説明

自動両替機

【課題】
人的資源の有効活用やセキュリティ向上等のため両替機の導入が求められており、特によりシンプルで低コストの両替機に対するニーズが向上している。
【解決手段】
そこで発明者らは、先に希望金種及び希望数量を指定させ、その後にそれらに応じた金額を投入させる技術を提案する。これにより、限度数量等の更新処理やお釣り出金の機能を省略することができ、低コスト化につながる。
また、希望金種と希望数量(特に棒金を偶数本数毎に)を所定の組合せにしておくことで、金種と数量とを選択する手間を省き、お釣り不要の金額まで考慮する手間を省くことで利用者の操作性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
両替機に関し、例えば硬貨を所定単位枚数毎に積層してまとめた棒金を放出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野の背景技術を示す資料として例えば特許文献1「両替表示案内機能付き現金自動両替機」がある。
【0003】
特許文献1には、その0003〜0004段落に「現在使用されている現金自動両替機は、この現金自動両替機の前面に装備されたキーボードやタッチパネル等の入力装置を介して、両替すべき金種を入力操作し、この入力操作に基づいて両替金額を放出すべく両替動作を行っている。しかし、この場合、利用者の希望する金種や数量等の入力操作に際しては、まず、利用者が万円札等の両替すべき元金を基準にして、両替許容金種と枚数を事前に計算してから両替許容範囲内と計算した金種と枚数とを入力操作している。それゆえ、利用者は毎回煩雑な両替計算を要し、特に多金種を両替する際は、計算に手間取って簡単に両替操作することができなかった。」との課題が指摘されている。
【0004】
そして特許文献1はこの課題を解決するため、その図6と図7に記載あるようにまず紙幣等の投入を受け(n2)、金種及び限度数量を選択(n11、n14)させる場合に、投入金額に対する限度数量を表示・更新する(n13、n16)技術を開示している。
【0005】
【特許文献1】特許第3159265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ただし、特許文献1の技術は、先に紙幣等を投入するものである。このため、希望金種及び希望数量を選択する際に限度数量等の更新が必要にある(n16)。また、希望金種と希望数量との乗算結果と、投入金額とが一致しないとき例えばお釣り出金が必要になる。また棒金の扱いも考慮していない。
【0007】
しかしがながら、特許文献1のように限度数量の更新機能を設けたり、お釣り出金機構を設けるとその分のコストがかかる点に改善が求められる。
【0008】
特に、近年店舗でのキャッシュフローの向上や現金管理工数、セキュリティの点からで出来るだけタイムリーにつり銭を準備したいという要望が高まっており、従来の金融機関店舗での両替ではなく、自由な時間に店舗近隣での利用可能なよりシンプルで低コストの両替機に対するニーズが向上している
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで発明者らは、先に希望金種及び希望数量を指定させ、その後にそれらに応じた金額を投入させる技術を提案する。これにより、限度数量等の更新処理やお釣り出金の機能を省略することができ、低コスト化が期待できる。
【0010】
また、希望金種と希望数量(特に棒金を偶数本数毎に)を所定の組合せにしておくことで、金種と数量とを選択する手間を省き、お釣り不要の金額まで考慮する手間を省くことで利用者の操作性向上が期待できる。
【発明の効果】
【0011】
両替機のコストを低減する。また、利用者の利便性を向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図を用いて一実施形態を説明する。ただし、この実施形態に限定されず例えば構成、機能、ステップの取捨選択等可能である。
【0013】
図1は、両替機の一例としての棒金払出装置1の外観図を示す。棒金とは、硬貨を所定枚数毎に積層してまとめ、フィルムや紙等でくるめたものとする。ここでは所定枚数を50枚とする。
【0014】
棒金払出装置1は、利用者から硬貨の投入を受ける硬貨投入口101と、利用者から紙幣の投入を受ける紙幣投入口102と、カードの挿入を受け、カードと明細票等を排出するカード挿入口103と、操作等の案内を表示するディスプレイ(表示装置)正面に、ディスプレイの表示に対する利用者のタッチを赤外線又は押圧センサ等で検知するタッチパネル(入力装置)を配置した表示パネル104と、放出した棒金を利用者が受け取れる棒金払出口105を有する。
【0015】
図2は、棒金払出装置1の装置ブロックを示す。各部・機構はデータを取得する又はソフトウェアを実行する又はソフトウェアによって制御されるハードウェアとする。
【0016】
制御部2は、棒金払出装置1の各部・機構を制御するものであって、例えばメインメモリを備えるCPUを含む。表示部201は、制御部2の制御下でディスプレイに出力するデータ等を制御する。タッチパネル部202は、タッチパネルに対する入力を制御部2に送る。棒金出金機構203は、制御部2の制御下で所定の種類・数量の棒金を棒金払出口105に放出する。紙幣入金機構204は、紙幣投入口102に投入された紙幣を搬送、鑑別、収納する。硬貨入金機構205は、硬貨投入口101に投入された紙幣を搬送、鑑別、収納する。紙幣入金機構204と硬貨入金機構205のように現金を扱うものを現金機構とも呼ぶ。印字機構206は、明細票等を印字し、カード挿入口103に放出する。通信IF(インタフェース)207は、サーバ等の上位装置と通信回線を介してデータを送受信する。メモリ208は、各種プログラムやデータを格納する。10キー入力部209は、図示しない10キーへの入力を制御部2へ送る。タッチパネル部202や10キー入力部209のように利用者の操作入力を受けるものを入力部とも呼ぶ。カードリーダ部210は、カード挿入口103に挿入されたカードのICやMSからデータを読み取り制御部2へ送る。音声案内部211は、図示しないスピーカ等で利用者に対する操作案内等の音声情報を出力する。表示部201と音声案内部211のように利用者に操作案内をするものを案内部とも呼ぶ。人体センサ部212は、棒金払出装置1への利用者の接近等を光学センサ等により検出して制御部2に送る。
【実施例1】
【0017】
実施例1として、棒金払出装置1を使用可能な人は事前に会員登録した人(会員番号が記録されたカードを有し暗証番号を設定している人)に限る場合を図3〜8によって説明する。図3は、棒金払出装置1(特に主に制御部2)が実行する処理のフローチャートを、図4〜8は、表示パネル104に表示する画面例を示す。以下、図3の各ステップを説明する過程で適宜図4〜8の説明を加える形で説明を進める。
【0018】
ステップ301:初期画面を表示する。初期画面の例として図4の画面1を示す。図4は、「いらっしゃいませ。会員カードを挿入してください。」と案内してカードの挿入を促している。
【0019】
ステップ302:カード挿入口103にカードの挿入を受け、カードリーダ部210でカードに記録されているデータ(ここでは会員番号)を読み取る。
【0020】
ステップ303:暗証番号の入力を促す画面を表示する。暗証番号入力画面の例として図5の画面2を示す。図5は、「暗証番号を入力してください。」との案内と、0〜9の数値キーを表示し、この数値キーによって選択結果を黒丸で表示している。「戻る」は前の操作画面(ここでは図1)に戻るためのキーである。
【0021】
ステップ304、316:もし図5の戻るキーが選択されると(304でYes)、カード挿入口103にカードを放出(316)、ステップ301に戻る。
【0022】
ステップ305、306:暗証番号が所定桁分入力されると(305)、その暗証番号が会員番号に対して正しいかを通信IF207を介して上位装置に問い合わせる(306)。ステップ306でYesでなければ次のステップに続かないようにしているが、問い合わせ中にひとまず次のステップに行ったり、問い合わせそのものを後で行っても良い。
【0023】
ステップ307:棒金の金種を選択する画面を表示する。金種入力画面の例として図6の画面3を示す。図6は、棒金の金種と本数とを「500円×2本(50000円)」のように組み合わせた選択キーを表示している。このように、先に希望金種及び希望数量を指定させ、その後にそれらに応じた金額を投入させることで、特許文献1に記載されている限度数量等の更新処理を不要にすることができる。金額を後に投入させるので金額に対する限度数量という概念がないためである。また、選択した棒金の金種と本数に応じて、棒金の金種と本数の金額と等しい金額(お釣りなしの金額)を利用者に投入させることで、お釣り出金を不要にし、お釣り出金をする機能を省略することができる。また、希望金種と希望数量(特に棒金の本数)を所定の組合せにしておくことで、利用者が金種と本数とを両方選択することの手間を省いたり、紙幣1枚又は硬貨1枚ちょうど等のようにお釣りなしの金額への選択を容易にすることができる。
【0024】
なお、ここでは同じ金種の棒金2本の組合せに限定したが、異なる金種を組み合わせることや、2以外の本数にすることもできる。ただし。同じ金種で棒金偶数本の組合せに限るようにすると、出金機構からの繰り出し制御が同じ金種について2本単位で繰り出すことができて比較的単純となり、また偶数本であることで合計金額を一桁整数×10の乗数にすることができる(すなわち、例えば50円の棒金は1本2500円=2.5×10の2乗となりお釣りなしのためには千円札2枚と500円硬貨1枚等が必要になるが、2本だと5000円=5.0×10の3乗となり、5千円札1枚で換金できる)。
【0025】
ステップ308、309:画面3の戻るキーが選択された場合は、ステップ304と同様に画面1に戻る(308でYes)。選択されたキーが示す内容を制御部2のメインメモリやメモリ208に記憶する。複数のキーや一つのキーを複数回選択することを許しても良い。
【0026】
ステップ310、311:ステップ307で選択された棒金の金種と本数の確認を求め、現金(紙幣と硬貨少なくとも一方)の投入を求める画面を表示する。なお、現金に限らない電子マネー、クレジット、預金引き落とし等によっても良く、入金と総称する。金種・本数確認画面の例として図7の画面4を示す。図7は「ご希望の金額をご確認のうえ、両替金額を投入してください。」との案内を表示している。またステップ307で選択された内容(ここでは「100円×2本(10000円)」を表示し、確認を求めている。また合計金額「両替金額10000円」を表示し、等しい金額「投入金額10000円」の投入を求めている。なお、ここでは操作の簡単化のために画面4では選択内容に利用者が同意すれば入金することとしているが、確認キーを設けて確認キーの選択後に入金を求めるようにしてもよい。
【0027】
ステップ311、312:画面4の変更キーが選択された場合、画面3に戻って再選択させる(311でYes)。現金が投入されると紙幣入金機構204や硬貨入金機構205で計数する(312)。このとき選択された両替金額と計数された投入金額とが不一致だった場合には不一致の旨を表示して返金し再投入又は金種・本数の再選択又はキャンセルを選ばせるようにさせ、お釣り出金する機能は搭載しないことがコスト低減の観点からは望ましい。
【0028】
ステップ313、314、315:棒金の出金を知らせる画面を表示する(313)。棒金排出メッセージ画面の例として、図8の画面5を示す。図8は、「棒金をお受け取りください。ご利用ありがとうございました。」と案内を表示して棒金の受取を促している。印字機構206で取引明細票に印字してカードと共にカード挿入口103に排出する(314)。また選択された金種・本数の棒金を棒金出金機構203によって繰り出して棒金払出口105に放出(出金)する(315)。
【実施例2】
【0029】
実施例1ではカードを有する会員が使用する場合を説明したが、会員以外の利用者でも棒金払出装置1を使用できる実施例2を説明する棒金払出装置1を使用可能な実施例2を図9〜11によって説明する。図9は、棒金払出装置1(特に主に制御部2)が実行する処理のフローチャートを、図10、11は、表示パネル104に表示する画面例のうち実施例1と異なるものを示す。以下、図9の各ステップを図3と異なる点を中心に説明する過程で適宜図10、11の説明を加える形で説明を進める。
【0030】
図9のうち、ステップ302〜316は図3と同様である。ステップ901〜906について説明する。
【0031】
ステップ901、902:初期画面を表示する(901)。初期画面の例として図10の画面1Aを示す。図10は、「いらっしゃいませ。会員カードを挿入してください。」の他に、「会員以外の方は1回の取引につき100円の手数料が生じます。よろしければ非会員ボタンを押してください。」と案内してカードの挿入又は非会員キーの選択を促している。非会員キーが選択されると、選択されたことを制御部2の主記憶部又はメモリ208に記憶する(902)。
【0032】
ステップ903:ステップ312で現金が投入されると、主記憶部又はメモリ208に非会員が選択されたことが記憶されているか否かを判断する。
【0033】
ステップ904:非会員が選択されていた場合には、手数料の確認を求める画面を表示する。手数料確認画面の例として図11に画面4Aを示す。図11は両替手数料を投入してください」と案内し「両替手数料 100円」「投入金額 100円」とを表示して確認を求めている。確認キーを設けても良い。またステップ308で複数キーの選択を認めた場合には、複数回分の手数料や複数回の回数を表示してもよい。
【0034】
ステップ905、906:入金された場合(906)は、ステップ313に進む。キャンセルキーが選択されると(905でYes)、入金された金額を返却するために放出して(907)、初期画面(ステップ901)に戻る。
【0035】
両替金額の入金(ステップ312)と手数料の入金(ステップ906)を分けて説明したが、例えばステップ310において、非会員である場合には両替金額と手数料とを共に表示し、ステップ312で両替金額と手数料の合計金額の入金を受けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】棒金払出装置の外観図例
【図2】棒金払出装置の装置ブロック図例
【図3】棒金払出装置が実行するフロー例(1):棒金払出装置を使用可能な人は事前に会員登録した人のみの場合
【図4】棒金払出装置の画面1例:カード挿入画面
【図5】棒金払出装置の画面2例:暗証番号入力画面
【図6】棒金払出装置の画面3例:金種及び数量選択画面
【図7】棒金払出装置の画面4例:選択確認及び金額投入画面
【図8】棒金払出装置の画面5例:棒金受取画面
【図9】棒金払出装置が実行するフロー例(2):棒金を会員以外での使用可能とした場合
【図10】棒金払出装置の画面1A例:カード挿入画面
【図11】棒金払出装置の画面4A例:手数料投入画面
【符号の説明】
【0037】
1:棒金払出装置、2:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両替を実行する両替機であって、
利用者に対し案内する画面を表示し、当該画面に対応する利用者の操作入力を受ける表示入力部と、
両替後の金種及び数量の選択を前記表示入力部に案内して選択の操作入力を受け、前記金種及び数量の選択入力に対応する金額の入金を前記表示部で案内する制御部とを有することを特徴とする。
【請求項2】
請求項1記載の両替機であって、
硬貨を積層してまとめた棒金を格納して放出する棒金出金部をさらに有し、
前記表示部は、前記数量の選択として棒金を金種毎に偶数本単位で選択させる選択キーを表示し、
前記制御部は、前記選択キーの選択に対応する棒金を前記棒金出金部で出金することを特徴とする。
【請求項3】
請求項1及び2記載の両替機であって、
前記表示部で案内した金額と異なる金額が入金されたとき、前記制御部は、前記表示部に金額が異なることを表示させ、返金することを特徴とする。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−318236(P2006−318236A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140586(P2005−140586)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】