説明

自動取引装置

【課題】複数国の通貨が混在した場合に、利用者が通貨種類を意識せず入金取引を行う。
【解決手段】ATM10は、円紙幣に関する紙幣の真偽を鑑別する鑑別手段と、前記鑑別手段により偽と鑑別された紙幣の特徴情報を抽出し、この特徴情報とATM10の記憶部32に保持している外国通貨の特徴情報とを比較して鑑別し、その外国通貨を特定する鑑別特定手段と、その外国通貨の真偽を鑑別するための鑑別プログラム22がATM10の記憶部32に保持されているか否かを判定する判定手段と、前記鑑別プログラム22が記憶部32に保持されているときは、その鑑別プログラム22を選択し、鑑別プログラム22が記憶部32に保持されていないときは、その鑑別プログラム22をホストコンピュータ1に要求する要求手段とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預け払い機(以下「ATM」という。)等の自動取引装置に関し、特に外国通貨の取り扱い機能を有する多国通貨対応の自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関やコンビニエンスストア等に設置されるATM等の自動取引装置においては、一国の通貨のみ鑑別可能となっており、装置の設置国の通貨のみ入金及び出金等の各種現金を扱う取引を行うようになっている。
【0003】
このような多国通貨に対応しており、入金する通貨を顧客操作で選択できる自動取引装置に関する技術は、例えば、次のような文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−144122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、日本において、外国からの旅行者、又ビジネスや留学等の長期滞在者が増加しているが、自動取引装置の多国通貨対応が進んでおらず、滞在中の外国人にとって不便であるという課題がある。更に、特許文献1の技術においては利用者による通貨選択操作が必要となるため、利用者が通貨の種類を意識しなければならない。又1回の取引で、単一国の通貨しか入金できず、複数国の通貨が混在していた場合には、それぞれの通貨に分けて入金取引をする必要があり、操作が煩雑になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動取引装置は、利用者の操作により取引を行う自動取引装置であって、第1の通貨発行主体が発行する第1の通貨に関し、入出金される前記第1の通貨の真偽を鑑別する鑑別手段と、前記鑑別手段により偽と鑑別された前記第1の通貨の特徴情報を抽出し、この特徴情報と第1の記憶手段に保持している第2の通貨の特徴情報とを比較して鑑別し、第2の通貨発行主体の発行する前記第2の通貨を特定する鑑別特定手段と、前記第2の通貨の真偽を鑑別する鑑別情報を情報処理装置に対して要求する要求手段とを有している。
【0007】
本発明の他の自動取引装置は、利用者の操作により取引を行う自動取引装置であって、第1の通貨発行主体が発行する第1の通貨に関し、入出金される前記第1の通貨の真偽を鑑別する鑑別手段と、前記鑑別手段により偽と鑑別された前記第1の通貨の特徴情報を抽出し、この特徴情報と第1の記憶手段に保持している第2の通貨の特徴情報とを比較して鑑別し、第2の通貨発行主体の発行する前記第2の通貨を特定する鑑別特定手段と、前記第2の通貨の真偽を鑑別するための鑑別情報が第2の記憶手段に保持されているか否かを判定する判定手段と、前記鑑別情報が前記第2の記憶手段に保持されているときは、前記鑑別情報を選択し、前記鑑別情報が前記第2の記憶手段に保持されていないときは、前記鑑別情報を情報処理装置に対して要求する要求手段とを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動取引装置によれば、次の(1)及び(2)のような効果がある。
【0009】
(1) 自動取引装置に複数の紙幣鑑別情報を持たなくとも、情報処理装置に複数の第2の通貨の鑑別情報を持つことで第1の通貨と第2の通貨が混在した通貨の入金取引が可能となる。
【0010】
(2) 利用者は取引する第1の通貨又は第2の通貨を選択せずに入金取引が行えるため、通貨の種類を意識せずに取引が可能となり、煩雑な操作をしなくてもよい。
【0011】
本発明の他の自動取引装置によれば、次の(a)及び(b)のような効果がある。
【0012】
(a) 情報処理装置からの鑑別情報の転送回数を減らすことができるので取引処理時間が短縮される。
【0013】
(b) 情報処理装置から、鑑別情報を受信したとき、使用頻度の低い鑑別情報に上書きすることで効率的な運用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の実施例1における自動取引システムの概略を示す構成図である。
【図2】図2は図1中のホストコンピュータにおける口座ファイルの構成例を示す説明図である。
【図3】図3は図1中のATMの機能ブロック図である。
【図4】図4は図3のATMにおける入金取引を示すフローチャートである。
【図5】図5は図4で示す入金取引における入金金額確認画面例を示す図である。
【図6】図6は図4で示す入金取引における明細票印字例を示す図である。
【図7】図7は本発明の実施例2におけるATMの機能ブロック図である。
【図8】図8は図7のATMにおける入金取引を示すフローチャートである。
【図9】図9は本発明の実施例3におけるATMの機能ブロック図である。
【図10】図10は図9のATMにおける入金取引を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0016】
(実施例1の自動取引システムの構成)
図1は、本発明の実施例1における自動取引システムの概略を示す構成図であり、図2は、図1中のホストコンピュータにおける口座ファイルの構成例を示す説明図である。
【0017】
金融機関の店舗やコンビニエンスストアには自動取引装置として、例えば、複数のATM10(=10−1〜10−N)が設置され、利用者の操作により、預入れ、引出し、振込、残高照会等の各種取引が可能になっている。ATM10は、通信回線2を介して外部の情報処理装置であるホストコンピュータ1に接続されている。ホストコンピュータ1は、通常、金融機関のセンタに設置され、その補助記憶装置20内に顧客情報ファイルや口座ファイル21を有している。
【0018】
利用者がATM10で例えば、現金の入出金を伴う取引を行うとホストコンピュータ1では、当該の口座ファイル21の情報を更新する。口座ファイル21の構成は、図2に示すように口座番号に対応して、暗証番号、顧客の氏名、現残高、及び取引の履歴を記録した取引データが記憶されて構成されている。
【0019】
本実施例1においては、更に、ホストコンピュータ1の補助記憶装置20に、第2の通貨(例えば、外国紙幣)を鑑別するための鑑別情報(例えば、鑑別プログラム)22を有している。ここで、通貨とは、中央銀行等の発行主体によって発行された現金通貨をいい、現金通貨には、紙幣と硬貨とがある。実施例1においては、通貨として紙幣を例に説明する。
【0020】
図3は、図1中のATMの機能ブロック図である。
ATM10は、制御部31と記憶部32を備えている。制御部31は、プログラム制御によりATM10全体を制御するものである。制御部31は、第1の通貨発行主体(例えば、日本銀行)が発行する第1の通貨(例えば、円紙幣)に関し、ATM10で取引される紙幣の真偽を鑑別する鑑別手段31aと、鑑別手段31aにより偽と鑑別された紙幣の特徴情報を抽出し、この特徴情報と記憶部32内の第1の記憶手段に保持している外国通貨の特徴情報とを比較して鑑別し、第2の通貨発行主体(例えば、外国の中央銀行)の発行する外国通貨を特定する鑑別特定手段31bと、外国通貨の真偽を鑑別する鑑別プログラム22をホストコンピュータ1に対して要求する要求手段31cとを有している。
【0021】
制御部31により制御される入力操作部11は、文字や図形等で構成される操作画面を表示する図示しない液晶(LCD)画面の表示部と、この表示部上に設けられた情報入力のためのタッチパネル入力部とから構成されている。ATM10の前面には、利用者が取引操作時に紙幣を投入し、且つATM10が放出した紙幣を利用者が取り出すための、接客口である紙幣投入取出口12が設けられている。
【0022】
この紙幣投入取出口12には、異物がこれに混入することを防ぐためと防犯上の観点からシャッタ13が設けられており、必要なタイミングで開閉するように構成されている。例えば、入金取引では、利用者が取引を選択するとシャッタ13が開き、紙幣の投入を促すようになっている。利用者が紙幣を投入するとシャッタ13が閉まり、ATM10は、紙幣の計数を行い入金額の確認を利用者に促す。
【0023】
カードリーダプリンタ部34は、図示しないカード取扱口に挿入されたキャッシュカード(以下「カード」という。)の内容を読み取り/書き込みしてカード取扱口に排出する機能及び明細票等を印字してカード取扱口に排出する機能を有している。紙幣入出金部35は、入金処理においては、紙幣投入取出口12にセットされた紙幣を取り込み、紙幣の真偽を鑑別し、計数してATM10内の図示しない収納庫に格納し、出金処理においては、収納庫から紙幣を取出し、紙幣の真偽を鑑別し、計数して紙幣投入取出口12に排出する機能を有している。監視カメラ部36は、図示しないカメラを制御して取引中の利用者を撮影し、その画像を保管する。
【0024】
一時保留部37は、リジェクトされた紙幣を一時保留する機構であり、リジェクトされた紙幣は、利用者がその確認を行うため搬送路38を介して紙幣投入取出口12に戻される。なお、通常、入金取引においては、図示しないが紙幣入出金部35により紙幣の真偽を鑑別し、計数された紙幣を一時的に保留する別の保留部が存在する。別の一時保留部に保留された紙幣は、紙幣入出金部35が計数した入金額を入力操作部11に表示して利用者による確認操作を待ってからATM10内の図示しない収納庫に格納される。通信部33は、ホストコンピュータ1や監視センタとの通信を制御する機能を有している。
【0025】
ATM10は、更に、図示しないが、制御部31により制御される近接センサ、通帳記帳部、硬貨入出金部、及び音声出力部等を有している。近接センサは、ATM10への人の接近を検知するセンサである。通帳記帳部は、通帳の記帳処理を行うものである。硬貨入出金部は、硬貨の真贋を鑑別し、計数し、入出金処理を行うものである。
【0026】
(実施例1の動作)
図4は、図3のATMにおける入金取引を示すフローチャートであり、図5は、図4で示す入金取引における入金金額確認画面例を示す図及び図6は、図4で示す入金取引における明細票印字例を示す図である。
【0027】
本実施例1では、入金取引において、円紙幣に関し、鑑別手段31aにより紙幣鑑別を行う。その結果、偽とされた紙幣、即ちリジェクトされた紙幣の特徴情報を用いて鑑別特定手段31bにより、その紙幣の種類を特定し、ホストコンピュータ1に、該当する鑑別プログラム22の転送を要求する。ホストコンピュータ1から鑑別プログラム22を受信し、外国の中央銀行の発行する外国紙幣の鑑別をATM10で行う。
【0028】
なお、本実施例1において、ATM10は、円の鑑別プログラム22を持っており、初期状態では、円以外の鑑別はできないものとする。又、鑑別プログラム22は、紙幣鑑別のための手続き部分(プログラム)の他に、鑑別に必要なデータも有している。
【0029】
ATM10に電源が投入され処理が開始される。ステップS1において、利用者がカードを投入口に投入すると、ATM10は、カードの磁気ストライプ等に記録された口座番号を読取り、ステップ2において、取引選択画面を表示する。ステップS3において、利用者により入金取引が選択され、ステップS4において、利用者識別子(ID)入力画面(例えば、暗証番号入力画面)が表示される。ステップS5において、利用者によりID番号(例えば、暗証番号)が入力され、カードから読取った口座番号等とともに照会電文としてホストコンピュータ1に送信される。
【0030】
ここで、ステップS1〜S3において、カードを読み取ってから入金取引を選択するように説明したが、始めに、取引選択画面を表示し、入金取引を選択してからカード挿入を行って、カードを読み取るようにしてもよい。又、ステップS4〜S6のID番号による本人確認処理は、セキュリティ強化のための処理であり、例えば、外国紙幣の偽札入力の予防、牽制の効果を意図している。
【0031】
ステップS6において、ホストコンピュータ1から照会電文の回答を受信する。ホストコンピュータ1での本人確認が成立したときは、ステップS8において、紙幣投入誘導画面を表示し、利用者に対し、紙幣投入取出口12への紙幣の投入を促す。ここで、取消ボタンが押下されたときは、ステップS23において、入力操作部11の表示画面を取引選択画面に戻す等の終了処理を行い、入金処理を終了する。
【0032】
ステップS9において、利用者が紙幣投入取出口12に紙幣を投入する。ステップS10において、投入された紙幣が、最初の投入か、又は一度、紙幣の計数が行われてリジェクトされた紙幣かが判定される。最初の紙幣投入であったときは(No)、ステップ14へ進み、鑑別手段31aにより円紙幣用の鑑別プログラム22を用いて紙幣の計数が行われる。ステップS15において、不明券としてリジェクトされた紙幣がない場合は(No)、ステップS18へ進む。
【0033】
ステップS15において、リジェクトされた紙幣がある場合は(Yes)、リジェクトされた紙幣は、一旦一時保留部37に保留され、搬送路38を介して紙幣投入取出口12へ戻される。ステップS16において、返却紙幣受取画面を表示して利用者に紙幣を受取らせる。ステップS8へ戻り、紙幣投入誘導画面を表示し、利用者に再投入を促す。ステップS9において、利用者が紙幣を再投入する。ステップ10において、紙幣が再投入か否かが判定される。この場合は、再投入なのでステップS11へ進む。ステップS11において、再投入された紙幣に合致した鑑別プログラム22で再計数を行うため、鑑別特定手段31bにより、リジェクト時に取得した紙幣の情報から、紙幣サイズや特徴等の簡易判別を行い、最も近いと思われる紙幣を特定する。ステップS12において、特定した紙幣に対応する鑑別プログラム22ホストコンピュータ1に要求する。
【0034】
ステップS13において、ATM10は、ホストコンピュータ1から、鑑別プログラム22を受信する。ステップS14において、ホストコンピュータ1から受信した鑑別プログラム22を使用して計数を行う。ステップS15において、リジェクト紙幣の有無が判定される。リジェクト紙幣がありのときは、ステップS16の返却紙幣受取画面の表示処理、ステップS17のリジェクト紙幣受取処理、及びステップS8の紙幣投入誘導画面表示処理が実行される。
【0035】
利用者は、紙幣投入誘導画面により紙幣の投入を促されるが、2度目のレジェクト処理なので、通常は、図示しない紙幣投入誘導画面に表示されているボタンを操作することにより、正常入力された紙幣のみを入金する処理を行う。
【0036】
ステップS15において、リジェクト紙幣がないときは(No)、ステップS18へ進む。
【0037】
ステップS18において、図5に示す入金金額確認画面が表示され、利用者の確認を促す。図5の例では、利用者の投入金額が100ドルと5万円で、為替レートが100円/ドルなので、入金金額合計が6万円であることが表示される。なお、為替レートのTTB(Telegraphic Transfer Buying)とは、銀行が顧客から外貨を購入するときのレートで米ドルの場合、仲値から1円引いたレートになる。
【0038】
ステップS19において、利用者は、表示内容の確認ができたときは、確認ボタン11aを押下する。ステップS20において、ATM10は、ホストコンピュータ1に計数結果を通知し、ホストコンピュータ1は、入金金額をその口座で使用する通貨に換算し、口座ファイル21の該当のデータを更新するとともにATM10に取引成立を通知する。
【0039】
ステップS21において、ATM10のカードリーダプリンタ部34は、図6に示すように明細票に銀行番号、店番号、取引金額等の取引内容を印字し、カードと明細票を排出する。
【0040】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、次の(1)〜(5)のような効果がある。
【0041】
(1) ATM10に複数の紙幣鑑別プログラム22を持たなくとも、ホストコンピュータ1に複数紙幣の鑑別プログラム22を持つことで円紙幣と外国紙幣とが混在した入金取引が可能となる。
【0042】
(2) 利用者は取引する紙幣を選択せずに入金取引が行えるため、円紙幣や外国紙幣を意識せずに取引が可能となり、煩雑な操作をしなくてもよい。
【0043】
(3) ATM10のメモリ容量に制限されることなく、複数種類の外国紙幣の鑑別が可能となる。
【0044】
(4) ATM10を改造することなく、紙幣の鑑別プログラム22を変更することができる。
【0045】
(5) 本実施例1のサービスを実施することで他の金融機関との差別化を図ることができ、外国人の利用者が増加することにより手数料収入の増加が期待できる。
【実施例2】
【0046】
(実施例2の構成)
図7は、本発明の実施例2におけるATM10Aの機能ブロック図であり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0047】
本実施例2におけるATM10Aでは、実施例1のATM10の構成とほぼ同様の構成であるが、記憶部32の第2の記憶手段に外国紙幣の真偽を鑑別するための複数の鑑別プログラム22が記憶されており、更に制御部31Aに、特定の外国紙幣の真偽を鑑別するための鑑別プログラム22が記憶部22に保持されているか否かを判定する判定手段31dが追加されている点が異なっている。
【0048】
(実施例2の動作)
本実施例2では、ATM10A内に外国紙幣の鑑別プログラム22を保持しているが、リジェクトされた外国紙幣に対応する鑑別プログラム22がないときは、ホストコンピュータ1から鑑別プログラム22をATM10Aに転送する。
【0049】
ATM10Aは、複数の鑑別プログラム22を持っているが、その実行は、背反の制御となっており、1度の計数で複数紙幣の鑑別はできないものとする。例えば円の鑑別プログラム22とドルの鑑別プログラム22を持っているが、1度の計数では円の鑑別プログラム22、又はドルの鑑別プログラム22のどちらか一方しか鑑別できない。ATM10Aの保有する鑑別プログラム22の数はメモリ容量により制限される。
【0050】
図8は、図7のATMにおける入金取引を示すフローチャートであり、実施例1を示す図4中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0051】
本実施例2における処理例を、図8に基づいて説明する。
実施例1と同様のステップS1のカード挿入処理、ステップS2の取引選択画面表示処理、ステップS3の入金取引選択処理、ステップS4のID入力画面表示処理、ステップS5のID番号入力処理、照会電文送受信処理、ステップS7の取引取消判定処理、ステップS8の紙幣投入誘導画面表示処理、ステップS9の紙幣投入処理、ステップS10の再投入判定処理、及びステップS11のリジェクトされた外国紙幣の特定処理が実行される。
【0052】
ステップS31において、前記の特定した外国紙幣の真偽を鑑別するための鑑別プログラム22が記憶部32に保持されているか否かが判定手段31dにより判定される。ステップS31における判定の結果、特定した外国紙幣の鑑別プログラム22が記憶部32に保持されている場合は(Yes)、その鑑別プログラム22を、使用する鑑別プログラム22に切換えてステップS14へ進む。判定の結果、持っていない場合は(No)、ステップS12へ進み、ステップS12において、ホストコンピュータ1に、その紙幣の鑑別プログラム22を要求する。ステップS33において、ATM10Aは、ホストコンピュータ1から鑑別プログラム22を受信し、記憶部32内の使用頻度の一番低い紙幣の鑑別プログラム22を消去し、上書きして保持する。同時に、受信した鑑別プログラム22を、使用する鑑別プログラム22に切換えてステップS14へ進む。
【0053】
以下、実施例1と同様に、ステップS14の紙幣計数処理、ステップS15のリジェクト紙幣有無判定処理、ステップS16の返却紙幣受取画面表示処理、ステップS17のリジェクト紙幣受取処理、ステップS18の入金金額確認画面表示処理、ステップS19の入金金額確認処理、ステップS20の入金金額送受信処理、ステップS21の明細票印字処理、ステップS22のカード、明細票返却処理、及びステップS23の終了処理が実行される。
【0054】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、次の効果がある。
【0055】
(1) ホストコンピュータ1からの鑑別プログラム22の転送回数を減らすことができるので取引処理時間が短縮される。
【0056】
(2) ホストコンピュータ1から、鑑別プログラム22を受信したとき、使用頻度の低いプログラムに上書きすることで、鑑別プログラム22の転送回数の削減、及びATM10Aの記憶部32の効率的な利用等が可能になる。
【実施例3】
【0057】
(実施例3の構成)
図9は、本発明の実施例3におけるATM10Bの機能ブロック図であり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0058】
本実施例3におけるATM10Bでは、実施例1のATM10の構成とほぼ同様の構成であるが、制御部31Bに、リジェクトされた紙幣を一時保留する一時保留手段31e及び一時保留された紙幣について、鑑別プログラム22を用いて鑑別させる再鑑別手段31fが追加されている点が異なっている。
【0059】
(実施例3の動作)
図10は、図9のATMにおける入金取引を示すフローチャートであり、実施例2を示す図8中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0060】
本実施例3では、不明券としてリジェクトした紙幣を利用者に返却せず、そのまま再計数する。
【0061】
実施例2と同様のステップS1のカード挿入処理、ステップS2の取引選択画面表示処理、ステップS3の入金取引選択処理、ステップS4のID入力画面表示処理、ステップS5のID番号入力処理、照会電文送受信処理、ステップS7の取引取消判定処理、ステップS8の紙幣投入誘導画面表示処理、及びステップS9の紙幣投入処理が実行されステップS41へ進む。
【0062】
ステップS41において、当該の入金取引で紙幣の計数がすでに行われたか否かが判定される。紙幣の計数が行われていないときは(No)、ステップS14へ進み、紙幣の計数がすでに行われているときは(Yes)、ステップS42へ進む。
【0063】
ステップS42において、リジェクトされた紙幣に合致した鑑別プログラム22にて再計数を行うため、リジェクト時に取得した紙幣の情報から、紙幣サイズや特徴等の簡易判別を行い、最も近いと思われる紙幣を特定する。ステップS43において、特定された紙幣の計数が済んでいるか否かが判定される。計数済みのときは(Yes)、ステップS44へ進み、2度目のリジェクトなので、返却紙幣受取画面を表示し、利用者に当該の外国紙幣の受取を促す。ステップS45において、利用者によりリジェクト紙幣が受け取られ、ステップS18へ進み、正常入力の紙幣のみを入金する処理を行う。
【0064】
ステップ43での判定結果が、計数済みでないときは(No)、ステップS31へ進む。実施例2と同様のステップS31の鑑別プログラム22の有無判定処理、ステップS32の鑑別プログラム22切り替え処理、ステップS12のホストコンピュータ1への鑑別プログラム22の要求処理、ステップS33の鑑別プログラム22の受信及び上書き処理、ステップS14の紙幣計数処理、ステップS15のリジェクト紙幣有無判定処理、ステップS18の入金金額確認画面表示処理、ステップS19の入金金額確認処理、ステップS20の入金電文送受信処理、ステップS21の明細票印字処理、及びステップS22のカード、明細票返却処理が実行される。
【0065】
ステップS15において、リジェクト紙幣が検出されたときは、一時保留手段31eにより、リジェクト紙幣を一時保留部37に保留してもよいし、一旦、一時保留部37から搬送路38を介して紙幣投入取出口12に戻してもよい。その後、再鑑別手段31fにより、ステップS42,S43,S31,S12,S33,S14の再鑑別が実行される。ステップS14の計数処理において、リジェクト紙幣を計数するときは、一時保留部37に保留されている紙幣を再計数してもよいし、一旦、紙幣投入取出口12に戻された紙幣を再計数してもよい。
【0066】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、実施例1及び実施例2の効果に加え、入金処理の途中でリジェクトされた紙幣について利用者による操作を必要としないで円紙幣と外国紙幣が混在した紙幣束の入金が可能となるので、利用者の利便性が高まる。
【0067】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0068】
(a) 金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置されるATM10,10A,10Bの例で説明したがこれに限定されない。利用者による操作で取引を行う装置で、紙幣や硬貨を扱う装置であれば広く適用できる。例えば、駅などに設置される券売機、空港等に設置される航空券発行機、スーパーマーケットに設置されるセルフレジ、各種販売機、両替機等が考えられる。
【0069】
(b) 紙幣の例で説明したが、紙幣に限定されない。硬貨であっても同様に本発明の適用が可能である。
【0070】
(c) 入金取引の例で説明したが、出金取引や両替取引等の他の取引においても本発明の適用が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 ホストコンピュータ
2 通信回線
10、10A、10B ATM
11 入力操作部
12 紙幣投入取出口
13 シャッタ
20 補助記憶装置
21 口座ファイル
22 鑑別プログラム
31,31A,31B 制御部
31a 鑑別手段
31b 鑑別特定手段
31c 要求手段
31d 判定手段
31e 一時保留手段
31f 再鑑別手段
32 記憶部
33 通信部
34 カードリーダプリンタ部
35 紙幣入出金部
36 監視カメラ部
37 一時保留部
38 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作により取引を行う自動取引装置において、
第1の通貨発行主体が発行する第1の通貨に関し、入出金される前記第1の通貨の真偽を鑑別する鑑別手段と、
前記鑑別手段により偽と鑑別された前記第1の通貨の特徴情報を抽出し、この特徴情報と第1の記憶手段に保持している第2の通貨の特徴情報とを比較して鑑別し、第2の通貨発行主体の発行する前記第2の通貨を特定する鑑別特定手段と、
前記第2の通貨の真偽を鑑別する鑑別情報を情報処理装置に対して要求する要求手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
利用者の操作により取引を行う自動取引装置において、
第1の通貨発行主体が発行する第1の通貨に関し、入出金される前記第1の通貨の真偽を鑑別する鑑別手段と、
前記鑑別手段により偽と鑑別された前記第1の通貨の特徴情報を抽出し、この特徴情報と第1の記憶手段に保持している第2の通貨の特徴情報とを比較して鑑別し、第2の通貨発行主体の発行する前記第2の通貨を特定する鑑別特定手段と、
前記第2の通貨の真偽を鑑別するための鑑別情報が第2の記憶手段に保持されているか否かを判定する判定手段と、
前記鑑別情報が前記第2の記憶手段に保持されているときは、前記鑑別情報を選択し、前記鑑別情報が前記第2の記憶手段に保持されていないときは、前記鑑別情報を情報処理装置に対して要求する要求手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
前記自動取引装置は、更に、
前記要求手段により、前記鑑別情報を前記情報処理装置に対して要求した結果、前記鑑別情報を取得したときは、前記第2の記憶手段に保持されている前記鑑別情報のうちの使用頻度の低い情報を抹消して取得した前記鑑別情報を前記第2の記憶手段に書き込み保持することを特徴とする請求項2記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記自動取引装置は、更に、
前記第1の通貨が、前記鑑別手段により、偽と鑑別されたときは、偽とされた前記第1又は第2の通貨を保留する一時保留手段と、
前記一時保有手段により保留された前記第1又は第2の通貨について前記鑑別情報を用いて鑑別させる再鑑別手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、金融機関に設置されるホストコンピュータであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の通貨は、紙幣又は硬貨であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−59835(P2011−59835A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206571(P2009−206571)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】