説明

自動ポイントオブケア流体検査装置およびその使用法

流体の特性を求めるためのポイントオブケア流体検査システムは、患者連結部、一次流体経路指定部分、ポンプ、二次流体経路指定部分、およびフラッシュ流体連結部を含む。患者連結部はシステムを患者に連結する。一次流体経路指定部分は、ポンプ領域、流体移送領域、およびインライン検査領域を有する。ポンプ領域は、患者からの流体試料を検査部分に送り、患者に送り戻す。インライン検査領域は、流体試料の第一の特性を評価する。流体移送領域は、流体試料の一部を一次流体経路指定部分の外に送る。二次流体経路指定部分は、流体移送領域の外に送られる流体試料の一部を受容するオフライン検査部分を含む。オフライン検査部分は、流体試料の第二の特性を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に患者の血液中の特定の被分析物の量および/または患者の血液の特性に関する情報を収集するための自動反復ポイントオブケア流体検査装置に関する。本発明は、インライン検査領域およびオフライン検査領域の両方を含むシステムを利用する。
【背景技術】
【0002】
医療ポンプを含む現代の医療装置は、流体、溶液、薬剤および薬物を患者に送出するためにマイクロプロセッサベースのシステムによって益々制御されている。医療ポンプの典型的な制御は、送出される流体の投与量、流体送出速度、時間、および患者に注入される流体の量を医師が入力することを可能にするユーザインタフェースを含む。通常、薬剤送出は、連続注入または単回ボーラス投与として生じるようにプログラムされる。
【0003】
医療ポンプに繋がれた多くの患者は、病院の集中治療室(ICU)において提供されるような急性レベルの医療を受けている場合がある。恐らく、ICUにおける患者は、生命にかかわることが多い非常に重篤な医療問題を患っている。そのようなものとして、血中に存在する被分析物の量を求め、患者の血液の特性を判定するために、定期的な血液検査を含む患者の状態の頻繁なモニタリングが必要とされる。モニタリングを必要とし得る患者の血中の被分析物の例には、ブドウ糖、脂質プロファイル(例えば、コレステロール、トリグリセリド、LDLおよびHDL)、微量アルブミン、ヘモグロビンA1C、果糖、乳酸、ビリルビンおよび他の知られている被分析物が含まれる。モニタリングを必要とし得る患者の血液の1つの特性は、血液の凝固速度である。凝固血液は患者に戻され得ないため、通常、凝固検査は遠隔の実験室にてオフラインで行われ、完了するのに相当な期間がかかる。
【0004】
残念なことに、ICUにおける介護人は、非常に多忙であり、他の患者のニーズのために指定時間に試料を患者から採取できない場合がある。更に、患者から遠隔の場所、例えば、実験室において、試料に対して検査を行うのに必要な装置も利用できず、または時宜を得て結果を提供することができない場合がある。加えて、ICUにおける多くの患者は、非常に重篤な状態にあるために、限られた量だけの血液しか患者から安全に採取され得ない。更に、介護人は、血液試料を患者から採取する適切な場所を見出すのに困難を感じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被分析物レベルまたは患者の血液の他の特性を適切にモニタリングできないと、患者に対して悪影響をもたらし得る。従って、事前設定された間隔にて所与の採取部位から試料を患者から採取し分析する自動システムは、患者が受ける医療レベルを向上し得る。検査の結果に基づき、患者の薬物療法は、調整され得、または患者に対する他の処置が、適切もしくは必要と見なされ得る。更に、インライン検査およびオフライン検査を含む、試料に対する異なるタイプの検査を行うことができることが望ましい。一層更に、微量の流体試料を検査することが望ましい。インライン検査では、試料における有意な凝固を阻止するのに十分に短い時間にて、血液試料を採取、検査、再注入することが望ましい。従って、柔軟にプログラム可能に時宜を得て安全かつ効率的に所望されるように、インラインおよびオフライン検査の両方を行う自動ポイントオブケアインライン検査ユニットの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に従って、流体の特性を求めるためのポイントオブケア流体検査システムは、患者連結部、一次流体経路指定部分、ポンプ、二次流体経路指定部分、およびフラッシュ流体連結部を含む。患者連結部は、流体試料を採取するためにシステムを患者に連結するように構成される。一次流体経路指定部分は、ポンプ領域、流体移送領域、およびインライン検査領域を有する。ポンプ領域は、患者からの流体試料を検査部分に送り、更に検査後に一次流体経路指定部分からの流体試料の大部分を患者に送り戻すように構成される。インライン検査領域は、流体試料の少なくとも第一の特性を評価するように構成される。流体移送領域は、流体試料の一部が一次流体経路指定部分の外に送られることを可能にするように構成される。ポンプは、一次流体経路指定部分のポンプ領域と相互作用する。二次流体経路指定部分は、流体移送領域を介して一次流体経路指定部分の外に送られる流体試料の一部を受容するように構成されたオフライン検査部分を含む。オフライン検査部分は、更に流体試料の第二の特性を評価するように構成される。フラッシュ流体連結部は、患者への流体試料の送り戻し後に、システムを洗い流すためにシステムをフラッシュ流体に連結するように構成される。
【0007】
一方法に従って、患者の流体試料の少なくとも2つの特性が評価される。この方法では、流体コネクタを患者に取り付ける。流体の特性を求めるための流体検査システムが提供される。流体検査システムは、患者連結部と、ポンプ領域、流体移送領域、およびインライン検査領域を有する一次流体経路指定部分とを有する。更に、検査システムは、オフライン検査部分を含む二次流体経路指定部分を有する。検査システムは、通信装置も有する。流体コネクタは、検査システムの患者連結部に取り付けられる。患者からの流体試料を検査装置の一次流体経路指定部分に引き込むため、検査システムのポンプ領域を用いて、流体コネクタおよび患者連結部を介して流体試料が患者から採取される。流体試料の第一の特性を求めるために、流体試料は、一次流体経路指定部分のインライン検査領域で分析される。流体試料の一部は、一次流体経路指定部分の流体移送領域を通じて、二次流体経路指定部分のオフライン検査部分に移動する。流体試料の第二の特性は、オフライン検査部分で求められる。流体試料の残存部分は、流体試料を患者に送り戻すために、検査システムのポンプ領域を用いて流体コネクタおよび患者連結部を介して移送後に患者に戻る。
【0008】
別の実施形態に従って、使い捨て一次流体経路指定部分は、ポンプ領域、流体移送領域、およびインライン検査領域を含む。ポンプ領域は、検査のために流体試料を使い捨て検査部分に引き込み、大部分の流体試料を使い捨て検査部分の外に流体試料がポンプ領域に進入した方向へ送り戻すために、可逆ポンプと相互作用するように構成される。流体移送領域は、流体試料の一部が、流体移送領域を通じて一次流体経路指定部分の外に送られることを可能にするように構成される。インライン検査領域は、流体試料の第一の特性を求めるために流体試料を分析するように構成されたアナライザを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態による検査システムの概略図である。
【図2】図1の実施形態による検査システムの使い捨て部分のより詳細な概略図を示している。
【図3】図1の実施形態による検査システムの再利用可能な部分のより詳細な概略図を示している。
【図4】更なる実施形態による検査システムを示す透視図である。
【図5】図4の実施形態による検査システムの使い捨て要素を示す透視図である。
【図6a】図5の6−6線に沿ったコネクタの断面図である。
【図6b】遠位チューブおよびカテーテルで組み立てられた図6aのコネクタを示す断面図である。
【図6c】遠位チューブおよびカテーテルで組み立てられた従来技術の標準的なルアーコネクタを示す断面図である。
【図7a】図4の実施形態による検査システムで用いる使い捨て検査カセットの分解図である。
【図7b】図7aの7a−7a線に沿った断面図である。
【図7c】更なる実施形態による検査システムを示す透視図である。
【図8a】閉位置にあるカセットのバルブ部分を示す、図7aの8−8線に沿った断面図である。
【図8b】開位置にあるカセットのバルブ部分を示す、図7aの8−8線に沿った断面図である。
【図9】図4に示される検査システムで用いる使い捨てオフライン検査ディスクを示す透視図である。
【図10】図4の実施形態による検査システムの可動機構を示す透視図である。
【図11】図4に示される検査システムで用いるぜん動ポンプ機構を示す透視図である。
【図12】流体をカセットに送り込み、またはカセットから送り出すためにカセットと相互作用するぜん動ポンプを示す、図10の12−12線に沿った断面図である。
【図13】図7aの実施形態に示されるようなカセットのバルブを作動させるように構成されたアクチュエータを示す透視図である。
【図14a】閉位置にあるバルブを有するカセットと相互作用する、図13に示されるアクチュエータを示す断面図である。
【図14b】開位置にあるバルブを有するカセットと相互作用する、図13に示されるアクチュエータを示す断面図である。
【図15】図4に示される検査システムで用いる使い捨てオフライン検査ディスクの回転機構の底部透視図である。
【図16】図4に示される検査システムで用いる使い捨てオフライン検査ディスクの回転機構の頂部透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、多くの異なる形態にて実施形態が可能であるが、本発明の一例が図面に示され、本明細書で述べられる。本開示は、本発明の原理の一例と見なされなければならない。本発明の広義な態様を例示された例に限定するものではない。
【0011】
図1は、2つの取付ストラップ101を介して患者に取り付けられるように構成された本体100を含む、ポイントオブケア検査システム10の概略図である。取付ストラップ101は、本体100を所望の位置に固定するために取付ストラップ101が互いに着脱可能に取り付けられることを可能にする、VELCRO(登録商標)ファスナまたは他の類似の一時的な取付方法、例えば、接着材を介して、検査装置10の本体100を患者に取り付け得る。例えば、システム10の本体100を患者の腕に取り付けることが好都合である場合がある。そのような状況では、取付ストラップ101は、本体100を患者に固定するように患者の腕に巻き付けられる。一実施形態に従って、本体100は、比較的小さく、約330cm(約20立方インチ)未満の容積を有し、約0.9kg(約2ポンド)未満の重さがある。本体100は、更に患者の特定身体部分、例えば、前腕、脚、または腹部に適用されるように形成され得ることが更に意図される。そのような外形は必要ではないが、患者の快適性を向上し得る。多くの場合、アクセスの容易さおよび前腕における血管の数に基づき、前腕は、有益な装着位置として機能することが意図される。別の患者に用いられる前に適切な洗浄および滅菌技術に従うことによって二人以上の患者に用いられ得るという点において、本体100は、再利用可能であり得る。本体100は患者によって着用されるというよりも患者のベッドサイド近傍のベッドレール、ポール、または他の支持構造物に解放可能に固定され得ることが更に意図される。
【0012】
検査システム10は、使い捨て部分200を更に含む。以下により詳細に述べられる使い捨て部分は、単一の患者のみに用いられるように構成され、その患者について定期交換を必要とし得る。
【0013】
カテーテル205は、患者の血管に配置されるように構成される。カテーテル205は、標準的な20ゲージ×約5cm(2インチ)カテーテル、または利用される血管に適切な他の一般的に利用可能なカテーテルでもよい。適用に応じて選択される血管は、動脈または静脈であり得る。血液ガスレベルまたは血液ガスレベルに基づいて変動し得る特性が、モニタリングされるのであれば、選択される血管は動脈である。血液ガスが関心の対象ではなく、または検査システムを用いて求められる特性に影響を及ぼさない場合、静脈が用いられ得る。試料に必要な血液の量を最小限にするため、検査システムの本体100は、カテーテル205が血管に配置される位置の近傍に配置されることが好ましい。本体100は、カテーテル205が血管に進入する位置の100センチメートル(100cm)以内、より好ましくは約20センチメートル(20cm)以内に配置されることが意図される。
【0014】
図1から図3に示されるように、本体100は、一次流体経路指定部分201および二次流体経路指定部分300である2つの使い捨て部分を収容し、着脱可能に受け入れ、またはこれらと機能的に結合する。一次流体経路指定部分201は、インラインセンサ209を含むインライン検査領域を有する。二次流体経路指定部分300は、二次流体経路指定部分301を含む。一次流体経路指定部分201と二次流体経路指定部分300とは、流体移送領域210を通じて流体連通して選択的に連結可能である。本明細書で用いられるように、インライン検査とは、検査部分に進入する血液のほぼすべてが患者に戻され得る血液検査を言及し、一方、オフライン検査は血液が患者に戻されない血液検査を言及するために用いられる。図1に示されるように、二次流体経路指定部分300は、一次流体経路指定部分201に連結されている。従って、システム10の二次流体経路指定部分300に進入する血液は、当初、一次流体経路指定部分201内にあった。一次流体経路指定部分201内の血液の比較的極く一部のみが、二次流体経路指定部分300に移送される。例えば、これは例示目的であるが、試料が500マイクロリットル(500μL)であるとき、二次流体経路指定部分に移送される部分は、50マイクロリットル(50μL)であり得る。
【0015】
検査システム10は、フラッシュ溶液リザーバ207を更に含む。フラッシュ溶液リザーバ207は、検査開始前にシステム10から血液を洗い流すように構成され、または血液を検査完了後に患者に再注入して戻すように構成されたフラッシュ溶液を含む。フラッシュ溶液は、生理食塩水、ブドウ糖および水、塩化カリウム、電解質などを含むがこれに限定されない医療的に認可された水ベースの溶液でもよい。更に、フラッシュ溶液は、システムを患者に連結する前に検査システム10をプライミングするために用いられ得る。システム10は、システム10の流体経路に空気が存在しないようにするためにプライミングされる必要があり得る。フラッシュ溶液は、一次流体経路指定部分201のインライン検査センサ209(図2)を較正するために用いられる1つ以上の物質を含み得ることが更に意図される。フラッシュ溶液リザーバ207内のフラッシュ溶液の当初の量は、検査システム10をプライミングし、約12時間から約96時間システム10を稼働させるのに十分であるべきである。一部の実施形態に従って、フラッシュ溶液の当初の量は、約100mLから約1000mLの範囲でもよい。リザーバ207内のフラッシュ溶液の一部は、カテーテル205の部位にて患者の血管を開放し続けるために用いられ得ることが、一部の実施形態に従って更に意図される。
【0016】
一次流体経路指定部分201および二次流体経路指定部分300は、患者の介護の開始時または部分201、300が交換を要するときに、介護人によって検査システム10の本体100内に配置されるように構成される。部分201、300は、交換前に最大96時間まで用いられ得ることが意図される。
【0017】
図1に更に示されているものは制御装置400である。検査システム10の本体100は、制御装置400と通信する。制御装置400は、介護人がシステム10によって自動的に行われる検査の結果を見て、検査の頻度を設定することを可能にするためにユーザインタフェース401を有する。ユーザインタフェース401は、介護人がシステム10と容易に通信することを可能にするように、タッチスクリーンまたは他の知られているユーザインタフェースタイプでもよい。制御装置400は、薬剤または他の流体を患者に提供するために用いられている注入ポンプ、例えば、SYMBIQ(登録商標)注入システムまたはHospira,Inc.によるポンプでもよい。無線システムは、介護人が本体100から制御装置400まで通信ケーブルを経路指定する必要がないため、検査システム10の本体100と制御装置400との間の無線通信が好ましい。しかしながら、状況によっては、本体100と制御装置400との間の通信は、ワイヤまたはケーブルを介して行われることが意図される。あるいは、検査システム10の本体100は、検査結果を表示し、動作コマンドを受け入れるためのそれ自身の一体型制御装置および/またはユーザインタフェースを有し得ることが意図される。対象とする特定の選択可能な時間にわたる検査結果は、グラフィカルまたは他の好適な形式にて表示され得る。
【0018】
これより図2を参照すると、システム10の使い捨て部分200の更なる詳細が示されている。使い捨て部分200は、検査システム10の本体100を通じてカテーテル205を介して患者の血管から流体リザーバ207まで連続的流体経路を提供する。使い捨て部分200は、患者の血管に挿入されるカテーテル205を遠位端に有する。カテーテル205は、これも第一の流体ライン部分202に連結された遠位コネクタ204に連結する。第一の流体ライン部分202は、遠位コネクタ204から検査装置10の本体100(図2において破線にて示されている)内の一次流体経路指定部分201まで及ぶ。第一の流体ライン部分202は、介護人によって好都合に経路指定され得る可撓性チューブである。第一の流体ライン部分202は、長さ約10cmから約50cmでもよく、好ましくは約200マイクロリットル(200μL)未満の内部容積を有する。
【0019】
遠位コネクタ204は、コネクタ204がカテーテル205および第一の流体ライン部分202に連結されたときに、好ましくは約20マイクロリットル(20μL)未満の流体容積を有するルアー型コネクタのような任意の好適な耐漏洩性設計でもよい。
【0020】
使い捨て部分200は、第二の流体ライン部分203を更に含む。第二の流体ライン部分203は、本体100内の一次流体経路指定部分201からフラッシュ溶液リザーバ207に連結された近位コネクタ206まで及ぶ。固定または可搬ベッドサイドポールのようにフラッシュ溶液リザーバ207を患者から離して好都合に配置するため、第二の流体ライン部分203は、第一の流体ライン部分202より有意に長いことがあり得ることが意図される。第二の流体ライン部分203の内部容積は、第一の流体ライン部分202の内部容積の10倍超であり得ることが意図される。第二の流体ライン部分203に第一の流体ライン部分202よりはるかに大きい内部容積を与えることにより、システム10に進入した血液でフラッシュ溶液リザーバを汚染する可能性が低下する。近位コネクタ206は、ルアー型コネクタ、テーパ状スパイク、針カニューレ、またはリザーバ207内の流体にアクセスするための任意の他の知られているタイプのコネクタでもよい。
【0021】
図2に示されるように、一次流体経路指定部分201は、流体ポンピング領域208、流体検査領域209、および流体移送領域210の3つの主要領域に分割され得る。一次流体経路指定部分201は、ポンピング領域208、流体検査領域209、および流体移送領域210を含む使い捨てカセットの形態でもよい。一次流体経路指定部分201内の流体の全容積は、好ましくは300マイクロリットル(300μL)未満である。流体検査領域209は、インライン流体検査領域であり得る。
【0022】
一次流体経路指定部分201のポンピング領域208は、本体100に含まれるポンプと相互作用する流体経路である。ポンピング領域208は、本体100内のぜん動型ポンプまたは他のタイプのポンプに係合するシリコーン膜またはポリマー製チューブのような弾性領域を有し得る。ポンピング領域208は、一次流体経路指定部分201内の双方向フローを可能にし、すなわち、ポンプの作動に応じ、流体は患者から離れ、または患者に向かって戻って流れ得る。更に、ポンピング領域208は、ポンプが停止したときに、一次流体経路指定部分201内のすべてのフローを停止するように構成される。一次流体経路指定部分201のインライン流体検査領域209内である種の流体検査を行うために、フローは停止され得る。
【0023】
流体検査領域209は、患者の血液に関する情報を求めるように構成された少なくとも1つの集積センサを有する流体経路である。情報は、患者の血糖レベルのような血液中のある種の被分析物の濃度の測定を含み得る。検査領域209内に配置されたセンサは、使い捨てセンサであり得るが、より好ましくは、使い捨て部分200または一次流体経路指定部分201の寿命にわたって複数の血液試料被分析物測定を行うことができる再利用可能なセンサである。検査領域209は、血糖、血液ガス、電解質、乳酸、および他の被分析物を測定することができるセンサを含み得る。検査領域209のセンサは、血液被分析物を測定するための電気化学的、光学的、比色分析的、または他の知られている技術を利用し得る。加えて、検査領域209は、例えば、電極または他の有線もしくは無線回路によって検査の結果をシステム10の残部に電気的に通信するように構成される。
【0024】
依然として図2を参照し、一次流体経路指定部分201の流体移送領域210は、一次流体経路指定部分201内の少量の血液が、二次流体経路指定部分300に注入、急送、または移送されることを可能にする。二次流体経路指定部分300に移送される血液または他の流体は、一次流体経路指定部分201に決して再進入するのではなく、二次流体経路指定部分300に残存する。流体移送領域210は、二次流体経路指定部分300が、実施するのにより長い時間がかかり、または血液が患者に戻ることを不適切にする反応を要する検査を行うために利用されることを可能にする。二次流体経路指定部分300において行われる検査の非限定的例は、凝固血液が患者に戻されるべきではないため、血液凝固検査である。
【0025】
流体移送領域210を通じて二次流体経路指定部分300に移送される少量の血液は、一移送当たり約20マイクロリットル(20μL)未満であるべきことが意図される。一次流体経路指定部分201の移送領域210を通じた二次流体経路指定部分300への移送は、システム10を介して患者から血液試料が採取されるたびになされ得ることが意図される。二次流体経路指定部分300を用いた一部の検査は、一次流体経路指定部分201の検査領域209を用いた検査ほど頻繁に行われる必要がない場合があることが更に意図され、そのような状況では、わずかな選択血液試料が、移送領域210を通じて二次流体経路指定部分300に移送される必要がある。
【0026】
一部の実施形態では、移送領域210を通じた二次流体経路指定部分300および二次流体経路指定部分301への複数の移送は、血液試料当たりでなされ得る。例えば、血液が、一次流体経路指定部分201に注入される前に、まず、少量のフラッシュ溶液が、二次流体経路指定部分300に移送され得る。次に、患者由来の血液が、一次流体経路指定部分201から移送され得る。最後に、フラッシュ溶液は、血液を一次流体経路指定部分から患者に送り返すために用いられるため、第三の移送は、フラッシュ溶液を二次流体経路指定部分300に提供し得る。
【0027】
一次流体経路指定部分から二次流体経路指定部分への流体の移送を容易にするため、一次流体経路指定部分201の移送領域210は、遠隔または本体100内に位置する機構によって作動され得るバルブ、流体回路、または他の知られている流体移送装置を有し得る。一次流体経路指定部分201から二次流体経路指定部分300への移送の間、移送領域210は、流体の漏れを防止し、空気の導入を防止し、微生物の導入を防止するように構成されなければならない。加えて、移送領域210は、一次流体経路指定部分201の寿命の間に従前に移送された流体によって閉塞され、または悪影響を受けることなく、複数の移送が連続的に生じることを可能にしなければならない。
【0028】
使い捨て二次流体経路指定部分300は、移送領域210を介して一次流体経路指定部分201と流体連通している。二次流体経路指定部分300は、1つ以上の、より好ましくは一連または複数の離間した使い捨て診断センサ301を含むオフライン検査部分301を有する。しかしながら、本発明は、多数回使用センサでも用いられ得ることが意図される。センサ301は、限定されないが、PT、aPTT、またはACT血液凝固検査で用いるような血液凝固センサでもよい。各センサ301の充填容積は、好ましくは約20マイクロリットル(20μL)未満である。二次流体経路指定部分300は、各センサ301が、一次流体経路指定部分201の移送領域210から移送される一定量の血液を受容するとともに、試料容積がアレイの他のセンサに接触することも防止するように、センサ301を配列するように構成される。センサ301は、回転プラットフォーム、線形並進プラットフォーム、連続的に作動するバルブを有する流体回路、または他の知られている配列方法によって配列され得る。二次流体経路指定部分300に移送される試料は、10秒未満のような短時間、毛管現象を介し、または一次流体経路指定部分201のポンピング領域208からの注入によって個々のセンサ301に達し得る。
【0029】
加えて、二次流体経路指定部分300は、例えば、電極または他の有線もしくは無線回路によって、検査センサ301における検査の結果をシステム10の残部に電気的に通信するように構成される。また、二次流体経路指定部分において行われる如何なる検査も適切な温度条件下で行われるように、本体100内のヒータ106から熱を受容するため、二次流体経路指定部分300は本体100内に配置され得る。
【0030】
オフライン検査の必要頻度に応じて、二次流体経路指定部分300は、約1個から約36個の検査センサ301を含むように構成される。流体移送領域210のため、二次流体経路指定部分300が使い捨てセンサ301を含み、または一次流体経路指定部分201と異なる検査頻度を支持する場合、システム10を患者から取り外す必要なく、二次流体経路指定部分は、一次流体経路指定部分201とは無関係に本体100から取り外され得る。従って、検査システム10が依然として患者に連結されている間に、一次流体経路指定部分201を変更する必要なく、介護人は、二次流体経路指定部分300を交換し得る。これは、二次流体経路指定部分300に配置され得るオフライン検査センサ301の数が少ない場合、または異なる被分析物レベルまたは血液特性が、患者についてモニタリングされる必要があると介護人が判定した場合、特に有用である。
【0031】
次に、図3を参照し、検査システム10の再利用可能な本体100がより詳細に示されている。本体100は、多年にわたって複数の患者に対して用いられるように構成される。本体100は、適切な注意によって最大3年またはそれ以上用いられ得ることが意図される。異なる患者に対する本体100の使用の間に適切な滅菌および洗浄処置が順守されなければならない。本体100は、1つ以上の使い捨て部分201、300、ポンプ103、流体移送機構104、オフラインセンサインデクサ105、加熱素子106、コントローラ107、および電源108を受容するための開口部102を含む。
【0032】
本体100は、例えば、一次流体経路指定部分201または二次流体経路指定部分300(破線にて示されている)を交換するために、介護人が開口部102にアクセスすることを可能にするアクセスドア111(図示せず)を有する。通常、介護人は、特定の患者に対してシステム10の使用の開始時に、一次流体経路指定部分201または二次流体経路指定部分300を本体100に配置し、患者に対してシステム10の使用の終了時に、検査部分201、300を本体100から取り外すために、アクセスドア111を用いる。加えて、アクセスドア111は、システムが患者に連結されている間に、二次流体経路指定部分300を交換するために用いられるように配置され得る。
【0033】
ポンプ103は、ぜん動型ポンプ、圧電素子タイプ、磁場タイプ、または流体を一次流体経路指定部分201のポンピング領域208の内側に流れさせる他の知られているポンプタイプのような機構である。好ましくは、ポンプ103は、検査システム10内にて双方向または患者から離れてもしくは患者に向かって流体を一方向に流れさせることができる。しかしながら、双方向フローをなすために、適切な弁調節で一方向ポンプが用いられ得る。ポンプ103によって提供される流量は、血液をシステムに吸い込み、インライン検査を行い、オフライン検査のために血液を移送し、一次流体経路指定部分に残存する血液を患者に再注入して戻すことにより、検査操作が2分以内に完了することを可能にするのに十分でなければならない。例えば、インライン検査がインライン検査領域209において行われるときに、ポンプ103は、一次流体経路指定部分201内のフローを完全に停止するようにも構成される。
【0034】
依然として図3を参照し、流体移送機構104は、一次流体経路指定部分201の移送領域210が、一次流体経路指定部分内から二次流体経路指定部分300に流体を移送するようにさせるための電動カム、ピストン、磁石、または他の知られている方法を含み得る。
【0035】
センサインデクサ105は、回転モータもしくはリニアモータ、または移送領域210を介して一次流体経路指定部分201から流体を受容するために移送領域210に対して個々のセンサ301を配置する他のタイプの装置でもよい。
【0036】
加熱素子106は、正確な検査結果を確実にするために、二次流体経路指定部分300の少なくとも1つのセンサ301の温度を調節するために熱エネルギーを提供する。例えば、加熱素子は、血液凝固センサの検査期間中にセンサ301の温度を約37℃に調節し得る。加熱素子106は固定され得、センサインデクサ105は個々のセンサ301を加熱素子106の近傍に配置することが意図される。あるいは、加熱素子106は、個々のセンサ301の近傍に配置されるように可動であり、または加熱素子106およびセンサ301の両方が、それを目的として可動であり得る。二次流体経路指定部分300のすべてのセンサ301が加熱素子106を備えるように、複数の加熱素子106が提供され得ることが更に意図される。
【0037】
加えて、再利用可能な流体センサ211が、本体100に組み込まれ得、使い捨て領域200のインライン検査領域209に機能的に係合する。流体センサ211は、インライン検査領域209における流体の組成に基づいて強度が変動する、電気信号のような信号を生成する。流体センサ211は、例えば、インライン検査領域209に血液試料が引き込まれたか、その後、インライン診断検査が行われた後に、フラッシュ溶液によってインライン検査領域209から血液試料が十分に洗い流されたかを判定するために用いられ得る。流体センサ211は、検査領域の内側の不要なエアポケットの存在を検出するためにも用いられ得る。これにより、流体センサ211は、使い捨て領域200の内側の血液およびフラッシュ溶液の適切なフローを確認する能力を提供するとともに空気が存在しないことを確実にすることにより、検査システム10に効率の尺度を付加することができる。
【0038】
再利用可能な流体センサ211は、対をなすLEDエミッタおよび光検出器ユニットのような光センサ、または使い捨て部分200の検知域内の血液、フラッシュ溶液、および空気を識別することができるまた別の再利用可能なセンサを含み得る。あるいは、流体センサ211は、使い捨て部分200に一体の流体に接触する好適な使い捨て構成、例えば、電気化学または導電性センサでもよく、これは患者に対する使用の完了時にカセットと共に配置される。更に、その代わりに流体センサ211は、使い捨て部分200の別の個所または使い捨てセットに沿った別の個所に配置され得るが、血液試料が診断分析のために検査される箇所に近接してセンサ211を配置することが好ましい。
【0039】
コントローラ107は、検査システム10のポンプ103、流体移送機構104、オフラインセンサインデクサ105、および加熱素子106のようなすべての電気機械的構成要素を作動させ、機能的に調整するように構成される。コントローラ107は、検査システム10から検査結果を報告し、または制御装置400を介して入力された介護人から指示を得るために、本体100が制御装置400(図1)と通信することも可能にする。
【0040】
本体100の電源108は、延長された時間、例えば、8時間から72時間システムを稼働させるのに十分な電力を供給する、リチウムイオン電池のような電池である。あるいは、電源108は、A/C電源でもよい。電源108が電池である場合、電源108は充電式または使い捨てであり得る。充電式電池が電源108に用いられる場合、電源は、システム10が患者に対して使用されている間に再充電され得ることが意図される。
【0041】
これより図4を参照すると、ポイントオブケア検査システム1000のより詳細な実施形態が示されている。検査システム1000は、再利用可能な本体1100、図5に関連してより詳細に述べられる一次流体経路指定部分1201および二次流体経路指定部分1300を含む使い捨てアセンブリ1200、患者の血管に結合するカテーテル1205、フラッシュ溶液リザーバ1207、および制御装置1400を含む。図4に示される検査システム1000は、インライン血糖検査およびオフライン血液凝固検査を行うように構成されるが、図1から図3に関連して述べられるように、他の被分析物または血液特性が検査され得ることが意図される。
【0042】
本体1100は、一次流体経路指定部分アクセスドア1102および二次流体経路指定部分アクセスドア1111を有する。一次流体経路指定部分アクセスドア1102は、介護人が一次流体経路指定部分1201にアクセスすることを可能にし、一方、二次流体経路指定部分アクセスドア1111は、介護人が一次流体経路指定部分1201を破壊することを心配する必要なしに、二次流体経路指定部分1300を交換することを可能にする。図4に示される本体1110は、約12.1cm×約9.53cm×約4,32cm(約4.75”×3.75”×1.7”)であり、約493cm(約30立方インチ)の全容積となる。本体1100は、約340g(約0.75ポンド)の総重量を有する。VELCRO(登録商標)型コネクタを有するストラップ1101は、例えば、ストラップ1101を患者の腕または脚の周囲に取り付けることにより、本体1100が患者に解放可能に固定されることを可能にする。
【0043】
図4に示される制御装置1400は、SYMBIQ(登録商標)注入システムまたはHospira社製ポンプである。制御装置1400は、介護人が検査システム1000に対して指示を入力し、検査システム1000によって行われる検査の結果を見ることを可能にするタッチスクリーンユーザインタフェース1401を有する。構成要素を配置する柔軟性およびベッドサイドにおけるワイヤの削減のため、制御装置1400と本体1100は、図4に示される実施形態において無線で通信するが、有線接続でも十分であり得る。
【0044】
図5は、検査システム1000の使い捨て部分1200、1300を示す。使い捨て部分1200は、検査システム1000の主要な流体経路を提供する。使い捨て部分1200は、遠位端においてカテーテル1205を、近位端においてフラッシュ流体リザーバ1207を有する。カテーテル1205は、遠位コネクタ1204に連結する。また、遠位コネクタ1204は、第一の流体ライン部分または遠位チューブ1202に連結する。第一の流体ライン部分1202は、遠位コネクタ1204から一次流体経路指定部分1201に及ぶ。第一の流体ライン部分1202は、約25cmの長さおよび約0.08cm(約0.030”)の内径を有し、第一の流体ライン部分1202に114μLの比較的小さい内部容積を与える。
【0045】
図6bおよび図6cに示されるように、遠位コネクタ1204は、小容量遠位コネクタである。遠位コネクタ1204の小容量は、1cm長および約0.08cm(0.030”)径を有する内孔1211を提供し、約5μLの容積を与えることによって得られる。図6bに最も良く見られるように、遠位コネクタの外面1212は、カテーテル1205に完全に挿入されるように構成され、これにより、不完全な挿入によって生じるカテーテル1205における過剰な流体容積を排除する。内孔1211の直径は、遠位チューブ1202の内孔1222の直径と一致する。更に、レセプタクル1213は、遠位チューブ1202の遠位コネクタ1204への完全な挿入を可能にするような寸法および形状であり、遠位チューブ1202の不完全な挿入によって生じる過剰な容積またはデッドスペースを排除する。従って、図6aおよび図6bの低容量遠位コネクタ1204は、血管と一次流体経路指定部分1201との間の流体フロー経路の内部容積を縮小し、流体が淀む傾向にあり得るデッドスペースを排除することにより、図6cに示される従来技術のルアー型コネクタに比べた改善を提供する。図6cのコネクタ1204bでは、内孔1211bは、遠位チューブ1202の内孔1222に一致せず、外面1212bは、カテーテル1205に完全に挿入されるように構成されず、レセプタクル1213bは、遠位チューブ1202の完全な挿入を可能にするような寸法および形状ではない。これにより、血液が集まり、インライン検査後に患者に流れ戻ることに抵抗し得る、概して1222、1223、および1224において指定されるデッドスペースまたは箇所が生じる。本発明のコネクタ1204は、血液が集まり、患者に流れ戻ることに抵抗し得るデッドスペースまたは箇所がない、実質的に滑らかな連続した不断の流体フロー経路を提供する。血液は、ラインにおいて淀み、患者または介護人に健康リスクをもたらし、恐らくはその後の検査の結果を歪めることを許容されない。
【0046】
図5に戻って参照し、一次流体経路指定部分1201は、ポンピング領域1208、検査領域1209、および流体移送領域1210を有する。流体移送領域は、二次流体経路指定部分1300の検査センサ1301(図9)に試料を提供するために、二次流体経路指定部分1300と整列する。一次流体経路指定部分1201は、約175μLの容積を有する内部フロー経路を有する。従って、一次流体経路指定部分1201と第一の流体ライン部分1202は、組み合わさって約295μLの容積を有する。適切な血液試料が得られることを確実にするように、この血液量の約2倍から4倍が患者から取り出されなければならない。従って、検査を行うために600μLから1200μLの血液が患者から必要である。しかしながら、この血液の大部分は患者に注入し戻される。
【0047】
一次流体経路指定部分1201は、これもフラッシュ流体リザーバ1207における近位コネクタ1206に連結する第二の流体ライン部分1203に連結する。第二の流体ライン部分は、約90cmの長さおよび約0.14cm(約0.054”)の内径を有し、約1330μLの内部容積を与える。
【0048】
これより図7aを参照すると、一次流体経路指定部分1201の分解図が示されている。この実施形態では、一次流体経路指定部分1201は、蓋部1201aおよび基部1201bを有する。柔軟なシリコーンダイヤフラム1214は、一次流体経路指定部分を流体漏れから封止するとともに、空気または他の外部汚染物質が、一次流体経路指定部分1201に進入することを防止する。一次流体経路指定部分1201に進入する血液中のブドウ糖の濃度を測定するために、インライン検査センサ1215が、一次流体経路指定部分1201に設けられる。検査センサ1215は、検査センサ1215からの結果をシステム1000に提供するために、一次流体経路指定部分1201の外側に晒される電極1216を含む。センサ1215は、30日間にわたって最大1000検査サイクルで再利用可能なグルコースオキシダーゼ試薬を有する厚膜構成である。更に、一次流体経路指定部分1201は、一次流体経路指定部分1201の長さに及ぶ流体チャネル1217を形成する。
【0049】
インライン検査センサ1215に加え、一次流体経路指定部分1201は、流体検知域1225を有する。一次流体経路指定部分1201に出入りする流体は、流体検知域1225を通過する。流体検知域1225は、光学的に透明な材料、例えば、透明ポリカーボネートポリマー材料であることが意図される。流体検知域1225は、一次流体経路指定部分1201内にあって検査センサ1215に接近する流体の識別がなされることを可能にするように、インライン検査センサ1215の近傍、概してその近位に位置する。流体検知域1225のインライン検査センサ1215への近接は、検査システム1000が、サンプリングされる所望の流体が検査センサ1215に接触していることを判定することを可能にする。
【0050】
これより図7bを参照すると、図7aの7a−7a線を通る断面図が示されている。図7bは、流体検知域1225内の流体チャネル1217の隆起流体チャネル部分1226を示す。流体検知域1225に進入する流体チャネル1217内の流体は、隆起流体チャネル1226を通過する。隆起流体チャネル1226は、光センサ(図7cの1227)が、流体検知域1225を通して光を伝達し、流体検知域1225内にどのようなタイプの流体が存在するかを判定するために用いられる出力を生成することを可能にする。隆起流体チャネル部分1226は、流体チャネル1217の残部およびインライン検査センサ1215を超え、概してこれより高く延びる。
【0051】
図7cは、流体検知域1225および光センサ1227の構成を示す。光センサ1227は、本体1100内に含まれる。光センサ1227は、一次流体経路指定部分アクセスドア1102内に配置され得ることが意図される。一次流体経路指定部分1201が本体1100内にあって、アクセスドア1102が閉じているとき、光センサ1227は、流体検知域1225の周囲に位置付けられる。より明瞭にするために、アクセスドア1102は図7cから取り除かれる。光センサ1227はLED型センサでもよい。すなわち、光は、光センサ1227のLEDから放出され、光は流体検知域1225を通過し、光は光センサ1227の光検出器によって検出される。光センサ1227の光検出器は、光センサ1227によって受け取られる光の強度に関連する出力を生成する。
【0052】
検知域1225内の種々の流体に対する光センサ1227の出力信号が識別可能であるように、流体検知域1225内に通常見出される種々の流体は、明確な光特性を有する。光は、LEDから光センサ1227の光検出器に伝わり、検知域1225に存在する流体を通過する際、屈折、散乱、反射、および吸収によって変化する。言い換えれば、光センサ1227の光検出器に達する光の強度は、検知域1225内に存在する流体、血液、フラッシュ溶液、空気、または他の何らかの流体の判定がなされることを可能にする。
【0053】
次に、光センサ1227の出力は、検知域1225内の流体の識別の判定を可能にするように、保存された光強度プロファイルと比較され得る。例えば、血液の光強度プロファイルおよびフラッシュ溶液の光強度プロファイルが、メモリに保存され得る。検知域1225に存在する流体の識別を判定するため、プロセッサによって行われるアルゴリズムは、光センサ1227によって生成される出力を保存された光強度プロファイルと比較する。加えて、プロセッサは、光センサ1227によって生成される出力が、保存されたパターンと一致しないと判定し、異常な流体フロー状態またはライン内の空気スラグの存在のような異常が生じたと、介護人に警告し得る。
【0054】
図8aおよび図8bは、一次流体経路指定部分1201の流体移送領域1210を示す、図7aの8−8線に沿った断面図を示す。流体移送領域1210は、バルブ1218を有し、バルブ1218は、ダイヤフラム1214と一体式に形成され得るシリコーンバルブプラグ1219、一次流体経路指定部分1201の基部1201bに形成され得るバルブノズル1220、および作動が所望されるまでバルブを閉じた状態にするためにバルブプラグ1219に連結するとともにこれに力を及ぼすリーフスプリング1221を含む。図8aに示されるように、バルブプラグ1219は閉位置にあり、流体はバルブを通過することを許容されないが、流体は、一次流体経路指定部分1201の流体チャネル1217に流れ得る。図8bに示されるように、バルブプラグ1219は開位置にあり、流体は、バルブノズル1220を通過することを許容されている。
【0055】
図9において、オフライン検査のような二次検査が行われ得る二次流体経路指定部分1300が示されている。二次流体経路指定部分1300は、使い捨てまたは多数回使用センサであり得る少なくとも1つの検査センサ1301を有する。任意に、吸収パッド1302が設けられ得る。図9に示される典型的な実施形態は、二次流体経路指定部分1300が、複数の検査センサ1301および複数の吸収パッド1302を含み得ることを示す。図示される検査センサ1301は、使い捨て血液凝固センサである。凝固検査センサ1301は、PT試薬、aPTT試薬、またはACT試薬を用い得る。一次流体経路指定部分1201からの血液の試料は、オフライン検査のために流体移送領域1210を通じて検査センサ1301に移送される。PT試薬を用いた血液凝固検査のために、5μLほどの少量の試料が用いられ得ることが意図される。検査センサ1301は、毛管現象を用いて約5秒にて5μL試料を吸収することができる。電極(図示せず)は、凝固検査の結果をシステム100に伝える。
【0056】
これより図10を参照すると、システム1000の可動構成要素を作動させる機構が示されている。システム1000は、ポンプ1103、バルブアクチュエータ1104、およびオフライン検査部分センサインデクサ1105を有する。ポンプ1103およびバルブアクチュエータは、システム1000の一次流体経路指定部分1201と連動し、一方、オフライン検査部分センサインデクサ1105は、二次流体経路指定部分1300と連動する。
【0057】
ポンプ1103は、図11により詳細に示されている。ポンプ1103は、モータ1112、カムシャフトに装着されたぜん動フィンガを有するぜん動部分1113、およびモータ1112がぜん動部分1113を駆動することを可能にする一連のギヤ1114を有する。モータ1112は、いずれの方向にも作動可能であり、従って、ポンプが、流体を一次流体経路指定部分1201に引き込み、または流体を一次流体経路指定部分1201の外に出し、もしくは流体が進入した方向に戻すように作動されることを可能にする。従って、ポンプ1103は、システム1000内の双方向フローを提供する。
【0058】
図12は、一次流体経路指定部分1201のポンプ領域1208と相互作用するポンプ1103を示す断面を示す。ポンプ1103のぜん動部分1113のぜん動フィンガは、一次流体経路指定部分1201のポンプ領域1208におけるシリコーンダイヤフラム1214を圧迫する。フィンガは、ダイヤフラム1214を連続的に圧迫し、流体を一次流体経路指定部分1201のフローチャネル1217およびシステム1000に流れさせる。ぜん動ポンプ分野においてよく知られているように、ポンプ1103が作動中でなく、カセット1201が適切に取り付けられているとき、流体がフロー経路1217に流れないように、少なくとも一部のフィンガはダイヤフラム1214を十分に圧迫するように配置される。
【0059】
次に、図13、図14a、および図14bは、バルブアクチュエータ1104をより詳細に示す。バルブアクチュエータ1104は、ギヤ1117を介してカムシャフト1116を駆動するモータ1115を有する。カムシャフト1116は、バルブピン1118およびダイヤフラムピン1120を作動させる。バルブピン1118はバネ1121を有し、かつダイヤフラムピン1120は、ピン1118、1120をカムシャフト1116に接触状態にするバネ1122を有する。バルブピン1118は、一次流体経路指定部分またはカセットに最も近いピンの端部に磁石1119を有する。図14bに示されるようにバルブ1218を開くには、カムシャフト1116は回転し、バネ1121が、バルブピン1118を一次流体経路指定部分1201から押し離すことを可能にする。磁石1119は、バルブプラグ1219に連結した板バネ1221を持ち上げ、バルブプラグ1219をバルブノズル1220から引き離し、流体がバルブノズル1220の中を流れることを可能にする。同時に、カムシャフト1116の動きは、ダイヤフラムピン1120を一次流体経路指定部分1201方向に移動させる。流体が一次流体経路指定部分1201のフローチャネル1217においてピン1120の位置を超えて遠位に送り込まれないように、ダイヤフラムピン1120は、シリコーンダイヤフラム1214を圧迫する。バルブプラグ1219が、バルブノズル1220中のフローを可能にするように配置されると、ポンプ1103は、流体をより迅速に一次流体経路指定部分1201から二次流体経路指定部分1300に流すために、短時間作動し得る。流体が、二次流体経路指定部分1300に移送されると、カムシャフト1116は回転し、バルブピン1118を一次流体経路指定部分1201方向に押し戻し、従って、バルブプラグ1219を元の位置に戻す。同時に、ダイヤフラムピン1120は、図14aに示されるようにフローチャネル1217を通じたフローが再開することを可能にするように、一次流体経路指定部分から離れる。バルブ1218を開閉する時間は、5秒未満である。
【0060】
これより図15および図16を参照すると、オフラインセンサ部分インデクサ1105が示されている。センサインデクサ1105は、オフライン検査センサ1301および吸収パッド1302を適切に配置するために、オフライン検査部分1300を支持するカルーセル1123を有する。センサインデクサ1105は、ギヤ面1124を介してカルーセル1123を駆動する。カルーセル1123の回転位置は、光検出器1126を通じてフラグ1125の動きを監視することによって感知される。一連のピン1127は、オフライン検査センサから結果を得るために、オフライン検査センサ1301における電極に接触する。更に示されているのは、使用中のオフライン検査センサ1301の適温を維持するために用いられるヒータ1106である。ヒータは、熱をセンサ1301に伝えるためにセンサ1301に接触するアルミニウム要素1128を有する。要素1128は、電気が供給されるKaptonパッド1129によって加熱される。要素1128に埋め込まれたサーミスタ1130は、温度を監視する。ヒータ1106は、固定位置に装着され、個々のセンサ1301は、カルーセル1123によってヒータ1106へ回転される。あるいは、各センサ1301は、各センサ1301と共に回転するヒータ1106を含み得、またはヒータ1106は、センサカルーセル1123に対して回転するようにかみ合う第二のカルーセルにあり得る。
【0061】
再度図1を参照し、患者に対してポイントオブケア検査システム10を使用する方法は、24時間にわたって指示された時間間隔にて血糖レベルおよび凝固(aPTT)速度をモニタリングするために、本体100を患者の前腕に取り付けるステップを含み得る。患者近傍の注入システムまたはポンプ400は、有線または無線通信を介するシステム10のグラフィカルユーザインタフェース401として機能するように構成されている。注入ポンプ10は患者に1つ以上の薬剤、例えば、インスリンおよびヘパリンを送出するのにも役立ち得る。
【0062】
介護人または臨床医は、患者に対する使用に備えて、本体100、使い捨て部分200(一次流体経路指定部分201および/または二次流体経路指定部分300を含む)、およびフラッシュ溶液のリザーバ207を含むシステムの基本構成要素を寄せ集める。臨床医は、患者の前腕における末梢静脈から血液を引き出すのに適した標準的なカテーテル205も得る。使い捨て200部分は、診断センサ領域209においてブドウ糖センサを組み込み、使い捨て二次流体経路指定部分300は、6個のaPTT凝固センサのアレイを組み込む。
【0063】
臨床医は、本体100が、末梢静脈または動脈にカテーテルを挿入するように選択される部位から約8cm(約3インチ)に位置するように、取付機構101を介して本体100を患者に取り付ける。図示される実施形態では、前腕は、本体100を患者に装着し、末梢血管にアクセスするのに好都合な箇所であるが、他の装着箇所および血管アクセスポイントが可能である。
【0064】
次に、臨床医は、遠位コネクタ204をカテーテル205に連結し、二次流体経路指定部分300を一次流体経路指定部分201に連結し、近位コネクタをフラッシュ溶液リザーバ207に連結することにより、システムの使い捨て部分200、300を組み立てる。
【0065】
臨床医は、重力によりフラッシュ溶液をリザーバ207からカテーテル205の先端までのすべての通路を通じて送り出させる高さに、フラッシュ溶液リザーバ207を保持することにより、フラッシュ溶液でシステム10におけるすべての流体通路をプライミングする。臨床医は、これらの通路から空気がすべて除去されたことを確認する。
【0066】
臨床医は、患者の血管にアクセスするために適切な病院の手順を用いて、カテーテル205を患者における末梢静脈または動脈に挿入する。
【0067】
臨床医は、即座に開口部102(図3)を介して、一次流体経路指定部分201および二次流体経路指定部分300を本体100に取り付ける。開口部102がドア111によって閉じられると、取付は、一次流体経路指定部分201に係合するポンプ103によって、一次流体経路指定部分201の内側のフラッシュ溶液のフローを自動的に阻止する。次に、臨床医は、フラッシュ溶液リザーバ207をベッドサイドポールに掛ける。
【0068】
臨床医は、注入ポンプ400におけるグラフィカルインタフェース401を介して本発明を作動させる(「オンにする」)。システム10は、引き続いて内部電源108によって給電される。電子コントローラ107およびインフューザ400における一連の無線送信要素を介して、本体とインフューザ400との間の無線通信が開始する。
【0069】
臨床医は、1時間間隔の患者に対する一連の24回の採血を行うように、グラフィカルインタフェース401を介してシステム10をプログラムする。更に、臨床医は各採取血液試料に対してブドウ糖検査を行い、また、1回おきごとの採取血液試料(すなわち、2時間間隔で)に対してaPTT検査を行うように、本発明をプログラムする。最終結果は、24時間にわたって均一に間隔をおかれた24回のブドウ糖検査および12回のaPTT検査である。
【0070】
システム10は、臨床医によってプログラムされた指示に応答し始める。血液試料の採取、検査、および再注入の連続サイクルを行うようにシステム10によってなされるすべての動作は、電源108からの電力を用いて電子コントローラ107によって調整される。
【0071】
センサインデクサ105は、6個のaPTTセンサ301の1つが血液試料を流体移送領域210から受容し、加熱素子106から熱を受容するように一時的に作動される。
【0072】
加熱素子106は作動され、aPTTセンサを約30秒内にて37℃の温度に達せさせる。
【0073】
ポンプ103は、約20秒間作動され、カセットポンピング領域208に、カテーテル205を通じて患者から使い捨て部分200に約1mLの血液を採取させ、近位チューブ203のいずれかの位置において最大点に達する。流入血液は、使い捨て部分200においてフラッシュ溶液に取って代わり、またはこれと部分的に混合するが、血液試料に対する正確な診断測定を可能にするために、十分なフラッシュ溶液が、センサ領域209および移送領域210から移動される。
【0074】
ポンプ103は、採取完了時に停止され、システム10における更なる血液またはフラッシュ溶液のフローを阻止する。
【0075】
センサ領域209におけるブドウ糖センサは、作動され、血液試料中のブドウ糖濃度の測定を開始する。
【0076】
流体移送機構104は、一時的に作動され、流体移送領域210に10μL量の血液試料をaPTTセンサ301に移送させる。移送は、オフライン検査センサ301を完全に充填するまで、流体圧を10μLの血液試料に及ぼすポンプ103の一時的な作動に支援される。この移送は、完了するのに約5秒かかる。
【0077】
aPTTセンサ301は、作動され、血液試料に対するaPTT測定を開始する。加熱素子106は、センサ301および血液試料を37℃に維持するように作動し続ける。
【0078】
センサ領域209におけるブドウ糖センサは、約20秒の検査時間後に、血液試料中のブドウ糖濃度の測定を完了する。結果は、臨床医が観察するように結果をグラフィカルインタフェース401に無線送信する電子コントローラ107によって電子的に読み取られる。
【0079】
ポンプ103は、約60秒間作動され、ポンピング領域208に使い捨てインライン部分200における血液試料をカテーテル205を介して患者に再注入して戻させる。aPTTセンサ301に移送される10μLの試料を除き、ほぼすべての1mLの採取血液は再注入される。また、ポンピングプロセスは、約1mLのフラッシュ溶液207を患者に注入させ、これはシステム10における流体通路およびカテーテル205からシステム10の稼働を損ない得る残留血液を排出するのに役立つ。
【0080】
ポンプ103は、再注入ステップの完了時に停止され、システム10におけるフラッシュ溶液の更なるフローを阻止する。
【0081】
aPTTセンサ301は、約120秒の検査時間後に血液試料におけるaPTTの測定を完了する。結果は、臨床医が観察するように結果をグラフィカルインタフェース401に無線送信する電子コントローラ107によって電子的に読み取られる。
【0082】
加熱素子106は、停止され、数分以内にその温度レベルを周囲大気温度と平衡化させる。
【0083】
システム10は、次のプログラム化された採血および検査サイクルに備えてほぼ1時間アイドリング状態にある。採血、ブドウ糖検査(血液移送ステップを有する)、および再注入ステップを行う総サイクル時間は、約100秒である。
【0084】
プログラム可能な所定の間隔にて、例としてであるが限定されるものではなくほぼ毎時間、システムは、プログラムされているように上記の検査を自動的に繰り返す。しかしながら、aPTT検査を含むすべてのステップは、同じまたは異なるプログラム可能なスケジュールに従って行われ得、例えば、aPTT検査は、臨床医の指示ごとに1回おきごとのサイクルのみ行われ得る。
【0085】
システム10の稼働の間に6個すべてのaPTTセンサ30が消耗すると(すなわち、11サイクルの稼働後)、電子コントローラ107は、インフューザ400およびグラフィカルディスプレイ401に臨床医に通知するように無線で指示する。臨床医は、アクセスドア111を介して二次流体経路指定部分300を本体100から取り外すことで対応し、これを新たな二次流体経路指定部分300と交換する。次に、臨床医または介護人は、病院の手順ごとに消耗した二次流体経路指定部分300を廃棄する。
【0086】
所望の稼働サイクル数の患者に対するシステム10の使用の完了後、臨床医は、システムを患者から取り外す。臨床医は、病院の手続きに従ってカテーテル205を患者から取り外し、取付機構101を介して本体100を前腕から取り外す。臨床医は、検査部分201、300をアクセスストア111を介して本体100から取り外す。臨床医は、病院の手順ごとにカテーテル205、検査部分201、300、およびフラッシュ溶液容器207を廃棄する。
【0087】
上記のブドウ糖/凝固サンプリングおよび検査例に関して述べられたように、インラインセンサとオフラインセンサは、流体試料の異なる特性を測定することができる。あるいは、インラインセンサとオフラインセンサは、同じ流体試料特性を測定することができる。一例では、インラインおよびオフラインセンサの両方は、ブドウ糖を測定することができる。インラインブドウ糖センサにおけるドリフトを較正または数学的に補正するために、当該技術分野において知られているような使い捨てオフラインストリップが、定期的(毎日、毎時間、またはインライン検査の選択サイクル前、サイクル中もしくはサイクル後)に用いられ得る。インラインセンサが、オフラインセンサより安定かつ正確である場合、オフラインセンサからの測定値を較正または調整するために、インラインセンサが用いられ得る。センサをクロス較正するそのような能力は有利である。インラインセンサをオフラインセンサを用いて較正する場合、フラッシュ溶液が較正特徴を有する必要性さえも排除し、コストおよびフラッシュ溶液との有害反応の潜在的リスクを低減し得る。いずれにせよ、サンプリングシステム10の精度を検査するための他の採血の必要性は低下する。
【0088】
インラインセンサまたはオフラインセンサの一方が、流体試料の同じまたは異なる特性を感知するための多数のセンサを含み得ることが更に意図される。例えば、インラインセンサは、すべてがブドウ糖用または1つがブドウ糖用、1つが乳酸用など多数のセンサを含み得る。インラインセンサは、類似または異なるタイプであり得る。同様に、例えば、オフラインセンサは、すべてが凝固用または1つが凝固用、1つがブドウ糖用など多数のセンサを含み得る。オフラインセンサは、類似または異なるタイプであり得る。多数のオフラインセンサアレイは、バルブを介して流体試料を受容するために動作可能に位置付けられ得る。流体の単一の表出(expression)は、毛管作用または他の方法を通じて多数のオフラインセンサに送られ得る。
【0089】
本発明の利点の1つは、患者の状態および臨床医の所望に従って、インライン検査、オフライン検査または両方をプログラムし、選択的に行う能力である。サンプリング間隔は、事前設定され得るが、得られた結果または臨床医の好みに基づいて動的に調節または調整もされ得る。例えば、システム10は、患者が手術後に集中治療室にいる当初の数時間、30分ごとに凝固およびブドウ糖の両方を測定するようにプログラムされ得る。そして、臨床医が、所望し、または試料測定値が予想もしくは所望どおりである場合、凝固検査のための試料の表出は頻度を低下され得る。予期しない測定値に遭遇した場合、頻度が高められ、または適切なインラインおよび/もしくはオフライン検査もしくは再検査が自動的に開始され得る。患者からの採血の数および量を最小にするため、システム10は、所望する場合、一度にセンサの1つのみを選択的に動作させることができる。例えば、インラインセンサが予期しない測定値を示す場合、そのセンサのみで検査を選択的に繰り返すことが可能である。各表出が無菌領域の一時的な制御された侵害をもたらすため、これはオフライン検査に対する表出(バルブまたは流体移送領域の開口)の数を最小化する有益な結果を有する。
【0090】
システム10は、ポンプ103と流体源207との間、またはポンプ103とカテーテル205との間で、流体移送領域210において注入口を含み得ることが意図される。注入口は、遠隔の実験室またはアナライザにおけるその後の分析のために、血液を検査チューブまたは他の好適な知られている容器に手動で、より好ましくは自動的に引き込むために用いられる。注入口は、一次流体経路指定部分200に連結したY部位に設けられ得る。ポンプ103は、より完全な血液パネルのためにオンデマンドで、または静的な所定間隔もしくは動的間隔にて、血液を検査試料容器に引き込むようにプログラムされ得る。患者は、より頻繁な針刺しから解放され、これはまた臨床医の針刺しのリスクを低減し、危険廃棄物を低減する。
【0091】
前述では、最良の様態と見なされるものおよび/または他の実施例について説明したが、種々の改変がなされ得、本明細書で開示される主題は、種々の形態および実施例にて実施され得、それらが、多くの他の適用、組合せ、および環境において適用され得、その一部分のみが、本明細書で述べられたことが理解される。当業者は、主題の真の範囲から逸脱することなく、開示された態様が改変または修正され得ることを認識する。従って、主題は、本説明における特定の詳細、明細、および例示実施例に限定されない。本明細書で開示される有利な概念の真の範囲内に含まれるありとあらゆる改変例および変形例を保護するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料を採取するためにシステムを患者に連結するように構成された患者連結部と、
流体試料を患者から検査部分に送り、検査後に一次流体経路指定部分からの流体試料の実質的な部分を患者に送り戻すように構成されるポンプ領域、流体試料の一部が一次流体経路指定部分の外に送られることを可能にするように構成される流体移送領域、および流体試料の少なくとも第一の特性を評価するように構成されるインライン検査領域を有する一次流体経路指定部分と、
一次流体経路指定部分のポンプ領域と相互作用するポンプと、
流体移送領域を介して一次流体経路指定部分の外に送られる流体試料の一部を受容するように構成され、更に、流体試料の第二の特性を評価するように構成されるオフライン検査部分を含む二次流体経路指定部分と、
流体試料を患者に送り戻した後に、システムを洗い流すためにシステムをフラッシュ流体に連結するように構成されたフラッシュ流体連結部とを含む、流体の特性を求めるためのポイントオブケア流体検査システム。
【請求項2】
流体試料の第一の特性および第二の特性に関する情報を受信装置に通信するように構成された通信装置を更に含む、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項3】
流体が血液を含む、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項4】
流体試料の第一の特性が、流体試料の血糖レベルを含む、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項5】
流体試料の第二の特性が、流体試料の凝固速度を含む、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項6】
通信装置が受信装置と無線通信する、請求項2に記載の流体検査システム。
【請求項7】
受信装置が注入ポンプを含む、請求項2に記載の流体検査システム。
【請求項8】
オフライン検査部分が、複数の検査にわたって連続的に用いられる複数の検査センサを有するセンサパックを含む、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項9】
ポンプがぜん動性である、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項10】
第一の特性と第二の特性とが同じである、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項11】
第一の特性と第二の特性とが異なる、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項12】
流体移送領域が、一次流体経路指定部分のポンプ領域とインライン検査領域との間に配置される、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項13】
インライン検査領域が、一次流体経路指定部分の遠位端に位置し、ポンプ領域が、一次流体経路指定部分の近位端に位置する、請求項12に記載の流体検査システム。
【請求項14】
インライン検査領域の近位の一次流体経路指定部分の光検出域と光通信するように配置され、一次流体経路指定部分の光検出域を通過する光の強度を示す出力を生成するように構成された光センサを更に含む、請求項1に記載の流体検査システム。
【請求項15】
患者の流体試料の少なくとも2つの特性を評価する方法であって、
流体コネクタを患者に取り付けるステップと、
流体の特性を求めるための流体検査システムを提供するステップとを含み、前記流体検査システムが、患者連結部と、ポンプ領域、流体移送領域、およびインライン検査領域を有する一次流体経路指定部分とを有し、更に、オフライン検査部分を含む二次流体経路指定部分、および通信装置を有し、前記評価する方法が更に、
流体コネクタを検査システムの患者連結部に連結するステップと、
流体試料を患者から検査装置の一次流体経路指定部分に引き込むために、検査システムのポンプ領域を用いて流体コネクタおよび患者連結部を介して流体試料を患者から採取するステップと、
流体試料の第一の特性を求めるために、一次流体経路指定部分のインライン検査領域における流体試料を分析するステップと、
流体試料の一部を、一次流体経路指定部分の流体移送部分を通じて二次流体経路指定部分のオフライン検査部分に移送するステップと、
オフライン検査部分で流体試料の第二の特性を求めるステップと、
流体試料を患者に送り戻すために検査システムのポンプ領域を用いて流体コネクタおよび患者連結部を介して、移送行為後に流体試料の残存部分を患者に戻すステップとを含む、方法。
【請求項16】
流体試料の第一の特性および第二の特性を示すデータを、受信装置に無線送信するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
流体試料の第一の特性および第二の特性の結果を、患者の電子医療記録に電子的に記録するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
一次流体経路指定部分の流体移送領域および患者に連結された流体コネクタを洗い流すステップを含む、流体試料を除去するために流体検査システムをフラッシュ流体で洗い流すステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
流体コネクタが患者の動脈に取り付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
求められた流体試料の第一の特性または流体試料の第二の特性に基づき、患者に与えられる少なくとも1つの薬剤投与量を変更するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
流体コネクタが患者の静脈に取り付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
一次流体経路指定部分のインライン検査領域を較正するために流体検査システムをフラッシュ流体で洗い流すステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
インライン検査領域における流体試料を分析するステップと、流体試料の一部を一次流体経路指定部分の流体移送部分を通じてオフライン検査部分に移送するステップとが、ほぼ同時に生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
流体試料がインライン検査領域で分析される間、流体フローが停止される、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
光センサを用いてインライン検査部分内の流体試料の識別を確認するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
検査のために流体試料を使い捨て検査部分に引き込み、流体試料がポンプ領域に進入した方向へ流体試料の大部分を使い捨て検査部分から送るために、可逆ポンプと相互作用するように構成されたポンプ領域と、
流体試料の一部が、流体移送領域を通じて一次流体経路指定部分の外に送られることを可能にするように構成された流体移送領域と、
流体試料の第一の特性を求めるために、流体試料を分析するように構成されたアナライザを有するインライン検査領域とを含む、使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項27】
アナライザが、流体試料と相互作用するように構成された試薬である、請求項26に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項28】
アナライザが化学分析で用いられる、請求項26に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項29】
アナライザが電気化学分析で用いられる、請求項26に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項30】
アナライザが光学的分析で用いられる、請求項26に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項31】
インライン検査領域が、採血中の流体フローの方向に対して流体移送領域の上流側に位置付けられる、請求項26に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項32】
流体移送領域が、ポンプ領域とインライン検査領域との間の流体通路に配置される、請求項31に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項33】
インライン検査領域が、一次流体経路指定部分の遠位端に配置され、ポンプ領域が、一次流体経路指定部分の近位端に配置される、請求項32に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項34】
光が、流体検知域を通過することを可能にする概して光透過性の領域を有し、インライン検査領域の近位に位置付けられる流体検知域を更に含む、請求項26に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。
【請求項35】
流体検知域が、一次流体経路指定部分内の流体チャネルの残部上に延びるように構成された隆起流体チャネルを有する、請求項26に記載の使い捨て一次流体経路指定部分。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−521676(P2011−521676A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508651(P2011−508651)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/043084
【国際公開番号】WO2009/137645
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(504308442)ホスピラ・インコーポレイテツド (50)
【Fターム(参考)】