説明

自動分析装置のセル型治具、及び自動分析装置

【課題】自動分析装置の測定セル底面に対する分注プローブの垂直性を判定(評価)可能とし、プローブ調整精度を向上させる自動分析装置のセル型治具及び自動分析装置を提供すること。
【解決手段】液面検知手段及び障害物検知手段を備え且つサンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、前記分注プローブ及び前記分注プローブ移動手段により、前記サンプルと前記試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置のセル型治具100を次のように構成する。すなわち、セル型治具100を、前記セル型反応容器と同形状に構成し、且つその内底面には前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成された底面検出領域100を設け、前記底面検出領域100以外の部位である衝突検出領域100Bは非導電性材料で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検試料の成分を分析する自動分析装置のセル型治具及び自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被検体から採取された被検試料と試薬とを反応容器に分注して混合した混合液について光の透過量を測定することで、混合液に生じる化学反応に起因する色調の変化を測定して、被検試料中の様々な成分(項目)の濃度や活性を測定する自動分析装置が知られている。
【0003】
この自動分析装置によれば、被検試料毎に設定された分析条件に基づいて、検査に応じて選択された測定項目についての測定が行われる。具体的には、自動分析装置によれば、被検試料がサンプル分注プローブにより試料容器から反応容器に分注され、測定項目に該当する試薬は試薬分注プローブにより試薬ボトルから反応容器に分注され、反応容器に分注された被検試料及び試薬は撹拌子により混合された後に測定され、更に、被検試料及び試薬に接触したサンプル分注プローブ、試薬分注プローブ、混合液に接触した反応容器、及び撹拌子は洗浄された後に再び測定に使用される。
【0004】
近年の自動分析装置においては、微量のサンプル及び試薬での測定を可能とする為に反応容器が小型化されている。また、微量のサンプルの吸引が可能なように小型化された試料容器や試薬ボトルが使用されている。このような小型化により、サンプルや試薬を吸引する為の試料容器や試薬ボトルの開口部、及びサンプルや試薬を吐出する為の反応容器の開口部は狭くなっている。
【0005】
従って、サンプル分注プローブのサンプル吸引位置やサンプル吐出位置、試薬分注プローブの試薬吸引位置や試薬吐出位置などの各停止位置がずれた場合には、分注精度が低下して分析データに悪影響を与えてしまう。
【0006】
ところで、このような自動分析装置に関する技術として、例えば特許文献1に次のような技術が開示されている。
【0007】
すなわち、特許文献1に開示されている自動分析装置では、位置設定部は、各分注プローブの各停止位置の下方に中心面を合わせて配置した治具の上方に,第p及び第(p+1)ポイントの調整位置を設定し、各分注プローブを第p及び第(p+1)の調整位置に水平移動させた後に,各液面検出器により検出される第p及び第(p+1)の検出位置まで下移動させて、第p及び第(p+1)ポイントの調整位置と第p及び第(p+1)の検出位置の間の距離に対応する第p及び第(p+1)の下移動距離データを生成し、生成した第p及び第(p+1)の下移動距離データに基づいて、第p及び第(p+1)の検出位置を判断する。これにより、分注プローブの停止位置を短時間で定めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−285957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の自動分析装置におけるプローブ調整機能では、自動分析装置の測定セル底面に対する分注プローブの垂直性を判定(評価)することができない。この為、分注プローブの垂直性が良好でない場合(測定セル側面に対して或る程度傾いている場合)、分注プローブが測定セル側面に対して接触(衝突)してしまう可能性を排除しきれない。換言すれば、従来の自動分析装置におけるプローブ調整機能は、その調整精度が充分であるとは言い難い。
【0010】
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、自動分析装置の測定セル底面に対する分注プローブの垂直性を判定(評価)可能とし、プローブ調整精度を向上させる自動分析装置のセル型治具及び自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明による自動分析装置のセル型治具は、
液面検知手段及び障害物検知手段を備え、サンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、を具備し、前記分注プローブ及び前記分注プローブ移動手段により、前記サンプルと前記試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置のセル型治具であって、
前記セル型反応容器と同形状であり、その内底面には前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成された底面検知領域を有し且つ前記底面検知領域以外の部位は非導電性材料で構成されていることを特徴とする。
【0012】
前記の目的を達成するために、請求項2に記載の本発明による自動分析装置は、
サンプルと試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置であって、
液面検知手段及び障害物検知手段を備え、サンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、
前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、
前記セル型反応容器と同形状を採り、その内底面には前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成された底面検知領域を有し且つ前記底面検知領域以外の部位は非導電性材料で構成されているセル型治具と、
前記セル型治具の底面に対して略垂直を為す前記分注プローブを当該セル型治具の直上から下降させた場合に、前記分注プローブが当該セル型治具の内底面に接触するまでに要する駆動パルス数を記憶するパルス数記憶部と、
前記分注プローブを下降させた際に、当該セル型治具の内底面への接触が前記液面検知手段により検知されるまでに要した駆動パルス数を計測するパルス数計測部と、
前記パルス数記憶部により記憶された駆動パルス数と、前記パルス数計測部により計測された駆動パルス数と、に基づいて、当該セル型治具の底面に対する前記分注プローブの垂直性を判定する判定部と、
を具備することを特徴とする。
【0013】
前記の目的を達成するために、請求項3に記載の本発明による自動分析装置のセル型治具は、
液面検知手段及び障害物検知手段を備え、サンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、を具備し、前記分注プローブ及び前記分注プローブ移動手段により、前記サンプルと前記試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置のセル型治具であって、
前記セル型反応容器と同形状であり、その内底面には非導電性材料で構成された底面検知領域を有し且つ前記底面検知領域以外の部位は前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成されていることを特徴とする。
【0014】
前記の目的を達成するために、請求項4に記載の本発明による自動分析装置は、
サンプルと試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置であって、
液面検知手段及び障害物検知手段を備え、サンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、
前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、
前記セル型反応容器と同形状を採り、非導電性材料で構成された底面検知領域を内底面に有し且つ前記底面検知領域以外の部位は前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成されているセル型治具と、
前記セル型治具の底面に対して略垂直を為す前記分注プローブを当該セル型治具の直上から下降させた場合に、前記分注プローブが当該セル型治具の内底面に接触するまでに要する駆動パルス数を記憶するパルス数記憶部と、
前記分注プローブを下降させた際に、当該セル型治具の内底面への接触が前記液面検知手段により検知されるまでの駆動パルス数を計測するパルス数計測部と、
前記パルス数記憶部により記憶された駆動パルス数と、前記パルス数計測部により計測された駆動パルス数と、に基づいて、当該セル型治具の内底面に対する前記分注プローブの垂直性を判定する判定部と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自動分析装置の測定セル底面に対する分注プローブの垂直性を判定(評価)可能とし、プローブ調整精度を向上させる自動分析装置のセル型治具及び自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動分析装置のセル型治具を適用可能な自動分析装置の一構成例を示すブロック図。
【図2】分析部の詳細な一構成例を示す斜視図。
【図3】分析制御部の詳細な一構成例を示す図。
【図4】分析部のサンプル部と反応部の構成の一部を上から見た図。
【図5】分析部の試薬部と反応部の一部を上から見た図。
【図6】セル型治具の《構成例1》を示す図。
【図7】従来技術に係る自動分析装置における、測定セル側面等への分注プローブの衝突事故の一例を示す図。
【図8】本発明の一実施形態に係る自動分析装置のセル型治具または自動分析装置を用いることで、測定セル底面に対する垂直性が確保された分注プローブを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動分析装置のセル型治具を適用可能な自動分析装置の一構成例を示すブロック図である。自動分析装置101は、被検体から得られた被検試料やキャリブレータなどのサンプルの測定を行う分析部19と、分析部19の測定動作の制御を行う分析制御部30と、分析部19の各ユニットを測定動作させるための位置を定める位置設定部35と、各ユニットの測定動作により分析部19から出力されたキャリブレータ信号や分析信号を処理して分析データを算出する分析データ処理部40と、分析データ処理部40からのキャリブレーションテーブルや分析データを出力する出力部50と、分析条件、各種コマンド信号などを入力する操作部60と、分析制御部30、位置設定部35、分析データ処理部40、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70と、を具備する。
【0019】
前記分析部19は、項目毎のキャリブレータや被検試料などのサンプルを取り扱うサンプル部20と、サンプルと化学反応させるための試薬を取り扱う試薬部21と、サンプルと試薬との混合液を取り扱う反応部22と、を有する。
【0020】
前記分析制御部30は、分析部19のサンプル部20、試薬部21、及び反応部22を構成している各ユニットを駆動する各機構を備えた機構部31と、機構部31の各機構を制御する制御部32と、を有する。
【0021】
前記位置設定部35は、分析部19のサンプル部20及び試薬部21の各ユニットが測定動作して停止する停止位置を定める為に、調整位置を設定する調整位置設定部36と、調整位置設定部36から出力される各ユニットを調整位置に応じた位置に移動させるための調整情報や分析制御部30の制御部32から出力される各ユニットの移動情報に基づいて、調整位置に応じた位置に移動した各ユニットの位置データを生成する位置データ生成部37と、位置データ生成部37で生成された位置データが保存される位置データ記憶部38と、を有する。
【0022】
前記分析データ処理部40は、分析部19から出力されたキャリブレータ信号、分析信号などからキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出などを行う演算部41と、演算部41で作成されたキャリブレーションテーブルや算出された分析データなどを保存する記憶部42と、を有する。
【0023】
前記演算部41は、分析部19から出力された各項目のキャリブレータ信号から各項目のキャリブレーショテーブルを作成して出力部50に出力すると共に記憶部42に保存する。また、演算部41は、分析部19から出力された各項目の分析信号に対して、その分析信号の項目に対応したキャリブレーションテーブルを記憶部42から読み出した後、このキャリブレーションテーブルを用いて分析データを算出して出力部50に出力すると共に記憶部42に保存する。
【0024】
前記記憶部42は、ハードディスクなどを備え、演算部41から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを被検試料毎に保存する。
【0025】
前記出力部50は、分析データ処理部40から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、分析データ処理部40から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを予め設定されたフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。また、表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、分析データ処理部40から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどの表示や、システム制御部70からの指示により分析条件を設定するための画面などの表示を行う。
【0026】
前記操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力、被検体の被検試料毎の測定項目の選択、各項目のキャリブレーション操作、被検試料分析操作などの様々な操作が行われる。
【0027】
前記システム制御部70は、図示しないCPUと記憶回路とを備え、操作部60から供給される操作者のコマンド信号、分析条件、被検体情報、被検試料毎の測定項目などの情報を記憶した後、これらの情報に基づいて、分析部19を構成する各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御、キャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出と出力に関する制御などシステム全体の制御を行う。
【0028】
以下、図2及び図3を参照して、分析部19、分析制御部30、及び位置設定部35の詳細な一構成例を説明する。
【0029】
図2は、分析部19の詳細な一構成例を示す斜視図である。分析部19のサンプル部20は、キャリブレータ、被検試料などのサンプルが入った試料容器17と、この試料容器17を回動可能に保持するディスクサンプラ6と、ディスクサンプラ6の図示しないキャリブレータ吸引位置、被検試料吸引位置などのサンプル吸引位置の試料容器17からサンプルを吸引して、反応部22の図示しないサンプル吐出位置から吐出するサンプル分注プローブ16と、図示しないサンプル分注プローブ洗浄位置の下方に位置し、サンプル分注プローブ16を洗浄するプローブ洗浄槽16aと、を有する。
【0030】
また、サンプル部20は、サンプル吸引位置、サンプル吐出位置、及びサンプル分注プローブ洗浄位置の各停止位置へのサンプル分注プローブ16の水平移動、及び各停止位置における上下移動を可能に保持するサンプル分注アーム10と、試料容器17内のサンプルの液面を検出する液面検出器18aと、を備えている。そして、液面検出器18aにより検出されたサンプルの検出信号は、分析制御部30の制御部32に出力される。
【0031】
なお、サンプルの液面は、例えば特公平8−33320号公報に報告されている原理を利用して検出される。液面検出器18aは、一端が導電性材料からなるサンプル分注プローブ16に電気的に接続されたブリッジ回路を備えている。そして、サンプル分注プローブ16とサンプルとの接触により、サンプルと接地電位間に生じる静電容量の変化を検出することによってサンプルの液面を検出している。
【0032】
前記試薬部21は、サンプルに対して選択的に反応する複数の第1試薬が入れられる試薬ボトル7aと、この第1試薬と対で複数の第2試薬が入った試薬ボトル7a,7bと、試薬ボトル7aを収納する試薬ラック1aと、試薬ボトル7aを収納した試薬ラック1aを回動可能に保持する試薬庫2と、試薬ボトル7bを収納した試薬ラック1bを回動可能に保持する試薬庫3と、試薬庫2の図示しない第1試薬吸引位置の試薬ボトル7aから第1試薬を吸引して、反応部22の図示しない第1試薬吐出位置で吐出する第1試薬分注プローブ14と、試薬庫3の図示しない第2試薬吸引位置の試薬ボトル7bから第2試薬を吸引して、反応部22の図示しない第2試薬吐出位置で吐出する第2試薬分注プローブ15と、を有する。
【0033】
また、試薬部21は、図示しない第1試薬分注プローブ洗浄位置の下方に位置し、第1試薬分注プローブ14を洗浄するプローブ洗浄槽14aと、第1試薬吸引位置、第1試薬吐出位置、及び第1試薬分注プローブ洗浄位置の各停止位置への第1試薬分注プローブ14の水平移動と、各停止位置における上下移動とを可能に保持する第1試薬分注アーム8と、図示しない第2試薬分注プローブ洗浄位置の下方に位置し、第2試薬分注プローブ15を洗浄するプローブ洗浄槽15aと、第2試薬吸引位置、第2試薬吐出位置、及び第2試薬分注プローブ洗浄位置の各停止位置への第2試薬分注プローブ15の水平移動と、各停止位置における上下移動とを可能に保持する第2試薬分注アーム9と、を有する。
【0034】
また、試薬部21は、試薬ボトル7a内の第1試薬の液面を、サンプルと同様の原理で第1試薬の液面を検出する液面検出器18bと、試薬ボトル7b内の第2試薬の液面を、サンプルと同様の原理で試薬の液面を検出する液面検出器18cと、を備えている。そして、液面検出器18bにより検出された第1試薬の検出信号及び液面検出器18cにより検出された第2試薬の検出信号は、制御部32に出力される。
【0035】
前記反応部22は、サンプル吐出位置のサンプル分注プローブ16から吐出されたサンプルと、第1試薬吐出位置の第1試薬分注プローブ14から吐出された第1試薬と、第2試薬吐出位置の第2試薬分注プローブ15から吐出された第2試薬とを受入れる反応容器4と、円周上に配置された複数の反応容器4を回転可能に保持する反応ディスク5と、反応部22の図示しない第1撹拌位置に停止した反応容器4内のサンプルと第1試薬との混合液を撹拌する撹拌子を上下移動可能に保持する撹拌ユニット11aと、反応部22の図示しない第2撹拌位置に停止した反応容器4内のサンプルと第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌する撹拌子を上下移動可能に保持する撹拌ユニット11bと、を有する。
【0036】
また、反応部22は、図示しない測光位置における撹拌後の混合液の入った反応容器4に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する測光ユニット13と、図示しない洗浄・乾燥位置に停止した反応容器4の測定を終えた混合液を吸引すると共に、反応容器4内を洗浄・乾燥する吸引ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを上下移動可能に保持する洗浄ユニット12とを備えている。
【0037】
そして、反応容器4は、混合液の測定終了毎に、洗浄ユニット12によりその内側が洗浄・乾燥され、再び測定に使用される。測光ユニット13は、吸光度測定により得た各項目のキャリブレータや被検試料のキャリブレータ信号や分析信号を分析データ処理部40に出力する。
【0038】
なお、図示はしていないが、本第1実施形態に係る自動分析装置は、従来の自動分析装置と同様に、各々の分注プローブについて、障害物検知手段(ガードセンサ)を具備していることは勿論である。
【0039】
次に、図2乃至図5を参照して、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15の移動動作について説明する。
【0040】
図3は、分析制御部30の詳細な一構成例を示す図である。分析制御部30の機構部31は、分析部19のサンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9を各回動及び上下移動する移動機構31s,31r1,31r2を備えている。
【0041】
また、機構部31は、分析部19のディスクサンプラ6、試薬庫2、及び試薬庫3を各回動する機構、反応ディスク5を回転する機構、撹拌ユニット11a、撹拌ユニット11b、及び洗浄ユニット12を各上下移動する機構、サンプル分注プローブ16を介してサンプルの吸引及び吐出を行うサンプル分注ポンプを駆動する機構、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を介して第1及び第2試薬の吸引及び吐出を行う試薬ポンプを各駆動する機構、各撹拌ユニット11a,11bの撹拌子を各駆動する機構、洗浄ユニット12の吸引ノズルを介して反応容器4内の混合液の吸引を行う吸引ポンプ、洗浄ユニット12の洗浄ノズルを介して反応容器4内の洗浄液による洗浄を行う洗浄ポンプを駆動する機構、洗浄ユニット12の乾燥ノズルを介して洗浄後の反応容器4内の乾燥を行う乾燥ポンプを駆動する機構など図示しない様々な機構を備えている。
【0042】
前記移動機構31sは、サンプル分注アーム10を回動する回動機構31srと、回動方向の基準位置を検出する検出器31saと、サンプル分注アーム10を上下移動する上下移動機構31suと、上下移動方向の基準位置である上停止点を検出する検出器31sbとを備えている。
【0043】
前記回動機構31srは、サンプル分注アーム10を回動駆動する動力源としてのモータ31srmを備えている。上下移動機構31suは、サンプル分注アーム10を上下駆動する動力源としてのモータ31sumを備えている。
【0044】
移動機構31r1は、第1試薬分注アーム8を回動する回動機構31r1rと、回動方向の基準位置を検出する検出器31r1aと、第1試薬分注アーム8を上下移動する上下移動機構31r1uと、上下移動方向の基準位置である上死点を検出する検出器31r1bと、を備えている。
【0045】
移動機構31r2は、第2試薬分注アーム9を回動する回動機構31r2rと、回動方向の基準位置を検出する検出器31r2aと、第2試薬分注アーム9を上下移動する上下移動機構31r2uと、上下移動方向の基準位置である上死点を検出する検出器31r2bと、を備えている。
【0046】
回動機構31r1rは、第1試薬分注アーム8を回動駆動する動力源としてのモータ31r1rmを備えている。上下移動機構31r1uは、第1試薬分注アーム8を上下駆動する動力源としてのモータ31r1umを備えている。
【0047】
回動機構31r2rは、第2試薬分注アーム9を回動駆動する動力源としてのモータ31r2rmを備えている。上下移動機構31r2uは、第2試薬分注アーム9を上下駆動する動力源としてのモータ31r2umを備えている。
【0048】
各モータ31srm,31sum,31r1rm,31r1um,31r2rm,31r2umには、ステップモータが用いられ、制御部32から供給される駆動用のパルスにより制御される。サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15の各分注プローブは、制御部32から供給される1パルスを最小の移動距離とし、パルスの数に応じた距離を水平移動及び上下移動する。
【0049】
各検出器31sa,31sb,31r1a,31r1b,31r2a,31r2bにより検出された各基準位置の信号は、制御部32に出力される。
【0050】
制御部32は、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9の各移動機構31s,31r1,31r2を制御する各制御部32s,32r1,32r2や、ディスクサンプラ6、試薬庫2、試薬庫3、反応ディスク5、撹拌ユニット11a,11b、洗浄ユニット12、サンプル分注ポンプ、試薬ポンプ、吸引ポンプ、洗浄ポンプ、乾燥ポンプなどの各機構を制御する図示しない制御部を備えている。
【0051】
前記制御部32sは、各モータ31srm,31sumに各所定数のパルスを供給することにより、回動機構31sr及び上下移動機構31suを駆動してサンプル分注アーム10を回動及び上下移動させる。この回動及び上下移動により、サンプル分注プローブ16を水平移動及び上下移動させて各停止位置や各サンプル液面検出位置などに移動させる。
【0052】
前記制御部32r1は、各モータ31r1rm,31r1umに各所定数のパルスを供給することにより、回動機構31r1r及び上下移動機構31r1uを駆動させて第1試薬分注アーム8を回動及び上下移動させる。この回動及び上下移動により、第1試薬分注プローブ14を水平移動及び上下移動させて各停止位置や第1試薬の検出位置などに移動させる。
【0053】
前記制御部32r2は、各モータ31r2rm,31r2umに各所定数のパルスを供給することにより、回動機構31r2r及び上下移動機構31r2uを駆動させて第2試薬分注アーム9を回動及び上下移動させる。この回動及び上下移動により、第2試薬分注プローブ15を水平移動及び上下移動させて各停止位置や第2試薬の検出位置などに移動させる。
【0054】
また、各制御部32s,32r1,32r2は、位置設定部35の調整位置設定部36からの調整情報に基づいて、各分注プローブを調整位置設定部36により設定された各調整位置に水平移動させた後に、その調整位置から分析部19の各液面検出器18a,18b,18cにより検出される検出位置まで下移動させる。そして、調整位置から検出位置まで下移動させるために、各モータ31sum,31r1um,31r2umに供給した各下降パルスの情報を位置設定部35の位置データ生成部37に出力する。
【0055】
前記位置設定部35は、分析部19の各分注プローブにおける各停止位置の設定や、一旦設定した各停止位置を校正するために設けられている。
【0056】
前記調整位置設定部36は、分析部19の各分注プローブの各停止位置を定めるために、各調整位置を設定し、各分注プローブをその調整位置に応じた位置に移動させるための各調整情報を分析制御部30の制御部32の各制御部32s,32r1,32r2及び位置データ生成部37に出力する。
【0057】
前記位置データ生成部37は、調整位置設定部36から出力される各調整情報及び各制御部32s,32r1,32r2から出力される各下降パルスの情報に基づいて、分析制御部30の機構部31の各検出器31sa,31r1a,31r2aにより検出される基準位置と、各調整位置の間の距離に対応する水平移動パルスと、を水平移動距離データとし、各調整位置と分析部19の各液面検出器18a,18b,18cで検出される検出位置の間の距離に対応する下降パルスを下移動距離データとして、各水平移動距離データと下移動距離データとにより構成される各検出位置の位置データを生成して位置データ記憶部38に保存する。
【0058】
前記調整位置設定部36は、位置データ記憶部38に保存された各検出位置の位置データの内の最新及び前回の位置データを読み出して、読み出した最新及び前回の位置データの下移動距離データを比較する。そして、最新及び前回の位置データの下移動距離データが異なる場合、最新及び前回の下移動距離データの大きい方のデータの調整位置から小さい方のデータの調整位置とは反対側の方向に微調整距離又は粗調整距離離れた位置に新たに調整位置を設定する。
【0059】
図4は、分析部19のサンプル部20と反応部22の構成の一部を上から見た図である。分析制御部30の制御部32における制御部32sは、システム制御部70からのキャリブレータ又は被検試料の測定指示や、システム制御部70からのサンプル分注プローブ16の位置設定指示により位置設定部35から出力されるサンプル分注プローブ16の調整情報に基づいて、分析制御部30の機構部31における移動機構31sの回動機構31srを制御して、サンプル分注プローブ16を、図4の破線で示した円移動軌跡に沿って矢印R1及びR2方向に水平移動させる。
【0060】
サンプル分注プローブ16の測定時に停止する円移動軌跡上の停止位置には、移動機構31sの検出器31saによって検出されるサンプル分注プローブ16の基準位置90からR1方向に円移動軌跡上の距離Ds1離れた位置にあるサンプル吐出位置A、基準位置90からR2方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にある被検試料吸引位置B、被検試料吸引位置Bから更にR2方向に所定距離離れた位置にあるキャリブレータ吸引位置C、及びサンプル吐出位置Aと被検試料吸引位置Bとの間にあって基準位置90からR2方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にあるサンプル分注プローブ洗浄位置Dがある。
【0061】
また、サンプル分注プローブ16は、サンプル吐出位置A、被検試料吸引位置B及びキャリブレータ吸引位置C、及びサンプル分注プローブ洗浄位置Dの各下方に配置された反応容器4内、試料容器17内、プローブ洗浄槽16a内との間を上下移動する。
【0062】
なお、基準位置90は、サンプル分注プローブ16の加工のばらつきやサンプル分注アーム10の取り付け部の公差など装着の誤差要因が含まれないと仮定したときの位置であって、新たにサンプル分注プローブ16を装着する毎に装着誤差要因の範囲で変動する。
【0063】
そして、測定時に実行される1サイクル毎のサンプル分注動作で、サンプル分注プローブ16は、例えばサンプル分注プローブ洗浄位置DからR2方向に水平移動しての被検試料吸引位置B又はキャリブレータ吸引位置Cで水平方向の移動を停止した後に、試料容器17内の被検試料又はキャリブレータの液面検出位置まで下移動する。被検試料又はキャリブレータを吸引した後に、上停止点まで移動する。その後、R1方向に水平移動してのサンプル吐出位置Aで水平方向の移動を停止した後に、反応容器4のサンプル吐出高さまで下移動する。サンプル吐出高さで被検試料又はキャリブレータを反応容器4に吐出した後に、上停止点まで移動する。その後、R2方向のサンプル分注プローブ洗浄位置Dまで水平移動する。そして、同一被検試料又はキャリブレータの分注動作終了毎に、プローブ洗浄槽16aに下移動して洗浄される。
【0064】
図5は、分析部19の試薬部21と反応部22の一部を上から見た図である。制御部32の制御部32r2は、システム制御部70からのキャリブレータ又は被検試料の測定指示や、システム制御部70からの第2試薬分注プローブ15の位置設定指示により位置設定部35から出力される第2試薬分注プローブ15の調整情報に基づいて、機構部31の移動機構31r2の回動機構31r2rを制御して、図5の破線で示した円移動軌跡に沿って矢印R1及びR2方向に第2試薬分注プローブ15を水平移動させる。
【0065】
第2試薬分注プローブ15の測定時に停止する円移動軌跡上の停止位置には、移動機構31r2の検出器31r2aによって検出される第2試薬分注プローブ15の基準位置92からR2方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にある第2試薬吐出位置E、基準位置92からR1方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にある第2試薬吸引位置F、及び第2試薬吐出位置Eと第2試薬吸引位置Fの間にあって基準位置90からR1方向に円移動軌跡上の所定距離離れた位置にある第2試薬分注プローブ洗浄位置Gがある。
【0066】
また、第2試薬分注プローブ15は、第2試薬吐出位置E、第2試薬吸引位置F、及び第2試薬分注プローブ洗浄位置Gの下方に配置された反応容器4内、試薬ボトル7b内、プローブ洗浄槽15a内との間を上下移動する。
【0067】
なお、基準位置92は、第2試薬分注プローブ15の加工のばらつきや第2試薬分注アーム9の取り付け部の公差など装着の誤差要因が含まれないと仮定したときの位置であって、新たに第2試薬分注プローブ15を装着する毎に装着誤差要因の範囲で変動する。
【0068】
そして、測定時に実行される1サイクル毎の第2試薬分注動作で、第2試薬分注プローブ15は、例えば第2試薬分注プローブ洗浄位置GからR1方向に水平移動して第2試薬吸引位置Fで水平方向の移動を停止した後に、試薬ボトル7b内の第2試薬の液面検出位置まで下移動する。第2試薬を吸引した後に、上停止点まで移動する。その後、R2方向に水平移動して第2試薬吐出位置Eで水平方向の移動を停止した後に、反応容器4に第2試薬を吐出する。第2試薬を反応容器4に吐出した後に、R1方向の第2試薬分注プローブ洗浄位置Gまで水平移動する。そして、プローブ洗浄槽15aに下移動して洗浄される。
【0069】
なお、第1試薬分注プローブ14についても、上述した第2試薬分注プローブ15と同様、水平移動させた後に各停止位置で停止させ、その停止位置で上下移動させる。換言すれば、第1試薬分注動作は、第2試薬分注動作と同様のシーケンスで動作する。本一実施形態に係る自動分析装置のセル型治具は、各種分注プローブの上下移動の際に非常に重要な要素である分注プローブの垂直性を判定(評価)可能とするものである。
【0070】
以下、本一実施形態に係る自動分析装置のセル型治具について、“構成”とその“作用・効果”を詳細に説明する。図6は本一実施形態に係るセル型治具の《構成例1》を示す図である。
【0071】
〈構成について〉
《構成例1》
セル型治具100は、上述した反応容器4と同形状に構成されている。
【0072】
また、セル型治具100は、その内底面には底面検出領域100Aが設けられている。この底面検出領域100Aは、導電性材料(液面検出器18a,18b,18cにより接触が検出される材料)で構成されている。一方、底面検出領域100A以外の部位は、非導電性材料(液面検出器18a,18b,18cにより接触が検出されない材料)で構成されている衝突検出領域100Bである。
【0073】
なお、底面検出領域100Aが設けられている位置及び大きさは、各種分注プローブがセル型治具100の内底面に向かって下降された際に、その内底面において接触し得る領域を含む位置及び大きさである。
【0074】
《構成例2》
《構成例1》との相違点のみを説明する。
【0075】
《構成例2》に係るセル型治具100では、前記底面検出領域100Aが非導電性材料(液面検出器18a,18b,18cにより接触が検出されない材料)により構成されている。一方、衝突検出領域100Bは導電性材料(液面検出器18a,18b,18cにより接触が検出される材料)により構成されている。
【0076】
〈作用・効果について〉
以下、サンプル分注プローブ16についての垂直性を判定する場合を例に説明する。しかしながら、第1試薬分注プローブ14,第2試薬分注プローブ15についても同様の作用により同様の効果を得ることができるのは勿論である。
【0077】
《構成例1に係るセル型治具100を使用する場合》
前記制御部32sによる制御で、各モータ31srm,31sumに各所定数のパルスが供給され、回動機構31sr及び上下移動機構31suが駆動されてサンプル分注アーム10が回動及び上下移動する。この回動及び上下移動により、サンプル分注プローブ16は、前記セル型治具100の直上からその内底面に向かって下降され、内底面に設けられた底面検出領域100Aに接触すると、液面検出器18aにより当該接触が検出される。
【0078】
本例においては、サンプル分注プローブ16を下降させる際に、液面検出器18aにより底面検出領域100Aへの接触が検出されるまでに要した下降パルス数を算出する。
【0079】
他方、予め、サンプル分注プローブ16の垂直性が良好な場合にサンプル分注プローブ16がセル型治具100の直上からその内底面に向かって下降されて底面検出領域100Aへ接触するまでに要するパルス数(以降、規定パルス数と称する)を、制御部32が備える記憶手段(不図示)に記憶させておく。
【0080】
そして、前記下降パルス数と前記規定パルス数とを比較することで、サンプル分注プローブ16の垂直性を判定する。
【0081】
もしサンプル分注プローブ16の垂直性が良好でない場合には、接触が検出されるまでの下降パルス数と、規定パルス数と、の間に差が生じる。換言すれば、このパルス数差の大小に基づいて、サンプル分注プローブ16の垂直性を判定することができる。当然ながら、パルス数差が小さい程、垂直性は良好である。
【0082】
なお、サンプル分注プローブ16の下降途中において、上述した障害物検知手段(ガードセンサ)により衝突検出領域100Bへの衝突が検知された場合には、垂直性が大きく悪化している。従って、この場合には異常状態であるとしてエラー警告等を発生させてユーザに報知する。また、当然ながら当該下降動作を停止させる。
【0083】
《構成例2に係るセル型治具100を使用する場合》
前記制御部32sによる制御で、各モータ31srm,31sumに各所定数のパルスが供給され、回動機構31sr及び上下移動機構31suが駆動されてサンプル分注アーム10が回動及び上下移動する。この回動及び上下移動により、サンプル分注プローブ16が、前記セル型治具100の内底面における底面検出領域100Aに接触すると、上述した障害物検知手段(ガードセンサ)により当該接触が検知される。
【0084】
本例においては、サンプル分注プローブ16を下降させる際に、サンプル分注プローブ16が障害物検知手段(ガードセンサ)により接触が検出されるまでの下降パルス数を求める。
【0085】
そして、この下降パルス数を、上述した規定パルス数と比較することで、サンプル分注プローブ16の垂直性をチェックする。
【0086】
もしサンプル分注プローブ16の垂直性が良好でない場合には、接触が検出されるまでの下降パルス数と、規定パルス数(既知)と、の間に差が生じる。換言すれば、このパルス数差の大小に基づいて、サンプル分注プローブ16の垂直性の良好性を判定することができる。当然ながら、前記パルス数差が小さい程、垂直性は良好である。
【0087】
なお、サンプル分注プローブ16の下降途中において、液面検出器18aにより衝突検出領域100Bへの接触が検出された場合には、垂直性が大きく悪化している。従って、この場合には異常状態であるとしてエラー警告等を発生させてユーザに報知する。また、当然ながら当該下降動作を停止させる。
【0088】
以上説明したように、本一実施形態によれば、自動分析装置の測定セル底面に対する分注プローブの垂直性を判定(評価)可能とし、プローブ調整精度を向上させる自動分析装置のセル型治具及び自動分析装置を提供することができる。
【0089】
具体的には、従来の自動分析装置には、測定セル底面に対する分注プローブの垂直性を評価する手段が存在しない為、例えば図7に示すように、測定セル側面等への分注プローブの衝突事故が生じている。このような事情に鑑みて為された本一実施形態に係る自動分析装置のセル型治具または自動分析装置を用いれば、例えば図8に示すように測定セル底面に対する分注プローブの垂直性を確保することができる。
【0090】
従って、上述した処理により判定(評価)した分注プローブの垂直性に基づいて、ユーザは適宜、当該分注プローブの垂直性を修正することが可能となる。
【0091】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
【0092】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0093】
1a,1b…試薬ラック、 2,3…試薬庫、 4…反応容器、 5…反応ディスク、 6…ディスクサンプラ、 7a,7b…試薬ボトル、 8,9…試薬分注アーム、 8…第1試薬分注アーム、 9…第2試薬分注アーム、 10…サンプル分注アーム、 11a,11b…撹拌ユニット、 12…洗浄ユニット、 13…測光ユニット、 14a,15a…プローブ洗浄槽、 14…第1試薬分注プローブ、 15…第2試薬分注プローブ、 15a…プローブ洗浄槽、 16…サンプル分注プローブ、 16a…プローブ洗浄槽、 17…試料容器、 18a…液面検出器、 18b.18c…液面検出器、 18a,18b…液面検出器、 19…分析部、 20…サンプル部、 21…試薬部、 22…反応部、 30…分析制御部、 31…機構部、 31s,31r1…移動機構、 31s…移動機構、 31sr…回動機構、 31sa…検出器、 31su…上下移動機構、 31sb…検出器、 31srm…モータ、 31sum…モータ、 31r1,31r2…移動機構、 31r1r,31r2r…回動機構、 31r1a,31r2a…検出器、 31r1u,31r2u…上下移動機構、 31r1b,31r2b…検出器、 31r1rm,31r2rm…モータ、 31r1um,31r2um…モータ、 31srm,31sum…モータ、 31sa,31sb…検出器、 31r1rm,31r1um…モータ、 31sum,31r1um…モータ、 31sa,31r1a…検出器、 31r2…移動機構、 31r2r…回動機構、 31r2a…検出器、 32…制御部、 32s,32r1…制御部、 32s…制御部、 32r1,32r2…制御部、 32r2…制御部、 35…位置設定部、 36…調整位置設定部、 37…位置データ生成部、 38…位置データ記憶部、 40…分析データ処理部、 41…演算部、 42…記憶部、 50…出力部、 51…印刷部、 52…表示部、 60…操作部、 70…システム制御部、 100…セル型治具、 101…自動分析装置、 100A…底面検出領域、 100B…衝突検出領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面検知手段及び障害物検知手段を備え、サンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、を具備し、前記分注プローブ及び前記分注プローブ移動手段により、前記サンプルと前記試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置のセル型治具であって、
前記セル型反応容器と同形状であり、その内底面には前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成された底面検知領域を有し且つ前記底面検知領域以外の部位は非導電性材料で構成されていることを特徴とする自動分析装置のセル型治具。
【請求項2】
サンプルと試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置であって、
液面検知手段及び障害物検知手段を備え、サンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、
前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、
前記セル型反応容器と同形状を採り、その内底面には前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成された底面検知領域を有し且つ前記底面検知領域以外の部位は非導電性材料で構成されているセル型治具と、
前記セル型治具の底面に対して略垂直を為す前記分注プローブを当該セル型治具の直上から下降させた場合に、前記分注プローブが当該セル型治具の内底面に接触するまでに要する駆動パルス数を記憶するパルス数記憶部と、
前記分注プローブを下降させた際に、当該セル型治具の内底面への接触が前記液面検知手段により検知されるまでに要した駆動パルス数を計測するパルス数計測部と、
前記パルス数記憶部により記憶された駆動パルス数と、前記パルス数計測部により計測された駆動パルス数と、に基づいて、当該セル型治具の底面に対する前記分注プローブの垂直性を判定する判定部と、
を具備することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
液面検知手段及び障害物検知手段を備え、サンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、を具備し、前記分注プローブ及び前記分注プローブ移動手段により、前記サンプルと前記試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置のセル型治具であって、
前記セル型反応容器と同形状であり、その内底面には非導電性材料で構成された底面検知領域を有し且つ前記底面検知領域以外の部位は前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成されていることを特徴とする自動分析装置のセル型治具。
【請求項4】
サンプルと試薬とをセル型反応容器に分注して混合した液を分析する自動分析装置であって、
液面検知手段及び障害物検知手段を備え、サンプル或いは試薬を吸引及び吐出する分注プローブと、
前記分注プローブを水平移動及び上下移動させる分注プローブ移動手段と、
前記セル型反応容器と同形状を採り、非導電性材料で構成された底面検知領域を内底面に有し且つ前記底面検知領域以外の部位は前記液面検知手段により検知される導電性材料で構成されているセル型治具と、
前記セル型治具の底面に対して略垂直を為す前記分注プローブを当該セル型治具の直上から下降させた場合に、前記分注プローブが当該セル型治具の内底面に接触するまでに要する駆動パルス数を記憶するパルス数記憶部と、
前記分注プローブを下降させた際に、当該セル型治具の内底面への接触が前記液面検知手段により検知されるまでの駆動パルス数を計測するパルス数計測部と、
前記パルス数記憶部により記憶された駆動パルス数と、前記パルス数計測部により計測された駆動パルス数と、に基づいて、当該セル型治具の内底面に対する前記分注プローブの垂直性を判定する判定部と、
を具備することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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