説明

膜電極接合体及びその製造方法

【課題】膨張と収縮とによる電解質膜の破損、及び製造時の熱処理工程による各部材の破損や剥離を抑制し、シール性の高い膜電極接合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第一ガスケット層14,15に粘着剤もしくは接着剤を配置することにより、触媒層12,13と第一ガスケット層14,15の間隙を埋めて、電解質膜11の破損を防止することができる。また、ガスケット層を二つに分けることで、ガスケット層の全て(第一ガスケット層14,15及び第二ガスケット層16,17)を粘着剤もしくは接着剤とする場合に比べ、硬化にかける熱処理温度、時間を抑制することができる。このため、各部材の熱膨張率の差による各部材の破損や剥離を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜電極接合体及びその製造方法に関し、特に固体高分子形燃料電池における膜電極接合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脱炭素社会の構築に向けた動きの中で、エネルギー中間キャリアとして水素が注目されている。燃料電池は、水素エネルギーの利用形態の一つとして開発が進められている。
特に、種々の燃料電池の中で、固体高分子形燃料電池は、高出力密度や低温作動、電池本体がコンパクトであることから、自動車用途又は家庭用途の電源として早期の実用化が期待されている。
【0003】
燃料電池は、水素等の燃料ガスと、空気等の酸化ガスとを電気化学的に反応させて、電力を取り出す発電システムである。固体高分子形燃料電池における膜電極接合体は、電解質膜と触媒層、ガス拡散層、ガスケット層より構成される。膜電極接合体の一部を構成するガスケット層には、電解質膜を支持し、酸素及び水素のリークの抑制と電解質膜の湿度維持に寄与することが求められている。
【0004】
製造の観点から、組み立てが容易な膜電極接合体構造が望ましい。特に、積層工程が可能な膜電極接合体構造は、印刷技術を利用した製造が期待できるので、大量生産、連続生産の点で望ましい。
組み立てが容易な膜電極接合体構造として、特許文献1の膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池が報告されている。この膜電極接合体構造では、シール性を向上させるために、触媒層及び電解質膜上に熱可塑性樹脂の保護層を配置し、その上に熱硬化性樹脂の補強枠を積層する膜電極接合体構造をとっている。
【0005】
補強枠に弾性率の高い熱硬化性樹脂を平面上に配置することで、ガスケットにかかる応力を分散させて電解質膜の歪みを抑制することができ、シール性を向上することができる。
保護層は、補強枠である熱硬化性樹脂の成分(主剤や硬化剤)による、熱硬化時の高温下での電解質膜の変質を軽減するためのものであり、熱可塑性樹脂が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−109576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、熱可塑性樹脂のような固体を電解質膜上に積層する場合、精度的な問題から触媒層とガスケット層との間に間隙が生じやすい問題がある。
燃料電池の発電、非発電を繰り返すことで、電解質膜は、湿潤状態と乾燥状態とが繰り返される。このとき、膨張と収縮とが繰り返されて、触媒層とガスケット層との間に間隙がある場合、間隙に応力が集中し、電解質膜の疲労による破損が生じる。結果、破損部位からのガスリークや湿度の低下が生じる。
【0008】
又、膜電極接合体を構築するにあたり、熱硬化性樹脂の硬化に要する熱処理工程は、電解質膜を始めとした各部材の熱膨張率の差による各部材の破損や剥離を招く恐れがあることから、熱硬化性樹脂の使用量はできるだけ抑えた方が望ましい。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、膨張と収縮とによる電解質膜の破損、及び製造時の熱処理工程による各部材の破損や剥離を抑制し、シール性の高い膜電極接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る膜電極接合体及びその製造方法は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
本発明による第1の膜電極接合体は、電解質膜と、前記電界質膜の一方の面に積層されたカソード触媒層と、前記電界質膜の他方の面に積層されたアノード触媒層と、を有する膜電極接合体であって、前記両触媒層の周囲に配置された第一ガスケット層と、前記両触媒層及び前記両第一ガスケット層に、前記電解質膜より小さい面積で積層されたガス拡散層と、前記両ガス拡散層の端部の周囲に配置された第二ガスケット層と、を有することを特徴とする。
上記の第1の膜電極接合体によれば、第一ガスケット層に粘着剤もしくは接着剤を配置することにより、触媒層とガスケット層の間隙を埋めて、電解質膜の破損を防止することが可能となる。
【0010】
本発明による第2の膜電極接合体は、前記第一ガスケット層は、前記カソード触媒層と同層に配置されたカソード第一ガスケット層と、前記アノード触媒層と同層に配置されたアノード第一ガスケット層と、からなることを特徴とする。
上記の第2の膜電極接合体によれば、ガスケット層を2つに分けることで、ガスケット層の全て(第一ガスケット層及び第二ガスケット層)を粘着剤もしくは接着剤とする場合に比べ、硬化にかける熱処理温度、時間を抑制することができる。このため、各部材の熱膨張率の差による各部材の破損や剥離を抑制することが可能となる。
【0011】
本発明による第3の膜電極接合体は、前記カソード第一ガスケット層の厚さは、前記カソード触媒層の厚さと等しく、かつ、前記アノード第一ガスケット層の厚さは、前記アノード触媒層の厚さと等しいことを特徴とする。
上記の第3の膜電極接合体によれば、ガス拡散層を積層もしくは第二ガスケット層を配置した際に生じる間隙を少なくして、シール性を高めることが可能となる。
【0012】
本発明による第4の膜電極接合体は、前記第一ガスケット層は、粘着剤もしくは接着剤であって、前記電界質膜上にスクリーン印刷によりパターン塗布されたことを特徴とする。
上記の第4の膜電極接合体によれば、例えば、積層ガスケットで問題となるウインドウロスを無くすことが可能となる。
【0013】
本発明による第5の膜電極接合体は、前記第一ガスケット層は、その一部が、前記ガス拡散層の一部と接着されたことを特徴とする。
上記の第5の膜電極接合体によれば、触媒層とガス拡散層の間隙部分で第一ガスケット層がガス拡散層と接することから、ガス拡散層を膜電極接合体として一体化することが可能となる。
【0014】
本発明による第6の膜電極接合体は、前記第二ガスケット層は、枠状に打ち抜きされた所望の熱可塑性樹脂フィルムであって、前記第一ガスケット層より4乃至15倍厚く配置されたことを特徴とする。
上記の第6の膜電極接合体によれば、セル組み立て後のガスケットに対する応力を第二ガスケット層が受けて、かつ、応力を分散し、応力による電解質膜の歪みを軽減することが可能となる。
【0015】
本発明による膜電極接合体の製造方法は、電解質膜と、前記電界質膜の一方の面に積層されたカソード触媒層と、前記電界質膜の他方の面に積層されたアノード触媒層と、を有する膜電極接合体の製造方法であって、前記カソード触媒層又は前記アノード触媒層の一方の触媒層の周囲に第一ガスケット層を配置し、前記一方の触媒層及び前記第一ガスケット層に、前記電解質膜より小さい面積でガス拡散層を積層し、前記ガス拡散層の端部の周囲に第二ガスケット層を配置した後に、積層された各層を上下反転し、前記両触媒層の周囲に第一ガスケット層を配置し、他方の触媒層及び前記第一ガスケット層に、前記電解質膜より小さい面積でガス拡散層を積層し、前記ガス拡散層の端部の周囲に第二ガスケット層を配置した後に、前記電解質膜の端部をプレス又は熱プレスにより封止することを特徴とする。
上記の膜電極接合体の製造方法によれば、上記の第1の膜電極接合体と同じ作用を有する膜電極接合体を製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第一ガスケット層に粘着剤もしくは接着剤を配置することから、触媒層とガスケット層との間隙を埋めることができる。このため、電解質膜の破損を防止することができる。
加えて、ガスケット層を二つに分けて、第二ガスケット層に熱可塑性樹脂を配置することから、ガスケット層の全て(第一ガスケット層及び第二ガスケット層)を粘着剤もしくは接着剤とする場合に比べ、硬化にかける熱処理温度、時間を抑制できる。このため、各部材の熱膨張率の差による各部材の破損や剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る膜電極接合体10の構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る膜電極接合体10の製造工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等の構成要素は同一符号によって示す。
(膜電極接合体10の構造)
図1を参照して、本発明の実施形態に係る膜電極接合体10の構造を説明する。
図1に示す膜電極接合体10は、電解質膜11、電界質膜の一方の側に配置されたカソード側の触媒層12、電界質膜の他方の側に配置されたアノード側の触媒層13、カソード側の第一ガスケット層14、アノード側の第一ガスケット層15、カソード側の第二ガスケット層16、アノード側の第二ガスケット層17、カソード側のガス拡散層18、及びアノード側のガス拡散層19を有して構成される。
【0019】
電解質膜11は、両触媒層12,13及び両ガス拡散層18,19の面積よりも一回り大きい。そして、膜電極接合体10は、両触媒層12,13の端部の周囲に配置された第一ガスケット層14,15と、両触媒層12,13の片面に配置され、両触媒層12,13より大きい面積を持つガス拡散層18,19と、両ガス拡散層18,19の端部の周囲に配置される第二ガスケット層16,17とが一体化されている。
【0020】
膜電極接合体10は、ガスケット層を第一ガスケット層14,15と第二ガスケット層16,17とに分けている。このことで、触媒層12,13とガスケット層との間隙、及びガス拡散層18,19とガスケット層との間隙を抑えることができる。又、シール性を向上させることができる。
電解質膜11は、固体高分子形燃料電池に一般的に用いられる電解質膜であればよい。電解質膜11は、例えば、フッ素系電解質膜や炭化水素電解質膜が好適に使用でき、特にフッ素系電解質膜が望ましい。
【0021】
同様に、触媒層12,13についても、固体高分子形燃料電池に一般的に用いられる触媒層であればよい。触媒層12,13は、例えば、白金、又は白金と他の金属(例えばRu,Rh,Mo,Cr,Co,Fe等)との合金の微粒子(平均粒径は、10nm以下が望ましい。)が表面に担持されたカーボンブラック等の導電性炭素微粒子(平均粒径:20乃至100nm程度)と、パーフルオロスルホン酸樹脂溶液等の高分子溶液とが適当な溶剤(エタノール等)中で均一に混合されたインクより作成されるものが使用できる。
【0022】
第一ガスケット層14,15は、粘着剤もしくは接着剤よりなる。粘着剤もしくは接着剤は、主鎖骨格がポリシロキサン骨格やポリエーテル骨格、フルオロエーテル骨格、ポリオレフィン骨格等のものが使用できる。スクリーン印刷によってパターン塗布することで、積層ガスケットで問題となるウインドウロスを避けることができる。又、電解質膜上に配置されることから、粘着剤もしくは接着剤由来の溶媒による電解質膜の膨潤を避けるために、無溶媒系であることが望ましい。
【0023】
第一ガスケット層14は、後述する図2(a)に示す領域A(触媒層12とガス拡散層18との間隙部分)の部分でガス拡散層18と接することから、ガス拡散層18を膜電極接合体として一体化できる。領域Aは、狭すぎると接着が不十分となり、広すぎるとガス拡散層19を無駄に使うことになるので、0.2乃至2.0cm程度あればよい。第一ガスケット層15についても、同様である。
【0024】
第二ガスケット層16,17は、熱可塑性樹脂よりなる。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナナフタレート)、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PI(ポリイミド)等が使用することができる。特に、弾性率の高い熱可塑性樹脂が望ましく、繊維強化されたものを用いてもよい。
【0025】
第二ガスケット層16,17は、第一ガスケット層14,15に対し、十分に厚くすることが望ましい。望ましくは、第二ガスケット層16,17の厚さは、第一ガスケット層14,15の厚さの4乃至15倍程度である。これにより、セル組み立て後のガスケットに対する応力を第二ガスケット層16,17が受けて、かつ、応力を分散し、応力による電解質膜11の歪みを軽減することができる。
【0026】
ガス拡散層18,19は、少なくともガス透過性(通気性)と導電性を有するものであればよい。例えば、炭素材料によって構成された織布、不織布(炭素繊維を交絡させることによって得られるフェルト等)、ペーパー類(カーボンペーパー等)等が汎用される。
ガス拡散層18,19は、触媒層12,13より大きい面積を持つ。結果、高価な白金触媒等を含む触媒層を、端部まで利用することができる。
【0027】
(膜電極接合体10の製造方法)
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係る膜電極接合体10の製造方法について説明する。
まず、図2(a)に示すように、電解質膜11上に触媒層12,13を形成する。触媒層12,13を形成するにあたっては、高分子電解質と触媒物質と触媒を担持するカーボン担体と分散媒を含むインクを調製する。調製された触媒インクは、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法等の塗布法、噴霧法を用い電解質膜11上に塗布し、触媒層12,13を形成する。又、転写基材を用い、転写基材上に触媒インクを塗布し、転写基材上に触媒層を一旦形成した後、転写法により電解質膜11上に触媒層12,13を形成しても良い。
【0028】
次に、第一ガスケット層14を、形成された触媒層12の周囲の電解質膜11の領域B(電解質膜11の端部)の上に形成する。第一ガスケット層14を形成するにあたっては、粘着剤もしくは接着剤をスクリーン印刷により塗布し、第一ガスケット層14を形成する。第一ガスケット層14の厚さは、触媒層12と同じ厚さが望ましい。第一ガスケット層14の厚さが触媒層12の厚さと異なると、ガス拡散層18を積層もしくは第二ガスケット層16を配置した際に、間隙が生じることからシール性が低下してしまう。又、精度的な問題から、触媒層12と第一ガスケット層18との間隙は0.1乃至1.0mm程度設けても良い。その場合は、触媒層12の厚さより若干厚めに第一ガスケット層14を塗布し、第二ガスケット層16を配置後、プレスすることで触媒層12と第一ガスケット層14との厚さを揃えるとともに、触媒層12と第一ガスケット層14との間隙を埋めることができる。結果、触媒層12と第一ガスケット層14との間隙によって生じる電解質膜11の疲労による破損を抑制することができる。
【0029】
第一ガスケット層14を形成した後、第二ガスケット層16及びガス拡散層18を形成する。第二ガスケット層16及びガス拡散層18を形成するにあたっては、貼合装置等で張り合わせることができる。
続いて、図2(b)に示すように、上下反転させ、第一ガスケット層14と、他方の第一ガスケット層15とをスクリーン印刷により塗布し、形成する。塗布する領域は、図2(b)に示す領域Bと領域C(第二ガスケット層16の端部)である。
【0030】
そして、第一ガスケット層14.15を形成後、図2(c)に示すように、同様に第二ガスケット層17及びガス拡散層19を形成する。領域Cに第一ガスケット層14を塗布することで電解質膜11の端部についても封止を行なうことができ、電解質膜11の湿度維持に寄与できる。
最後に、プレス及び熱処理をして、膜電極構造体10を一体化する。又、膜電極構造体10の一体化においては、熱プレス法や熱ラミネート法等により行なっても良い。
【0031】
(実施例)
以下に、本発明の固体高分子形燃料電池における膜電極接合体10及びその製造方法について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
白金担持量が60%である白金担持カーボン触媒と、20質量%高分子電解質溶液であるNafion(登録商標、デュポン社製)を、混合比1:2の水、エタノール混合溶媒で混合した。続いて、遊星ボールミルで分散処理を行い、触媒インクを調整した。
【0032】
プレート上に転写シートを固定し、ドクターブレードにより触媒インクを転写シート上に塗布した。触媒インクからなる塗膜が形成された転写シートをオーブン(熱風循環恒温乾燥機41−S5H/佐竹化学機械工業社製)に入れ、オーブンの温度を50℃に設定し5分間乾燥させることで転写シート上に触媒層を作製した。このとき、白金担持量はカソード触媒層12が約0.5mg/cm、アノード触媒層13が約0.3mg/cmとなるように調製した。
【0033】
触媒層12,13が形成された転写シートを25cmに2枚切り取り、触媒層12,13が正対するように、電解質膜11の両面に配置した。電解質膜11としては、Nafion211(デュポン社製)を用いた。続いて、130℃、6.0MPaの条件でホットプレスを行い、転写基材のみを剥がした。
カソード側の触媒層12の端部に、スクリーン印刷によりフルオロエーテルタイプの接着剤を35um厚さになるよう塗布し、第一ガスケット層14を形成した。続いて、MPL処理カーボンペーパー(東レ社製)をカソード触媒層12上に貼合し、カソード側のガス拡散層18を形成し、175umの厚さのPENフィルムを、形成したガス拡散層18の端部に貼合し、第二ガスケット層16を形成した。
【0034】
そして、上下反転させ、アノード触媒層13の端部に、スクリーン印刷によりフルオロエーテルタイプの接着剤を35um厚さになるよう塗布し、第一ガスケット層15を形成した。このとき、先に形成したカソード側の第二ガスケット層16上にも接着剤を塗布した。続いて、カソード側と同様に、ガス拡散層19及び第二ガスケット層17を形成した。アノード側の第二ガスケット層17は、150umの厚さのPENフィルムを用いた。
【0035】
得られた膜電極接合体10をプレス後、オーブンに入れ、120℃、1時間加熱処理して一体化を行なった。
加熱処理後、膜電極接合体を刃型により打ち抜いた。触媒層12,13と第一ガスケット層14,15の間隙の観察を行ったところ、間隙は、第一ガスケット層14,15で埋められていることが確認できた。又、電解質膜11の端部もガスケットにより封止されていることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、固体高分子形燃料電池、特に燃料電池自動車や家庭用燃料電池等における、固体高分子形燃料電池単セルやスタックに好適に活用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10……膜電極接合体
11……電解質膜
12……触媒層(カソード側)
13……触媒層(アノード側)
14……第一ガスケット層(カソード側)
15……第一ガスケット層(アノード側)
16……第二ガスケット層(カソード側)
17……第二ガスケット層(アノード側)
18……ガス拡散層(カソード側)
19……ガス拡散層(アノード側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜と、前記電界質膜の一方の面に積層されたカソード触媒層と、前記電界質膜の他方の面に積層されたアノード触媒層と、を有する膜電極接合体であって、
前記両触媒層の周囲に配置された第一ガスケット層と、
前記両触媒層及び前記両第一ガスケット層に、前記電解質膜より小さい面積で積層されたガス拡散層と、
前記両ガス拡散層の端部の周囲に配置された第二ガスケット層と、
を有することを特徴とする膜電極接合体。
【請求項2】
前記第一ガスケット層は、
前記カソード触媒層と同層に配置されたカソード第一ガスケット層と、
前記アノード触媒層と同層に配置されたアノード第一ガスケット層と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項3】
前記カソード第一ガスケット層の厚さは、前記カソード触媒層の厚さと等しく、
かつ、前記アノード第一ガスケット層の厚さは、前記アノード触媒層の厚さと等しいことを特徴とする請求項2に記載の膜電極接合体。
【請求項4】
前記第一ガスケット層は、
粘着剤もしくは接着剤であって、前記電界質膜上にスクリーン印刷によりパターン塗布されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
【請求項5】
前記第一ガスケット層は、
その一部が、前記ガス拡散層の一部と接着されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
【請求項6】
前記第二ガスケット層は、
枠状に打ち抜きされた所望の熱可塑性樹脂フィルムであって、前記第一ガスケット層より4乃至15倍厚く配置されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
【請求項7】
電解質膜と、前記電界質膜の一方の面に積層されたカソード触媒層と、前記電界質膜の他方の面に積層されたアノード触媒層と、を有する膜電極接合体の製造方法であって、
前記カソード触媒層又は前記アノード触媒層の一方の触媒層の周囲に第一ガスケット層を配置し、
前記一方の触媒層及び前記第一ガスケット層に、前記電解質膜より小さい面積でガス拡散層を積層し、
前記ガス拡散層の端部の周囲に第二ガスケット層を配置した後に、積層された各層を上下反転し、
前記両触媒層の周囲に第一ガスケット層を配置し、
他方の触媒層及び前記第一ガスケット層に、前記電解質膜より小さい面積でガス拡散層を積層し、
前記ガス拡散層の端部の周囲に第二ガスケット層を配置した後に、前記電解質膜の端部をプレス又は熱プレスにより封止することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−74235(P2012−74235A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217812(P2010−217812)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】