説明

自動二輪車のホイール構造

【課題】ホイールの軽量化を図りつつ、ドライブ荷重に対する剛性を向上させるホイール構造を提供する。
【解決手段】駆動源に連結された後輪用ホイール16と、車両走行により従動する前輪用ホイール6とを有する自動二輪車のホイール構造であって、後輪用ホイールは、後車軸15に支持された後輪用ハブ31と、後輪用タイヤ17が装着された後輪用リム32と、後輪用ハブと後輪用リムとを結合すると共に後輪用ハブからホイール径外方に向けて、回転方向に傾斜すると共に反回転方向に湾曲する後輪用スポーク33と、を一体に備えている。前輪用ホイール6の前輪用スポーク133は、好ましくは、前記後輪用スポークのは逆方向に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のホイール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車のホイールとして、ハブとリムとスポークとを一体に形成してなる一体型ホイールがあり、この一体型ホイールにおいて、重量増加を抑えつつ、回転方向の剛性を向上させるために、各スポークを、ハブからホイール径方向の外方に向かって、ホイール周方向に傾斜させることが知られている。
【0003】
図21は、特許文献1と同様のホイール構造を有する従来の自動二輪車であり、前輪用ホイール及び後輪用ホイール200、201は、いずれも一体型ホイール構造を有し、かつ、いずれのスポーク200a、201aもホイール周方向に傾斜している。具体的には、前輪用ホイール200のスポーク200aは、前輪用ハブ200bからホイール径方向の外方に向けて、回転方向R1側に傾斜しており、一方、後輪用ホイール201のスポーク201aは、後輪用ハブ201bからホイール径方向の外方に向けて、反回転方向R2側に傾斜している。
【0004】
走行中、前後のホイール200,201には、ハブに対してリムをホイール回転中心回りに相対変位させるような荷重が生じるが、スポーク200a,201aを傾斜させていることにより、スポーク200a,201aに対し、曲げ荷重、すなわちホイール径方向に直交する方向の荷重やスポークの長手方向に直交する方向の荷重を生じさせる他、スポーク長手方向の圧縮荷重又は引っ張り荷重を生じさせることができる。それにより、各スポークの曲げ方向の剛性によって荷重総てを受ける場合に比べ、圧縮又は引っ張り方向の剛性でも荷重を受けることで、スポークの変形を抑制し、ホイールの回転方向の剛性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−184435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レース用の自動二輪車では、アクセル操作による急加速や、ブレーキ操作による急減速が頻繁に行われ、そのため、前輪及び後輪にかかる路面からの荷重比率が頻繁に変化する。加速時には、路面から後輪にかかる荷重、すなわち後輪へのドライブ荷重の比率が大きくなり、ブレーキ操作による減速時には、路面から前輪に係る荷重、すなわち前輪へのブレーキング荷重の比率が大きくなる。しかも、加速時に路面から後輪にかかるドライブ荷重は、図21の後輪用ホイール201に対して反回転方向R2側(図21)に大きな荷重としてかかり、一方、ブレーキング時に路面から前輪にかかるブレーキング荷重は、回転方向R1側に大きな荷重としてかかる。
【0007】
ところが、図21のように、駆動側の後輪用ホイール201のスポーク201aを、ホイール径方向の外方に向けて、反回転方向R2側に傾斜させていると、加速時、特に急加速時、スポーク201aを傾斜させることによる回転方向の剛性の向上は、あまり期待することができない。すなわち、スポークに対して曲げ荷重としてかかる割合が大きくなり、剛性向上効果の妨げとなる。
【0008】
本発明の目的は、駆動輪である後輪にかかるドライブ荷重を、後輪用スポークの長手方向の圧縮荷重として受け止めるようにすることにより、後輪用ホイールの軽量化を図りつつ、ドライブ荷重に対する剛性を向上させるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、駆動源に連結された後輪用ホイールと、車両走行により従動する前輪用ホイールとを有する自動二輪車のホイール構造において、前記後輪用ホイールは、後車軸に支持される後輪用ハブと、後輪用タイヤが装着される後輪用リムと、前記後輪用ハブと後輪用リムとを結合すると共に前記後輪用ハブからホイール径外方に向けて、回転方向に傾斜すると共に反回転方向に湾曲する後輪用スポークと、を一体に備えている。
【0010】
本発明は、上記自動二輪車において、好ましくは次の構成を備えることができる。
(a)前記前輪用ホイールは、前車軸に支持される前輪用ハブと、前輪用タイヤが装着される前輪用リムと、前記前輪用ハブと前記前輪用リムとを結合すると共に前記前輪用ハブからホイール径外方に向けて、反回転方向に傾斜すると共に回転方向に湾曲する前輪用スポークと、を一体に備えている。
【0011】
(b)前記前輪用ホイールは、前車軸に支持される前輪用ハブと、前輪用タイヤが装着される前輪用リムと、前記前輪用ハブと前輪用リムとを結合すると共に前記前輪用ハブからホイール径外方に向けて、回転方向に傾斜すると共に反回転方向に湾曲する前輪用スポークと、を一体に備えている。
【0012】
(c)前記後輪用スポークは、前記後輪用ハブから前記後輪用リムに至ると共にホイール径外方に向けて回転方向に傾斜し、反回転方向に湾曲する後輪用メインスポークと、前記後輪用ハブから前記後輪用メインスポークに至ると共に、ホイール径方向の外方に向けて反回転方向に傾斜する後輪用サブスポークと、から構成されている。
【発明の効果】
【0013】
(1)本発明によると、駆動輪である後輪にかかるドライブ荷重を、後輪用スポークの長手方向の圧縮荷重として受け止めることができ、これにより、軽量化を図りつつ、ドライブ荷重に対する剛性を向上させることができる。
【0014】
(2)構成(a)によると、従動輪である前輪のブレーキング荷重を、前輪用スポークの長手方向の圧縮荷重として受け止めることができ、これにより、軽量化を図りつつ、ブレーキング荷重に対する剛性を向上させることができる。
【0015】
(3)構成(b)によると、従動輪である前輪のドライブ荷重を、前輪用スポークの長手---]て、回転方向に傾斜すると共に反回転方向に湾曲する後輪用メインスポークと、反回転方向に傾斜する後輪用サブスポークと、を組み合わせているので、後輪用メインスポークにかかる曲げ荷重をサブスポークで支えることができ、後輪用ホイールの剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】図1の自動二輪車の後輪の左側面拡大図である。
【図3】図2の後輪用ホイールの前半部の左側面拡大図である。
【図4】図2の後輪用ホイールのIV-IV断面拡大図である。
【図5】図2の後輪用ホイールのV-V断面拡大図である。
【図6】図2の後輪用ホイールのVI-VI断面拡大図である。
【図7】図2の後輪用ホイールのVII-VII断面図である。
【図8】図2の後輪用ホイールのリムの正面部分図である。
【図9】図8のIX-IX断面図である。
【図10】図1の自動二輪車の前輪の左側面図である。
【図11】図10の前輪用ホイールの上半部を断面で示す正面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図14】後輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図15】図14の後輪用ホイールの正面図である。
【図16】前輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図17】図16の前輪用ホイールの正面図である。
【図18】前輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図19】前輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図20】前輪用ホイールの変形例を示す左側面図である。
【図21】従来の自動二輪車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[発明の第1の実施の形態]
図1は、本発明に係るホイールを備えた自動二輪車、特にオンロード走行やレース走行に適した自動二輪車の左側面図であり、まずこの図1により、自動二輪車全体の構成を説明する。
【0018】
メインフレーム1の前端に形成されたヘッドパイプ2には、操舵軸(図示せず)及び上下一対のブラケット3を介して左右一対のフロントフォーク4が支持され、該フロントフォーク4の下端部に固定された前車軸5に、前輪用ホイール6が回転自在に支持され、該前輪用ホイール6に前輪タイヤ7が装着されている。
【0019】
メインフレーム1の後下端部に形成されたスイングアームブラケット部1aには、後方に延びるスイングアーム13が上下揺動自在に支持され、該スイングアーム13の後端部に固着された後車軸15に、後輪用ホイール16が回転自在に支持され、該後輪用ホイール16に後輪タイヤ17が装着されている。前記スイングアーム13は、リヤショックアブソーバ18によりメインフレーム1に弾性支持されている。
【0020】
メインフレーム1の下側にはエンジン20が搭載され、該エンジン20の出力軸21は、駆動スプロケット22、駆動チェーン23及び被駆動スプロケット24を介して後輪用ホイール16に動力伝達可能に連結され、エンジン20の駆動力により、後輪用ホイール16及び後輪タイヤ17からなる後輪を、矢印R1方向に回転する。
【0021】
メインフレーム1及び後部フレーム1bの上側には、燃料タンク25及びシート26等が設置され、フロントフォーク連結用の前記上側のブラケット3には、ハンドル装置27が設けられている。
【0022】
[後輪用ホイール16の構造]
図2は図1の後輪の左側面拡大図、図3は後輪用ホイール16の前半部の左側面拡大図、図4,図5及び図6は、図2のIV-IV、V-V及びVI-VI断面拡大図、図7は図2のVII-VII断面図、図8は後輪用リムの正面部分図、図9は図8のIX-IX断面図であり、これらの図面により、後輪用ホイール16の構造を詳細に説明する。
【0023】
図2において、後輪用ホイール16は、後車軸15に回転自在に支持される後輪用ハブ31と、前記後輪タイヤ17が装着される後輪用リム32と、前記後輪用ハブ31と前記後輪用リム32とを結合する複数のスポーク33,34と、を一体に備えている。該実施の形態では、後輪用ホイール16として、マグネシウムの鍛造成形物を切削加工したものを使用しており、これにより軽量化を図っているが、その他、量産に適するように、アルミニウム合金、ステンレス鋼あるいは鋳鉄等を利用することが可能である。
【0024】
前記複数の後輪用スポーク33,34は、後輪用ハブ31と後輪用リム32とを直接連結すると共にホイール周方向に等間隔を置いて配置された5本の後輪用メインスポーク33と、各後輪用メインスポーク33の途中にそれぞれ一体に連結されて各後輪用メインスポーク33と後輪用ハブ34とを連結する5本の後輪用サブスポーク34とから構成されている。
【0025】
各後輪用メインスポーク33は、後輪用ハブ31の外周面から後輪用リム32の内周面に至ると共に、ホイール径方向の外方に向かって、ホイール回転方向(前進走行時の回転方向)R1側に傾斜している。具体的に説明すると、ホイール回転中心O1と、後輪用メインスポーク33と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、を結ぶ直線M1に対し、後輪用メインスポーク33と後輪用ハブ31との前記連結部の中心点C1と、後輪用メインスポーク33の外周端と後輪用リム32との連結部の中心点C2と、を結ぶ直線M2が、角度θ1だけ回転方向R1側に傾斜している。前記傾斜角度θ1は、たとえば45度〜90度程度である。
【0026】
さらに、各後輪用メインスポーク33は、該後輪用メインスポーク33の径方向の内外の前記連結部の中心点C1,C2を結ぶ前記直線M2に対し、反回転方向R2側に膨らむ湾曲形状に形成されている。特に、後輪用メインスポーク33の反回転方向R2側の端縁33aの形状が、湾曲形状であることを明確に表している。ただし、後輪用サブスポーク34と後輪用メインスポーク33との連結部の中心C4よりホイール径方向外方側の後輪用メインスポーク33部分は、略直線状に形成されている。
【0027】
後輪用メインスポーク33のホイール周方向の幅(寸法)は、ホイール径方向外方に行くにつれて細くなる先細形状に形成されており、後輪用メインスポーク33のホイール径方向外周端の回転方向R1側及び反回転方向R2側の各端縁は、それぞれR面41を介して後輪用リム32の内周面に接続されている。
【0028】
各後輪用サブスポーク34は、連結される後輪用メインスポーク33に対して回転方向R1側(後輪用メインスポークの傾斜側)に配設されており、後輪用ハブ31の外周面から後輪用メインスポーク33の長さ方向の略中間部に至ると共に、ホイール径方向の外方に向かって、後輪用メインスポーク33の傾斜側とは反対側、すなわち反回転方向R2側に傾斜している。具体的に説明すると、ホイール回転中心O1と、後輪用サブスポーク34と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3と、を結ぶ直線M3に対し、後輪用サブスポーク34と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3と、後輪用サブスポーク34と後輪用メインスポーク33との連結部の中心点C4と、を結ぶ直線M4が、ホイール径外方に向けて、角度θ2だけ反回転方向R2側に傾斜している。前記傾斜角度θ2は、たとえば45度〜90度程度である。
【0029】
前記後輪用メインスポーク33が湾曲状に形成されているのに対し、後輪用サブスポーク34は、略直線状に形成されており、かつ、後輪用サブスポーク34のホイール周方向の幅(寸法)は、径方向の全長に亘って略一様な寸法に形成されている。また、後輪用サブスポーク34の反回転方向R2側の端部のホイール径方向の内外端縁は、それぞれR面42を介して後輪用メインスポーク33に接続されている。なお、後輪用メインスポーク33と後輪用サブスポーク34との連結部において、後輪用メインスポーク33の反回転方向R2側の端縁33aに対する後輪用サブスポーク34の交差角度θ5は、直角又は直角に近い角度に設定されている。
【0030】
さらに、後輪用メインスポーク33のホイール径方向の内方端の反回転方向R2側の端縁と、該後輪用メインスポーク33に対して反回転方向R2側に隣合う後輪用サブスポーク34の内方端の回転方向R1側の端縁とは、後輪用ハブ31の外周端に形成されたR面43を介して滑らかに接続している。
【0031】
図4において、各後輪用メインスポーク33は、車軸方向に間隔を置いて対向配置された一対の側壁部(リブ部)33bと、両側壁部33bを一体に連結するウエブ33aとから、断面H形状に形成されている。ただし、図2の後輪用サブスポーク34との連結部よりホイール径方向の外方側部分は、図6に示すように、断面コの字形状に形成されている。このように、後輪用メインスポーク33の断面をH形状又はコの字形状とすることにより、重量増加を抑えつつ、曲剛性を高くし、かつ、後輪用ホイール16の固有振動数も高めている。
【0032】
図5において、各後輪用サブポーク34も、後輪用メインスポーク33と同様、車軸方向に間隔を置いて対向配置された一対の側壁部34bと、両側壁部34bを一体に連結するウエブ34aとから形成されている。図5の実施の形態では、後輪用サブスポーク34は断面H形状となっているが、その他、断面コの字状、T字状あるいはL字状等、径方向に突出する突出部(側壁部34b等)を有するリブ形状とすることもできる。このように、後輪用サブスポーク34の断面形状を、径方向に突出する突出部を有する形状とすることにより、後輪用メインスポーク33と同様に、曲剛性を高くし、かつ、後輪用ホイール16の固有振動数を高めている。
【0033】
図7において、後輪用ハブ31は、円筒状のハブ本体31aを有し、該ハブ本体31aの外周面の軸方向両端に、ホイール径方向の外方に突出する突出部31bが一体に形成されている。該突出部31bはハブ本体31aの略全周に亘ってフランジ状に形成されている。なお、前述のR面、すなわち後輪用メインスポーク33のホイール径方向内方端の反回転方向R2側の端縁と後輪用サブスポーク34のホイール径方向内方端の回転方向R1側の端縁とを接続するR面43は、前記突出部31bの外周端縁に形成されている。
【0034】
図8において、後輪用リム32は、車軸方向の両端に、後輪タイヤ17の車軸方向の位置を規制する環状突起32aが一体に形成されると共に、車軸方向に中央部に、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む環状凹み部32bが、リム全周に亘って形成され、これにより、重量の増加を抑えつつ、後輪用リム32の剛性及び固有振動数を向上させている。
【0035】
図9において、後輪用リム32の環状凹み部32bの底部と、後輪用メインスポーク33のホイール径方向外方端との連結部には、前記環状凹み部32bの底壁部からホイール径方向の内方にさらに凹む連結用凹部32cが形成されており、これにより、後輪用リム32のさらなる軽量化を図っている。
【0036】
ここで、任意の後輪用メインスポーク33と、該後輪用メインスポーク33から反回転方向R2側へ一つ置いて配置された別の後輪用メインスポーク33に連結された後輪用サブスポーク34との位置関係等を、特許請求の範囲に記載した内容及び用語に対応させて説明するために、前記任意の後輪用メインスポーク33等の名称を、図3に基づき次のように仮定する。
【0037】
図3の下端部に位置している後輪用メインスポーク及びこれに連結される後輪用サブスポークを、第1の後輪用メインスポーク33−1及び第1の後輪用サブスポーク34−1と称し、この第1の後輪用メインスポーク33−1及び第1の後輪用サブスポーク34−1に対し、反回転方向R2側に一つ置いて配置された後輪用メインスポーク及び後輪用サブスポークを、第2の後輪用メインスポーク33−2及び第2の後輪用サブスポーク34−2と称し、前記第1の後輪用メインスポーク33−1と前記第2の後輪用サブスポーク34−2間に配置された後輪用メインスポーク及び後輪用サブスポークを、第3の後輪用メインスポーク33−3及び第3の後輪用サブスポーク34−3と称することとする。勿論、上記名称は、単に説明の都合上設定したものであり、いずれの後輪用メインスポーク33及び後輪用サブスポーク34も、第1の後輪用メインスポーク及び第1の後輪用サブスポークと称することができる。
【0038】
第1の後輪用メインスポーク33−1と、第2の後輪用サブスポーク34−2とは、路面から第1の後輪用メインスポーク33−1が受けた荷重(特に後輪用メインスポーク33−1の長さ方向の荷重)が、後輪用ハブ31の外周端部の一部を介して、第2の後輪用サブスポーク34−2の長さ方向の荷重として伝達されるように配設されている。具体的には、第2の後輪用サブスポーク34−2の内外周端(内外連結部の中心点C3、C4)を結ぶ前記直線M4は、第1の後輪用メインスポーク33−1の長さ方向に沿って後輪用リム32から後輪用ハブ31へ向かう湾曲状の線分の略延長線上に配置されている。すなわち、前記延長線上には、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用バブ31との連結部の中心点C3と、第2の後輪用サブスポーク34−2と第2の後輪用メインスポーク33との連結部の中心点C4と、が存在しているのであって、第2の後輪用サブスポーク34−2は、前記延長線に沿って、前記中心点C3から前記中心点C4を通るように、ホイール径外方側に延びているのである。
【0039】
また、第1の後輪用メインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3とは、後輪用ハブ31の外周突出部31bを介して一体に連なっている。
【0040】
第1の後輪用メインスポーク33−1は、前述のように反回転方向R2側の膨らむように湾曲しているが、具体的には、前記第1の後輪用メインスポーク33−1は、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部から第1の後輪用メインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部に亘る後輪用ハブ31の円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲している。
【0041】
第1の後輪用メインスポーク33−1と第2の後輪用メインスポーク33−2とのホイール周方向間に、第3の後輪用メインスポーク33−3が配置されているが、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3は、第3の後輪用メインスポーク33−3と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1と、ホイール周方向に関して略重複する領域に設定されている。
【0042】
また、第1の後輪用メインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1に対し、第2の後輪用メインスポーク33−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C1は、反回転方向R2側に90度以上離れて位置している。すなわち、図3に示す2つの直線M1M1間の角度θ6は、90度以上、180度未満に設定されている。
【0043】
[前輪用ホイール6の構造]
図10は前輪の左側面拡大図、図11は前輪用ホイール6の正面図(上半部は断面)を示している。図10において、前輪用ホイール6は、前記前車軸5に回転自在に支持される前輪用ハブ131と、前輪タイヤ7が装着される前輪用リム132と、前記前輪用ハブ131と前輪用リム132とを結合する複数の前輪用スポーク133,134と、を一体に備えている。前輪用ホイール6の材質も、後輪用ホイール16と同様であり、マグネシウムの鍛造成形物を切削加工したものであり、これにより軽量化を図っているが、アルミニウム合金、ステンレス鋼あるいは鋳鉄等を利用することが可能である。
【0044】
前輪用ホイール6の前輪用スポーク133,134は、後輪用ホイール16と同様、ホイール周方向に等間隔を置いて配置された5本の前輪用メインスポーク133と、各前輪用メインスポーク133にそれぞれ一体に連結された5本のサブスポーク134とから構成されている。前輪用ホイール6の前輪用メインスポーク133及び前輪用サブスポーク134が、後輪用ホイール16の後輪用メインスポーク33及び後輪用サブスポーク34と異なる構造は、ホイール周方向の傾斜方向がそれぞれ逆向きとなっていることであり、その他の構造は後輪用ホイール16と同様である。すなわち、前輪用ホイール6の前輪用メインスポーク133は、ホイール径方向の外方に向けて、反回転方向R2側に傾斜すると共に、回転方向R1側に膨らむように湾曲しており、一方、前輪用ホイール6の前輪用サブスポーク134は、ホイール径方向の外方に向けて、回転方向R1側に傾斜すると共に、直線状に形成されている。
【0045】
また、前輪用メインスポーク133の径方向の内外周端部並びに前輪用メインスポーク133と前輪用サブスポーク134との連結部には、それぞれ後輪用ホイール16と同様に、R面141,142,143等が形成されている。
【0046】
図11において、前輪用ハブ131は、後輪用ハブ31と同様、円筒状のハブ本体131aを有し、該ハブ本体131aの外周面の軸方向両端に、ホイール径方向の外方に突出する突出部131bが一体に形成されている。該突出部131bはハブ本体131aの略全周に亘ってフランジ状に形成されている。
【0047】
また、前輪用リム132も、後輪用リム32と同様、車軸方向の両端に、前輪タイヤ7の車軸方向の位置を規制する環状突起132aが一体に形成されると共に、車軸方向の中央部に、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む環状凹み部132bが、リム全周に亘って形成され、これにより、重量の増加を抑えつつ、前輪用リム132の剛性及び固有振動数を向上させている。
【0048】
さらに、前輪用リム132の環状凹み部132bの底部と、前輪用メインスポーク133のホイール径方向外方端との連結部には、前記環状凹み部132bの底壁部からホイール径方向の内方に凹む連結用凹部132cが形成されており、これにより、前輪用リム132のさらなる軽量化を図っている。
【0049】
[第1の実施の形態の作用効果]
(1)図2に示す駆動側の後輪用ホイール16において、後輪用ハブ31と後輪用リム32とを直接連結する後輪用メインスポーク33は、後輪用ハブ31からホイール径外方に向けて、回転方向R1に傾斜すると共に反回転方向R2に膨らむように湾曲しているので、後輪にかかるドライブ荷重を、後輪用メインスポーク33の長手方向の圧縮荷重として受け止めることができ、これにより、後輪用ホイール16の軽量化を図りつつ、ドライブ荷重に対する剛性を向上させることができる。
【0050】
(2)図10に示す従動側の前輪用ホイール6において、前輪用ハブ131と前輪用リム132とを直接連結する前輪用メインスポーク133は、前輪用ハブ131からホイール径外方に向けて、反回転方向R2に傾斜すると共に回転方向R1に湾曲しているので、従動輪である前輪のブレーキング荷重を、前輪用メインスポーク133の長手方向の圧縮荷重として受け止めることができ、これにより、前輪用ホイール6の軽量化を図りつつ、ブレーキング荷重に対する剛性を向上させることができる。
【0051】
(3)図2に示す後輪用スポークは、後輪用ハブ31から後輪用リム32に至ると共にホイール径外方に向けて、回転方向R1に傾斜すると共に反回転方向R2に湾曲する後輪用メインスポーク33に加え、後輪用ハブ31から後輪用メインスポーク33に至ると共に、ホイール径方向の外方に向けて、反回転方向R2に傾斜する後輪用サブスポーク34と、から構成されているので、ドライブ走行時、特に加速時、後輪用メインスポーク33にかかる曲げ荷重を後輪用サブスポーク34で支えることができ、後輪用メインスポーク33の変形を抑制し、ドライブ駆動時における後輪用ホイール16の回転方向の剛性を向上させることができる。
【0052】
具体的には、各後輪用メインスポーク33を支える後輪用サブスポーク34をそれぞれ形成することで、後輪用メインスポーク33のホイール径方向の内方側での剛性を高めることができ、後輪用サブスポーク34を配置したことに起因する後輪用ホイール16のホイール回転中心回りの慣性モーメントの増加よりも、十分なホイール剛性向上効果を得ることができる。
【0053】
(4)さらに各後輪用サブスポーク34は、後輪用メインスポーク33をその傾斜方向側から支えることになるので、後輪用メインスポーク33が曲げ荷重を受けた場合に、後輪用サブスポーク34は圧縮荷重として後輪用メインスポーク33の曲げ荷重を受けることができ、後輪用メインスポーク33の曲げ変形をさらに抑制できる。このようにして、ホイールの質量増加を抑え、これにより慣性モーメントの増加を抑えつつ、ホイール回転中心回りの剛性を向上させることができるのである。
【0054】
(5)後輪用ホイール16の剛性を上記のように向上させると、走行中における後輪タイヤ17のグリップ状態あるいはスリップ状態が、的確にライダーに伝わり、すなわち、ライダーへのフィードバックが的確に行われ、ライダーは地面の状態及び走行状態を的確に把握することができ、また、後輪用ホイール16の慣性モーメントを抑制することにより、旋回安定性を維持できる。
【0055】
(6)図3のように、第1の後輪用メインスポーク33−1と、該第1の後輪用メインスポーク33−1から一つ置いた第2の後輪用メインスポーク33−2に接続される第2の後輪用サブスポーク34−2とを、路面から第1の後輪用メインスポーク33−1が受けた荷重が第2の後輪用サブスポーク34−2に伝達されるように配設しているので、路面から第1の後輪用メインスポーク33−1に伝わる荷重は、後輪用ハブ31の回転中心に集中することなく、第2の後輪用サブスポーク34−2を介して第2の後輪用メインスポーク33−2及びリム32に分散させることができ、第1の後輪用メインスポーク33−1の変形を抑制できる。図10の前輪用ホイール6についても同様な効果を得ることができる。
【0056】
(7)図3のように、第2の後輪用サブスポーク34−2は、第1の後輪用メインスポーク33−1の長さ方向に沿って後輪用リム32から後輪用ハブ31へ向かう線分の略延長線上に配置されているので、路面から第1の後輪用メインスポーク33−1に伝わる荷重は、第1の後輪用メインスポーク33−1の長さ方向に沿って伝わり、第2の後輪用サブスポーク34−2に受け止められ、第2の後輪用メインスポーク33−2及び第2の後輪用メインスポーク33−2が接続される後輪用リム32へと分散され、第1の後輪用メインスポーク33−1の変形を抑制できる。特に、第1の後輪用メインスポーク33−1の長さ方向に沿って後輪用リム32から後輪用ハブ31へ向かう線分の延長線上に、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の中心点C3が存在し、前記延長線に沿って、第2の後輪用サブスポーク34−2がホイール径外方側に延びているので、路面から第1の後輪用メインスポーク33−1にかかる荷重が、第2の後輪用サブスポーク34−2へと分散され易くなり、第1のメインスポーク33−1の変形を、さらに抑制できる。図10の前輪用ホイール6についても同様な効果を得ることができる。
【0057】
(8)図3のように、第1の後輪用メインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)と、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C3)とは、後輪用ハブ31の外周部を介して連なっているので、第2の後輪用サブスポーク34−2を短く形成でき、ホイールの軽量化及び第1の後輪用メインスポーク33−1のさらなる変形抑制効果を期待できる。特に、図7のように、円筒状のハブ本体31aの外周に環状の突出部31bを形成することによりハブ31の剛性を向上させ、後輪用ハブ31の変形を防ぐことにより、第1の後輪用メインスポーク33−1から第2のサブスポーク34−2への荷重伝達効率が、さらに向上する。
【0058】
(9)図3のように、第1の後輪用メインスポーク33−1は湾曲状に形成されており、しかも、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部から第1の後輪用メインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部に亘る後輪用ハブ31の円弧形外周に滑らかに接続するように湾曲しているので、第1の後輪用メインスポーク33−1に伝わる荷重を、第2の後輪用サブスポーク34−2に分散し易くなり、第1の後輪用メインスポーク33−1の変形をさらに抑制することができる。
【0059】
(10)第1の後輪用メインスポーク33−1と第2の後輪用メインスポーク33−2とのホイール周方向間に、別の第3の後輪用メインスポーク33−3が配置されているので、たとえば第2の後輪用サブスポーク34−2と第2の後輪用メインスポーク33−1との連結部を、後輪用ハブ31からホイール径方向の外方に離すことができ、ホイール回転中心回りの後輪用ホイール7等の剛性を向上させることができる。特に、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C3)と、第3の後輪用メインスポーク33−3と後輪用ハブ31との連結部(C1)と、をホイール周方向に関して重複する領域に設定しているので、第2の後輪用サブスポーク34−2と後輪用ハブ31との連結部の剛性を高め、また、第3の後輪用メインスポーク33−3と後輪用ハブ31の連結部から第2の後輪用サブスポーク34−2が延びることで、第2の後輪用サブスポーク34−2の長さを短くできる。
【0060】
(11)第1の後輪用メインスポーク33−1と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)に対し、第2の後輪用メインスポーク33−2と後輪用ハブ31との連結部(中心点C1)は、ホイール周方向に90度以上離れているので、第1の後輪用メインスポーク33−1が受けた荷重を、後車軸15に対して反対側のハブ31部分に伝えることができ、第2の後輪用サブスポーク34−2へと分散させ易く、第1の後輪用メインスポーク33−1の変形をさらに抑制できる。
【0061】
(12)図2において、後輪用メインスポーク33は、ホイール径外方に進むにつれ、ホイール周方向寸法が細くなる先細状に形成されているので、ホイール回転中心回りの剛性を維持しつつ、ホイール6の軽量化並びに慣性モーメントの増加抑制を行うことができる。
【0062】
(13)図8のように、後輪用リム32の車軸方向幅の中央部には、ホイール径方向の内方に概ね断面矩形状に凹む凹み部32bが、後輪用リム32の全周に亘って形成されているので、後輪用リム32の重量を増やすことなく、後輪用リム32の剛性を向上させることができる。
【0063】
(14)図4及び図5のように、後輪用メインスポーク33を断面H形状又は断面コの字形状に形成しているので、重量を増やすことなく、後輪用メインスポーク33の面外剛性を向上させることができる。なお、前輪用メインスポーク133についても同様の構造を有しており、同様の効果を期待できる。
【0064】
(15)図6のように、後輪用サブスポーク34を断面H形状に形成しているので、重量を増やすことなく、後輪用サブスポーク34の面外剛性を向上させることができる。なお、前輪用サブスポーク134についても同様の構造を有しており、同様の効果を期待できる。
【0065】
(16)図2及び図10において、後輪用サブスポーク34及び前輪用サブスポーク134は、車軸方向に見て、直線状に形成されているので、後輪用ホイール16及び前輪用ホイール6の製造が容易である。
【0066】
(17)図2において、後輪用メインスポーク33ホイール径方向の外方端縁は、R面41を介して後輪用リム32の内周面に繋がっているので、後輪用メインスポーク33と後輪用リム32との連結部における応力集中を緩和し、後輪用ホイール16の強度を向上させることができる。なお、前輪用サブスポーク134についても同様の構造を有しており、同様の効果を期待できる。
【0067】
(18)図2のように、後輪用メインスポーク33が湾曲しているので、後輪用メインスポーク33が受ける曲げ荷重成分を減らして、後輪用メインスポーク33の長さ方向の圧縮又は引っ張り荷重成分を多くすることができる。好ましくは、後輪用メインスポーク33の後輪用リム32との連結部並びに後輪用メインスポーク33と後輪用ハブ31との連結部において、ホイール径方向に比べてホイール周方向に延びる寸法が大きくなるようにする。なお、前輪用メインスポーク133についても同様の構造を有しており、同様の効果を期待できる。
【0068】
(19)図1に示すような自動二輪車において、前輪ホイール6及び/又は後輪ホイール16を交換するだけで、レース等のおけるラップタイムを変化させることができる。
【0069】
[本発明の第2の実施の形態]
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図であり、後輪用ホイール16及び前輪用ホイール6は、いずれもサブスポークを有しない構造となっている。すなわち、前記第1の実施の形態のメインスポーク33,133に対応するスポーク(メインスポーク)33,133のみをそれぞれ有している。後輪用ホイール16の後輪用スポーク(メインスポーク)33は、ホイール径方向の外方に向かって、回転方向R1側に傾斜すると共に反回転方向R2側に膨らむように湾曲している。前輪用ホイール6の前輪用スポーク(メインスポーク)133は、ホイール径方向の外方に向かって、反回転方向R2側に傾斜すると共に回転方向R1側に膨らむように湾曲ししいる。
【0070】
[本発明の第3の実施の形態]
図13は、本発明の第3の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図であり、前輪用ホイール6は、後輪用ホイール16の各スポークと同様に傾斜した前輪用メインスポーク133及び前輪用サブスポーク134を備えている。その他の構成は前記第1の実施の形態と同じである。
【0071】
[後輪用ホイール16の変形例]
(1)図14は後輪用ホイール16の変形例の左側面図、図15は図14の後輪用ホイール16の正面図である。図14において、後輪用スポークは、前記図2と同様に、後輪用メインスポーク33とこれらにそれぞれ接続される後輪用サブスポーク34とから構成されているが、各後輪用メインスポーク33に対する各後輪用サブスポーク34の連結部(中心点C4)が、後輪用メインスポーク33のホイール径方向の外方端縁近傍に設定されている。その他の構造は図2の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。勿論、図14及び図15のホイール構造を前輪用ホイール6に適用することも可能である。
【0072】
[前輪用ホイール6の変形例]
(1)図16は前輪用ホイール6の変形例の左側面図、図17は図16の前輪用ホイール6の正面図であり、前輪用スポークは、7本の前輪用メインスポーク133とこれらにそれぞれ接続される7本の前輪用サブスポーク134とから構成されている。
【0073】
湾曲状に形成された各前輪用メインスポーク133の径方向内方端部は、ホイール回転方向R1側に二つ置いた前輪用メインスポーク133に連結された前輪用サブスポーク134に、前輪用ハブ131の外周端部を介して滑らかに接続し、路面から前記前輪用メインスポーク133の長手方向にかかる荷重が、2つ置いた前輪用サブスポーク134の長さ方向の荷重となるように構成されている。その他の構造は図10の構造と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。図16のように前輪用メインスポーク133を7本備えている場合は、前輪用メインスポーク133の傾斜角度θ1は、約45度が好ましい。なお、上記のような7本のスポーク構造を、後輪ホイール16に適用することも可能である
【0074】
(2)図18及び図19はそれぞれ前輪用ホイール6の変形例を示しており、前輪用スポークは、前記図10と同様に、5本の前輪用メインスポーク133とこれらにそれぞれ接続される5本の前輪用サブスポーク134とから構成されているが、各前輪用メインスポーク133は回転方向R1側に、前輪用サブスポーク134は反回転方向R2に傾斜し、かつ、直線状に形成されている。特に図19の構造は、各前輪用メインスポーク133のホイール径方向内方端部は、隣り合う前輪用メインスポーク133に連結された前輪用サブスポーク34に、略直線状に連結されている。
【0075】
(3)図20も前輪用ホイール6の変形例を示しており、前輪用スポークは、前記図10と同様に、5本の前輪用メインスポーク33とこれらにそれぞれ接続される5本の前輪用サブスポーク34とから構成されているが、各前輪用メインスポーク33は直線状に形成され、しかも、いずれの前輪用サブスポーク134も、前輪用メインスポーク133の長さ方向の内方延長線上には配置されていない。なお、図19及び図20の変形例において、メインスポークを湾曲状とすることにより、後輪用ホイールに適用することも可能である。
【0076】
[その他の実施の形態]
(1)前記各実施の形態及び変形例では、ホイールは、5本又は7本のメインスポークあるいは5本又は7本のサブスポークを備えているが、本発明はそのようなスポーク数に限定されることはない。たとえば、メインスポークとサブスポークとを3本ずつ、あるいは9本ずつ備える構造とすることもできる。なお、メインスポークの数を奇数本とするのが好ましく、奇数本とすることで、メインスポーク同士が、ホイール径方向に180度の位相差で配置されることを避けることができ、これにより、路面からメインスポークに伝達される荷重を、効率良く、ホイール全体に亘って分散させることができる。
【0077】
(2)エンジン(内燃機関)を搭載した車両のみならず、電動自動二輪車等の車両にも適用可能である。
【0078】
(3)自動二輪車以外の車両についても本発明のホイール構造を適用することは可能であり、好ましくは、鞍乗り型等の車両への適用が効果的である。
【0079】
(4)本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0080】
5 前車軸
6 前輪用ホイール
7 前輪タイヤ
15 後車軸
16 後輪用ホイール
17 後輪タイヤ
31 後輪用ハブ
32 後輪用リム
33 後輪用メインスポーク
34 後輪用サブスポーク
131 前輪用ハブ
132 前輪用リム
133 前輪用メインスポーク
134 前輪用サブスポーク
C1,C2,C3,C4 連結部の中心点
141,142,143 R面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源に連結される後輪用ホイールと、車両走行により従動する前輪用ホイールとを有する自動二輪車のホイール構造において、
前記後輪用ホイールは、後車軸に支持される後輪用ハブと、後輪用タイヤが装着される後輪用リムと、前記後輪用ハブと後輪用リムとを結合すると共に前記後輪用ハブからホイール径外方に向けて、回転方向に傾斜すると共に反回転方向に湾曲する後輪用スポークと、を一体に備えていることを特徴とする自動二輪車のホイール構造。
【請求項2】
請求項1記載の自動二輪車のホイール構造において、
前記前輪用ホイールは、前車軸に支持される前輪用ハブと、前輪用タイヤが装着される前輪用リムと、前記前輪用ハブと前記前輪用リムとを結合すると共に前記前輪用ハブからホイール径外方に向けて、反回転方向に傾斜すると共に回転方向に湾曲する前輪用スポークと、を一体に備えていることを特徴とする自動二輪車のホイール構造。
【請求項3】
請求項1記載の自動二輪車のホイール構造において、
前記前輪用ホイールは、前車軸に支持される前輪用ハブと、前輪用タイヤが装着される前輪用リムと、前記前輪用ハブと前輪用リムとを結合すると共に前記前輪用ハブからホイール径外方に向けて、回転方向に傾斜すると共に反回転方向に湾曲する前輪用スポークと、を一体に備えていることを特徴とする自動二輪車のホイール構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の自動二輪車のホイール構造において、
前記後輪用スポークは、
前記後輪用ハブから前記後輪用リムに至ると共にホイール径外方に向けて回転方向に傾斜し、反回転方向に湾曲する後輪用メインスポークと、
前記後輪用ハブから前記後輪用メインスポークに至ると共に、ホイール径方向の外方に向けて反回転方向に傾斜する後輪用サブスポークと、
から構成されている、自動二輪車のホイール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−67268(P2013−67268A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207380(P2011−207380)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)