説明

自動検査装置

【課題】自動検査装置において,検査対象物を高速搬送しても,不良判定された対象物を定められた位置で確実に排出する自動検査装置を提供する。
【解決手段】排出機の設置位置の直近、搬送上流側に検査済み対象物を再度検出する排出直前センサを設け、撮像センサで検出しカメラで撮像した対象物を追跡し、その対象物が排出直前センサに到達したときに、排出する対象物か否かを判定して、排出する対象物であれば排出機を動作させて、排出処理するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送される対象物を画像処理により検査する自動検査装置に係り、特に、対象物の検査結果が不良の場合、決められた位置で確実に不良品を排出する、排出方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される対象物を画像処理により検査し、検査結果が不良の場合、不良品を排出する機能を備えた特許文献1に示すような自動検査装置が知られている。また、自動検査装置の不良品排出方法として特許文献2に示すような排出信号の生成法が知られている。
【0003】
従来、不良と判定されてから不良品が排出機に到達し、排出するまでのタイミングの決定には、タイマーによる経過時間計測あるいはエンコーダ等による移動距離計測による方法が用いられてきた。両方式を比較すれば、タイマーを用いる方式がより簡便であるが、対象物を排出位置まで運ぶ過程で搬送速度が変動すると、排出タイミングがずれることがある。一方、エンコーダで移動距離から排出タイミングを決定する方法は、速度変動の影響を受けないため、より高い精度を要求する場合にはエンコーダ方式が採用されることもあった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−334391号公報
【特許文献2】特開2005−308507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エンコーダ等で移動距離を測定したとしても排出タイミングがずれる場合がある。例えば、ベルトコンベアのような搬送手段により搬送するとき、搬送中に検査対象物がスリップした場合である。エンコーダはたかだかベルトコンベア自体の移動距離を測定しているに過ぎず、対象物の移動距離を直接測定している訳ではない。実際に生産ライン内で運転する場合、ラインの搬送速度や対象物の搬送間隔は常に一定ではなく、対象物(検査対象物)の流れを円滑にするために、搬送中に時々加速・減速するのが一般的である。搬送速度が加速・減速するとき、搬送中の対象物がスリップすることがある。いったんスリップしてしまうと、対象物の移動距離と搬送コンベアの移動距離はもはや同じではなく、その結果、排出タイミングがずれてしまう。
【0006】
また、検査装置によっては、実施例1の図8、図9のように画像検査から排出までの間に複数の搬送手段があり、対象物はそれら搬送手段の受け渡しにより搬送され、排出位置に到達する場合もあり、対象物が受け渡されるときにもスリップが発生する恐れがある。運転方法によっては複数の搬送手段を意図的に異なる速度で運転することもある。この場合受け渡しの際に、必ずスリップが起こる。さらに、対象物がPETボトルの様な透明かつ表面が傷つき易い材質の場合、底面が搬送コンベアとの摩擦により、擦り跡が残るのを防ぐ目的でスライダと呼ばれる潤滑液をコンベア表面に散布することがある。このように、対象物とコンベア間で意図的にスリップを発生させる場合もある。
【0007】
従って、自動検査装置が稼働する実際の生産ラインにおいて、特に対象物をコンベアに拘束する処置を施さない限り、搬送中にスリップが発生するのはむしろ当然である。このため、この現象を考慮しないと検査から排出までの搬送中にスリップが起こり、排出タイミングのずれにより排出の「空振り」による不良品の後逸や隣接する良品を誤って排出する「無駄ばね」を引き起こす原因となる。
【0008】
そのため、本発明の目的は上記課題を解決し、排出タイミング誤差を最小にして、排出動作の確実性・信頼性を向上するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明は排出機の設置位置の直近、搬送上流側に検査済み対象物を再度検出する排出直前センサを設け、不良品を排出機直前で再検出するようにしたものである。
【0010】
また、本発明によれば、画像撮像センサで検出・撮像した対象物を追跡し、その対象物が排出直前センサに到達したことを知る手段が別途必要になる。そこで本発明では撮像センサで検出した対象物を記憶、追跡するための記憶手段を装置制御部に設け、投入された対象物を撮像センサで検出した順に記憶装置の検査データ配列に格納、蓄積する。撮像センサから排出直前センサに到達するところまで対象物を追跡する方法により、撮像した対象物と排出直前で検出した対象物との対応を明らかにする。検出順に対象物を記憶した検査データ配列を各センサで検出する度に更新・参照することにより次々と流れ込んでくる対象物をリアルタイムに把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像検査により不良品と判定された検査対象物は、排出機の直前に設けられた排出直前センサにより再検出し、この時点から排出機まで不良品が到達する瞬間を時間計測か距離計測により推定し、不良品を排出する。排出直前で不良品の存在を再検出するため、不良品の検出から排出までの距離が最小になり、排出開始までの待ち時間も最短となるため、排出タイミング推測の誤差が最小になり、従来のような画像撮像位置から排出位置までの長い区間の待ち時間を推測する方法に比べ、排出精度が格段に高まる。また、画像撮像から排出直前センサまでの搬送中に搬送速度が変動したり、対象物がスリップしたとしても、排出直前位置にてセンサが対象物の存在を再検出するため、排出精度は全く影響を受けない。以上のことから従来の排出方式に比べて排出の確実性・信頼性が格段に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、自動検査装置の不良品の排出方法について、具体的に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は自動検査装置の検査・制御部分を示した概略図である。本検査装置は検査対象物を搬送するベルトコンベアまたはそれに類する搬送機構6を備えている。その走行系路の上流側には検査対象物を撮像するカメラ3と、撮像トリガ信号を発生する撮像センサ4とが設けられている。また、走行経路の下流側には不良と判定された検査対象物を排出する排出機1と、排出トリガ信号を発生する排出直前センサ2とが設けられている。なお、本検査装置は搬送機構6とは別に画像入力部11、画像処理部10、機械制御部8、記憶部9を含む制御装置7を備えている。
【0014】
本実施例では、図1では検査対象物は液体が充填されたPETボトルを対象に描いている。
【0015】
以下、簡略のため、検査対象物をボトル5と言い換えて説明する。
【0016】
この検査装置は製造ラインに設置される。ライン上流からボトル5が列をなして検査装置へ搬入される。図1ではボトル5が右から搬入され、搬送コンベア6により左へ運ばれる。撮像センサ4がボトル5を検出すると、撮像センサ4はボトル検出信号を画像入力部11に出力する。画像入力部11はボトル検出信号を受け取ると、画像処理部10を経由してから機械制御部8にボトル検出信号が入力されると、機械制御部8から撮像信号がカメラ3に送られる。撮像信号をカメラ3が受け取るとカメラ3が動作することで、撮像センサ4が検出したボトル5を撮像する。カメラ3が撮像したボトル5の画像は画像入力部11に蓄積すると共に、画像処理部10に送る。画像処理部10ではボトル5の外観や内容物を検査し、製品の良否を判定する。各ボトル5の検査結果は検査順に記憶部9に記憶される。検査済みのボトル5が排出機手前まで搬送されると排出直前センサ2がボトルを検出する。記憶部9の検査データを参照して、ボトル5の検査結果が正常であればボトル5はそのまま下流ラインに搬出され、不良であれば機械制御部8から排出機1に排出信号を出力し、排出機1が動作して不良ボトルを搬送コンベア6の経路から外へ排出する。
【0017】
以上が本検査装置の動作の概要である。この時、不良ボトルを正確に排出するためにはボトル5の撮像開始から排出までの間、装置内に存在するボトルそれぞれの順序と、検査結果を記憶部9に記憶しておく。記憶部9はボトルの搬入・搬出に応じてリアルタイムに記憶内容を更新して、装置内にあるボトルの状態を把握できるようにしなければならない。次に、このボトルの検査データの記憶・更新方法について説明する。図2に検査装置内を搬送されるボトルを真上から見た状態と、制御装置に記憶された検査データとの対応関係を示す。
【0018】
この図において、正常なボトル5を白抜きで表示しているのに対し、ハッチングされたボトル12は不良判定ボトルを表す。制御装置7の記憶部9にはボトル検査データ13と、更新すべき検査データを指し示す検査データポインタ14が存在する。検査データは図のような配列構造となっており、配列要素の各々には撮像センサ4から排出直前センサ2の間に存在するボトルの情報が格納されている。検査データ13の枠上部の番号はデータ配列の番号を表し、これは排出直前センサからカメラ側に数えた実際のボトルの並び順に相当する。枠内の数字は各ボトルの検査情報を表している。検査情報は図では3桁の2進数表記の数字であって、各桁の数字がボトルの検査来歴を表している。
【0019】
検査データの初期値は「000」である。撮像センサ4がボトルを検出し、撮像するときに検査情報の下1桁目に1が書き込まれる。続いて画像処理による検査が完了した時点で、下2桁目に1が書き込まれる。さらに検査結果が不良の場合、下3桁目(最上位桁)に1が書き込まれ、正常な場合は0のままとする。検査データポインタ14には更新すべき配列データの番号が格納されている。撮像から検査結果が判明するまでの間、検査データポインタは同一配列を指し示しているが、撮像センサが次のボトルを検出するとポインタの配列番号は1加算され、指し示す配列データが一つ移動する。
【0020】
なお、検査所要時間は次のボトルが来るまでの時間より必ず短くなる設計となっている。このため、あるボトルの検査完了前に次のボトルが撮像センサに達し、データ更新未完のままポインタが次のボトルに移動することはない。
【0021】
また、ボトルの間隔が狭まると撮像センサから排出直前センサの間にあるボトルの本数も増えるので、ボトル検査データの要素数は最大本数分確保しておく。図2では検査データの要素数を12としている。
【0022】
この検査データと更新ポインタの動作を、図3及び図4と撮像センサ側の動作のフローチャート図15、排出直前センサ側の動作のフローチャート図16を用いて検査装置の運転開始から順に説明する。図3(1)は運転を開始し、ボトルの先頭が撮像センサ4に達した状態を示している。制御装置7ではまず撮像センサ4がボトル5を検出したかどうかを判定する(ステップ100)。撮像センサ4から検出信号を受け取った場合は、検査ポインタ14を+1にする(ステップ101)。すなわち、検査データ13の内容ははじめ全て「000」であり、検査ポインタ14はデータの先頭1番を指している。先頭のボトル5が撮像センサ4に達すると1番の検査データの1桁目に「1」が書き込まれる(ステップ102)。
【0023】
検査データ13の1桁目に1が書き込まれると、カメラ3経由で画像を取り込み、検査が開始される。次に、画像検査が終了したか否かが判定される。画像検査が終了していない場合は、ステップ100に戻し撮像センサがボトルを検出していない状態なので、ステップ103に飛び画像検査終了かどうかを判定し、終了するまでこの処理を繰り返す。画像検査が終了すると検査データ13の2桁目に「1」を書き込む(ステップ104)。次にボトル5が正常か不良かを判定する(ステップ105)。ボトルの検査結果が正常な場合、検査データ13の3桁目に「0」書き込み終了する。また不良の場合は検査ポインタ14の指す検査データ13の3桁目に「1」を書き込み処理を終了し、次のボトル検出まで待機する。
【0024】
1本目の画像検査が終了し、続いて2番目のボトルが撮像センサ4に達すると、図3(2)のようにポインタは2番目の検査データに移動する。そして、その1桁目に「1」が書き込まれ、2番目のボトルの撮像を開始する。2番目のボトルは不良品と判定されるため、検査データ2番の2桁目と3桁目に「1」が書き込まれ、「111」となる。さらに3番目のボトルが撮像センサに達し、図3(3)の状態になると、更新ポインタは3番目の検査データに移動し、その1桁目に「1」が書き込まれる。
【0025】
その後、次々とボトルが搬入される度に検査データとポインタの更新が繰返され、ついにボトルの先頭が排出直前センサ2に到達する。その状態が図4(1)である。
排出直前センサ2がボトルを検出した場合の処理フローを図16に示す。図4(1)では、撮像センサ4から排出直前センサ2までの間にボトルは8本存在し、8本それぞれの検査情報が配列に格納され、更新ポインタ14は8番目の検査データを指している。図16に示すように排出直前センサがボトルを検出したか否かを判定する(ステップ110)。排出直前センサ2が先頭のボトルを検出すると、該当する検査データの先頭、1番目の検査内容を読み出す。そして、検査データ13の先頭が「111」であるか否かを判定する(ステップ111)。判定結果が「011」であればそのボトルは正常であり、そのまま下流ラインに搬出する。ここで排出直前センサが検出した次のボトルが先頭のボトルになるので、検査データ各々の内容を一つ小さな番号に、言い換えれば左に一つシフトさせる(ステップ113)。検査データの末尾、12番には「000」を書き込む。データをシフトしてもポインタは同じデータを指すように、ポインタの指す番号も一つ減らし、「7」となる(ステップ114)。
【0026】
図4(2)は,排出直前センサ2が検出したボトルの検査データが「111」であって、ボトルが不良品の場合である。すなわち(ステップ111)の判定結果が不良ボトルであると判定したら、排出機1にその不良ボトルが到達するまで待った後、図4(3)のように排出機1が不良ボトルをラインの脇に排出する(ステップ112)。次に、検査データ13を全体を左に1つシフトする(ステップ113)。検査ポインタ14も−1にする(ステップ114)。しかし、ここで搬入側では撮像センサ4が新たにボトルを検出したため、更新ポインタの番号は一つ増えて、「8」となる。
【0027】
以上の説明を要約すると、入ってきたボトルを撮像センサ4が検出する度に検査データポインタ14の指すデータを一つ右に移動し、そこに検査結果を書き込む。また、ボトルが排出直前センサ2を通過し、出て行く度に検査データ13全体を左にシフトし、検査データポインタ14の指すデータも一つ左にシフトする。この操作により、検査装置の撮像センサ4から排出直前センサ2の間に存在するボトルの本数、順序と検査結果が常時検査データ13に反映される。そして、この検査データ13を参照することにより、排出直前センサ2に到達したボトルの検査結果を知ることが出来る。また、不良ボトルの場合、排出機1により正しく排出することが出来る。
【0028】
また、図2とは別に、ボトル検査データ13の並び順を撮像センサ4の側を基準とし、検査データポインタ14を排出直前センサ2の側に設ける方法を図5に示す。また、図5の撮像センサ側の動作のフローチャート図17と排出直前センサ側の動作のフローチャート図18を示す。
【0029】
この方法ではまず、撮像センサ4がボトルを検出したかどうかを判定する(ステップ120)。撮像センサ4がボトルを検出する度に検査データ13を左にシフトする(ステップ121)。検査データポインタ14は常に排出直前のボトルを指しており、排出直前センサ2がボトルを検出すると、ポインタを一つ右へ移動させる。すなわち、検査ポインタ14を+1する(ステップ122)。そして、空いた左端の検査データ13に検査結果を書き込む(ステップ123)。また、ポインタを移動する際、図5のように元のデータをクリアしてもよいし、そのまま残しておいてもよい。この後の処理(ステップ124〜127)は基本的に図15のフローチャートと同じであるのでここでの説明は省略する。また、排出処理の工程である図18は、基本的に図16の工程と同じなために説明を省略する。
【0030】
以上の不良品排出方法を備えた検査装置の一実施例である、PET容器内異物検査装置を図9に示し、以下説明する。
【0031】
図9〜図14には第一の実施例を示している。図9に示すように、透明なPET製のボトル5は入口搬送コンベア6a上を順次連続して搬送される。入口搬送コンベア6a上のボトルを搭載する部分は樹脂製あるいはゴム製である。ボトル5には、主に薬品や飲料である液体の内容物が既に充填されており、さらにボトルキャップ5cで封止されている。
【0032】
一般に、異物検出はこのボトルキャップ5cで封止された後に実施する。通常、異物検出を実施する工程ではボトル表面に光学的障害となる印刷物などは存在せず、異物検出において良品となったボトルに対してのみ印刷物などを貼る場合が多い。また、本実施例で対象とするボトルと内容物(ボトル内に封入してある液体)は共に透明なものであるが、無色透明に限らず、有色透明、また一般の環境光では不透明とされる場合であっても、光透過の度合いに応じて異物検出の対象とすることができる。
【0033】
図11に示すように、ボトル5に混入する異物としては、ボトル底部5bの最も低い部分に沈澱する沈澱異物25と液中に浮遊する浮遊異物25aと、液面に浮上する浮上異物に分かれる。浮上異物や浮遊異物25aは徐々に沈降し、ある程度時間が経過すると沈殿異物25となる。ボトル5内に液体を充填してから製造ライン下流にある異物検査装置に達するまでの間に浮上異物や浮遊異物25aはボトル底部5bに沈むので、本装置は沈澱異物25のみを見ることにしている。
【0034】
図9又は図10に示すように、入口搬送コンベア6a上を移動してくるボトル5は、ボトル整列部33においてボトル整列グリップコンベア21のグリッパ22によってボトル外側面を両側から挟み込みながら搬送する。左右両側に分けて設けてある容器整列グリップコンベア21は、各々に設置したモータ23をインバータによって回転駆動する。タイミングベルト、ギアなどにより1個のモータ23で左右両側のグリップコンベアを回転駆動しても良い。グリッパ22は図12(a)に示すごとく、ゴム製でひだ状になっており、対向する両側の隙間の管理だけで、丸型や角型といったボトル形状の違い、ボトル表面の起伏の有無に関わらず挟み込むことができるようになっている。取り扱うボトルの種類によっては、ボトルの側面起伏が大きいボトル、あるいは線対象となっていないボトルに対しても、グリッパ22のグリップ部の形状がひだ状になっているためひだ状部の変形で一定範囲までは対応できる。またこのようなボトルに対しては、図12(b)に示す内部が中空で、かまぼこ型のグリッパ22aや(c)に示すスポンジ状のグリッパ22bを用いてもよい。
【0035】
挟み込みを行う左右両側のグリッパ22は、各々右ネジと左ネジを持つ共通の一本のボールネジで直線上をスライドできる構造になっている。ボールネジの片端には回転ハンドルを付けており、回転ハンドルの正転方向への回転で左右両側のグリッパ22の隙間は小さくなり、回転ハンドルの逆転方向への回転では隙間は大きくなり、異なるボトル種類への対応が極めて簡便に行うことができる。なお、左右両側のグリッパ22の前後に搬送用ガイドも固定しておけば、グリッパ22の隙間の変更と同時に入口搬送コンベア6aのガイド間隔も変わり、段取り替えがさらに簡便にできる。
【0036】
このボトル整列部33での動作を図9及び図10で説明する。入口搬送コンベア6aの速度V1に対して、ボトル整列グリップコンベア21の速度V2を小さくしている。このように設定することで、グリッパ22によって挟まれたボトル5は一旦V2まで減速する。このため、入口搬送コンベア6aに対してボトル5の移動速度が異なることになり、搬入コンベア6a上をボトル底面をすべらせながら搬送される。その後グリッパ22からボトル5が開放されて再び入口搬送コンベア6aの速度V1に増速される。見た目には、グリッパ22に入る位置までは様々な間隔であったボトル5が、グリッパ22に挟まれている区間では一旦ボトル間隔が詰まり、ボトル間隔はP1まで小さくなる。次に、グリッパ22から開放された時点で最終的な間隔である希望する間隔P2になっていく。従って、V1とV2の相対速度差によってボトル間隔を調節することができ、V1に対してV2が小さいほどボトル間隔を大きくすることができる。
【0037】
図10において、入口搬送コンベア6aの速度V1に増速された後、沈殿異物検査部グリップコンベア24の先端に達する。ボトル5はボトル間隔が確保された状態で、沈殿異物検査部グリップコンベア24に取り付けられたグリッパ22に挟み込まれながら搬送される。沈殿異物検査部グリップコンベア24の構造は、ボトル整列グリップコンベア21と同様であり、ボトル5の両側面を挟み込みながら搬送できるようになっている。左右隙間の調節も同様に共通のボールネジに取りつけた回転ハンドルによって行なう。
【0038】
この沈殿異物検査部の構造を図13に示す。グリッパ22bは図12(c)のスポンジ状のものを使った例である。図13の沈殿異物検出位置28aでは、光を照明光照射手段29aからボトル5の上方より照射している。照明光照射手段29aからの光はリング状から徐々に円状の透過照明光27aとなる。このとき、照明光照射手段29aはリング状であることから、不透明な材料の場合もあるボトルキャップ5cの影をボトル底部5b側に投影することはなく、異物検出における障害とはならない。ボトルキャップ5cの影がボトル底部5bに投影される影響を一層避けるために、照明光照射手段29aにおけるリングの直径はボトルキャップ5cより大きくしておくことが良い。
【0039】
ボトル内の内容物(ボトル内に封入してある液体)の違いにより照明光照射手段29aからの透過照明光27aに代えて、ボトル側面の全周に照射するように、ボトル底部側の左右2ヶ所に設けた照明光照射手段29bからの透過照明光27bと、照明光照射手段29bを挟むように設けた4つの照明光照射手段29cからの透過照明光27cによる合成光を使用した方が異物検出しやすい場合がある。また、照明光照射手段29aから照明光照射手段29cまで全てを使ってもよいし、いずれかの組み合わせでも良く、ボトル内の内容物(ボトル内に封入してある液体)の光透過の度合いに応じて使い分けても良い。
【0040】
沈殿異物検査部グリップコンベア24の下方には、ボトル5を撮像するCCDから成る撮像カメラ3を上向きで配置してある。沈殿異物検出位置28aでは、照明光照射手段29aからボトル5の上方より透過照明光27aを照射し透過照明光27aを捉える。また、照明光照射手段29b及び照明光照射手段29cからボトル側壁部5a側面全周より透過照明光27b、27cを照射し透過照明光27b、27cを捉える。
【0041】
図14には沈殿異物を内部に含むボトルを撮像カメラ3で撮像した映像の一例を示している。一方は濃淡画像(図14(a))であり、他方は白と黒からなる処理後の二値画像(図14(b))である。沈殿異物撮像画像26において、容器範囲内の放射状の線のごとく、ボトル底部5bにおける容器起伏32の影響を受けることによる暗部が発生する。しかし照明光の光量の加減及び白と黒からなる二値画像処理によって、この暗部の起伏模様を無くすことにより、図14(b)のごとくボトルの輪郭とその周辺部とを白黒に分け、ボトル領域内への黒物体の有無を検索する。照明光の光量の程度は暗部の起伏模様が無くなり異物のみが黒い点として現れる程度に調整する。黒物体が異物画像31aであり、この異物画像31aが存在すれば不良ボトルとして、存在しなければ良品ボトルとして、検査データ13で管理しておく。ボトル5が沈澱異物検査位置28aに到着したことは撮像センサ4で検知する。沈殿異物検出位置28aで異物検査を行ない、順次搬送されていく。沈殿異物検査を終えると、検査データ13で管理された検査結果に応じて、ボトル排出部34で選別する。不良ボトルであれば、出口搬送コンベア6bの側方から排出機1によってボトル5をボトル排出コンベア30側に押し出すことで、通常の製造ラインから排出する。
【実施例2】
【0042】
検査速度を2倍にするため、撮像系と画像処理系を2つ備え,処理を分散させた自動検査装置を図6に示す。本検査装置はボトル5を搬送するコンベアまたはそれに類する搬送手段6を備え、その走行系路の上流側にはボトル5を撮像するカメラ3a,3bと、撮像トリガ信号を発生する撮像センサ4a,4bとが設けられている。また、下流側には不良と判定されたボトルを排出する排出機1と排出トリガ信号を発生する排出直前センサ2が設けられている。さらに、本検査装置は画像入力部11a,11bと画像処理部10a,10bと機械制御部8および記憶部9を含む制御装置7を備えている。
【0043】
ライン上流から検査装置へ搬入されるボトルの1本目が撮像センサ4aを通過すると、センサ4aはボトル検出信号を画像入力部11aに出力する。画像入力部11aは撮像信号をカメラ3aに送り、カメラ3aは撮像センサ4aが検出したボトル5を撮像する。ボトル5の画像は画像入力部11aに蓄積され、画像処理部10aに送信される。画像処理部10aでは、ボトルの外観や内容物を検査し、製品の良否を判定する。各ボトルの検査結果は検査順に記憶装置9に記憶される。ボトルの2本目はもう一方の撮像センサ4b、カメラ3b、画像入力部11b、画像処理部10bにより同様の流れで処理され、検査結果は記憶装置9に記憶される。つまりボトルの奇数本目はaの撮像系と画像処理系が、偶数本目はbの撮像系と画像処理系が検査を行なう。ボトル1本毎に2つの撮像系・画像処理系へ振り分ける動作は制御装置7が行なう。
【0044】
検査済みのボトルを排出直前センサ2が検出すると、制御装置7は記憶部9の検査結果を参照して、検査結果が正常であればボトルをそのまま下流ラインに搬出し、不良であれば排出機に排出信号を出力して不良ボトルを搬送コンベアの経路外に排出する。
【0045】
図6の検査装置について、ボトルの並んだ状態と検査データとの対応関係を図7に示す。また、図7の撮像センサa側の動作のフローチャートを図19aに、図7の撮像センサb側の動作のフローチャートを図19bに、図7の排出直前センサ側の動作のフローチャートを図20に示す。
【0046】
正常なボトル5に対し、ハッチングされたボトル12は不良判定ボトルを表す。制御装置7の記憶部9にはボトル検査データ13と、奇数本目のボトルの検査データを指し示す検査データポインタ14a及び偶数本目のボトルの検査データを指し示す検査データポインタ14bとが存在する。検査データは配列構造となっており、配列要素の各々には排出直前センサ2から撮像センサ4bの間に存在するボトルの検査結果が格納される。検査データ13の枠上部の番号はデータ配列の番号を表し、これは排出直前センサからカメラ側に数えた実際のボトルの並び順に相当する。枠内の数字は各ボトルの検査情報を表している。検査情報は図7では3桁の2進数表記の数字であって、各桁の数値はボトルの検査来歴を表している。検査データの初期値は「000」である。奇数本目と、偶数本目の検出から検査処理の工程は同じ工程であるので、ここでは、奇数本目(図19(a))を用いて説明する。
【0047】
まず、撮像センサ4aがボトル5を検出したかどうかを判定する(ステップ140)。撮像センサ4aがボトル5を検出した場合に、検査ポインタ14aに1を加える(ステップ141)。ボトルを検出していない場合はステップ144に飛ぶ。次に、検出したボトルが奇数本目か否かを判定する(ステップ142)。奇数本目であれば、カメラが撮像するときに検査情報の下1桁目に1が書き込まれる(ステップ143)。奇数本目でなければステップ144に飛ぶ。続いて画像処理による検査が完了したかどうかを判定する(ステップ144)。画像処理による検査が完了した時点で再度ボトルが奇数本目か否かを判定する(ステップ145)。画像処理による検査が完了していなければステップ140に戻る。該当ボトルが奇数本目であれば、下2桁目に1が書き込まれる(ステップ146)。さらに、検査結果が不良か否かを判定する(ステップ147)。検査結果が不良の場合、下3桁目(最上位桁)に1が書き込まれる(ステップ148)。検査結果が正常の場合はステップ140に戻る。検査データポインタ14a、14bには配列データの番号が格納されている。撮像から検査結果が判明するまでの間、ポインタは同一データを指し示している。
【0048】
撮像センサ4aが次のボトルを検出する度にポインタ14aの配列番号が1加算され、指し示す配列データが1つ移動する。撮像センサ4bとポインタ14bについても同様である。そしてポインタ14aの指すデータの配列番号が奇数のとき、そこに奇数本目の検査結果を書き込み、ポインタ14bの指すデータの配列番号が偶数のとき、そこに偶数本目の検査結果を書き込む。なお、偶数本目のボトルの処理工程(図19(b)のステップ150〜158)は奇数本目のボトルの処理と同じであるためここでの説明は省略する。また、排出処理フロー(ステップ160〜164)に関しても図16とほぼ同じ工程であるのでここでの詳細説明は省略する。
【0049】
すなわち、ボトルが排出直前センサ2を通過し、出て行く度に検査データ13全体を左にシフトし、検査データポインタ14a,14bの指すデータもそれぞれ一つづつ左にシフトする。排出直前センサに到達したボトルの検査結果は検査データ13の先頭データを参照することにより判る。参照したデータが「111」であればそのボトルは不良品であり、排出機により排出する。データが「011」であれば正常品であり、そのまま下流に搬出する。
【0050】
また、図7とは別に、奇数本目のボトルと偶数本目のボトルの検査データを分ける方法を図8に示す。図8の撮像センサa側の動作のフローチャートを図21aに、図8の撮像センサb側の動作のフローチャートを図21bに、図8の排出直前センサ側の動作のフローチャートを図22に示す。図21に示すフローチャートの詳細は図19とほぼ同じであるのでここでの詳細説明は省略する。ただ図19と図21で異なる点は図21(b)の撮像センサ4bが奇数本目のボトルを検出したか否かを判定するようにしている点と、画像処理終了後に奇数本目のボトルか偶数本目のボトルかの判定を行わない点である。簡単に動作を説明すると下記のようになる。
【0051】
奇数検査データ13aは奇数本目のボトルの検査データを格納する。また、偶数検査データ13bには偶数本目のボトルの検査データを格納する。制御装置7が撮像センサ4aと4bのボトルの通過本数をそれぞれカウントし、撮像センサ4aの通過本数が奇数のときポインタ14aの指す奇数検査データ13aを一つ右にシフトする。また、撮像センサ4bの通過本数が偶数のときポインタ14bの指し示す偶数検査データ13bを一つ右にシフトする。
【0052】
排出側では排出直前センサ2がボトルを検出すると、そのボトルが奇数番目かそのボトルが奇数本目のとき排出ポインタ15が奇数検査データ13aの先頭データを指し、ボトルが偶数本目のとき排出ポインタ15は偶数検査データ13bの先頭データを指す。そして、ポインタの指す検査データの内容を参照し、不良品であれば排出機1により排出する。次に、検査データ全体を左に一つシフトすると同時にその検査データを指す検査ポインタも左に一つシフトさせる。以下、これを繰返す。
【0053】
以上のように撮像センサを2つ設けて、奇数本目と偶数本目のボトルの検出を別々に行わせると共に、画像処理系を2つ設けることで、検査時間の短縮と、検査精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】自動検査装置の検査・制御部分を示した概略図である。
【図2】図1において搬送される検査対象物と制御装置の検査データとの対応関係を示す図である。
【図3】図2の検査対象物と検査データの対応関係を時系列的に示した図である。
【図4】検査対象物と検査データの対応関係を時系列的に示した図の続きを示したものである。
【図5】図2とは別の方法による,搬送される検査対象物と制御装置の検査データとの対応関係を示した図である。
【図6】図1の撮像系と画像処理系を2つにした自動検査装置を示す概略図である。
【図7】図6において搬送される検査対象物と制御装置の検査データとの対応関係を示す図である。
【図8】図7とは別の方法による,搬送される検査対象物と制御装置の検査データとの対応関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態であるPET容器内異物検出装置を示す概略図である。
【図10】図1の実施形態における側面図である。
【図11】異物の存在状態を示す図である。
【図12】図1の検出装置の容器整列部におけるグリッパ形状を示す図である。
【図13】図1の検出装置の沈殿異物検査部を示す図である。
【図14】図1の検出装置の沈殿異物検査部で撮像および処理した画像を示す図である。
【図15】図2の撮像センサ側の動作のフローチャートである。
【図16】図2の排出直前センサ側の動作のフローチャートである。
【図17】図5の撮像センサ側の動作のフローチャートである。
【図18】図5の排出直前センサ側の動作のフローチャートである。
【図19】図7の撮像センサ側の動作のフローチャートである。
【図20】図7の排出直前センサ側の動作のフローチャートである。
【図21】図8の撮像センサ側の動作のフローチャートである。
【図22】図8の排出直前センサ側の動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1…排出機、2…排出直前センサ、3…カメラ、3a…カメラa、3b…カメラb、4…撮像センサ、4a…撮像センサ、4b…撮像センサ、5…検査対象物(ボトル)、5a…ボトル側壁部、5b…ボトル底部、5c…ボトルキャップ、6…搬送手段(コンベア)、6a…入口搬送コンベア、6b…出口搬送コンベア、7…制御装置、8…機械制御部、9…記憶部、10…画像処理部、11…画像入力部、12…不良品(不良ボトル)、13…検査データ、14…検査データポインタ、15…排出ポインタ、21…ボトル整列グリップコンベア、22…グリッパ、23…モータ、24…沈殿異物検査部グリップコンベア、25、25a…異物、26…沈殿異物撮像画像、27a、27b、27c…透過照明光、28a、28b…沈澱異物検査位置、29a、29b、29c…照明光照射手段、30…ボトル排出搬送コンベア、31a…異物画像、32…ボトル凹凸、33…ボトル整列部、34…ボトル排出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送される検査対象物を撮像するカメラと、検出対象物がカメラ撮像位置に到達したことを検出する撮像センサと、撮像した検査対象物の画像から良否判定をする画像処理部と、不良と判定された検査対象物を排出する排出機と、排出機の排出制御を行なう機械制御部とを備えた自動検査装置において、
検出検査済み対象物を排出直前に検出する排出直前センサを設け、前記撮像センサの検出データと画像処理して得られた検査データとを記憶しておく記憶部を設け、前記排出直前センサが検査済み対象物を検出すると、前記記憶部に記録されている検出データと検査データとを参照して検査対象物が不良判定のとき、前記排出機を動作させることを特徴とする自動検査装置。
【請求項2】
前記排出直前センサが検出した検査済み対象物が、画像処理により不良と判定された検査対象物と同一であることを判定するため、前記記憶部は検査データを検出順に記憶し、前記排出直前センサが検査済み対象物を検出すると、前記記憶部に記憶された検査データを検査順に参照することにより排出対象物か否かを判定する判定機能を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項3】
前記排出機が不良判定された対象物を排出した後、前記記憶部に記憶された検査データから排出した対象物に相当するデータを削除すると共に、検査データ全体の順序を更新することを特徴とする請求項2に記載の自動検査装置。
【請求項4】
前記排出機の排出タイミングを決定する場合に、前記排出直前センサ検出からの経過時間を測定することにより決定することを特徴とする請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項5】
前記排出機の排出タイミングを決定する場合に、前記排出直前センサ検出からの移動距離を測定することにより決定することを特徴とする、請求項1に記載の自動検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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