説明

膜濾過装置

【課題】膜モジュールの濾過性能低下を抑え、かつ膜モジュールによる汚泥分離を効率化することができる膜濾過装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る膜濾過装置100は、原水タンク201から膜モジュール300まで循環ポンプ202により汚泥原水が送られ、該汚泥原水を濾過することができる。また、バイパス配管252から膜モジュール300を経由して戻し配管253から原水タンク201へ原水を循環させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜モジュールを使用して原水タンクの汚泥原水を濾過する膜濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下水または産業排水等に対して、種々の汚泥処理装置が用いられている。当該汚泥処理の工程において、溶解性有機成分を餌に微生物が増殖する。その結果、いわゆる汚泥が発生する。
【0003】
近年、汚泥処理装置の一方式として、膜濾過が用いられている。例えば、特許文献1には、膜濾過排水処理装置に用いられる膜モジュールの中空糸膜の内側に付着・堆積する汚泥量を軽減できる膜濾過排水処理装置およびその運転方法について開示されている。
【0004】
特許文献1記載の膜濾過排水処理装置では、被処理排水を膜モジュールによって膜ろ過する膜濾過排水処理装置において、膜モジュールの両端に設けられた供給口に、被処理排水を交互に切り替えて供給する配管系を設けたことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−61647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、特許文献1記載には、膜濾過排水処理装置が、供給側に2つの供給口を設け、バルブの切替えにより供給流路を変更することで中空糸膜の内側に付着・堆積する汚泥量を軽減できると記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の膜濾過排水処理装置では、膜モジュールにおいて、汚泥を凝集させることを防止し、交互に非処理排水を切り替えているため、汚泥は、細かく細分化される。また、循環タンク内に攪拌機を設けているため、細かい汚泥は、沈殿されることなく、再度供給側に供給されてしまうという問題が生じ、膜モジュールのみに着目すれば、有効であるが、膜濾過装置全体として、着目すると効率が低下し、問題が発生する。
【0008】
本発明の目的は、膜モジュールの濾過性能低下を抑え、かつ膜モジュールによる汚泥分離を効率化することができる膜濾過装置を提供することである。
【0009】
(1)
一局面に従う膜濾過装置は、中空糸膜エレメントを複数収納した膜モジュールを使用して原水タンクの汚泥原水を濾過する膜濾過排水処理装置において、少なくとも原水タンクから膜モジュールの入口までを接続する主配管と、主配管に介挿され、汚泥原水を送るポンプと、膜モジュールの入出口間をバイパスするバイパス配管と、主配管からバイパス配管への流入を制御するバイパスバルブと、バイパスバルブより膜モジュールの入口側の主配管から原水タンクまでを接続する戻し配管と、戻し配管の流入を制御する戻しバルブと、を備えたものである。
【0010】
本発明における膜濾過装置は、原水タンクから膜モジュールまでポンプにより汚泥原水が送られ、該汚泥原水を濾過することができる。また、バイパス配管から膜モジュールを経由して戻し配管から原水タンクへ原水を循環させることができる。
【0011】
この場合、原水を用いて膜モジュールの洗浄を行うことができる。その結果、膜モジュールの濾過性能低下を抑え、かつ膜モジュールによる汚泥分離を効率化し、結果的に単位期間当たりに得られる透過水量の増大を図ることができる。
さらに、濾過水を利用しないため、濾過効率の低下を防止することができる。
【0012】
(2)
膜濾過装置において、ポンプおよび膜モジュールの間に介挿された圧力計と、バイパスバルブおよび戻しバルブの開閉を制御する制御部と、をさらに備えてもよい。
【0013】
この場合、制御部は、圧力計の数値に応じてバイパスバルブおよび戻しバルブの開閉を制御する。すなわち、圧力計の数値が所定の数値よりも高い場合、膜モジュールが詰まっていると考えられ、バイパス配管から膜モジュールを通過して戻し配管へ原水が流れるように、バイパスバルブおよび戻しバルブの開閉を制御することができる。
【0014】
(3)
膜濾過装置において、主配管の採水口が、原水タンクの中間の深さ位置に設けられていてもよい。
【0015】
この場合、原水タンクの中間の深さ位置に主配管の採水口が設けられているので、汚泥を多く含む原水を採水することを防止することができる。特に、原水タンクは、エアレーション等の撹拌が無く、原水が静置されているため、汚泥を多く含む原水を採水することを防止することができる。
【0016】
(4)
膜濾過装置において、戻し配管には、汚泥除去装置が介挿されてもよい。
【0017】
この場合、戻し配管に汚泥除去装置が介挿されているので、膜モジュールの詰まりを発生させた汚泥を汚泥除去装置で取り除くことができる。したがって、汚泥の塊を原水タンクへ戻すことを防止できる。
【0018】
(5)
膜濾過装置において、バイパスバルブおよび戻しバルブの開閉を制御する制御部をさらに備えてもよい。
【0019】
この場合、制御部は、所定期間においてバイパスバルブおよび戻しバルブの開閉を制御する。すなわち、膜モジュールの詰まるタイミングが判明している場合、当該所定期間において膜モジュールが詰まると考えられ、予め所定期間で、バイパス配管から膜モジュールを通過して戻し配管へ原水が流れるように、バイパスバルブおよび戻しバルブの開閉を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る膜濾過装置の一例を示す模式図である。
【図2】膜モジュールの内部構造の一例を示す模式的断面図である。
【図3】膜濾過装置における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】膜濾過装置を使用した場合の透過流速変化を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態においては、膜濾過装置の一例を示しつつ説明を行う。
【0022】
(一実施の形態)
まず、図1は、本発明の一実施の形態に係る膜濾過装置の一例を示す模式図である。
【0023】
図1に示すように、膜濾過装置100は、原水経路200、膜モジュール300、濾過水経路400および制御部500を備える。制御部500には、エアーコンプレッサが内蔵される。
【0024】
図1の原水経路200は、原水タンク201、循環ポンプ202、流量計203、圧力計204、エアーオペレーションバルブAV211,AV212,AV214,AV215、第1主配管250、第2主配管251、バイパス配管252および戻し配管253を含む。
【0025】
また、図1の濾過水経路400は、濾過水タンク401、逆洗ポンプ402、流量計403,エアーオペレーションバルブAV411,AV412、濾過水配管450および逆洗配管451を含む。
【0026】
また、膜モジュール300は、原水経路200および濾過水経路400の間に設けられ、原水経路200を流れる原水から濾過水経路400へ濾過水を受け渡す機能を有する。当該膜モジュール300の詳細については後述する。
【0027】
(原水経路の主配管)
次いで、原水経路200の詳細について説明する。原水経路200は、原水タンク201に第1主配管250の一端側(採取口)が接続され、第1主配管250の他端が膜モジュール300の原水導入側320a(図2参照)に接続される。なお、第1主配管250の一端側(採取口)は、原水タンク201の鉛直方向深さの約1/3から2/3までの深さ位置に配設される。
また、第1主配管250には、循環ポンプ202、流量計203、圧力計204およびエアーオペレーションバルブAV211が介挿される。
【0028】
第2主配管251の一端側は、膜モジュール300の原水排出側320b(図2参照)に接続され、第2主配管251の他端側は、原水タンク201に接続される。第2主配管251には、エアーオペレーションバルブAV212が介挿される。
【0029】
(原水経路のバイパス配管)
図1の圧力計204およびエアーオペレーションバルブAV211の間の第1主配管250にバイパス配管252の一端側が接続され、バイパス配管252の他端側は、エアーオペレーションバルブAV212より膜モジュール300の原水排出側320b(図2参照)の第2主配管251に接続される。
【0030】
(原水経路の戻し配管)
戻し配管253の一端側は、エアーオペレーションバルブAV211より膜モジュール300の原水導入側320a(図2参照)の第1主配管250に接続され、戻し配管253の他端側は、原水タンク201に接続される。戻し配管253には、エアーオペレーションバルブAV215が介挿される。
【0031】
(濾過経路)
次いで、図1の濾過水経路400の詳細について説明する。濾過水配管450の一端側は、2つに分岐されており、当該分岐された配管は、膜モジュール300に接続され、濾過水配管450の他端側は、濾過水タンク401に接続される。
また、濾過水配管450には、流量計403およびエアーオペレーションバルブAV411が介挿されている。
さらに、濾過水タンク401の底側に、逆洗配管451の一端が接続され、逆洗配管451の他端が流量計403よりも濾過水タンク401側の濾過水配管450に接続される。
逆洗配管451には、逆洗ポンプ402およびエアーオペレーションバルブAV412が介挿される。
【0032】
(膜モジュールの構造)
続いて、膜モジュール300の構造について説明する。図2は、膜モジュール300の一例を示す模式的断面図である。
【0033】
図2に示すように、膜モジュール300は、主に膜エレメント320およびケーシング330からなる。膜エレメント320は、複数の中空糸の膜321からなる。なお、図示していないが、膜モジュール300の原水導入側320aおよび原水排出側320bは、いずれも接着、または互いの膜321の隙間を閉塞する構造を有する。
【0034】
図2に示すように、膜モジュール300に流れF250の方向で原水が流入される。流れF250が膜モジュール300の各膜321を通過しつつ濾過され、濾過水は濾過水配管450に流れF450の方向に排出される。
【0035】
一方、原水は若干ずつ濃縮されながら、膜モジュール300の原水排出側320bから第2主配管251に流れF251の方向に排出される。
【0036】
続いて、図1に示した膜濾過装置100の動作について説明する。図3は
膜濾過装置100における制御部500の動作を示すフローチャートである。
【0037】
まず、図3に示すように、制御部500は、循環ポンプ202を駆動する(ステップS1)。制御部500は、圧力計204の数値を取得する(ステップS2)。そして、制御部500は、圧力計204の数値が所定の値を超えたか否かを判定する(ステップS3)。
【0038】
(汚泥除去動作)
ステップS3の処理において、制御部500は、圧力計204の数値が所定の値を超えたと判定した場合、所定の時間、汚泥除去動作を行い、(ステップS4)処理後、後述するステップS7へ移動する。
なお、本実施で圧力計204の数値に基づいて判定する理由は、圧力計204において所定圧力が上昇する現象が、膜モジュール300内の膜に汚泥が溜まっており、原水の流れに負荷がかかっていることを示すためである。ここで、所定の値とは、濾過動作における圧力計204の値の110%以上から500%以下までの範囲の値であり、所定の時間とは、例えば、数秒以上から数時間以下までの間である。
【0039】
汚泥除去動作において、制御部500は、内蔵されたエアーコンプレッサを作動し、エアーオペレーションバルブAV214,AV215,AV411を開放させ、エアーオペレーションバルブAV211,AV212,AV412を閉塞させる。
【0040】
この場合、循環ポンプ202が駆動され、エアーオペレーションバルブAV211,AV212が閉塞され、エアーオペレーションバルブAV214,AV215が開放されているので、原水タンク201から第1主配管250、バイパス配管252、膜モジュール300、戻し配管253および原水タンク201まで、原水が循環する。
【0041】
それにより、濾過動作時に膜モジュール300内の膜321の原水導入側320aに蓄積され、かつ後述する逆洗浄動作において除去できない程度の大きな汚泥の塊を、原水タンク201内に戻すことができる。その結果、原水タンク201内で汚泥の塊が沈降し、再度原水経路200に混入する可能性が著しく低くなり、膜モジュール300による濾過効率を高めることができる。
【0042】
(濾過動作)
一方、ステップS3の処理において、膜濾過装置100の制御部500は、作業終了か否かを判定する(ステップS5)。そして、作業終了しないと判定した場合、制御部500は、20分間濾過動作を行う(ステップS6)。
濾過動作において制御部500は、内蔵されたエアーコンプレッサを作動し、エアーオペレーションバルブAV211,AV212,AV411を開放させ、エアーオペレーションバルブAV214,AV215,AV412を閉塞させる。
【0043】
この場合、循環ポンプ202が駆動され、エアーオペレーションバルブAV214,AV215が閉塞され、エアーオペレーションバルブAV211,AV212が開放されているので、原水タンク201から第1主配管250、膜モジュール300、第2主配管251および原水タンク201まで、原水が循環する。
【0044】
そして、循環ポンプ202による原水の圧力が膜モジュール300に加わるため、原水が膜モジュール300において一部濾過され、濾過水配管450、流量計403、エアーオペレーションバルブAV411を通して濾過水タンク401に貯留される。
【0045】
(逆洗浄動作)
続いて、制御部500は、20分の濾過動作後、またはステップS4の汚泥除去動作後、膜321の微細孔の閉塞物を除去するための逆洗浄動作を行う(ステップS7)。逆洗浄動作は、後述する処理を20秒間実施し、その後ステップS1へ戻り処理を繰り返す。
【0046】
逆洗浄動作において、制御部500は、内蔵されたエアーコンプレッサを作動し、エアーオペレーションバルブAV212,AV412を開放させ、エアーオペレーションバルブAV211,AV214,AV411を閉塞させる。その後、制御部500は、循環ポンプ202を停止させ、逆洗ポンプ402を動作させる。
【0047】
この場合、逆洗ポンプ402が駆動され、エアーオペレーションバルブAV211,AV214,AV411が閉塞され、エアーオペレーションバルブAV212,AV412が開放されているので、濾過水タンク401から逆洗配管451、濾過水配管450、膜モジュール300、第2主配管251、原水タンクまで濾過水が送られる。
【0048】
その結果、膜モジュール300の膜321の微細孔につまった汚泥を、濾過水による逆洗浄動作で除去することができる。
【0049】
以上のように、制御部500は、一定時間(20秒)の逆洗浄動作後に、再度濾過動作に入り、圧力計204が所定圧力を検知する場合以外、連続して濾過動作および逆洗浄動作を繰り返すことになる。そして、制御部500は、ステップS5の処理において、作業終了と判定した場合には、循環ポンプ202を停止し(ステップS8)、終了する。
【0050】
なお、本実施の形態においては、図3のステップS2の処理において圧力計204の数値を取得し、判定を行ったが、これに限定されず、各流量計の数値をさらに利用してもよい。
【0051】
また、本実施の形態においては、作業終了をステップS5の処理として規定したが、これに限定されず、いずれの処理の段階の前後に配置させてもよい。
【0052】
なお、本実施の形態においては、エアーオペレーションバルブAV211,AV214をそれぞれ設けることとしているが、これに限定されず、3方弁を用いてもよい。
【0053】
なお、本実施の形態において圧力計204の所定の値は、濾過動作における圧力計204の値の110%以上から500%以下までの値であることとしているが、これに限定されず、他の任意の数値であってもよい。また、本実施の形態において汚泥除去動作の所定の時間を数秒以上から数時間以下までとしているが、これに限定されず、数秒以上から数月以下までの任意の時間であってもよい。
【0054】
また、制御部500は、流量計203および圧力計204の数値から循環ポンプ202および第1主配管250の異常を検知するシステムを別途設けてもよい。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
本発明に係る膜濾過装置100の実験を行った。本実験においては、膜モジュール300として、日本ノリット株式会社(NORIT)製のMF(Microfiltlation Membrane)膜、13PE、F4835を用いた。当該膜形状は、中空糸であり、中空糸内径は5.2mmであり、収納本数は108本であり、内径膜材質は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる。
また、原水の排水浮遊物質(SS)濃度は、10000mg/Lに設定した。
【0056】
さらに、循環ポンプ202として、荏原製作所製(MDPA40)を用いた。また、循環ポンプ202は、40L/minの定量吐出を行うようインバーター制御を行った。この時、圧力計204の初期数値は0.04MPaであった。
【0057】
実施例における汚泥除去動作の開始条件(図3ステップS3)、すなわち圧力計204の所定の数値は、0.06MPaとし、0.06MPaを超えた場合、1分間汚泥除去動作(図3ステップS4)を実施した後、逆洗浄動作(図3ステップS7)に移行するよう制御した。
【0058】
また、濾過動作時(図3ステップS6)において、膜モジュール300を経由して濾過される濾過水の量は流量計403にて計測し、透過流束を積算した。20分の濾過工程終了後、または汚泥除去動作後に20秒間の逆洗浄動作(図3ステップS7)を実施した。逆洗ポンプ402として、荏原製作所製(MDPA40)を用いた。逆洗時の流量は1.6L/minとなるよう、インバーター制御を行った。
【0059】
(比較例1)
比較例1においては、実施例1の膜濾過装置100を用いて、原水タンク201から第1主配管250、膜モジュール300、第2主配管251、原水タンク201まで戻る方向に連続して20分動作させた後、20秒間の逆洗浄動作(図3ステップS7)を実施した。以後、連続して濾過動作と逆洗浄動作とを交互に継続させた。
【0060】
(比較例2)
比較例2においては、20分毎に自動的に濾過動作(図3のステップS6)および汚泥除去動作(図3のステップS4)を切り替えて実施した。また、当該切り替えの間には濾過水による逆洗浄動作(図3のステップS7)を20秒間実施して連続運転を行った。
【0061】
図4は、実施例1、比較例1、比較例2の結果を示す模式図である。
【0062】
図4に示すように、実施例1の結果から通水日数(D)が経過しても、透過流速(m/D)が0.8から低下することを防止できた。
一方、比較例1の結果から、通水日数(D)が経過するにつれて、膜モジュール300が詰まるため、40日経過後、透過流速(m/D)が0.62まで、約20%程度低下した。
さらに、比較例2の結果から通水日数(D)が経過するにつれて、膜モジュール300は詰まらずとも、原水タンク201内の汚泥が再循環され、40日経過後、透過流速(m/D)が0.7まで約12%程度低下した。
【0063】
以上のように、本実施の形態に係る膜濾過装置100においては、原水を用いて膜モジュール300の洗浄を行うことができる。その結果、膜モジュール300の濾過性能低下を抑え、かつ膜モジュール300による汚泥分離を効率化し、結果的に単位期間当たりに得られる透過水量の増大を図ることができる。
さらに、濾過水を利用しないため、濾過効率の低下を防止することができる。
【0064】
また、制御部500は、圧力計204の所定の値に応じてエアーオペレーションバルブAV211,214,215の開閉を制御することで、膜モジュール300内の汚泥の塊を除去することができる。
【0065】
また、本実施の形態に係る膜濾過装置100においては、濾過動作および逆洗浄動作の繰り返しを実施しつつ、圧力計204が所定の数値を超えた場合のみ、さらに汚泥除去動作を実施する。その結果、濾過動作後の逆洗浄動作において膜321の微細孔の閉塞を除去することができ、逆洗浄動作において除去できない膜モジュール300の入口側の汚泥の塊を汚泥除去動作において除去することができる。
【0066】
さらに、原水タンク205の中間の深さ位置に第1主配管250の採水口が設けられているので、汚泥を多く含む原水を採水することを防止することができる。
【0067】
本発明においては、膜モジュール300が膜モジュールに相当し、原水タンク201が原水タンクに相当し、膜濾過装置100が膜濾過装置に相当し、第1主配管250、第1主配管250および第2主配管251が主配管に相当し、循環ポンプ202がポンプに相当し、バイパス配管252がバイパス配管に相当し、エアーオペレーションバルブAV211,214がバイパスバルブに相当し、戻し配管253が戻し配管に相当し、エアーオペレーションバルブAV215が戻しバルブに相当し、圧力計204が圧力計に相当し、制御部500が制御部に相当する。
【0068】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0069】
100 膜濾過装置
201 原水タンク
202 循環ポンプ
204 圧力計
250 第1主配管
251 第2主配管
252 バイパス配管
253 戻し配管
300 膜モジュール
500 制御部
AV211,AV214,AV215 エアーオペレーションバルブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜モジュールを使用して原水タンクの汚泥原水を濾過する膜濾過装置において、
少なくとも前記原水タンクから前記膜モジュールの入口までを接続する主配管と、
前記主配管に介挿され、原水を送るポンプと、
前記膜モジュールの入出口間をバイパスするバイパス配管と、
前記主配管から前記バイパス配管への流入を制御するバイパスバルブと、
前記バイパスバルブより前記膜モジュールの入口側の前記主配管から前記原水タンクまでを接続する戻し配管と、
前記戻し配管の流入を制御する戻しバルブと、を備えた膜濾過装置。
【請求項2】
前記ポンプおよび前記膜モジュールの間に介挿された圧力計と、
前記バイパスバルブおよび前記戻しバルブの開閉を制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記圧力計の数値に応じて前記バイパスバルブおよび前記戻しバルブの開閉を制御することを特徴とする請求項1記載の膜濾過装置。
【請求項3】
前記主配管の採水口が、前記原水タンクの中間の深さ位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の膜濾過装置。
【請求項4】
前記戻し配管には、汚泥除去装置が介挿されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の膜濾過装置。
【請求項5】
前記バイパスバルブおよび前記戻しバルブの開閉を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、所定期間において前記バイパスバルブおよび前記戻しバルブの開閉を制御することを特徴とする請求項1記載の膜濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−176343(P2012−176343A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39568(P2011−39568)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】