自動搬送車、及び自動搬送車の連結方法
【課題】搬送台車に対して牽引車を確実性高く連結できる優れた特性の自動搬送車、及びその連結方法を提供すること。
【解決手段】自動搬送車の連結方法においては、連結ピン41の突出が規制された状態でガイドレール13に沿って牽引車2を移動させる第1の移動ステップと、連結ピン41が係合プレート15に対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定ステップと、対面状態と判定されたときに、連結ピン41が突出するように規制を解除する突出ステップと、連結ピン41の先端が係合プレート15に当接する状態を維持しながら、牽引車をさらに移動させる第2の移動ステップと、を実行して、搬送台車10に牽引車2を連結する。
【解決手段】自動搬送車の連結方法においては、連結ピン41の突出が規制された状態でガイドレール13に沿って牽引車2を移動させる第1の移動ステップと、連結ピン41が係合プレート15に対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定ステップと、対面状態と判定されたときに、連結ピン41が突出するように規制を解除する突出ステップと、連結ピン41の先端が係合プレート15に当接する状態を維持しながら、牽引車をさらに移動させる第2の移動ステップと、を実行して、搬送台車10に牽引車2を連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、この搬送台車に連結される牽引車と、を組み合わせた自動搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、工場内に予め設定された所定ルートに沿って自走可能な牽引車に、自在車輪を備えた搬送台車を組み合わせた自動搬送車が知られている。牽引車は、駆動用のモータやバッテリ等を備えているほか、床面に敷設された磁気テープ等のガイドラインを検知するための検知センサ等を備えている。このような牽引車に搬送台車を連結すれば、ワークを積載した搬送台車を所定ルートに沿って移動させることができる。さらに、このような自動搬送車としては、搬送台車の下側に潜り込み、連結ピン等を介して搬送台車に連結可能な低床式の牽引車を含む自動搬送車が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、鉛直方向上方へ突出可能な連結ピンを備えた牽引車と、連結ピンを受け入れるために鉛直方向下方に開口する係合孔を備えた搬送台車と、の組み合わせによる自動搬送車が記載されている。搬送台車に連結された状態で牽引車を自走させれば、連結ピンを介して搬送台車に移動方向の力を伝達して従動させることができる。搬送台車に牽引車を連結するに当たっては、まず、係合孔と貫通ピンの位置が合致するように牽引車を位置させた後、貫通ピンを突出させて係合孔に挿入する必要がある。
【0004】
しかしながら、前記従来の自動搬送車では、次のような問題がある。すなわち、連結するに当たって搬送台車に対する牽引車の相対位置の調整が十分でないと、係合孔に連結ピンを挿入できない等のトラブルが発生するおそれがある。このようなトラブルを確実性高く回避しようとすると、位置合わせや位置計測のためのセンサ数の増加や、各センサに要求される検知精度の高精度化や、牽引車の位置制御を実現するための制御仕様の複雑化等に起因して製品コストが上昇するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−113650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、この搬送台車に連結される牽引車と、を組み合わせた自動搬送車において、搬送台車に対して牽引車を確実性高く連結できる優れた特性の自動搬送車、及びその連結方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自動搬送車は、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、該搬送台車の下側に潜り込んで連結される牽引車と、を組み合わた自動搬送車であって、
前記搬送台車は、前記牽引車を連結するための係合孔を含む係合プレートと、前記牽引車が下側に潜り込む際に進退可能なガイド通路と、を有し、
前記牽引車は、前記係合孔に挿入され得る貫通位置まで軸方向に突出可能な連結ピンと、前記貫通位置に向けて前記連結ピンを付勢する付勢手段と、前記連結ピンの突出を規制する規制手段と、前記連結ピンが突出方向において前記係合プレートと対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定手段と、を有し、
前記係合孔が、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記連結ピンの移動経路上に位置しており、
前記規制手段は、前記状態判定手段により前記対面状態と判定されたとき、前記連結ピンが突出するように規制を解除する手段である自動搬送車である(請求項1)。
【0008】
また、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、該搬送台車が下側に潜り込んで連結される牽引車と、の組み合わせによる自動搬送車について、
前記牽引車を連結するための係合孔を含む係合プレートと、前記牽引車が下側に潜り込む際に進退可能なガイド通路と、を備えた前記搬送台車に対して、
前記係合孔に挿入され得る貫通位置まで軸方向に突出可能な連結ピンと、前記貫通位置に向けて前記連結ピンを付勢する付勢手段と、前記連結ピンの突出を規制する規制手段と、前記連結ピンが突出方向において前記係合プレートと対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定手段と、を備え、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際に前記連結ピンが前記係合孔に挿入可能となる位置を通過する前記牽引車を、
連結するための自動搬送車の連結方法であって、
前記規制手段により前記連結ピンの突出が規制された状態で、前記ガイド通路に沿って前記牽引車を移動させる第1の移動ステップと、
前記対面状態であるか否かを判定する状態判定ステップと、
前記状態判定ステップにおいて前記対面状態と判定されたときに、前記連結ピンが突出するように前記規制手段による規制を解除する突出ステップと、
前記付勢手段により付勢された前記連結ピンの先端が前記係合プレートに当接する状態を維持しながら、前記連結ピンが前記係合孔に挿入可能となる位置に到達するまで前記牽引車を前記ガイド通路の通路方向に沿って移動させる第2の移動ステップと、を実行する自動搬送車の連結方法である(請求項5)。
【0009】
本発明の自動搬送車及びその連結方法における牽引車は、前記連結ピンを突出方向に付勢する前記付勢手段、及び前記連結ピンの突出を規制する前記規制手段のほか、前記対面状態か否かを判定する前記状態判定手段を備えている。前記牽引車では、突出方向において前記連結ピンが前記係合プレートに対面する前記対面状態と判定されたとき、前記規制手段による規制が解除されて前記連結ピンが突出する。前記対面状態下で前記連結ピンが突出しても、その突出方向に対面する前記係合プレートにより突出が阻害されるため、前記係合孔の位置に合致しない限り前記貫通位置まで突出することができない。前記付勢手段により付勢された前記連結ピンは、前記係合プレートに当接する中間的な突出状態となる。
【0010】
一方、本発明の自動搬送車及びその連結方法における搬送台車が備えるガイド通路は、その通路方向に沿って前記牽引車が移動する際、前記連結ピンの移動経路上に前記係合孔が位置するように形成されている。そのため、前記規制手段による規制が解除された後は、前記ガイド通路に沿う前記牽引車の移動に応じて、前記係合プレートに当接する突出状態の前記連結ピンが次第に前記係合孔に近づいていくことになる。前記連結ピンが前記係合孔に到達すれば、前記貫通位置まで前記連結ピンを突出させようとする前記付勢手段の作用により前記連結ピンが前記係合孔に挿入されることになる。
【0011】
本発明の自動搬送車及びその連結方法では、前記係合孔の手前の位置で前記連結ピンを突出させ、前記係合プレートに当接する突出状態を維持しながら前記ガイド通路に沿って前記牽引車をさらに移動させることで、前記係合孔への前記連結ピンの挿入を確実性高く実現できる。前記連結ピンを前記係合孔に挿入する前に、前記係合孔と前記連結ピンとを高精度に位置合わせする必要がないので、連結する際の位置制御が非常に容易である。連結する際に必要な位置精度を抑制できれば、位置合わせや位置計測のセンサ数を少なくできたり、各センサに要求される検知精度を抑制できるようになり、コスト低減を実現できる。
【0012】
本発明の自動搬送車及びその連結方法における対面状態とは、前記係合プレートに対して前記連結ピンの先端が対面する状態を意味している。ここで、前記係合プレートは、前記係合孔を含む部材である。したがって、前記対面状態とは、前記連結ピンを突出させたときに前記係合プレートに当接する状態だけでなく、前記連結ピンを突出させたときに前記係合孔にそのまま挿入される状態を包含する概念である。
【0013】
本発明の自動搬送車において、前記搬送台車が備える前記ガイド通路は、前記通路方向に沿って並列して延設された二本一対のガイド部材が、前記牽引車を進退させ得る程度の間隔を空けて左右方向に相互に対面して形成され、当該左右方向における前記牽引車の相対位置の変動を規制可能な通路であることが好ましい(請求項2)。
【0014】
この場合には、前記ガイド通路に沿って前記牽引車を移動させる際、前記搬送台車に対する前記牽引車の前記左右方向の相対位置の変動を抑制できるようになる。前記左右方向の相対位置の変動を抑制すれば、前記連結ピンの移動経路上から前記係合孔が外れてしまうおそれを未然に回避できる。前記ガイド通路に沿う前記牽引車の移動過程において、前記連結ピンが確実性高く前記係合孔の位置に到達できるようになり、前記係合孔への前記連結ピンの挿入を一層、確実性高く実現できるようになる。
【0015】
また、前記二本一対のガイド部材は、前記ガイド通路の通路方向の少なくともいずれか一方に隣接して、当該ガイド通路から離れた位置ほど前記左右方向の間隔が広くなるように拡開する末広がり形状の進入路を形成しており、
前記牽引車は、ガイド部材との当接に応じて転動可能なローラを前記二本一対のガイド部材に対応できるように両側面に備えていることが好ましい(請求項3)。
【0016】
この場合には、前記搬送台車の下側に前記牽引車を潜り込ませるに当たって、末広がり形状の前記進入路から前記牽引車を進入させることができる。末広がり形状の前記進入路であれば、前記牽引車の進入経路に多少の誤差があっても、前記ガイド部と前記牽引車との接触に応じて前記搬送台車の相対的な位置を自動的に調整できる。このように進入経路の誤差を吸収できれば、前記ガイド通路に直接、前記牽引車を進入させる場合と比較して、前記搬送台車の下側に前記牽引車を潜り込ませる際に要求される位置精度を格段に抑制できる。要求される位置精度が低くなれば、前記搬送台車に対して前記牽引車を連結する際の制御が容易となる。
【0017】
さらに、前記ローラによれば、前記進入路から前記牽引車が進入する際に前記ガイド部と接触して発生する接触抵抗を低減でき、前記進入路を介して前記牽引車を滑らかに進入させることができるようになる。
なお、前記ガイド通路に対して前後方向の両側に前記進入路を配設することも良い。この場合には、前後方向両側から前記牽引車を比較的容易に進入させることができるようになる。
【0018】
本発明の自動搬送車及びその連結方法において、前記状態判定手段は、前記連結ピンと前記通路方向の位置が同じになるように当該連結ピンと隣り合う位置に、前記係合プレートを検知するためのプレート検知部を備え、当該プレート検知部により前記係合プレートが検知された場合に前記対面状態と判定し、
前記係合プレートの外周をなす縁部のうち、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記プレート検知部の移動経路上に位置する縁部が、前記連結ピンの移動経路上に位置する縁部よりも前記通路方向において前記係合孔に近く位置していることが好ましい(請求項4、6)。
【0019】
仮に、前記係合プレートに対面していない状態で前記連結ピンを突出させてしまった場合には、前記係合プレートに当接することなく、そのまま前記貫通位置まで突出してしまうことになる。そして、前記貫通位置まで突出した前記連結ピンは、その外周側面が前記係合プレートの外周側面と干渉することになるため、一旦、軸方向に後退させない限り、前記係合孔の位置に到達できなくなる。
【0020】
このようなトラブルを未然に回避するためには、前記連結ピンが前記係合プレートの縁部を超えて完全に内側と対面するようになった後で、前記対面状態と判定されるように設定できれば良い。前記プレート検知部を備えた前記検知手段の場合では、前記連結ピンが前記係合プレートの縁部を超えて完全に内側と対面するように位置した後で、初めて前記プレート検知部が前記係合プレートを検知するように設定できれば良い。
【0021】
例えば、前記牽引車の進行方向において、前記連結ピンよりも後ろ側に前記プレート検知部を配置すれば、前記係合プレートの縁部を超えて内側と対面するようになった後で、初めて前記プレート検知部が前記係合プレートを検知するようになる。この構成によっても一定の効果が得られるものの、前記搬送台車の下側に前記牽引車に潜り込ませるように進入させる際の進行方向が一方向に限定されてしまい、常に、前記プレート検知部よりも前記連結ピンを進行方向前側に位置させて前記搬送台車に進入させる必要が生じる。
【0022】
そこで、上記のごとく、前記係合プレートの外周をなす縁部のうち、前記連結ピンの移動経路上に位置する縁部よりも、前記プレート検知部の移動経路上に位置する縁部を前記係合孔に近く、すなわち前記牽引車側から見て奥まって位置させると共に、前記通路方向の位置が前記連結ピンと同じになるように前記プレート検知部を配置すると良い。
【0023】
このように構成した場合には、前記搬送台車の下側に前記牽引車を進入させる際、前側から前進して進入させても、後ろ側から後退して進入させても、前記連結ピンが前記係合プレートの縁部を超えて完全に内側と対面するように位置した後で、初めて前記プレート検知部が前記係合プレートを検知するように設定できる。
さらに、前記のような段付きの縁部を、前記搬送台車の通路方向の両側に設けることも良い。この場合には、前記搬送台車の下側に前記牽引車を進入させる際、前記通路方向の両側から前記ガイド通路に進入させることができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の自動搬送車及びその連結方法は、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、この搬送台車に連結される牽引車と、を組み合わせた自動搬送車において、搬送台車に対して牽引車を確実性高く容易に連結できる優れた特性の自動搬送車、及びその連結方法である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1における、自動搬送車を示す斜視図。
【図2】実施例1における、牽引車を上方斜め方向から見込む斜視図。
【図3】実施例1における、牽引車を下方斜め方向から見上げるように見込む斜視図。
【図4】実施例1における、駆動ユニットを示す斜視図。
【図5】実施例1における、駆動ユニットを示す上面図。
【図6】実施例1における、連結ピンが突出状態にある連結ユニットを示す側面図。
【図7】実施例1における、連結ピンが後退状態にある連結ユニットを示す側面図。
【図8】実施例1における、搬送台車を示す斜視図。
【図9】実施例1における、搬送台車を示す正面図。
【図10】実施例1における、搬送台車の一部を示す上面図(図8中の破断線Aで切断された下部の上面図。)。
【図11】実施例1における、搬送台車の一部を示す斜視図(図10に対応する斜視図。)。
【図12】実施例1における、搬送台車と牽引車の連結状態を表す模式図。
【図13】実施例1における、自動搬送車のシステム構成を示すブロック図。
【図14】実施例1における、連結処理の流れを示すフローチャート図。
【図15】実施例1における、連結処理が進行する様子を説明する説明図。
【図16】実施例1における、係合プレートに連結ピンが当接したときの連結ユニットを示す側面図。
【図17】実施例1における、自動搬送車が左右方向に移動する様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、図1に示すように、自在車輪18を備え自立可能な搬送台車10と、この搬送台車10に連結される牽引車2と、を組み合わせた自動搬送車1に関する。この自動搬送車1では、搬送台車10側の係合プレート15に穿孔された係合孔150に対して、牽引車2の連結ピン41を挿入することで、両者が連結される。
【0027】
牽引車2は、図1〜図3に示すように、幅広で高さ方向に薄く前後方向に長い低床式の車体20を備えている。車体20の前側の先頭部分には制御ユニット50(図13を参照して後述する。)が格納され、後端部分には電力を貯えるためのバッテリ280が搭載されている。車体20の中間部分には、同軸上に並列配置された2本1組の駆動輪331を備えた駆動ユニット3が前後方向の2箇所に配置されていると共に、搬送台車10を連結するための連結ユニット4が2基の駆動ユニット3の中央に配置されている。
【0028】
車体20前後の下部には、前後方向に突出すると共に内部にバンパースイッチ220(図13参照。)が収容されたバンパー22が設けられている。2箇所の駆動ユニット3の前後方向の中間に当たる底面には、自在車輪よりなる補助輪208が左右両側に取り付けられている。
【0029】
前側の正面201には、操作表示パネル23のほか、通信ユニット25や障害物センサ26等が配設されている。操作表示パネル23には、非常停止スイッチ231、操作スイッチ232、表示ランプ233、LED表示器234(図13参照。)等が配置されている。通信ユニット25は、赤外線通信によりデータを送受信するためのユニットであり、受発光部が前方に突出するように配置されている。障害物センサ26は、周辺の障害物を検知するための赤外線センサ等の検知センサであり、正面201の略中央に配置されている。
【0030】
側面202の下部には、帯状のテープスイッチがゴムチューブ内に挿通配置されたエッジスイッチ27がほぼ全長に渡って配設されている。側面202の後端部には、内部のバッテリ280を充電するための充電端子28が配設されている。また、側面202の略中央には、周辺の障害物を検知する障害物センサ26が配設されている。
【0031】
牽引車2の側面202には、さらに、円盤状のローラ(当接部)210の外周面の一部を外側に向けて突出させるためのローラ窓21が穿孔されている。ローラ窓21は、前後方向の2箇所の位置に、同じ高さで配置されている。ローラ210は、鉛直方向の回転軸(図示略)に軸支された円盤状の回転ローラであり、搬送台車10側のガイドレール13に当接して転動するよう、側面202から外側に一部突出した状態で配設されている。
【0032】
牽引車2では、ローラ窓21等の配置を含めて両側の側面202が同じ仕様で構成されている。車体幅が全長に渡って略一定であると共に、各ローラ210の突出量が全て同じに設定されているので、左右のローラ210の外周面により規定される幅は、前側後ろ側共に共通のガイド幅Wa(図12参照。)となっている。
【0033】
低床式の車体20の上面203の中央付近、前後2箇所の駆動ユニット3の中央に当たる位置には、連結ユニット4の連結ピン41を突出させるための貫通孔241が穿孔されている。また、貫通孔241の横には、連結ユニット4が備えるビームセンサ44(図6を参照して後述する。)の検知窓242が隣り合わせで開口している。貫通孔241と検知窓242とは、前後方向の位置が同じとなっている。
【0034】
駆動ユニット3は、図4及び図5に示すごとく、ブッシュ等を介して車体20側にボルト固定される取付プレート32と、2本1組の駆動輪331を含む旋回部33と、を組み合わせたユニットである。旋回部33は、取付プレート32に貫通保持された回転シャフト330を中心として旋回可能な状態で取付プレート32に固定されている。取付プレート32の上面側に突出する回転シャフト330の端部には、回転シャフト330の旋回角、すなわち駆動輪331の操舵角を検知するための操舵角検知部350が配設されている。
【0035】
旋回部33は、同軸に並列して回転支持された2本の駆動輪331と、これらの駆動輪331に個別に対応し、それぞれ独立に回転制御可能な2基の駆動モータ332と、を備えている。旋回部33の前面には、ガイドラインを検知するためのラインセンサ351が配設されていると共に、ラインセンサ351からオフセットする位置に、ガイドマーカからアドレス情報等を読み取るためのマーカセンサ352が配設されている。
【0036】
駆動ユニット3の各駆動輪331を個別に駆動すると、その回転差に応じて回転シャフト330を中心として旋回部33が旋回し、これにより駆動ユニット3が操舵される。本例の駆動ユニット3では、回転シャフト330が駆動輪331の操舵中心となっており、360度全周をカバーできるように操舵範囲が設定されている。本例の駆動ユニット3では、旋回部33の前面に配設されたラインセンサ351及びマーカセンサ352が常に前進側の正面に位置するように各駆動輪331が制御される。
【0037】
連結ユニット(連結部)4は、側壁が一部省略された図6及び図7に示すごとく、ボックス形状の筐体40を含むユニットである。図6は、連結ピン41が突出した状態を示し、図7は、連結ピン41が後退した状態を示している。連結ユニット4は、円柱状の連結ピン41と、連結ピン41を突出方向に付勢する弦巻バネ(付勢手段)456と、連結ピン41の突出を規制する昇降機構(規制手段)45と、連結ピン41の突出タイミングを検知するために筐体40の上面に取り付けられたビームセンサ(プレート検知部)44と、を備えている。
【0038】
連結ピン41は、筐体40の天板401に固定された円筒状の進退ガイド411に内挿配置され、軸方向に進退可能な状態で保持されている。連結ピン41の後端面には、軸方向に沿うように穿孔されたバネ孔(図示略)が開口していると共に、外周側に張り出すように平板状のプレート458が固定されている。連結ピン41は、上端部が基部411のバネ孔に内挿されると共に、筐体40の底面から立設された支持軸431に下端部が外挿された弦巻バネ456により、突出方向に付勢されている。
【0039】
ビームセンサ44は、赤外線を発光する投光器と、赤外線を検知する受光器とを備えた近接センサである。赤外線を発光中のビームセンサ44に係合プレート15が近接すると、係合プレート15の表面で反射された赤外線が受光器により検知される。ビームセンサ44は、受光器による赤外線の検知に応じて、係合プレート15を検知する。
【0040】
連結ユニット4が牽引車2(図2)に取り付けられた状態では、車体20の上面203に穿孔された貫通孔241を介して連結ピン41が上方に突出可能となっている。ビームセンサ44は、貫通孔241の横に隣り合わせで開口する検知窓242を介して、連結ピン41の挿入対象である後述の係合プレート15(図11、図12等。)を検知可能となっている。さらに、取り付け状態の連結ユニット4では、連結ピン41とビームセンサ44とが牽引車2の前後方向における同じ位置に隣り合わせで配置されている。ビームセンサ44を備えた本例の連結ユニット4は、連結ピン41の突出方向に係合プレート15がある対面状態か否かを判定する状態判定手段としての機能を備えている。
【0041】
昇降機構45は、連結ピン41を昇降させるための昇降モータ452、昇降モータ452の回転を連結ピン41の直線的な動きに変換するためのカム454、及び連結ピン41の後端面に固定されたプレート458等により構成されている。カム454は、昇降モータ452の回転軸453から偏芯して、その軸方向に突出するように配設されている。このように配設されたカム454は、回転軸453の回転に応じて回転軸453回りの周回運動を行うことになる。一方、プレート458は、周回運動に応じて水平方向(図6及び図7の紙面を貫通する方向)に進退するカム454に常時、係合できるよう、昇降モータ452側に張り出す部分が水平方向に幅広く形成されている。昇降機構45では、プレート458に係合するカム454により、連結ピン41の突出位置が規制されている。
【0042】
連結ユニット4では、弦巻バネ456の付勢力により連結ピン41が上方に向けて付勢された状態にある。連結ピン41の先端側に障害物がなければ、カム454に対してプレート458が当接するか、プレート458が進退ガイド411の端面に当接する位置まで、連結ピン41が突出することになる。この状態で、昇降モータ452を回転させると、カム454の周回運動のうち、水平方向の動きの成分がプレート458の表面に沿うカム454の進退動作によって吸収され、残りの鉛直方向(軸方向)の動きにより連結ピン41が軸方向に進退することになる。
【0043】
筐体40の内部には、連結ピン41が係合孔150に挿入され得る突出位置である貫通位置を検知するためのリミットスイッチ459が取り付けられている。このリミットスイッチ459は、連結ピン41の後端面に固定されたプレート458の上限位置に対応するよう、筐体40の内部に固定されている。このリミットスイッチ459によれば、係合孔150に貫通ピン41が挿入されたことを検知可能である。
【0044】
搬送台車10は、図8及び図9に示すごとく、前後方向に長い直方体の外形状を呈するフレーム構造の台車である。このフレーム構造は、前後方向に沿う一対の側壁部11を相互に対面させ、対面方向に渡された連結パイプ115、116により相互に固定した構造を呈している。側壁部11は、鉛直方向に立設された両側2本のメインシャフト110と、この2本のメインシャフト110に対して水平方向に渡された数本の連結パイプ111、112と、により形成されている。
【0045】
前後方向の前側に位置する2本のメインシャフト110に対して、上段及び下段の2本の連結パイプ115、116が固定され、後ろ側に位置する2本のメインシャフト110に対しても、同様に、上段及び下段の2本の連結パイプ115、116が固定されている。また、4本のメインシャフト110の下端には、それぞれ、牽引される方向に応じて自在に旋回可能な自在車輪18が取り付けられている。搬送台車10は、4個の自在車輪18によって自立できると共に、床面に沿って全方向に移動できるようになっている。
【0046】
前側の上段の連結パイプ115と、後ろ側の上段の連結パイプ115と、の間には、2列のローラコンベア117が渡されている。下段の連結パイプ116についても同様に2列のローラコンベア117が渡されている。ここで、ローラコンベア117に傾斜を与えるため、前側の上段の連結パイプ115と後ろ側の上段の連結パイプ115とは、その取り付け高さが僅かに異なっている。下段の連結パイプ116についても同様に、前側と後ろ側とで取り付け高さが僅かに異なっている。ローラコンベア117に載置されたワーク(図示略)は、その傾斜方向下側に向けて移動し、隙間無く積載されることになる。なお、下段の連結パイプ116は、牽引車2を潜り込ませるだけの高さを確保できるよう、床面から高い位置に取り付けられている。
【0047】
側壁部11を構成する前後方向の連結パイプのうち、最下段に位置する各連結パイプ112には、細長い平板状のガイドレール(ガイド部)13と、細長いパイプよりなるタッチバー12と、が取り付けられている。さらに、両側の側壁部11の最下段の2本の連結パイプ112の間には、係合プレート(係合部)15を固定するためのステー119が対面方向に渡されている。
【0048】
タッチバー12は、連結パイプ112の全長とほぼ同じ長さの筒状のパイプであり、連結パイプ112と平行をなすように取付アーム120を介して側壁部11の外側に取り付けられている。取付アーム120を介して取り付けられたタッチバー12は、外力が作用した際、内側に押し込まれるようになっている。外力が作用しない状態では、所定位置に位置するように常時、外側に向けて付勢されている。
【0049】
タッチバー12の両端部には、牽引車2のエッジスイッチ27に対応するよう、下方に向けて延設されたヒットアーム121が取り付けられている。搬送台車10が牽引車2に連結された状態(図1参照。)で、何らかの障害物がタッチバー12に接触すると、タッチバー12の押し込みに応じてヒットアーム121がエッジスイッチ27を叩くことになる。これにより、本例の自動搬送車1は、側方からタッチバー12に接触した障害物を検知可能である。
【0050】
ガイドレール13は、図8〜図12に示すごとく、搬送台車10の全長をわずかに超える細長い平板状の部材であり、搬送台車10の前後方向に沿って側壁部11の内側に取り付けられている。なお、図10は、メインシャフト110を図8中のAの位置で切断して搬送台車10の下部を示す上面図であり、図11は、この部分の斜視図である。図12は、搬送台車10と牽引車2との連結状態を表す模式図である。
【0051】
ガイドレール13は、牽引車2のローラ210の設置高さと同じ高さの取付位置に、取付ステー138を介して固定されている。ガイドレール13は、側壁部11との隙間が一定の中間部130と、側壁部11との隙間が先端に近づくにつれて次第に小さくなる両端部132と、を備えている。ガイドレール13は、一対の側壁部11にそれぞれ取り付けられ、他方のガイドレール13と対面するように取り付けられている。
【0052】
中間部130は、牽引車2の側面202に配設された2箇所のローラ210の配設範囲をカバーできるように形成されている。相互に対面する中間部130は、牽引車のガイド幅Wa(図12参照。)を僅かに超える程度の間隔を空けて対面している。相互に対面する中間部130は、左右方向における牽引車2の相対位置の変動を所定の範囲内に規制しつつ、牽引車2を前後方向に進退させ得る通路幅Wbのガイド通路131(図10中の範囲A)を形成している。一方、相互に対面する両端部132は、前後方向に向けて末広がりの形状を呈している。この末広がり形状は、搬送台車10の下側に牽引車2を潜り込ませる際、牽引車2との接触に応じて搬送台車10の相対的な位置を自動調整するための進入路133(図10中の範囲B)を形成している。
【0053】
係合プレート15は、図8〜図12に示すごとく、中央付近に係合孔150が貫通する略矩形平板状の部材である。この係合プレート15は、一対の側壁部11の連結パイプ112間に渡されたステー119により、搬送台車10の下面における中央付近に吊り下げられ、床面と対面する状態で固定されている。なお、図10及び図12では、ステー119を省略してある。
【0054】
略矩形状の係合プレート15は、その長手方向が搬送台車10の前後方向に沿うように配設されている。係合プレート15のうち、一方の側壁部11側の2箇所の角に当たる位置には、角を欠落させたような略矩形状の切欠部151が形成されている。この欠落部151は、ガイド通路131に沿って牽引車2が進退する際のビームセンサ44の移動経路上に位置するように設けられている。
【0055】
係合プレート15の通路方向に面する縁部のうち、切欠部151に面する縁部155と、それ以外の縁部157との間には段差が形成されている。すなわち、ガイド通路131に沿って牽引車2が移動する際にビームセンサ44の移動経路上に位置する縁部155は、通路方向において、連結ピン41の移動経路上に位置する縁部157よりも係合孔150に近く位置している。連結前の牽引車2側から見れば、縁部155の方が縁部157よりも通路方向に奥まって位置している。本例の係合プレート15では、通路方向の両側に切欠部151が形成されているため、ガイド通路131の通路方向両側のうちのいずれから牽引車2が進入してくるかに関わらず、縁部155が奥まって位置している。
【0056】
一方、前記のごとく、牽引車2では、連結ピン41とビームセンサ44とが、前後方向における位置が同じとなるよう、左右方向に隣り合わせて配置されている。それ故、ガイド通路131の通路方向に沿って牽引車2が移動してきたとき、ビームセンサ44が縁部155に到達するよりも早く、連結ピン41が縁部157に到達することになる。したがって、ビームセンサ44により検知プレート15が検知される位置まで牽引車2が移動したときには、連結ピン41が検知プレート15の下側に完全に入り込み、既に、連結ピン41の先端面が検知プレート15の下面の内側と対面した状態が実現されている。
【0057】
係合孔150は、牽引車2の連結ピン41を挿入するための孔である。係合孔150は、左右方向に長い長孔形状を呈している。係合孔150の前後方向の幅は、連結ピン41を挿入可能な程度に狭く設定されている。一方、係合孔150の左右方向の幅は、いずれのガイドレール13に対して牽引車2が押し付けられても、長孔形状の端部が連結ピン41の外周側面に当接しないように十分に長く形成されている。
【0058】
次に、牽引車2の内部システムは、図13に示すごとく構成されている。システムを制御する制御ユニット50に対しては、2基の駆動ユニット3及び連結ユニット4のほか、バンパースイッチ220、障害物センサ26、非常停止スイッチ231、操作スイッチ232、表示ランプ233、LED表示器234、スピーカ235、通信ユニット25等が電気的に接続されている。
【0059】
制御ユニット50は、各種のスイッチ等と信号のやり取りをするためのインターフェースであるI/F回路55と、駆動ユニット3及び連結ユニット4に向けて各種の制御信号を出力する主制御回路51と、を備えている。
【0060】
駆動ユニット3の内部的な構成は、大まかに、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて駆動輪331(図4参照。)を駆動する駆動部31と、各種センサの検知信号を取り込んで制御ユニットに送信する検知部35と、に区分けされる。駆動部31は、駆動モータ332を含む車輪ユニット310と、駆動モータ332を制御するモータドライバ315と、を含んで構成されている。モータドライバ315は、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて駆動モータ332の回転を制御する。
【0061】
検知部35は、床面に敷設されたガイドラインを検知するラインセンサ351、ガイドマーカからデータを読み取るマーカセンサ352、及び駆動輪331の操舵角を検知する操舵角検知部350等の検知手段のほか、制御ユニット50に対して検知信号等を送信する際のインターフェースとなるI/F回路38を備えている。
【0062】
連結ユニット4は、内部的な構成として、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて昇降モータ452を回転駆動するモータドライバ451と、ビームセンサ44の検知信号を取り込んで制御ユニット50に送信するI/F回路48と、を備えている。本例のモータドライバ451は、昇降モータ452の回転角を直接、制御可能である。
【0063】
以上のように構成された本例の自動搬送車1において、牽引車2に搬送台車10を連結する手順について、図14〜図16を用いて説明する。図14は、連結処理のフローチャートであり、図15は、連結処理が進行する様子を説明するための説明図である。図16は、連結ピン41の突出後、係合孔150への挿入前の連結ユニット4を示す図である。
【0064】
図14に示すごとく、牽引車2を搬送台車10に連結するに当たっては、搬送台車10の進入路133に牽引車2を誘導するための図示しないガイドラインに沿って牽引車2を移動させる。まず、図15(A)に示すごとく牽引車2が進入路133に差し掛かる位置に対応するように床面に敷設された図示しない進入位置マーカ(ガイドマーカ)の検知を判断する(ステップS101)。マーカセンサ352が進入位置マーカを検知するまでは(ステップS101:No)、ガイドラインに沿った通常移動を実行する。一方、進入位置マーカが検知された場合には(ステップS101:Yes)、連結モードに切り換え、牽引車2を減速する(ステップS102)。
【0065】
ビームセンサ44により係合プレート15が検知されて対面状態と判定されるまで(状態判定ステップ、ステップS103:No)、そのまま、連結モード下の減速状態で牽引車2を移動させる(第1の移動ステップ)。このときの搬送台車10と牽引車2との位置関係は、図15(B)のごとく、ガイド通路131を形成するガイドレール13の中間部130とローラ210との組み合わせにより、左右方向(図15中の上下方向)における牽引車2の相対位置の変動が規制された状態にある。
【0066】
その後、係合プレート15が検知された場合には(ステップS103:Yes)、連結ピン41が突出方向において係合プレート15に対面する対面状態と判定し、昇降モータ452を制御して連結ピン41を突出させる(突出ステップ、ステップS104)。このときの搬送台車10と牽引車2との位置関係は、図15(C)のごとく、ビームセンサ44が切欠部151に面する縁部155を超える位置まで牽引車2が移動し、これにより、連結ピン41が縁部157を超えて完全に係合プレート15の内側に対面する位置まで入り込んだ状態となっている。それ故、図16に示すごとく、突出方向に付勢された連結ピン41は、その先端面が係合プレート15の下面と当接する中間的な突出状態となる。
【0067】
連結モード下の減速状態の牽引車2の移動は、係合孔150に連結ピン41が挿入されるまで継続される(第2の移動ステップ、ステップS105:No)。そうすると、図16に示す中間的な突出状態の連結ピン41が、次第に係合孔150に近づいていくことになる。その後、図15(D)のごとく連結ピン41が係合孔150の位置に達したときに、弦巻バネ456の付勢力により連結ピン41がさらに突出して係合孔150に挿入されることになる。
【0068】
リミットスイッチ459により係合孔150への連結ピン41の挿入が検知されたとき(ステップS105:Yes)、牽引車2を停止して一連の連結処理を完了する。これにより、搬送台車10に牽引車2が連結され、牽引車2の移動に応じて搬送台車10を従動させて牽引できるようになる。
【0069】
以上のように構成された本例の自動搬送車1では、係合孔150の手前の位置で連結ピン41を突出させ、係合プレート15に当接する突出状態を維持しながら牽引車2をさらに移動させることで、係合孔150への連結ピン41の挿入を確実性高く実現できる。連結ピン41を係合孔150に挿入するに当たって、係合孔150と連結ピン41との位置合わせを高い精度で実現する必要がないので、位置制御が容易となっている。また、本例の自動搬送車1では、連結に当たって高精度な位置制御が必要なくなるため、位置合わせや位置計測のセンサ数を少なくできたり、各センサに要求される検知精度を抑制できるようになる。
【0070】
さらに、本例の自動搬送車1では、左右方向に移動する際には、図17に示すごとく、牽引車2の一方の側面の2箇所のローラ210を対面するガイドレール13に当接させて押し出すようにして搬送台車20が牽引される。このとき、連結ピン41が係合孔150の長手方向の端部の手前に位置するよう、係合孔150が左右方向の長孔状に形成されている。本例の係合孔150では、左右方向の端部が必須ではないので、左右方向のスリット状の係合孔を挟んで前後方向に2分割された係合プレートを採用することもできる。このような2分割構造の係合プレートでは、左右方向の端部がなく係合プレートの左右方向両側に開口する係合孔が形成される。本例と同様、スリット状の係合孔に対する連結ピン41の挿入により、搬送台車10に牽引車2を連結可能である。本発明における係合孔は、必ずしも外周を全て囲まれた孔でなくても良く、一部が外周側に開口する不完全な孔であっても良い。
【0071】
また、係合孔150を左右方向に長く形成するほど、ガイド通路131の通路方向に沿って牽引車2が移動する際、連結ピン41の移動経路上に確実に係合孔150が位置するようになる。通路方向に沿った牽引車2の移動中に連結ピン41を係合孔150に挿入する本発明において、係合孔150を長孔状に形成することは確実性高く連結を完了するという目的に対して非常に有効である。
【0072】
なお、本例では、プレート検知部としてのビームセンサ44を備えた状態判定手段を採用した例である。状態判定手段としては、突出方向において連結ピン41が係合プレート15に対面する対面状態であるか否か、を判定できれば良い。本例では、ビームセンサ44を用いて直接的に係合プレート15を検知したが、これに代えて、連結ピン41が完全に係合プレート15に対面する位置に対応してガイドマーカ等を敷設することも良い。この場合には、マーカセンサ352を利用して状態判定手段を構成することができる。
【0073】
なお、本例では、牽引車2を進入させる前後方向に沿って長い直方体の外形状を呈する搬送台車10を採用している。これに代えて、搬送台車を上方から見た長方形の短辺方向に、牽引車2を進入させる前後方向を設定することもできる。この場合には、ガイド通路131の幅に対して、ワークを積載するエリアの幅を広く確保できるようになる。
【0074】
以上、実施例1のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0075】
1 自動搬送車
10 搬送台車
11 側壁部
12 タッチバー
13 ガイドレール(ガイド部)
131 ガイド通路
133 進入路
15 係合プレート
150 係合孔
18 自在車輪
2 牽引車
20 車体
210 ローラ(当接部)
3 駆動ユニット
33 旋回部
331 駆動輪
351 ラインセンサ
352 マーカセンサ
4 連結ユニット
41 連結ピン
44 ビームセンサ(プレート検知部)
45 昇降機構
456 弦巻バネ
50 制御ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、この搬送台車に連結される牽引車と、を組み合わせた自動搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、工場内に予め設定された所定ルートに沿って自走可能な牽引車に、自在車輪を備えた搬送台車を組み合わせた自動搬送車が知られている。牽引車は、駆動用のモータやバッテリ等を備えているほか、床面に敷設された磁気テープ等のガイドラインを検知するための検知センサ等を備えている。このような牽引車に搬送台車を連結すれば、ワークを積載した搬送台車を所定ルートに沿って移動させることができる。さらに、このような自動搬送車としては、搬送台車の下側に潜り込み、連結ピン等を介して搬送台車に連結可能な低床式の牽引車を含む自動搬送車が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、鉛直方向上方へ突出可能な連結ピンを備えた牽引車と、連結ピンを受け入れるために鉛直方向下方に開口する係合孔を備えた搬送台車と、の組み合わせによる自動搬送車が記載されている。搬送台車に連結された状態で牽引車を自走させれば、連結ピンを介して搬送台車に移動方向の力を伝達して従動させることができる。搬送台車に牽引車を連結するに当たっては、まず、係合孔と貫通ピンの位置が合致するように牽引車を位置させた後、貫通ピンを突出させて係合孔に挿入する必要がある。
【0004】
しかしながら、前記従来の自動搬送車では、次のような問題がある。すなわち、連結するに当たって搬送台車に対する牽引車の相対位置の調整が十分でないと、係合孔に連結ピンを挿入できない等のトラブルが発生するおそれがある。このようなトラブルを確実性高く回避しようとすると、位置合わせや位置計測のためのセンサ数の増加や、各センサに要求される検知精度の高精度化や、牽引車の位置制御を実現するための制御仕様の複雑化等に起因して製品コストが上昇するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−113650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、この搬送台車に連結される牽引車と、を組み合わせた自動搬送車において、搬送台車に対して牽引車を確実性高く連結できる優れた特性の自動搬送車、及びその連結方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自動搬送車は、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、該搬送台車の下側に潜り込んで連結される牽引車と、を組み合わた自動搬送車であって、
前記搬送台車は、前記牽引車を連結するための係合孔を含む係合プレートと、前記牽引車が下側に潜り込む際に進退可能なガイド通路と、を有し、
前記牽引車は、前記係合孔に挿入され得る貫通位置まで軸方向に突出可能な連結ピンと、前記貫通位置に向けて前記連結ピンを付勢する付勢手段と、前記連結ピンの突出を規制する規制手段と、前記連結ピンが突出方向において前記係合プレートと対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定手段と、を有し、
前記係合孔が、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記連結ピンの移動経路上に位置しており、
前記規制手段は、前記状態判定手段により前記対面状態と判定されたとき、前記連結ピンが突出するように規制を解除する手段である自動搬送車である(請求項1)。
【0008】
また、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、該搬送台車が下側に潜り込んで連結される牽引車と、の組み合わせによる自動搬送車について、
前記牽引車を連結するための係合孔を含む係合プレートと、前記牽引車が下側に潜り込む際に進退可能なガイド通路と、を備えた前記搬送台車に対して、
前記係合孔に挿入され得る貫通位置まで軸方向に突出可能な連結ピンと、前記貫通位置に向けて前記連結ピンを付勢する付勢手段と、前記連結ピンの突出を規制する規制手段と、前記連結ピンが突出方向において前記係合プレートと対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定手段と、を備え、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際に前記連結ピンが前記係合孔に挿入可能となる位置を通過する前記牽引車を、
連結するための自動搬送車の連結方法であって、
前記規制手段により前記連結ピンの突出が規制された状態で、前記ガイド通路に沿って前記牽引車を移動させる第1の移動ステップと、
前記対面状態であるか否かを判定する状態判定ステップと、
前記状態判定ステップにおいて前記対面状態と判定されたときに、前記連結ピンが突出するように前記規制手段による規制を解除する突出ステップと、
前記付勢手段により付勢された前記連結ピンの先端が前記係合プレートに当接する状態を維持しながら、前記連結ピンが前記係合孔に挿入可能となる位置に到達するまで前記牽引車を前記ガイド通路の通路方向に沿って移動させる第2の移動ステップと、を実行する自動搬送車の連結方法である(請求項5)。
【0009】
本発明の自動搬送車及びその連結方法における牽引車は、前記連結ピンを突出方向に付勢する前記付勢手段、及び前記連結ピンの突出を規制する前記規制手段のほか、前記対面状態か否かを判定する前記状態判定手段を備えている。前記牽引車では、突出方向において前記連結ピンが前記係合プレートに対面する前記対面状態と判定されたとき、前記規制手段による規制が解除されて前記連結ピンが突出する。前記対面状態下で前記連結ピンが突出しても、その突出方向に対面する前記係合プレートにより突出が阻害されるため、前記係合孔の位置に合致しない限り前記貫通位置まで突出することができない。前記付勢手段により付勢された前記連結ピンは、前記係合プレートに当接する中間的な突出状態となる。
【0010】
一方、本発明の自動搬送車及びその連結方法における搬送台車が備えるガイド通路は、その通路方向に沿って前記牽引車が移動する際、前記連結ピンの移動経路上に前記係合孔が位置するように形成されている。そのため、前記規制手段による規制が解除された後は、前記ガイド通路に沿う前記牽引車の移動に応じて、前記係合プレートに当接する突出状態の前記連結ピンが次第に前記係合孔に近づいていくことになる。前記連結ピンが前記係合孔に到達すれば、前記貫通位置まで前記連結ピンを突出させようとする前記付勢手段の作用により前記連結ピンが前記係合孔に挿入されることになる。
【0011】
本発明の自動搬送車及びその連結方法では、前記係合孔の手前の位置で前記連結ピンを突出させ、前記係合プレートに当接する突出状態を維持しながら前記ガイド通路に沿って前記牽引車をさらに移動させることで、前記係合孔への前記連結ピンの挿入を確実性高く実現できる。前記連結ピンを前記係合孔に挿入する前に、前記係合孔と前記連結ピンとを高精度に位置合わせする必要がないので、連結する際の位置制御が非常に容易である。連結する際に必要な位置精度を抑制できれば、位置合わせや位置計測のセンサ数を少なくできたり、各センサに要求される検知精度を抑制できるようになり、コスト低減を実現できる。
【0012】
本発明の自動搬送車及びその連結方法における対面状態とは、前記係合プレートに対して前記連結ピンの先端が対面する状態を意味している。ここで、前記係合プレートは、前記係合孔を含む部材である。したがって、前記対面状態とは、前記連結ピンを突出させたときに前記係合プレートに当接する状態だけでなく、前記連結ピンを突出させたときに前記係合孔にそのまま挿入される状態を包含する概念である。
【0013】
本発明の自動搬送車において、前記搬送台車が備える前記ガイド通路は、前記通路方向に沿って並列して延設された二本一対のガイド部材が、前記牽引車を進退させ得る程度の間隔を空けて左右方向に相互に対面して形成され、当該左右方向における前記牽引車の相対位置の変動を規制可能な通路であることが好ましい(請求項2)。
【0014】
この場合には、前記ガイド通路に沿って前記牽引車を移動させる際、前記搬送台車に対する前記牽引車の前記左右方向の相対位置の変動を抑制できるようになる。前記左右方向の相対位置の変動を抑制すれば、前記連結ピンの移動経路上から前記係合孔が外れてしまうおそれを未然に回避できる。前記ガイド通路に沿う前記牽引車の移動過程において、前記連結ピンが確実性高く前記係合孔の位置に到達できるようになり、前記係合孔への前記連結ピンの挿入を一層、確実性高く実現できるようになる。
【0015】
また、前記二本一対のガイド部材は、前記ガイド通路の通路方向の少なくともいずれか一方に隣接して、当該ガイド通路から離れた位置ほど前記左右方向の間隔が広くなるように拡開する末広がり形状の進入路を形成しており、
前記牽引車は、ガイド部材との当接に応じて転動可能なローラを前記二本一対のガイド部材に対応できるように両側面に備えていることが好ましい(請求項3)。
【0016】
この場合には、前記搬送台車の下側に前記牽引車を潜り込ませるに当たって、末広がり形状の前記進入路から前記牽引車を進入させることができる。末広がり形状の前記進入路であれば、前記牽引車の進入経路に多少の誤差があっても、前記ガイド部と前記牽引車との接触に応じて前記搬送台車の相対的な位置を自動的に調整できる。このように進入経路の誤差を吸収できれば、前記ガイド通路に直接、前記牽引車を進入させる場合と比較して、前記搬送台車の下側に前記牽引車を潜り込ませる際に要求される位置精度を格段に抑制できる。要求される位置精度が低くなれば、前記搬送台車に対して前記牽引車を連結する際の制御が容易となる。
【0017】
さらに、前記ローラによれば、前記進入路から前記牽引車が進入する際に前記ガイド部と接触して発生する接触抵抗を低減でき、前記進入路を介して前記牽引車を滑らかに進入させることができるようになる。
なお、前記ガイド通路に対して前後方向の両側に前記進入路を配設することも良い。この場合には、前後方向両側から前記牽引車を比較的容易に進入させることができるようになる。
【0018】
本発明の自動搬送車及びその連結方法において、前記状態判定手段は、前記連結ピンと前記通路方向の位置が同じになるように当該連結ピンと隣り合う位置に、前記係合プレートを検知するためのプレート検知部を備え、当該プレート検知部により前記係合プレートが検知された場合に前記対面状態と判定し、
前記係合プレートの外周をなす縁部のうち、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記プレート検知部の移動経路上に位置する縁部が、前記連結ピンの移動経路上に位置する縁部よりも前記通路方向において前記係合孔に近く位置していることが好ましい(請求項4、6)。
【0019】
仮に、前記係合プレートに対面していない状態で前記連結ピンを突出させてしまった場合には、前記係合プレートに当接することなく、そのまま前記貫通位置まで突出してしまうことになる。そして、前記貫通位置まで突出した前記連結ピンは、その外周側面が前記係合プレートの外周側面と干渉することになるため、一旦、軸方向に後退させない限り、前記係合孔の位置に到達できなくなる。
【0020】
このようなトラブルを未然に回避するためには、前記連結ピンが前記係合プレートの縁部を超えて完全に内側と対面するようになった後で、前記対面状態と判定されるように設定できれば良い。前記プレート検知部を備えた前記検知手段の場合では、前記連結ピンが前記係合プレートの縁部を超えて完全に内側と対面するように位置した後で、初めて前記プレート検知部が前記係合プレートを検知するように設定できれば良い。
【0021】
例えば、前記牽引車の進行方向において、前記連結ピンよりも後ろ側に前記プレート検知部を配置すれば、前記係合プレートの縁部を超えて内側と対面するようになった後で、初めて前記プレート検知部が前記係合プレートを検知するようになる。この構成によっても一定の効果が得られるものの、前記搬送台車の下側に前記牽引車に潜り込ませるように進入させる際の進行方向が一方向に限定されてしまい、常に、前記プレート検知部よりも前記連結ピンを進行方向前側に位置させて前記搬送台車に進入させる必要が生じる。
【0022】
そこで、上記のごとく、前記係合プレートの外周をなす縁部のうち、前記連結ピンの移動経路上に位置する縁部よりも、前記プレート検知部の移動経路上に位置する縁部を前記係合孔に近く、すなわち前記牽引車側から見て奥まって位置させると共に、前記通路方向の位置が前記連結ピンと同じになるように前記プレート検知部を配置すると良い。
【0023】
このように構成した場合には、前記搬送台車の下側に前記牽引車を進入させる際、前側から前進して進入させても、後ろ側から後退して進入させても、前記連結ピンが前記係合プレートの縁部を超えて完全に内側と対面するように位置した後で、初めて前記プレート検知部が前記係合プレートを検知するように設定できる。
さらに、前記のような段付きの縁部を、前記搬送台車の通路方向の両側に設けることも良い。この場合には、前記搬送台車の下側に前記牽引車を進入させる際、前記通路方向の両側から前記ガイド通路に進入させることができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の自動搬送車及びその連結方法は、自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、この搬送台車に連結される牽引車と、を組み合わせた自動搬送車において、搬送台車に対して牽引車を確実性高く容易に連結できる優れた特性の自動搬送車、及びその連結方法である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1における、自動搬送車を示す斜視図。
【図2】実施例1における、牽引車を上方斜め方向から見込む斜視図。
【図3】実施例1における、牽引車を下方斜め方向から見上げるように見込む斜視図。
【図4】実施例1における、駆動ユニットを示す斜視図。
【図5】実施例1における、駆動ユニットを示す上面図。
【図6】実施例1における、連結ピンが突出状態にある連結ユニットを示す側面図。
【図7】実施例1における、連結ピンが後退状態にある連結ユニットを示す側面図。
【図8】実施例1における、搬送台車を示す斜視図。
【図9】実施例1における、搬送台車を示す正面図。
【図10】実施例1における、搬送台車の一部を示す上面図(図8中の破断線Aで切断された下部の上面図。)。
【図11】実施例1における、搬送台車の一部を示す斜視図(図10に対応する斜視図。)。
【図12】実施例1における、搬送台車と牽引車の連結状態を表す模式図。
【図13】実施例1における、自動搬送車のシステム構成を示すブロック図。
【図14】実施例1における、連結処理の流れを示すフローチャート図。
【図15】実施例1における、連結処理が進行する様子を説明する説明図。
【図16】実施例1における、係合プレートに連結ピンが当接したときの連結ユニットを示す側面図。
【図17】実施例1における、自動搬送車が左右方向に移動する様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、図1に示すように、自在車輪18を備え自立可能な搬送台車10と、この搬送台車10に連結される牽引車2と、を組み合わせた自動搬送車1に関する。この自動搬送車1では、搬送台車10側の係合プレート15に穿孔された係合孔150に対して、牽引車2の連結ピン41を挿入することで、両者が連結される。
【0027】
牽引車2は、図1〜図3に示すように、幅広で高さ方向に薄く前後方向に長い低床式の車体20を備えている。車体20の前側の先頭部分には制御ユニット50(図13を参照して後述する。)が格納され、後端部分には電力を貯えるためのバッテリ280が搭載されている。車体20の中間部分には、同軸上に並列配置された2本1組の駆動輪331を備えた駆動ユニット3が前後方向の2箇所に配置されていると共に、搬送台車10を連結するための連結ユニット4が2基の駆動ユニット3の中央に配置されている。
【0028】
車体20前後の下部には、前後方向に突出すると共に内部にバンパースイッチ220(図13参照。)が収容されたバンパー22が設けられている。2箇所の駆動ユニット3の前後方向の中間に当たる底面には、自在車輪よりなる補助輪208が左右両側に取り付けられている。
【0029】
前側の正面201には、操作表示パネル23のほか、通信ユニット25や障害物センサ26等が配設されている。操作表示パネル23には、非常停止スイッチ231、操作スイッチ232、表示ランプ233、LED表示器234(図13参照。)等が配置されている。通信ユニット25は、赤外線通信によりデータを送受信するためのユニットであり、受発光部が前方に突出するように配置されている。障害物センサ26は、周辺の障害物を検知するための赤外線センサ等の検知センサであり、正面201の略中央に配置されている。
【0030】
側面202の下部には、帯状のテープスイッチがゴムチューブ内に挿通配置されたエッジスイッチ27がほぼ全長に渡って配設されている。側面202の後端部には、内部のバッテリ280を充電するための充電端子28が配設されている。また、側面202の略中央には、周辺の障害物を検知する障害物センサ26が配設されている。
【0031】
牽引車2の側面202には、さらに、円盤状のローラ(当接部)210の外周面の一部を外側に向けて突出させるためのローラ窓21が穿孔されている。ローラ窓21は、前後方向の2箇所の位置に、同じ高さで配置されている。ローラ210は、鉛直方向の回転軸(図示略)に軸支された円盤状の回転ローラであり、搬送台車10側のガイドレール13に当接して転動するよう、側面202から外側に一部突出した状態で配設されている。
【0032】
牽引車2では、ローラ窓21等の配置を含めて両側の側面202が同じ仕様で構成されている。車体幅が全長に渡って略一定であると共に、各ローラ210の突出量が全て同じに設定されているので、左右のローラ210の外周面により規定される幅は、前側後ろ側共に共通のガイド幅Wa(図12参照。)となっている。
【0033】
低床式の車体20の上面203の中央付近、前後2箇所の駆動ユニット3の中央に当たる位置には、連結ユニット4の連結ピン41を突出させるための貫通孔241が穿孔されている。また、貫通孔241の横には、連結ユニット4が備えるビームセンサ44(図6を参照して後述する。)の検知窓242が隣り合わせで開口している。貫通孔241と検知窓242とは、前後方向の位置が同じとなっている。
【0034】
駆動ユニット3は、図4及び図5に示すごとく、ブッシュ等を介して車体20側にボルト固定される取付プレート32と、2本1組の駆動輪331を含む旋回部33と、を組み合わせたユニットである。旋回部33は、取付プレート32に貫通保持された回転シャフト330を中心として旋回可能な状態で取付プレート32に固定されている。取付プレート32の上面側に突出する回転シャフト330の端部には、回転シャフト330の旋回角、すなわち駆動輪331の操舵角を検知するための操舵角検知部350が配設されている。
【0035】
旋回部33は、同軸に並列して回転支持された2本の駆動輪331と、これらの駆動輪331に個別に対応し、それぞれ独立に回転制御可能な2基の駆動モータ332と、を備えている。旋回部33の前面には、ガイドラインを検知するためのラインセンサ351が配設されていると共に、ラインセンサ351からオフセットする位置に、ガイドマーカからアドレス情報等を読み取るためのマーカセンサ352が配設されている。
【0036】
駆動ユニット3の各駆動輪331を個別に駆動すると、その回転差に応じて回転シャフト330を中心として旋回部33が旋回し、これにより駆動ユニット3が操舵される。本例の駆動ユニット3では、回転シャフト330が駆動輪331の操舵中心となっており、360度全周をカバーできるように操舵範囲が設定されている。本例の駆動ユニット3では、旋回部33の前面に配設されたラインセンサ351及びマーカセンサ352が常に前進側の正面に位置するように各駆動輪331が制御される。
【0037】
連結ユニット(連結部)4は、側壁が一部省略された図6及び図7に示すごとく、ボックス形状の筐体40を含むユニットである。図6は、連結ピン41が突出した状態を示し、図7は、連結ピン41が後退した状態を示している。連結ユニット4は、円柱状の連結ピン41と、連結ピン41を突出方向に付勢する弦巻バネ(付勢手段)456と、連結ピン41の突出を規制する昇降機構(規制手段)45と、連結ピン41の突出タイミングを検知するために筐体40の上面に取り付けられたビームセンサ(プレート検知部)44と、を備えている。
【0038】
連結ピン41は、筐体40の天板401に固定された円筒状の進退ガイド411に内挿配置され、軸方向に進退可能な状態で保持されている。連結ピン41の後端面には、軸方向に沿うように穿孔されたバネ孔(図示略)が開口していると共に、外周側に張り出すように平板状のプレート458が固定されている。連結ピン41は、上端部が基部411のバネ孔に内挿されると共に、筐体40の底面から立設された支持軸431に下端部が外挿された弦巻バネ456により、突出方向に付勢されている。
【0039】
ビームセンサ44は、赤外線を発光する投光器と、赤外線を検知する受光器とを備えた近接センサである。赤外線を発光中のビームセンサ44に係合プレート15が近接すると、係合プレート15の表面で反射された赤外線が受光器により検知される。ビームセンサ44は、受光器による赤外線の検知に応じて、係合プレート15を検知する。
【0040】
連結ユニット4が牽引車2(図2)に取り付けられた状態では、車体20の上面203に穿孔された貫通孔241を介して連結ピン41が上方に突出可能となっている。ビームセンサ44は、貫通孔241の横に隣り合わせで開口する検知窓242を介して、連結ピン41の挿入対象である後述の係合プレート15(図11、図12等。)を検知可能となっている。さらに、取り付け状態の連結ユニット4では、連結ピン41とビームセンサ44とが牽引車2の前後方向における同じ位置に隣り合わせで配置されている。ビームセンサ44を備えた本例の連結ユニット4は、連結ピン41の突出方向に係合プレート15がある対面状態か否かを判定する状態判定手段としての機能を備えている。
【0041】
昇降機構45は、連結ピン41を昇降させるための昇降モータ452、昇降モータ452の回転を連結ピン41の直線的な動きに変換するためのカム454、及び連結ピン41の後端面に固定されたプレート458等により構成されている。カム454は、昇降モータ452の回転軸453から偏芯して、その軸方向に突出するように配設されている。このように配設されたカム454は、回転軸453の回転に応じて回転軸453回りの周回運動を行うことになる。一方、プレート458は、周回運動に応じて水平方向(図6及び図7の紙面を貫通する方向)に進退するカム454に常時、係合できるよう、昇降モータ452側に張り出す部分が水平方向に幅広く形成されている。昇降機構45では、プレート458に係合するカム454により、連結ピン41の突出位置が規制されている。
【0042】
連結ユニット4では、弦巻バネ456の付勢力により連結ピン41が上方に向けて付勢された状態にある。連結ピン41の先端側に障害物がなければ、カム454に対してプレート458が当接するか、プレート458が進退ガイド411の端面に当接する位置まで、連結ピン41が突出することになる。この状態で、昇降モータ452を回転させると、カム454の周回運動のうち、水平方向の動きの成分がプレート458の表面に沿うカム454の進退動作によって吸収され、残りの鉛直方向(軸方向)の動きにより連結ピン41が軸方向に進退することになる。
【0043】
筐体40の内部には、連結ピン41が係合孔150に挿入され得る突出位置である貫通位置を検知するためのリミットスイッチ459が取り付けられている。このリミットスイッチ459は、連結ピン41の後端面に固定されたプレート458の上限位置に対応するよう、筐体40の内部に固定されている。このリミットスイッチ459によれば、係合孔150に貫通ピン41が挿入されたことを検知可能である。
【0044】
搬送台車10は、図8及び図9に示すごとく、前後方向に長い直方体の外形状を呈するフレーム構造の台車である。このフレーム構造は、前後方向に沿う一対の側壁部11を相互に対面させ、対面方向に渡された連結パイプ115、116により相互に固定した構造を呈している。側壁部11は、鉛直方向に立設された両側2本のメインシャフト110と、この2本のメインシャフト110に対して水平方向に渡された数本の連結パイプ111、112と、により形成されている。
【0045】
前後方向の前側に位置する2本のメインシャフト110に対して、上段及び下段の2本の連結パイプ115、116が固定され、後ろ側に位置する2本のメインシャフト110に対しても、同様に、上段及び下段の2本の連結パイプ115、116が固定されている。また、4本のメインシャフト110の下端には、それぞれ、牽引される方向に応じて自在に旋回可能な自在車輪18が取り付けられている。搬送台車10は、4個の自在車輪18によって自立できると共に、床面に沿って全方向に移動できるようになっている。
【0046】
前側の上段の連結パイプ115と、後ろ側の上段の連結パイプ115と、の間には、2列のローラコンベア117が渡されている。下段の連結パイプ116についても同様に2列のローラコンベア117が渡されている。ここで、ローラコンベア117に傾斜を与えるため、前側の上段の連結パイプ115と後ろ側の上段の連結パイプ115とは、その取り付け高さが僅かに異なっている。下段の連結パイプ116についても同様に、前側と後ろ側とで取り付け高さが僅かに異なっている。ローラコンベア117に載置されたワーク(図示略)は、その傾斜方向下側に向けて移動し、隙間無く積載されることになる。なお、下段の連結パイプ116は、牽引車2を潜り込ませるだけの高さを確保できるよう、床面から高い位置に取り付けられている。
【0047】
側壁部11を構成する前後方向の連結パイプのうち、最下段に位置する各連結パイプ112には、細長い平板状のガイドレール(ガイド部)13と、細長いパイプよりなるタッチバー12と、が取り付けられている。さらに、両側の側壁部11の最下段の2本の連結パイプ112の間には、係合プレート(係合部)15を固定するためのステー119が対面方向に渡されている。
【0048】
タッチバー12は、連結パイプ112の全長とほぼ同じ長さの筒状のパイプであり、連結パイプ112と平行をなすように取付アーム120を介して側壁部11の外側に取り付けられている。取付アーム120を介して取り付けられたタッチバー12は、外力が作用した際、内側に押し込まれるようになっている。外力が作用しない状態では、所定位置に位置するように常時、外側に向けて付勢されている。
【0049】
タッチバー12の両端部には、牽引車2のエッジスイッチ27に対応するよう、下方に向けて延設されたヒットアーム121が取り付けられている。搬送台車10が牽引車2に連結された状態(図1参照。)で、何らかの障害物がタッチバー12に接触すると、タッチバー12の押し込みに応じてヒットアーム121がエッジスイッチ27を叩くことになる。これにより、本例の自動搬送車1は、側方からタッチバー12に接触した障害物を検知可能である。
【0050】
ガイドレール13は、図8〜図12に示すごとく、搬送台車10の全長をわずかに超える細長い平板状の部材であり、搬送台車10の前後方向に沿って側壁部11の内側に取り付けられている。なお、図10は、メインシャフト110を図8中のAの位置で切断して搬送台車10の下部を示す上面図であり、図11は、この部分の斜視図である。図12は、搬送台車10と牽引車2との連結状態を表す模式図である。
【0051】
ガイドレール13は、牽引車2のローラ210の設置高さと同じ高さの取付位置に、取付ステー138を介して固定されている。ガイドレール13は、側壁部11との隙間が一定の中間部130と、側壁部11との隙間が先端に近づくにつれて次第に小さくなる両端部132と、を備えている。ガイドレール13は、一対の側壁部11にそれぞれ取り付けられ、他方のガイドレール13と対面するように取り付けられている。
【0052】
中間部130は、牽引車2の側面202に配設された2箇所のローラ210の配設範囲をカバーできるように形成されている。相互に対面する中間部130は、牽引車のガイド幅Wa(図12参照。)を僅かに超える程度の間隔を空けて対面している。相互に対面する中間部130は、左右方向における牽引車2の相対位置の変動を所定の範囲内に規制しつつ、牽引車2を前後方向に進退させ得る通路幅Wbのガイド通路131(図10中の範囲A)を形成している。一方、相互に対面する両端部132は、前後方向に向けて末広がりの形状を呈している。この末広がり形状は、搬送台車10の下側に牽引車2を潜り込ませる際、牽引車2との接触に応じて搬送台車10の相対的な位置を自動調整するための進入路133(図10中の範囲B)を形成している。
【0053】
係合プレート15は、図8〜図12に示すごとく、中央付近に係合孔150が貫通する略矩形平板状の部材である。この係合プレート15は、一対の側壁部11の連結パイプ112間に渡されたステー119により、搬送台車10の下面における中央付近に吊り下げられ、床面と対面する状態で固定されている。なお、図10及び図12では、ステー119を省略してある。
【0054】
略矩形状の係合プレート15は、その長手方向が搬送台車10の前後方向に沿うように配設されている。係合プレート15のうち、一方の側壁部11側の2箇所の角に当たる位置には、角を欠落させたような略矩形状の切欠部151が形成されている。この欠落部151は、ガイド通路131に沿って牽引車2が進退する際のビームセンサ44の移動経路上に位置するように設けられている。
【0055】
係合プレート15の通路方向に面する縁部のうち、切欠部151に面する縁部155と、それ以外の縁部157との間には段差が形成されている。すなわち、ガイド通路131に沿って牽引車2が移動する際にビームセンサ44の移動経路上に位置する縁部155は、通路方向において、連結ピン41の移動経路上に位置する縁部157よりも係合孔150に近く位置している。連結前の牽引車2側から見れば、縁部155の方が縁部157よりも通路方向に奥まって位置している。本例の係合プレート15では、通路方向の両側に切欠部151が形成されているため、ガイド通路131の通路方向両側のうちのいずれから牽引車2が進入してくるかに関わらず、縁部155が奥まって位置している。
【0056】
一方、前記のごとく、牽引車2では、連結ピン41とビームセンサ44とが、前後方向における位置が同じとなるよう、左右方向に隣り合わせて配置されている。それ故、ガイド通路131の通路方向に沿って牽引車2が移動してきたとき、ビームセンサ44が縁部155に到達するよりも早く、連結ピン41が縁部157に到達することになる。したがって、ビームセンサ44により検知プレート15が検知される位置まで牽引車2が移動したときには、連結ピン41が検知プレート15の下側に完全に入り込み、既に、連結ピン41の先端面が検知プレート15の下面の内側と対面した状態が実現されている。
【0057】
係合孔150は、牽引車2の連結ピン41を挿入するための孔である。係合孔150は、左右方向に長い長孔形状を呈している。係合孔150の前後方向の幅は、連結ピン41を挿入可能な程度に狭く設定されている。一方、係合孔150の左右方向の幅は、いずれのガイドレール13に対して牽引車2が押し付けられても、長孔形状の端部が連結ピン41の外周側面に当接しないように十分に長く形成されている。
【0058】
次に、牽引車2の内部システムは、図13に示すごとく構成されている。システムを制御する制御ユニット50に対しては、2基の駆動ユニット3及び連結ユニット4のほか、バンパースイッチ220、障害物センサ26、非常停止スイッチ231、操作スイッチ232、表示ランプ233、LED表示器234、スピーカ235、通信ユニット25等が電気的に接続されている。
【0059】
制御ユニット50は、各種のスイッチ等と信号のやり取りをするためのインターフェースであるI/F回路55と、駆動ユニット3及び連結ユニット4に向けて各種の制御信号を出力する主制御回路51と、を備えている。
【0060】
駆動ユニット3の内部的な構成は、大まかに、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて駆動輪331(図4参照。)を駆動する駆動部31と、各種センサの検知信号を取り込んで制御ユニットに送信する検知部35と、に区分けされる。駆動部31は、駆動モータ332を含む車輪ユニット310と、駆動モータ332を制御するモータドライバ315と、を含んで構成されている。モータドライバ315は、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて駆動モータ332の回転を制御する。
【0061】
検知部35は、床面に敷設されたガイドラインを検知するラインセンサ351、ガイドマーカからデータを読み取るマーカセンサ352、及び駆動輪331の操舵角を検知する操舵角検知部350等の検知手段のほか、制御ユニット50に対して検知信号等を送信する際のインターフェースとなるI/F回路38を備えている。
【0062】
連結ユニット4は、内部的な構成として、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて昇降モータ452を回転駆動するモータドライバ451と、ビームセンサ44の検知信号を取り込んで制御ユニット50に送信するI/F回路48と、を備えている。本例のモータドライバ451は、昇降モータ452の回転角を直接、制御可能である。
【0063】
以上のように構成された本例の自動搬送車1において、牽引車2に搬送台車10を連結する手順について、図14〜図16を用いて説明する。図14は、連結処理のフローチャートであり、図15は、連結処理が進行する様子を説明するための説明図である。図16は、連結ピン41の突出後、係合孔150への挿入前の連結ユニット4を示す図である。
【0064】
図14に示すごとく、牽引車2を搬送台車10に連結するに当たっては、搬送台車10の進入路133に牽引車2を誘導するための図示しないガイドラインに沿って牽引車2を移動させる。まず、図15(A)に示すごとく牽引車2が進入路133に差し掛かる位置に対応するように床面に敷設された図示しない進入位置マーカ(ガイドマーカ)の検知を判断する(ステップS101)。マーカセンサ352が進入位置マーカを検知するまでは(ステップS101:No)、ガイドラインに沿った通常移動を実行する。一方、進入位置マーカが検知された場合には(ステップS101:Yes)、連結モードに切り換え、牽引車2を減速する(ステップS102)。
【0065】
ビームセンサ44により係合プレート15が検知されて対面状態と判定されるまで(状態判定ステップ、ステップS103:No)、そのまま、連結モード下の減速状態で牽引車2を移動させる(第1の移動ステップ)。このときの搬送台車10と牽引車2との位置関係は、図15(B)のごとく、ガイド通路131を形成するガイドレール13の中間部130とローラ210との組み合わせにより、左右方向(図15中の上下方向)における牽引車2の相対位置の変動が規制された状態にある。
【0066】
その後、係合プレート15が検知された場合には(ステップS103:Yes)、連結ピン41が突出方向において係合プレート15に対面する対面状態と判定し、昇降モータ452を制御して連結ピン41を突出させる(突出ステップ、ステップS104)。このときの搬送台車10と牽引車2との位置関係は、図15(C)のごとく、ビームセンサ44が切欠部151に面する縁部155を超える位置まで牽引車2が移動し、これにより、連結ピン41が縁部157を超えて完全に係合プレート15の内側に対面する位置まで入り込んだ状態となっている。それ故、図16に示すごとく、突出方向に付勢された連結ピン41は、その先端面が係合プレート15の下面と当接する中間的な突出状態となる。
【0067】
連結モード下の減速状態の牽引車2の移動は、係合孔150に連結ピン41が挿入されるまで継続される(第2の移動ステップ、ステップS105:No)。そうすると、図16に示す中間的な突出状態の連結ピン41が、次第に係合孔150に近づいていくことになる。その後、図15(D)のごとく連結ピン41が係合孔150の位置に達したときに、弦巻バネ456の付勢力により連結ピン41がさらに突出して係合孔150に挿入されることになる。
【0068】
リミットスイッチ459により係合孔150への連結ピン41の挿入が検知されたとき(ステップS105:Yes)、牽引車2を停止して一連の連結処理を完了する。これにより、搬送台車10に牽引車2が連結され、牽引車2の移動に応じて搬送台車10を従動させて牽引できるようになる。
【0069】
以上のように構成された本例の自動搬送車1では、係合孔150の手前の位置で連結ピン41を突出させ、係合プレート15に当接する突出状態を維持しながら牽引車2をさらに移動させることで、係合孔150への連結ピン41の挿入を確実性高く実現できる。連結ピン41を係合孔150に挿入するに当たって、係合孔150と連結ピン41との位置合わせを高い精度で実現する必要がないので、位置制御が容易となっている。また、本例の自動搬送車1では、連結に当たって高精度な位置制御が必要なくなるため、位置合わせや位置計測のセンサ数を少なくできたり、各センサに要求される検知精度を抑制できるようになる。
【0070】
さらに、本例の自動搬送車1では、左右方向に移動する際には、図17に示すごとく、牽引車2の一方の側面の2箇所のローラ210を対面するガイドレール13に当接させて押し出すようにして搬送台車20が牽引される。このとき、連結ピン41が係合孔150の長手方向の端部の手前に位置するよう、係合孔150が左右方向の長孔状に形成されている。本例の係合孔150では、左右方向の端部が必須ではないので、左右方向のスリット状の係合孔を挟んで前後方向に2分割された係合プレートを採用することもできる。このような2分割構造の係合プレートでは、左右方向の端部がなく係合プレートの左右方向両側に開口する係合孔が形成される。本例と同様、スリット状の係合孔に対する連結ピン41の挿入により、搬送台車10に牽引車2を連結可能である。本発明における係合孔は、必ずしも外周を全て囲まれた孔でなくても良く、一部が外周側に開口する不完全な孔であっても良い。
【0071】
また、係合孔150を左右方向に長く形成するほど、ガイド通路131の通路方向に沿って牽引車2が移動する際、連結ピン41の移動経路上に確実に係合孔150が位置するようになる。通路方向に沿った牽引車2の移動中に連結ピン41を係合孔150に挿入する本発明において、係合孔150を長孔状に形成することは確実性高く連結を完了するという目的に対して非常に有効である。
【0072】
なお、本例では、プレート検知部としてのビームセンサ44を備えた状態判定手段を採用した例である。状態判定手段としては、突出方向において連結ピン41が係合プレート15に対面する対面状態であるか否か、を判定できれば良い。本例では、ビームセンサ44を用いて直接的に係合プレート15を検知したが、これに代えて、連結ピン41が完全に係合プレート15に対面する位置に対応してガイドマーカ等を敷設することも良い。この場合には、マーカセンサ352を利用して状態判定手段を構成することができる。
【0073】
なお、本例では、牽引車2を進入させる前後方向に沿って長い直方体の外形状を呈する搬送台車10を採用している。これに代えて、搬送台車を上方から見た長方形の短辺方向に、牽引車2を進入させる前後方向を設定することもできる。この場合には、ガイド通路131の幅に対して、ワークを積載するエリアの幅を広く確保できるようになる。
【0074】
以上、実施例1のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0075】
1 自動搬送車
10 搬送台車
11 側壁部
12 タッチバー
13 ガイドレール(ガイド部)
131 ガイド通路
133 進入路
15 係合プレート
150 係合孔
18 自在車輪
2 牽引車
20 車体
210 ローラ(当接部)
3 駆動ユニット
33 旋回部
331 駆動輪
351 ラインセンサ
352 マーカセンサ
4 連結ユニット
41 連結ピン
44 ビームセンサ(プレート検知部)
45 昇降機構
456 弦巻バネ
50 制御ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、該搬送台車の下側に潜り込んで連結される牽引車と、を組み合わた自動搬送車であって、
前記搬送台車は、前記牽引車を連結するための係合孔を含む係合プレートと、前記牽引車が下側に潜り込む際に進退可能なガイド通路と、を有し、
前記牽引車は、前記係合孔に挿入され得る貫通位置まで軸方向に突出可能な連結ピンと、前記貫通位置に向けて前記連結ピンを付勢する付勢手段と、前記連結ピンの突出を規制する規制手段と、前記連結ピンが突出方向において前記係合プレートと対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定手段と、を有し、
前記係合孔が、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記連結ピンの移動経路上に位置しており、
前記規制手段は、前記状態判定手段により前記対面状態と判定されたとき、前記連結ピンが突出するように規制を解除する手段である自動搬送車。
【請求項2】
前記搬送台車が備える前記ガイド通路は、前記通路方向に沿って並列して延設された二本一対のガイド部材が、前記牽引車を進退させ得る程度の間隔を空けて左右方向に相互に対面して形成され、当該左右方向における前記牽引車の相対位置の変動を規制可能な通路である請求項1に記載の自動搬送車。
【請求項3】
前記二本一対のガイド部材は、前記ガイド通路の通路方向の少なくともいずれか一方に隣接して、当該ガイド通路から離れた位置ほど前記左右方向の間隔が広くなるように拡開する末広がり形状の進入路を形成しており、
前記牽引車は、ガイド部材との当接に応じて転動可能なローラを前記二本一対のガイド部材に対応できるように両側面に備えている請求項2に記載の自動搬送車。
【請求項4】
前記状態判定手段は、前記連結ピンと前記通路方向の位置が同じになるように当該連結ピンと隣り合う位置に、前記係合プレートを検知するためのプレート検知部を備え、当該プレート検知部により前記係合プレートが検知された場合に前記対面状態と判定し、
前記係合プレートの外周をなす縁部のうち、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記プレート検知部の移動経路上に位置する縁部が、前記連結ピンの移動経路上に位置する縁部よりも前記通路方向において前記係合孔に近く位置している請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動搬送車。
【請求項5】
自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、該搬送台車が下側に潜り込んで連結される牽引車と、の組み合わせによる自動搬送車について、
前記牽引車を連結するための係合孔を含む係合プレートと、前記牽引車が下側に潜り込む際に進退可能なガイド通路と、を備えた前記搬送台車に対して、
前記係合孔に挿入され得る貫通位置まで軸方向に突出可能な連結ピンと、前記貫通位置に向けて前記連結ピンを付勢する付勢手段と、前記連結ピンの突出を規制する規制手段と、前記連結ピンが突出方向において前記係合プレートと対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定手段と、を備え、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際に前記連結ピンが前記係合孔に挿入可能となる位置を通過する前記牽引車を、
連結するための自動搬送車の連結方法であって、
前記規制手段により前記連結ピンの突出が規制された状態で、前記ガイド通路に沿って前記牽引車を移動させる第1の移動ステップと、
前記対面状態であるか否かを判定する状態判定ステップと、
前記状態判定ステップにおいて前記対面状態と判定されたときに、前記連結ピンが突出するように前記規制手段による規制を解除する突出ステップと、
前記付勢手段により付勢された前記連結ピンの先端が前記係合プレートに当接する状態を維持しながら、前記連結ピンが前記係合孔に挿入可能となる位置に到達するまで前記牽引車を前記ガイド通路の通路方向に沿って移動させる第2の移動ステップと、を実行する自動搬送車の連結方法。
【請求項6】
前記状態判定手段は、前記連結ピンと前記通路方向の位置が同じになるように当該連結ピンと隣り合う位置に、前記係合プレートを検知するためのプレート検知部を備え、当該プレート検知部により前記係合プレートが検知された場合に前記対面状態と判定し、
前記係合プレートの外周をなす縁部のうち、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記プレート検知部の移動経路上に位置する縁部が、前記連結ピンの移動経路上に位置する縁部よりも前記通路方向において前記係合孔に近く位置している請求項5に記載の自動搬送車の連結方法。
【請求項1】
自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、該搬送台車の下側に潜り込んで連結される牽引車と、を組み合わた自動搬送車であって、
前記搬送台車は、前記牽引車を連結するための係合孔を含む係合プレートと、前記牽引車が下側に潜り込む際に進退可能なガイド通路と、を有し、
前記牽引車は、前記係合孔に挿入され得る貫通位置まで軸方向に突出可能な連結ピンと、前記貫通位置に向けて前記連結ピンを付勢する付勢手段と、前記連結ピンの突出を規制する規制手段と、前記連結ピンが突出方向において前記係合プレートと対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定手段と、を有し、
前記係合孔が、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記連結ピンの移動経路上に位置しており、
前記規制手段は、前記状態判定手段により前記対面状態と判定されたとき、前記連結ピンが突出するように規制を解除する手段である自動搬送車。
【請求項2】
前記搬送台車が備える前記ガイド通路は、前記通路方向に沿って並列して延設された二本一対のガイド部材が、前記牽引車を進退させ得る程度の間隔を空けて左右方向に相互に対面して形成され、当該左右方向における前記牽引車の相対位置の変動を規制可能な通路である請求項1に記載の自動搬送車。
【請求項3】
前記二本一対のガイド部材は、前記ガイド通路の通路方向の少なくともいずれか一方に隣接して、当該ガイド通路から離れた位置ほど前記左右方向の間隔が広くなるように拡開する末広がり形状の進入路を形成しており、
前記牽引車は、ガイド部材との当接に応じて転動可能なローラを前記二本一対のガイド部材に対応できるように両側面に備えている請求項2に記載の自動搬送車。
【請求項4】
前記状態判定手段は、前記連結ピンと前記通路方向の位置が同じになるように当該連結ピンと隣り合う位置に、前記係合プレートを検知するためのプレート検知部を備え、当該プレート検知部により前記係合プレートが検知された場合に前記対面状態と判定し、
前記係合プレートの外周をなす縁部のうち、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記プレート検知部の移動経路上に位置する縁部が、前記連結ピンの移動経路上に位置する縁部よりも前記通路方向において前記係合孔に近く位置している請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動搬送車。
【請求項5】
自在車輪を備え自立可能な搬送台車と、該搬送台車が下側に潜り込んで連結される牽引車と、の組み合わせによる自動搬送車について、
前記牽引車を連結するための係合孔を含む係合プレートと、前記牽引車が下側に潜り込む際に進退可能なガイド通路と、を備えた前記搬送台車に対して、
前記係合孔に挿入され得る貫通位置まで軸方向に突出可能な連結ピンと、前記貫通位置に向けて前記連結ピンを付勢する付勢手段と、前記連結ピンの突出を規制する規制手段と、前記連結ピンが突出方向において前記係合プレートと対面する対面状態であるか否かを判定する状態判定手段と、を備え、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際に前記連結ピンが前記係合孔に挿入可能となる位置を通過する前記牽引車を、
連結するための自動搬送車の連結方法であって、
前記規制手段により前記連結ピンの突出が規制された状態で、前記ガイド通路に沿って前記牽引車を移動させる第1の移動ステップと、
前記対面状態であるか否かを判定する状態判定ステップと、
前記状態判定ステップにおいて前記対面状態と判定されたときに、前記連結ピンが突出するように前記規制手段による規制を解除する突出ステップと、
前記付勢手段により付勢された前記連結ピンの先端が前記係合プレートに当接する状態を維持しながら、前記連結ピンが前記係合孔に挿入可能となる位置に到達するまで前記牽引車を前記ガイド通路の通路方向に沿って移動させる第2の移動ステップと、を実行する自動搬送車の連結方法。
【請求項6】
前記状態判定手段は、前記連結ピンと前記通路方向の位置が同じになるように当該連結ピンと隣り合う位置に、前記係合プレートを検知するためのプレート検知部を備え、当該プレート検知部により前記係合プレートが検知された場合に前記対面状態と判定し、
前記係合プレートの外周をなす縁部のうち、前記ガイド通路の通路方向に沿って前記牽引車が移動する際の前記プレート検知部の移動経路上に位置する縁部が、前記連結ピンの移動経路上に位置する縁部よりも前記通路方向において前記係合孔に近く位置している請求項5に記載の自動搬送車の連結方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−102076(P2011−102076A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257383(P2009−257383)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(593018208)株式会社シンテックホズミ (8)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(593018208)株式会社シンテックホズミ (8)
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