膨張性薬剤としてのバイオ外科手術用接着剤の使用
【課題】胃の容積を低減する方法を提供する。
【解決手段】胃の容積を低減する例示的な方法は、接着剤塗布器および生体適合性接着剤を提供することを含む。前記例示的な方法は、接着剤塗布器の少なくとも一部を胃中に導入することと、接着剤塗布器を通じて接着剤を胃内に供給することとをさらに含む。接着剤は、胃の粘膜下層と筋層との間に塗布されて、胃の容積を低減することができる。あるいは、接着剤は、胃の内面上に層状に塗布されてもよい。あるいは、非拡張性部材を胃中に導入してよく、接着剤を用いて、非拡張性部材を胃に固定してもよい。このような使用により、病的肥満の治療が可能となる。接着剤を用いて、噴門または直腸の粘膜下層と筋層との間への接着剤の注入などによる流量制限を行うことも可能である。
【解決手段】胃の容積を低減する例示的な方法は、接着剤塗布器および生体適合性接着剤を提供することを含む。前記例示的な方法は、接着剤塗布器の少なくとも一部を胃中に導入することと、接着剤塗布器を通じて接着剤を胃内に供給することとをさらに含む。接着剤は、胃の粘膜下層と筋層との間に塗布されて、胃の容積を低減することができる。あるいは、接着剤は、胃の内面上に層状に塗布されてもよい。あるいは、非拡張性部材を胃中に導入してよく、接着剤を用いて、非拡張性部材を胃に固定してもよい。このような使用により、病的肥満の治療が可能となる。接着剤を用いて、噴門または直腸の粘膜下層と筋層との間への接着剤の注入などによる流量制限を行うことも可能である。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔背景〕
バイオ外科手術用接着剤(Biosurgical adhesives)は、多様な医療処置において、多様な方法で用いられている。例示的な接着剤について、米国公開第2004/0190975中に開示がある。同文献の開示内容を参照により本明細書中に組み込む。同様に、多様なデバイスおよび技術が、接着剤を多様な部位で送達するために用いられている。接着剤を送達するためにいくつかのシステムおよび方法が作製され、かつ用いられているが、本発明者らよりも前には誰も、添付の特許請求の範囲中に記載の発明の作製または使用を行っていないことと考えられる。
【0002】
本明細書は、本発明を詳細に指し示しかつ明確に請求している特許請求の範囲により結論付けられるが、本発明は、以下の特定例に関する説明を添付図面と共に読めば、より深く理解されることと考えられる。図面中、同様の参照符号は同一要素を同定する。
【0003】
〔詳細な説明〕
本発明の特定例についての以下の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するために用いられるべきではない。当業者にとって、本発明の他の例、特徴、態様、実施形態および利点が、以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明は、例示的なものであり、本発明を実施するために企図された最良の態様のうちの1つである。理解されるように、本発明は、本発明から全く逸脱することなく、他の異なる態様および自明の態様が可能である。従って、図面および説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきである。
【0004】
図1〜図3は、従来の胃バイパス手術(ルーワイ手術(Roux-en-Y procedure)としても知られる)時において行われ得る工程の結果を示す。図示のように、患者の胃(10)は、第1の部位(12)および第2の部位(14)に分離されている。第1の部位(12)は食道(16)に隣接し、第2の部位(14)は小腸(18)に隣接している。分離線に沿って一連のステープルが挿入され、第1の部位および第2の部位(12、14)の分離端部を閉鎖して、これにより、第1の部位(12)は嚢(pouch)を形成する。次に、小腸(18)の切断部位(例えば、空腸)を、吻合(20)を介して胃(10)の第1の部位(12)に結合させる。ほんの一例として、小腸(18)と胃(10)の第1の部位(12)との間の吻合(20)は、吻合デバイス(例えば、パーク(Park)らに付与された米国公開第2003/0032967中に開示されたもの、タナカ(Tanaka)らに付与された米国公開第2005/0070934中に開示されたもの、またはオルティス(Ortiz)に付与された米国公開第2005/0070935に開示されたもの、ボープレ(Beaupre)に付与された米国公開第2005/0070939中に開示されたもの)により、あるいは他の任意の適切なデバイスまたは技術を用いて、行うことができる。パーク(Park)らに付与された米国公開第2003/0032967、タナカ(Tanaka)らに付与された米国公開第2005/0070934、オルティス(Ortiz)に付与された米国公開第2005/0070935、およびボープレ(Beaupre)に付与された米国公開第2005/0070939それぞれの開示内容を、参照により本明細書中に組み込む。胃バイパス手術の上記説明は単に例示的なものであり、多様な代替的技術を用いて胃バイパスを行うことができることが理解されるであろう。さらに、いかなる胃バイパスを行うことなく本明細書中に記載する実施形態を用いてもよいことが理解されるであろう。
【0005】
特定の場合において、胃バイパス手術完了後に第1の部位(12)が膨張を受ける場合がある。このような膨張の一例を図4〜図5中に示す。この膨張は、患者が食べ過ぎた結果として、または他の状況下において発生し得る。このような膨張が、胃バイパス手術の目的を本質的に無効にする場合があり得る。このような膨張を回避するか、または別の方法で取り組むことのできる方法は色々ある。
【0006】
この例において、図6中に示すように、胃(10)の第1の部位(12)の内壁(42)に接着剤(40)を塗布する。接着剤(40)は、接着剤塗布器(adhesive applier)(32)を用いて内視鏡(30)によって塗布される。この例の内視鏡(30)は、接着剤(40)が塗布されている部位へ光を供給し、かつ可視化をもたらすように、動作可能である。任意の適切な内視鏡(30)または塗布器(32)を用いてよい。次に、図7中に示すように、胃(10)の第1の部位(12)の外壁(44)を引き出して挟み、これにより、並置壁部位(apposed-wall portion)(46)を作製する。並置壁部位(46)は、外壁(44)の外部のクランプ、あるいは他の任意の適切なデバイスまたは技術を用いて、作製することができる。並置壁部位(46)は、並置壁部位(46)中に接着剤(40)を引き込んで、並置壁部位(46)の構造的完全性を与えるようにすることにより、作製される。さらに、やはり図7中に示すように、(例えば、接着剤(40)を用いて、並置壁部位(46))にある収縮線の上で)メッシュ(50)を並置壁部位(46)に隣接する第1の部位(12)の内壁(42)に固定することができる。このようなメッシュ(50)によって並置壁部位(46)の応力除去がもたらされ、これにより、並置壁部位(46)の構造的完全性を向上させることができる。
【0007】
図6および図7中に示す例において、並置壁部位(46)により、胃(10)の第1の部位(12)の容積減少がもたらされる。この容積減少によって得られる潜在的利益は、当業者にとって明らかであろう。一例を胃バイパスの文脈において提供するが、胃バイパス手術がまだ行われていない胃(10)中に1つ以上の並置壁部位(46)を設けてもよいことが理解されるであろう。また、並置壁部位(46)を形成するための例示的な方法を、多様な方法で変更または補完してもよいことも理解されるであろう。ほんの一例として、メッシュ(50)および/または接着剤(40)のために任意の適切な代替的構造または物質を用いてもよい。上記実施形態を変更するためのさらに他の方法が、当業者にとって明らかであろう。
【0008】
図6および図7中に示す手術の代替例を図8中に示す。この実施形態において、接着剤(40)を胃(10)の第1の部位(12)内に間質的に(interstitially)塗布する。詳細には、第1の部位(12)の粘膜(52)または粘膜下層と筋層(54)との間に接着剤(40)を注入する。ほんの一例として、接着剤(40)は概して可撓性でよいが、接着剤(40)に他の任意の適切な特性を持たせてもよいことが理解されるであろう。接着剤(40)を間質的に塗布することにより、胃(10)の第1の部位(12)の容積が減少しうる。この容積減少の潜在的利益は、当業者にとって明らかであろう。一例を胃バイパスの文脈に沿って説明するが、胃バイパス手術が行われていない胃(10)において接着剤(40)を間質的に塗布してもよいことが理解されるであろう。このような状況の一例を図14中に示す。接着剤(40)を間質的に塗布する例示的方法は、多様な方法で変更可能または補完可能であることも理解されるであろう。ほんの一例として、任意の適切な代替物質を、接着剤(40)に用いてよい。図8および図14中に示す実施形態の他の改変として、接着剤(40)を内壁(42)に直接塗布してもよい。所望ならば、第1の部位(12)または胃(10)の所望の容積減少が得られるまで、接着剤(40)を層状に塗布してもよい。さらに別の改変において、接着剤(40)を胃(10)の壁の皺襞部(rugal folds)内に注入する。上記実施形態を変更するためのさらに他の方法が、当業者にとって明らかであろう。
【0009】
図9および図10中に示す実施形態において、食道(16)を通して送達管(34)を第1の部位(12)内に導入する。送達管(34)を通じてメッシュ(60)を第1の部位(12)内に配備する。図示のように、メッシュ(60)は、最初の配備の際は概してコンパクトな形状(例えば、巻き上げ形状、折り曲げ形状など)にすることができる。メッシュ(60)には他の適切な構成を用いてもよい。この例において、メッシュ(60)は、可撓性であるが非拡張性である材料(例えば、ポリエステル)を含む。あるいは、任意の適切な特性を有する他の任意の適切な材料をメッシュ(60)に用いてもよい。その後、メッシュ(60)を胃(10)の第1の部位(12)の内壁(42)に適用する。これには、広げること(unrolling)、解くこと(unfolding)、および/またはメッシュ(60)への他の動作、ならびに内壁(42)周辺へのメッシュ(60)の位置付けを含むことができる。メッシュ(60)は、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて塗布される接着剤(40)を用いて内壁(42)に固定される。メッシュ(60)は時間経過と共に瘢痕組織中に包まれる場合があり、これにより、接着剤(40)は、メッシュ(60)を第1の部位(12)に固定するのに必要で無くなることが理解されるであろう。従って、本明細書中に記載の他の多様な実施形態と同様に、接着剤(40)を生分解性にしてもよいし、あるいは他の任意の適切な特性を持たせてもよい。
【0010】
図10中に示すように、切断デバイス(36)を用いてメッシュ(60)を切断して吻合(20)領域から離して、材料の小腸(18)への通過をメッシュ(60)が妨害しないようにすることができる。第1の部位(12)の内壁(42)にメッシュ(60)を適用することにより、胃(10)の部位(12)の膨張を防ぐことができる。その潜在的利益は、当業者にとって明らかであろう。一例を胃バイパスの文脈に沿って与えるが、胃(10)の内壁(42)へのメッシュ(60)の適用は、胃バイパス手術が行われていない胃(10)中でも実施可能であることが理解されるであろう。また、メッシュ(60)の適用のための例示的な方法は、多様な方法で変更可能または補完可能であることも理解されるであろう。ほんの一例として、任意の適切な代替的構造体をメッシュ(60)に用いることができる。上記実施形態を変更するためのさらに他の方法が、当業者にとって明らかであろう。
【0011】
図11〜図13中に示す実施形態において、食道(16)を通して送達管(34)を第1の部位(12)中に導入する。送達管(34)を通じて装置(appliance)(70)を第1の部位(12)中に配備する。図示のように、装置(70)を、最初の配備の際は概してコンパクトな形状(例えば、巻き上げ形状、折り曲げ形状など)にすることができる。この例の装置(70)は、事前形成された非膨張性嚢状部を含む。装置(70)に他の適切な構成を用いてもよい。この例において、装置(70)は、可撓性非拡張性材料(例えば、シリコーン)を含む。あるいは、任意の適切な特性を有する他の任意の適切な材料を装置(70)に用いてもよい。その後、装置(70)を胃(10)の第1の部位(12)の内壁(42)に適用する。これには、広げること、解くこと、および/または装置(70)への他の動作、ならびに内壁(42)周囲での装置(70)の位置付けを含むことができる。装置(70)は、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて塗布される接着剤(40)を用いて内壁(42)に固定される。
【0012】
図13に示すように、装置(70)を内壁(42)に固定した後、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて接着剤(40)を装置(70)中に注入する。ほんの一例として、接着剤(40)は概して可撓性でよいが、接着剤(40)に他の任意の適切な特性を持たせてもよいことが理解されるであろう。接着剤(40)を装置(70)中に注入し、その結果装置(70)が膨張すると、胃(10)の第1の部位(12)の容積減少が得られる。その潜在的利益は、当業者にとって明らかであろう。一例を胃バイパスの文脈に沿って与えるが、胃バイパス手術が行われていない胃(10)中に設けられた装置(70)中に接着剤(40)を注入してもよいことが理解されよう。装置(70)の内壁(42)への適用および/または接着剤(40)の装置(70)中への注入のための例示的な方法は、多様な方法で変更可能または補完可能であることも理解されるであろう。ほんの一例として、任意の適切な代替的物質を接着剤(40)に用いてもよい。上記実施形態を変更するためのさらに他の方法が、当業者にとって明らかであろう。
【0013】
図15中に示す実施形態において、粘膜(52)または粘膜下層と、胃食道接合部または噴門(80)の筋肉(54)層との間に接着剤(40)を間質的に注入する。接着剤(40)は、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて注入される。この注入により、噴門(80)が再構築され得る。このような注入により、患者体内での酸逆流を低減または回避でき、食欲減退させる制限部(appetite-reducing restriction)を与えることができ、かつ/または他の結果をもたらすことができる。あるいは、接着剤(40)以外の任意の媒体を用いてもよく、接着剤(40)は他の任意の適切な様式または位置で塗布することができ、かつ/または上記技術は他の任意の適切な方法で変更することが可能である。
【0014】
図16中に示す実施形態において、直腸(92)の粘膜下空間(90)中に接着剤を間質的に注入する。接着剤(40)は、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて注入される。この注入により、括約筋領域を増強することができる。このような注入により、便失禁を低減または回避し、かつ/または他の結果をもたらすことができる。あるいは、接着剤(40)以外の任意の媒体を用いてもよく、接着剤(40)を他の任意の適切な様式または位置で塗布してもよく、かつ/または上記技術を他の任意の適切な方法で変更してもよい。
【0015】
上記実施形態(その改変も含む)のいずれにおいても、接着剤(40)は、シアノアクリレート、イソシアネートおよび/または他の任意の適切な物質(物質の組み合わせを含む)を含み得る。さらに、接着剤(40)は、任意の適切な特性(例えば、可撓性、非可撓性、硬化性、または他の任意の特性を含むが、これらに限定されない)を含み得る。接着剤(40)はまた、エポキシ樹脂を含み得、かつ/または、活性化物質の使用を含み得る。さらに、接着剤(40)に加えて、または接着剤(40)の代わりに、非接着性物質を用いてもよいことが理解されよう。このような代替的物質は、ゲル、膨張性薬剤、流体、または単数または複数の他の任意の適切な物質(その組み合わせを含む)を含むことができるが、これらに限定されない。接着剤(40)の供給または他目的のために塗布器(32)あるいは他のデバイスが組織中でのアクセス経路を生成する範囲において、接着剤(40)を用いてこのような経路を封止することが可能であることも理解されるであろう。
【0016】
本発明の実施形態は、従来の内視鏡手術用器具および外科開腹手術用器具ならびにロボット支援外科手術において、用いられる。胃膨張に対処する用途に関していくつかの実施形態について説明し、胃容積低減用途に関して他の実施形態について説明してきたが、実施形態は、このような目的の両方、このような目的のうち1つのみ、または他の多様な目的のために使用可能であることが理解されよう。従って、本発明者らは、本明細書中記載された実施形態が、本明細書中記載の特定の用途に限定されるものとして、または、本明細書中言及された特定の目的の提供に限定されるものとしてみなされること、を意図していない。本明細書中記載の用途および目的は、ひとえに例示目的のために記載したものである。
【0017】
本明細書中開示されたデバイスの実施形態は、単回使用後に使い捨てできるように設計してもよいし、あるいは、複数回使用されるように設計することも可能である。いずれかまたは両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用できるよう、実施形態を再調整することができる。このような再調整には、デバイスの分解工程、それに続く特定部品の洗浄または交換を行う工程、およびその後の再度組み立てる工程の、任意の組み合わせを含むことができる。詳細には、デバイスの実施形態を分解してよく、デバイスの任意の数の特定の部分または部品を任意の組み合わせで選択的に交換または除去することができる。特定部品の洗浄および/または交換後、デバイスの実施形態を、その後使用するために、再調整施設において、または外科手術直前に外科チームによって、再調整することができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換および再組立のために多様な技術を用いることが可能であることを理解するであろう。このような技術の使用、およびその結果得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内である。
【0018】
ほんの一例として、本明細書中に記載の実施形態は、外科手術の前に処理することができる。第1に、新規または使用済みの器具を入手し、必要ならば洗浄することができる。その後、当該器具を殺菌することができる。1つの殺菌技術において、閉鎖されかつ密封された容器(例えば、プラスチックまたはTYVEK製バッグ)中に当該器具を置く。その後、これらの容器および器具を、当該容器を貫通し得る放射線場(例えば、γ放射線、X線、または高エネルギー電子)中に置くことができる。この放射線により、器具上および容器中の細菌を死滅させることができる。その後、殺菌された器具を、滅菌容器中に保存することができる。密封された容器は、当該器具を医療施設において開封するまでこの器具を滅菌状態で保持することができる。また、デバイスは、当該分野において既知の他の任意の技術(β線放射またはγ放射線、エチレンオキシド、または蒸気を含むが、これらに限定されない)を用いて滅菌されてよい。
【0019】
本発明の多様な実施形態を図示および記載してきたが、本明細書中に記載の方法およびシステムのさらなる適合が、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、達成され得る。このような可能な改変のうちいくつかについて言及しており、他の改変は当業者にとって明らかである。例えば、上述した例、実施形態、幾何学的特徴、材料、寸法、比、工程などは例示的なものであり、必須ではない。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮すべきものであり、本明細書および図面中に図示および記載した構造および動作の詳細に限定されるべきではないことが理解される。
【0020】
〔実施の態様〕
(1) 胃の容積を低減する方法において、
(a)接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃中に導入することと、
(d)前記接着剤塗布器を通じて前記接着剤を前記胃中に供給して、前記胃の前記容積を低減または制限することと、
を含む、方法。
(2) 実施態様1に記載の方法において、
前記胃は、粘膜下層、および筋層を有し、
前記供給するという動作は、前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することを含む、方法。
(3) 実施態様1に記載の方法において、
前記接着剤は、概して可撓性である、方法。
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、
画像化デバイスを前記胃内に導入すること、
をさらに含む、方法。
(5) 実施態様4に記載の方法において、
前記画像化デバイスは、食道を通して前記胃内に導入される、方法。
(6) 実施態様4に記載の方法において、
前記画像化デバイスは、内視鏡を含む、方法。
(7) 実施態様4に記載の方法において、
前記画像化デバイスは、医療器具を受け入れるように構成された作業通路を有し、
前記接着剤塗布器の前記少なくとも一部は、前記作業通路を通して前記胃内に導入される、方法。
(8) 実施態様1に記載の方法において、
前記接着剤塗布器は、前記胃の一層を貫通するように動作可能である、方法。
(9) 実施態様8に記載の方法において、
前記接着剤塗布器は、前記胃の一層を貫通した後に前記接着剤を注入するように動作可能である、方法。
【0021】
(10) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、
前記胃に胃バイパスを行うこと、
をさらに含む、方法。
(11) 実施態様10に記載の方法において、
前記接着剤を供給するという動作は、前記胃バイパスを行うという動作の後に行われる、方法。
(12) 実施態様1に記載の方法において、
前記胃は、複数の皺襞部を有し、
前記接着剤を供給するという動作は、前記皺襞部のうち1つ以上の中に前記接着剤を注入することを含む、方法。
(13) 実施態様1に記載の方法において、
前記接着剤を供給するという動作は、前記胃内の複数位置で前記接着剤を供給することを含む、方法。
(14) 実施態様1に記載の方法において、
前記胃は、内面によって画定された内部を有し、
前記接着剤を供給するという動作は、前記接着剤を前記内面上に供給することを含む、方法。
(15) 実施態様14に記載の方法において、
前記接着剤を前記内面上に供給するという動作は、前記接着剤の複数の層を前記内面上に供給することを含む、方法。
(16) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、
非拡張性部材を前記胃内に導入すること、
をさらに含み、
前記接着剤を供給するという動作は、前記接着剤によって前記非拡張性部材を前記胃に接着することを含む、方法。
(17) 実施態様16に記載の方法において、
前記非拡張性部材は、メッシュを含む、方法。
(18) 実施態様16に記載の方法において、
前記非拡張性部材は、流体材料を受容および保持するように構成され、
前記接着剤を供給するという動作は、前記接着剤を前記非拡張性部材中に注入することをさらに含む、方法。
【0022】
(19) 胃腸管腔に制限部を形成する方法において、
(a)供給先端部を有する接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、前記供給先端部を通じて接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃腸管腔内に導入することと、
(d)前記胃腸管腔と連絡する噴門、または前記胃腸管腔と連絡する直腸のうちの1つに前記供給先端部を位置させることであって、前記噴門および前記直腸はそれぞれ、粘膜下層および筋層を有する、位置させることと、
(e)前記接着剤塗布器の前記供給先端部を通じて、前記噴門または前記直腸の前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することと、
を含む、方法。
(20) 胃の容積を低減する方法において、
(a)接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃中に導入することであって、前記接着剤塗布器の前記少なくとも一部は、内視鏡を介して前記胃内に導入される、導入することと、
(d)前記接着剤塗布器を通じて前記接着剤を前記胃内に供給することであって、前記胃は、粘膜下層および筋層を有する、供給することと、
を含み、
前記供給するという動作は、前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、患者の胃の平面図を示す。
【図2】図2は、食道、例示的な様式で胃の残り部分から分離された図1の胃の一部の平面図を示す。
【図3】図3は、図2の胃部位と例示的な様式で接続された患者の腸の平面図を示す。
【図4】図4は、図3の腸および胃部位の組み合わせの平面図であり、この胃部位は、例示的な様式で膨張されている。
【図5】図5は、図4の腸および胃部位の組み合わせの、図4の線5−5に沿った断面図を示す。
【図6】図6は、内視鏡を用いて例示的な様式で図4の胃に塗布されている接着剤の断面図を示す。
【図7】図7は、図4の胃を例示的な並置壁部位と共に示す断面図を示す。
【図8】図8は、図4の胃の断面図を示し、接着剤が粘膜と筋層との間に例示的な様式で注入されている。
【図9】図9は、図4の胃の断面図を示し、例示的なメッシュが内部に配備されている。
【図10】図10は、図4の胃の断面図を示し、図9のメッシュは接着剤により例示的な様式で胃の内壁に固定されている。
【図11】図11は、図4の胃の断面図を示し、例示的な装置が内部に配備されている。
【図12】図12は、図4の胃の断面図を示し、図11の装置は、接着剤により例示的な様式で胃内壁に固定されている。
【図13】図13は、図4の胃の断面図を示し、図11の装置は、例示的な様式で、媒体で充填されている。
【図14】図14は、患者の胃の断面図を示し、接着剤が粘膜と筋層との間に例示的な様式で注入されている。
【図15】図15は、患者の胃食道接合部の断面図を示し、接着剤が粘膜と筋層との間に例示的な様式で注入されている。
【図16】図16は、患者の直腸の断面図を示し、接着剤が粘膜下空間中に注入されている。
【開示の内容】
【0001】
〔背景〕
バイオ外科手術用接着剤(Biosurgical adhesives)は、多様な医療処置において、多様な方法で用いられている。例示的な接着剤について、米国公開第2004/0190975中に開示がある。同文献の開示内容を参照により本明細書中に組み込む。同様に、多様なデバイスおよび技術が、接着剤を多様な部位で送達するために用いられている。接着剤を送達するためにいくつかのシステムおよび方法が作製され、かつ用いられているが、本発明者らよりも前には誰も、添付の特許請求の範囲中に記載の発明の作製または使用を行っていないことと考えられる。
【0002】
本明細書は、本発明を詳細に指し示しかつ明確に請求している特許請求の範囲により結論付けられるが、本発明は、以下の特定例に関する説明を添付図面と共に読めば、より深く理解されることと考えられる。図面中、同様の参照符号は同一要素を同定する。
【0003】
〔詳細な説明〕
本発明の特定例についての以下の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するために用いられるべきではない。当業者にとって、本発明の他の例、特徴、態様、実施形態および利点が、以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明は、例示的なものであり、本発明を実施するために企図された最良の態様のうちの1つである。理解されるように、本発明は、本発明から全く逸脱することなく、他の異なる態様および自明の態様が可能である。従って、図面および説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきである。
【0004】
図1〜図3は、従来の胃バイパス手術(ルーワイ手術(Roux-en-Y procedure)としても知られる)時において行われ得る工程の結果を示す。図示のように、患者の胃(10)は、第1の部位(12)および第2の部位(14)に分離されている。第1の部位(12)は食道(16)に隣接し、第2の部位(14)は小腸(18)に隣接している。分離線に沿って一連のステープルが挿入され、第1の部位および第2の部位(12、14)の分離端部を閉鎖して、これにより、第1の部位(12)は嚢(pouch)を形成する。次に、小腸(18)の切断部位(例えば、空腸)を、吻合(20)を介して胃(10)の第1の部位(12)に結合させる。ほんの一例として、小腸(18)と胃(10)の第1の部位(12)との間の吻合(20)は、吻合デバイス(例えば、パーク(Park)らに付与された米国公開第2003/0032967中に開示されたもの、タナカ(Tanaka)らに付与された米国公開第2005/0070934中に開示されたもの、またはオルティス(Ortiz)に付与された米国公開第2005/0070935に開示されたもの、ボープレ(Beaupre)に付与された米国公開第2005/0070939中に開示されたもの)により、あるいは他の任意の適切なデバイスまたは技術を用いて、行うことができる。パーク(Park)らに付与された米国公開第2003/0032967、タナカ(Tanaka)らに付与された米国公開第2005/0070934、オルティス(Ortiz)に付与された米国公開第2005/0070935、およびボープレ(Beaupre)に付与された米国公開第2005/0070939それぞれの開示内容を、参照により本明細書中に組み込む。胃バイパス手術の上記説明は単に例示的なものであり、多様な代替的技術を用いて胃バイパスを行うことができることが理解されるであろう。さらに、いかなる胃バイパスを行うことなく本明細書中に記載する実施形態を用いてもよいことが理解されるであろう。
【0005】
特定の場合において、胃バイパス手術完了後に第1の部位(12)が膨張を受ける場合がある。このような膨張の一例を図4〜図5中に示す。この膨張は、患者が食べ過ぎた結果として、または他の状況下において発生し得る。このような膨張が、胃バイパス手術の目的を本質的に無効にする場合があり得る。このような膨張を回避するか、または別の方法で取り組むことのできる方法は色々ある。
【0006】
この例において、図6中に示すように、胃(10)の第1の部位(12)の内壁(42)に接着剤(40)を塗布する。接着剤(40)は、接着剤塗布器(adhesive applier)(32)を用いて内視鏡(30)によって塗布される。この例の内視鏡(30)は、接着剤(40)が塗布されている部位へ光を供給し、かつ可視化をもたらすように、動作可能である。任意の適切な内視鏡(30)または塗布器(32)を用いてよい。次に、図7中に示すように、胃(10)の第1の部位(12)の外壁(44)を引き出して挟み、これにより、並置壁部位(apposed-wall portion)(46)を作製する。並置壁部位(46)は、外壁(44)の外部のクランプ、あるいは他の任意の適切なデバイスまたは技術を用いて、作製することができる。並置壁部位(46)は、並置壁部位(46)中に接着剤(40)を引き込んで、並置壁部位(46)の構造的完全性を与えるようにすることにより、作製される。さらに、やはり図7中に示すように、(例えば、接着剤(40)を用いて、並置壁部位(46))にある収縮線の上で)メッシュ(50)を並置壁部位(46)に隣接する第1の部位(12)の内壁(42)に固定することができる。このようなメッシュ(50)によって並置壁部位(46)の応力除去がもたらされ、これにより、並置壁部位(46)の構造的完全性を向上させることができる。
【0007】
図6および図7中に示す例において、並置壁部位(46)により、胃(10)の第1の部位(12)の容積減少がもたらされる。この容積減少によって得られる潜在的利益は、当業者にとって明らかであろう。一例を胃バイパスの文脈において提供するが、胃バイパス手術がまだ行われていない胃(10)中に1つ以上の並置壁部位(46)を設けてもよいことが理解されるであろう。また、並置壁部位(46)を形成するための例示的な方法を、多様な方法で変更または補完してもよいことも理解されるであろう。ほんの一例として、メッシュ(50)および/または接着剤(40)のために任意の適切な代替的構造または物質を用いてもよい。上記実施形態を変更するためのさらに他の方法が、当業者にとって明らかであろう。
【0008】
図6および図7中に示す手術の代替例を図8中に示す。この実施形態において、接着剤(40)を胃(10)の第1の部位(12)内に間質的に(interstitially)塗布する。詳細には、第1の部位(12)の粘膜(52)または粘膜下層と筋層(54)との間に接着剤(40)を注入する。ほんの一例として、接着剤(40)は概して可撓性でよいが、接着剤(40)に他の任意の適切な特性を持たせてもよいことが理解されるであろう。接着剤(40)を間質的に塗布することにより、胃(10)の第1の部位(12)の容積が減少しうる。この容積減少の潜在的利益は、当業者にとって明らかであろう。一例を胃バイパスの文脈に沿って説明するが、胃バイパス手術が行われていない胃(10)において接着剤(40)を間質的に塗布してもよいことが理解されるであろう。このような状況の一例を図14中に示す。接着剤(40)を間質的に塗布する例示的方法は、多様な方法で変更可能または補完可能であることも理解されるであろう。ほんの一例として、任意の適切な代替物質を、接着剤(40)に用いてよい。図8および図14中に示す実施形態の他の改変として、接着剤(40)を内壁(42)に直接塗布してもよい。所望ならば、第1の部位(12)または胃(10)の所望の容積減少が得られるまで、接着剤(40)を層状に塗布してもよい。さらに別の改変において、接着剤(40)を胃(10)の壁の皺襞部(rugal folds)内に注入する。上記実施形態を変更するためのさらに他の方法が、当業者にとって明らかであろう。
【0009】
図9および図10中に示す実施形態において、食道(16)を通して送達管(34)を第1の部位(12)内に導入する。送達管(34)を通じてメッシュ(60)を第1の部位(12)内に配備する。図示のように、メッシュ(60)は、最初の配備の際は概してコンパクトな形状(例えば、巻き上げ形状、折り曲げ形状など)にすることができる。メッシュ(60)には他の適切な構成を用いてもよい。この例において、メッシュ(60)は、可撓性であるが非拡張性である材料(例えば、ポリエステル)を含む。あるいは、任意の適切な特性を有する他の任意の適切な材料をメッシュ(60)に用いてもよい。その後、メッシュ(60)を胃(10)の第1の部位(12)の内壁(42)に適用する。これには、広げること(unrolling)、解くこと(unfolding)、および/またはメッシュ(60)への他の動作、ならびに内壁(42)周辺へのメッシュ(60)の位置付けを含むことができる。メッシュ(60)は、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて塗布される接着剤(40)を用いて内壁(42)に固定される。メッシュ(60)は時間経過と共に瘢痕組織中に包まれる場合があり、これにより、接着剤(40)は、メッシュ(60)を第1の部位(12)に固定するのに必要で無くなることが理解されるであろう。従って、本明細書中に記載の他の多様な実施形態と同様に、接着剤(40)を生分解性にしてもよいし、あるいは他の任意の適切な特性を持たせてもよい。
【0010】
図10中に示すように、切断デバイス(36)を用いてメッシュ(60)を切断して吻合(20)領域から離して、材料の小腸(18)への通過をメッシュ(60)が妨害しないようにすることができる。第1の部位(12)の内壁(42)にメッシュ(60)を適用することにより、胃(10)の部位(12)の膨張を防ぐことができる。その潜在的利益は、当業者にとって明らかであろう。一例を胃バイパスの文脈に沿って与えるが、胃(10)の内壁(42)へのメッシュ(60)の適用は、胃バイパス手術が行われていない胃(10)中でも実施可能であることが理解されるであろう。また、メッシュ(60)の適用のための例示的な方法は、多様な方法で変更可能または補完可能であることも理解されるであろう。ほんの一例として、任意の適切な代替的構造体をメッシュ(60)に用いることができる。上記実施形態を変更するためのさらに他の方法が、当業者にとって明らかであろう。
【0011】
図11〜図13中に示す実施形態において、食道(16)を通して送達管(34)を第1の部位(12)中に導入する。送達管(34)を通じて装置(appliance)(70)を第1の部位(12)中に配備する。図示のように、装置(70)を、最初の配備の際は概してコンパクトな形状(例えば、巻き上げ形状、折り曲げ形状など)にすることができる。この例の装置(70)は、事前形成された非膨張性嚢状部を含む。装置(70)に他の適切な構成を用いてもよい。この例において、装置(70)は、可撓性非拡張性材料(例えば、シリコーン)を含む。あるいは、任意の適切な特性を有する他の任意の適切な材料を装置(70)に用いてもよい。その後、装置(70)を胃(10)の第1の部位(12)の内壁(42)に適用する。これには、広げること、解くこと、および/または装置(70)への他の動作、ならびに内壁(42)周囲での装置(70)の位置付けを含むことができる。装置(70)は、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて塗布される接着剤(40)を用いて内壁(42)に固定される。
【0012】
図13に示すように、装置(70)を内壁(42)に固定した後、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて接着剤(40)を装置(70)中に注入する。ほんの一例として、接着剤(40)は概して可撓性でよいが、接着剤(40)に他の任意の適切な特性を持たせてもよいことが理解されるであろう。接着剤(40)を装置(70)中に注入し、その結果装置(70)が膨張すると、胃(10)の第1の部位(12)の容積減少が得られる。その潜在的利益は、当業者にとって明らかであろう。一例を胃バイパスの文脈に沿って与えるが、胃バイパス手術が行われていない胃(10)中に設けられた装置(70)中に接着剤(40)を注入してもよいことが理解されよう。装置(70)の内壁(42)への適用および/または接着剤(40)の装置(70)中への注入のための例示的な方法は、多様な方法で変更可能または補完可能であることも理解されるであろう。ほんの一例として、任意の適切な代替的物質を接着剤(40)に用いてもよい。上記実施形態を変更するためのさらに他の方法が、当業者にとって明らかであろう。
【0013】
図15中に示す実施形態において、粘膜(52)または粘膜下層と、胃食道接合部または噴門(80)の筋肉(54)層との間に接着剤(40)を間質的に注入する。接着剤(40)は、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて注入される。この注入により、噴門(80)が再構築され得る。このような注入により、患者体内での酸逆流を低減または回避でき、食欲減退させる制限部(appetite-reducing restriction)を与えることができ、かつ/または他の結果をもたらすことができる。あるいは、接着剤(40)以外の任意の媒体を用いてもよく、接着剤(40)は他の任意の適切な様式または位置で塗布することができ、かつ/または上記技術は他の任意の適切な方法で変更することが可能である。
【0014】
図16中に示す実施形態において、直腸(92)の粘膜下空間(90)中に接着剤を間質的に注入する。接着剤(40)は、内視鏡(30)を通じて塗布器(32)を用いて注入される。この注入により、括約筋領域を増強することができる。このような注入により、便失禁を低減または回避し、かつ/または他の結果をもたらすことができる。あるいは、接着剤(40)以外の任意の媒体を用いてもよく、接着剤(40)を他の任意の適切な様式または位置で塗布してもよく、かつ/または上記技術を他の任意の適切な方法で変更してもよい。
【0015】
上記実施形態(その改変も含む)のいずれにおいても、接着剤(40)は、シアノアクリレート、イソシアネートおよび/または他の任意の適切な物質(物質の組み合わせを含む)を含み得る。さらに、接着剤(40)は、任意の適切な特性(例えば、可撓性、非可撓性、硬化性、または他の任意の特性を含むが、これらに限定されない)を含み得る。接着剤(40)はまた、エポキシ樹脂を含み得、かつ/または、活性化物質の使用を含み得る。さらに、接着剤(40)に加えて、または接着剤(40)の代わりに、非接着性物質を用いてもよいことが理解されよう。このような代替的物質は、ゲル、膨張性薬剤、流体、または単数または複数の他の任意の適切な物質(その組み合わせを含む)を含むことができるが、これらに限定されない。接着剤(40)の供給または他目的のために塗布器(32)あるいは他のデバイスが組織中でのアクセス経路を生成する範囲において、接着剤(40)を用いてこのような経路を封止することが可能であることも理解されるであろう。
【0016】
本発明の実施形態は、従来の内視鏡手術用器具および外科開腹手術用器具ならびにロボット支援外科手術において、用いられる。胃膨張に対処する用途に関していくつかの実施形態について説明し、胃容積低減用途に関して他の実施形態について説明してきたが、実施形態は、このような目的の両方、このような目的のうち1つのみ、または他の多様な目的のために使用可能であることが理解されよう。従って、本発明者らは、本明細書中記載された実施形態が、本明細書中記載の特定の用途に限定されるものとして、または、本明細書中言及された特定の目的の提供に限定されるものとしてみなされること、を意図していない。本明細書中記載の用途および目的は、ひとえに例示目的のために記載したものである。
【0017】
本明細書中開示されたデバイスの実施形態は、単回使用後に使い捨てできるように設計してもよいし、あるいは、複数回使用されるように設計することも可能である。いずれかまたは両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用できるよう、実施形態を再調整することができる。このような再調整には、デバイスの分解工程、それに続く特定部品の洗浄または交換を行う工程、およびその後の再度組み立てる工程の、任意の組み合わせを含むことができる。詳細には、デバイスの実施形態を分解してよく、デバイスの任意の数の特定の部分または部品を任意の組み合わせで選択的に交換または除去することができる。特定部品の洗浄および/または交換後、デバイスの実施形態を、その後使用するために、再調整施設において、または外科手術直前に外科チームによって、再調整することができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換および再組立のために多様な技術を用いることが可能であることを理解するであろう。このような技術の使用、およびその結果得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内である。
【0018】
ほんの一例として、本明細書中に記載の実施形態は、外科手術の前に処理することができる。第1に、新規または使用済みの器具を入手し、必要ならば洗浄することができる。その後、当該器具を殺菌することができる。1つの殺菌技術において、閉鎖されかつ密封された容器(例えば、プラスチックまたはTYVEK製バッグ)中に当該器具を置く。その後、これらの容器および器具を、当該容器を貫通し得る放射線場(例えば、γ放射線、X線、または高エネルギー電子)中に置くことができる。この放射線により、器具上および容器中の細菌を死滅させることができる。その後、殺菌された器具を、滅菌容器中に保存することができる。密封された容器は、当該器具を医療施設において開封するまでこの器具を滅菌状態で保持することができる。また、デバイスは、当該分野において既知の他の任意の技術(β線放射またはγ放射線、エチレンオキシド、または蒸気を含むが、これらに限定されない)を用いて滅菌されてよい。
【0019】
本発明の多様な実施形態を図示および記載してきたが、本明細書中に記載の方法およびシステムのさらなる適合が、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、達成され得る。このような可能な改変のうちいくつかについて言及しており、他の改変は当業者にとって明らかである。例えば、上述した例、実施形態、幾何学的特徴、材料、寸法、比、工程などは例示的なものであり、必須ではない。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮すべきものであり、本明細書および図面中に図示および記載した構造および動作の詳細に限定されるべきではないことが理解される。
【0020】
〔実施の態様〕
(1) 胃の容積を低減する方法において、
(a)接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃中に導入することと、
(d)前記接着剤塗布器を通じて前記接着剤を前記胃中に供給して、前記胃の前記容積を低減または制限することと、
を含む、方法。
(2) 実施態様1に記載の方法において、
前記胃は、粘膜下層、および筋層を有し、
前記供給するという動作は、前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することを含む、方法。
(3) 実施態様1に記載の方法において、
前記接着剤は、概して可撓性である、方法。
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、
画像化デバイスを前記胃内に導入すること、
をさらに含む、方法。
(5) 実施態様4に記載の方法において、
前記画像化デバイスは、食道を通して前記胃内に導入される、方法。
(6) 実施態様4に記載の方法において、
前記画像化デバイスは、内視鏡を含む、方法。
(7) 実施態様4に記載の方法において、
前記画像化デバイスは、医療器具を受け入れるように構成された作業通路を有し、
前記接着剤塗布器の前記少なくとも一部は、前記作業通路を通して前記胃内に導入される、方法。
(8) 実施態様1に記載の方法において、
前記接着剤塗布器は、前記胃の一層を貫通するように動作可能である、方法。
(9) 実施態様8に記載の方法において、
前記接着剤塗布器は、前記胃の一層を貫通した後に前記接着剤を注入するように動作可能である、方法。
【0021】
(10) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、
前記胃に胃バイパスを行うこと、
をさらに含む、方法。
(11) 実施態様10に記載の方法において、
前記接着剤を供給するという動作は、前記胃バイパスを行うという動作の後に行われる、方法。
(12) 実施態様1に記載の方法において、
前記胃は、複数の皺襞部を有し、
前記接着剤を供給するという動作は、前記皺襞部のうち1つ以上の中に前記接着剤を注入することを含む、方法。
(13) 実施態様1に記載の方法において、
前記接着剤を供給するという動作は、前記胃内の複数位置で前記接着剤を供給することを含む、方法。
(14) 実施態様1に記載の方法において、
前記胃は、内面によって画定された内部を有し、
前記接着剤を供給するという動作は、前記接着剤を前記内面上に供給することを含む、方法。
(15) 実施態様14に記載の方法において、
前記接着剤を前記内面上に供給するという動作は、前記接着剤の複数の層を前記内面上に供給することを含む、方法。
(16) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、
非拡張性部材を前記胃内に導入すること、
をさらに含み、
前記接着剤を供給するという動作は、前記接着剤によって前記非拡張性部材を前記胃に接着することを含む、方法。
(17) 実施態様16に記載の方法において、
前記非拡張性部材は、メッシュを含む、方法。
(18) 実施態様16に記載の方法において、
前記非拡張性部材は、流体材料を受容および保持するように構成され、
前記接着剤を供給するという動作は、前記接着剤を前記非拡張性部材中に注入することをさらに含む、方法。
【0022】
(19) 胃腸管腔に制限部を形成する方法において、
(a)供給先端部を有する接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、前記供給先端部を通じて接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃腸管腔内に導入することと、
(d)前記胃腸管腔と連絡する噴門、または前記胃腸管腔と連絡する直腸のうちの1つに前記供給先端部を位置させることであって、前記噴門および前記直腸はそれぞれ、粘膜下層および筋層を有する、位置させることと、
(e)前記接着剤塗布器の前記供給先端部を通じて、前記噴門または前記直腸の前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することと、
を含む、方法。
(20) 胃の容積を低減する方法において、
(a)接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃中に導入することであって、前記接着剤塗布器の前記少なくとも一部は、内視鏡を介して前記胃内に導入される、導入することと、
(d)前記接着剤塗布器を通じて前記接着剤を前記胃内に供給することであって、前記胃は、粘膜下層および筋層を有する、供給することと、
を含み、
前記供給するという動作は、前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、患者の胃の平面図を示す。
【図2】図2は、食道、例示的な様式で胃の残り部分から分離された図1の胃の一部の平面図を示す。
【図3】図3は、図2の胃部位と例示的な様式で接続された患者の腸の平面図を示す。
【図4】図4は、図3の腸および胃部位の組み合わせの平面図であり、この胃部位は、例示的な様式で膨張されている。
【図5】図5は、図4の腸および胃部位の組み合わせの、図4の線5−5に沿った断面図を示す。
【図6】図6は、内視鏡を用いて例示的な様式で図4の胃に塗布されている接着剤の断面図を示す。
【図7】図7は、図4の胃を例示的な並置壁部位と共に示す断面図を示す。
【図8】図8は、図4の胃の断面図を示し、接着剤が粘膜と筋層との間に例示的な様式で注入されている。
【図9】図9は、図4の胃の断面図を示し、例示的なメッシュが内部に配備されている。
【図10】図10は、図4の胃の断面図を示し、図9のメッシュは接着剤により例示的な様式で胃の内壁に固定されている。
【図11】図11は、図4の胃の断面図を示し、例示的な装置が内部に配備されている。
【図12】図12は、図4の胃の断面図を示し、図11の装置は、接着剤により例示的な様式で胃内壁に固定されている。
【図13】図13は、図4の胃の断面図を示し、図11の装置は、例示的な様式で、媒体で充填されている。
【図14】図14は、患者の胃の断面図を示し、接着剤が粘膜と筋層との間に例示的な様式で注入されている。
【図15】図15は、患者の胃食道接合部の断面図を示し、接着剤が粘膜と筋層との間に例示的な様式で注入されている。
【図16】図16は、患者の直腸の断面図を示し、接着剤が粘膜下空間中に注入されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃の容積を低減する方法において、
(a)接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃中に導入することと、
(d)前記接着剤塗布器を通じて前記接着剤を前記胃中に供給して、前記胃の前記容積を低減または制限することと、
を含む、方法。
【請求項2】
胃腸管腔に制限部を形成する方法において、
(a)供給先端部を有する接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、前記供給先端部を通じて接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃腸管腔内に導入することと、
(d)前記胃腸管腔と連絡する噴門、または前記胃腸管腔と連絡する直腸のうちの1つに前記供給先端部を位置させることであって、前記噴門および前記直腸はそれぞれ、粘膜下層および筋層を有する、位置させることと、
(e)前記接着剤塗布器の前記供給先端部を通じて、前記噴門または前記直腸の前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することと、
を含む、方法。
【請求項3】
胃の容積を低減する方法において、
(a)接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃中に導入することであって、前記接着剤塗布器の前記少なくとも一部は、内視鏡を介して前記胃内に導入される、導入することと、
(d)前記接着剤塗布器を通じて前記接着剤を前記胃内に供給することであって、前記胃は、粘膜下層および筋層を有する、供給することと、
を含み、
前記供給するという動作は、前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することを含む、方法。
【請求項1】
胃の容積を低減する方法において、
(a)接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃中に導入することと、
(d)前記接着剤塗布器を通じて前記接着剤を前記胃中に供給して、前記胃の前記容積を低減または制限することと、
を含む、方法。
【請求項2】
胃腸管腔に制限部を形成する方法において、
(a)供給先端部を有する接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、前記供給先端部を通じて接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃腸管腔内に導入することと、
(d)前記胃腸管腔と連絡する噴門、または前記胃腸管腔と連絡する直腸のうちの1つに前記供給先端部を位置させることであって、前記噴門および前記直腸はそれぞれ、粘膜下層および筋層を有する、位置させることと、
(e)前記接着剤塗布器の前記供給先端部を通じて、前記噴門または前記直腸の前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することと、
を含む、方法。
【請求項3】
胃の容積を低減する方法において、
(a)接着剤塗布器を提供することであって、前記接着剤塗布器は、接着剤を塗布するように動作可能である、提供することと、
(b)生体適合性接着剤を提供することと、
(c)前記接着剤塗布器の少なくとも一部を前記胃中に導入することであって、前記接着剤塗布器の前記少なくとも一部は、内視鏡を介して前記胃内に導入される、導入することと、
(d)前記接着剤塗布器を通じて前記接着剤を前記胃内に供給することであって、前記胃は、粘膜下層および筋層を有する、供給することと、
を含み、
前記供給するという動作は、前記粘膜下層と前記筋層との間に前記接着剤を供給することを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−114060(P2008−114060A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−270386(P2007−270386)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270386(P2007−270386)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】
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