説明

自動取引装置

【課題】シャッタを開閉制御し入出金取引を行う自動取引装置において、取り忘れた紙幣をできるだけ長くシャッタを開けた状態で紙幣入出金部に保持し、取り忘れに気が付いて戻った顧客がすぐに取り忘れた紙幣を受け取ることができるようにし、かつ、取り忘れた紙幣を他人に持ち去られるおそれを最小限にする。
【解決手段】前記紙幣の受取りを検知する紙幣受取り検知手段と、前記シャッタを開いてから前記紙幣を受け取るまでの経過時間を監視する経過時間監視手段と、顧客が装置近傍にいるか立ち去ったかどうかを検知する顧客検知手段と、顧客の画像を取得する画像取得手段と、前記取得した画像により顧客の特徴を抽出し識別する顧客識別手段と、を備え、顧客の立ち去りを検知した場合で、前記経過時間が第1の監視時間を経過したときと、前記第1の監視時間を経過する前に再び人を検知し当該人の前記特徴が取引開始時の顧客の前記特徴と異なるときは、前記シャッタを閉じるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機や現金処理装置などの自動取引装置の入出金口等に設けられるシャッタの開閉制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現金自動預払機や現金処理装置などの自動取引装置では、紙幣や硬貨の現金を取扱うため高い防盗性が必要であり、現金を投入したり出金したりする筐体の開口部にシャッタを設け、入出金する時のみ当該シャッタを開き、その他の時は閉じてロックできるようになっている。
【0003】
そして、出金取引の際では、現金を出金してから顧客が継続しているが所定の時間を経過しても現金の受取りがなかった場合や、現金の受取りをせずに顧客が立ち去ってから所定の時間を経過した場合、シャッタを閉じて一度出金された現金を装置内に収納し、出金された現金を不正に持ち去られることを防止するようになっている。
【0004】
そして、さらに、防盗性を高くするとともに取り忘れに気が付いて戻った顧客がすぐに取り忘れた現金を受け取れるように、現金受取口に排出した現金の受取りが現金検出センサにより検出されず、距離判定部により顧客が自動取引装置より離れたと判定すると、シャッタを閉じ現金を現金受取口に残した状態で一定時間ウェイトさせ、一定時間内に顧客を特定する情報を入力して情報が一致した場合にシャッタを解放する技術はあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−70199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の自動取引装置では、シャッタがすぐに閉じられ、防盗性は高くなるが、取り忘れた現金が見えなくなり、取り忘れに気が付いて戻ってもシャッタが閉じられており、取り忘れた現金を受け取ることを諦めてしまうという問題があり、また、取り忘れた現金を返却するにはシャッタを開く動作も必要となるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、シャッタを開閉制御し取引媒体を挿入排出する自動取引装置において、前記取引媒体の受取りを検知する媒体受取り検知手段と、前記シャッタを開いてから前記取引媒体を受け取るまでの経過時間を監視する経過時間監視手段と、顧客が装置近傍にいるか立ち去ったかどうかを検知する顧客検知手段と、顧客の画像を取得する画像取得手段と、前記取得した画像により顧客の特徴を抽出し識別する顧客識別手段と、を備え、顧客の立ち去りを検知した場合で、前記経過時間が第1の監視時間を経過したときと、前記第1の監視時間を経過する前に再び人を検知し当該人の前記特徴が取引開始時の顧客の前記特徴と異なるときは、前記シャッタを閉じるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動取引装置によれば、以上のように構成したので、できるだけ長くシャッタを開けた状態で取り忘れた現金を入出金部に保持して取り忘れに気が付いて戻った顧客がすぐに取り忘れた現金を受け取ることができるようにし、かつ、取り忘れた現金を他人に持ち去られるおそれを最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の自動取引装置の構成を示す外観斜視図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図3】実施例1の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【図4】実施例1の自動取引装置のタイムチャート図である。
【図5】実施例2の自動取引装置の構成を示す外観斜視図である。
【図6】実施例2の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図7】実施例2の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、取引媒体および取り忘れ媒体として紙幣を例として説明するが、硬貨であってもよいし、カードや通帳であってもよいし、取引として出金取引をその一例として説明するが、入金取引であってもよい。
【実施例1】
【0011】
(構成)
図1は、実施例1の自動取引装置の構成を示す外観斜視図である。同図に示したように、実施例1の自動取引装置1は、紙幣の入出金口となる紙幣入出金部4と、硬貨の入出金口となる硬貨入出金部5と、操作画面等を表示するLCD上に取引選択等の入力を行う透明タッチパネルを積層してなる操作部6と、通帳の挿入排出を行う通帳挿入口3と、キャッシュカード等の挿入排出を行うカード挿入口2とを備える。
【0012】
前述の紙幣入出金部4および硬貨入出金部5には開閉可能なシャッタ14、15がそれぞれ備えられている。また、装置前面の上部には顧客の画像を取得する顧客検知手段および画像取得手段としてのカメラ部7が設けられている。
【0013】
図2は、実施例1の自動取引装置1の制御系の構成を示す制御系ブロック図である。すなわち、自動取引装置1の制御系は、後述の各部の制御を行う主制御部9と、前述の操作部6と、キャッシュカード等に記録された情報のリードライトを行うカード処理部21と、操作ガイダンスやアラーム音等を音声またはブザー音として出力する報知手段としてのスピーカ部22と、通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23と、紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部24と、硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25が備えられている。
【0014】
また、実施例1の自動取引装置1の制御系は、紙幣処理部24と硬貨処理部25のシャッタ14、15と、取引制御プログラムや顧客識別手段としての顔認識プログラム10a等のプログラムおよび各種制御パラメータなどを記憶する記憶部10と、紙幣等の受取りの時間監視を行うための経過時間監視手段としてのタイマー部12と、図示しないホストコンピュータとのインタフェイスを制御するインタフェイス部11とを備える。
【0015】
(動作)
以上の構成により実施例1の自動取引装置は、以下のように動作する。この動作を、図3の動作フローチャート図および図4のタイムチャート図を用いて以下詳細に説明する。
【0016】
まず、カメラ部7にて顧客の接近を監視し、顧客が自動取引装置1に近づき顧客の接近を検知すると、最初の取引選択画面を操作部6に表示する(ステップS01)。このとき、操作部6を操作する顧客の画像を画像取得手段としてのカメラ部7にて撮影し画像を取得する(ステップS02)。なお、画像の取得は、他の処理と併行して行ってもよいし、複数回実施して取得画像の精度を向上させるようにしてもよい。
【0017】
次に、撮影された顧客画像から記憶部10内に格納された顔認識プログラム10a等により顔画像の特徴を抽出し(ステップS03)、抽出された特徴データを記憶部10に格納する(ステップS04)。このとき、特徴データとともに顔画像データも格納するようにしてもよい。
【0018】
そして、操作部6に表示された取引選択画面にて、顧客が出金取引を選択し、所望の出金金額を指定し、カード挿入口2からカードを挿入し暗証番号の入力による本人確認を終了すると、指定された紙幣を紙幣入出金部4に出金し、シャッタ14を開く(ステップS05)。
【0019】
そして、タイマー部12にて時間監視を開始する(ステップS06、図4のタイミングt0)。なお、紙幣の受取りがあったかどうかの検知は媒体受取り検知手段として紙幣入出金部4に光学センサ等を設け当該光学センサにて紙幣が紙幣入金部4に残されているかどうかを検知するようにすればよい。
【0020】
そして、顧客検知手段としてのカメラ部7にて顧客を監視し、顧客が自動取引装置1近傍におり、顧客の顔が継続して検出できているか立ち去ったかどうかを検知する(ステップS07、図4のタイミングtj)。
【0021】
そして、顧客の顔が継続して検出できているときは、ステップS14に進み、第2の監視時間T2を経過したかどうかを確認し、第2の監視時間T2を経過している場合は、顧客が継続している場合の受取りタイムアウトである図4(2)のケースとなっており、シャッタ14を閉じ(ステップS18)、出金取引を終了する。
【0022】
一方、ステップS14にて、第2の監視時間T2を経過していないときは、紙幣が受け取られ紙幣が残されているどうかを前述のように光学センサ等にて確認し(ステップS15)、受け取られて紙幣が検知されないときは、正常終了としてシャッタ14を閉じて、出金取引を終了する(ステップS16)。ステップS15の紙幣の受取りがあったかどうかの確認にて、紙幣が受け取られておらず紙幣が検知された場合は、ステップS07に戻り、顧客が自動取引装置1近傍にいるかどうかを確認する。
【0023】
そして、ステップS07にて、顧客が自動取引装置1近傍におらず、顧客の顔を検出できないときは、第1の監視時間T1を経過したかどうかを確認し(ステップS08)、当該時間を経過している場合は、顧客が紙幣を取り忘れて立ち去った場合の受取りタイムアウトである図4(1)(b)のケースとなっており、シャッタ14を閉じ(ステップS18)、出金取引を終了する。
【0024】
一方、ステップS08の第1の監視時間T1の経過の確認において、第1の監視時間T1を経過していないときは、カメラ部7により顧客の画像を取得し(ステップS09)、取得した画像から人を検出したか、すなわち顔画像を抽出ができたかどうかを確認する(ステップS10)。
【0025】
そして、顔画像の抽出ができず、人が自動取引装置1の近傍にいないと判定したときは、ステップS08に戻り、第1の監視時間T1を経過しているどうかの判定を行い以降の動作を繰り返す。
【0026】
一方、ステップS10にて、顔画像の抽出ができ、人が自動取引装置1の近傍にいると判定したときは、ステップS09にて取得した顧客の画像から顔画像の特徴を顔認識プログラム10aにより抽出する(ステップS11)。
【0027】
そして、ステップS04にてすでに格納してある取引開始時の顧客の特徴とのマッチングを行い(ステップS12)、同一人物であると判定したときは(ステップS13)、ステップS14に進み、第2の監視時間T2を経過したかどうかを確認し、以降同様の動作を繰り返す。
【0028】
一方、ステップS13にて、同一人物でないと判定したときは、顧客が立ち去って第1の監視時間T1の経過前に人を検知し同一人でないと判定した場合である図4(1)(a)のケースとなっており、タイミングtxにてシャッタ14を閉じ(ステップS17)、出金取引を終了する。この場合、第1の監視時間T1および第2の監視時間T2を経過する前であってもシャッタ14を閉めることになる。
【0029】
ここで、以上の実施例1の説明では、紙幣入出金部4に出金または投入された紙幣を装置内に取り込む動作については説明しなかったが、ステップS16〜S18のシャッタ14を閉じる動作と同時に紙幣を装置内に取り込むようにしてもよいし、所定の時間経過後に紙幣を装置内に取り込むようにしてもよい。
【0030】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の自動取引装置によれば、シャッタを開閉制御し紙幣を挿入排出する自動取引装置において、前記紙幣の受取りを検知する紙幣受取り検知手段と、前記シャッタを開いてから前記紙幣を受け取るまでの経過時間を監視する経過時間監視手段と、顧客が装置近傍にいるか立ち去ったかどうかを検知する顧客検知手段と、顧客の画像を取得する画像取得手段と、前記取得した画像により顧客の特徴を抽出し識別する顧客識別手段と、を備え、顧客の立ち去りを検知した場合で、前記経過時間が第1の監視時間を経過したときと、前記第1の監視時間を経過する前に再び人を検知し当該人の前記特徴が取引開始時の顧客の前記特徴と異なるときは、前記シャッタを閉じるようにしたので、できるだけ長くシャッタを開けた状態で取り忘れた紙幣を入出金部に保持して取り忘れに気が付いて戻った顧客がすぐに取り忘れた紙幣を受け取ることができるようにし、かつ、取り忘れた紙幣を他人に持ち去られるおそれを最小限にすることができる。
【実施例2】
【0031】
(構成)
図5は、実施例2の自動取引装置1の構成を示す外観斜視図であり、図6は実施例2の自動取引装置1の制御系の構成を示す制御系ブロック図である。同図に示したように、実施例2の自動取引装置1では、顧客が自動取引装置1の近傍にいるか立ち去ったかを検知する顧客検知手段としての顧客検知センサ部8を装置前面に新たに設けた構成となっている。
【0032】
この顧客検知センサ部8は、超音波や赤外光を放出しその反射量を検知することにより顧客の有無を検知できる接近センサとして超音波センサや赤外線センサ等を用いればよい。その他の構成は実施例1の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0033】
(動作)
以上の構成により、実施例2の自動取引装置は、以下のように動作する。この動作を図7の動作フローチャート図および実施例1にて説明した前述の図4のタイムチャート図を用いて以下詳細に説明する。実施例2の自動取引装置1では図7に示したように、自動取引装置1近傍にいる顧客の検知にかかる動作が異なっている。
【0034】
すなわち、顧客の接近を検知するステップS21が実施例1のS01と異なり、さらに、図3の実施例1のカメラ部7により顧客の画像取得を行うステップS09に相当するステップを削除し同処理を行うステップS30を新たに追加している。その他の動作は、実施例1の動作と同様であるので、同様の動作についてはその説明を簡略化する。
【0035】
まず、顧客が自動取引装置1に近づき、顧客検知センサ部8にて顧客が接近したと検知したときは、最初の取引選択画面を操作部6に表示する(ステップS21)。このとき、操作部6を操作している顧客の画像をカメラ部7にて撮影し画像を取得する(ステップS22)。
【0036】
次に、撮影された顧客画像から記憶部10内に格納された顔認識プログラム10a等により顔画像の特徴を抽出し、抽出された特徴データを記憶部10に格納する(ステップS23、S24)。
【0037】
そして、操作部6に表示された取引選択画面にて、顧客が出金取引を選択し、所望の出金金額を指定し、カード挿入口2からカードを挿入し暗証番号の入力による本人確認を終了すると、指定された紙幣を紙幣入出金部4に出金し、シャッタ14を開く(ステップS25)。
【0038】
そして、タイマー部12にて時間監視を開始し、顧客検知センサ部8により顧客を監視し、顧客が自動取引装置1近傍におり、顧客が継続しているか立ち去ったかどうかを確認する(ステップS26、S27、前述の図4のタイミングt0、tj)。
【0039】
そして、顧客検知センサ部8により顧客が継続して検出できているときは、ステップS34に進み、第2の監視時間T2を経過したかどうかを確認し、第2の監視時間T2を経過している場合は、顧客が継続している場合の受取りタイムアウトである前述の図4(2)のケースとなっており、シャッタ14を閉じ(ステップS38)、出金取引を終了する。
【0040】
一方、ステップS34にて、第2の監視時間T2を経過していないときは、紙幣が受け取られたかどうかを前述の光学センサ等にて確認し、受け取られ、紙幣の受取りが検出されなかった場合は、正常終了としてシャッタ14を閉じて、出金取引を終了し、紙幣が受け取られず紙幣の受取りが検出された場合は、ステップS27に戻り、顧客検知センサ部8により顧客が自動取引装置1近傍にいるかどうかを確認する(ステップS35、S36)。
【0041】
そして、ステップS27にて、顧客が自動取引装置1近傍におらず、顧客検知センサ部8により顧客が検出されないときは、第1の監視時間T1を経過したかどうかを確認し(ステップS28)、経過しているときは、顧客が紙幣を取り忘れて立ち去った場合の受取りタイムアウトである前述の図4(1)(b)のケースとなっており、シャッタ14を閉じ(ステップS38)、出金取引を終了する。
【0042】
一方、ステップS28の第1の監視時間T1の経過の確認において、第1の監視時間T1を経過してないときは、顧客検知センサ部8により人がいるかどうかを確認する(ステップS29)。
【0043】
そして、顧客検知センサ部8により人が自動取引装置1の近傍にいないと判定したときは、ステップS28に戻り、第1の監視時間T1を経過しているどうかの判定を行い、以降の動作を同様に行う。
【0044】
一方、ステップS29にて、人が自動取引装置1の近傍にいると検知したときは、人の画像をカメラ部7にて撮影し人の画像を取得し、取得した人の画像から顔画像の特徴を顔認識プログラムにて抽出する(ステップS31)。
【0045】
そして、ステップS24にてすでに格納してある取引開始時の顧客の特徴とのマッチングを行い(ステップS32)、同一人物であると判定したときは(ステップS33)、ステップS34に進み、第2の監視時間T2を経過したかどうかを確認し、以降同様の動作を繰り返す。
【0046】
一方、ステップS33にて、同一人物でないと判定されたときは、顧客が立ち去り第1の監視時間T1経過前に人を検知し同一人でないと判定した場合である前述の図4(1)(a)のケースとなっており、タイミングtxにてシャッタ14を閉じ(ステップS37)、出金取引を終了する。この場合、実施例1と同様、第1の監視時間T1および第2の監視時間T2を経過する前であってもシャッタ14を閉めることになる。
【0047】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の自動取引装置によれば、顧客が装置近傍にいるか立ち去ったかどうかの検知を行う顧客検知センサを設けるようにしたので、実施例1の効果に加え、顧客の有無を検知するために、簡単な処理にて短時間に検知することができるようになるとともに、長時間、カメラを動作させておく必要がなくなり、省電力化が可能となる。
【0048】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、図3のステップS14および図7のステップS34にて第2の監視時間T2の経過を監視し、当該時間が経過したときはそれぞれステップS18、ステップS38にてシャッタを閉じるように説明したが、第2の監視時間T2の経過を監視することなく、そのままシャッタ14を開いたままとして置くようにしてもよい。このようにすれば、顧客が継続している場合と、顧客がいなくなって第1の監視時間T1を経過する前に再び人を検知し顔認識により取引開始時の顧客であると識別できたときは、シャッタ14を開けたままとすることができる。
【0049】
また、以上の実施例の説明では、顧客がいなくなって第1の監視時間T1を経過する前に再び人を検知し図3のステップS13および図7のステップS33にて当該検知された人が顔認識により取引開始時の顧客であると識別できた場合、取引開始時の顧客が継続して居たとして第2の監視時間T2を監視するようにしたが、取引開始時の顧客であると識別できた場合であっても顔画像を抽出する顔画像抽出手段により別の顔が抽出されたときは、同ステップにおいて取引開始時の顧客と同一人物ではないと判定した場合と同様に、ステップS17、ステップS37にそれぞれ進み、シャッタ14を閉じるようにしてもよい。
【0050】
なお、顔画像抽出手段は、特開平6−162207号公報などにて開示された公知の技術を用いればよい。このようにすれば、横から別の者に現金等が盗まれることも防止することができる。
【0051】
また、以上の実施例の説明では、取扱う金額に拘わらず、図3および図7の動作フローチャート図のように動作するように説明しが、取扱う金額が高額な場合であるときのみ、シャッタ14を閉じるようにしてもよい。例えば、10万円未満の取引の場合では、ステップS08、S13、S14ではその判定結果にかかわらずシャッタ14を閉じることなくそれぞれステップS09、S14、S15に進み、ステップS28、S33、S34ではその判定結果にかかわらずシャッタ14を閉じることなくそれぞれステップS29、S34、S35に進むようにし、10万円以上の取引の場合は実施例記載の図3、図7の動作フローチャート図の動作をするようにしてもよい。
【0052】
また、以上の実施例の説明では、第1の監視時間T1および第2の監視時間T2は固定である例として説明したが、高額出金のときはこれらの時間を短くまたは”0”とするようにしてもよい。
【0053】
また、以上の実施例の説明では、現金を取り忘れて顧客が離れたときの警報については説明しなかったが、現金を取り忘れて顧客が離れたときに、高額な取引のときは、ブザーや音声ガイダンス等により取り忘れを報知するようにしてもよい。或いは、逆に、取り忘れを周囲の人に知られないようにするために、高額取引の場合は上記取り忘れの報知をしないようにし、高額取引でないときのみ上記のように取り忘れを報知するようにしてもよい。
【0054】
また、ステップS09、S11〜S13、S30〜S33の画像の取得、顔画像認識、比較処理に時間を要し、顧客識別の処理が遅れると、シャッタ14を閉じる時間が遅れ、他人に現金等をとられるおそれが増加するため、顧客がいなくなったと判定した後にステップS10、S29にて人を検知したときは、一旦シャッタを閉じ、ステップ13、S33にて当該人が取引開始時の顧客であると識別できたときにシャッタ14を開くようにしてもよい。
【0055】
また、以上の実施例の説明では顔画像認識にて顧客識別を行うように説明したが、アイリス認識などの生態認証を用いて顧客識別を行うようにしてもよい。
【0056】
また、以上の説明では顔画像認識やアイリス認識にて顧客識別を行うように説明したが、服の色や体格、性別などの簡単なマッチングにより取引開始時の顧客であるかどうかを判定し、取引開始時の顧客でないと判断したときは直ちにシャッタ14を閉じ、一方、服の色や体格、性別などの簡単なマッチングで取引開始時の顧客と判定した場合にはさらに顔画像認識やアイリス認識にて顧客識別を行い、取引開始時の顧客でないと判断したときはシャッタ14を閉じるようにしてもよい。
【0057】
このようにすることにより、最初の顧客識別を服の色や体格などにより短時間に行い、取引開始時の顧客でないと判定したときは直ちにシャッタ14を閉じることができ、取引開始時の顧客に似ている服や体格、性別の顧客が次ぎに来たときでも、顔画像認識やアイリス認識にて確実に顧客識別をし、シャッタ14を閉じることができる。
【0058】
また、以上の実施例および変形例をそれぞれ別に実施するのではなく、本発明の趣旨に基づいてこれらを組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、防盗性を要しシャッタを有する現金自動預払機や現金処理装置などの自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 自動取引装置
2 カード挿入口
3 通帳挿入口
4 紙幣入出金部
5 硬貨入出金部
6 操作部
7 カメラ部
9 主制御部
10 記憶部
10a 顔認識プログラム
12 タイマー部
14、15 シャッタ
21 カード処理部
22 スピーカ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッタを開閉制御し取引媒体を挿入排出する自動取引装置において、
前記取引媒体の受取りを検知する媒体受取り検知手段と、
前記シャッタを開いてから前記取引媒体を受け取るまでの経過時間を監視する経過時間監視手段と、
顧客が装置近傍にいるか立ち去ったかどうか検知する顧客検知手段と、
顧客の画像を取得する画像取得手段と、
前記取得した画像により顧客の特徴を抽出し識別する顧客識別手段と、を備え、
顧客の立ち去りを検知した場合で、前記経過時間が第1の監視時間を経過したときと、前記第1の監視時間を経過する前に再び人を検知し当該人の前記特徴が取引開始時の顧客の前記特徴と異なるときは、前記シャッタを閉じるようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
顧客を継続して検知した場合で、前記経過時間が第2の監視時間を経過したときは、前記シャッタを閉じるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
顔画像を抽出する顔画像抽出手段を備え、
前記経過時間が前記第1の監視時間を経過する前に再び顧客を検知したときに顧客のほかに別の顔画像が抽出されたときは、前記シャッタを閉じるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
顧客の立ち去りを検知した場合で、前記経過時間が前記第1の監視時間を経過する前に再び人を検知したときは、一旦前記シャッタを閉じ、当該人の前記特徴が取引開始時の顧客の前記特徴と一致したときは、前記シャッタを開くようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記顧客検知手段は、カメラ部により取得した画像又は接近センサにより検知するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記顧客識別手段は、顧客の顔認識またはアイリス認識としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記取引媒体は、現金、カードまたは通帳であることを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記取引媒体の金額が所定の額より少ない場合は前記シャッタを開いたままとするようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の自動取引装置。
【請求項9】
前記取引媒体の金額に基づいて第1の監視時間および第2の監視時間を変化させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記取引媒体の取り忘れを報知する報知手段を備え、
前記取引媒体の金額に基づいて前記報知をするか否かを判定し、顧客が前記取引媒体を取り忘れて立ち去ったときは、前記判定結果に基づいて報知または報知しないようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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