膝支持装置およびそれを取着する方法
【課題】 膝支持装置およびそれを取着するための方法を提供する。
【解決手段】 前半体と後半体とに分割されており、そして近位部材(40)および遠位部材(42)を有している膝支持装置(10)である。この膝支持装置(10)は、更に、長さが調整可能であって、近位および遠位部材(40、42)に連結されている少なくとも1つの実質的に非弾性のクロスストラップ(18、20)を有している。このクロスストラップ(18、20)は、近位および遠位部材(40、42)相互間で支持装置の前方平面の後方に位置された交差点で交差している第1および第2の部分を有している。クロスストリップ(18、20)に張りを漸増的に加えるための締付け装置(22、23)がもうけられており、バックル組立体が、クロスストリップ(18、20)を近位および遠位部材(40、42)に連結している。
【解決手段】 前半体と後半体とに分割されており、そして近位部材(40)および遠位部材(42)を有している膝支持装置(10)である。この膝支持装置(10)は、更に、長さが調整可能であって、近位および遠位部材(40、42)に連結されている少なくとも1つの実質的に非弾性のクロスストラップ(18、20)を有している。このクロスストラップ(18、20)は、近位および遠位部材(40、42)相互間で支持装置の前方平面の後方に位置された交差点で交差している第1および第2の部分を有している。クロスストリップ(18、20)に張りを漸増的に加えるための締付け装置(22、23)がもうけられており、バックル組立体が、クロスストリップ(18、20)を近位および遠位部材(40、42)に連結している。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
A.膝支持装置についての背景情報
膝支持装置が、様々な膝疾患を治療するために広く使用されている。このような膝支持装置は、膝関節の一部内の圧縮性の力を除去するために、或は膝のその部分に対する荷重を減少させるために、膝関節を取囲む肢に力または梃子作用を与えるように構成されてもよい。しかも、膝の靭帯が弱く且つ衰えている場合、膝支持装置が、膝を安定化したり、保護したり、支持したり、或は修復したりすることができる。
【0002】
膝は、身体における最も弱い関節のうちの1つと認められており、そして大腿部およびふくらはぎの筋肉群の間の接合関節として役立っている。膝は、主に小さいが強力な靭帯によりつなぎ合わされている。軟骨損傷、靭帯のゆがみおよび他の原因から生じる膝の不安定は、比較的ありふれたことである。何故なら、膝関節は、脚部の使用を必要とするほとんどいずれもの種類の身体の運動の過程中、著しい荷重を受けるからである。
【0003】
健康な膝は、その中央および横方向の区画部の両方に圧力の一様な分布を受ける。健康な膝を有する人が、中央区画部と横方向の区画部との間の圧力が一様でないが、それでも自然であるように立っているときに膝に内反モーメントをかけることは普通である。
【0004】
多くの個人が有しがちである膝の疾患の1つの種類は、区画的変形性関節症である。区画的変形性関節症は、膝の中央および横方向区画部のうちの一方における圧力の一様でない分布がある場合に生じることがある。区画的変形性関節症は、膝の損傷、肥満、ずれにより、或は単に膝の老化に起因して引き起こされてことがある。
【0005】
膝の変形性関節症から生じる主な問題は、膝の内側を覆っている滑らかな軟骨がすり減ることである。これにより、骨端部における嚢胞の成長および衰退に伴って関節空間が狭くなる。間接が狭くなるため、骨は、骨と直接に接触し、圧力の一様でない分布が膝を横切って発生し、その結果、関節のまわりに骨棘が形成することがある。これらの変化のすべては、ついには、関節の漸増の痛みおよび堅さに至る。
【0006】
変形性関節症に対する治癒は無いが、多くの治療法がある。膝の孤立された中央の区画的な変形性関節症の診断を有する個人は、医薬、外科手術および非外科的介入のような様々な治療選択肢と直面される。非外科的介入としては、杖、横方向シューウェッジおよび膝支持装置の使用がある。
【0007】
膝支持装置は、膝関節のまわりの対向する外部の外反または内反モーメントの付与を介して区画部に対する過重を減少させることにより区画部の痛みの除去を行うのに有用である。膝支持装置の無負荷化が、膝の機能を改良しながら、変形性関節症の膝の痛みを著しく減少させるものと示された。
【0008】
B.従来技術の膝支持装置
多くの無負荷化膝支持装置がある。公知の支持装置の例が、英国のコロンビアのジェネレーションIIオルソチックス社に譲渡された米国特許第5,277,698号(これは参照によりここに組み入れられる)に記載されている。代表的には、この種類の支持装置は、2つの機構を介して膝のまわりにモーメントを加えるように設計されている。第1の機構は、ヒンジのところで曲げモーメントを誘発するヒンジ構成要素の角付けによる。第2の機構は、膝のまわりに螺旋状になっていて、膝の指定面に力を加える押しストラップを介して3点曲げ装置によりもたらされる。
【0009】
図1および図2は、米国特許第5,277,698号による脚部および膝関節上の支持装置による力の付与を例示している。矢印B1、B2は、横方向の押しストラップの力を示している。横方向の力に起因した脚部におけるその結果生じたモーメントは、矢印Y1、Y2により示されている。主な力Aは、変形性関節症がある膝の区画部にすぐ隣接して加えられた力である。図2は、膝の通常の回転軸線としてRを示している。合成モーメントYRは、単一の回転モーメントである。
【0010】
押しストラップの張りが増大されると、ヒンジの外反を減少させるモーメントが減少することがわかった。従って、押しストラップおよびヒンジは、調和して適切に作用しないことがわかる。より詳細には、ヒンジが、この支持装置における全外反の約20%を生じることが見出された。ヒンジが膝の近くで整合されるので、ストラップが、膝をヒンジに押し当てるものと思われる。しかも、この種類のヒンジの剛性が、膝に対するヒンジの変位を制限する。
【0011】
ヒンジを有する従来の支持装置では、ヒンジに向かう膝の動きを考慮して、ヒンジと膝との間には、隙間が設けられる。この結果、膝から離れる方向に少なくとも2.54cm(1インチ)延び得る大きなヒンジが必要とされるので、支持装置が嵩張る。
【0012】
普通のストラップの張りから得られるより大きい膝の無負荷化が支持装置により必要とされるなら、また押しストラップが更に締付けられるなら、膝は、ヒンジに引き寄せられ、そしてヒンジに当たるかもしれないと言うことがわかった。この結果、ヒンジは、押しストラップにより加えられる圧力に対抗する力を膝に与える。また、押しストラップの追加の締付けは、ヒンジから膝に及ぼされる力により軽減されるか、或は取り消される。
【0013】
例えば、押しストラップを有する従来のひざ支持装置を着用する患者について、研究が行われた。普通のストラップの張りでは、押しストラップの構成要素は、膝の5.8Nmを無負荷化し、ヒンジは、約2.2Nmを無負荷化した。押しストラップの張りを増大することにより、押しストラップの無負荷化は、11.6Nmとなったが、ヒンジは、これが膝に押し当てられたので、−2.4Nmの無負荷化を生じた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
下記の論述においてより十分に明らかになるように、ここに記載の実施の形態は、公知の膝支持装置におけるヒンジの軽減作用を除去しながら、膝支持装置の最大の無負荷化をもたらす構成を有することにより従来技術の無負荷化支持装置の欠陥を解消するために提供される。しかも、本発明の実施の形態は、区画的な変形性関節症を治療するように構成されており、そして支持装置により招かれる望ましくない回転力を除去し、且つ膝に外反または内反モーメントを発生させるためのより効率的な機構をもたらす改良された機械的特性を有している。
【0015】
公知の膝支持装置は、膝関節における痛みを減少させるか、或は膝関節を安定化することに好首尾であるが、多くの使用者は、これらの支持装置が嵩張っており、着用し難く、構成が複雑であり、且つ着用が不快であることがわかる、これらの理由で、ここに記載の実施の形態は、中央または横方向の区画的な変形性関節症のための苦痛除去、または公知の膝支持装置の付随の欠点なしに膝の機能的安定性をもたらすことな可能な流線形の特徴を有している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施の形態は、中央の区画的または横方向の区画的な変形性関節症の影響を減少するのに役立つ改良された膝支持装置および膝支持方法に向けられている。膝支持装置の実施の形態および膝支持方法の変形例は、回転力を最小にしながら、支持装置をしっかり保持するために区画部の側に力を与えながら、変形性関節症を有する区画部から遠い側で膝に多くの力を加えることによって、区画的な変形性関節症の影響を減少させる。
【0017】
膝支持装置の1つの実施の形態によれば、近位および遠位の通気のあるシェルが、それらに対応するスリーブおよびスペーサ要素により規定されるポケットに挿入されている、第1および第2の押しストラップが、これらのシェルに連結され、そして第1シェルと第2シェルとの間で膝支持装置の通常の軸線の後方に位置される交差点で交差している。各押しストラップが膝支持装置の使用者の脚部に対して張るか、或は押しストラップの張りを解放するために、締付け装置が設けられている。
【0018】
膝支持装置の他の実施の形態では、近位フレーム部材および遠位フレーム部材が、各々、直面する内面および外面を有している。連結要素が、これらのフレーム部材を連接している。フレーム部材には、少なくとも1つの押しストラップが連結されている。この少なくとも1つの押しストラップは、近位フレーム部材と遠位フレーム部材との間の交差点で交差している第1および第2の部分を有している。
【0019】
これらの実施の形態の変形例では、少なくとも1つの押しストラップは、フレーム部材相互間に連結されて螺旋状になっている単一の実質的に非弾性のストラップとして定められている。このストラップは、近位部材に固定された第1の端部を有する第1の部分を規定しており、この第1の部分の材部が遠位部材に連結している。ストラップの第2の部分が、遠位部材に連結されており、その第2の端部が、近位部材に取着している。第1および第2のストラップ部分は、近位部材と遠位部材との間の交差点で交差しており、この交差点は、好ましくは、膝支持装置の普通の軸線の後方に位置されている。
【0020】
更に他の実施の形態によれば、膝支持装置は、近位および遠位部材のうちの少なくとも一方の直面する内面に連結された内面を有する少なくとも1つの通気性のあるスペーサ要素を備えている。この少なくとも1つのスペーサ要素は、内面に対向する外面を規定しており、そして摩擦特徴を有している。
【0021】
このスペーサ要素の1つの変形例では、スペーサ要素および摩擦特徴の両方とも有孔である。この変形例によれば、スペーサ要素は、複数の孔を有し、非有孔部分に沿ってシリコーンが被覆されている表面を有する織物である。これにより、押しストラップにより生じられる回転力に対する抵抗をもたらす非常に通気性のあるスペーサ要素を生じる。しかも、膝支持装置の近位および遠位要素の両方におけるスペーサ要素が、押しストラップにより加えられる力に起因して膝支持装置の近位および遠位部分が互いに近づきあうのを防いでいる。
【0022】
押しストラップおよびスペーサ要素との組合せにおいて、膝に加えられる圧力を増大することなしに、1つの押しストラップでより大きい無負荷化力を達成することができる。これは、2つの押しストラップで2倍になる全無負荷化モーメントに起因しており、2つの圧力点があるので、膝には、同じ圧力量が加えられる。
【0023】
第2の近位および遠位の主な力点が、それぞれ第1の近位および遠位の主な力点の上方および下方の位置で、脚部の第2の側でフレーム部材に取着されたスペーサ要素により発生される。これらのスペーサ要素は、膝支持装置を脚部に維持し、且つフレーム部材を離れて維持する。スペーサ要素は、従来の支持装置に使用されているようなヒンジの必要性を除去し得る。
【0024】
膝支持装置の多くの他の実施の形態およびその構成要素の変形例は、下記の論述でより十分に論述されている。膝支持装置の種々の実施の形態の特徴の結果、膝のより大きい無負荷化をもたらす膝支持装置だけではなく、使用がより簡単であり、且つ従来の膝支持装置より薄い輪郭を有する膝支持装置が生じる。
【0025】
もちろん、他の方法、実施の形態およびそれらの変形例が、下記の論述により詳細に述べられている。
【0026】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、下記の説明、添付の請求項および添付図面に関して良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
A.概説
同様な参照符号が同様な要素を指している添付図面と関連して読まれる下記の説明から本発明の異なる実施の形態のより十分な理解がなされることができる。
【0028】
この開示は、種々の変更例および別の構成に対して受入れ可能であるが、幾つかの例示的な実施の形態が図面に示されており、これらを以下に詳細に説明する。しかしながら、この開示を開示される特定の実施の形態に限定しようとするものではないが、反対に、意図は、この開示の精神および範囲内に入り、且つ添付の請求項により定められる変更例、別の構成、組合せおよび同等例すべてに及ぶものであることは理解されるべきである。
【0029】
用語が、この特許では、記載の意味を有するものとはっきり定められ、用語の意味をその明白な或は通常の意味を超えてはっきり或は間接的に限定しようとする意図がないことは理解されるであろう。
【0030】
特定の機能を行なうための「手段」または特定の機能を行なうための「工程」を明白に述べていない請求項のおけるいずれの要素も、35U.S.C.§112、段落6に特定されているような「手段」または「工程」の条項として解されるべきでない。
【0031】
B.実施の形態の状況および文脈
本発明の多くの実施の形態は、膝関節における変形性関節症の作用を低減するために、或は損傷または他の疾患により弱められた膝関節を安定化するために示されている。本発明の実施の形態は、中央の或は横方向の膝関節の疾患の両方を低減するか或は治療するように構成されてもよい。
【0032】
本発明の実施の形態は、人間の膝関節に特に適合され、そして人間の関節および付属物の異なる種類、形状およびサイズに対処するように寸法決めされてもよい。また、実施の形態は、実施の形態のストラップ装置により及ぼされる主要な力を、膝の疾患を治療するために任意の望ましい位置に向けるように変更されてもよい。
【0033】
説明の目的で、ここに記載の各膝支持装置の実施の形態は、人体用の一般的な解剖学用語により示される部分に分割されている。これらの用語の各々は、一般的に大腿骨と頸骨との間で膝の半月板に沿って延びている近位-遠位平面を有する同様な部分に分割されている人間の脚部に関して使用されている。
【0034】
図3に関して、膝支持装置の実施の形態は、前-後平面により前部分および後部分に分割されている。前-後平面は、一般に、人間の脚部の冠状平面または前額平面に対応する。前部分および後部分の各々は、近位−遠位平面および横-中央平面により膝の中心のまわりに更に分割されている。
【0035】
特に図4ないし図6を参照すると、図3の膝支持装置の前部分は、下記の四半部:(I)近位-中央部分、(II)遠位-中央部分、(III)遠位-横部分および(IV)近位-横部分を有している。図3の膝支持装置の後部分は、下記の四半部:(V)近位-中央部分、(VI)遠位-中央部分、(VII)遠位-横部分および(VIII)近位横部分を有している。
【0036】
ここに記載の解剖学用語は、コルセット業界の当業者により容易に理解されるような用語の正常な理解から反れようとするものではない。
【0037】
C.膝支持装置の種々の実施の形態
i.膝支持装置の実施の形態の概説
図7ないし図10を参照すると、膝支持装置の実施の形態10が示されている。この膝支持装置は、特に、膝の横方向の変形性関節症を治療するために示され、構成されているが、膝支持装置が、膝の中央の変形性関節症を治療するために特徴を逆にすることにより構成されてもよいことは理解されるであろう。
【0038】
この実施の形態によれば、支持装置10は、種々の構成要素および組立体を覆うか、或は種々の構成要素および組立体が取着されるスリーブ12を有している。近位および遠位フレーム要素またはシェル40、42について以下に述べられるように、これらのシェルは、支持装置の十分な剛性を与えるためにスリーブに対して連結されているか、挿入されているか、或は取着されている。
【0039】
この実施の形態によれば、スリーブ12は、一般に支持装置10の近位-遠位平面に沿って延びており通気性のある中央ストリップ部分14と、ほぼスリーブ12の中心のまわりに位置された中心リング16とを有している。この中心リング16は、好ましくは、その中心部分のまわりに支持装置10の十分な屈曲を与えるように弾性材料から構成されており、そして装置の使用者が前膝上に中心部分を設置するのを助けるように位置されている。しかも、膝の近位部分に対応するスリーブ12の部分は、膝の伸展および屈曲の妨害を防ぐために露出されたままである。
【0040】
第1および第2の押しストラップ18、20は、各々、第1の端部のところで、スリーブ12の開口部24、25から突き出ている対応する締付け装置22、23に取着されている。押しストラップ18、20の各々の第2の端部は、スリーブ12に取着された対応するブラケット組立体26、27に取着されている。第1および第2の押しストラップ18、20は、支持装置10の後部中央側で近位−遠位平面の近くに或はそれに沿って位置される交差点21で交差している。
【0041】
押しストラップ18、20の各々は、交差点21の前方または後方の位置の近くまたはその位置に位置されてもよいクッション性部分を有してもよい。しかも、押しストラップ18、20は、好ましくは、各々、かかるストラップ18、20の長さの調節を可能にするためにフック/ループ留め具装置のような長さ調節装置29を有している。
【0042】
この実施の形態では、押しストラップ18、20は、弾性ストラップが使用されるなら、生じることがあるものとは対照的に、多量の圧力を膝に加えるために実質的に非弾性である。実質的に弾性の特性を有する押しストラップが膝を効果的に無負荷化しないことがわかった。そのかわり、弾性の押しストラップは、脚部をまっすぐにすると、これらの押しストラップが膝の屈曲に抵抗するように、膝を屈曲状態へ引っ張る。その結果、押しストラップを締付けることにより、実際に膝を無負荷化することがあるが、膝は、これが屈曲状態になる傾向に起因して十分な伸展を受けることができない。弾性のストラップと違って、実質的に非弾性のストラップは、これらの欠点を有していない。何故ならば、これらの非弾性のストラップは、膝を関節に向けて引っ張り、そして膝の屈曲および伸展の両方を許容しながら、膝を無負荷化するからである。
【0043】
しかしながら、膝支持装置の実施の形態が、実質的に非弾性のストラップの使用に限定されないことは理解されるべきである。それと反対に、膝支持装置の異なる実施の形態において、種々の弾性度のストラップが、個人が支持装置を着用する種々の必要性に適合するように種々の構成要素とともに用いられてもよい。
【0044】
第1の押しストラップ18は、横方向-近位のブラケット組立体26に取着されており、そしてスリーブ12の中央-遠位側部分に向けて支持装置10の後部に沿って螺旋状に延びる。次いで、第1の押しストラップ18は、スリーブ12に入り、そして一般にスリーブ12の前-横方向の遠位側部分に位置される遠位の締付け装置23に取着する。
【0045】
第2の押しストラップ20は、横方向-遠位のブラケット組立体27に取着されており、そしてスリーブの中央近位側部分に向かって螺旋状に延びる。次いで、ストラップ20は、スリーブ12に入り、そして一般にスリーブ12の前-横方向の近位側部分に位置される近位の締付け装置22に取着する。後の論述に記載のように、近位および遠位の締付け装置22、23は、第1および第2の押しストラップ18、20を漸増的に張り、且つ押しストラップ18、20における張りの解放を選択的に許容するために設けられている。
【0046】
支持装置10の中央側部分には、近位安定ストラップ28が取着されており、この近位安定ストラップ28は、横方向の側部分まで延び、そこでスリーブ12に連結されている近位バックル組立体32に連結される。スリーブ12の中央側部分には、遠位安定ストラップ30が取着されており、この遠位安定ストラップ30は、横方向の側部分まで延び、そこでスリーブ12に連結されている近位バックル組立体33に連結される。
【0047】
この実施の形態によれば、安定ストラップ28、30の各々は、高められた回転防止および更なる快適性のために取着されている発泡体または織物パッドのようなクッション性部分34を有している。安定ストラップ28、30は、各々、それらの長さの調節を可能にするためにフック/ループ留め具装置のような長さ調節装置35を有している。しかも、クッション性部分は、蒸着シリコーン、ゴムまたは穏やかに研磨性の材料のパターンのような摩擦特徴(図示せず)を有してもよい。また、クッション性部分は、があってもよいし、下記のスペーサ要素と同様な構成を有してもよい。
【0048】
1つの変形例では、安定ストラップは、膝支持装置に解放可能に取着されてもよい。例えば、安定ストラップは、膝支持装置のシェルにより支持されたスナップ留め具に対応するスナップ留め具要素を有してもよい。他の変形例では、膝支持装置に対する安定ストラップの装着および取外しを許容するために、適当な解放可能な留め具が使用されてもよい。
【0049】
変更例として、締付け装置に連結された1つの押しストラップと、フック/ループ留め具のような留め具装置で調整可能である他のストラップとを有する膝支持装置の実施の形態が提供され得る。例えば、低輪郭の支持装置を提供したい場合、締付け装置を有する支持装置の(着用者の大腿骨に対応する)近位部分に連結され、の近位部分のところで調整可能である押しストラップ装置を使用することができるが、(着用者の頸骨に対応する)遠位部分に連結された押しストラップ装置は、フック/ループ留め具装置を使用するだけでよい。この実施の形態の変形例もまた、頸骨上に存在することがある圧力個所にわたって延びている締付け装置の問題を軽減するために有用である。
【0050】
図7ないし図10の支持装置の実施の形態は、一般に、左側膝の横方向の区画的な変形性関節症を和らげるために適応される。この支持装置は、左側脚部の中央の区画的な変形性関節症、または変更例として、右側膝の中央または横方向の区画的な変形性関節症を治療するように構成されてもよい。中央の区画的な変形性関節症を治療するための再構成は、押しストラップが装置の後-中央側の近位−遠位平面に交差点を有するように、押しストラップを逆の構成に配置することよりなる。
【0051】
図11に移ると、支持装置10の実施の形態の内部特徴が、スリーブ12無しでより詳細に示されている。興味あるのは、支持装置のための構想をもたらし、押しストラップ18、20および安定ストラップ28、30につながる近位および遠位のシェル40、42である。更に興味あるのは、摩擦特徴のような回転防止手段をもたらし、且つ脚部に装着されると、支持装置10のためにクッション作用する近位および遠位のスペーサ要素46、48である。
【0052】
近位および遠位のシェル40、42は、支持装置10の前部分の横側部分と中央側部分との間に設置されるように構成されている。同様に、近位および遠位のスペーサ要素46、48は、近位および遠位のシェル40、42に概ね対応する形状で構成されており、且つシェル40、42と整合してスリーブ12の後部分に連結可能に配置されている。押しストラップおよび安定ストラップが脚部のまわりに張られるように、近位および遠位のシェル40、42が近位および遠位のスペーサ要素46、48と整合状態であることが望ましい。スペーサ要素46、48は、押しストラップから脚部に加えられる力に因る支持装置10の回転を防ぐように脚部に押圧される。
【0053】
シェルの変形例によれば、これらのシェルは、支持装置の後側部分に設置されるように構成されてもよく、或は少なくとも、支持装置の後部分の一部にわたって延びる部分を有してもよい。また、シェルの変形例は、横部分と中央部分との間で支持装置の前側部分のまわりに延びる近位シェルのような1つの含んでもよく、遠位シェルは、支持装置の後側部分にわたって延びており、更に、支持装置の遠位-前側部分の一部を覆うように横側部分および中央側部分のうちの少なくとも一方に巻き付くセグメントを有している。
【0054】
ヒンジ無しの膝支持装置におけるスペーサ要素の利点は、これらのスペーサ要素がシェルの互いに向かう移動を防ぐと言う点である。また、これらのスペーサ要素は、回転防止手段により膝支持装置を使用者の脚部に維持する。しかも、これらのスペーサ要素は、押しストラップにより加えられることがあるいずれの回転力をも耐えることができる。
【0055】
ii.ひざ支持装置を付ける方法
操作にあたり、図7ないし図11による支持装置の実施の形態は、スリーブの中心部分が前膝に設置された状態でこの装置を脚部に位置決めすることにより、使用者(支持装置はこの使用者用に注文作製されるか、或は予備作製されてもよい)に取付けられる。近位および遠位の押しストラップ18、20は、膝の側部分の上および下に位置決めされ、そして相応に締付けられる。押しストラップのこの構成によれば、押しストラップは、脚部が伸展状態へ動くときに膝の上および下で締り、脚部が屈曲状態へ動くときに緩む。押しストラップの締付けにより、膝の伸展中、脚部の伸展時の骨の動きを防ぎ、かくして区画的な変形性関節症の悪影響を治療する。
【0056】
図12および図13は、大腿骨および頸骨にそれぞれ対応する近位部分および遠位部分を規定する左側脚部の上における支持装置を示している。押しストラップの締付けは、膝の影響された側における骨相互間の空間を増大することにより膝の区画を減圧する傾向がある。フレーム要素40、42に沿った押しストラップの構成は、押しストラップ18、20のための反作用点をもたらす。かくして、押しストラップ18、20の締付けにより、フレーム40、42がスペーサ要素との組合せで交差領域21と反対の側で膝を安定化する。
【0057】
図12には、脚部における圧力のより大きい分布に因り、図1および図2に例示されたように、従来の支持装置により発生される単一の力Aより大きい程度で膝の中央側部分に加えられた力A1、A2が示されている。ほぼ押しストラップが近位および遠位部材に取付けられる脚部の横側部分に、追加の力Bが加えられる。2つの力を加えることによって、これらの力は、回転力YR1、YR2が概ね等しくて、互いに相殺する従来の支持装置に存在する回転モーメントを軽減するように反作用する。
【0058】
従来の支持装置におけるようにいずれの交差点も無しに、たった1つの押しストラップが使用されるなら、皮膚および軟筋肉組織が、シェルとともに動くことがわかった。その結果、ストラップの無負荷化効果が著しく減少する。力A1、A2を形成するために2つの押しストラップを使用することにより、脚部上における装置の回転が、低減されて効果的に防がれる。これは、膝に対する支持装置による十分な無負荷化効果をもたらす。
【0059】
押しストラップは実質的に非弾性である。何故ならば、先に述べたように、弾性の押しストラップを用いている従来の支持装置では、膝および脚部が弾性ストラップの柔軟性に反作用し、それにより膝に対する無負荷化効果を減少させるからである。実質的に非弾性の押しストラップを使用することにより、膝はストラップに抵抗することができなく、その結果、膝のより大きい無負荷化効果が得られる。
【0060】
図14および図15を参照して説明すると、膝が伸展状態になるとき、合力A1、A2が加えられる。押しストラップは、好ましくは、膝キャップ51が回転軸線Rおよび頸骨53の前方にある状態で、膝の通常の回転軸船の後方で約5°ないし20°の範囲の角度αで交差点21において交差する。交差点は、好ましくは、無負荷化点ではなく、そのかわり、無負荷化点は、中央支持装置では、すぐ横側部分にあり、横支持装置では、すぐ中央側部分にある。
【0061】
膝支持装置は、押しストラップにより発生される力を最適化するように調整されてもよい。支持装置が2つの押しストラップを有するか、或は2つの交差点を持つ単一の押しストラップを有する場合、2つの押しストラップにより同じ力が加えられるなら、より大きい力が脚部に加えられる。この結果、押しストラップを構成するためにより低い角度が使用されてもよく、従って、近位および遠位部材間で一度螺旋状に延びる単一の交差ストラップのみを有する従来の支持装置とは対照的に、近位および遠位のフレーム部材またはシェルが、互いにより近くに位置決めされてもよい。
【0062】
以下の論述において、本発明の膝支持装置に関連する特定の構成要素の説明および変形例を説明する。
【0063】
iii.ストラップ
押しストラップおよび安定ストラップは、様々な異なる織物および他の適当な材料から構成されてもよい。図11および図12に例示された1つの変形例によれば、押しストラップ400および安定ストラップ412は、2層系よりなり、すなわち、内側コア404、416が外層402、414により取囲まれてなるものとして示されている。内側コア404、416および外層402、414を互いに取着するために、適当な縫い目406、420が設けられている。この2層系は、後端部から見た場合、外層402、414がストラップの角部のまわりに概ね細長いC字形状を規定するように内側コア404、416のまわりに巻きついているC-折りストラップを形成するように一体になっている。
【0064】
内側コア404、416は、好ましくは、軟質のループ材料から構成されている。この材料は、膝窩(膝の背面)のまわりに延びているストラップを有する膝支持装置では、着用されたストラップが支持装置の着用者にとって快適であるように、一般に、触感が優しい。これは、着用者がその脚部を曲げるとき、並びに脚部が十分に伸ばされるときに立証される。内側コアの従順性および柔軟性により、まさに図7ないし図10に示される種類のクッション性部分の必要性を軽減している。
【0065】
外層402、414は、ストラップの従順性が本質的に内側コア404、416により与えられるので、任意の適当な織物から構成されてもよい。これにより、表面上感じのよい或は実質的に非弾性の材料の使用を可能にする。
【0066】
ストラップ400、412の両方は、ストラップの前端部に位置決めされてこの領域に適切な補強をもたらすタブ410、418を有してもよい。このタブ410、418は、押し嵌め、縫い合せ、接着剤または他の適当な手段によりストラップの前端部に取着されるプラスチック片または金属片よりなってもよい。また、後で更に詳細に論述するように、押しストラップ400は、その漸増設定を表す印408を有してもよい。
【0067】
更に他の変形例では、安定ストラップは、実質的に伸び可能であってもよく、スリーブまたはシェルに取着されてもよい。この変形例によるストラップは、支持装置がこれを着用する個人の脚部上で摺動可能であることにより着けられたり外されたりし得るように寸法決めされるが、個人の脚部にぴったり着用するのに十分に張られるように構成されてもよい。
【0068】
iv.シェル
図18および図19は、図7の支持装置の近位および遠位シェル40、42の1つの変形例を示している。これらのシェル40、42の各々は、支持装置が脚部に着用される場合、支持装置に通気し、従って熱の蓄積を軽減する有孔の構造体52を有している。しかも、各シェルは、横側部分と中央側部分との間に延びている更なる通気性のある特徴を有する隙間50を有している。シェル40、42は、押しストラップ18、20および安定ストラップ28、30により及ぼされる力に耐えるのに十分に剛性および強度のものであるが、シェル40、42は、脚部の対応する諸部分に一致するように可撓性であってもよい。
【0069】
シェル40、42は、これらが有孔の構造体52および隙間50を有しているので、膝固定具業界で知られている他の公知の構造特徴またはフレーム部材より大きく寸法決めされてもよい。例えば、近位シェル40は、脚部に対する十分な支持をもたらし、且つ締付け装置22およびバックル組立体26を受入れることができる拡大された第1の側部分54を有している。また、シェル40は、脚部に対するストラップの圧力を分布させるように第2の押しストラップ20の経路を概ね辿る方向に第1の側部分54から伸びている突出部分56を規定している。
【0070】
シェル40は、脚部に取着するのに十分に大きいが、それでも脚部の対応する側における過剰の侵入を防ぐために最小のサイズのものである第2の部分58を有している。同様に、遠位シェル42は、拡大された第1の側部分68、突出部分70および第2の側部分72のような近位シェルに対応する特徴部分を規定している。
【0071】
図20および図21に例示されるように、シェル40、42の各々は、好ましくは、締付け装置22、23、ブラケット組立体26、27およびバックル組立体32、33を取付ける設備を有している。シェル40、42は、各々、締付け組立体の取り付け部分取り付け部分82を受入れるための開口部66と、横部分54、68に位置決めされていて、ブラケット組立体26、27およびバックル組立体32、33の対応するピンまたは同様な特徴82を受入れるように配置されているアイレット62とを有してもよい。このアイレット62は、ピン、ボタン、フランジ、フックまたは同様な要素のようなブラケット組立体およびバックル組立体の取り付け部分82が押圧されて保持されるシート部分64を規定している。シート部分64は、取り付け部分よりほんの僅かに大きい半径を有するアイレット62の縮小部分として規定されている。
【0072】
この実施の形態のアイレットの構成は、脚部に装着されていないとき、装置からのバックル組立体およびブラケット組立体の取外しを容易にするという点で特に有利である。例えば、押しストラップおよび安定ストラップが緩められるとき、或は支持装置10が装着されていないとき、取り付け部分82は、シート64から押され、次いでシェル40、42から取外されてもよい。しかしながら、ストラップが張り状態にあるとき、取り付け部分は押されてアイレットシート64と整合して係止される。
【0073】
この実施の形態の変形例では、前述の種類の個々のアイレットは、バックル組立体と、取り付け部分取り付け部分を有するブラケット要素との両方を個々に受入れるためにシェルに規定されてもよい。この実施の形態の他の変形例によれば、バックル組立体またはブラケット要素は、シェルに規定された対応するアイレットに取着可能であるフックを有してもよい。この実施の形態の更に他の変形例では、ブラケット要素およびバックル組立体は、リベットまたは他の公知の留め具のような手段を使用してシェルに永久的に取着されてもよい。
【0074】
シェルの他の変形例によれば、図22および図23は、図18および図19の実施の形態とは異なる有孔の構造体424を有する近位および遠位シェル422、448を示している。詳細には、この有孔の構造体424は、シェル422、448の幅方向を横切ってセグメントに沿って延びている複数の概ね水平なスロット426を備えている。これらスロット426は、複数のスラット428とともの散在されている。シェル422、448の各々のフレーム部分430が、スロット426およびスラット428を取囲んでいる。
【0075】
近位シェル422の形状は、図18に示される近位シェルの形状に概ね類似している。特に、近位シェル422は、その前−近位部分に対応し且つ第1の側部分436まで及んでいる横部分434から下方に延びている第2の側部分432を規定している。横部分434は、好ましくはその遠位側で顕著であって、大腿部の解剖学的構造に一致している弧状の輪郭を有している。第1の側部分436は、第2の側部分432だけ延長された距離を越えて下方に延びており、そして脚部に追加の支持をもたらすために、大きさが第2の側部分432より概ね大きい。
【0076】
近位シェル422は、第2の側部分430に位置されたアイレット440を有している。このアイレット440は、バックル組立体のピンまたは係止装置を受入れるために構成されている。好ましくはシェルの第2の側部分432から遠い方のアイレットの側には、シート442が位置されている。このシート442は、アイレット440から延びているスロットを形成してもよく、そしてアイレット440より小さい直径を有している。
【0077】
また、近位シェル422は、スロット426と別体であって、それらより大きいスロット444を有しており、このスロット444は、第1の側部分436と横部分434との間の変化部の近くに位置されている。好ましくは、スロット444は、スロット426に対して角度をなして向けられている。スロット444は、横部分435に最も近い側に位置されている従順な縁部445を有している。この従順な縁部445は、スロット444のための小さい効果的な高さを与えており、図43と関連してより十分の後述されるように、ラチェット組立体により支持されるピン、ノブまたは他の取着手段を受入れるように構成されている。
【0078】
従順な縁部445は、好ましくは近位および遠位シェル422、448を形成するために使用される材料より可撓性である材料で形成されている。例えば、リム445は、シリコーンゴムまたは適当なポリマー材料であってもよい。
また、近位シェル422は、その第2の側部分に位置されているスロット446を有している。同様に、このスロット446は、スロット426に対して角度をなして位置されており、そして同様に、横部分434から遠い端部分に位置されている従順な縁部447を有している。
【0079】
遠位シェル448の形状は、図19に示される遠位シェル42の形状と異なっている。詳細には、遠位シェル448は、その前−近位部分に対応する横部分452につながっている第2の側部分450を有している。横部分452は、人間の脚部の向うずねの形状に概ね合わされている近位弧状輪郭453を有している。遠位シェルの近位側部分が、横部分452から頂点455まで上昇しており、これによりシェル448の第1の側部分454のところで着用者に対する追加の支持をもたらす。また、シェル448は、その第2の側部分から突出しているふくらはぎ延長部材456を有している。
【0080】
このふくらはぎ延長部材456は、脚部に着用されたときの支持装置の後部分まで延びる。ふくらはぎ延長部材456は、膝支持装置が脚部に着用されたときにシェル448が回転するのを防ぐと言う利点を有しており、そして、ふくらはぎ延長部材456は、これが好ましくは人間のふくらはぎの最も太い個所にわたって延びるように構成されているので、追加の懸架特徴としても役立つ。ふくらはぎ延長部材456の他の利点は、ふくらはぎ延長部材がふくらはぎのまわりに実質的な支持を効果的にもたらすので、遠位シェルへの連結のために2つの安定ストラップの必要性を取除いていると言う点である。
【0081】
遠位シェル448は、図20のアイレット440およびシート部分442と同様に構成されているシート部分460を持つアイレット458を有している。また、遠位シェルは、配向を除いて、図20におけるスロット444および各リム445と同じ位置に概ね対応するスロット462および対応する従順性の縁部463を有している。また、遠位シェルは、配向を除いて、図20におけるスロット446および各リム447に対応するスロット464および従順性の縁部465を有している。
【0082】
シェル422、448は、全体のまわりに、或は少なくとも部分的に周囲のまわりに配置された従順性の特徴470を有してもよい。この従順性の特徴は、シェルボディを構成する材料より可撓性である材料で構成されている。従順性の特徴470は、シェルの外周を超えて延びている。従順性の特徴は、好ましくは、接合、機械的相互係止または任意の他の適当な構成によりシェルに取着される可撓性で弾性の材料である。従順性の特徴を設けるための方法の例が、米国特許第5,445,602号(これは参照によりここに組み入れられる)に記載されている。
【0083】
シェルは、支持装置の着用者の脚部に順応するように寸法決めされ且つ輪郭決めされたクッションでもよい。また、シェルは、脚部の外形に合わせて湾曲するように予備成形されてもよいし、或はストラップおよびスリーブがシェルを支持装置の着用者の脚部のまわりに湾曲させた結果、湾曲されてもよい。ここに記載の実施の形態は、シェルが、膝の伸展および屈曲の両方において着用者の脚部に順応するのに十分に可撓性であると想定しているが、シェルは、従来の支持装置におけるようにかなり剛性であるように構成されることもできる。
【0084】
これらの変形例の近位および遠位シェルは、TRIAX(abs/ナイロン混合物)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、熱硬化性または熱可塑性樹脂とのカーボンまたはガラス繊維プリプレグ、およびEVA、プラステゾートまたはポリウレタンからの剛性発泡体のような様々な材料で構成されてもよい。他の変形例では、近位および遠位シェルは、アイスランド、レイクジャビックのオッサー(Ossur)hfに譲渡された米国特許第6,592,539号(これは参照によりここに組み入れられる)に記載の矯正スリーブと同様に構成されてもよい。
【0085】
シェルの有孔構造によれば、シェルは膝支持装置に使用されるほとんどのフレーム部材より大きく寸法決めされることができる。その結果、押しストラップにより脚部に及ぼされる圧力は、脚部のまわりにより均等に分布されることができる。
【0086】
図24ないし図27は、膝支持装置の前記実施の形態のシェルが公知の膝支持装置におけるシェル以上に如何に有利であるかを概略的に示している。図24は、従来のシェル39の中間点から延びている押しストラップの方向に対応する仮想の水平方向の力Faを示している。この構成では、力Faからの圧力が、シェル39を横切って且つ脚部13を横切って均等に分布されている。図25は、シェル39の遠位部分から延びている仮想の水平方向の力Fbを示している。この構成では、力Fbは、シェルの底部のところでシェルの頂部のところより大きい圧力を脚部13を横切って及ぼす。
【0087】
図26および図27は、押しストラップにより近位シェルに及ぼされる実際の力をより適切に例示している。図26は、
支持装置の重量と、シェルが脚部に着けられていることに起因した熱の発生とを最小にするために、小さいサイズを有する従来技術におけるシェル39を示している。シェルが小さいので、押しストラップは、シェルの中心部分に取着されており、斜めの力Fcが、脚部13を横切ってシェルの下部分に上部分におけるよりも大きい圧力を生じる。
【0088】
図27は、シェル40を示しており、この場合、より大きいシェルを設けることができるので、押しストラップは、シェルの上部分に設けられることができる。この結果、力Fcよりもシェルの大きい部分に対応する斜めの力Fdが生じ、それにより、力Fdからの圧力をシェルにわたって且つ脚部13を横切ってより均等に分布する。押しストラップをシェルの中間部分の上方に設置することによりシェルにわたる圧力の良好な分布を得ることができる。
【0089】
公知の従来の膝支持装置では、押しストラップが近位および遠位フレーム部材の両方において同じ位置に位置されていない場合、フレーム部材の回転が起こることがあると言うことがわかった。これらのフレーム部材は、前述の膝支持装置の実施の形態によるシェルより著しく小さい傾向があるので、これらのフレーム部材は、しばしば、互いにより近く、且つ膝に近接して位置される。
【0090】
前述の実施の形態のシェルの特定の利点が、下記の例において論述されている。これらの例では、10Nの力で引っ張られる押しストラップが設けられ、膝の幅または距離xが同じであると仮定する。第1の場合、シェル相互間の距離として定められる距離Yは6ユニットである。距離Yを8ユニットまで移動させることにより、梃子アームに因るより大きいモーメントがシェルの距離により形成される。距離Yの増大に因り、押しストラップにより生じられる垂直方向の力は、押しストラップの角度の変化の結果、増大される。その結果、シェルは、互いに向けてより強く押される。他方、膝に加えられるより大きいモーメントがあっても、水平方向に膝に作用する圧力が減少されるように、水平方向の力が減少される。
【0091】
シェルが、互いに近づく方向に、例えば、距離で6ユニットまで戻る方向に移動されるなら、モーメントが減少され、それでも、膝に作用するより多い水平方向の圧力が存在するということになる。しかも、押しストラップにより及ぼされる力は、シェルが8ユニットだけ離されているときに生じられるのと同じ量のモーメントを達成するために、増大されなければならなく、その結果、膝のまわりに更に多い水平方向の力が生じる。二重押しストラップの構成を設けることにより、二重押しストラップが2つの圧力箇所をなし、2つのストラップが膝に負荷を生じることは容易に明らかである。従って、この膝支持装置は、膝を無負荷化すると、より快適である。何故なら、より大きい圧力部分があるからである。
【0092】
圧力分布に関するシェルの利点に加えて、シェルは、公知のフレーム部材におけるよりも脚部の大きい部分にわたって延びるように構成されることができる。例えば、従来の支持装置は、脚部のまわりに最小に延びる小さいフレーム部材を有しており、これらのフレーム部材は、押しストラップが膝を無負荷化しているときに膝のまわりに回転する傾向を有している。この結果、最小の頚骨の過伸展および靭帯の制御が生じる。
【0093】
v.スリーブ
図28および図29は、スリーブ12の具体例と、近位および遠位ポケット84、86を間に形成するスペーサ要素46、48とを示している。ポケット84、86は、近位および遠位開口部74、76を有している。これらの開口部74、76は、フック/ループ留め具、ジッパー、ボタンおよび他の適当な手段のような閉鎖手段で閉鎖可能であってもよい。開口部74、76は、シェル40、42をそれらの夫々の形状にぴったり一致するような形状になっているポケット84、86に挿入し得るように構成されている。更に、スリーブ12は、シェル40、42の近位および遠位アイレット62、63に対応する近位および遠位アイレット78、79を規定している。
【0094】
図28および図29の実施の形態の変形例では、スリーブはそれ自身内にポケットを有しており、シェルは、これらのポケットに挿入可能であり、これらのポケットは、熟練技師にとって利用可能であるフック/スープ留め具、縫い合せ、リベットおよび他の公知の手段のような適当な留め具特徴で閉鎖可能である。スペーサ要素は、形状および位置がシェルに対応するスリーブの後部分に取着されている。
【0095】
他の変形例では、スリーブおよびスペーサ要素は、ポケットが近位部分の下側および遠位部分の上側に形成するように互いに取着されてもよい。この変形例によれば、シェルは、スペーサおよびスリーブがシェルを効果的に覆い、それでもシェルがスリーブおよびスペーサから容易に取外されるように、ポケットに挿入されてもよい。これによっても、シェルは、これらが互いにまだ連結されている間、ポケットの中へ摺動することができる。
【0096】
更に他の変形例では、シェルは、適当な留め具特徴でスリーブの後側部分に永久的に或は取外し可能に取着されてもよい。更に他の変形例では、支持装置は、スリーブが設けられなくてもよく、単に図11に示される構造を有しており、この場合、スペーサ要素は、適当な留め具特徴によりシェルに取着されている。シェルを連結するのに、ヒンジが使用されてもよく、或は支持装置にスリーブが設けられていない場合、シェルが互いに向けて引き寄せられるのを防ぐために、他の適当な連結要素が使用されてもよい。
【0097】
スリーブの更に他の変形例では、このスリーブは、互いに別体である近位および遠位部分を備えている。この変形例によれば、近位および遠位部分は、シェルを保持するために前述のポケットを有してもよいし、或は、変更例において、シェルは、スリーブ部分の表面に取着されてもよい。この変更例によれば、スリーブ部分は、支持装置の横側部分または中央側部分のうちの一方に位置されたヒンジにより、或はここに記載の他の連結要素で連結されてもよい。
【0098】
スリーブの他の変形例が図30に示されており、この場合、スリーブ242は、フレーム要素を包囲するように構成されており、これらのフレーム要素から取外し可能である。この変形例によれば、スリーブ242は、近位および遠位部材の外面に概ね一致しており、そして好ましくは、膝支持装置の前述の特徴の外面を包囲している。スリーブ242は、膝前部に概ね対応する開口部244を有している。この開口部は、膝キャップへの接近をもたらし、そして膝の曲げを受けるスリーブの部分に位置されている。
【0099】
開口部244を包囲しているのは、歩行中、スリーブ242の屈曲を容易にする第1の面取り部分246である。また、スリーブ242には、近位および遠位縁部に沿って配置された第2の面取り部分248が設けられている。第1および第2の面取り部分246、248は、衣類に引っ掛かることがあるいずれの鋭いまたは鈍い縁部を支持装置から除いており、かくして、支持装置の上に衣類を着るのを容易にするように設けられている。
【0100】
スリーブ242は、様々な方法で膝支持装置の基本的特徴に付設されてもよい。ここに示される変形例によれば、スリーブ242は、基本的特徴を取囲むソケットの形態をとっている。また、スリーブ242は、近位および遠位シェルが挿入されてもよいポケットと、スリーブの外面に設けられてスペーサ要素を取着するための手段とを有してもよい。スリーブは、基本的特徴にかぶせるためのロール巻き状態から広げられてもよく、そしてスリーブの弾性により、或は変更例として、フック/ループ留め具または他の適当な手段により基本的特徴に取着される。
【0101】
スリーブ242は、その近位部分の一方の側に沿って位置されるジッパー290を有してもよい。図31に示されるように、ジッパー290は、近位シェル293および押しストラップ294に取着された締付け機構295への接近手段292を設けている。この特定の変形例によれば、締付け機構295をスリーブ242の下に隠すことができるが、それでも、締付け機構を調整するための容易な接近を許容する。しかも、この変形例は、脚部が接触することがある衣類または任意の他の物体に締付け機構が引っ掛かるのを防ぎ、更に、より外見上良好な支持装置をもたらす。スリーブの近位部分は、同様なジッパーおよび遠位シェルへの接近手段を有することができる、
スリーブは、スパンデックス、ライクラ、ナイロン、ポリエステル、OUTLAST、COOLMAX、AEROSPACER、マイクロファイバー、3次元織物および他の適当な織物を含めて、織物で構成されてもよい。スリーブには、殺菌剤、香料および湿分吸上げ剤のような種々の処理剤が混入されてもよい。
【0102】
スリーブの更に他の変形例では、スリーブは、米国特許第6,592,539号における矯正スリーブとして構成されてもよく、この場合、スリーブを形成するために弾性化布が使用されており、この弾性化布は、その長さ方向および幅方向に異なる弾性堅さを示す異なる部分に配置されている。すなわち、布は、1つの方向において、この1つの方向と直交する方向におけるよりも、本質的に堅い。
【0103】
vi.スペーサ
図11および図29に示されるように、支持装置10は、シェル40、42と同様な構成で輪郭決めされている近位および遠位スペーサ要素46、48を有している。これらのスペーサ要素46、48は、空気の自由な流通を許容することにより通気性があるように構成されている。また、これらのスペーサ要素は、好ましくは、少なくともその一方の側に摩擦特徴を有している。
【0104】
スペーサ要素は、フック/ループ留め具装置のような取外し可能な手段を介してスリーブに連結されてもよいし、或は変更例として、縫い合せ、接着剤または他の同様な適当な留め具特徴を介してスリーブに取着されてもよい。スペーサ要素は、膝の運動に干渉しないようになっているが、これらのスペーサ要素は、押しストラップにより生じられる垂直方向の力によりシェルを膝に保持するのに十分な摩擦力を与えるようになっている。
【0105】
この実施の形態によれば、スペーサ要素46、48は、スリーブ12の後側部分に取着されている。スペーサ要素46、48は、通気性を有する部分88を有している。変形例によれば、通気性を有する部分は、スペーサ要素46、48を横切って規定された開口部のパターンよりなる。変更例として、通気性を有する部分は、通気性の布よりなってもよいし、スペーサの通気性を更に高めるために孔のパターンと組み合わされてもよい。しかも、スペーサ要素は、クッション作用をもたらし、更に支持装置が着用されたときに少なくとも部分的に圧縮する材料から構成されてもよい。
【0106】
図32に示されるように、スペーサ要素46、48は、好ましくは、それらのボディを形成する基質材料90の少なくとも後面に被覆されている摩擦特徴92を有している。この摩擦特徴92は、皮膚または衣類に対する高い摩擦係数を有している。しかも、摩擦特徴92は、各スペーサ要素46、48の通気性を有する部分を閉塞しなく、スペーサ要素を通る空気の移送を許容する。
【0107】
この実施の形態によれば、スペーサ要素は、空気の通過を可能にするメッシュまたはコア部分を有しており、それでも、張り状態にされたとき、適切なクッション作用および脚部に対する取着をもたらすために圧縮可能である。また、スペーサ要素は、コア部分を保護し且つスペーサ要素の耐久性を高めるために設けられる補強された縁部を有している。
【0108】
他の変形例では、図60に示されるように、スペーサ要素は、シェルに直接連結されてもよい。もちろん、かかるスペーサ要素は、それらの構造を害するシェルから取外されたり、再付設されたりし得るように構成されてもよい。スペーサ要素をシェルに取付けるために、フック/ループ装置のような留め具が使用されてもよい。
【0109】
スペーサ要素を形成するために使用されてもよい好適な基質材料としては、発泡体、ネオプレンおよび織物がある。多くの材料がスペーサ要素として使用されてもよいが、これらの材料が、十分な通気性、絶縁、圧縮、耐久性および復元を与えるメッシュにより覆われた3次元ニット構造を有することが望ましい。模範的な材料が、製品ナンバーSHR701、SHR714またはSHR754Fとしてゲーリングテキステイルにより製造されている。
【0110】
この実施の形態によれば、スペーサ要素の後面は、硬化シリコーンエラストマー材料92の連続した離散層よりなる摩擦特徴で被覆されている。このシリコーンエラストマー材料は、好ましくは、使用者にとって快適であるように十分に厚く且つ柔らかであり、それでも、近位および遠位部材と支持装置10の使用者の皮膚または衣類との間にシールをもたらす。シリコーン被膜は、好ましくは、スペーサの基質を形成するために3次元の布が使用される場合、この3次元の布のメッシュ表面の孔に対応する孔を有している。変形例では、シリコーン被膜は、スペーサの基質の表面に蒸着される複数の斑点よりなってもよい。
【0111】
シリコーン材料は、香料、抗炎症剤、殺菌剤および着色剤と混合されてもよい。しかも、シリコーン材料は、アロエベラまたはバセリンのような皮膚なじみ剤を有してもよい。シリコーンに対する添加剤のより完全な説明が、オッサー(Ossur)hfに譲渡された米国特許第6,485,776号(これは参照によりここに組み入れられる)で見られる。
【0112】
シリコーンエラストマーは、好ましくは、25ないし70のショアー硬度、230lbs/インチの最小の引張強さ、8psiの100%モジュラス、61psiの500%モジュラス、49lbs/インチの最小引裂強さ、500lbs/インチの最大強さ、および約1000%の伸び率を有している。
【0113】
シリコーンエラストマー被膜は、周方向および長さ方向の両方において一様な厚さで配置されてもよいし、或いは脚部、突出部、外形などの色々な形状に順応するように変化する厚さを有してもよい。また、被膜は、人間の脚部における近位および遠位部材の装着から生じることがある局部的な圧力から特定の逃げ部を有するように構成されてもよい。
【0114】
スペーサ要素は、好ましくは、それらの後面にだけ被覆されているが、スペーサ要素の前面が、スリーブと摩擦的に結合するように同様に被覆されてもよい。変更例では、摩擦要素は、弾性化布の諸部分で構成され、そして米国特許第6,592,539号に記載されている種類のシリコーンで被覆されてもよい。
【0115】
支持装置の変形例では、この支持装置は、スペーサ要素を有しておらず、その代わり、使用者への取付けのために近位および遠位部材ストラップに頼っている。他の変形例では、スペーサ要素は、シリコーンで被覆されていない。これらのスペーサ要素は、近位および遠位部材と支持装置の使用者に脚部との間の圧縮緩衝材を設けている。更に他の変形例では、基質は、優れた摩擦特性を有する織物よりなってもよく、その結果、織物の圧縮だけが、脚部に装着されたとき、支持装置の回転を防ぐのに十分である。
【0116】
更に他の変形例では、スペーサ要素は、シリコーンが含浸されている織物よりなるシリコーンメッシュを備えてもよい。このシリコーンメッシュは、空気の通過を許容する孔のパターンを規定している。更に他の変形例では、スペーサ要素は、孔のパターンと、スリーブと、フレーム部材と脚部との間の緩衝材として役立つのに十分な厚さとを有するシリコーンシートよりなっている。
【0117】
vii.締付け装置
支持装置の他の構成要素に移ると、支持装置は、押しストラップ18、20の張りを調整するために設けられる締付け装置22、23を有している。図33は、押しストラップ18、20に連結されたケーブル102の締付けおよび解放を許容するラチェット装置98としての締付け装置の1つの具体例を概略的に示している。押しストラップ20の端部が、ケーブル102に固定されているリング100に取着されている。締付け装置32は、コード30に張りを漸増的に与えたり、或は解放したりするように構成されている。
【0118】
この実施の形態によれば、ケーブル102と、リング100と、押しストラップ20の端部とが、スリーブ12内に収容されている。別の実施の形態では、ケーブル、リングおよび押しストラップは、少なくとも部分的に或は完全にスリーブの外側にあってもよいことが理解されるであろう。
【0119】
図34は、ケーブル102およびリング104に連結されたラチェット組立体98の具体例を示している。この具体例では、ケーブル102は、開口部116を通ってラチェットボディ106から出ており、そして一端のところでリング104に規定されたシートに取着している。ラチェット組立体98は、ボディ106に規定された印110に割送りされる回転可能な取っ手108を有している。ボタン112が、スロット114内で摺動可能であって、ラチェット組立体の解放を許容する。この実施の形態によれば、取っ手108は、ケーブル102がラチェット組立体98から巻き出されるにつれて回転する。
【0120】
取っ手108は、機械的梃子作用をもたらし、且つ独立した使用者の実行性および調整可能な安全性をもたらす。印110により、使用者は、取っ手108の回転程度を測定したり、制御したりすることができ、かくして押しストラップにより膝に加えられた力の程度を定めることができる。取っ手108は、これが使用されていないとき、ラチェット組立体98を低輪郭の構成に設置するように回動可能である。
【0121】
ラチェット組立体98の内部機構が図35に示されている。この実施の形態では、ハウジング106は、複数の歯を有するラチェットホイール126と、スプール127とを収容しており、これらのラチェットホイール126およびスプール127は軸128上で共に回転するように設けられている。軸124には、爪118が設けられており、この爪118は、軸124から伸びている第1および第2の部分120、122を有している。第1の部分120は、ボタン112につながっており、第2の部分122は、第1の部分120に対して斜めに延びていて、ラチェットホイール126の歯に係合している。
【0122】
図36は、膝支持装置に使用されてもよい締付け装置の他の具体例を示している。この具体例によれば、ラダーストラップ130は、ストラップ20の端部に取着するバックル138を有している。シェル40には、レバー136が回動可能に取着されており、このレバー136は、ラダーストラップ130の多くの溝134のうちの1つに係合する。これらの溝134には、ストラップ20を膝に締付ける程度に相関関係する印が設けられてもよい。
【0123】
好ましくは、レバー136は、ラダーストラップ130に向けて付勢されている。レバー136の第1の端部が、ラダーストラップ130の溝134のうちの1つの係合し、ラダーストラップ130をシェル40に対して移動しないように取着する。もちろん、第1の端部と反対の第2の端部に押付けられると、レバー136は、溝134のうちの1つから外され、従って、ラダーストラップ130は、レバー136に対して調整されることができる。
【0124】
この実施の形態では、ラダーストラップ130は、ストラップ20との連結部と反対の端部に形成されたリングの形態の把持要素132を有している。図7および図8に良好に例示されているように、把持要素132は、支持装置の使用者にとっての接近をもたらすようにスリーブ12から外方に延びるようになっている。しかも、ラッチ136が、ラダーストラップ130の調節を容易にし、且つラッチが136がどの溝134に係合するかについての指示を許容するように、スリーブ12から外方に延びてもよい。
【0125】
ラダーストラップは、好ましくは、弾性材料から形成され、そして支持装置の着用者の脚部に概ね対応する湾曲を有するように撓んでもよい。把持要素は、リングに限定されなく、装置の使用者にとっての容易な取扱いを許容する様々な構成で形成されてもよく、或はこのような構成よりなってもよい。ラダーストラップの溝は、概ね楕円形の形状を有するものとして示されているが、鋸歯、矩形の歯、および対称的に三角形の歯のような他の形状または構成が可能であることはわかるであろう。
【0126】
1つの変形例によれば、ラッチは、ラダーストラップの溝のうちの1つの確実に係合するラッチの能力を改良するために、ラダーストラップの溝に向かう付勢で配向された突出前端部を有している。この突出前端部は、好ましくは、ラダーストラップの溝の各々に係合するように寸法決めされ且つ構成されている。
【0127】
ラッチボディは、レバーの前端部がラダーストラップの溝に係合する係合位置と、レバーの前端部が溝上で摺動可能である戻り位置との間で回動可能であってもよい。係合位置では、ラッチの前端部の突出部分は、ラダーストラップ用の爪として機能する。前端部の突出部分を係合位に向けて付勢するために、捩りばねのような内部付勢機構が使用されてもよい。レバーは、必要とされる材料の量を減少させることによってレバーを軽くするだけではなく、レバーの下の領域への接近をもたらす切欠きである部分を有してもよい。
【0128】
図36の締付け装置の変形例によれば、図37ないし図40は、ラダーストラップ従順機構500を示している。この機構では、ラッチ504は、ラダーストラップ502に向けて弾性的に付勢されている。
【0129】
ラッチ504は、基部506に位置される下側マウント514に取着されている上側マウント512の一部を構成する対向されたアーム522を規定している。これらのアーム522は、後端部526が押し下げられてラッチ504の前端部524に位置された戻り止め516をストラップ502の歯510から外す場合に、捩りに耐えるのに十分に従順性である。
【0130】
ラダーストラップ502は、前端部に規定された把持要素508と、押しストラップの漸増的な調整を許容する複数の歯510とを規定している。また、ストラップ502は、幅がフレアー状になっている後端部520を規定している。ラッチ504は、これが把持要素508と後端部520との間にあるように、ストラップ502に対して位置されている。これは、後端部520がラッチ504を通過することを防ぎ、且つ把持要素508が戻り止め516から引出される最大距離を設定するようになっている。
【0131】
基部506は、ラッチ504を取付けるために設けられており、そのために、ストラップ502は、基部上で摺動する。基部506は、膝支持装置のシェルへの取付けのための孔518を有している。
【0132】
締付け装置500は、プラスチック、金属および複合体を含めて、様々な可撓性で弾性の材料から構成されてもよい。しかも、ストラップ502、ラッチ504および基部506は、異なる材料から構成されてもよい。
【0133】
図37ないし図40による基部506の変形例において、図41ないし図43は、基部506の特徴に対して追加の特徴を有する他の基部528を示している。この変形例によれば、基部528には、アーム530が一体に形成されており、これらのアームは、ラッチ529に一体に形成されている。図37ないし図40の実施の形態と同様に、ラッチ529は、基部528に向けて弾性的に付勢されており、そして戻り止め516を有している。
【0134】
基部528は、アーム530から基部528の縁部に沿って延びているガード部分534を有している。これらのガード部分は、ラダーストラップが戻り止め516に対して変位するのを防ぐように作用する。
【0135】
ラッチ529は、基部528に対するラダーストラップの相対位置を示す用量計を有している。また、ラッチ529は、そこから突出する解放ボタンを示す印537を有してもよい。
【0136】
基部528の周囲には、従順な縁部531が設けられている。従順な縁部を構成する方法を支持する方法としては、米国特許第5,445,602号、第5,713,837号および第6,024,712号(これらは参照によりここに組み入れられる)に記載のものがある。従順な縁部は、基部528の縁部の衝撃が支持装置の着用者に対して減少されるように、支持装置の着用者の解剖学的構造に対する一致をもたらす。
【0137】
従順な縁部は、基部528より比較的薄く、基部を形成する材料より実質的に可撓性である。従順な縁部は、単一の工程でプラスチックまたは他の可撓性材料で成形されることによって、基部に形成され、そして互いに取着される。また、先に指摘したように、従順な縁部または縁部部分が、膝支持装置のシェルに形成されてもよく、この従順な縁部または縁部部分は、シェルの縁部を膝支持装置の着用者の解剖学的構造に一致させるためにシェルの周囲に設けられている。
【0138】
図41ないし図43による基部の具体例は、また、シェルへの取着のために(図42に示されるように)ノブを受入れるように配置された穴533の配列を有している。これらの穴533の各々は、ノブに摩擦的に取着するリム535を有している。この穴の配列により、ノブをこれらの穴のうちの1つに入れてシェルとラッチ529との連結距離を効果的に長くしたり短くしたりすることができる。
【0139】
図44は、ラダーストラップ539の他の具体例と組付けられた基部528を示している。この組立体では、ノブ538は、穴533のうちの1つの中に取着される。ラダーストラップ539は、その歯541を確認するための複数の印542を有している。また、ラダーストラップ539は、把持要素545と反対の端部に位置された複数の孔543を有している。これらの複数の孔543は、押しストラップを取着するねじ部、リベットまたは他の留め手段を支持するように配置されている。
【0140】
図45は、図22の近位シェルに取着された図44のラチェット組立体を示している。この実施の形態では、ノブ538は、スロット444のリム445に取着されている。スロット444におけるノブ538の取着により、従って、フレーム422により、ラチェット組立体の基部528に係合しているラダーストラップ539に連結されている押しストラップ546の締付けを可能にしている。図示のように、基部528は、ノブ538がスロット444を通って突出し、リム445に取着することができるように、フレーム422の下に延びている。
【0141】
図46ないし図48は、図44にラチェット組立体についての幾つかの特徴を共有しているラチェット組立体を例示しており、更に、ラダーストラップ539を基部528の近くに維持するための取付け装置を有している。この例では、取付け装置は、ラダーストラップ539が基部528に沿って長さ方向に形成されたスロット576を通って延びるピン572を形成するようなピン/スロット装置よりなる。ピン572は、スロット576より大きく寸法決めされているフランジ付き部分を有しており、そしてスロットの前端部に配置された開口部578を通って嵌合するようになっている。
【0142】
また、ラダーストラップ539は、押しストラップへの取付けのための適当な孔582を持つ上昇部分574を有している。この構成は、力を整合させてより大きい安定性をもたらすように、ストラップがラダーストラップ539の歯541と概ね平行に設けられると言う点で有利である。
【0143】
取付け装置は、特に、ラダーストラップ539が基部528に極めて近接したままであり、基部のラチェット留めを容易にするようにするために設けられている。これは、ラダーストラップが成形されない場合、基部が患者の脚部に一致するように注文成形される場合に特に有利である。もちろん、この具体例は、単に取付け装置の代表例であり。ラダーストラップを基部に対して、従って膝支持装置の着用者の脚部に対して効果的に安定化するために、他の取付け装置が使用されてもよい。
【0144】
図49は、本願の膝支持装置に使用されてもよい締付け装置の他の変形例を示している。この具体例によれば、押しストラップ20は、スリーブ12の外側或はフレーム部材に上に設けられており、押しストラップは、ラダーストラップ142に連結されている端部のところでブラケット146に取着されている。ラダーストラップ142は、複数の横方向の歯または突出部144を規定している。スリーブ12またはフレーム部材には、ラッチ140が、図36の具体例と同様な方法で取付けられており、このラッチ140は歯144に係合している。この具体例は、ストラップがスリーブに対して締付けられる各位置のための印を示していないが、歯は、短くされてもよく、そしてラダーストラップ142の幅より小さい幅を有している。印が、ラダーストラップの各歯に沿って設けられてもよい。
【0145】
更に他の変形例によれば、ループ材が、ストラップに取着されており、フック材が、対応するシェルに取着されている。変更例として、複数のリングが、シェルに設けられており、押しストラップは、これらのリングを通っている。押しストラップは、互いに対応していて、押しストラップを適所に維持するフックおよびループ部分を有している。
【0146】
膝支持装置の異なる実施の形態に使用されてもよい締付け装置の商業的な例としては、スチームスプリングのBOAテクノロジー社のBOAレーシング装置があり、或は製品番号1’’メカニカルクローシャーシステム(部品番号RB502&LS118-WB)としてウイノスキー、VTのM2社により販売されているラダーストラップとの組合せのラチェット留めバックルがある。
【0147】
締付け装置に関する具体例のいずれかにおいて、締付け装置は、漸増式であってもなくてもいずれにせよ、押しストラップの精密調整を行い、そして押しストラップの引張り応力に耐えるのに十分な頑丈な構成を有することが意図されている。フック/ループ留め具装置、バックル、ストラップ、コードおよびラチェットの異なる構成が、押しストラップの簡単な調整および効果的な調整を行うように締付け装置に使用されるものと明らかに想像される。
【0148】
viii.ストラップ取付け部材
ストラップ取付け部材560の具体例が、図50ないし図52に示されている。この具体例によれば、部材560は、概ね三角形のボディ562を有しており、このボディ562の第1の端部には、ノブ564が形成されている。このノブ564は、フレーム部材のスロットのうちの1つ、例えば、図22のスロット446にノブ564を取着し易くするテーパー状の頭部分572を有している。
【0149】
ボディ562の第2端部と第3端部との間には、複数の孔566が規定されている。これらの孔566の各々は、ノブ564を有するボディ562の側から始まって好ましくはボディ562の反対側までのテーパー状の部分568を有している。このテーパー状の部分568は、ストラップを部材560に取着するために使用可能な縫い合せ、リベット、ピンまたは他の適当な手段により圧力がボディに及ぼされ易くしている。
【0150】
図7および図8における支持装置に戻ると、この支持装置は、安定ストラップ28,30を連結するバックル組立体32、33を有している。これらのバックル組立体32、33は、一般に、スリーブから大きく突出しないように低い輪郭を有するのが好適である。しかも、バックル組立体は、解剖学的に位置する形状を有し、且つ安定ストラップ脚部にしっかり取着するのに十分な梃子作用をもたらしながら、使用が比較的簡単であるべきである。
【0151】
ix.バックル組立体
図53ないし図55に示されるバックル組立体の具体例では、安定ストラップ28、30をシェル40、42に対して適所に係止する低い輪郭のバックル組立体がもうけられている。この具体例は、ストラップ20に取着し、且つレバーボディ154に摺動可能に係合する前端部152を有するアーム150につながるブラケット148を有している。アーム150は、レバー要素154により規定された隙間160を通って延びており、そして突出要素158を有しており、これらの突出要素158は、レバーボディ154の縁部と係合してレバーボディ154の後端部164から延びている隙間160を規定している。レバーボディ154の構成およびこれとアームとの関係の結果、アーム150は、レバーボディ154に摺動可能に連結される。
【0152】
レバーボディ154の後端部164には、基部要素156が回動可能に連結されている。この基部要素156は、アーム150の突出要素158を受入れるように構成されている受入れ穴162と、シェル40、42のうちの一方に取着するための係止特徴158とを有している。この具体例によれば、係止特徴は、頭部分168を有するボタンボディであり、頭部分168は、ボタンボディの残部より大きい直径を有している。頭部分168は、シェル40、42に規定されたアイレット62のシート部分64より大きい直径を有することが意図されている。
【0153】
レバー要素154は、図53に示される係合解除位置と、図55に示される係合位置との間で回動可能である。図54は、係合解除位置と係合位置との間の中間位置を示している。係合位置では、レバー要素154の前端部166は、基部要素156の表面170に寄せられ、アーム150は、突出要素158が基部要素156の受入れ穴162と係合された状態で表面170に静止している。
【0154】
好ましくは、突出要素158は、受入れ穴162に弾性的に押し入れられる。係合解除位置では、レバーボディ154は、基部要素の表面170から離れる方向に回動され、突出要素158は、受入れ穴162から取出される。アーム150は、レバーボディ154の前端部166と後端部164との間に位置されてもよく、ピン(図示せず)が、連結部に位置されてもよい。
【0155】
ブラケット148は、ストラップ20が通るためのリング172を有している。この具体例では、ストラップ20は、その端部分174をその受入れ部分176に取着させるフック/ループ装置を有している。使用者が、バックル組立体を取着する前にフック/ループ装置を使用してストラップの近似的な所望の長さを設定し得る。次いで、膝支持装置を脚部にしっかり設置して取着するように、バックル組立体が係合位置に設置される。
【0156】
バックル組立体は、これが支持装置の着用者の脚部に一致するような湾曲輪郭を有している。これにより、流線形のバックル組立体をもたらし、更にバックル組立体が衣類に絡まったり、或は支持装置の着用者に対する障害物として作用したりすることを防ぐ。
【0157】
図56ないし図58に示されるバックル組立体の他の変形例では、一体化されたバックル/ブラケット組立体188が設けられている。この変形例では、基部要素193およびブラケットボディ191は、互いに一体に連結されており、この結果、部品の量を減少させ、且つシェルに対するブラケットおよびバックルの取付けを簡単化している。
【0158】
ブラケット組立体の他の変形例と同様に、ブラケットボディ191は、ストラップを受入れるために配置された隙間192を有している。組立体188のバックル部分は、これが基部要素189、レバーボディ190、アーム193、突出要素197、および隙間192を有するブラケット191のような共通の特徴を有すると言う点で図53ないし図55の具体例におけるように同様に構成されている。
【0159】
バックル/ブラケット組立体188は、基部要素189およびレバーボディ190の端部分に位置される取着特徴を有している。詳細には、基部要素189は、レバーボディ190から形成されたフック199が取着する凹部198を有している。フック199は、凹部198の中へ延びて基部要素189に押し当たるように付勢されている。また、フック199は、レバーボディ190が基部部分189から離れる方向に押されるときに偏向することができるように弾性である。
【0160】
図59に示されるバックル組立体の更に他の変形例では、締付け部材178が、安定ストラップ179を支持装置181に締付ける。この変形例によれば、ストラップ179の第2の側部分185が、支持装置181の一方の側部分に取着されており、ストラップ179の第1の側部分183が締付け部材178に取着している。締付け部材178は、支持装置181に回動可能に連結されていて、支持装置181の外面187に押し当てられるように配置されている。ストラップ179の第2の側部分185は、締付け部材178から取外し可能であり、そしてフック/ループ留め具装置で締付け部材178と共に取着されてもよい。
【0161】
バックル組立体は、プラスチックまたは強化複合体から構成されてもよい。プラスチック構成は、突出要素が基部要素の受入れ穴を従順的に通るのに十分な弾性をもたらす。しかも、プラスチックバックル組立体は、支持装置の重量を減少させ、そして支持装置の使用者の脚部に対していくらかの従順性を有している。TRIAX系バックル組立体のようなバックル組立体を炭素含有量で補強することが可能である。複合体系のバックル組立体の他の例としては、補強用炭素を有するデルロンまたはナイロン、KEVLARまたはガラス繊維で構成されるバックル組立体がある。
【0162】
バックル組立体が、また、アルミニウムまたはチタン合金のような金属から構成される部品を有してもよいことはわかるであろう。金属部品は、優れた強さを与え、そして十分に軽量であり得る。このような金属系のバックル組立体では、突出要素は、これらを取囲んでいて、基部分の受入れ穴を通して設置されるのに十分な圧縮特性を持つ弾性のO-リングを有する金属構成要素であってもよい。もちろん、このような具体例では、金属突出部品は、好ましくは、受入れ穴の直径より小さい直径を有している。
【0163】
安定ストラップを支持装置に取着するために、前述のバックル組立体の変形例が使用されてもよい。これらの変形例としては、ストラップがリベットでバックル組立体に留められ、リングがバックル組立体と反対のスリーブの側に設けられる具体例がある。ストラップの長さは、ストラップに設けられたフック/ループ装置で簡単に調整されてもよい。
【0164】
前述のバックルおよび締付け装置の変形例では、締付け装置は、シェルに直接連結される代わりにバックルに取着されてもよい。これにより、バックルがストラップの両端部を制御することができる。
【0165】
本発明のバックル組立体で膝支持装置を着けるための1つの方法によれば、この方法は、下記の工程で行われる。まず、1つのストラップが対応するバックル組立体に取付けられ、かくして2つとは対称的に、たった1つの連結を必要とする。次に、初めの取付け中、バックル組立体をシェルに連結し、次いで係止する。着用者の脚部を伸展し、次いで押しストラップをその長さが調整可能であるように調整する。この結果、脚部のサイズが変化しないかぎり、或は或る他の理由で、各着用中に押しストラップの長さを調整する必要性がなくなる。従って、バックル組立体に対応する安定ストラップもまた調整される。量バックル組立体をシェルに連結し、残りの未取着の押しストラップおよび安定ストラップを締付ける。
【0166】
膝の無負荷化は、着用者が膝を曲げることにより屈曲させ、押しストラップを対応する締付け装置で締付けることにより行われる。着用者が膝支持装置を着用し終わると、押しストラップを解放し、バックル組立体を開く。次いで、バックル組立体をシェルから取外し、引き続き、支持装置を取外す。
【0167】
繰る返し使用すると、膝を無負荷化するために締め付け装置による以外、安定ストラップおよび押しストラップを調整する必要がなく、安定ストラップおよび押しストラップのすべてはすでに構成されている。変更例として、着用者は、押しストラップの張りを単に解放し、バックル組立体を外し、そして膝支持装置を脚部から滑り外してもよい。いずれの方法でも、この構成は、膝支持装置を脚部に簡単に着けるのを図っており、且つ膝支持装置の取着および取外しをはかどらせる。
【0168】
x.ヒンジ
膝支持装置の他の特徴では、図60は、前述の実施の形態のうちのいずれかの実施の形態の押しストラップ装置256との組合せでヒンジ252を有する支持装置250を概略的に示している。ヒンジ252は、フレーム部材254相互間に延びており、そして膝の患部と同じ側で押しストラップ装置の交差部258と反対側に位置されている。
【0169】
好ましくは、ヒンジ252は、頸骨の過伸展および前方引張りを制御するための屈曲/伸展止め特徴を有している。ヒンジは、使用者または医師がヒンジの内反/外反角度を調整することができる調整機構を有してもよい。
【0170】
図60の支持装置に使用するためのヒンジ260の1つの変形例が図61に示されている。このヒンジ260は、一般に、軽量であって、概ね低い輪郭を有するように、プラスチックまたは補強複合体から構成されている。ヒンジ260は、フレーム部材254への連結のために設けられている可撓性のブラケット262を有している。近位および遠位アーム264、266の第1の端部が、対応するブラケット262につながっている。これらのアーム264、266の第2の端部が、概ね円形のギア部分272、274を有する頭部268、270を規定している。これらの頭部268、270は、ギア部分272、274が互いに噛み合うように、ハウジング280の軸276、278のまわりに回動可能に設けられている。
【0171】
各頭部268、270には、第1および第2のストッパ構造体282、286が設けられている。第1のストッパ構造体282は、ヒンジ260の前側に位置され、且つ支持装置の前方方向におけるヒンジ260の回転を制限するためにハウジング280の側面284に接触するように配置されている。頭部の第2のストッパ構造体286は、ヒンジのほぼ前側に形成されており、且つ支持装置の後方向における回転を制限するために配置されている。
【0172】
孔288が、頭部268、270が回転するときのストッパ構造体の経路に沿ってハウジング280に設けられてもよい。これらの孔は、ねじまたはピンを受入れるようになっている。ねじまたはピンは、ヒンジの回転を更に制限するために第1および第2のストッパ構造体のうちの一方をブロックするか或はそれに係合するように設けられている。
【0173】
ヒンジの変形例では、図62は、ヒンジ260の構成と異なるアーム構成を有するヒンジ301を示している。この変形例によれば、アーム303、305には、対応する頭部315、317が一体に形成されている。また、アーム303、305の各々は、膝支持装置の遠位および近位シェルの形状に順応するか、或は対応するように輪郭決めされている。
【0174】
図60は、近位および遠位シェル309、311に連結されたヒンジ301を示している。この変形例では、ヒンジ301は、頭部315、317を覆う面板319を有している。アーム303、305は、脚部に概ね順応するように曲げられる。また、アーム303、305は、ピンまたはボタン313を介して夫々のシェルに取着されている。
【0175】
ヒンジ301は、図60におけるシェル309、311に解放可能に取着可能であってもよい。ボタン313は、開口部321に挿入可能であり、且つ図45のフレーム422におけるスロット444と同様であるスロット部分(図示せず)またはここに記載の他のフレームのスロットに係止されるように構成されている。
【0176】
他の変形例によれば、取外し可能なヒンジは、一連の対応するスナップ留め具または他の適当な留め具装置でシェルに取着されてもよい。シェルは、特に、自己刺し式留め具を受入れることができる孔を有するように構成されてもよい。取外し可能なヒンジによれば、着用者は、強い脚部の動きおよびより大きい安定性のためにヒンジを使用することができ、またより普通の使用、より大きい快適性およびより流線形の支持装置のためにヒンジを除去することもできる。
【0177】
ヒンジは、膝関節の安定化および制御のために支持装置の動作および角方向の変位を制御する。好ましくは、ヒンジは、薄い輪郭を有しており、そしてプラスチック、複合材料または金属のような軽量の材料で構成されている。他のヒンジと異なって、このヒンジは、調整機構を有していない。何故なら、押しストラップ256が膝をヒンジに引き当てるやいなや、ヒンジは、その可撓性により膝から離れる方向に偏向するからである。
【0178】
ボーテル、WAのジェネレーションIIUSA、Corp.に現在譲渡されている米国特許第5,277,698号に記載のヒンジ、またはボーテル、WAのジェネレーションIIUSA、Corp.に譲渡されている米国特許出願公報第2004/0002674A1号および第2004/0054311A1号に記載の解剖学的に奇形のヒンジのような他のヒンジの種類が、用いられてもよい。この特許およびこれらの出願公報は参照によりここに組み入れられる。
【0179】
膝の中央側部分および横側部分の両方を安定化するように構成されている膝支持装置330の他の実施の形態が図63に示されており、この実施の形態によれば、押しストラップ332、334は、支持装置330の両側のまわりに延びるように構成されている。これらのストラップ332、334の各々は、ここに記載の前述の変形例のうちのいずれかよりなってもよいフレーム部材336につながっている。
【0180】
この実施の形態では、押しストラップ332、334は、膝の両側に等しい圧力を加えるように設けられている。構成に応じて、一方の押しストラップは、膝の近位の横側部分に沿って延びており、他方の押しストラップは、膝の遠位の中央側部分に沿って延びている。この実施の形態は、膝に与える安定性により靭帯損傷または疾患を治療するために特に有用である。
【0181】
図61および図62と関連して論述された種類のようなヒンジまたは対向されたヒンジ340、342もまた、この実施の形態で膝を更に安定化するために用いられてもよい。
【0182】
xi.別の膝支持装置の実施の形態
図64は、本発明による膝支持装置210の他の実施の形態を示している。この支持装置210は、共に装置210の前側に位置されていて、装置210の横部分と中央部分との間に延びている近位フレーム部材212および遠位フレーム部材214を有している。これらのフレーム部材212、214の両方は、接面用の前面および後面を有している。連結部材216が、これらのフレーム部材212、214を連結している。フレーム部材212、214には、押しストラップ218が連結されており、この押しストラップ218は、フレーム部材212、214相互間に位置された交差領域224で交差する第1および第2ストラップ部分220、222を規定している。
【0183】
交差領域224は、一般に、図7ないし図10の実施の形態における交差領域と同じ領域に規定されている。しかも、フレーム部材212、214に対する押しストラップ218の位置は、図7ないし図10の実施の形態に関連して説明されたものと同様である。
【0184】
第1のストラップ部分220の第1の端部は、近位フレーム部材212に固定されており、そして遠位フレーム部材214に向けて螺旋状になっている。複数のストラップガイド226が、押しストラップ218を遠位部材214の外面に沿って案内し、そして押しストラップ218を近位部材212に向けて再指向させている。第2のストラップ部分222は、遠位部材214から出て、近位部材212に向けて延びながら、第1のストラップ部分220と交差している。
【0185】
第2のストラップ部分222の第2の端部が、コード230に連結されたブラケット228に取着されている。コード230は、近位部材212に取着されたいるここに記載の種類のうちのいずれかの種類の締付け装置232により受けられている。この締付け装置232は、前述の実施の形態と関連して述べられたように、押しストラップ218を漸増的に張り、且つ押しストラップの張りの解放を選択的に許容するように設けられている。第2のストラップ部分222と締付け装置232との間の連結部は、第1のストラップ部分220と第2のストラップ部分222との間の交差領域224のところで好適な配向を得るように所定の方向に配向されている。
【0186】
近位および遠位スペーサ234、236が、フレーム部材212、214にそれぞれ、それらの内面に沿って連結されている。前述のスペーサと同様に、これらのスペーサ234、236は、皮膚または衣類に対する高い摩擦係数を持つ被膜を有している。皮膚または衣類に付けられると、摩擦スペーサ234、236は、皮膚または衣類に対する膝支持装置10の移動を阻止する。
【0187】
近位部材212は、その対向された横側部分と中央側部分との間に取着されて延びている安定ストラップ238を有している。遠位部材214は、同様に、その対向された横側部分と中央側部分との間に取着されて延びている安定ストラップ240を有している。近位および遠位ストラップ238、240は、好ましくは、夫々のフレーム部材212、214の中央側部分および横側部分に連結するためにフック/ループ留め具装置を有している。
【0188】
図64の実施の形態によれば、フレーム部材212、214は、剛性の部材であってもよいし、或は可撓性の部材であってもよい。しかも、フレーム部材212、214は、図18および図19のシェルについて述べられた方法で有孔であってもよいし、或は通気性を有するようにされてもよい。しかしながら、膝支持装置の変形例では、フレーム部材は、押しストラップ218により生じられる膝に対する力に耐えるのに十分に強いが、膝支持装置の使用者に快適性をもたらすのに十分に従順性である軟質の材料で構成されてもよい。
【0189】
連結要素216は、近位および遠位部材212、214の両方に連結しているリングである。連結要素216は、リング状構造体に限定されなく、その代わり、歩行中、膝のキャップにわたって十分な曲がりを与えながら、フレーム部座i212、214を離れて維持するのに十分である適当な構造および強さを有する任意の形状で設けられてもよい。
【0190】
連結要素は、好ましくは、フレーム部座i212、214を離れて維持するのに十分なジュロメーター硬度(すなわち、10)および十分な堅さを有する中間グレードのシリコーンで構成されている。変更例として、連結要素216は、EVAからの堅い発泡体、プラステゾートまたはポリウレタンで構成されてもよい。
【0191】
変形例では、支持装置の中央側部分または横側部分のうちの一方に設けられた少なくとも1つのヒンジが、連結要素の代わりをしてもよいし、或は連結要素との組合せで設けられてもよい。
【0192】
締付け装置232は、押しストラップ218を締付けるために使用される前述の装置のうちの任意の1つを有してもよい。しかも、押しストラップ218および安定ストラップ232は、図7ないし図10の実施の形態と関連して述べられた前述の方法のうちのいずれか1つでシェルに設けられてもよい。
【0193】
xii.追加の特徴
膝支持装置の前述の実施の形態と関連して、追加の特徴が使用されてもよい。
【0194】
1つのこのような特徴としては、膝に及ぼされる力を測定するために押しストラップに連結されるロードセルがある。この特徴によれば、ロードセルが、第1および第2に押しストラップに連結されている。これらのロードセルは、膝に加えられた圧力を監視し、そして圧力読み値を接続部を介して締付け装置に中継する。この実施の形態による締付け装置は、押しストラップを締付けるか或は解放することによって締付け装置を漸増的に調整する駆動モータ(図示せず)を備えている。
【0195】
もちろん、この実施の形態は、2つのロードセルの必要に限定されなく、クロスストラップにより生じられる膝に対する圧力を定めるために、1つまたは多数のロードセルが使用されてもよい。
【0196】
締付け装置のこの特徴は、ストラップの正確な張り調整により特定の使用者を治療することができるので、特に有利である。所定のパラメータは、使用者のための用量必要量の範囲を含む。これらの用量必要量は、使用者が膝の区画的変形性関節症を無負荷化するのに必要とされる力を含む。例えば、1用量が無負荷化の約3Nmに等しい。この例では、最大の無負荷化は、12Nmであり、従って、4用量は、膝の最大の無負荷化を与える。ロードセルは、使用者のための用量必要量を設定することができる矯正医による取付け工程中に使用者用に構成されてもよい。
【0197】
他の変形例では、ロードセルは、膝支持装置および締付け装置と一体化されてもよい。その場合、ロードセルにより得られるデータは、歩行サイクル中、クロスストラップのいける張りを変化させるために締付け装置により使用されることができる。この変形例によれば、特定の時点における歩行の段階を定めるために、加速度計装置が必要とされる。これは、斜面または丘を歩いて登るまたは降りるとき、或は階段を上がるまたは下りるときに特に有用であることができる。何故なら、膝は、かかる歩行段階中、ストラップがよりぴんと引っ張られるように、屈曲状態のときに重量を支えるからである。
【0198】
膝支持装置の実施の形態との組合せで使用されてもよい他の特徴では、押しストラップおよび安定ストラップの追加のクッション作用および取付けをもたらすための膨らまし可能なブラダー装置が使用されてもよい。図示のように、押しストラップには、脚部に緩和を与えるためにポンプに連結された複数のブラダーが設けられている。これらのブラダーは、特に、押しストラップが膝に最大の圧力を加える脚部の近位および遠位位置で押しストラップに位置されている。
【0199】
操作にあたり、押しストラップを僅かな張りで膝に付ける。ブラダーが膨らまされると、押しストラップは、ブラダーの大きさの増大により膝を覆って締まる。ポンプは、ブラダーを膨らましたり、萎ませたりし得る。ポンプは、押しストラップと一体化されてもよいし、或は押しストラップから遠くに位置されてもよい。
【0200】
膝支持装置のクロスストラップとの組合せで使用されてもよいポンプおよびブラダー装置の例が、チコピーMAのディエレクトリックスインダストリーズに譲渡された米国特許第5,022,109号および第6,598,250号(これらは参照によりここに組み入れられる)に記載されている。
【0201】
かくして、本発明による前述の膝支持装置の種々の実施の形態は、痛みを減少させ、治癒工程を速め、且つ膝に改良された安定性を与える製品を提供する。この膝支持装置は、軽量であり、そして種々の年齢層の支持装置の着用者にとって使用が簡単である流線形の輪郭を有している。しかも、膝支持装置は、そのより正確な調整を行うことができ、膝支持装置が構成されるべきである程度に関して医療専門家と使用者との間の効率的な協調を可能にする。患者の快適性もまた高められ、且つ本膝支持装置の新規な特徴で、支持装置の着用および取外しが容易にされる。
【0202】
もちろん、本発明の任意の特定の実施の形態により、必ずではないが、このような目的または利点のすべてが達成され得ることは理解されるであろう。かくして、例えば、当業者は、ここに教示されるか或は提案されるような他の目的または利点を必然的に達成することなしに、ここに教示されたような1つの利点または利点群を達成するか或は最適化する方法で本発明が具体化されるか或は実施され得ることを認めるであろう。
【0203】
熟練技師は、異なる実施の形態からの種々の特徴の交換性を認めるであろう。ここに記載の変形例に加えて、本発明の原理による膝支持装置を構成するために、各特徴についての他の公知の同等な特徴が、この業界における普通の熟練者により組み合わせられることができる。
【0204】
従って、本発明を或る好適な実施の形態および例に関連して開示したが、当業者によれば、本発明が、特定的に開示された実施の形態を超えて、本発明の他の別な実施の形態および/または用途およびその明らかな変更例および同等例まで及ぶことは理解されるであろう。かくして、ここに開示された本発明の範囲は、前述の特定な開示された実施の形態により限定されるべきでないが、請求項を構成に読むことにより定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】従来技術の膝支持装置を使用して脚部に加えられる力の概略図である。
【図2】図1の従来技術の膝支持装置により脚部に加えられた回転力を示す図である。
【図3】前-後、近位-遠位および横方向−中央の平面に沿って分割された膝支持装置の実施の形態の斜視図である。
【図4】横方向−中央および近位−遠位の平面に沿って分割された図3の実施の形態の正面立面図である。
【図5】前-後および近位-遠位の平面に沿って分割された図3の実施の形態の側立面図である。
【図6】前-後および横方向−中央の平面に沿って分割された図3の実施の形態の頂平面図である。
【図7】本発明の膝支持装置の実施の形態の斜視図である。
【図8】図7の実施の形態の正面立面図である。
【図9】図7の実施の形態の中央側立面図である。
【図10】図7の実施の形態の横方向側立面図である。
【図11】スリーブの無い図7の実施の形態の分解図である。
【図12】図7に示される支持装置を使用して脚部に加えられた力の概略図である。
【図13】図7の支持装置により脚部に加えられた回転力を示す図である。
【図14】図7の支持装置において膝の外方に加えられる場合を大まかに示す図である。
【図15】図14の線XV-XVに沿った断面図である。
【図16】押しストラップの変形例の斜視図である。
【図17】安定ストラップの変形例の斜視図である。
【図18】図11の近位シェルの詳細斜視図である。
【図19】図11の遠位シェルの詳細斜視図である。
【図20】図11の破断部XX-XXの詳細斜視図である。
【図21】約180°大まかに回転された図20の詳細斜視図である。
【図22】近位シェルの他の変形例の正面立面図である。
【図23】遠位シェルの他の変形例の正面立面図である。
【図24】従来のフレーム部材および図7における支持装置の近位シェルを横切る圧力分布を示す力の図である。
【図25】従来のフレーム部材および図7における支持装置の近位シェルを横切る圧力分布を示す力の図である。
【図26】従来のフレーム部材および図7における支持装置の近位シェルを横切る圧力分布を示す力の図である。
【図27】従来のフレーム部材および図7における支持装置の近位シェルを横切る圧力分布を示す力の図である。
【図28】図7のスリーブの正面斜視図である。
【図29】図7のスリーブの後面斜視図である。
【図30】膝支持装置用のスリーブの具体例の正面立面図である。
【図31】図30のスリーブの特徴の斜視図である。
【図32】図13の線XXXII-XXXIIに沿った断面図である。
【図33】膝支持装置の実施の形態における締付け装置の変形例の斜視図である。
【図34】図33による締付け装置の平面図である。
【図35】図33による締付け装置の概略平面図である。
【図36】膝支持装置の実施の形態における締付け装置の他の変形例の斜視図である。
【図37】締付け装置の更に他の変形例の斜視図である。
【図38】図37の締付け装置の立面図である。
【図39】図37の締付け装置の後面立面図である。
【図40】図37の締付け装置の正面立面図である。
【図41】図37の締付け装置の基部の変形例の斜視図である。
【図42】図41における基部の頂平面図である。
【図43】図41における基部の立面図である。
【図44】図41における基部を有する締付け装置の他の変形例の斜視図である。
【図45】図22のシェルに取着された図44による締付け装置の斜視図である。
【図46】締付け装置の他の変形例の立面図である。
【図47】図46による締付け装置の頂平面図である。
【図48】図46による締付け装置の底平面図である。
【図49】膝支持装置の実施の形態における締付け装置の他の変形例の斜視図である。
【図50】ストラップ取付け部片の具体例を示す図である。
【図51】ストラップ取付け部片の具体例を示す図である。
【図52】ストラップ取付け部片の具体例を示す図である。
【図53】膝支持装置のバックル組立体の変形例の斜視図である。
【図54】膝支持装置のバックル組立体の変形例の斜視図である。
【図55】膝支持装置のバックル組立体の変形例の斜視図である。
【図56】バックル組立体の他の変形例の頂平面図である。
【図57】図56の底平面図である。
【図58】図56のバックル組立体の斜視図である。
【図59】バックル組立体の他の変形例の斜視図である。
【図60】膝支持装置の他の実施の形態の概略斜視図である。
【図61】膝支持装置用のヒンジの変形例の立面図である。
【図62】ヒンジの他の変形例の立面図である。
【図63】膝支持装置の他の実施の形態の概略斜視図である。
【図64】膝支持装置の他の実施の形態の概略斜視図である。
【背景技術】
【0001】
A.膝支持装置についての背景情報
膝支持装置が、様々な膝疾患を治療するために広く使用されている。このような膝支持装置は、膝関節の一部内の圧縮性の力を除去するために、或は膝のその部分に対する荷重を減少させるために、膝関節を取囲む肢に力または梃子作用を与えるように構成されてもよい。しかも、膝の靭帯が弱く且つ衰えている場合、膝支持装置が、膝を安定化したり、保護したり、支持したり、或は修復したりすることができる。
【0002】
膝は、身体における最も弱い関節のうちの1つと認められており、そして大腿部およびふくらはぎの筋肉群の間の接合関節として役立っている。膝は、主に小さいが強力な靭帯によりつなぎ合わされている。軟骨損傷、靭帯のゆがみおよび他の原因から生じる膝の不安定は、比較的ありふれたことである。何故なら、膝関節は、脚部の使用を必要とするほとんどいずれもの種類の身体の運動の過程中、著しい荷重を受けるからである。
【0003】
健康な膝は、その中央および横方向の区画部の両方に圧力の一様な分布を受ける。健康な膝を有する人が、中央区画部と横方向の区画部との間の圧力が一様でないが、それでも自然であるように立っているときに膝に内反モーメントをかけることは普通である。
【0004】
多くの個人が有しがちである膝の疾患の1つの種類は、区画的変形性関節症である。区画的変形性関節症は、膝の中央および横方向区画部のうちの一方における圧力の一様でない分布がある場合に生じることがある。区画的変形性関節症は、膝の損傷、肥満、ずれにより、或は単に膝の老化に起因して引き起こされてことがある。
【0005】
膝の変形性関節症から生じる主な問題は、膝の内側を覆っている滑らかな軟骨がすり減ることである。これにより、骨端部における嚢胞の成長および衰退に伴って関節空間が狭くなる。間接が狭くなるため、骨は、骨と直接に接触し、圧力の一様でない分布が膝を横切って発生し、その結果、関節のまわりに骨棘が形成することがある。これらの変化のすべては、ついには、関節の漸増の痛みおよび堅さに至る。
【0006】
変形性関節症に対する治癒は無いが、多くの治療法がある。膝の孤立された中央の区画的な変形性関節症の診断を有する個人は、医薬、外科手術および非外科的介入のような様々な治療選択肢と直面される。非外科的介入としては、杖、横方向シューウェッジおよび膝支持装置の使用がある。
【0007】
膝支持装置は、膝関節のまわりの対向する外部の外反または内反モーメントの付与を介して区画部に対する過重を減少させることにより区画部の痛みの除去を行うのに有用である。膝支持装置の無負荷化が、膝の機能を改良しながら、変形性関節症の膝の痛みを著しく減少させるものと示された。
【0008】
B.従来技術の膝支持装置
多くの無負荷化膝支持装置がある。公知の支持装置の例が、英国のコロンビアのジェネレーションIIオルソチックス社に譲渡された米国特許第5,277,698号(これは参照によりここに組み入れられる)に記載されている。代表的には、この種類の支持装置は、2つの機構を介して膝のまわりにモーメントを加えるように設計されている。第1の機構は、ヒンジのところで曲げモーメントを誘発するヒンジ構成要素の角付けによる。第2の機構は、膝のまわりに螺旋状になっていて、膝の指定面に力を加える押しストラップを介して3点曲げ装置によりもたらされる。
【0009】
図1および図2は、米国特許第5,277,698号による脚部および膝関節上の支持装置による力の付与を例示している。矢印B1、B2は、横方向の押しストラップの力を示している。横方向の力に起因した脚部におけるその結果生じたモーメントは、矢印Y1、Y2により示されている。主な力Aは、変形性関節症がある膝の区画部にすぐ隣接して加えられた力である。図2は、膝の通常の回転軸線としてRを示している。合成モーメントYRは、単一の回転モーメントである。
【0010】
押しストラップの張りが増大されると、ヒンジの外反を減少させるモーメントが減少することがわかった。従って、押しストラップおよびヒンジは、調和して適切に作用しないことがわかる。より詳細には、ヒンジが、この支持装置における全外反の約20%を生じることが見出された。ヒンジが膝の近くで整合されるので、ストラップが、膝をヒンジに押し当てるものと思われる。しかも、この種類のヒンジの剛性が、膝に対するヒンジの変位を制限する。
【0011】
ヒンジを有する従来の支持装置では、ヒンジに向かう膝の動きを考慮して、ヒンジと膝との間には、隙間が設けられる。この結果、膝から離れる方向に少なくとも2.54cm(1インチ)延び得る大きなヒンジが必要とされるので、支持装置が嵩張る。
【0012】
普通のストラップの張りから得られるより大きい膝の無負荷化が支持装置により必要とされるなら、また押しストラップが更に締付けられるなら、膝は、ヒンジに引き寄せられ、そしてヒンジに当たるかもしれないと言うことがわかった。この結果、ヒンジは、押しストラップにより加えられる圧力に対抗する力を膝に与える。また、押しストラップの追加の締付けは、ヒンジから膝に及ぼされる力により軽減されるか、或は取り消される。
【0013】
例えば、押しストラップを有する従来のひざ支持装置を着用する患者について、研究が行われた。普通のストラップの張りでは、押しストラップの構成要素は、膝の5.8Nmを無負荷化し、ヒンジは、約2.2Nmを無負荷化した。押しストラップの張りを増大することにより、押しストラップの無負荷化は、11.6Nmとなったが、ヒンジは、これが膝に押し当てられたので、−2.4Nmの無負荷化を生じた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
下記の論述においてより十分に明らかになるように、ここに記載の実施の形態は、公知の膝支持装置におけるヒンジの軽減作用を除去しながら、膝支持装置の最大の無負荷化をもたらす構成を有することにより従来技術の無負荷化支持装置の欠陥を解消するために提供される。しかも、本発明の実施の形態は、区画的な変形性関節症を治療するように構成されており、そして支持装置により招かれる望ましくない回転力を除去し、且つ膝に外反または内反モーメントを発生させるためのより効率的な機構をもたらす改良された機械的特性を有している。
【0015】
公知の膝支持装置は、膝関節における痛みを減少させるか、或は膝関節を安定化することに好首尾であるが、多くの使用者は、これらの支持装置が嵩張っており、着用し難く、構成が複雑であり、且つ着用が不快であることがわかる、これらの理由で、ここに記載の実施の形態は、中央または横方向の区画的な変形性関節症のための苦痛除去、または公知の膝支持装置の付随の欠点なしに膝の機能的安定性をもたらすことな可能な流線形の特徴を有している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施の形態は、中央の区画的または横方向の区画的な変形性関節症の影響を減少するのに役立つ改良された膝支持装置および膝支持方法に向けられている。膝支持装置の実施の形態および膝支持方法の変形例は、回転力を最小にしながら、支持装置をしっかり保持するために区画部の側に力を与えながら、変形性関節症を有する区画部から遠い側で膝に多くの力を加えることによって、区画的な変形性関節症の影響を減少させる。
【0017】
膝支持装置の1つの実施の形態によれば、近位および遠位の通気のあるシェルが、それらに対応するスリーブおよびスペーサ要素により規定されるポケットに挿入されている、第1および第2の押しストラップが、これらのシェルに連結され、そして第1シェルと第2シェルとの間で膝支持装置の通常の軸線の後方に位置される交差点で交差している。各押しストラップが膝支持装置の使用者の脚部に対して張るか、或は押しストラップの張りを解放するために、締付け装置が設けられている。
【0018】
膝支持装置の他の実施の形態では、近位フレーム部材および遠位フレーム部材が、各々、直面する内面および外面を有している。連結要素が、これらのフレーム部材を連接している。フレーム部材には、少なくとも1つの押しストラップが連結されている。この少なくとも1つの押しストラップは、近位フレーム部材と遠位フレーム部材との間の交差点で交差している第1および第2の部分を有している。
【0019】
これらの実施の形態の変形例では、少なくとも1つの押しストラップは、フレーム部材相互間に連結されて螺旋状になっている単一の実質的に非弾性のストラップとして定められている。このストラップは、近位部材に固定された第1の端部を有する第1の部分を規定しており、この第1の部分の材部が遠位部材に連結している。ストラップの第2の部分が、遠位部材に連結されており、その第2の端部が、近位部材に取着している。第1および第2のストラップ部分は、近位部材と遠位部材との間の交差点で交差しており、この交差点は、好ましくは、膝支持装置の普通の軸線の後方に位置されている。
【0020】
更に他の実施の形態によれば、膝支持装置は、近位および遠位部材のうちの少なくとも一方の直面する内面に連結された内面を有する少なくとも1つの通気性のあるスペーサ要素を備えている。この少なくとも1つのスペーサ要素は、内面に対向する外面を規定しており、そして摩擦特徴を有している。
【0021】
このスペーサ要素の1つの変形例では、スペーサ要素および摩擦特徴の両方とも有孔である。この変形例によれば、スペーサ要素は、複数の孔を有し、非有孔部分に沿ってシリコーンが被覆されている表面を有する織物である。これにより、押しストラップにより生じられる回転力に対する抵抗をもたらす非常に通気性のあるスペーサ要素を生じる。しかも、膝支持装置の近位および遠位要素の両方におけるスペーサ要素が、押しストラップにより加えられる力に起因して膝支持装置の近位および遠位部分が互いに近づきあうのを防いでいる。
【0022】
押しストラップおよびスペーサ要素との組合せにおいて、膝に加えられる圧力を増大することなしに、1つの押しストラップでより大きい無負荷化力を達成することができる。これは、2つの押しストラップで2倍になる全無負荷化モーメントに起因しており、2つの圧力点があるので、膝には、同じ圧力量が加えられる。
【0023】
第2の近位および遠位の主な力点が、それぞれ第1の近位および遠位の主な力点の上方および下方の位置で、脚部の第2の側でフレーム部材に取着されたスペーサ要素により発生される。これらのスペーサ要素は、膝支持装置を脚部に維持し、且つフレーム部材を離れて維持する。スペーサ要素は、従来の支持装置に使用されているようなヒンジの必要性を除去し得る。
【0024】
膝支持装置の多くの他の実施の形態およびその構成要素の変形例は、下記の論述でより十分に論述されている。膝支持装置の種々の実施の形態の特徴の結果、膝のより大きい無負荷化をもたらす膝支持装置だけではなく、使用がより簡単であり、且つ従来の膝支持装置より薄い輪郭を有する膝支持装置が生じる。
【0025】
もちろん、他の方法、実施の形態およびそれらの変形例が、下記の論述により詳細に述べられている。
【0026】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、下記の説明、添付の請求項および添付図面に関して良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
A.概説
同様な参照符号が同様な要素を指している添付図面と関連して読まれる下記の説明から本発明の異なる実施の形態のより十分な理解がなされることができる。
【0028】
この開示は、種々の変更例および別の構成に対して受入れ可能であるが、幾つかの例示的な実施の形態が図面に示されており、これらを以下に詳細に説明する。しかしながら、この開示を開示される特定の実施の形態に限定しようとするものではないが、反対に、意図は、この開示の精神および範囲内に入り、且つ添付の請求項により定められる変更例、別の構成、組合せおよび同等例すべてに及ぶものであることは理解されるべきである。
【0029】
用語が、この特許では、記載の意味を有するものとはっきり定められ、用語の意味をその明白な或は通常の意味を超えてはっきり或は間接的に限定しようとする意図がないことは理解されるであろう。
【0030】
特定の機能を行なうための「手段」または特定の機能を行なうための「工程」を明白に述べていない請求項のおけるいずれの要素も、35U.S.C.§112、段落6に特定されているような「手段」または「工程」の条項として解されるべきでない。
【0031】
B.実施の形態の状況および文脈
本発明の多くの実施の形態は、膝関節における変形性関節症の作用を低減するために、或は損傷または他の疾患により弱められた膝関節を安定化するために示されている。本発明の実施の形態は、中央の或は横方向の膝関節の疾患の両方を低減するか或は治療するように構成されてもよい。
【0032】
本発明の実施の形態は、人間の膝関節に特に適合され、そして人間の関節および付属物の異なる種類、形状およびサイズに対処するように寸法決めされてもよい。また、実施の形態は、実施の形態のストラップ装置により及ぼされる主要な力を、膝の疾患を治療するために任意の望ましい位置に向けるように変更されてもよい。
【0033】
説明の目的で、ここに記載の各膝支持装置の実施の形態は、人体用の一般的な解剖学用語により示される部分に分割されている。これらの用語の各々は、一般的に大腿骨と頸骨との間で膝の半月板に沿って延びている近位-遠位平面を有する同様な部分に分割されている人間の脚部に関して使用されている。
【0034】
図3に関して、膝支持装置の実施の形態は、前-後平面により前部分および後部分に分割されている。前-後平面は、一般に、人間の脚部の冠状平面または前額平面に対応する。前部分および後部分の各々は、近位−遠位平面および横-中央平面により膝の中心のまわりに更に分割されている。
【0035】
特に図4ないし図6を参照すると、図3の膝支持装置の前部分は、下記の四半部:(I)近位-中央部分、(II)遠位-中央部分、(III)遠位-横部分および(IV)近位-横部分を有している。図3の膝支持装置の後部分は、下記の四半部:(V)近位-中央部分、(VI)遠位-中央部分、(VII)遠位-横部分および(VIII)近位横部分を有している。
【0036】
ここに記載の解剖学用語は、コルセット業界の当業者により容易に理解されるような用語の正常な理解から反れようとするものではない。
【0037】
C.膝支持装置の種々の実施の形態
i.膝支持装置の実施の形態の概説
図7ないし図10を参照すると、膝支持装置の実施の形態10が示されている。この膝支持装置は、特に、膝の横方向の変形性関節症を治療するために示され、構成されているが、膝支持装置が、膝の中央の変形性関節症を治療するために特徴を逆にすることにより構成されてもよいことは理解されるであろう。
【0038】
この実施の形態によれば、支持装置10は、種々の構成要素および組立体を覆うか、或は種々の構成要素および組立体が取着されるスリーブ12を有している。近位および遠位フレーム要素またはシェル40、42について以下に述べられるように、これらのシェルは、支持装置の十分な剛性を与えるためにスリーブに対して連結されているか、挿入されているか、或は取着されている。
【0039】
この実施の形態によれば、スリーブ12は、一般に支持装置10の近位-遠位平面に沿って延びており通気性のある中央ストリップ部分14と、ほぼスリーブ12の中心のまわりに位置された中心リング16とを有している。この中心リング16は、好ましくは、その中心部分のまわりに支持装置10の十分な屈曲を与えるように弾性材料から構成されており、そして装置の使用者が前膝上に中心部分を設置するのを助けるように位置されている。しかも、膝の近位部分に対応するスリーブ12の部分は、膝の伸展および屈曲の妨害を防ぐために露出されたままである。
【0040】
第1および第2の押しストラップ18、20は、各々、第1の端部のところで、スリーブ12の開口部24、25から突き出ている対応する締付け装置22、23に取着されている。押しストラップ18、20の各々の第2の端部は、スリーブ12に取着された対応するブラケット組立体26、27に取着されている。第1および第2の押しストラップ18、20は、支持装置10の後部中央側で近位−遠位平面の近くに或はそれに沿って位置される交差点21で交差している。
【0041】
押しストラップ18、20の各々は、交差点21の前方または後方の位置の近くまたはその位置に位置されてもよいクッション性部分を有してもよい。しかも、押しストラップ18、20は、好ましくは、各々、かかるストラップ18、20の長さの調節を可能にするためにフック/ループ留め具装置のような長さ調節装置29を有している。
【0042】
この実施の形態では、押しストラップ18、20は、弾性ストラップが使用されるなら、生じることがあるものとは対照的に、多量の圧力を膝に加えるために実質的に非弾性である。実質的に弾性の特性を有する押しストラップが膝を効果的に無負荷化しないことがわかった。そのかわり、弾性の押しストラップは、脚部をまっすぐにすると、これらの押しストラップが膝の屈曲に抵抗するように、膝を屈曲状態へ引っ張る。その結果、押しストラップを締付けることにより、実際に膝を無負荷化することがあるが、膝は、これが屈曲状態になる傾向に起因して十分な伸展を受けることができない。弾性のストラップと違って、実質的に非弾性のストラップは、これらの欠点を有していない。何故ならば、これらの非弾性のストラップは、膝を関節に向けて引っ張り、そして膝の屈曲および伸展の両方を許容しながら、膝を無負荷化するからである。
【0043】
しかしながら、膝支持装置の実施の形態が、実質的に非弾性のストラップの使用に限定されないことは理解されるべきである。それと反対に、膝支持装置の異なる実施の形態において、種々の弾性度のストラップが、個人が支持装置を着用する種々の必要性に適合するように種々の構成要素とともに用いられてもよい。
【0044】
第1の押しストラップ18は、横方向-近位のブラケット組立体26に取着されており、そしてスリーブ12の中央-遠位側部分に向けて支持装置10の後部に沿って螺旋状に延びる。次いで、第1の押しストラップ18は、スリーブ12に入り、そして一般にスリーブ12の前-横方向の遠位側部分に位置される遠位の締付け装置23に取着する。
【0045】
第2の押しストラップ20は、横方向-遠位のブラケット組立体27に取着されており、そしてスリーブの中央近位側部分に向かって螺旋状に延びる。次いで、ストラップ20は、スリーブ12に入り、そして一般にスリーブ12の前-横方向の近位側部分に位置される近位の締付け装置22に取着する。後の論述に記載のように、近位および遠位の締付け装置22、23は、第1および第2の押しストラップ18、20を漸増的に張り、且つ押しストラップ18、20における張りの解放を選択的に許容するために設けられている。
【0046】
支持装置10の中央側部分には、近位安定ストラップ28が取着されており、この近位安定ストラップ28は、横方向の側部分まで延び、そこでスリーブ12に連結されている近位バックル組立体32に連結される。スリーブ12の中央側部分には、遠位安定ストラップ30が取着されており、この遠位安定ストラップ30は、横方向の側部分まで延び、そこでスリーブ12に連結されている近位バックル組立体33に連結される。
【0047】
この実施の形態によれば、安定ストラップ28、30の各々は、高められた回転防止および更なる快適性のために取着されている発泡体または織物パッドのようなクッション性部分34を有している。安定ストラップ28、30は、各々、それらの長さの調節を可能にするためにフック/ループ留め具装置のような長さ調節装置35を有している。しかも、クッション性部分は、蒸着シリコーン、ゴムまたは穏やかに研磨性の材料のパターンのような摩擦特徴(図示せず)を有してもよい。また、クッション性部分は、があってもよいし、下記のスペーサ要素と同様な構成を有してもよい。
【0048】
1つの変形例では、安定ストラップは、膝支持装置に解放可能に取着されてもよい。例えば、安定ストラップは、膝支持装置のシェルにより支持されたスナップ留め具に対応するスナップ留め具要素を有してもよい。他の変形例では、膝支持装置に対する安定ストラップの装着および取外しを許容するために、適当な解放可能な留め具が使用されてもよい。
【0049】
変更例として、締付け装置に連結された1つの押しストラップと、フック/ループ留め具のような留め具装置で調整可能である他のストラップとを有する膝支持装置の実施の形態が提供され得る。例えば、低輪郭の支持装置を提供したい場合、締付け装置を有する支持装置の(着用者の大腿骨に対応する)近位部分に連結され、の近位部分のところで調整可能である押しストラップ装置を使用することができるが、(着用者の頸骨に対応する)遠位部分に連結された押しストラップ装置は、フック/ループ留め具装置を使用するだけでよい。この実施の形態の変形例もまた、頸骨上に存在することがある圧力個所にわたって延びている締付け装置の問題を軽減するために有用である。
【0050】
図7ないし図10の支持装置の実施の形態は、一般に、左側膝の横方向の区画的な変形性関節症を和らげるために適応される。この支持装置は、左側脚部の中央の区画的な変形性関節症、または変更例として、右側膝の中央または横方向の区画的な変形性関節症を治療するように構成されてもよい。中央の区画的な変形性関節症を治療するための再構成は、押しストラップが装置の後-中央側の近位−遠位平面に交差点を有するように、押しストラップを逆の構成に配置することよりなる。
【0051】
図11に移ると、支持装置10の実施の形態の内部特徴が、スリーブ12無しでより詳細に示されている。興味あるのは、支持装置のための構想をもたらし、押しストラップ18、20および安定ストラップ28、30につながる近位および遠位のシェル40、42である。更に興味あるのは、摩擦特徴のような回転防止手段をもたらし、且つ脚部に装着されると、支持装置10のためにクッション作用する近位および遠位のスペーサ要素46、48である。
【0052】
近位および遠位のシェル40、42は、支持装置10の前部分の横側部分と中央側部分との間に設置されるように構成されている。同様に、近位および遠位のスペーサ要素46、48は、近位および遠位のシェル40、42に概ね対応する形状で構成されており、且つシェル40、42と整合してスリーブ12の後部分に連結可能に配置されている。押しストラップおよび安定ストラップが脚部のまわりに張られるように、近位および遠位のシェル40、42が近位および遠位のスペーサ要素46、48と整合状態であることが望ましい。スペーサ要素46、48は、押しストラップから脚部に加えられる力に因る支持装置10の回転を防ぐように脚部に押圧される。
【0053】
シェルの変形例によれば、これらのシェルは、支持装置の後側部分に設置されるように構成されてもよく、或は少なくとも、支持装置の後部分の一部にわたって延びる部分を有してもよい。また、シェルの変形例は、横部分と中央部分との間で支持装置の前側部分のまわりに延びる近位シェルのような1つの含んでもよく、遠位シェルは、支持装置の後側部分にわたって延びており、更に、支持装置の遠位-前側部分の一部を覆うように横側部分および中央側部分のうちの少なくとも一方に巻き付くセグメントを有している。
【0054】
ヒンジ無しの膝支持装置におけるスペーサ要素の利点は、これらのスペーサ要素がシェルの互いに向かう移動を防ぐと言う点である。また、これらのスペーサ要素は、回転防止手段により膝支持装置を使用者の脚部に維持する。しかも、これらのスペーサ要素は、押しストラップにより加えられることがあるいずれの回転力をも耐えることができる。
【0055】
ii.ひざ支持装置を付ける方法
操作にあたり、図7ないし図11による支持装置の実施の形態は、スリーブの中心部分が前膝に設置された状態でこの装置を脚部に位置決めすることにより、使用者(支持装置はこの使用者用に注文作製されるか、或は予備作製されてもよい)に取付けられる。近位および遠位の押しストラップ18、20は、膝の側部分の上および下に位置決めされ、そして相応に締付けられる。押しストラップのこの構成によれば、押しストラップは、脚部が伸展状態へ動くときに膝の上および下で締り、脚部が屈曲状態へ動くときに緩む。押しストラップの締付けにより、膝の伸展中、脚部の伸展時の骨の動きを防ぎ、かくして区画的な変形性関節症の悪影響を治療する。
【0056】
図12および図13は、大腿骨および頸骨にそれぞれ対応する近位部分および遠位部分を規定する左側脚部の上における支持装置を示している。押しストラップの締付けは、膝の影響された側における骨相互間の空間を増大することにより膝の区画を減圧する傾向がある。フレーム要素40、42に沿った押しストラップの構成は、押しストラップ18、20のための反作用点をもたらす。かくして、押しストラップ18、20の締付けにより、フレーム40、42がスペーサ要素との組合せで交差領域21と反対の側で膝を安定化する。
【0057】
図12には、脚部における圧力のより大きい分布に因り、図1および図2に例示されたように、従来の支持装置により発生される単一の力Aより大きい程度で膝の中央側部分に加えられた力A1、A2が示されている。ほぼ押しストラップが近位および遠位部材に取付けられる脚部の横側部分に、追加の力Bが加えられる。2つの力を加えることによって、これらの力は、回転力YR1、YR2が概ね等しくて、互いに相殺する従来の支持装置に存在する回転モーメントを軽減するように反作用する。
【0058】
従来の支持装置におけるようにいずれの交差点も無しに、たった1つの押しストラップが使用されるなら、皮膚および軟筋肉組織が、シェルとともに動くことがわかった。その結果、ストラップの無負荷化効果が著しく減少する。力A1、A2を形成するために2つの押しストラップを使用することにより、脚部上における装置の回転が、低減されて効果的に防がれる。これは、膝に対する支持装置による十分な無負荷化効果をもたらす。
【0059】
押しストラップは実質的に非弾性である。何故ならば、先に述べたように、弾性の押しストラップを用いている従来の支持装置では、膝および脚部が弾性ストラップの柔軟性に反作用し、それにより膝に対する無負荷化効果を減少させるからである。実質的に非弾性の押しストラップを使用することにより、膝はストラップに抵抗することができなく、その結果、膝のより大きい無負荷化効果が得られる。
【0060】
図14および図15を参照して説明すると、膝が伸展状態になるとき、合力A1、A2が加えられる。押しストラップは、好ましくは、膝キャップ51が回転軸線Rおよび頸骨53の前方にある状態で、膝の通常の回転軸船の後方で約5°ないし20°の範囲の角度αで交差点21において交差する。交差点は、好ましくは、無負荷化点ではなく、そのかわり、無負荷化点は、中央支持装置では、すぐ横側部分にあり、横支持装置では、すぐ中央側部分にある。
【0061】
膝支持装置は、押しストラップにより発生される力を最適化するように調整されてもよい。支持装置が2つの押しストラップを有するか、或は2つの交差点を持つ単一の押しストラップを有する場合、2つの押しストラップにより同じ力が加えられるなら、より大きい力が脚部に加えられる。この結果、押しストラップを構成するためにより低い角度が使用されてもよく、従って、近位および遠位部材間で一度螺旋状に延びる単一の交差ストラップのみを有する従来の支持装置とは対照的に、近位および遠位のフレーム部材またはシェルが、互いにより近くに位置決めされてもよい。
【0062】
以下の論述において、本発明の膝支持装置に関連する特定の構成要素の説明および変形例を説明する。
【0063】
iii.ストラップ
押しストラップおよび安定ストラップは、様々な異なる織物および他の適当な材料から構成されてもよい。図11および図12に例示された1つの変形例によれば、押しストラップ400および安定ストラップ412は、2層系よりなり、すなわち、内側コア404、416が外層402、414により取囲まれてなるものとして示されている。内側コア404、416および外層402、414を互いに取着するために、適当な縫い目406、420が設けられている。この2層系は、後端部から見た場合、外層402、414がストラップの角部のまわりに概ね細長いC字形状を規定するように内側コア404、416のまわりに巻きついているC-折りストラップを形成するように一体になっている。
【0064】
内側コア404、416は、好ましくは、軟質のループ材料から構成されている。この材料は、膝窩(膝の背面)のまわりに延びているストラップを有する膝支持装置では、着用されたストラップが支持装置の着用者にとって快適であるように、一般に、触感が優しい。これは、着用者がその脚部を曲げるとき、並びに脚部が十分に伸ばされるときに立証される。内側コアの従順性および柔軟性により、まさに図7ないし図10に示される種類のクッション性部分の必要性を軽減している。
【0065】
外層402、414は、ストラップの従順性が本質的に内側コア404、416により与えられるので、任意の適当な織物から構成されてもよい。これにより、表面上感じのよい或は実質的に非弾性の材料の使用を可能にする。
【0066】
ストラップ400、412の両方は、ストラップの前端部に位置決めされてこの領域に適切な補強をもたらすタブ410、418を有してもよい。このタブ410、418は、押し嵌め、縫い合せ、接着剤または他の適当な手段によりストラップの前端部に取着されるプラスチック片または金属片よりなってもよい。また、後で更に詳細に論述するように、押しストラップ400は、その漸増設定を表す印408を有してもよい。
【0067】
更に他の変形例では、安定ストラップは、実質的に伸び可能であってもよく、スリーブまたはシェルに取着されてもよい。この変形例によるストラップは、支持装置がこれを着用する個人の脚部上で摺動可能であることにより着けられたり外されたりし得るように寸法決めされるが、個人の脚部にぴったり着用するのに十分に張られるように構成されてもよい。
【0068】
iv.シェル
図18および図19は、図7の支持装置の近位および遠位シェル40、42の1つの変形例を示している。これらのシェル40、42の各々は、支持装置が脚部に着用される場合、支持装置に通気し、従って熱の蓄積を軽減する有孔の構造体52を有している。しかも、各シェルは、横側部分と中央側部分との間に延びている更なる通気性のある特徴を有する隙間50を有している。シェル40、42は、押しストラップ18、20および安定ストラップ28、30により及ぼされる力に耐えるのに十分に剛性および強度のものであるが、シェル40、42は、脚部の対応する諸部分に一致するように可撓性であってもよい。
【0069】
シェル40、42は、これらが有孔の構造体52および隙間50を有しているので、膝固定具業界で知られている他の公知の構造特徴またはフレーム部材より大きく寸法決めされてもよい。例えば、近位シェル40は、脚部に対する十分な支持をもたらし、且つ締付け装置22およびバックル組立体26を受入れることができる拡大された第1の側部分54を有している。また、シェル40は、脚部に対するストラップの圧力を分布させるように第2の押しストラップ20の経路を概ね辿る方向に第1の側部分54から伸びている突出部分56を規定している。
【0070】
シェル40は、脚部に取着するのに十分に大きいが、それでも脚部の対応する側における過剰の侵入を防ぐために最小のサイズのものである第2の部分58を有している。同様に、遠位シェル42は、拡大された第1の側部分68、突出部分70および第2の側部分72のような近位シェルに対応する特徴部分を規定している。
【0071】
図20および図21に例示されるように、シェル40、42の各々は、好ましくは、締付け装置22、23、ブラケット組立体26、27およびバックル組立体32、33を取付ける設備を有している。シェル40、42は、各々、締付け組立体の取り付け部分取り付け部分82を受入れるための開口部66と、横部分54、68に位置決めされていて、ブラケット組立体26、27およびバックル組立体32、33の対応するピンまたは同様な特徴82を受入れるように配置されているアイレット62とを有してもよい。このアイレット62は、ピン、ボタン、フランジ、フックまたは同様な要素のようなブラケット組立体およびバックル組立体の取り付け部分82が押圧されて保持されるシート部分64を規定している。シート部分64は、取り付け部分よりほんの僅かに大きい半径を有するアイレット62の縮小部分として規定されている。
【0072】
この実施の形態のアイレットの構成は、脚部に装着されていないとき、装置からのバックル組立体およびブラケット組立体の取外しを容易にするという点で特に有利である。例えば、押しストラップおよび安定ストラップが緩められるとき、或は支持装置10が装着されていないとき、取り付け部分82は、シート64から押され、次いでシェル40、42から取外されてもよい。しかしながら、ストラップが張り状態にあるとき、取り付け部分は押されてアイレットシート64と整合して係止される。
【0073】
この実施の形態の変形例では、前述の種類の個々のアイレットは、バックル組立体と、取り付け部分取り付け部分を有するブラケット要素との両方を個々に受入れるためにシェルに規定されてもよい。この実施の形態の他の変形例によれば、バックル組立体またはブラケット要素は、シェルに規定された対応するアイレットに取着可能であるフックを有してもよい。この実施の形態の更に他の変形例では、ブラケット要素およびバックル組立体は、リベットまたは他の公知の留め具のような手段を使用してシェルに永久的に取着されてもよい。
【0074】
シェルの他の変形例によれば、図22および図23は、図18および図19の実施の形態とは異なる有孔の構造体424を有する近位および遠位シェル422、448を示している。詳細には、この有孔の構造体424は、シェル422、448の幅方向を横切ってセグメントに沿って延びている複数の概ね水平なスロット426を備えている。これらスロット426は、複数のスラット428とともの散在されている。シェル422、448の各々のフレーム部分430が、スロット426およびスラット428を取囲んでいる。
【0075】
近位シェル422の形状は、図18に示される近位シェルの形状に概ね類似している。特に、近位シェル422は、その前−近位部分に対応し且つ第1の側部分436まで及んでいる横部分434から下方に延びている第2の側部分432を規定している。横部分434は、好ましくはその遠位側で顕著であって、大腿部の解剖学的構造に一致している弧状の輪郭を有している。第1の側部分436は、第2の側部分432だけ延長された距離を越えて下方に延びており、そして脚部に追加の支持をもたらすために、大きさが第2の側部分432より概ね大きい。
【0076】
近位シェル422は、第2の側部分430に位置されたアイレット440を有している。このアイレット440は、バックル組立体のピンまたは係止装置を受入れるために構成されている。好ましくはシェルの第2の側部分432から遠い方のアイレットの側には、シート442が位置されている。このシート442は、アイレット440から延びているスロットを形成してもよく、そしてアイレット440より小さい直径を有している。
【0077】
また、近位シェル422は、スロット426と別体であって、それらより大きいスロット444を有しており、このスロット444は、第1の側部分436と横部分434との間の変化部の近くに位置されている。好ましくは、スロット444は、スロット426に対して角度をなして向けられている。スロット444は、横部分435に最も近い側に位置されている従順な縁部445を有している。この従順な縁部445は、スロット444のための小さい効果的な高さを与えており、図43と関連してより十分の後述されるように、ラチェット組立体により支持されるピン、ノブまたは他の取着手段を受入れるように構成されている。
【0078】
従順な縁部445は、好ましくは近位および遠位シェル422、448を形成するために使用される材料より可撓性である材料で形成されている。例えば、リム445は、シリコーンゴムまたは適当なポリマー材料であってもよい。
また、近位シェル422は、その第2の側部分に位置されているスロット446を有している。同様に、このスロット446は、スロット426に対して角度をなして位置されており、そして同様に、横部分434から遠い端部分に位置されている従順な縁部447を有している。
【0079】
遠位シェル448の形状は、図19に示される遠位シェル42の形状と異なっている。詳細には、遠位シェル448は、その前−近位部分に対応する横部分452につながっている第2の側部分450を有している。横部分452は、人間の脚部の向うずねの形状に概ね合わされている近位弧状輪郭453を有している。遠位シェルの近位側部分が、横部分452から頂点455まで上昇しており、これによりシェル448の第1の側部分454のところで着用者に対する追加の支持をもたらす。また、シェル448は、その第2の側部分から突出しているふくらはぎ延長部材456を有している。
【0080】
このふくらはぎ延長部材456は、脚部に着用されたときの支持装置の後部分まで延びる。ふくらはぎ延長部材456は、膝支持装置が脚部に着用されたときにシェル448が回転するのを防ぐと言う利点を有しており、そして、ふくらはぎ延長部材456は、これが好ましくは人間のふくらはぎの最も太い個所にわたって延びるように構成されているので、追加の懸架特徴としても役立つ。ふくらはぎ延長部材456の他の利点は、ふくらはぎ延長部材がふくらはぎのまわりに実質的な支持を効果的にもたらすので、遠位シェルへの連結のために2つの安定ストラップの必要性を取除いていると言う点である。
【0081】
遠位シェル448は、図20のアイレット440およびシート部分442と同様に構成されているシート部分460を持つアイレット458を有している。また、遠位シェルは、配向を除いて、図20におけるスロット444および各リム445と同じ位置に概ね対応するスロット462および対応する従順性の縁部463を有している。また、遠位シェルは、配向を除いて、図20におけるスロット446および各リム447に対応するスロット464および従順性の縁部465を有している。
【0082】
シェル422、448は、全体のまわりに、或は少なくとも部分的に周囲のまわりに配置された従順性の特徴470を有してもよい。この従順性の特徴は、シェルボディを構成する材料より可撓性である材料で構成されている。従順性の特徴470は、シェルの外周を超えて延びている。従順性の特徴は、好ましくは、接合、機械的相互係止または任意の他の適当な構成によりシェルに取着される可撓性で弾性の材料である。従順性の特徴を設けるための方法の例が、米国特許第5,445,602号(これは参照によりここに組み入れられる)に記載されている。
【0083】
シェルは、支持装置の着用者の脚部に順応するように寸法決めされ且つ輪郭決めされたクッションでもよい。また、シェルは、脚部の外形に合わせて湾曲するように予備成形されてもよいし、或はストラップおよびスリーブがシェルを支持装置の着用者の脚部のまわりに湾曲させた結果、湾曲されてもよい。ここに記載の実施の形態は、シェルが、膝の伸展および屈曲の両方において着用者の脚部に順応するのに十分に可撓性であると想定しているが、シェルは、従来の支持装置におけるようにかなり剛性であるように構成されることもできる。
【0084】
これらの変形例の近位および遠位シェルは、TRIAX(abs/ナイロン混合物)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、熱硬化性または熱可塑性樹脂とのカーボンまたはガラス繊維プリプレグ、およびEVA、プラステゾートまたはポリウレタンからの剛性発泡体のような様々な材料で構成されてもよい。他の変形例では、近位および遠位シェルは、アイスランド、レイクジャビックのオッサー(Ossur)hfに譲渡された米国特許第6,592,539号(これは参照によりここに組み入れられる)に記載の矯正スリーブと同様に構成されてもよい。
【0085】
シェルの有孔構造によれば、シェルは膝支持装置に使用されるほとんどのフレーム部材より大きく寸法決めされることができる。その結果、押しストラップにより脚部に及ぼされる圧力は、脚部のまわりにより均等に分布されることができる。
【0086】
図24ないし図27は、膝支持装置の前記実施の形態のシェルが公知の膝支持装置におけるシェル以上に如何に有利であるかを概略的に示している。図24は、従来のシェル39の中間点から延びている押しストラップの方向に対応する仮想の水平方向の力Faを示している。この構成では、力Faからの圧力が、シェル39を横切って且つ脚部13を横切って均等に分布されている。図25は、シェル39の遠位部分から延びている仮想の水平方向の力Fbを示している。この構成では、力Fbは、シェルの底部のところでシェルの頂部のところより大きい圧力を脚部13を横切って及ぼす。
【0087】
図26および図27は、押しストラップにより近位シェルに及ぼされる実際の力をより適切に例示している。図26は、
支持装置の重量と、シェルが脚部に着けられていることに起因した熱の発生とを最小にするために、小さいサイズを有する従来技術におけるシェル39を示している。シェルが小さいので、押しストラップは、シェルの中心部分に取着されており、斜めの力Fcが、脚部13を横切ってシェルの下部分に上部分におけるよりも大きい圧力を生じる。
【0088】
図27は、シェル40を示しており、この場合、より大きいシェルを設けることができるので、押しストラップは、シェルの上部分に設けられることができる。この結果、力Fcよりもシェルの大きい部分に対応する斜めの力Fdが生じ、それにより、力Fdからの圧力をシェルにわたって且つ脚部13を横切ってより均等に分布する。押しストラップをシェルの中間部分の上方に設置することによりシェルにわたる圧力の良好な分布を得ることができる。
【0089】
公知の従来の膝支持装置では、押しストラップが近位および遠位フレーム部材の両方において同じ位置に位置されていない場合、フレーム部材の回転が起こることがあると言うことがわかった。これらのフレーム部材は、前述の膝支持装置の実施の形態によるシェルより著しく小さい傾向があるので、これらのフレーム部材は、しばしば、互いにより近く、且つ膝に近接して位置される。
【0090】
前述の実施の形態のシェルの特定の利点が、下記の例において論述されている。これらの例では、10Nの力で引っ張られる押しストラップが設けられ、膝の幅または距離xが同じであると仮定する。第1の場合、シェル相互間の距離として定められる距離Yは6ユニットである。距離Yを8ユニットまで移動させることにより、梃子アームに因るより大きいモーメントがシェルの距離により形成される。距離Yの増大に因り、押しストラップにより生じられる垂直方向の力は、押しストラップの角度の変化の結果、増大される。その結果、シェルは、互いに向けてより強く押される。他方、膝に加えられるより大きいモーメントがあっても、水平方向に膝に作用する圧力が減少されるように、水平方向の力が減少される。
【0091】
シェルが、互いに近づく方向に、例えば、距離で6ユニットまで戻る方向に移動されるなら、モーメントが減少され、それでも、膝に作用するより多い水平方向の圧力が存在するということになる。しかも、押しストラップにより及ぼされる力は、シェルが8ユニットだけ離されているときに生じられるのと同じ量のモーメントを達成するために、増大されなければならなく、その結果、膝のまわりに更に多い水平方向の力が生じる。二重押しストラップの構成を設けることにより、二重押しストラップが2つの圧力箇所をなし、2つのストラップが膝に負荷を生じることは容易に明らかである。従って、この膝支持装置は、膝を無負荷化すると、より快適である。何故なら、より大きい圧力部分があるからである。
【0092】
圧力分布に関するシェルの利点に加えて、シェルは、公知のフレーム部材におけるよりも脚部の大きい部分にわたって延びるように構成されることができる。例えば、従来の支持装置は、脚部のまわりに最小に延びる小さいフレーム部材を有しており、これらのフレーム部材は、押しストラップが膝を無負荷化しているときに膝のまわりに回転する傾向を有している。この結果、最小の頚骨の過伸展および靭帯の制御が生じる。
【0093】
v.スリーブ
図28および図29は、スリーブ12の具体例と、近位および遠位ポケット84、86を間に形成するスペーサ要素46、48とを示している。ポケット84、86は、近位および遠位開口部74、76を有している。これらの開口部74、76は、フック/ループ留め具、ジッパー、ボタンおよび他の適当な手段のような閉鎖手段で閉鎖可能であってもよい。開口部74、76は、シェル40、42をそれらの夫々の形状にぴったり一致するような形状になっているポケット84、86に挿入し得るように構成されている。更に、スリーブ12は、シェル40、42の近位および遠位アイレット62、63に対応する近位および遠位アイレット78、79を規定している。
【0094】
図28および図29の実施の形態の変形例では、スリーブはそれ自身内にポケットを有しており、シェルは、これらのポケットに挿入可能であり、これらのポケットは、熟練技師にとって利用可能であるフック/スープ留め具、縫い合せ、リベットおよび他の公知の手段のような適当な留め具特徴で閉鎖可能である。スペーサ要素は、形状および位置がシェルに対応するスリーブの後部分に取着されている。
【0095】
他の変形例では、スリーブおよびスペーサ要素は、ポケットが近位部分の下側および遠位部分の上側に形成するように互いに取着されてもよい。この変形例によれば、シェルは、スペーサおよびスリーブがシェルを効果的に覆い、それでもシェルがスリーブおよびスペーサから容易に取外されるように、ポケットに挿入されてもよい。これによっても、シェルは、これらが互いにまだ連結されている間、ポケットの中へ摺動することができる。
【0096】
更に他の変形例では、シェルは、適当な留め具特徴でスリーブの後側部分に永久的に或は取外し可能に取着されてもよい。更に他の変形例では、支持装置は、スリーブが設けられなくてもよく、単に図11に示される構造を有しており、この場合、スペーサ要素は、適当な留め具特徴によりシェルに取着されている。シェルを連結するのに、ヒンジが使用されてもよく、或は支持装置にスリーブが設けられていない場合、シェルが互いに向けて引き寄せられるのを防ぐために、他の適当な連結要素が使用されてもよい。
【0097】
スリーブの更に他の変形例では、このスリーブは、互いに別体である近位および遠位部分を備えている。この変形例によれば、近位および遠位部分は、シェルを保持するために前述のポケットを有してもよいし、或は、変更例において、シェルは、スリーブ部分の表面に取着されてもよい。この変更例によれば、スリーブ部分は、支持装置の横側部分または中央側部分のうちの一方に位置されたヒンジにより、或はここに記載の他の連結要素で連結されてもよい。
【0098】
スリーブの他の変形例が図30に示されており、この場合、スリーブ242は、フレーム要素を包囲するように構成されており、これらのフレーム要素から取外し可能である。この変形例によれば、スリーブ242は、近位および遠位部材の外面に概ね一致しており、そして好ましくは、膝支持装置の前述の特徴の外面を包囲している。スリーブ242は、膝前部に概ね対応する開口部244を有している。この開口部は、膝キャップへの接近をもたらし、そして膝の曲げを受けるスリーブの部分に位置されている。
【0099】
開口部244を包囲しているのは、歩行中、スリーブ242の屈曲を容易にする第1の面取り部分246である。また、スリーブ242には、近位および遠位縁部に沿って配置された第2の面取り部分248が設けられている。第1および第2の面取り部分246、248は、衣類に引っ掛かることがあるいずれの鋭いまたは鈍い縁部を支持装置から除いており、かくして、支持装置の上に衣類を着るのを容易にするように設けられている。
【0100】
スリーブ242は、様々な方法で膝支持装置の基本的特徴に付設されてもよい。ここに示される変形例によれば、スリーブ242は、基本的特徴を取囲むソケットの形態をとっている。また、スリーブ242は、近位および遠位シェルが挿入されてもよいポケットと、スリーブの外面に設けられてスペーサ要素を取着するための手段とを有してもよい。スリーブは、基本的特徴にかぶせるためのロール巻き状態から広げられてもよく、そしてスリーブの弾性により、或は変更例として、フック/ループ留め具または他の適当な手段により基本的特徴に取着される。
【0101】
スリーブ242は、その近位部分の一方の側に沿って位置されるジッパー290を有してもよい。図31に示されるように、ジッパー290は、近位シェル293および押しストラップ294に取着された締付け機構295への接近手段292を設けている。この特定の変形例によれば、締付け機構295をスリーブ242の下に隠すことができるが、それでも、締付け機構を調整するための容易な接近を許容する。しかも、この変形例は、脚部が接触することがある衣類または任意の他の物体に締付け機構が引っ掛かるのを防ぎ、更に、より外見上良好な支持装置をもたらす。スリーブの近位部分は、同様なジッパーおよび遠位シェルへの接近手段を有することができる、
スリーブは、スパンデックス、ライクラ、ナイロン、ポリエステル、OUTLAST、COOLMAX、AEROSPACER、マイクロファイバー、3次元織物および他の適当な織物を含めて、織物で構成されてもよい。スリーブには、殺菌剤、香料および湿分吸上げ剤のような種々の処理剤が混入されてもよい。
【0102】
スリーブの更に他の変形例では、スリーブは、米国特許第6,592,539号における矯正スリーブとして構成されてもよく、この場合、スリーブを形成するために弾性化布が使用されており、この弾性化布は、その長さ方向および幅方向に異なる弾性堅さを示す異なる部分に配置されている。すなわち、布は、1つの方向において、この1つの方向と直交する方向におけるよりも、本質的に堅い。
【0103】
vi.スペーサ
図11および図29に示されるように、支持装置10は、シェル40、42と同様な構成で輪郭決めされている近位および遠位スペーサ要素46、48を有している。これらのスペーサ要素46、48は、空気の自由な流通を許容することにより通気性があるように構成されている。また、これらのスペーサ要素は、好ましくは、少なくともその一方の側に摩擦特徴を有している。
【0104】
スペーサ要素は、フック/ループ留め具装置のような取外し可能な手段を介してスリーブに連結されてもよいし、或は変更例として、縫い合せ、接着剤または他の同様な適当な留め具特徴を介してスリーブに取着されてもよい。スペーサ要素は、膝の運動に干渉しないようになっているが、これらのスペーサ要素は、押しストラップにより生じられる垂直方向の力によりシェルを膝に保持するのに十分な摩擦力を与えるようになっている。
【0105】
この実施の形態によれば、スペーサ要素46、48は、スリーブ12の後側部分に取着されている。スペーサ要素46、48は、通気性を有する部分88を有している。変形例によれば、通気性を有する部分は、スペーサ要素46、48を横切って規定された開口部のパターンよりなる。変更例として、通気性を有する部分は、通気性の布よりなってもよいし、スペーサの通気性を更に高めるために孔のパターンと組み合わされてもよい。しかも、スペーサ要素は、クッション作用をもたらし、更に支持装置が着用されたときに少なくとも部分的に圧縮する材料から構成されてもよい。
【0106】
図32に示されるように、スペーサ要素46、48は、好ましくは、それらのボディを形成する基質材料90の少なくとも後面に被覆されている摩擦特徴92を有している。この摩擦特徴92は、皮膚または衣類に対する高い摩擦係数を有している。しかも、摩擦特徴92は、各スペーサ要素46、48の通気性を有する部分を閉塞しなく、スペーサ要素を通る空気の移送を許容する。
【0107】
この実施の形態によれば、スペーサ要素は、空気の通過を可能にするメッシュまたはコア部分を有しており、それでも、張り状態にされたとき、適切なクッション作用および脚部に対する取着をもたらすために圧縮可能である。また、スペーサ要素は、コア部分を保護し且つスペーサ要素の耐久性を高めるために設けられる補強された縁部を有している。
【0108】
他の変形例では、図60に示されるように、スペーサ要素は、シェルに直接連結されてもよい。もちろん、かかるスペーサ要素は、それらの構造を害するシェルから取外されたり、再付設されたりし得るように構成されてもよい。スペーサ要素をシェルに取付けるために、フック/ループ装置のような留め具が使用されてもよい。
【0109】
スペーサ要素を形成するために使用されてもよい好適な基質材料としては、発泡体、ネオプレンおよび織物がある。多くの材料がスペーサ要素として使用されてもよいが、これらの材料が、十分な通気性、絶縁、圧縮、耐久性および復元を与えるメッシュにより覆われた3次元ニット構造を有することが望ましい。模範的な材料が、製品ナンバーSHR701、SHR714またはSHR754Fとしてゲーリングテキステイルにより製造されている。
【0110】
この実施の形態によれば、スペーサ要素の後面は、硬化シリコーンエラストマー材料92の連続した離散層よりなる摩擦特徴で被覆されている。このシリコーンエラストマー材料は、好ましくは、使用者にとって快適であるように十分に厚く且つ柔らかであり、それでも、近位および遠位部材と支持装置10の使用者の皮膚または衣類との間にシールをもたらす。シリコーン被膜は、好ましくは、スペーサの基質を形成するために3次元の布が使用される場合、この3次元の布のメッシュ表面の孔に対応する孔を有している。変形例では、シリコーン被膜は、スペーサの基質の表面に蒸着される複数の斑点よりなってもよい。
【0111】
シリコーン材料は、香料、抗炎症剤、殺菌剤および着色剤と混合されてもよい。しかも、シリコーン材料は、アロエベラまたはバセリンのような皮膚なじみ剤を有してもよい。シリコーンに対する添加剤のより完全な説明が、オッサー(Ossur)hfに譲渡された米国特許第6,485,776号(これは参照によりここに組み入れられる)で見られる。
【0112】
シリコーンエラストマーは、好ましくは、25ないし70のショアー硬度、230lbs/インチの最小の引張強さ、8psiの100%モジュラス、61psiの500%モジュラス、49lbs/インチの最小引裂強さ、500lbs/インチの最大強さ、および約1000%の伸び率を有している。
【0113】
シリコーンエラストマー被膜は、周方向および長さ方向の両方において一様な厚さで配置されてもよいし、或いは脚部、突出部、外形などの色々な形状に順応するように変化する厚さを有してもよい。また、被膜は、人間の脚部における近位および遠位部材の装着から生じることがある局部的な圧力から特定の逃げ部を有するように構成されてもよい。
【0114】
スペーサ要素は、好ましくは、それらの後面にだけ被覆されているが、スペーサ要素の前面が、スリーブと摩擦的に結合するように同様に被覆されてもよい。変更例では、摩擦要素は、弾性化布の諸部分で構成され、そして米国特許第6,592,539号に記載されている種類のシリコーンで被覆されてもよい。
【0115】
支持装置の変形例では、この支持装置は、スペーサ要素を有しておらず、その代わり、使用者への取付けのために近位および遠位部材ストラップに頼っている。他の変形例では、スペーサ要素は、シリコーンで被覆されていない。これらのスペーサ要素は、近位および遠位部材と支持装置の使用者に脚部との間の圧縮緩衝材を設けている。更に他の変形例では、基質は、優れた摩擦特性を有する織物よりなってもよく、その結果、織物の圧縮だけが、脚部に装着されたとき、支持装置の回転を防ぐのに十分である。
【0116】
更に他の変形例では、スペーサ要素は、シリコーンが含浸されている織物よりなるシリコーンメッシュを備えてもよい。このシリコーンメッシュは、空気の通過を許容する孔のパターンを規定している。更に他の変形例では、スペーサ要素は、孔のパターンと、スリーブと、フレーム部材と脚部との間の緩衝材として役立つのに十分な厚さとを有するシリコーンシートよりなっている。
【0117】
vii.締付け装置
支持装置の他の構成要素に移ると、支持装置は、押しストラップ18、20の張りを調整するために設けられる締付け装置22、23を有している。図33は、押しストラップ18、20に連結されたケーブル102の締付けおよび解放を許容するラチェット装置98としての締付け装置の1つの具体例を概略的に示している。押しストラップ20の端部が、ケーブル102に固定されているリング100に取着されている。締付け装置32は、コード30に張りを漸増的に与えたり、或は解放したりするように構成されている。
【0118】
この実施の形態によれば、ケーブル102と、リング100と、押しストラップ20の端部とが、スリーブ12内に収容されている。別の実施の形態では、ケーブル、リングおよび押しストラップは、少なくとも部分的に或は完全にスリーブの外側にあってもよいことが理解されるであろう。
【0119】
図34は、ケーブル102およびリング104に連結されたラチェット組立体98の具体例を示している。この具体例では、ケーブル102は、開口部116を通ってラチェットボディ106から出ており、そして一端のところでリング104に規定されたシートに取着している。ラチェット組立体98は、ボディ106に規定された印110に割送りされる回転可能な取っ手108を有している。ボタン112が、スロット114内で摺動可能であって、ラチェット組立体の解放を許容する。この実施の形態によれば、取っ手108は、ケーブル102がラチェット組立体98から巻き出されるにつれて回転する。
【0120】
取っ手108は、機械的梃子作用をもたらし、且つ独立した使用者の実行性および調整可能な安全性をもたらす。印110により、使用者は、取っ手108の回転程度を測定したり、制御したりすることができ、かくして押しストラップにより膝に加えられた力の程度を定めることができる。取っ手108は、これが使用されていないとき、ラチェット組立体98を低輪郭の構成に設置するように回動可能である。
【0121】
ラチェット組立体98の内部機構が図35に示されている。この実施の形態では、ハウジング106は、複数の歯を有するラチェットホイール126と、スプール127とを収容しており、これらのラチェットホイール126およびスプール127は軸128上で共に回転するように設けられている。軸124には、爪118が設けられており、この爪118は、軸124から伸びている第1および第2の部分120、122を有している。第1の部分120は、ボタン112につながっており、第2の部分122は、第1の部分120に対して斜めに延びていて、ラチェットホイール126の歯に係合している。
【0122】
図36は、膝支持装置に使用されてもよい締付け装置の他の具体例を示している。この具体例によれば、ラダーストラップ130は、ストラップ20の端部に取着するバックル138を有している。シェル40には、レバー136が回動可能に取着されており、このレバー136は、ラダーストラップ130の多くの溝134のうちの1つに係合する。これらの溝134には、ストラップ20を膝に締付ける程度に相関関係する印が設けられてもよい。
【0123】
好ましくは、レバー136は、ラダーストラップ130に向けて付勢されている。レバー136の第1の端部が、ラダーストラップ130の溝134のうちの1つの係合し、ラダーストラップ130をシェル40に対して移動しないように取着する。もちろん、第1の端部と反対の第2の端部に押付けられると、レバー136は、溝134のうちの1つから外され、従って、ラダーストラップ130は、レバー136に対して調整されることができる。
【0124】
この実施の形態では、ラダーストラップ130は、ストラップ20との連結部と反対の端部に形成されたリングの形態の把持要素132を有している。図7および図8に良好に例示されているように、把持要素132は、支持装置の使用者にとっての接近をもたらすようにスリーブ12から外方に延びるようになっている。しかも、ラッチ136が、ラダーストラップ130の調節を容易にし、且つラッチが136がどの溝134に係合するかについての指示を許容するように、スリーブ12から外方に延びてもよい。
【0125】
ラダーストラップは、好ましくは、弾性材料から形成され、そして支持装置の着用者の脚部に概ね対応する湾曲を有するように撓んでもよい。把持要素は、リングに限定されなく、装置の使用者にとっての容易な取扱いを許容する様々な構成で形成されてもよく、或はこのような構成よりなってもよい。ラダーストラップの溝は、概ね楕円形の形状を有するものとして示されているが、鋸歯、矩形の歯、および対称的に三角形の歯のような他の形状または構成が可能であることはわかるであろう。
【0126】
1つの変形例によれば、ラッチは、ラダーストラップの溝のうちの1つの確実に係合するラッチの能力を改良するために、ラダーストラップの溝に向かう付勢で配向された突出前端部を有している。この突出前端部は、好ましくは、ラダーストラップの溝の各々に係合するように寸法決めされ且つ構成されている。
【0127】
ラッチボディは、レバーの前端部がラダーストラップの溝に係合する係合位置と、レバーの前端部が溝上で摺動可能である戻り位置との間で回動可能であってもよい。係合位置では、ラッチの前端部の突出部分は、ラダーストラップ用の爪として機能する。前端部の突出部分を係合位に向けて付勢するために、捩りばねのような内部付勢機構が使用されてもよい。レバーは、必要とされる材料の量を減少させることによってレバーを軽くするだけではなく、レバーの下の領域への接近をもたらす切欠きである部分を有してもよい。
【0128】
図36の締付け装置の変形例によれば、図37ないし図40は、ラダーストラップ従順機構500を示している。この機構では、ラッチ504は、ラダーストラップ502に向けて弾性的に付勢されている。
【0129】
ラッチ504は、基部506に位置される下側マウント514に取着されている上側マウント512の一部を構成する対向されたアーム522を規定している。これらのアーム522は、後端部526が押し下げられてラッチ504の前端部524に位置された戻り止め516をストラップ502の歯510から外す場合に、捩りに耐えるのに十分に従順性である。
【0130】
ラダーストラップ502は、前端部に規定された把持要素508と、押しストラップの漸増的な調整を許容する複数の歯510とを規定している。また、ストラップ502は、幅がフレアー状になっている後端部520を規定している。ラッチ504は、これが把持要素508と後端部520との間にあるように、ストラップ502に対して位置されている。これは、後端部520がラッチ504を通過することを防ぎ、且つ把持要素508が戻り止め516から引出される最大距離を設定するようになっている。
【0131】
基部506は、ラッチ504を取付けるために設けられており、そのために、ストラップ502は、基部上で摺動する。基部506は、膝支持装置のシェルへの取付けのための孔518を有している。
【0132】
締付け装置500は、プラスチック、金属および複合体を含めて、様々な可撓性で弾性の材料から構成されてもよい。しかも、ストラップ502、ラッチ504および基部506は、異なる材料から構成されてもよい。
【0133】
図37ないし図40による基部506の変形例において、図41ないし図43は、基部506の特徴に対して追加の特徴を有する他の基部528を示している。この変形例によれば、基部528には、アーム530が一体に形成されており、これらのアームは、ラッチ529に一体に形成されている。図37ないし図40の実施の形態と同様に、ラッチ529は、基部528に向けて弾性的に付勢されており、そして戻り止め516を有している。
【0134】
基部528は、アーム530から基部528の縁部に沿って延びているガード部分534を有している。これらのガード部分は、ラダーストラップが戻り止め516に対して変位するのを防ぐように作用する。
【0135】
ラッチ529は、基部528に対するラダーストラップの相対位置を示す用量計を有している。また、ラッチ529は、そこから突出する解放ボタンを示す印537を有してもよい。
【0136】
基部528の周囲には、従順な縁部531が設けられている。従順な縁部を構成する方法を支持する方法としては、米国特許第5,445,602号、第5,713,837号および第6,024,712号(これらは参照によりここに組み入れられる)に記載のものがある。従順な縁部は、基部528の縁部の衝撃が支持装置の着用者に対して減少されるように、支持装置の着用者の解剖学的構造に対する一致をもたらす。
【0137】
従順な縁部は、基部528より比較的薄く、基部を形成する材料より実質的に可撓性である。従順な縁部は、単一の工程でプラスチックまたは他の可撓性材料で成形されることによって、基部に形成され、そして互いに取着される。また、先に指摘したように、従順な縁部または縁部部分が、膝支持装置のシェルに形成されてもよく、この従順な縁部または縁部部分は、シェルの縁部を膝支持装置の着用者の解剖学的構造に一致させるためにシェルの周囲に設けられている。
【0138】
図41ないし図43による基部の具体例は、また、シェルへの取着のために(図42に示されるように)ノブを受入れるように配置された穴533の配列を有している。これらの穴533の各々は、ノブに摩擦的に取着するリム535を有している。この穴の配列により、ノブをこれらの穴のうちの1つに入れてシェルとラッチ529との連結距離を効果的に長くしたり短くしたりすることができる。
【0139】
図44は、ラダーストラップ539の他の具体例と組付けられた基部528を示している。この組立体では、ノブ538は、穴533のうちの1つの中に取着される。ラダーストラップ539は、その歯541を確認するための複数の印542を有している。また、ラダーストラップ539は、把持要素545と反対の端部に位置された複数の孔543を有している。これらの複数の孔543は、押しストラップを取着するねじ部、リベットまたは他の留め手段を支持するように配置されている。
【0140】
図45は、図22の近位シェルに取着された図44のラチェット組立体を示している。この実施の形態では、ノブ538は、スロット444のリム445に取着されている。スロット444におけるノブ538の取着により、従って、フレーム422により、ラチェット組立体の基部528に係合しているラダーストラップ539に連結されている押しストラップ546の締付けを可能にしている。図示のように、基部528は、ノブ538がスロット444を通って突出し、リム445に取着することができるように、フレーム422の下に延びている。
【0141】
図46ないし図48は、図44にラチェット組立体についての幾つかの特徴を共有しているラチェット組立体を例示しており、更に、ラダーストラップ539を基部528の近くに維持するための取付け装置を有している。この例では、取付け装置は、ラダーストラップ539が基部528に沿って長さ方向に形成されたスロット576を通って延びるピン572を形成するようなピン/スロット装置よりなる。ピン572は、スロット576より大きく寸法決めされているフランジ付き部分を有しており、そしてスロットの前端部に配置された開口部578を通って嵌合するようになっている。
【0142】
また、ラダーストラップ539は、押しストラップへの取付けのための適当な孔582を持つ上昇部分574を有している。この構成は、力を整合させてより大きい安定性をもたらすように、ストラップがラダーストラップ539の歯541と概ね平行に設けられると言う点で有利である。
【0143】
取付け装置は、特に、ラダーストラップ539が基部528に極めて近接したままであり、基部のラチェット留めを容易にするようにするために設けられている。これは、ラダーストラップが成形されない場合、基部が患者の脚部に一致するように注文成形される場合に特に有利である。もちろん、この具体例は、単に取付け装置の代表例であり。ラダーストラップを基部に対して、従って膝支持装置の着用者の脚部に対して効果的に安定化するために、他の取付け装置が使用されてもよい。
【0144】
図49は、本願の膝支持装置に使用されてもよい締付け装置の他の変形例を示している。この具体例によれば、押しストラップ20は、スリーブ12の外側或はフレーム部材に上に設けられており、押しストラップは、ラダーストラップ142に連結されている端部のところでブラケット146に取着されている。ラダーストラップ142は、複数の横方向の歯または突出部144を規定している。スリーブ12またはフレーム部材には、ラッチ140が、図36の具体例と同様な方法で取付けられており、このラッチ140は歯144に係合している。この具体例は、ストラップがスリーブに対して締付けられる各位置のための印を示していないが、歯は、短くされてもよく、そしてラダーストラップ142の幅より小さい幅を有している。印が、ラダーストラップの各歯に沿って設けられてもよい。
【0145】
更に他の変形例によれば、ループ材が、ストラップに取着されており、フック材が、対応するシェルに取着されている。変更例として、複数のリングが、シェルに設けられており、押しストラップは、これらのリングを通っている。押しストラップは、互いに対応していて、押しストラップを適所に維持するフックおよびループ部分を有している。
【0146】
膝支持装置の異なる実施の形態に使用されてもよい締付け装置の商業的な例としては、スチームスプリングのBOAテクノロジー社のBOAレーシング装置があり、或は製品番号1’’メカニカルクローシャーシステム(部品番号RB502&LS118-WB)としてウイノスキー、VTのM2社により販売されているラダーストラップとの組合せのラチェット留めバックルがある。
【0147】
締付け装置に関する具体例のいずれかにおいて、締付け装置は、漸増式であってもなくてもいずれにせよ、押しストラップの精密調整を行い、そして押しストラップの引張り応力に耐えるのに十分な頑丈な構成を有することが意図されている。フック/ループ留め具装置、バックル、ストラップ、コードおよびラチェットの異なる構成が、押しストラップの簡単な調整および効果的な調整を行うように締付け装置に使用されるものと明らかに想像される。
【0148】
viii.ストラップ取付け部材
ストラップ取付け部材560の具体例が、図50ないし図52に示されている。この具体例によれば、部材560は、概ね三角形のボディ562を有しており、このボディ562の第1の端部には、ノブ564が形成されている。このノブ564は、フレーム部材のスロットのうちの1つ、例えば、図22のスロット446にノブ564を取着し易くするテーパー状の頭部分572を有している。
【0149】
ボディ562の第2端部と第3端部との間には、複数の孔566が規定されている。これらの孔566の各々は、ノブ564を有するボディ562の側から始まって好ましくはボディ562の反対側までのテーパー状の部分568を有している。このテーパー状の部分568は、ストラップを部材560に取着するために使用可能な縫い合せ、リベット、ピンまたは他の適当な手段により圧力がボディに及ぼされ易くしている。
【0150】
図7および図8における支持装置に戻ると、この支持装置は、安定ストラップ28,30を連結するバックル組立体32、33を有している。これらのバックル組立体32、33は、一般に、スリーブから大きく突出しないように低い輪郭を有するのが好適である。しかも、バックル組立体は、解剖学的に位置する形状を有し、且つ安定ストラップ脚部にしっかり取着するのに十分な梃子作用をもたらしながら、使用が比較的簡単であるべきである。
【0151】
ix.バックル組立体
図53ないし図55に示されるバックル組立体の具体例では、安定ストラップ28、30をシェル40、42に対して適所に係止する低い輪郭のバックル組立体がもうけられている。この具体例は、ストラップ20に取着し、且つレバーボディ154に摺動可能に係合する前端部152を有するアーム150につながるブラケット148を有している。アーム150は、レバー要素154により規定された隙間160を通って延びており、そして突出要素158を有しており、これらの突出要素158は、レバーボディ154の縁部と係合してレバーボディ154の後端部164から延びている隙間160を規定している。レバーボディ154の構成およびこれとアームとの関係の結果、アーム150は、レバーボディ154に摺動可能に連結される。
【0152】
レバーボディ154の後端部164には、基部要素156が回動可能に連結されている。この基部要素156は、アーム150の突出要素158を受入れるように構成されている受入れ穴162と、シェル40、42のうちの一方に取着するための係止特徴158とを有している。この具体例によれば、係止特徴は、頭部分168を有するボタンボディであり、頭部分168は、ボタンボディの残部より大きい直径を有している。頭部分168は、シェル40、42に規定されたアイレット62のシート部分64より大きい直径を有することが意図されている。
【0153】
レバー要素154は、図53に示される係合解除位置と、図55に示される係合位置との間で回動可能である。図54は、係合解除位置と係合位置との間の中間位置を示している。係合位置では、レバー要素154の前端部166は、基部要素156の表面170に寄せられ、アーム150は、突出要素158が基部要素156の受入れ穴162と係合された状態で表面170に静止している。
【0154】
好ましくは、突出要素158は、受入れ穴162に弾性的に押し入れられる。係合解除位置では、レバーボディ154は、基部要素の表面170から離れる方向に回動され、突出要素158は、受入れ穴162から取出される。アーム150は、レバーボディ154の前端部166と後端部164との間に位置されてもよく、ピン(図示せず)が、連結部に位置されてもよい。
【0155】
ブラケット148は、ストラップ20が通るためのリング172を有している。この具体例では、ストラップ20は、その端部分174をその受入れ部分176に取着させるフック/ループ装置を有している。使用者が、バックル組立体を取着する前にフック/ループ装置を使用してストラップの近似的な所望の長さを設定し得る。次いで、膝支持装置を脚部にしっかり設置して取着するように、バックル組立体が係合位置に設置される。
【0156】
バックル組立体は、これが支持装置の着用者の脚部に一致するような湾曲輪郭を有している。これにより、流線形のバックル組立体をもたらし、更にバックル組立体が衣類に絡まったり、或は支持装置の着用者に対する障害物として作用したりすることを防ぐ。
【0157】
図56ないし図58に示されるバックル組立体の他の変形例では、一体化されたバックル/ブラケット組立体188が設けられている。この変形例では、基部要素193およびブラケットボディ191は、互いに一体に連結されており、この結果、部品の量を減少させ、且つシェルに対するブラケットおよびバックルの取付けを簡単化している。
【0158】
ブラケット組立体の他の変形例と同様に、ブラケットボディ191は、ストラップを受入れるために配置された隙間192を有している。組立体188のバックル部分は、これが基部要素189、レバーボディ190、アーム193、突出要素197、および隙間192を有するブラケット191のような共通の特徴を有すると言う点で図53ないし図55の具体例におけるように同様に構成されている。
【0159】
バックル/ブラケット組立体188は、基部要素189およびレバーボディ190の端部分に位置される取着特徴を有している。詳細には、基部要素189は、レバーボディ190から形成されたフック199が取着する凹部198を有している。フック199は、凹部198の中へ延びて基部要素189に押し当たるように付勢されている。また、フック199は、レバーボディ190が基部部分189から離れる方向に押されるときに偏向することができるように弾性である。
【0160】
図59に示されるバックル組立体の更に他の変形例では、締付け部材178が、安定ストラップ179を支持装置181に締付ける。この変形例によれば、ストラップ179の第2の側部分185が、支持装置181の一方の側部分に取着されており、ストラップ179の第1の側部分183が締付け部材178に取着している。締付け部材178は、支持装置181に回動可能に連結されていて、支持装置181の外面187に押し当てられるように配置されている。ストラップ179の第2の側部分185は、締付け部材178から取外し可能であり、そしてフック/ループ留め具装置で締付け部材178と共に取着されてもよい。
【0161】
バックル組立体は、プラスチックまたは強化複合体から構成されてもよい。プラスチック構成は、突出要素が基部要素の受入れ穴を従順的に通るのに十分な弾性をもたらす。しかも、プラスチックバックル組立体は、支持装置の重量を減少させ、そして支持装置の使用者の脚部に対していくらかの従順性を有している。TRIAX系バックル組立体のようなバックル組立体を炭素含有量で補強することが可能である。複合体系のバックル組立体の他の例としては、補強用炭素を有するデルロンまたはナイロン、KEVLARまたはガラス繊維で構成されるバックル組立体がある。
【0162】
バックル組立体が、また、アルミニウムまたはチタン合金のような金属から構成される部品を有してもよいことはわかるであろう。金属部品は、優れた強さを与え、そして十分に軽量であり得る。このような金属系のバックル組立体では、突出要素は、これらを取囲んでいて、基部分の受入れ穴を通して設置されるのに十分な圧縮特性を持つ弾性のO-リングを有する金属構成要素であってもよい。もちろん、このような具体例では、金属突出部品は、好ましくは、受入れ穴の直径より小さい直径を有している。
【0163】
安定ストラップを支持装置に取着するために、前述のバックル組立体の変形例が使用されてもよい。これらの変形例としては、ストラップがリベットでバックル組立体に留められ、リングがバックル組立体と反対のスリーブの側に設けられる具体例がある。ストラップの長さは、ストラップに設けられたフック/ループ装置で簡単に調整されてもよい。
【0164】
前述のバックルおよび締付け装置の変形例では、締付け装置は、シェルに直接連結される代わりにバックルに取着されてもよい。これにより、バックルがストラップの両端部を制御することができる。
【0165】
本発明のバックル組立体で膝支持装置を着けるための1つの方法によれば、この方法は、下記の工程で行われる。まず、1つのストラップが対応するバックル組立体に取付けられ、かくして2つとは対称的に、たった1つの連結を必要とする。次に、初めの取付け中、バックル組立体をシェルに連結し、次いで係止する。着用者の脚部を伸展し、次いで押しストラップをその長さが調整可能であるように調整する。この結果、脚部のサイズが変化しないかぎり、或は或る他の理由で、各着用中に押しストラップの長さを調整する必要性がなくなる。従って、バックル組立体に対応する安定ストラップもまた調整される。量バックル組立体をシェルに連結し、残りの未取着の押しストラップおよび安定ストラップを締付ける。
【0166】
膝の無負荷化は、着用者が膝を曲げることにより屈曲させ、押しストラップを対応する締付け装置で締付けることにより行われる。着用者が膝支持装置を着用し終わると、押しストラップを解放し、バックル組立体を開く。次いで、バックル組立体をシェルから取外し、引き続き、支持装置を取外す。
【0167】
繰る返し使用すると、膝を無負荷化するために締め付け装置による以外、安定ストラップおよび押しストラップを調整する必要がなく、安定ストラップおよび押しストラップのすべてはすでに構成されている。変更例として、着用者は、押しストラップの張りを単に解放し、バックル組立体を外し、そして膝支持装置を脚部から滑り外してもよい。いずれの方法でも、この構成は、膝支持装置を脚部に簡単に着けるのを図っており、且つ膝支持装置の取着および取外しをはかどらせる。
【0168】
x.ヒンジ
膝支持装置の他の特徴では、図60は、前述の実施の形態のうちのいずれかの実施の形態の押しストラップ装置256との組合せでヒンジ252を有する支持装置250を概略的に示している。ヒンジ252は、フレーム部材254相互間に延びており、そして膝の患部と同じ側で押しストラップ装置の交差部258と反対側に位置されている。
【0169】
好ましくは、ヒンジ252は、頸骨の過伸展および前方引張りを制御するための屈曲/伸展止め特徴を有している。ヒンジは、使用者または医師がヒンジの内反/外反角度を調整することができる調整機構を有してもよい。
【0170】
図60の支持装置に使用するためのヒンジ260の1つの変形例が図61に示されている。このヒンジ260は、一般に、軽量であって、概ね低い輪郭を有するように、プラスチックまたは補強複合体から構成されている。ヒンジ260は、フレーム部材254への連結のために設けられている可撓性のブラケット262を有している。近位および遠位アーム264、266の第1の端部が、対応するブラケット262につながっている。これらのアーム264、266の第2の端部が、概ね円形のギア部分272、274を有する頭部268、270を規定している。これらの頭部268、270は、ギア部分272、274が互いに噛み合うように、ハウジング280の軸276、278のまわりに回動可能に設けられている。
【0171】
各頭部268、270には、第1および第2のストッパ構造体282、286が設けられている。第1のストッパ構造体282は、ヒンジ260の前側に位置され、且つ支持装置の前方方向におけるヒンジ260の回転を制限するためにハウジング280の側面284に接触するように配置されている。頭部の第2のストッパ構造体286は、ヒンジのほぼ前側に形成されており、且つ支持装置の後方向における回転を制限するために配置されている。
【0172】
孔288が、頭部268、270が回転するときのストッパ構造体の経路に沿ってハウジング280に設けられてもよい。これらの孔は、ねじまたはピンを受入れるようになっている。ねじまたはピンは、ヒンジの回転を更に制限するために第1および第2のストッパ構造体のうちの一方をブロックするか或はそれに係合するように設けられている。
【0173】
ヒンジの変形例では、図62は、ヒンジ260の構成と異なるアーム構成を有するヒンジ301を示している。この変形例によれば、アーム303、305には、対応する頭部315、317が一体に形成されている。また、アーム303、305の各々は、膝支持装置の遠位および近位シェルの形状に順応するか、或は対応するように輪郭決めされている。
【0174】
図60は、近位および遠位シェル309、311に連結されたヒンジ301を示している。この変形例では、ヒンジ301は、頭部315、317を覆う面板319を有している。アーム303、305は、脚部に概ね順応するように曲げられる。また、アーム303、305は、ピンまたはボタン313を介して夫々のシェルに取着されている。
【0175】
ヒンジ301は、図60におけるシェル309、311に解放可能に取着可能であってもよい。ボタン313は、開口部321に挿入可能であり、且つ図45のフレーム422におけるスロット444と同様であるスロット部分(図示せず)またはここに記載の他のフレームのスロットに係止されるように構成されている。
【0176】
他の変形例によれば、取外し可能なヒンジは、一連の対応するスナップ留め具または他の適当な留め具装置でシェルに取着されてもよい。シェルは、特に、自己刺し式留め具を受入れることができる孔を有するように構成されてもよい。取外し可能なヒンジによれば、着用者は、強い脚部の動きおよびより大きい安定性のためにヒンジを使用することができ、またより普通の使用、より大きい快適性およびより流線形の支持装置のためにヒンジを除去することもできる。
【0177】
ヒンジは、膝関節の安定化および制御のために支持装置の動作および角方向の変位を制御する。好ましくは、ヒンジは、薄い輪郭を有しており、そしてプラスチック、複合材料または金属のような軽量の材料で構成されている。他のヒンジと異なって、このヒンジは、調整機構を有していない。何故なら、押しストラップ256が膝をヒンジに引き当てるやいなや、ヒンジは、その可撓性により膝から離れる方向に偏向するからである。
【0178】
ボーテル、WAのジェネレーションIIUSA、Corp.に現在譲渡されている米国特許第5,277,698号に記載のヒンジ、またはボーテル、WAのジェネレーションIIUSA、Corp.に譲渡されている米国特許出願公報第2004/0002674A1号および第2004/0054311A1号に記載の解剖学的に奇形のヒンジのような他のヒンジの種類が、用いられてもよい。この特許およびこれらの出願公報は参照によりここに組み入れられる。
【0179】
膝の中央側部分および横側部分の両方を安定化するように構成されている膝支持装置330の他の実施の形態が図63に示されており、この実施の形態によれば、押しストラップ332、334は、支持装置330の両側のまわりに延びるように構成されている。これらのストラップ332、334の各々は、ここに記載の前述の変形例のうちのいずれかよりなってもよいフレーム部材336につながっている。
【0180】
この実施の形態では、押しストラップ332、334は、膝の両側に等しい圧力を加えるように設けられている。構成に応じて、一方の押しストラップは、膝の近位の横側部分に沿って延びており、他方の押しストラップは、膝の遠位の中央側部分に沿って延びている。この実施の形態は、膝に与える安定性により靭帯損傷または疾患を治療するために特に有用である。
【0181】
図61および図62と関連して論述された種類のようなヒンジまたは対向されたヒンジ340、342もまた、この実施の形態で膝を更に安定化するために用いられてもよい。
【0182】
xi.別の膝支持装置の実施の形態
図64は、本発明による膝支持装置210の他の実施の形態を示している。この支持装置210は、共に装置210の前側に位置されていて、装置210の横部分と中央部分との間に延びている近位フレーム部材212および遠位フレーム部材214を有している。これらのフレーム部材212、214の両方は、接面用の前面および後面を有している。連結部材216が、これらのフレーム部材212、214を連結している。フレーム部材212、214には、押しストラップ218が連結されており、この押しストラップ218は、フレーム部材212、214相互間に位置された交差領域224で交差する第1および第2ストラップ部分220、222を規定している。
【0183】
交差領域224は、一般に、図7ないし図10の実施の形態における交差領域と同じ領域に規定されている。しかも、フレーム部材212、214に対する押しストラップ218の位置は、図7ないし図10の実施の形態に関連して説明されたものと同様である。
【0184】
第1のストラップ部分220の第1の端部は、近位フレーム部材212に固定されており、そして遠位フレーム部材214に向けて螺旋状になっている。複数のストラップガイド226が、押しストラップ218を遠位部材214の外面に沿って案内し、そして押しストラップ218を近位部材212に向けて再指向させている。第2のストラップ部分222は、遠位部材214から出て、近位部材212に向けて延びながら、第1のストラップ部分220と交差している。
【0185】
第2のストラップ部分222の第2の端部が、コード230に連結されたブラケット228に取着されている。コード230は、近位部材212に取着されたいるここに記載の種類のうちのいずれかの種類の締付け装置232により受けられている。この締付け装置232は、前述の実施の形態と関連して述べられたように、押しストラップ218を漸増的に張り、且つ押しストラップの張りの解放を選択的に許容するように設けられている。第2のストラップ部分222と締付け装置232との間の連結部は、第1のストラップ部分220と第2のストラップ部分222との間の交差領域224のところで好適な配向を得るように所定の方向に配向されている。
【0186】
近位および遠位スペーサ234、236が、フレーム部材212、214にそれぞれ、それらの内面に沿って連結されている。前述のスペーサと同様に、これらのスペーサ234、236は、皮膚または衣類に対する高い摩擦係数を持つ被膜を有している。皮膚または衣類に付けられると、摩擦スペーサ234、236は、皮膚または衣類に対する膝支持装置10の移動を阻止する。
【0187】
近位部材212は、その対向された横側部分と中央側部分との間に取着されて延びている安定ストラップ238を有している。遠位部材214は、同様に、その対向された横側部分と中央側部分との間に取着されて延びている安定ストラップ240を有している。近位および遠位ストラップ238、240は、好ましくは、夫々のフレーム部材212、214の中央側部分および横側部分に連結するためにフック/ループ留め具装置を有している。
【0188】
図64の実施の形態によれば、フレーム部材212、214は、剛性の部材であってもよいし、或は可撓性の部材であってもよい。しかも、フレーム部材212、214は、図18および図19のシェルについて述べられた方法で有孔であってもよいし、或は通気性を有するようにされてもよい。しかしながら、膝支持装置の変形例では、フレーム部材は、押しストラップ218により生じられる膝に対する力に耐えるのに十分に強いが、膝支持装置の使用者に快適性をもたらすのに十分に従順性である軟質の材料で構成されてもよい。
【0189】
連結要素216は、近位および遠位部材212、214の両方に連結しているリングである。連結要素216は、リング状構造体に限定されなく、その代わり、歩行中、膝のキャップにわたって十分な曲がりを与えながら、フレーム部座i212、214を離れて維持するのに十分である適当な構造および強さを有する任意の形状で設けられてもよい。
【0190】
連結要素は、好ましくは、フレーム部座i212、214を離れて維持するのに十分なジュロメーター硬度(すなわち、10)および十分な堅さを有する中間グレードのシリコーンで構成されている。変更例として、連結要素216は、EVAからの堅い発泡体、プラステゾートまたはポリウレタンで構成されてもよい。
【0191】
変形例では、支持装置の中央側部分または横側部分のうちの一方に設けられた少なくとも1つのヒンジが、連結要素の代わりをしてもよいし、或は連結要素との組合せで設けられてもよい。
【0192】
締付け装置232は、押しストラップ218を締付けるために使用される前述の装置のうちの任意の1つを有してもよい。しかも、押しストラップ218および安定ストラップ232は、図7ないし図10の実施の形態と関連して述べられた前述の方法のうちのいずれか1つでシェルに設けられてもよい。
【0193】
xii.追加の特徴
膝支持装置の前述の実施の形態と関連して、追加の特徴が使用されてもよい。
【0194】
1つのこのような特徴としては、膝に及ぼされる力を測定するために押しストラップに連結されるロードセルがある。この特徴によれば、ロードセルが、第1および第2に押しストラップに連結されている。これらのロードセルは、膝に加えられた圧力を監視し、そして圧力読み値を接続部を介して締付け装置に中継する。この実施の形態による締付け装置は、押しストラップを締付けるか或は解放することによって締付け装置を漸増的に調整する駆動モータ(図示せず)を備えている。
【0195】
もちろん、この実施の形態は、2つのロードセルの必要に限定されなく、クロスストラップにより生じられる膝に対する圧力を定めるために、1つまたは多数のロードセルが使用されてもよい。
【0196】
締付け装置のこの特徴は、ストラップの正確な張り調整により特定の使用者を治療することができるので、特に有利である。所定のパラメータは、使用者のための用量必要量の範囲を含む。これらの用量必要量は、使用者が膝の区画的変形性関節症を無負荷化するのに必要とされる力を含む。例えば、1用量が無負荷化の約3Nmに等しい。この例では、最大の無負荷化は、12Nmであり、従って、4用量は、膝の最大の無負荷化を与える。ロードセルは、使用者のための用量必要量を設定することができる矯正医による取付け工程中に使用者用に構成されてもよい。
【0197】
他の変形例では、ロードセルは、膝支持装置および締付け装置と一体化されてもよい。その場合、ロードセルにより得られるデータは、歩行サイクル中、クロスストラップのいける張りを変化させるために締付け装置により使用されることができる。この変形例によれば、特定の時点における歩行の段階を定めるために、加速度計装置が必要とされる。これは、斜面または丘を歩いて登るまたは降りるとき、或は階段を上がるまたは下りるときに特に有用であることができる。何故なら、膝は、かかる歩行段階中、ストラップがよりぴんと引っ張られるように、屈曲状態のときに重量を支えるからである。
【0198】
膝支持装置の実施の形態との組合せで使用されてもよい他の特徴では、押しストラップおよび安定ストラップの追加のクッション作用および取付けをもたらすための膨らまし可能なブラダー装置が使用されてもよい。図示のように、押しストラップには、脚部に緩和を与えるためにポンプに連結された複数のブラダーが設けられている。これらのブラダーは、特に、押しストラップが膝に最大の圧力を加える脚部の近位および遠位位置で押しストラップに位置されている。
【0199】
操作にあたり、押しストラップを僅かな張りで膝に付ける。ブラダーが膨らまされると、押しストラップは、ブラダーの大きさの増大により膝を覆って締まる。ポンプは、ブラダーを膨らましたり、萎ませたりし得る。ポンプは、押しストラップと一体化されてもよいし、或は押しストラップから遠くに位置されてもよい。
【0200】
膝支持装置のクロスストラップとの組合せで使用されてもよいポンプおよびブラダー装置の例が、チコピーMAのディエレクトリックスインダストリーズに譲渡された米国特許第5,022,109号および第6,598,250号(これらは参照によりここに組み入れられる)に記載されている。
【0201】
かくして、本発明による前述の膝支持装置の種々の実施の形態は、痛みを減少させ、治癒工程を速め、且つ膝に改良された安定性を与える製品を提供する。この膝支持装置は、軽量であり、そして種々の年齢層の支持装置の着用者にとって使用が簡単である流線形の輪郭を有している。しかも、膝支持装置は、そのより正確な調整を行うことができ、膝支持装置が構成されるべきである程度に関して医療専門家と使用者との間の効率的な協調を可能にする。患者の快適性もまた高められ、且つ本膝支持装置の新規な特徴で、支持装置の着用および取外しが容易にされる。
【0202】
もちろん、本発明の任意の特定の実施の形態により、必ずではないが、このような目的または利点のすべてが達成され得ることは理解されるであろう。かくして、例えば、当業者は、ここに教示されるか或は提案されるような他の目的または利点を必然的に達成することなしに、ここに教示されたような1つの利点または利点群を達成するか或は最適化する方法で本発明が具体化されるか或は実施され得ることを認めるであろう。
【0203】
熟練技師は、異なる実施の形態からの種々の特徴の交換性を認めるであろう。ここに記載の変形例に加えて、本発明の原理による膝支持装置を構成するために、各特徴についての他の公知の同等な特徴が、この業界における普通の熟練者により組み合わせられることができる。
【0204】
従って、本発明を或る好適な実施の形態および例に関連して開示したが、当業者によれば、本発明が、特定的に開示された実施の形態を超えて、本発明の他の別な実施の形態および/または用途およびその明らかな変更例および同等例まで及ぶことは理解されるであろう。かくして、ここに開示された本発明の範囲は、前述の特定な開示された実施の形態により限定されるべきでないが、請求項を構成に読むことにより定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】従来技術の膝支持装置を使用して脚部に加えられる力の概略図である。
【図2】図1の従来技術の膝支持装置により脚部に加えられた回転力を示す図である。
【図3】前-後、近位-遠位および横方向−中央の平面に沿って分割された膝支持装置の実施の形態の斜視図である。
【図4】横方向−中央および近位−遠位の平面に沿って分割された図3の実施の形態の正面立面図である。
【図5】前-後および近位-遠位の平面に沿って分割された図3の実施の形態の側立面図である。
【図6】前-後および横方向−中央の平面に沿って分割された図3の実施の形態の頂平面図である。
【図7】本発明の膝支持装置の実施の形態の斜視図である。
【図8】図7の実施の形態の正面立面図である。
【図9】図7の実施の形態の中央側立面図である。
【図10】図7の実施の形態の横方向側立面図である。
【図11】スリーブの無い図7の実施の形態の分解図である。
【図12】図7に示される支持装置を使用して脚部に加えられた力の概略図である。
【図13】図7の支持装置により脚部に加えられた回転力を示す図である。
【図14】図7の支持装置において膝の外方に加えられる場合を大まかに示す図である。
【図15】図14の線XV-XVに沿った断面図である。
【図16】押しストラップの変形例の斜視図である。
【図17】安定ストラップの変形例の斜視図である。
【図18】図11の近位シェルの詳細斜視図である。
【図19】図11の遠位シェルの詳細斜視図である。
【図20】図11の破断部XX-XXの詳細斜視図である。
【図21】約180°大まかに回転された図20の詳細斜視図である。
【図22】近位シェルの他の変形例の正面立面図である。
【図23】遠位シェルの他の変形例の正面立面図である。
【図24】従来のフレーム部材および図7における支持装置の近位シェルを横切る圧力分布を示す力の図である。
【図25】従来のフレーム部材および図7における支持装置の近位シェルを横切る圧力分布を示す力の図である。
【図26】従来のフレーム部材および図7における支持装置の近位シェルを横切る圧力分布を示す力の図である。
【図27】従来のフレーム部材および図7における支持装置の近位シェルを横切る圧力分布を示す力の図である。
【図28】図7のスリーブの正面斜視図である。
【図29】図7のスリーブの後面斜視図である。
【図30】膝支持装置用のスリーブの具体例の正面立面図である。
【図31】図30のスリーブの特徴の斜視図である。
【図32】図13の線XXXII-XXXIIに沿った断面図である。
【図33】膝支持装置の実施の形態における締付け装置の変形例の斜視図である。
【図34】図33による締付け装置の平面図である。
【図35】図33による締付け装置の概略平面図である。
【図36】膝支持装置の実施の形態における締付け装置の他の変形例の斜視図である。
【図37】締付け装置の更に他の変形例の斜視図である。
【図38】図37の締付け装置の立面図である。
【図39】図37の締付け装置の後面立面図である。
【図40】図37の締付け装置の正面立面図である。
【図41】図37の締付け装置の基部の変形例の斜視図である。
【図42】図41における基部の頂平面図である。
【図43】図41における基部の立面図である。
【図44】図41における基部を有する締付け装置の他の変形例の斜視図である。
【図45】図22のシェルに取着された図44による締付け装置の斜視図である。
【図46】締付け装置の他の変形例の立面図である。
【図47】図46による締付け装置の頂平面図である。
【図48】図46による締付け装置の底平面図である。
【図49】膝支持装置の実施の形態における締付け装置の他の変形例の斜視図である。
【図50】ストラップ取付け部片の具体例を示す図である。
【図51】ストラップ取付け部片の具体例を示す図である。
【図52】ストラップ取付け部片の具体例を示す図である。
【図53】膝支持装置のバックル組立体の変形例の斜視図である。
【図54】膝支持装置のバックル組立体の変形例の斜視図である。
【図55】膝支持装置のバックル組立体の変形例の斜視図である。
【図56】バックル組立体の他の変形例の頂平面図である。
【図57】図56の底平面図である。
【図58】図56のバックル組立体の斜視図である。
【図59】バックル組立体の他の変形例の斜視図である。
【図60】膝支持装置の他の実施の形態の概略斜視図である。
【図61】膝支持装置用のヒンジの変形例の立面図である。
【図62】ヒンジの他の変形例の立面図である。
【図63】膝支持装置の他の実施の形態の概略斜視図である。
【図64】膝支持装置の他の実施の形態の概略斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方平面により前側部分と、後側部分とに分割されており、そして中央平面により分割された第1および第2の側部分を有する膝支持装置であって、
近位部材と、
遠位部材と、
長さが調整可能であり、前記近位部材の第1の側部分に連結された第1の端部と、前記遠位部材の第1の側部分に取着された第2の端部とを有していて、前記近位部材の第1の側部分から前記遠位部材の第1の端部まで膝支持装置の後および前側部分のまわりに螺旋状になっている第1のクロスストラップと、
長さが調整可能であり、前記近位部材の第1の側部分に連結された第1の端部と、前記遠位部材の第1の側部分に連結された第2の端部とを有していて、前記遠位部材の第1の側部分から前記近位部材の第1の端部まで膝支持装置の後および前側部分のまわりに螺旋状になっている第2のクロスストラップと、具備しており、
前記第1および第2のクロスストラップは、近位部材と遠位部材との間に位置される交差点で交差している、膝支持装置。
【請求項2】
前記交差点は、支持装置の前方平面の後方の位置に規定されている、請求項1に記載の膝支持装置。
【請求項3】
前記第1および第2のクロスストラップは、実質的に非弾性である、請求項1に記載の膝支持装置。
【請求項4】
前記第1および第2のクロスストラップは、各々、実質的に圧縮可能なコアと、この圧縮可能なコアを取囲む織物でできた外層とを有している、請求項1に記載の膝支持装置。
【請求項5】
前側半体と、後側半体とに分割された膝支持装置であって、
近位部材と、
遠位部材と、
長さが調整可能であり、前記近位および遠位部材に連結された少なくとも1つのクロスストラップと、を具備しており、この少なくとも1つのクロスストラップは、前記近位部材と前記遠位部材との間に位置される交差点で交差している第1および第2の部分を有しており、
前記交差点は、支持装置の前方の位置に規定されている、膝支持装置。
【請求項6】
前記の少なくとも1つのクロスストラップは、実質的に非弾性である、請求項5に記載の膝支持装置。
【請求項7】
前記の少なくとも1つのクロスストラップは、実質的に圧縮可能なコアと、この圧縮可能なコアを取囲む織物でできた外層とを有している、請求項5に記載の膝支持装置。
【請求項8】
膝関節のまわりで脚部に位置決め可能な膝支持装置であって、
脚部の後側の第1の側部分において、脚部の第2の側部分と概ね反対の側で膝関節のそれぞれ上および下の2つの個所で膝に係合するための少なくとも1つのストラップを具備しており、
前記の少なくとも1つのストラップは、長さが調整可能であり、そして膝が伸展状態へ動くにつれて支持装置により発生される主な力を、膝を脚部の第2の側部分に向けて押すように、脚部の第1の側部分に加えるように構成されている、膝支持装置。
【請求項9】
前記の少なくとも1つのストラップは、実質的に圧縮可能なコアと、この圧縮可能なコアを取囲む実質的に非弾性の織物でできた外層とを有している、請求項8に記載の膝支持装置。
【請求項10】
近位および遠位部材を更に具備しており、前記の少なくとも1つのストラップは、前記近位部材と遠位部材との間に位置された交差点で交差している2つの別個のストラップを有している、請求項8に記載の膝支持装置。
【請求項11】
前記交差点は、支持装置の前方平面の前方に0°より大きく且つ45°またはそれ未満の位置に規定されている、請求項8に記載の膝支持装置。
【請求項12】
前方平面により前側部分と後側部分とに分割されており、そして中央平面により分割された第1および第2の側部分を有する膝支持装置であって、
フレームと、
前記フレームに連結されており、且つ前記第1および第2の側部分の少なくとも一部を横切って延びていて、中央平面に対して斜めに配置された少なくとも1つのクロスストラップと、
前記フレームに連結されており、且つ前記の少なくとも1つのクロスストラップを所定の設定値に漸増的に張ったり、前記の少なくとも1つのクロスストラップにおける張りを解放したりするように構成されている締付け機構と、を具備しており、前記の少なくとも1つのクロスストラップの第1の端部は、この締付け機構に係合している、膝支持装置。
【請求項13】
前記締付け機構は、
前記フレームに取着された下側支持体と、
戻り止めを備えた頭部と、この頭部の両側および前記下側支持体に連結する第1の端部分を有する一対のアームとを形成しているラッチと、
第1および第2の端部分と、これらの第1の端部分と第2の端部分との間に位置された複数の歯とを有する細長いストラップマウントと、を具備しており、前記第1の端部は、前記の少なくとも1つのクロスストラップの第1の端部に連結されており、前記ストラップマウントは、前記フレームと前記ラッチとの間に位置されており、
前記頭部は、前記ストラップマウントの複数の歯に対して回動可能であり、前記戻り止めは、前記アームにより前記細長いストラップの歯に向けて弾性的に付勢されている、請求項12に記載の膝支持装置。
【請求項14】
前記ストラップマウントの第2の端部分には、把持要素が形成されている、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項15】
前記ラッチは、アームの各々の第2の端部分に位置されていて、前記下側支持体に連結している上側支持体を形成している、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項16】
前記細長いストラップは、前記の少なくとも1つのクロスストラップにおける張りの程度を示す印を有している、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項17】
前記下側支持体は、第2の端部分を規定していて、前記ストラップマウントの長さより実質的に大きい長さを有している細長い部分を有している、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項18】
前記ストラップの第1の端部は、前記下側マウントにより規定された幅より大きい幅を有するフレアー状部分を有している、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項19】
前方平面により前側部分と後側部分とに分割されており、そして中央平面により分割された第1および第2の側部分を有する膝支持装置であって、
フレームと、
前記フレームに連結されており、且つ前記第1および第2の側部分の少なくとも一部を横切って延びていて、中央平面に対して斜めに配置された少なくとも1つのクロスストラップと、
前記フレームに連結されており、且つ前記の少なくとも1つのクロスストラップを漸増的に張ったり、前記の少なくとも1つのクロスストラップにおける張りを解放したりするように構成されていて、前記の少なくとも1つのクロスストラップの第1の端部が係合している締付け機構と、
フレームに連結されていて、前記の少なくとも1つのクロスストラップの張り設定値を表す指示特徴を有している用量計と、を具備している膝支持装置。
【請求項20】
前記指示特徴は、前記締付け機構に設けられた印を有している、請求項19に記載の膝支持装置。
【請求項21】
前記締付け機構は、前記の少なくとも1つのクロスストラップの長さの漸増的な調整を行う回転ラチェット装置を有している、請求項19に記載の膝支持装置。
【請求項22】
前記締付け機構は、前記の少なくとも1つのクロスストラップの長さの漸増的な調整を行う線状ラチェット装置を有している、請求項19に記載の膝支持装置。
【請求項23】
前方平面により前側部分と後側部分とに分割されており、そして中央平面により分割された第1および第2の側部分を有する膝支持装置であって、
近位および遠位部分を有するフレームと、
前側部分に沿って近位フレーム部分の第1および第2の側部分にそれぞれ連結された第1および第2端部を有する安定ストラップと、
近位フレーム部分の第1の側部分に連結された第1の端部と、遠位フレーム部分に連結された第2の端部とを有しており、近位フレーム部分と遠位フレーム部分との間で安定ストラップに対して斜めに延びているクロスストラップと、
バックルを有していて、近位フレーム部分の第1の側部分に連結しているブラケット組立体と、を具備しており、
前記安定ストラップの第1の端部は、前記バックルに取付けられており、前記クロスストラップの第1の端部は、前記ブラケット組立体に連結されている、膝支持装置。
【請求項24】
前記ブラケット組立体は、前記バックルから延びている第1のアームを有しており、前記クロスストラップの第1の端部は、このアームに取付けられている、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項25】
前記バックルは、第2のアームを有しており、この第2のアームは、前記安定ストラップが取着される際に通る隙間を有している、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項26】
前記バックルは、前記第2のアームに回動可能に連結されたレバーボディを有しており、このレバーボディは、前記第2のアームに弾性的に取着するための戻り止めを有している、請求項25に記載の膝支持装置。
【請求項27】
前記バックルは、第2のアームを有しており、この第2のアームは、前記安定ストラップが取着される際に通る隙間を有しており、前記第1および第2のアームは、一体部片として形成されている、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項28】
前記ブラケット組立体は、その下側から延びているボタンを有しており、前記近位フレーム部分は、前記ブラケット組立体を前記近位フレーム部分に取着するためにボタンが通っている開口部を有している、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項29】
前記ブラケット組立体の下側は、前記近位フレーム部分の湾曲に対応する湾曲を規定している、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項30】
前記近位および遠位フレーム部分の第1および第2側部分のうちの一方に解放可能に取着されたヒンジを更に具備している請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項31】
前記ヒンジは、近位および遠位アームを有しており、これらの近位および遠位アームは、各々、それらに形成された少なくとも1つの開口部に対応する少なくとも1つのボタンを有しており、前記近位および遠位アームの少なくとも1つのボタンは、この開口部を通って延びて取着するように配置されている、請求項30に記載の膝支持装置。
【請求項32】
前記近位および遠位フレーム部分を覆うスリーブを更に具備しており、このスリーブは、ブラケット組立体間に介在されている、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項33】
前記安定ストラップの第1の端部は、前記近位フレーム部分の第1の側部分に対応してスリーブの上方に延びており、このスリーブは、前記安定ストラップの第2の端部が前記近位フレーム部分の第2の側部分に連結するために通っている開口部を有している、請求項32に記載の膝支持装置。
【請求項34】
前記クロスストラップの第1の端部は、前記近位フレーム部分の第1の側部分に対応してスリーブの上方に延びており、このスリーブは、前記遠位フレーム部分の第1の側部分に対応していて、前記クロスストラップの第2の端部が前記遠位フレーム部分の第1の側部分に連結するために通っている開口部を有している、請求項32に記載の膝支持装置。
【請求項1】
前方平面により前側部分と、後側部分とに分割されており、そして中央平面により分割された第1および第2の側部分を有する膝支持装置であって、
近位部材と、
遠位部材と、
長さが調整可能であり、前記近位部材の第1の側部分に連結された第1の端部と、前記遠位部材の第1の側部分に取着された第2の端部とを有していて、前記近位部材の第1の側部分から前記遠位部材の第1の端部まで膝支持装置の後および前側部分のまわりに螺旋状になっている第1のクロスストラップと、
長さが調整可能であり、前記近位部材の第1の側部分に連結された第1の端部と、前記遠位部材の第1の側部分に連結された第2の端部とを有していて、前記遠位部材の第1の側部分から前記近位部材の第1の端部まで膝支持装置の後および前側部分のまわりに螺旋状になっている第2のクロスストラップと、具備しており、
前記第1および第2のクロスストラップは、近位部材と遠位部材との間に位置される交差点で交差している、膝支持装置。
【請求項2】
前記交差点は、支持装置の前方平面の後方の位置に規定されている、請求項1に記載の膝支持装置。
【請求項3】
前記第1および第2のクロスストラップは、実質的に非弾性である、請求項1に記載の膝支持装置。
【請求項4】
前記第1および第2のクロスストラップは、各々、実質的に圧縮可能なコアと、この圧縮可能なコアを取囲む織物でできた外層とを有している、請求項1に記載の膝支持装置。
【請求項5】
前側半体と、後側半体とに分割された膝支持装置であって、
近位部材と、
遠位部材と、
長さが調整可能であり、前記近位および遠位部材に連結された少なくとも1つのクロスストラップと、を具備しており、この少なくとも1つのクロスストラップは、前記近位部材と前記遠位部材との間に位置される交差点で交差している第1および第2の部分を有しており、
前記交差点は、支持装置の前方の位置に規定されている、膝支持装置。
【請求項6】
前記の少なくとも1つのクロスストラップは、実質的に非弾性である、請求項5に記載の膝支持装置。
【請求項7】
前記の少なくとも1つのクロスストラップは、実質的に圧縮可能なコアと、この圧縮可能なコアを取囲む織物でできた外層とを有している、請求項5に記載の膝支持装置。
【請求項8】
膝関節のまわりで脚部に位置決め可能な膝支持装置であって、
脚部の後側の第1の側部分において、脚部の第2の側部分と概ね反対の側で膝関節のそれぞれ上および下の2つの個所で膝に係合するための少なくとも1つのストラップを具備しており、
前記の少なくとも1つのストラップは、長さが調整可能であり、そして膝が伸展状態へ動くにつれて支持装置により発生される主な力を、膝を脚部の第2の側部分に向けて押すように、脚部の第1の側部分に加えるように構成されている、膝支持装置。
【請求項9】
前記の少なくとも1つのストラップは、実質的に圧縮可能なコアと、この圧縮可能なコアを取囲む実質的に非弾性の織物でできた外層とを有している、請求項8に記載の膝支持装置。
【請求項10】
近位および遠位部材を更に具備しており、前記の少なくとも1つのストラップは、前記近位部材と遠位部材との間に位置された交差点で交差している2つの別個のストラップを有している、請求項8に記載の膝支持装置。
【請求項11】
前記交差点は、支持装置の前方平面の前方に0°より大きく且つ45°またはそれ未満の位置に規定されている、請求項8に記載の膝支持装置。
【請求項12】
前方平面により前側部分と後側部分とに分割されており、そして中央平面により分割された第1および第2の側部分を有する膝支持装置であって、
フレームと、
前記フレームに連結されており、且つ前記第1および第2の側部分の少なくとも一部を横切って延びていて、中央平面に対して斜めに配置された少なくとも1つのクロスストラップと、
前記フレームに連結されており、且つ前記の少なくとも1つのクロスストラップを所定の設定値に漸増的に張ったり、前記の少なくとも1つのクロスストラップにおける張りを解放したりするように構成されている締付け機構と、を具備しており、前記の少なくとも1つのクロスストラップの第1の端部は、この締付け機構に係合している、膝支持装置。
【請求項13】
前記締付け機構は、
前記フレームに取着された下側支持体と、
戻り止めを備えた頭部と、この頭部の両側および前記下側支持体に連結する第1の端部分を有する一対のアームとを形成しているラッチと、
第1および第2の端部分と、これらの第1の端部分と第2の端部分との間に位置された複数の歯とを有する細長いストラップマウントと、を具備しており、前記第1の端部は、前記の少なくとも1つのクロスストラップの第1の端部に連結されており、前記ストラップマウントは、前記フレームと前記ラッチとの間に位置されており、
前記頭部は、前記ストラップマウントの複数の歯に対して回動可能であり、前記戻り止めは、前記アームにより前記細長いストラップの歯に向けて弾性的に付勢されている、請求項12に記載の膝支持装置。
【請求項14】
前記ストラップマウントの第2の端部分には、把持要素が形成されている、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項15】
前記ラッチは、アームの各々の第2の端部分に位置されていて、前記下側支持体に連結している上側支持体を形成している、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項16】
前記細長いストラップは、前記の少なくとも1つのクロスストラップにおける張りの程度を示す印を有している、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項17】
前記下側支持体は、第2の端部分を規定していて、前記ストラップマウントの長さより実質的に大きい長さを有している細長い部分を有している、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項18】
前記ストラップの第1の端部は、前記下側マウントにより規定された幅より大きい幅を有するフレアー状部分を有している、請求項13に記載の膝支持装置。
【請求項19】
前方平面により前側部分と後側部分とに分割されており、そして中央平面により分割された第1および第2の側部分を有する膝支持装置であって、
フレームと、
前記フレームに連結されており、且つ前記第1および第2の側部分の少なくとも一部を横切って延びていて、中央平面に対して斜めに配置された少なくとも1つのクロスストラップと、
前記フレームに連結されており、且つ前記の少なくとも1つのクロスストラップを漸増的に張ったり、前記の少なくとも1つのクロスストラップにおける張りを解放したりするように構成されていて、前記の少なくとも1つのクロスストラップの第1の端部が係合している締付け機構と、
フレームに連結されていて、前記の少なくとも1つのクロスストラップの張り設定値を表す指示特徴を有している用量計と、を具備している膝支持装置。
【請求項20】
前記指示特徴は、前記締付け機構に設けられた印を有している、請求項19に記載の膝支持装置。
【請求項21】
前記締付け機構は、前記の少なくとも1つのクロスストラップの長さの漸増的な調整を行う回転ラチェット装置を有している、請求項19に記載の膝支持装置。
【請求項22】
前記締付け機構は、前記の少なくとも1つのクロスストラップの長さの漸増的な調整を行う線状ラチェット装置を有している、請求項19に記載の膝支持装置。
【請求項23】
前方平面により前側部分と後側部分とに分割されており、そして中央平面により分割された第1および第2の側部分を有する膝支持装置であって、
近位および遠位部分を有するフレームと、
前側部分に沿って近位フレーム部分の第1および第2の側部分にそれぞれ連結された第1および第2端部を有する安定ストラップと、
近位フレーム部分の第1の側部分に連結された第1の端部と、遠位フレーム部分に連結された第2の端部とを有しており、近位フレーム部分と遠位フレーム部分との間で安定ストラップに対して斜めに延びているクロスストラップと、
バックルを有していて、近位フレーム部分の第1の側部分に連結しているブラケット組立体と、を具備しており、
前記安定ストラップの第1の端部は、前記バックルに取付けられており、前記クロスストラップの第1の端部は、前記ブラケット組立体に連結されている、膝支持装置。
【請求項24】
前記ブラケット組立体は、前記バックルから延びている第1のアームを有しており、前記クロスストラップの第1の端部は、このアームに取付けられている、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項25】
前記バックルは、第2のアームを有しており、この第2のアームは、前記安定ストラップが取着される際に通る隙間を有している、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項26】
前記バックルは、前記第2のアームに回動可能に連結されたレバーボディを有しており、このレバーボディは、前記第2のアームに弾性的に取着するための戻り止めを有している、請求項25に記載の膝支持装置。
【請求項27】
前記バックルは、第2のアームを有しており、この第2のアームは、前記安定ストラップが取着される際に通る隙間を有しており、前記第1および第2のアームは、一体部片として形成されている、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項28】
前記ブラケット組立体は、その下側から延びているボタンを有しており、前記近位フレーム部分は、前記ブラケット組立体を前記近位フレーム部分に取着するためにボタンが通っている開口部を有している、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項29】
前記ブラケット組立体の下側は、前記近位フレーム部分の湾曲に対応する湾曲を規定している、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項30】
前記近位および遠位フレーム部分の第1および第2側部分のうちの一方に解放可能に取着されたヒンジを更に具備している請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項31】
前記ヒンジは、近位および遠位アームを有しており、これらの近位および遠位アームは、各々、それらに形成された少なくとも1つの開口部に対応する少なくとも1つのボタンを有しており、前記近位および遠位アームの少なくとも1つのボタンは、この開口部を通って延びて取着するように配置されている、請求項30に記載の膝支持装置。
【請求項32】
前記近位および遠位フレーム部分を覆うスリーブを更に具備しており、このスリーブは、ブラケット組立体間に介在されている、請求項23に記載の膝支持装置。
【請求項33】
前記安定ストラップの第1の端部は、前記近位フレーム部分の第1の側部分に対応してスリーブの上方に延びており、このスリーブは、前記安定ストラップの第2の端部が前記近位フレーム部分の第2の側部分に連結するために通っている開口部を有している、請求項32に記載の膝支持装置。
【請求項34】
前記クロスストラップの第1の端部は、前記近位フレーム部分の第1の側部分に対応してスリーブの上方に延びており、このスリーブは、前記遠位フレーム部分の第1の側部分に対応していて、前記クロスストラップの第2の端部が前記遠位フレーム部分の第1の側部分に連結するために通っている開口部を有している、請求項32に記載の膝支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
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【図11】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【公表番号】特表2008−525116(P2008−525116A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548464(P2007−548464)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046544
【国際公開番号】WO2006/069222
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(300002872)オスール・エイチエフ (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046544
【国際公開番号】WO2006/069222
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(300002872)オスール・エイチエフ (8)
【Fターム(参考)】
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