説明

自動塩振り装置

【課題】三角形や円形等の包餡おにぎりの具がある中心に散布する塩の量を、三角頂点または円周縁側に散布する塩の量よりも少なくするように塩振り量の調整が簡単且つ正確に行えるようにする。
【解決手段】塩送り装置PによってホッパーH内の塩Wを、複数の散布用小孔2aを三角形や円形等の包餡おにぎりQ形状に略合致して形成してなる塩振り容器2側へ搬送し、該塩振り容器2の内底部で回転する掻き落とし羽根3でもって塩Wを散布用小孔2aから、塩振り容器2下方の包餡おにぎりQに散布する。掻き落とし羽根3は、この中心回転軸8下端から径方向に向けて突出した複数の羽根を途中から回転方向に向けて緩やかな円弧部Rを介して折曲形成し、中心回転軸8の中間には塩送り装置Pによって送り出した塩Wを掻き落とし羽根3の先端側周辺に振り落とす傘型の回転振り落としガイド4を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯成形装置によって形成された例えば三角形や円形等のおにぎり(包餡おにぎり)に塩、更には、ごま、乾燥野菜、振りかけ等の具材を振りかけることのできる自動塩振り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米飯成形装置によって形成された例えば三角形や円形等の包餡おにぎりに塩を振りかける場合には、スクリューコンベア等による塩送り装置によってホッパー内の塩を、複数の散布用小孔を形成してなる塩振り容器側へ搬送し、該塩振り容器の散布用小孔上面で振動する小孔付きの板や小孔付きの板をすりあわせることによって塩を、塩振り装置下方に搬送されてきたおにぎりに散布する。
【特許文献1】特開2004−337155号公報
【特許文献2】特開2004−337118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ただ、本来、三角形や円形等の包餡おにぎりの中心に具があるため、中心に散布される塩の量を、三角頂点または周縁側に散布される塩の量よりも少なくすることで、包餡おにぎりの中心部の味が特別濃くならないようにするのが望ましい。
【0004】
しかしながら、従来においては、塩振り容器の散布用小孔上面で振動する小孔付きの板や小孔付きの板をすりあわせることによって塩を、塩振り容器下方に搬送されてきたおにぎり上面に万遍なく散布することから、中心に散布される塩の量は、三角頂点または周縁側に散布される塩の量とあまり差が無くなり、したがって三角頂点または周縁部の味と比べて包餡おにぎりの具の入った中心部の味の方が濃くなってしまうのが避けられないものとなっている。
【0005】
また、塩は湿気を吸収して固化され易いことから、塩振り容器の散布用小孔に、水分を含んだ塩が付着して塞がれてしまう虞がある。
【0006】
さらに、散布用小孔上面で回転する掻き落とし羽根により塩が散乱することから、塩振り装置の機構全体に対して腐食等の悪影響を与える虞もある。
【0007】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、三角形や円形等の包餡おにぎりの具がある中心に散布される塩の量を、三角頂点または円周縁側に散布される塩の量よりも少なくするように塩振り量の調整が簡単且つ正確に行えるようにすることで、包餡おにぎりの中心部の味が特別濃くならないようにすることができ、また塩振り装置の散布用小孔への水分を含んだ塩の付着による目詰まりを防止でき、さらに散布用小孔上面で振動する小孔付きの板や小孔付きの板をすりあわせることで塩を散布することによる塩の散乱で、自動塩振り装置の機構全体に対して腐食等の悪影響を発生するのを未然に防止できるようにした自動塩振り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、スクリューコンベア等による塩送り装置によってホッパー内の塩を、複数の散布用小孔を形成してなる塩振り容器側へ搬送し、該塩振り容器の散布用小孔上面で回転する掻き落とし羽根でもって塩を、塩振り容器下方に搬送されてきたおにぎり上面に散布する自動塩振り装置であって、前記掻き落とし羽根は、その中心回転軸下端から径方向に向けて突出した複数の羽根を途中から回転方向に向けて円弧部を介して折曲させることで塩を中央の散布用小孔へ寄せ付けるように形成したことを特徴とする。
【0009】
また、掻き落とし羽根の中心回転軸の中間には、塩送り装置によって送り出された塩を掻き落とし羽根の先端側周辺に振り落とし案内するよう傘型の回転振り落としガイドを備えてなる。
【0010】
さらに、塩振り容器の複数個の散布用小孔を三角形や円形等のおにぎりの形状に合わせて配置形成してなる。
【0011】
さらにまた、塩振り容器周辺の温度を感知する感温センサーと、該感温センサーの温度感知信号によって自動的にスイッチがオンとなって塩振り容器の機構全体を常時乾燥させる温風送風機と、更に、必要に応じて乾湿センサーとを備えたことを特徴する。
【0012】
以上のように構成された本発明に係る自動塩振り容器にあって、スクリューコンベア等による塩送り装置によってホッパー内の塩を塩振り容器側へ搬送させ、回転振り落としガイドにより、掻き落とし羽根の先端側周辺に塩が振り落とされる。そして、掻き落とし羽根の回転により散布用小孔から塩を、塩振り容器下方に搬送されてきたおにぎり上面に散布させる。
【0013】
このとき、掻き落とし羽根は、この中心回転軸下端から径方向に向けて突出した複数の羽根を途中から回転方向に向けて円弧部を介して折曲させていることで、塩を中央の散布用小孔へ寄せ付けるものとなり、これにより三角形や円形等の包餡おにぎりの具がある中心に散布される塩の量を、三角頂点または周縁側に散布される塩の量よりも少なくするように塩振り量を調整させる。また、塩振り容器の散布用小孔全体の配置を包餡おにぎりの形状に合わせて形成する。
【0014】
さらに、塩振り容器周辺の温度を感温センサーによって常時感知させ、該感温センサーの温度感知信号によって温風送風機を自動的にスイッチオン状態とし、これにより塩振り容器の機構全体を常時乾燥させる。また、必要に応じて乾湿センサーを設け、該乾湿センサーを働かせることで塩振り容器内を一層乾燥させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、三角形や円形等の包餡おにぎりの具がある中心に散布される塩の量を、三角頂点または円周縁側に散布される塩の量よりも少なくするように塩振り量の調整が簡単且つ正確に行えるようにすることで、包餡おにぎりの特に中心部の味が濃くならないようにすることができ、また塩振り容器の散布用小孔への水分を含んだ塩の付着による目詰まりを防止でき、さらに散布用小孔上面で回転する掻き落とし羽根による塩の散乱で、自動塩振り装置の機構全体に対して腐食等の悪影響を発生するのを未然に防止することができる。
【0016】
すなわち、本発明は、掻き落とし羽根の中心回転軸下端から径方向に向けて突出した複数の羽根を途中から回転方向に向けて円弧部を介して折曲させることで、塩を中央の散布用小孔へ寄せ付けできるように形成されると共に、中心回転軸の中間には、塩送り装置によって送り出された塩を掻き落とし羽根の先端側周辺に振り落とすための傘型の回転振り落としガイドを備えてなるので、これにより三角形や円形等の包餡おにぎりの具がある中心に散布される塩の量を、三角頂点または円周縁側に散布される塩の量よりも少なくするように塩振り量を確実に調整することができる。
【0017】
また、必要に応じて塩振り容器の下部に散布用ガイドを設けることも可能であるため必要以上の塩の散乱を阻止でき、これにより自動塩振り装置の機構全体に対して腐食等の悪影響を発生するのを未然に防止することができる。
【0018】
さらに、塩振り容器の散布用小孔全体の配置を包餡おにぎりの形状に合わせて形成することで包餡おにぎりの外側への塩の散布を防ぐことができ、したがって無駄な塩の消費防止に有効である。
【0019】
さらにまた、塩振り容器周辺の温度を感知する感温センサーと、該感温センサーの温度感知信号によって自動的にスイッチがオンとなって塩振り容器の機構全体を常時乾燥させる温風送風機と、更に、必要に応じて乾湿センサーとを備えることによって、塩振り容器の散布用小孔への水分を含んだ塩の付着による目詰まりを未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係る自動塩振り装置を実施するための最良の一形態を詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る自動塩振り容器1は、図1乃至図3に示すように、スプリングスクリューによる塩送り装置Pを内底部に備えたホッパーHと、複数の散布用小孔2aを三角形や円形等の包餡おにぎりQ形状に略合致して形成してなる円形皿状の塩振り容器2と、該塩振り容器2の散布用小孔2a上面で回転する掻き落とし羽根3と、塩送り装置Pによって送り出された塩Wを掻き落とし羽根3の先端側周辺に振り落とし案内するための傘型の回転振り落としガイド4とから概ね構成されている。
【0022】
すなわち、ホッパーHの内底部には、アングル架台5を介して塩送り装置Pのスプリングスクリューが回転自在に支承されており、スプリングスクリューの一端に連繋した塩送り用駆動モータM1により回転する。また、ホッパーHの内底部における側面には、スプリングスクリューの他端が延長されて塩Wの排出口6となっている。このとき、塩送り用駆動モータM1の回転速度を調整してスプリングスクリューの送りスピード、すなわち塩Wの送り量を変えることで、排出口6からの塩Wの排出量を適宜調整できるようにしている。
【0023】
また、塩送り装置Pの塩Wの排出口6における前方位置には、前記アングル架台5の端部延設部分によって上側に掻き落とし羽根回転用駆動モータM2が取り付けられ、掻き落とし羽根回転用駆動モータM2の出力軸にはジョイント7を介して中心回転軸8が接続されている。更に、精度を高めるためにはホッパーHの中央部にアジテーターを設置することができる。このアジテーターと掻き落とし羽根回転用駆動モータM2は駆動を共有することができ、その場合には掻き落とし羽根回転用駆動モータM2はホッパーHの後背部に設置することができる。
【0024】
そして、図1に示すように、この中心回転軸8の下端には、掻き落とし羽根3が固定され、該掻き落とし羽根3は、複数の散布用小孔2aを三角形や円形等の包餡おにぎりQ形状に略合致して形成してなる塩振り容器2の内底部で水平回転する。
【0025】
尚、この塩振り容器2は、図2および図3に示すように、例えば3本の棒状のスタンド9を介して、下方の例えばベルトコンベアまたはターンテーブル等からの搬送部10によって移送されてきたおにぎりQの上方側に配置されるようにしてある。
【0026】
掻き落とし羽根3は、図1に示すように、傘型の回転振り落としガイド4によって掻き落とし羽根3の先端側周辺に振り落とされた塩Wを中央の散布用小孔2aへ寄せ付けるようにするために、この中心回転軸8の下端から径方向に向けて突出した例えば4本の羽根を途中から回転方向に向けて緩やかな円弧部Rを介して折曲させることで全体が略逆卍型もしくは渦巻き状となるように形成してある。
【0027】
また、自動塩振り装置1自体は、図1および図3に示すように、ホッパーHを除いて上側から被せられる箱枠状のケーシングKによって覆われており、該ケーシングKの内側面には、塩振り容器2周辺の温度を感知するための感温センサー11と、該感温センサー11の温度感知信号によって自動的にスイッチSがオンとなる温風送風機12とが装備されている。
【0028】
そして、塩振り容器2周辺の温度を感温センサー11によって常時感知させ、該感温センサー11の温度感知信号によって温風送風機12を自動的にスイッチSがオン状態となり、これにより塩振り容器2の機構全体を常時乾燥させるものとしている。
【0029】
次に、以上のように構成された本発明自動塩振り装置の最良の形態についての使用、動作の一例について詳細に説明する。
【0030】
塩送り用駆動モータM1を作動させると、スプリングスクリューによる塩送り装置Pによって、ホッパーH内の塩Wが、塩振り容器2の位置する排出口6側へ搬送される。
【0031】
そして、排出口6から回転振り落としガイド4を介して掻き落とし羽根3の先端側周辺に塩Wが振り落とされる。
【0032】
これと同時に掻き落とし羽根回転用駆動モータM2が作動して、掻き落とし羽根3の回転により散布用小孔2aから塩Wを、塩振り容器2下方に搬送されてきたおにぎりQの上面に散布させる。
【0033】
このとき、掻き落とし羽根3は、この中心回転軸8下端から径方向に向けて突出した複数の羽根を途中から回転方向に向けて緩やかな円弧部Rを介して折曲させていることで、塩Wは中央の散布用小孔2aへ次第に寄せ付けられる。
【0034】
こうして、図4に示すように、三角形や円形等の包餡おにぎりQの具がある中心に散布される塩Wの量W1を、三角頂点または円周縁側に散布される塩Wの量W2よりも少なくするように塩振り量が調整されるのである。
【0035】
また、ケーシングK内における塩振り容器2周辺の温度は、感温センサー11によって常時感知されており、該感温センサー11により、塩Wを固化させる程度の温度が感知された場合、該感知信号によって温風送風機12が自動的にスイッチSオン状態となり、これにより塩振り容器2の機構全体を常時乾燥させるのである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る自動塩振り装置を実施するための最良の形態における自動塩振り容器の概略構成を示す平断面図である。
【図2】同じく正断面図である。
【図3】同じく側断面図である。
【図4】塩振り後の状態を示す包餡おにぎりの平面図である。
【符号の説明】
【0037】
P 塩送り装置
Q おにぎり
R 円弧部
W 塩
W1、W2 塩Wの量
S スイッチ
K ケーシング
H ホッパー
M1 塩送り用駆動モータ
M2 掻き落とし羽根回転用駆動モータ
1 自動塩振り容器
2 塩振り容器
2a 散布用小孔
3 掻き落とし羽根
4 回転振り落としガイド
5 アングル架台
6 排出口
7 ジョイント
8 中心回転軸
9 スタンド
10 搬送部
11 感温センサー
12 温風送風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューコンベア等による塩送り装置によってホッパー内の塩を、複数の散布用小孔を形成してなる塩振り容器側へ搬送し、該塩振り容器の散布用小孔上面で回転する掻き落とし羽根でもって塩を、塩振り容器下方に搬送されてきたおにぎり上面に散布する自動塩振り装置であって、前記掻き落とし羽根は、その中心回転軸下端から径方向に向けて突出した複数の羽根を途中から回転方向に向けて円弧部を介して折曲させることで塩を中央の散布用小孔へ寄せ付けるように形成したことを特徴とする自動塩振り装置。
【請求項2】
掻き落とし羽根の中心回転軸の中間には、塩送り装置によって送り出された塩を掻き落とし羽根の先端側周辺に振り落とし案内するよう傘型の回転振り落としガイドを備えてなることを特徴とする請求項1記載の自動塩振り装置。
【請求項3】
塩振り容器の複数個の散布用小孔を三角形や円形等のおにぎりの形状に合わせて配置形成してなる請求項1または2記載の自動塩振り装置。
【請求項4】
塩振り容器周辺の温度を感知する感温センサーと、該感温センサーの温度感知信号によって自動的にスイッチがオンとなって塩振り容器の機構全体を常時乾燥させる温風送風機と、更に、必要に応じて乾湿センサーとを備えたことを特徴する請求項1乃至3記載の自動塩振り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−153465(P2009−153465A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336590(P2007−336590)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591094262)鈴茂器工株式会社 (74)
【Fターム(参考)】