説明

自動排泄処理装置及び自動排泄処理方法

【課題】おむつカップ内における乾燥用の空気の温度を十分な温度にすると共におむつカップ内の湿気を除去することができる自動排泄処理装置及び自動排泄処理方法を提供する。
【解決手段】加熱手段123に設けられた密閉筐体142、密閉筐体142を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管144、及び密閉筐体内142に充填された蓄熱液145で構成された熱交換器140を備えたことにより、加熱手段123からの熱で空気が加熱されると共に、並列微細鋼管144でおむつカップからの湿気を含んだ空気中の水分が遮断され、湿気が除去された空気が再度おむつカップ内に供給される。この結果、おむつカップ内における乾燥用の空気の温度を十分な温度にすると共におむつカップ内の湿気を除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝たきり老人等の高齢者、傷病者、乳幼児等の使用者が着用したままの状態で排泄物を排出処理するための自動排泄処理装置及び自動排泄処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化に伴い介護を必要とする高齢者が急増している。このような急増に伴って家庭、介護施設、あるいは病院等で介護を受けている寝たきり老人等の多くはほとんど自分自身で糞尿(以下、「排泄物」と記す)の処理を行うことができない状況にある。また、乳幼児、重度身体障害者、内臓疾患患者や骨折患者を含むベッド上安静者等の使用者は、ベッドに寝ていなければならないので、自分自身で排泄物を処理することができないという状況下にある。このため、使用者は、おむつ本体と、オムツ本体の股部に取り付けられたおむつカップとで構成された排泄用装着体と、排泄用装着体を使用者に装着することができるように構成された排泄用装着具を着用している。
【0003】
一般に、自動排泄処理装置は、排泄装着体の一部を構成するおむつ本体と、おむつ本体の股部に取り付けられ、排泄装着体の他の一部を構成するおむつカップと、おむつカップに一端が接続され、かつ他端が吸引装置に接続されたホースとを備えている。この自動排泄処理装置は、おむつ本体とおむつカップとを装着した使用者が排泄物の排泄を行った場合おむつカップ内のセンサが排泄物を感知し、吸引装置がホースを介しておむつカップに溜まった排泄物を吸引すると共に、吸引装置は、おむつカップに温水を送っておむつカップ内の汚れを洗浄し、洗浄後の汚水を吸引装置内のタンクに収容し、さらにおむつ本体とおむつカップとに温風を送風してそれらの内部を乾燥するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−56891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した自動排泄処理装置は、おむつカップ内に供給する空気をサクションモータが発生する熱で加熱するため、ある程度の温度までしか加熱することができず、冬場や寒冷地では不十分であった。また、おむつカップ内の湿気を除去することができなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、おむつカップ内における乾燥用の空気の温度を十分な温度にすると共におむつカップ内の湿気を除去することができる自動排泄処理装置及び自動排泄処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、使用者の股間に装着される使用者装着装置に、前記使用者装着装置に加熱手段により加熱された洗浄水を供給する浄水路、前記使用者装着装置に乾燥用の空気を供給する通風路、及び前記使用者装着装置からの汚水を前記空気ごと排出する汚水路を接続し、前記浄水路、前記通風路、及び前記汚水路を排泄物処理装置に接続した自動排泄処理装置において、前記加熱手段に設けられた密閉筐体、前記密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び前記密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、使用者の股間に装着される使用者装着装置と、一端が前記使用者装着装置に接続され、前記使用者装着装置内で前記使用者の排泄物による汚染を洗浄するため加熱手段により加熱された洗浄水が通過する浄水路、前記使用者装着装置内への洗浄後の乾燥用の空気が通過する通風路、及び前記使用者装着装置からの汚水が前記空気ごと通過する汚水路を有する複合管と、前記複合管の他端に接続され、前記洗浄水を前記使用者装着装置内に供給する給水機構、及び前記使用者装着装置内に乾燥用の空気を供給し、前記汚水路を介して前記汚水を前記空気ごと回収する回収機構を有する排泄物処理装置とを有する自動排泄処理装置において、前記加熱手段に設けられた密閉筐体、前記密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び前記密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、使用者の股間に装着される使用者装着装置と、一端が前記使用者装着装置に接続され、前記使用者装着装置内で前記使用者の排泄物による汚染を洗浄するため加熱手段により加熱された洗浄水が通過する浄水路、前記使用者装着装置内への洗浄後の乾燥用の空気が通過する通風路、及び前記使用者装着装置内の汚水が前記空気ごと通過する汚水路を有する複合管と、前記複合管の他端に接続され、前記洗浄水を貯留する洗浄水タンク、前記汚水を貯留する汚物タンク、前記洗浄水を前記使用者装着装置内に供給する給水機構、前記汚水を前記空気ごと前記汚物タンクに回収する回収機構、及び前記使用者装着装置内に乾燥用の空気を供給する送風機構を有する排泄物処理装置とを備えた自動排泄処理装置において、前記加熱手段に設けられた密閉筐体、前記密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び前記密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、使用者の股間に装着される使用者装着装置内にて洗浄水で前記使用者の排泄物による汚染を洗浄し、汚水を前記使用者装着装置から排泄物処理装置に排出した後、前記使用者装着装置に空気を送風して前記使用者装着装置内を乾燥する自動排泄処理方法において、前記空気を、空気のみ通過できる内径を有する複数の並列微細鋼管に通過させると共に前記洗浄水を加熱する際の熱で加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加熱手段に設けられた密閉筐体、密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことにより、加熱手段からの熱で空気が加熱されると共に、並列微細鋼管でおむつカップからの湿気を含んだ空気中の水分が遮断され、湿気が除去された空気が再度おむつカップ内に供給される。この結果、おむつカップ内における乾燥用の空気の温度を十分な温度にすると共におむつカップ内の湿気を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る自動排泄処理装置の一実施の形態(請求項1)は、使用者の股間に装着される使用者装着装置に、使用者装着装置に加熱手段により加熱された洗浄水を供給する浄水路、使用者装着装置に乾燥用の空気を供給する通風路、及び使用者装着装置からの汚水を空気ごと排出する汚水路を接続し、浄水路、通風路、及び汚水路を排泄物処理装置に接続した自動排泄処理装置において、加熱手段に設けられた密閉筐体、密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、加熱手段に設けられた密閉筐体、密閉筐体を貫通するように配置され複数本並列に束ねられた並列微細鋼管、及び密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことにより、加熱手段からの熱で空気が加熱されると共に、並列微細鋼管でおむつカップからの湿気を含んだ空気中の水分が遮断され、湿気が除去された空気が再度おむつカップ内に供給される。この結果、おむつカップ内における乾燥用の空気の温度を十分な温度にすると共におむつカップ内の湿気を除去することができる。
【0013】
本発明に係る自動排泄処理装置の他の実施の形態(請求項2)は、使用者の股間に装着される使用者装着装置と、一端が使用者装着装置に接続され、使用者装着装置内で使用者の排泄物による汚染を洗浄するため加熱手段により加熱された洗浄水が通過する浄水路、使用者装着装置内への洗浄後の乾燥用の空気が通過する通風路、及び使用者装着装置からの汚水が空気ごと通過する汚水路を有する複合管と、複合管の他端に接続され、洗浄水を使用者装着装置内に供給する給水機構、及び使用者装着装置内に乾燥用の空気を供給し、汚水路を介して汚水を空気ごと回収する回収機構を有する排泄物処理装置とを有する自動排泄処理装置において、加熱手段に設けられた密閉筐体、密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、加熱手段に設けられた密閉筐体、密閉筐体を貫通するように配置され複数本並列に束ねられた並列微細鋼管、及び密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことにより、加熱手段からの熱で空気が加熱されると共に、並列微細鋼管でおむつカップからの湿気を含んだ空気中の水分が遮断され、湿気が除去された空気が再度おむつカップ内に供給される。この結果、おむつカップ内における乾燥用の空気の温度を十分な温度にすると共におむつカップ内の湿気を除去することができる。
【0015】
本発明に係る自動排泄処理装置の他の実施の形態(請求項3)は、使用者の股間に装着される使用者装着装置と、一端が使用者装着装置に接続され、使用者装着装置内で使用者の排泄物による汚染を洗浄するため加熱手段により加熱された洗浄水が通過する浄水路、使用者装着装置内への洗浄後の乾燥用の空気が通過する通風路、及び使用者装着装置内の汚水が空気ごと通過する汚水路を有する複合管と、複合管の他端に接続され、洗浄水を貯留する洗浄水タンク、汚水を貯留する汚物タンク、洗浄水を使用者装着装置内に供給する給水機構、汚水を空気ごと汚物タンクに回収する回収機構、及び使用者装着装置内に乾燥用の空気を供給する送風機構を有する排泄物処理装置とを備えた自動排泄処理装置において、加熱手段に設けられた密閉筐体、密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、加熱手段に設けられた密閉筐体、密閉筐体を貫通するように配置され複数本並列に束ねられた並列微細鋼管、及び密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことにより、加熱手段からの熱で空気が加熱されると共に、並列微細鋼管でおむつカップからの湿気を含んだ空気中の水分が遮断され、湿気が除去された空気が再度おむつカップ内に供給される。この結果、おむつカップ内における乾燥用の空気の温度を十分な温度にすると共におむつカップ内の湿気を除去することができる。この結果、おむつカップ内における乾燥用の空気の温度を十分な温度にすると共におむつカップ内の湿気を除去することができる
【0017】
本発明に係る自動排泄処理装置の他の実施の形態(請求項4)は、使用者の股間に装着される使用者装着装置内にて洗浄水で使用者の排泄物による汚染を洗浄し、汚水を使用者装着装置から排泄物処理装置に排出した後、使用者装着装置に空気を送風して使用者装着装置内を乾燥する自動排泄処理方法において、空気を、空気のみ通過できる内径を有する複数の並列微細鋼管に通過させると共に洗浄水を加熱する際の熱で加熱することを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、空気を複数の並列微細鋼管に通過させる際に洗浄水を加熱する際の熱で加熱することにより、おむつカップ内の洗浄水の温度を十分な温度にすることができ、並列微細鋼管でおむつカップからの湿気を含んだ空気中の水分が遮断され、湿気が除去された空気が再度おむつカップ内に供給され、おむつカップ内の湿気を除去することができる。
【0019】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【実施例】
【0020】
次に、本発明の実施例について説明する。
図2は、本発明に係る自動排泄処理方法を適用した自動排泄装置の一実施例を示すブロック図である。
図2に示す自動排泄処理装置100は、使用者の股間に装着される使用者装着装置200と、使用者から排泄される排泄物を処理する排泄物処理装置300と、使用者装着装置200及び排泄物処理装置300の統括制御を行う制御装置400と、データ読取装置500と、データ送信装置600とで構成されている。
【0021】
図3は、図1に示した熱交換機を備えた自動排泄処理装置を示す概念図である。
図3には、図1に示した自動排泄処理装置100のうちの、使用者装着装置200と、排泄物処理装置300と、一端(この場合左側)が使用者装着装置200に着脱自在に接続され、他端(図では上側)が排泄物処理装置300に着脱自在に接続される複合管700とについて詳細に示されている。
【0022】
排泄物処理装置300は、主に給水機構と、送風機構と、回収機構と、熱交換器140とで構成されている。
給水機構は、浄水120を貯蔵する浄水タンク121、浄水タンク121から使用者装着装置200へ浄水120を給水するための電磁ポンプ122、浄水タンク121の下側に設けられ浄水タンク121内の浄水120を加熱し適切な温度に保温するための加熱手段としてのヒーター123、浄水120の温度を検知する温度センサ124、浄水120の水位を検知する水位センサ125、及び浄水路130、131で構成されている。
【0023】
送風機構は、おむつカップ10内の乾燥用の空気を使用者装着装置200に送風するためのブロアー101、フィルターエレメント105、及びリターンエアーが通る通風路110、111で構成されている。
フィルターエレメント105は、例えば交換可能な消臭フィルタを有し、おむつカップ10から戻ってくる空気の悪臭を除去するようになっている。
ブロアー101は、両軸モータM104と、両軸モータM104の一方(図では上側)の出力軸に取り付けられた空気循環用のファン102と、両軸モータMの他方(この場合下側)の出力軸に取り付けられた冷却用のファン103とで構成されている。
【0024】
ここで、リターンエアーは、排泄物処理装置300から使用者装着装置200へ供給される空気であり、サクションエアーは、使用者装着装置200から排泄物処理装置300へ吸引される空気である。
【0025】
サクションエアーの通風路113と通風路116との間には、乾燥用の空気を加熱すると共に除湿する熱交換器140が設けられている。
ここで、図1(a)、(b)、(c)、(d)を参照して熱交換器について説明する。
図1(a)は、本発明に係る自動排泄処理方法を適用した自動排泄処理装置に用いられる熱交換器の周辺を示す正面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線断面図であり、図1(c)は、図1(b)に示した熱交換器の部分拡大図であり、図1(d)は、図1(a)に示した熱交換器の動作の説明図である。
熱交換器140は、ヒーター123の下側に設けられた密閉筐体142、密閉筐体142を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管(例えば、ステンレス管)144、及び密閉筐体142内に充填された蓄熱液145(例えば、エチレングリコール)で構成されている。
【0026】
熱交換器140の空気出口側(図1(a)では左側)には並列微細鋼管144の一方(この場合左側)の開口端を覆うと共に通風路113が設けられたカバー141が取り付けられている。
熱交換器140の空気入口側(図1(a)では右側)には並列微細鋼管144の他方(この場合右側)の開口端を覆うと共に通風路116及びドレン排出路117が設けられたカバー143が取り付けられている。ドレン排出路117は図3に示した汚物タンク126に接続される。
熱交換器140はヒーター123と接触しているので、ヒーター123からの熱が密閉筐体142、蓄熱液145、及び並列微細鋼管144を介して並列微細鋼管144内を通過する空気に伝導するようになっている。
カバー143内では湿気を帯びた空気のうち水分子は並列微細鋼管144を通過することができないので、ドレン排出路117を通って汚物タンク126(図3参照)に収容されることにより、除湿された空気だけが並列微細鋼管144内を通過してカバー141に向かい、通風路113を通ってブロアー101(図3参照)へ向かう。
図3に戻って、ファン103の吸気口は排泄物処理装置300の外部の空気を吸入するようになっており、ファン103の排気口は両軸モータM104自体を冷却すると共に通風路114を介して排泄物処理装置300内の各部を冷却するようになっており、バルブ107を開くことにより通風路115を介して外部に排気できるようになっている。
【0027】
ファン102の排気口には通風路110が接続されており、吸気口にはサクションエアーが通る空気循環用の通風路113の一端(図では左側)が接続されている。通風路113の他端(この場合右側)には熱交換器140、通風路116、及び遠心分離機構129がこの順に接続されている。
【0028】
回収機構は、汚物タンク126、遠心分離機構129、通風路112、汚水路132で構成されている(但し、通風路112及び汚水路132、後述する通風路304及び汚水路305、通風路705及び汚水路706は、いずれも図では個別の通路であるが、実際は空気と汚水とが同時に流れる共通の通路である)。
【0029】
尚、汚物タンク126の底部の配管に設けられた開閉バルブ128を開けることにより汚水を排出できるようになっているが、開閉バルブ128を設けずに汚物タンク126を着脱自在に構成し、汚物タンク126を取り外すように構成してもよい。
【0030】
汚物タンク126の上部に設けられた遠心分離機構129は、ブロアー101により使用者装着装置200を経由して供給される空気及び電磁ポンプ122により使用者装着装置200を経由して供給される汚水の圧力で垂直な回転軸の周りを回転する回転翼(図示せず)と、回転翼の回転軌道を覆うように配置された下側に広がるテーパ状のスカートとを有する。
この遠心分離機構129の遠心力により汚水と空気とを分離して汚物タンク126内に汚水127を収容し、通風路113、116を介してブロアー101に空気を回収させる。
【0031】
すなわち、使用者装着装置200内の汚水を空気ごと排泄物処理装置300に回収して空気と汚水とを分離し、汚水127を汚水タンク126に収容し、空気を使用者装着装置200と排泄物処理装置300との間で循環させるようになっている。
【0032】
つまり、浄水タンク121内の浄水120は、浄水路130、電磁ポンプ122、浄水路131、浄水路704、浄水路303、ノズル50、排泄物吸込口21、汚水路305、汚水路706、汚水路132、遠心分離機構129を経て汚物タンク126に回収され、使用者装着装置200内の空気は、排泄物吸込口21、通風路304、通風路705、通風路112、遠心分離機構129、汚物タンク126、遠心分離機構129、通風路116、熱交換器140、通風路113、ブロアー101、通風路110、フィルターエレメント105、通風路111、通風路703、通風路302、温風口210を経て使用者装着装置200へと循環される。
【0033】
使用者装着装置200は、おむつカップ10と、おむつカップ10内に設けられたノズル50に接続された浄水路303と、温風口210に接続された通風路302と、汚水吸入口21に接続され空気が通過する通風路304(但し、実際には通風路304と汚水路305とは共通である)と、汚水吸入口21に接続され汚水が通過する汚水路305と、尿を検知するセンサ23−1と、便を検知するセンサ23−2とを備えている。
おむつカップ10の通風路302、304、浄水路303、及び汚水路305の端部側には電気コネクタ24及びコネクタが接続されている。
【0034】
排泄物処理装置300の浄水路131の接続口はコネクタにより複合管700内の浄水路704に着脱自在に接続され、浄水路704は他のコネクタにより使用者装着装置200に着脱自在に接続される。
【0035】
浄水路704は、使用者装着装置200の浄水路303を介してノズル50に接続されている。
ノズル50からは、使用者装着装置200内で使用者から排出される排泄物207に浄水が噴出されて汚染が洗浄される。
【0036】
複合管700は、両端にコネクタをそれぞれ有する通風路703、浄水路704、通風路705、汚水路706、両センサ23−1、23−2と制御用コンピュータ402とを接続する信号線701、702を有するフレキシブルな管(例えば、樹脂からなる蛇腹管、コルゲート管もしくはスパイラル管)であり、使用者装着装置200と排泄物処理装置300とを着脱自在に接続する。複合管700の長さは、例えば、使用者がベッド上で寝起きでき、脱着しやすい長さ(例えば、3m程度)であればよい。
【0037】
これら両軸モータM104、電磁ポンプ122、ヒーター123、温度センサ124、水位センサ125、及び、制御装置400の制御用コンピュータ402に接続されており、制御用コンピュータ402によりブロアー101の作動、浄水120の温度、浄水120の供給、水位等が制御されるようになっている。
操作パネル401は、自動排泄物処理装置のオンオフ操作、洗浄や乾燥の自動手動切り替え操作、水温設定等を行うためのスイッチや表示部を有する。
【0038】
次に、図4〜図15を参照して、本実施形態による自動排泄処理装置100の構成及び動作について説明する。
図4〜図11を参照して、使用者装着装置200の主要部分を構成する排泄用装着体1について説明する。
図4は、図2に示した自動排泄処理装置における使用者装着装置を示す外観斜視図である。図5は、図4の使用者装着装置を装着した使用者の腰部付近を示す概略図である。図6は、図5の使用者装着装置を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す正面図である。図7は、図5の使用者装着装置を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す概略図である。図8は、使用者装着装置を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す断面図である。図9は、使用者装着装置を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す斜視断面図である。図10は、図4の使用者装着装置における排泄物センサの構成を示す概略図である。図11は、図10に示す排泄物センサの一部を構成する尿センサの構成を示す概略図である。
【0039】
使用者装着装置200は、図4〜図11に示すように、自動排泄処理装置100の使用者2の股間部2aに装着する形状を有し、股間部2aに対して開口された排泄用容器(以下、「おむつカップ」と記す)10を有する。
【0040】
おむつカップ10は、使用者2の尻部側に配置される主壁部11と、主壁部11からほぼ垂直に延出して股間部2a側に配置される副壁部2aとを有する。
【0041】
主壁部11及び副壁部12は、ほぼL字形状に交差するように一体化され、かつ主壁部11及び副壁部12の内面側の両側縁には、股形状に沿って使用者2の股間部2aの肌面に接する開口端部である側壁部13が一体化されている。側壁部13は、馬蹄形状に形成され、側壁部13には、おむつカップ10を使用者2の股間部2aに装着したときに、股間部2aの肌と密着するための柔軟なシール体14が設けられている。
【0042】
おむつカップ10は、副壁部12とほぼL字形状に交差する主壁部11の内端部側の中央(肛門側)に排泄物吸込口21を有すると共に、主壁部11の内端部側とは反対側から排泄物吸込口21の方向に所定の角度で傾斜している傾斜面を有する傾斜部11aを有する。
また、おむつカップ10には、排泄物吸込口21に連通する汚水路706が主壁部11の外端面に突出して設けられている。汚水路706は、複合管700を介して排泄物処理装置300に着脱自在に接続される。
【0043】
図10に示すようにおむつカップ10には、排泄物を検知するためのセンサ23(23−1、23−2)が設けられている。センサ23は、主壁部11の内面の排泄物吸込口21側に設置されており、尿を検知するセンサ(以下、「尿センサ」と記す)23−1と、排泄物吸込口21とは反対側の他端部側から排泄物吸込口21に向かって傾斜している主壁部11の傾斜部11aの底部カバー11bの内側に設置され、固形物(便、軟便等のいわゆる「糞」)を検知するセンサ23−2(以下、「糞センサ」と記す)とで構成されている。
【0044】
図11に示すように、尿センサ23−1は、中央に位置する一つの陽極である電極23−1aと、陽極23−1を包囲する複数(図では4つであるが限定されない)の陰極23−1b〜23−1eと、陽極23−1aと陰極23−1bとの間に形成されたスリット23−1SL1と、陽極23−1aと陰極23−1cとの間に形成されたスリット23−1SL2と、陽極23−1aと陰極23−1dとの間に形成されたスリット23−1SL3と、陽極23−1aと陰極23−1aとの間に形成されたスリット23−1SL4とで構成されている。
このような構成により、尿センサ23−1は、尿が少量(いわゆる「チビリ」)の場合であっても、スリット23−1SL1〜23−1SL4中にその尿が滞留するので、容易に被介護者(使用者)が排尿したことを検知できる。
【0045】
本発明による自動排泄処理装置100では、尿センサ23−1を構成しているスリット23−1SL1〜23−1SL4の中に滞留した尿を、排泄物処理装置300に接続された排泄物分析装置(図示せず)を用いて成分分析することができるように構成してもよい。排泄物分析装置を用いることにより、例えば、水溶性の糞(水溶便)と尿とを成分分析結果に基づいて識別することができる。
【0046】
他方、糞センサ23−2は、図10に示すように、便や軟便等の糞(固形物)が糞センサ23−2の上に位置する主壁部11aに残るので、その糞(固形物)の質量を検出するように構成されている。
尿センサ23−1及び糞センサ23−2は、おむつカップ10の壁内部に排泄される信号線によって主壁部11の外端面に設けた電気コネクタ24(図3参照)を介してそれぞれ導通されており、排泄があったときに排泄物を直ちに検知できるようにスタンバイ状態に設定されている。
【0047】
また、おむつカップ10には、図10に示すように尿センサ23−1及び糞センサ23−2により排泄物(糞尿)の排泄を検知した後、その排泄物の種類(すなわち、糞または尿)に応じて被介護者(使用者)2の肛門または陰部(以下、「洗浄対処部位」と記す)を洗浄するために温水等の流体(以下、「洗浄水」と記す)を洗浄対象部位に対して噴射する球体状の噴射ノズル50が設けられている。
【0048】
噴射ノズル50は、図10に示すように、その内部に洗浄水を噴射するための三つの水路50a〜50cと、噴射ノズル50の噴射方向を調整する噴射方向調整機構51とを有する。
三つの水路50a〜50cは、排泄物処理装置300から複合管700を介して洗浄水である温水が供給されるように構成されており、尿センサ23−1及び糞センサ23−2による排泄物の検知結果に応じて、制御装置400によって洗浄水の噴射の強弱を調整すると共に、図12(a)、(b)及び図13(a)、(b)に示すように、噴射方向調整機構51(図13(a)、(b))を作動させ洗浄水の噴射方向を使用者2の洗浄対象部位の方向に適宜調整することにより、使用者2の洗浄対象部位を効率よく洗浄するようになっている。
【0049】
図12(a)は、噴射ノズルの正面図であり、図12(b)は、図12(a)に示した噴射ノズルの上下方向の移動を示した側面図である。図12(b)において、実線で示した位置がホームポジションであり、二点鎖線で示した位置がそれぞれ上死点及び下死点を示す。
【0050】
図13(a)は、噴射ノズルの噴射方向調整機構を説明するための別の概略説明図であり、図13(b)は、図13(a)に示した噴射ノズルの上下方向の移動を示した側面図である。図13(b)において、実線で示した位置がホームポジションであり、二点鎖線で示した位置がそれぞれ上死点及び下死点を示す。
【0051】
図13(a)に示す噴射ノズル50は、可撓性を有する支持部材(例えばシリコーンゴム)でおむつカップ10に支持されると共に側面にピンを有しており、そのピンは両端に長穴が形成されたアーム53の一方(図では左側)の長穴に挿入されている。アーム53の他方(この場合右側)の長穴は、図示しないモータにより回動可能なカム54のピンが挿入されている。アーム53は支点52により揺動自在に支持されている。
【0052】
噴射ノズル50は、カム54が一方向(例えば、時計方向)に回動すると、カム54のピンの位置が下側に移動し、アーム53の右端が右下がりに傾斜する。アーム53が回動すると、てこの原理によりアーム53の左端が左上がりに傾斜する。アーム53の左上がりの傾斜により噴射ノズル50が上昇しようとするが、噴射ノズル50は支持部材により支持されているため、浄水の噴射方向が上側を向くように微動する。
【0053】
これに対して、カム54が逆方向(この場合、反時計方向)に回動すると、カム54のピンの位置が上側に移動し、アーム53の右端が右上がりに傾斜する。アーム53が回動すると、てこの原理によりアーム53の左端が左下がりに傾斜する。アーム53の左下がりの傾斜により噴射ノズル50が下降しようとするが、噴射ノズル50は支持部材により支持されているため、浄水の噴射方向が下側を向くように微動する。
この結果、図13(b)に示すように噴射ノズル50は、ホームポジションの位置(実線)にあるときは噴射方向が水平であり、カム54の回動により、上向きになったり下向きになったりすることができる(二点鎖線)。
【0054】
本実施形態では、噴射ノズル50の形状は、噴射面を球体状に形成しているが、本発明による噴射ノズルの形状はこれに限定されるものではなく、対象や目的に応じて様々な形状を適宜採用することができる。
また、本実施形態では、噴射ノズル50は、三つの水路50a〜50bを有するが、本発明による噴射ノズルの水路の数は、これに限定されるものではなく、対象や目的に応じて一つの水路であってもよく、二つ以上の任意の数の水路で構成してもよい。
【0055】
ここで、図12(a)、(b)及び図13(a)、(b)を参照して、噴射ノズル50の噴射方向調整機構51について説明する。
尿センサ23−1及び糞センサ23−2が使用者2の排泄物の種類を検知し、尿センサ23−1及び糞センサ23−2の検知結果に基づいて使用者2の洗浄対象部位を判別し、判別された洗浄対象部位の洗浄に最も適する位置に、図13(a)、(b)に示す噴射方向調整機構51を用いて噴射ノズル50を移動する。
【0056】
本実施形態では、図13(a)、(b)に示す噴射方向調整機構51は、使用者2が男性であるか女性であるかを選択することにより、排泄物の種類に応じて、噴射ノズル50の噴射方向を、予め設定されている男性用または女性用の噴射方向にそれぞれ設定するように構成されている。
【0057】
しかしながら、使用者2の個人差により的確な噴射方向は、予め設定されている噴射方向から若干ずれる場合があるので、使用者に応じて噴射方向を手動または位置センサなどを用いて微調整可能なように構成されている。図13(a)、(b)に示す噴射方向調整機構51は、看護師、ヘルパー、家族等の介護者が、使用者装着装置200を使用者2に最初に装着するときに調整を行うことができ、装着後でも必要に応じて調整を行うことができる。
【0058】
次に、図14及び図15の動作フロー図を参照して、洗浄のタイミングについて説明する。
図14は、図2に示した自動排泄処理装置による洗浄のタイミングを説明するためのフロー図である。
まず、図14の動作フロー図を参照して、排泄物が尿の場合について説明する。
被介護者(使用者)2が排尿すると、尿センサ23−1が尿を検知することによりオン(ON)になり(ステップS101)、制御装置400が電磁ポンプ122を駆動させ(ステップS102)、おむつカップ10に洗浄水が数秒間流されている間に、使用者2の洗浄対象部位の位置に応じて、制御装置400が噴射方向調整機構51を作動させて噴射ノズル50を最適な位置に移動させ(ステップS103)、電磁ポンプ122を駆動させたままブロアー101を駆動させて浄水路131、浄水路704、及び浄水路303を経て噴射ノズル50に空気の混合した温水を流し(ステップS104)、噴射ノズル50から温水を使用者2の洗浄対象部位に向けて噴射して洗浄する。
【0059】
ノズル50から排泄物である尿に対して、温水が噴射されるので、おむつカップ10内における使用者の尿による汚染を十分に洗浄することができる(ステップS105)。
排泄物処理装置300は、おむつカップ10内に排泄された尿を、洗浄対象部位を洗浄した洗浄水(汚水)と共に排泄物吸込口21から吸引して(ステップS106)、排泄物処理装置300の内部に設けた汚物タンク126へ排出する(ステップS107)。
【0060】
使用者2による尿が排泄終了後、制御装置400により、噴射ノズル50の位置を元の場所に移動し(ステップS108)、使用者装着装置200から温水をおむつカップ10に一定時間断続的に供給しておむつカップ10内を洗浄し(ステップS109)、おむつカップ10内の洗浄後の汚水を排泄物吸込口21から吸引し(ステップS110)、排泄物処理装置300の内部に設けた汚物タンク126に汚水を排出する(ステップS111)。制御装置400は、電磁ポンプ122を停止し、ブロアー101から使用者装着装置200内に温風を送風して使用者2の洗浄対象部位及びおむつカップ10の内部を乾燥させる。乾燥用の温風は熱交換器140により、十分に加熱されると共に除湿されているので、洗浄後にはおむつカップ10内の温風口210からは快適な温風が噴出される(ステップS112)、乾燥に使用した空気を排泄物吸引口21から吸引し(ステップS113)、排泄物処理装置300の内部に設けたフィルターエレメント105で空気の悪臭を濾過してブロアー101、汚物タンク126、及びおむつカップ10の間を循環させる(ステップS114)、乾燥処理が完了したならば、制御装置400によりブロアー101をオフ(OFF)にして(ステップS115)、尿の処理を終了する。
【0061】
次に、図15の動作フロー図を参照して、排泄物が糞の場合について説明する。
図15は、図2に示した自動排泄処理装置による洗浄のタイミングを説明するための更なるフロー図である。
被介護者(使用者)2が排便すると、便センサ23−2が便を検知することによりオン(ON)になり(ステップS201)、制御装置400が電磁ポンプ122を駆動させ(ステップS202)、おむつカップ10に洗浄水が数秒間流されている間に、使用者2の洗浄対象部位の位置に応じて、制御装置400が噴射方向調整機構51を作動させて噴射ノズル50を最適な位置に移動させ(ステップS203)、電磁ポンプ122を駆動させたままブロアー101を駆動させて浄水路131、浄水路704、及び浄水路303を経て噴射ノズル50に温水を流し(ステップS204)、噴射ノズル50から温水を使用者2の洗浄対象部位に向けて噴射して洗浄するので、おむつカップ内における使用者の便による汚染を十分に洗浄することができる(ステップS205)。
排泄物処理装置300は、おむつカップ10内に排泄された便を、洗浄対象部位を洗浄した洗浄水(汚水)と共に排泄物吸込口21から吸引して(ステップS206)、排泄物処理装置300の内部に設けた汚物タンク126へ排出する(ステップS207)。
【0062】
使用者2による便が排泄終了後、制御装置400により、噴射ノズル50の位置を元の場所に移動し(ステップS208)、使用者装着装置200から温水をおむつカップ10に一定時間断続的に供給しておむつカップ10内を洗浄し(ステップS209)、おむつカップ10内の洗浄後の汚水を排泄物吸込口21から吸引し(ステップS210)、排泄物処理装置300の内部に設けた汚物タンク126に汚水を排出する(ステップS211)。制御装置400は、電磁ポンプ122を停止し、ブロアー101から使用者装着装置200内に温風を送風して使用者2の洗浄対象部位及びおむつカップ10の内部を乾燥させる。乾燥用の温風は熱交換器140により、十分に加熱されると共に除湿されているので、洗浄後にはおむつカップ10内の温風口210からは快適な温風が噴出される(ステップS212)、乾燥に使用した空気を排泄物吸引口21から吸引し(ステップS213)、排泄物処理装置300の内部に設けたフィルターエレメント105で空気の悪臭を濾過してブロアー101、汚物タンク126、及びおむつカップ10の間を循環させる(ステップS214)、乾燥処理が完了したならば、制御装置400によりブロアー101をオフ(OFF)にして(ステップS215)、便の処理を終了する。
【0063】
ここで、複合管700の浄水路704には、噴射ノズル50により使用者2の洗浄対象部位を洗浄した後、洗浄水(温水)の残水が滞留するが、この残水の温度は時間の経過と共に常温へと低下する。
温度が低下した洗浄水による洗浄は、使用者2に不快感を与える。
【0064】
そこで、浄水路704内に残留している洗浄水(以下、「残留洗浄水」と記す)をおむつカップ10の洗浄水として使用する。すなわち、残留洗浄水を低い圧力で噴射ノズル50からおむつカップ10に数秒間流すことにより、(a)常に予め設定された温度の洗浄水が得られるので、使用者2に対して洗浄水の温度差によってもたらされる不快感を緩和することができ、(b)事前におむつカップ10内に洗浄水が流れることにより、おむつカップ10内の内側表面が湿潤して汚れの付着を防止することができ、(c)噴射ノズル50の目詰まりを防止することができる。
【0065】
おむつカップ10は、透明な材質で形成される。すなわち、使用者2の腰臀部に装着するおむつカップ10の材質を透明なものにすることによって、(1)装着状態の確認;おむつカップ10が所定の位置に装着されているか否かを目視によって確認でき、(2)排尿、排便、汚れの確認;おむつカップ10を脱着しなくても排尿、排便及び汚れの有無や状態を確認することができ、(3)機器動作状況の確認;自動排泄処理装置100を構成する装置・機器の動作状況を確認できる。
【0066】
さらに、おむつカップ10の構造につい説明する。
おむつカップ10は、副壁部12に男性陰部収納部15の基端部を嵌合突起部に嵌合して取り付けると共に、主壁部11に使用者2の腰部(腰骨)2bに固定する固定部16を接着して取り付けている。
男性陰部収納部15は、おむつカップ10の嵌合突起部に基端部が嵌合された後、シール面の端部をシール本体31の端部に接着固定して取り付けられている。これにより、排泄用装着具1はおむつカップ10から男性陰部収納部15までのシール性を確保できるようになっている。
【0067】
固定部16は、おむつカップ10に接着固定する固定部本体16aと、固定部本体16aと、固定部本体16aに脱着自在に取り付けられる腰マット部16bとを有する。腰マット部16bは、例えばウレタン素材等により形成され、かつ弾力性を有する。
【0068】
腰マット部16bと固定部本体16aとは、被結合部部材である面ファスナ(図示せず)がそれぞれ貼付されており、固定部本体16aに腰マット部16bを脱着自在に結合することが可能である。腰マット部16bは、使用者2の体型に応じて選択することができる。
固定部本体16aの背面側には、弾力性を有する材質で形成された体荷重分散マット部16cが設けられている。体荷重分散マット部16cは、中空の円柱体などが複数配置されており、体荷重を分散するように構成されている。中空の円柱体は、体荷重分散マット部16cの基端側中心部から周縁に向かって高さが徐々に低くなるように配置されている。
【0069】
また、中空の円柱体自体も底面である開口端部が体荷重分散マット部16cの基端側中心部から周縁に向かって高さが低くなるように斜め輪切り状に形成されている。このように構成されている体荷重分散マット部16cにより、おむつカップ10は、使用者2の腰部2bの体荷重が分散されることで、腰部2bの鬱血を緩和させることができる。
腰マット部16bには、使用者2の腰部2bに排泄用装着体1を装着可能なベルト部17が縫いつけられて左右に延出している。このベルト部17の両端部には、面ファスナが添付されており、互いの端部を脱着自在に結合することによって使用者2の腰部2bに排泄用装着体1を装着可能である。
【0070】
ベルト部17には、男性陰部収納部15と連結する連結部18の一端が脱着自在に取り付けられる。連結部18は、使用者2の体型に応じた長さを有し、かつ伸縮自在である。連結部18は、使用者2の体型に応じて長さが調節可能な公知のベルトであってもよい。連結部18の他端は、男性陰部収納部15に着脱自在に取り付けることができる。
通常、連結部18は、一端が男性陰部収納部15に取り付けられており、排泄用装着具1の装着時、他端をベルト部17に取り付けることで、ベルト部17と男性陰部収納部15とを連結して男性陰部収納部15と固定部16とを連結する。
【0071】
おむつカップ10を使用者2の股間部2aに装着したときに、股間部2aの肌と密着するための柔軟なシール体14が完全にはフィットせずに腰臀部との間に隙間が生じるおそれがある。そのような隙間を埋めるために、使用者2がおむつカップ10を装着する前に、上述した体荷重分散マット部16cにジェル貯蔵部16dを設けてその中に予めジェルを貯えておき、使用者2がおむつカップ10を装着した後、使用者2の体温及び体重によってジェル貯蔵部16dに貯えられていたジェルの粘度が低下して柔らかくなり、その柔らかくなったジェルがおむつカップ10のシール体14の部分を充填することによって、おむつカップ10と腰臀部との間の隙間を埋めることができる。
【0072】
また、余分なジェルは、おむつカップ10の上部に設置された男性陰部収納部15に予め設けた余剰ジェル貯部に貯えておくことができる。
【0073】
上述した自動排泄処理装置100は、制御装置400に設けられた操作パネル401の画面上に表1に示すような「表示」(本実施形態では2桁の整数)を「動作エラーの内容」に応じてLED(発光ダイオード)を用いて表示すると共に、「動作エラーの内容」を公知の音声合成LSI(大規模集積回路)の音声によっても使用者2や介護者に報知するように構成されている。
【0074】
【表1】

【0075】
上述した自動排泄処理装置100は、さらに、図2に示すように、排泄物処理装置300及び制御装置400に接続されており、制御装置400により排泄物処理装置300によって処理された排泄物に関するデータ、例えば、使用者2の排便回数、排便料、排尿回数、及び排尿量に関するデータを読み取るデータ読取装置500と、データ読取装置500で読み取ったデータを送信するデータ送信装置600とを有する。
データ読取装置500は、図示しない他の計測装置を接続することにより、排泄物に関するデータ以外のデータ、例えば、血圧、脈拍、SpO2、体温、血糖値等に関するデータを読み取るように構成されている。
データ送信装置600は、データ読取装置500で読み取ったデータ、いわゆる生体情報に関するデータを有線または無線でインターネットなどの通信網を経由して介護センター、デイサービスセンター、ホームヘルパー、主治医、被介護者の家族等の目的とする場所に送信するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、本人が自力で排泄できない寝たきり老人等の高齢者、傷病者、乳幼児等を収容する施設や家庭で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】(a)は、本発明に係る自動排泄処理方法を適用した自動排泄処理装置に用いられる熱交換器の周辺を示す正面図であり、(b)は、(a)のIb−Ib線断面図であり、(c)は、(b)に示した熱交換器の部分拡大図であり、(d)は、(a)に示した熱交換器の動作の説明図である。
【図2】本発明に係る自動排泄処理方法を適用した自動排泄処理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した熱交換機を備えた自動排泄処理装置を示す概念図である。
【図4】図2に示した自動排泄処理装置における使用者装着装置を示す外観斜視図である。
【図5】図4の使用者装着装置を装着した使用者の腰部付近を示す概略図である。
【図6】図5の使用者装着装置を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す正面図である。
【図7】図5の使用者装着装置を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す概略図である。
【図8】使用者装着装置を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す断面図である。
【図9】使用者装着装置を装着した使用者の股間部及び腰部付近を示す斜視断面図である。
【図10】図4の使用者装着装置における排泄物センサの構成を示す概略図である。
【図11】図10に示す排泄物センサの一部を構成する尿センサの構成を示す概略図である。
【図12】(a)は、噴射ノズルの正面図であり、(b)は、(a)に示した噴射ノズルの上下方向の移動を示した側面図である。
【図13】(a)は、噴射ノズルの噴射方向調整機構を説明するための別の概略説明図であり、(b)は、(a)に示した噴射ノズルの上下方向の移動を示した側面図である。
【図14】図2に示した自動排泄処理装置による洗浄のタイミングを説明するためのフロー図である。
【図15】図2に示した自動排泄処理装置による洗浄のタイミングを説明するための更なるフロー図である。
【符号の説明】
【0078】
10 おむつカップ
23−1 尿センサ
23−2 糞センサ
50 ノズル
100 自動排泄処理装置
101 ブロアー
105 フィルターエレメント
110、111、112、113、114、115、302、703、705 通風路
117 ドレン排出路
120 浄水
121 浄水タンク
122 電磁ポンプ
123 ヒーター
124 温度センサ
125 水位センサ
126 汚物タンク
127 汚水
129 遠心分離機構
130、131、303、704 浄水路
140 熱交換器
141、143 カバー
142 密閉筐体
144 並列微細鋼管
145 蓄熱液
200 使用者装着装置
207 排泄物
300 排泄物処理装置
400 制御装置
401 操作パネル
402 制御用コンピュータ
500 データ読取装置
600 データ送信装置
700 複合管
706 汚水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の股間に装着される使用者装着装置に、
前記使用者装着装置に加熱手段により加熱された洗浄水を供給する浄水路、前記使用者装着装置に乾燥用の空気を供給する通風路、及び前記使用者装着装置からの汚水を前記空気ごと排出する汚水路を接続し、前記浄水路、前記通風路、及び前記汚水路を排泄物処理装置に接続した自動排泄処理装置において、
前記加熱手段に設けられた密閉筐体、前記密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び前記密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする自動排泄処理装置。
【請求項2】
使用者の股間に装着される使用者装着装置と、
一端が前記使用者装着装置に接続され、前記使用者装着装置内で前記使用者の排泄物による汚染を洗浄するため加熱手段により加熱された洗浄水が通過する浄水路、前記使用者装着装置内への洗浄後の乾燥用の空気が通過する通風路、及び前記使用者装着装置からの汚水が前記空気ごと通過する汚水路を有する複合管と、
前記複合管の他端に接続され、前記洗浄水を前記使用者装着装置内に供給する給水機構、及び前記使用者装着装置内に乾燥用の空気を供給し、前記汚水路を介して前記汚水を前記空気ごと回収する回収機構を有する排泄物処理装置とを有する自動排泄処理装置において、
前記加熱手段に設けられた密閉筐体、前記密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び前記密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする自動排泄処理装置。
【請求項3】
使用者の股間に装着される使用者装着装置と、
一端が前記使用者装着装置に接続され、前記使用者装着装置内で前記使用者の排泄物による汚染を洗浄するため加熱手段により加熱された洗浄水が通過する浄水路、前記使用者装着装置内への洗浄後の乾燥用の空気が通過する通風路、及び前記使用者装着装置内の汚水が前記空気ごと通過する汚水路を有する複合管と、
前記複合管の他端に接続され、前記洗浄水を貯留する洗浄水タンク、前記汚水を貯留する汚物タンク、前記洗浄水を前記使用者装着装置内に供給する給水機構、前記汚水を前記空気ごと前記汚物タンクに回収する回収機構、及び前記使用者装着装置内に乾燥用の空気を供給する送風機構を有する排泄物処理装置とを備えた自動排泄処理装置において、
前記加熱手段に設けられた密閉筐体、前記密閉筐体を貫通するように複数本並列に配置され空気のみ通過できる内径を有する並列微細鋼管、及び前記密閉筐体内に充填された蓄熱液で構成された熱交換器を備えたことを特徴とする自動排泄処理装置。
【請求項4】
使用者の股間に装着される使用者装着装置内にて洗浄水で前記使用者の排泄物による汚染を洗浄し、汚水を前記使用者装着装置から排泄物処理装置に排出した後、前記使用者装着装置に空気を送風して前記使用者装着装置内を乾燥する自動排泄処理方法において、
前記空気を、空気のみ通過できる内径を有する複数の並列微細鋼管に通過させると共に前記洗浄水を加熱する際の熱で加熱することを特徴とする自動排泄処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−312920(P2007−312920A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144377(P2006−144377)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(505468392)ケアライフ・ジャパン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】