説明

自動水栓装置及び水栓制御方法

【課題】簡素な構造で操作が簡単であり、かつ衛生面や節水効果にも優れた非接触で操作可能な新たな自動水栓装置、水性制御方法を提供する。
【解決手段】自動水栓装置1は、制御ユニット15、吐水口前の所定検出領域に入っている使用者を感知して信号を制御ユニット15に送信する第1のセンサ13、吐水口の略側面を移動する移動体を感知して信号を制御ユニット15に送信する第2のセンサ12、制御ユニット15の指令で給水管16内の流れを許容、遮断する注水バルブ14から構成されている。制御ユニット15は、第1、第2の両センサ13、12から検出信号を受信した際は流体の流れを許容するよう注水バルブ14に指令し、第2のセンサ12から再度の検出信号を受信した際、または第1のセンサ13から検出信号を受信しなくなった際には流体の流れを遮断するよう注水バルブ14に指令する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体等の対象物を感知することにより、非接触により注水バルブの開閉を制御する自動水栓装置、並びに水栓制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面所やシャワー室において、人体などの対象物の存在をセンサで感知し、水洗用の水や湯の吐水、吐水停止を制御する自動水栓装置が広く使われている。例えば、トイレの洗面台等において、使用者が吐水口となる蛇口に向けて手を延ばすことによって水が流れ出し、逆に手を引くことによって水の流れが止まるよう構成された自動水栓装置が良く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そのような自動水栓装置の具体的な動作は、使用者が蛇口などの吐水口付近に設けられたセンサの前に手を差し出すことによってセンサがこれを感知し、センサからの信号に基づいてアクチュエータを動作させて注水バルブを開き、吐水を開始する。この際、注水バルブはセンサが手などの対象物を感知し続ける限りにおいて開いた状態に維持される。そしてセンサが対象物を感知しなくなった時に、再度その信号に基づいてアクチュエータが動作し、注水バルブを閉じて吐水を停止する。このような構成に係る自動水栓装置は、最も単純なロジックで組まれた装置であるといえよう。
【0004】
以上のように構成された自動水栓装置を、従来の蛇口を手動にて動作する水栓装置と比較した場合、以下のような利点が生ずる。
1.吐水、吐水停止動作を全て非接触で操作することができ、人の手を煩わすことがなく衛生的でもある。
2.石鹸を使う間など、水を必要としない間ではセンサから手を離すことで容易に吐水停止をすることができ、節水効果が得られる。
3.手動でバルブの開度を調整する必要がなく、常に適度な水量を得ることができる。
【0005】
これに対し、逆に欠点としては以下が挙げられる。
1.センサの感知距離は任意に選択することができるが、これが短すぎる場合には対象物がセンサを離れるたびに吐水が停止してしまい、再度感知されるためには手探り動作が必要となるために、使い勝手が悪い。
2.逆に、センサの感知距離が長くなると、不必要な間にも吐水が続き、無駄な量の水を流すことになる。
3.特に調理場における吐水においては、センサの検知をいちいち行うことが煩わしいこともあって、このような自動水栓装置の利用は敬遠され勝ちとなり、蛇口を開放したまま連続吐水されて使用されるなど、水が浪費されていた。
【0006】
以上のように、単一のセンサを利用した簡便な自動水栓装置に対し、センサを複数配置して上述した単一センサを利用する場合の欠点を改善した装置が提案されている(例えば、「特許文献2」参照。)。特許文献2に記載された装置によれば、吐水口の下方領域に向けられて主に人の手を感知する第1のセンサと、吐水口の上方領域に向けられて主に人体を感知する第2のセンサとを備え、第2のセンサが人体を感知しても第1のセンサが手を感知しなければ吐水せず、逆に吐水中においては第1のセンサが手を感知しなくなっても第2のセンサが人体を感知しているかぎりにおいて吐水を継続するよう構成されている。このように構成することで、第1のセンサが何かの拍子に手を感知しなくなっても、単一のセンサを利用したときのようにその都度吐水が中断されて改めて手を動かしてセンサを探る必要はなく、人が水栓装置の一定距離にいる間においては吐水が継続するように改善されている。
【0007】
しかしながら上記特許文献2による装置においても問題があった。例えば使用者が石鹸を使う場合などで水が不要な間において、第1のセンサが手を感知しなくなっても第2のセンサが人体を感知した状態であるために吐水が止まらず、無駄な水が浪費されるものとなる。これは調理に際して、野菜や果物などを洗浄した後に使用者がその立ち位置を移動せずに包丁を利用しようとする場合等においても同様である。この際、吐水を止めるには、使用者は一旦第2のセンサの感知領域から外れた位置に移動した後、再度元の立ち位置に戻って作業をする必要があり、人の無駄な動きとなるなど使い勝手に支障があった。
【0008】
従来技術では上記の欠点をさらに改善するため、自動吐水モードと連続吐水モードとの2つのモードを設け、これを任意に切り替え可能とした水栓装置も提案されている(例えば、「特許文献3」参照。)。しかしながらこの手段によれば、両モード間を切り替えるための切替スイッチを設けるなど、制御系を含めて装置が複雑化し、さらに切替スイッチを手で操作する必要があることから衛生面での問題を生じ得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−027534号公報
【特許文献2】特開2009−215833号公報
【特許文献3】特開2009−108490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上より、本発明は上述したような従来技術にある自動水栓装置、水栓制御方法の問題を解消し、簡単な構造で操作が簡単でありながら、衛生面や節水効果にも優れた新たな自動水栓装置、水栓制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、吐水口付近から略正面に向けて配置されて人体などを感知する第1のセンサと、吐水口付近の略側方もしくは後方などの第1のセンサとは異なる方向に向けて配置され、人の手の動きなどを感知する第2のセンサと、この両センサの感知結果に応じて注水バルブを制御する制御装置とを用いることによって上述した問題を解消するもので、具体的には以下の内容を含む。
【0012】
すなわち、本発明に係る1つの態様は、蛇口等の吐水口につなげて配置される自動水栓装置であって、装置全体の動作を制御する制御ユニットと、吐水口の略正面に向けて配置され、吐水口前面の所定検出領域に入っている使用者を感知してその検出信号を前記制御ユニットに送信するよう構成された第1のセンサと、吐水口の略側面もしくは背面であって、前記第1のセンサとは異なる方向に向けて配置され、非接触でその前面を移動する移動体を感知してその検出信号を前記制御ユニットに送信するよう構成された第2のセンサと、前記吐水口とその上流側となる給水管との間に配置され、前記制御ユニットの指令に基づいて流体の流れを許容、遮断するよう構成された注水バルブとから構成され、前記制御ユニットが、前記第1、第2の両センサから検出信号を受信した際には流体の流れを許容するよう前記注水バルブに指令を送信し、前記第2のセンサから再度の検出信号を受信した際、または前記第1のセンサから検出信号を受信しなくなった際には流体の流れを遮断するよう前記注水バルブに指令を送信するよう構成されていることを特徴とする自動水栓装置に関する。
【0013】
前記吐水口が第2の給水管ともつながっている場合、前記自動水栓装置はさらに、吐水口の略側面もしくは背面であって、前記第2のセンサとは異なる方向に向けて配置され、非接触でその前面を移動する移動体を感知してその検出信号を前記制御ユニットに送信するよう構成された第3のセンサと、前記吐水口とその上流側となる前記第2の給水管との間に配置され、前記制御ユニットの指令に基づいて第2の給水管を流れる流体の流れを許容、遮断するよう構成された第2の注水バルブとを備えることができる。この場合、前記制御ユニットは、前記第1、第3の両センサから検出信号を受信した際には流体の流れを許容するよう前記第2の注水バルブに指令を送信し、前記第3のセンサから再度の検出信号を受信した際、または前記第1のセンサから検出信号を受信しなくなった際には流体の流れを遮断するよう前記第2の注水バルブに指令を送信するよう構成されている。
【0014】
上記いずれの場合にも、前記自動水栓装置に貯水スイッチをさらに設けることができる。この場合、前記制御ユニットにはタイマ機能が追加され、これにより前記制御ユニットは、前記貯水スイッチが押された場合、前当該貯水スイッチが押されてから前記タイマ機能に予め設定された時間が経過する間、もしくはそれ以前に第2又は第3のセンサから検出信号を受信した場合には当該検出信号を受信するまでの間、流体の流れを許容するよう前記第2の注水バルブに指令を送信するよう構成することができる。
【0015】
前記自動水栓装置には、装置に通電されている間に点灯するパイロットランプ、注水バルブが開いて吐水している間に点灯する注水ランプ、貯水スイッチが押されて吐水している間に点灯する貯水ランプの少なくともいずれか一をオプションとして備えることができる。
【0016】
本発明に係る他の態様は、吐水口からの流体の流れを非接触により制御する水栓制御方法であって、吐水口の前面に向けて配置されて吐水口前面の所定検出領域に入った使用者を感知する第1のセンサを提供し、吐水口の前記第1のセンサとは異なる方向に向けて配置され、非接触で前面を移動する移動体を感知する第2のセンサを提供し、前記第1、第2の両センサから検出信号を受信した際には吐水口からの流体の流れを許容し、前記第2のセンサから再度の検出信号を受信した際、または前記第1のセンサから検出信号を受信しなくなった際には吐水口からの流体の流れを遮断するよう制御することを特徴とする水栓制御方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施により、一般家庭を始め、学校や病院、各種養護施設、さらには調理作業場等において、簡単な構造で使い勝手がよく、また衛生的で節水効果も得られる自動水栓装置を提供できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動水栓装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す自動水栓装置の平面構成図である。
【図3】図1に示す自動水栓装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る自動水栓装置を示す平面構成図である。
【図5】本発明のさらに他の実施の形態にかかる自動水栓装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施の形態に係る自動水栓装置について、図面を参照して説明する。図1は本実施の形態に係る自動水栓装置1の全体斜視図、図2はその構成図を示している。両図において、自動水栓装置1は、図示の例では蛇口からなる吐水口11(以下、「蛇口11」とも言う。)の略正面に向けて配置され、使用者の人体などを感知する正面センサ(第1のセンサ)13、吐水口11の略側面に向けて配置され、人の手などの動きを感知するモーションセンサ(第2のセンサ)12、吐水口11の上流側にて給水管16に配置されて水路を開閉する注水バルブ14、自動水栓装置を制御する制御ユニット15から構成されている。
【0020】
モーションセンサ12は、センサ前面に移動体が通過するたびにこれを感知して検出信号を発信するセンサであり、本実施の形態ではモーションセンサ12の前面(蛇口11に向かっては側面)の5cm以内の移動体の通過を感知するよう構成されている。例えば、蛇口11に向かった使用者が手をモーションセンサ12の前面を上から下へ通過させることで、モーションセンサ12を介して検出信号を制御ユニット15に送信することができる。検出する移動体は、人の手に限らず、例えば料理中には手に持った包丁を通過させることでもよい。モーションセンサ12が蛇口11の略側方に向けて配置されているため、正面における使用者の動作が感知されることはなく、また、手を伸ばして上下するだけで感知可能であるため、使い勝手が極めて良好となる。
【0021】
次に、正面センサ13は、蛇口11の略正面に向けて配置され、蛇口11に向け接近する使用者の人体等を感知し、予め定められた検出領域内にその対象が存在している限りにおいて「検出ON」の信号を制御ユニット15に送信し続け、検出領域外に出たときに「検出OFF」の信号を同じく制御ユニット15に送信する。本実施の形態では検出領域が蛇口11前方80cmをカバーするように設定されているが、これは正面センサ13のスペックを変更することによって所望の距離、領域に設定することができる。
【0022】
注水バルブ14は、本実施の形態では制御ユニット15からの指令に基づく通電によって動作するソレノイドバルブを使用しているが、この動作は当業者には知られている。ただし、注水バルブ14は他の形式のアクチュエータにより給水管16中を流れる水などの流れの許容、遮断が切替えできるものであれば他の形式のものでもよい。
【0023】
制御ユニット15は、CPUによりモーションセンサ12と正面センサ13からの検出信号を受信し、これに応じて必要な吐水の許容、遮断をするための信号を注水バルブ14に送信する。図1に示す例では、制御ユニット15にはさらに電源スイッチ17と、パイロットランプ18、注水ランプ19とに結ばれている。この内、パイロットランプ18、注水ランプ19はオプションである。
【0024】
以上のように構成された本実施の形態に係る自動水栓装置1の動作につき、図3に示すフローチャートを参照して説明する。同図に示す動作は、制御ユニット15による制御フローでもある。図3において、ステップ1において電源が装置に通電されると、ステップ2でパイロットランプ18が「ON」となって点灯し、ステップ3で注水バルブ14は「閉」の状態である。本自動水栓装置1に通電していない状態では、注水バルブ14は常時「閉」となっており、吐水のときにのみ注水バルブ14を動作させ「開」とするよう構成されている。
【0025】
続いて、使用者が蛇口11に向かって接近すると、まずステップ4で正面センサ13がこれを感知して「ON」となり、検出信号が制御ユニット15に送信される。但し、正面センサ13の「ON」のみでは吐水開始はされない。続いてステップ5にて、人がモーションセンサ(図中のフローでは「Mセンサ」と略す。)12の前に手をかざすことよってモーションセンサ12がこれを感知して「ON」となり、同じく検出信号が制御ユニット15に送信される。モーションセンサ12と正面センサ13の双方が感知した状態に至ると、制御ユニット15は注水バルブ14を動作させ、ステップ6で注水バルブを「開」とし、蛇口11から吐水を開始する。同時に、ステップ7で注水ランプ19が「ON」となって点灯し、吐水状態にあることを表示する。この状態で、使用者は流れ出る水を利用して手を洗うなりの必要な動作が可能となる。この間、使用者が蛇口11の近辺から手を離しても、正面センサ13の検知領域内に使用者が留まる限りにおいて正面センサ13が「ON」に維持されているため、吐水は継続される。
【0026】
次に、水の使用を終えとき、あるいは一時的な吐水停止を使用者が希望するときには、ステップ8において、使用者はモーションセンサ12の前に再度手をかざすことによって、モーションセンサ12はこれを感知し、2度目の検出信号を制御ユニット15に送る。この際にもモーションセンサ12による感知が非接触で行われることから、洗浄中の手を良好な衛生状態に保つことができる。この信号を入力した制御ユニット15の指令により、フローは右に進んでステップ9にて注水ランプ19を「OFF」にして消灯し、同時にフローはステップ3の注水バルブ「閉」に戻り、吐水は停止する。すなわち、この動作ではステップ4で正面センサ13が人を感知し続けていても、ステップ8における人の意図的操作によるモーションセンサ12の感知が優先されて吐水が停止するため、人が蛇口11の前に立っていても無駄な水の流れを防ぐことができる。しかも、これを使用者がその場でモーションセンサ12の前に手をかざすだけで無接触で吐水停止ができるため、使い勝手が極めて良好である。
【0027】
この状態では、モーションセンサ12は2回の感知をしているために初期状態(1回目の感知が可能な状態)に戻っている。したがって使用者が再度吐水を希望する場合には、ステップ5にてモーションセンサ12にもう一度手をかざすことによってモーションセンサ12は一回目の検出信号を発生さるため、ステップ6にて注水バルブ14を再び開けることができる。以下の動作はこれまでのフローと同様である。
【0028】
これに対し、ステップ8にてモーションセンサ12の2回目の検出がないときには、フローは下に進んでステップ10の「正面センサOFF」の感知に至るまで吐水が継続される。したがい、使用者が欲する場合には、蛇口11の前の正面センサ13の検出領域内に立ち続ける限り、連続して吐水を得ることができる。次に、使用者が正面センサ13の検出領域外に離れ、ステップ10で「正面センサOFF」の状態になれば、この信号が制御ユニット15に送られてステップ11で「注水バルブ閉」に切り替わって吐水が停止し、同時にステップ12で「注水ランプOFF」となる。この時の動作は、洗浄動作を終えた使用者がモーションセンサ12を利用するまでもなく、正面センサ13の検出領域外に出ることによって吐水が停止できることを意味する。人が吐水停止を忘れた場合においても同様にして吐水を停止させることができる。なお、ステップ10で正面センサ13が「OFF」になって吐水を停止する場合には、ステップ13においてモーションセンサ12を初期化しておく。これによって、モーションセンサ12が次に人の手の動きを感知するときは、ステップ5における1回目の検出となる。
【0029】
以上の動作を要約するに、本実施の形態に係る自動水栓装置では、モーションセンサ12と正面センサ13との双方からの検出信号があった場合に初めて注水バルブ14が「開」となって吐水し、そしてモーションセンサ12からの2度目の検出信号があった場合、もしくは正面センサ13からの「OFF」の検出信号があった場合のいずれかにおいて、吐水が停止するよう構成されている。
【0030】
本実施の形態に係る自動水栓装置1は、従来技術による水栓装置と比較して以下のような特徴を有するものとなる。すなわち、特許文献1に記載された単一のセンサを有する自動水栓装置に対して、手先を蛇口近辺から外してもいちいち吐水停止することがなく使い勝手が向上する。特許文献2に記載された2つのセンサを有する自動水栓装置に対しては、吐水停止を2つのセンサのいずれかの1つの感知に基づいて行うことが可能となるため、より節水効果が高まる。特許文献3に記載された吐水モードを切り替える自動水栓装置に対しては、構造が簡素化され、完全非接触動作を実現し、ほぼ同等の機能を果たすことができる。加えて、これらすべての先行技術文献の例に対し、図1、2に示すような本発明に係る自動水栓装置は、既設の蛇口に対して後付けにて取り付けが可能となる点が挙げられる。但し、これら機能を全て織り込んでユニットとして構成し、予めこのユニットごとを建物に配置することも勿論可能である。
【0031】
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる自動水栓装置について、図面を参照して説明する。図4は、本実施の形態にかかる自動水栓装置1aを示しており、この自動水栓装置30は、基本的に先の実施の形態に示す自動水栓装置の給水を2系統とし、例えば1つを冷水用、他の1つは温水用として使用可能にするものである。図において、先の実施の形態で示した構成要素については冷水用として同じ符号を付して表示し、これに対して追加となる温水用としての構成要素には、それぞれに対応する要素の各符号に「a」を付して表示している。
【0032】
図4において、自動水栓装置1aには、温水用動作のための第2のモーションセンサ12a(請求の範囲ではこれを「第3のセンサ」と呼び、他の2つのセンサと区別している。)、同注水バルブ14a、同給水管16aが追加され、蛇口11には、冷水用と温水用の2つの配管16、16aから冷水と温水の注水が可能に構成されている。温水用の配管16aは、図示しない温水源に接続されている。他の要素である正面センサ13、制御ユニット15、パイロットランプ18、注水ランプ19は、冷水、温水共通の要素として使用可能である。ただし、制御ユニット15には、以下に示す動作フローを可能とするロジックが組まれたものとなっている。なお、ここでは温水と冷水の組合せとしているが、それ以外の2種類の液体の組合せであってもよい。
【0033】
以上のように構成された本実施の形態に係る自動水栓装置1aの動作は、基本的に図3に示した先の実施の形態の動作フローと同様である。すなわち、使用者が冷水の吐水を希望する場合には、先の実施の形態と全く同様に、蛇口11に近づいて正面センサ13の検出領域内に入った使用者がモーションセンサ12に手をかざすことによって蛇口11から冷水を流し、再度モーションセンサ12に非接触で手をかざすか、あるいは正面センサ11の検出領域外に出ることによって吐水を停止できる。使用者が温水を欲する場合には、同様な手順にて、今度は図4では左側に表示する温水用の第2のモーションセンサ12aに手をかざすことによって、蛇口11から温水を得ることができる。停止の動作も基本的に上述した冷水用と同様である。
【0034】
冷水と温水とを同時に出して適切な温度の温水を得たい場合には、モーションセンサ12と第2のモーションセンサ12aの双方に手をかざすことによって、それぞれの注水バルブ14、14aが開き、冷水と温水が同時に蛇口11に供給されるものとなる。予め開かれた蛇口11の開度がレギュレータの役割を果たし、冷水、温水双方の注水バルブ14、14aが同時に開いても吐水量はほぼ一定に保つことができる。吐水の途中で冷水、温水のどちらか一方もしくは双方の吐水を止めたいときには、対応するモーションセンサ12、12aの前に手をかざすことでよい。その他の特徴は、先の実施の形態で説明した通りである。なお、図4に示す例では給水管16、16aの2系統としているが、必要があれば3系統、あるいはそれ以上の系統であっても同様な対応は可能である。
【0035】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る自動水栓装置について、説明する。本実施の形態に係る自動水栓装置は、構造的には図1、2あるいは4に示すものと同様であり、オプションとして「貯水」機能が追加されたことを特徴とする。このため、自動水栓装置1には、図1、2、4に示す(図2、4では破線で示す)貯水スイッチ21と、必要であれば貯水状態を表示する貯水ランプ22が追加され、また制御ユニット15には、図示しないタイマ機能(クロック機能)が追加されている。貯水ランプ22は、貯水スイッチ21内に内蔵させてもよい。これは、自動吐水スイッチ17と吐水ランプ19についても同様である。本実施の形態に係る自動水栓装置では、使用者は貯水スイッチ21を操作することによって、蛇口11から一定の水量を吐水させることができる。
【0036】
図5は、以上のように構成された本実施の形態に係る自動水栓装置1のオプションとなる追加の動作フローを示している。同図において、ステップ21の電源投入からステップ23の注水バルブ「閉」までの動作は、図3に示す第1の実施の形態におけるステップ1から3までと同様である。ステップ24で貯水スイッチ24が操作されるとステップ25で注水バルブ14が開き、同時にステップ26で貯水ランプ22が点灯して蛇口11から吐水が開始される。この際さらに、ステップ27でクロック機能が動作してタイマカウントが開始される。クロック機能の設定時間は、必要となる水量に応じて予め任意にセットしておくことができる。ステップ28で、予めセットされた時間(例えば20秒)が経過すると「タイマカウント完了」となり、フローは下へ進んで制御ユニット15に信号が送られ、ステップ29で注水バルブ14が閉じ、吐水が停止する。この際、同時にステップ30で貯水ランプが「OFF」となる。
【0037】
これに対し、ステップ28において、予めクロック機能に設定された時間が経過する前の貯水途中の状態であっても、使用者が吐水停止を希望するときは、フローは右に進んでステップ31で使用者がモーションセンサ12の前に手をかざすことによってモーションセンサ12がこれを感知し、その検出信号が制御ユニット15に送られ、制御ユニット15からの指令に基づいてステップ29で注水バルブ16が閉じられて吐水を停止させることができる。
【0038】
制御ユニット15では、以上の動作フローを図3に示す動作フローに優先させて動作するようロジックが組まれている。すなわち、モーションセンサ12や正面センサ13による感知の有無に拘わらず、貯水スイッチ21が押された場合には貯水動作を優先させるものとする。また、図3に示す例では、図2に示す形式(1系統)の自動水栓装置1を利用する例で示しているが、図4に示す形式(2系統)の自動水栓装置1aに対してもオプションとして同様に適用可能である。この際、貯水ボタン21が押されたときに、冷水用の注水バルブ14を開くか、温水用の注水バルブ14aを開くか、あるいはこの両者を同時に開くかは、用途に応じて予め制御ユニット15に設定しておくことができる。必要であれば、貯水スイッチ21を冷水用と温水用とに別々に設け、必要に応じて使用者が選択操作するようにしてもよい。
【0039】
本実施の形態に係るオプションの貯水機能の追加により、自動水栓装置に対する僅かな機能追加で、ユーザは一定量の水(または温水)を、貯水スイッチ21を操作するだけでその場に残る必要がなく得ることができ、便利である。
【0040】
以上、本発明の各実施の形態に係る自動水栓装置の説明をしてきたが、本発明は各実施の形態に示されたような自動水栓装置、もしくは制御フローを利用することにより水栓制御を行う方法をも包含している。すなわち、吐水口からの流体の流れを非接触により制御する当該水栓制御方法は、まず、吐水口の前面に向けて配置されて吐水口前面の所定検出領域に入った使用者を感知する第1のセンサを提供し、吐水口の前記第1のセンサとは異なる方向に向けて配置され、非接触で前面を移動する移動体を感知する第2のセンサを提供する。そして、前記第1、第2の両センサから検出信号を受信した際には吐水口からの流体の流れを許容し、前記第2のセンサから再度の検出信号を受信した際、または前記第1のセンサから検出信号を受信しなくなった際には吐水口からの流体の流れを遮断するよう制御するものとなる。
【0041】
また、本発明に係る自動水栓装置、水栓制御方法の適用は、上述で例示した水道等への取り付けには限定されない。例えば醸造や果汁、液体薬剤の製造など、吐水口を介して液体を取り出す装置に対しては同じように適用が可能である。なお、正面センサ13は必ずしも蛇口11から真正面に向けて配置されなくとも、使用者が接近してくる方向となる概略正面に向けて配置されていればよい。また、モーションセンサ12、12aは、必ずしも蛇口11の真横に配置されなくとも、使用者に対向する向きから外れた概略横方向に向けて側方に配置されていればよく、使用者に対向する向き以外に向けて配置されていればよく、必要であれば例えば蛇口11の真後ろや真上、真下に向けて配置されることでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る自動水栓装置、水栓制御方法は、一般家庭、学校等の施設、調理場等において有用であり、当該装置の製造、販売、利用を行う各産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1、1a.自動水栓装置、 11.蛇口、 12.モーションセンサ(第1のセンサ)、 12a.第2のモーションセンサ(第3のセンサ)、 13.正面センサ(第2のセンサ)、 14.注水バルブ、 14a.第2の注水バルブ、 15.制御ユニット、 16.給水管、 16a.第2の給水管、 17.注水スイッチ、 18.パイロットランプ、 19.注水ランプ、 21.貯水スイッチ、 22.貯水ランプ、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水口につないで配置され、吐水口の開閉を制御する自動水栓装置において、
装置全体の動作を制御する制御ユニットと、
吐水口の前面に向けて配置され、吐水口前面の所定検出領域に入った使用者を感知してその検出信号を前記制御ユニットに送信するよう構成された第1のセンサと、
吐水口の側面もしくは背面に向けて配置され、非接触で前面を移動する移動体を感知してその検出信号を前記制御ユニットに送信するよう構成された第2のセンサと、
前記吐水口とその上流側となる給水管との間に配置され、前記制御ユニットからの指令に基づいて流体の流れを許容、遮断するよう構成された注水バルブとから構成され、
前記制御ユニットが、前記第1、第2の両センサから検出信号を受信した際には流体の流れを許容するよう前記注水バルブに指令を送信し、前記第2のセンサから再度の検出信号を受信した際、または前記第1のセンサから検出信号を受信しなくなった際には流体の流れを遮断するよう前記注水バルブに指令を送信するよう構成されていることを特徴とする自動水栓装置。
【請求項2】
前記自動水栓装置が貯水スイッチをさらに備え、前記制御ユニットがタイマ機能をさらに備え、前記制御ユニットは、前記貯水スイッチが押された場合、前当該貯水スイッチが押されてから前記タイマ機能に予め設定された時間が経過するまでの間、もしくはそれ以前に前記第2のセンサから検出信号を受信した場合には当該検出信号の受信までの間、流体の流れを許容するよう前記注水バルブに指令を送信するよう構成されている、請求項1に記載の自動水栓装置。
【請求項3】
前記吐水口が第2の給水管ともつながり、前記自動水栓装置がさらに、
吐水口の側面もしくは背面であって、前記第2のセンサとは異なる方向に向けて配置され、非接触で前面を移動する移動体を感知してその検出信号を前記制御ユニットに送信するよう構成された第3のセンサと、
前記吐水口とその上流側となる前記第2の給水管との間に配置され、前記制御ユニットの指令に基づいて第2の給水管を流れる流体の流れを許容、遮断するよう構成された第2の注水バルブとを備え、
前記制御ユニットが、前記第1、第3の両センサから検出信号を受信した際には流体の流れを許容するよう前記第2の注水バルブに指令を送信し、前記第3のセンサから再度の検出信号を受信した際、または前記第1のセンサから検出信号を受信しなくなった際には流体の流れを遮断するよう前記第2の注水バルブに指令を送信するよう構成されている、請求項1に記載の自動水栓装置。
【請求項4】
前記自動水栓装置が貯水スイッチをさらに備え、前記制御ユニットがタイマ機能をさらに備え、前記制御ユニットは、前記貯水スイッチが押された場合、前当該貯水スイッチが押されてから前記タイマ機能に予め設定された時間が経過する間、もしくはそれ以前に第3のセンサから検出信号を受信した場合には当該検出信号の受信までの間、流体の流れを許容するよう前記第2の注水バルブに指令を送信するよう構成されている、請求項3に記載の自動水栓装置。
【請求項5】
前記自動水栓装置が、装置に通電されている間に点灯するパイロットランプ、注水バルブが開いて吐水している間に点灯する注水ランプ、貯水スイッチが押されて吐水している間に点灯する貯水ランプのいずれか一をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか一に記載の自動水栓装置。
【請求項6】
吐水口からの流体の流れを非接触により制御する水栓制御方法において、
吐水口の前面に向けて配置されて吐水口前面の所定検出領域に入った使用者を感知する第1のセンサを提供し、
吐水口の前記第1のセンサとは異なる方向に向けて配置され、非接触で前面を移動する移動体を感知する第2のセンサを提供し、
前記第1、第2の両センサから検出信号を受信した際には吐水口からの流体の流れを許容し、前記第2のセンサから再度の検出信号を受信した際、または前記第1のセンサから検出信号を受信しなくなった際には吐水口からの流体の流れを遮断するよう制御することを特徴とする水栓制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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