の様々な予見されない修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないことを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態による例証のシステムの断面側面図である。
【図2】本発明の一実施形態による例証のシステムの断面側面図である。
【図3】例証の係合したテーパ突出部とテーパ窪みを示す断面側面図である。
【図4】例証の係合したテーパ突出部とテーパ窪みを示す断面側面図である。
【図5】本発明の例証の一実施形態の分解斜視図である。
【図6】本発明の例証の一実施形態の分解斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の対向する表面と、前記第1の表面から外側に延在している複数の中空突出部であって、開口部のあるテーパ先端部と、前記突出部内に配置された前記開口部と連続した各キャビティとを有する中空突出部とを有する第1のベースと、
第1および第2の対向する表面を有し、前記第1の表面が、前記複数の中空突出部と係合するよう構成され、第2のベース中へ延在している各キャビティと連続した、複数の窪みテーパ開口部を有する、第2のベースと、
前記窪みテーパ開口部と前記中空突出部の前記先端部に接触する膜と、
を含み、前記第1のベースが第1のファスニング手段により前記第2のベースに留められており、a)中空突出部内の各キャビティは前記第1のベースを通して延在して、前記第1のベースの前記第2の表面に開口部を形成し、またはb)前記第2のベース内の各キャビティは前記第2のベースを通して延在して、前記第2のベースの前記第2の表面に開口部を形成し、またはc)中空突出部内の各キャビティは前記第1のベースを通して延在して、前記第1のベースの前記第2の表面に開口部を形成し、前記第2のベース内の各キャビティは前記第2のベースを通して延在して、前記第2のベースの前記第2の表面に開口部を形成する、膜を通して化合物の拡散を測定するシステム。
【請求項2】
少なくとも前記第1または第2のベースの少なくとも一部が透明または半透明である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のファスニング手段が取り外し可能な手段である請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
中空突出部内の各キャビティが前記第1のベースを通して延在して、前記第1のベースの前記第2の表面に開口部を形成する請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のベースの前記第2の表面に留められた第1のカバーリング手段を更に含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
各中空突出部内の前記キャビティが前記第1のベース中に延在している請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各中空突出部内の前記キャビティが前記第2のベースを通して延在して、前記第2のベースの前記第2の主面に開口部を形成する請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のベースの前記第2の表面に留められたカバープレートを更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記カバープレートの少なくとも一部が透明または半透明である請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1および第2のベースの少なくとも一方の前記第1および第2の表面が主面である請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1および第2のベースの少なくとも一方がプレートを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
各テーパ先端部が、弓形部分または傾斜部分の少なくとも1つを含む断面プロフィールを有している請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
各窪みテーパ開口部が、弓形部分または傾斜部分の少なくとも1つを含む断面プロフィールを有している請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記突出部が、少なくとも1つの壁を有する本体部分を更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記本体部分が円柱形である請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記膜が合成ポリマーを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記膜が動物組織を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記膜が皮膚を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
中空突出部が通過できるよう構成された穿孔部を有する保持プレートを更に含み、前記保持プレートが第2のファスニング手段により前記第2のベースに留められており、前記膜が前記第2のベースと前記保持プレートの間に配置されている請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2のファスニング手段が取り外し可能である請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2のベース内の各キャビティが前記第2のベースを通して延在して、前記第2のベースの前記第2の表面に開口部を形成する請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2のベースの前記第2の表面に留められたカバーリング手段を更に含む請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
各中空突出部内の前記キャビティが前記第1のベースを通して延在して、前記第1のベースの前記第2の主面に開口部を形成する請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1のベースの前記第2の表面に留められたカバープレートを更に含む請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記カバープレートの少なくとも一部が透明または半透明である請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1および第2のベースの少なくとも一方の前記第1および第2の表面が主面である請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1および第2のベースの少なくとも一方がプレートを含む請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
各テーパ先端部が、弓形部分または傾斜部分の少なくとも1つを含む断面プロフィールを有している請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
各窪みテーパ開口部が、弓形部分または傾斜部分の少なくとも1つを含む断面プロフィールを有している請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記突出部が、少なくとも1つの壁を有する本体部分を更に含む請求項21に記載のシステム。
【請求項31】
前記本体部分が円柱形である請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記膜が合成ポリマーを含む請求項21に記載のシステム。
【請求項33】
前記膜が動物組織を含む請求項21に記載のシステム。
【請求項34】
前記膜が皮膚を含む請求項21に記載のシステム。
【請求項35】
中空突出部が通過できるよう構成された穿孔部を有し、第2のファスニング手段により前記第2のベースに留められた保持プレートを更に含み、前記膜が前記第2のベースと前記保持プレートの間に配置されている請求項21に記載のシステム。
【請求項36】
前記第2のファスニング手段が取り外し可能である請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
請求項1に記載のシステムを提供する工程と、
前記第1のベースの少なくとも1つのキャビティ中に第1の流体組成物を配置する工程と、
前記第2のベースの少なくとも1つのキャビティ中に化合物を含む第2の流体組成物を配置する工程と、
前記第1の流体組成物の前記化合物含量を分析する工程と、
を含み、前記第1および第2のベースの前記キャビティが膜を介して流体連通している、膜を通した化合物の拡散を測定する方法。
【請求項38】
請求項4に記載のシステムを提供する工程と、
前記第1のベースの少なくとも1つのキャビティ中に第1の流体組成物を配置する工程と、
前記第2のベースの少なくとも1つのキャビティ中に化合物を含む第2の流体組成物を配置する工程と、
前記第1の流体組成物の前記化合物含量を分析する工程と、
を含み、前記第1および第2のベースの前記キャビティが膜を介して流体連通している、膜を通した化合物の拡散を測定する方法。
【請求項39】
請求項19に記載のシステムを提供する工程と、
前記第2のベースの少なくとも1つのキャビティ中に第1の流体組成物を配置する工程と、
前記第1のベースの少なくとも1つのキャビティ中に化合物を含む第2の流体組成物を配置する工程と、
前記第1の流体組成物の前記化合物含量を分析する工程と、
を含み、前記第1および第2のベースの前記キャビティが膜を介して流体連通している、膜を通した化合物の拡散を測定する方法。
【請求項40】
請求項21に記載のシステムを提供する工程と、
前記第2のベースの少なくとも1つのキャビティ中に第1の流体組成物を配置する工程と、
前記第1のベースの少なくとも1つのキャビティ中に化合物を含む第2の流体組成物を配置する工程と、
前記第1の流体組成物の前記化合物含量を分析する工程と、
を含み、前記第1および第2のベースの前記キャビティが膜を介して流体連通している、膜を通した化合物の拡散を測定する方法。
【請求項41】
請求項35に記載のシステムを提供する工程と、
前記第2のベースの少なくとも1つのキャビティ中に第1の流体組成物を配置する工程と、
前記第1のベースの少なくとも1つのキャビティ中に化合物を含む第2の流体組成物を配置する工程と、
前記第1の流体組成物の前記化合物含量を分析する工程と、
を含み、前記第1および第2のベースの前記キャビティが膜を介して流体連通している、膜を通した化合物の拡散を測定する方法。
【請求項42】
第1および第2の対向する表面と、前記第1の表面から外側に延在している複数の中空突出部であって、開口部のあるテーパ先端部と、前記突出部内に配置された前記開口部と連続した各キャビティとを有する中空突出部とを有する第1のベースと、
第1および第2の対向する表面を有し、前記第1の表面が、前記複数の中空突出部と係合するよう構成され、第2のベース中へ延在している各キャビティと連続した、複数の窪みテーパ開口部を有する、第2のベースと、
前記第1のベースを前記第2のベースに留める手段と、
を含み、a)中空突出部内の各キャビティは前記第1のベースを通して延在して、前記第1のベースの前記第2の表面に開口部を形成し、またはb)前記第2のベース内の各キャビティは前記第2のベースを通して延在して、前記第2のベースの前記第2の表面に開口部を形成し、またはc)中空突出部内の各キャビティは前記第1のベースを通して延在して、前記第1のベースの前記第2の表面に開口部を形成し、前記第2のベース内の各キャビティは前記第2のベースを通して延在して、前記第2のベースの前記第2の表面に開口部を形成する、膜を保持する、キットの形態にあるシステム。
【請求項43】
中空突出部内の各キャビティが前記第1のベースを通して延在して、前記第1のベースの前記第2の表面に開口部を形成する請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
中空突出部が通過できるよう構成された穿孔部を有する保持プレートと、
前記第2のベースに前記保持プレートを留める手段と、
を更に含む請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記第2のベース内の各キャビティが前記第2のベースを通して延在して、前記第2のベースの前記第2の表面に開口部を形成する請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
中空突出部が通過できるよう構成された穿孔部を有する保持プレートと、
前記第2のベースに前記保持プレートを留める手段と、
を更に含む請求項45に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−506970(P2007−506970A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527975(P2006−527975)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/024487
【国際公開番号】WO2005/036138
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】