説明

自動取引装置の表示方法

【課題】 車椅子の利用者と健常者とが同様な操作性を得ることができる自動取引装置の表示方法を提供する。
【解決手段】 表示画面400を固定表示エリア410と可変表示エリア420とに左右に分割し、固定表示エリア410の下方に画面切替ボタン412を備え、前記画面切替ボタンの操作により、各種の操作ボタン421が可変表示エリア420の中央を中心に配置される第1の表示画面500aと、各種の操作ボタン421が可変表示エリア420の下辺部を中心に配置される第2の表示画面500bとを取り得るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置の画面操作をする上で上肢到達範囲に問題のない利用者(以下、健常者とする)と上肢障害者や車いす使用者などの自動取引装置の画面操作をする上で上肢到達範囲に偏りのある利用者(以下、上肢到達範囲の狭い利用者とする)のいずれでも操作性が良好な自動取引装置の操作画面に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、タッチパネルを備えた表示画面に各種の操作ガイダンスを表示して操作性の向上を図った自動取引の操作表示方法が多数提案されている。その1つの操作表示方法として、従来例においては、利用者に合わせて画面の表示内容を切り替えて表示する多くの提案がある。例えば、操作に慣れた人の操作画面と初心者の操作画面とを切り替えるものや、外国人と日本人に対応して表示画面を切り替えるものなどがある。
1つの事例を更に詳細に説明すると、特開平11年第219464号の公開公報においては、右利きと左利きに対応して、操作画面を変更可能な提案がなされている。この従来例では、各種の操作を行う領域と、ガイダンスの表示領域とを備えて、右利きと左利きに合わせて、左右を反転させることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平11年第219464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例では、操作ガイダンスと、操作指示を行う領域を左右反転させることで左利きと右利きに対応して画面を切り替えることができる。しかしながら、上肢到達範囲の狭い利用者には、右利き、左利きとは全く異なる操作性が求められるものであり、前記従来例の考え方とは発想を全く異にする提案が必要である。
そこで、本発明の目的とするところは、上肢到達範囲の狭い利用者と健常者とが同様な操作性を得ることができる自動取引装置の表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る自動取引装置の表示方法では、表示画面を固定表示エリアと可変表示エリアとに左右に分割し、固定表示エリアの下方に画面切替ボタンを備え、前記画面切替ボタンの操作により、各種の取引ボタンが可変表示エリアの中央を中心に配置される第1の表示画面と、各種の取引ボタンが表示画面の下辺部を中心に配置される第2の表示画面とを取り得るようにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、健常者及び上肢到達範囲の狭い利用者とも同様な操作ができる固定表示エリアと、それぞれの利用者に合わせた表示態様となる可変表示エリアとで表示画面が構成されるため利用者の戸惑いを軽減することができるとともに、この固定表示エリアの下部に配置された画面切替ボタンの単純な操作により、健常者に最適な画面中央を基準にした第1の表示状態と、上肢到達範囲の狭い利用者に最適な表示画面の手前側に操作ボタンが配置される第2の表示状態を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図1から図5を参照して、この実施の形態を説明する。この実施の形態は、銀行システムに採用される自動取引装置に関する。図1は本発明の概要を示す自動取引装置の説明図である。図2は銀行システムのネットワーク構成図である。図3は自動取引装置の媒体口近傍の外観図である。図4、図5は自動取引装置の画面遷移図である。
【0008】
先ず、図1を参照して、この実施の形態に係る自動取引装置の概略構造を説明する。図1において、符号1で総括的に示すのは、金融機関等のロビーなどに設置される自動取引装置(以下ATMという)である。ATM1は、直方体の前面上方の一部分が側面から見てL字形に切り欠かれた開口部を有する本体筐体10と、L字形の開口部を塞ぐように配置され、側面から見てL字形に形成されたフロントパネル11とから構成される。
【0009】
本体筐体10は、前面が開口したベース筐体12と、このベース筐体12の前面下方に設けられた板状の前面扉13と、ベース筐体12の背面に配置された板状の背面扉14とを有している。ベース筐体12は、各種の取引処理を行う機構部、例えば、図2に示す、タッチパネル付表示部220、カード部221、通帳明細印字部222、伝送制御部223、記憶装置部224、硬貨入出金部225、紙幣入出金部226と、電源部227、制御部229等を内蔵しており、タッチパネル付表示部220の操作表示部15や各部の媒体口をフロントパネル11から露出するように配置されている。
【0010】
図1に戻り、L字形のフロントパネル11は、本体正面の垂直面を形成するパネル面16と、水平面を構成するテーブル部17とを備えている。
【0011】
本実施形態では、垂直面を構成する前記パネル面16の中央にカード/明細票取扱口18や通帳取扱口19からなる媒体取扱部20が配置され、水平面を構成するテーブル部17の中央に操作表示部15、その両側に非常時の連絡用のハンドセット21と非接触型のカード部221のカード取扱部22が配置され、水平面と垂直面の角部には紙幣挿入/排出口23と硬貨挿入/排出口24が並設されている。なお、この実施の形態では、カード部221として、非接触型と挿入型の2つの装置を備えている。
【0012】
本実施形態に係るATMの特徴の1つは、主に健常者が使用するための第1の表示画面500aと、主に上肢到達範囲の狭い利用者が使用する第2の表示画面500bを備えた点にある。即ち、この実施の形態に係る表示画面400の基本画面は固定表示エリア410と可変表示エリア420とに左右に分割される。
【0013】
前記固定表示エリア410は、可変表示エリア420の表示内容を切り替える各種の画面設定ボタン411が固定的に表示されており、表示画面400の一方の片側に細く帯状に配置される。
【0014】
一方、可変表示エリア420は、取り引きの内容にともなって各種の操作ガイダンスや操作ボタンを順次表示して自動取引を進行するものである。この可変表示エリア420は、前記固定表示エリア410の前記画面設定ボタン411の操作に基づいて各種の操作ボタンやガイダンスを複数の仕様の画面に切り替えることができる。
【0015】
この実施の形態の他の特徴の1つは、前記可変表示エリア420の表示状態が少なくとも、主に健常者が使用するために設定された第1の表示画面500aと、主に上肢到達範囲の狭い利用者のために設定された第2の表示画面500bとを取り得るように切り替わる点である。
【0016】
前記第1の表示画面500aは、各種の操作ボタン421が可変表示エリア420の中央を中心として配置される。一方、第2の表示画面500bは、各種操作の操作ボタン421が可変表示エリア420の下辺に沿って配置される。この実施の形態によれば、主たる操作者である健常者が利用する第1の表示画面500aでは、可変表示エリア420をフルに活用した操作画面を得ることができる。一方、主たる操作者が上肢到達範囲の狭い利用者が利用する第2の表示画面500bでは、可変表示エリア420の下辺部に沿って操作ボタンが配置されるので上肢到達範囲の狭い利用者が楽に手が届きやすく、無理な姿勢を強いることが軽減される。
【0017】
また、この実施の形態の他の特徴の1つは、固定表示エリア410の所定の位置に画面設定ボタン411が固定的に表示される点にある。この実施の形態では、固定表示エリア410の最下部に前記第1の表示画面500aと第2の表示画面500bを切り替える配置ボタン412を配置し、その上部に表示されるボタンの大きさを切り替える文字ボタン413、その上部の画面背景の明るさを設定する一対の明るさ設定ボタン414を配置している。
【0018】
この実施の形態によれば、表示画面400を設定する設定ボタン411が常に同じ位置に表示されるので、健常者及び上肢到達範囲の狭い利用者が共に同じ条件で前記設定を行うことができる。特に、前記配置ボタン412は、表示画面400の下辺の片側の固定位置に配置されているための、上肢到達範囲の狭い利用者には手が届きやすく、健常者には誤操作し難い位置となっている。
【0019】
以下図2から図5を参照して、更に詳細に説明する。
先ず、図2を参照して、このATM1が設置される銀行システムとATM1の装置構成を説明する。この銀行システムでは、この銀行システムを統括するセンタ100に対して複数の営業店舗200や専門センタ350がネットワーク300で接続されている。前記営業店舗200には店舗ネットワーク211を介して複数の機器が接続され、これら機器が前記ネットワーク300を介して前記センタ100や前記専門センタ350と接続され、この銀行システムを利用する顧客に対して各種の金融サービスを提供することができる。この他、この銀行システムには前記ネットワーク300を介して他の金融システムや各種のサービスサイトに接続することができる。
【0020】
前記センタ100は、HUBサーバ150を介して他の営業店舗200や専門センタ350と接続することで、銀行内の全ての情報を統括管理している。このHUBサーバ150は、ゲートウエイサーバを兼用するものであり、チャネル系APサーバ群を統括する統合チャネルサーバ110と、勘定系ホスト140と、各種の新商品情報データを備えた新商品サーバ130と、全ての顧客情報を統括的に管理する顧客管理サーバ120などが接続される。
【0021】
統合チャネルサーバ110は、前記ネットワーク300を介して営業店舗200と接続されて、営業店舗200に各種の情報を提供する支援システムである。この統合チャネルサーバ110の統括下には、IBコンテンツデータを備えたIBサーバ111と、営業店のコンテンツデータを備えた営業店APサーバ112と、来店顧客情報データを備えた来店管理サーバ113と、商品のコンテンツデータを備えた商品情報サーバ114と、行員情報データを備えた行員管理サーバ115と、顧客情報データを備えた顧客情報管理サーバ116とを備えている。
【0022】
一方、営業店舗200は、店舗ネットワーク211を介して各種装置が接続されている。例えば、このシステムでは、ATM(現金自動預払機)1、顧客の店舗の出入りを管理する受付端末208、顧客の各種の相談に対応する相談端末207、顧客に各種の情報を提供する情報テーブル端末206、行員が顧客に対して相談や商談を薦める相談テーブル端末205、行員が顧客に対して各種サービスを行う窓口PC端末204、前記窓口PC端末204を支援する後方PC端末203、各種の金融関連装置からなる金融デバイス202、店舗内の各種情報を管理する営業店サーバ201、店舗内の無線通信や位置検知を行う店舗通信システム210などが設けられている。
【0023】
また、この銀行システムでは、顧客が所有する携帯端末213や、この銀行が顧客に提供するIDカード212などを介して各種の情報を提供することができる。
【0024】
前記ATM1は、このATM1を統括する制御部229の統括の元、タッチパネル付表示部220、各種のカードに対して読み取りや書き込みを行うカード部221と、通帳の書き込みを行う通帳明細印字部222と、店舗ネットワーク211に接続するための伝送制御部223と、各種のデータを記憶する記憶装置部224と、硬貨入出金部225と、紙幣入出金部226と、電源部227とを含んで構成される。
【0025】
次に、図3を参照して、ATM1のフロントパネルの周辺構造を更に説明する。この実施の形態では、操作表示部15を中心に利用者が使用する各種の装置が配置される。例えば、この実施の形態では、操作表示部15がテーブル部17の手前の中央に配置され、その両側にハンドセット21と、カード部221を構成するカード取扱部22が配置される。ここで、カード部221は、必要により各種の装置に取り替えることができる。
【0026】
一方、前記操作表示部15の後方には紙幣挿入/排出口23と硬貨挿入/排出口24が左右に並んで配置される。そして、紙幣挿入/排出口23と硬貨挿入/排出口24の上方のパネル面16にはカカード/明細票取扱口18と通帳取扱口19が前方に突出するように左右に並んで配置される。
【0027】
このように、この実施の形態では、操作表示部15を中心に各種取り扱い装置がこの操作表示部15を取り囲むように配置されているので、利用者の操作性を向上させている。
【0028】
次に、この実施の形態に係るATM1の特徴的な取引画面を図4及び図5を参照して更に詳細に説明する。
先ず、図4を参照して、カードを用いた引き出し操作を一例として、このATM1の特徴的な操作画面を説明する。
【0029】
図4において、先ず、この実施の形態では、初期状態において、(a)図に示す健常者用の第1のメニュー画面510aを表示している。この第1のメニュー画面510aは、表示画面400の片側に配置される上下に伸びる帯状の固定表示エリア410と、他の片側に配置される大きな面積を備える可変表示エリア420とから構成される。前記固定表示エリア410は、最下部に前記配置ボタン412、その上部に文字ボタン413、最上部に一対の明るさ調整ボタン414が上下に固定的に設けられる。一方、可変表示エリア420には、左右2列で上下複数段で構成される横長短冊状の複数の取引選択ボタン511aが配置される。この複数の取引選択ボタン511aは利用頻度の高いものが上段に配置され、しかも、下段に配置される利用頻度の低いものより大きなボタンで表示される。
【0030】
更に、各ボタンは左側に当該取き引きボタンを連想させる取り引き名称の1字をアイコン的に表示し、この後、右側に取り引き名称を示している。
【0031】
この実施の形態では、左右2列、上下に4段からなる合計8個の取引選択ボタン511aを備え、上部の引き出しボタン512aと残高照会ボタン513aと預け入れボタン514aと通帳記入ボタン515aを大きく形成し、下部の振り替えボタン516aと定期預入ボタン517aと振り込みボタン518aと各種取引ボタン519aを小さく形成している。
【0032】
さて、前記制御部229は利用者によって取引選択ボタン511aの1つが選択されると、例えば、引き出しボタン512aが選択されると、図示しないガイダンス画面を表示してIDカード212の提示を利用者に促す。この実施の形態では、操作表示部15の右側に非接触型のカード取扱部22を備えているので、このカード取扱部22にIDカード212を置くように促す。
【0033】
カード取扱部22はIDカード212を検知するとIDカード212内の個人データを呼び出して前記制御部229にこの個人情報を伝える。前記制御部229は、前記個人情報の入手信号を受けると、表示画面400を(b)図に示す第1の暗証番号入力画面520aに切り替える。
【0034】
この第1の暗証番号入力画面520aは、前記固定表示エリア410の内容を変更することなく、可変表示エリア420のみ(b)図の内容に変更するものである。この実施の形態では、表示画面400の基本的な配置として、画面設定ボタン411が配置される固定表示エリア410の内容を変更することなく、可変表示エリア420の内容のみを取り引きの手順に従って変化させて、自動取り引きのフローを実行する。従って、利用者は、画面設定ボタン411が、常に同じ位置で同じ態様で表示されるので操作に戸惑うことを軽減することができる。
【0035】
前記第1の暗証番号入力画面520aも、前記基本的な配置に従って、表示画面400の片側に固定表示エリア410が表示される。一方、前記可変表示エリア420は、上下に2分割され、上部分割エリア430に暗証番号の入力を確認するための暗証番号確認窓521と、そのガイダンスが表示され、下部分割エリア440には、テンキー部522aが中央に、取消ボタン523が右上に表示される。ここで、テンキー部522aは四角形状の1から0までの合計10個の数値キーから構成され、これらキーが3列3段と、その下部中央に1個設けられる。
【0036】
制御部229は、前記テンキー部522aからの入力を受け付けて前記暗証番号確認窓521に米マークで表示し、この暗証番号が所定の桁数入力されると前記IDカード212から取得した個人情報と照合して、合致すれば(d)図に示す第1の金額入力画面530aを表示する。
【0037】
この第1の金額入力画面530aは前記第1の暗証入力画面520aと同様な表示であるが、部分的に異なる点を説明する。即ち、前記上部分割エリア430には入力された金額を確認表字する金額確認窓531と、そのガイダンスが表示され、下部分割エリア440には、テンキー部522aの片側に万キー532aと千キー533aと円キー534aが表示される。
【0038】
前記制御部229はテンキー部522aから金額が入力されると、その入力内容を前記金額表示窓531に表示し、円キー534aの操作を受け付けて、この入力された引出依頼をセンタ100に送信する。
【0039】
ここでは詳細説明を終了するが、制御部229は、センタ100の指示のもと、所定の金額を前記紙幣挿入/排出口23または硬貨挿入/排出口24から支出して処理を終了する。
【0040】
さて、前記制御部229は、前記第1のメニュー画面510aの前記配置ボタン412が操作されると、前記第1のメニュー画面510aから(d)図に示す上肢到達範囲の狭い利用者用の第2のメニュー画面510bを表示する。この第2のメニュー画面510bは、第1のメニュー画面510aと下部分割エリア440の表示内容が異なる。
【0041】
即ち、この第2のメニュー画面510bの下部分割エリア440では、縦長短冊状の取引選択ボタン511bが横列に複数個並んで設けられる。また、この複数の取引選択ボタン511bは利用頻度の高いものが低いものより大きなボタンで形成され、しかも、各取引選択ボタン511bは下部をそろえて配置されるために、利用頻度の高いものが低いものより上方に張り出して設けられるので、利用頻度の高いものが一際目立つようにしている。加えて、利用頻度の高いものを中央に配置しているので、更に利用頻度の高いものをより目立たせるとともに、上肢到達範囲が操作画面の右手前または左手前周辺に偏っている双方の場合において、利用頻度の高いボタンに手が均等に届きやすくなる。
【0042】
更に、各ボタンは上部に、前記第1のメニュー画面510aと同様、当該取引選択ボタン511bを連想させる取り引き名称の1字をアイコン的に表示し、この下に取り引き名称を示している。
【0043】
さて、この上肢到達範囲の狭い利用者用の第2のメニュー画面も、前記健常者用の第1のメニュー画面510aと同様な操作で(e)図に示す第2の暗証番号入力画面520b、更に(f)図に示す第2の金額入力画面530bの順で画面を遷移させることができる。ここでは、健常者用の各画面と異なる点を説明する。
先ず、前記第2の暗証番号入力画面520bは、第1の暗証番号入力画面520aと可変表示エリア440の内容が異なる。第2の暗証番号入力画面520bのテンキー部522bは、この可変表示エリア440の下辺に沿って1から0までの数値キーが横一列に表示される。このため、上肢到達範囲の狭い利用者向けの表示画面の手前にテンキー部522bの各キーが表示されるので楽な姿勢で暗証番号を入力することができる。
【0044】
一方、(e)図に示す第2の金額入力画面530bは、前記第2の暗証番号入力画面520bの可変表示エリア440に違いがある。前記可変表示エリア440では、この可変表示エリア440の下方に、1から0までの数値キーが横一列に表示されテンキー部522bと、横一列に配置される万キー532bと千キー533bと円キー534bとが上下に2段に表示されるので、前記第2の暗証番号入力画面520bと同様な操作性を得ることができる。
【0045】
このように、この実施の形態では配置ボタン412を操作することにより、主に健常者用の第1の表示画面500aと、主に上肢到達範囲の狭い利用者を対象とした第2の表示画面500bとに簡単に切り替えることができる。しかも、この実施の形態では前記配置ボタン412を操作することにより、どの表示画面400からでも画面を切り替えることができる。即ち、(a)図と(d)図との相互間だけでなく(b)図と(e)図、(c)図と(f)図との間の切り替えも相互に行うことができる。また、前記配置ボタン412の操作により設定されたボタン配置は、再度前記配置ボタン412の操作をしない限り、(a)〜(b)〜(c)図または、(d)〜(e)〜(f)図の取引作業の進行に応じた画面遷移の間も維持される。
次に、図5を参照して、文字ボタン413の機能について説明する。この文字ボタン413は、可変表示エリア440に配置される操作ボタン421を拡大表示するものである。従って、この実施の形態では、第1のメニュー画面510aに対応した拡大表示である(a)図に示す第3のメニュー画面510cと、第2のメニュー画面510bに対応した拡大表示である(d)図に示す第4のメニュー画面510dと、第1の暗証番号入力画面520aに対応した拡大表示である(b)図に示す第3の暗証番号入力画面520cと、第2の暗証番号入力画面520bに対応した拡大表示である(e)図に示す第4の暗証番号入力画面520dと、第1の金額入力画面530aに対応した拡大表示である(c)図に示す第3の暗証番号入力画面530cと、第2の金額入力画面530bに対応した拡大表示である(f)図に示す第4の暗証番号入力画面530dとが表示可能である。
【0046】
ここで、これらの拡大表示も、前記した上肢到達範囲の狭い利用者に対応して表示画面400の下辺に沿って操作ボタン421を表示する。この場合、通常の表示ではレイアウトを変えなければ成らない場合は、適宜、前記原則にしたがってレイアウトを変更させる。
【0047】
例えば、テンキー部522bは拡大表示すると、横一列に配置することができないので、(e)(f)図に示す第4暗証番号入力画面520dと第4の金額入力画面530dでは1から5の数値キーと6から0の数値キーを上下2段で片側に配置する。また、万キー532aと千キー533aと円キー534aは他の片側に配置するようにする。
【0048】
この実施の形態では、文字ボタン413を押下することで、図5に示すような拡大表示に表示画面を、前記配置ボタン412と同様にどの表示画面400からでも画面を切り替えることができる。
【0049】
また、明るさ設定ボタン414は、表示画面の背景の明度を設定するためのボタンである。このボタンで背景の明度を設定することにより、まぶしい表示を苦手とする利用者、暗い表示を苦手とする利用者は、操作しやすい明度を選択することができ、また、設置環境光の映り込みを軽減して視認性のよい明度での操作が可能である。この明るさ設定ボタン414は、前記固定表示エリア410に配置されているため、上述のどの画面においても操作することができる。
なお、前記実施の形態では、現金の引き出しを事例に説明したが、他の取引操作でも同様な手法で採用することができる。
【0050】
また、前記実施の形態では、テーブル部に操作表示部を配置したATMで説明したが、前記した特徴のある表示画面はパネル面に操作表示部を配置したATMでも採用することができる。この場合、タッチパネルでの暗証番号の入力は防犯上の課題があるので、数値キーをメカ式のテンキー部と併用しても良い。
【0051】
前記実施の形態においては、メニュー画面510aまたは510bにおいて取引選択ボタン511aまたは511bの1つが選択されると、図示しないガイダンス画面を表示してIDカード212の提示を利用者に促す例を説明したが、メニュー画面を操作する前にIDカードの提示を促すようにしてもよい。先にIDカードが提示されると、IDカード内の個人情報を参照して、利用者個人の特性に応じた画面表示に自動設定することができる。例えば、個人情報として上肢到達範囲の狭い利用者であることが登録されていれば、初期メニューを510bのように表示する。利用者は、配置ボタン412を操作することなく、操作しやすい画面で取引を行うことができる。また、個人情報に応じて、取引選択ボタンの種類を増減することも可能である。例えば、預金のほかに投資信託に関する取引のある利用者には、投資信託に関するメニューボタンを追加して表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の概要を示す自動取引装置の説明図である。
【図2】銀行システムのネットワーク構成図である。
【図3】自動取引装置の媒体口近傍の外観図である。
【図4】自動取引装置の画面遷移図である。
【図5】自動取引装置の画面遷移図である。
【符号の説明】
【0053】
1…ATM、10…本体筐体、11…フロントパネル、12…ベース筐体、13…前面扉、14…背面扉、15…操作表示部、16…パネル面、17…テーブル部、18…カード/明細票取扱口、19…通帳取扱口、20…媒体取扱部、21…ハンドセット、22…カード取扱部、23…紙幣挿入/排出口、24…硬貨挿入/排出口、100…センタ、110…統合チャネルサーバ、111…IBサーバ、112…営業店APサーバ、113…来店管理サーバ、114…商品情報サーバ、115…行員管理サーバ、116…顧客情報管理サーバ、120…顧客管理サーバ、130…新商品サーバ、140…勘定系ホスト、150…HUBサーバ、200…営業店舗、210…店舗通信システム、201…営業店サーバ、202…金融デバイス、203…後方PC端末、204…窓口PC端末、205…相談テーブル端末、206…情報テーブル端末、207…相談端末、208…受付端末、211…店舗ネットワーク、212…IDカード、213…携帯端末、220…タッチパネル付表示部、221…カード部、222…通帳明細印字部、223…伝送制御部、224…記憶装置部、225…硬貨入出金部、226…紙幣入出金部、227…電源部、229…制御部、300…ネットワーク、350…専門センタ、400…表示画面、410…固定表示エリア、411…画面設定ボタン、412…配置ボタン、413…文字ボタン、414…明るさ設定ボタン、420…可変表示エリア、421…操作ボタン、430…上部分割エリア、440…下部分割エリア、500a…第1の表示画面、500b…第2の表示画面、510a…第1のメニュー画面、510b…第2のメニュー画面、510c…第3のメニュー画面、510d…第4のメニュー画面、511a、511b、511c、511d…取引選択ボタン、512a…引き出しボタン、513a…残高照会ボタン、514a…預け入れボタン、515a…通帳記入ボタン、516a…振り替えボタン、517a…定期預入ボタン、518a…振り込みボタン、519a…各種取引ボタン、520a…第1の暗証番号入力画面、520b…第2の暗証番号入力画面、520c…第3の暗証番号入力画面、520d…第4の暗証番号入力画面、521…暗証番号確認窓、522a、522b、522c、522d…テンキー部、523…取消ボタン、530a…第1の金額入力画面、530b…第2の金額入力画面、530c…第3の金額入力画面、530d…第4の金額入力画面、531…金額確認窓、532a…万キー、533a…千キー、534a…円キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備えた操作表示部と、前記タッチパネルからの操作を受け付けて前記操作表示部に各種のガイダンスや操作ボタンを表示して取引を行う制御部とを備えた自動取引装置の表示方法において、
表示画面を、下方に画面切替ボタンを備えた固定表示エリアと、可変表示エリアに左右に分割して表示し、
前記画面切替ボタンの操作を受け付けて、
各種の取引ボタンが可変表示エリアの中央を中心に配置される第1の表示画面と、各種の取引ボタンが表示画面の下辺部を中心に配置される第2の表示画面とを切り替えて表示する
ことを特徴とする自動取引装置の表示方法。
【請求項2】
前記第1の表示画面においては、前記各種取引ボタンのうち、利用頻度の高い取引ボタンを前記可変表示エリアの上段に大きいボタンとして表示し、他の取引ボタンを前記利用頻度の高い取引ボタンの下段に前記利用頻度の高い取引ボタンより小さいボタンとして表示し、
前記第2の表示画面においては、前記各種取引ボタンのうち、利用頻度の高い取引ボタンを前記可変表示エリアの左右方向の中央を中心に大きいボタンとして表示し、他の取引ボタンを前記利用頻度の高い取引ボタンの左右に前記利用頻度の高い取引ボタンより小さいボタンとして表示する
ことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置の表示方法。
【請求項3】
前記固定表示エリアは、前記表示画面の片側に上下に伸びる帯状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動取引装置の表示方法。
【請求項4】
前記第1の表示画面においては、前記各種の取引ボタンは、横長短冊状に形成され、左側に当該取引ボタンを連想させる取り引き名称の1字をアイコン状に表示し、右側に取り引き名称を表示し、
前記第2の表示画面においては、前記各種の取引ボタンは、縦長短冊状に形成され、上部に当該取引ボタンを連想させる取り引き名称の1字をアイコン状に表示し、その下に取り引き名称を表示する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動取引装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−133922(P2006−133922A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320034(P2004−320034)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】