説明

自動取引装置

【課題】窓口担当者を介すことなく記帳の失敗をリカバリすることができる自動取引装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る自動取引装置10は、記帳失敗通知部92と通帳リカバリ部84を含んでいる。記帳失敗通知部92は、記帳が失敗した場合に、印字が正常に終了した通帳印字データの範囲を示す成功範囲情報と、エラーが発生したときに印字していた通帳上の位置を示す失敗位置情報とを、ホストコンピュータに通知する。また、通帳リカバリ部84は、記帳が失敗した通帳が挿入された場合に、ホストコンピュータ21から通帳印字データとともに受信する失敗位置情報に基づいて、通帳に対してリカバリ処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関し、特に、取引履歴である通帳印字データを通帳に印字する自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ATMなどの自動取引装置の分野では、処理中に発生し得るさまざまなエラーに対処すべく、装置の開発が盛んに行われている。
例えば、特許文献1では、通帳の磁気ストライプ(以降、MSと記す。)に記憶されたデータ(以降、MSデータと記す。)が破壊されている場合に、MSデータの復元、又は、通帳の再発行を行う自動取引装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、自動取引装置で発生する主要なエラーの一つである通帳の印字エラーが発生した場合であっても、現金の入出金等が可能であれば、取引処理を継続する自動取引装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−58877号公報
【特許文献2】特開平9−251562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように特許文献2では、印字エラーに対処するための自動取引装置の技術が開示されている。しかしながら、特許文献2で開示される技術は、印字エラーが発生した場合に取引を完了させる技術であり、印字エラーにより生じた記帳の失敗自体をリカバリするものではない。
【0006】
現在の自動取引装置は、印字エラーが発生した場合、つまり、通帳印字データを通帳に印字している最中にエラーが発生して記帳を正常に終了することができなかった場合、自動取引装置自身で記帳の失敗をリカバリすることはできない。このため、印字エラーが発生した場合には、利用者は通帳を銀行などの窓口に持ち込み、窓口担当者が記帳の失敗に対してリカバリ処理を行う必要がある。
【0007】
このような窓口担当者によるリカバリ処理の必要性は、利用者に対して負担を強いるだけではなく、窓口業務の営業時間が自動取引装置の営業時間に比べて短く、印字エラー発生時に窓口業務が行われていない場合があり、必ずしも即座にリカバリ処理を実施することができないことを踏まえると、利用者にとって非常に不便なものである。
【0008】
以上のような実情を踏まえ、本発明は、窓口担当者を介すことなく記帳の失敗をリカバリすることができる自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、ホストコンピュータに対して通帳印字データを要求する通帳印字データ要求手段と、前記ホストコンピュータから受信した通帳印字データを通帳に印字する通帳印字データ印字手段と、前記通帳印字データ印字手段でエラーが発生して記帳が失敗した場合に、前記ホストコンピュータから受信した前記通帳印字データのうちの印字が正常に終了したデータの範囲を示す成功範囲情報と、前記エラーが発生したときに印字していた通帳上の位置を示す失敗位置情報とを、前記ホストコンピュータに通知する記帳失敗通知手段と、記帳が失敗した通帳が挿入された場合に、前記ホストコンピュータから通帳印字データとともに受信する挿入された通帳に関する失敗位置情報に基づいて、通帳に対してリカバリ処理を行う通帳リカバリ手段と、を含む自動取引装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、窓口担当者を介すことなく記帳の失敗をリカバリすることができる自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動取引装置を含む、自動取引システムの構成図である。
【図2】図1に示される自動取引装置の外観図である。
【図3】図1に示される自動取引装置の機能ブロック図である。
【図4】図1に示されるデータベース装置に記憶されている原簿データを例示した図である。
【図5】図1に示される自動取引装置で使用される通帳の磁気ストライプに記録されている通帳MSデータを例示した図である。
【図6】図1に示される自動取引装置により印字された通帳の紙面を例示した図である。
【図7】図1に示される自動取引装置とホストコンピュータとの間でやり取りされる電文を例示した図である。
【図8】図1に示される自動取引装置とホストコンピュータとの間でやり取りされる他の電文を例示した図である。
【図9】通帳の記帳が失敗するまでに、図1に示される自動取引装置の操作表示部に表示される画面を例示した図である。
【図10】記帳の失敗がリカバリされるまでに、図1に示される自動取引装置の操作表示部に表示される画面を例示した図である。
【図11】誤ったページを開いて通帳を挿入した場合に、図1に示される自動取引装置の操作表示部に表示される画面を例示した図である。
【図12】図1に示される自動取引装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図12に示される前処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図12に示される、前回の記帳が正常に終了した通帳が挿入された場合の記帳処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】図12に示される、前回の記帳が失敗した通帳が挿入された場合の記帳処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】図12に示される記帳後処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】図12に示される記帳失敗後処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】図1に示されるホストコンピュータによる処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動取引装置を含む、自動取引システムの構成図である。図1に例示されるように、本実施形態に係る自動取引装置10を複数含む自動取引システム100では、各自動取引装置10は、センター20に配置されたホストコンピュータ21と電気通信回線を通じて接続されている。センター20に配置されたホストコンピュータ21は、原簿データが記憶されたデータベース装置24と接続されていて、原簿データは、現在の口座の状態に関する情報や個人情報などからなる口座データ22と、通帳に記帳されていない口座の取引履歴である通帳印字データ23と、を含んでいる。
【0013】
本実施形態に係る自動取引装置10は、ホストコンピュータ21とデータをやり取りとすることにより通帳の記帳を行う点は、従来技術に係る自動取引装置と同様である。ただし、自動取引装置10は、一の自動取引装置10で印字エラーが発生した場合に記帳の失敗に関する詳細な情報をホストコンピュータ21に送信することにより、他の自動取引装置10により記帳の失敗をリカバリすることができる点が、従来技術に係る自動取引装置と異なっている。
【0014】
図2は、図1に示される自動取引装置の外観図である。自動取引装置10は、通帳の記帳や現金の入出金などの処理を行う自動取引装置であり、図2に例示されるように、カード出入口11と、通帳出入口12と、紙幣出入口13と、硬貨出入口14と、顧客操作部15と、が設けられている。
【0015】
図3は、図1に示される自動取引装置の機能ブロック図である。図3に例示されるように、自動取引装置10は、演算部30と、記憶部40と、操作表示部50と、現金処理ユニット60と、カード処理ユニット70と、通帳処理ユニット80と、通信ユニット90と、を含んでいる。
【0016】
演算部30は、例えば、CPUを含み、記憶部40は、例えば、自動取引処理のプログラムが保存されたROMやデータを一時的に記憶するRAMを含んでいる。操作表示部50は、例えば、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイを含んでいて、図2に示される顧客操作部15として機能する。現金処理ユニット60では、現金の入出金処理、計数処理などが行われ、カード処理ユニット70では、カードのMS(磁気ストライプ)の読取処理やイメージスキャナによるカード表面の撮像処理などが行われる。
【0017】
通帳処理ユニット80は、通帳のMSを読み書きするMSリードライト部81と、ホストコンピュータ21から受信した通帳印字データを通帳に印字する通帳印字データ印字部82と、通帳の紙面を撮像するイメージスキャナ部83と、記帳が失敗した通帳が挿入された場合に通帳に対してリカバリ処理を行う通帳リカバリ部84と、を含んでいる。
【0018】
通信ユニット90は、ホストコンピュータ21と通信するユニットであり、ホストコンピュータ21に対して通帳印字データを要求する通帳印字データ要求部91と、記帳の失敗をホストコンピュータ21に通知する記帳失敗通知部92と、を含んでいる。
【0019】
自動取引装置10では、通帳印字データ印字部82でエラーが発生して記帳が失敗すると、記帳失敗通知部92が、ホストコンピュータ21から受信した通帳印字データのうちの印字が正常に終了したデータの範囲を示す成功範囲情報と、エラーが発生したときに印字していた通帳上の位置を示す失敗位置情報と、をホストコンピュータ21に通知する。また、自動取引装置10では、記帳が失敗した通帳が挿入されると、通帳リカバリ部84が、ホストコンピュータ21から通帳印字データとともに受信する挿入された通帳に関する失敗位置情報に基づいて、通帳に対してリカバリ処理を行う。
【0020】
このため、本実施形態に係る自動取引装置10によれば、一の自動取引装置10で記帳が失敗した場合であっても、他の自動取引装置10で記帳の失敗をリカバリすることが可能であり、窓口担当者を介すことなく記帳の失敗をリカバリすることができる。これにより、利用者の負担が軽減され、また、利用者の不便も解消される。
【0021】
図4は、データベース装置24に記憶されている原簿データを例示した図である。図5は、自動取引装置10で使用される通帳のMSに記憶されている通帳MSデータを例示した図である。図6は、自動取引装置10により印字された通帳の紙面を例示した図である。図7及び図8は、自動取引装置10とホストコンピュータ21との間でやり取りされる電文を例示した図である。図9から図11は、自動取引装置10の操作表示部50に表示される画面を例示した図であり、それぞれ、通帳の記帳が失敗するまでに表示される画面、記帳の失敗がリカバリされるまでに表示される画面、誤ったページを開いて通帳を挿入した場合に表示される画面が例示されている。図12から図17は、自動取引装置10による処理の流れを示すフローチャートであり、それぞれ、処理全体、前処理、前回の記帳が正常に終了した通帳が挿入された場合の記帳処理、前回の記帳が失敗した通帳が挿入された場合の記帳処理、記帳後処理、記帳失敗後処理の流れが示されている。図18は、ホストコンピュータ21による処理の流れを示すフローチャートである。
【0022】
以下、本実施形態に係る自動取引装置10による処理、及び、自動取引装置10とデータをやり取りするホストコンピュータ21による処理について、図4から図18を参照しながら説明する。
【0023】
まず、自動取引装置10で通帳の記帳を行う場合の処理全体の流れについて、図12を参照しながら、説明する。
自動取引装置10は、図12に例示されるように、まず、前処理を実行する(ステップS100)。前処理が完了すると、自動取引装置10は、挿入された通帳に対する前回の記帳が正常に終了しているかどうかを判定し(ステップS200)、正常に終了している場合としていない場合とで、記帳処理として異なる処理を行う(ステップS300、ステップS400)。
【0024】
その後、自動取引装置10は、記帳処理が正常に終了したかどうかを判定する(ステップS500)。記帳が正常に終了している場合には、自動取引装置10は、記帳後処理を実行した(ステップS600)後、引き続き取引を行うために、取引選択画面が表示される前処理を再度実行する。一方、記帳が正常に終了していない場合には、自動取引装置10は、記帳失敗後処理を実行した(ステップS700)後、動作を終了する。
【0025】
次に、自動取引装置10で記帳が失敗する場合の処理、具体的には、図12に例示される、ステップS100、S200、S300、S500、S700の順に実行される処理について、詳細に説明する。
【0026】
自動取引装置10は、図13に例示される前処理(ステップS100)を開始すると、図9(a)に示される取引選択画面を表示し(ステップS101)、利用者のボタン押下による取引の選択を監視する(ステップS102)。ボタンが押下されると、自動取引装置10は、押下されたボタンが通帳記入ボタンか否かを判断する(ステップS103)。押下されたボタンが通帳記入ボタン以外のボタンである場合は、自動取引装置10は、ボタンにより選択された取引処理を実行して(ステップS104)、再び取引選択画面を表示する(ステップS101)。押下されたボタンが通帳記入ボタンである場合は、自動取引装置10は、図9(b)に示される通帳挿入待ち画面を表示して(ステップS105)、利用者による通帳の挿入を監視する(ステップS106)。
【0027】
通帳が挿入されると、自動取引装置10のMSリードライト部81が、通帳のMSから図5(a)に示される通帳MSデータを取得する(ステップS107)。なお、通帳のMSには、支店番号、口座番号、印字開始ページ番号、印字開始行番号が記憶されている。支店番号及び口座番号は、通帳を特定するためのID情報であり、印字開始ページ番号及び印字開始行番号は、印字開始位置を示す情報である。
【0028】
通帳MSデータを取得すると、自動取引装置10は、図9(c)に示されるセンター通信中画面を表示する(ステップS108)。そして、自動取引装置10の通帳印字データ要求部91が、通帳のID情報(支店番号、口座番号)を含む、図7(a)に示される記帳要求電文をホストコンピュータ21に送信して、ホストコンピュータ21に対して通帳印字データを要求する(ステップS109)。
【0029】
ホストコンピュータ21は、図7(a)に示される記帳要求電文を受信すると(図18のステップS801、S802、S806)、まず、記帳要求電文に含まれるID情報(支店番号、口座番号)をキーとして、データベース装置24の原簿データを検索し、図4(a)に示される口座データと通帳印字データを取得する。図4(a)では、未記帳の通帳印字データが5件分ある場合が例示されている。なお、口座データには、支店番号、口座番号、残高、暗証番号、印字失敗ページ番号、印字失敗行番号が含まれていて、通帳印字データには、支店番号、口座番号、年月日、支払金額、預かり金額、残高が含まれている。
【0030】
ホストコンピュータ21は、取得した図4(a)に示される口座データ及び5件分の通帳印字データから、図7(b)に示される失敗位置情報と図7(c)に示される5件分の通帳印字データとからなる記帳応答電文を生成して、自動取引装置10へ送信する(図18のステップS807)。
【0031】
自動取引装置10は、ホストコンピュータ21からの記帳応答電文を受信すると(ステップS110)、前処理を終了する。
前処理(図12のステップS100)が終了した自動取引装置10は、挿入された通帳の前回の記帳が正常に終了したかどうかについて、ホストコンピュータ21からの記帳応答電文に基づいて判断する(図12のステップS200)。具体的には、自動取引装置10は、記帳応答電文に含まれる失敗位置情報を参照して、印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号がNULLであれば前回の記帳が正常に終了したと判断する。また、印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号がNULLでなければ、前回の記帳が正常に終了していないと判断する。
【0032】
従って、図7(b)及び図7(c)に示される記帳応答電文を受信した自動取引装置10は、失敗位置情報に含まれる印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号がNULLであるため、前回の記帳が正常に終了したと判断し、図14に例示される記帳処理1(ステップS300)を開始する。
【0033】
自動取引装置10は、まず、正しいページを開いて通帳が挿入されているかどうか、また、通帳の記帳状態がMSに記録されている情報と整合性が取れた状態となっているかについて確認する。具体的には、自動取引装置10は、イメージスキャナ部83で取得した通帳の紙面の画像から挿入された通帳のページ番号及び印字済の行より次に印字すべき行の行番号を取得する。そして、画像から取得したページ番号及び行番号と、図13のステップS107でMSから取得した通帳MSデータの印字開始ページ番号及び印字開始行番号とを比較する(ステップS301)。
【0034】
ステップS301でこれらの情報が一致しないと判断した場合には、自動取引装置10は、通帳を返却する(ステップS303)。そして、図11に示される通帳再挿入画面を表示して(ステップS304)、通帳の再挿入を監視する(ステップS305)。通帳が再挿入されると、その通帳のMSから通帳MSデータを取得して(ステップS306)、ステップS301の処理を再度実行する。
【0035】
ステップS301でこれらの情報が一致していると判断した場合には、自動取引装置10は、通帳印字データ印字部82が図13のステップS110でホストコンピュータ21から受信した通帳印字データを、印字開始行番号に該当する行から通帳に印字した(ステップS302)後に、通帳記帳処理1を終了する。なお、ここでは、図6(a)に例示されるように、図7(c)に示される5行分の通帳印字データのうち2行分の通帳印字データの印字が成功し、3行目の通帳印字データの印字中に通帳印字データ印字部82で印字エラーが発生した場合を例に説明する。
【0036】
自動取引装置10は、印字エラーを検知すると、記帳が失敗したと判断して(図12のステップS500)、図17に例示される記帳失敗後処理を開始する(図12のステップS700)。
【0037】
自動取引装置10の記帳失敗通知部92は、図7(d)に示される記帳失敗通知電文をホストコンピュータ21へ送信する(ステップS701)。記帳失敗通知電文には、依頼内容、支店番号、口座番号、印字失敗ページ番号、印字失敗行番号、印字済み行数が含まれている。印字済み行数は、印字が正常に終了したデータの範囲を示す成功範囲情報であり、印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号は、印字エラーが発生したときに印字していた通帳上の位置を示す失敗位置情報である。図6(a)に例示されるように、2行分の通帳印字データの印字が成功し、1ページ3行目で印字エラーが発生した場合には、ホストコンピュータ21に送信される記帳失敗通知電文の印字失敗ページ番号、印字失敗行番号、印字済み行数は、図7(d)に示されるように、それぞれ、1、3、2となる。
【0038】
ホストコンピュータ21は、図7(d)に示される記帳失敗通知電文を受信すると(図18のステップS801、S802)、まず、記帳失敗通知電文に含まれるID情報(支店番号、口座番号)をキーとして、データベース装置24の原簿データを検索する。そして、検索により抽出された口座データの印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号を、図7(d)に示される記帳失敗通知電文に含まれる印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号に更新する(図18のステップS803)。また、検索により抽出された通帳印字データのうち、印字済みの通帳印字データを削除する。具体的には、検索により抽出された通帳印字データを、図7(d)に示される記帳失敗通知電文に含まれる印字済み行数分(2行分)だけ、取引の年月日の古いものから削除する(図18のステップS804)。
【0039】
図4(b)は、ステップS803及びS804の実行後に、データベース装置24に記憶されている口座データ及び通帳印字データを示している。原簿データの更新処理が終了すると、ホストコンピュータ21は、図7(e)に示される記帳失敗通知応答電文を自動取引装置10に送信する(図18のステップS805)。
【0040】
自動取引装置10は、ホストコンピュータ21からの記帳失敗通知応答電文を受信すると(ステップS702)、図9(d)に示される記帳途中失敗画面を表示して(ステップS703)、通帳を返却する(ステップS704)。自動取引装置10は、通帳返却後、図9(e)に示される装置休止画面を表示して(ステップS705)、休止する(ステップS706)。
【0041】
次に、利用者が図9(d)に示される記帳途中失敗画面の指示に従って、他の自動取引装置10で記帳に失敗した通帳をリカバリする場合の処理、つまり、図12に例示される、ステップS100、S200、S400、S500、S600の順に実行される処理について、詳細に説明する。
【0042】
利用者が記帳の失敗をリカバリするために他の自動取引装置10の前まで移動すると、その自動取引装置10は、図13に例示される前処理(ステップS100)において、図10(a)に示される取引選択画面を表示し(ステップS101)、利用者のボタン押下による取引の選択を監視する(ステップS102)。利用者が通帳記入ボタンを押下すると(ステップS102、S103)、自動取引装置10は、図10(b)に示される通帳挿入待ち画面を表示して(ステップS105)、利用者による通帳の挿入を監視する(ステップS106)。
【0043】
通帳が挿入されると、自動取引装置10のMSリードライト部81が、通帳のMSから図5(a)に示される通帳MSデータを取得する(ステップS107)。そして、自動取引装置10は、図10(c)に示されるセンター通信中画面を表示する(ステップS108)。自動取引装置10の通帳印字データ要求部91は、通帳のID情報(支店番号、口座番号)を含む、図8(a)に示される記帳要求電文をホストコンピュータ21に送信して、ホストコンピュータ21に対して通帳印字データを要求する(ステップS109)。
【0044】
ホストコンピュータ21は、図8(a)に示される記帳要求電文を受信すると(図18のステップS801、S802、S806)、まず、記帳要求電文に含まれるID情報(支店番号、口座番号)をキーとして、データベース装置24の原簿データを検索し、図4(b)に示される口座データと通帳印字データを取得する。図4(b)に例示されるように、前回の記帳処理で2件分の通帳印字データの記帳が成功したため、未記帳の通帳印字データが3件分となっている。
【0045】
ホストコンピュータ21は、取得した図4(b)に示される口座データ及び3件分の通帳印字データから、図8(b)に示される失敗位置情報と図8(c)に示される3件分の通帳印字データとからなる記帳応答電文を生成して、自動取引装置10へ送信する(図18のステップS807)。
【0046】
自動取引装置10は、ホストコンピュータ21からの記帳応答電文を受信すると(ステップS110)、前処理を終了する。
前処理(図12のステップS100)が終了した自動取引装置10は、挿入された通帳の前回の記帳が正常に終了したかどうかについて判断する(図12のステップS200)。自動取引装置10は、図8(b)に示される失敗位置情報に含まれる印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号がNULLでないため、前回の記帳が失敗したと判断し、図15に例示される記帳処理2(ステップS400)を開始する。
【0047】
自動取引装置10は、まず、正しいページを開いて通帳が挿入されているかどうかについて確認する。具体的には、自動取引装置10は、イメージスキャナ部83で取得した通帳の紙面の画像から挿入された通帳のページ番号を取得する。そして、画像から取得したページ番号と、ホストコンピュータ21から受信した図8(b)に示される失敗位置情報に含まれる印字失敗ページ番号とを比較する(ステップS401)。
【0048】
ステップS401でこれらの情報が一致しないと判断した場合には、自動取引装置10は、通帳を返却する(ステップS404)。そして、図11に示される通帳再挿入画面を表示して(ステップS405)、通帳の再挿入を監視する(ステップS406)。通帳が再挿入されると、その通帳のMSから通帳MSデータを取得して(ステップS407)、ステップS401の処理を再度実行する。
【0049】
ステップS401でこれらの情報が一致していると判断した場合には、自動取引装置10の通帳リカバリ部84が、ホストコンピュータ21から受信した図8(b)に示される失敗位置情報に含まれる印字失敗行番号に該当する行に取消し線を印字する(ステップS402)。さらに、自動取引装置10の通帳印字データ印字部82が、ホストコンピュータ21から受信した図8(c)に示される3行分の通帳印字データを、印字失敗行番号に該当する行の次の行から通帳に印字する(ステップS403)。その後、自動取引装置10は、通帳記帳処理2を終了する。なお、図6(b)は、ステップS402及びS403の実行後の通帳の紙面の状態を示している。
【0050】
自動取引装置10は、記帳処理2中に印字エラーが発生しない場合には、記帳が成功したと判断して(図12のステップS500)、図16に例示される記帳後処理を開始する(図12のステップS600)。
【0051】
自動取引装置10は、図8(d)に示される記帳成功通知電文をホストコンピュータ21へ送信する(ステップS601)。記帳成功通知電文には、依頼内容、支店番号、口座番号が含まれている。
【0052】
ホストコンピュータ21は、図8(d)に示される記帳成功通知電文を受信すると(図18のステップS801、S802、S806、S808)、まず、記帳成功通知電文に含まれるID情報(支店番号、口座番号)をキーとして、データベース装置24の原簿データを検索する。そして、検索により抽出された口座データの印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号をNULLに更新する(図18のステップS809)。また、検索により抽出された通帳印字データをすべて削除する(図18のステップS810)。図4(c)は、ステップS809及びS810の実行後に、データベース装置24に記憶されている口座データ及び通帳印字データを示している。
【0053】
自動取引装置10は、記帳成功通知電文を送信後、通帳MSデータの印字開始ページ番号と印字開始行を更新する(ステップS602)。具体的には、通帳は図6(b)に例示されるように1ページの6行目まで印字されているため、次回の記帳がその次の行から開始されるように、通帳MSデータの印字開始ページ番号、印字開始行を、図5(b)に示されるように、それぞれ1、7に更新する。
【0054】
MSの更新が完了すると、自動取引装置10は、図10(d)に示される通帳受取り待ち画面を表示し(ステップS603)、通帳を返却する(ステップS604)。そして、自動取引装置10は、利用者による通帳の抜き取りを監視して(ステップS605)、通帳が抜き取られると、記帳後処理を終了する。
【0055】
以上で説明したように、本実施形態に係る自動取引装置10は、記帳が失敗した場合に、印字が正常に終了した通帳印字データの範囲を示す成功範囲情報である印字済み行数と、エラーが発生したときに印字していた通帳上の位置を示す失敗位置情報である印字失敗ページ番号及び印字失敗行番号とをホストコンピュータ21に通知する。このため、ホストコンピュータ21から通帳印字データとともに失敗位置情報を受信することで、他の自動取引装置10で発生した通帳の失敗に関する情報を任意の自動取引装置10で取得することができる。これにより、本実施形態に係る自動取引装置10によれば、一の自動取引装置10で記帳が失敗した場合であっても、他の自動取引装置10で記帳の失敗をリカバリすることが可能であり、窓口担当者によるリカバリ処理を省略することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 自動取引装置
11 カード出入口
12 通帳出入口
13 紙幣出入口
14 硬貨出入口
15 顧客操作部
20 センター
21 ホストコンピュータ
22 口座データ
23 通帳印字データ
24 データベース装置
30 演算部
40 記憶部
50 操作表示部
60 現金処理ユニット
70 カード処理ユニット
80 通帳処理ユニット
81 MSリードライト部
82 通帳印字データ印字部
83 イメージスキャナ部
84 通帳リカバリ部
90 通信ユニット
91 通帳印字データ要求部
92 記帳失敗通知部
100 自動取引システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコンピュータに対して通帳印字データを要求する通帳印字データ要求手段と、
前記ホストコンピュータから受信した通帳印字データを通帳に印字する通帳印字データ印字手段と、
前記通帳印字データ印字手段でエラーが発生して記帳が失敗した場合に、前記ホストコンピュータから受信した前記通帳印字データのうちの印字が正常に終了したデータの範囲を示す成功範囲情報と、前記エラーが発生したときに印字していた通帳上の位置を示す失敗位置情報とを、前記ホストコンピュータに通知する記帳失敗通知手段と、
記帳が失敗した通帳が挿入された場合に、前記ホストコンピュータから通帳印字データとともに受信する挿入された通帳に関する失敗位置情報に基づいて、通帳に対してリカバリ処理を行う通帳リカバリ手段と、を含む
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記通帳リカバリ手段は、前記失敗位置情報が示す位置に取消し線を印字する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動取引装置において、
前記通帳印字データ印字手段は、
記帳が正常に終了した通帳が挿入された場合に、挿入された通帳の磁気ストライプに記憶された印字開始位置情報に基づいて、印字開始位置を決定して、前記ホストコンピュータから受信した通帳印字データを印字し、
記帳が失敗した通帳が挿入された場合に、前記ホストコンピュータから通帳印字データとともに受信する挿入された通帳に関する失敗位置情報に基づいて、印字開始位置を決定して、前記通帳印字データを印字する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自動取引装置において、さらに、
前記通帳印字データ印字手段でエラーが発生して記帳が失敗した場合に、記帳が失敗したことを表示する表示手段を含む
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自動取引装置において、
前記成功範囲情報は、印字が正常に終了した行数であり、
前記失敗位置情報は、通帳のページ番号及び行番号である
ことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図3】
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【図12】
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【図18】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−212265(P2012−212265A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76869(P2011−76869)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】