自冷式包装用作動装置
熱交換器(20)を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、前記蒸気をポンピングするための吸着室(30)を形成する空洞とを備える自冷式包装。包装はまた、前記各空洞(20,30)の共通壁(25)内に設けられている連結手段(40)を含み、前記連結手段は、逆止弁(42)と、吸着室空洞(30)の側面上に配置され、熱交換器空洞(20)内で最初の位置に逆止弁(42)を開くことができる作動手段(45)とを備える。包装は、ばね手段(43)をさらに備え、逆止弁(42)は、前記ばね手段(43)の動作により全開位置に徐々に至るように構成されている。本発明を使用すれば、熱交換器空洞内で逆止弁を徐々に開くことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自冷式包装の分野に関し、特に収着冷却方法により内容物を冷却することができる包装装置に関する。このような冷却方法の原理は、液体の蒸気の吸着により維持される真空の効果による液体の蒸発からなる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に缶またはボトルタイプの密封包装に収容された飲料の冷却に利用され得る。従って、本発明の目的は、好きな場所で好きな時間に理想的な温度で飲料を消費することを可能にすることである。しかし、本発明はまた、化粧品、アイスクリーム等の、使用直前に冷却される必要がある製品を収容する任意の他の包装にも利用され得る。
【0003】
収着冷却方法の実施は周知であり、従来技術において盛んに研究されているテーマである。特に自冷式飲料包装への利用のために、吸着剤を収容する空洞内で蒸発する冷却液を収容する熱交換器に関連して多くの装置が提案されている。
【0004】
国際公開第03/073019号パンフレットは、図1に示されている自冷式包装および関連した作動装置に関連している。
この文献は、飲料を収容することができる第1の空洞10と、熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する第2の空洞20と、乾燥剤等の、前記蒸気を吸着ポンピングするための手段を収容する第3の空洞30とを備える包装を開示している。第2および第3の空洞は、内蔵式連結手段40を備える共通壁25を備えている。前記連結手段は逆止弁42を備えており、該逆止弁42は、第2の空洞の側面上に加わる圧力に耐えることができるとともに、第3の空洞の側面上に加わる力の作用により開く。
【0005】
従って、この逆止弁42は、第3の空洞により形成される乾燥室30内の真空を維持しながら大気圧に耐えることができるとともに、第2の空洞により形成される熱交換器20内への最小の作動力により容易に作動され得る。
【0006】
この文献に記載されている逆止弁42は、逆止弁を有する連結手段40を含む壁25に対向する第3の空洞30(乾燥室)の壁35の少なくとも一部の変位を伝えるプランジャ中空ロッド45により作動され得る。
【0007】
逆止弁42は、2つのストローク開放手段を備えている。第1の開放位置はプランジャロッド45により作動され、冷却液の蒸気の制限経路を画定し、第2の開放位置は、冷却液の蒸気の流れを促進する拡大経路を画定している。第1の開放位置においては、第2の空洞20の、第3の空洞30に比べて過度の圧力により、弁42の閉塞部材がロッド45の端部と継続的に接触しており、それにより小さな側方の開口を通じた中空ロッド内部への蒸気の経路が制限されている。第2の位置においては、過度の圧力が低下すると、閉塞部材は第2の空洞(熱交換器)内を落下し、中空ロッド内部へのより大きな開口が開放される。
【0008】
気液分離装置が、熱交換器を形成している第2の空洞内に設置され得る。国際公開第03/041841号パンフレットに、このような気液分離装置が開示されている。このような気液分離装置は、冷却液の蒸気の分子を、蒸気の流れに沿った前記液体の滴から分離することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、蒸気の流れが非常に重要な場合、特に冷却工程を開始する場合、このような気液分離装置が過負荷状態になる場合がある。従って、このような分離装置を2つのストローク開放手段と組み合わせると、乾燥室と熱交換器との間の圧力差が非常に大きい場合、熱交換器の温度とともに圧力差が小さくなる際に冷却工程が減速することを避けながら、冷却工程の開始時に蒸気の流れを制限することができる。熱交換器空洞内の圧力は、例えば水などの冷却液の飽和蒸気圧に等しい。
【0010】
しかし、冷却工程の開始とその後の冷却工程との間の蒸気の流れの大きな変動を考えた場合、この2つのストローク開放だけでは十分でない。
例えば、熱交換器の温度が約30℃である冷却工程を開始すると、熱交換器を形成している空洞内の飽和蒸気圧は約40ミリバール(4000Pa)である。収着冷却工程により熱交換器の温度が10℃以下に下がると(図8のグラフ参照)、この圧力は10ミリバール(1000Pa)以下に下がる。
【0011】
冷却工程の開始時に乾燥剤の収着能力が非常に高いと、蒸気の流れは圧力Pに比例して変化する。この蒸気の流れの変動は非常に大きいので、従来技術の2つのストローク開放プランジャロッドを効率的に調整することができない。従来の配置は、冷却液の蒸発速度を制限することなく連結手段を作動させると、冷却液の沸騰の力により液滴が乾燥室の方向へ送られることを避けることができず、そのため熱交換器の冷却速度が制限される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明は、熱交換器を形成している空洞と乾燥室を形成している空洞との間の強化された連結手段を提供する。自冷式包装装置内の逆止弁のために、2つのストローク開放手段の代わりに段階的開放手段が設けられている。
【0013】
より詳細には、本発明は、
熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、
前記蒸気をポンピングするための吸着室を形成する空洞と、
前記各空洞の共通壁内に設けられ、逆止弁を備える連結手段と、
前記吸着室空洞の側面上に配置され、逆止弁を最初の位置へ開くように構成されている作動手段と、
ばね手段であって、該ばね手段の動作により前記逆止弁が全開位置へ徐々に至るように構成されているばね手段とを備える自冷式包装に関する。
【0014】
ある特徴によれば、逆止弁は、熱交換器空洞の側面上に加わる圧力に耐えるように構成されており、前記作動手段および前記ばね手段により加わる力によって、前記熱交換器空洞内で開かれ得る。
【0015】
ある特徴によれば、前記連結手段が閉位置に位置する場合、ばね手段は休止位置に位置しており、最初の開放位置で前記作動手段により負荷がかかる。
一実施形態によれば、ばね手段は作動手段の一部である。
【0016】
他の実施形態によれば、ばね手段は連結手段の一部である。
ある特徴によれば、作動手段はプランジャロッドを備えている。
ある特徴によれば、ばね手段は、作動装置のプランジャロッドのストロークの0.5〜0.7の範囲のばねストロークを有している。
【0017】
一実施形態によれば、ばね手段はつる巻ばねを備えている。
他の実施形態によれば、ばね手段は舌部を備えている。
一実施形態によれば、逆止弁は円板形をなす。
【0018】
一実施形態によれば、連結手段は、円錐形の逆止弁と、共通壁内に形成されている円錐形の弁座とを備えている。
ある特徴によれば、円錐形は、共通壁に対して15度〜30度の範囲の角度を有している。
【0019】
一実施形態によれば、連結手段は、逆止弁の開放方向に対して垂直な方向の収容位置に圧縮されているシール部材を備えている。
ある特徴によれば、包装は、熱交換器空洞内に配置される気液分離装置をさらに備えている。
【0020】
ある特徴によれば、前記気液分離装置は、連結手段を含む立体角を画定している。
本発明はさらに、自冷式包装の内容物の冷却方法に関し、該包装は、
熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、
前記蒸気をポンピングするための吸着室を形成する空洞と、
前記各空洞の共通壁内に設けられ、逆止弁を備える連結手段と、
前記吸着室空洞の側面上に配置される作動手段と、
ばね手段とを備え、
前記方法は、
前記作動手段の動作により逆止弁を最初の位置へ開く工程と、
前記熱交換器空洞から吸着室空洞へ冷却液の蒸気をポンピングする工程と、
前記ばね手段の動作により、熱交換器空洞内の圧力の低下に対して大きく開くように逆止弁を徐々に開く工程とを含む。
【0021】
ある特徴によれば、この方法は、熱交換器空洞内の圧力がしきい値以下に下がる場合に、熱交換器空洞内に逆止弁をさらに落下させる工程を含む。
添付の図面を参照しながら本発明の実施形態の下記の詳細な説明を読めば、本発明の他の特徴および利点を理解することができるだろう。この説明は単に例示としてのものに過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、前記蒸気をポンピングするための吸着室を形成する空洞とを備える自冷式包装を提供する。包装はまた、前記熱交換器空洞および吸着室空洞の共通壁内に設けられている連結手段を備えており、該連結手段は逆止弁を備えている。吸着室空洞の側面上に配置され、熱交換器空洞内の最初の位置に逆止弁を開くように構成されている作動手段も設けられている。包装はさらにばね手段を備えており、前記逆止弁は、前記ばね手段の動作により全開位置に徐々に至るように構成されている。
【0023】
本発明は、熱交換器空洞内で逆止弁を徐々に開くことができる。冷却液の蒸気の流れの経路を提供する逆止弁コンダクタンスは、熱交換器空洞内の圧力が低下するにつれて徐々に増大する。従って、熱交換器空洞から吸着室空洞への蒸気の流れは、冷却工程の大部分でほぼ一定である。圧力が低下すると蒸気ポンピング速度が遅くなり、大きく開いた逆止弁が、圧力の低下を補償する蒸気のための大きな経路を提供する。
【0024】
本発明によれば、および図2a〜図2cに示すように、包装は、冷却される飲料または任意の他の製品を収容することができる第1の空洞10と、熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する第2の空洞20と、乾燥剤等の、前記蒸気の吸着ポンピングための手段を収容する第3の空洞30とを備えている。
【0025】
第2および第3の空洞は、内蔵式連結手段40を備える共通壁25を有している。前記連結手段は逆止弁42を備えている。
包装はさらに、熱交換器を冷却するとともに第1の空洞10の内容物を冷却するために冷却液の蒸気をポンピングすべく、熱交換器空洞20と吸着室空洞30とを連通させる連結手段40を作動するように構成されている作動手段45を含む。作動手段は、前記第2および第3の空洞の共通壁25に対向する第3の空洞30(吸着室)の壁35の少なくとも一部の変位を伝える中空プランジャロッド45を備えてもよい。
【0026】
包装はまた、連結手段40および作動手段45と協調するように構成されているばね手段43を含む。ばね手段43は、作動手段内、すなわちプランジャロッド45内、または連結手段内に配置されることができ、すなわち逆止弁42に取り付けられることができる。ばね手段43について、本発明の好ましい実施形態を参照しながら以下にさらに詳細に説明する。
【0027】
連結手段40の逆止弁42は、熱交換器空洞20の側面から加わる圧力に耐えるように構成されており、吸着室の空洞30の側面からの前記作動手段45および前記ばね手段43によって加えられる力により、前記熱交換器空洞20内で開くことができる。
【0028】
逆止弁42は、熱交換器空洞20および乾燥室空洞30の共通壁25内の開口を閉じる閉塞部材を含む。好適には、この閉塞部材は中実であり、金属製の円板により形成され得る。
【0029】
連結手段40はまた、共通壁25の開口の周囲に逆止弁42のシーリング41を含む。このシーリング41は、弁42の中実な閉塞部材と共通壁25との間に配置される、真空グリースまたはエラストマー等の可鍛性の接合部でもよい。また、シーリング41は、厚さが2/100mmであり、共通壁25に接着されているアルミニウムシート等の、弁42の閉塞部材を覆う薄い引き裂き可能な真空気密シートでもよい。このシーリングは、逆止弁42の設計により熱交換器空洞20の側面からの高圧による応力を受けず、乾燥室空洞30の側面からのプランジャロッド45によって加えられる圧力に対して非常に低い抵抗を与えるだけである。
【0030】
従って、連結手段の逆止弁42は一方向だけ、すなわち熱交換器空洞20の方向だけに容易に開くことができる。
本発明に係る自冷式包装装置の動作は下記の通りである。好適には、包装は逆さまに、すなわち吸着室の空洞30が熱交換器空洞20上に配置されて行われる。
【0031】
動作していない場合には、連結手段は閉鎖されている(図2a)。
図3は、閉位置に位置する第1の実施形態に係る連結手段の詳細図Aである。逆止弁42は、シーリング41による真空気密の状態で、熱交換器空洞20と吸着室空洞30との間の共通壁25の開口を閉鎖している。逆止弁42は、共通壁25の開口より若干大きい円板形をなす。
【0032】
作動装置のプランジャロッド45は弁42と直接接触しておらず、包装の底壁35の少なくとも一部と接触している。ロッド45の端部と弁42との間の距離L0は、作動装置のストロークL1より短い。ばね43はロッド45内の固定点と弁42との間で休止状態にあり、従って弁42に何の影響も与えない。ばね43は弁42と境を接することができるが、包装が行われていない場合には、弁42に何の力も加えない。距離L0は、ばねのストロークとほぼ等しくなるように選択されている。
【0033】
作動状態では、連結手段は最初の位置まで開いている(図2b)。プランジャロッドは押されており(45)、底壁35壁の少なくとも一部の変位を伝える。逆止弁42は、熱交換器空洞20内でプランジャロッド45により押されている。この作動は2つの連続的なステップを有している。最初に、プランジャロッド45は、弁と接触するまで所与の長さL0を超えて弁42の方向に押される。ばね43は、前記ロッド45により前記所与の長さL0で弁42に対して圧縮される。次に、プランジャロッド45はシーリングを破り、熱交換器空洞20内で弁42を押す。
【0034】
従って、吸着室空洞30内の乾燥剤によりポンピングされる、熱交換器空洞20内に収容されている冷却液の蒸気の経路が開く。この瞬間に、連結手段の作動後の1秒のまず数分の1内に、熱交換器空洞20内の圧力は、乾燥空洞30内の圧力よりも遥かに高くなる。従って、弁42はロッド45の端部に継続的に押しつけられ、蒸気圧により、第2および第3の空洞20、30の共通壁25内の開口の方向へのばね43の圧縮状態が維持される。
【0035】
弁42の閉塞部材は中空プランジャロッド45の端部を閉鎖し、そのため蒸気経路はロッドの小さな側方の開口を使用する。第2および第3の空洞20、30間の圧力差が大きい間、蒸気の流れを制限することができ、そのため乾燥室30内への液滴の噴出が防止される。
【0036】
冷却状態では、連結手段が徐々に全開される(図2c)。ポンピングが行われている間、熱交換器空洞20内の温度は下がり、それに従って熱交換器空洞20内の圧力が低下する。従って、ばね43は徐々に延びることができ、弁42は、その休止位置に再度至るまで熱交換器空洞20内をさらに押される。熱交換器空洞20から吸着室空洞30への蒸気経路は、熱交換器20内の圧力が低下するにつれて徐々に大きくなる。
【0037】
従って、ばね43の速度およびストロークが選択される。例えば、ばねの速度は10〜20g/mmの範囲であることができ、ばねのストロークは1〜3mmの範囲であることができる。好適には、ばねのストロークは作動装置のストロークに依存している。プランジャロッド45は、距離L0を超えてばね43に負荷をかけることができ、逆止弁を最初の位置まで開くのに十分な長さのストロークL1を有している。ばねのストロークは、作動装置のストロークの0.5〜0.7であることができる。L0とL1との間の最適な比率は2/3である。
【0038】
弁42の閉塞部材は、直接蒸気経路上に残りながらプランジャ45の端部の障害を除く。従って、乾燥室30内への液滴の噴出を制限しながら、熱交換器空洞20から乾燥空洞30への蒸気の流れを増大させることができる。
【0039】
好適には、包装は逆さまで行われることから、液が垂れることが重力により制限され得る。さらに、冷却のために熱交換器20内の圧力がしきい値以下に下がる場合、逆止弁42の閉塞部材が熱交換器空洞20内に落下し、吸着室空洞30の方向への蒸気の経路が大きくなる。従って、逆止弁42の閉塞部材の重量が選択される。
【0040】
図4は、異なるばね手段を有する本発明に係る包装の連結手段の他の実施形態を示している。他の機能の全てはほぼ同じである。図面中、すでに説明したように、ばね手段は、逆止弁42から所定の距離のところに、中空ロッド45の内壁上に固定されているつる巻ばねを備えている。図4において、ばね43は、ロッド45の端部に設けられている舌部を備えている。舌部43はロッド45と一体になっていてもよい。休止位置において(図4)、舌部43は逆止弁42の方向にまっすぐに延びている。作動装置のプランジャロッド45の端部は、作動装置のストロークL1より短い所与の距離L0を超えて逆止弁から依然として離れている。作動状態の場合には(図2bに相当する)、舌部43は、弁42の閉塞部材の圧力によりロッドの端部上で曲がり、徐々にまっすぐ延び、圧力が低下するにつれて弁の閉塞部材を押しのける(図2cに相当する)。
【0041】
図4で説明された実施形態は製造が容易かつ安価であるが、細心の注意を払ったばね速度の調整が要求される。
他の実施形態の場合には、舌部43は逆止弁42と一体になっている。休止位置に位置する場合(図4)、舌部は、プランジャロッド45の方向にまっすぐに延びている。作動装置のプランジャロッド45の端部は、作動装置のストロークL1より短い所与の距離L0を超えて逆止弁から依然として離れている。作動状態の場合には(図2bに相当する)、舌部はロッド45により弁42の閉塞部材に対して曲がっている。次に、舌部43は徐々にまっすぐな状態に戻り、圧力が低下するにつれて弁の閉塞部材を押しのける(図2cに相当する)。
【0042】
図5は、本発明の包装の連結手段の他の実施形態を示している。連結手段40は、周囲上に対応する円筒部分を有する逆止弁42の閉塞部材を収容するように構成されている円筒部分を備える弁座44を備えている。このような設計により、シーリング部材41によって、円筒状の弁の閉塞部材42の壁と円筒状の弁座44の壁との間をそれぞれ圧縮することができる。都合のよいことに、このようなシーリング部材はOリングシーリング41でもよい。
【0043】
強く圧縮されているOリングシーリングにより、保管状態の場合、弁42を開ける力がOリングの圧縮力に対して垂直方向を向いていることから依然として作動のために少し力を必要とするが、冷却工程の作動前に、熱交換器空洞20と吸着室空洞30との間のシーリング効率を改善することができる。弁の閉塞部材42の円筒部分と弁座44の円筒部分とが、若干円錐形のもの、または逆止弁の閉塞部材42の変位に対して垂直にシーリング部材41を圧縮する任意の他の形の組合せに置き換えられ得ることを理解されたい。図5の実施形態は図3のばね手段を備えているが、図4のばね手段と一緒に実行され得る。
【0044】
図6は、熱交換器空洞20内に設けられている気液分離装置50を含む本発明に係る包装の実施形態を示している。国際出願公開第03041841号パンフレットに、このような気液分離装置50が記載されている。このような気液分離装置は、冷却液の蒸気の分子を、蒸気の流れに沿って運ばれる前記液滴から分離することができる。この気液分離装置50は、吸着室空洞30の方向への共通壁25の開口への経路上の蒸気の流れに、少なくとも一つの急な方向の変化を引き起こす蒸気デフレクタである。この気液分離装置50は、冷却液の蒸気のポンピング条件を改善するために、本発明に係る連結手段の徐々の開放に関している。
【0045】
図7は、開位置に位置する円錐形の弁座44および弁の閉塞部材42を有する包装の連結手段の他の実施形態を示している。都合のよいことに、このことは、既に説明されている円板形の代わりに円錐形の閉塞部材を有する逆止弁42と関連している。好適には、傾斜角αは、弁座44および弁の閉塞部材42の傾斜角と同じであり、15度〜30度の範囲内が可能である。
【0046】
弁座44および弁の閉塞部材42が円錐形であることから、PTFE(テフロン(商標))等の適当な真空気密材料でコーティングされた傾斜壁により、優れたシーリングを行うことができる。しかし、この設計の場合には、弁座44の円錐形を通過するために、図3および図4の設計と比較すると、作動装置のストロークL1をより長くする必要がある。
【0047】
図7の実施形態も同様に、図3または図4のばね手段の実施形態のうちの任意のものと組み合わされ得る。
図7の場合には、ばね43は、ロッド45を開放するために、弁42を気液分離装置50内に押している。従って、蒸気の経路は、図6に示す側方の開口51を通って熱交換器空洞20の内側から気液分離装置50の内側に進み、弁の閉塞部材42を囲み、弁座44の傾斜壁と弁の閉塞部材42の傾斜壁との間を、中空ロッド45の端部内および側方の開口内へ流れる。
【0048】
熱交換器空洞20内の蒸気圧がしきい値以下に下がると、弁の閉塞部材42が気液分離装置50内に落下する。
図7の実施形態のみが気液分離装置を含んでいる。しかし、図3〜図5を参照して説明された実施形態もこのような気液分離装置を含むことができることを理解されたい。
【0049】
図9は、本発明に係る包装の連結手段の効率を示す。
熱交換器空洞内の圧力が高い場合には(冷却工程を開始した場合には)、徐々に開放する手段を有する逆止弁を通って吸着室空洞に向かう流量は従来技術の流量と比べると少なく、蒸気と一緒にポンピングされる冷却液の滴をより防止する。
【0050】
冷却工程中、ばねがロッドを開放した場合、流量は若干増大して徐々に少なくなる。しかし、液滴を乾燥室空洞内の蒸気と一緒に流す可能性がある従来技術のような流量の急速な増大は起こらない。
【0051】
従って、本発明は、蒸気と一緒にポンピングされる液滴をより防止しながら、高いポンピング効率を維持することができる、徐々に開放する連結手段を備える自冷式包装を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来技術に係る自冷式包装。
【図2a】閉位置に位置する連結手段を有する、本発明に係る自冷式包装。
【図2b】作動位置に位置する連結手段を有する、本発明に係る自冷式包装。
【図2c】徐々に開位置に位置する連結手段を有する、本発明に係る自冷式包装。
【図3】閉位置に位置する本発明の第1の実施形態に係る連結手段の詳細図A。
【図4】閉位置に位置する本発明の第2の実施形態に係る連結手段の詳細図。
【図5】閉位置に位置する本発明の第3の実施形態に係る連結手段の詳細図。
【図6】気液分離装置を含む本発明の実施形態。
【図7】開位置に位置する本発明の第4の実施形態に係る連結手段の詳細図。
【図8】熱交換器内の温度に依存する飽和蒸気圧のダイアグラム。
【図9】従来技術に係る弁流量および本発明に係る弁流量を比較するダイアグラム。
【技術分野】
【0001】
本発明は自冷式包装の分野に関し、特に収着冷却方法により内容物を冷却することができる包装装置に関する。このような冷却方法の原理は、液体の蒸気の吸着により維持される真空の効果による液体の蒸発からなる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に缶またはボトルタイプの密封包装に収容された飲料の冷却に利用され得る。従って、本発明の目的は、好きな場所で好きな時間に理想的な温度で飲料を消費することを可能にすることである。しかし、本発明はまた、化粧品、アイスクリーム等の、使用直前に冷却される必要がある製品を収容する任意の他の包装にも利用され得る。
【0003】
収着冷却方法の実施は周知であり、従来技術において盛んに研究されているテーマである。特に自冷式飲料包装への利用のために、吸着剤を収容する空洞内で蒸発する冷却液を収容する熱交換器に関連して多くの装置が提案されている。
【0004】
国際公開第03/073019号パンフレットは、図1に示されている自冷式包装および関連した作動装置に関連している。
この文献は、飲料を収容することができる第1の空洞10と、熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する第2の空洞20と、乾燥剤等の、前記蒸気を吸着ポンピングするための手段を収容する第3の空洞30とを備える包装を開示している。第2および第3の空洞は、内蔵式連結手段40を備える共通壁25を備えている。前記連結手段は逆止弁42を備えており、該逆止弁42は、第2の空洞の側面上に加わる圧力に耐えることができるとともに、第3の空洞の側面上に加わる力の作用により開く。
【0005】
従って、この逆止弁42は、第3の空洞により形成される乾燥室30内の真空を維持しながら大気圧に耐えることができるとともに、第2の空洞により形成される熱交換器20内への最小の作動力により容易に作動され得る。
【0006】
この文献に記載されている逆止弁42は、逆止弁を有する連結手段40を含む壁25に対向する第3の空洞30(乾燥室)の壁35の少なくとも一部の変位を伝えるプランジャ中空ロッド45により作動され得る。
【0007】
逆止弁42は、2つのストローク開放手段を備えている。第1の開放位置はプランジャロッド45により作動され、冷却液の蒸気の制限経路を画定し、第2の開放位置は、冷却液の蒸気の流れを促進する拡大経路を画定している。第1の開放位置においては、第2の空洞20の、第3の空洞30に比べて過度の圧力により、弁42の閉塞部材がロッド45の端部と継続的に接触しており、それにより小さな側方の開口を通じた中空ロッド内部への蒸気の経路が制限されている。第2の位置においては、過度の圧力が低下すると、閉塞部材は第2の空洞(熱交換器)内を落下し、中空ロッド内部へのより大きな開口が開放される。
【0008】
気液分離装置が、熱交換器を形成している第2の空洞内に設置され得る。国際公開第03/041841号パンフレットに、このような気液分離装置が開示されている。このような気液分離装置は、冷却液の蒸気の分子を、蒸気の流れに沿った前記液体の滴から分離することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、蒸気の流れが非常に重要な場合、特に冷却工程を開始する場合、このような気液分離装置が過負荷状態になる場合がある。従って、このような分離装置を2つのストローク開放手段と組み合わせると、乾燥室と熱交換器との間の圧力差が非常に大きい場合、熱交換器の温度とともに圧力差が小さくなる際に冷却工程が減速することを避けながら、冷却工程の開始時に蒸気の流れを制限することができる。熱交換器空洞内の圧力は、例えば水などの冷却液の飽和蒸気圧に等しい。
【0010】
しかし、冷却工程の開始とその後の冷却工程との間の蒸気の流れの大きな変動を考えた場合、この2つのストローク開放だけでは十分でない。
例えば、熱交換器の温度が約30℃である冷却工程を開始すると、熱交換器を形成している空洞内の飽和蒸気圧は約40ミリバール(4000Pa)である。収着冷却工程により熱交換器の温度が10℃以下に下がると(図8のグラフ参照)、この圧力は10ミリバール(1000Pa)以下に下がる。
【0011】
冷却工程の開始時に乾燥剤の収着能力が非常に高いと、蒸気の流れは圧力Pに比例して変化する。この蒸気の流れの変動は非常に大きいので、従来技術の2つのストローク開放プランジャロッドを効率的に調整することができない。従来の配置は、冷却液の蒸発速度を制限することなく連結手段を作動させると、冷却液の沸騰の力により液滴が乾燥室の方向へ送られることを避けることができず、そのため熱交換器の冷却速度が制限される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明は、熱交換器を形成している空洞と乾燥室を形成している空洞との間の強化された連結手段を提供する。自冷式包装装置内の逆止弁のために、2つのストローク開放手段の代わりに段階的開放手段が設けられている。
【0013】
より詳細には、本発明は、
熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、
前記蒸気をポンピングするための吸着室を形成する空洞と、
前記各空洞の共通壁内に設けられ、逆止弁を備える連結手段と、
前記吸着室空洞の側面上に配置され、逆止弁を最初の位置へ開くように構成されている作動手段と、
ばね手段であって、該ばね手段の動作により前記逆止弁が全開位置へ徐々に至るように構成されているばね手段とを備える自冷式包装に関する。
【0014】
ある特徴によれば、逆止弁は、熱交換器空洞の側面上に加わる圧力に耐えるように構成されており、前記作動手段および前記ばね手段により加わる力によって、前記熱交換器空洞内で開かれ得る。
【0015】
ある特徴によれば、前記連結手段が閉位置に位置する場合、ばね手段は休止位置に位置しており、最初の開放位置で前記作動手段により負荷がかかる。
一実施形態によれば、ばね手段は作動手段の一部である。
【0016】
他の実施形態によれば、ばね手段は連結手段の一部である。
ある特徴によれば、作動手段はプランジャロッドを備えている。
ある特徴によれば、ばね手段は、作動装置のプランジャロッドのストロークの0.5〜0.7の範囲のばねストロークを有している。
【0017】
一実施形態によれば、ばね手段はつる巻ばねを備えている。
他の実施形態によれば、ばね手段は舌部を備えている。
一実施形態によれば、逆止弁は円板形をなす。
【0018】
一実施形態によれば、連結手段は、円錐形の逆止弁と、共通壁内に形成されている円錐形の弁座とを備えている。
ある特徴によれば、円錐形は、共通壁に対して15度〜30度の範囲の角度を有している。
【0019】
一実施形態によれば、連結手段は、逆止弁の開放方向に対して垂直な方向の収容位置に圧縮されているシール部材を備えている。
ある特徴によれば、包装は、熱交換器空洞内に配置される気液分離装置をさらに備えている。
【0020】
ある特徴によれば、前記気液分離装置は、連結手段を含む立体角を画定している。
本発明はさらに、自冷式包装の内容物の冷却方法に関し、該包装は、
熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、
前記蒸気をポンピングするための吸着室を形成する空洞と、
前記各空洞の共通壁内に設けられ、逆止弁を備える連結手段と、
前記吸着室空洞の側面上に配置される作動手段と、
ばね手段とを備え、
前記方法は、
前記作動手段の動作により逆止弁を最初の位置へ開く工程と、
前記熱交換器空洞から吸着室空洞へ冷却液の蒸気をポンピングする工程と、
前記ばね手段の動作により、熱交換器空洞内の圧力の低下に対して大きく開くように逆止弁を徐々に開く工程とを含む。
【0021】
ある特徴によれば、この方法は、熱交換器空洞内の圧力がしきい値以下に下がる場合に、熱交換器空洞内に逆止弁をさらに落下させる工程を含む。
添付の図面を参照しながら本発明の実施形態の下記の詳細な説明を読めば、本発明の他の特徴および利点を理解することができるだろう。この説明は単に例示としてのものに過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、前記蒸気をポンピングするための吸着室を形成する空洞とを備える自冷式包装を提供する。包装はまた、前記熱交換器空洞および吸着室空洞の共通壁内に設けられている連結手段を備えており、該連結手段は逆止弁を備えている。吸着室空洞の側面上に配置され、熱交換器空洞内の最初の位置に逆止弁を開くように構成されている作動手段も設けられている。包装はさらにばね手段を備えており、前記逆止弁は、前記ばね手段の動作により全開位置に徐々に至るように構成されている。
【0023】
本発明は、熱交換器空洞内で逆止弁を徐々に開くことができる。冷却液の蒸気の流れの経路を提供する逆止弁コンダクタンスは、熱交換器空洞内の圧力が低下するにつれて徐々に増大する。従って、熱交換器空洞から吸着室空洞への蒸気の流れは、冷却工程の大部分でほぼ一定である。圧力が低下すると蒸気ポンピング速度が遅くなり、大きく開いた逆止弁が、圧力の低下を補償する蒸気のための大きな経路を提供する。
【0024】
本発明によれば、および図2a〜図2cに示すように、包装は、冷却される飲料または任意の他の製品を収容することができる第1の空洞10と、熱交換器を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する第2の空洞20と、乾燥剤等の、前記蒸気の吸着ポンピングための手段を収容する第3の空洞30とを備えている。
【0025】
第2および第3の空洞は、内蔵式連結手段40を備える共通壁25を有している。前記連結手段は逆止弁42を備えている。
包装はさらに、熱交換器を冷却するとともに第1の空洞10の内容物を冷却するために冷却液の蒸気をポンピングすべく、熱交換器空洞20と吸着室空洞30とを連通させる連結手段40を作動するように構成されている作動手段45を含む。作動手段は、前記第2および第3の空洞の共通壁25に対向する第3の空洞30(吸着室)の壁35の少なくとも一部の変位を伝える中空プランジャロッド45を備えてもよい。
【0026】
包装はまた、連結手段40および作動手段45と協調するように構成されているばね手段43を含む。ばね手段43は、作動手段内、すなわちプランジャロッド45内、または連結手段内に配置されることができ、すなわち逆止弁42に取り付けられることができる。ばね手段43について、本発明の好ましい実施形態を参照しながら以下にさらに詳細に説明する。
【0027】
連結手段40の逆止弁42は、熱交換器空洞20の側面から加わる圧力に耐えるように構成されており、吸着室の空洞30の側面からの前記作動手段45および前記ばね手段43によって加えられる力により、前記熱交換器空洞20内で開くことができる。
【0028】
逆止弁42は、熱交換器空洞20および乾燥室空洞30の共通壁25内の開口を閉じる閉塞部材を含む。好適には、この閉塞部材は中実であり、金属製の円板により形成され得る。
【0029】
連結手段40はまた、共通壁25の開口の周囲に逆止弁42のシーリング41を含む。このシーリング41は、弁42の中実な閉塞部材と共通壁25との間に配置される、真空グリースまたはエラストマー等の可鍛性の接合部でもよい。また、シーリング41は、厚さが2/100mmであり、共通壁25に接着されているアルミニウムシート等の、弁42の閉塞部材を覆う薄い引き裂き可能な真空気密シートでもよい。このシーリングは、逆止弁42の設計により熱交換器空洞20の側面からの高圧による応力を受けず、乾燥室空洞30の側面からのプランジャロッド45によって加えられる圧力に対して非常に低い抵抗を与えるだけである。
【0030】
従って、連結手段の逆止弁42は一方向だけ、すなわち熱交換器空洞20の方向だけに容易に開くことができる。
本発明に係る自冷式包装装置の動作は下記の通りである。好適には、包装は逆さまに、すなわち吸着室の空洞30が熱交換器空洞20上に配置されて行われる。
【0031】
動作していない場合には、連結手段は閉鎖されている(図2a)。
図3は、閉位置に位置する第1の実施形態に係る連結手段の詳細図Aである。逆止弁42は、シーリング41による真空気密の状態で、熱交換器空洞20と吸着室空洞30との間の共通壁25の開口を閉鎖している。逆止弁42は、共通壁25の開口より若干大きい円板形をなす。
【0032】
作動装置のプランジャロッド45は弁42と直接接触しておらず、包装の底壁35の少なくとも一部と接触している。ロッド45の端部と弁42との間の距離L0は、作動装置のストロークL1より短い。ばね43はロッド45内の固定点と弁42との間で休止状態にあり、従って弁42に何の影響も与えない。ばね43は弁42と境を接することができるが、包装が行われていない場合には、弁42に何の力も加えない。距離L0は、ばねのストロークとほぼ等しくなるように選択されている。
【0033】
作動状態では、連結手段は最初の位置まで開いている(図2b)。プランジャロッドは押されており(45)、底壁35壁の少なくとも一部の変位を伝える。逆止弁42は、熱交換器空洞20内でプランジャロッド45により押されている。この作動は2つの連続的なステップを有している。最初に、プランジャロッド45は、弁と接触するまで所与の長さL0を超えて弁42の方向に押される。ばね43は、前記ロッド45により前記所与の長さL0で弁42に対して圧縮される。次に、プランジャロッド45はシーリングを破り、熱交換器空洞20内で弁42を押す。
【0034】
従って、吸着室空洞30内の乾燥剤によりポンピングされる、熱交換器空洞20内に収容されている冷却液の蒸気の経路が開く。この瞬間に、連結手段の作動後の1秒のまず数分の1内に、熱交換器空洞20内の圧力は、乾燥空洞30内の圧力よりも遥かに高くなる。従って、弁42はロッド45の端部に継続的に押しつけられ、蒸気圧により、第2および第3の空洞20、30の共通壁25内の開口の方向へのばね43の圧縮状態が維持される。
【0035】
弁42の閉塞部材は中空プランジャロッド45の端部を閉鎖し、そのため蒸気経路はロッドの小さな側方の開口を使用する。第2および第3の空洞20、30間の圧力差が大きい間、蒸気の流れを制限することができ、そのため乾燥室30内への液滴の噴出が防止される。
【0036】
冷却状態では、連結手段が徐々に全開される(図2c)。ポンピングが行われている間、熱交換器空洞20内の温度は下がり、それに従って熱交換器空洞20内の圧力が低下する。従って、ばね43は徐々に延びることができ、弁42は、その休止位置に再度至るまで熱交換器空洞20内をさらに押される。熱交換器空洞20から吸着室空洞30への蒸気経路は、熱交換器20内の圧力が低下するにつれて徐々に大きくなる。
【0037】
従って、ばね43の速度およびストロークが選択される。例えば、ばねの速度は10〜20g/mmの範囲であることができ、ばねのストロークは1〜3mmの範囲であることができる。好適には、ばねのストロークは作動装置のストロークに依存している。プランジャロッド45は、距離L0を超えてばね43に負荷をかけることができ、逆止弁を最初の位置まで開くのに十分な長さのストロークL1を有している。ばねのストロークは、作動装置のストロークの0.5〜0.7であることができる。L0とL1との間の最適な比率は2/3である。
【0038】
弁42の閉塞部材は、直接蒸気経路上に残りながらプランジャ45の端部の障害を除く。従って、乾燥室30内への液滴の噴出を制限しながら、熱交換器空洞20から乾燥空洞30への蒸気の流れを増大させることができる。
【0039】
好適には、包装は逆さまで行われることから、液が垂れることが重力により制限され得る。さらに、冷却のために熱交換器20内の圧力がしきい値以下に下がる場合、逆止弁42の閉塞部材が熱交換器空洞20内に落下し、吸着室空洞30の方向への蒸気の経路が大きくなる。従って、逆止弁42の閉塞部材の重量が選択される。
【0040】
図4は、異なるばね手段を有する本発明に係る包装の連結手段の他の実施形態を示している。他の機能の全てはほぼ同じである。図面中、すでに説明したように、ばね手段は、逆止弁42から所定の距離のところに、中空ロッド45の内壁上に固定されているつる巻ばねを備えている。図4において、ばね43は、ロッド45の端部に設けられている舌部を備えている。舌部43はロッド45と一体になっていてもよい。休止位置において(図4)、舌部43は逆止弁42の方向にまっすぐに延びている。作動装置のプランジャロッド45の端部は、作動装置のストロークL1より短い所与の距離L0を超えて逆止弁から依然として離れている。作動状態の場合には(図2bに相当する)、舌部43は、弁42の閉塞部材の圧力によりロッドの端部上で曲がり、徐々にまっすぐ延び、圧力が低下するにつれて弁の閉塞部材を押しのける(図2cに相当する)。
【0041】
図4で説明された実施形態は製造が容易かつ安価であるが、細心の注意を払ったばね速度の調整が要求される。
他の実施形態の場合には、舌部43は逆止弁42と一体になっている。休止位置に位置する場合(図4)、舌部は、プランジャロッド45の方向にまっすぐに延びている。作動装置のプランジャロッド45の端部は、作動装置のストロークL1より短い所与の距離L0を超えて逆止弁から依然として離れている。作動状態の場合には(図2bに相当する)、舌部はロッド45により弁42の閉塞部材に対して曲がっている。次に、舌部43は徐々にまっすぐな状態に戻り、圧力が低下するにつれて弁の閉塞部材を押しのける(図2cに相当する)。
【0042】
図5は、本発明の包装の連結手段の他の実施形態を示している。連結手段40は、周囲上に対応する円筒部分を有する逆止弁42の閉塞部材を収容するように構成されている円筒部分を備える弁座44を備えている。このような設計により、シーリング部材41によって、円筒状の弁の閉塞部材42の壁と円筒状の弁座44の壁との間をそれぞれ圧縮することができる。都合のよいことに、このようなシーリング部材はOリングシーリング41でもよい。
【0043】
強く圧縮されているOリングシーリングにより、保管状態の場合、弁42を開ける力がOリングの圧縮力に対して垂直方向を向いていることから依然として作動のために少し力を必要とするが、冷却工程の作動前に、熱交換器空洞20と吸着室空洞30との間のシーリング効率を改善することができる。弁の閉塞部材42の円筒部分と弁座44の円筒部分とが、若干円錐形のもの、または逆止弁の閉塞部材42の変位に対して垂直にシーリング部材41を圧縮する任意の他の形の組合せに置き換えられ得ることを理解されたい。図5の実施形態は図3のばね手段を備えているが、図4のばね手段と一緒に実行され得る。
【0044】
図6は、熱交換器空洞20内に設けられている気液分離装置50を含む本発明に係る包装の実施形態を示している。国際出願公開第03041841号パンフレットに、このような気液分離装置50が記載されている。このような気液分離装置は、冷却液の蒸気の分子を、蒸気の流れに沿って運ばれる前記液滴から分離することができる。この気液分離装置50は、吸着室空洞30の方向への共通壁25の開口への経路上の蒸気の流れに、少なくとも一つの急な方向の変化を引き起こす蒸気デフレクタである。この気液分離装置50は、冷却液の蒸気のポンピング条件を改善するために、本発明に係る連結手段の徐々の開放に関している。
【0045】
図7は、開位置に位置する円錐形の弁座44および弁の閉塞部材42を有する包装の連結手段の他の実施形態を示している。都合のよいことに、このことは、既に説明されている円板形の代わりに円錐形の閉塞部材を有する逆止弁42と関連している。好適には、傾斜角αは、弁座44および弁の閉塞部材42の傾斜角と同じであり、15度〜30度の範囲内が可能である。
【0046】
弁座44および弁の閉塞部材42が円錐形であることから、PTFE(テフロン(商標))等の適当な真空気密材料でコーティングされた傾斜壁により、優れたシーリングを行うことができる。しかし、この設計の場合には、弁座44の円錐形を通過するために、図3および図4の設計と比較すると、作動装置のストロークL1をより長くする必要がある。
【0047】
図7の実施形態も同様に、図3または図4のばね手段の実施形態のうちの任意のものと組み合わされ得る。
図7の場合には、ばね43は、ロッド45を開放するために、弁42を気液分離装置50内に押している。従って、蒸気の経路は、図6に示す側方の開口51を通って熱交換器空洞20の内側から気液分離装置50の内側に進み、弁の閉塞部材42を囲み、弁座44の傾斜壁と弁の閉塞部材42の傾斜壁との間を、中空ロッド45の端部内および側方の開口内へ流れる。
【0048】
熱交換器空洞20内の蒸気圧がしきい値以下に下がると、弁の閉塞部材42が気液分離装置50内に落下する。
図7の実施形態のみが気液分離装置を含んでいる。しかし、図3〜図5を参照して説明された実施形態もこのような気液分離装置を含むことができることを理解されたい。
【0049】
図9は、本発明に係る包装の連結手段の効率を示す。
熱交換器空洞内の圧力が高い場合には(冷却工程を開始した場合には)、徐々に開放する手段を有する逆止弁を通って吸着室空洞に向かう流量は従来技術の流量と比べると少なく、蒸気と一緒にポンピングされる冷却液の滴をより防止する。
【0050】
冷却工程中、ばねがロッドを開放した場合、流量は若干増大して徐々に少なくなる。しかし、液滴を乾燥室空洞内の蒸気と一緒に流す可能性がある従来技術のような流量の急速な増大は起こらない。
【0051】
従って、本発明は、蒸気と一緒にポンピングされる液滴をより防止しながら、高いポンピング効率を維持することができる、徐々に開放する連結手段を備える自冷式包装を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来技術に係る自冷式包装。
【図2a】閉位置に位置する連結手段を有する、本発明に係る自冷式包装。
【図2b】作動位置に位置する連結手段を有する、本発明に係る自冷式包装。
【図2c】徐々に開位置に位置する連結手段を有する、本発明に係る自冷式包装。
【図3】閉位置に位置する本発明の第1の実施形態に係る連結手段の詳細図A。
【図4】閉位置に位置する本発明の第2の実施形態に係る連結手段の詳細図。
【図5】閉位置に位置する本発明の第3の実施形態に係る連結手段の詳細図。
【図6】気液分離装置を含む本発明の実施形態。
【図7】開位置に位置する本発明の第4の実施形態に係る連結手段の詳細図。
【図8】熱交換器内の温度に依存する飽和蒸気圧のダイアグラム。
【図9】従来技術に係る弁流量および本発明に係る弁流量を比較するダイアグラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自冷式包装であって、
熱交換器(20)を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、
前記蒸気をポンピングするための吸着室(30)を形成する空洞と、
前記各空洞(20,30)の共通壁(25)内に設けられ、逆止弁(42)を備える連結手段(40)と、
前記吸着室空洞(30)の側面上に配置され、前記逆止弁を最初の位置へ開くように構成されている作動手段(45)と、
前記逆止弁(42)をその最初の位置から全開位置へ徐々に押すように構成されているばね手段(43)とを備える自冷式包装。
【請求項2】
前記逆止弁(42)が、前記熱交換器空洞(20)の側面上に加わる圧力に耐えるように構成されており、前記作動手段(45)および前記ばね手段(43)により加わる力によって、前記熱交換器空洞(20)内に開かれ得る請求項1に記載の自冷式包装。
【請求項3】
前記連結手段が閉位置に位置する場合、前記ばね手段(43)は休止位置に位置しており、前記最初の開放位置で前記作動手段(45)により負荷がかかる請求項1又は請求項2に記載の自冷式包装。
【請求項4】
前記ばね手段(43)が前記作動手段(45)の一部である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項5】
前記ばね手段(43)が前記連結手段(40)の一部である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項6】
前記作動手段がプランジャロッド(45)を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項7】
前記ばね手段(43)が、前記作動装置のプランジャロッド(45)のストロークの0.5〜0.7の範囲のばねストロークを有する請求項6に記載の自冷式包装。
【請求項8】
前記ばね手段(43)が、つる巻ばねを備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項9】
前記ばね手段(43)が舌部を備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項10】
前記逆止弁(42)が円板形をなす請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項11】
前記連結手段(40)が、円錐形の逆止弁(42)と、前記共通壁(25)内に形成されている円錐形の弁座(44)とを備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項12】
前記円錐形が、前記共通壁(25)に対して15度〜30度の範囲の角度(α)を有する請求項11に記載の自冷式包装。
【請求項13】
前記連結手段(40)が、前記逆止弁(42)の開放方向に対して垂直な方向の収容位置に圧縮されているシール部材(41)を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項14】
前記熱交換器空洞(20)内に配置される気液分離装置(50)をさらに備える請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項15】
前記気液分離装置(50)が、前記連結手段(40)を含む立体角を画定する請求項14に記載の自冷式包装。
【請求項16】
自冷式包装の内容物の冷却方法であって、
前記包装は、
熱交換器(20)を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、
前記蒸気をポンピングするための吸着室(30)を形成する空洞と、
前記各空洞(20、30)の共通壁(25)内に設けられ、逆止弁(42)を備える連結手段(40)と、
前記吸着室空洞(30)の側面上に配置される作動手段(45)と、
ばね手段(43)とを備え、
前記方法は、
前記作動手段(45)の動作により前記逆止弁(42)を最初の位置へ開く工程と、
前記熱交換器空洞(20)から前記吸着室空洞(30)へ前記冷却液の蒸気をポンピングする工程と、
前記ばね手段(43)の動作により、前記熱交換器空洞(20)内の圧力の低下に対して大きく開くように前記逆止弁(42)を徐々に開く工程とを含む方法。
【請求項17】
前記熱交換器空洞(20)内の圧力がしきい値以下に下がる場合に、前記熱交換器空洞(20)内に前記逆止弁(42)を落下させる工程を含む請求項16に記載の方法。
【請求項1】
自冷式包装であって、
熱交換器(20)を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、
前記蒸気をポンピングするための吸着室(30)を形成する空洞と、
前記各空洞(20,30)の共通壁(25)内に設けられ、逆止弁(42)を備える連結手段(40)と、
前記吸着室空洞(30)の側面上に配置され、前記逆止弁を最初の位置へ開くように構成されている作動手段(45)と、
前記逆止弁(42)をその最初の位置から全開位置へ徐々に押すように構成されているばね手段(43)とを備える自冷式包装。
【請求項2】
前記逆止弁(42)が、前記熱交換器空洞(20)の側面上に加わる圧力に耐えるように構成されており、前記作動手段(45)および前記ばね手段(43)により加わる力によって、前記熱交換器空洞(20)内に開かれ得る請求項1に記載の自冷式包装。
【請求項3】
前記連結手段が閉位置に位置する場合、前記ばね手段(43)は休止位置に位置しており、前記最初の開放位置で前記作動手段(45)により負荷がかかる請求項1又は請求項2に記載の自冷式包装。
【請求項4】
前記ばね手段(43)が前記作動手段(45)の一部である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項5】
前記ばね手段(43)が前記連結手段(40)の一部である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項6】
前記作動手段がプランジャロッド(45)を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項7】
前記ばね手段(43)が、前記作動装置のプランジャロッド(45)のストロークの0.5〜0.7の範囲のばねストロークを有する請求項6に記載の自冷式包装。
【請求項8】
前記ばね手段(43)が、つる巻ばねを備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項9】
前記ばね手段(43)が舌部を備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項10】
前記逆止弁(42)が円板形をなす請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項11】
前記連結手段(40)が、円錐形の逆止弁(42)と、前記共通壁(25)内に形成されている円錐形の弁座(44)とを備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項12】
前記円錐形が、前記共通壁(25)に対して15度〜30度の範囲の角度(α)を有する請求項11に記載の自冷式包装。
【請求項13】
前記連結手段(40)が、前記逆止弁(42)の開放方向に対して垂直な方向の収容位置に圧縮されているシール部材(41)を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項14】
前記熱交換器空洞(20)内に配置される気液分離装置(50)をさらに備える請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の自冷式包装。
【請求項15】
前記気液分離装置(50)が、前記連結手段(40)を含む立体角を画定する請求項14に記載の自冷式包装。
【請求項16】
自冷式包装の内容物の冷却方法であって、
前記包装は、
熱交換器(20)を形成し、冷却液およびその蒸気を収容する空洞と、
前記蒸気をポンピングするための吸着室(30)を形成する空洞と、
前記各空洞(20、30)の共通壁(25)内に設けられ、逆止弁(42)を備える連結手段(40)と、
前記吸着室空洞(30)の側面上に配置される作動手段(45)と、
ばね手段(43)とを備え、
前記方法は、
前記作動手段(45)の動作により前記逆止弁(42)を最初の位置へ開く工程と、
前記熱交換器空洞(20)から前記吸着室空洞(30)へ前記冷却液の蒸気をポンピングする工程と、
前記ばね手段(43)の動作により、前記熱交換器空洞(20)内の圧力の低下に対して大きく開くように前記逆止弁(42)を徐々に開く工程とを含む方法。
【請求項17】
前記熱交換器空洞(20)内の圧力がしきい値以下に下がる場合に、前記熱交換器空洞(20)内に前記逆止弁(42)を落下させる工程を含む請求項16に記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−531669(P2007−531669A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551782(P2006−551782)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000968
【国際公開番号】WO2005/075902
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(504187744)
【氏名又は名称原語表記】THERMAGEN S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000968
【国際公開番号】WO2005/075902
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(504187744)
【氏名又は名称原語表記】THERMAGEN S.A.
【Fターム(参考)】
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