説明

臨界電流の測定方法

【課題】超電導ケーブル用ケーブルコアの全長の臨界電流を精度よく測定できる臨界電流の測定方法を提供する。
【解決手段】試験対象として、超電導導体層102と外側超電導層104とを具えるケーブルコア100を準備する。コア100の一端において、超電導導体層102と外側超電導層104とを電気的に接続して往復通電路を形成し、他端において、超電導導体層102と外側超電導層104とを直流電源50に接続して、往復通電路に直流電流を通電し、コア100の全長の臨界電流を測定する。外側超電導層104には超電導導体層102に流れる電流:導体電流とは逆向きの電流が流れることで、この電流に基づく磁場によって導体電流に基づく磁場を打ち消すことができる。従って、コア100がドラムに巻き取られた状態であっても、磁場の影響による臨界電流の低下を低減して、臨界電流を精度よく測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨界電流の測定方法に関するものである。特に、超電導ケーブルの構成部材に利用されるケーブルコアの全長の臨界電流を精度よく測定することができる臨界電流の測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力供給路を構成する電力ケーブルとして、超電導ケーブルが開発されつつある。超電導ケーブルは、代表的には、超電導層を有するケーブルコアと、このケーブルコアを収納すると共に、液体窒素といった冷媒が満たされる断熱管とを具える。超電導層は、超電導導体層と、電気絶縁層を介して超電導導体層の外周に設けられる外側超電導層とを具え、超電導線材を巻回して構成される形態が代表的である。外側超電導層は、例えば、交流送電では、シールドとして機能する。
【0003】
OFケーブルやCVケーブルなどの常電導ケーブルでは、その電気的特性を調べるにあたり、工場出荷前、全長を対象とする全長試験(枠試験)が行われている。一方、超電導ケーブルでは、その電気的特性を調べるにあたり、超電導導体層を超電導状態にするために冷却する必要がある。従って、仮に、超電導ケーブルの全長試験を行う場合、細い断熱管内に冷媒を充填しなければならず時間がかかるため、超電導ケーブルでは、短いサンプルを利用した抜き取り試験が行われている。
【0004】
一方、特許文献1では、上記超電導ケーブルを布設後、超電導ケーブルの臨界電流を測定するにあたり、測定対象となる1本のケーブルコアに、別のケーブルコアを接続して往復通電を行って、測定対象の臨界電流を測定することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-329838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超電導ケーブルに用いられるケーブルコアに対して、全長試験を行うことが望まれている。
【0007】
特許文献1に提案される測定方法では、ケーブルコアが断熱管内に収納された状態の超電導ケーブルを対象としている。超電導ケーブルの電気的特性は、実質的にケーブルコアの特性であることから、断熱管内への収納前においてケーブルコア自体の特性が良くなければ、このケーブルコアを用いた超電導ケーブルの全長試験の結果も当然に良くない。また、ケーブルコア単体で出荷する場合には、出荷試験の対象はケーブルコアになる。従って、断熱管に収納する前のケーブルコアについて全長試験を行うことが望まれる。
【0008】
しかし、従来、超電導ケーブル用のケーブルコアに対して、適切な全長試験方法が提案されていない。
【0009】
例えば、超電導ケーブルに利用されるケーブルコアは、長尺であることから、取り扱い易いように、ケーブルコアをドラムに巻き取っておき、この状態で冷却し、特性を調べることが考えられる。この場合、ドラムに巻き取ったケーブルコアを容器に収納し、この容器に冷媒を充填すればよく、例えば、断熱管内に冷媒を充填して循環冷却する場合に比較して、簡易な冷却設備で試験を実施できる。また、ドラムに巻き取った状態では、ケーブルコアの両端が近くに配置されることから、例えば、電気的特性を調べるために利用する電源の取り付けも容易に行える。しかし、この場合、臨界電流を精度よく測定することが難しい。
【0010】
ここで、超電導導体層といった超電導層を構成する超電導線材の臨界電流は、磁場に依存し、磁場の印加によって臨界電流は、ゼロ磁場下の臨界電流よりも低下する傾向にある。超電導線材の臨界電流の低下によって、超電導層の臨界電流も低下する。
【0011】
ドラムに巻き取られたケーブルコアがつくる各ターンは近接しており、各ターンに流れる電流に基づく磁場がそれぞれターンの外部に漏れ出て、この漏れ磁場が相互に干渉し合う。そのため、上述のようにケーブルコアの両端部を電源に取り付けて臨界電流を測定しても、このターン間の磁場の干渉によって、測定値は、本来の値(設計値)よりも低くなる。特に、設計値が高いケーブルコアの場合、大電流を通電して臨界電流を測定することになるが、通電電流の増大に伴い磁場も大きくなり易く、測定する臨界電流が更に低下し得る。
【0012】
そこで、本発明の目的は、超電導ケーブル用ケーブルコアの全長の臨界電流を精度よく測定可能な臨界電流の測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ケーブルコアの全長に亘って臨界電流を測定するにあたり、超電導導体層と外側超電導層とに相互に逆向きの電流が流れた状態にすることで、上記目的を達成する。
【0014】
本発明の臨界電流の測定方法は、試験対象として、超電導導体層と、上記超電導導体層の外周に外側超電導層とを具えるケーブルコアを準備し、上記超電導導体層に直流電流を通電し、上記外側超電導層には上記超電導導体層に流れる電流とは逆向きの電流が流れた状態にして、上記ケーブルコアの全長の臨界電流を測定する。
【0015】
本発明は、ケーブルコアの全長に亘って臨界電流を測定するにあたり、当該ケーブルコアに具える超電導導体層にのみ、電流が流れた状態とするのではなく、同じケーブルコアに具える外側超電導層にも特定の電流、具体的には、超電導導体層に流れる電流(以下、導体電流と呼ぶ)とは逆向きの電流が流れた状態とする。この逆向きの電流に基づく磁場によって、導体電流に基づく磁場をある程度打ち消し、ケーブルコアの外部に漏れ出る磁場を低減できる。そのため、本発明は、上述の磁場の影響による臨界電流の低下を抑制でき、本来の値(設計値)に近い値を測定可能となる。従って、本発明は、ケーブルコアの全長の臨界電流を精度よく測定可能であり、ケーブルコアの全長試験として好適に利用できる。
【0016】
本発明の一形態として、上記ケーブルコアがドラムに巻き取られた形態が挙げられる。また、このドラムが非磁性材料によって構成された形態が挙げられる。
【0017】
ドラムに巻き取られたケーブルコアを試験対象とする上記形態は、(1)試験対象を取り扱い易い、(2)冷凍機や循環ポンプを省略した簡易な冷却設備によって試験実施が可能、(3)電源の取り付けが容易、といった利点を有する。また、本発明は、上述のように超電導導体層と外側超電導層との双方に相互に逆向きの電流を流すことで、ケーブルコアがドラムに巻き取られて、当該ケーブルコアがつくる各ターンが近接された状態であっても、臨界電流を精度よく測定することができる。上記ドラムが非磁性材料によって構成されている場合、導体電流に基づく磁場や上記逆向きの電流に基づく磁場の乱れを抑制することができる。
【0018】
本発明の一形態として、上記ケーブルコアの一端では、上記超電導導体層と上記外側超電導層とを電気的に接続して、当該超電導導体層と当該外側超電導層とによる往復通電路を形成し、上記ケーブルコアの他端では、上記超電導導体層と上記外側超電導層とを直流電源に接続して、上記往復通電路に直流電流を通電する形態が挙げられる。
【0019】
上記形態は、同じケーブルコアに具える超電導導体層の一端と外側超電導層の一端同士を短絡させる、即ち、近接した構成部材同士を短絡させるため、往復通電路を容易に構築できる。また、上記形態は、近接する構成部材の他端を同じ直流電源に接続するため、直流電源を接続するためのリード部材を短くでき、接続作業が容易である上に、リード部材の抵抗成分の増加に伴う電源の出力電圧の増加を低減できる。従って、上記形態は、ケーブルコアの全長の臨界電流を測定するにあたり、測定準備の作業性に優れる上に、試験に用いる直流電源として、出力容量が小さいものを利用できる。特に、上記形態においてドラムに巻き取られたケーブルコアを試験対象とする場合、ケーブルコアの両端が近いため、上述の短絡作業や接続作業をより容易に行える。
【0020】
本発明の一形態として、上記ケーブルコアの両端において上記外側超電導層を短絡接続部によって電気的に接続して閉ループを形成し、上記ケーブルコアの両端において上記超電導導体層を直流電源に接続して、当該超電導導体層に直流電流を通電し、上記外側超電導層を含む閉ループには、上記逆向きの電流として、前記超電導導体層に流れる電流に基づく誘導電流を流す形態が挙げられる。
【0021】
上記形態は、超電導導体層のみを測定対象とするため、超電導導体層の臨界電流の測定に好適に利用することができる。上記形態において、特に、ドラムに二層などの多層巻きされたケーブルコアを試験対象とする場合、ケーブルコアの両端が近いため、上記閉ループの形成や電源の接続作業をより容易に行える。
【0022】
本発明の一形態として、複数の上記ケーブルコアが1つのドラムに共巻きされたものを試験対象とする形態が挙げられる。この形態では、上記共巻きされたケーブルコアのうち、2本のケーブルコアに具える上記外側超電導層同士を短絡接続部によって電気的に接続して一つの閉ループを形成し、当該2本のケーブルコアの一端では、各ケーブルコアに具える上記超電導導体層同士を電気的に接続して、これら超電導導体層による往復通電路を形成し、他端では、各ケーブルコアに具える上記超電導導体層を直流電源に接続して、上記往復通電路に直流電流を通電し、上記外側超電導層を含む閉ループには、上記逆向きの電流として、上記超電導導体層に流れる電流に基づく誘導電流を流す構成が挙げられる。
【0023】
上記形態は、複数のケーブルコアを試験対象とする場合に、超電導導体層の臨界電流を精度よく測定できる上に、これらのケーブルコアが1つのドラムに巻き取られていることで、各ケーブルコアの端部が近接しているため、上記閉ループや往復通電路の形成、電源の接続作業を容易に行える。
【0024】
上記短絡接続部を具える形態として、測定した臨界電流を補正する形態とすることができる。より具体的には、上記短絡接続部にロゴスキーコイルを取り付けて、又は上記短絡接続部がシャント抵抗を具えており、上記ロゴスキーコイル又は上記シャント抵抗を用いて、上記誘導電流を実測し、上記超電導導体層への通電電流と、実測した上記誘導電流との差から、上記ケーブルコアの外部に漏れる漏れ磁場によって上記超電導導体層の臨界電流が低下する量を求め、上記測定した臨界電流を上記低下した量に基づいて補正する構成が挙げられる。
【0025】
本発明者らが調べた結果、超電導導体層に一定の変化速度で直流電流を通電した場合、変化速度に応じて誘導電流が変化する、具体的には変化速度が小さいと、誘導電流が小さくなる、との知見を得た。誘導電流が小さいと、導体電流と誘導電流との差に基づく漏れ磁場が大きくなり、この漏れ磁場によって測定した臨界電流が低下する。上記形態では、この低下分を補正するため、臨界電流を精度よく測定できる。また、上記形態は、誘導電流の実測値を利用することで漏れ磁場を高精度に求められ、ひいては漏れ磁場による臨界電流の低下量を正確に求められるため、この点からも、臨界電流を精度よく求められる。更に、上記形態では、漏れ磁場の発生を許容するため、超電導導体層への電流の変化速度を小さくできることから、小容量の電源を利用できる。つまり、変化速度の増大に伴う大きな誘導電圧に対応可能な大容量の電源を用いる必要が無い。その他、ロゴスキーコイルを利用する形態では、短絡接続部に容易に取り付けられて作業性に優れる上に、使用後も簡単に取り外せる。シャント抵抗を利用する形態では、誘導電流を高精度に求められることから、臨界電流をより高精度に測定できる。
【0026】
本発明の一形態として、上記ケーブルコアの両端において上記超電導導体層を直流電源に接続して、当該超電導導体層に直流電流を通電し、上記ケーブルコアの両端において上記外側超電導層を別の直流電源に接続して、当該外側超電導層に上記超電導導体層に流れる電流と逆向きの電流を通電する形態が挙げられる。
【0027】
上記形態は、超電導導体層の臨界電流の設計値と、外側超電導層の臨界電流の設計値とが大きく異なる場合でも、上記設計値のうち、小さい方を超えない範囲で電流を十分に流すことができるため、磁場の影響を最小限にすることができる。つまり、上記形態は、導体電流と外側超電導層に流れる電流との差に基づく漏れ磁場を小さくし易い、好ましくは漏れ磁場を実質的に無くすことができる。従って、上記形態は、磁場の影響による臨界電流の低下を低減でき、例えば、上述のような補正を行わなくても、臨界電流を精度よく測定できる。また、上記形態は、超電導導体層と外側超電導層とのそれぞれに流れている電流値が電源によって制御されていることから、各層に流れる電流に差がある場合でもその差を正確に測定できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明臨界電流の測定方法は、超電導ケーブルに利用されるケーブルコアの全長の臨界電流を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1に係る臨界電流の測定方法を説明するための説明図である。
【図2】実施形態2に係る臨界電流の測定方法を説明するための説明図である。
【図3】実施形態3に係る臨界電流の測定方法を説明するための説明図である。
【図4】実施形態4に係る臨界電流の測定方法を説明するための説明図である。
【図5】実施形態1に係る臨界電流の測定方法であって、ケーブルコアがドラムに巻き取られた状態を説明するための説明図である。
【図6】超電導ケーブル用ケーブルコアを模式的に示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。図において同一符号は、同一名称物を示す。まず、測定対象となる超電導ケーブル用ケーブルコアを説明し、次に、臨界電流の測定方法のより具体的な手法を説明し、その後、試験対象のより具体的な形態について説明する。
【0031】
[ケーブルコア]
ケーブルコア100は、図6に示すように、例えば、中心から順にフォーマ101、超電導導体層102、電気絶縁層103、外側超電導層104、保護層105を具える。
【0032】
フォーマ101は、超電導導体層102の支持部材であり、ケーブルコア100の抗張力材としても機能する。また、フォーマ101は、短絡や地絡などの事故時に事故電流を分流する通電路に利用される。通電路に利用する場合、フォーマ101は、銅やアルミニウム、その合金などの常電導材料からなる中実体や中空体(管体)が好適に利用できる。より具体的には、例えば、ポリビニルホルマール(PVF)やエナメルなどの絶縁被覆を具える銅線を複数本撚り合わせた撚り線材が挙げられる。フォーマ101の外周にクラフト紙やPPLP(住友電気工業株式会社 登録商標)といった絶縁テープ材を巻回してクッション層を設けることができる。
【0033】
超電導導体層102及び外側超電導層104は、超電導線材を螺旋状に巻回した線材層を単層又は多層に具える形態が挙げられる。超電導線材は、酸化物超電導相を具える線材、具体的には、REBa2Cu3Ox(RE123:REは希土類元素)、例えばYBCO,HoBCO,GdBCOといった希土類系酸化物超電導相を具える薄膜線材や、Bi2Sr2Ca2Cu3O10+δ(Bi2223)といったBi系酸化物超電導相を具え、Agやその合金を金属マトリクスとする高温超電導線材がある。多層構造の場合、各線材層の層間にクラフト紙などの絶縁紙を巻回した層間絶縁層を形成することができる。超電導導体層102の直上にカーボン紙などを巻回して内側半導電層を設けることができる。なお、薄膜線材及びBi系酸化物超電導線材はいずれも、その表面に対して垂直に磁場が印加されると(超電導線材の厚さ方向に磁場が印加されると)、その表面に平行に磁場が印加される場合に比べて、臨界電流が低下する傾向にある。
【0034】
外側超電導層104は、例えば、交流送電の場合、磁気シールドとして利用され、直流送電の場合、帰路導体や中性線として利用される。超電導導体層102及び外側超電導層104を構成する超電導線材の数や線材層の数は、所望の電力供給容量に応じて設計される。
【0035】
電気絶縁層103は、超電導導体層102(或いは内側半導電層)の上に、クラフト紙やPPLP(登録商標)といった半合成絶縁紙などの絶縁テープ材を巻回することで形成することができる。電気絶縁層103の直上に、カーボン紙などを巻回して外側半導電層を設けることができる。
【0036】
外側超電導層104の外周に、上述した事故電流の誘導電流の通電路に利用する常電導シールド層を設けることができる。常電導シールド層は、例えば、銅といった常電導材料からなる金属テープ材を巻回して形成することができる。
【0037】
外側超電導層104(或いは常電導シールド層)の外周に、クラフト紙やPPLP(登録商標)といった半合成絶縁紙などの絶縁テープ材を巻回して、外側超電導層104を機械的に保護するための保護層105を設けることができる。
【0038】
上述のケーブルコア100は、超電導ケーブルの構成部材に利用される。超電導ケーブルは、1条又は複数条(代表的には3条)のコア100を一つの断熱管(図示せず)に収納して製造する。断熱管は、内管と外管との二重管からなり、内管と外管との間が真空引きされた真空断熱構造のものが代表的である。超電導ケーブルは、断熱管内に冷媒(例えば、液体窒素や液体ヘリウムといった液体冷媒)が充填され、この冷媒により超電導導体層102や外側超電導層104を冷却して超電導状態として、電力供給路に利用される。
【0039】
[臨界電流の測定方法]
本発明は、上述のケーブルコア100の全長の臨界電流を測定するにあたり、超電導導体層102に直流電流を通電すると共に、外側超電導層104に導体電流とは逆向きの電流が流れた状態とする。具体的な手法として、以下の実施形態1〜4が挙げられる。
【0040】
(実施形態1)
実施形態1では、図1に示すようにケーブルコア100に具える超電導導体層102と外側超電導層104とを短絡して往復通電を行い、例えば、超電導導体層102には往路電流、外側超電導層には帰路電流を流す。
【0041】
より具体的には、例えば、ケーブルコア100の一端を段剥ぎして、超電導導体層102及び外側超電導層104とを露出させ、短絡接続部20によって両層102,104の一端同士を電気的に接続して、往復通電路を形成する。短絡接続部20は、銅や銅合金などの導電性に優れる常電導材料、その他、超電導導体層102などの超電導層を構成する超電導線材と同様の超電導線材を適宜組み合せて形成することができる。後述する実施形態2,3の短絡接続部21〜24にも同様の材料を利用することができる。なお、短絡接続部20〜24といった、臨界電流の測定のためにコア100に取り付けた部材は、測定終了後、適宜取り外して、コア100を出荷したり、超電導ケーブルの製造などに利用したりする。
【0042】
臨界電流の測定にあたり、上記往復通電路に直流電流を供給するために、ケーブルコア100の他端において、超電導導体層102及び外側超電導層104を直流電源50に接続する。直流電源50は、電流の変化速度に応じて生じる誘導電圧を確保した適宜なものが利用でき、市販品を利用することができる。また、直流電源50として、変化速度の制御が可能な機構を具えるものを利用したり、変化速度を制御可能な市販のスイーパ装置(図示せず)を直流電源50に併設させたりすることができる。
【0043】
更に、直流電源50やケーブルコア100などからの種々の測定データ(通電電流、超電導導体層102の端部と外側超電導層104の端部間の電圧などの信号)を記録する記憶手段を具える記録装置51を直流電源50やコア100の端部に接続すると、作業者が測定結果を把握し易い。
【0044】
上述のようにして超電導導体層102と外側超電導層104とによる往復通電路を形成したら、直流電源50によって、一定の変化速度で往復通電路に直流電流を供給して、臨界電流を測定する。
【0045】
実施形態1では、超電導導体層102と外側超電導層104との間の電圧信号(電位差)を測定して、電流と電圧との関係を記録装置51に記録し、得られた電流-電圧特性から1μV/cm(=0.1mV/m)の電界が生じた電流を求め、この電流を超電導導体層102及び外側超電導層104の少なくとも一方の臨界電流とする。実施形態1では、超電導導体層102の臨界電流の設計値と外側超電導層104の臨界電流の設計値とが極端に差が大きい場合には、設計値が低い方の臨界電流を測定できる。また、超電導導体層102と外側超電導層104とのそれぞれに電圧タップを取り付け、それぞれの電圧を測定すると、各層102,104の臨界電流をより精度よく測定することができて好ましい。後述する実施形態2,4では、超電導導体層102の両端の電位差を測定し、得られた電流-電圧特性から求めた「1μV/cmの電界が生じた電流」を超電導導体層102の臨界電流とし、実施形態3では、2本のケーブルコア100A,100Bに具える超電導導体層102A,102Bの端部間の電位差を測定し、得られた電流-電圧特性から求めた「1μV/cmの電界が生じた電流」を超電導導体層の臨界電流とする。後述する実施形態4では、超電導導体層102の両端の電位差と外側超電導層104の両端の電位差とをそれぞれ別個に測定することで、超電導導体層102の臨界電流、外側超電導層104の臨界電流のそれぞれを別個に測定することもできる。
【0046】
実施形態1は、超電導導体層102に流れる電流:導体電流がつくる磁場を外側超電導層104に流れる電流:導体電流とは逆向きの電流がつくる磁場によって、実質的に全て打ち消すことができる。そのため、実施形態1は、ケーブルコア100が後述するようにドラム10に巻回されてコア100がつくる各ターンが近接して存在する場合でも、各ターンからの漏れ磁場を低減できる。従って、実施形態1は、測定対象である超電導導体層102又は外側超電導層104の臨界電流が上記漏れ磁場により低下する量を低減でき、測定対象の臨界電流を精度よく測定することができる。
【0047】
(実施形態2)
実施形態2では、図2に示すようにケーブルコア100に具える外側超電導層104を短絡して閉ループとし、この閉ループに、超電導導体層102に流れる導体電流に基づく誘導電流を流す。
【0048】
より具体的には、ケーブルコア100の両端において、外側超電導層104の端部同士を短絡接続部21によって電気的に接続する。また、ケーブルコア100の両端において、超電導導体層102の端部を直流電源50に接続し、一定の変化速度で直流電流を供給して、超電導導体層102の臨界電流を測定する。
【0049】
実施形態2では、主として外側超電導層104により構成される上記閉ループに、導体電流とは逆向きの誘導電流が流れ、この誘導電流がつくる磁場によって、導体電流に基づく磁場をある程度打ち消すことができる。そのため、実施形態2は、ケーブルコア100が後述するようにドラムに巻回されて、ターンが近接する場合でも、各ターンにおける導体電流と誘導電流との差に基づく漏れ磁場を低減できる。従って、実施形態2は、測定対象である超電導導体層102の臨界電流が上記漏れ磁場によって低下する量を低減でき、臨界電流を精度よく測定できる。
【0050】
特に、実施形態2では、超電導導体層102に供給する電流の変化速度を十分に大きくすることで、導体電流とほぼ同じ大きさの誘導電流を発生でき、上述の漏れ磁場が実質的に生じない、つまり、漏れ磁場による臨界電流の低下を抑制することができる。誘導電流が、導体電流の75%以上の大きさとなるように変化速度を調整すると、漏れ磁場を効果的に低減できる。
【0051】
或いは、実施形態2では、誘導電流の大きさを測定して、導体電流と誘導電流との差に基づく漏れ磁場を求め、更に、この漏れ磁場により低下する臨界電流の低下量を求めて、測定した臨界電流に対して、この低下分を補正する構成とすることができる。
【0052】
具体的には、例えば、短絡接続部21にロゴスキーコイル30を取り付け、ロゴスキーコイル30からの測定データ(例えば、発生電圧の積分値)を用いて、外側超電導層104に流れる誘導電流(例えば、上記積分値×校正係数)を求める。測定データは、記録装置51の記憶手段に記憶させると、測定データを利用し易い。ロゴスキーコイル30は、着脱が容易であり、測定時の作業性に優れる。ロゴスキーコイル30に代えて、シャント抵抗を利用して誘導電流を測定してもよい。この場合、シャント抵抗(図示せず)を具える短絡接続部21を構築する。シャント抵抗は短絡接続部21の構成要素に直接接続されるため、測定誤差が小さく、誘導電流の測定精度が高い。
【0053】
測定した臨界電流と誘導電流との差を求め、両電流の差に基づく漏れ磁場に応じた臨界電流の低下量を求める。通電電流の変化速度αを大きくするほど誘導電流が大きくなり、上記両電流の差が小さくなる。すると、漏れ磁場が少なくなるため、臨界電流の低下量も少なくなり、補正による誤差が小さくなる。臨界電流の低下量は、種々の大きさの漏れ磁場と、各漏れ磁場を印加したときの臨界電流の低下量との相関データを予め求めておき、この相関データを参照して求めるようにすると、容易に求められる。この相関データも、上述した記録装置51の記憶手段などに記憶させておくと、臨界電流の低下量をより簡単に求められる。
【0054】
或いは、臨界電流の低下量を電磁場解析を利用して演算により求めることができる。具体的には、超電導導体層に変化速度αで直流電流を通電したとき、変化速度αに応じて外側超電導層に誘導する誘導電流の電流波形を求め、導体電流と誘導電流との差に基づく磁場分布及び時間変化を(二次元或いは三次元の)電磁場解析によって計算する。また、超電導層を形成する各超電導線材に印加される磁場を算出する。予め、超電導線材に磁場が印加されたときの臨界電流の維持率を実験的に求めておき、上記磁場によって超電導層を構成する各超電導線材の臨界電流の低下を求める。この低下量を用いて、例えば、超電導導体層の臨界電流の低下率を求める。上記電磁場解析には、市販の解析ソフトを利用することができる。例えば、超電導線材がBi系酸化物超電導線材である場合には、印加磁場が垂直磁場であると上述のように臨界電流が低下する傾向にあることから、印加磁場を垂直磁場として解析することが挙げられる。
【0055】
そして、測定した臨界電流に、求めた低下量を加えて補正し、適切な臨界電流(理想的には、漏れ磁場による低下が無いときの本来の臨界電流)を求める。ここで、記録装置51として、上述の記憶手段に加えて、記憶手段から呼び出したデータを用いて漏れ磁場によって低下した臨界電流の低下分を補正するための補正量を演算する補正量演算手段と、求めた補正量を用いて測定値を補正し、適切な臨界電流を演算する臨界電流演算手段とを具えるものを利用することができる。そして、上記演算手段に補正を行わせるようにすると、臨界電流をより簡単に、自動的に求められる。或いは、上記演算手段を具える演算装置を別途用意して利用することができる。
【0056】
なお、電流の変化速度の増加に応じて、超電導導体層102の両端の電圧が非常に大きくなる。通電電流の変化速度をα(A/sec)とすると、誘導電圧は、L・(dI/dt)=Lαで定義され、変化速度αを大きくするほど、発生する誘導電圧が大きくなる。そのため、例えば、ケーブルコア100が長大化すると、抵抗成分の電圧に加えて、上記誘導電圧をも確保した電源、即ち、大電流・大電圧に対応可能な大容量の電源が必要となる。しかし、測定値を補正する形態では、誘導電流が小さい場合を許容するため、変化速度を小さくする(遅くする)ことが可能である。従って、上述の測定値を補正する形態では、臨界電流をより精度よく求められる上に、直流電源50として、小容量のものを利用できる。
【0057】
また、この形態は、測定値の補正にあたり、誘導電流を実測し、この実測値に基づいて補正量を決定するため、製造誤差などにより短絡接続部21の抵抗が設計値と相違する場合や、ドラム巻きしたケーブルコア100間のギャップ幅が所定値と相違する場合などでも、臨界電流を精度よく測定でき、信頼性が高い。
【0058】
(実施形態3)
実施形態3では、図3に示すように2本のケーブルコア100A,100Bに具える超電導導体層102A,102B同士による往復通電を行うと共に、コア100A,100Bに具える外側超電導層104A,104Bを短絡して一つの閉ループとし、この閉ループに、超電導導体層102A,102Bに流れる導体電流に基づく誘導電流を流す。なお、2本のコア100A,100Bの構成・材質は、ケーブルコア100と同様である。
【0059】
より具体的には、両ケーブルコア100A,100Bの一端において、超電導導体層102A,102B同士を短絡接続部22によって電気的に接続して、超電導導体層102A,102Bによる往復通電路を形成する。また、両コア100A,100Bに具える外側超電導層104A,104Bの端部同士をそれぞれ短絡接続部23,24によって電気的に接続する。そして、各コア100A,100Bの他端において、超電導導体層102A,102Bの端部を直流電源50に接続し、一定の変化速度で往復通電路に直流電流を供給して、超電導導体層102A,102Bの臨界電流を測定する。
【0060】
実施形態3も、実施形態2と同様に、主として外側超電導層104A,104Bにより構成される上記閉ループに、往復通電路に流れる導体電流とは逆向きの誘導電流が流れ、この誘導電流がつくる磁場によって、導体電流に基づく磁場をある程度打ち消すことができる。そのため、実施形態3も、ケーブルコア100A,100Bが後述するようにドラムに共巻きされた場合でも、各コア100A,100Bにおける導体電流と誘導電流との差に基づく漏れ磁場を低減できる。従って、実施形態3は、測定対象である超電導導体層の臨界電流が上記漏れ磁場によって低下する量を低減でき、臨界電流を精度よく測定できる。
【0061】
実施形態3も、実施形態2と同様に、超電導導体層102A,102Bによる往復通電路への電流の変化速度を十分に大きくすることで、上述の磁場の影響による臨界電流の低下を抑制できる。また、実施形態3も、実施形態2と同様に、導体電流と誘導電流との差に基づく漏れ磁場による臨界電流の低下分を補正する構成とすると、小容量の電源を利用した場合でも、臨界電流を高精度に測定できる。この補正を行う場合、実施形態2と同様に短絡接続部23,24のいずれか(図3では短絡接続部23)にロゴスキーコイル30を取り付けたり、シャント抵抗を具える短絡接続部を構築し、ロゴスキーコイル30などを利用して誘導電流を実測すると、誘導電流を精度よく測定でき、ひいては、補正量も精度よく求められて、臨界電流を更に精度よく測定できる。
【0062】
実施形態2,3において上述の補正を行う形態は、超電導導体層の臨界電流の設定値が4kA以上、更に5kA以上といった大容量の電力供給用途の超電導ケーブルに利用されるケーブルコアや、ケーブルコアの長さが短く、誘導電流を誘導し難い場合に好適に利用することができる。勿論、この補正を行う形態は、上記臨界電流の設定値が4kA未満、例えば、3kA程度の電力供給用途の超電導ケーブル用ケーブルコア、その他、キロメートルオーダーといった長尺なケーブルコアの全長の臨界電流を測定する場合についても利用することができる。
【0063】
(実施形態4)
実施形態4では、図4に示すようにケーブルコア100に具える超電導導体層102と外側超電導層104とのそれぞれに別個の直流電源50C,50Sを取り付け、互いに逆向きの電流を流す。直流電源50C,50Sは、上述の直流電源50と同様のものを利用できる。電源の容量は、適宜変更することができる。
【0064】
より具体的には、ケーブルコア100の両端において、超電導導体層102の端部を直流電源50Cに接続すると共に、外側超電導層104の端部を直流電源50Sに接続する。そして、一定の変化速度で直流電流を供給して、超電導導体層102又は外側超電導層104の臨界電流を測定する。超電導導体層102及び外側超電導層104に流す電流値は、超電導導体層102の臨界電流の設計値と外側超電導層104の臨界電流の設計値とにおいて、低い方の設計値を超えない範囲で選択する。
【0065】
実施形態4は、超電導導体層102及び外側超電導層104に流す電流の変化速度を容易に調整できるため、各層102,104に流れる電流の大きさを簡単に同じにすることができる。従って、超電導導体層102に流れる導体電流に基づく磁場を外側超電導層104に流れる電流=導体電流と逆向きの電流に基づく磁場によってある程度、好ましくは実質的に全て打ち消すことができる。そのため、実施形態4は、ケーブルコア100が後述するようにドラムに巻回された場合でも、各ターンにおける磁場の干渉を低減でき、上述の補正を行わなくても、測定対象である超電導導体層102又は外側超電導層104の臨界電流を精度よく測定できる。また、この形態は、電源制御によって超電導導体層102に流れる電流と、外側超電導層104に流れる電流とを調整できるため、漏れ磁場を正確に把握できる。つまり、この形態は、上記漏れ磁場に基づく臨界電流の低下分も正確に求められることから、上述のようにこの低下分を補正することで、臨界電流を精度よく測定できる。その他、この形態は、上述の大容量の電力供給用途や短尺なケーブルコアの全長の臨界電流を測定する場合に好適に利用することができる。
【0066】
[試験対象の形態]
上述の実施形態1〜4を実施する場合には、例えば、図5に示すようにケーブルコア100をドラム10に巻き取ったもの(実施形態3ではコア100A,100B(図3)を共巻きしたもの)を試験対象とすると、長尺なコア100を扱い易い。なお、図5では、実施形態1を示す。
【0067】
ドラム10に巻き取られていることで、ケーブルコア100(実施形態3ではケーブルコア100A,100B)は、コア100,100A,100Bの両端が近接しており、上述した短絡接続部20〜24(図2,図3)や、直流電源50,50C(図3),50S(図3)を接続するためのリード電極25,26(図5)などの取り付け作業を容易に行え、作業性に優れる。リード電極25,26は、通電可能なように、銅や銅合金といった適宜な導電性材料からなる適宜な形状、長さのものを利用できる。
【0068】
ドラム10に巻き取られた状態で上述の往復通電路や閉ループの形成、リード電極25,26の取り付けを行った試験対象を冷却容器1に収納し、容器1内に充填した液体冷媒2L(代表的には液体窒素)により超電導導体層102や外側超電導層104を冷却して、超電導状態にして臨界電流を測定する。
【0069】
ドラム10は、円筒状の巻胴11と、巻胴11の各周縁からそれぞれ、巻胴11の外方に突出する円環状の鍔部12A,12Bとを具えるものが挙げられる。ドラムの構成材料は、冷媒に対する耐性を有する材料、例えば、高炭素鋼やステンレス鋼といった高強度な金属材料が挙げられる。鍔部12A,12Bは、巻胴11に一体に保持された形態が代表的であるが、一方の鍔部12Aを巻胴11に対して着脱可能とし、鍔部12Aを取り外した状態で容器1に収納すると、リード電極25,26などを引き出し易い。
【0070】
冷却容器1は、一方が開口した箱状体である本体部2と、本体部2の開口部を塞ぐ蓋部3とを具える。本体部2は、真空層2aを具える真空断熱構造であり、試験対象を十分に収納可能な容積を有する。本体部2は、開口部側に蓋部3を取り付ける取付部2fを具える。本体部2の構成材料は、ステンレス鋼といった、冷媒温度(例えば、液体窒素の場合:77K程度)に対する耐性に優れる材料が挙げられる。蓋部3は、冷却容器1内の冷媒(ここでは、液体冷媒2L及び液体冷媒2Lの上方に形成される気相)を封止するための部材である。蓋部3は、ここでは、中実体(例えば、ステンレス鋼からなる板材)とし、リード電極25,26などを引き出す貫通孔を具える。ドラム10は、冷却容器1の底面に対して、ドラム10の軸が直交するように収納すると、コア100を均一的な状態として、コア100の全長の特性を測定することができる。冷却容器1の底面に対して、ドラム10の軸が平行するようにドラム10を収納することもできる。
【0071】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、ドラムの材質・構成、冷却容器の材質・構成・形状などを適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明臨界電流の測定方法は、ケーブルコアの出荷試験、超電導ケーブルの製造途中における中間試験、その他、任意のときにケーブルコアの全長の臨界電流を測定する際に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 冷却容器 2 本体部 2a 真空層 2L 液体冷媒 2f 取付部 3 蓋部
10 ドラム 11 巻胴 12A,12B 鍔部
20,21,22,23,24 短絡接続部 25,26 リード電極 30 ロゴスキーコイル
50,50C,50S 直流電源 51 記録装置
100,100A,100B ケーブルコア 101 フォーマ
102,102A,102B 超電導導体層 103 電気絶縁層
104,104A,104B 外側超電導層 105 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象として、超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に外側超電導層とを具えるケーブルコアを準備し、
前記超電導導体層に直流電流を通電し、前記外側超電導層には前記超電導導体層に流れる電流とは逆向きの電流が流れた状態にして、前記ケーブルコアの全長の臨界電流を測定することを特徴とする臨界電流の測定方法。
【請求項2】
前記ケーブルコアは、ドラムに巻き取られていることを特徴とする請求項1に記載の臨界電流の測定方法。
【請求項3】
前記ケーブルコアの一端では、前記超電導導体層と前記外側超電導層とを電気的に接続して、当該超電導導体層と当該外側超電導層とによる往復通電路を形成し、
前記ケーブルコアの他端では、前記超電導導体層と前記外側超電導層とを直流電源に接続して、前記往復通電路に直流電流を通電することを特徴とする請求項1又は2に記載の臨界電流の測定方法。
【請求項4】
前記ケーブルコアの両端において前記外側超電導層を短絡接続部によって電気的に接続して閉ループを形成し、
前記ケーブルコアの両端において前記超電導導体層を直流電源に接続して、当該超電導導体層に直流電流を通電し、
前記外側超電導層を含む閉ループには、前記逆向きの電流として、前記超電導導体層に流れる電流に基づく誘導電流を流すことを特徴とする請求項1又は2に記載の臨界電流の測定方法。
【請求項5】
複数の前記ケーブルコアが1つのドラムに共巻きされたものを準備し、
前記共巻きされたケーブルコアのうち、2本のケーブルコアに具える前記外側超電導層同士を短絡接続部によって電気的に接続して一つの閉ループを形成し、
前記2本のケーブルコアの一端では、各ケーブルコアに具える前記超電導導体層同士を電気的に接続して、これら超電導導体層による往復通電路を形成し、他端では、各ケーブルコアに具える前記超電導導体層を直流電源に接続して、前記往復通電路に直流電流を通電し、
前記外側超電導層を含む閉ループには、前記逆向きの電流として、前記超電導導体層に流れる電流に基づく誘導電流を流すことを特徴とする請求項1又は2に記載の臨界電流の測定方法。
【請求項6】
前記ケーブルコアの両端において前記超電導導体層を直流電源に接続して、当該超電導導体層に直流電流を通電し、
前記ケーブルコアの両端において前記外側超電導層を別の直流電源に接続して、当該外側超電導層に前記超電導導体層に流れる電流と逆向きの電流を通電することを特徴とする請求項1又は2に記載の臨界電流の測定方法。
【請求項7】
前記短絡接続部にロゴスキーコイルを取り付けて、又は前記短絡接続部がシャント抵抗を具えており、前記ロゴスキーコイル又は前記シャント抵抗を用いて前記誘導電流を実測し、
前記超電導導体層への通電電流と、実測した前記誘導電流との差から、前記ケーブルコアの外部に漏れる漏れ磁場によって前記超電導導体層の臨界電流が低下する量を求め、
前記測定した臨界電流を前記低下した量に基づいて補正することを特徴とする請求項4又は5に記載の臨界電流の測定方法。
【請求項8】
前記ドラムは、非磁性材料によって構成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の臨界電流の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36840(P2013−36840A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172823(P2011−172823)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】