説明

自動ワインダ及びその玉揚装置

【課題】 本発明は、給糸パッケージのロットチェンジの際して、手間をかけずに、自動的に糸の巻き取りを開始できる自動ワインダを提供することにある。
【解決手段】 巻き取りの自動開始を行わせるための巻取開始モードの選択により、玉揚装置3が巻取ユニット2の給糸ボビン4の糸端を巻取管5に装着するようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精紡ボビン等の給糸ボビン(パッケージ形状のものも含む)の糸と巻取管上に巻返して巻取パッケージを形成する自動ワインダに関する。
【0002】
【従来の技術】従来における自動ワインダとしては、図9R>9および図10に示すものがあり、以下に説明する。図9R>9において、自動ワインダ1は多数並列に設置された巻取ユニット2と、玉揚装置3と、玉揚装置3で玉揚げされたパッケージPを排出する排出コンベア19と、各装置2,3等の作動を制御するCPUからなる制御装置49とを備えている。巻取ユニット2は、図10に示すように、複数個又は1個の給糸ボビン4に巻かれた糸Yを巻取管5に巻き取って1個の巻取パッケージPとするもので、自動ワインダの機台上に並列設置されている。巻取ユニット2は巻取管5を回転自在に把持するクレード6と、クレードル6で把持された巻取管5を回転させるドラム7と、糸切断部16Aを有して糸欠陥を検出するヤーンクリアラ16と、切断された糸Yを継ぐ糸継装置15と、給糸ボビン4の切断された糸端Yを吸引して捕捉するヤーントラップ17と、切断された糸端Yをヤーントラップ17から引き取って糸継装置15まで導入する中継パイプ20と、切断されパッケージPに巻取られた糸Yを吸引把持して糸継装置15に導入するサクションアーム21とを備えている。また、玉揚装置3は自動ワインダ1上部に設置されたレール26に沿って各巻取ユニット2の真上を走行するもので、パッケージPの玉揚げ動作と自動ワインダ1上部に設けられた巻取管収納部37から巻取管5をクレードル6に供給して把持させる。
【0003】このように構成される自動ワインダ1において、巻取ユニット2によりパッケージPを逐次巻き取り、他品種のパッケージPを巻き取るために給糸ボビン4のロットチェンジ(糸の種類や番手等の品種変更)を行うには、作業者による満管になったパッケージPの玉揚げ動作の後に、巻取ユニット2に自動供給されるロットチェンジのための他品種の給糸ボビン4の糸を吹き上げてヤーントラップ17に吸引捕捉する。そして、作業者がヤーントラップ17に吸引捕捉された他品種の給糸ボビン4の糸端を引き出して巻取管5に巻き付けた後に、クレードル6で巻取管5を把持すると共に、糸欠陥を検出するヤーンクリアラ16に糸を挿入している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の自動ワインダでは、ロットチャンジを行った新たな給糸ボビン4の糸を人手により巻取管5に装着しなければならないので、ロットチェンジの際に多くの時間と手間がかかるという問題があった。
【0005】本発明は、この問題を解決するためになされたもので、給糸ボビンのロットチェンジに際して、手間をかけずに自動的に糸の巻き取りを開始できる自動ワインダを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するために、本発明は、請求項1の自動ワインダでは、給糸ボビンの糸を巻取管に巻き取る巻取ユニットと、給糸ボビンの糸を捕捉して巻取ユニットの巻取管支持部材に支持された巻取管に装着する動作を行う玉揚装置とを備え、巻き取りの自動開始を行わせるための巻取開始モードが選択されることにより、玉揚装置が巻取ユニットの給糸ボビンの糸端を巻取管に装着するにしたものである。これにより、自動的に巻き取りを開始することが可能となり、給糸ボビンの品種変更が手間をかけずに行えるようになる。
【0007】請求項2の自動ワインダでは、請求項1のものにおいて、複数の巻取ユニットを備え、玉揚装置が複数の巻取ユニットに沿って走行するように構成され、巻取開始モードが選択されることにより、玉揚装置を要求する信号を巻取ユニットに発生させるようにしたものである。これにより、複数の巻取ユニットを備えた自動ワインダにおいて、自動巻取り開始が可能となる。
【0008】請求項3の自動ワインダでは、請求項1又は請求項2のものにおいて、巻取開始モードを選択するための操作スイッチが設けられているものである。これにより、操作スイッチを操作することで、巻取開始モードを適当な時期に選択することが可能となる。
【0009】請求項4の玉揚装置では、給糸ボビンの糸を巻取管に巻き取る巻取ユニットを備えた自動ワインダに設けられ、給糸ボビンの糸を引き上げて巻取管に装着する糸引上手段を有し、前記糸引上手段で引き上げされる糸を、糸欠陥を監視する監視手段に挿入する挿入手段が設けられているものである。これにより、糸引上手段で直接巻取管に糸を引き上げても、糸挿入手段により監視手段に挿入できる。
【0010】請求項5の玉揚装置では、請求項4のものに、前記巻取ユニット側の障害物を検出する検出手段を設け、この検出手段が障害物を検出したときに、前記引上手段の作動を停止させるものである。これにより、検出手段が給糸ボビン側の障害物を検出すると、糸引上手段を作動させないので、糸引上手段と障害物との干渉が防げる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態における自動ワインダについて、図1ないし図8を参照して説明する。尚、図1ないし図8において、従来技術の図9と図10と同一の符号は同一の部材であるので、その詳細な説明は省略する。
【0012】図1および図2において、自動ワインダ1に並列設置された多数の巻取ユニット2は、複数個又は1個の給糸ボビン4に巻かれた糸Yを巻取管5に巻き取って1個のパッケージPとするものである。巻取ユニット2は、巻取管5を回転自在に把持するクレード6と、クレードル6で把持された巻取管5を回転させるドラム7を備えている。クレードル6はドラム7に向けて又はその逆に旋回可能となっていると共にドラム7の軸方向に揺動自在として巻取ユニット2上に設けられており、巻取管5を把持するボビンホルダ8を有している。ドラム7は制御装置49で駆動制御される駆動モータ10に連結されている。また、巻取ユニット2の給糸ボビン4側には、糸Yを継ぐ糸継装置15と、糸切断部16Aを有して糸欠陥を検出するヤーンクリアラ16と、給糸ボビン4の切断された糸端Yを吸引捕捉するヤーントラップ17(糸端捕捉手段)と、糸Yをヤーントラップ17から引き取って糸継装置15まで導入する中継パイプ20と、パッケージPに巻き取られた糸Yの端を吸引把持して糸継装置15に導入するサクションアーム21とを備えている。18は満管となったパッケージPをドラム7上からクレードル6背後に配置された排出コンベア19まで案内するパッケージガイドである。
【0013】自動ワインダ1に備えられた玉揚装置3は、フレーム25に配置されたレール26に沿って巻取ユニット2の真上を走行して、巻取ユニット2のパッケージPが満管になると所定位置で停止して玉揚げ動作を行うものである。すなわち、巻取ユニット2は、パッケージPが満管になると点灯する玉揚装置3を要求するための玉揚要求ランプLPが設けられていて、玉揚装置3は該ランプLPの点灯を検知してランプ点灯ユニットで停止し玉揚作動を行うようになっている。玉揚装置3はヤーントラップ17まで延びることのできる糸切断把持部27Aを有する糸把持装置27と、クレードル6を旋回および開閉するオープナー28と、糸Yをクレードル6で把持された巻取管5に寄せてガイドする糸寄装置29とを備えている。糸把持装置27はエアシリンダを用いて糸切断把持部27Aを伸縮されると共に、この伸縮に連動して糸切断把持部27Aで糸Yを切断して把持する。そして、糸把持装置27はドラム7の径方向に旋回自在として玉揚装置3上部に設けられており、糸Yをドラム7の上側まで引き上げてクレードル6の間に介在するように旋回させる。尚、糸把持装置27の糸切断把持部27Aを伸縮させる機構はエアシリンダに限定されず、機械的にスライドさせるものでも良い。
【0014】玉揚装置3のオープナー28は、図3に示すように、玉揚装置3側部からドラム7に並行して突出する回転軸30(図1にも示す)に固定されたオープンレバー31を有し、オープンレバー31の先端にはクレードルレバー32に当接されるオープンハンド33が設けられている。オープンレバー31はドラム7の軸方向に揺動自在にされてクレードル6に向けて延びており、回転されるオープンハンド33の回転軌跡aをクレードル6と一体に旋回されるクレードルレバー33の旋回軌跡bに交差させて設けられている。そして、オープナー28はオープンハンド33をクレードルレバー32に当接させた状態で、クレードル6の旋回によりドラム7から離れるように回転され、ドラム7に向かう回転でクレードル6を巻取管5がドラム7に接触するに十分な位置まで旋回させる。また、オープナー28はこの揺動によりクレードルレバー32を介してクレードル6を開閉して、パッケージPの玉揚げと巻取管5の装着を可能とする。
【0015】玉揚装置3の糸寄装置29は、図4および図5に示すように、ドラム7の糸入り側に配置されており、糸把持装置27で引き上げられた糸Yをドラム7と接触する巻取管5の大径端5A側に寄せる糸寄レバー34と、糸寄レバー34とで糸Yを巻取管5のバンチ巻き位置Vにガイドするバンチガイド35とを備えている。糸寄レバー34はリンク機構36により巻取管5側に移動自在とされ、先端側に糸引掛部34Aを有している。そして、糸寄レバー34は巻取管5側への回転により糸引掛部34Aで糸Yを引掛けた後に、糸引掛部34Aをドラム7の軸方向に並行移動させてバンチガイド35まで糸寄せする。バンチガイド35はクレードル6に設けられており、ドラム7の糸入り側に突出して糸Yを巻取管5のバンチ巻き位置Vでガイドする糸ガイド部35Aを有している。
【0016】図1および図2において、玉揚装置3には、フレーム25に固設された巻取管収納部37から巻取管5を把持してドラム7まで運ぶチャッカー38(図3R>3にも示す)と、糸把持装置27で引き上げられた糸Yをヤーンクリアラ16に挿入する糸挿入レバー39と、巻取ユニット2の給糸ボビン4側の作業者等を検出する検出センサ40を備えている。糸挿入レバー39は、図3R>3に示すように、玉揚装置3側部に回転自在に軸支されてヤーンクリアラ16まで延びている。糸挿入レバー39の先端にはヤーンクリアラ16に突出して糸Yに触れることのできる糸挿入部39Aを有している。そして、糸挿入レバー39は、図6に示すように、この糸挿入部39Aが引き上げられた糸Yに触れることで、糸Yを押え板16Cを越えてヤーンクリアラ16のスリット16B内に挿入する。これにより、ヤーンクリアラ16のスリット16内に糸Yを挿入する糸挿入レバー39を設けると、糸飛出し防止用の押え板16Cが設けられていても、給糸ボビン4の糸Yをヤーンクリアラ16に確実に挿入することができる。検出センサ40は、図3に示すように、巻取ユニット2の給糸ボビン4に向かって末広がる検出エリアcを有しており、自動ワインダ1の機台端に設けられた制御装置49に接続されている。
【0017】図7において、制御装置49は、巻取ユニット側のユニット制御部9と、玉揚装置側の玉揚制御部41と、ロットチェンジモード(品種変更モード)を有する管理コントローラ50とで構成されている。ロットチェンジモードは、給糸ボビン4を異なる糸(材質、太さ、撚数等の異なる糸)が巻かれたボビンと入れ替えるためのロットチャンジを自動的に行わせるモードのことで、旧ロットの巻取りを終了するための巻取終了モードと、新ロットの巻取りを開始するための巻取開始モードとがある。
【0018】通常の巻取モードからロットチェンジへの切換えは、プログラムにより、又は制御装置49に設けられた手動スイッチSW或いは各巻取ユニット2に設けられた手動スイッチBNにより行えるようになっている。手動スイッチSWは自動ワインダ1全体に作用し、手動スイッチBNは各巻取ユニット2に対して作用する。又、各スイッチSW,BNは巻取終了モードと巻取開始モードとの選択もできるようになっている。巻取終了モードが選択されると、例えば、パッケージPの生産量が設定量となるよう巻取ユニット2の巻取の続行の有無が制御される。また、自動ワインダ1からの完成したパッケージPの払出及び旧種のボビンの除去が行われる。巻取開始モードが選択されると、例えば、自動ワインダ1(各巻取ユニット1)への新種の給糸ボビン4の供給が行われた後、供給された給糸ボビン4の糸端がヤーントラップ17に捕捉され、続いて玉揚要求ランプLPが点灯され、玉揚装置3がランプLP点灯の巻取ユニット2に到着し、玉揚装置3によってクレードル6への空の巻取管5の供給と該巻取管5への給糸ボビン4の糸端の装着とが行われる。本実施形態では、手動スイッチBNを2回連続して押すと、その巻取ユニット2の玉揚要求ランプLPが点灯するようになっている。
【0019】ユニット制御部9は、巻取スイッチ手段51のON/OFFと、管理コントローラ50のスプライサモニタモードとに基づいて正逆転する駆動モータ10を制御してドラム7を回転させる。巻取スイッチ手段51は、図2および図3に示すように、玉揚装置3に回転自在に設けられた電磁石51Aと、各巻取ユニット2の前面に設けられたリードスイッチ51Bとで構成され、電磁石51Aの励磁をリードスイッチ51Bで検出する。そして、ユニット制御部9はリードスイッチ51Bが検出する電磁石51Aの励磁回数に応じて、駆動モータ10を制御してドラム7を低速又は高速に正回転(図3R>3の時計方向αの回転)させると共に、スプライサモニタモードにより駆動モータ10を逆回転(図3の反時計方向βの回転)させる。玉揚制御部41は玉揚装置3の走行制御の他に、ロットチェンジモードや検出センサ40の出力に基づいて糸把持装置27、オープナー28や糸挿入レバー39等の作動を制御すると共に、巻取スイッチ手段51の電磁石51Aへの励磁も制御する。
【0020】次に、自動ワインダ1による給糸ボビン4のロットチェンジの手順について、図7および図8等に基づいて説明する。
【0021】管理コントローラ50から巻取終了モードの指令が出力されると、制御器9は品種Aから品種Bの給糸ボビン4にロットチェンジするために巻取ユニット2の作動を制御する。各巻取ユニット2のパッケージPが満管になると、ユニット制御部9は、図8(a)に示すように、ヤーンクリアラ16の糸切断部16を作動させて品種Aの糸Yを切断して、ドラム7の回転を停止させる。パッケージP側の糸端は、パッケージPの惰性回転によりパッケージPに巻き込まれる(図8(b)に示す)。各巻取ユニット2は、満巻となっても玉揚要求ランプLPを点灯しない。そして、所定の満管個数(玉揚個数)となると、巻取終了モードを完了する。
【0022】この実施形態では、自動ワインダ1から旧品種Aの給糸ボビン4の除去及び完成したパッケージPの自動ワインダ1からの払出しが作業者により行われるようになっている。その後、巻取管5の新旧品種交換及び新品種Bの給糸ボビン4の供給が行われ、自動ワインダ1の運転が再開される。各巻取ユニット2の新品種Bの給糸ボビン4が自動的に供給され、給糸ボビン4の糸端がヤーントラップ17に捕捉される(図8(c)に示す)。この状態で、管理コントローラ50から巻取開始モードの指令が出力される。具体的には、各巻取ユニット2の手動スイッチBNを2回連続して押し、管理コントローラ50から開始モードの指令を制御部9に出力し、その巻取ユニット2の玉揚要求ランプLPを点灯させる。
【0023】玉揚制御部41は玉揚装置3を走行させて玉揚要求ランプLPの点灯した巻取ユニット2のパッケージPの真上に停止し、図3に示すオープナー28をドラム7に向けて回転させることでクレードル6を巻取管5がドラム7に接触するに十分な位置まで旋回させると共にクレードル6を開く。
【0024】その後、玉揚制御部41は図3に示す検出センサ40が給糸ボビン4側の障害物を検出しないと、図8(d)に示すように、糸把持装置27を作動させてヤーントラップ17で吸引捕捉されている給糸ボビン4の糸Yを切断把持して引き取る。そして、糸把持装置27を上昇、旋回させることで品種Bの糸Yを引き上げて、クレードル6の間に挿入すると共にヤーンクリアラ16のスリット16Bに当接させる(図6に示す)。尚、検出センサ40が障害物を検出すると、糸把持装置27を作動させることがない。品種Bの糸Yをヤーンクリアラ16に当接させた状態で、図3に示す糸挿入レバー39をヤーンクリアラ16に向けて回転させることで、糸挿入部39Aが品種Bの糸Yに触れてヤーンクリアラ16のスリット16B内に挿入する(図6に示す)。
【0025】品種Bの糸Yをヤーンクリアラ16に挿入した後に、図4に示す糸寄レバー34をドラム7に向けて回転および並行移動させることで、糸引掛部34Aにより糸Yを引掛けてバンチガイド35とでバンチ巻き位置Vにガイドする(図4および図5に示す)。糸Yをバンチ巻き位置Vでガイドした後に、図3に示すチャッカー38がドラム7に向けて回転させれて巻取管収納部37から巻取管5を把持すると共に、更なるドラム7への回転により開かれたクレードル6間に巻取管5をドラム7に接触させる。この状態で、図3に示すオープナー28の揺動を解除してクレードル6を閉じると、クレードル6のボビンホルダ8で巻取管5の大径端5Aと小径端5Bとを回転自在に把持する。これにより、クレードル6の内側を横切る品種Bの糸Yが、図5に示すように、巻取管5の大径端5Aとボビンホルダ8とで挟持されてバンチ巻き可能とする。そして、巻取管5と品種Bの糸Yをクレードル6で把持すると、図3に示すチャッカー38と糸挿入レバー39とを玉揚装置3に退避させ、糸把持装置27の糸Yの把持を解除する。
【0026】巻取管5のクレードル6への装着、巻取管5への給糸ボビン4の糸端の装着という一連の動作が終了すると、玉揚制御部41が再び電磁石51Aを励磁してリードスイッチ51Bで検出させる。リードスイッチ51Bの出力を受けるユニット制御部9は駆動モータ10を駆動させてドラム9を低速回転(図3の時計方向αの回転)することで、巻取管5をドラム7とは逆方向に低速回転されてバンチ巻き位置Vに品種Bの糸Yをバンチ巻きする。このとき、糸Yは、図4および図5に示す糸寄レバー34とバンチガイド35でガイドされながら重ね巻きされる。
【0027】バンチ巻きを行った後に、図4に示す糸寄レバー34を玉揚装置3に退避させることで、品種Bの糸Yをドラム7に解き放すと共に、玉揚制御部41が再び電磁石51Aを励磁してリードスイッチ51Bで検出させる。リードスイッチ51Bの出力を受けるユニット制御部9は駆動モータ10を制御してドラム7を低速回転から連続して高速回転(図3の時計方向αの回転)させることで、巻取管5をドラム7とは逆方向に高速回転してドラム7で綾振される品種Bの糸Yを高速での巻き取りを開始させる。以上のような動作を各巻取ユニット2について行い、新品種Bの糸Yの巻き取りを自動的に開始させる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、請求項1の自動ワインダでは、巻き取りの自動開始を行わせるための巻取開始モードが選択されることにより、玉揚装置が巻取ユニットの給糸ボビンの糸端を巻取管に装着するようにしたので、自動的に巻き取りを開始することが可能となる。従って、給糸ボビンの品種変更が手間をかけずに行えるようになる。
【0029】請求項2の自動ワインダでは、請求項1の効果に加えて、複数の巻取ユニットが巻取開始モードの選択により玉揚装置を要求する信号を発生するようにしたので、複数の巻取ユニットを備えた自動ワインダにおいて、自動巻取り開始が可能となる。
【0030】請求項3の自動ワインダでは、請求項1及び請求項2の効果に加えて、巻取開始モードを選択する操作スイッチを設けたので、操作スイッチを操作することで、巻取開始モードを適当な時期に選択することが可能となる。
【0031】請求項4の玉揚装置では、給糸ボビンの糸を糸引上手段で引き上げて巻取管に装着し、この引き上げられた糸を挿入手段により監視手段に挿入するようにしたので、糸引上手段で直接巻取管に糸を引き上げても、糸挿入手段により監視手段に糸を挿入できる。
【0032】請求項5の玉揚装置では、請求項4の効果に加えて、巻取ユニット側に障害物を検出する検出手段を設けたので、検出手段が給糸ボビン側の障害物を検出すると、糸引上手段を作動させないので、糸引上手段と障害物との干渉を防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動ワインダの巻取ユニットと玉揚装置の正面図である。
【図2】自動ワインダの巻取ユニットと玉揚装置の側面図である。
【図3】玉揚装置のオープナー、糸挿入レバーおよび検知センサの構成を示す側面図である。
【図4】玉揚装置の糸寄装置の構成を示す、図1のC−C矢視図である。
【図5】図4のD−D断面図である。
【図6】図3のE−E断面図である。
【図7】自動ワインダの制御器を示すブロック図である。
【図8】自動ワインダによるロッドチェンジの手順を示す模式図である。
【図9】従来の自動ワインダを示す全体図である。
【図10】従来の自動ワインダの玉揚装置と巻取ユニットの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 自動ワインダ
2 巻取ユニット
3 玉揚装置
4 給糸ボビン
5 巻取管
6 クレードル
7 ドラム
9 ユニット制御器
16 ヤーンクリアラ(監視手段)
27 糸把持装置(糸引上手段)
39 糸挿入レバー(糸挿入手段)
40 検出センサ(検出手段)
41 玉揚制御器
P パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 給糸ボビンの糸を巻取管に巻き取る巻取ユニットと、給糸ボビンの糸を捕捉して巻取ユニットの巻取管支持部材に支持された巻取管に装着する動作を行う玉揚装置とを備え、巻き取りの自動開始を行わせるための巻取開始モードが選択されることにより、玉揚装置が巻取ユニットの給糸ボビンの糸端を巻取管に装着するよう構成されている自動ワインダ。
【請求項2】 複数の巻取ユニットを備え、玉揚装置が複数の巻取ユニットに沿って走行するよう構成され、巻取開始モードが選択されることにより、玉揚装置を要求する信号を巻取ユニットに発生させる請求項1記載の自動ワインダ。
【請求項3】 巻取開始モードを選択するための操作スイッチが設けられている請求項1又は2記載の自動ワインダ。
【請求項4】 給糸ボビンの糸を巻取管に巻き取る巻取ユニットを備えた自動ワインダに設けられ、給糸ボビンの糸を引き上げて巻取管に装着する糸引上手段を有し、前記糸引上手段で引き上げされる糸を、糸欠陥を監視する監視手段に挿入する挿入手段が設けられている玉揚装置。
【請求項5】 前記巻取ユニット側の障害物を検出する検出手段を設け、この検出手段が障害物を検出したときに、前記糸引上手段の作動を停止させる請求項4記載の玉揚装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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