自動取引装置、自動取引方法、自動取引プログラム、及び磁気情報復旧システム
【課題】本発明は、顧客に特別な操作を要求することなくキャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して顧客の利便性を向上できる自動取引装置、自動取引方法、自動取引プログラム、及び磁気情報復旧システムを提供することを目的とする。
【解決手段】磁気ストライプ情報500を記憶する磁気ストライプ51及びICチップ52を備えたキャッシュカード50を受付けるカード機構部12と、制御部11とを備えたATM10であって、制御部11に、ICチップ52の改変チェック情報530と比較して磁気ストライプ情報500の改変を判定する改変判定処理と、改変していなければ磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に記憶する複製処理と、改変していれば複製磁気ストライプ情報520を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に記憶する復旧処理とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】磁気ストライプ情報500を記憶する磁気ストライプ51及びICチップ52を備えたキャッシュカード50を受付けるカード機構部12と、制御部11とを備えたATM10であって、制御部11に、ICチップ52の改変チェック情報530と比較して磁気ストライプ情報500の改変を判定する改変判定処理と、改変していなければ磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に記憶する複製処理と、改変していれば複製磁気ストライプ情報520を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に記憶する復旧処理とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばICチップと磁気ストライプを有するキャッシュカードにおいて、改変した磁気ストライプの情報を復旧することができるような自動取引装置、自動取引方法、自動取引プログラム、及び磁気情報復旧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人で紙幣や硬貨の入出金することができる自動取引装置として、ATMや両替機などが広く普及している。このような自動取引装置において、顧客は、顧客情報を記憶したキャッシュカードのような顧客媒体を用いて取引を行う。
【0003】
この顧客媒体は、従来、薄膜帯状の磁性体である磁気ストライプに顧客の口座番号や残高情報などからなる顧客情報を磁気情報として記憶していたが、昨今、セキュリティ強度の高いICチップに顧客情報を記憶したICカードタイプが普及しつつある。
【0004】
しかしながら、ICカード非対応の自動取引装置が稼働していることもあり、全ての取引処理をICカードタイプの顧客媒体で行うことができない。このため、顧客媒体は、磁気ストライプとICチップの両方を備えていることが多い。
【0005】
ところで、この磁気ストライプは、強い磁気の影響を受けると磁気情報が改変し易いという特徴がある。このため、この特徴を悪用して磁気情報を改ざんした顧客媒体を用いた不正な取引が問題となっている。加えて、昨今では、携帯電話のスピーカーなど身近なところに磁気を帯びたものが多く、磁気情報が意図せず改変するリスクが増加している。そして、磁気情報が改変すると、自動取引装置が顧客媒体を読取れない、あるいは取引を正常に行うことができないおそれがある。
【0006】
そこで、ホストコンピューターに記憶している顧客情報と照合して、改変した磁気情報を復旧する、あるいは磁気情報が改変していても取引を継続できる技術が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1では、自動取引装置が顧客媒体を正常に取り扱えないと判断すると、免許証などの個人を特定する媒体の投入を顧客に要求する。そして、自動取引装置が個人を特定する媒体の情報を磁気情報の復旧処理を行うセンタに送信し、センタにてホストコンピューターの顧客情報と照合を行う。その後、自動取引装置は、センタからの対応指示にしたがって顧客媒体を復旧するとされている。
【0008】
また、特許文献2では、自動取引装置が顧客媒体を正常に取り扱えないと判断すると、住所、氏名、及び電話番号などの顧客を特定できる情報の入力を顧客に要求する。そして、自動取引装置は、入力された情報をホストコンピューターに照会し、ホストコンピューターの顧客情報と合致すれば取引を継続するとされている。
【0009】
しかしながら、特許文献1、及び特許文献2の自動取引装置では、改ざんした顧客媒体を用いた不正な取引を防止できないという問題がある。また、特許文献1では、センタを設ける必要があるうえ、個人を特定する媒体が必要となる。つまり、免許証などを持っていない場合、すぐに顧客媒体を復旧できないという問題がある。一方、特許文献2では、住所や氏名などの入力する手間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−100075号公報
【特許文献2】特開2001−250151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑み、顧客に特別な操作を要求することなく、顧客媒体の磁気情報を復旧して、顧客の利便性を向上することができる自動取引装置、自動取引方法、自動取引プログラム、及び磁気情報復旧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体を受付ける顧客媒体受付部と、該顧客媒体受付部を制御する制御部とを備えた自動取引装置であって、前記制御部に、前記磁気情報を読込むと、前記磁気情報の所定の情報で構成するとともに、前記ICチップに記憶した改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定する改変判定処理と、前記磁気情報が改変していなければ、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶する複製処理と、前記磁気情報が改変していれば、前記複製磁気情報を読込んで磁気情報として前記磁気ストライプに記憶する復旧処理とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、顧客に特別な操作を要求することなく、顧客媒体の磁気情報を復旧して、顧客の利便性を向上できる自動取引装置、自動取引方法、自動取引プログラム、及び磁気情報復旧システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ATMと通信回線を介して接続されたホストコンピューターとのシステム構成図。
【図2】ATMとホストコンピューターの内部構成を示すブロック図。
【図3】ATMの取引動作を示すフローチャート。
【図4】取引種別の選択押下を促す画面を示す取引メニュー画面。
【図5】キャッシュカードのデータ構成を示すデータ構成図。
【図6】キャッシュカードを読取る動作を示すフローチャート。
【図7】改変判定処理の動作を示すフローチャート。
【図8】改変判定処理の動作を示すフローチャート。
【図9】更新処理の動作を示すフローチャート。
【図10】実施例3におけるキャッシュカードとカード専用端末の内部構成を示すブロック図。
【図11】ICチップにおける別のデータ構成を示すデータ構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1はATM10(自動取引装置)と通信回線1を介して接続されたホストコンピューター20とのシステム構成図を示し、図2はATM10とホストコンピューター20の内部構成のブロック図を示している。
【0017】
ATM10は、図1に示すように、銀行などに設置されて顧客操作によって現金の入出金等の取引を行うことができる自動取引装置であって、ATM10の中ほどの高さにある水平操作面に紙幣入出金機構部13、硬貨入出金機構部14、静脈認証機構部15、及び操作部16が配置され、水平操作面から上方垂直操作面にカード機構部・明細票機構部12(顧客媒体受付部)、及び通帳機構部17が配置されている。
そして、ATM10は、通信回線1を介してホストコンピューター20と相互に通信可能に接続している。
【0018】
具体的には、ATM10は、図2に示すように、カード機構部・明細票機構部12、紙幣入出金機構部13、硬貨入出金機構部14、静脈認証機構部15、操作部16、及び通帳機構部17が所定のバスを介して制御部11(制御部)に接続している。さらに、音声案内ガイダンス部18、及び回線接続部19が所定のバスを介して制御部11に接続している。
【0019】
制御部11は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、顧客がATM10を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。
【0020】
カード機構部・明細票機構部12は、キャッシュカード(顧客媒体)の挿入・排出機能とキャッシュカード情報の読取り書込み機能を有するカード機構部と、取引の内容を明細票に印字し排出する機能を有する明細票機構部とを一体で構成している。
【0021】
紙幣入出金機構部13は、紙幣の入出金機能、識別機能、及び収納機能などを有している。
硬貨入出金機構部14は、硬貨の入出金機能、識別機能、及び収納機能などを有している。
静脈認証機構部15は、顧客の静脈を読取る静脈読取機能とキャッシュカードに記憶している静脈データと照合して認証を行う認証機能を有している。
【0022】
操作部16は、取引種別の選択や取引金額の入力などの顧客の入力操作を受付ける機能と、取引操作案内を表示する機能とを兼ね備えたタッチパネルで構成している。
通帳機構部17は、顧客の通帳の挿入・排出する機能と、通帳の情報を読取る機能と、通帳に取引内容を印字する印字機能とを有している。
【0023】
音声案内ガイダンス部18は、取引にかかる操作を音声で案内する機能を有している。
回線接続部19は、ATM10を通信回線1に接続する機能と、通信回線1を介して接続したホストコンピューター20と各種情報の受送信を行う機能を有している。
【0024】
また、ホストコンピューター20は、図2に示すように、口座情報ファイル制御部22、回線接続部23、及びファイル部24が所定のバスを介してホストコンピューター制御部21に接続している。
【0025】
ホストコンピューター制御部21は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、ATM10と通信回線1を介して取引を行う各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。
【0026】
口座情報ファイル制御部22は、ホストコンピューター制御部21の指示により、後述するファイル部24に記憶しているファイルの入出力制御を行う機能を有している。
【0027】
回線接続部23は、ホストコンピューター20を通信回線1に接続する機能と、通信回線1を介して接続したATM10と各種情報の受送信を行う機能を有している。
【0028】
ファイル部24は、顧客の氏名、口座番号、あるいはキャッシュカード情報などの顧客情報を記憶している口座情報ファイル25と、その他の各種情報を記憶している各種ファイル26などで構成している。そして、口座情報ファイル25、及び各種ファイル26は、口座情報ファイル制御部22の指示により、適宜読み出し書込みが行われる。
このような構成のATM10とホストコンピューター20は、通信回線1を介して各制御部の指示により取引にかかる各種情報の受送信を行う。
【0029】
次に、顧客が操作して取引を行う際のATM10の取引動作を図3から図9を用いて説明する。
なお、図3はATM10の取引動作のフローチャートを示し、図4は取引種別の選択押下を促す取引メニュー画面40を示し、図5はキャッシュカード50のデータ構成図を示している。さらに、図6はキャッシュカード50を読取る動作のフローチャートを示し、図7、及び図8は改変判定処理の動作のフローチャートを示し、図9は更新処理の動作のフローチャートを示している。
【0030】
まず、顧客がATM10の前に立つと、図3に示すように、ATM10の制御部11は、取引種別の選択押下を顧客に促す取引メニュー画面40を表示部16に表示する(ステップS301)。
【0031】
この取引メニュー画面40は、図4に示すように、画面略中央に「いらっしゃいませ」、「ご用件の青色のキーを1つ押してください」という操作案内メッセージと、その下部に画面左端からお引出しボタン41、お預入れボタン42、お振込みボタン43、残高照会ボタン44を表示し、残高照会ボタン44の下部にカード復旧ボタン45を表示している。
【0032】
そして、例えば、顧客がお引出しボタン41を押下すると、図3に戻り、ATM10の制御部11は、顧客に対してカード機構部・明細票機構部12にキャッシュカードの挿入を促すカード挿入案内画面(図示省略)を表示部16に表示する。顧客がカード挿入案内画面にしたがってキャッシュカードを挿入すると、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、挿入されたキャッシュカードに記憶している顧客情報の読取りを開始する(ステップS302)。
【0033】
ここで、キャッシュカードは、図5に示すように、上部に配置した磁気ストライプ51(磁気ストライプ)と、中央近傍に配置したICチップ52(ICチップ)とで構成した、所謂ICカードタイプのキャッシュカード50である。
【0034】
磁気ストライプ51は、各種情報の記憶が可能な薄膜帯状の磁性体であって、磁気ストライプ情報500(磁気情報)を記憶している。
この磁気ストライプ情報500は、顧客情報として金融機関番号501、支店番号502、口座番号503、提携先金融機関番号504、提携先支店番号505、提携先口座番号506、変動情報507、及びその他固定情報508を格納している。
【0035】
変動情報507は、残高情報や有効期限など取引や時間経過で変動する情報を格納している。
その他固定情報508は、ATM10において、キャッシュカード50がICカードタイプであることを判定するための有効性コードなどを格納している。
【0036】
なお、提携先金融機関番号504、提携先支店番号505、及び提携先口座番号506は、キャッシュカード50によっては格納していない場合があるので、これらをオプション情報509として取り扱う。
【0037】
また、ICチップ52は、情報の記憶、演算などが可能な電子部品であって、ICチップ情報510(ICチップ情報)と、複製磁気ストライプ情報520(複製磁気情報)とを記憶している。このICチップ情報510、及び複製磁気ストライプ情報520には、専用のアプリケーションを介してアクセスする。
【0038】
ICチップ情報510は、顧客情報として金融機関番号511、支店番号512、口座番号513、及び磁気ストライプ情報514を格納している。このICチップ情報510は、ICチップ対応のATMなどで取引する際に用いる。
【0039】
磁気ストライプ情報514は、磁気ストライプ情報500と同一の情報であるが、残高情報などの変動情報507が反映されない構成であり、かつSAMがある場合のみ利用可能な情報である。
【0040】
複製磁気ストライプ情報520は、磁気ストライプ情報500の各情報を複製記憶したものであって、それぞれチェック用金融機関番号521、チェック用支店番号522、チェック用口座番号523、チェック用提携先金融機関番号524、チェック用提携先支店番号525、チェック用提携先口座番号526、変動情報527、及びその他固定情報528として格納している。
【0041】
チェック用金融機関番号521、チェック用支店番号522、チェック用口座番号523、チェック用提携先金融機関番号524、チェック用提携先支店番号525、及びチェック用提携先口座番号526(所定の情報)は、後述する磁気ストライプ情報500の改変有無の比較判定に用いる改変チェック情報530(改変チェック情報)を兼ねているものとする。
【0042】
なお、チェック用提携先金融機関番号524、チェック用提携先支店番号525、及びチェック用提携先口座番号526は、キャッシュカード50によっては格納していない場合があるので、これらをチェック用オプション情報529として取り扱う。
【0043】
図3のステップS302に戻り、カード機構部・明細票機構部12が、上述したデータ構造のキャッシュカード50を読取る動作を図6から図8を用いて詳しく説明する。
【0044】
キャッシュカード50の挿入を検知すると、図6に示すように、ATM10の制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、キャッシュカード50の磁気ストライプ51の読取りを開始する(ステップS601)。そして、制御部11は、磁気ストライプ51の磁気ストライプ情報500が正常に読取れるか否かを判定する(ステップS602)。
【0045】
磁気ストライプ情報500が読取り不可能であれば(ステップS602:No)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が破損していると判定する。その後、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、ICチップ52のICチップ情報510、及び複製磁気ストライプ情報520の読取りを開始する(ステップS607)。
【0046】
そして、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、読取った複製磁気ストライプ情報520を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に書き込む復旧処理を実行する(ステップS608)。磁気ストライプ情報500の復旧処理を終了すると、制御部11は、キャッシュカード50の顧客情報読取りを終了して、図3のステップS302に戻って取引処理を継続する。
【0047】
一方、ステップS602において、磁気ストライプ51が読取り可能であれば(ステップS602:Yes)、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、ICチップ52のICチップ情報510、及び複製磁気ストライプ情報520の読取りを開始する(ステップS603)。
【0048】
そして、制御部11は、磁気ストライプ情報500の改変有無を判定する改変判定処理を実行する(ステップS604)。
詳述すると、制御部11は、図7、及び図8に示すように、磁気ストライプ情報500の金融機関番号501と改変チェック情報530のチェック用金融機関番号521とを比較する(ステップS701)。
【0049】
金融機関番号501がチェック用金融機関番号521と一致すれば(ステップS702:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の支店番号502と改変チェック情報530のチェック用支店番号522とを比較する(ステップS703)。
【0050】
支店番号502がチェック用支店番号522と一致すれば(ステップS704:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の口座番号503と改変チェック情報530のチェック用口座番号523とを比較する(ステップS705)。
【0051】
口座番号503がチェック用口座番号523と一致すれば(ステップS706:Yes)、制御部11は、改変チェック情報530のチェック用オプション情報529の有無を判定する(ステップS707)。
【0052】
チェック用オプション情報529が無ければ(ステップS708:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していないと判定し、「改変無し」として改変判定処理を終了して、図6のステップS604に戻る。
【0053】
一方、ステップS708において、チェック用オプション情報529があれば(ステップS708:No)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の提携先金融機関番号504と改変チェック情報530のチェック用提携先金融機関番号524とを比較する(ステップS709)。
【0054】
提携先金融機関番号504がチェック用提携先金融機関番号524と一致すれば(ステップS710:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の提携先支店番号505と改変チェック情報530のチェック用提携先支店番号525とを比較する(ステップS711)。
【0055】
提携先支店番号505がチェック用提携先支店番号525と一致すれば(ステップS712:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の提携先口座番号506と、改変チェック情報530のチェック用提携先口座番号526とを比較する(ステップS713)。
【0056】
提携先口座番号506がチェック用提携先口座番号526と一致すれば(ステップS714:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していないと判定し、「改変無し」として改変判定処理を終了して、図6のステップS604に戻る。
【0057】
なお、ステップS702において金融機関番号が一致しない場合(ステップS702:No)、またはステップS704において支店番号が一致しない場合(ステップS704:No)、もしくはステップS706において口座番号が一致しない場合(ステップS706:No)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していると判定し、「改変有り」として改変判定処理を終了して、図6のステップS604に戻る。
【0058】
また、ステップS710において提携先金融機関番号が一致しない場合(ステップS710:No)、またはステップS712において提携先支店番号が一致しない場合(ステップS712:No)、もしくはステップS714において提携先口座番号が一致しない場合(ステップS714:No)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していると判定し、「改変有り」として改変判定処理を終了して、図6のステップS604に戻る。
【0059】
すなわち、磁気ストライプ情報500が改変チェック情報530のいずれか1つと一致しなければ、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していると判定する。
【0060】
図6のステップS604に戻り、改変判定処理が終了すると、制御部11は、改変判定処理の結果を判定する(ステップS605)。改変判定処理の結果が「改変無し」であれば(ステップS605:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に書き込む複製処理を実行する(ステップS606)。磁気ストライプ情報500の複製処理が終了すると、制御部11は、キャッシュカード50の顧客情報読取りを終了して、図3のステップS302に戻って取引処理を継続する。
【0061】
一方、ステップS605において、改変判定処理の結果が「改変有り」であれば(ステップS605:No)、制御部11は、ICチップ52の複製磁気ストライプ情報520を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に書き込む復旧処理を実行する(ステップS608)。磁気ストライプ情報500の復旧処理が終了すると、制御部11は、キャッシュカード50の顧客情報読取りを終了して、図3のステップS302に戻って取引処理を継続する。
【0062】
図3のステップS302に戻り、顧客情報読取りを終了すると、制御部11は、顧客に対して暗証番号の入力を促す暗証番号入力案内画面(図示省略)を操作部16に表示する。そして、顧客が暗証番号入力案内画面の指示にしたがって暗証番号を入力決定すると(ステップS303)、制御部11は、回線接続部19を介してホストコンピューター20に暗証番号情報を送信する。
【0063】
暗証番号情報をホストコンピューター20の回線接続部23が受信すると、ホストコンピューター制御部21の指示により、口座情報ファイル制御部22は、ファイル部24の口座情報ファイル25を参照して暗証番号の照会を行う。その後、ホストコンピューター制御部21は、回線接続部23を介して、ATM10に暗証番号の照会結果を送信する。
【0064】
そして、暗証番号の照会結果を受信すると、ATM10の制御部11は、顧客に対して取引金額の入力を促す金額入力案内画面(図示省略)を操作部16に表示する。顧客が金額入力案内画面の指示にしたがって所望する金額を入力決定すると(ステップS304)、制御部11の指示により、現金を紙幣入出金機構部13、及び硬貨入出金機構部14の内部に搬送して放出準備する。
【0065】
また、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、キャッシュカード50の放出準備を行う。この際、取引によって変動した残高情報を磁気ストライプ情報500の変動情報507に反映させるために、制御部11は、磁気ストライプ情報500を更新する更新処理を実行する。
【0066】
詳述すると、図9に示すように、制御部11は、磁気ストライプ情報500を更新するための更新情報(更新磁気情報)を作成する(ステップS901)。この更新情報は、取引によって変動した残高情報を変動情報507に反映させた新しい磁気ストライプ情報500である。
【0067】
そして、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、更新情報を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に書き込む(ステップS902)。
然る後、カード機構部・明細票機構部12は、更新情報を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に記憶する(ステップS903)。その後、制御部11は更新処理を終了して、図3のステップS304に戻って取引処理を継続する。
【0068】
図3のステップS304に戻り、更新処理を終了すると、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、明細票を印字してキャッシュカード50とともに放出する(ステップS305)。
【0069】
さらに、制御部11の指示により、紙幣入出金機構部13、及び硬貨入出金機構部14は、放出準備した現金を放出する(ステップS306)。顧客が放出されたキャッシュカード50、明細票、及び現金を全て取り出すと、制御部11は、取引処理を終了する。
【0070】
以上のような動作を実現する構成により、ATM10は、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上することができる。
【0071】
具体的には、磁気ストライプ情報500の改変を検出すると復旧処理を実行することにより、ATM10は、顧客に顧客情報の入力、あるいは個人を特定する媒体投入を要求することなく、改変した磁気ストライプ情報500を正常な情報に書き換えて復旧することができる。すなわち、改変した磁気ストライプ情報500は、ICチップ52の複製磁気ストライプ情報520だけで正常な情報に復旧することができる。
【0072】
このように、改変した磁気ストライプ情報500をICチップ52の複製磁気ストライプ情報520だけで復旧できることにより、ホストコンピューター20と接続していないATMにおいても、磁気ストライプ情報500の復旧処理を行うことができる。
【0073】
また、顧客は、磁気ストライプ情報500が改変したキャッシュカード50で取引を開始しても、取引を中断されることがなく、取引終了時には磁気ストライプ情報500が正常なキャッシュカード50を受け取ることができる。つまり、顧客が特別な操作を行う、あるいはATM10を設置している金融機関の窓口で復旧手続きを行う手間を省くことができる。
【0074】
特に、ATM10の設置場所が商業施設などである場合、顧客が遠方の金融機関の窓口まで復旧手続きに出向く手間を省くことができる。加えて、金融機関もこのような復旧手続き業務を不要にすることができる。すなわち、顧客と金融機関双方の利便性を向上することができる。
【0075】
また、磁気ストライプ情報500の金融機関番号501、支店番号502、口座番号503、提携先金融機関番号504、提携先支店番号505、及び提携先口座番号506のいずれか1つが、改変チェック情報530と一致しなければ、磁気ストライプ情報500が改変していると判定することにより、ATM10は、磁気ストライプ情報500の改変を確実に検出することができる。これにより、ATM10は、ホストコンピューター20との各種情報の授受にエラーが生じるなどして取引が中断するようなことを防止できる。
【0076】
また、磁気ストライプ情報500が改変していなければ、磁気ストライプ情報500をICチップ52に複製記憶する複製処理により、ATM10は、キャッシュカード50がカード機構部・明細票機構部12に挿入されるたびに、磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に複製記憶することができる。
【0077】
これにより、ICチップ52の複製磁気ストライプ情報520は、取引を途中で中止しても、磁気ストライプ情報500の最新の複製とすることができる。また、取引途中に磁気ストライプ情報500に改変が生じるようなことがあっても、ATM10は、磁気ストライプ情報500を取引開始時の状態に復旧することができる。
【0078】
また、ICチップ52にICチップ情報510と複製磁気ストライプ情報520(改変チェック情報530)とを別々に記憶することにより、磁気ストライプ情報500の改変有無を確実に判定することができるとともに、ICチップ52の各情報を適切に保護することができる。
【0079】
詳述すると、金融機関のシステムによっては、磁気ストライプ情報500とICチップ情報510とで支店番号などの桁数が異なることがある。このような場合、ICチップ情報510を用いて改変判定処理を行うと、正確に判定できないおそれがある。
【0080】
そこで、改変チェック情報530を用いて改変判定処理を行うことで、ATM10は、磁気ストライプ情報500の改変有無を確実に検出して、その結果に応じた復旧処理、あるいは複製処理を行うことができる。さらに、磁気ストライプ情報500と比較するために、ICチップ情報510の各情報を変換するような処理を不要にすることができる。
【0081】
また、ICチップ52のICチップ情報510、及び複製磁気ストライプ情報520(改変チェック情報530)は、専用のアプリケーションがなければアクセスできないため容易に改変されないことから、磁気ストライプ情報500の複製を確実に保護することができる。
【0082】
さらに、磁気ストライプ情報500の複製を複製磁気ストライプ情報520として記憶することにより、ICチップ情報510は、一切書き換えが行われることない。つまり、ATM10は、ICカード対応ATMでの取引に用いられるICチップ情報510を確実に保護することができる。
【0083】
また、複製磁気ストライプ情報520が改変困難であることから、キャッツカード50は、悪用目的の改ざんを困難にすることができる。これにより、ATM10は、悪用目的で磁気ストライプ情報500が改ざんされたキャッシュカード50も確実に検出することができる。
【0084】
つまり、ATM10は、意図せず磁気ストライプ情報500が改変したキャッシュカード50だけでなく、故意に改ざんしたキャッシュカード50も検出して不正な取引を防止することができる。
【0085】
従って、改変判定処理、複製処理、及び復旧処理により、ATM10は、顧客に特別な操作を要求することなく、かつホストコンピューター20と接続することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を確実に復旧することができるとともに、顧客と金融機関双方の利便性を向上することができる。加えて、改ざんしたキャッシュカード50を用いた不正な取引も防止することができる。
【0086】
また、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500が読取り不可であれば復旧処理を行う(読取り判定処理)ことにより、ATM10は、取引と中止することなく、自動的に磁気ストライプ情報500を復旧することができる。これにより、顧客は、カード機構部・明細票機構部12で読取り不可のキャッシュカード50で取引を開始しても、取引が中断されることがなく、かつ取引終了時には磁気ストライプ情報500が正常なキャッシュカード50を受け取ることができる。
【0087】
従って、磁気ストライプ情報500が読取り不可であれば、復旧処理を実行することにより、ATM10は、顧客に特別な操作を要求することなく、自動的にキャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上することができる。
【0088】
また、ICチップ52の複製磁気ストライプ情報520を更新したのち、磁気ストライプ情報500を更新する更新処理により、万一、磁気ストライプ情報500の更新に失敗しても、更新済みの複製磁気ストライプ情報520から磁気ストライプ情報500を確実に復旧することができる。
【0089】
さらに、キャッシュカード50の放出前に更新処理を行うことにより、残高情報を磁気ストライプ情報500の変動情報507と、複製磁気ストライプ情報520の変動情報527の双方に反映することができる。これにより、ATM10は、直近の取引終了時点での複製磁気ストライプ情報520で磁気ストライプ情報500を復旧処理することができる。
【0090】
従って、更新処理により、ATM10は、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を確実に複製するとともに、万一磁気ストライプ情報500が改変した際には最新の状態で確実に復旧することができる。
【0091】
また、磁気ストライプ情報500を記憶する磁気ストライプ51、及びICチップ情報510を記憶するICチップ52を備えたキャッシュカード50をカード機構部・明細票機構部12で受付けると、制御部11によりカード機構部・明細表記後部12を制御するATM10を用いた自動取引方法であって、制御部11の改変判定処理により、磁気ストライプ情報500を読込むと、ICチップ52の改変チェック情報530と比較して、磁気ストライプ情報500の改変有無を判定し、磁気ストライプ情報500が改変していなければ、複製処理により読込んだ磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に複製記憶し、磁気ストライプ情報500が改変していれば、復旧処理により複製磁気ストライプ情報520を読込んで磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に記憶することにより、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上できる自動取引方法を提供することができる。
【0092】
また、磁気ストライプ情報500を磁気ストライプ51、及びICチップ情報510を記憶するICチップ52を備えたキャッシュカード50を受付けるカード機構部・明細票機構部12と、制御部11とを備えたATM10を用いた自動取引プログラムであって、制御部11に、磁気ストライプ情報500を読込むと、改変チェック情報530と比較して、磁気ストライプ情報500の改変有無を判定するステップと、磁気ストライプ情報500が改変していなければ、読込んだ磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に複製記憶するステップと、磁気ストライプ情報500が改変していれば、複製磁気ストライプ情報520を読込んで磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に記憶するステップとを実行させることにより、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上できる自動取引プログラムを提供することができる。
【0093】
具体的には、自動取引プログラムは、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶媒体により提供する、ホストコンピューター20のファイル部24に格納して通信回線1を介してダウンロードにより提供する、あるいはATM10に組み込まれて提供することができる。
【0094】
なお、上述の実施例1では、顧客がお引出しボタン41を押下した場合で説明したが、取引の際、カード機構部・明細票機構部12にキャッシュカード50を挿入する取引であれば、どの取引種別であってもよい。
【0095】
また、更新処理をキャッシュカード50の放出前としたが、これに限定せず取引種別に応じた適宜のタイミングで実行してもよい。さらに、更新処理は、磁気ストライプ情報500を全て更新するのではなく、変動情報507など一部情報だけでもよい。
【実施例2】
【0096】
上述の実施例1のATM10を用いた別の実施例として、他のATMで取引が拒否されたキャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧する場合について説明する。
【0097】
図3のステップS301において、顧客が図4に示す取引メニュー画面40のカード復旧ボタン45を押下すると、ATM10の制御部11は、顧客に対してキャッシュカード50の挿入を促すカード挿入案内画面(図示省略)を操作部16に表示する。
【0098】
顧客がキャッシュカード50をカード機構部・明細票機構部12に挿入すると(ステップS302)、制御部11は、図6に示すキャッシュカード50を読取る動作のフローチャートにおいて、ステップS601からステップS607をスキップする。
【0099】
そして、制御部11は、磁気ストライプ情報500の復旧処理を実行して(ステップS608)、複製磁気ストライプ情報520を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に書き込み、図3のステップS302に戻って取引処理を継続する。
【0100】
図3のステップS302に戻ると、制御部11は、図3のステップS303、及びステップS304をスキップする。そして、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、磁気ストライプ情報500を復旧したキャッシュカード50を放出する(ステップS305)。
【0101】
なお、この際、制御部11は、図9の更新処理をスキップしてキャッシュカード50を放出する。その後、制御部11は、カード復旧ボタン45の選択押下に対する処理を終了する。
【0102】
以上のような動作により、ATM10は、磁気ストライプ情報500が改変したキャッシュカード50を容易に復旧することができる。また、顧客は、特別な操作をすることなく、自動的にキャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧することができる。
【0103】
なお、上述の実施例1、及び実施例2では、自動取引装置としてATM10を用いて説明したがこれに限定せず、両替機やCD機、あるいはカード復旧専用端末などとしてもよい。
また、カード機構部・明細票機構部12を一体構成としたが、カード機構部と明細票機構部は、それぞれ独立した構成としてもよい。
【実施例3】
【0104】
別の実施例として、カード専用端末100(媒体受付手段)がキャッシュカード50のICチップ52に記憶している復旧・複製プログラム540(各種処理プログラム)を用いて、磁気ストライプ情報500の改変判定処理、及び複製処理、あるいは復旧処理を行う磁気ストライプ情報復旧システム(磁気情報復旧システム)について説明する。
【0105】
なお、図10は実施例3におけるキャッシュカード50とカード専用端末100の内部構成のブロック図を示している。なお、上述した実施例1、及び実施例2と同じ構成要素は、同じ符号を付与して、その詳細な説明を省略する。
【0106】
キャッシュカード50は、図10に示すように、上述した実施例1、及び実施例2に対してICチップ52のデータ構成が異なる。このICチップ52は、ICチップ情報510、複製磁気ストライプ情報520、及び改変チェック情報530に加えて、復旧・複製プログラム540を記憶している。
【0107】
この復旧・複製プログラム540は、磁気ストライプ情報500を読込むと、磁気ストライプ情報500の改変有無を判定し、磁気ストライプ情報500が改変していなければ、読込んだ磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に複製記憶する一方、磁気ストライプ情報500が改変していれば、複製磁気情報520を読込むとともに、磁気ストライプ51に記憶して磁気ストライプ情報500を復旧するプログラムである。
【0108】
カード専用端末100は、端末制御部101、カード受付け・排出機構部102、ICチップ読取り・書込み機構部103、及び磁気ストライプ読取り・書込み機構部104で構成している。
【0109】
端末制御部101は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、顧客がカード専用端末100を用いてキャッシュカード50の改変判定、及び磁気ストライプ情報500の複製、あるいは復旧を行う各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。
【0110】
カード受付け・排出機構部102は、キャッシュカード50の挿入・検出する機能、及び端末制御部101の指示により排出する機能を有している。
ICチップ読取り・書込み機構部103は、端末制御部101の指示によりICチップ52の読取り、及び書込みを行う機能を有している。
磁気ストライプ読取り・書込み機構部104は、端末制御部101の指示により磁気ストライプ51の読取り、及び書込みを行う機能を有している。
【0111】
このような構成のキャッシュカード50、及びカード専用端末100において、磁気ストライプ情報500を復旧したい顧客は、カード受付け・排出機構部102にキャッシュカード50を挿入する。
【0112】
カード専用端末100のカード受付け・排出機構部102がキャッシュカード50の挿入を検出すると、端末制御部101の指示により、ICチップ読取り・書込み機構部103は、キャッシュカード50の復旧・複製プログラム540を読み出して端末制御部101のメモリに格納する。そして、端末制御部101は、復旧・複製プログラム540を実行する。
【0113】
カード専用端末100の端末制御部101は、図6のキャッシュカード50を読取る動作のフローチャートと、図7、及び図8の改変判定処理の動作のフローチャートにしたがって、磁気ストライプ情報500の改変チェック、及び磁気ストライプ情報500の複製、あるいは復旧処理を行う。
【0114】
以上のような動作を実現する構成により、カード専用端末100は、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上することができる。
【0115】
具体的には、カード専用端末100は、キャッシュカード50を挿入するだけで、磁気ストライプ情報500の改変を容易に判定することができる。そして、カード専用端末100は、磁気ストライプ情報500の改変有無に応じて、磁気ストライプ情報500の複製、あるいは復旧を適切に行うことができる。
【0116】
また、復旧・複製プログラム540をICチップ52に記憶することにより、カード専用端末100の端末制御部101に、復旧・複製プログラムに相当するプログラムの記憶を不要にすることができる。
【0117】
さらに、金融機関やキャッシュカードの仕様に依存する復旧・複製プログラム540をICチップ52に記憶することにより、カード専用端末100は、金融機関やキャッシュカードの仕様に左右され難い汎用端末とすることができる。すなわち、顧客は、契約している金融機関以外でも磁気ストライプ情報500を復旧することができる。
加えて、カード専用端末100は、オフラインで稼動でき、かつ非常にコンパクトな端末とすることができる。
【0118】
従って、ICチップ52に復旧・複製プログラムを記憶したキャッシュカード50と、カード専用端末100とで構成される磁気ストライプ情報復旧システムは、顧客に特別な操作を要求することなく、磁気ストライプ情報500を復旧することができるとともに、顧客の利便性を向上することができる。
【0119】
なお、上述の実施例3ではカード専用端末100で説明した、これに限らずカードリーダー/ライターなどであってもよい。
また、上述の実施例3において、図6のステップS603、及びステップS607で、ICチップ52を読取る際、上述の実施例1で行ったICチップ情報510の読取りを省略してもよい。
【0120】
また、上述の実施例1から3において、キャッシュカード50を用いて説明したが、キャッシュカード50に限定せず、磁気ストライプ51とICチップ52とを備えたICカードタイプであれば、クレジットカードなどであってもよい。
【0121】
また、改変チェック情報530を、チェック用金融機関番号521、チェック用支店番号522、チェック用口座番号523、及びチェック用オブション情報529で構成したが、これに限定せず適宜の構成としてもよい。
【0122】
また、改変チェック情報530は、複製磁気ストライプ情報520の一部を用いる構成としたが、これに限定せず任意の構成としてもよい。
例えば、ICチップ52における別のデータ構成図である図11に示すように、ICチップ52には、複製磁気ストライプ情報520と、改変チェック情報530とを別々に記憶してもよい。なお、図11において、磁気ストライプ情報500、及びICチップ情報510は、図示を省略している。
【0123】
この際、複製磁気ストライプ情報520には、磁気ストライプ情報500の複製を格納している。
そして、改変チェック情報530には、チェック用金融機関番号531、チェック用支店番号532、チェック用口座番号533、チェック用提携先金融機関番号534、チェック用提携先支店番号535、及びチェック用提携先口座番号536を格納している。なお、チェック用提携先金融機関番号534、チェック用提携先支店番号535、及びチェック用提携先口座番号536は、実施例1と同様に、チェック用オプション情報539として取り扱う。
【0124】
この改変チェック情報530の各情報は、複製磁気ストライプ情報520から該当する情報を抽出して複製記憶した構成としてもよい。または、複製磁気ストライプ情報520内において、改変チェック情報530の各情報に該当する情報の記憶場所を示すアドレス情報で構成してもよい。あるいは、「金融機関番号」などのキーワードだけで構成し、改変判定処理において複製磁気ストライプ情報520を検索するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
この発明は、磁気ストライプとICチップとで構成する顧客媒体と、該顧客媒体を読込み・書込み可能な様々な装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
10…ATM
11…制御部
12…カード機構部・明細票機構部
50…キャッシュカード
51…磁気ストライプ
52…ICチップ
100…カード専用端末
500…磁気ストライプ情報
510…ICチップ情報
520…複製磁気ストライプ情報
530…改変チェック情報
540…復旧・複製プログラム
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばICチップと磁気ストライプを有するキャッシュカードにおいて、改変した磁気ストライプの情報を復旧することができるような自動取引装置、自動取引方法、自動取引プログラム、及び磁気情報復旧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人で紙幣や硬貨の入出金することができる自動取引装置として、ATMや両替機などが広く普及している。このような自動取引装置において、顧客は、顧客情報を記憶したキャッシュカードのような顧客媒体を用いて取引を行う。
【0003】
この顧客媒体は、従来、薄膜帯状の磁性体である磁気ストライプに顧客の口座番号や残高情報などからなる顧客情報を磁気情報として記憶していたが、昨今、セキュリティ強度の高いICチップに顧客情報を記憶したICカードタイプが普及しつつある。
【0004】
しかしながら、ICカード非対応の自動取引装置が稼働していることもあり、全ての取引処理をICカードタイプの顧客媒体で行うことができない。このため、顧客媒体は、磁気ストライプとICチップの両方を備えていることが多い。
【0005】
ところで、この磁気ストライプは、強い磁気の影響を受けると磁気情報が改変し易いという特徴がある。このため、この特徴を悪用して磁気情報を改ざんした顧客媒体を用いた不正な取引が問題となっている。加えて、昨今では、携帯電話のスピーカーなど身近なところに磁気を帯びたものが多く、磁気情報が意図せず改変するリスクが増加している。そして、磁気情報が改変すると、自動取引装置が顧客媒体を読取れない、あるいは取引を正常に行うことができないおそれがある。
【0006】
そこで、ホストコンピューターに記憶している顧客情報と照合して、改変した磁気情報を復旧する、あるいは磁気情報が改変していても取引を継続できる技術が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1では、自動取引装置が顧客媒体を正常に取り扱えないと判断すると、免許証などの個人を特定する媒体の投入を顧客に要求する。そして、自動取引装置が個人を特定する媒体の情報を磁気情報の復旧処理を行うセンタに送信し、センタにてホストコンピューターの顧客情報と照合を行う。その後、自動取引装置は、センタからの対応指示にしたがって顧客媒体を復旧するとされている。
【0008】
また、特許文献2では、自動取引装置が顧客媒体を正常に取り扱えないと判断すると、住所、氏名、及び電話番号などの顧客を特定できる情報の入力を顧客に要求する。そして、自動取引装置は、入力された情報をホストコンピューターに照会し、ホストコンピューターの顧客情報と合致すれば取引を継続するとされている。
【0009】
しかしながら、特許文献1、及び特許文献2の自動取引装置では、改ざんした顧客媒体を用いた不正な取引を防止できないという問題がある。また、特許文献1では、センタを設ける必要があるうえ、個人を特定する媒体が必要となる。つまり、免許証などを持っていない場合、すぐに顧客媒体を復旧できないという問題がある。一方、特許文献2では、住所や氏名などの入力する手間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−100075号公報
【特許文献2】特開2001−250151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑み、顧客に特別な操作を要求することなく、顧客媒体の磁気情報を復旧して、顧客の利便性を向上することができる自動取引装置、自動取引方法、自動取引プログラム、及び磁気情報復旧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体を受付ける顧客媒体受付部と、該顧客媒体受付部を制御する制御部とを備えた自動取引装置であって、前記制御部に、前記磁気情報を読込むと、前記磁気情報の所定の情報で構成するとともに、前記ICチップに記憶した改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定する改変判定処理と、前記磁気情報が改変していなければ、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶する複製処理と、前記磁気情報が改変していれば、前記複製磁気情報を読込んで磁気情報として前記磁気ストライプに記憶する復旧処理とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、顧客に特別な操作を要求することなく、顧客媒体の磁気情報を復旧して、顧客の利便性を向上できる自動取引装置、自動取引方法、自動取引プログラム、及び磁気情報復旧システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ATMと通信回線を介して接続されたホストコンピューターとのシステム構成図。
【図2】ATMとホストコンピューターの内部構成を示すブロック図。
【図3】ATMの取引動作を示すフローチャート。
【図4】取引種別の選択押下を促す画面を示す取引メニュー画面。
【図5】キャッシュカードのデータ構成を示すデータ構成図。
【図6】キャッシュカードを読取る動作を示すフローチャート。
【図7】改変判定処理の動作を示すフローチャート。
【図8】改変判定処理の動作を示すフローチャート。
【図9】更新処理の動作を示すフローチャート。
【図10】実施例3におけるキャッシュカードとカード専用端末の内部構成を示すブロック図。
【図11】ICチップにおける別のデータ構成を示すデータ構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1はATM10(自動取引装置)と通信回線1を介して接続されたホストコンピューター20とのシステム構成図を示し、図2はATM10とホストコンピューター20の内部構成のブロック図を示している。
【0017】
ATM10は、図1に示すように、銀行などに設置されて顧客操作によって現金の入出金等の取引を行うことができる自動取引装置であって、ATM10の中ほどの高さにある水平操作面に紙幣入出金機構部13、硬貨入出金機構部14、静脈認証機構部15、及び操作部16が配置され、水平操作面から上方垂直操作面にカード機構部・明細票機構部12(顧客媒体受付部)、及び通帳機構部17が配置されている。
そして、ATM10は、通信回線1を介してホストコンピューター20と相互に通信可能に接続している。
【0018】
具体的には、ATM10は、図2に示すように、カード機構部・明細票機構部12、紙幣入出金機構部13、硬貨入出金機構部14、静脈認証機構部15、操作部16、及び通帳機構部17が所定のバスを介して制御部11(制御部)に接続している。さらに、音声案内ガイダンス部18、及び回線接続部19が所定のバスを介して制御部11に接続している。
【0019】
制御部11は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、顧客がATM10を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。
【0020】
カード機構部・明細票機構部12は、キャッシュカード(顧客媒体)の挿入・排出機能とキャッシュカード情報の読取り書込み機能を有するカード機構部と、取引の内容を明細票に印字し排出する機能を有する明細票機構部とを一体で構成している。
【0021】
紙幣入出金機構部13は、紙幣の入出金機能、識別機能、及び収納機能などを有している。
硬貨入出金機構部14は、硬貨の入出金機能、識別機能、及び収納機能などを有している。
静脈認証機構部15は、顧客の静脈を読取る静脈読取機能とキャッシュカードに記憶している静脈データと照合して認証を行う認証機能を有している。
【0022】
操作部16は、取引種別の選択や取引金額の入力などの顧客の入力操作を受付ける機能と、取引操作案内を表示する機能とを兼ね備えたタッチパネルで構成している。
通帳機構部17は、顧客の通帳の挿入・排出する機能と、通帳の情報を読取る機能と、通帳に取引内容を印字する印字機能とを有している。
【0023】
音声案内ガイダンス部18は、取引にかかる操作を音声で案内する機能を有している。
回線接続部19は、ATM10を通信回線1に接続する機能と、通信回線1を介して接続したホストコンピューター20と各種情報の受送信を行う機能を有している。
【0024】
また、ホストコンピューター20は、図2に示すように、口座情報ファイル制御部22、回線接続部23、及びファイル部24が所定のバスを介してホストコンピューター制御部21に接続している。
【0025】
ホストコンピューター制御部21は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、ATM10と通信回線1を介して取引を行う各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。
【0026】
口座情報ファイル制御部22は、ホストコンピューター制御部21の指示により、後述するファイル部24に記憶しているファイルの入出力制御を行う機能を有している。
【0027】
回線接続部23は、ホストコンピューター20を通信回線1に接続する機能と、通信回線1を介して接続したATM10と各種情報の受送信を行う機能を有している。
【0028】
ファイル部24は、顧客の氏名、口座番号、あるいはキャッシュカード情報などの顧客情報を記憶している口座情報ファイル25と、その他の各種情報を記憶している各種ファイル26などで構成している。そして、口座情報ファイル25、及び各種ファイル26は、口座情報ファイル制御部22の指示により、適宜読み出し書込みが行われる。
このような構成のATM10とホストコンピューター20は、通信回線1を介して各制御部の指示により取引にかかる各種情報の受送信を行う。
【0029】
次に、顧客が操作して取引を行う際のATM10の取引動作を図3から図9を用いて説明する。
なお、図3はATM10の取引動作のフローチャートを示し、図4は取引種別の選択押下を促す取引メニュー画面40を示し、図5はキャッシュカード50のデータ構成図を示している。さらに、図6はキャッシュカード50を読取る動作のフローチャートを示し、図7、及び図8は改変判定処理の動作のフローチャートを示し、図9は更新処理の動作のフローチャートを示している。
【0030】
まず、顧客がATM10の前に立つと、図3に示すように、ATM10の制御部11は、取引種別の選択押下を顧客に促す取引メニュー画面40を表示部16に表示する(ステップS301)。
【0031】
この取引メニュー画面40は、図4に示すように、画面略中央に「いらっしゃいませ」、「ご用件の青色のキーを1つ押してください」という操作案内メッセージと、その下部に画面左端からお引出しボタン41、お預入れボタン42、お振込みボタン43、残高照会ボタン44を表示し、残高照会ボタン44の下部にカード復旧ボタン45を表示している。
【0032】
そして、例えば、顧客がお引出しボタン41を押下すると、図3に戻り、ATM10の制御部11は、顧客に対してカード機構部・明細票機構部12にキャッシュカードの挿入を促すカード挿入案内画面(図示省略)を表示部16に表示する。顧客がカード挿入案内画面にしたがってキャッシュカードを挿入すると、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、挿入されたキャッシュカードに記憶している顧客情報の読取りを開始する(ステップS302)。
【0033】
ここで、キャッシュカードは、図5に示すように、上部に配置した磁気ストライプ51(磁気ストライプ)と、中央近傍に配置したICチップ52(ICチップ)とで構成した、所謂ICカードタイプのキャッシュカード50である。
【0034】
磁気ストライプ51は、各種情報の記憶が可能な薄膜帯状の磁性体であって、磁気ストライプ情報500(磁気情報)を記憶している。
この磁気ストライプ情報500は、顧客情報として金融機関番号501、支店番号502、口座番号503、提携先金融機関番号504、提携先支店番号505、提携先口座番号506、変動情報507、及びその他固定情報508を格納している。
【0035】
変動情報507は、残高情報や有効期限など取引や時間経過で変動する情報を格納している。
その他固定情報508は、ATM10において、キャッシュカード50がICカードタイプであることを判定するための有効性コードなどを格納している。
【0036】
なお、提携先金融機関番号504、提携先支店番号505、及び提携先口座番号506は、キャッシュカード50によっては格納していない場合があるので、これらをオプション情報509として取り扱う。
【0037】
また、ICチップ52は、情報の記憶、演算などが可能な電子部品であって、ICチップ情報510(ICチップ情報)と、複製磁気ストライプ情報520(複製磁気情報)とを記憶している。このICチップ情報510、及び複製磁気ストライプ情報520には、専用のアプリケーションを介してアクセスする。
【0038】
ICチップ情報510は、顧客情報として金融機関番号511、支店番号512、口座番号513、及び磁気ストライプ情報514を格納している。このICチップ情報510は、ICチップ対応のATMなどで取引する際に用いる。
【0039】
磁気ストライプ情報514は、磁気ストライプ情報500と同一の情報であるが、残高情報などの変動情報507が反映されない構成であり、かつSAMがある場合のみ利用可能な情報である。
【0040】
複製磁気ストライプ情報520は、磁気ストライプ情報500の各情報を複製記憶したものであって、それぞれチェック用金融機関番号521、チェック用支店番号522、チェック用口座番号523、チェック用提携先金融機関番号524、チェック用提携先支店番号525、チェック用提携先口座番号526、変動情報527、及びその他固定情報528として格納している。
【0041】
チェック用金融機関番号521、チェック用支店番号522、チェック用口座番号523、チェック用提携先金融機関番号524、チェック用提携先支店番号525、及びチェック用提携先口座番号526(所定の情報)は、後述する磁気ストライプ情報500の改変有無の比較判定に用いる改変チェック情報530(改変チェック情報)を兼ねているものとする。
【0042】
なお、チェック用提携先金融機関番号524、チェック用提携先支店番号525、及びチェック用提携先口座番号526は、キャッシュカード50によっては格納していない場合があるので、これらをチェック用オプション情報529として取り扱う。
【0043】
図3のステップS302に戻り、カード機構部・明細票機構部12が、上述したデータ構造のキャッシュカード50を読取る動作を図6から図8を用いて詳しく説明する。
【0044】
キャッシュカード50の挿入を検知すると、図6に示すように、ATM10の制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、キャッシュカード50の磁気ストライプ51の読取りを開始する(ステップS601)。そして、制御部11は、磁気ストライプ51の磁気ストライプ情報500が正常に読取れるか否かを判定する(ステップS602)。
【0045】
磁気ストライプ情報500が読取り不可能であれば(ステップS602:No)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が破損していると判定する。その後、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、ICチップ52のICチップ情報510、及び複製磁気ストライプ情報520の読取りを開始する(ステップS607)。
【0046】
そして、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、読取った複製磁気ストライプ情報520を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に書き込む復旧処理を実行する(ステップS608)。磁気ストライプ情報500の復旧処理を終了すると、制御部11は、キャッシュカード50の顧客情報読取りを終了して、図3のステップS302に戻って取引処理を継続する。
【0047】
一方、ステップS602において、磁気ストライプ51が読取り可能であれば(ステップS602:Yes)、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、ICチップ52のICチップ情報510、及び複製磁気ストライプ情報520の読取りを開始する(ステップS603)。
【0048】
そして、制御部11は、磁気ストライプ情報500の改変有無を判定する改変判定処理を実行する(ステップS604)。
詳述すると、制御部11は、図7、及び図8に示すように、磁気ストライプ情報500の金融機関番号501と改変チェック情報530のチェック用金融機関番号521とを比較する(ステップS701)。
【0049】
金融機関番号501がチェック用金融機関番号521と一致すれば(ステップS702:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の支店番号502と改変チェック情報530のチェック用支店番号522とを比較する(ステップS703)。
【0050】
支店番号502がチェック用支店番号522と一致すれば(ステップS704:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の口座番号503と改変チェック情報530のチェック用口座番号523とを比較する(ステップS705)。
【0051】
口座番号503がチェック用口座番号523と一致すれば(ステップS706:Yes)、制御部11は、改変チェック情報530のチェック用オプション情報529の有無を判定する(ステップS707)。
【0052】
チェック用オプション情報529が無ければ(ステップS708:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していないと判定し、「改変無し」として改変判定処理を終了して、図6のステップS604に戻る。
【0053】
一方、ステップS708において、チェック用オプション情報529があれば(ステップS708:No)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の提携先金融機関番号504と改変チェック情報530のチェック用提携先金融機関番号524とを比較する(ステップS709)。
【0054】
提携先金融機関番号504がチェック用提携先金融機関番号524と一致すれば(ステップS710:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の提携先支店番号505と改変チェック情報530のチェック用提携先支店番号525とを比較する(ステップS711)。
【0055】
提携先支店番号505がチェック用提携先支店番号525と一致すれば(ステップS712:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500の提携先口座番号506と、改変チェック情報530のチェック用提携先口座番号526とを比較する(ステップS713)。
【0056】
提携先口座番号506がチェック用提携先口座番号526と一致すれば(ステップS714:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していないと判定し、「改変無し」として改変判定処理を終了して、図6のステップS604に戻る。
【0057】
なお、ステップS702において金融機関番号が一致しない場合(ステップS702:No)、またはステップS704において支店番号が一致しない場合(ステップS704:No)、もしくはステップS706において口座番号が一致しない場合(ステップS706:No)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していると判定し、「改変有り」として改変判定処理を終了して、図6のステップS604に戻る。
【0058】
また、ステップS710において提携先金融機関番号が一致しない場合(ステップS710:No)、またはステップS712において提携先支店番号が一致しない場合(ステップS712:No)、もしくはステップS714において提携先口座番号が一致しない場合(ステップS714:No)、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していると判定し、「改変有り」として改変判定処理を終了して、図6のステップS604に戻る。
【0059】
すなわち、磁気ストライプ情報500が改変チェック情報530のいずれか1つと一致しなければ、制御部11は、磁気ストライプ情報500が改変していると判定する。
【0060】
図6のステップS604に戻り、改変判定処理が終了すると、制御部11は、改変判定処理の結果を判定する(ステップS605)。改変判定処理の結果が「改変無し」であれば(ステップS605:Yes)、制御部11は、磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に書き込む複製処理を実行する(ステップS606)。磁気ストライプ情報500の複製処理が終了すると、制御部11は、キャッシュカード50の顧客情報読取りを終了して、図3のステップS302に戻って取引処理を継続する。
【0061】
一方、ステップS605において、改変判定処理の結果が「改変有り」であれば(ステップS605:No)、制御部11は、ICチップ52の複製磁気ストライプ情報520を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に書き込む復旧処理を実行する(ステップS608)。磁気ストライプ情報500の復旧処理が終了すると、制御部11は、キャッシュカード50の顧客情報読取りを終了して、図3のステップS302に戻って取引処理を継続する。
【0062】
図3のステップS302に戻り、顧客情報読取りを終了すると、制御部11は、顧客に対して暗証番号の入力を促す暗証番号入力案内画面(図示省略)を操作部16に表示する。そして、顧客が暗証番号入力案内画面の指示にしたがって暗証番号を入力決定すると(ステップS303)、制御部11は、回線接続部19を介してホストコンピューター20に暗証番号情報を送信する。
【0063】
暗証番号情報をホストコンピューター20の回線接続部23が受信すると、ホストコンピューター制御部21の指示により、口座情報ファイル制御部22は、ファイル部24の口座情報ファイル25を参照して暗証番号の照会を行う。その後、ホストコンピューター制御部21は、回線接続部23を介して、ATM10に暗証番号の照会結果を送信する。
【0064】
そして、暗証番号の照会結果を受信すると、ATM10の制御部11は、顧客に対して取引金額の入力を促す金額入力案内画面(図示省略)を操作部16に表示する。顧客が金額入力案内画面の指示にしたがって所望する金額を入力決定すると(ステップS304)、制御部11の指示により、現金を紙幣入出金機構部13、及び硬貨入出金機構部14の内部に搬送して放出準備する。
【0065】
また、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、キャッシュカード50の放出準備を行う。この際、取引によって変動した残高情報を磁気ストライプ情報500の変動情報507に反映させるために、制御部11は、磁気ストライプ情報500を更新する更新処理を実行する。
【0066】
詳述すると、図9に示すように、制御部11は、磁気ストライプ情報500を更新するための更新情報(更新磁気情報)を作成する(ステップS901)。この更新情報は、取引によって変動した残高情報を変動情報507に反映させた新しい磁気ストライプ情報500である。
【0067】
そして、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、更新情報を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に書き込む(ステップS902)。
然る後、カード機構部・明細票機構部12は、更新情報を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に記憶する(ステップS903)。その後、制御部11は更新処理を終了して、図3のステップS304に戻って取引処理を継続する。
【0068】
図3のステップS304に戻り、更新処理を終了すると、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、明細票を印字してキャッシュカード50とともに放出する(ステップS305)。
【0069】
さらに、制御部11の指示により、紙幣入出金機構部13、及び硬貨入出金機構部14は、放出準備した現金を放出する(ステップS306)。顧客が放出されたキャッシュカード50、明細票、及び現金を全て取り出すと、制御部11は、取引処理を終了する。
【0070】
以上のような動作を実現する構成により、ATM10は、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上することができる。
【0071】
具体的には、磁気ストライプ情報500の改変を検出すると復旧処理を実行することにより、ATM10は、顧客に顧客情報の入力、あるいは個人を特定する媒体投入を要求することなく、改変した磁気ストライプ情報500を正常な情報に書き換えて復旧することができる。すなわち、改変した磁気ストライプ情報500は、ICチップ52の複製磁気ストライプ情報520だけで正常な情報に復旧することができる。
【0072】
このように、改変した磁気ストライプ情報500をICチップ52の複製磁気ストライプ情報520だけで復旧できることにより、ホストコンピューター20と接続していないATMにおいても、磁気ストライプ情報500の復旧処理を行うことができる。
【0073】
また、顧客は、磁気ストライプ情報500が改変したキャッシュカード50で取引を開始しても、取引を中断されることがなく、取引終了時には磁気ストライプ情報500が正常なキャッシュカード50を受け取ることができる。つまり、顧客が特別な操作を行う、あるいはATM10を設置している金融機関の窓口で復旧手続きを行う手間を省くことができる。
【0074】
特に、ATM10の設置場所が商業施設などである場合、顧客が遠方の金融機関の窓口まで復旧手続きに出向く手間を省くことができる。加えて、金融機関もこのような復旧手続き業務を不要にすることができる。すなわち、顧客と金融機関双方の利便性を向上することができる。
【0075】
また、磁気ストライプ情報500の金融機関番号501、支店番号502、口座番号503、提携先金融機関番号504、提携先支店番号505、及び提携先口座番号506のいずれか1つが、改変チェック情報530と一致しなければ、磁気ストライプ情報500が改変していると判定することにより、ATM10は、磁気ストライプ情報500の改変を確実に検出することができる。これにより、ATM10は、ホストコンピューター20との各種情報の授受にエラーが生じるなどして取引が中断するようなことを防止できる。
【0076】
また、磁気ストライプ情報500が改変していなければ、磁気ストライプ情報500をICチップ52に複製記憶する複製処理により、ATM10は、キャッシュカード50がカード機構部・明細票機構部12に挿入されるたびに、磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に複製記憶することができる。
【0077】
これにより、ICチップ52の複製磁気ストライプ情報520は、取引を途中で中止しても、磁気ストライプ情報500の最新の複製とすることができる。また、取引途中に磁気ストライプ情報500に改変が生じるようなことがあっても、ATM10は、磁気ストライプ情報500を取引開始時の状態に復旧することができる。
【0078】
また、ICチップ52にICチップ情報510と複製磁気ストライプ情報520(改変チェック情報530)とを別々に記憶することにより、磁気ストライプ情報500の改変有無を確実に判定することができるとともに、ICチップ52の各情報を適切に保護することができる。
【0079】
詳述すると、金融機関のシステムによっては、磁気ストライプ情報500とICチップ情報510とで支店番号などの桁数が異なることがある。このような場合、ICチップ情報510を用いて改変判定処理を行うと、正確に判定できないおそれがある。
【0080】
そこで、改変チェック情報530を用いて改変判定処理を行うことで、ATM10は、磁気ストライプ情報500の改変有無を確実に検出して、その結果に応じた復旧処理、あるいは複製処理を行うことができる。さらに、磁気ストライプ情報500と比較するために、ICチップ情報510の各情報を変換するような処理を不要にすることができる。
【0081】
また、ICチップ52のICチップ情報510、及び複製磁気ストライプ情報520(改変チェック情報530)は、専用のアプリケーションがなければアクセスできないため容易に改変されないことから、磁気ストライプ情報500の複製を確実に保護することができる。
【0082】
さらに、磁気ストライプ情報500の複製を複製磁気ストライプ情報520として記憶することにより、ICチップ情報510は、一切書き換えが行われることない。つまり、ATM10は、ICカード対応ATMでの取引に用いられるICチップ情報510を確実に保護することができる。
【0083】
また、複製磁気ストライプ情報520が改変困難であることから、キャッツカード50は、悪用目的の改ざんを困難にすることができる。これにより、ATM10は、悪用目的で磁気ストライプ情報500が改ざんされたキャッシュカード50も確実に検出することができる。
【0084】
つまり、ATM10は、意図せず磁気ストライプ情報500が改変したキャッシュカード50だけでなく、故意に改ざんしたキャッシュカード50も検出して不正な取引を防止することができる。
【0085】
従って、改変判定処理、複製処理、及び復旧処理により、ATM10は、顧客に特別な操作を要求することなく、かつホストコンピューター20と接続することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を確実に復旧することができるとともに、顧客と金融機関双方の利便性を向上することができる。加えて、改ざんしたキャッシュカード50を用いた不正な取引も防止することができる。
【0086】
また、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500が読取り不可であれば復旧処理を行う(読取り判定処理)ことにより、ATM10は、取引と中止することなく、自動的に磁気ストライプ情報500を復旧することができる。これにより、顧客は、カード機構部・明細票機構部12で読取り不可のキャッシュカード50で取引を開始しても、取引が中断されることがなく、かつ取引終了時には磁気ストライプ情報500が正常なキャッシュカード50を受け取ることができる。
【0087】
従って、磁気ストライプ情報500が読取り不可であれば、復旧処理を実行することにより、ATM10は、顧客に特別な操作を要求することなく、自動的にキャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上することができる。
【0088】
また、ICチップ52の複製磁気ストライプ情報520を更新したのち、磁気ストライプ情報500を更新する更新処理により、万一、磁気ストライプ情報500の更新に失敗しても、更新済みの複製磁気ストライプ情報520から磁気ストライプ情報500を確実に復旧することができる。
【0089】
さらに、キャッシュカード50の放出前に更新処理を行うことにより、残高情報を磁気ストライプ情報500の変動情報507と、複製磁気ストライプ情報520の変動情報527の双方に反映することができる。これにより、ATM10は、直近の取引終了時点での複製磁気ストライプ情報520で磁気ストライプ情報500を復旧処理することができる。
【0090】
従って、更新処理により、ATM10は、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を確実に複製するとともに、万一磁気ストライプ情報500が改変した際には最新の状態で確実に復旧することができる。
【0091】
また、磁気ストライプ情報500を記憶する磁気ストライプ51、及びICチップ情報510を記憶するICチップ52を備えたキャッシュカード50をカード機構部・明細票機構部12で受付けると、制御部11によりカード機構部・明細表記後部12を制御するATM10を用いた自動取引方法であって、制御部11の改変判定処理により、磁気ストライプ情報500を読込むと、ICチップ52の改変チェック情報530と比較して、磁気ストライプ情報500の改変有無を判定し、磁気ストライプ情報500が改変していなければ、複製処理により読込んだ磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に複製記憶し、磁気ストライプ情報500が改変していれば、復旧処理により複製磁気ストライプ情報520を読込んで磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に記憶することにより、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上できる自動取引方法を提供することができる。
【0092】
また、磁気ストライプ情報500を磁気ストライプ51、及びICチップ情報510を記憶するICチップ52を備えたキャッシュカード50を受付けるカード機構部・明細票機構部12と、制御部11とを備えたATM10を用いた自動取引プログラムであって、制御部11に、磁気ストライプ情報500を読込むと、改変チェック情報530と比較して、磁気ストライプ情報500の改変有無を判定するステップと、磁気ストライプ情報500が改変していなければ、読込んだ磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に複製記憶するステップと、磁気ストライプ情報500が改変していれば、複製磁気ストライプ情報520を読込んで磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に記憶するステップとを実行させることにより、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上できる自動取引プログラムを提供することができる。
【0093】
具体的には、自動取引プログラムは、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶媒体により提供する、ホストコンピューター20のファイル部24に格納して通信回線1を介してダウンロードにより提供する、あるいはATM10に組み込まれて提供することができる。
【0094】
なお、上述の実施例1では、顧客がお引出しボタン41を押下した場合で説明したが、取引の際、カード機構部・明細票機構部12にキャッシュカード50を挿入する取引であれば、どの取引種別であってもよい。
【0095】
また、更新処理をキャッシュカード50の放出前としたが、これに限定せず取引種別に応じた適宜のタイミングで実行してもよい。さらに、更新処理は、磁気ストライプ情報500を全て更新するのではなく、変動情報507など一部情報だけでもよい。
【実施例2】
【0096】
上述の実施例1のATM10を用いた別の実施例として、他のATMで取引が拒否されたキャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧する場合について説明する。
【0097】
図3のステップS301において、顧客が図4に示す取引メニュー画面40のカード復旧ボタン45を押下すると、ATM10の制御部11は、顧客に対してキャッシュカード50の挿入を促すカード挿入案内画面(図示省略)を操作部16に表示する。
【0098】
顧客がキャッシュカード50をカード機構部・明細票機構部12に挿入すると(ステップS302)、制御部11は、図6に示すキャッシュカード50を読取る動作のフローチャートにおいて、ステップS601からステップS607をスキップする。
【0099】
そして、制御部11は、磁気ストライプ情報500の復旧処理を実行して(ステップS608)、複製磁気ストライプ情報520を磁気ストライプ情報500として磁気ストライプ51に書き込み、図3のステップS302に戻って取引処理を継続する。
【0100】
図3のステップS302に戻ると、制御部11は、図3のステップS303、及びステップS304をスキップする。そして、制御部11の指示により、カード機構部・明細票機構部12は、磁気ストライプ情報500を復旧したキャッシュカード50を放出する(ステップS305)。
【0101】
なお、この際、制御部11は、図9の更新処理をスキップしてキャッシュカード50を放出する。その後、制御部11は、カード復旧ボタン45の選択押下に対する処理を終了する。
【0102】
以上のような動作により、ATM10は、磁気ストライプ情報500が改変したキャッシュカード50を容易に復旧することができる。また、顧客は、特別な操作をすることなく、自動的にキャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧することができる。
【0103】
なお、上述の実施例1、及び実施例2では、自動取引装置としてATM10を用いて説明したがこれに限定せず、両替機やCD機、あるいはカード復旧専用端末などとしてもよい。
また、カード機構部・明細票機構部12を一体構成としたが、カード機構部と明細票機構部は、それぞれ独立した構成としてもよい。
【実施例3】
【0104】
別の実施例として、カード専用端末100(媒体受付手段)がキャッシュカード50のICチップ52に記憶している復旧・複製プログラム540(各種処理プログラム)を用いて、磁気ストライプ情報500の改変判定処理、及び複製処理、あるいは復旧処理を行う磁気ストライプ情報復旧システム(磁気情報復旧システム)について説明する。
【0105】
なお、図10は実施例3におけるキャッシュカード50とカード専用端末100の内部構成のブロック図を示している。なお、上述した実施例1、及び実施例2と同じ構成要素は、同じ符号を付与して、その詳細な説明を省略する。
【0106】
キャッシュカード50は、図10に示すように、上述した実施例1、及び実施例2に対してICチップ52のデータ構成が異なる。このICチップ52は、ICチップ情報510、複製磁気ストライプ情報520、及び改変チェック情報530に加えて、復旧・複製プログラム540を記憶している。
【0107】
この復旧・複製プログラム540は、磁気ストライプ情報500を読込むと、磁気ストライプ情報500の改変有無を判定し、磁気ストライプ情報500が改変していなければ、読込んだ磁気ストライプ情報500を複製磁気ストライプ情報520としてICチップ52に複製記憶する一方、磁気ストライプ情報500が改変していれば、複製磁気情報520を読込むとともに、磁気ストライプ51に記憶して磁気ストライプ情報500を復旧するプログラムである。
【0108】
カード専用端末100は、端末制御部101、カード受付け・排出機構部102、ICチップ読取り・書込み機構部103、及び磁気ストライプ読取り・書込み機構部104で構成している。
【0109】
端末制御部101は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、顧客がカード専用端末100を用いてキャッシュカード50の改変判定、及び磁気ストライプ情報500の複製、あるいは復旧を行う各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。
【0110】
カード受付け・排出機構部102は、キャッシュカード50の挿入・検出する機能、及び端末制御部101の指示により排出する機能を有している。
ICチップ読取り・書込み機構部103は、端末制御部101の指示によりICチップ52の読取り、及び書込みを行う機能を有している。
磁気ストライプ読取り・書込み機構部104は、端末制御部101の指示により磁気ストライプ51の読取り、及び書込みを行う機能を有している。
【0111】
このような構成のキャッシュカード50、及びカード専用端末100において、磁気ストライプ情報500を復旧したい顧客は、カード受付け・排出機構部102にキャッシュカード50を挿入する。
【0112】
カード専用端末100のカード受付け・排出機構部102がキャッシュカード50の挿入を検出すると、端末制御部101の指示により、ICチップ読取り・書込み機構部103は、キャッシュカード50の復旧・複製プログラム540を読み出して端末制御部101のメモリに格納する。そして、端末制御部101は、復旧・複製プログラム540を実行する。
【0113】
カード専用端末100の端末制御部101は、図6のキャッシュカード50を読取る動作のフローチャートと、図7、及び図8の改変判定処理の動作のフローチャートにしたがって、磁気ストライプ情報500の改変チェック、及び磁気ストライプ情報500の複製、あるいは復旧処理を行う。
【0114】
以上のような動作を実現する構成により、カード専用端末100は、顧客に特別な操作を要求することなく、キャッシュカード50の磁気ストライプ情報500を復旧して、顧客の利便性を向上することができる。
【0115】
具体的には、カード専用端末100は、キャッシュカード50を挿入するだけで、磁気ストライプ情報500の改変を容易に判定することができる。そして、カード専用端末100は、磁気ストライプ情報500の改変有無に応じて、磁気ストライプ情報500の複製、あるいは復旧を適切に行うことができる。
【0116】
また、復旧・複製プログラム540をICチップ52に記憶することにより、カード専用端末100の端末制御部101に、復旧・複製プログラムに相当するプログラムの記憶を不要にすることができる。
【0117】
さらに、金融機関やキャッシュカードの仕様に依存する復旧・複製プログラム540をICチップ52に記憶することにより、カード専用端末100は、金融機関やキャッシュカードの仕様に左右され難い汎用端末とすることができる。すなわち、顧客は、契約している金融機関以外でも磁気ストライプ情報500を復旧することができる。
加えて、カード専用端末100は、オフラインで稼動でき、かつ非常にコンパクトな端末とすることができる。
【0118】
従って、ICチップ52に復旧・複製プログラムを記憶したキャッシュカード50と、カード専用端末100とで構成される磁気ストライプ情報復旧システムは、顧客に特別な操作を要求することなく、磁気ストライプ情報500を復旧することができるとともに、顧客の利便性を向上することができる。
【0119】
なお、上述の実施例3ではカード専用端末100で説明した、これに限らずカードリーダー/ライターなどであってもよい。
また、上述の実施例3において、図6のステップS603、及びステップS607で、ICチップ52を読取る際、上述の実施例1で行ったICチップ情報510の読取りを省略してもよい。
【0120】
また、上述の実施例1から3において、キャッシュカード50を用いて説明したが、キャッシュカード50に限定せず、磁気ストライプ51とICチップ52とを備えたICカードタイプであれば、クレジットカードなどであってもよい。
【0121】
また、改変チェック情報530を、チェック用金融機関番号521、チェック用支店番号522、チェック用口座番号523、及びチェック用オブション情報529で構成したが、これに限定せず適宜の構成としてもよい。
【0122】
また、改変チェック情報530は、複製磁気ストライプ情報520の一部を用いる構成としたが、これに限定せず任意の構成としてもよい。
例えば、ICチップ52における別のデータ構成図である図11に示すように、ICチップ52には、複製磁気ストライプ情報520と、改変チェック情報530とを別々に記憶してもよい。なお、図11において、磁気ストライプ情報500、及びICチップ情報510は、図示を省略している。
【0123】
この際、複製磁気ストライプ情報520には、磁気ストライプ情報500の複製を格納している。
そして、改変チェック情報530には、チェック用金融機関番号531、チェック用支店番号532、チェック用口座番号533、チェック用提携先金融機関番号534、チェック用提携先支店番号535、及びチェック用提携先口座番号536を格納している。なお、チェック用提携先金融機関番号534、チェック用提携先支店番号535、及びチェック用提携先口座番号536は、実施例1と同様に、チェック用オプション情報539として取り扱う。
【0124】
この改変チェック情報530の各情報は、複製磁気ストライプ情報520から該当する情報を抽出して複製記憶した構成としてもよい。または、複製磁気ストライプ情報520内において、改変チェック情報530の各情報に該当する情報の記憶場所を示すアドレス情報で構成してもよい。あるいは、「金融機関番号」などのキーワードだけで構成し、改変判定処理において複製磁気ストライプ情報520を検索するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
この発明は、磁気ストライプとICチップとで構成する顧客媒体と、該顧客媒体を読込み・書込み可能な様々な装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
10…ATM
11…制御部
12…カード機構部・明細票機構部
50…キャッシュカード
51…磁気ストライプ
52…ICチップ
100…カード専用端末
500…磁気ストライプ情報
510…ICチップ情報
520…複製磁気ストライプ情報
530…改変チェック情報
540…復旧・複製プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体を受付ける顧客媒体受付部と、
該顧客媒体受付部を制御する制御部とを備えた自動取引装置であって、
前記制御部に、
前記磁気情報を読込むと、前記磁気情報の所定の情報で構成するとともに、前記ICチップに記憶した改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定する改変判定処理と、
前記磁気情報が改変していなければ、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶する複製処理と、
前記磁気情報が改変していれば、前記複製磁気情報を読込んで磁気情報として前記磁気ストライプに記憶する復旧処理とを備えた
自動取引装置。
【請求項2】
前記制御部に、
前記顧客媒体受付部が前記顧客媒体を受付けると、前記磁気ストライプの前記磁気情報の読取り可否を判定し、
読取り不可であれば、前記復旧処理を実行する読取り判定処理を備えた
請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記制御部に、
前記磁気情報の更新に用いる更新磁気情報を作成して、
該更新磁気情報を、複製磁気情報として前記ICチップに記憶したのち、
磁気情報として前記磁気ストライプに記憶する更新処理を備えた
請求項1または2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体を顧客媒体受付部で受付けると、制御部により前記顧客媒体受付部を制御する装置を用いた自動取引方法であって、
前記制御部の改変判定処理により、
前記磁気情報を読込むと、前記磁気情報の所定の情報で構成するとともに、前記ICチップに記憶した改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定し、
前記磁気情報が改変していなければ、複製処理により、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶し、
前記磁気情報が改変していれば、復旧処理により、前記複製磁気情報を読込んで磁気情報として前記磁気ストライプに記憶する
自動取引方法。
【請求項5】
取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体を受付ける顧客媒体受付部と、該顧客媒体受付部を制御する制御部とを備えた装置を用いた自動取引プログラムであって、
前記制御部に、
前記磁気情報を読込むと、前記磁気情報の所定の情報で構成するとともに、前記ICチップに記憶した改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定するステップと、
前記磁気情報が改変していなければ、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶するステップと、
前記磁気情報が改変していれば、前記複製磁気情報を読込んで磁気情報として前記磁気ストライプに記憶するステップとを実行させる
自動取引プログラム。
【請求項6】
取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体と、該顧客媒体を受付ける顧客媒体受付手段とを備えた磁気情報復旧システムであって、
前記顧客媒体のICチップに、
前記磁気情報の所定の情報で構成した改変チェック情報と、
前記磁気情報の複製である複製磁気情報と、
前記顧客媒体受付手段で実行する各種処理プログラムとを備え、
前記顧客媒体受付手段を、
前記磁気情報を読込むと、前記改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定し、前記磁気情報が改変していなければ、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶する一方、前記磁気情報が改変していれば、前記複製磁気情報を読込むとともに、前記磁気ストライプに記憶して前記磁気情報を復旧するプログラムを前記ICチップから読み出して実行する構成とした
磁気情報復旧システム。
【請求項1】
取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体を受付ける顧客媒体受付部と、
該顧客媒体受付部を制御する制御部とを備えた自動取引装置であって、
前記制御部に、
前記磁気情報を読込むと、前記磁気情報の所定の情報で構成するとともに、前記ICチップに記憶した改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定する改変判定処理と、
前記磁気情報が改変していなければ、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶する複製処理と、
前記磁気情報が改変していれば、前記複製磁気情報を読込んで磁気情報として前記磁気ストライプに記憶する復旧処理とを備えた
自動取引装置。
【請求項2】
前記制御部に、
前記顧客媒体受付部が前記顧客媒体を受付けると、前記磁気ストライプの前記磁気情報の読取り可否を判定し、
読取り不可であれば、前記復旧処理を実行する読取り判定処理を備えた
請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記制御部に、
前記磁気情報の更新に用いる更新磁気情報を作成して、
該更新磁気情報を、複製磁気情報として前記ICチップに記憶したのち、
磁気情報として前記磁気ストライプに記憶する更新処理を備えた
請求項1または2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体を顧客媒体受付部で受付けると、制御部により前記顧客媒体受付部を制御する装置を用いた自動取引方法であって、
前記制御部の改変判定処理により、
前記磁気情報を読込むと、前記磁気情報の所定の情報で構成するとともに、前記ICチップに記憶した改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定し、
前記磁気情報が改変していなければ、複製処理により、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶し、
前記磁気情報が改変していれば、復旧処理により、前記複製磁気情報を読込んで磁気情報として前記磁気ストライプに記憶する
自動取引方法。
【請求項5】
取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体を受付ける顧客媒体受付部と、該顧客媒体受付部を制御する制御部とを備えた装置を用いた自動取引プログラムであって、
前記制御部に、
前記磁気情報を読込むと、前記磁気情報の所定の情報で構成するとともに、前記ICチップに記憶した改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定するステップと、
前記磁気情報が改変していなければ、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶するステップと、
前記磁気情報が改変していれば、前記複製磁気情報を読込んで磁気情報として前記磁気ストライプに記憶するステップとを実行させる
自動取引プログラム。
【請求項6】
取引に用いる顧客情報を磁気情報として記憶する磁気ストライプ、及び取引に用いる顧客情報をICチップ情報として記憶するICチップを備えた顧客媒体と、該顧客媒体を受付ける顧客媒体受付手段とを備えた磁気情報復旧システムであって、
前記顧客媒体のICチップに、
前記磁気情報の所定の情報で構成した改変チェック情報と、
前記磁気情報の複製である複製磁気情報と、
前記顧客媒体受付手段で実行する各種処理プログラムとを備え、
前記顧客媒体受付手段を、
前記磁気情報を読込むと、前記改変チェック情報と比較して前記磁気情報の改変有無を判定し、前記磁気情報が改変していなければ、読込んだ前記磁気情報を複製磁気情報として前記ICチップに複製記憶する一方、前記磁気情報が改変していれば、前記複製磁気情報を読込むとともに、前記磁気ストライプに記憶して前記磁気情報を復旧するプログラムを前記ICチップから読み出して実行する構成とした
磁気情報復旧システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−248170(P2012−248170A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121950(P2011−121950)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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