説明

自動取引装置及びその暗証番号入力方法

【課題】暗証番号入力時における覗き見による暗証番号の漏えいを防止し、且つ効率的な暗証番号の入力を可能とする。
【解決手段】自動取引装置10は、利用者に操作画面を表示するための入力操作部12と、暗証番号入力画面を入力操作部12に表示する入力画面表示手段31aと、利用者が入力する2つの数値に基づき、暗証番号の特定桁の数値を生成するための演算の種類を利用者に選択させる演算選択手段31bと、入力された2つの数値に対し、選択された演算を行って暗証番号の特定桁の数値を求める暗証番号演算手段31cとを有している。
そのため、第三者の覗き見があったとしても、第三者が暗証番号を把握することができないという効果がある。更に、テンキー12cでの入力おいて、2つの数字の同時押下を有効としたので、暗証入力に係る時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置され、利用者により取引操作を行う自動取引装置及びその暗証番号入力方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動取引装置における暗証番号入力方法としては、入力時の覗き見による暗証番号の漏えいを防止するため、テンキーの配列を暗証入力の都度変化させる方法が知られている、他の方法として、特許文献1には、利用者に対し、暗証番号の各桁に所定の演算を行うように各桁の入力の都度、演算方法をガイドし、この演算方法により利用者が入力した演算結果の数値に対し、利用者が行った演算と逆の演算を施して暗証番号を求める暗証番号入力装置の技術が記載されている。又、特許文献2には、タッチパネルを指で押下する際、利用者が気づかずに、手首の服の裾等がタッチパネルに触れてしまった場合でも、正常に入力が行える入力装置の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−140009号公報
【特許文献2】特開2008−262509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の従来の暗証番号入力方法の場合、暗証番号の各桁の数値を決定する都度、入力方法のガイダンスを行うので、利用者は、その都度、暗算を行って入力する数値を確定することになる。このため、打鍵ミスが起こりやすくなるという課題があった。更に、操作に時間がかかることによりタイムアウトが発生し易くなり、その結果、利用者の取引処理が中断するという課題があった。
【0005】
特許文献2には、光学式のタッチパネルの技術が記載されているが、暗証番号入力方法に関する記載は、特にない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動取引装置は、利用者の操作によって取引を行う自動取引装置において、前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、前記利用者に対し、暗証番号の入力を促す暗証番号入力画面を前記入力操作部に表示する入力画面表示手段と、前記利用者が前記暗証番号入力画面を用いて入力する2つの数値に基づき、前記暗証番号における特定桁の数値を生成するための演算の種類を前記利用者に選択させる演算選択手段と、前記利用者の入力する前記2つの数値に対し、前記利用者が選択した前記演算を行って前記暗証番号における前記特定桁の数値を求める暗証番号演算手段とを有している。
【0007】
本発明の暗証番号入力方法は、利用者に操作画面を表示して入力を促すための入力操作部を有し、前記利用者の操作によって取引を行う自動取引装置における暗証番号入力方法であって、前記利用者に対し、暗証番号の入力を促す暗証番号入力画面を前記入力操作部に表示する入力画面表示処理と、前記利用者が前記暗証番号入力画面を用いて入力する2つの数値に基づき、前記暗証番号における前記特定桁の数値を生成する演算の種類を前記利用者に選択させる演算選択処理と、前記利用者の入力する前記2つの数値に対し、前記利用者が選択した前記演算を行って前記暗証番号における前記特定桁の数値を求める暗証番号演算処理とを有している。
【発明の効果】
【0008】
発明の自動取引装置及びその暗証番号入力方法によれば、利用者の入力する2つの数値に対し、利用者が選択した演算を行って暗証番号における特定桁の数値を求めるように構成されているので、覗き見があったとしても暗証番号を盗まれないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の実施例1における図2の自動取引装置の機能ブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における自動取引装置の概略を示す外観図である。
【図3】図3は図1中の入力操作部上に取引開始前に表示される取引選択画面の例を示す図である。
【図4】図4は図1の自動取引装置の引出し取引を示すフローチャートである。
【図5】図5は図4中の暗証番号入力ステップS3の暗証番号入力画面例を示す図である。
【図6】図6は図4中の暗証番号入力ステップS3の処理を示すフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例2における図4中の暗証番号入力ステップS3の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0011】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における自動取引装置10の概略を示す外観図である。
【0012】
自動取引装置10は、例えば、現金自動預け払い機(以下「ATM」という。)であり、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置され、利用者自身の操作により、現金の預入れ、現金の引出し、振込、残高照会、通帳記入等の取引を行うためのものである。自動取引装置10は、熱や衝撃に対し一定の強度を有する鉄材で作られたキャビネット11で覆われている。自動取引装置10の前面は、利用者が操作するための操作面11aが略水平に利用者の方向に突き出している。操作面11aの奥方向には、操作面11aから連続して投入面11bが設置されている。更に、投入面11bに連続して挿入面11cが略垂直に立ち上がっている。
【0013】
前記操作面11aには、操作のためのガイダンスを表示し、各種取引のための入力を行う入力操作部12が設けられている。投入面11bには、入出金取引等、現金を扱う取引での現金の受付取出口である紙幣投入取出口13と硬貨投入取出口14が設けられている。挿入面11cには、通帳の受付取出口である通帳取扱口15、キャッシュカード(以下「カード」という。)の受付取出口であるカード取扱口16及びスピーカ17が設けられている。
【0014】
図1は、本発明の実施例1における図2の自動取引装置10の機能ブロック図である。
【0015】
自動取引装置10は、制御部31と記憶部32とを備えている。制御部31は、プログラム制御により自動取引装置10全体を制御するものである。制御部31は、利用者に対し、暗証番号の入力を促す暗証番号入力画面を入力操作部12に表示する入力画面表示手段31aと、利用者が暗証番号入力画面を用いて入力する2つの数値に基づき、暗証番号の特定桁の数値を生成する演算の種類を利用者に選択させて、演算の種類を確定する演算選択手段31bと、利用者の入力する2つの数値に対し、利用者が選択した演算を行って暗証番号の特定桁の数値を求める暗証番号演算手段31cとを有している。
【0016】
制御部31により制御される入力操作部12は、文字や図形等で構成される操作画面を表示する図示しない液晶ディスプレイ(LCD)から構成された画面表示部と、表示部上に設けられた情報入力のためのタッチパネル12tとから構成されている。
【0017】
タッチパネル12tの動作原理には、各種の方式がある。例えば、抵抗膜方式のタッチパネル12tは、次のような原理で動作する。即ち、基材となるガラスの表面に2枚重ねの透明電極フィルムが貼り合わせてある。2枚の電極フィルムの間には、小さな絶縁体であるドットスペーサが配置され、2枚の電極フィルムの間に間隙が設けられている。
【0018】
2枚の電極フィルムの両端には、電極が接続されている。何も電極フィルムに接触していないときには、電極フィルム間に空間があるので電流が流れない。電極フィルムをタッチすることにより、2枚の電極フィルムが接触して電流が流れる。接触した位置によって、2枚の電極フィルムにそれぞれ接続されている電極の電圧が変化する。この電圧の変化により、タッチした位置の座標が求められる。本実施例1のタッチパネル12tは、この抵抗膜方式で構成されている。
【0019】
他のタッチパネルの方式として、指先と導電膜との間の静電容量の変化を捉えて位置を検出する静電容量方式、基板の複数の隅に圧電素子を取り付け、振動波を発生させる表面弾性波方式、赤外線方式等が知られている。
【0020】
赤外線方式は、特許文献2に記載されている方式であり、赤外線の発光素子と受光素子とを対にした光軸をマトリックス状に構成し、その光軸を順次オン/オフすることで画面をスキャンし、指等で光軸が遮光されると、その場所を示す複数の座標から1つの座標を検出座標として算出する仕組みになっている。
【0021】
赤外線方式は、このような仕組みになっているので、タッチパネル上の2か所が同時に押下されると、4箇所の座標が検出されることになる。例えば、座標(x1,y1)と座標(x2,y2)とが同時に押下されると、座標(x1,y1)と座標(x2,y2)の値が出力されると同時に、座標(x1,y2)と座標(x2,y1)の値も出力されるので、実際の押下された位置を確定できないということが起こる。本実施例1では、タッチパネル12t上の2箇所を同時押下することを前提としているため、赤外線方式のタッチパネルは、採用できない。
【0022】
カード処理部34は、カード取扱口16に挿入されたカードの内容を読み取り/書き込みしてカード取扱口16に排出する機能を有している。音声案内部35は、利用者に対する各種案内及び連絡を、スピーカ17を通じて音声で出力するものである。
【0023】
通帳部36は、通帳取扱口15に挿入された通帳の記帳処理を行い通帳取扱口15に排出する機能を有している。紙幣入出金部37は、入金処理においては、紙幣投入取出口13にセットされた紙幣を取り込み、紙幣の真贋を鑑別し、計数して自動取引装置10内の図示しない収納庫に取り込み、出金処理においては、収納庫から紙幣を取出し、紙幣の真贋を鑑別し、計数して紙幣投入取出口13に排出する機能を有している。硬貨入出金部38は、硬貨投入取出口14に接続されており、紙幣の場合とほぼ同様の処理を行う。
【0024】
上位インタフェース部33は、ホストコンピュータや監視センタとの通信を制御する機能を有している。
【0025】
図3は、図1中の入力操作部12上に取引開始前に表示される取引選択画面の例を示す図である。
【0026】
本取引選択画面には、「いらっしゃいませ ご希望の取引を押してください」の文言と、預入れ12a―1、引出し12a―2、振込12a―3等の複数の取引選択ボタン12a(=12a−1〜12a−8)が配列されている。
【0027】
(実施例1における自動取引装置10の全体動作)
図4は、図1の自動取引装置10の引出し取引を示すフローチャートである。
【0028】
図1〜図4を用いて、引出し取引を例に自動取引装置10全体の動作を説明する。
【0029】
利用者が自動取引装置10に接近すると、図示しない近接センサがこれを検出し、入力操作部12に電源が投入される。電源が投入されると、図4のステップS1において、入力操作部12に図3に示す取引選択画面が表示される。
【0030】
図3の取引選択画面では、預入れボタン12a―1、引出しボタン12a―2、振込ボタン12a―3、公共料金払込みボタン12a―4、残高照会ボタン12a―5、通帳記入ボタン12a―6、振替ボタン12a―7及び暗証番号変更ボタン12a―8が、入力操作部12にグラフィック表示され、利用者に取引の選択を促す。利用者がこれらの取引選択ボタン12aの1つを選択し、押下することにより、該当する取引が開始される。
【0031】
例えば、利用者が自口座から現金を引き出すときは、引出しボタン12a―2を押下する。引出しボタン12a―2の押下により、引出し取引が開始され、ステップS2において、カードの插入を促すメッセージが操作画面に表示される。カードが、カード取扱口16に挿入されると、カード処理部34は、カードの磁気ストライプを読み取り、記憶部32に記憶する。
【0032】
次に、ステップS3において、入力操作部12には、暗証番号を入力するための操作画面が表示される。この操作画面を用いて、利用者により暗証番号が入力される。本ステップS3における暗証番号入力処理は、図6において後に詳述する。
【0033】
ステップS4において、入力操作部12には、希望する引出し額を入力するための操作画面が表示される。この操作画面を用いて、利用者により引出し額が入力される。
【0034】
ステップS5において、口座番号、金額、暗証番号等が制御部31で編集され、図示しないホストコンピュータに送信される。ホストコンピュータでは、自動取引装置10からの電文を受信すると、受信した口座番号をキーとして当該利用者の口座ファイルから口座情報を読み出し、受信した暗証番号とホストコンピュータが保持している暗証番号とが一致するか否かチェックする。
【0035】
暗証番号が不一致のときは、ホストコンピュータは、その旨を自動取引装置10に送信する。自動取引装置10は、暗証番号入力画面を入力操作部12に表示し、利用者に暗証番号の再入力を促す。暗証番号が一致したときは、ホストコンピュータは、当該取引を有効とし、当該口座ファイルの残高から受信した入金額を減算し新残高とする。
【0036】
ステップS6において、ホストコンピュータは、取引有効の旨を自動取引装置10に送る。自動取引装置10において取引有効の旨を受信すると、紙幣入出金部37は、自動取引装置10内部の図示しない保管庫から紙幣を取り出し、計数し、紙幣投入取出口13にセットする。硬貨入出金部38も同様に、保管庫から硬貨を取り出し、計数し、硬貨投入取出口14にセットする。その後、入力操作部12には、通帳、カード及び現金の取り出しを促すメッセージが表示され、利用者は、通帳取扱口15、カード取扱口16及び紙幣投入取出口13、硬貨投入取出口14から通帳、カード及び現金を取り出すと引出し取引が終了する。
【0037】
(実施例1における暗証番号入力方法)
本実施例1における暗証番号の演算処理(例えば、暗証番号の計算方法)には、例えば、次の(1)〜(6)のようなものがある。
【0038】
(1) 2つの数値の差分を求める方法
利用者の入力する2つの数値の差分を求め、その差分を暗証番号の特定桁の数値とする方法である。
【0039】
例えば、利用者の暗証番号が「1234」とする。このとき、利用者によって、暗証番号の1桁目に対応する入力として、「4」、「3」が入力される。この2つの数値の差分4−3=1が暗証番号演算手段31cで計算されて、暗証番号の1桁目が1に確定する。次に、暗証番号の2桁目に対応する入力として、「3」、「1」が入力される。この2つの数値の差分3−1=2が求められて、暗証番号の2桁目が2に確定する。以下同様に、暗証番号の3桁目、4桁目が確定する。
【0040】
(2) 2つの数値の和を求める方法
利用者の入力する2つの数値を加算して和を求め、和が1桁のときは、その和を暗証番号の特定桁の数値とし、和が2桁のときには、和の一の位又は十の位のいずれか1つを選択して暗証番号の前記特定桁の数値とする方法である。
【0041】
例えば、利用者の暗証番号が「1234」とする。このとき、利用者によって、暗証番号の1桁目に対応する入力として、「5」、「6」が入力される。この2つの数値の和5+6=11が暗証番号演算手段31cで計算されて、1の位が選択されて暗証番号の1桁目が1に確定する。次に、暗証番号の2桁目に対応する入力として、「5」、「7」が入力される。この2つの数値の和5+7=12が求められて、1の位が選択されて暗証番号の2桁目が2に確定する。以下同様に、暗証番号の3桁目、4桁目が確定する。
【0042】
(3) 2つの数値の積を求める方法
利用者の入力する2つの数値を乗じて積を求め、積が1桁のときは、その積を暗証番号の特定桁の数値とし、積が2桁のときには、積の一の位又は十の位のいずれか1つを選択して暗証番号の前記特定桁の数値とする方法である。
【0043】
例えば、利用者の暗証番号が「1234」とする。このとき、利用者によって、暗証番号の1桁目に対応する入力として、「3」、「7」が入力される。この2つの数値の積3×7=21が暗証番号演算手段31cで計算されて、1の位が選択されて暗証番号の1桁目が1に確定する。次に、暗証番号の2桁目に対応する入力として、「2」、「6」が入力される。この2つの数値の積2×6=12が求められて、1の位が選択されて暗証番号の2桁目が2に確定する。以下同様に、暗証番号の3桁目、4桁目が確定する。
【0044】
(4) 2つの数値の和を求め方法の変形
利用者の入力する2つの数値を加算して和を求め、和が1桁のときは、その和を暗証番号の特定桁の数値とし、和が2桁のときには、和の十の位の数値を暗証番号の特定桁の数値とし、和の一の位の数値を特定桁の次の桁の数値とする方法である。
【0045】
例えば、利用者の暗証番号が「1234」とする。このとき、利用者によって、暗証番号の最初の入力として、「5」、「7」が入力される。この2つの数値の和5+7=12が暗証番号演算手段31cで計算されて、十の位の数値を暗証番号の1桁目とし、一の位の数値を暗証番号の2桁目とする。暗証番号の3桁目、4桁目については、前述した(2)の方法で求める。
【0046】
(5) 2つの数値の積を求める方法の変形
利用者の入力する2つの数値を乗算して積を求め、積が1桁のときは、積を暗証番号の特定桁の数値とし、積が2桁のときには、積の十の位の数値を暗証番号の特定桁の数値とし、前記積の一の位の数値を特定桁の次の桁の数値とする方法である。
【0047】
例えば、利用者の暗証番号が「1234」とする。このとき、利用者によって、暗証番号の最初の入力として、「2」、「6」が入力される。この2つの数値の積2×6=12が暗証番号演算手段31cで計算されて、十の位の数値である「1」を暗証番号の1桁目とし、一の位の数値である「2」を暗証番号の2桁目とする。暗証番号の3桁目、4桁目については、前述した(2)の方法で求める。
【0048】
(6) 2つの数値の商を求める方法
利用者の入力する2つの数値のうち、大きい方の数値を小さい方の数値で除して商を求め、商を暗証番号の特定桁の数値とする方法である。
【0049】
例えば、利用者の暗証番号が「1234」とする。このとき、利用者によって、暗証番号の1桁目に対応する入力として、「4」、「3」が入力される。このとき、4÷3=1.333・・・が暗証番号演算手段31cで計算されて、暗証番号の1桁目が1に確定する。次に、暗証番号の2桁目に対応する入力として、「5」、「2」が入力される。このとき、5÷2=2.5が求められて、暗証番号の2桁目が2に確定する。以下同様に、暗証番号の3桁目、4桁目が確定する。
【0050】
図5は、図4中の暗証番号入力ステップS3の暗証番号入力画面例を示す図である。
【0051】
暗証番号入力画面の上部には、
「暗証番号の計算方法を選択して、1桁目の暗証番号を2桁の数字で入力して下さい。」のメッセージが表示されている。このメッセージの下部には、減法、加法、乗法、及び除法の四則演算を示す「−」、「+」、「×」、「÷」のマークが付された計算方法選択ボタン12bが配置されている。利用者は、このいずれかの計算方法選択ボタン12bを押下することにより、前述した「暗証番号の計算方法」のいずれか1つを選択することができる。計算方法選択ボタン12bの下部には、テンキー12cが設けられている。
【0052】
図6は、図4中の暗証番号入力ステップS3の処理を示すフローチャートである。
【0053】
ステップS11において、入力画面表示手段31aにより、図5に示す暗証番号入力画面が表示される。利用者により計算方法選択ボタン12bが押下されたときには、ステップS12において計算方法の指定有りとなってステップS13へ進む。ステップS13において、演算選択手段31bは、利用者が指定した計算方法を記憶部32に記憶して設定する。
【0054】
ステップS11において、計算方法選択ボタン12bが押下されず、テンキー12cが押下されたときには、ステップS12において計算方法の指定無しとなってステップS14へ進む。ステップS14において、演算選択手段31bは、利用者の入力する2つの数値の差分を求め、その差分を暗証番号の特定桁の数値とする計算方法を記憶部32に記憶して設定する。
【0055】
ステップS15において、利用者によりテンキー12cから2つの数値が暗証番号演算手段31cに入力される。この2つの数値は、テンキー12cのボタンを同時に押下してもよいし、テンキー12cのボタンを順次押下してもよい。
【0056】
ステップS16において、暗証番号演算手段31cは、設定された暗証番号計算方法を用いて、入力された2つの数値を計算し、その結果の数値を暗証番号の特定桁として記憶部32に記憶する。
【0057】
ステップS17において、暗証番号の全ての桁(例えば、4桁)の算出が完了したか否かが判定され、完了していないときには、ステップS11へ戻る。ステップS11において、入力画面表示手段31aは、図5に示す暗証番号入力画面を表示する。このとき、暗証番号の特定桁が例えば2桁目であれば、図5に示す暗証番号入力画面の上部のメッセージは、
【0058】
「暗証番号の計算方法を選択して、2桁目の暗証番号を2桁の数字で入力して下さい。」のメッセージに変更されて表示される。ステップS11において、再度、暗証番号の計算方法が選択される。このようにして、暗証番号の2桁目、3桁目、4桁目が順次算出される。
【0059】
ステップS17において、暗証番号の全ての桁の算出が完了したときには、本暗証番号入力ステップS3の処理が終了する。
【0060】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、利用者の入力する2つの数値に対し、利用者が選択した暗証番号の計算方法を行って暗証番号における特定桁の数値を求めるように構成されている。そのため、第三者の覗き見があったとしても、暗証番号を直接入力していないので、第三者が暗証番号を把握できないという効果がある。
【0061】
更に、テンキー12cにおける入力において、2つの数字の同時押下を有効としたので暗証入力に係る時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0062】
(実施例2の構成)
実施例2の構成は、実施例1と同様である。
【0063】
(実施例2における自動取引装置10の全体動作)
本実施例2における自動取引装置10の全体動作は、実施例1と同様である。
【0064】
(実施例2における暗証番号入力方法)
図7は、本発明の実施例2における図4中の暗証番号入力ステップS3の処理を示すフローチャートであり、実施例1を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0065】
本実施例2における暗証番号入力方法は、実施例1とほぼ同様である。
本実施例2と実施例1との相違点は、ステップS17において、暗証番号の全ての桁(例えば、4桁)の算出が完了していないときの戻り先が、実施例1では、ステップS11に戻ったが、本実施例2では、ステップS15に戻る点である。つまり、実施例1では、暗証番号の各桁の算出の度に、暗証番号の計算方法の選択を利用者が行うようにしたが、本実施例2では、2桁目以降の暗証番号の算出においては、1桁目で選択した計算方法を踏襲するようにした点が異なっている。
【0066】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、暗証番号の計算方法の選択を桁毎に行わないで、1桁目で選択した計算方法を踏襲するようにしたので、利用者の入力操作が簡便になり、入力時間の短縮、誤り入力の抑止等の効果がある。
【0067】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、その他の種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0068】
(a) 実施例1,2では、自動取引装置10として、ATMを例に説明したが、これに限定されない。利用者による操作で取引を行う装置であれば、広く適用できる。例えば、駅等に設置される券売機、空港等に設置される航空券発行機、スーパーマーケットに設置されるセルフレジ、市役所等に設置される証明書発行機等が考えられる。
【0069】
(b) 実施例1の暗証番号入力方法では、例として、(1)〜(6)の方法を示したが、これに限定されない。利用者の入力する2つの数値を、暗証番号の特定桁に写像する関数であれば特に限定されない。
【0070】
(c) 実施例1では、図6の説明において、ステップS11で計算方法選択ボタン12bが押下されないでテンキー12cが押下されたときには、2つの数値の差分を求める方法を計算方法として採用したが、これを、従来通りの暗証番号を直接打ち込む処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 自動取引装置
12 入力操作部
12a 取引選択ボタン
12b 計算方法選択ボタン
12c テンキー
12t タッチパネル
31 制御部
31a 入力画面表示手段
31b 演算選択手段
31c 暗証番号演算手段
32 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作によって取引を行う自動取引装置において、
前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、
前記利用者に対し、暗証番号の入力を促す暗証番号入力画面を前記入力操作部に表示する入力画面表示手段と、
前記利用者が前記暗証番号入力画面を用いて入力する2つの数値に基づき、前記暗証番号における特定桁の数値を生成するための演算の種類を前記利用者に選択させる演算選択手段と、
前記利用者の入力する前記2つの数値に対し、前記利用者が選択した前記演算を行って前記暗証番号における前記特定桁の数値を求める暗証番号演算手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記入力操作部は、
前記利用者の指の押下を検知するタッチパネルを有し、
前記タッチパネルには、
テンキー部を有する前記暗証番号入力画面が表示され、
前記テンキー部の2つの数字が同時に押下されたときには、前記2つの数値として区分し、前記暗証番号演算手段に入力することを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記利用者が選択する前記演算は、
加法、減法、乗法、又は除法のいずれか1つであることを特徴とする請求項1又は2記載の自動取引装置。
【請求項4】
利用者に操作画面を表示して入力を促すための入力操作部を有し、前記利用者の操作によって取引を行う自動取引装置における暗証番号入力方法であって、
前記利用者に対し、暗証番号の入力を促す暗証番号入力画面を前記入力操作部に表示する入力画面表示処理と、
前記利用者が前記暗証番号入力画面を用いて入力する2つの数値に基づき、前記暗証番号における前記特定桁の数値を生成する演算の種類を前記利用者に選択させる演算選択処理と、
前記利用者の入力する前記2つの数値に対し、前記利用者が選択した前記演算を行って前記暗証番号における前記特定桁の数値を求める暗証番号演算処理と、
を有することを特徴とする暗証番号入力方法。
【請求項5】
前記暗証番号演算処理は、
前記特定桁の数値を求めた後、前記特定桁が最終桁でなかったときには、
前記利用者の入力する次の前記2つの数値に対し、前記演算の種類を変更することなく前記演算を行って前記暗証番号の次の桁の数値を求め、
前記特定桁の数値を求めた後、前記特定桁が最終桁であったときには、
暗証番号入力処理を終了することを特徴とする請求項4記載の暗証番号入力方法。
【請求項6】
前記暗証番号演算処理は、
前記特定桁の数値を求めた後、前記特定桁が最終桁でなかったときには、
演算方法選択処理を行い、
前記特定桁の数値を求めた後、前記特定桁が最終桁であったときには、
暗証番号入力処理を終了することを特徴とする請求項4記載の暗証番号入力方法。
【請求項7】
前記暗証番号演算処理は、
前記利用者の入力する前記2つの数値の差分を求め、前記差分を前記暗証番号における前記特定桁の数値とすることを特徴とする請求項4記載の暗証番号入力方法。
【請求項8】
前記暗証番号演算処理は、
前記利用者の入力する前記2つの数値を加算して和を求め又は乗算して積を求め、前記和又は前記積が1桁のときは、前記和又は前記積を前記暗証番号における前記特定桁の数値とし、前記和又は前記積が2桁のときには、前記和又は前記積の一の位又は十の位のいずれか1つを選択して前記暗証番号における前記特定桁の数値とすることを特徴とする請求項4記載の暗証番号入力方法。
【請求項9】
前記暗証番号演算処理は、
前記利用者の入力する前記2つの数値を加算して和を求め又は乗算して積を求め、前記和又は前記積が1桁のときは、前記和又は積を前記暗証番号における特定桁の数値とし、前記和又は前記積が2桁のときには、前記和又は前記積の十の位の数値を前記暗証番号における前記特定桁の数値とし、前記和又は前記積の一の位の数値を前記特定桁の次の桁の数値とすることを特徴とする請求項4記載の暗証番号入力方法。
【請求項10】
前記暗証番号演算処理は、
前記利用者の入力する前記2つの数値のうち、大きい方の数値を小さい方の数値で除して商を求め、前記商を前記暗証番号における前記特定桁の数値とすることを特徴とする請求項4記載の暗証番号入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−103887(P2012−103887A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251553(P2010−251553)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】