説明

自動分析装置

【課題】ターンテーブルの偏心による位置ずれの影響を低減する。
【解決手段】ターンテーブルの移動量と位置検出センサの信号からターンテーブルの偏心に伴う移動量のずれを検知し、偏心方向及び偏心量を算出し、またターンテーブルの移動量を補正することで偏心によるずれを補正する。さらに、分注機構等が反応容器にアクセスする際に、ターンテーブルの偏心によるずれ量に基づき機構の移動量を補正して、位置ずれを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関し、容器を所定の位置へ搬送する容器搬送機構を有する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液、尿、便等を試料とし、透明な測定用の反応容器内にこの試料と試薬を注入して反応させ、その試料と試薬とからなる反応液の反応による呈色を光学的に測定することにより試料の生化学分析を行う生化学自動分析装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
反応容器は、ターンテーブルの外周に等間隔に設置され、所定の位置で反応容器の洗浄、試薬や試料の注入、注入した液体の攪拌、反応液の光学的測定が行われる。これらの処理を行うため、ターンテーブルは所定の位置までの回転、停止を繰り返す間欠駆動を行い、各処理を連続的に行う。特許文献2には、ターンテーブルにエンコーダ又はエンコーダを有するダイレクトドライブモータを連結し、エンコーダ信号に基づいて測光開始位置や停止位置の位置決めを行う方法が提案されている。
【0004】
生化学自動分析装置においては、試薬消費量低減の観点から、微小な反応容器で微量の反応液を分析できる技術が求められている。そのため反応容器の微小化に伴い、ターンテーブルの位置決め精度の高精度化が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4451433号明細書
【特許文献2】特開2000−258433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のターンテーブルの位置決め手段は、ターンテーブルの加工誤差や取り付け誤差で回転軸の偏心が生じていても、位置検出を行うセンサの位置でずれが最小となるように制御がなされてきた。しかし、生化学自動分析装置においては、試薬・試料の注入、攪拌、洗浄の各処理を行う機構は反応容器に異なる位置で同時にアクセスする。そのため、1箇所でずれが最小となるように位置決め制御を行っても、他の位置ではより大きなずれが生じうるため、反応容器と機構が干渉するリスクがある。これらのリスクを回避するために加工精度を上げるとコストが高くなってしまうという問題がある。また、ターンテーブルの位置ずれを機械的に調整するのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、ターンテーブルの回転軸の偏心に伴うずれ量を、位置検出センサによる信号とターンテーブルの回転移動量との関係から検出する。偏心に伴う両者のずれ量から偏心の方向及び量を算出し、調整を行う。また、偏心に伴うずれ量に応じて、機構がアクセスする場所にずれが分散するよう回転移動量を補正する。さらに、偏心に伴うずれ量に基づき、反応容器アクセスする機構の移動量を補正する。
【0008】
本発明の自動分析装置は、少なくとも、複数の反応容器を同一円周上に等間隔に設置したターンテーブル、ターンテーブルを回転させるモータ、ターンテーブルの初期位置及び各回転位置を検出する位置検出センサを備える。そして、ターンテーブルを順次回転移動させて位置検出センサの信号に基づき所定の回転位置で停止する間欠駆動を行い、ターンテーブルが停止中に複数の機構が異なる位置で反応容器に対しアクセスし、試料や試薬の分注、攪拌、洗浄等の処理を行う。
【0009】
本発明では、予めモータによってターンテーブルを回転させて位置検出センサの信号とモータによるターンテーブルの回転移動量との関係から各停止位置におけるターンテーブルの回転軸の偏心に伴うずれ量を検知し、各停止位置のずれ量からターンテーブルの回転軸の偏心方向と偏心量を算出し、算出結果を表示部に表示する。
【0010】
また、間欠駆動時に各停止位置のずれ量に応じてモータによる回転移動量の補正を行い、ずれを各機構の位置に分散させる。モータによる回転移動量の補正は、ターンテーブルの幾何学的中心を挟んで対向する位置に設置されている2個の反応容器の停止位置のずれ量の大きさが等しくなるように行う。
【0011】
また、本発明の自動分析装置は、位置検出センサをターンテーブルの回転軸を挟んで対向する位置に2つ有し、間欠駆動時に2つの位置検出センサの信号が検出されるタイミングの差に対応するモータの回転移動量の半分を補正値としてモータによる回転移動量の補正を行い、ターンテーブルの回転軸の偏心に伴うずれ量を補正する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、偏心に伴う反応容器停止位置のずれを簡便に検出、調整、補正することが可能となり、機構の干渉のリスクを回避することができる。特に微小な反応容器を用いるために高精度な位置決めを要する場合に有効な手段となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】自動分析装置の構成例を示す図。
【図2】反応ディスクの構成例を示す図。
【図3】ターンテーブルの回転軸が偏心している場合の移動量の変動を示す図。
【図4】ターンテーブルの偏心方向と偏心量を求める工程を示す図。
【図5】ターンテーブルの回転軸が偏心している場合に従来制御を行ったときの停止状態を示す図。
【図6】本発明によるターンテーブルの回転移動量を補正して制御を行ったときの停止状態を示す図。
【図7】本発明によるターンテーブルの回転移動量の補正値を求める工程を示す図。
【図8】本発明によるターンテーブルの偏心方向と偏心量に基づき反応容器にアクセスする機構の停止位置を補正する工程を示す図。
【図9】本発明による2つの位置検出センサを用いたターンテーブルの回転移動量の補正を行う工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施例を、図を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
本発明による自動分析装置の全体構成例を図1に示す。試料ディスク3には、試料1を収めた試料カップ2が複数配置されている。試薬ディスク6には、試薬4を収めた試薬カップ5が複数配置されている。反応ディスク9には、試料1と試薬4とを混合させ反応液7とする反応容器8が複数配置されている。反応ディスク9の周囲には、試料1を試料カップ2内から反応容器8内に一定量移動させる試料分注機構10、試薬4を試薬カップ5内から反応容器8内に一定量移動させる試薬分注機構11、試料1と試薬4を反応容器8内で攪拌し混合させる攪拌ユニット12、反応液に対して光学的な測定を行う測定ユニット13、反応容器8を洗浄する洗浄ユニット14が配置されている。測定ユニット13は、反応液7に光を照射する光源15、反応液7に光を照射した結果得られる光を受光する受光素子18を備える。反応ディスク9に配置された反応容器8及び反応液7は、恒温槽に保持された恒温流体17によって一定温度に保たれている。また、この自動分析装置は、装置各部を制御する制御部、各種データを蓄えたデータ格納部、外部より必要なデータを入力できる入力部、受光素子18で受ける光量から吸光度までを算出する測定部、吸光度から成分量を割り出す解析部、データを表示し外部に出力できる出力部を備える。
【0015】
図2に反応ディスク9の構成例を示す。図2(a)は反応ディスク9の上面図、図2(b)は反応ディスク9の側面図である。ターンテーブル19の外周には同一円周上に等間隔に反応容器8が設置され、さらにターンテーブル19上には同心円上に同数の検知板20が等間隔に形成されている。フォトインタラプタ21は検知板20を挟む位置に設置されている。また、ターンテーブル19の回転軸にはプーリ22が連結されていて、ステッピングモータ23と連結しているモータ側プーリ24とタイミングベルト25でつながれている。これらの構造によりステッピングモータ23の回転がモータ側プーリ24、タイミングベルト25、プーリ22を介して伝わり、ターンテーブル19が回転する。このとき検知板20がフォトインタラプタ21を通過し、フォトインタラプタ21からの信号をカウントすることで現在位置を検出する。ターンテーブルの初期位置及びその初期位置を基準とする現在の回転位置は、フォトインタラプタ21からの信号によって検出できる。
【0016】
図3を用いて、円周に沿って反応容器が配列されている円の中心からターンテーブル19の回転軸が偏心している場合に、ステッピングモータ23に与える移動パルス量の変動について説明する。図3(a)の例では、回転軸がターンテーブル19の中心の下側にずれている。A,B,C,Dは円周上の等間隔な位置とすると、本来A〜BとC〜Dへの移動は同じ回転角すなわち同じ移動量となるはずである。しかし、図3(a)のように偏心している場合は、θ1は本来よりも角度が小さく、θ2は本来よりも角度が大きくなり、場所によって移動量が変動することがわかる。これを図3(b)を用いて任意の方向に対して考えると、半径r,偏心量d,中心での角度θn0,回転軸での角度θn1の関係は次式で表される。
【0017】
【数1】

【0018】
この式に基づき、本来の設計値の回転角であるθn0と、実際の回転角のずれ量θn1−θn0との関係を考えると、図3(c)のように1回転で1周期の移動量の変動が起こることがわかる。従って、実際の回転角すなわち移動量と設計値とのずれ量を測定することで、偏心方向及び偏心量を求めることができる。
【0019】
図4を用いて、ターンテーブル19の偏心方向と偏心量を求める方法の一例を述べる。まず、図4(a)に示すように基準となる原点へターンテーブル19を位置決めする。次に図4(b)に示すようにターンテーブル19を回転させ、原点から各停止位置への移動に必要な移動パルス数、すなわちステッピングモータ23に与えるパルス数を制御部にて検出し、記憶する。その検出方法の例を図4(c)に示す。PCからコントローラへ回転制御の命令を送り、フォトインタラプタ21の信号に基づきコントローラからドライバを介してステッピングモータ23へ制御信号を送る。また、コントローラからの制御信号とフォトインタラプタ21の信号をマイコンへ入力し、ターンテーブル19の回転位置情報とその回転位置への移動に要した移動パルス数をカウントし、メモリに格納する。また、格納された情報はPCへ送られる。ここでは、回路内部で移動量と位置情報を検出し、記憶する方法について挙げたが、PCとの通信を介したソフト的な手段によるものでもよい。
【0020】
このようにして図4(d)に示すような停止位置と移動パルス数が対応づけられたテーブルが作成される。ここから実際の移動パルス数と設計値との差分をずれ量として求める。このずれ量の最大値・最小値を持つ停止位置は図3(c)に示すような位置関係にあるため、ずれ量の最小値を持つ停止位置から最大値を持つ停止位置の中間の位置を偏心方向として導くことができる。移動分解能が偏心方向を導くのに十分でないときは、ずれ量の移動平均等の平滑化処理を用いることが有効である。また、ずれ量最大値Pmax,ずれ量最小値Pmin,ターンテーブル19の中心から検知板20までの距離r,ステッピングモータ23の1パルスあたりの回転角θpから、偏心量dは次の近似式で求められる。
【0021】
【数2】

【0022】
また、図4(d)の停止位置を原点からの本来の設計値の回転角θn0に変換し、移動パルス数を実際の回転角θn1に変換して、ターンテーブル19の中心から検知板20までの距離をrとし、偏心方向と原点位置とのなす角φと偏心量dを次式に対し最小二乗法で解くことで、偏心方向と偏心量を求めることもできる。こうして求めた偏心方向と偏心量は、出力部に出力し、表示する。
【0023】
【数3】

【0024】
装置組立て時や部品交換時には、これらの方法で偏心方向や偏心量を測定することで効率良く位置調整を行うことができる。ここでは、ステッピングモータ23によるターンテーブル19の回転駆動の例を示したが、駆動手段はDCモータ等他のモータを用いてもよい。また、ターンテーブル19上に形成した検知板20とフォトインタラプ21による位置検出の例を示したが、位置検出手段はターンテーブル19に連結して取り付けられたエンコーダを用いてもよく、ターンテーブル19が回転して反応容器8が測定ユニット13の前を通過する際に両端の壁のところで光量が急激に減少することを利用し測定ユニット13から出力されるアナログ信号を元に反応容器8の位置を検出してもよい。
【0025】
図5を用いて、ターンテーブル19の回転軸が偏心している状態で従来制御を行った場合の停止状態を説明する。図5では、ターンテーブル19にはA〜Dの等間隔な停止位置があり、回転軸は中心からAの方にdだけ偏心している。従来の制御では、位置検出センサで目標位置への移動が検知されたら停止又は検知してから一定量移動後停止する。すなわち、位置検出センサの位置でずれが最小となるように制御がなされている。図5(a)(c)のように位置A,Cが位置検出センサの場所で停止するとき、x方向でずれはなく、y方向で±dのずれが生じることがわかる。一方、図5(b)のように位置Bが位置検出センサの場所で停止するとき、位置Bにおいてはx方向、y方向ともにほぼずれなく停止することができる。しかし、ターンテーブルの中心を挟んで位置Bと対向する位置Dにおいてはx方向でdの約2倍のずれが生じる。さらにターンテーブルの外周に設置された反応容器8については、位置Dに対応する反応容器8はx方向でより大きなずれが生じることとなる。また、図5(d)でも位置Bにおいて同様のずれが生じることとなる。このように従来の制御を行った場合、ターンテーブルの中心を挟んで位置検出センサと対向する位置では±2d以上の位置ずれが生じうることとなる。生化学自動分析装置では、図1に示すように多方向から複数の機構が反応容器8にアクセスし、処理を行うため、従来制御のように1箇所に対しずれが最小となるように位置決めを行うと、他の場所で大きなずれが起こり、機構の干渉のリスクが生じる。
【0026】
図6を用いて、本発明によってターンテーブル19の回転移動量を補正して制御を行った場合の停止状態を説明する。図6(a)(c)では、従来の制御と同様に位置A,Cが位置検出センサの場所で停止するように制御を行う。一方、図6(b)(d)では偏心によるずれ量を移動量に加減する補正を行う。すなわち、ターンテーブル19の幾何学的中心を挟んで対向する位置に設置されている2個の反応容器の停止位置のずれ量の大きさが等しくなるように移動量の補正を行う。これにより図6(b)では、位置Bにおいてx方向にdずれが生じるが、位置Dにおいてもx方向のずれがdとなる。図6(d)でも同様に位置D,Bにおいてx方向に−dのずれとなり、位置検出センサの場所とそれに対向する場所とでそれぞれ偏心に伴うずれが±dの範囲におさまる。このように本発明による回転移動量の補正を加えた制御を行うことで、偏心に伴うずれが各方向に分散し、従来制御に比べ機構の干渉のリスクを低減することができる。
【0027】
図7を用いて、ターンテーブル19の回転移動量に対する補正値の算出方法について述べる。ここでは、従来制御での位置検出センサで目標位置への移動を検知してから一定量の遅延パルス分だけ移動させる方法に対し、各停止位置の遅延パルスを変更して補正する例を示す。まず、図4(d)で行った処理と同様に、図7(a)においてターンテーブル19の停止位置と移動パルス数を測定し、設計値と移動パルス数との差分から各停止位置でのずれ量を求める。そして、図7(b)に示すようにずれ量の平均値Pmと各停止位置でのずれ量との差分を求める。このずれ量の平均値Pmは、図7(c)に示すように原点での停止位置と設計値とのずれ量にあたる。このずれ量の平均値Pmとの差分を遅延パルスに加減したものをテーブルに格納し、この補正された遅延パルスに基づきステッピングモータによってターンテーブルの回転駆動を行うことで、図6で示したように偏心に伴うずれ量を各方向に分散させることができる。ここでは、ターンテーブル19上に形成した検知板20とフォトインタラプ21による位置検出の例を示したが、位置検出手段はターンテーブル19に連結して取り付けられたエンコーダを用いてもよく、ターンテーブル19が回転して反応容器8が測定ユニット13の前を通過する際に両端の壁のところで光量が急激に減少することを利用し、測定ユニット13から出力されるアナログ信号を元に反応容器8の位置を検出してもよい。
【0028】
また、本発明によればターンテーブル19の偏心方向及び偏心量を算出することが可能であるため、さらに反応容器8に対して処理を行う機構がアクセスする場所において、その場所と位置検出センサとの位置関係から、偏心に伴うずれ量を導くことができる。例えば図8に示すように、反応容器8に対して試料分注機構10が処理を行う場合を考える。図8(a)では、ターンテーブル19がフォトインタラプタ21の場所で位置Bに停止し、試料分注機構10がアクセスする場所では位置Aに停止する状況を示している。このとき試料分注機構10はターンテーブル19の回転軸方向の位置に位置決めして停止することで、反応容器8の中心にアクセスすることができる。一方、図8(b)では、ターンテーブル19がフォトインタラプタ21の場所で位置Cに停止し、試料分注機構10がアクセスする場所では位置Bに停止する状況を示している。このとき試料分注機構10はターンテーブル19の中心方向に対し移動停止位置を−y方向に補正することで、反応容器8の中心にアクセスすることができる。偏心方向と試料分注機構10がアクセスする反応容器8の方向とのなす角θdと偏心量dから、補正量ldは、次式で求められる。
d=d・sinθd
【0029】
このようにアクセスする場所での偏心に伴う反応容器の設計停止位置からのずれ量に基づき、水平方向の移動停止位置を補正することで、さらにずれを低減することが可能となり、機構の干渉のリスクを低減できる。
【0030】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に基づくターンテーブル19の偏心に伴うずれ量を測定する構成を図9に示す。図9(a)に示すように、ターンテーブル19上に形成された検知板20に対し、第1のフォトインタラプタ26と第2のフォトインタラプタ27を異なる位置に設置する。第1のフォトインタラプタ26と第2のフォトインタラプタ27はターンテーブル19の回転軸を挟んで対向する位置に設置することが好ましい。図9(b)では、第1のフォトインタラプタ26で位置Aを、第2のフォトインタラプタ27で位置Cを検出する状態を示している。この状態は、第1のフォトインタラプタ26と第2のフォトインタラプタ27を結ぶ線上にターンテーブル19の幾何学的中心が位置しており、いずれの位置でも同じタイミングで検出されることがわかる。図9(c)(d)では、第1のフォトインタラプタ26で位置Bを第2のフォトインタラプタ27で位置Dを検出する状態を示している。図9(c)では、第1のフォトインタラプタ26で位置Bが検出されているが、第2のフォトインタラプタ27で位置Dは検出されていない。一方、図9(d)では、第1のフォトインタラプタ26で位置Bは検出されていないが、第2のフォトインタラプタ27で位置Dが検出されている。
【0031】
第1のフォトインタラプタ26と第2のフォトインタラプタ27のそれぞれの検知する位置と設計値とのずれは図9(e)のように変動する。したがって、2つの位置検出センサの検知した移動量のずれ量を1/2した値を補正値として使用すれば、ターンテーブル19の偏心に伴うずれを各方向に分散させることが可能となり、さらに逐次補正を行うことも可能となる。
【0032】
図9(b)(c)(d)を参照して、従来制御での位置検出センサで目標位置への移動を検知してから一定量の遅延パルス分だけ移動させる方法に対し、各停止位置の遅延パルスを変更して補正する例を示す。第1のフォトインタラプタ26が位置Aを検出しているとき、設計上、第2のフォトインタラプタ27は位置Cを検出する。図9(b)はその状態を実現しているため、このターンテーブルの回転位置では、停止位置の遅延パルスは変更しない。次に、図9(c)のように第1のフォトインタラプタ26が位置Bを検出しているとき、設計上は第2のフォトインタラプタ27は位置Dを検出しているはずであるが偏心のため検出のタイミングが狂い、それよりXパルスだけ移動したとき、図9(d)の状態となって第2のフォトインタラプタ27が位置Dを検出したとする。このとき、例えば第1のフォトインタラプタ26が位置Bを検出した後、予め定められた一定の遅延パルスにX/2パルスだけ加算したものを補正遅延パルスとして用いてターンテーブルを停止させる。それによってターンテーブルは、図9(c)と図9(d)の中間の回転位置で停止し、偏心に伴うずれ量を各方向に分散させることができる。この方法によると、予めターンテーブルの偏心量や偏心方向を知ることなく、リアルタイムで逐次補正を行うことができる。
【0033】
ここでは、フォトインタラプタと検知板20の組み合わせによる位置検出センサを用いた例を挙げたが、2つの位置検出センサを用いて異なる位置で位置検出を行う方法であればよい。
【符号の説明】
【0034】
1:試料、2:試料カップ、3:試料ディスク、4:試薬、5:試薬カップ、6:試薬ディスク、7:反応液、8:反応容器、9:反応ディスク、10:試料分注機構、11:試薬分注機構、12:攪拌ユニット、13:測定ユニット、14:洗浄ユニット、15:光源、16:光、17:恒温流体、18:受光素子、19:ターンテーブル、20:検知板、21:フォトインタラプタ、22:プーリ、23:ステッピングモータ、24:モータ側プーリ、25:タイミングベルト、26,27:フォトインタラプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応容器を同一円周上に等間隔に設置したターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるモータと、
前記ターンテーブルの初期位置及び各回転位置を検出する位置検出センサと、
表示部とを備え、
前記ターンテーブルを順次回転移動させて前記位置検出センサの信号に基づき所定の回転位置で停止する間欠駆動を行い、
前記ターンテーブルが停止中に複数の機構が異なる位置で前記反応容器に対しアクセスする自動分析装置において、
予め前記モータによって前記ターンテーブルを回転させて前記位置検出センサの信号と前記モータによる前記ターンテーブルの回転移動量との関係から各停止位置における前記ターンテーブルの回転軸の偏心に伴うずれ量を検知し、
各停止位置のずれ量から前記ターンテーブルの回転軸の偏心方向と偏心量を算出し、算出結果を前記表示部に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
複数の反応容器を同一円周上に等間隔に設置したターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるモータと、
前記ターンテーブルの初期位置及び各回転位置を検出する位置検出センサとを備え、
前記ターンテーブルを順次回転移動させて前記位置検出センサの信号に基づき所定の回転位置で停止する間欠駆動を行い、
前記ターンテーブルが停止中に複数の機構が異なる位置で前記反応容器に対しアクセスする自動分析装置において、
予め前記モータによって前記ターンテーブルを回転させて前記位置検出センサの信号と前記モータによる前記ターンテーブルの回転移動量との関係から各停止位置における前記ターンテーブルの回転軸の偏心に伴うずれ量を検知し、
前記間欠駆動時に各停止位置のずれ量に応じて前記モータによる前記回転移動量の補正を行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動分析装置において、前記ターンテーブルの幾何学的中心を挟んで対向する位置に設置されている2個の反応容器の停止位置のずれ量の大きさが等しくなるように前記移動量の補正を行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項2記載の自動分析装置において、前記各停止位置のずれ量から前記機構がアクセスする前記反応容器の停止位置のずれ量を算出し、そのずれ量に基づいて前記機構が前記反応容器にアクセスするときの位置決めの移動量を補正することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
複数の反応容器を同一円周上に等間隔に設置したターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるモータと、
前記ターンテーブルの初期位置及び各回転位置を検出する位置検出センサとを備え、
前記ターンテーブルを順次回転移動させて前記位置検出センサの信号に基づき所定の回転位置で停止する間欠駆動を行い、
前記ターンテーブルが停止中に複数の機構が異なる位置で前記反応容器に対しアクセスする自動分析装置において、
予め前記モータによって前記ターンテーブルを回転させて前記位置検出センサの信号と前記モータによる前記ターンテーブルの回転移動量との関係から各停止位置における前記ターンテーブルの回転軸の偏心に伴うずれ量を検知し、
各停止位置のずれ量から前記機構がアクセスする前記反応容器の停止位置のずれ量を算出し、そのずれ量に基づいて前記機構が前記反応容器にアクセスするときの位置決めの移動量を補正することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の自動分析装置において、前記位置検出センサは異なる位置に2つ設置され、前記ターンテーブル回転時に各位置検出センサの信号が検出されるタイミングの違いによって前記ターンテーブルの回転軸の偏心に伴うずれ量を検知することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
複数の反応容器を同一円周上に等間隔に設置したターンテーブルと、
前記ターンテーブルを回転させるモータと、
前記ターンテーブルの初期位置及び各回転位置を検出する位置検出センサとを備え、
前記ターンテーブルを順次回転移動させて前記位置検出センサの信号に基づき所定の回転位置で停止する間欠駆動を行い、
前記ターンテーブルが停止中に複数の機構が異なる位置で前記反応容器に対しアクセスする自動分析装置において、
前記位置検出センサは前記ターンテーブルの回転軸を挟んで対向する位置に2つ設置され、
間欠駆動時に前記2つの位置検出センサの信号が検出されるタイミングの差に対応する前記モータの回転移動量の半分を補正値として前記モータによる回転移動量の補正を行い、前記ターンテーブルの回転軸の偏心に伴うずれ量を補正することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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