説明

自動会話制御システム及び自動会話制御方法

【課題】会話文の送受信による自動会話制御システム及び自動会話制御方法に関し、オペレータ介在制御処理を選択制御可能とする。
【解決手段】利用者の端末1からインターネット2を介してWebサイト3へのアクセス時に、アクセスタグにより自動的に会話処理サイト4にアクセスして、ブラウザ画面15に会話ウインドウ16をポップアップさせ、この会話ウインドウ16を介して会話処理サイト4との間で会話文の送受信による自動会話を継続し、会話処理サイト4の会話サーバ10は、会議制御マスター11と会話集12とを参照して会話文による自動会話を継続し、介入マスター13を参照して、オペレータ介入の要否を判定し、オペレータ介入要と判定した時に、オペレータ操作端末へ介入通知を行い、受信会話文に対する応答会話文をオペレータにより入力して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを介して接続した利用者の端末のブラウザ画面に会話ウインドウをポップアップさせ、その会話ウインドウを介して、自然会話に近い形式の会話文を用いた会話とオペレータ介在による会話文を用いた会話とを自動切替制御によって混在可能とした自動会話制御システム及び自動会話制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電話回線を介して利用者からサービス提供者に対して音声による各種の問合せを行い、それに対して、サービス提供者から音声によって応答する問合せ応答システムは、各種の分野で利用されている。このような問合せ応答システムに於けるサービス提供者側を、音声認識機能と音声合成機能と自動応答処理機能とを含むコンピュータ処理システムによって構築し、問合せに対する応答処理を、オペレータを介在させることなく自動処理するシステムも既に各種提案されている。又コンピュータを含むネットワークシステムを利用したコミュニケーション手段として、例えば、チャットが知られており、これは比較的短い文章を文字データとして送受信するものであり、音声認識手段を必要としない相互通信システムを示すものとなる。又各種のコミュニケーション手段として、オペレータが介在する場合は、一般的には柔軟で且つ臨機応変な対応が可能となるが、24時間継続してサービス提供を行う場合は、システム運用コストの増加が問題となり、且つオペレータ数に従った同時通信を提供できるが、それ以上の利用者の要求に対しては、空きができるまで、待ち合わせとなる問題がある。これに対して、コンピュータ処理による自動応答手段を適用して、オペレータが介在しないシステム構成とすると、オペレータ介在による問題点は解決するが、一般的には、柔軟且つ臨機応変な対応は困難となる場合が多く、又画一的な応答となるか、或は、利用者に対して再入力要求を繰り返し、結果的には利用者が中止する場合が多くなる。
【0003】
又コンピュータを利用した自動会話システムを構築するには、会話シナリオを定めることが重要な作業の一つであり、この会話シナリオを定める方法として、W3C(World Wide Web Consortium)勧告のVoice XML(Extensible Markup Language)が知られている。これはXMLをベースとして、音声応答の記述を標準化したもので、会話シーケンスを想定し、入力としての人間側発話(入力)と、コンピュータ側発話(応答)と、それらの制御を定めている。従って、会話目的が明らかな場合は、これを適用することが容易であるが、会話目的が明らかでないものに対して適用することは容易ではない。又このVoice XMLは、音声応答の手順書(プログラム)であり、一般の人々には、これを簡単に変更することは困難である。
【0004】
又各種の企業や自治体等を含めて、インターネット上のWebサイトに各種の情報を掲載し、一般の利用者がアクセスすることにより、その情報の伝達を図っている。従って、利用者の問合せに対してオペレータが応答するシステムよりも、Webサイトの構築により、各種情報を伝達するシステムは、運用が容易で且つ経済的な構成とすることが可能である。しかし、利用者が必要としている情報は多種多様であり、従って、画一的な提供内容のWebサイトのみでは、多数の利用者が要望する各種の情報を確実且つ充分な内容で迅速に提供することは困難である。又このような各種情報の伝達システムに於いては、利用者が各種の検索キーを順次変更して入力することが必要となる場合が一般的であり、又このような入力操作の繰り返しによって、必ずしも利用者が要望する情報が得られる保証はない。そこで、利用者対応の要望事項に基づいた情報を提供可能とするシステムが要望されることになる。
【0005】
このような要望に対応して、インターネット上のホームページに関する情報を格納したデータベースを構築し、利用者からの自然会話形式の入力文に対して、形態素解析、構文解析、格文法解析、語彙分析等の処理を行って、入力文の意味内容を認識し、それに基づいたホームページに関する情報を回答文として提供する手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。又利用者の端末とネットワークを介して接続した各種サービスを提供するサーバとを含むシステムを構築し、利用者側からの自然会話形式による入力文に対して、サーバ側から応答文とその内容に応じた動作指示情報とを送出し、利用者の質問内容等を誘導することにより、利用者に対して回答する手段も提案されている(例えば、特許文献2参照)。又利用者からの質問等の入力音声を音声認識手段による言語モデルに基づいて入力文に変換し、その入力文に対する応答文を、会話シナリオに基づいて生成して応答すると共に、会話継続に対応して会話シナリオを順次追加構築する手段も提案されている(例えば、特許文献3参照)。又利用者からの各種の要望や質問を会話サーバにより受付け、会話シナリオ等に基づいて自動応答し、質問等に対する適当な応答文が会話シナリオに含まれていない場合は、利用者からの質問内容を専門家の端末装置へ転送し、その専門家からの回答文を受信して、その回答文を利用者へ送信すると共に、会話シナリオに追加する手段も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−108589号公報
【特許文献2】特開2010−15266号公報
【特許文献3】特開2010−48980号公報
【特許文献4】特開2010−73191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インターネットを介して利用者とサービス提供者との間で、会話文による質問と応答とを交互に繰り返すことにより、利用者の要求に対して応答可能としたシステムは、コンピュータ処理による自動会話システムと、オペレータ介在によるオペレータ会話システムとに大別することができる。この後者のオペレータ会話システムは、基本的には、利用者とオペレータとの間のチャット通信方式に相当し、又前者のコンピュータ処理による自動会話システムは、利用者からのリクエストに対して、サーバ側で処理した結果を応答するHTTP(Hypertext Transfer Protocol)通信方式に相当する。このように、両者の通信方式は、基本的には異なるので、統合して自動会話システムを構築することは容易ではない。又このような点については、前述の特許文献1〜4には解決手段を示唆する内容は含まれていない。なお、前述の特許文献4に於いては、利用者の質問内容に対する応答内容が、会話サーバの会話シナリオに含まれていない場合、その質問内容に対して応答できないとして、専門家の端末装置へ利用者からの質問内容を転送し、その専門家から応答させて、その場合の送受信による会話内容を会話ログとして記憶させることを示しているが、その場合、利用者からの質問内容が会話シナリオに含まれていないとの判断処理だけで、オペレータに相当する専門家の端末装置に対して、その質問内容を転送するものであり、画一的な切替えの処理であって、円滑な会話継続とは大きな相違がある。又専門家からの応答は、利用者に対するリアルタイム性を保証するものではなく、会話サーバによる自動会話の継続とは異なった制御処理形態を示すことになる。
【0008】
本発明は、利用者とインターネットを介してサービス提供側との間で、自動会話システムとオペレータ会話システムとを融合したシステムを構成し、会話文による自動会話をベースとして運用して、状況に応じてオペレータ介在により自動会話を補完することを可能とし、又自然会話に近い状況による自動会話の継続を可能とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自動会話制御システムは、利用者の端末からインターネットを介してWebサイトに対してアクセスし、該アクセス時のアクセスタグにより自動的にアクセスして、前記利用者の端末のブラウザ画面に会話ウインドウをポップアップさせ、該会話ウインドウを介して会話文の送受信により自動会話を可能とする会話処理サイトを含む自動会話制御システムであって、前記会話処理サイトは、会話サーバと、データベースと、インターネットを介して会話文を送受信する為のWebサーバとを含み、前記会話サーバは、前記利用者の端末との間で送受信した会話文を前記利用者の端末対応に記録する会話プール部と、前記利用者の端末からの会話文を解析して該利用者の端末へ応答する会話文を作成する自動会話制御部と、この自動会話制御部による制御処理内容と前記データベースの介入マスターとを基にオペレータ介入の要否を判定し、オペレータ介入要の時に前記オペレータが操作して会話文を作成する端末に介入通知を送出する介入制御部とを含む構成とを備えている。
【0010】
又前記会話サーバの前記自動会話制御部は、会話文の解析を行う形態素解析部と、会話のシナリオに基づいて前記利用者の端末からの会話文に対して応答する為の会話文を作成する会話制御処理部とを備え、前記データベースは、前記形態素解析部により参照する語彙辞書と、想定会話シーケンスに対応する会話文を示す情報と制御方法を示す情報とを保持する会話制御マスターと、前記利用者に対して想定応答会話文を含む情報を保持する会話集と、前記介入制御部から参照してオペレータの介入の要否を判定する為のシナリオ対応の判定情報を保持する介入マスターとを含む構成を備えている。
【0011】
又本発明の自動会話制御方法は、利用者の端末からインターネットを介してWebサイトにアクセスして表示するブラウザ画面に、アクセスタグにより自動的に会話処理サイトにアクセスして会話ウインドウをポップアップさせ、該会話ウインドウを介して前記利用者の端末と前記会話処理サイトとの間で会話文の送受信により自動会話を実行する自動会話制御方法であって、前記会話処理サイトは、会話サーバと、会話制御マスターと会話集と介入マスターとを含むデータベースと、インターネットを介して会話文を送受信する為のWebサーバとを備え、前記会話サーバは、送受信会話文を記録する会話プール部と自動会話制御部と介入制御部とを備え、前記利用者の端末のブラウザ画面にポップアップさせた前記会話ウインドウに会話文を入力して送信し、この会話文を受信した前記会話サーバは、前記会話プール部に記録すると共に前記自動会話制御部により前記データベースを参照して、前記受信した会話文に応答する会話文を形成し、前記会話プール部に記録すると共に前記利用者の端末へ送信する処理過程と、前記利用者の端末から受信した会話文に対して応答する為の前記処理過程に於いて、オペレータ介入の要否を前記データベースの前記介入マスターを参照して前記介入制御部により判定し、オペレータの介入を要すると判定した時、前記介入制御部からオペレータの端末へ前記利用者の端末からの会話文を含めて介入通知を送出する処理過程とを含むものである。
【0012】
又前記利用者の端末と前記会話処理サイトとの間の会話文による会話中に、前記介入マスターを参照して前記介入制御部から前記オペレータの介入による前記利用者の端末との間の会話文による会話処理過程に於いて、前記介入マスターを参照する前記介入制御部の制御又は前記オペレータ介入による該オペレータの判断により、前記利用者の端末と前記会話サーバとの間の会話文の送受信による会話に戻る処理過程を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
利用者の端末のブラウザ画面にポップアップさせた会話ウインドウを介して、会話処理サイトとの間の会話文の送受信により、自然会話に近い自動会話を継続可能とし、会話処理サイトの会話サーバによる制御処理のみでは不充分と判断した時に、オペレータ介入により、利用者の要望に対応した会話文を作成して送出することが可能であり、従って、利用者に対するサービス向上を図ることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1のシステム構成の概要説明図である。
【図2】本発明の実施例1の会話処理サイトの説明図である。
【図3】本発明の実施例1の会話プール部と介入マスターとの処理内容説明図である。
【図4】本発明の実施例1の会話の木構造の説明図である。
【図5】本発明の実施例1の会話制御と会話集との説明図である。
【図6】本発明の実施例1の挨拶一般の会話の木構造の説明図である。
【図7】本発明の実施例1のフローチャートである。
【図8】本発明の実施例1の自動会話処理の概要のフローチャートである。
【図9】本発明の実施例1の自動会話処理の概要のフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1の語彙照合スコア算出の説明図である。
【図11】本発明の実施例1のシナリオ類似スコア算出の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の自動会話制御システムは、図1及び図2を参照して説明すると、利用者の端末1からインターネット2を介してWebサイト3に対してアクセスし、このアクセス時のアクセスタグにより自動的にアクセスして、利用者の端末1のブラウザ画面15に会話ウインドウ16をポップアップさせ、この会話ウインドウ16を介して会話文の送受信により自動会話を可能とする会話処理サイト4を含む自動会話制御システムであって、会話処理サイト4は、会話サーバ10と、データベースと、インターネットを介して会話文を送受信する為のWebサーバ9とを含み、前記会話サーバ10は、前記利用者の端末1との間で送受信した会話文を前記利用者の端末1対応に記録する会話プール部22と、前記利用者の端末1からの会話文を解析して、その利用者の端末1へ応答する会話文を作成する自動会話制御部24と、この自動会話制御部24による制御処理内容と前記データベース20の介入マスター13とを基にオペレータ介入の要否を判定し、オペレータ介入要の時に前記オペレータが操作して会話文を作成する端末に介入通知を送出する介入制御部27とを含む構成とを備えている。
【0016】
本発明の自動会話制御方法は、図1及び図2を参照して説明すると、利用者の端末1からインターネット2を介してWebサイトにアクセスして表示するブラウザ画面15に、アクセスタグにより自動的に会話処理サイト4にアクセスして会話ウインドウ16をポップアップさせて、この会話ウインドウ16を介して利用者の端末1と会話処理サイト4との間で会話文の送受信により自動会話を実行する自動会話制御方法であって、会話処理サイト4は、会話サーバ10と、会話制御マスター11と会話集12と介入マスター13とを含むデータベース20と、インターネット2を介して会話文を送受信する為のWebサーバ9とを備え、前記会話サーバ10は、送受信会話文を記録する会話プール部22と自動会話制御部24と介入制御部27とを備え、前記利用者の端末1のブラウザ画面15にポップアップさせた会話ウインドウ16に会話文を入力して送信し、この会話文を受信した前記会話サーバ10は、前記会話プール部22に記録すると共に前記自動会話制御部24により前記データベース20を参照して、前記受信した会話文に応答する会話文を形成し、前記会話プール部22に記録すると共に前記利用者の端末1へ送信する処理過程と、前記利用者の端末1から受信した会話文に対して応答する為の前記処理過程に於いて、オペレータ介入の要否を前記データベース20の前記介入マスター13を参照して前記介入制御部27により判定し、オペレータの介入を要すると判定した時、前記介入制御部27からオペレータの端末へ、前記利用者の端末1からの会話文を含めて介入通知を送出する処理過程とを含むものである。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1のシステム構成の概要説明図であり、1は利用者(クライアント)の端末、2はインターネット、3は企業サイト(既存サイト)、4は会話処理サイトを示す。又15は端末1の画面に表示されたクライアントブラウザ画面、16は会話ウインドウのそれぞれ一例を示す。企業サイト3は、(既存サイト)として示すように、既存の各種企業等のサイトであり、インターネット2を介して送受信処理する為のルータ5と、Webサーバ6と、オペレータが操作する複数の端末7とを含む構成を有する場合を示し、又会話処理サイト4は、インターネット2を介して送受信処理する為のルータ8と、Webサーバ9と、会話サーバ10と、会話制御マスター11と、会話集12と、介入マスター13とを含む構成を備え、企業サイト3と同様に、オペレータが操作する単一又は複数の端末を設けることもできる。この会話処理サイト4は、企業サイト3対応に設けることも可能であるが、複数の各種企業サイトに対して共通的に設けることにより、各種のカテゴリーの会話集を構築することが可能である。このような会話処理サイト4によって、利用者は、端末1のクライアントブラウザ画面15の中の会話ウインドウ16を介して、自然会話形式に基づいた会話文の送受信による自動会話を継続可能とする。又この自動会話継続中に於いて、オペレータ介在による会話文の送受信による会話に移行するか否かについては、介入マスター13の機能を利用して会話サーバ10により判断し、オペレータ介入会話に切替えることが好適と判断した場合に、オペレータ介入通知をオペレータの端末へ通知して、オペレータ介入による会話文の送受信による会話を、引き続き、端末1の会話ウインドウ16を介して利用者は継続することができる。又オペレータ側の判断又は会話サーバ10側の判断により、元の自動会話継続の状態に戻ることも可能であり、従って、臨機応変な切替えにより会話文送受信による自動会話を補完して継続することができる。
【0018】
又企業サイト3のHTML(Hypertext Markup Language)に、会話処理サイト4へのアクセスタグ(例えば、“embed tag”として知られているタグ)を埋め込むことにより、利用者の端末1からインターネット2を介して企業サイト3にアクセスすると、利用者の端末1に、企業サイト3からの応答によるクライアントブラウザ画面15が表示されると共に、埋め込みアクセスタグに従って会話処理サイト4からダウンロードされた会話ウインドウ16が表示される。図示状態は、クライアントブラウザ画面15と会話ウインドウ16とを区別し易いように、ずらした状態で図示している。この会話ウインドウ16は、利用者の端末1に対しては、恰も、クライアントブラウザ画面15にポップアップされた状態となる。利用者は、この会話ウインドウ16を介して、質問や要望等の会話文を入力して送信ボタンをクリックすると、その会話文は、インターネット2を介して会話処理サイト4へ送信され、この会話処理サイト4の会話サーバ10の処理による回答内容の会話文が、利用者の端末1へ転送されて、会話ウインドウ16に表示される。図示の状態は、ポップアップされた会話ウインドウ16に、受信文表示エリアと送信文表示エリアと送信ボタンとを含み、受信文表示エリアに、会話処理サイト4からの「何か御用はありますか?」と、送信文表示エリアに、利用者の端末1から入力した「サービスについて質問しますがよろしいですか?」とを表示した状態を示し、利用者の端末1により入力した会話文は、送信ボタンをクリックすることにより、インターネット2を介して会話処理サイト4へ送信される。
【0019】
又会話処理サイト4の会話サーバ10は、会話制御マスター11、会話集12、介入マスター13等の機能を利用して、利用者の端末1との間でインターネット2を介して会話文による自動会話を継続する制御処理を実行するもので、この自動会話継続中に、利用者に対して適切な応答が困難等の状態を、前述のように、介入マスター13を参照して会話サーバ10により判断し、例えば、企業サイト3のオペレータが操作する端末7に対して介入通知を送出すると共に、受信した質問内容等を転送する。この質問内容に対してオペレータが端末7の操作によって回答文を入力すると、その企業サイト3から又は一旦会話処理サイト4へ転送して、その会話処理サイト4から利用者の端末1へ転送する。その後は、オペレータから会話処理サイト4側への応答処理終了等の通知により、再び会話処理サイト4と利用者の端末1との間で、会話文による自動会話を継続することができる。なお、会話ウインドウ16は、利用者が必要としない場合、図示を省略した消去ボタンのクリックにより、クライアントブラウザ画面15から消去することができる。又端末とそれを操作するオペレータとは、会話処理サイト4内に配置することも可能である。
【0020】
図2は、前述の会話処理サイト4の説明図であり、図1と同一符号は、同一機能部分を示し、14は語彙辞書、20はデータベース、21は会話メンテナンス部、22は会話プール部、23は会話監視部、24は自動会話制御部、25は会話制御処理部、26は形態素解析部、27は介入制御部、28はブラウザ制御部、30はオペレータが操作し、会話文の送受信を行う端末を含む会話クライアントを示す。なお、図1に於けるルータ8の構成は図示を省略している。又図1に示す会話ウインドウ16は、利用者(クライアント)の端末1(図1参照)のクライアントブラウザ画面15にポップアップされ、その端末1のブラウザ制御部28を含む制御処理機能により、会話ウインドウ16を介して、会話処理サイト4との間で、会話文による自動会話を継続することができるもので、会話ウインドウ16とブラウザ制御部28とは、利用者の端末1(図1参照)の機能を示すものとなる。又会話処理サイト4は、Webサーバ9と会話サーバ10とデータベース20と会話メンテナンス部21とを含み、会話サーバ10は、会話プール部22と会話監視部23と自動会話制御部24と介入制御部27とを含み、自動会話制御部24は、会話制御処理部25と形態素解析部26とを含み、データベース20は、会話制御マスター11と会話集12と介入マスター13と語彙辞書14とを含む構成を備えている。なお、会話クライアント30は、図1に於けるオペレータ操作用の端末7に相当し、企業サイト3(図1参照)に対するアクセス時の質問内容は、企業サイトを提供する企業側のオペレータによる応答が通常は適切な内容となる場合が多いと推測する場合は、会話クライアント(オペレータ)30は、企業サイト側に配置することが好適であるが、会話処理サイト4側に配置することも勿論可能である。又会話クライアント(オペレータ)30と会話ウインドウ(利用者)16との間の送受信文は、会話処理サイト4の会話サーバ10の会話プール部(メモリ)22に記録される。
【0021】
又会話サーバ10の会話プール部22は、メモリ構成であって、利用者側と会話処理サイト4との間の会話の内容や状態等を複数の利用者対応に記録するものであり、会話監視部23は、会話プール部22の記録内容を含めて、会話状態を監視する機能を有するものである。又自動会話制御部24は、会話制御処理部25と形態素解析部26とを含み、データベース20の会話制御マスター11、会話集12、語彙辞書14を参照して、会話文による自動会話の継続処理制御を行う。この会話制御マスター11と会話集12との内容は、会話メンテナンス部21によって内容の追加や修正等を行うことができる。又介入制御部27は、自動会話制御部24に於ける自動会話制御処理過程に於いて、データベース20の介入マスター13を参照して、オペレータ介入の要否を判定し、介入を必要とする場合は、会話クライアント30に介入通知を送出する。この場合の介入通知は、会話クライアント30に対して介入制御部27から直接的に行う構成として示しているが、図1に示す企業サイト3と会話処理サイト4との接続構成に対応して、直接的或はインターネット2を介した経路により介入通知を転送する。
【0022】
図3は、本発明の実施例1の会話プール部と介入マスターとの処理内容説明図であり、1Aは利用者入出力部で、図1に於ける利用者の端末1の入出力部を示す。又13は介入マスター、22は会話プール部、24は自動会話制御部、27は介入制御部、30Aはオペレータ入出力部で、図1に於けるオペレータの端末7又は図2に於ける会話クライアント30の端末に相当する。会話プール部22は、<会話プールヘッダー情報>として、例えば、会話ID(会話識別子)対応(即ち、利用者対応)に、会話中、対応区分、介入点数等の複数の記録項目を含み、その会話中の「断」は会話断の状態、「中」は会話継続中の状態を示し、又対応区分の「C」はコンピュータ(前述の会話サーバ10の処理機能を構成するコンピュータを示す。以下同様)の制御処理による会話文を用いた自動会話を示し、「P」はオペレータの介在処理による会話文を用いた会話を示し、介入点数は、会話内容に対応した点数を示す。又前述の会話ID対応に、<会話プール詳細情報>が記録されるもので、会話IDと、会話SEQ(会話シーケンス番号)と、会話方向と、オペID(オペレータ識別子)と、シナリオと、コンピュータ/オペレータ文と、利用者文とを含み、会話方向の「C」はコンピュータから利用者へ、「U」は利用者からコンピュータへ、「P」はオペレータから利用者への会話文の転送方向を示す。
【0023】
又介入マスター13は、データベース20(図2参照)の一部を構成するもので、シナリオ、利用者文検索結果、キーワード、介入点数、戻り先等の項目を含む場合を示し、例えば、シナリオの「挨拶1」による利用者文検索結果がアンマッチの場合、戻り先のシナリオとして「挨拶2」、その場合の介入点数は3とし、シナリオの「商品1」の場合のキーワードが「洋服 欲しい」の時、利用者文がこのキーワードに一致する内容を含む場合の介入点数は10、戻り先はシナリオの「挨拶2」とした場合を示し、介入点数が10以上となる場合、介入制御部27は自動会話制御部24とオペレータ入出力部30Aとにオペレータ介入通知を行う。このオペレータ介入通知によって起動されたオペレータ入出力部30Aに対して、会話プール部22に記録された直前を含む所定範囲の会話文を、介入通知と共に転送する。オペレータ入出力部30Aに於いては、通知された会話文により、介入通知直前までの状態を認識可能となるから、それに対応した応答文を作成して送出することができる。例えば、会話プール部22に記録された<会話プール詳細情報>の会話ID=3、会話SEQ=04、会話方向=Uのシナリオが「商品1」、利用者文が「ピンクの洋服が欲しい。」であった場合、介入マスター13のシナリオの「商品1」のキーワードの「洋服 欲しい」にマッチし、その場合の介入点数は10に設定されているから、介入制御部27は、前述のように、オペレータ介入通知を前述のように送出することになる。なお、介入マスターには、シナリオとして、更に多数の会話状況に応じた内容を設定することが可能である。
【0024】
図4は、本発明の実施例1の会話の木構造の説明図であり、或るシナリオ1に対するコンピュータ文と利用者文との関係について示すもので、コンピュータ文は、コンピュータ側(前述の会話処理サイト4側)から利用者に対して送出する会話文に相当し、又利用者文は、利用者の端末1から会話処理サイト4に対して送出する会話文に相当するものであって、複数の階層の木構造による比較的単純な会話モデルの場合を示す。なお、実際には、対応する利用者文が存在しない場合として、前述の制御種別のアンマッチや、無応答の場合があり、無応答の場合は、コンピュータ文として、繰り返し聞き直す会話シーケンスにシフトし、又利用者文の内容によっては、会話シナリオを変更する必要が生じる場合もあるが、図示を省略している。即ち、会話の木構造としては、図示の場合より複雑となる場合が一般的である。
【0025】
図5は、本発明の実施例1の会話制御と会話集との説明図であり、シナリオが“挨拶一般”の場合の[会話制御マスター]11(図1及び図2参照)と、[シナリオマスター]と、[会話集・コンピュータ文]と、[会話集・利用者文]とのそれぞれ一例を示すもので、[会話制御マスター]11は、XML形式により形成した一例の一部分のみを示している。又[シナリオマスター]は、シナリオNo.(複数種類のシナリオ対応に付加した番号)対応に、それぞれの名称と、業務性、娯楽性、話題性のそれぞれについての属性値(0〜10)とを対応させた属性とを含み、例えば、シナリオNo.1は、名称が挨拶一般、属性値は、業務性=7、娯楽性=4、話題性=4とした例を示す。又[会話集・コンピュータ文]は、シナリオNo.と、識別子IDと、コンピュータ文と、企業サイト紹介のURL(Uniform Resouce Locator)とを含む場合を示す。なお、URLは、シナリオNo.1の識別子ID=3については“URL1”、識別子ID=4については“URL2”として示している。又[会話集・利用者文]は、シナリオNo.1のID1,2,3,・・・対応の利用者文の一例を示している。
【0026】
図6は、本発明の実施例1の挨拶一般の会話の木構造の説明図であり、図4に示す場合と同様に、コンピュータ文(自動会話制御部24(図1参照)による会話文)と利用者文(利用者の端末1による会話文)とによる木構造を(A1),(A2),・・・として示す。挨拶一般として、例えば、図1に示すクライアントブラウザ画面15にポップアップさせた会話ウインドウ16に、コンピュータ文の「自動会話のマイナです、宜しく。何かお捜しですか?」(A1)を表示し、自動会話処理により利用者との間の会話が可能であることを通知する。なお、「マイナ」は、自動会話のシステムに付加した会話処理サイト4の名称の一例を示すものであり、従って、他の名称を使用することも可能である。このコンピュータ文に対する利用者文としては「はい」(A2)と「いいえ」(A10)との何れかが入力される場合を想定し、例えば、利用者文が「はい」の場合、コンピュータ文は、自動会話制御部24の制御処理により、「サービス名かキーワードを入力して下さい?」(A3)として、利用者へ送信され、前述の利用者の端末の画面15(図1参照)の会話ウインドウ16に表示される。そして、利用者からサービス名として、「データエントリーの解説ページを捜しています」(A4)が入力されると、図5の[会話集・コンピュータ文]のシナリオNo.1のID=3の「御案内します。データエントリーページを表示します」(A5)を送信し、次の(AA1)の処理として、企業サイト紹介のURL=URL1に従った既存サイトに自動遷移させて、利用者の端末15に所定のページを表示させることができる。
【0027】
又コンピュータ文の「サービス名かキーワードを入力して下さい?」(A3)に対して、利用者から「コンタクトセンターの解説ページを捜しています」(A6)が入力された場合、図5の[会話集・コンピュータ文]のシナリオNo.1のID=4の「御案内します。コンタクトセンターページを表示します」(A7)を送信し、次の(AA2)の処理として、URL=URL2に従った既存サイトに自動遷移させる。又ステップ(A1)のコンピュータ文に対して、利用者の「いいえ」(A10)を送信した場合、コンピュータ文の「それでは、御質問はありますか?」(A11)を送信し、利用者から「はい」(A12)或は「いいえ」(A15)が送信され、「はい」(A12)の場合は、コンピュータ文として「どのような御質問でしょうか?」(A13)を送信し、それに対する利用者から例えば「初期費用、月額利用料等のお値段関係について教えて下さい」(A14)が送信されると、それに対するコンピュータ文が選択されて利用者へ送信される。このように、会話の進行に従って、利用者の要求に対応した内容を表示する既存サイトに自動遷移させることも容易となる。そして、それに引き続き、利用者との間の会話文の送受信による自動会話を継続することができる。
【0028】
図7は、本発明の実施例1の会話プールと介入制御とのフローチャートを示し、利用者入出力部(図1の利用者の端末1と図2の会話プール部22との機能を含み、又図3の利用者入出力部1Aに相当する)と、自動会話制御部(図2の自動会話制御部24)と、介入制御部(図2の介入制御部27)と、オペレータ入出力部(図1のオペレータの端末7又は図2の会話クライアント30)とについて、ステップ(B1)〜(B20)により説明する。先ず利用者発話(B1)は、利用者の端末の会話ウインドウ16(図1参照)に利用者が会話文を入力して送信することを示し、その会話文(利用者文)を、インターネットを介して会話処理サイト4の会話プール部22(図2参照)へ転送して、会話プール登録(B2)し、利用者の発話通知(B3)を自動会話制御部24に対して行う。自動会話制御部24は、会話プール部22から該当する発話内容(利用者文)を取出し(B4)、オペレータ介入による対応中か否かを判定する(B5)。既にオペレータ介入による会話継続中の場合は、対応中として示すように、ステップ(B11)に移行し、オペレータ対応中でない場合は、自動会話中であるから、ステップ(B6)に移行する。
【0029】
自動会話中の場合のステップ(B6)に於いては、自動会話制御部24の会話制御処理部25と形態素解析部26とにより、利用者文の形態素解析と利用者文の検索とを行い、介入制御部27によりオペレータ介入の要否を判定する(B7)。オペレータ介入不要の判定の場合は、自動会話制御部24によるコンピュータ文発話のステップ(B16)へ移行し、オペレータ介入要の判定の場合は、介入させるオペレータを選択可能か否かの選択判定を行い(B8)、例えば、全てのオペレータがビジー状態で、対応不可能のような場合は、選択不可であるから、ステップ(B16)へ移行し、対応可能のオペレータが存在する場合は、選択可能であるから、介入制御部27からオペレータ入出力部(図2の会話クライアント30参照)へ通知する(B9)。オペレータ入出力部は、該当発話内容を取出して表示する(B11)。この場合の表示は、ステップ(B9)からの最初の発話内容又はステップ(B5)からの継続する発話内容を表示するもので、その表示内容に応答する為の発話、即ち、オペレータ介入による会話文の入力処理を継続するか終了とするかを判定する(B12)。
【0030】
オペレータ介入継続判定の場合は、オペレータが入力した会話文を会話プール部22に登録し(B13)、利用者入出力部へ発話通知を行う(B14)。又ステップ(B12)に於いて、オペレータ介入による会話文の入力処理を終了する判定の場合、自動会話制御部24に通知し、戻り先セット(B15)、例えば、図3に示す介入マスター13のシナリオ対応の戻り先を参照して、戻り先のシナリオに従ってコンピュータ文発話(B16)の処理、即ち、自動会話制御部24の制御処理機能による会話文作成処理に移行し、作成した会話文を会話プール部22へ登録し(B17)、発話通知を利用者入出力部へ送出する。この発話通知に従って会話プール部22からコンピュータ文(自動会話制御部24により作成した会話文)又はオペレータ文(図2の会話クライアント30又は図3のオペレータ入出力部30Aにより作成した会話文)を受信して表示する(B20)。なお、会話プール部22に登録されたコンピュータ文又はオペレータ文は、利用者文と同様に通信継続中の利用者の端末を会話処理サイト側で認識しているから、会話プール部22を備えた会話処理サイト4側からそれぞれ対応する利用者の端末へ送信する処理を継続することができる制御構成を備えている。
【0031】
図8は、本発明の実施例1の自動会話処理の概要のフローチャートを示し、先ず、該当シナリオNo.をセットし(C1)、SEQNo.(シーケンス番号)の初期値をセットし(C2)、そのセットしたSEQNo.のコンピュータ文を発信する(C3)。このステップ(C3)に於ける“SEQNo.”は、該当シナリオの中の会話の順番に相当し、例えば、図4の会話の木構造の第n階層のm番目のコンピュータ文に相当する。このコンピュータ文の発信に対する利用者応答の有無を判定し、応答無しの場合は、無応答シナリオへ移行する(C4)。この無応答シナリオは、例えば、コンピュータ文を所定回数発信して応答の有無を判定し、それによっても無応答となる場合は、処理を終了する。又応答有りの場合は利用者文受信を行い(C5)、今回のSEQNo.に対応する利用者文の検索を行い(C6)、閾値判定を行う(C7)。この場合の利用者文の検索結果に対応するスコアを求めて、予め設定した閾値と比較し、利用者文の検索結果に対応する最大スコアと閾値とを比較し、最大スコア>閾値の場合は、利用者文検索結果がマッチした場合であり、次のSEQNo.をセットして(C8)、ステップ(C3)へ移行する。又最大スコア≦閾値の場合は、検索結果がアンマッチの場合であり、その場合は、全体の利用者文の検索を行い(C9)、前述のステップ(C7)と同様な閾値判定を行う(C10)。そして、最大スコア>閾値、即ち、検索結果がマッチした場合、次のシナリオとSEQNo.とをセットして、ステップ(C3)へ移行する。又最大スコア≦閾値、即ち、検索結果がアンマッチの場合、アンマッチシナリオへ移行する(C12)。
【0032】
図9は、本発明の実施例1の自動会話処理の概要のフローチャートを示し、(A)は、図8に於けるステップ(C6)に於ける処理、(B)は、図8に於けるステップ(C9)に於ける処理を示す。図9の(A)のSEQNo.に対応する利用者文の検索(C21)は、0→最大スコア、ヌル→w利用者文(C22)として示すように、最大スコアを0とし、w利用者文は空白の初期状態に設定し、図8に於けるステップ(C6)のSEQNo.に対応する利用者文を取り出し(C23)、その場合の対応SEQNo.の利用者文を総て処理したか否かを判定し、対応する利用者文の処理終了により、最大スコアと取り出した利用者文(w利用者文)を基に、図8のステップ(C7)へ移行する(Exit(C24))。又ステップ(C23)に於いて、SEQNo.に対応する利用者文の取り出しが終了していない場合は、語彙照合スコア計算を行う(C25)。この場合の語彙照合スコアについては、後述の図10を参照して説明する。次に、求めたスコアと最大スコアとを比較し(C26)、語彙照合スコア≦最大スコアの場合は、ステップ(C23)へ移行し、語彙照合スコア>最大スコアの場合は、語彙照合スコアを新たな最大スコアとし、利用者文を新たなw利用者文として、ステップ(C23)へ移行する。
【0033】
又図9の(B)の全体の利用者文の検索(C31)は、図8に於けるステップ(C9)の全体の利用者文の検索に対応し、0→最大スコア、0→wシナリオNo.、ヌル→w利用者文とする(C32)。即ち、最大スコアを0、シナリオNo.を0、利用者文を空白の初期状態に設定し、ステップ(C33)へ移行する。このステップ(C33)に於いて、全体の利用者文を取り出したか否かを判定し、全体の利用者文を処理した場合(処理終了)は、最大スコアと取り出したシナリオNo.(wシナリオNo.)、利用者文(w利用者文)を基に、図8のステップ(C10)へ移行する(Exit(C34))。又全体の利用者文の取り出しが終了していない場合は、前述のステップ(C25)と同様な語彙照合スコア計算を行い(C35)、又シナリオ類似スコア計算を行い(C36)、ステップ(C35),(C36)により求めたスコアを合計する総スコア計算を行い(C37)、最大スコアと比較する(C38)。この比較結果が、総スコア≦最大スコアの場合、ステップ(C33)へ移行し、又総スコア>最大スコアの場合、総スコアを新たな最大スコアとし、シナリオNo.を新たなwシナリオNo.とし、利用者文を新たなw利用者文として、ステップ(C33)へ移行する(C39)。
【0034】
図10は、本発明の実施例1の語彙照合スコア算出の説明図であり、(1)形態素解析、(2)語彙照合、(3)スコア計算の過程を含むものであって、例えば、利用者の入力文の「どんなサービスがありますか」に対して、それに対応する会話集(図1又は図2の会話集12)の中の利用者文(図5の[会話集・利用者文]参照)を取り出す。この場合「何の商品、サービスがありますか」が格納されていた場合を示す。そして、前述の処理過程に従って、(1)形態素解析による語彙分割を行い、次に、(2)語彙照合を行う。この場合の語彙照合の結果、同じものとして、「サービス」(名詞)、「が」(助詞)、「あり」(助詞)、「ます」(助動詞)、「か」(助詞)が抽出されるから、これを基に、(3)スコア計算を行う。この場合、品詞別重みとして、例えば、名詞=1.0、動詞=0.5、それ以外=0.1とし、語彙が同一のもののポイントを10とすると、例えば、名詞の「サービス」は、重みが1.0であるから、スコアは10、次の「が」は助詞で重みが0.1であるから、スコアは1となり、次の「あり」は動詞で重みが0.5であるから、スコアは5となる。そして、合計の結果の総スコアは18となる。この語彙照合スコア計算は、例えば、図9のステップ(C25)、ステップ(C35)の語彙照合スコア計算の処理に相当する。
【0035】
図11は、本発明の実施例1のシナリオ類似スコア算出の説明図であり、[シナリオマスター](図5参照)は、「シナリオNo.」と「名称」と「属性」とを含み、「属性」は、業務性と、娯楽性と、話題性とにそれぞれ分けて、それらに対応してスコア算出の為の値が予め設定されている場合を示す。なお、この「属性」は、更に他の項目を含めて設定することができる。そして、類似スコア算出は、(1).各要素の差の2乗の和を求め、次に、(2).(1)の結果の平方根を求める過程で得る場合を示し、前述の例えば、シナリオNo.2の「挨拶天気」と、シナリオNo.4の「梅雨明け」とのシナリオ類似スコアは、(3−2)+(6−4)+(4−6)+(4−6)=9となるから、その算出結果の平方根を求めると、91/2=3となる。即ち、この場合のシナリオ類似スコアは3となる。同様に、他のシナリオについても類似スコアを求めることができる。
【0036】
前述の語彙照合スコアとシナリオ類似スコアとによって、総スコア=(語彙スコア)×{1/(1+シナリオ類似スコア×重み)}として求め、その総スコアが最大となったものが、最適なシナリオの最適な利用者文とし、この選択した最適なシナリオの最適な利用者文から会話を継続する。又同一シナリオの中で、同一利用者文が複数あった場合は、シナリオの木構造のルートに近い会話シーケンスから会話を継続する。総スコアが或る点数(アンマッチ閾値)以下の場合はアンマッチとし、アンマッチ時のシナリオに遷移させて会話を継続させる。
【0037】
会話文による自動会話は、前述のように、シナリオに沿った形式で継続するもので、そのシナリオは、会話制御マスター11(図1又は図2参照)に保持し、コンピュータ文と利用者文(利用者の端末1から会話文)とを会話集12に保持し、利用者がシナリオにないような会話文を送信した場合、その内容を複数回問い合わせて、元のシナリオに戻すように処理するが、それでも元のシナリオに戻らない場合、他のシナリオを含めて全ての利用者文から最適な利用者文を検索する。その場合の最適な利用者文は、利用者の会話文と会話集の利用者文の語彙の照合度及び元のシナリオと検索シナリオとの類似性を考慮することにより検索する。又データベース20の会話制御マスター11の内容と、会話集12の内容とは、会話メンテナンス部21によって修正及び追加の処理を行って、充実した内容となるように処理することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 利用者(クライアント)の端末
2 インターネット
3 企業サイト
4 会話処理サイト
5 ルータ
6 Webサーバ
7 オペレータの端末
8 ルータ
9 Webサーバ
10 会話サーバ
11 会話制御マスター
12 会話集
13 介入マスター
14 語彙辞書
15 クライアントブラウザ画面
16 会話ウインドウ
20 データベース
21 会話メンテナンス部
22 会話プール部
23 会話監視部
24 自動会話制御部
25 会話制御処理部
26 形態素解析部
27 介入制御部
28 ブラウザ制御部
30 会話クライアント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の端末からインターネットを介してWebサイトに対してアクセスし、該アクセス時のアクセスタグにより自動的にアクセスして、前記利用者の端末のブラウザ画面に会話ウインドウをポップアップさせ、該会話ウインドウを介して会話文の送受信により自動会話を可能とする会話処理サイトを含む自動会話制御システムに於いて、
前記会話処理サイトは、会話サーバと、データベースと、インターネットを介して会話文を送受信する為のWebサーバとを含み、
前記会話サーバは、前記利用者の端末との間で送受信した会話文を前記利用者の端末対応に記録する会話プール部と、前記利用者の端末からの会話文を解析して該利用者の端末へ応答する会話文を作成する自動会話制御部と、該自動会話制御部による制御処理内容と前記データベースの介入マスターとを基にオペレータ介入の要否を判定し、オペレータ介入要の時に前記オペレータが操作して会話文を作成する端末に介入通知を送出する介入制御部とを含む構成とを備えている
ことを特徴とする自動会話制御システム。
【請求項2】
前記会話サーバの前記自動会話制御部は、会話文の解析を行う形態素解析部と、会話のシナリオに基づいて前記利用者の端末からの会話文に対して応答する為の会話文を作成する会話制御処理部とを備え、前記データベースは、前記形態素解析部により参照する語彙辞書と、想定会話シーケンスに対応する会話文と制御方法とを含む情報を保持する会話制御マスターと、前記利用者に対して想定応答会話文を含む情報を保持する会話集と、前記介入制御部から参照してオペレータの介入の要否を判定する為のシナリオ対応の判定情報を保持する介入マスターとを含む構成を備えていることを特徴とする請求項1記載の自動会話制御システム。
【請求項3】
利用者の端末からインターネットを介してWebサイトにアクセスして表示するブラウザ画面に、アクセスタグにより自動的に会話処理サイトにアクセスして会話ウインドウをポップアップさせ、該会話ウインドウを介して前記利用者の端末と前記会話処理サイトとの間で会話文の送受信により自動会話を実行する自動会話制御方法に於いて、
前記会話処理サイトは、会話サーバと、会話制御マスターと会話集と介入マスターとを含むデータベースと、インターネットを介して会話文を送受信する為のWebサーバとを備え、前記会話サーバは、送受信会話文を記録する会話プール部と自動会話制御部と介入制御部とを備え、
前記利用者の端末のブラウザ画面にポップアップさせた前記会話ウインドウに会話文を入力して送信し、該会話文を受信した前記会話サーバは、前記会話プール部に記録すると共に前記自動会話制御部により前記データベースを参照して、前記受信した会話文に応答する会話文を形成し、前記会話プール部に記録すると共に前記利用者の端末へ送信する処理過程と、
前記利用者の端末から受信した会話文に対して応答する為の前記処理過程に於いて、オペレータ介入の要否を前記データベースの前記介入マスターを参照して前記介入制御部により判定し、オペレータの介入を要すると判定した時、前記介入制御部からオペレータの端末へ前記利用者の端末からの会話文を含めて介入通知を送出する処理過程とを含む
ことを特徴とする自動会話制御方法。
【請求項4】
前記利用者の端末と前記会話処理サイトとの間の会話文による会話中に、前記介入マスターを参照して前記介入制御部から前記オペレータの介入による前記利用者の端末との間の会話文による会話処理過程に於いて、前記介入マスターを参照する前記介入制御部の制御又は前記オペレータ介入による該オペレータの判断により、前記利用者の端末と前記会話サーバとの間の会話文の送受信による会話に戻る処理過程を含むことを特徴とする請求項3記載の自動会話制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−64073(P2012−64073A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208834(P2010−208834)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(393027615)株式会社バーズ情報科学研究所 (7)
【Fターム(参考)】