自動二輪車
【課題】車体のサイズを大きくすることなく、かつ、アクセス困難な場所にGPSユニットを搭載することを課題とする
【解決手段】盗難防止ユニット160は、座席シート120の下方で、平面視でサイドフレーム140の間に配置される。盗難防止ユニット160は、側面視でサイドフレーム140と重なる位置に、側面視より平面視の面積が大きくなるように配置される。座席シート120は、車体フレームが備えるシート取付部141に対して座席シート120を固定する固定部材121を備える。盗難防止ユニット160は、車両の前後方向に関して、シート取付部141の位置と座席シート160の後端位置との中間位置よりも前方に配置される。
【解決手段】盗難防止ユニット160は、座席シート120の下方で、平面視でサイドフレーム140の間に配置される。盗難防止ユニット160は、側面視でサイドフレーム140と重なる位置に、側面視より平面視の面積が大きくなるように配置される。座席シート120は、車体フレームが備えるシート取付部141に対して座席シート120を固定する固定部材121を備える。盗難防止ユニット160は、車両の前後方向に関して、シート取付部141の位置と座席シート160の後端位置との中間位置よりも前方に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System)装置を搭載した自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS装置を内蔵した盗難防止ユニットを搭載した自動二輪車がある。盗難防止ユニットは、GPS信号を受信することで、盗難防止ユニットが搭載された自動二輪車の現在位置を特定することができる。
【0003】
下記特許文献1に開示された自動二輪車は、GPS装置を内蔵した盗難防止ユニットを搭載している。特許文献1の自動二輪車においては、シートの下部に配置されている収納ボックスの底部や側部に盗難防止ユニットが収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−362448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
盗難防止ユニットは、車両が盗難された場合に盗難防止ユニットが容易に取り外されることを防ぐために、アクセスが困難な場所に配置されることが望まれている。特許文献1の自動二輪車においては、シート下部に配置され、施錠可能なシートにより開閉される収納ボックスの底部や側部に盗難防止ユニットを配置している。盗難防止ユニットへのアクセスが困難となるように考慮されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の自動二輪車のように、シートの下方に盗難防止ユニットを配置した場合、金属製の車体フレームにより、GPS信号の受信感度が低下する恐れがある。GPS信号の受信感度の低下を防ぐために、車体フレームと同じ高さか、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載することが望ましい。
【0007】
シートの下方、かつ、車体フレームと同じ高さか、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載する場合、盗難防止ユニットを配置するためにシートの高さが高くなってしまう恐れがある。
【0008】
本発明は、盗難防止ユニットを搭載した自動二輪車であって、GPS信号の受信感度の低下を抑制しながら、車体を大きくさせることなく、盗難防止ユニットをアクセス困難な位置に搭載することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記の課題を解決するため、本実施の形態に係る自動二輪車は、車両の前後方向に延びる左右一対のサイドフレームを有する車体フレームと、前記車体フレームの上方に配置されるシートと、GPS信号を受信するためのアンテナが内蔵されており、前記シートの下方で、平面視で前記サイドフレームの間、かつ、側面視で前記サイドフレームと重なる位置または前記サイドフレームより上方の位置に、側面視より平面視の面積が大きくなるように配置されたユニットとを備える。前記シートは、前記車体フレームが備えるシート取付部に対して前記シートを固定する固定部を含む。前記ユニットは、車両の前後方向に関して、前記シート取付部の位置と前記シートの後端位置との中間位置よりも前方に配置される。あるいは、前記ユニットは、車両の前後方向に関して、前記シート取付部の位置と前記シートの前端位置との中間位置よりも後方に配置される。
【0010】
以上により、盗難防止ユニットを搭載した自動二輪車であって、GPS信号の受信感度の低下を抑制しながら、車体を大きくさせることなく、盗難防止ユニットをアクセス困難な位置に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】盗難防止システムのシステム構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る自動二輪車の全体平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の平面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の正面断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の背面断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る自動二輪車の全体平面図である。
【図11】第2の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームの平面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームの側面図である。
【図13】第2の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの側面図である。
【図14】第2の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの底面図である。
【図15】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の平面図である。
【図16】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の平面図である。
【図17】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
【図18】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面断面図である。
【図19】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の正面断面図である。
【図20】第3の実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
【図21】第3の実施の形態に係る自動二輪車の全体平面図である。
【図22】第3の実施の形態に係る自動二輪車の後部の平面図である。
【図23】第3の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
【図24】第3の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの斜視図である。
【図25】第3の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの底面斜視図である。
【図26】第3の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
【図27】第4の実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
【図28】第4の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームと盗難防止装置とを示す斜視図である。
【図29】第4の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの平面図である。
【図30】第4の実施の形態に係る自動二輪車の座席シート下部の構造を示す平面図である。
【図31】第4の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームの中央部の側面図である。
【図32】図28の矢視D部分の拡大図である。
【図33】第4の実施の形態に係る自動二輪車のメインシートの取り付け構造を示す図である。
【図34】第4の実施の形態に係る自動二輪車のメインシートの取り付け構造を示す図である。
【図35】第4の実施の形態に係る自動二輪車のメインシートの取り付け構造を示す図である。
【図36】第4の実施の形態に係る自動二輪車のメインシートの取り付け構造を示す図である。
【図37】第4の実施の形態に係る自動二輪車の盗難防止装置の取り付け位置を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願出願人は、自動二輪車において、アクセス困難な盗難防止ユニットの搭載場所を様々な観点から検討した。
【0013】
座席シートは、車体フレームに開閉可能に固定される。座席シートの下方のスペースは、アクセスすることが困難である。本願出願人は、盗難防止ユニットの搭載場所として、座席シートの下方のスペースを有効利用することを検討した。しかし、座席シートは、車体フレームの上方に配置されている。盗難防止ユニットの上方に金属製の車体フレームが存在する場合、GPS信号の受信感度が低下することが判明した。本願出願人は、GPS信号の受信感度の低下を防ぐために、座席シートの下方のスペースのうち、車体フレームと同じ高さ、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載することを検討した。
【0014】
座席シートの下方のスペースのうち、車体フレームと同じ高さ、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載する場合、座席シートとの干渉が問題となる。座席シートの一部は、車体フレームに設けられたシート取付部に取り付けられる。ライダーが乗車した状態では、ライダーの重さによって、座席シートが下方に撓んでいる。座席シートの下方のスペースのうち、車体フレームと同じ高さ、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載する場合、盗難防止ユニットと座席シートの底部との距離を確保する必要がある。距離を大きく確保すれば、車両が大型化するという問題がある。本願出願人は、座席シートの撓み方に着目した。座席シートは、シート取付部から離れるにつれて座席シートの撓みが大きくなる。言い換えると、シー取付部に近い位置では、座席シートの撓みが小さくGPSユニットと座席シートの底部との距離を小さくできることを思いついた。
【0015】
以上により、自動二輪車において、GPS信号の受信感度の低下を抑制しながら、車両を大型化することなく、盗難防止ユニットをアクセス困難な場所に搭載する構造を見出した。以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
<盗難防止システムの全体構成>
図1は、本実施の形態に係る盗難防止システムを示す全体図である。盗難防止システムは、自動二輪車500に搭載された盗難防止ユニット560、GPS(Global Positioning System)衛星501、および管理センター502などを備えて構成される。
【0017】
盗難防止システムの仕組みについて説明する。自動二輪車500が備える盗難防止ユニット560は、GPS受信機能を備えており、GPS衛星501から送信された信号を受信し、盗難防止ユニット560の現在位置を計測可能である。盗難防止ユニット560は自動二輪車500に搭載されているため、自動二輪車500の現在位置を計測可能である。本発明の「ユニット」は、本実施の形態の盗難防止ユニット560に該当する。
【0018】
盗難防止ユニット560は無線通信機能を備えており、自動二輪車500の現在の位置情報を無線通信を利用して管理センター502に送信可能である。本実施の形態においては、無線通信としてGSM(Global System for Mobile Communication)を利用している。
【0019】
自動二輪車500が盗難されたとき、自動二輪車500のライダーは、直ちに管理センター502に電話等で通報を行う。管理センター502では、自動二輪車500に搭載された盗難防止ユニット560から送信される位置情報を取得し、盗難車両を発見する。
【0020】
盗難防止ユニット560は、ホーンを鳴動させるためのホーン制御回路504とランプを点灯させるためのランプ制御回路505に接続されている。
【0021】
管理センター502においては、自動二輪車500が盗難された情報を取得すると、必要に応じて盗難防止ユニット560に対して警報指示を送信する。盗難防止ユニット560は、警報指示に応じて、ホーン制御回路504を制御し、ホーンを鳴動させることができる。あるいは、盗難防止ユニット560は、警報指示に応じて、ランプ制御回路505を制御し、ランプを点滅させることができる。
【0022】
以上説明した盗難防止システムの構成は、この後に説明する第1〜第4の実施の形態に共通である。上述した自動二輪車500は、この後に説明する第1〜第4の実施の形態においては、それぞれ自動二輪車100、200、300および400に置き換えられる。上述した盗難防止ユニット560は、この後に説明する第1〜第4の実施の形態においては、それぞれ盗難防止ユニット160、260、360および460に置き換えられる。
【0023】
以下説明する第1〜第4の実施の形態において、前後方向あるいは左右方向と方向を示した場合には、特に断りのない限り、車両の進行方向に対する前後方向あるいは左右方向を意味するものとする。つまり、座席シートに座ったライダーから見た前方向を自動二輪車の前方向、座席シートに座ったライダーから見た左右方向を自動二輪車の左右方向として説明する。
【0024】
{第1の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ、第1の実施の形態に係る自動二輪車100の構成について説明する。
【0025】
<自動二輪車の構成>
図2は、第1の実施の形態に係る自動二輪車100の側面全体図である。自動二輪車100は車両の中央部に、クレードル型のメインフレーム102を備える。メインフレーム102には、エンジン170が搭載されている。メインフレーム102は、側面視でエンジン170の上方、下方、前方および後方を囲んでいる。
【0026】
メインフレーム102の前部にはヘッドパイプ101が配置されている。ヘッドパイプ101には、ステアリングシャフトが回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル103が取り付けられている。ステアリングシャフトの左右には、フロントフォーク104が配置されている。フロントフォーク104はステアリングシャフトとともに左右方向に回転する。フロントフォーク104の下端には、前輪105が回転可能に取り付けられている。
【0027】
メインフレーム102の上方には、燃料タンク115が配置されている。燃料タンク115の後部には座席シート120が配置されている。座席シート120の下部にはリヤカバー130が配置されている。リヤカバー130は、後輪114の上方に位置している。
【0028】
メインフレーム102の上部付近には左右一対のサイドフレーム140が取り付けられている。サイドフレーム140は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。サイドフレーム140は、座席シート120の後端付近まで延びている。サイドフレーム140により、座席シート120およびリヤカバー130などが支持される構造となっている。
【0029】
メインフレーム102には、サイドフレーム140の取り付け位置よりも下方位置に左右一対の支持フレーム150が取り付けられている。支持フレーム150は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。支持フレーム150の後端は、サイドフレーム140に接続され、サイドフレーム140を支持している。
【0030】
メインフレーム102とサイドフレーム140と支持フレーム150とは、いずれも金属製のフレームである。メインフレーム102、サイドフレーム140、支持フレーム150および後述する連結フレーム141により、自動二輪車100の車体フレーム118を構成している。
【0031】
メインフレーム102の後部には、上下方向に回転可能にリヤアーム112が取り付けられている。リヤアーム112の後端には後輪114が回転可能に取り付けられている。リヤアーム112と車体フレーム118とは、リアサスペンション113で接続されている。リヤアーム112は、エンジン170のクランクケース106の後部付近において、車体フレーム118に設けられた軸を支点にして回転自在に取り付けられる。リヤアーム112は、エンジン170のクランクケース106の後部の出力軸を支点にして回転自在に取り付けられてもよい。
【0032】
エンジン170は、クランクケース106と、クランクケース106の上方に位置するシリンダ107とを有する。シリンダ107の後部には、吸気通路110が接続される。吸気通路110は、シリンダ107の後部から後方に延びる。吸気通路110の後部にはエアクリーナ111が接続される。シリンダ107の前部には、排気通路108が接続される。排気通路108は、シリンダ107の前部から下方に延び、車体の底部を通って後方に延びる。排気通路108の後端には、マフラー109が接続される。
【0033】
図3は、自動二輪車100の平面図である。図3に示すように、車体の中央付近から後方にかけて座席シート120が配置され、座席シート120の後部で下方にリヤカバー130が配置されている。リヤカバー130は、後輪114の上方に位置し、座席シート120の下方のスペースを覆うように配置されている。後で詳しく説明するが、座席シート120の下部に本実施の形態に係る盗難防止ユニット160が配置される。
【0034】
再び図2を参照する。燃料タンク115の左右には、左右一対のフロントカバー116が取り付けられている。フロントカバー116は、燃料タンク115の下部より下方まで延びている。座席シート120の左右には、左右一対のサイドカバー117が取り付けられている。サイドカバー117は、座席シート120の下部に配置されている。さらに、座席シート120の左右で、サイドカバー117の後部には、リヤカバー130が配置されている。
【0035】
図4は、自動二輪車100の後部の平面図である。図4では、座席シート120の外形線だけを描き、座席シート120の下部の構造が見えるようになっている。座席シート120の下部には、盗難防止ユニット160が配置されている。盗難防止ユニット160は、左右のサイドフレーム140の間に配置されている。盗難防止ユニット160は、直方体形状をしており、その周囲が保護カバー161で覆われている。盗難防止ユニット160の左側部からは、コネクタ162を介してケーブル163が延びている。ケーブル163には、電力線や信号線が収容されている。
【0036】
盗難防止ユニット160の後部には、工具ケース180が収納されている。工具ケース180は、筒状のケースであり、車両の左右方向に沿うように収納可能となっている。
【0037】
盗難防止ユニット160の前部には、連結フレーム141が配置されている。連結フレーム141は、左右のサイドフレーム140を連結するフレームである。連結フレーム141の略中央位置には、シート取付孔142が設けられている。本実施の形態のシート取付孔142は、本発明の「シート取付部」に対応している。シート取付孔142には、図8に示す座席シート120の下部に設けられた固定部材121が挿入される。本実施の形態の固定部材121は、本発明の「固定部」に対応している。
【0038】
図4に示す符号L11は、「シート取付部」であるシート取付孔142から盗難防止ユニット160までの車両前後方向の距離である。符号L12は、座席シート120の後端から盗難防止ユニット160までの車両前後方向の距離である。盗難防止ユニット160の位置は、盗難防止ユニット160の前後方向で略中央位置を基準としている。
【0039】
本実施の形態の形態においては、距離L12よりも距離L11の方が短くなっている。つまり、盗難防止ユニット160は、車両の前後方向に関して、シート取付孔142の位置と座席シート120の後端位置との中間位置よりも前方に配置されている。これにより、ライダーが乗車し、座席シート120が撓んだ場合であっても、盗難防止ユニット160の上部の座席シート120の撓みが小さい。これにより、盗難防止ユニット160を、座席シート120の下部から近い位置に配置することができる。盗難防止ユニット160と座席シート120の底部との間の空間が狭いので、盗難防止ユニット160にアクセスすることを困難にすることができる。
【0040】
図5は、自動二輪車100の後部の側面図である。図5では、座席シート120とリヤカバー130の外形のみを示し、座席シート120下部の構造が見えるようになっている。
【0041】
盗難防止ユニット160は、略直方体形状の装置である。盗難防止ユニット160は、側面視の面積よりも平面視の面積が大きくなるように配置されている。言い換えると、盗難防止ユニット160は、上下方向に薄くなるように配置されている。さらに言い換えると、盗難防止ユニット160は、左右方向、前後方向の大きさに対して上下方向の大きさが小さくなるように配置されている。盗難防止ユニット160を配置した場合にも、車両の上下方向の高さを大きくすることはない。
【0042】
盗難防止ユニット160は、その上面あるいは底面が、略水平となるように配置されている。これにより、座席シート120とリヤカバー130で形成された上下方向が狭い領域に盗難防止ユニット160を配置する構成でありながら、車両の高さが高くなることはない。
【0043】
盗難防止ユニット160は、側面視で、サイドフレーム140と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット160を左右の側部からアクセスすることを困難にすることができる。また、盗難防止ユニット160を左右側部から保護する役割も有する。盗難防止ユニット160が金属製のフレームより下方に配置されると、GPS信号の受信感度が低下するという問題が生じる。盗難防止ユニット160を、サイドフレーム140の側方に配置することで、GPS信号の受信感度が低下することを抑制できる。盗難防止ユニット160は、後方かつ上方に延びるサイドフレーム140の後部と側面視で重なる位置に配置されている。言い換えると、盗難防止ユニット160は、後方かつ上方に延びるサイドフレーム140の上部と側面視で重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット160よりも上方に位置するサイドフレーム140の部分が少なく、GPS信号の受信感度が低下することを抑制できる。
【0044】
図6は、盗難防止ユニット160の取り付け構造を示す側面断面図である。リヤカバー130には、上方に向けて延びる前後2つの固定プレート131が設けられている。保護カバー161を固定プレート131に固定することにより、盗難防止ユニット160が固定される構造となっている。
【0045】
後輪114との干渉を防ぐため、座席シート120とリヤカバー130とは上下方向で近い位置に配置される。盗難防止ユニット160は、座席シート120に近い位置に配置されている。盗難防止ユニット160が座席シート120に近づけば、座席シート120が撓んだ場合に、座席シート120と干渉する可能性がある。上述したように、距離L12より距離L11の方が短くなるように盗難防止ユニット160が配置されている。盗難防止ユニット160が、座席シート120の後端よりも、シート取付孔142の配置側に近い場所に配置される。座席シート120が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット160と座席シート120とが干渉することはない。
【0046】
さらには、盗難防止ユニット160の配置位置は、車両の左右方向に関してシート取付孔142と重なっている。シート取付孔142と盗難防止ユニット160とが車両の左右方向に関して近い位置に配置されるので、座席シート120が車体フレームに取付られた状態で座席シート120を持ち上げ、盗難防止ユニット160へアクセスすることが困難である。盗難防止ユニット160へのアクセスがより困難となっている。
【0047】
また、盗難防止ユニット160が、シート取付孔142に近い場所に配置されているので、座席シート120の撓みが小さい位置に盗難防止ユニットを配置することができる。座席シート120の下部の空間が狭くても盗難防止ユニット160を配置することが可能である。さらに、座席シート120が車体フレームに取付られた状態で座席シート120を持ち上げ、盗難防止ユニット160へアクセスすることが困難である。盗難防止ユニット160へアクセスすることを困難にすることができる。
【0048】
図7は、盗難防止ユニット160の取り付け構造を示す正面断面図である。図7は、図6の矢視A1−A1断面図である。盗難防止ユニット160が左右のサイドフレーム140で挟まれる位置に配置されていることが分かる。サイドフレーム140と合わせて、リヤカバー130の左右の側壁によっても、盗難防止ユニット160へのアクセスを困難にすることができる。図7からわかるように、リヤアーム112とともに上下に移動する後輪114の移動範囲を大きく確保しながら、座席シート120の高さが高くなることを抑制するために、リヤカバー130の底面は車両左右方向側方よりも車両中央が高い形状になっている。盗難防止ユニット160は、正面断面図で、リヤカバー130の底面の上端よりも上方に位置している。そのため、盗難防止ユニット160は、座席シート120に近い位置に配置されている。
【0049】
図8は、盗難防止ユニット160の取り付け構造を示す背面断面図である。図8は、図6の矢視A2−A2断面図である。連結フレーム141のシート取付孔142に、座席シート120の固定部材121が挿入されている。連結フレーム141の下部には、ロック部材147が配置されている。ロック部材147は、シート取付孔142から挿入された固定部材121を固定することが可能である。ロック部材147には、ワイヤー146が接続されている。ワイヤー146は、図5に示すように、キーボックス145に接続されている。車両のメインキーをキーボックス145に挿入してメインキーを回転する操作を行うことにより、ロック部材147が動作し、固定部材121を固定する。これにより、座席シート120がロックされる。
【0050】
再び、図4を参照する。サイドフレーム140の後端には、支持プレート143が取り付けられている。支持プレート143には、座席シート120の下部に設けられた被支持部122(図5参照)が接触する。支持プレート143において、座席シート120および座席シート120に座っているライダーの荷重を受ける構造となっている。
【0051】
「シート取付部」としての役割を有するシート取付孔142は、盗難防止ユニット160よりも前方に位置している。座席シート120の被支持部122が盗難防止ユニット160よりも後方に位置している。このように、盗難防止ユニット160の前後にシート取付部と被支持部とが位置することで、座席シート120が撓んだ場合であっても、座席シート120と盗難防止ユニット160とが干渉することはない。
【0052】
左右の支持プレート143に対向する位置に、左右の被支持部122が配置されている。つまり、盗難防止ユニット160の左右両側に、被支持部122が設けられている。座席シート120が撓んだ場合にも、座席シート120と盗難防止ユニット160とが干渉することを防止できる。被支持部122は、車両の前後方向に関して、盗難防止ユニット160と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット160と被支持部122の前後方向の位置が近いため、座席シート120が荷重を受けた場合にも、座席シート120と盗難防止ユニット160とが干渉することを防止できる。
【0053】
図8に示すように、連結フレーム141も座席シート120の荷重を受ける支持プレートとしての役割を有する。図に示すように、座席シート120の下部には、被支持部123が設けられている。被支持部123が連結フレーム141の上面に接触することで、荷重を受ける構造となっている。
【0054】
{第2の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ、第2の実施の形態に係る自動二輪車200の構成について説明する。
【0055】
<自動二輪車の構成>
図9は、第2の実施の形態に係る自動二輪車200の側面全体図である。自動二輪車200は車両の中央部に、クレードル型のメインフレーム202を備える。メインフレーム202には、エンジン270が搭載されている。メインフレーム202は、側面視でエンジン270の上方、下方、前方および後方を囲んでいる。
【0056】
メインフレーム202の前部にはヘッドパイプ201が配置されている。ヘッドパイプ201には、ステアリングシャフトが回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル203が取り付けられている。ステアリングシャフトの左右には、フロントフォーク204が配置されている。フロントフォーク204はステアリングシャフトとともに左右方向に回転する。フロントフォーク204の下端には、前輪205が回転可能に取り付けられている。
【0057】
メインフレーム202の上方には、燃料タンク215が配置されている。燃料タンク215の後部には座席シート220が配置されている。座席シート220の後部にはリヤカバー230が配置されている。リヤカバー230は、後輪214の上方に位置している。リヤカバー230は、シートの下方まで延びている。
【0058】
メインフレーム202の上部付近には左右一対のサイドフレーム240が取り付けられている。サイドフレーム240は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。サイドフレーム240は、座席シート220の後端より後方まで延びている。サイドフレーム240により、座席シート220およびリヤカバー230が支持される構造となっている。
【0059】
メインフレーム202には、サイドフレーム240の取り付け位置よりも下方位置に左右一対の支持フレーム250が取り付けられている。支持フレーム250は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。支持フレーム250の後端は、サイドフレーム240に接続され、サイドフレーム240を支持している。
【0060】
メインフレーム202とサイドフレーム240と支持フレーム250とは、いずれも金属製のフレームである。メインフレーム202、サイドフレーム240、支持フレーム250および後述する連結フレーム241により、自動二輪車200の車体フレーム218を構成している。
【0061】
メインフレーム202の後部には、上下方向に回転可能にリヤアーム212が取り付けられている。リヤアーム212の後端には後輪214が回転可能に取り付けられている。リヤアーム212と車体フレーム218とは、リアサスペンション213で接続されている。リヤアーム212は、エンジン270のクランクケース206の後部付近において、車体フレーム218に設けられた軸を支点にして回転自在に取り付けられる。リヤアーム212は、エンジン270のクランクケース206の後部の出力軸を支点にして回転自在に取り付けられてもよい。
【0062】
エンジン270は、クランクケース206と、クランクケース206の上方に位置するシリンダ207とを有する。シリンダ207の後部には、吸気通路210が接続される。吸気通路210は、シリンダ207の後部から後方に延びる。吸気通路210の後部にはエアクリーナ211が接続される。シリンダ207の前部には、排気通路208が接続される。排気通路208は、シリンダ207の前部から前方に延び、シリンダ207の側方を通って後方に延びる。排気通路208の後端には、マフラー209が接続される。
【0063】
図10は、自動二輪車200の平面図である。図10に示すように、車体の中央付近から後方にかけて座席シート220が配置され、座席シート220の後部で下方にリヤカバー230が配置されている。リヤカバー230は、後輪214を上方から覆うように配置されている。後で詳しく説明するが、リヤカバー230の上部に本実施の形態に係る盗難防止ユニット260が配置される。
【0064】
再び図9を参照する。燃料タンク215の左右には、左右一対のフロントカバー216が取り付けられている。フロントカバー216は、燃料タンク215の下部より下方まで延びている。座席シート220の左右には、左右一対のサイドカバー217が取り付けられている。サイドカバー217は、座席シート220の下部に配置されている。
【0065】
図11は、車体フレーム218の平面図である。図12は、車体フレーム218の側面図である。図11に示すように、サイドフレーム240の後部には、左右のサイドフレーム240を連結する連結フレーム241が設けられている。連結フレーム241には、座席シート220を取り付けるためのシート取付孔2411が設けられている。本実施の形態のシート取付孔2411は、本発明の「シート取付部」に対応している。
【0066】
サイドフレーム240の後端には、左右のサイドフレーム240を連結する2つの連結フレーム242および243が設けられている。図12に示すように、連結フレーム243は、サイドフレーム240と連結フレーム242に上下から挟まれている。
【0067】
図13は、座席シート220の側面図である。図14は、座席シート220の底面図である。座席シート220の下部には、連結フレーム241に対して座席シート220を取り付けるための左右一対の取付部221が設けられている。取付部221は、座席シート220の中央よりやや後部側に設けられている。座席シート220の下部には、取付部221より後方に座席シート220の荷重を受けるための左右一対の被支持部222が設けられている。座席シート220の下部には、取付部221より前方に座席シート220の荷重を受けるための左右一対の被支持部223および被支持部224が設けられている。本実施の形態の取付部221は、本発明の「固定部」に対応している。
【0068】
図15は、自動二輪車200の後部の平面図である。図15では、座席シート220の一部が破断しており、座席シート220下部の構造が見られるようになっている。座席シート220の下部には、盗難防止ユニット260が設置されている。
【0069】
盗難防止ユニット260は、略直方体形状の装置である。盗難防止ユニット260は、側面視よりも平面視の面積が大きくなるように配置されている。つまり、盗難防止ユニット260は、上下方向に薄い形状をしている。これにより、座席シート220とリヤカバー230に挟まれた狭いスペースに盗難防止ユニット260を収納することが可能となっている。
【0070】
盗難防止ユニット260は、周囲を保護カバー261で覆われた状態でリヤカバー230の底面に取り付けられている。盗難防止ユニット260の前部には、コネクタ262を介してケーブル263が接続されている。ケーブル263には、電力線や信号線が収容されている。
【0071】
図16は、自動二輪車200の後部の平面図である。図16では、座席シート220の一部が破断しており、座席シート220下部の構造が見られるようになっている。図15とは異なり、盗難防止ユニット260の上部には、保護ケース265が装着されている。図15では盗難防止ユニット260の形状を説明するために、便宜的に保護ケース265を取り外した状態を示したが、実際には、盗難防止ユニット260は、保護ケース265で覆われて使用される。盗難防止ユニット260は、保護ケース265により上面および側面を覆われている。たとえ座席シート220を取り外したとしても、さらに盗難防止ユニット260が保護ケース265で覆われており、盗難防止ユニット260へのアクセスを困難にすることができる。
【0072】
保護ケース265には、下部に左右方向に延びる固定プレート266が設けられている。固定プレート266は、ボルト267によって、リヤカバー230の底部に固定されている。
【0073】
左右の固定プレート266の位置より前方部分には、リヤカバー230の底部に開口が形成され、開口部から連結フレーム241に設けられたシート取付孔2411が露出している。座席シート220の下部に設けられた取付部221(図14)とシート取付孔2411との位置を合わせた上でボルトを止めることにより、座席シート220が連結フレーム241に固定される。
【0074】
図16において符号L21は、座席シート220のシート取付孔2411から盗難防止ユニット260までの距離を示し、符号L22は、盗難防止ユニット260から座席シート220の後端までの距離を示す。本実施の形態において距離L21は、距離L22より短くなっている。言い換えると、本発明の「シート取付部」であるシート取付孔2411と座席シート220の後端との中間位置より前方に盗難防止ユニット260が配置されている。盗難防止ユニット260の位置は、ここでは、図15に示すように、盗難防止ユニット260の前後方向の略中央位置を基準としている。
【0075】
盗難防止ユニット260をこのような配置とすることで、座席シート220が撓んだ場合であっても、座席シート220と盗難防止ユニット260とが干渉することはない。また、座席シート220と盗難防止ユニット260との間のスペースが狭いため、外部から盗難防止ユニット260にアクセスすることを困難にすることができる。
【0076】
盗難防止ユニット260は、車両の左右方向に関して左右のシート取付孔2411と重なる位置に配置されている。また、盗難防止ユニット260は、車両の上下方向に関して左右のシート取付部2411と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット260と座席シート220との取付位置が車両の左右方向および上下方向に関して近い位置であるので、盗難防止ユニット260へのアクセスを困難にすることができる。
【0077】
盗難防止ユニット260はシート取付孔2411の後方に位置し、盗難防止ユニットに接続するコネクタ262は、平面視でシート取付孔2411の間に位置している。盗難防止ユニット260と座席シート220との取付位置が車両の前後方向で近い位置であるので、盗難防止ユニット260へのアクセスを困難にすることができる。
【0078】
図17は、自動二輪車200の後部の側面図である。図17では、リヤカバー230が取り外され、内部の構造が見えるようになっている。また、保護カバー265の一部を破断し、内部が見えるようになっている。図に示すように、盗難防止ユニット260は、側面視において、サイドフレーム240と重なる位置に配置されている。これにより、盗難防止ユニット260に左右方向からアクセスすることを困難とすることができる。盗難防止ユニット260が金属フレームより下方に位置するとGPS信号の受信感度が低下するという問題があるが、本実施の形態においては、盗難防止ユニット260はサイドフレーム240の側部に位置するので、GPS信号の受信感度が低下することはない。
【0079】
図18は、自動二輪車200の後部の側面断面図である。図19は、自動二輪車200の後部の正面断面図である。図18に示すように、盗難防止ユニット260は、前方にやや傾斜した状態で配置されている。盗難防止ユニット260は、上部が座席シート220および保護ケース265で覆われており、下部はリヤカバー230で覆われている。上述したように、座席シート220および保護ケース265は、ボルトで固定されている。盗難防止ユニット260にアクセスするためには、ボルトを外す操作が2回必要であり、容易にアクセスができないようになっている。
【0080】
図14および図16で示したように、座席シート220の取付部221は、盗難防止ユニット260の前部に配置され、座席シート220の被支持部222は、盗難防止ユニット260の後部に配置される。座席シート220がライダーの重みなどで撓んだ場合にも、座席シート220の底部と盗難防止ユニット260が干渉することを防止できる。
【0081】
また、左右の被支持部222は、盗難防止ユニット260の左右両側に位置している。具体的には、被支持部222は、車両の前後方向に関して盗難防止ユニット260と重なる位置に配置される。また、被支持部222は、車両の上下方向に関して盗難防止ユニット260と重なる位置に配置される。座席シート220がライダーの重みなどで撓んだ場合にも、盗難防止ユニット260の上方の座席シート220の底部の撓みが小さいため、車両を大型化することなく、盗難防止ユニット260が干渉することを防止できる。
【0082】
{第3の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ、第3の実施の形態に係る自動二輪車300の構成について説明する。
【0083】
<自動二輪車の構成>
図20は、第3の実施の形態に係る自動二輪車300の側面全体図である。自動二輪車300は車両の中央部に、メインフレーム302を備える。メインフレーム302には、エンジン370が搭載されている。メインフレーム302は、側面視でエンジン370の上方、前方および後方を囲んでいる。
【0084】
メインフレーム302の前部にはヘッドパイプ301が配置されている。ヘッドパイプ301には、ステアリングシャフトが回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル303が取り付けられている。ステアリングシャフトの左右には、フロントフォーク304が配置されている。フロントフォーク304はステアリングシャフトとともに左右方向に回転する。フロントフォーク304の下端には、前輪305が回転可能に取り付けられている。
【0085】
メインフレーム302の上方には、燃料タンク315が配置されている。燃料タンク315の後部には座席シート320が配置されている。座席シート320の下部にはリヤカバー330が配置されている。リヤカバー330は、後輪314の上方に位置している。
【0086】
メインフレーム302の上部付近には左右一対のサイドフレーム340が取り付けられている。サイドフレーム340は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。サイドフレーム340は、座席シート320の後端付近まで延びている。サイドフレーム340により、座席シート320およびリヤカバー330が支持される構造となっている。
【0087】
メインフレーム302には、サイドフレーム340の取り付け位置よりも下方位置に左右一対の支持フレーム350が取り付けられている。支持フレーム350は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。支持フレーム350の後端は、サイドフレーム340に接続され、サイドフレーム340を支持している。
【0088】
メインフレーム302とサイドフレーム340と支持フレーム350とは、いずれも金属製のフレームである。メインフレーム302、サイドフレーム340、支持フレーム350および後述する連結フレーム341により、自動二輪車300の車体フレーム318を構成している。
【0089】
メインフレーム302の後部には、上下方向に回転可能にリヤアーム312が取り付けられている。リヤアーム312の後端には後輪314が回転可能に取り付けられている。リヤアーム312と車体フレーム318は、リアサスペンション313で接続されている。リヤアーム312は、エンジン370のクランクケース306の後部付近において、メインフレーム302に設けられた軸を支点にして回転自在に取り付けられる。ただし、リヤアーム312は、エンジン370のクランクケース306の後部の出力軸を支点にして回転自在に取り付けられていてもよい。
【0090】
エンジン370は、クランクケース306と、クランクケース306の上方に位置するシリンダ307とを有する。シリンダ307の後部には、吸気通路310が接続される。吸気通路310は、シリンダ307の後部から後方に延びる。吸気通路310の後部にはエアクリーナ311が接続される。シリンダ307の前部には、排気通路308が接続される。排気通路308は、シリンダ307の前部から下方に向かって延びている。排気通路308は、さらに、エンジン370の下方を通って後方に延びる。排気通路308の後端には、マフラー309が接続される。
【0091】
図21は、自動二輪車300の平面図である。図21に示すように、車体の中央付近から後方にかけて座席シート320が配置され、座席シート320の後部の下方にリヤカバー330が配置されている。リヤカバー330は、後輪314の上方に位置し、座席シート320の下方のスペースを覆うように配置されている。後で詳しく説明するが、座席シート320の下部に本実施の形態に係る盗難防止ユニット360が配置される。
【0092】
再び図20を参照する。燃料タンク315の左右には、左右一対のフロントカバー316が取り付けられている。フロントカバー316は、燃料タンク315の下部より下方まで延びている。座席シート320の左右には、左右一対のサイドカバー317が取り付けられている。サイドカバー317は、座席シート320の下部に配置されている。
【0093】
図22は、自動二輪車300の後部の平面図である。図22においては、座席シート320の外形のみが描かれ、座席シート320の下部の構造が見えるようになっている。座席シート320の下部には、盗難防止ユニット360が配置されている。盗難防止ユニット360は、保護カバー361に周囲を包まれた状態でリヤカバー330の底面に取り付けられている。
【0094】
盗難防止ユニット360は、左右のサイドフレーム340の間に配置されている。盗難防止ユニット360は、略直方体形状の装置である。盗難防止ユニット360は、側面視の面積より、平面視の面積が大きくなるように配置されている。つまり、盗難防止ユニット360は、上下方向に薄い形状をしている。これにより、座席シート320とリヤカバー330とで囲まれた狭い空間に盗難防止ユニット360を配置しても、車体の高さが高くなることはない。
【0095】
図23は、自動二輪車300の後部の側面図である。図に示すように、盗難防止ユニット360は、側面視でサイドフレーム340と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット360に左右方向からアクセスすることを困難にすることができる。金属フレームが盗難防止ユニット360より上部に位置するとGPS信号の受信感度が低下するという問題があるが、盗難防止ユニット360は、サイドフレーム340の側部に配置されているので、GPS受信感度が低下することを抑制できる。
【0096】
図24は、座席シート320の斜視図である。図25は、座席シート320の底面図である。座席シート320の底面には、後端に近い位置に、左右一対の取付孔321が設けられている。本実施の形態の取付孔321は、本発明の「固定部」に対応している。座席シート320の底面には、前後方向で中央よりやや後方に取付フック322が設けられている。さらに、座席シート320の底面には、左右一対の被支持部323と、2箇所において、左右一対の被支持部324が設けられている。
【0097】
図26は、座席シート320の固定状態を示す側面図である。図26では、一部座席シート320が破断し、内部が参照できるようにしている。図に示すように、座席シート320の取付孔321には、取付フック343が挿入されている。取付フック343は、図22に示すように、盗難防止ユニット360の前部の左右両側に配置されている。この位置において、座席シート320が固定される。本実施の形態の「取付フック343」は、本発明の「シート取付部」に対応している。
【0098】
再び図26を参照する。座席シート320の取付フック322は、連結フレーム341に形成された差し込み部344に差し込まれ、座席シート320が固定されている。
【0099】
図22を参照する。符号L31は、座席シート320の取付フック343の配置位置と盗難防止ユニット360との距離である。符号L32は、盗難防止ユニット360と座席シート320の後端との距離である。本実施の形態においては、距離L31が距離L32より短くなっている。つまり、「シート取付部」である取付フック343と座席シート320の後端との中間位置よりも前方に盗難防止ユニット360が配置されている。これにより、ライダーの重量などで座席シート320が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット360の上方の座席シート320は撓みが小さい。そのため、車体を大型化することなく、アクセスが困難な座席シート320の下方に盗難防止ユニットを配置することができる。ライダーの重量などで座席シート320が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット360と座席シート320の底部とが干渉することを防止できる。また、座席シート320の下部と盗難防止ユニット360の上面との間隔が狭いため、容易にアクセスできないようになっている。
【0100】
図25に示した座席シート320の被支持部323は、図22に示す連結フレーム341の上面に接触する。図25に示した座席シート320の被支持部324は、図22に示すサイドフレーム340の上面に接触する。これにより、座席シート320の荷重をサイドフレーム340で受ける構造となっている。盗難防止ユニット360の左右両側に位置する被支持部323により座席シート320の荷重を受けるので、座席シート320が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット360が座席シート320の底面と干渉することを防止できる。取付フック343も盗難防止ユニット360の左右両側に位置するので、ライダーの荷重を受けた場合であっても、盗難防止ユニット360が座席シート320の下部と干渉することを防止できる。
【0101】
盗難防止ユニット360は、平面視で取付フック343の間に配置されている。盗難防止ユニット360の前端は取付フック343よりも前方に位置し、盗難防止ユニット360の後端は取付フック343よりも後方に位置する。盗難防止ユニット360と座席シート320との取付位置(「シート取付部」の位置)が、車両の前後方向で同じ位置であるので、盗難防止ユニット360へのアクセスを困難にすることができる。盗難防止ユニット360は、車両の左右方向で座席シート320との取付位置の間にあるので、盗難防止ユニット360へのアクセスを困難にすることができる。
【0102】
{第4の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ、第4の実施の形態に係る自動二輪車400の構成について説明する。
【0103】
<自動二輪車の構成>
図27は、第4の実施の形態に係る自動二輪車400の側面全体図である。自動二輪車400は車両の前方および下部にメインフレーム402を備える。メインフレーム402には、エンジン470が搭載されている。メインフレーム402は、側面視でエンジン470の前方および下方を囲んでいる。
【0104】
自動二輪車400は、車両の上部にトップフレーム445を備える。トップフレーム445の後端には、サイドフレーム440が接続されている。トップフレーム445およびサイドフレーム440は、側面視でエンジン470の上方に配置されている。
【0105】
メインフレーム402およびトップフレーム445の前部にはヘッドパイプ401が配置されている。ヘッドパイプ401には、ステアリングシャフトが回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル403が取り付けられている。ステアリングシャフトの左右には、フロントフォーク404が配置されている。フロントフォーク404はステアリングシャフトとともに左右方向に回転する。フロントフォーク404の下端には、前輪405が回転可能に取り付けられている。
【0106】
エンジン470の上方には、燃料タンク415が配置されている。燃料タンク415の後部にメインシート420が配置されている。メインシート420の後部には、後部シート425が配置されている。メインシート420および後部シート425の下部にはリヤカバー430が配置されている。リヤカバー430は、後輪414の上方を覆うように配置されている。
【0107】
図28は、自動二輪車400の車体フレーム418および盗難防止ユニット460の取付構造を示す斜視図である。ヘッドパイプ401には、後方に向かって延びるトップフレーム445が接続されている。トップフレーム445の後端には、左右一対のサイドフレーム440が接続されている。サイドフレーム440は、車両の後方かつ下方に向かって延びている。図27に示すように、サイドフレーム440は、メインシート420の下部付近まで延びている。
【0108】
図28に示すように、メインフレーム402は、ヘッドパイプ401から下方に向かって延びる左右一対のダウンフレーム4021を備えている。メインフレーム402は、ダウンフレーム4021の下端に接続され、車両の底部を後方に向かって延びる左右一対のボトムフレーム4022を備える。
【0109】
メインシート420の下部付近において、左右のボトムフレーム4022を連結する連結フレーム451が設けられている。連結フレーム451には、支持フレーム450が取り付けられている。支持フレーム450は、連結フレーム451の上面に取り付けられ、略垂直方向で上方に延びている。支持フレーム450は、上端において、サイドフレーム440を支持している。
【0110】
ボトムフレーム4022の後端には、上方に向かって延びる左右一対の支持フレーム453が設けられている。支持フレーム453の上端には、サイドフレーム440の後端が接続されている。
【0111】
左右一対のサイドフレーム440の後端には、左右一対のバックフレーム455が接続されている。バックフレーム455は、後方かつ上方に向かって延びている。バックフレーム455は、後輪414の上方に位置し、後部シート425を支持している。
【0112】
メインフレーム402、トップフレーム445、サイドフレーム440、支持フレーム450、支持フレーム453、バックフレーム455および後述する連結フレーム441は、いずれも金属製のフレームであり、自動二輪車400の車体フレーム418を構成している。
【0113】
再び、図27を参照する。支持フレーム450には、上下方向に回転可能にリヤアーム412が取り付けられている。リヤアーム412の後端には後輪414が回転可能に取り付けられている。リヤアーム412と車体フレーム418は、図示せぬリアサスペンションで接続されている。
【0114】
エンジン470は、クランクケース406と、クランクケース406の上方に位置するシリンダ407とを有する。
【0115】
燃料タンク415の左右には、左右一対のフロントカバー416が取り付けられている。フロントカバー416は、燃料タンク415の側部から下方まで延びている。メインシート420の下部には、左右一対のサイドカバー417が配置されている。
【0116】
図29は、メインシート420周辺の平面図である。図29に示すように、燃料タンク415の後部にメインシート420が配置されている。
【0117】
図30は、メインシート420の外形だけを示した状態の平面図である。メインシート420の下部には、盗難防止ユニット460が配置されている。盗難防止ユニット460は、保護カバー461によって覆われている。盗難防止ユニット460の右側部には、コネクタ462を介してケーブル463が接続されている。ケーブル463には、電力線や信号線が収容されている。
【0118】
盗難防止ユニット460は、略直方体形状の装置である。盗難防止ユニット460は、側面視の面積よりも平面視の面積が大きくなるように取り付けられている。つまり、盗難防止ユニット460は上下方向に薄い形状の装置である。盗難防止ユニット460は、左右のサイドフレーム440の間に位置している。盗難防止ユニット460の下部には、バッテリー480が配置されている。バッテリー480は、バッテリケース490に収納されており、バッテリー480の上部に盗難防止ユニット460が取り付けられている。
【0119】
盗難防止ユニット460の前方には、連結フレーム441が配置されている。連結フレーム441には、後で詳しく説明するが、メインシート420の底部が固定される。
【0120】
図31は、盗難防止ユニット460の取付構造を示す側面図である。盗難防止ユニット460は、側面視でサイドフレーム440と重なる位置に配置されている。これにより、盗難防止ユニット460に対して左右方向からアクセスすることを困難にすることができる。盗難防止ユニット460が金属フレームの下部に配置された場合、GPS信号の受信感度が低下するという問題がある。本実施の形態であれば、盗難防止ユニット460は、サイドフレーム440の側方に位置し、盗難防止ユニット460の上部はサイドフレーム440よりも上方に配置されている。盗難防止ユニット460の受信感度が低下するのを防止できる。
【0121】
図32は、盗難防止ユニット460の取付構造を示す斜視図である。図32は、図28で示した符号D部分の拡大図である。盗難防止ユニット460は、バッテリー480の上に取り付けられている。バッテリー480は、バッテリケース490内に収納されている。バッテリケース490は、上部が開口しており、その開口部分に盗難防止ユニット460が置かれている。
【0122】
左右のサイドフレーム440には、左右一対のブラケット444が取り付けられている。ブラケット444には、図33に示す連結フレーム441が取り付けられる。図33においては、ブラケット444を表示していない。左右のブラケット444に連結フレーム441の左右端が固定されることで、連結フレーム441がサイドフレーム440に固定される。
【0123】
図33に示すように、連結フレーム441の左右方向で中央位置には、シート取付孔442が設けられている。シート取付孔442の左側部には、シート取付孔443が設けられている。シート取付孔442には、図34に示す固定部材422が挿入される。シート取付孔443には、図34に示す取付部423が挿入される。固定部材422および取付部423は、メインシート420の下部に固定さている。本実施の形態のシート取付孔442およびシート取付孔443は、本発明の「シート取付部」に対応している。本実施の形態の固定部材422および取付部423は、本発明の「固定部」に対応している。
【0124】
図35は、リヤカバー430に設けられたメインシート420の差込プレート431を示す図である。図36は、メインシート420の後部に設けられた取付孔421である。
【0125】
図37に示すように、メインシート420の取付孔421を差込プレート431に差し込むことでメインシート420の位置がガイドされる。メインシート420下部の取付部423を連結フレーム441のシート取付孔443に挿入することでメインシート420が固定される。さらに、メインシート420下部の固定部材422を連結フレーム441のシート取付孔442に挿入し、図示せぬロック機構により固定部材422をロックすることで、メインシート420がロックされる。
【0126】
図30を参照する。符号L41は、シート取付孔442の位置から盗難防止ユニット460までの距離を示す。符号L42は、盗難防止ユニット460からメインシート420の後端までの距離を示す。本実施の形態においては、距離L41は距離L42より短くなっている。言い換えると、「シート取付部」であるシート取付孔442とメインシート420の後端との中間位置よりも前方側に盗難防止ユニット460が配置されている。これにより、ライダーの重量などによりメインシート420が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット460の上方のメインシート420の撓みが小さいため、盗難防止ユニット460をメインシート420の下部に近い位置に配置できる。車体が大型化することを抑制できる。盗難防止ユニット460がメインシート420の底部と干渉することはない。また、盗難防止ユニット460とメインシート420の底部との間隔が狭いため、外部からアクセスが行い難い構造とすることができる。
【0127】
盗難防止ユニット460は、車両の左右方向および上下方向に関して、シート取付部であるシート取付孔442と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット460をメインシート420に近い位置に配置しているが、メインシート420の撓みが小さく、メインシート420と盗難防止ユニット460とが干渉することはない。メインシート420と盗難防止ユニット460との間隔が狭いため、アクセスが困難である。
【0128】
図30では、メインシート420の底部に設けられた被支持部445を実線で示している。被支持部445は、フレームなどに接触し、メインシート420およびライダーの荷重を受ける役割を有する。被支持部445の接触位置は、メインシート420の前部の中央位置に1箇所、連結フレーム441の左右端の2箇所、支持フレーム453の上端の2箇所およびリヤカバー430の前部の2箇所である。たとえば、支持フレーム453の上端の2箇所は、盗難防止ユニット460の左右両側でメインシート420の荷重を受ける構造であるので、メインシート420が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット460の上方のメインシートの撓みが小さい。盗難防止ユニット460をメインシート420の下部近くに配置でき、車体が大型化することを抑制できる。メインシート420と盗難防止ユニット460が干渉することはない。
【0129】
メインシート420の取付部422の配置は、盗難防止ユニット460より前方側である。支持フレーム453の上端の2箇所およびリヤカバー430の前部の2箇所の被支持部445は、盗難防止ユニット460より後部側である。これにより、メインシート420が撓んだ場合にも盗難防止ユニット460とメインシート420の底部とが干渉することはない。
【0130】
{変形例}
本発明の固定部として、上記実施の形態において例を挙げて説明したが、固定部の構造は限定されるものではない。フック式、差込式あるいはボルト等で固定するようにしてもよいし、第1の実施の形態のようにロック構造で固定するようにしてもよい。
【0131】
上記の実施の形態においては、ユニットは、側面視で車体フレームに重なる位置に配置したが、側面視で、車体フレームよりも上方に配置してもよい。ユニットの一部が側方に位置していればよく、一部がフレームの下方に位置していてもよい。つまり、ユニット全体が車体フレームよりも下方に位置していなけれればよい。ユニットが車体フレームの側方または上方に位置することで、GPS信号の受信感度が低下することを抑制できる。
【0132】
本発明の被支持部の位置と固定部の位置の組合せを、上記の実施の形態において、いくつかの例を挙げて説明したが、位置の組み合わせは実施の形態の構造に限定されない。
【0133】
本発明の固定部の位置は実施の形態の構造に限定されない。実施の形態で複数の固定部を例に挙げて説明したが、ユニットの位置によって例に挙げたうちのどの固定部を利用してもよい。
【0134】
上記の実施の形態においては、ユニットは、シート取付部とシートの後端との間に配置されている。具体的には、シート取付部とシートの後端との中間位置よりも前方に配置された。別の例として、ユニットはシート取付部より前方に位置していてもよい。その場合は、ユニットの位置がシート取付部とシートの前端との中間より後方にあればよい。ただし、シートの前方に燃料タンクがある場合は、シート後部の下方にユニットを配置する方が好ましい。シート前部の下方にユニットを配置する場合と比べて、GPS信号の受信環境に関して燃料タンクによる影響が少なく、GPS信号の受信感度の低下を防げるからである。
【0135】
{各実施の形態の効果}
本発明に係る自動二輪車は、車体フレームの上方に座席シートを備える。本発明のユニットである盗難防止ユニットは、座席シートの下方で、平面視でサイドフレームの間、かつ、側面視でサイドフレームと重なる位置あるいはサイドフレームより上方位置に、側面視より平面視の面積が大きくなるように配置されている。座席シートは、車体フレームが備えるシート取付部に対してシートを固定する固定部を含む。ユニットは、車両の前後方向に関して、シート取付部の位置と座席シートの後端位置との中間位置よりも前方に配置される。あるいは、ユニットは、車両の前後方向に関して、シート取付部の位置と座席シートの前端位置との中間位置よりも後方に配置される。
【0136】
ユニットの側方またはユニットよりも下方にサイドフレームが位置するため、高い受信感度を確保できる。ユニットは、座席シートの下方で、サイドフレームと同じ高さまたはサイドフレームよりも上方に配置されるため、ユニットは上下方向で座席シートと近い位置に配置される。ユニットを座席シートが固定されるシート取付部の近くに配置したため、ライダーが乗車した場合にも座席シートの下方への撓みが小さい位置にユニットを配置することができる。ユニットを側面視より平面視の面積が大きくなるように配置したので、車両が大型化することを抑制できる。ユニットは上下方向で座席シートと近い位置に配置され、座席シートが固定されるシート取付部の近くに配置されるため、外部からのアクセスを困難とすることができる。以上により、ユニットを搭載した自動二輪車であって、GPS信号の受信感度の低下を抑制しながら、車体を大きくさせることなく、ユニットをアクセス困難な場所に搭載することができる。
【0137】
さらに、ユニットの側方にサイドフレームが位置する場合、左右方向からユニットが保護されるとともに、サイドフレームにより側方からのアクセスが困難となる。ユニットを、座席シートの下方で、サイドフレームの側方に配置することで、よりアクセスが困難な場所にユニットを配置することができる。
【0138】
第1、第2および第4の実施の形態の自動二輪車においては、固定部と被支持部のうち一方はユニットより前方に位置し、他方はユニットより後方に位置する。固定部と被支持部は、車体フレームに支持される。固定部と被支持部の回りは座席シートの撓みが小さくなる。ユニットの前方と後方に固定部と被支持部を配置するため、ユニットの上方に位置する座席シートの撓みを小さくすることができる。ユニットを上方に配置しても、車体の大型化を抑制しながら座席シートとユニットとの距離を確保できる。
【0139】
第1および第2の実施の形態の自動二輪車においては、被支持部は、車両の前後方向に関してユニットと重なる位置に配置される。言い換えると、側面視で、ユニットの前端を通り地面と垂直な線と、ユニットの後端を通り地面と垂直な線と、の間に被支持部が配置される。被支持部は車体フレームに支持される。被支持部の回りは座席シートの撓みが小さくなる。ユニットの左右に被支持部が位置するため、ユニットの上方に位置する座席シートの撓みを小さくすることができる。ユニットを上方に配置しても、車体の大型化を抑制しながら座席シートとユニットとの距離を確保できる。
【0140】
さらに、第2の実施の形態の自動二輪車においては、被支持部は、車両の前後方向及び上下方向に関してユニットと重なる位置に配置される。言い換えると、被支持部は、側面視で、ユニットの前端を通り地面と垂直な線とユニットの後端を通り地面と垂直な線との間に配置される。また、被支持部は、ユニットの上端を通り地面と水平な線とユニットの下端を通り地面と平行な線との間に、配置される。さらに言い換えると、側面視でユニットと被支持部が重なる位置に配置される。被支持部がユニットの側方に位置するため、側方からユニットへアクセスすることを困難にすることができる。
【0141】
第1、第2および第4の自動二輪車においては、車体フレームは、車両の左右方向に延び、サイドフレームを連結する連結フレームを含み、シート取付部は、連結フレームに設けられている。座席シートはサイドフレームより車両左右方向に関して中央よりの位置で固定される。ユニットは平面視で左右のサイドフレームの間に配置される。ユニットとシート取付部は車両左右方向で近い位置に配置される。そのため、ユニットへのアクセスを困難とすることができる。
【0142】
第3の実施の形態の自動二輪車においては、ユニットは、車両前後方向に関してシート取付部と重なる位置に配置される。言い換えると、側面視で、ユニットの前端を通り地面に垂直な線とユニットの後端を通り地面に垂直な線の間に、シート取付部が配置される。シート取付部とユニットとの距離が近いため、車両を大型化することを抑制しながら、ユニットへのアクセスを困難とすることができる。
【0143】
第1、第2および第4の実施の形態の自動二輪車において、ユニットは、車両の左右方向に関してシート取付部と重なる位置に配置される。言い換えると、正面視でユニットの右端を通り地面に垂直な線とユニットの左端を通り地面に垂直な線の間に、シート取付部が配置される。シート取付部とユニットとの距離が近いため、ユニットへのアクセスを困難とすることができる。
【0144】
さらに第2および第4の自動二輪車においては、ユニットは、車両の左右方向及び上下方向に関してシート取付部と重なる位置に配置される。言い換えると、シート取付部は、正面視でユニットの右端を通り地面に垂直な線とユニットの左端を通り地面に垂直な線の間に配置される。また、シート取付部は、正面視でユニットの上端を通る水平線とユニットの下端を通る水平線の間に配置される。さらに言い換えると、シート取付部は正面視でユニットと重なる位置に配置される。ユニットへのアクセスをさらに困難とすることができる。
【0145】
第1、第2および第3の実施の形態の自動二輪車は、ユニットの下方に配置される後輪と、後輪とユニットの間に位置し、下端が後方かつ上方に延びる車体カバーとを備える。下縁が後方かつ上方に延びる車体カバーの上方で、フレームと側面視で重なる位置に配置するため、車両を大型化することなく、ユニットを配置できる。
【0146】
第2の実施の形態の自動二輪車においては、側面視で、ユニットとシートとが重なる。ユニットと座席シートを近づけることができ、アクセスを困難にできるとともに、車両大型化を抑制できる。
【符号の説明】
【0147】
100、200、300、400 自動二輪車
118、218、318、418 車体フレーム
121、423 固定部材(固定部)
140、240、340、440 サイドフレーム
141、241、341、441 連結フレーム
142、2411、442、443 シート取付孔(シート取付部)
160、260、360、460 盗難防止ユニット
221、422 取付部(固定部)
321 取付孔(固定部)
343 取付フック(シート取付部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System)装置を搭載した自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS装置を内蔵した盗難防止ユニットを搭載した自動二輪車がある。盗難防止ユニットは、GPS信号を受信することで、盗難防止ユニットが搭載された自動二輪車の現在位置を特定することができる。
【0003】
下記特許文献1に開示された自動二輪車は、GPS装置を内蔵した盗難防止ユニットを搭載している。特許文献1の自動二輪車においては、シートの下部に配置されている収納ボックスの底部や側部に盗難防止ユニットが収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−362448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
盗難防止ユニットは、車両が盗難された場合に盗難防止ユニットが容易に取り外されることを防ぐために、アクセスが困難な場所に配置されることが望まれている。特許文献1の自動二輪車においては、シート下部に配置され、施錠可能なシートにより開閉される収納ボックスの底部や側部に盗難防止ユニットを配置している。盗難防止ユニットへのアクセスが困難となるように考慮されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の自動二輪車のように、シートの下方に盗難防止ユニットを配置した場合、金属製の車体フレームにより、GPS信号の受信感度が低下する恐れがある。GPS信号の受信感度の低下を防ぐために、車体フレームと同じ高さか、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載することが望ましい。
【0007】
シートの下方、かつ、車体フレームと同じ高さか、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載する場合、盗難防止ユニットを配置するためにシートの高さが高くなってしまう恐れがある。
【0008】
本発明は、盗難防止ユニットを搭載した自動二輪車であって、GPS信号の受信感度の低下を抑制しながら、車体を大きくさせることなく、盗難防止ユニットをアクセス困難な位置に搭載することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記の課題を解決するため、本実施の形態に係る自動二輪車は、車両の前後方向に延びる左右一対のサイドフレームを有する車体フレームと、前記車体フレームの上方に配置されるシートと、GPS信号を受信するためのアンテナが内蔵されており、前記シートの下方で、平面視で前記サイドフレームの間、かつ、側面視で前記サイドフレームと重なる位置または前記サイドフレームより上方の位置に、側面視より平面視の面積が大きくなるように配置されたユニットとを備える。前記シートは、前記車体フレームが備えるシート取付部に対して前記シートを固定する固定部を含む。前記ユニットは、車両の前後方向に関して、前記シート取付部の位置と前記シートの後端位置との中間位置よりも前方に配置される。あるいは、前記ユニットは、車両の前後方向に関して、前記シート取付部の位置と前記シートの前端位置との中間位置よりも後方に配置される。
【0010】
以上により、盗難防止ユニットを搭載した自動二輪車であって、GPS信号の受信感度の低下を抑制しながら、車体を大きくさせることなく、盗難防止ユニットをアクセス困難な位置に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】盗難防止システムのシステム構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る自動二輪車の全体平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の平面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の正面断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る自動二輪車の後部の背面断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る自動二輪車の全体平面図である。
【図11】第2の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームの平面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームの側面図である。
【図13】第2の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの側面図である。
【図14】第2の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの底面図である。
【図15】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の平面図である。
【図16】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の平面図である。
【図17】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
【図18】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面断面図である。
【図19】第2の実施の形態に係る自動二輪車の後部の正面断面図である。
【図20】第3の実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
【図21】第3の実施の形態に係る自動二輪車の全体平面図である。
【図22】第3の実施の形態に係る自動二輪車の後部の平面図である。
【図23】第3の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
【図24】第3の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの斜視図である。
【図25】第3の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの底面斜視図である。
【図26】第3の実施の形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
【図27】第4の実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
【図28】第4の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームと盗難防止装置とを示す斜視図である。
【図29】第4の実施の形態に係る自動二輪車の座席シートの平面図である。
【図30】第4の実施の形態に係る自動二輪車の座席シート下部の構造を示す平面図である。
【図31】第4の実施の形態に係る自動二輪車の車体フレームの中央部の側面図である。
【図32】図28の矢視D部分の拡大図である。
【図33】第4の実施の形態に係る自動二輪車のメインシートの取り付け構造を示す図である。
【図34】第4の実施の形態に係る自動二輪車のメインシートの取り付け構造を示す図である。
【図35】第4の実施の形態に係る自動二輪車のメインシートの取り付け構造を示す図である。
【図36】第4の実施の形態に係る自動二輪車のメインシートの取り付け構造を示す図である。
【図37】第4の実施の形態に係る自動二輪車の盗難防止装置の取り付け位置を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願出願人は、自動二輪車において、アクセス困難な盗難防止ユニットの搭載場所を様々な観点から検討した。
【0013】
座席シートは、車体フレームに開閉可能に固定される。座席シートの下方のスペースは、アクセスすることが困難である。本願出願人は、盗難防止ユニットの搭載場所として、座席シートの下方のスペースを有効利用することを検討した。しかし、座席シートは、車体フレームの上方に配置されている。盗難防止ユニットの上方に金属製の車体フレームが存在する場合、GPS信号の受信感度が低下することが判明した。本願出願人は、GPS信号の受信感度の低下を防ぐために、座席シートの下方のスペースのうち、車体フレームと同じ高さ、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載することを検討した。
【0014】
座席シートの下方のスペースのうち、車体フレームと同じ高さ、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載する場合、座席シートとの干渉が問題となる。座席シートの一部は、車体フレームに設けられたシート取付部に取り付けられる。ライダーが乗車した状態では、ライダーの重さによって、座席シートが下方に撓んでいる。座席シートの下方のスペースのうち、車体フレームと同じ高さ、または、車体フレームよりも上方に盗難防止ユニットを搭載する場合、盗難防止ユニットと座席シートの底部との距離を確保する必要がある。距離を大きく確保すれば、車両が大型化するという問題がある。本願出願人は、座席シートの撓み方に着目した。座席シートは、シート取付部から離れるにつれて座席シートの撓みが大きくなる。言い換えると、シー取付部に近い位置では、座席シートの撓みが小さくGPSユニットと座席シートの底部との距離を小さくできることを思いついた。
【0015】
以上により、自動二輪車において、GPS信号の受信感度の低下を抑制しながら、車両を大型化することなく、盗難防止ユニットをアクセス困難な場所に搭載する構造を見出した。以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
<盗難防止システムの全体構成>
図1は、本実施の形態に係る盗難防止システムを示す全体図である。盗難防止システムは、自動二輪車500に搭載された盗難防止ユニット560、GPS(Global Positioning System)衛星501、および管理センター502などを備えて構成される。
【0017】
盗難防止システムの仕組みについて説明する。自動二輪車500が備える盗難防止ユニット560は、GPS受信機能を備えており、GPS衛星501から送信された信号を受信し、盗難防止ユニット560の現在位置を計測可能である。盗難防止ユニット560は自動二輪車500に搭載されているため、自動二輪車500の現在位置を計測可能である。本発明の「ユニット」は、本実施の形態の盗難防止ユニット560に該当する。
【0018】
盗難防止ユニット560は無線通信機能を備えており、自動二輪車500の現在の位置情報を無線通信を利用して管理センター502に送信可能である。本実施の形態においては、無線通信としてGSM(Global System for Mobile Communication)を利用している。
【0019】
自動二輪車500が盗難されたとき、自動二輪車500のライダーは、直ちに管理センター502に電話等で通報を行う。管理センター502では、自動二輪車500に搭載された盗難防止ユニット560から送信される位置情報を取得し、盗難車両を発見する。
【0020】
盗難防止ユニット560は、ホーンを鳴動させるためのホーン制御回路504とランプを点灯させるためのランプ制御回路505に接続されている。
【0021】
管理センター502においては、自動二輪車500が盗難された情報を取得すると、必要に応じて盗難防止ユニット560に対して警報指示を送信する。盗難防止ユニット560は、警報指示に応じて、ホーン制御回路504を制御し、ホーンを鳴動させることができる。あるいは、盗難防止ユニット560は、警報指示に応じて、ランプ制御回路505を制御し、ランプを点滅させることができる。
【0022】
以上説明した盗難防止システムの構成は、この後に説明する第1〜第4の実施の形態に共通である。上述した自動二輪車500は、この後に説明する第1〜第4の実施の形態においては、それぞれ自動二輪車100、200、300および400に置き換えられる。上述した盗難防止ユニット560は、この後に説明する第1〜第4の実施の形態においては、それぞれ盗難防止ユニット160、260、360および460に置き換えられる。
【0023】
以下説明する第1〜第4の実施の形態において、前後方向あるいは左右方向と方向を示した場合には、特に断りのない限り、車両の進行方向に対する前後方向あるいは左右方向を意味するものとする。つまり、座席シートに座ったライダーから見た前方向を自動二輪車の前方向、座席シートに座ったライダーから見た左右方向を自動二輪車の左右方向として説明する。
【0024】
{第1の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ、第1の実施の形態に係る自動二輪車100の構成について説明する。
【0025】
<自動二輪車の構成>
図2は、第1の実施の形態に係る自動二輪車100の側面全体図である。自動二輪車100は車両の中央部に、クレードル型のメインフレーム102を備える。メインフレーム102には、エンジン170が搭載されている。メインフレーム102は、側面視でエンジン170の上方、下方、前方および後方を囲んでいる。
【0026】
メインフレーム102の前部にはヘッドパイプ101が配置されている。ヘッドパイプ101には、ステアリングシャフトが回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル103が取り付けられている。ステアリングシャフトの左右には、フロントフォーク104が配置されている。フロントフォーク104はステアリングシャフトとともに左右方向に回転する。フロントフォーク104の下端には、前輪105が回転可能に取り付けられている。
【0027】
メインフレーム102の上方には、燃料タンク115が配置されている。燃料タンク115の後部には座席シート120が配置されている。座席シート120の下部にはリヤカバー130が配置されている。リヤカバー130は、後輪114の上方に位置している。
【0028】
メインフレーム102の上部付近には左右一対のサイドフレーム140が取り付けられている。サイドフレーム140は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。サイドフレーム140は、座席シート120の後端付近まで延びている。サイドフレーム140により、座席シート120およびリヤカバー130などが支持される構造となっている。
【0029】
メインフレーム102には、サイドフレーム140の取り付け位置よりも下方位置に左右一対の支持フレーム150が取り付けられている。支持フレーム150は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。支持フレーム150の後端は、サイドフレーム140に接続され、サイドフレーム140を支持している。
【0030】
メインフレーム102とサイドフレーム140と支持フレーム150とは、いずれも金属製のフレームである。メインフレーム102、サイドフレーム140、支持フレーム150および後述する連結フレーム141により、自動二輪車100の車体フレーム118を構成している。
【0031】
メインフレーム102の後部には、上下方向に回転可能にリヤアーム112が取り付けられている。リヤアーム112の後端には後輪114が回転可能に取り付けられている。リヤアーム112と車体フレーム118とは、リアサスペンション113で接続されている。リヤアーム112は、エンジン170のクランクケース106の後部付近において、車体フレーム118に設けられた軸を支点にして回転自在に取り付けられる。リヤアーム112は、エンジン170のクランクケース106の後部の出力軸を支点にして回転自在に取り付けられてもよい。
【0032】
エンジン170は、クランクケース106と、クランクケース106の上方に位置するシリンダ107とを有する。シリンダ107の後部には、吸気通路110が接続される。吸気通路110は、シリンダ107の後部から後方に延びる。吸気通路110の後部にはエアクリーナ111が接続される。シリンダ107の前部には、排気通路108が接続される。排気通路108は、シリンダ107の前部から下方に延び、車体の底部を通って後方に延びる。排気通路108の後端には、マフラー109が接続される。
【0033】
図3は、自動二輪車100の平面図である。図3に示すように、車体の中央付近から後方にかけて座席シート120が配置され、座席シート120の後部で下方にリヤカバー130が配置されている。リヤカバー130は、後輪114の上方に位置し、座席シート120の下方のスペースを覆うように配置されている。後で詳しく説明するが、座席シート120の下部に本実施の形態に係る盗難防止ユニット160が配置される。
【0034】
再び図2を参照する。燃料タンク115の左右には、左右一対のフロントカバー116が取り付けられている。フロントカバー116は、燃料タンク115の下部より下方まで延びている。座席シート120の左右には、左右一対のサイドカバー117が取り付けられている。サイドカバー117は、座席シート120の下部に配置されている。さらに、座席シート120の左右で、サイドカバー117の後部には、リヤカバー130が配置されている。
【0035】
図4は、自動二輪車100の後部の平面図である。図4では、座席シート120の外形線だけを描き、座席シート120の下部の構造が見えるようになっている。座席シート120の下部には、盗難防止ユニット160が配置されている。盗難防止ユニット160は、左右のサイドフレーム140の間に配置されている。盗難防止ユニット160は、直方体形状をしており、その周囲が保護カバー161で覆われている。盗難防止ユニット160の左側部からは、コネクタ162を介してケーブル163が延びている。ケーブル163には、電力線や信号線が収容されている。
【0036】
盗難防止ユニット160の後部には、工具ケース180が収納されている。工具ケース180は、筒状のケースであり、車両の左右方向に沿うように収納可能となっている。
【0037】
盗難防止ユニット160の前部には、連結フレーム141が配置されている。連結フレーム141は、左右のサイドフレーム140を連結するフレームである。連結フレーム141の略中央位置には、シート取付孔142が設けられている。本実施の形態のシート取付孔142は、本発明の「シート取付部」に対応している。シート取付孔142には、図8に示す座席シート120の下部に設けられた固定部材121が挿入される。本実施の形態の固定部材121は、本発明の「固定部」に対応している。
【0038】
図4に示す符号L11は、「シート取付部」であるシート取付孔142から盗難防止ユニット160までの車両前後方向の距離である。符号L12は、座席シート120の後端から盗難防止ユニット160までの車両前後方向の距離である。盗難防止ユニット160の位置は、盗難防止ユニット160の前後方向で略中央位置を基準としている。
【0039】
本実施の形態の形態においては、距離L12よりも距離L11の方が短くなっている。つまり、盗難防止ユニット160は、車両の前後方向に関して、シート取付孔142の位置と座席シート120の後端位置との中間位置よりも前方に配置されている。これにより、ライダーが乗車し、座席シート120が撓んだ場合であっても、盗難防止ユニット160の上部の座席シート120の撓みが小さい。これにより、盗難防止ユニット160を、座席シート120の下部から近い位置に配置することができる。盗難防止ユニット160と座席シート120の底部との間の空間が狭いので、盗難防止ユニット160にアクセスすることを困難にすることができる。
【0040】
図5は、自動二輪車100の後部の側面図である。図5では、座席シート120とリヤカバー130の外形のみを示し、座席シート120下部の構造が見えるようになっている。
【0041】
盗難防止ユニット160は、略直方体形状の装置である。盗難防止ユニット160は、側面視の面積よりも平面視の面積が大きくなるように配置されている。言い換えると、盗難防止ユニット160は、上下方向に薄くなるように配置されている。さらに言い換えると、盗難防止ユニット160は、左右方向、前後方向の大きさに対して上下方向の大きさが小さくなるように配置されている。盗難防止ユニット160を配置した場合にも、車両の上下方向の高さを大きくすることはない。
【0042】
盗難防止ユニット160は、その上面あるいは底面が、略水平となるように配置されている。これにより、座席シート120とリヤカバー130で形成された上下方向が狭い領域に盗難防止ユニット160を配置する構成でありながら、車両の高さが高くなることはない。
【0043】
盗難防止ユニット160は、側面視で、サイドフレーム140と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット160を左右の側部からアクセスすることを困難にすることができる。また、盗難防止ユニット160を左右側部から保護する役割も有する。盗難防止ユニット160が金属製のフレームより下方に配置されると、GPS信号の受信感度が低下するという問題が生じる。盗難防止ユニット160を、サイドフレーム140の側方に配置することで、GPS信号の受信感度が低下することを抑制できる。盗難防止ユニット160は、後方かつ上方に延びるサイドフレーム140の後部と側面視で重なる位置に配置されている。言い換えると、盗難防止ユニット160は、後方かつ上方に延びるサイドフレーム140の上部と側面視で重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット160よりも上方に位置するサイドフレーム140の部分が少なく、GPS信号の受信感度が低下することを抑制できる。
【0044】
図6は、盗難防止ユニット160の取り付け構造を示す側面断面図である。リヤカバー130には、上方に向けて延びる前後2つの固定プレート131が設けられている。保護カバー161を固定プレート131に固定することにより、盗難防止ユニット160が固定される構造となっている。
【0045】
後輪114との干渉を防ぐため、座席シート120とリヤカバー130とは上下方向で近い位置に配置される。盗難防止ユニット160は、座席シート120に近い位置に配置されている。盗難防止ユニット160が座席シート120に近づけば、座席シート120が撓んだ場合に、座席シート120と干渉する可能性がある。上述したように、距離L12より距離L11の方が短くなるように盗難防止ユニット160が配置されている。盗難防止ユニット160が、座席シート120の後端よりも、シート取付孔142の配置側に近い場所に配置される。座席シート120が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット160と座席シート120とが干渉することはない。
【0046】
さらには、盗難防止ユニット160の配置位置は、車両の左右方向に関してシート取付孔142と重なっている。シート取付孔142と盗難防止ユニット160とが車両の左右方向に関して近い位置に配置されるので、座席シート120が車体フレームに取付られた状態で座席シート120を持ち上げ、盗難防止ユニット160へアクセスすることが困難である。盗難防止ユニット160へのアクセスがより困難となっている。
【0047】
また、盗難防止ユニット160が、シート取付孔142に近い場所に配置されているので、座席シート120の撓みが小さい位置に盗難防止ユニットを配置することができる。座席シート120の下部の空間が狭くても盗難防止ユニット160を配置することが可能である。さらに、座席シート120が車体フレームに取付られた状態で座席シート120を持ち上げ、盗難防止ユニット160へアクセスすることが困難である。盗難防止ユニット160へアクセスすることを困難にすることができる。
【0048】
図7は、盗難防止ユニット160の取り付け構造を示す正面断面図である。図7は、図6の矢視A1−A1断面図である。盗難防止ユニット160が左右のサイドフレーム140で挟まれる位置に配置されていることが分かる。サイドフレーム140と合わせて、リヤカバー130の左右の側壁によっても、盗難防止ユニット160へのアクセスを困難にすることができる。図7からわかるように、リヤアーム112とともに上下に移動する後輪114の移動範囲を大きく確保しながら、座席シート120の高さが高くなることを抑制するために、リヤカバー130の底面は車両左右方向側方よりも車両中央が高い形状になっている。盗難防止ユニット160は、正面断面図で、リヤカバー130の底面の上端よりも上方に位置している。そのため、盗難防止ユニット160は、座席シート120に近い位置に配置されている。
【0049】
図8は、盗難防止ユニット160の取り付け構造を示す背面断面図である。図8は、図6の矢視A2−A2断面図である。連結フレーム141のシート取付孔142に、座席シート120の固定部材121が挿入されている。連結フレーム141の下部には、ロック部材147が配置されている。ロック部材147は、シート取付孔142から挿入された固定部材121を固定することが可能である。ロック部材147には、ワイヤー146が接続されている。ワイヤー146は、図5に示すように、キーボックス145に接続されている。車両のメインキーをキーボックス145に挿入してメインキーを回転する操作を行うことにより、ロック部材147が動作し、固定部材121を固定する。これにより、座席シート120がロックされる。
【0050】
再び、図4を参照する。サイドフレーム140の後端には、支持プレート143が取り付けられている。支持プレート143には、座席シート120の下部に設けられた被支持部122(図5参照)が接触する。支持プレート143において、座席シート120および座席シート120に座っているライダーの荷重を受ける構造となっている。
【0051】
「シート取付部」としての役割を有するシート取付孔142は、盗難防止ユニット160よりも前方に位置している。座席シート120の被支持部122が盗難防止ユニット160よりも後方に位置している。このように、盗難防止ユニット160の前後にシート取付部と被支持部とが位置することで、座席シート120が撓んだ場合であっても、座席シート120と盗難防止ユニット160とが干渉することはない。
【0052】
左右の支持プレート143に対向する位置に、左右の被支持部122が配置されている。つまり、盗難防止ユニット160の左右両側に、被支持部122が設けられている。座席シート120が撓んだ場合にも、座席シート120と盗難防止ユニット160とが干渉することを防止できる。被支持部122は、車両の前後方向に関して、盗難防止ユニット160と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット160と被支持部122の前後方向の位置が近いため、座席シート120が荷重を受けた場合にも、座席シート120と盗難防止ユニット160とが干渉することを防止できる。
【0053】
図8に示すように、連結フレーム141も座席シート120の荷重を受ける支持プレートとしての役割を有する。図に示すように、座席シート120の下部には、被支持部123が設けられている。被支持部123が連結フレーム141の上面に接触することで、荷重を受ける構造となっている。
【0054】
{第2の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ、第2の実施の形態に係る自動二輪車200の構成について説明する。
【0055】
<自動二輪車の構成>
図9は、第2の実施の形態に係る自動二輪車200の側面全体図である。自動二輪車200は車両の中央部に、クレードル型のメインフレーム202を備える。メインフレーム202には、エンジン270が搭載されている。メインフレーム202は、側面視でエンジン270の上方、下方、前方および後方を囲んでいる。
【0056】
メインフレーム202の前部にはヘッドパイプ201が配置されている。ヘッドパイプ201には、ステアリングシャフトが回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル203が取り付けられている。ステアリングシャフトの左右には、フロントフォーク204が配置されている。フロントフォーク204はステアリングシャフトとともに左右方向に回転する。フロントフォーク204の下端には、前輪205が回転可能に取り付けられている。
【0057】
メインフレーム202の上方には、燃料タンク215が配置されている。燃料タンク215の後部には座席シート220が配置されている。座席シート220の後部にはリヤカバー230が配置されている。リヤカバー230は、後輪214の上方に位置している。リヤカバー230は、シートの下方まで延びている。
【0058】
メインフレーム202の上部付近には左右一対のサイドフレーム240が取り付けられている。サイドフレーム240は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。サイドフレーム240は、座席シート220の後端より後方まで延びている。サイドフレーム240により、座席シート220およびリヤカバー230が支持される構造となっている。
【0059】
メインフレーム202には、サイドフレーム240の取り付け位置よりも下方位置に左右一対の支持フレーム250が取り付けられている。支持フレーム250は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。支持フレーム250の後端は、サイドフレーム240に接続され、サイドフレーム240を支持している。
【0060】
メインフレーム202とサイドフレーム240と支持フレーム250とは、いずれも金属製のフレームである。メインフレーム202、サイドフレーム240、支持フレーム250および後述する連結フレーム241により、自動二輪車200の車体フレーム218を構成している。
【0061】
メインフレーム202の後部には、上下方向に回転可能にリヤアーム212が取り付けられている。リヤアーム212の後端には後輪214が回転可能に取り付けられている。リヤアーム212と車体フレーム218とは、リアサスペンション213で接続されている。リヤアーム212は、エンジン270のクランクケース206の後部付近において、車体フレーム218に設けられた軸を支点にして回転自在に取り付けられる。リヤアーム212は、エンジン270のクランクケース206の後部の出力軸を支点にして回転自在に取り付けられてもよい。
【0062】
エンジン270は、クランクケース206と、クランクケース206の上方に位置するシリンダ207とを有する。シリンダ207の後部には、吸気通路210が接続される。吸気通路210は、シリンダ207の後部から後方に延びる。吸気通路210の後部にはエアクリーナ211が接続される。シリンダ207の前部には、排気通路208が接続される。排気通路208は、シリンダ207の前部から前方に延び、シリンダ207の側方を通って後方に延びる。排気通路208の後端には、マフラー209が接続される。
【0063】
図10は、自動二輪車200の平面図である。図10に示すように、車体の中央付近から後方にかけて座席シート220が配置され、座席シート220の後部で下方にリヤカバー230が配置されている。リヤカバー230は、後輪214を上方から覆うように配置されている。後で詳しく説明するが、リヤカバー230の上部に本実施の形態に係る盗難防止ユニット260が配置される。
【0064】
再び図9を参照する。燃料タンク215の左右には、左右一対のフロントカバー216が取り付けられている。フロントカバー216は、燃料タンク215の下部より下方まで延びている。座席シート220の左右には、左右一対のサイドカバー217が取り付けられている。サイドカバー217は、座席シート220の下部に配置されている。
【0065】
図11は、車体フレーム218の平面図である。図12は、車体フレーム218の側面図である。図11に示すように、サイドフレーム240の後部には、左右のサイドフレーム240を連結する連結フレーム241が設けられている。連結フレーム241には、座席シート220を取り付けるためのシート取付孔2411が設けられている。本実施の形態のシート取付孔2411は、本発明の「シート取付部」に対応している。
【0066】
サイドフレーム240の後端には、左右のサイドフレーム240を連結する2つの連結フレーム242および243が設けられている。図12に示すように、連結フレーム243は、サイドフレーム240と連結フレーム242に上下から挟まれている。
【0067】
図13は、座席シート220の側面図である。図14は、座席シート220の底面図である。座席シート220の下部には、連結フレーム241に対して座席シート220を取り付けるための左右一対の取付部221が設けられている。取付部221は、座席シート220の中央よりやや後部側に設けられている。座席シート220の下部には、取付部221より後方に座席シート220の荷重を受けるための左右一対の被支持部222が設けられている。座席シート220の下部には、取付部221より前方に座席シート220の荷重を受けるための左右一対の被支持部223および被支持部224が設けられている。本実施の形態の取付部221は、本発明の「固定部」に対応している。
【0068】
図15は、自動二輪車200の後部の平面図である。図15では、座席シート220の一部が破断しており、座席シート220下部の構造が見られるようになっている。座席シート220の下部には、盗難防止ユニット260が設置されている。
【0069】
盗難防止ユニット260は、略直方体形状の装置である。盗難防止ユニット260は、側面視よりも平面視の面積が大きくなるように配置されている。つまり、盗難防止ユニット260は、上下方向に薄い形状をしている。これにより、座席シート220とリヤカバー230に挟まれた狭いスペースに盗難防止ユニット260を収納することが可能となっている。
【0070】
盗難防止ユニット260は、周囲を保護カバー261で覆われた状態でリヤカバー230の底面に取り付けられている。盗難防止ユニット260の前部には、コネクタ262を介してケーブル263が接続されている。ケーブル263には、電力線や信号線が収容されている。
【0071】
図16は、自動二輪車200の後部の平面図である。図16では、座席シート220の一部が破断しており、座席シート220下部の構造が見られるようになっている。図15とは異なり、盗難防止ユニット260の上部には、保護ケース265が装着されている。図15では盗難防止ユニット260の形状を説明するために、便宜的に保護ケース265を取り外した状態を示したが、実際には、盗難防止ユニット260は、保護ケース265で覆われて使用される。盗難防止ユニット260は、保護ケース265により上面および側面を覆われている。たとえ座席シート220を取り外したとしても、さらに盗難防止ユニット260が保護ケース265で覆われており、盗難防止ユニット260へのアクセスを困難にすることができる。
【0072】
保護ケース265には、下部に左右方向に延びる固定プレート266が設けられている。固定プレート266は、ボルト267によって、リヤカバー230の底部に固定されている。
【0073】
左右の固定プレート266の位置より前方部分には、リヤカバー230の底部に開口が形成され、開口部から連結フレーム241に設けられたシート取付孔2411が露出している。座席シート220の下部に設けられた取付部221(図14)とシート取付孔2411との位置を合わせた上でボルトを止めることにより、座席シート220が連結フレーム241に固定される。
【0074】
図16において符号L21は、座席シート220のシート取付孔2411から盗難防止ユニット260までの距離を示し、符号L22は、盗難防止ユニット260から座席シート220の後端までの距離を示す。本実施の形態において距離L21は、距離L22より短くなっている。言い換えると、本発明の「シート取付部」であるシート取付孔2411と座席シート220の後端との中間位置より前方に盗難防止ユニット260が配置されている。盗難防止ユニット260の位置は、ここでは、図15に示すように、盗難防止ユニット260の前後方向の略中央位置を基準としている。
【0075】
盗難防止ユニット260をこのような配置とすることで、座席シート220が撓んだ場合であっても、座席シート220と盗難防止ユニット260とが干渉することはない。また、座席シート220と盗難防止ユニット260との間のスペースが狭いため、外部から盗難防止ユニット260にアクセスすることを困難にすることができる。
【0076】
盗難防止ユニット260は、車両の左右方向に関して左右のシート取付孔2411と重なる位置に配置されている。また、盗難防止ユニット260は、車両の上下方向に関して左右のシート取付部2411と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット260と座席シート220との取付位置が車両の左右方向および上下方向に関して近い位置であるので、盗難防止ユニット260へのアクセスを困難にすることができる。
【0077】
盗難防止ユニット260はシート取付孔2411の後方に位置し、盗難防止ユニットに接続するコネクタ262は、平面視でシート取付孔2411の間に位置している。盗難防止ユニット260と座席シート220との取付位置が車両の前後方向で近い位置であるので、盗難防止ユニット260へのアクセスを困難にすることができる。
【0078】
図17は、自動二輪車200の後部の側面図である。図17では、リヤカバー230が取り外され、内部の構造が見えるようになっている。また、保護カバー265の一部を破断し、内部が見えるようになっている。図に示すように、盗難防止ユニット260は、側面視において、サイドフレーム240と重なる位置に配置されている。これにより、盗難防止ユニット260に左右方向からアクセスすることを困難とすることができる。盗難防止ユニット260が金属フレームより下方に位置するとGPS信号の受信感度が低下するという問題があるが、本実施の形態においては、盗難防止ユニット260はサイドフレーム240の側部に位置するので、GPS信号の受信感度が低下することはない。
【0079】
図18は、自動二輪車200の後部の側面断面図である。図19は、自動二輪車200の後部の正面断面図である。図18に示すように、盗難防止ユニット260は、前方にやや傾斜した状態で配置されている。盗難防止ユニット260は、上部が座席シート220および保護ケース265で覆われており、下部はリヤカバー230で覆われている。上述したように、座席シート220および保護ケース265は、ボルトで固定されている。盗難防止ユニット260にアクセスするためには、ボルトを外す操作が2回必要であり、容易にアクセスができないようになっている。
【0080】
図14および図16で示したように、座席シート220の取付部221は、盗難防止ユニット260の前部に配置され、座席シート220の被支持部222は、盗難防止ユニット260の後部に配置される。座席シート220がライダーの重みなどで撓んだ場合にも、座席シート220の底部と盗難防止ユニット260が干渉することを防止できる。
【0081】
また、左右の被支持部222は、盗難防止ユニット260の左右両側に位置している。具体的には、被支持部222は、車両の前後方向に関して盗難防止ユニット260と重なる位置に配置される。また、被支持部222は、車両の上下方向に関して盗難防止ユニット260と重なる位置に配置される。座席シート220がライダーの重みなどで撓んだ場合にも、盗難防止ユニット260の上方の座席シート220の底部の撓みが小さいため、車両を大型化することなく、盗難防止ユニット260が干渉することを防止できる。
【0082】
{第3の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ、第3の実施の形態に係る自動二輪車300の構成について説明する。
【0083】
<自動二輪車の構成>
図20は、第3の実施の形態に係る自動二輪車300の側面全体図である。自動二輪車300は車両の中央部に、メインフレーム302を備える。メインフレーム302には、エンジン370が搭載されている。メインフレーム302は、側面視でエンジン370の上方、前方および後方を囲んでいる。
【0084】
メインフレーム302の前部にはヘッドパイプ301が配置されている。ヘッドパイプ301には、ステアリングシャフトが回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル303が取り付けられている。ステアリングシャフトの左右には、フロントフォーク304が配置されている。フロントフォーク304はステアリングシャフトとともに左右方向に回転する。フロントフォーク304の下端には、前輪305が回転可能に取り付けられている。
【0085】
メインフレーム302の上方には、燃料タンク315が配置されている。燃料タンク315の後部には座席シート320が配置されている。座席シート320の下部にはリヤカバー330が配置されている。リヤカバー330は、後輪314の上方に位置している。
【0086】
メインフレーム302の上部付近には左右一対のサイドフレーム340が取り付けられている。サイドフレーム340は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。サイドフレーム340は、座席シート320の後端付近まで延びている。サイドフレーム340により、座席シート320およびリヤカバー330が支持される構造となっている。
【0087】
メインフレーム302には、サイドフレーム340の取り付け位置よりも下方位置に左右一対の支持フレーム350が取り付けられている。支持フレーム350は、車両の後方かつ上方に向かって延びている。支持フレーム350の後端は、サイドフレーム340に接続され、サイドフレーム340を支持している。
【0088】
メインフレーム302とサイドフレーム340と支持フレーム350とは、いずれも金属製のフレームである。メインフレーム302、サイドフレーム340、支持フレーム350および後述する連結フレーム341により、自動二輪車300の車体フレーム318を構成している。
【0089】
メインフレーム302の後部には、上下方向に回転可能にリヤアーム312が取り付けられている。リヤアーム312の後端には後輪314が回転可能に取り付けられている。リヤアーム312と車体フレーム318は、リアサスペンション313で接続されている。リヤアーム312は、エンジン370のクランクケース306の後部付近において、メインフレーム302に設けられた軸を支点にして回転自在に取り付けられる。ただし、リヤアーム312は、エンジン370のクランクケース306の後部の出力軸を支点にして回転自在に取り付けられていてもよい。
【0090】
エンジン370は、クランクケース306と、クランクケース306の上方に位置するシリンダ307とを有する。シリンダ307の後部には、吸気通路310が接続される。吸気通路310は、シリンダ307の後部から後方に延びる。吸気通路310の後部にはエアクリーナ311が接続される。シリンダ307の前部には、排気通路308が接続される。排気通路308は、シリンダ307の前部から下方に向かって延びている。排気通路308は、さらに、エンジン370の下方を通って後方に延びる。排気通路308の後端には、マフラー309が接続される。
【0091】
図21は、自動二輪車300の平面図である。図21に示すように、車体の中央付近から後方にかけて座席シート320が配置され、座席シート320の後部の下方にリヤカバー330が配置されている。リヤカバー330は、後輪314の上方に位置し、座席シート320の下方のスペースを覆うように配置されている。後で詳しく説明するが、座席シート320の下部に本実施の形態に係る盗難防止ユニット360が配置される。
【0092】
再び図20を参照する。燃料タンク315の左右には、左右一対のフロントカバー316が取り付けられている。フロントカバー316は、燃料タンク315の下部より下方まで延びている。座席シート320の左右には、左右一対のサイドカバー317が取り付けられている。サイドカバー317は、座席シート320の下部に配置されている。
【0093】
図22は、自動二輪車300の後部の平面図である。図22においては、座席シート320の外形のみが描かれ、座席シート320の下部の構造が見えるようになっている。座席シート320の下部には、盗難防止ユニット360が配置されている。盗難防止ユニット360は、保護カバー361に周囲を包まれた状態でリヤカバー330の底面に取り付けられている。
【0094】
盗難防止ユニット360は、左右のサイドフレーム340の間に配置されている。盗難防止ユニット360は、略直方体形状の装置である。盗難防止ユニット360は、側面視の面積より、平面視の面積が大きくなるように配置されている。つまり、盗難防止ユニット360は、上下方向に薄い形状をしている。これにより、座席シート320とリヤカバー330とで囲まれた狭い空間に盗難防止ユニット360を配置しても、車体の高さが高くなることはない。
【0095】
図23は、自動二輪車300の後部の側面図である。図に示すように、盗難防止ユニット360は、側面視でサイドフレーム340と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット360に左右方向からアクセスすることを困難にすることができる。金属フレームが盗難防止ユニット360より上部に位置するとGPS信号の受信感度が低下するという問題があるが、盗難防止ユニット360は、サイドフレーム340の側部に配置されているので、GPS受信感度が低下することを抑制できる。
【0096】
図24は、座席シート320の斜視図である。図25は、座席シート320の底面図である。座席シート320の底面には、後端に近い位置に、左右一対の取付孔321が設けられている。本実施の形態の取付孔321は、本発明の「固定部」に対応している。座席シート320の底面には、前後方向で中央よりやや後方に取付フック322が設けられている。さらに、座席シート320の底面には、左右一対の被支持部323と、2箇所において、左右一対の被支持部324が設けられている。
【0097】
図26は、座席シート320の固定状態を示す側面図である。図26では、一部座席シート320が破断し、内部が参照できるようにしている。図に示すように、座席シート320の取付孔321には、取付フック343が挿入されている。取付フック343は、図22に示すように、盗難防止ユニット360の前部の左右両側に配置されている。この位置において、座席シート320が固定される。本実施の形態の「取付フック343」は、本発明の「シート取付部」に対応している。
【0098】
再び図26を参照する。座席シート320の取付フック322は、連結フレーム341に形成された差し込み部344に差し込まれ、座席シート320が固定されている。
【0099】
図22を参照する。符号L31は、座席シート320の取付フック343の配置位置と盗難防止ユニット360との距離である。符号L32は、盗難防止ユニット360と座席シート320の後端との距離である。本実施の形態においては、距離L31が距離L32より短くなっている。つまり、「シート取付部」である取付フック343と座席シート320の後端との中間位置よりも前方に盗難防止ユニット360が配置されている。これにより、ライダーの重量などで座席シート320が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット360の上方の座席シート320は撓みが小さい。そのため、車体を大型化することなく、アクセスが困難な座席シート320の下方に盗難防止ユニットを配置することができる。ライダーの重量などで座席シート320が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット360と座席シート320の底部とが干渉することを防止できる。また、座席シート320の下部と盗難防止ユニット360の上面との間隔が狭いため、容易にアクセスできないようになっている。
【0100】
図25に示した座席シート320の被支持部323は、図22に示す連結フレーム341の上面に接触する。図25に示した座席シート320の被支持部324は、図22に示すサイドフレーム340の上面に接触する。これにより、座席シート320の荷重をサイドフレーム340で受ける構造となっている。盗難防止ユニット360の左右両側に位置する被支持部323により座席シート320の荷重を受けるので、座席シート320が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット360が座席シート320の底面と干渉することを防止できる。取付フック343も盗難防止ユニット360の左右両側に位置するので、ライダーの荷重を受けた場合であっても、盗難防止ユニット360が座席シート320の下部と干渉することを防止できる。
【0101】
盗難防止ユニット360は、平面視で取付フック343の間に配置されている。盗難防止ユニット360の前端は取付フック343よりも前方に位置し、盗難防止ユニット360の後端は取付フック343よりも後方に位置する。盗難防止ユニット360と座席シート320との取付位置(「シート取付部」の位置)が、車両の前後方向で同じ位置であるので、盗難防止ユニット360へのアクセスを困難にすることができる。盗難防止ユニット360は、車両の左右方向で座席シート320との取付位置の間にあるので、盗難防止ユニット360へのアクセスを困難にすることができる。
【0102】
{第4の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ、第4の実施の形態に係る自動二輪車400の構成について説明する。
【0103】
<自動二輪車の構成>
図27は、第4の実施の形態に係る自動二輪車400の側面全体図である。自動二輪車400は車両の前方および下部にメインフレーム402を備える。メインフレーム402には、エンジン470が搭載されている。メインフレーム402は、側面視でエンジン470の前方および下方を囲んでいる。
【0104】
自動二輪車400は、車両の上部にトップフレーム445を備える。トップフレーム445の後端には、サイドフレーム440が接続されている。トップフレーム445およびサイドフレーム440は、側面視でエンジン470の上方に配置されている。
【0105】
メインフレーム402およびトップフレーム445の前部にはヘッドパイプ401が配置されている。ヘッドパイプ401には、ステアリングシャフトが回転可能に取り付けられている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル403が取り付けられている。ステアリングシャフトの左右には、フロントフォーク404が配置されている。フロントフォーク404はステアリングシャフトとともに左右方向に回転する。フロントフォーク404の下端には、前輪405が回転可能に取り付けられている。
【0106】
エンジン470の上方には、燃料タンク415が配置されている。燃料タンク415の後部にメインシート420が配置されている。メインシート420の後部には、後部シート425が配置されている。メインシート420および後部シート425の下部にはリヤカバー430が配置されている。リヤカバー430は、後輪414の上方を覆うように配置されている。
【0107】
図28は、自動二輪車400の車体フレーム418および盗難防止ユニット460の取付構造を示す斜視図である。ヘッドパイプ401には、後方に向かって延びるトップフレーム445が接続されている。トップフレーム445の後端には、左右一対のサイドフレーム440が接続されている。サイドフレーム440は、車両の後方かつ下方に向かって延びている。図27に示すように、サイドフレーム440は、メインシート420の下部付近まで延びている。
【0108】
図28に示すように、メインフレーム402は、ヘッドパイプ401から下方に向かって延びる左右一対のダウンフレーム4021を備えている。メインフレーム402は、ダウンフレーム4021の下端に接続され、車両の底部を後方に向かって延びる左右一対のボトムフレーム4022を備える。
【0109】
メインシート420の下部付近において、左右のボトムフレーム4022を連結する連結フレーム451が設けられている。連結フレーム451には、支持フレーム450が取り付けられている。支持フレーム450は、連結フレーム451の上面に取り付けられ、略垂直方向で上方に延びている。支持フレーム450は、上端において、サイドフレーム440を支持している。
【0110】
ボトムフレーム4022の後端には、上方に向かって延びる左右一対の支持フレーム453が設けられている。支持フレーム453の上端には、サイドフレーム440の後端が接続されている。
【0111】
左右一対のサイドフレーム440の後端には、左右一対のバックフレーム455が接続されている。バックフレーム455は、後方かつ上方に向かって延びている。バックフレーム455は、後輪414の上方に位置し、後部シート425を支持している。
【0112】
メインフレーム402、トップフレーム445、サイドフレーム440、支持フレーム450、支持フレーム453、バックフレーム455および後述する連結フレーム441は、いずれも金属製のフレームであり、自動二輪車400の車体フレーム418を構成している。
【0113】
再び、図27を参照する。支持フレーム450には、上下方向に回転可能にリヤアーム412が取り付けられている。リヤアーム412の後端には後輪414が回転可能に取り付けられている。リヤアーム412と車体フレーム418は、図示せぬリアサスペンションで接続されている。
【0114】
エンジン470は、クランクケース406と、クランクケース406の上方に位置するシリンダ407とを有する。
【0115】
燃料タンク415の左右には、左右一対のフロントカバー416が取り付けられている。フロントカバー416は、燃料タンク415の側部から下方まで延びている。メインシート420の下部には、左右一対のサイドカバー417が配置されている。
【0116】
図29は、メインシート420周辺の平面図である。図29に示すように、燃料タンク415の後部にメインシート420が配置されている。
【0117】
図30は、メインシート420の外形だけを示した状態の平面図である。メインシート420の下部には、盗難防止ユニット460が配置されている。盗難防止ユニット460は、保護カバー461によって覆われている。盗難防止ユニット460の右側部には、コネクタ462を介してケーブル463が接続されている。ケーブル463には、電力線や信号線が収容されている。
【0118】
盗難防止ユニット460は、略直方体形状の装置である。盗難防止ユニット460は、側面視の面積よりも平面視の面積が大きくなるように取り付けられている。つまり、盗難防止ユニット460は上下方向に薄い形状の装置である。盗難防止ユニット460は、左右のサイドフレーム440の間に位置している。盗難防止ユニット460の下部には、バッテリー480が配置されている。バッテリー480は、バッテリケース490に収納されており、バッテリー480の上部に盗難防止ユニット460が取り付けられている。
【0119】
盗難防止ユニット460の前方には、連結フレーム441が配置されている。連結フレーム441には、後で詳しく説明するが、メインシート420の底部が固定される。
【0120】
図31は、盗難防止ユニット460の取付構造を示す側面図である。盗難防止ユニット460は、側面視でサイドフレーム440と重なる位置に配置されている。これにより、盗難防止ユニット460に対して左右方向からアクセスすることを困難にすることができる。盗難防止ユニット460が金属フレームの下部に配置された場合、GPS信号の受信感度が低下するという問題がある。本実施の形態であれば、盗難防止ユニット460は、サイドフレーム440の側方に位置し、盗難防止ユニット460の上部はサイドフレーム440よりも上方に配置されている。盗難防止ユニット460の受信感度が低下するのを防止できる。
【0121】
図32は、盗難防止ユニット460の取付構造を示す斜視図である。図32は、図28で示した符号D部分の拡大図である。盗難防止ユニット460は、バッテリー480の上に取り付けられている。バッテリー480は、バッテリケース490内に収納されている。バッテリケース490は、上部が開口しており、その開口部分に盗難防止ユニット460が置かれている。
【0122】
左右のサイドフレーム440には、左右一対のブラケット444が取り付けられている。ブラケット444には、図33に示す連結フレーム441が取り付けられる。図33においては、ブラケット444を表示していない。左右のブラケット444に連結フレーム441の左右端が固定されることで、連結フレーム441がサイドフレーム440に固定される。
【0123】
図33に示すように、連結フレーム441の左右方向で中央位置には、シート取付孔442が設けられている。シート取付孔442の左側部には、シート取付孔443が設けられている。シート取付孔442には、図34に示す固定部材422が挿入される。シート取付孔443には、図34に示す取付部423が挿入される。固定部材422および取付部423は、メインシート420の下部に固定さている。本実施の形態のシート取付孔442およびシート取付孔443は、本発明の「シート取付部」に対応している。本実施の形態の固定部材422および取付部423は、本発明の「固定部」に対応している。
【0124】
図35は、リヤカバー430に設けられたメインシート420の差込プレート431を示す図である。図36は、メインシート420の後部に設けられた取付孔421である。
【0125】
図37に示すように、メインシート420の取付孔421を差込プレート431に差し込むことでメインシート420の位置がガイドされる。メインシート420下部の取付部423を連結フレーム441のシート取付孔443に挿入することでメインシート420が固定される。さらに、メインシート420下部の固定部材422を連結フレーム441のシート取付孔442に挿入し、図示せぬロック機構により固定部材422をロックすることで、メインシート420がロックされる。
【0126】
図30を参照する。符号L41は、シート取付孔442の位置から盗難防止ユニット460までの距離を示す。符号L42は、盗難防止ユニット460からメインシート420の後端までの距離を示す。本実施の形態においては、距離L41は距離L42より短くなっている。言い換えると、「シート取付部」であるシート取付孔442とメインシート420の後端との中間位置よりも前方側に盗難防止ユニット460が配置されている。これにより、ライダーの重量などによりメインシート420が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット460の上方のメインシート420の撓みが小さいため、盗難防止ユニット460をメインシート420の下部に近い位置に配置できる。車体が大型化することを抑制できる。盗難防止ユニット460がメインシート420の底部と干渉することはない。また、盗難防止ユニット460とメインシート420の底部との間隔が狭いため、外部からアクセスが行い難い構造とすることができる。
【0127】
盗難防止ユニット460は、車両の左右方向および上下方向に関して、シート取付部であるシート取付孔442と重なる位置に配置されている。盗難防止ユニット460をメインシート420に近い位置に配置しているが、メインシート420の撓みが小さく、メインシート420と盗難防止ユニット460とが干渉することはない。メインシート420と盗難防止ユニット460との間隔が狭いため、アクセスが困難である。
【0128】
図30では、メインシート420の底部に設けられた被支持部445を実線で示している。被支持部445は、フレームなどに接触し、メインシート420およびライダーの荷重を受ける役割を有する。被支持部445の接触位置は、メインシート420の前部の中央位置に1箇所、連結フレーム441の左右端の2箇所、支持フレーム453の上端の2箇所およびリヤカバー430の前部の2箇所である。たとえば、支持フレーム453の上端の2箇所は、盗難防止ユニット460の左右両側でメインシート420の荷重を受ける構造であるので、メインシート420が撓んだ場合にも、盗難防止ユニット460の上方のメインシートの撓みが小さい。盗難防止ユニット460をメインシート420の下部近くに配置でき、車体が大型化することを抑制できる。メインシート420と盗難防止ユニット460が干渉することはない。
【0129】
メインシート420の取付部422の配置は、盗難防止ユニット460より前方側である。支持フレーム453の上端の2箇所およびリヤカバー430の前部の2箇所の被支持部445は、盗難防止ユニット460より後部側である。これにより、メインシート420が撓んだ場合にも盗難防止ユニット460とメインシート420の底部とが干渉することはない。
【0130】
{変形例}
本発明の固定部として、上記実施の形態において例を挙げて説明したが、固定部の構造は限定されるものではない。フック式、差込式あるいはボルト等で固定するようにしてもよいし、第1の実施の形態のようにロック構造で固定するようにしてもよい。
【0131】
上記の実施の形態においては、ユニットは、側面視で車体フレームに重なる位置に配置したが、側面視で、車体フレームよりも上方に配置してもよい。ユニットの一部が側方に位置していればよく、一部がフレームの下方に位置していてもよい。つまり、ユニット全体が車体フレームよりも下方に位置していなけれればよい。ユニットが車体フレームの側方または上方に位置することで、GPS信号の受信感度が低下することを抑制できる。
【0132】
本発明の被支持部の位置と固定部の位置の組合せを、上記の実施の形態において、いくつかの例を挙げて説明したが、位置の組み合わせは実施の形態の構造に限定されない。
【0133】
本発明の固定部の位置は実施の形態の構造に限定されない。実施の形態で複数の固定部を例に挙げて説明したが、ユニットの位置によって例に挙げたうちのどの固定部を利用してもよい。
【0134】
上記の実施の形態においては、ユニットは、シート取付部とシートの後端との間に配置されている。具体的には、シート取付部とシートの後端との中間位置よりも前方に配置された。別の例として、ユニットはシート取付部より前方に位置していてもよい。その場合は、ユニットの位置がシート取付部とシートの前端との中間より後方にあればよい。ただし、シートの前方に燃料タンクがある場合は、シート後部の下方にユニットを配置する方が好ましい。シート前部の下方にユニットを配置する場合と比べて、GPS信号の受信環境に関して燃料タンクによる影響が少なく、GPS信号の受信感度の低下を防げるからである。
【0135】
{各実施の形態の効果}
本発明に係る自動二輪車は、車体フレームの上方に座席シートを備える。本発明のユニットである盗難防止ユニットは、座席シートの下方で、平面視でサイドフレームの間、かつ、側面視でサイドフレームと重なる位置あるいはサイドフレームより上方位置に、側面視より平面視の面積が大きくなるように配置されている。座席シートは、車体フレームが備えるシート取付部に対してシートを固定する固定部を含む。ユニットは、車両の前後方向に関して、シート取付部の位置と座席シートの後端位置との中間位置よりも前方に配置される。あるいは、ユニットは、車両の前後方向に関して、シート取付部の位置と座席シートの前端位置との中間位置よりも後方に配置される。
【0136】
ユニットの側方またはユニットよりも下方にサイドフレームが位置するため、高い受信感度を確保できる。ユニットは、座席シートの下方で、サイドフレームと同じ高さまたはサイドフレームよりも上方に配置されるため、ユニットは上下方向で座席シートと近い位置に配置される。ユニットを座席シートが固定されるシート取付部の近くに配置したため、ライダーが乗車した場合にも座席シートの下方への撓みが小さい位置にユニットを配置することができる。ユニットを側面視より平面視の面積が大きくなるように配置したので、車両が大型化することを抑制できる。ユニットは上下方向で座席シートと近い位置に配置され、座席シートが固定されるシート取付部の近くに配置されるため、外部からのアクセスを困難とすることができる。以上により、ユニットを搭載した自動二輪車であって、GPS信号の受信感度の低下を抑制しながら、車体を大きくさせることなく、ユニットをアクセス困難な場所に搭載することができる。
【0137】
さらに、ユニットの側方にサイドフレームが位置する場合、左右方向からユニットが保護されるとともに、サイドフレームにより側方からのアクセスが困難となる。ユニットを、座席シートの下方で、サイドフレームの側方に配置することで、よりアクセスが困難な場所にユニットを配置することができる。
【0138】
第1、第2および第4の実施の形態の自動二輪車においては、固定部と被支持部のうち一方はユニットより前方に位置し、他方はユニットより後方に位置する。固定部と被支持部は、車体フレームに支持される。固定部と被支持部の回りは座席シートの撓みが小さくなる。ユニットの前方と後方に固定部と被支持部を配置するため、ユニットの上方に位置する座席シートの撓みを小さくすることができる。ユニットを上方に配置しても、車体の大型化を抑制しながら座席シートとユニットとの距離を確保できる。
【0139】
第1および第2の実施の形態の自動二輪車においては、被支持部は、車両の前後方向に関してユニットと重なる位置に配置される。言い換えると、側面視で、ユニットの前端を通り地面と垂直な線と、ユニットの後端を通り地面と垂直な線と、の間に被支持部が配置される。被支持部は車体フレームに支持される。被支持部の回りは座席シートの撓みが小さくなる。ユニットの左右に被支持部が位置するため、ユニットの上方に位置する座席シートの撓みを小さくすることができる。ユニットを上方に配置しても、車体の大型化を抑制しながら座席シートとユニットとの距離を確保できる。
【0140】
さらに、第2の実施の形態の自動二輪車においては、被支持部は、車両の前後方向及び上下方向に関してユニットと重なる位置に配置される。言い換えると、被支持部は、側面視で、ユニットの前端を通り地面と垂直な線とユニットの後端を通り地面と垂直な線との間に配置される。また、被支持部は、ユニットの上端を通り地面と水平な線とユニットの下端を通り地面と平行な線との間に、配置される。さらに言い換えると、側面視でユニットと被支持部が重なる位置に配置される。被支持部がユニットの側方に位置するため、側方からユニットへアクセスすることを困難にすることができる。
【0141】
第1、第2および第4の自動二輪車においては、車体フレームは、車両の左右方向に延び、サイドフレームを連結する連結フレームを含み、シート取付部は、連結フレームに設けられている。座席シートはサイドフレームより車両左右方向に関して中央よりの位置で固定される。ユニットは平面視で左右のサイドフレームの間に配置される。ユニットとシート取付部は車両左右方向で近い位置に配置される。そのため、ユニットへのアクセスを困難とすることができる。
【0142】
第3の実施の形態の自動二輪車においては、ユニットは、車両前後方向に関してシート取付部と重なる位置に配置される。言い換えると、側面視で、ユニットの前端を通り地面に垂直な線とユニットの後端を通り地面に垂直な線の間に、シート取付部が配置される。シート取付部とユニットとの距離が近いため、車両を大型化することを抑制しながら、ユニットへのアクセスを困難とすることができる。
【0143】
第1、第2および第4の実施の形態の自動二輪車において、ユニットは、車両の左右方向に関してシート取付部と重なる位置に配置される。言い換えると、正面視でユニットの右端を通り地面に垂直な線とユニットの左端を通り地面に垂直な線の間に、シート取付部が配置される。シート取付部とユニットとの距離が近いため、ユニットへのアクセスを困難とすることができる。
【0144】
さらに第2および第4の自動二輪車においては、ユニットは、車両の左右方向及び上下方向に関してシート取付部と重なる位置に配置される。言い換えると、シート取付部は、正面視でユニットの右端を通り地面に垂直な線とユニットの左端を通り地面に垂直な線の間に配置される。また、シート取付部は、正面視でユニットの上端を通る水平線とユニットの下端を通る水平線の間に配置される。さらに言い換えると、シート取付部は正面視でユニットと重なる位置に配置される。ユニットへのアクセスをさらに困難とすることができる。
【0145】
第1、第2および第3の実施の形態の自動二輪車は、ユニットの下方に配置される後輪と、後輪とユニットの間に位置し、下端が後方かつ上方に延びる車体カバーとを備える。下縁が後方かつ上方に延びる車体カバーの上方で、フレームと側面視で重なる位置に配置するため、車両を大型化することなく、ユニットを配置できる。
【0146】
第2の実施の形態の自動二輪車においては、側面視で、ユニットとシートとが重なる。ユニットと座席シートを近づけることができ、アクセスを困難にできるとともに、車両大型化を抑制できる。
【符号の説明】
【0147】
100、200、300、400 自動二輪車
118、218、318、418 車体フレーム
121、423 固定部材(固定部)
140、240、340、440 サイドフレーム
141、241、341、441 連結フレーム
142、2411、442、443 シート取付孔(シート取付部)
160、260、360、460 盗難防止ユニット
221、422 取付部(固定部)
321 取付孔(固定部)
343 取付フック(シート取付部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延びる左右一対のサイドフレームを有する車体フレームと、
前記車体フレームの上方に配置されるシートと、
GPS信号を受信するためのアンテナが内蔵されており、前記シートの下方で、平面視で前記サイドフレームの間、かつ、側面視で前記サイドフレームと重なる位置または前記サイドフレームより上方の位置に、側面視より平面視の面積が大きくなるように配置されたユニットと、を備え、
前記シートは、
前記車体フレームが備えるシート取付部に対して前記シートを固定する固定部、を含み、
前記ユニットは、車両の前後方向に関して、前記シート取付部の位置と前記シートの後端位置との中間位置よりも前方、または、前記シート取付部の位置と前記シートの前端位置との中間位置よりも後方に配置される自動二輪車。
【請求項2】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記シートは、
前記車体フレームに接触することにより支持される被支持部、を含み、
前記固定部と前記被支持部のうち一方は前記ユニットより前方に位置し、他方は前記ユニットより後方に位置する自動二輪車。
【請求項3】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記シートは、
前記車体フレームに接触することにより支持される被支持部、を含み、
前記被支持部は、車両の前後方向に関して前記ユニットと重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項4】
請求項3に記載の自動二輪車であって、
前記被支持部は、車両の上下方向に関して前記ユニットと重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項5】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記車体フレームは、
車両の左右方向に延び、前記サイドフレームを連結する連結フレーム、を含み、
前記シート取付部は、前記連結フレームに設けられる自動二輪車。
【請求項6】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記ユニットは、車両の前後方向に関して前記シート取付部と重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項7】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記ユニットは、車両の左右方向に関して前記シート取付部と重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項8】
請求項7に記載の自動二輪車であって、
前記ユニットは、車両の上下方向に関して前記シート取付部と重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項9】
請求項1に記載の自動二輪車であって、さらに、
前記ユニットの下方に配置される後輪と、
前記後輪とユニットの間に位置し、側面視で下端が後方かつ上方に延びる車体カバーと、
を備える自動二輪車。
【請求項10】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
側面視で、前記ユニットと前記シートとが重なる自動二輪車。
【請求項1】
車両の前後方向に延びる左右一対のサイドフレームを有する車体フレームと、
前記車体フレームの上方に配置されるシートと、
GPS信号を受信するためのアンテナが内蔵されており、前記シートの下方で、平面視で前記サイドフレームの間、かつ、側面視で前記サイドフレームと重なる位置または前記サイドフレームより上方の位置に、側面視より平面視の面積が大きくなるように配置されたユニットと、を備え、
前記シートは、
前記車体フレームが備えるシート取付部に対して前記シートを固定する固定部、を含み、
前記ユニットは、車両の前後方向に関して、前記シート取付部の位置と前記シートの後端位置との中間位置よりも前方、または、前記シート取付部の位置と前記シートの前端位置との中間位置よりも後方に配置される自動二輪車。
【請求項2】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記シートは、
前記車体フレームに接触することにより支持される被支持部、を含み、
前記固定部と前記被支持部のうち一方は前記ユニットより前方に位置し、他方は前記ユニットより後方に位置する自動二輪車。
【請求項3】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記シートは、
前記車体フレームに接触することにより支持される被支持部、を含み、
前記被支持部は、車両の前後方向に関して前記ユニットと重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項4】
請求項3に記載の自動二輪車であって、
前記被支持部は、車両の上下方向に関して前記ユニットと重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項5】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記車体フレームは、
車両の左右方向に延び、前記サイドフレームを連結する連結フレーム、を含み、
前記シート取付部は、前記連結フレームに設けられる自動二輪車。
【請求項6】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記ユニットは、車両の前後方向に関して前記シート取付部と重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項7】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
前記ユニットは、車両の左右方向に関して前記シート取付部と重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項8】
請求項7に記載の自動二輪車であって、
前記ユニットは、車両の上下方向に関して前記シート取付部と重なる位置に配置される自動二輪車。
【請求項9】
請求項1に記載の自動二輪車であって、さらに、
前記ユニットの下方に配置される後輪と、
前記後輪とユニットの間に位置し、側面視で下端が後方かつ上方に延びる車体カバーと、
を備える自動二輪車。
【請求項10】
請求項1に記載の自動二輪車であって、
側面視で、前記ユニットと前記シートとが重なる自動二輪車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2010−120627(P2010−120627A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215240(P2009−215240)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
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