説明

自動取引装置

【課題】顧客が係員を呼び出す係員呼出ボタン7aを備えた自動取引装置において、係員呼出ボタン7aの故障や、体の不自由な人やお年寄りの顧客が係員呼出ボタン7aに手が届かない場合や係員呼出ボタン7aの押し方が不十分な場合であっても、確実に係員を呼び出せるようにする。
【解決手段】係員呼出ボタン7a周辺に備えたカメラ8aと、当該カメラ8aにより取得した画像を解析して顔検出を行う画像解析部を設け、係員呼出ボタン7a周辺を顧客が凝視した回数または凝視した時間の長さに基づき、係員を呼び出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動支払機、現金自動預払機等の自動取引装置において、係員を呼び出す技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置では、顧客が係員を呼び出す際の係員呼出ボタンが自動取引装置本体または自動取引装置の設置されたブースに備えられており、顧客が係員呼出ボタンを押すことにより係員呼出信号がリモートパネルに送信され、チャイムを鳴動させたり、表示装置にその旨を表示させたりしていた(例えば、特許文献1参照)。或いは、前記係員呼出信号をホストコンピュータに送信しホストコンピュータを経由して係員に通報するようにしていた。
【特許文献1】特開平10−198851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の自動取引装置では、係員呼出ボタンの故障や係員呼出ボタンの押し方が不十分な場合などでは、係員呼出信号が発せられないという問題があり、体の不自由な人やお年寄りなどでは係員呼出ボタンに手が届かないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、係員を呼び出す係員呼出手段を備えた自動取引装置において、当該係員呼出手段の周辺に設けた画像取得手段と、当該画像取得手段により取得した画像を解析して前記係員呼出手段周辺を凝視したかどうかを検出する画像解析手段を設け、前記検出回数または検出時間の長さに基づき、係員を呼び出すようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明の自動取引装置によれば、係員を呼び出す係員呼出手段を備えた自動取引装置において、当該係員呼出手段の周辺に設けた画像取得手段と、当該画像取得手段により取得した画像を解析して前記係員呼出手段周辺を凝視したかどうかを検出する画像解析手段を設け、前記検出回数または検出時間の長さに基づき、係員を呼び出すようにしたので、ボタンの故障やボタンの押し方が不十分な場合があっても、また、体の不自由な人やお年寄りが呼出ボタンに手が届かない場合であっても、係員を確実に呼び出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0007】
(構成)
実施例1の自動取引装置は、図1のような外観をしており、硬貨入出金口2、紙幣入出金口3、操作部4、通帳挿入口5、カード挿入口6を備えている。そして、自動取引装置の前面側に、係員呼出ボタン7a、カメラ8aが備えられている。
【0008】
硬貨挿入口2および紙幣入出金口3は、それぞれ硬貨および紙幣が投入されるとともに、これらが排出される開口部である。硬貨挿入口2および紙幣入出金口3には、それぞれシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより硬貨挿入口2および紙幣入出金口3がそれぞれ開閉される。これらの奥部には、図示していないが硬貨および紙幣の入出金処理を行う硬貨処理部および紙幣処理部が設けられている。
【0009】
通帳挿入口5は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分で、その奥部には、図示していないが通帳処理部が設けられている。カード挿入口6は、カードが挿入または排出される部分で、その奥部には、図示していないがカード処理部が設けられている。
【0010】
操作部4は、取引に際して操作画面を表示するLCDと、取引選択、暗証番号や取引金額などを入力するタッチパネルが一体化されて構成される。
【0011】
さらに、実施例1の自動取引装置では、前述のように、自動取引装置1の前面側に、操作方法が不明になったときなどに係員を呼び出すための係員呼出ボタン7aが設けられている。
【0012】
そして、係員呼出ボタン7a近傍にカメラ8aが配置されている。このカメラ8aは、顧客撮影用のカメラで呼出ボタンを顧客が凝視した際に顧客の顔が撮影できる範囲にレンズの画角を調整したものとなっている。
【0013】
(制御系の構成)
実施例1の自動取引装置の制御系は、図2の制御系ブロック図に示したように、後述の各部の制御を行う主制御部20と、カメラ8aからの画像データを受信し画像を解析し後述の係員呼出信号発生部7aへ解析結果を送信する画像解析部12と、画像解析部12の解析結果および係員呼出ボタン11の押下の情報をもとに係員呼出信号を発生させてブザー音やランプの点灯を行って係員を呼び出すとともに、インタフェイス部29によりホストコンピュータにその旨を送信する機能を有する係員呼出信号発生部13が設けられている。
【0014】
さらに、実施例1の自動取引装置の制御系には、前述の操作部4、キャッシュカード等に記録された情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を出力する音声案内部22、通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23、取引明細を印字出力する明細票処理部24、硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25、紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部26が設けられている。
【0015】
さらに、各部に電源を供給する電源部27、主制御部20の記憶部としてのメモリ部28、図示しないホストコンピュータとのインタフェイスを制御するインタフェイス部29が設けられている。
【0016】
(動作)
以上の構成により、実施例1の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図3の動作フローチャート、図4および図5の動作説明図を用いて以下詳細に説明する。
【0017】
まず、顧客が自動取引装置1に近づき、図示しない顧客センサにより顧客を検知すると、操作部4に取引選択画面を表示し、顧客は所望する取引を選択し、各取引ごとの操作を行う。
【0018】
これらの操作において、図4に示したように、係員呼出ボタン7aの付近に配置したカメラ8aにより顧客を撮影する(ステップS01)。そして、撮影した画像データを画像解析部12へ送信し、カメラ画像データの解析を行い、顔検出を行う(ステップS02)。なお、この顔検出の方法としては、特開2007−179338号公報等に開示された技術を用いればよい。
【0019】
このとき、図5に示したように、カメラ8aの撮影範囲30のうち、あらかじめ設定した顔検出範囲31内で顔の検出を行うことで顧客が呼出ボタン7aを凝視しているかどうかを絞り込む。或いはさらに、顔の向きを検出して、顧客が呼出ボタン7aを凝視しているかどうかを絞り込む。
【0020】
そして、顔を検出した場合は検出回数をカウントし、連続検出回数が予め設定された回数nを超えた場合は(ステップS03)、係員呼出信号発生部13にて呼出信号を発生させ、ブザーやランプの点灯により係員の呼び出しを行う(ステップS04)。
【0021】
なお、以上の説明では、顔を検出した回数に基づいて係員呼び出しを行うように説明したが、顔の検出が継続した時間が所定の時間以上となったときに係員を呼び出すようにしてもよいし、顔を検出した回数が所定の回数以上となった場合または顔の検出が継続した時間が所定の時間以上となったときに係員を呼び出すようにしてもよいし、顔を検出した回数が所定の回数以上となり、かつ顔の検出が継続した時間が所定の時間以上となったときに係員を呼び出すようにしてもよい。
【0022】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1の自動取引装置によれば、係員呼出ボタンの周辺に設けたカメラと、当該カメラにより取得した画像を解析して前記係員呼出ボタン周辺を凝視したかどうかを検出する画像解析手段を設け、前記検出回数または検出時間の長さに基づき、係員を呼び出すようにしたので、係員呼出ボタンの故障や係員呼出ボタンの押し方が不十分な場合があっても、また、体の不自由な人やお年寄りが係員呼出ボタンに手が届かない場合であっても、係員を確実に呼び出すことができる。
【実施例2】
【0023】
(構成)
実施例2の自動取引装置は、実施例1とほぼ同様、図6のような外観をしており、硬貨入出金口2、紙幣入出金口3、操作部4、通帳挿入口5、カード挿入口6を備えている。なお、実施例2の自動取引装置では、実施例1の係員呼出ボタン7a、カメラ8aは設けていない構成となっている。
【0024】
そして、自動取引装置1の近傍に、後述のインタフェイス部29を介して自動取引装置1に接続される係員呼出装置10が配置される構成となっている。係員呼出装置10には、操作方法が不明になったときなどに係員を呼び出すための係員呼出ボタン7bが備えられている。
【0025】
そして、係員呼出ボタン7b付近にカメラ8bが配置されている。このカメラ8bは、顧客撮影用のカメラで係員呼出ボタン7bを顧客が凝視した際に顧客の顔が撮影できる範囲にレンズの画角を調整したものとなっている。
【0026】
(制御系の構成)
実施例2の自動取引装置の制御系は、図7に示したように、図2を用いて説明した実施例1の自動取引装置の制御系の構成から、係員呼出ボタン7a、カメラ8aを取り除いた構成となっている。そして、係員呼出装置10と自動取引装置1がインタフェイス部29を介して接続される構成となっている。
【0027】
その他の構成については、実施例1の自動取引装置の制御系の構成と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0028】
(動作)
以上の構成により、実施例2の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図8の動作フローチャート、図9および図10の動作説明図を用いて以下詳細に説明する。
【0029】
まず、顧客が自動取引装置1に近づき、図示しない顧客センサにより顧客を検知すると、操作部4に取引選択画面を表示し、顧客が所望する取引を選択し、各取引ごとの操作を行う。
【0030】
このとき、図9に示したように、係員呼出装置10の係員呼出ボタン7bの付近に配置したカメラ8bにより顧客を撮影する(ステップS11)。そして、撮影した画像データを画像解析部12へ送信し、カメラ画像データの解析を行い、顔検出を行う(ステップS12)。なお、この顔検出の方法としては、特開2007−179338号公報等に開示された技術を用いればよいことは、実施例1と同様である。
【0031】
このとき、図10に示したように、カメラ8bの撮影範囲30のうち、あらかじめ設定した左右の顔検出範囲(31a、31b)内で顔の検出を行うことで顧客が呼出ボタン7bを凝視しているかどうかを絞り込む。或いはさらに、顔の向きを検出して、顧客が呼出ボタン7bを凝視しているかどうかを絞り込む。
【0032】
そして、顔を検出した場合は、右側か左側を判定し(ステップS13)、それぞれの検出回数をカウントし、それぞれの連続検出回数が予め設定された回数nを超えた場合は(ステップS14またはS15)、係員呼出信号発生部13にて呼出信号を発生させ、ブザーやランプの点灯により係員の呼び出しを行う(ステップS16)。
【0033】
なお、以上の説明では、顔を検出した回数に基づいて係員呼び出しを行うように説明したが、左右それぞれの顔の検出が継続した時間が所定の時間以上となったときに係員を呼び出すようにしてもよいし、左右それぞれの顔を検出した回数が所定の回数以上となった場合または顔の検出が継続した時間が所定の時間以上となったときに係員を呼び出すようにしてもよいし、左右それぞれの顔を検出した回数が所定の回数以上となった場合でかつ顔の検出が継続した時間が所定の時間以上となったときに係員を呼び出すようにしてもよい。
【0034】
なお、以上の説明では、自動取引装置1に係員呼出ボタン7a、カメラ8aを設けない構成として説明したが、自動取引装置1にも係員呼出ボタン7a、カメラ8aを設け、係員呼出装置10による顔の検出結果とともに、自動取引装置のカメラ8aによる顔の検出結果を併用して、いずれか顔検出があったときは、係員を呼び出すようにしてもよい。
【0035】
(実施例2の効果)
以上詳細に述べたように、実施例2の自動取引装置によれば、顧客が係員を呼び出す係員呼出ボタンを離間して配置した自動取引装置において、前記係員呼出ボタンの周辺に設け顧客の画像を取得するカメラと、当該カメラにより取得した画像を解析して前記係員呼出ボタン周辺を凝視したかどうかを検出する画像解析手段を設け、前記検出した回数または検出した時間に基づき、係員を呼び出すようにしたので、実施例1の効果と同様、係員呼出ボタンの故障や係員呼出ボタンの押し方が不十分な場合があっても、また、体の不自由な人やお年寄りが係員呼出ボタンに手が届かない場合であっても、係員を確実に呼び出すことができるとともに、複数の顧客による係員呼び出しを行うことができる。
【0036】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、係員呼出ボタンの周辺を凝視している動作を検出する例として説明したが、係員呼出ボタンの位置が分からず探している動作や、係員呼出のための説明文を読んでいる動作を検出して、係員を呼び出すようにしてもよい。
【0037】
また、取引操作途中であるにも拘らず、顧客の視線が自動取引装置1から完全に離れた場所を見ている動作、例えば、操作に困り、係員の声を掛けようとして行員を探している動作などを検出して、係員呼出を行うようにしてもよい。
【0038】
また、自動取引装置を多数設置してあるコーナの場合では、その設置コーナの天井等にカメラを設け、それぞれの自動取引装置に対して顧客を撮影し、係員呼出ボタン周辺を凝視していることをそれぞれ検出して、係員呼出しを行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上述べたように、本発明は、係員の呼出を行う機能を備えた現金自動支払機、現金自動預払機等の自動取引装置に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の自動取引装置の概観斜視図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図3】実施例1の自動取引装置の動作フローチャートである。
【図4】実施例1の自動取引装置の動作説明図である。
【図5】実施例1の自動取引装置の動作説明図である。
【図6】実施例2の自動取引装置および係員呼出装置の概観斜視図である。
【図7】実施例2の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図8】実施例2の自動取引装置の動作フローチャートである。
【図9】実施例2の自動取引装置の動作説明図である。
【図10】実施例2の自動取引装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 自動取引装置
4 操作部
7a、7b 係員呼出ボタン
8a、8b カメラ
10 係員呼出装置
12 画像解析部
13 係員呼出信号発生部
20 主制御部
29 インタフェイス部
30 カメラの撮影範囲
31、31a、31b 顔検出範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
係員を呼び出す係員呼出手段を備えた自動取引装置において、
当該係員呼出手段の周辺に設けた画像取得手段と、
当該画像取得手段により取得した画像を解析して前記係員呼出手段周辺を凝視したかどうかを検出する画像解析手段と、を設け、
前記検出回数または検出された時間の長さに基づき、係員を呼び出すようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
係員を呼び出す係員呼出手段を離間して配置した自動取引装置において、
前記係員呼出手段の周辺に設け、顧客の画像を取得する画像取得手段と、
当該画像取得手段により取得した画像を解析して前記係員呼出手段周辺を凝視したかどうかを検出する画像解析手段と、を設け、
前記検出した回数または検出した時間の長さに基づき、係員を呼び出すようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
前記係員呼出手段は係員呼出ボタンであって、前記画像取得手段はカメラであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−72877(P2010−72877A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238677(P2008−238677)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】